貴方「安価で喰種の世界を生き延びる」【東京喰種】【喰種編】【TAKE3】

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539 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/07/31(月) 22:50:42.14 ID:JJyBy4NE0
>>536、マシロ自体は、戦闘を行うことは可能です。イツキくんがそれを許すとは思えませんが…(暴走の件があったため)

>>537、だいたいの流れは原作と同じです。今回カネキとヤモリの兄貴がイチャイチャするのを阻止する条件は、アレです(無責任)
原作の方でも、あることがきっかけになって、あんなことやこんなことをすることになったのでわかるかな、と。

>>538、リョーコさん生存と、亜門さん昇天くらいしか大きな違いはありませんからね。そろそろ進めないとヤバいですし…。
カネキくんはかなり強いですが、メンタル面は迷ってばかりの黒カネキのままですよ(亜門との対話を行っていないので)

いちおう、今までに起きたことは全て反映しているので、実際のシーンとは結構異なったりします。

特に、攻略編が(あったら)分かりやすいのかな、とは思っています。

今から再開していきますね。
540 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/07/31(月) 23:10:01.19 ID:JJyBy4NE0
後ろを見ると、怯えた表情のヒナミとリョーコさん、青筋を立てて弟…アヤトを見るトーカがいる。

また、隣には諦めたような感じで本を読んでいるカネキがいる。

「…お前たちの目的はカネキだろ?だったら、とっとと連れていってくれ」

「アサヤくぅん!?」

「いや、ここで抵抗したらヒナミとかが絶対死ぬし」

「あ、そっかぁ…」

(後で尾行するから、今は我慢してくれ…。コーヒーも淹れてやるから…)

「それじゃ遠慮なく」

「オカヒラッ」

ヤモリの赫子が、カネキの腹を貫く。

痛みに耐えきれなかったようで、カネキは意識を失い、倒れた。

「テメェ!」

「動くなクソ姉貴!」

「やめろって!」

ヤモリに向かって走るトーカを左腕で静止させ、アヤトが撃ち出した赫子を、鱗赫で防ぐ。

甲赫は、この小さな密室だと使いづらいから仕方ない。

「アサヤ!カネキが連れていかれるんだよ!?」

「かと言って、ここで手を出したらもれなくヒナミたちがお陀仏だ」

「こいつらがカネキを殺すことはありえないからな」

「なら、俺は一番被害が小さくなるように動くぜ」

「くっ…」

「…今は堪えてくれ」

「クソォ…」

「ねぇ君」

「あ?」

「君のそれって鱗赫だよね?」

「まぁ、そうだな」

「どれくらいのダメージなら再生できる?」

なんでニヤニヤしながら聞くんだコイツは。

気色悪い。

「んーっと…。胴体から真っ二つにされても、いちおう再生はできたぞ」

「つっても、数年前のことだから詳しいことは憶えてねぇけどな」


直下コンマが、ヤモリ→アサヤの好感度です。合計が70以上だと…?

凄い再生能力:+30
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/31(月) 23:17:59.89 ID:v+/Koeuz0
アッー!
542 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/07/31(月) 23:47:27.96 ID:JJyBy4NE0
コンマ判定:119 カネキ?そんな人もいましたね(すっとぼけ)


俺の答えを聞いた瞬間、ヤモリの顔がヤバいことになる。

「それだけ凄い再生能力か…。ヤベェ…。絶対楽しい…!」

「ヒヒ…ヒヒヒヒ…!」

頭壊れたか?

「決めた。アサヤくんも一緒に来てよ」

「は?」

「君が僕の部下になってくれるなら、ここには二度と手は出さないよ」

「おいヤモリ、勝手な行動は慎め」

「あァン?今回はアレを回収しろって言われただけだろうが」

「別に俺が部下を増やしても問題ねぇだろ?」

「どうせアレをするために部下にしたんだろ…」

「ごちゃごちゃウルセェよ。死にてえのか?ン?」

「チッ…」

今の態度で確信した。

コイツ頭はおかしいけど、それなりにはやるやつだ。

「…本当に手を出さないんだな?」

「もちろん。つまらないことはしない主義だからね」

「…分かった」

「…ッ!おいアサヤ!」

「アサヤくん…」

「なぁに、やることをやったらすぐ戻ってくるさ」

「じゃあな」

窓から飛び出し、ヤモリたちについていく。

服が『あんていく』の制服のままだが、別にいいだろ。

上手いこと中には潜り込めたし、何とかカネキを救出しないとな。

アレが何なのかは気になるが、ろくでもないことなのは分かる。

再生能力がどうとか言われたし、指を詰めたりするのか?
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/01(火) 00:41:09.05 ID:HOUMzTXrO
アサヤェ……
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/01(火) 00:43:48.85 ID:lia+4lpXO
マシロは家族依存だからイツキ程じゃ無いだろうけどアサヤに手を出したら黒い箱の天使が降臨するっていう
545 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/08/01(火) 00:55:43.60 ID:eVKRwJUo0
ヤモリたちの後を追い、数時間ほど移動すると、大きな廃墟が見えた。

ざっと百人以上の喰種がいるな。

『アオギリの樹』のアジトってとこか。

アジトの集会所にあたる場所に入ったと同時に、カネキが目を覚ました。

「あれ…僕は…」

「よっ、カネキ」

「アサヤくん!?どうして君が一緒に…」

「色々あって同行してる」

「ほらシャキッとしろ。みんなが見てるぞ」

集会所には無数の喰種がおり、全員がカネキを見ている。

「えっ?状況が飲み込めないんだけど」

「俺もよく分からねえから安心しな」

カネキと話をしていると、ステージに上がってくる二人の喰種が見えた。

他の喰種が敬礼しているところを見ると、リーダー格なのは間違いない。

「君の眼は?」

「え?」

『君の名は』のパクリだろうか。

「赫眼。さっさと答えろ」

「左ですけど…」

「…ダメだ、使えない。リゼは本当に消されたのか…?」

「…リゼさんのことを知ってるんですか?」

「それを答える義理はない」

「…そうですよね…」

「…唐突だけど、『長槍』って知ってる?」

「『長槍』…?あ、イツキさんですか?」

「…少しだけヒントだ。君に移植された臓器が、腎臓だけならそうはなっていない」

「そして、嘉納も、赫子が出せるようになっているのだから、何らかの数値が変わっているのも知っているはず」

「…ということは、移植されたのは赫包…かな…」

「俺もう出ていいですか?」

「君誰?」

「アサヤでーす」

「…イツキの弟か…。これは幸運だ」

「何がです?」

「いや、なんでもない。ゆっくりしていくといい」

なんだか、はぐらかされたような気がする。

「はあ」

「…カネキはこっちだ。ついてこい」

「アサヤくんはこっちねー」

「うぃーっす」
546 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/08/01(火) 00:59:12.83 ID:eVKRwJUo0
突然ですが、ここで運命のコンマです。直下コンマが3以下だと何かが起きます。
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/01(火) 01:12:53.34 ID:WLoSogCw0
548 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/08/01(火) 01:27:36.77 ID:eVKRwJUo0
コンマ判定:4 何も起きませんでした


ヤモリに連れてこられた場所からは、かなりキツい血の匂いがした。

「君には、ここで人間の解体をしてもらうね」

「解体っすか」

「うん。僕たちは外で人を狩ってくるから、それを食べやすいようにするんだ」

「了解っす」

「今日は特に予定はないから、もう休んでいいよ」

「分かりましたー」

他の喰種に指示された場所には、粗末なシーツが敷かれているだけだった。

「うわー…。これなら家の毛布を持ってくりゃ良かったな…」

エアコンを効かせながら毛布に包って寝る。コレ最高。

(カネキたちは最下層の牢屋か…。昼間のやつらもいるな)

思ったよりも疲れていたみたいで、横になった直後に眠りについた。
549 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/08/01(火) 01:45:10.48 ID:eVKRwJUo0
アオギリで生活をし始めて2日が経過した。

もともと死体を見るのには慣れていたので、手際よく解体を進めていた。

カネキは全く慣れておらず、リバースしてばっかりだったので代わりに処理しておいた。

まぁ、元人間には辛いわな。

仕事を終え、寝床に戻ろうとしたら、カネキが俺の耳に小さな声で呟いた。

「今日の深夜2時に、ここを逃げる」

どうやら、今日脱走するようだ。

わざわざこのタイミングで言ったということは、今日が一番守りが薄い日なんだろう。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「アンタ、凄く強いんだってな」

「バンジョーだっけ。まぁ、弱くはないぜ」

「ヤモリとかより強かったりするのかなぁ」

「それは分からねえな」

「っと、前の草むらから一人出てくるぞ」

俺がそう言った直後、ゾンビのようなアホ面をした喰種が出てきた。

「そらよっと」

その顔面を、一気に手刀で割る。

喰種はあっけなく地面に倒れ伏した。

「今の喰種にバレてたら瓶兄弟にもバレてましたよ…」

「どこに誰がいるかは分かるからなぁ」

「…前方100mの林にヤモリがいるな」

「なんでですか!?今日は街で遊ぶ日のはずじゃあ…」

「たぶん、お前たちの会話が聞かれてたんだろ」

「終わった…。俺たち全員ここで死ぬんだ…」

「どうするの?アサヤくん…」

「どーすっかなぁ」
550 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/08/01(火) 01:47:28.38 ID:eVKRwJUo0
↓1〜3に、どうするかをお願いします。

選択候補

1:カネキとコンビでヤモリ討伐すっぞオラー!
2:一人でヤモリを抑えるor潰して、その間に別ルートから逃がす。
3:諦めて戻る。

その他の意見でも構いません。
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/01(火) 01:50:45.29 ID:HOUMzTXrO
んー迷うけど……3で
552 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/08/01(火) 02:25:56.83 ID:eVKRwJUo0
時間もかなり遅くなりましたので、今回はこれで終了です。

次回はいつになるのか分かりませんので、分かった時に報告しますね。

なお、現在のカネキかアサヤ一人でも、ヤモリの駆除は充分可能です。コンマ次第ではありますが…。

このレスが安価を踏んでいる場合は安価下でお願いします。遅くまで、お疲れ様でした!
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/01(火) 02:42:05.96 ID:HOUMzTXrO

どうなるか全く予想がつかんわ

安価下
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/01(火) 03:55:45.52 ID:baonN+ITO
2日経ってるって事はそろそろ応援とかは来ないのかな?
アサヤが連れ去られてるならイツキが黙ってないと思うんだけど
家族が絡んでるなら非合理的な判断を躊躇いなくするイツキならそろそろ応援に来るはず
それ込みでヤモリに脱走話聞かれてたなら戻った所で拷問されそうだしそれならハデに暴れてやってSSレートのサンドロックに手を出した事を後悔させよう(マジキチスマイル)
ってな訳で安価は1
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 04:06:43.40 ID:DFqpoEaxO
1
他のグールにバレてないならさっさと突破した方がいい
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 12:37:36.29 ID:Ts31+xPK0
そろそろアサヤとリョーコさんの未亡人√開拓してえなぁ
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 19:07:17.47 ID:mF8PvVfKO
安価は1で決まりか

アマナツきょうだい達が苦戦する未来が見えないぜ
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 13:13:51.23 ID:+MOxY2jP0
わたし待つわ
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 15:27:34.99 ID:U7JbCPUCO
いつまでもまーつーわ
560 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/09(月) 13:26:08.12 ID:YveClUxfO
仕事が辛くてアーイキソ 再開は今週の土日ですかね…。

スレ見直したら、イツキ兄貴アオギリ本部の場所ほぼ突き止めてましたね…。これは情報が入ったら壊滅待った無し。

というわけで直下コンマが5以上で芳村さんから伝達済みとなります。つまり大惨事アオギリ大戦が始まります。

再開まで待て、しかして希望せよ(巌窟王並感)。なかなか再開できなくてすみません!許してください!なんでもしますから!いやホントすみません…。
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/09(月) 13:47:15.53 ID:cXceeKu/o
報告おつおつ
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/09(月) 14:14:58.90 ID:GaX7D5Eto
おっつおっつ
563 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/13(金) 13:15:28.40 ID:Ujbd6sUCO
更新は今日の深夜と明日に変更させてくだしあ…。シフトが急遽変更になりましたので…。
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 17:28:59.37 ID:SpjrzDR80
了解 リアル重点な
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 18:52:02.67 ID:me96x/P+o
忙しい中報告サンキューやで
566 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/13(金) 21:55:54.56 ID:J0CCH/ry0
お ま た せ 今から再開ですぞー!こんなに空いてたのに待ってくれて感謝感激ブレイクピラーです!
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 22:09:52.74 ID:EsFuX+WZO
いやっほおおおお!!!
568 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/13(金) 22:26:04.65 ID:J0CCH/ry0
まず、今の状況を確認する。

現在、アオギリのアジトからは200mほど離れていて、屋上には瓶兄弟がいる。

先ほど見回りの喰種を始末したが、100mほど進めばヤモリと鉢合わせする。

先回りしているということは、脱走することが既にバレていると見て間違いない。

確実に、殺しにくる。

「はぁ…」

この時点で戦闘は避けられないのだから、仕方がない。

面倒だがやるしかない、とアサヤは落ち込むようにため息をつく。

「…ヤモリはここで潰す。どうせどっちかが死ぬんだからな」

この中で最も喰種の世界を知っているのは、おそらくアサヤだ。

幼い頃から、兄の戦いを生き方を見てきた。

そして、家族の中で最も要領が悪かったアサヤは、人の世界には入れない、と悟った。

――アサヤ自身は要領が悪い方ではない。他の二人が異常なだけである。

事実、アサヤは『あんていく』の中で上手くやっていけている。

喰種の世界を知っている、ということは即ち、手を汚してきた、というのと同義である。

アサヤがSSレートに指定されているのが、それを如実に表している――。

――手を汚すのは、俺だけでいい。

二番目に強いであろうカネキは元人間。

殺人への耐性はそこまで無いだろう。

たとえ喰種を何人も殺していても、彼の本質にある弱さは変わらない。

きっと、今も心のどこかで――。

――俺も昔はそうだったしな、と自嘲気味に吐き捨てる。

しかし、その呟きは誰にも聞こえなかった。

否、皆が恐怖する者の登場で搔き消された。

「ハハハハ、どうしてここにいるのかなぁ?」

大きな白スーツの上からでも分かる筋肉をしたヤモリと、クネクネと体を動かすオカマ野郎。

二人を横目で見ながら、アサヤはカネキの耳元で囁く――。

――カネキ、お前は俺のサポートと追撃してくるやつの牽制を任せる――。

――アサヤくんは――!?

――コイツらを殺す。

「何コソコソくっちゃべってんだゴラァ!」

無視されたことに怒りを覚えるヤモリに、ハッキリと言い放つ。

「テメェには関係ねぇよ」

――どうせここで死ぬんだからよ。

Rc細胞の影響で紅く光る眼は、鋭い眼光を放ち目の前のデカブツを見据えていた。
569 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/13(金) 22:32:59.46 ID:J0CCH/ry0
何となくで選んだ参考BGM https://www.youtube.com/watch?v=W-xjb-AWEFQ

直下コンマ判定 ルールの詳細は>>251-252を確認してネ!

1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)

戦闘力差(100:80):+1 人数差:+1 赫子の相性:-1
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 22:42:18.81 ID:1lERmofho
571 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/13(金) 22:43:47.59 ID:J0CCH/ry0
すみません、勝利条件は3ポイント入手です…。
572 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/13(金) 22:59:33.86 ID:J0CCH/ry0
コンマ判定:1 失敗回数:2/4


大振りの右ストレートをスレスレまで引き付け、上体を逸らして回避。

続けて撃ち出された鱗赫を、地面を蹴り体を浮かせて避ける。

「そぉ…らっ!」

空中で回転のベクトルを無理矢理変え、左の回し蹴りを当てる。

が、それは鱗赫によって防がれた。

「…っと。結構硬いな」

興奮しているのか、呼吸が荒いヤモリを尻目に、まるで確認しているかのように呟くアサヤ。

「ガアアッ!」

「フッ!」

ヤモリの鱗赫を、両腕で受け止めるアサヤ。

しかし、赫子を纏っているわけでもない腕では、流石に防御しきれない。

力を受け止め損ねたアサヤは腕が半分千切れ、吹き飛ばされた。

「〜ってぇなぁ〜!」

腕をプラプラ振り、傷口を赫子で修復する。

この間、僅か1秒足らずである。

「フヒヒひヒ…。いイなぁその再生力!」

「もっと楽シマせろぉ!」

涎を垂らし、ダッシュをするヤモリを見て、アサヤは顔を歪める。

「それが気持ち悪いんだよ!死にさらせやクソが!」


直下コンマ判定

1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)

戦闘力差(100:80):+1 人数差:+1 赫子の相性:-1
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 23:02:20.22 ID:Am+A9gxX0
ふん
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 23:02:40.85 ID:me96x/P+o
よっ
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 23:03:21.31 ID:me96x/P+o
コンマ神www
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 23:04:19.14 ID:52/qOzkGO
早速ゾロ目じゃねーか!
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 23:12:28.06 ID:1lERmofho
コンマ神「わりぃ遅れた」
578 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/13(金) 23:25:33.30 ID:J0CCH/ry0
コンマ判定:2(ゾロ目) さよなら兄貴(鼻ホジ)


こちらへと疾走するヤモリ。その動きは、あまりにも単調になっていた。

単調な動きの隙は大きい、いや、大きすぎる。

普通であればまず食らわないはずの膝蹴りをあっさりと顔面に受けてしまった。

「グガァ」

歯が数本へし折れ、口から零れ落ちる。

続けて、アサヤは足を体操座りの要領で抱きかかえ、背中を向ける。

「大サービスだ。有難く受け取んな」

そして、4本もの巨大な鱗赫が、ヤモリの肉を、赫子をすり潰す。

貫いた鱗赫をヤモリの後ろで絡ませ、固定する。

着地を済ませたアサヤは、マトモに動けないヤモリに、赫子を纏った拳でラッシュを叩き込む。

「オラオラオラオラオラァ!」

まるで肉塊をハンマーで叩き潰すかのような、お世辞にも聞き心地の良いとは言えない音だけが響く。

Sレートに指定されるヤモリ、しかし、SSレートのアサヤはそれを歯牙にも掛けなかった。

「…そこまで強くなかったか。じゃあな、ヤモリ」

鱗赫を解き、顔の前に向ける。

「ア…アァ…」

既に虫の息のヤモリの眼に、嘗ての情景が映る。

ああ――。これは俺が――。僕が昔されたことだ――。

ひたすら、CCGの職員に拷問をされる自分。

それは、チャンスを掴んだことで成し遂げた報復によって乗り越えた。

二度と同じ目に遭わないように強くなった――。

家族を理不尽で奪われないために。

また同じ目に遭うのが怖かったから。

そんな自分が惨めだったから。

だけど――。僕はそれでも弱いままだった――。

地獄を見た自分よりも一回り、いや二回り若い少年を見て思う。

――僕にも、君ほどの力があったなら。

おかあさんを護れたのかな――。

「おか…あさん…。ごめん…ね――」

それが、ヤモリの最後の言葉だった。
579 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/13(金) 23:30:05.90 ID:J0CCH/ry0
直下コンマで瓶兄弟の判定をします。3以上で追撃されます。
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 23:30:48.74 ID:me96x/P+o
はい
581 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/13(金) 23:30:48.77 ID:J0CCH/ry0
逆だ!3以下です!判定は下にずらしてください!
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 23:32:43.19 ID:52/qOzkGO
どうなるか
583 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/13(金) 23:46:26.31 ID:J0CCH/ry0
コンマ判定:9 完 全 勝 利


「チッ…」

ヤモリの顔を貫いた鱗赫の血を拭い、体へと仕舞う。

「…なんでそんな悲しい顔をすんだよ…。クソが」

これじゃ俺たちが悪者じゃねぇか、とアサヤは呟く。

近くにいたはずのオカマ野郎は既に姿を消していた。

「えっと…。僕、すること無かったね」

「寧ろ無くて良かったよ」

カネキにはサポートを任せてはいたが、自分一人で終わらせられるのなら、それが一番良かった。

「さっさと行くぞ。追われてない今がチャンスだ」

「う、うん」

脅威が取り除かれたことに、後続の脱アオギリ組は心から喜んでいた。

その中でただ一人、アサヤだけは心に暗雲が立ち込めていた。

――なぁヤモリ、お前は奪われた側だったのかよ。

だとしたら、お前の怒りはたぶん見当違いだ。

いくら恨んだって、喪った物は帰ってこねぇんだぜ。

だから、割り切って生きてくしかねぇんだ。

過去を変えることなんか出来やしないんだからな――。

それが、アサヤが今までの人生で得た答え。

ヤモリの死が、彼らに与えた影響は――。

因みに、この脱走劇がアオギリ側に判明したのは次の日の早朝だった。
584 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/14(土) 00:12:20.75 ID:lm7MInEM0
場所は変わって『あんていく』。

店長を務める芳村と、裏方を務める四方、そして『あんていく』の庇護下にいる笛口リョーコが、準備をしていた。

『――本当にいいのですか?』

『はい。いざとなったら切り捨てて構いません』

『それだとヒナミが…』

『――ヒナミには、頼もしい子が付いていますから。トーカちゃんやカネキくん、アサヤくんが』

『だから、きっと私がいなくなっても大丈夫です』

『それに、私たちを救ってくれたアサヤくんに、死ぬ前に何かしてあげたいの』

『――できる限りのカバーはします』

『そこまで言われたら断れませんね』

『…!ありがとうございます…!』

――もしかしたら死ぬかもしれない。

死への恐怖、そして、アサヤの死の危険を想像したことにより呼吸が乱れるリョーコ。

豊かな胸に両手を当てて蹲り、念仏のように同じ言葉を繰り返す。

「大丈夫…。きっと大丈夫…」

あの人なら、きっと――。

呼吸を整え、二階で待つ二人の元に進もうとする。

だが、それはドアのノック音により中断された。

閉店しているのに、わざわざノックをする客がいるのだろうか。

無くはない、が、現実的ではない。

もしや捜査官が――。

と思ったが、この考えが一番あり得ないものだった。

まさか――。

そう思った瞬間、胸の鼓動が高鳴った。

恐る恐るドアに手を掛け、鍵を開ける。

開かれたドアの向こうにいたのは――。

「あー。ただいま戻りました。スタッフのアサヤと」

「スタッフのカネキ…です」

「オマケもいるぞー!」

「あ…あぁ…!」

涙が止まらなかった。

何故なら、ドアの向こうにいたのは。

彼女が夫と同じくらい、いやそれ以上に愛した、愛してしまった男がいたから。

――恋した時点で、女は等しく乙女になる。

恋した乙女はもう、止まらない。

「良かった…!」

涙を流しながら、リョーコはアサヤへと抱き着く。

女性からの抱擁など、産まれてこの方一度も無かったアサヤはひどく狼狽える。

「かっ、カネキっ、どうすればいいっ!?」

「さあ…?」

その後、二階から降りてきた二人からめでたく誤解されましたとさ。
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 00:13:42.86 ID:CwlrVy2no
改めて考えると罪な男ってレベルじゃないwwww
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 00:36:17.24 ID:mK96rDTG0
人妻って時点でな……いや、本人にも不幸な話ではあるんだが……
587 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/14(土) 00:39:49.91 ID:lm7MInEM0
「それで、どうやって戻ってきたんだい?」

普段の視線から察しが付いていた芳村は、すぐに誤解を解いていた。

――その上で、乗ってくるくらいには興味があるみたいだが。

「とりあえず見張りとヤモリを殺して、そのまま流れで」

「流石…としか言えないね…」

アサヤの実力は、SSレートの時点で分かっていた。

本局から派遣された捜査官すらも軽くあしらっていたのだから猶更だ。

しかし、あのアオギリからこうも簡単に抜け出してくるとは。

オマケの人たちも連れて。

流石に、これには芳村も苦笑するしかなかった。

「…うん、元アオギリの方たちはコンテナに移住してもらおうかな」

「…あの」

「なぁに、ちょっと食料が厳しくなるけど、そこは四方くんがどうにかしてくれるさ」

「…もういいです」

ニコニコ顔を絶やさない芳村と、諦めたような顔の四方が対照的だ。

「え…。つまり俺たちはこれで安全なのか…?」

歓声が辺りから出てくるが、深夜に騒がれるのはマズい。

アサヤは冷静に注意をする。

「人様の迷惑になるから…やめような!」

「アッハイ」

「それじゃ四方くん、彼らの誘導は任せたよ」

「…はい」

仕事が増えたからなのか、肩を落としながら歩いていく四方。

これで全て終わった。はずだ。

「んじゃ、俺も帰って毛布のお世話になりますかね」

窓を開けて飛ぼうとしたら、裾が引っ張られた。

「ん?」

そこには、赤面したリョーコの姿が。

眼を潤わせながら、リョーコは言う。

「…今からだとトーカちゃんたちに迷惑だから、アサヤくんの家に泊めてもらえないかしら…?」

「へ?」

アサヤの頭の中は、疑問符で埋め尽くされた。
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 00:40:18.11 ID:sZvLqGiZo
こうかんど104の ちからって すげー!
589 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/14(土) 00:42:26.84 ID:lm7MInEM0
さあ、ドキがムネムネな判定の時間ですぞー!直下コンマが5以上で成功やで!

相手は未亡人:-1 突然のお願いで困惑なう:+1 女性耐性/Zero:+1
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 00:42:59.15 ID:4CsshcDaO
うおおおお
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 00:46:15.79 ID:sZvLqGiZo
ざわ…ざわ…
592 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/14(土) 00:55:17.10 ID:lm7MInEM0
コンマ判定:6 イッツターイムナーウ


「あ…えーっと…」

アサヤは芳村へと、視線で助け舟を出す。

しかし、芳村はニッコリと笑ってこう返した。

You、ヤっちゃいなYo。

アサヤは心の中で叫ぶ。某何とか太夫のように。

そもそも、止めるべき立場であるはずの人が煽ってくるのはどうなのか。

そんな考えが浮かんでくる。

だが、今の時刻は深夜2:00を過ぎている。

たしかに、彼女だけでは危険だろう。

いや、それでも彼女は未亡人だろう。ダメだ、ダメダメ。

と、理性が何とか抑えようとする。

しかし、それは最後の一撃によって無慈悲に葬られた。

「私、アサヤくんと一緒なら安心するんです」

「もう、一人になるのは嫌なんです…」

抱きしめられて、正常な判断ができなくなっているアサヤは白目を剝きながら肯く。

「…ハイ」

それが、(社会的な)死への片道切符だとも知らずに。
593 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/14(土) 01:12:23.41 ID:lm7MInEM0
家に戻り、敷布団を二つ用意する。

――因みに、敷布団の片方は来客用(カネキとか兄妹とかの)である。

その間、浴室からはずっとシャワーの音が聞こえてくる。

――落ち着かねぇぇぇぇぇぇぇ!

それがアサヤの胸中だった。

流石にアウトだとは分かっているので、決して一線は越えないし越えさせない。

だが、先ほど一回天に召したクソザコナメクジな理性が保つとは到底思えない。

それに、彼女が精神的なダメージを負っているのも分かっている。

冷やしていたコーヒーを一杯飲み干し、思案する。

どうすれば、このピンチを乗り越えられるのか。

兄貴に頼りたい気持ちでいっぱいだが、絶対に拒否される。

兄貴が解決策をホイホイ出すところを想像したくない、というのもあるのだが。

「ヘブライッ!?」

シャワーの音が止まった。

それから数分が経って、脱衣所の扉が開かれる。

そこには、着替えが無いので仕方なく貸した、ダボダボのパジャマを着たリョーコが立っていた。

マズい。アサヤは確信する。

そう一瞬で確信できるほど、目の前のそれは破壊力が高かった。

湯気が立ち上り、湿って色気を増した肌。

サイズが合わないが故に、大きく開いて少し見えている双丘。

これは俺には刺激が強すぎる、と半ば反射的にアサヤはそっぽを向く。

こういう時こそ、兄貴の精神力が心から羨ましくなる。

あの人なら真顔で、興味が無いので、とか言い出しかねない。

クスリ、と微笑みながら、リョーコはゆっくりと近づいてくる。

ああ、どうか生き延びてくれ。俺の貧弱なる理性くんよ。

その祈りは、届くのか――。
594 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/14(土) 01:18:53.31 ID:lm7MInEM0
これが(たぶんお泊り編)最後の判定となります。直下コンマ7以上で、その欲望は加速して、遂には危険な領域に突入します。

もうゴールしちゃってもいいよね…?:+2 クソザコナメクジ鋼の理性くん:-1 風呂上りの色気ぱぅわー:+1
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 01:21:06.30 ID:ZmQdjO2w0
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 01:22:22.20 ID:+qz47qdRo
ホラホラホラホラ
597 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/14(土) 01:28:19.15 ID:lm7MInEM0
コンマ判定:7 そして、アサヤの未来は終焉へと至った…。

今日はこれで終了です。次回は土曜日(つまり今日)の夜10辺りを予定しています。もし無理だったとしても許し亭許して。

さぁ、盛り上がってまいりました。R-18な描写は流石にキンクリさせてもらいますね…。こ↑こ↓は全年齢板なので…。

遅くまでありがとうございました!お付き合いいただける皆様に只々感謝です!
598 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/14(土) 01:29:32.37 ID:lm7MInEM0
あ、コンマ判定は0ですね…。展開どないしましょ…。それでは皆さん、おやすみなさいです。
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 01:37:34.12 ID:+qz47qdRo
おつー相変わらずのコンマ神に愛されたスレ
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 01:40:39.02 ID:Ktj7w5/qO
おつおつ
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 01:41:43.12 ID:sZvLqGiZo

ヤモリの兄貴があっさりゾロ目退場してしまっただけでも衝撃的なのに、重ねてリョーコさんも攻略しちゃうとか…
まったくファンタスティックなスレだぜ!!
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 01:46:22.59 ID:81CBg25KO
おつ
相変わらずコンマが荒ぶりまくりで安心したw
R版はみんなの心の中にあるからへーきへーき(暴論)
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 04:29:55.30 ID:mK96rDTG0
604 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/14(土) 22:37:23.40 ID:DPcvGbpz0
お待たせしました!今から再開です!正直展開が全く思いつかない(真顔)
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/14(土) 22:42:19.79 ID:mK96rDTG0


事後の妙に疲れた顔のアサヤをみて全員あっ(察し)となるかもしれん
606 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/15(日) 00:17:43.85 ID:aSWHpVb+0
毛布を頭から被り、姿を隠すアサヤ。

隣に座ったリョーコはそれをゆっくりと引き剝がす。

アサヤは戦慄する。

今までの彼女が出していた力ではない。

いや、実際には彼女の力はそこまで変化していない。

アサヤの心が気圧されて、力が出なくなっているのだ。

若しくは、心のどこかで期待しているのかもしれない――。

――なんだかんだで他人のことを気にするアサヤがするなどあり得ないのだが。

「…俺はそんなことしませんからね…」

辛うじて残っている理性が拒む。

だが、それは一瞬の抵抗だった。

「ん…」

「んぐぅっ!?」

脳が痺れるような、濃厚なディープキス。

超が付くほどのチェリーボーイのアサヤには、些か刺激が強すぎた。

そして、その時アサヤの中で何かが切れた。

「やんっ!」

「…あなたが誘ってきたからいけないんですよ」

リョーコは蠱惑的な笑みを浮かべ、答える。

「気にしなくていいわ。悪いのは私」

「愛する夫がいながら、娘とさほど変わらない男の子に迫ってしまった私なのよ」

それは、ある種の懺悔。

禁断の行為を為そうとしている、愚かな自分への罰。

だけど、一度火が付いたら止まらないのが乙女なのだ。

「…でも、ここまで来たからにはもう止まれないの」

「あなたは悪くない。だから、ね?」

まるで、子供をあやすような優しい抱擁。

もう、アサヤは拒むことができなかった。

――ごめんな、ヒナミ、兄貴、マシロ。

どうしようもない男だよ、俺は。

ここから、アサヤの記憶は途絶えた。
607 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/15(日) 00:43:27.88 ID:aSWHpVb+0
沈んだ日は、また昇る。

いつものように朝が来た。

だが、年季の入ったアパートの朝はいつものものではなかった。

「死にたい…」

上半身裸で体操座りをするアサヤ。

その隣には、ニコニコと微笑んでいるリョーコが。

そして周りには、10個を超えるほどの丸まったティッシュが。

死にたい、と言っていたアサヤだが、既に瀕死の状態だ。

――股間と心が痛い。

如何なる理由があろうとも、未亡人と寝た事実は変わらない。

どうしようもないクズ喰種として、周囲に認知されるであろう。

一番不憫なのはヒナミだ。

大好きな母親が、嫌っている男と肉体関係を持っているなど、地獄でしかない。

どう対応すればいいのかも分からないだろう。

――もういっそ殺せ。

そんな気持ちでいっぱいになる。

「…だけど、いつもはあんなに強気なアサヤくんがあそこまで甘えてくるなんて…」

「やめろぉぉぉぉぉ!」

無意識に押し込めていた醜態を思い出して絶叫する。

――今までアサヤは甘えてこなかった。

いや、甘えられる相手がいなかった。

兄はいつも忙しそうにしていて、両親は幼い頃に他界。

そんなアサヤが、未亡人の醸し出す母性に抗えるわけがなかった。

――とどのつまり、バブみには勝てなかったよ。

「うぉ〜いアサヤ〜。リョーコさんはいるのか〜?」

「オイオイオイ死んだわ俺」

死の宣告にも聞こえる同僚の声。

対抗策なんてあるはずがない。

グッバイクソッタレワールド。グッバイマイブラザーアンドシスター。

「あら、トーカちゃんじゃない」

いつの間にか、リョーコはドアを開けていた。

乱れたパジャマ姿で。

「…オイアサヤ」

「…ハイ」

「いっぺん死ね」

ああ、この世界は無情なり。
608 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/15(日) 00:48:32.70 ID:aSWHpVb+0
うーん…。何も思い付かねぇ!(ちほー)すみません、朝が早いのでこれで終了です。全然書けてない愚かな私に罰を…(プリン)

次回更新は来週の金曜でしょうか…。状況が変わったら報告に参ります。お疲れ様でした!(土下座)
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 01:10:22.74 ID:EDw0XWxgo
おつおつ
R送りにならないギリギリまで書いてくれるなんて……
取り敢えずアサヤ爆発
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 01:15:27.40 ID:/cql9O6/o
アアアアアアア!!! 乙
そういえばヒナミはアサヤのこと嫌いだったなw
えらいことになってきやがった…!
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 02:37:05.81 ID:g1XoQRe30
乙 
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 03:43:44.38 ID:AulMxIanO

アサヤだけが序盤に引っ越したのはこの日のためだった…?
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 03:47:55.88 ID:x1xKmyIbO
イツキに比べれば9割殺しで済むからセーフでしょ(エトとマシロを横目で見ながら)
614 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/24(火) 13:54:51.11 ID:oeVhVgRDO
>>609、無い頭で考えたから大変でした(ゲッソリ)

>>610、ちゃんヒナにとっての地獄が始まるゾイ…。カネキチとイツキくんへの依存がマッハ(好感度的に)

>>612、アサヤ超能力者説が浮上してきましたね…(してない)

>>613、イツキくんもほぼ恋愛関係は詰んでる感じが…。エトはまだしもマシロが一番ヤバいですよ。

今週の金曜更新と言ったな、アレは嘘だ。今日の夜に更新できそうなので更新します!

ところで、今回の更新はイツキくんかアサヤァ!のどちらがいいでしょうか?

意見がありましたら、お書きください。予定としては、アサヤを少し進めてからイツキくんにジャンプします。
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/24(火) 14:32:19.73 ID:1934Rcgmo
予定通りでおけー
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/24(火) 16:06:08.75 ID:bUtBr2W8o
やったー!
予定通りでよいと思いますぞ
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/24(火) 17:43:15.27 ID:w4FzuvIW0
予定通りでどうぞ
618 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/24(火) 20:31:43.17 ID:PSB4EsaD0
お待たせしました!今から再開します!また、アオギリ対CCGが発生する確率が低くなっております(きっかけになるヤモリ昇天のため)
619 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/24(火) 20:47:40.87 ID:PSB4EsaD0
言葉の割に、そこまで手痛い攻撃は食らわなかった。

せいぜい、腕が一回吹っ飛んだ程度だ。

「だいぶ手加減したな」

「そりゃ…。そんなやつれた顔見たら躊躇するでしょ…」

トーカの言葉が気になって、鏡を見る。

「…誰これ」

「ほら、自分ですら分からなくなってるくらいだから相当だよ」

やつれたというよりは、もはやミイラである。

「…うふ」

死に掛けのアサヤに対して、つやつや卵肌のリョーコ

「対比が凄くて、アサヤが死人にしか見えない」

「…俺も正直生きてる実感がない」

未だに、アサヤの体には力が入らない。

アレによる股間の痛みと、精神的なストレスによる腹痛、その他諸々でアサヤの体はボロボロだからだ。

――リョーコさんヤバい、ヤバすぎる。

戦ったわけでもないのに、ここまで疲弊させたリョーコは、ある意味最強の喰種であった。

「…そういえばさ」

不意に、トーカが口を開いた。

「ヒナミのこと、どーすんの?」

アサヤの胃痛が加速する。
620 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/24(火) 21:21:32.84 ID:PSB4EsaD0
「そこなんだよなぁ…」

コーヒーを淹れて、二人に振舞う。

今の三人の関係はドロドロすぎて、ヘドロすら腐ってしまう。

愛する母親は、苦手意識を持つ従業員と不倫関係になっている。

今は気付いていないだろうが、このまま関係が続けばやがて気付かれるだろう。

アサヤとしては、それは避けたい事象だ。

だが、これで関係を終わらせるのも、それはそれでクズでしかない。

『あんていく』でリョーコが言っていた『一人は嫌』という言葉に、嘘は入っていない。

彼女も心細かったのだ。

突然、心の支えだった夫を喪い、娘と二人きりになった。

そして、自らの命の危機を救ったアサヤは、リョーコにとって眩しすぎた。

眩しすぎたが故に、その光に縋ってしまった。

アサヤ自身、リョーコが自分という存在に縋っているのは、一夜の中で理解した。

その上で、リョーコとの関係を終わらせられるほど、アサヤは出来た人間ではない。

――だから、俺は。

「…過ぎたことは、どう悔やんだって変わりはしない」

「なら、俺は受け入れる。どんなにクズと罵られようが構わない」

「今の俺にできることは、リョーコさんを、ヒナミを、皆を守ることだ」

「…それさえできなかったら、俺はクズ以下の何かになっちまうからな」

アサヤの顔を見て、トーカは険しい顔つきになる。

「ヒナミから嫌われても?」

「ああ。どんなに俺が嫌われようが、それが守らない理由にはならないだろ」

力強く言い切るアサヤに、トーカはこれ以上問い詰める気は無かった。

「…じゃあ、守ってあげな」

「…一番辛いのは、きっとヒナミだから」

トーカは、空になったコーヒーカップを流しに置き、外に出る。

「…分かってる」

アサヤの犯した罪は、許されるようなものではないだろう。

それでも、背負っていくしかない。

責任から逃げることは、最低な男がすることだから。

既に人としては最低だとアサヤは思っているが、そこだけは譲れない。

譲ってしまったら、今までの全ても無駄になりそうで。

「あなた…。ヒナミ…。アサヤくん…。ごめん…なさい…」

自分のしたことを思い出し、愚かさに涙を流すリョーコ。

アサヤは、座り込むリョーコの傍に近寄り、抱きしめる。

「リョーコさん一人で背負う必要もないでしょう」

「これからは、俺にも背負わせてもらいますよ」

「ごめん…なさい…!」

リョーコの涙が枯れるまで、アサヤは抱きしめ続けた。
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/24(火) 21:36:20.26 ID:uVtwCfu+O
ヒナミに好かれれば万事解決!
622 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/24(火) 21:44:23.58 ID:PSB4EsaD0
『天使』失踪から四週間が経過した。

警備が薄くなったと思ったら、今度は『13区のジェイソン』が死亡した可能性が浮上し、近場のここの警備が再強化された。

行動し難くなったことに、若干の苛立ちを覚えながら、車を出す。

今日の目的は、イトリさんの所への顔出しと、エトの仕事のアシスタントだ。

最近顔を出していなかったので、久し振りに顔を出して情報を入手しよう、という目的だ。

その思惑すら見透かされていそうで、気になるのだが。

今回はマシロには留守番をしてもらっている。

本人も、あまり迷惑は掛けたくないようで、素直に了承してくれた。

相手が女性だと知ったら、特攻をかましてくる可能性が否定できないことに恐怖を覚える。

――もう少し、依存性が和らげばいいんだけどね。

そんな思いが片隅にあるが、マシロが望むことなら受け入れるまでだ。

――俺の存在理由など、それ以外にないのだから。

車を駐車場に停め、いつものようにノックをする。

そしてドアを開けると、ワイン――血酒――が既に開けられていた。

「いらっしゃい、イツキン」

「…今日はもう少し熟成したもので」

「オッケー。まっ、勿体ないからこれも飲んどいて。サービスよん」

言われるがままに、グラスに注がれていたそれを口にする。

「…美味しい」

「それは嬉しい言葉だねぇ」

ニヒヒ、と笑うイトリをよそに思考する。

さて、どんな情報を貰うべきか。
623 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/24(火) 21:48:18.27 ID:PSB4EsaD0
>>621、そうだよ(便乗)

直下コンマで、情報の量を判定しまっす。

1〜3:残念ながら…(目を伏せる)
4〜6:まあまあの情報
7〜9:あったよ!いい情報が!
0、ぞろ目:ヤバい(確信)情報が
00:???
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/24(火) 21:55:11.06 ID:uVtwCfu+O
ほい
625 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/24(火) 21:58:57.31 ID:PSB4EsaD0
コンマ判定:6 まあまあの情報が手に入りました。

あっそうだ(唐突)コンビニで売ってる、ブルガリアの飲むヨーグルト(ブルーベリー&三種のベリー)がめちゃんこ美味しいのでぜひご賞味あれ!

↓1、2に、情報をご記入ください。
626 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/24(火) 23:22:36.30 ID:CaNZr7Bg0
あー…。まあまあの情報といっても、どれくらいがまあまあに入るのか分からないから書きにくいですよね…。

こんな喰種や捜査官がいる!や、近々オークションがあるらしい!といった情報です。
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/24(火) 23:54:44.79 ID:a0Wsn36so
体のほとんどがクインケでできてるやべー捜査官がいるらしい
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/24(火) 23:58:39.72 ID:bUtBr2W8o
『if』の名を騙ってやりたい放題やってるな喰種が居る
629 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/25(水) 00:05:56.35 ID:uTB8+G/s0
>>627、『アラタ』の実戦投入早すぎやしませんかね…。

『if』を騙るクソ喰種の設定を軽くします。↓1に外見、↓2に性格、↓3に赫子の種類と特徴をお願いします。

このレスのコンマが奇数で女性、偶数で男性となります。戦闘力は直下コンマで判定します。
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/25(水) 00:18:28.46 ID:4POFKVMBo
陰気なメカクレ
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/25(水) 00:21:52.64 ID:8rn6XOJjo
腹黒
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/25(水) 00:41:27.02 ID:GdGNmShSo
甲赫
アゲハ蝶の羽をステンドグラスにしたような見た目で、甲赫にあるまじき脆さを持つ
内側には目に見えないほど細かな繊維が張り巡らされている
砕かれた破片は粉々に自壊しつつ、繊維に沿って絡まった対象を追尾し、
体内に潜り込んだ後体内の管と言う管に残留して死に至らしめる
当然ながら空は飛べない
633 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/25(水) 01:02:24.68 ID:uTB8+G/s0
とりあえず、現在注意するべき情報でも貰っておくべきか。

そう判断し、数万円程度をカウンターの上に置く。

「だから多いんだってばぁ」

そう言いながらもしっかりと枚数を確認し、収納するイトリ。

「今回の情報はこれくらいね。量が少ないのは謝るわ」

手渡されたのは二枚の書類。

片方は、噂を纏めた物なのか、いずれの情報も『らしい』という文末表現になっている。

「…体の殆どがクインケで構成されている捜査官…か」

頭の中で、対象がどういうものなのかを推測する。

最も可能性が高いのは、自分のような身に着ける赫子をそのままクインケ化することだ。

つまり、赫者をクインケにしている、ということになる。

――装着タイプの捜査官は喰種を相手にする、と思った方がよさそうだね。

全身にクインケを装着するのだから、防御力を目的としているわけではないだろう。

いや、防御力の強化も含まれているのだろうが、あくまでそれは副産物。

メインは、身体能力の増強のはずだ。

そうでなければ、貴重な赫者の赫子を、わざわざ装着タイプのクインケに加工したりしない。

「…直接見たと思われる人は全員駆逐されてるの。だから、確定した物言いになっていないのよ」

「でしょうね」

並の喰種では、喰種の動きをする捜査官に対応できるはずもない。

厄介な敵が増えた、と眉を顰めるイツキだった。
634 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/25(水) 01:19:22.22 ID:uTB8+G/s0
もう片方は、『if』を騙って人を殺めている喰種の情報だった。

まだ行動を始めていないが、始める前から評判を悪くするわけにはいかない。

速攻で処理をする必要がある。

赫子は甲赫で、本人自体の実力は低い。

簡単に殺すことはできるはずだ。

居場所は不明だが、昼に顔を出すことはありえないだろう。

あちらも、そしてこちらも、表立って行動するのには多大なリスクが付きまとうのだから。

――そろそろエトの手伝いに行こう。

ここでの用が無くなったので、グラスの残りを飲み干して、店を出る。

しかし、ドアノブに手を掛けたところで、店主の声に制止される。

「頑張っておくれよ。こっちも楽しみにしてるからさ」

「善処します」

短く返し、そのまま店を出た。

誰もいなくなった店内で、イトリは呟く。

「やっぱり、キミとの駆け引きは楽しいねぇ」

――下手な嘘だと一瞬でバレちゃうから、そう簡単には混ぜられない。

――だけど、キミの思考を掻い潜って騙せた時は至上の悦びが感じられる。

――まぁ、そんな瞬間は一生来ないだろうけどね。

クスリ、とイトリは笑い、イツキが口を付けたグラスにワインを注ぎ、それを一息に飲み干す。

――甘いねぇ。これが青春の味なのかねぇ。

その瞳は、楽しそうに嗤っていた。
635 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/25(水) 01:36:19.06 ID:uTB8+G/s0
車を走らせ、渋滞に差し掛かったと同時に電話を掛ける。

一回目の呼び出し音が鳴り終える前に、それは出た。

『ほいほいほい!何か用ですカナ?』

「…相変わらず早いですね」

記憶が正しければ、今までの電話のほぼ全てが一回目の呼び出し音で反応されている。

思考を戻し、話を切り出す。

「…今、そちらの方に向かっています」

『マ!?』

ガタタッ、と電話越しで聞こえるのだから、よっぽど大きな音だったに違いない。

そんなことを考えながら、冷静に返していく。

「はい。今渋滞に引っ掛かってるので、あと20分ほど時間が掛かります」

『オッケーオッケー』

「失礼します」

『ん。まったね〜』

通話が切れると同時に、横を警察車両が通っていく。

スピーカー機能の便利さを改めて感じながら、アクセルを踏む。

少しずつ解消されていくが、未だ続いている渋滞に、僅かながら不満を覚える。

――渋滞さえなければ、気軽に車を出せるんだけどね。

一度家に車を置くべきだった、と後悔しながらイツキはハンドルを切り、左折する。

渋滞を無理矢理脱し、別ルートでのアプローチを試みる。

同じ頃、マンションの近くだけで何故か起きている渋滞に頭を抱えるエトの姿があった。

「こんな時に飛び降り自殺なんて勘弁してクレメンス…」

野次馬が野次馬を呼び、大渋滞となったマンション周りは、マトモに進むのさえ困難だったと、後にイツキは語った。
636 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/25(水) 01:38:41.48 ID:uTB8+G/s0
あまり更新できていませんが、今回はこれで終了です。次回は今日(水曜日)の夜の予定です。

エトと何をするか(どんなイベントが起こるか)の安価を直下に出しておきます。皆さん、お疲れ様でした!
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/25(水) 01:53:07.48 ID:sH5Zv9kgo
おつ!
エトルート…そういうのも、あるのか?

安価下で
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/26(木) 23:36:16.91 ID:arRh4kZ7o
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/26(木) 23:39:58.09 ID:UVZxFAWLo
ラキスケ
おう
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/26(木) 23:40:24.83 ID:UVZxFAWLo
641 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/27(金) 17:43:51.40 ID:IMg1lSh3O
前回は更新できなくてすみませんでした!今日は夜9時頃から再開します!
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/27(金) 20:18:22.06 ID:J8MQCT5jo
了解
643 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/27(金) 22:34:26.83 ID:50XUogJb0
あかん遅れてもうた…。今から再開です!
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/27(金) 23:03:37.20 ID:huwghpBHo
イエッサー!
645 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/27(金) 23:29:44.48 ID:MCRdgIqz0
「…飛び降り自殺か。お悔やみ申し上げます」

遺体を中心としたドーナツ状に広がる野次馬。

そして、道路まで広がった野次馬のせいで、渋滞が発生している。

イツキはそんな惨状を尻目に、別ルートから駐車場に停車、マンション内を目指す。

その間に野次馬の数は更に膨れ上がり、マンションへ入るのが困難になった。

「…マンションの構造は…。見取り図でも見ておくべきだったかな」

外から見て得た情報で、移動ルートを構築していく。

しかし、跳躍などを使わずに辿り着くのは不可能だった。

「…しょうがない。無理矢理押し通るしかないね」

前傾姿勢になり、人波の隙間を無理矢理進んでいく。

が、どうにも人が少なくならない。

周りを見ると、スマートフォンを片手に持った女性たちが。

イケメンに惹かれたのか、その白髪が気になったのか、はたまたその両方か。

考えるのも面倒なので、イツキは歩くスピードを速め、マンション内に突っ込む。

「…通路を塞がないでよ。迷惑じゃないか」

悪態をつき、エレベーターのボタンを押す。

降りてきたエレベーターの扉が開く。

中には、エトがスルメを食べながら立っていた。

「…何食べてるんですか」

「スルメ。まっずいけどね」

「…当たり前です。俺たちの体が受け付けないんですから」

喰種が満足に食せるのは、コーヒー(淹れた方がいい)、人肉(というより人体なら大丈夫)の二つだけだ。

それ以外は、体そのものが拒絶してしまい、万一体内に残留している場合は、激しい吐き気に襲われ、著しく身体能力が低下する。

また、途轍もなく不味く感じてしまうため、喰種であることを隠すためにも、普通に食べるスキルは人間社会で生きるなら必須だ。

同種である喰種も捕食自体は可能だが、他の食べ物と同じく不味く感じる。

だが、身体能力の向上が見込まれ、赫子の強化や赫者化することもある。

「だけど、人間のように振舞うのもネタになっていいぞよ」

「…変なお方だ」

「よく言われるさ。それよりも、ほれ」

投げ渡されたのは、一つの鍵。

「合鍵だよ。好きな時に来てどうぞ」

「…軽率すぎでしょう。そう軽々しく渡していい物じゃありません」

イツキの言葉を聞いたエトは、腹を抱えて笑う。

「あっははは!かったいねぇイツキくんは」

「私が君を信頼してるだけだ。だから渡した。それでいいじゃないか」

「まったく…」

手招きをするエトを追い、エレベーターの中に入る。
646 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/28(土) 00:06:23.49 ID:n+eIZhDC0
扉を開いてまず目に入ったものは、夥しい数のゴミ。

「これはひどい」

無意識のうちに口から出た言葉は、分かりやすくその地獄のような光景を表していた。

「…まずは掃除ですね。これじゃ捗るものも捗りませんよ」

「いや、そうでもないけどね」

欠伸をするエトを尻目に、イツキはゴミを整理していく。

ゴミの中から飛び出ている、一本の黒い紐が気になった。

「なんだろコレ…」

「ん?ちょ待っ」

何かに気付いたのか、走って制止してくるエトだがそれも遅く、その何かが引きずり出される。

「………」

何かはブラジャーだった。

ブラジャーを見たイツキは真顔でエトを見る。

「マニアワナカッタ…ホアッ!?」

止められなかったエトは、間に合わなかったことを悲しそうに口にし、足元のレジ袋で滑る。

「大丈b…あっ」

こけるエトを助けに行こうとするイツキだが、近づいた瞬間に悟る。

――これは、フラグだ。

その悟りは正しく、カーリングよろしく滑って来たレジ袋に足を滑らせ、イツキもこける。

仰向けにこけるイツキの上に、うつ伏せでこけるエト。

そこから導き出される結論は一つ。

「………」

「ナイスクッションだよイツ…キ…くん…」

そう、ラッキースケベ、通称ラキスケだ。

かの大英雄であるリト兄貴や、主人公の座を奪われたシンちゃんなど、様々な主人公が習得している基礎技術である。

今の状況は仰向けに倒れているイツキの上、もっと言うなら、イツキの顔面にエトの胸が押し付けられている。

「…下着付けてないですよね」

「アッハイ」

イツキが先ほど手にしたブラジャーは、エトが邪魔で脱ぎ捨てたものだ。

つまり、両者を隔てるものはシャツ一枚。

「…いくら自宅とはいえ、下着はちゃんと着けましょうね」

だが、合理化モンスターのイツキの心は動じない。

「…はい」

全く動じないイツキを見て、女のプライドが傷ついたエトだった。
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 00:11:13.03 ID:JO1f7xSmo
汚部屋見られた時点でプライドは……いや、よそう。俺の勝手な(ry
648 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/28(土) 00:49:22.25 ID:n+eIZhDC0
プライドが傷ついてヤムチャしてるエトをよそに、掃除を済ませるイツキ。

大量に積まれた原稿(試作品)にチェックを入れていく。

「これは…喰種のことが露骨すぎてNG。こっちは…ただのゲームの感想だ。何やってるんだ…」

チェックを入れていくが、その全てがどこかがおかしい。

どこかというか、根本的に。

「…大丈夫なんですか、これ。このままじゃ締め切りに…」

心配するイツキを見て、エトは口を開く。

「既に新作は渡したよ。締め切りは当分ないからダイジョブ…」

それならよかった、とイツキは安堵する。

「あ、そーいやさ」

「はい?」

「どういう活動をしてるの?『if』」

イツキはその言葉を聞いて、数秒間思考に耽り、答える。

「…今は休止中です。安全なアジトを揃えるまでは、組織全体で動くわけにはいかないですから」

「とりあえず、今は俺単独で色々しています。今後の活動に備えた資金準備とか、懸念材料の処理とか、です」

帰る場所が約束されていない以上、組織を動かすのは多大なリスクが生じてしまう。

故に、リスクが小さいイツキ単独での活動に頼るしかないのだ。

「大変だねぇ…」

いつの間にか手にしていた缶コーヒーを飲みながら呟く。

「それでも、やると言った以上はします」

「そっか。命は落とさないようにね」

「…こんな命、目的達成のためなら喜んで捨てますよ」

――それが一番効率がいいし、確実だから。

そんな思いを胸に秘めながらイツキは言う。

エトは、イツキの胸中に気付かない。

イツキの本質を知っている人は、イツキ以外にはいないのだから。
649 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/28(土) 01:35:30.71 ID:n+eIZhDC0
野次馬は興味を失い、マンション付近は普段の静寂を取り戻した。

それを見たイツキは、外出の準備をする。

「およ、もう帰るのかい?」

「ちょっとした仕事がありますから」

エトの後ろのテレビには、全身から紫色の光を放つΖガンダムが。

ほとぼりが冷めるまで、エトと対戦をしていたのだが結果は完勝。

格闘しか振らないグフカスタムでは、勝てるはずもなかった。

もっとヒートロッドは上手く扱いましょう。

「…せっかく優秀なメインがあるのに勿体ないですよ」

「うぐ」

「失礼しました」

「ん。今日は楽しかったよ。バーイ」

扉を閉め、外を見る。

既に夜の帳が降りているので、視界が悪い。

好機と見たイツキは、すぐさま車目掛けて飛翔する。

あまりに速いそれを、常人が認識することなど不可能。

ものの数秒で、駐車場へと辿り着いた。

エンジンを掛け、車を出す。

目的地は特にないが、目的はある。

『if』を騙る不届き者をこの手で始末するのだ。

『長槍』の標的になったそれは、果たしてこの先生き残れるか。
650 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/28(土) 01:39:14.25 ID:n+eIZhDC0
直下に移動する区をお願いします。コンマが5以上で発見、奇襲をオートで行います。
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 01:53:50.60 ID:08MUhJtso
10
652 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/28(土) 03:22:49.10 ID:SVGRRO1m0
10区に入って、駐車場に車を停める。

11、12、13、14区を軽く回ってみたが、怪しい人はいなかった。

「…まぁ、そう簡単には…」

気配を感じた。

視線の先、路地裏に続く通りに、ぼさぼさな髪をして猫背な女性と、ホームレスか、みすぼらしい服装の男性が入っていく。

手元の書類を見直すと、女性の方は件のものに酷似している。

「…尾行(つ)けるか」

相手の姿が見えなくなったことを確認して、イツキは近くの建物の天井に飛び乗る。

後を追い、路地裏の行き止まりに到着すると、男性は周りを見渡す。

「あれ、俺と同じような人がいるって…」

その言葉を聞いた瞬間、女性の顔が歪む。

「ごめんなさぁい。全部嘘なの」

「あなたはここで死んで、私の餌になるのよ」

「共存を目指す『if』?馬鹿馬鹿しいわ。どうせ人間なんか食料でしかないのに」

イツキは冷静に話を聞く。

これで条件は整った。

そう思ったイツキは、一本の尾赫を出す。

「『ピエロ』にいきなり声を掛けられた時は死ぬかと思ったけど、いい奴じゃなっ」

そして、一瞬で女性の頭を切り裂いた。

「へ?」

男性は、何が起こったのか理解できずに呆然としている。

仕事を終えたイツキは、すぐ車に戻り、10区を離れる。

「…別に、怒ったわけじゃないさ」

「邪魔したから消したまで、だよ」

車の中でそう吐き捨て、家へと戻る。

まだ、表立った活動をしていない『if』の名前を知っていたことに対する疑問が、イツキの中に残っていた。
653 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/28(土) 03:28:18.46 ID:SVGRRO1m0
本日の更新はこれで終了です。頭がボーっとする…。次回更新はたぶん月曜日になるかと思います。お疲れ様でした!
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 03:55:26.50 ID:JO1f7xSmo
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 06:50:39.38 ID:d7ITQVdpO
乙乙
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 12:55:33.95 ID:08MUhJtso
乙乙乙
657 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/30(月) 23:11:45.34 ID:L24C77BR0
だいぶ遅くなってしまった…。今から再開します!
658 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/30(月) 23:13:35.22 ID:L24C77BR0
そろそろ原作ではアオギリ戦が起きる頃なので、直下コンマがゾロ目or0で、(このスレ内での)次週で戦闘が発生します。
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/30(月) 23:14:38.08 ID:/eSlaqvqo
ほい
660 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/30(月) 23:19:58.62 ID:L24C77BR0
コンマ判定:8 今週は起きないようですね。アオギリ戦が発生するか否かの判定はあと二回行う予定です。少々お待ちください…。
661 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/30(月) 23:59:35.16 ID:L24C77BR0
テレビでは、10区で女喰種が殺害されたというニュースが流れている。

「…昨日の今日でニュースになるのか。変なところで優秀だね」

「お兄さんがやったんですよね」

「…まぁ、色々あってね」

何をしているかを隠さないといけないイツキは、ありきたりな返答で流そうとする。

マシロも、そんな兄の思いを汲み取って追及しない。

イツキは、今の組織の現状をもう一度確認する。

現在拠点にしている廃工場は、月一程度だが捜査官が近寄り、未だにマークが続いている。

安全地帯…アジトにする予定の場所は17区にあり、移動するのなら何らかの騒動に乗じた方がいい。

喰種の悩みを聞いてくれるカウンセラーの情報を所持しており、必要に応じて利用することができる。

草野財閥の令嬢のエリカ、ジン、付き人のヨウハを波羅勝橋のたもとのプレハブ小屋で匿っている。

財産はそちらに預けており、必要ならば裏社会での取引材料として活用できる。

コーヒーカップを手に持ち、窓から外を眺める。

捜査官の姿が無い、いい朝だ。

「まだ組織としての活動をするべきではない…。分かってるけど…」

イツキは、大きなため息を吐く。

「アオギリとかがいる都合上、存在を知らしめたいんだよね…」

最低でも、我々が普通の喰種と違うと認識させなければ、共存など夢のまた夢だ。

CCG側との交渉は、あくまで優位に立ってから。

まずは、組織として認識されて、基盤を固めていかなければ、どうにもならないことを理解している。

理解しているからこそ、ため息が止まらない。

「…手詰まりなのが一番腹が立つよ」

悩みの種が残っているのが何よりも腹立たしいイツキだった。
662 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/31(火) 00:00:31.68 ID:kdnJ2e3Q0
直下に朝の行動をお願いします。(制限は特に)ないです。
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 00:01:10.46 ID:FVltBVhho
ましろこみゅ
664 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/31(火) 00:34:33.83 ID:kdnJ2e3Q0
ふと、電子音が鳴り始めたので後ろを向く。

そこには、某暗殺海賊ゲームをしているマシロが。

「むむむ…。戦列艦に何回も追われるのは苛立ちますね…」

開始早々、敵に追われるマシロだが、あっさりと無力化し、直接プレイヤーだけ乗り込ませて暴れ回っていた。

見張り台の狙撃兵を後ろからShooooo!して、上から銃が届く範囲を狙撃していく。

甲板に落ちた狙撃兵は、手足が変な方向を向いて痙攣していた。

それから殲滅した後、ゲームのディスクを入れ替える。

次はFPSゲームだった。

「このステージはSR…。いや、逆にSGやアキンボで荒らすのもアリですね…」

装備はstrikerとFMG9。

特に、strikerは拡張マガジンとサイレンサーを装着しており、PERKはブラインドアイとアサシン、シットレップ。

パッケージはスカベンジャーとスライハンド、ステディエイムだ。

分からん殺しする気満々で恐ろしい。

ガチ勢であることを知っているイツキはそう思い、マシロの横に座る。

「好きだよね。サイレンサー装備で奇襲したりするの」

「慌てふためく姿が面白いですから」

その後、マシロはノーデス30キルを成し遂げるが、VCからブーイングされて、渋々退室した。

「冗談じゃないですよぅ。あっちは談合試合してたのに…」

ブーイングしていた人たちとの戦闘をリプレイで見るが、VCをしていた人は決まって一つの場所に集まっていた。

そこに、アサシン装備で認識されづらいマシロが侵入、敵側を全滅させてマシロは別のエリアに移動。

そんな行動が繰り返されていた。

「…あちらも稼ぎたかったんだろうね。もっとも、通報されたら即アウトの無謀な行為なわけだけど」

悪くないはずの自分が退席する羽目になったからか、マシロは頬を膨らませている。

「あーもうむしゃくしゃします!異世界攻略してやりますからねー!」

そう言って、今度はPS2を起動させる。

「…交代交代でやるかい?」

イツキが問うと、マシロは満面の笑みで答える。

「はい!3回ずつやって、一番深くまで進めた方の言うことを聞く、というルールでしましょう!

笑顔のマシロを見て、イツキも微笑む。

――いつものように過ごせるっていいなぁ。
665 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/31(火) 00:39:02.18 ID:kdnJ2e3Q0
↓1コンマがイツキの到達階層、↓2コンマがマシロの到達階層です。勝った方から、負けた方に向けて安価を出します。

準廃人の知慧:↓2コンマ+↓1コンマの下一桁
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 00:41:51.26 ID:ZQnQjMJwo
ほい
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 00:44:11.21 ID:FVltBVhho
にゃ
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 00:46:45.92 ID:uyCenbTwO
669 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/31(火) 00:50:10.45 ID:kdnJ2e3Q0
結果:イツキ 26階で力尽きた マシロ 27階で力尽きた

準廃人のマシロと天才(天災)のイツキですら1/4程度しか進めないとは…。異世界怖い。
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 00:56:47.94 ID:ZQnQjMJwo
異世界ってすげー
671 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/31(火) 01:16:27.53 ID:kdnJ2e3Q0
それぞれが攻略を始めるが、なんと、最初の二回は一階で倒れてしまった。

「…冗談じゃないよ。三匹もスライムが近くにいたら死ぬじゃないか」

「開幕が地獄すぎましたね…」

ラストチャンスに望みを懸け、イツキは慎重に進めていく。

「10階…。モンハウ発見、トンネル…よし!世界樹も取れた!」

「あっこれヤバい」

焦るマシロを無視して、レベル上げと食料入手をしながら、進んでいく。

「…最初の大部屋は金縛りで越えられる。大丈夫だ…」

50分掛け、26階へと到達した。

マップでは、遠くにモンスターが一匹だけが確認できる。

「…待って。足元にアイテムとか嫌な予感しかしないんだけど」

恐る恐る一歩進むと、画面外から壷が投げられてきた。

「「あっ」」

世界樹?なにそれおいしいの?

何があろうと強制死亡、最凶最悪の攻撃『閉じ込め投げ』である。

「…流石にこれは」

「最悪すぎますね…」

イツキは、これを攻略した人が心の底から恐ろしく感じた。

「私が同じ目に遭うことは無いはずです…」

余計なフラグを建てたマシロだが、思いの外スイスイ進んでいく。

イツキが昇天した26階も、神階段ですぐ次に進んだ。

「負けたかぁ…」

「このまま先に…!」

しかし、現実は非情である。

「開幕モンハウゥゥゥゥ!?」

残念ながら、対応できるアイテムは、既に使い切っている。

一か八か、足元のルーラ草を使うが、まさかの祝福。

あっちに行って、こっちに行って。

結局モンハウに戻ってきて、嬲り殺しにされて終了した。

「…ま、まあ、一応私の勝ちですし…」

「…異世界って、理不尽すぎるよね」

「はい…」

落ち込むマシロの肩を叩き、慰める。

多少は効果があったのか、マシロは顔を上げる。

「命令をどうぞ。お嬢様」
672 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/10/31(火) 01:21:49.67 ID:kdnJ2e3Q0
直下に、マシロからのお願いをお書きください。朝が早いので、申し訳ないですがこれで終了にさせていただきます。

全然更新できてなくてすみません…。次回は金曜日にできると思います。…夜勤ドゥーエさえなければ。皆さん、お疲れ様でした!
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 01:23:55.15 ID:uyCenbTwO
ずっと一緒にいてください
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 01:38:33.10 ID:ZQnQjMJwo
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 09:24:17.25 ID:x0KAUwwoo
おっつー
676 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/11/03(金) 23:45:27.86 ID:qyGYuDa70
すみません…。風邪をひいてしまいました…。少し療養するので月曜日に更新を変更でお願いします…。すみません…。
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 02:58:48.68 ID:TFXScm1po
報告サンクス
からだだいじに
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 21:07:34.48 ID:K8no452Bo
乙 体に気をつけて
679 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/11/06(月) 23:32:48.99 ID:GIVD0o+m0
何日か休んで、熱と怠さは改善しました。相変わらずクシャミが止まりませんが…。まぁクシャミはいつもしてるので大丈夫でしょう。

お待たせしました。今から再開しますが、直下コンマでマシロのお願いの度合いを設定します。

1に近いほど束縛(強)…どんな時でもいてほしい、という思いに、9に近いほど、一緒に生きていけるならそれでいい、という思いになります。

ヤンデレ:-1 マリのトラウマ:+2
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/06(月) 23:57:42.31 ID:x9FHZUOoo
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/06(月) 23:58:37.29 ID:O3bk62Z4o
……駄目みたいですね
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/06(月) 23:59:18.56 ID:c7c87bhwo
683 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/11/07(火) 00:31:45.24 ID:T/g0i8xw0
「何でもいいんですよね?」

マシロの問いに、イツキは当然のように答える。

「…俺に出来ることなら、ね」

その言葉を聞いたマシロの目が、濁ったように見えた。

「じゃあ、ずっと一緒にいてください」

それだけ?とイツキは疑問に思うが、マシロの顔つきが妙だ。

違和感を感じたイツキは、軽く鎌をかける。

「…今と変わらないと思うな」

「いえ、違います」

即答だったマシロの声は、今までで一番冷えたものだった。

「起きた時もご飯を食べる時も大学に行く時もお仕事の時もお風呂の時も全部、どんな時でも一緒です」

「…俺の生活が壊れやしないかな」

イツキの指摘はもっともだが、今のマシロには通用しない。

「嫌なんですよォッ!」

叫びにも似た怒号が、部屋に響き渡る。

「もう嫌なんですよ…!一人でいるのが…。あの時のことを思い出して…!」

「もしかして嘘だったんですか…?言うことを聞いてくれるっていうのは…」

「…嘘じゃないよ。ただ、俺にも色々とやることがあってね」

「嘘じゃないならできますよね?」

マシロの顔が目の前まで近づく。

その目は、イツキを映しているようで何も映してない。

深い深淵のような闇を湛えている。

――まずいな。このままだと暴走しかねない。

イツキは内心焦るが、そんなことは露知らず。

マシロはただ、真っ直ぐこちらを見つめている。

――多少の気分転換に、と思ってやったことが裏目に出たか。予測できなかった自分が恨めしいよ。

心の中でそう吐き捨て、打開策を考える。
684 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/11/07(火) 00:33:09.93 ID:T/g0i8xw0
直下に受け入れるかどうかorどうするかをお願いします。なお、最低値が先ほど出てしまったので、マシロは一時的に不安定になっております。
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/07(火) 00:43:51.58 ID:5USBj08xo
ある程度条件を付けて受け入れる、大学とかは流石にね
686 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/11/07(火) 01:14:19.84 ID:T/g0i8xw0
考えた結果、根本的に解決する方法は無い、という結論に達した。

――下手に拒絶したらどうなるか分からない。条件付けをした上で警告しておかないとね。

今まで散々甘やかした結果がこれだとしたら、少しは矯正しなければならない。

「…マシロ」

「ッ!?」

マシロはイツキの声色からどこか怒っていると判断し、距離を置く。

「…君のそれは、俺たち喰種にとっても致命的なものになる。だから全部を受け入れることはできない」

「えっ…」

この世の終わりのようなをするマシロを諫め、話を続ける。

「全部は無理なだけだよ。そもそも、マシロの言う通りにしたら俺はすぐCCGに手配されるよ」

「ずっと妹と一緒にいる兄とか怪しさ満点だからね」

「う…」

マシロの言葉にそのまま従うと、発見されるリスクが桁違いに上がる。

正直、イツキの頭脳があろうと誤魔化すことはできないだろう。

「…それに、モラルの問題もあるでしょ。マシロはもう15だよ?色々とアウトになるよ」

シスコンを越えて犯罪者になってしまう。

それだけは避けなければいけない。

というより、中学で学んでいたのだから、どれほど不味いことなのかは予想が付くはずなのだが。

「…今まで敢えて触れなかったけど、この際はっきり言わせてもらうよ」

「マシロ。君は他人のことを気にしないで、自分の考えばかりを優先する節があるね」

「…厳しい言い方になるけれど、それだとただの猿と変わらない。いや、猿以下だ」

「………」

悲し気に下を向くマシロ。

そこに、イツキは更なる追い打ちを掛ける。

「…本当に大切に想っているのなら、その人の意志も尊重するべきだ」

「押し付けてばかりでは、やがて全てを喪うよ。そして、その後に後悔するんだ」

「『こんなことになるのなら、しなければ良かった』ってね」

「うぅ…。ひぐっ…」

思い当たる節があるのか、涙を流すマシロ。

――やりすぎたかな。まったく…。加減ができない男だな。俺は。

マシロの頭に手を置き、優しく呟く。

「俺は怒ってないよ。ただ、今言った言葉は記憶に留めてほしいんだ」

マシロは鼻をすすりながら肯く。

――これで、少しは矯正できたかな。

ふと外を見てみると、太陽が空高く昇っていた。
687 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/11/07(火) 01:17:34.34 ID:T/g0i8xw0
直下に、昼の行動をお願いします。他の時間帯までキンクリするのも大丈夫です。

殆ど更新できていませんが、また早朝から出勤なので誠に勝手ながら、ここで終了させていただきます。すみません…。

次回更新は木曜日予定です。お疲れ様でした!
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/07(火) 01:23:52.63 ID:5USBj08xo
乙 安価下
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/09(木) 20:37:55.91 ID:EKMWhRW/0
気分転換にマシロと一緒にあんていくへ行く
アサヤも心配しただろうし
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/17(日) 22:30:37.77 ID:wsMKtDAa0
保守
691 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/22(金) 16:56:10.22 ID:s6STkSkyO
すみません!仕事が忙しいのと、休日にやる気が何も起きなくて再開できませんでした。本当に申し訳ありません…。

今日の夜なら、問題なく再開できます。お待たせしてすみませんでした…。
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 17:01:09.15 ID:bZdSLaEvo
うい
693 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/23(土) 02:46:14.90 ID:7dBHFk5OO
申し訳ありません…。祖母が高血圧で倒れて、対応していたらこんな時間になってしまいました…。

今日の昼に今度こそ再開です…。何度もごめんなさい…。本当にごめんなさい…。
694 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/23(土) 15:44:09.93 ID:0T0/QSsA0
先月は何も言わずに空けて申し訳ありませんでした…。これで何度目なんだろう…。今から再開します。
695 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/23(土) 15:44:52.13 ID:0T0/QSsA0
話をした後、マシロは無表情で天井を眺めて、イツキは卒業試験の対策書を作っている。

無言の空間が、アマナツ家を支配する。

その雰囲気がいたたまれなくなったイツキは、車の鍵を手に取る。

「…マシロ、『あんていく』に行こうか。気分転換も兼ねて、ね」

「はい…」

とてとて、とイツキの傍に寄り、裾を握る。

まるで子供みたいだな、とイツキは思い、頭を撫でる。

「ん…。ふふ…」

顔をほころばせながら、マシロは更に身を寄せる。

戸締りを済ませた二人は、『あんていく』に向けて車を走らせる。

そんな中、イツキのスマートフォンに着信が入った。

「…ヨーコちゃんから?ごめんマシロ、今手が離せないから耳の所に置いてくれない?」

「分かりました」

「ありがと。…もしもし」

「おはよーセンセ。今だとこんにちは?」

生徒の明るい声が耳に響く。

「どっちでもいいと思うよ。それで、何か用なの?」

「前のテスト、いい点取ったら遊ぶって約束だったっしょ?保留されてたけど、そろそろいっかなって」

「…あ」

イツキが忘れていたわけがない。

ただ、色々とあったから後回しにしていただけである。

…ホントデスヨ?

「…前にも言ったけど、生徒と教師って関係上、遊ぶのは不味いんだ」

「たかが塾とはいえ、こっちは君たちの身を預かってるんだ。そういうのは駄目」

「約束した時はいいって言ってたじゃん!」

「…そこは俺のミスだよ。ごめん」

――知り合いに頼まれたらイエスマンになるからなぁ。どうにかした方が良さそうだ。

謝罪する傍らで、そんなことを考えるイツキ。

対するヨーコは、イツキの言葉を聞いて慌てふためいていた。

「いや、その、あたしも少し考えたら分かることなのに、我が儘言って…ごめんなさい」

「…埋め合わせは今度するよ。またね、ヨーコちゃん」

「あ…はい。また塾で会おうね、センセ」

通話が切れたのを確認して、マシロはスマートフォンを耳から離した。

どういう埋め合わせをするのか。

それを考える必要が出て、内心頭を抱えるイツキであった。
696 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/23(土) 15:45:38.63 ID:0T0/QSsA0
チリンチリン。

扉を開けると鳴る鈴の音。

これが聞こえるということは、誰かが入って来たか出ていったということだ。

「いらっしゃいませ」

聞きなれた弟の、聞きなれない言葉。

「エスプレッソを一つと、ブラックを一つ」

「かしこまりました」

オーダーをしてから、手ごろな席に座る。

見たところ、客は自分たちだけのようだ。

「兄貴、ちょっといいか?」

「うん」

弟の呼ぶ声に答え、二階の部屋に移動する。

どうやら、誰にも聞かれたくないことのようだ。

「…ここならよし、と」

「どうしたんだい?」

「あー…。女性と上手く付き合える方法って知らないか?」

――ああ、ついにアサヤが遠い所へと旅立ってしまった。

「…真面目な話だっつーの」

流石アサヤさんです、と頭を垂れるイツキに、不機嫌そうに答えるアサヤ。

「…俺は知らないよ。経験無いし」

「…でも、一つだけ言えることがあるよ」

「マジか!?」

ずいっ、と身を乗り出すアサヤに、冷静に言葉を返すイツキ。

「うん。動画や漫画を参考にしないこと。あんなのただのフィクションだから。あてにならないよ」

「…ウス!」

頭を下げて、アサヤは下に降りていく。

――何だったんだ、いったい。

少し、アサヤのことが分からなくなった。
697 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/23(土) 15:46:20.36 ID:0T0/QSsA0
直下に、夕方の行動をお願いします。
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 16:11:24.63 ID:v7VJmnLOO
>>1さんに負担を掛けるようで申し訳ないですが、時間が経つと何したら良いのか分からなくなるからできる行動とか期限とかまとめていただけると有難い
イベントは消化しないと溜まりまくって大変な事になるし
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 16:11:52.32 ID:v7VJmnLOO
安価下で
700 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/23(土) 16:55:25.97 ID:7dBHFk5OO
>>698、あー…。たしかにそうですね…。今所用で家を出てますので、戻り次第一覧を投下したいと思います。夜10時くらいにはできるはず…。
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 17:03:28.09 ID:6/Aai4CPo
まつよ
702 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/24(日) 01:47:44.51 ID:xAmbmfnz0
駄目だ…。また遅くなってしまった…。予定一覧です。安価は直下で継続中です。


実施日未定

『if』親睦会 理由:マシロ対策のために保留にしたため。話を行えば進行していく。

アジト大移動 理由:目立つ行動のため。行動自体はいつでも可能だが、何らかの戦闘に乗じれば確率が上がる。

コネクション形成 理由:まだ無名な組織のため。エリカを利用すれば可能ではある。

ヨーコとのデート 理由:倫理的にアウトのため。別の行動(勉強会等)に変えることは出来る。
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 04:30:39.10 ID:PQZx5zZio
アジト移動すっぞ!

おつ
704 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/24(日) 16:53:54.24 ID:fgWQZDTeO
アジト大移動ですか…。了解です。手段等の安価に入ります。再開は今日の夜です。いつにも増してグダグダですみません…。

↓1

1:√24区(地下経由で直接移動) 有馬(モグラ叩き部隊や0番隊)、強力な喰種と戦闘になる可能性あり。時間は掛からない。
2:√地上 何らかの手段を用いて、複数の区を跨いで移動する。比較的安全ではあるが、時間が掛かる。

↓2

1を選んだ場合

1:部隊を複数に分散し、少しずつ移動させる。敵にはバレにくいが時間が更に掛かる。
2:全員を纏めて一気に送り込む。バレやすいが時間は掛からない。
3:その他 自由安価。

2を選んだ場合

1:徒歩 時間は掛かるが、臨機応変に対応できる。
2:車 スピーディに動けるが、戦闘になった時に色々と困る。
3:その他 自由安価。
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 17:20:47.02 ID:/02lX9ejo
2
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 17:26:30.63 ID:3IGcKtuI0
1
707 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/24(日) 23:22:07.57 ID:TrDx+DEI0
お待たせしました。今から再開ですが、もう一つ安価です。

直下

1:イツキが囮となって、CCG及び喰種の気を引く。
2:一つに纏まって、一気に目的地を目指す。
3:自由安価。
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 23:30:37.37 ID:hkswJ3PZo
1
709 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/25(月) 00:36:53.73 ID:Co3rP5FU0
『あんていく』を後にして、帰宅した頃には、マシロもいつものようになっていた。

急ではあるが、アジトの移動を夜に行うことにした。

何かの戦闘に乗じて行った方がいいからと保留していたが、いつまで経っても実行できない可能性がある。

それに、気を引く程度なら、イツキ一人で充分である。

帰宅してすぐ、幹部たちにその旨を伝えたところ、快くとはいえないが、了承の意を示してきた。

「陽動は俺一人でいい。場所は…CCGの支部で軽く暴れて、適当に移動して引き離すかな」

既に眠ったマシロの頭を撫でながら呟く。

団体を纏めるのに、ヨスケ以上の適任者はいない。

日頃から冒険し、色々な経験をしているヨスケになら任せられる。

そんな判断をした。

「…そろそろ時間か。目立ちましょうかね」

部屋の電気を消し窓から、夜の街に飛翔した。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「…時間だ。こちらも移動を開始する」

「了解です」

ぞろぞろ、と先導するヨスケとマドカ。

後を追う『if』メンバーの顔には、不安の色が見え隠れしている。

裏路地から顔を出し、辺りの様子を窺う。

「視たところ、出ても問題なさそうだ。マドカ、そっちはどうだ?」

「…こちらも確認しました。数百m内に『白鳩』、喰種の存在はありません」

「そうか。まったく、イツキ一人でできることを俺たちは、複数でしかこなせないとは…」

「…誠、凄い方ですね」

火の手が上がるCCG14区支部を見やりながら、愚痴を零す。

「…囮。ただそれだけのために支部を襲うなど…。あいつくらいなものだ」

「ツッキー…。Удачи(頑張って)」

「あの人なら、スパパパパーンと終わらせてくるよ」

「そうねぇ。ワタシたちにできることは、あの子の頑張りが実を結ぶように全力を尽くすことよ」

人気のない路地裏を疾駆する。

リーダーが死なないように、各々が祈りを捧げながら。
710 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/25(月) 01:20:05.47 ID:Co3rP5FU0
本隊が移動を開始する数分前、イツキは近くのビルの頂上に座っていた。

「…うん。合流は終わったみたいだ」

双眼鏡で確認し、目を閉じる。

――殺さずに大暴れ。矛盾してるようでそうでもないことだけど、大変だなぁ。

尾赫を展開、指でなぞりながらイツキは思う――。

イツキの赫子、とりわけ尾赫は、殺すことに特化した赫子だ。

本来は、最弱と言っても差支えがなかったほどに貧弱な赫子だった。

しかし今では、彼という喰種の象徴、命を刈り取る死神の鎌へと変貌した。

過去を知っている者は皆こう言った。

『真に恐ろしいのは、あいつ自身だ。あらゆる手段を講じても、全てを見抜き、無駄にする』

『赫子なんて、彼の強さの要素の一つに過ぎない。あの知性があるからこそ、最強なのさ』

紅く染まった瞳に映るは、特異なカタチをした建物。

軽やかに飛び降りた青年の身体を、赫子が包む。

「…さあ、『長槍』が姿を現しますよ。今まで手掛かりが無かったんだから、嬉しいでしょう?」

最強の喰種、天災を凌ぐ白き絶望が今、14区の守護者の下に舞い降りた。

――どうしますか?俺を殺しに掛かるか、尻尾を巻いて逃げ出すか。どうぞ、お好きな方を。

呆気に取られた人々の顔が、恐怖に染まる。

「ふざけんなよ…。ふざけんなよ…!なんで…こんな時に…」

「なるべく沢山の特等を呼べ!アオギリの行方を追う暇なんかねぇぞ!」

「クソッタレ…。お前に何人殺されたと思ってるんだ!?おめおめ顔なんか出しやがって!嘗めてるのかよ…」

彼らの怒号を聞いてイツキは苦笑する。

――その顔は誰にも見えないが。

「…あなたたちだって、沢山殺めているでしょうに」

「…化け物風情がぁぁぁぁぁ!」

クインケを手に、捜査官が迫る。

――その化け物と戯れるんですよ。あなたたちは。

怒りを乗せた凶刃は、揺らぐことなくカタチを持った絶望の頸へと吸い込まれる。
711 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/25(月) 01:28:34.69 ID:Co3rP5FU0
勝利条件:特になし。いつでも撤退は可能。

敗北条件:戦闘不能。または死亡。

直下コンマ判定

備考 判定表は>>251から抜粋。戦闘力の補正は>>252から。敵の戦闘力は現在70で固定(援軍により変動)。
   援軍は毎ターン判定。場合によってはストーリーに影響有り。
   撤退したい時はその旨を記載願います。
   今回の戦闘でターンを稼ぐほど、本隊の遭遇判定が免除されます(5回行う予定。5ターン稼げば目的達成)。

1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)

戦力差ボーナス:+2 プレッシャー:+1
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 02:10:47.95 ID:mtFLCWne0
はい
713 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/25(月) 02:23:28.64 ID:Co3rP5FU0
援軍の判定を行います。直下です。

1〜5:援軍来ず
6〜9:上等クラスが到着(真戸コンビや平子さん)
0、ゾロ目:特等クラスが到着(篠原コンビやいわっちょ等)
00:有 馬 降 臨

クリティカル:+1
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 02:53:00.57 ID:mtFLCWne0
連取ごめん
715 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/25(月) 03:10:43.65 ID:Co3rP5FU0
時間も遅くなってまいりましたので、今回はこれで終了とさせていただきます。もっと早く始められれば…。

次回更新は水曜日予定です。お疲れ様でした。
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 08:06:07.17 ID:yYQa9P9/o
おつ
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 15:41:58.51 ID:pnHQMP3M0
718 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 22:13:12.48 ID:UHp3T8eK0
お待たせしました。今から再開します。
719 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 22:13:50.34 ID:UHp3T8eK0
首元に迫るクインケを、指二本で挟んで蹴り上げる。

飛んでいく勢いに負け、両腕が上がった捜査官の腹部に掌底を打ち込む。

「ゲボッ…」

石を投げたように転がっていく捜査官を、また別の捜査官が受け止め、陣形を整える。

「羽赫隊、撃て!」

二十人ほどの羽赫持ちが射撃する。

「一本」

しかし、それは全て、たった一本の尾赫で撃ち落とされた。

「…は…?」

「嘘…だろ…。速すぎる…」

捜査官の顔が、みるみる絶望に染まっていく。

一度は、恨みを原動力とすることで塗りつぶすことが出来た。

だが、二度目は出来なかった。

誤魔化せた一度目とは違い、眼前に広がった光景は、いとも容易く彼らの心を踏み躙った。
720 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 22:14:15.67 ID:UHp3T8eK0
「…っと」

危険を察知したイツキは、バックステップでそれを回避する。

「ふむ、やはり外れるか」

「アキラ、お前はまだ『フエグチ壱』に慣れていない。当たるとは思わないことだ」

「了解」

短い返事で話を切り上げ、赫者を睨む二人。

「単身で支部を襲うとはな。梟の真似事か、それともただの無謀か」

チラリ、と怯える捜査官を一瞥し、声を上げる。

「諸君、君たちの救援要請は特等らにもしっかりと届いている」

「もうしばらくの辛抱だ。奮起し、戦いたまえ」

特等がやって来る。

その言葉を聞いた捜査官は立ち上がり、再びクインケを構える。

「…真戸上等。私は『アマツ』で援護する」

「では、私は『黄泉比良坂』で切り込むか。どれほど肉薄出来るかは分からんがね」

たとえ自分が死のうと、情報を残せればそれだけで充分だ。

赫者を殺す覚悟も、自分が死ぬ覚悟も、あの時からしている。

――惜しむらくは、アキラのこれからが分からなくなること、だな。

微笑みを湛え、真戸呉緒は突撃する。

――その命、私が貰うぞ。『長槍』よ。

身を焼き焦がす黄泉の炎と雷は、両手に番えた剣に宿り、命を刈り取らんとイツキを狙う。
721 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 22:14:58.81 ID:UHp3T8eK0
直下コンマ判定 成功数:1 援軍:真戸コンビ 戦闘力:80に上昇

1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)

戦力差ボーナス:+2 プレッシャー:+1
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 22:16:33.49 ID:tcwOH0Vm0
ほい
723 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 22:21:02.30 ID:UHp3T8eK0
判定:9 クリティカル! 

援軍判定 直下コンマ判定

1〜5:援軍来ず
6〜9:特等クラスが到着(篠原コンビやいわっちょ等)
0、ゾロ目:色んな区の強い人とか(髭紳士や鉢の人、宇井さん)
00:舞い降りる有馬

平子さんは存在を忘れてたので、次のレスで突っ込みます。
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 22:37:32.44 ID:5kuhgmwx0
こい
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 23:05:07.69 ID:ViNQlEWGo
うへぁ
726 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 23:05:27.51 ID:UHp3T8eK0
「フッ!」

左手の蛇腹剣は電撃を帯び、右上に向かって振るわれる。

イツキは上体を反らし回避、そのままサマーソルトへと転じる。

「そこだ」

宙に舞ったイツキを、アマツの尾赫が捉え、突撃する。

「…二本」

片方の尾赫でアマツを弾き、もう一方の尾赫は、真戸上等のクインケ目掛けて放たれる。

「ぐっ…。速い上に、一撃一撃が重い…!」

クインケを連結させ、前、後ろ、左、右とあらゆる方向から襲い掛かる赫子。

一つに対応した直後に、別の方向から同じ赫子が迫りくる。

そして、それに遅れて対応すると、また別の方向から。

後手後手になっていることを歯痒く思い、少しずつ後退する。

「上等!」

それに対し、真戸二等は弾かれた尾赫で援護し、真戸上等へと接近する。

「私の援護では意味が無い!ここは一度…」

「ならんよ。ここで引けば、他の者が皆殺しだ」

「誰かが犠牲にならねば、被害が増える」

「ッ…」

淡々と言う真戸上等だが、心中では違和感が燻っている。

――なぜだ、どうして死者が出ていない。それに、なぜ『長槍』は急所を狙わない。

全身に切り傷が増えていくが、致命傷は一つもない。

守っているからにしても、一度も狙わないのはおかしい。

実力差は歴然で、いつでもこちらを殺せるはずなのに。

暗くなる思考を振り払い、眼前の地獄を切り抜けるために、剣を振るう。
727 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 23:23:43.50 ID:UHp3T8eK0
「お覚悟を」

「お断りします」

ぬるり、と突然湧き出た捜査官は、ユキヒラ1/3で急所を狙う。

それを避け、お返しに、と二本の尾赫で包囲、全方位攻撃をするが、ギリギリのところで往なされる。

――駄目だな。あと6撃でこちらがやられる。

冷静に分析しながら、対処する平子。

しかし、流れる汗に血が混ざっていき、状況が悪化しているのが見て取れる。

「…邪魔だな」

イツキは平子への攻撃を突然中止し、後ろの真戸二等のアマツを尾赫で貫く。

「なぁっ…!?」

「アキラ!」

クインケの尾赫が、力なく地面に落ちていく。

あまりにも突然、あまりにも一瞬で行われた早業。

それを理解した瞬間、真戸二等は恐怖した。

――そういうことか。我らヒトなど、いつでも殺せる取るに足らない存在だと。そう言いたいのか。

「はは、ははは」

乾いた笑いを零し、真戸二等は俯く。

一度刻まれた恐怖は、消えない。

そして、それは着実に伝播していく。

「くっ…」

ユキヒラ1/3を吹き飛ばされた平子が地面に倒れ伏す。

せめて一撃、と懐に潜り込もうとした平子だが、あっさりと、本当にあっさりと妨げられた。

「ハイアー…マーインドー!」

空間を裂く砲撃も回避し、悠然と『長槍』は電灯に立つ。

「おいおい…。お前らどんだけ酷い目に遭ってんだ」

嬉しいはずの援軍も、これからの悲劇の糧にしかならない。

そんな考えに覆われ、虚しさだけが広がる。
728 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 23:33:16.62 ID:UHp3T8eK0
直下コンマ判定 成功数:2 援軍:真戸コンビ、平子上等、鉢川班(梟戦のあのメンツ)、田中丸特等、(忘れてた)宇井准特等

戦闘力:100に上昇

1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)

戦力差ボーナス:+1 プレッシャー:+1
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 23:33:56.32 ID:tcwOH0Vm0
それ
730 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 23:40:20.05 ID:UHp3T8eK0
判定:4 失敗 

援軍判定 直下コンマ判定

1〜5:援軍来ず
6〜9:特等クラスが到着(篠原コンビやいわっちょ等)
0、ゾロ目:舞い降りる有馬
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 23:46:45.30 ID:5kuhgmwx0
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 23:47:00.03 ID:7w+hoH+NO
733 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/27(水) 23:52:45.88 ID:UHp3T8eK0
(突然流れるMeteor) 盛り上がってきたところで、申し訳ありませんが、本日は終了とさせていただきます。

次回予定は明日です。有馬さんとどれほど肉薄出来るのか…。お疲れ様でした!
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 23:53:53.80 ID:7w+hoH+NO
これ、下手したら樹死ぬんじゃね
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 23:54:16.78 ID:tcwOH0Vm0
乙 どんどん増援来るなあ、キツイッス
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/28(木) 00:04:21.62 ID:Zo8Mv8eN0
乙 いざとなりゃ逃げればいい
737 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/28(木) 23:59:14.73 ID:YfOKxSnv0
遅くなりましたが、今から再開ですー。

※いんふぉめーしょん

有馬さんが来てしまったので、ストーリーが変化します。
撤退時はコンマ判定(偶数か奇数か)を行います。失敗したら、失敗したままになります(ファンブルにはならない)。
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 00:20:12.89 ID:OFlt+K9f0
へーい
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 00:23:12.93 ID:y4zPpLuD0
はーい
740 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 00:45:14.06 ID:LIe15J/E0
回避、攻撃、また回避。

ルーティーンのように、同じ行動をローテーションする。

「はぁっ!」

「………」

ぐにゃり、と曲がる『タルヒ』。

甲赫のクインケだが、内蔵されたギミックにより、柔軟な対応が出来る。

初めて経験したであろうそれを、錐もみ回転をすることで往なすイツキ。

「うわ、これを初見で避ける喰種は初めて…」

回転を活かした回し蹴りを柄で止め、上に逃げるようにクインケで薙ぎ払う。

「穴ぼこになんなぁ!」

「ハイアーマインド!略してハイマイ!」

「…チッ」

乱射される射撃を尾赫で弾き、眼前に迫るゲロビを赫子による立体機動で避ける。

「ふむ…。今のを避けるとは…」

「あ゛ー!ちょこまかとウゼェ!」

「…うるさいの」

「どーしましょ。近接じゃあ入り込めない。マトモに戦り合えてる宇井さんは流石だねぇ」

苛烈に斬り結ぶ二人を遠目で見る伊東と穂木。

それは、徐々に捜査官側が有利になっていた。

――太刀筋は読めてきた。だが、『タルヒ』をぶち込む隙が無い。

――二本じゃ押し切られるかな。次も出すべきか。出さないべきか。

クインケで、二本の赫子を上に弾く宇井。

「そこだッ!」

千載一遇の好意を見逃さず、『タルヒ』で突く。

「っとと」

「また避けた…!」

しかし、それをしゃがんで避け、それに対応し手前側の下に向けて曲げた『タルヒ』を更に回避、足場にして跳躍する。

――かなりの手練れだ。手加減はしない方…。あ。

空中に漂うイツキを、無数の雷撃が襲う。
741 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 00:47:43.48 ID:LIe15J/E0
「…危ないな」

正確な射撃をひらり、と避けて着地する。

マンホールを通って到着した『CCGの死神』有馬は、無表情で二本のクインケを構える。

「…臭ッ!有馬さん、下水道の水浴びました!?」

「ん?ああ。少し足を滑らせた」

「誰かー!ファブリーズ持ってきてー!」

有馬が来て、空気が変わった。

沈んでいた捜査官の心に、光が差したのだ。

――絶望したり、希望を抱いたり。忙しいなぁ。

首を鳴らし、有馬の装備を分析する。

――槍は甲赫。剣は羽赫。羽赫が雷撃を放ったんだろうし、槍は防御型か、搦め手か。

『ナルカミ』は電撃を帯び、『長槍』へと向けられる。

天災同士の戦闘の火蓋は、今に斬り落とされようとしている。

誰もが固唾を飲み、戦闘が始まる瞬間を待つ。

しかし、その中でただ一人、別のことで思考している捜査官がいた。

――どうして『長槍』は、支部を襲撃した?

普通に考えれば、単騎で襲撃するメリットなど無い。

捜査官を殺すのなら、パトロールしている捜査官を狙えば済む話だからだ。

――もし、もしも、有馬くんを引き寄せるのが目的だとしたら。

真戸呉緒の頭の中で、最悪のパターンが映し出される。

「…不味い。非常に不味いぞ。これは」

汗を流し、真戸呉緒は他の捜査官に言う。

「至急『コクリア』の防衛に向かえ。おそらく、奴の狙いは…『コクリア』の襲撃の幇助だ」

現時点では情報が無いので、ただの勘に過ぎない。

しかし、真戸呉緒は確信していた。

――長年捜査官をしてきた私の勘だ。間違いない。

最強の捜査官と、多数の捜査官が一箇所に引き寄せられているこの状況。

それが、『アオギリの樹』にとってどれだけ助かることなのか。

それを捜査官たちは一切、理解していない。

「…行きますよ」

「ああ。来るがいい」

知る由もなく、激闘は始まった。
742 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 00:53:37.84 ID:LIe15J/E0
直下コンマ判定 経過ターン:3 失敗数:1/4

援軍:真戸コンビ、平子上等、鉢川班(梟戦のあのメンツ)、田中丸特等、宇井准特等、有馬特等

戦闘力:105に上昇、固定されました。

1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)

戦力差ボーナス:+1 プレッシャー:+1 CCGの死神:-1

※もう一ついんふぉめーしょん

CCGの死神は、有馬さんの固有スキルです。こちらが失敗する度に、補正値が強化されていきます。戦闘が終わると初期値に戻ります。

また、イツキの固有スキルで、人間ヴェーダがあります。こちらは、一度判定に成功したら敵のスキルを永続無効、補正値を+1します。
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 01:00:02.07 ID:y4zPpLuD0
まだ逃げない
744 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 01:03:42.11 ID:LIe15J/E0
コンマ判定:8 クリティカルでヤンス!

援軍はこれ以上来ません。来たら有馬さんの邪魔になる、という判断が下されたのと、これ以上防御を手薄に出来ないから、だそうです。
745 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 01:42:18.54 ID:LIe15J/E0
「負荷90%」

夥しい数の雷撃がイツキを襲う。

だが、一度見たイツキには、通用しない。

軌道を予測、分析し、最善のルートを瞬時に判断する。

脳内で描いたルートを辿ると、その脇を雷撃が穿つ。

「あれを避けた!?」

驚愕した宇井は思わず、クインケを落としてしまう。

それを拾い、手渡す平子は、無表情で戦闘を眺める。

――赫子が増えた。数は計四本。まだありそうだ。

両手のクインケで赫子を打ち払うが、追い付かない。

最強の捜査官たる有馬でさえ、完全に対処出来ていないのだ。

「守るか」

その一言を発した有馬のクインケ『IXA』は、盾となり主を守る。

「…固いですね」

何度も赫子をぶつけるが、有効打にはなり得ない。

しかし、イツキは対応策を練り、実行する。

「…では、全方位からなら、どうですか?」

四本の尾赫を伸ばし、有馬の周りを囲む。

そして、あらゆる方向から、高速の槍が放たれ、赫子の檻に消えていく。

「………」

先ほどとは比べ物にならないほど、攻撃の数は増した。

流石に対応出来ず、弾き損ねた赫子が、手足を貫く。
746 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 01:42:56.47 ID:LIe15J/E0
「ッ…」

よろめく有馬に追撃をせんと、イツキは接近する。

「『IXA』…遠隔起動…!」

しかし、それは地面から飛び出したクインケで阻止される。

「有馬さんが負ける…。そんなわけが…!」

歯軋りをする宇井は、クインケを片手に突撃しようとする。

だが、平子によって引き止められた。

「俺たちではお荷物だ。抑えろ」

「でも、有馬さんが!」

「考えてみろ。有馬さんでも苦戦する相手なのに、俺たちが生きているのはおかしい」

「…あっ…」

宇井は気付いた。

『長槍』の目的が、時間稼ぎでしかないことに。

どういうわけか、こちらを殺す気など更々無いことに。

「報告!『コクリア』が襲撃、多数の脱走者が出ました!」

そして今、最悪の報せが届いた。

「…『コクリア』襲撃…か…」

赫子を一旦収納し、呟くイツキ。

――利用されたか。『アオギリ』に。

してやられたな、と苦笑し、有馬を見やる。

腱を狙ったつもりだったが、ギリギリのところでずらされ、外れた。

――最強の捜査官は伊達ではないね。

無言で『ナルカミ』を構えた有馬は、電撃を放つ。

――直撃しなくても、牽制にはなる。

今出来る最善の手を、一つ一つ打つしかなかった。
747 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 01:46:50.06 ID:LIe15J/E0
直下コンマ判定 経過ターン:4 失敗数:1/4

援軍:真戸コンビ、平子上等、鉢川班、田中丸特等、宇井准特等、有馬特等

戦闘力:105

1:ファンブル
2〜4:失敗
5〜7:成功
8、9:クリティカル
ゾロ目、0:特殊判定
00:特殊判定(SP)

戦力差ボーナス:+1 プレッシャー:+1 人間ヴェーダ:+1 クリティカル:+1
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 02:00:56.09 ID:y4zPpLuD0
5ターンで自動終了だしもう一回戦おう
749 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2017/12/29(金) 02:03:43.76 ID:LIe15J/E0
有馬さんフルボッコが確定したところで、本日の更新はこれで終了です。もう少し速く始められればいいのですが…どうにも上手くいかず。

次回予定は来週の火曜日となっております。お疲れ様でした!
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 02:13:02.51 ID:y4zPpLuD0
乙 よいお年を
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 11:47:27.54 ID:JOCQpKtkO
乙乙
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/01(月) 22:34:04.33 ID:+wHAiibG0
753 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/01/02(火) 22:16:40.85 ID:R10y354R0
明けましておめでとうございます。新しい年に突入するのも二回目ですね。

なのに…。どうしてッ!まだ一周目なんでしょうかッ!?(自業自得)せめて一周目は終わらせないと、ですよね…。

二年掛けて一周終わるというのもアレですけど…。再開です。
754 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/01/02(火) 22:18:00.46 ID:R10y354R0
放たれる雷撃は、絶死の雷。

それを軽々と避ける『長槍』は、よろめく『死神』を見据え、ただ一撃。

「っ…」

ブチン。

そんな嫌な音が聞こえた。

それが何を意味するのか。

それを理解するのに、時間は大して掛からなかった。

『死神』の足が、力なく垂れる。

『長槍』が狙ったのは、脚の腱、即ちアキレス腱だ。

ここは人間、喰種は関係ない、人体の急所。

ここが断裂するということは、その脚が使えなくなることを意味する。

捜査官全員が今、確信した。

――この喰種には勝てない。

『IXA』を杖に立ち、『ナルカミ』を撃つ。

たとえ当たる兆しが無かろうと、攻撃を止めるのは許されない。

無抵抗は敗北を示す。

有馬はまだ負けていない。

CCGはまだ負けていないのだから。
755 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/01/02(火) 22:26:33.60 ID:R10y354R0
――そろそろいいかな。

攻撃をピタリ、と止めて、おもむろに瓶とペットボトルを取り出す。

「そぉれっと」

瓶に水を注ぎ、大きく振りかぶって、投擲。

後方のCCG支部内、事務課に吸い込まれる。

そして、数秒ほどすると、燃え上がった。

「何となくで作った『なんちゃって火炎瓶』です。さようなら」

ガッチャ!とでも言いたそうなポーズを取り、空に消える。

「ふざけた奴だ…。散々荒らし回って、満足したかのように去っていく」

「『長槍』…。この区で稀に確認されていた喰種…」

「…本部に連絡だ。14区の警戒レベルを最大に。アレを仕留めない限り、人類の敗北は確定する」

僅か一時間で起きた惨状。

それは、過去の災害を容易く塗り替えた。

「…とりあえず消火しないとな。動ける人は消火器を抱えて消しにっ」

平子が言い切る前に、地面が揺れた。

舞う土煙の中に、黒い異形の影が浮かぶ。

「…来たか」

それの正体を理解している有馬は呟く。

土煙が消えた瞬間、悲鳴が上がった。

「ふ…『梟』だぁぁぁ!」

捜査官が慌てふためく中、『梟』はぐるり、と見渡し、問う。

「『長槍』サン。ココニイルハズナンダケド…。シッテル?ソコノシラガ」

「どこかに消えた」

「ソデスカ…。バイチャ!」

そして、『梟』は飛び立った。
756 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/01/02(火) 22:39:01.17 ID:R10y354R0
「ふぁ…。やることが無いって暇だぞい…」

薄手のシャツで転がる高槻。

その手には、バナパスポートが握られている。

「この時間からやってもカモられるしなぁ。テレビでも見るか」

バナパスを投げ捨て、リモコンを赫子で引き寄せる。

投げたバナパスを、後ほど焦って探すのまでがテンプレだ。

しかし、今回はそのテンプレをなぞらなかった。

「緊急速報ねぇ。地震とかは来てないけど。…ファッ!?痛ぁ…」

驚いた高槻は壁まで後ずさり、後頭部を強打した。

「『長槍』が14区支部に出没って…。何やってんのさイッキュン…」

急いで包帯を全身に巻き、襤褸切れを羽織る。

「死ぬなよ死ぬなよ…。今から助けに行くからね!」

窓を開け、そこから跳躍して、ビル伝いに移動する。

大きく開けたところに辿り着くと、赫子を展開する。

空を駆ける異形の怪物。

愛する男を助けるため。

ただそれだけのために、身バレの危険を冒してでも、姿を見せに行った。

結局のところ、意味は無かったのだが。
757 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/01/02(火) 23:10:04.11 ID:R10y354R0
「…恐ろしいくらいに静かだねぇ」

スキンヘッドの任侠のような棋士、マンバロウが呟く。

「Да(はい)…」

キョロキョロ、と周りを警戒しながら、ジンコは頷く。

その右目は、紅く輝いている。

「…あの倉庫か。大きいな」

森に囲まれた倉庫が姿を現す。

僻地に建てられたそれは、手を付けていない様子が見て取れた。

「雑草ばかりね。刈る…のは駄目ね。怪しまれちゃう」

オカマのキヨノリが雑草を手で撫でる。

その目は、廃倉庫の扉に向けられている。

「…内部に喰種を確認。数は二人です」

本性を隠した少女が伝える。

両手の苦無は特別製で、喰種の肉をも容易く切り裂ける、いわば『クインケもどき』だ。

「どうしますか?私一人でも、確殺出来ますが」

「…念には念を、だ。ジンコ、お前もやれ」

「ウー…。Костюм(スーツ)が汚れマース…」

「なぜそれを着た」

どうして、他の人は皆動きやすい服装なのに、彼女はスーツなのか。

ヨスケには理解出来なかった。

「見ろ。マドカに至っては忍装束を着ているんだぞ。際どいのは問題があるが」

「…それは言わないでください。これでも恥ずかしいんです」

「…ったく。パパったら…俺だけ見た目をこんなのにして…」

外套で肌を隠し、マドカは愚痴を零す。

そして、扉へと体を向けた。

「…まあ、いいです。私が仕留めてきます」

ダッシュで扉に向かい、赫子を隙間に差し込み、鍵を内部から外す。

扉が開いたと同時に、羽赫で飽和攻撃。

一体の喰種は息絶えたが、もう一体の喰種が突進してきた。

「終わりっ」

後ろに移動していたマドカは、首元に苦無を当て、首を落とした。

ニンジャの強さは伊達ではないのだ。

「…戦闘終了。呆気ないですね」

苦無を太腿のホルダーに仕舞い、扉を見やる。

事を済ませたのを確認したヨスケは、リーダーへと連絡する。

はぁ、とため息を吐き、マドカは思う。

――少しは、忍者らしくツキさんの役に立てたかねぇ。

年相応なあどけなさを残した顔に、アクセントの返り血が付いている。

しかし、彼女は確かに忍者の顔、冷徹な表情を、つい先ほどまでしていたのだ。


アジト大移動編 終了
758 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/01/02(火) 23:25:43.98 ID:R10y354R0
キリが良いので、本日はこれで終了です。次回の行動を直下で募集しておきます。

14区の警備はめっちゃ厳しいです。旧多さんが経営していた時並です。散々暴れていたから是非もないネ!

アオギリ軍団はホクホクしております。フカさんもお仲間になっていたり。ドナートさんはぼっちで残ってます。

次回予定はちょっと分かんないですね…。分かり次第連絡します。お疲れ様でした!
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/02(火) 23:52:43.27 ID:SjnjONq/o
おつー
うまく行ったな
この隙に親睦会したいかな
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/03(水) 00:39:53.15 ID:I0ebOj1mO
乙乙
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/03(水) 11:29:51.97 ID:lV2IksYw0
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/04(木) 22:50:39.04 ID:p9wq86hp0
14区の警備厳しいならプレハブ小屋のお嬢様を余所に移さないとな。
情報漏れに繋がるし、まだ利用価値がある。
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 22:46:57.65 ID:0Mvcsy/b0
保守がてら雑談、主人公兄妹をガンダムで例えると
イツキ:クロスボーンX1系列
マシロ:ファンネルガン積みしたV2
アサヤ:ZZ
こんな感じがする
764 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/22(木) 21:56:19.03 ID:xpalJNov0
報告です。明後日には再開出来そうでございます。死ぬかと思った(小並感)。報告が遅れて大変申し訳ございませんでした。

いちおう最新巻もチェックしてるんですが、いやーおったまげた…。反映出来るかなぁ。

自分のイメージはこんな感じです。

イツキ:武装をワイヤーアンカーに取り替えたΞ
マシロ:クシャトリヤ
アサヤ:ヴァーチェ
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/23(金) 02:34:21.14 ID:md2R8Rq0O
待ってた
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/23(金) 02:38:51.82 ID:lD814sG10
へーい
767 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 22:08:33.07 ID:46k2/QeG0
お待たせしました!今から再開です!久しぶりなので、いくつか現状を纏めておきますね。


☆現状まとめ

・イツキが原因で14区の警戒が超強化。アオギリとの関係が予想されている。

・相対的に他の区の警戒が緩和。喰種たちの行動がしやすくなった。オークションとかも増えるゾ。

・お嬢様一行の危険性上昇。早急に救助しないと、駆除される可能性大。今後を考えると、助けた方が都合がいいかも。

・『アオギリの樹』がコクリア襲撃を達成。有馬がいなかったため大部分の喰種を吸収。7区の攻防戦が消滅し、嘉納の捜索にシフト。

・また、シロクロコンビの手術時期が原作で示唆されていないため、現在未施術とする。

カネキの後なのは確定だし、カネキのデータを基にやった的なことが書いてた気がする。
本来、攻防戦後に半年くらい空くからその間にオペッたと思います。カネキはすぐ回復したから合ってる…と信じてる。確認不足なのかもしれない。

・嘉納のことをイツキは把握していないが、エト、カネキから情報は貰える(エトの方が詳しい)。その気になれば、居場所を推測出来る。

・有馬が戦闘不能なので、当分の0番隊はお休み。モグラはしばらく叩かないので、地下利用が容易に。

他に何かあったら追記します。忘れてる可能性が高いので…。
768 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 22:10:28.60 ID:46k2/QeG0
場所は変わって20区。

地下通路を介して、安全な場所へと移動した。

実質副リーダーのヨスケに、作戦が終了した旨を伝えるために電話を掛ける。

二回呼び出し音が鳴り、スピーカーから渋い声が響いてくる。

「…こちらイツキ。作戦は予定通り終了しました」

『ニュースで確認した。が、少々不味いのではないか?』

深夜とはいえ、今回の事件は大事だ。

CCGを喰種が単騎で襲ったなど、『梟』の襲撃以来のことだからだ。

「…問題ありません。警戒を他所に集中させることで、別の区にいる皆さんは行動しやすくなります」

「…俺はまだ14区から出ることは出来ませんが、警戒されるような状況ではないはずです」

――妹たちを弱冠22歳の学生が養っている時点で、どうかと思うがな。

そんな言葉を出しそうになったが、噛み殺す。

不自然ではないように、特待生だったり塾講師のアルバイトだったりをしているのだろう。

表向きでは品行方正もいいところ、な彼を疑うのは考えにくい。

『そうか。それで、お前はどうする』

「…まだ用事があるので。落ち着いてから連絡するので、皆さんは普段通りの生活を」

『了解だ』

プツリ、と通話が切られ、スマートフォンをポケットに直す。

追手を警戒して20区まで移動してきたのは良かったが、今の状況では14区に戻らない方が良さそうだ。

「マシロに誤魔化すメールを送って…。仕方ない、地下で休憩するか」

もう一度、イツキは地下へと潜った。
769 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 22:11:21.01 ID:46k2/QeG0
数時間後の早朝の14区。

公園をジャージ姿で走る青年の姿が。

「…そろそろ戻ってもいいか。ジョギング帰りと言えばどうにかなる」

一般人と変わらないペースで走りながら、悟られないように注意を払い、周囲を一瞥する。

――数が尋常じゃない。5人一組で公園内だけで3班もあるとはね。

お嬢様たちの安否が気になる。

が、日が沈まないと行動出来ない。

少しだけペースを上げ、捜査官たちの横を通り過ぎる。

「ちょっと、すみません」

「はい」

声を掛けられてすぐに踵を返す。

下手に遅れたら怪しまれる。

「こんな早朝からランニングですか。運動好きなんですか?」

「いえ、最近は卒論を書いてばかりだったので。少しは身体を動かして、リフレッシュをしようかと」

「…へぇ。リフレッシュ、ですか」

ジロジロ、と身体を隅々まで見られているようで、気味が悪い。

「ところで、最近凶悪な喰種が出たので外出時は注意するよう言われてたはず…なんですがねぇ」

――なるほど、誘導尋問か。

目的を察知したイツキ。

瞬時に思考して、対応を行う。

「すみませんが、家を出る時点ではまだご近所さんは誰も起きていなかったもので。テレビを見てもいませんし」

「…そういえば、その凶悪な喰種って、夜の何時ごろに出たんですか?」

「…どうして、夜だと?」

「だって、自分が就寝した12時まででは、そんなニュースは無かったものですから」

「それに、喰種の犯行は夜が殆どだって、小倉さんが」

「…ああ、なるほど」

また小倉か、とでも言いたげな表情をし、捜査官は表情を曇らせる。

――まぁ、これ以上つつかれることは無いだろう。

捜査官たちの態度からして、これ以上聞くことが無いと見える。

「…では、失礼しますね。捜査官さんたちのおかげで、今は危ないと分かったので。早く帰らないと」

「…そうですね。お気を付けて」

意外とすんなりと引き下がったのが気になるが、彼らにも余裕が無いのだろう。

特に気にすることも無く、一礼だけして帰りを急いだ。
770 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 22:12:18.88 ID:46k2/QeG0
ドアを開けた直後に抱き着いてきたマシロ。

ヒョイ、とそれを避けて、テレビを点ける。

どこのチャンネルでも『長槍』・『梟』特集が行われていた。

「守秘義務があるだろうに。…それだけ、本気ということか」

「…何をしてたんですか?」

ドアにぶつかったからか、赤くなった額を押さえながらマシロが問う。

「秘密。…どうせ、分かってるんだろうけど」

「ええ。ですが、意味が分からないんです。態々警戒レベルを引き上げさせるなんて」

「…それでも、言えないよ。マシロを関わらせるわけにはいかない」

「…仲間外れですか。家族なのに」

「違うよ。危険な目に遭ってほしくないだけさ。もしもの時は、『あんていく』に匿ってもらうから」

真っ直ぐこちらを見つめるマシロ。

だが、視線が交わることは無い。

諦めたようにはぁ、とため息を吐き、マシロは口を開く。

「…いいです。私も、散々迷惑を掛けましたから。お兄さんがダメと言うなら、踏み込む気はありません」

「だけど、死なないでくださいね。もし死んだら、後を追いますから」

「…はは、それは怖い」

冗談ではなく本気で言っているであろうところが恐ろしい。

どこで育て方を間違ったのだろうか。

――これは私の精神性の問題なので。お兄さんは関係ないはずですよ。

脳内に…直接…ッ!?
771 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 22:13:46.22 ID:46k2/QeG0
朝の行動を直下でお願いします。目立つ行動を行う場合は、コンマ判定を追加で行います。
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/24(土) 22:26:19.90 ID:jNQ1N1uE0
お嬢様一行の新しい隠れ家を探したり考えたりする
773 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 22:57:42.01 ID:46k2/QeG0
「…さて、と。まだあの子たちを失うわけにはいかないし、別の場所を探さないとね」

100%イツキが原因のことなのだが、それは置いといて。

まだ、彼女たちをメンバーと会わせることは出来ない。

行動理念が正反対だから、速攻で殺しに掛かりかねないのだ。

「うーん…。調べた限り、ちょこちょこ手放された建物があるなぁ」

住宅街にあるものは当然論外。

人目に付きにくい、山奥だとかの建物がよろしい。

「だけど。情報が出てる時点で怪しいんだよね」

家から出ずに調べた場合、安全の保障が出来ない建物ばかりがピックアップされる。

こういう時こそ他人を頼るべきなのだろうが、下手に動くとマークされかねない。

特に、『Helter Skelter』に行った場合は、色々とヤバいことになるだろう。

「…皆、天才だ何だと持ち上げるけど。俺一人で出来ることなんてたかが知れてるんだよなぁ」

天才だろうと、ただの喰種一人でしかない。

一人で何でも出来ていたら、それこそ神という存在なのだろう。

「…人は神に憧れるけど、神になることは出来ない」

「人は人でしかないのだから。別の存在にはなれないのだから」

――カネキくんだって、外側が変わっただけで、本質は人間と変わらない。

「…まったく、嘉納先生。あなたは神を気取っているのでしょうかね」

度々ワイドショーや討論番組で姿を見せた医者。

カネキの話を聞き、彼が喰種化させたのだとすぐに分かった。

「…まぁ、俺には関係ないことだ」

目的を為すために、動くだけ。
774 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 23:01:42.55 ID:46k2/QeG0
直下で探す方法を決定します。

1:とにかく自分で探す!これが一番!(成功率、バレる可能性共に大。だが、チートなイツキが頑張れば安住の地を見つけられるかも)

2:助けてエトしゃん(成功率普通。バレる可能性は低いが、アオギリが把握している可能性が)

3:イトリえもんに助けを乞う(成功率特大。バレる可能性は???)
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/24(土) 23:06:22.23 ID:r27jTaNX0
2
776 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 23:44:34.29 ID:46k2/QeG0
「…あ、喰種関係で詳しい人はいたな。あの人なら」

そう思い、スマートフォンを手に取る。

「あれ、メールがいっぱい来てる。迷惑メールはあり得ないし。誰だろう」

受信ボックスを開いてみる。

そこには、夥しい量のメールが。

「………」

無言で読んでいくイツキ。

――何で同じメールを繰り返し送るのかな。エトは。

これじゃあまるでヤンデレじゃないか、と心の中で思い、メールを一つだけ残して消去する。

流れるように電話帳を開き、通話を始める。

今度は、コールが始まった瞬間に出てきた。

『怪我は大丈夫!?腕とか千切れてない!?』

「…大丈夫です。怪我はしてません」

『良かったぁ…。有馬と戦り合ったから、てっきりどこか持っていかれたと…』

「…それより、少し聞きたいことがあります」

『…なんだい?私に出来ることなら何でもするよ』

何でも、という言葉が引っ掛かるが、まあいい。

「…『白鳩』に見つかることのない、喰種が使える隠れ家を知ってますか?」

『まあ、多少は。…でも、それを知ってどうするの?』

「俺が原因なんですが、必要になりまして」

『…分かった。ちょっと待って』

どこか元気の無さげな声で答え、ミュートになった。
777 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/24(土) 23:46:14.68 ID:46k2/QeG0
直下コンマが5以上で情報が入手出来ます。捜査官に発見される可能性は低いですが、成功時に↓2が3以下だと…。
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/24(土) 23:48:28.91 ID:gPF1IyS/0
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/24(土) 23:50:59.13 ID:r27jTaNX0
あっ…不味いかも
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 00:24:05.60 ID:pdz2U1ip0
ただの失敗扱いだと思う
781 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/25(日) 00:27:27.41 ID:Atjeo9B00
数分して、ミュートが解除される。

『…ごめん。私が持ってた場所はたぶん、全部アオギリが接収したと思う』

『言いたくないんだけど…。イッキュンは利用されてた。アオギリの方が上手だったね』

「…でしょうね。組織に気を取られて、アオギリの動向を気にしなかった俺のミスです」

『…でも、気になることがあるんだ』

「何ですか?」

『どうして、イッキュンの襲撃に合わせられたのか、なんだよね』

『私も速報を見て知ったくらいの極秘行動。それを知れたということは…』

「内通者がいる、と」

『うん』

確かに、心配する気持ちは分からないでもない。

イツキが集めた、信頼出来る人は幹部たち。

他の人は、幹部たちが集めた人や、集まった人が更に集めた人たちだ。

そこに、部外者が紛れ込む可能性もあり得る。

「…俺の予想は、既に準備を終えていて、どこかで大きな行動を起こしたらそれに便乗する、ですかね」

「まぁ、真相は分かりませんが。準備を終えていたのは確定でしょう」

「そうでないと、行動を起こすなんてあり得ないですから」

『…とにかく、私はアオギリの動向は見張っておく。何かあったらすぐ連絡するね』

「分かりました。エトも気を付けて」

『うん。またね』

一難去ってまた一難、とはこのことを言うのだろう。

一難は去ってすらいないのだが。

「…アオギリ。本当、厄介な連中だよ」

コーヒーを一杯飲み、イツキは頭を抱えた。
782 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/25(日) 00:31:01.12 ID:Atjeo9B00
さっきの判定にデメリットはそこまで無かったのでご安心を。外に出ていた場合は…(目を逸らす)。

次は昼の行動です。直下でお願いします。今更ですが、休んだりして時間をある程度進めることも可能です。
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 00:33:42.01 ID:CcJG66N/0
まあダメだったし次はイトリえもんかなあ…情報が洩れてればそれはそれで敵のあぶり出しが出来る

安価下
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 00:36:12.37 ID:fAB31i8c0
隠れ家を探す
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 00:58:40.09 ID:DquNWXI9o
あーっくそせっかく再開してるのに乗り遅れた!
786 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/25(日) 01:13:00.84 ID:Atjeo9B00
隠れ家探しは続くよどこまでも。直下で方法を選択してください。

1:自力で捜索(先ほどと同じ)

2:イトリ姉貴なら何とかしてくれる(先ほ(ry)

3:自由安価
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 01:17:07.25 ID:fAB31i8c0
2
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 01:18:09.45 ID:pdz2U1ip0
あんていくを頼れそうだけどイトリの方が安牌かな
安価下
789 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/25(日) 01:21:18.39 ID:Atjeo9B00
えー、特殊判定です。直下コンマが3以下だと、捜査官たちに検問されます。検問されたら50%で戦闘になります。
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 01:24:11.91 ID:CcJG66N/0
ほい
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 01:34:10.97 ID:DquNWXI9o
うええ
792 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/25(日) 01:37:16.65 ID:Atjeo9B00
「…多少のリスクは仕方ない。原因は俺にあるしね」

車のキーを手に取り、外に出る。

万一に備えて、マシロはお留守番だ。

車を出して大通りを進むが、やはり数が尋常じゃない。

というより、ところどころに検問所を設置するだなんて本気過ぎる。

「…不味い。検問所が多すぎて、安全なルートがない」

引き返したいのは山々だが、そうしたら余計に怪しまれる。

もし捕まった場合、大学を諦めて隠れなければならない。

当然、塾講師のアルバイトもそこで終了する。

戸籍があるため、マシロたちも匿う必要が出てくる。

――Rcゲートを設置したりは…ないよね?

専門的な検査をされたら、一発で終わってしまう。

血を抜くとしても、普通の針は通らないのだから。

それが、喰種の証明になってしまう。

「…クソ、車なんか使うんじゃなかったな」

CCGの本気度を見誤っていた自分を、殺したくなった。

――何が天才だ。どうしようもないほどの阿呆だよ、俺は。

そして、心の中でそう吐き捨てた。
793 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/25(日) 01:38:20.32 ID:Atjeo9B00
直下コンマ判定です。奇数の場合はアウト、偶数の場合はセーフです。ダメだったら戦闘です。
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 01:39:46.24 ID:plxvwYS3O
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 01:40:28.11 ID:plxvwYS3O
やったぜ
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 01:42:16.07 ID:CcJG66N/0
実際セーフ、危なかった
797 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/25(日) 01:43:56.60 ID:Atjeo9B00
ちょっとしたアナウンス


今回の判定で、成功だったらRcゲート、失敗だったら血液検査を行う予定でした。

また、成功したので『V』とCCGの関係にイツキが完全に気付きました。
798 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/25(日) 02:07:45.67 ID:Atjeo9B00
目の前の車の運転手が外に連れ出され、ゲートの真下を通り抜ける。

それを確認した捜査官は車を検問所の先まで運転し、運転手と交代する。

――Rcゲート。Rc細胞に反応する仕組みの識別装置か。

最悪な状況だが、どうしようもない。

ここで逃げても、ゲートをくぐっても変わらない。

――仕方ない、か。指示に従って、警報が鳴ったらすぐに逃げよう。

もしもすらあり得ないがそれでも、一度は経験しておいた方がいい。

ゲートまであと三歩。

二歩。

一歩。

ゼロ。

「…ん…?」

鳴るはずの警報が作動しない。

捜査官たちも、それが当然だとでもいうかのように車を進めていく。

「ご協力ありがとうございました」

「…いえ。お仕事、頑張ってください」

アクセルを踏み、先を急ぐ。

「どういうことだ…。動作不良はあり得ない。配備しているのなら、メンテナンスをしているはずだ」

そこで、図書館での出来事を思い出す。

『CCGもきな臭くなったけど』

「…そうか。そういうこと、か。それなら納得だ」

――CCGは『V』と手を組んでいる。それも、現在進行形で。

両親は元『V』でCCGと結託しているのなら、Rcゲートに検知されないのも当然だ。

そうでなければ、『V』が報告する時にゲートをくぐると、検知されてしまう。

喰種がCCGと手を組んでいるのが知れたら、とんでもない大問題になるだろう。

そのため喰種だと他の人には知られてはいけない彼らなら、システムを弄っているはずだ。

『V』メンバーの赫包を検知しないように、設定しているはずだ。

そして今、イツキがRcゲートを突破出来たこと。

それは、今もなお関係が続いていることを意味していた。

「既に終わっているなら、そんなシステムは解除してるはずだからね」

「見えた。どうして両親が殺されたのか。全ての謎が解けたよ」

『V』にとって都合の悪い存在だった両親を殺すよう、『V』からCCGに依頼が出される。

それを受けた上層部が、正式な指令として辻褄を合わせ、処分に向かわせた。

新聞には『子供はいない』とあったが、おそらくそれは世間を騙すためのブラフ。

子供がいること自体は掴んでいるはずだ。

そして、両親の願い。

それが叶うということは、今までの関係が崩れるということになる。

「喰種は駆逐される存在でなければならないんだ。彼らにとって」

「だから、両親は殺されたんだ。その関係を崩しかねない危険因子だったから」

目的が、行動理念が分からない敵は厄介だ。

だが、それさえ分かれば、対処は簡単だ。

髪を軽く掻き上げ、青年は笑った。
799 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/02/25(日) 02:10:32.18 ID:Atjeo9B00
本日の更新はこれで終了でございます。久しぶりの更新でしたが、まだお付き合いいただける方がいてくださって良かった…。

まだ仕事が忙しくて、いつ更新出来るか分かりません。申し訳ない…。いつになったら、まとまった休みが取れるんだろう(遠い目)

皆さん、お疲れ様でした!そしてありがとうございました!
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 02:11:56.40 ID:CcJG66N/0
乙 まあゆっくりやってくだせえ
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 02:38:59.38 ID:pdz2U1ip0
乙乙 ヒヤヒヤする更新だった
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 04:01:53.38 ID:DquNWXI9o
おつおつ
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/04(水) 21:03:52.90 ID:+LSFisPY0
:re最新刊の帯に俺達がガンダムだ!みたいなこと書かれてて草
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/13(日) 23:45:26.00 ID:DZOQxEm40
保守らねばならぬ
805 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/05/26(土) 00:41:55.98 ID:dATzPQsoO
やっと予定が取れました(ゲッソリ)。本日の昼から再開したいと思います!

前回から数ヶ月も経過してて危機感をずっと憶えてました…。申し訳ありません…。
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 00:50:07.68 ID:YC9cszE3o
おかえりなさい!
807 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/05/26(土) 18:08:37.34 ID:bqI4vSG50
夕方になってしまいましたが、今から再開したいと思います。


アドバイス?

クロシロの手術は、作中時間で四週間が経過するとオートで実行されます。手術後二週間で実戦投入。

また、アオギリによる捜索判定が一週終了毎に行われます。発見された場合でも、上記のカウントは進行していきます。

つまり、アオギリの庇護下で実験が行われる状況になります(原作十一巻辺りと同じ感じ)。

助けたいのなら、早いうちに何かしらのアクションを起こした方がいいのかも…?
808 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/05/26(土) 18:10:18.44 ID:bqI4vSG50
検問を突破したイツキは、目的地に向けて車を走らせる。

(…俺の身体が反応しないということは、CCGの中に立ち入っても問題ないということだ)

(そんな機会は無いだろうが。だけど、気に留めておいて損は無い、か)

駐車場に車を停め、外に出る。

いつもなら人通りがそれなりにあるはずなのだが、今日は違うようだ。

閑散とした裏通りには、人っ子一人見当たらない。

「…まあ、当然か。リスクは避けたいだろうしね」

静かな通りに靴音が反響する。

角を曲がり、建物に入る。

扉に掛けられている看板は『CLOSED』。

気にすることなく、イツキは扉を開けた。

「…看板見たわよね?何用でここに来たのよ」

「君のセイで大変なんだから。何とんでもないことしでかしてんのよぅ」

大変な割には、楽しそうな顔をしているが。

「…罰ゲームですよ。ちょっとしたゲームで負けてしまいまして」

「アハハハハ!そんな罰ゲーム、アタシだったら断ってるね」

そりゃそうだ。

「…で、何が入用なの?ここに来たってことは、そういうことでしょ?」

表情に変化は無いのに、その声色だけは冷徹なものになっていた。
809 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/05/26(土) 18:29:28.55 ID:bqI4vSG50
「…ええ。依頼に来ました」

小さく頷き、椅子に座る。

昼から飲酒は如何なものかと思ったのか、缶コーヒーがカウンターに置かれる。

店で缶を振舞うのもどうかと思うが。

「とは言っても。こんだけ警備されてちゃ、情報なんて期待出来ないのよね」

くあぁ、と大きな欠伸をするイトリは横目でイツキを見つめる。

「…それでも、イトリさんなら問題ないと思いました」

「イトリさんの情報収集力は信用してますから」

「信用ねぇ…」

(信頼されるほどじゃないってこと、ね。ちょっち凹むわ〜)

「なら、その想いに応えてあげたくなるのが乙女心よね」

「…乙女?」

「あぁ〜ら。ひっぱたかれたいの?」

「………」

「ちょ、否定してくれないとアタシがおばさんってことに…」

「…自覚してるんですか」

「むぐ!?」

ワインに口を付けていたイトリは、堪らず吹き出した。
810 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/05/26(土) 18:31:51.57 ID:bqI4vSG50
直下コンマに新しいセーフハウスの場所(地区名。14区は除外)と特徴をお願いします。直下コンマが3以上で成功です。

成功時に↓2コンマが3以下だった場合は…?
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 18:44:21.00 ID:VDbLr2Gm0
20区 あんていくの近所
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 18:49:31.34 ID:VDbLr2Gm0
00か…
強制成功?
813 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/05/26(土) 19:15:13.17 ID:jhgabeXU0
アッアッアッ… 00とか物語壊れちゃーう。どうしよ、ホントどうしよ。ちょっと考えさせてください…。
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 19:57:48.13 ID:VDbLr2Gm0
コンマ神も久々の更新が嬉しいんだろうね
仕方ないね
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 20:13:22.58 ID:YC9cszE3o
コンマ神の愛が凄いスレ
816 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/05/27(日) 01:23:28.56 ID:YDO5iCzY0
漸く思いついたので、再開していきます。遅くなってすまない…。
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/27(日) 01:28:46.16 ID:QY0Q5j8/0
待ってた 00出してすまない
818 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/05/27(日) 01:36:50.83 ID:YDO5iCzY0
「…という茶番は置いておいて。依頼というのは、隠れ家が欲しいんです」

「ここはいつから不動産屋になったのかしら」

イツキ自身、情報屋に聞くようなことではないと分かっている。

だが、一番確実だと思ったのが彼女だった。

ただそれだけのことだ。

「まっ、それだけアタシの能力を認めてると思っておきましょうかね」

おもむろに取り出したUSBメモリ。

投げ渡されたそれを、左手で取る。

「望んでいる情報はその中よ。…それと、少しだけサービスしてあげる」

「サービス…?」

「耳、貸して」

イトリの手招きに従い、顔を近づける。

イトリは耳元に口を近づけ、囁いた。

「…アオギリよりも警戒すべき相手がいるわ。『白鳩』とは違う…いえ、『白鳩』と喰種、そのどちらにも存在する奴らよ」

「それは遠いところにも、意外と近いところにもいる。そして、強大な力を持っている」

「その内一つは…既に君の中に潜んでいる、カモ。…喰われないように、注意することね」

「…『V』ですか」

「…さあ?どうかしら」

「ほら。必要なのは渡したから、早く出ていきなさい。お客様に取る態度じゃないけど」

「…そうですね。今長居するのは得策じゃない。失礼しました」

情報をくれた感謝を込めて一礼。

素早く踵を返し、外に出た。

イツキが外に出て数分後。

店主は壁にもたれ掛かり、呟く。

「…なーにやってるんだ私は。余計な情報まで渡してさ」

「…いや…。これは先行投資。娯楽を提供してくれることを見越しての、ね」

「そう思ってないと…やってられないわ…。これは立派な裏切りですもの」

「これは…情報屋にとって致命的な失態ですもの…」

見上げた天井の照明が、イトリを照らす。

後悔先に立たず。

そんな諺を思い出し、イトリは頭を抱える。

「…一回寝ますかね。嫌なことがあった時は、寝るのが一番よ」

入口に鍵をかけ、照明を消す。

カウンターは思ったよりも温かかった。
819 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/05/27(日) 02:13:13.85 ID:YDO5iCzY0
自宅に戻ったイツキは、PCにUSBを挿し込み、ファイルを開く。

そこには、一軒家の間取りについて纏めた書類データと、メッセージが添えられていた。

「…これか」

データを開示すると、ディスプレイ一杯に情報が広がる。

「…プレハブ小屋よりは当然マシだな。管理者は…実質芳村さんか。書類上は別の人だけど、放棄してるみたい」

一通りデータを確認した後、メッセージを開く。

書かれていたのは、僅かな文章。

『獅子人面像の下に箱がある』

それを見たイツキは、そっとPCを閉じた。

「おちょくっているのか…。あの人は…」

TVに映る自分の顔。

無表情なそれを掻き消すように、電源を点ける。

『赫者』特集は未だに続き、荒唐無稽な推測ばかりが伝えられている。

静かに眠る妹にブランケットを掛け、考え事をするでもなくただTVを眺めていた。
820 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/05/27(日) 02:14:42.07 ID:YDO5iCzY0
直下に夜の行動をお願いします。終了後にコンマ判定です(行動無しも可)。
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/27(日) 02:22:56.88 ID:QY0Q5j8/0
お嬢様方をお引っ越しさせる
822 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/05/27(日) 02:40:40.57 ID:1ZjpMlJa0
全然進んでいませんが、今回はこれで終了とさせていただきます…。仕事のピークは過ぎたので、ボチボチ更新出来るはず。

来週頃に更新予定でございます。お疲れ様でした!
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/27(日) 11:02:11.94 ID:eEG9w99co
おつおつの
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/28(月) 19:32:38.34 ID:G2QIu5sg0
イツキがまた女の人たらしこんでる…
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/29(火) 13:23:57.47 ID:Ef9hJ8tz0
おほー追いついたじぇー
イトリさんの好感度ってどれくらいだっけか
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 20:56:08.85 ID:C/4et76q0
保守
827 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/08/09(木) 02:07:22.34 ID:kPoX8VzB0
>>824、このままハーレムを作ってしまいそうな雰囲気。

>>825、不明(ただ判定するタイミングを逃しただけ)なのですが、判定により100(仲良し二人組(95)以上)となりました。

状況にもよりますが、基本イツキ達に+となる行動しかしなくなります。どんどん活用しましょう。


熱中症、久し振りになりましたがキツいですね…。ちょっと、再開の目処は分からないです…。すみません…。

最終巻、拝見させていただきました。ネタバレは伏せますが、ロリコンになるかと思いました。見てない方は是非。

お詫びと言ってはなんですが、ジューゾーと篠原さんのお話を少しだけ。
828 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/08/09(木) 02:08:19.19 ID:kPoX8VzB0
番外編 怪物との談話


「お、ジューゾー。まぁたこんなところに立って…。落ちても知らないよ?」

「大丈夫ですよ篠原さん。僕がそんな失敗…おっとっと」

「ほらもう言わんこっちゃない!」

歩道橋の欄干を平均台のように歩くジューゾー。

案の定と言うべきか、一度バランスを崩してあわや大惨事になるところであった。

そんなジューゾーは今、篠原の脇に抱えられている。

「はぁ…まったく、お前は手が掛かるなぁ…」

「放っておけばいいじゃないですか。僕が死んでも、誰も悲しまないですよ?」

「…っ!…お前…は…」

まるで『それが当然』とでも言わんばかりに、平然とジューゾーは言い放つ。

(あまりにも軽すぎる。コイツにとって命の重さなんてのは、紙切れ一枚みたいなもの、か…)

ジューゾーからしてみれば、誰が死のうと、自分が死のうと、それを気にするのがおかしいのだ。

命は皆、消えるのだから。一々気にしていたら、心が保たない。

――彼にとって、それは一種の防衛機構なのだろう。

凄惨な生き地獄を乗り越えるために、心が無意識に課した、最後の砦。

資料でしか見たことのない篠原には推測することしか出来ないがそれでも、そうせざるを得ないほど追い詰められていたこと、それだけは理解出来た。
829 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/08/09(木) 02:09:35.64 ID:kPoX8VzB0
「…私は」

「???」

「私は…悲しいよ。ジューゾー。お前が死んだら、悲しいと絶対思う」

「どうしてです?」

「…お前は、私の大切なパートナーで、部下だ。…そもそも、私は誰が死んでも、きっと悲しいと思うさ」

「命ってのは、尊い物なんだ。失ってしまえば、二度と戻らない。だから、不必要に奪ってはいけない」

分かっている。自分が言っていることは矛盾していると。

それでも、篠原は最後まで言う。

「…誰かを想い、悲しむ。それは、私たち人間にしか出来ないことなんだ。それを棄てるのは…無理なんだよ」

いまいち理解出来ていないのか、ジューゾーは首を傾げる。

だが、これでいい。今は理解らなくとも、いつか理解る日が来るはずだ。

いつかのきっかけになってくれれば、それで。

「…まぁ、お前が大切ってことさ。息子みたいなもんだからね」

「気持ち悪いです…」

「傷つくなぁ…」

再び歩き出した二人は、沈みゆく太陽に目を向ける。

「おぉ〜。綺麗な夕日ですねぇ〜」

「だねぇ。これを見ると、仕事が終わった実感が湧いてくるよ」

「お仕事って夜に始まる方が多くないですか?」

「…そういうの、思いついても口には出さないのが出来る大人ってもんだよ」

「そういうものですか」

「そういうものです」
830 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/08/09(木) 02:10:36.30 ID:kPoX8VzB0
「はむっ。むぐっ」

「おーおー…。素晴らしい食べっぷりなことで…」

財布の中身が心配になる篠原をよそに、リスのようにドーナッツを頬張るジューゾー。

傍から見れば、親子で楽しんでいる微笑ましい光景だ。

「そういや、何でクインケの名前をアレにしたのさ?」

「むぐむぐ…ゴクン。篠原さんはどうしてだと思います?」

「んーと。CCGの誇る怪物…強い捜査官になってやるっていう抱負かな?」

「違います」

「あらら、即答…」

指でバッテンを作り、否定するジューゾー。

その目は、どこか悲し気だ。

「…僕は、色々な人から変な目で見られます。まるで、気持ち悪いものを見るように」

「別に気にしてはいないです。だけど、何となく思ったんですよ」

「僕は化け物でしかない、と。それが理由です」

「………」

篠原は悲しかった。只々悲しかった。

たしかに、彼は普通の人とは少し感性が違う。

だが、彼には心がある。楽しいと思う心が。美味しいと思う心が。

ならば、彼だって立派な人間だ。化け物で、怪物である筈が無い。

「違う…違うよジューゾー。お前は人間だ。化け物なんかじゃない」

「お前は什造!CCG20区所属、三等捜査官『鈴屋什造』だ!…それを、忘れるな…」

途中で大声を上げていたことに気付き、頭を下げて篠原は席を立つ。

ジューゾーはただ、それを見つめていた。
831 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/08/09(木) 02:11:07.51 ID:kPoX8VzB0
篠原が退店して十分後、ドーナッツを食べ終えたジューゾーがやって来る。

特に何か言うこともなく傍に来て、歩き続ける。

不意に、篠原が口を開いた。

「…万が一、万が一だ。もし、ジューゾーが化け物だとしたら」

「したら?」

「私は、共にいるよ。お前を一人になんか出来ないからね」

「へー」

「…お前は。自分の思っているほど、どうでもいい存在じゃない。それを理解することだね」

「………」

その言葉が届いたのか、それは定かではない。

しかし、無言のまま歩いているジューゾーの顔は、笑っているように見えた。

いつものような笑顔ではなく、子供が褒められて照れているような、そんな笑顔。

「…篠原さんが隣、ですか」

「特等が付くっていうんだ。不満かい?」

「ドーナッツの貢ぎ物があれば許します、かねぇ」

「はっはっはっは。私よりもドーナッツの方がヒエラルキーは上か。…嘘でしょ」

「…どうですかねぇ」

楽し気に歩く二人の姿。

それは、美しい夕日が霞むほどに輝いていた。


おしまい
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/09(木) 10:12:26.57 ID:yvju8iYYo
おつお
終わっちゃいましたねぇ原作…
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/10(金) 21:36:30.08 ID:mvTauzyq0
乙 熱中症気をつけて
番外編はイツキTHE ORIGINとかアサヤとリゼのファーストコンタクトとか見たい
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/10(金) 21:37:25.82 ID:yhBSvbrz0
おつ
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 11:45:01.39 ID:4EB8HyDFO
ss速報復活記念保守
836 : ◆BOjnShBY1I [sage]:2018/10/16(火) 20:01:49.86 ID:F4pNfT6NO
1ヶ月の時を経て、SS速報は蘇った!
というわけで明日の昼から再開したいと思います。いや、まさか鯖が落ちるとは思いませんでした。
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/16(火) 20:07:11.56 ID:eCKEB9eoo
おかえりー
838 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/10/16(火) 20:32:55.18 ID:F4pNfT6NO
上げ忘れてました…すみません。
839 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2018/10/17(水) 21:16:41.17 ID:LYRckQBeO
すみません…寝落ち&PCフリーズからのデータ破損コンボが起きました…。
頑張って復旧してみますが、本日中に更新するのは無理かもしれません…。
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/01(土) 23:00:47.53 ID:xs3UTnbZ0
マシロのステルス性能はイツキの言いつけを守ろうとして極力目立たない様にして、
アサヤのNT力はそんなマシロの面倒を忙しいイツキの代わりに見てたから身についた
という妄想保守
841 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/02(水) 18:32:21.99 ID:eFnCSUiiO
新年明けましておめでとうございます。色々あって死にかけてましたが私は元気です。
突然ではありますが、本日の夜(いつになるかは不明ですが、割と早く開始するかも)更新予定です。
全く進んでないグダグダ具合ですが、それでも付き合っていただけたら幸いです。
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 18:37:26.93 ID:R0aLsBB2o
生きとったんか!
よかったあけおめ
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 21:30:41.54 ID:cDRlJMrA0
待ってました‼
844 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/02(水) 21:30:49.33 ID:vVSVy91e0
今から更新開始です。イツキとかが持ってる戦闘時のスキルですが、廃止にさせていただきます。
代わりにネームド補正が掛かります。いくら何でもイツキがチート過ぎるので…。
845 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/02(水) 21:31:42.23 ID:vVSVy91e0
「…よし、丁度いい。この家は有効活用させてもらうか」

プレハブ小屋に、今のところ安全な場所にいるとはいえ、警備が厳重な14区にいる以上、見つかる可能性は存在する。

移動という行為自体にリスクがあるだろう。が、放置していたら、そのリスクを放置するリスクが上回るのは確実だ。

利用価値がある彼女たちを、このまま喪うのは勿体無い。

「…はぁ、甘いね。俺も」

多少関わったからと言って、手助けをしてしまうのは悪い癖だ。身を亡ぼす事態を招かなければいいのだが。

しかし、性分だから如何にもならないものだ。仕方ない、と割り切り、補っていくしかない。

「…行くか」

妹を布団まで運び、窓から外を眺める。人は誰もいないようだ。

今回は車を使う余裕は無い。地下通路を利用することにしよう。

度々探索を行っていたから、構造は把握している。14区から20区に移動する程度なら、造作もない。

「…嫌な予感がするな」

この予感が的中しなければいいのだが。
846 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/02(水) 21:33:24.63 ID:vVSVy91e0
直下コンマが3以下でプレハブ小屋が襲撃されています。
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 21:38:23.56 ID:cDRlJMrA0
新年一発目
848 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/02(水) 22:05:19.95 ID:vVSVy91e0
「うぅ…。CCGが来ないか心配ですわ…」

小屋の片隅でお嬢様は、自慢の艶やかな黒髪を弄っている。

「…誰もいねえよ。大丈夫だ、姉ちゃん」

「暇ですね。珈琲でも淹れましょうか」

「こんな状況で良くもまあ…。…道具が無いのに如何やって淹れるんだ?」

「…先程の言葉は無かったことにしてください」

「…はぁ」

こんな汚い場所にいるだけでも苛立っているのに、CCGという脅威に怯えている自分そのものが一番苛立つ要因になっている。

もっと力があるならば。小心者でなかったら。

皆を守ることが出来るのに。あんな怪しい奴に頼らなくても済むのに。

「…クソッ!」

「きゃっ!?」

「…ごめん」

苛立ちを壁にぶつけると、ただでさえ強度の低い壁は老朽化によって更に脆くなっていたようで、音を立てて崩れてしまった。

ああ、イライラする。
849 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/02(水) 22:24:20.34 ID:vVSVy91e0
「…五月蝿いな。外まで丸聞こえだよ」

「っ!?」

「あぁ…!来てくださいましたのね!」

「有難いです。このままだと、ジン様が暴走しかねなかったので」

「言うな…」

「失言でした」

神を崇めるようにイツキを見るエリカと、心底憎そうにイツキを睨むジン。

ヨウハは特に感情を抱いていないらしく、無表情で眺めている。

「…ハッ。俺がああするまで待っていたのか?趣味が悪いな」

「まさか。ここまで来ている途中に聞こえたから、急いだだけだよ」

「随分と耳が良いことで」

皮肉を込めて、そう吐き捨てる。尤も、本性は見抜かれているかもしれないが。

「…誉め言葉として受け取っておくよ」

随分と、余裕を持っているようで。

「移動するよ。セーフハウスを手配しておいたから」

「何区ですか?」

「20区」

「ぬるい連中のとこか。まぁ、安全かもしれないな」

「24区の浅層を経由するから、気を付けてね」

「迷ったりしないんですの?」

「…だとしたら、そもそも使いはしないよ」

「だな」

コイツはいったい、何者なんだ。
850 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/02(水) 22:32:16.28 ID:vVSVy91e0
「はい、ここを入ってね」

「げ、下水道ぅ…」

「失礼します」

一切の躊躇いも無しに、ヨウハが飛び込む。経歴を考えれば納得は出来るが、仮にも女性なのに、よくもまあ。

「…どうしたの?早く行かないと、死ぬよ」

それだけ言って、イツキも中に入った。こちらのことを分かってやってるんじゃあるまいな。

「…うう。わ、私も参ります!」

スカートを押さえながら、意を決して飛び込む姉。もう後には引けない。

「…ハッ!むざむざ死ぬ気はねえからな!従ってやるよ!」

もう如何にでもなれ。
851 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/02(水) 22:33:19.12 ID:vVSVy91e0
直下コンマが3以下で喰種と交戦します。
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 23:03:38.75 ID:cDRlJMrA0
取るよ
853 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/02(水) 23:16:01.34 ID:vVSVy91e0
下水道を進む一行だが、途中から周囲の様相が変わる。

多少荒れてはいるが、しっかりとコンクリートで固められた通路が通っている。

目を凝らしてみると血痕が幾つも見えるが、敢えて無視をする。こんなことに一々気を取られては堪ったものじゃない。

「…前方30Mの曲がり角に喰種3人。迂回するよ。音は立てないで」

「…ああ」

「…四時方向から4人。気付いているみたいだから急ごう」

「………」

指示に従って行動する。信じられないほど、スムーズに進んでいる。

コイツの勘の良さは何なんだ。さっきから、誰よりも先に危険を察知している。

これが『長槍』の力だとでもいうのか。

「ここを上ったらもう終点だよ。お疲れ様」

「………」

癪だが、認めるしかない。コイツは本物だ。本物の化け物だ。

「はふぅ…。これで…助かりますのね…」

「外出は無理だけどね。顔が割れてるし」

「私も無理ですね。付き人である以上、把握されてるでしょうから」

しかし、心を許すわけにはいかない。利用されている可能性だってあるのだ。

大切な人は、何があっても護ってみせる。

漢なら、そうする義務がある。
854 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/02(水) 23:17:18.57 ID:vVSVy91e0
『アオギリ』による嘉納先生捜索判定です。直下コンマが1だと発見されて、『アオギリ』傘下になります。
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 23:23:19.30 ID:xvS5qpuc0
856 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/02(水) 23:26:17.91 ID:vVSVy91e0
あ゛あ゛あ゛あ゛!(声にならない声)

当たり前のように0出すのやめちくり^〜(ちょっと待ってください)
857 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/02(水) 23:35:19.08 ID:vVSVy91e0
お待たせしました。追加で判定を行います。直下コンマです。


1〜8:機械や身体データに不備を発見、施術までの時間が二週間延期。情報漏れも同時に発生。イツキらが干渉しやすくなる。
9、0、ゾロ目:クロシロ姉妹が脱走し、『if』or『あんていく』に居候しに来た(どちらにするかは安価、施術後かは後ほど判定)
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 23:36:09.29 ID:cDRlJMrA0
コンマ神もあけおめ
やっぱり愛されてるってはっきりわかんだね
859 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/02(水) 23:43:26.06 ID:vVSVy91e0
ああああああああああもうやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

はい、というわけで大幅に物語が変更になりました。嘉納先生が可哀想。

『if』、『あんていく』どちらに所属させるかアンケートを取ります。先に二票入った方を採用です。

同時に、直下コンマで施術判定をします。どちらでもメリットはありますよ。

奇数:施術前。CCGなどに潜入出来る。
偶数:施術後。色々と使い道がある。
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 23:44:02.06 ID:xvS5qpuc0
861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 23:45:03.29 ID:xvS5qpuc0
すまん、ifで
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 23:49:28.89 ID:cDRlJMrA0
ifで
863 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/03(木) 00:07:05.70 ID:GYS4Fos00
朝。人によっては地獄とも言える時間帯。イツキは大学のための支度をしていた。

入社試験や国家試験対策をするためなのだが、はっきり言ってイツキには必要ない。頭の出来が違うのだ。

しかし、品行方正と認識されている以上サボるわけにはいかず、出ていかなければならない。

体裁を守るのも一苦労だと思いながら、荷物を放り込む。何気なくスマートフォンを起動させると、一通の留守電が入っていた。

「…?」

再生すると、キヨノリの声が聞こえてくる。いつもの番号とは違うから、何か事情があるようだ。

『えーっと…。ごめんなさいね、直接話せなくて』

『手が空いた時でいいから、折り返し電話をしてくれたら嬉しいわ。ちょっと…特別なお客様がいるの』

『よく分からないけど、マドカちゃんたちと同じ子なのかもしれないわ。眼の色…』

『…ごめんなさい。一回切るわね』

最後は焦ったような声色になり、そのまま音声が途切れた。

異常事態なのは間違いないが、状況が読めない。連絡するよう言われているならした方が良いのだろうが。

「…一難去ってまた一難、か」

何時になったら、問題が全て解決するのだろうか。
864 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/03(木) 00:09:35.85 ID:BcJbs2CVo
コンマ神「お年玉だぞ」
865 : ◆BOjnShBY1I [saga]:2019/01/03(木) 00:10:30.16 ID:GYS4Fos00
直下に朝の行動をお願いします。

本日の更新はこれで終了です。間が空いてしまい申し訳ございませんでした…。皆様も、健康診断は定期的に受けてください。
手遅れになる前に見つかることほど、幸せなことは無いと思います。勿論、病気に罹らないのが一番なんですが…。
説教臭くなっちゃいましたね…。すみません。本日はお付き合いいただきありがとうございました!
866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/03(木) 00:33:08.38 ID:BcJbs2CVo
誰かに休みの連絡入れてから折り返す
おつ
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/03(木) 21:35:47.55 ID:wJR9V6suO
更新きててウレシイ……ウレシイ……
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/04(金) 06:45:49.23 ID:IZ+3DMc/0
おつ
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/06(日) 00:56:34.42 ID:1mWz3IZl0
乙乙
嘉納のマッドな面を見て逃げ出したルートか
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/15(金) 18:24:41.04 ID:9T2kbQc50
保守る
871 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/14(日) 12:23:10.20 ID:k96BKn+oO
保守
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/09(日) 15:36:03.02 ID:xhx9D4SV0
保守
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/21(火) 20:42:46.38 ID:3gx6Omf70
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