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海未「泉のほとりで」 -
SS速報VIP 過去ログ倉庫
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:28:48.58 ID:5OPoj0/6O
「んん……」
目を覚ましてゆっくり体を起こすと、そこは見知らぬ場所でした。
あたりを見渡すと、木々は明るい緑の葉をつけていて
空は青く、小さな綿雲が浮かび
太陽はまだ低く、淡くてあたたかな光が降り注ぎます。
少し離れたところに見えるのは泉でしょうか。
青く、鏡のように木々や空を映し出していました。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1475648928
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。
スイカバー @ 2025/06/16(月) 23:54:53.05 ID:7An/VCwoo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1750085692/
全レスゾーンゼロ @ 2025/06/16(月) 17:23:39.88 ID:/JulHR0so
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1750062219/
バームくんへ @ 2025/06/11(水) 20:52:59.15 ID:9hFPsRzXO
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秘境 @ 2025/06/10(火) 00:47:53.81 ID:BDVYljqu0
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【安価】上条「とある禁書目録で」鴻野江「仮面ライダー」【禁書】 @ 2025/06/09(月) 21:43:10.25 ID:qDlYab/50
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ツナ「(雲雀さん?!)」雲雀「・・・」ビショビショ @ 2025/06/07(土) 01:30:36.87 ID:AfN9Rsm0O
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【安価コンマ】障害走を極めるその5【ウマ娘】 @ 2025/06/06(金) 01:05:45.46 ID:RaUitMs20
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貴様たちの整備のお陰で使いやすくしてくれてありがとう @ 2025/06/04(水) 20:56:21.03 ID:QjuK6rXtO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1749038181/
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:32:05.51 ID:5OPoj0/6O
「すぅ・・・すぅ・・・」
寝息のする方を見ると、私の隣でことりがすやすやと眠っていました。
純白のワンピースに身を包んで
身体を私の方に向けて。
どうやら私はことりと二人で寝ていたようです。
寝顔をのぞくと、どこかあどけなさが残っていて、それがとてもかわいいくて。
自分の服を見てみると、ことりと同じものを着ていました。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:33:47.83 ID:5OPoj0/6O
「一体ここは……」
昨晩、布団に入って寝た記憶はあります。
では、夢?
こんなに鮮明ではっきりした夢ははじめてです。
ことりを起こそうとも考えましたが、この寝顔を見るとそんな考えはすっかり消えて、やっぱりそっとしておこうと思いました。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:35:42.10 ID:5OPoj0/6O
ここはとても静かで、聞こえるのは私が歩く音だけ。
靴もなかったので、裸足で歩きました。
辺りは芝生にも似た短く、柔らかい草が地面を覆っていて、歩くたび、足の裏がふわりと気持ち良い感じがします。
空気がとても綺麗で、息を吸うたび体の隅々まで洗われるような感じがしました。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:37:36.62 ID:5OPoj0/6O
泉のそばまで行ってみました。
泉は青く、透き通っていて、底まではっきり見えます。
風もなく、波ひとつ立っていません。
私はしゃがんで、水面に指先をちょん、と触れると、触れたとこから波が同心円状に広がって、やがて消えました。
また、もとの波ひとつない水面に。
この泉を見ていると、心が落ち着きます。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:40:07.92 ID:5OPoj0/6O
しばらく泉を眺めていました。
「海未ちゃん?」
声がしたので振り返ると、そこにはことりがいました。
「ここどこなのかな……」
ちょっぴり不安そうな表情を浮かべて。
「さあ・・・私にもわかりません」
ことりも、泉のそばまで歩いてきました。ことりもはだしです。
私の隣にしゃがんで、泉を見て
「わあ〜っ、きれい」
ことりは目を輝かせながら。
そんな無邪気なことりを見ていると、ほほえましくて。
泉にみとれていることりの横顔を、私はじっと見つめていました。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:41:46.64 ID:5OPoj0/6O
私とことりはすぐそばにある石の段に腰掛けました。
「すごく落ち着くな〜。ことりここ好きかも」
「そうですね。心が安らぎます」
「他の人はいないのかな」
「見当たりませんね」
「じゃあ私と海未ちゃんだけだね」
ことりは私の方を向いてにこっと笑いかけました。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:43:18.47 ID:5OPoj0/6O
ことりと二人きり。
しばらく、静かな時間が過ぎていきました。
このままずっと、ここでこうしていたいとさえ思いました。
でもここは私の夢の中。このことりも私の意識が作り出したもの……
ことりが私の方に寄りました。少しだけ距離が縮まります。
ことりは、膝に置いた私の左手の上に、右手をそっと乗せました。
「ことり?」
ことりは少しだけ恥ずかしそうにして
「手……つないでもいい?」
と聞いてきました。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:44:54.94 ID:5OPoj0/6O
ことりと手をつなぐなんて、何年ぶりでしょうか。子供のとき以来です。
ことりの手のぬくもりが私の左手に伝わってくるのがわかります。
いつも笑顔を崩さないことりが、少し恥ずかしそうな表情を浮かべて。
私は、何も言わず、ことりの右手の指と指の隙間に私の左手の指をそっといれました。
多分、夢だからそんなこともできたのでしょう。
私が左を向くと、嬉しそうな表情のことり。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:46:18.70 ID:5OPoj0/6O
「海未ちゃん……」
ことりは目を少し潤ませて、視線を下に向けて何か言いたげに
「海未ちゃん…あのね」
頬が染まって
「あのね……ことり、海未ちゃんのこと――」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:47:52.38 ID:5OPoj0/6O
目を覚ますと、見慣れた天井。
ああ、やっぱり夢だったんですね。
わかってはいたつもりでしたが、とても名残惜しい気持ちになりました。
「ことり、海未ちゃんのこと――」
ことりの言葉、表情が脳裏をかすめます。
あのときことりは私に何を言おうと……
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:49:12.73 ID:5OPoj0/6O
今日は朝練がないので以前のように3人で集合して学校へ行きます。
私が集合場所につくと、既にことりがいました。
ことりは私をみつけると、一瞬目をそらした気がしましたがいつものように
「海未ちゃん、おはよう」
と笑顔で言ってくれました。私もそれに返します。
ことりは、どこかそわそわしてるような気がします。
穂乃果を待つこの時間は、いつも平凡な会話をしているはずなのに
なぜだか私もことりも会話を始められませんでした。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:50:41.12 ID:5OPoj0/6O
不意に、ことりは私の左手に触れてきました。
でも、私の左手の指にことりの右手の指先が一瞬触れただけです。
「海未……ちゃん」
ことりは絞り出すように声を出して言いました。少しもじもじして
「あのね……」
唇が少しためらいがちにヒクヒク動いて。
でも言葉がもうすぐ出そうなところで口元の緊張が緩んで
「……ううん、何でもない」
ごまかすようにそういって、にこっと笑って見せました。でもどこか寂しそうに見えました。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:51:37.54 ID:5OPoj0/6O
おわり
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/05(水) 15:54:41.17 ID:4BRRPZVSO
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