スノーホワイト「ファブが逮捕された?」

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340 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/10(月) 10:16:24.66 ID:VBckhTQl0
『ナスティベント』

シザース(…っ!?)

ウィンタープリズン(ここは下がれスノーホワイト、奴の相手は私がする)

スノーホワイト(私は……)

ウィンタープリズン(お前は契約者バトルを止めたいんだろう。ここで奴に殺されるべきではない)

シザース(邪魔者が増えましたか。ならば先にナイトから始末してあげましょう)

ウィンタープリズン(出来る物ならやってみろ!)

『ソードベント』


ナイトとシザースの武器がぶつかり合い、火花が散った。
何度か斬り合った後にウィンタープリズンは魔法を使い、壁を生やしてシザースを翻弄し
隙を付いてウィングランサーの突きをシザースに食らわせ吹き飛ばす。


ウィンタープリズン(今だ!)


好機と見たウィンタープリズンの追撃がシザースに迫る。
突如、シザースの目の前で巨大な泡が浮かび上がり、ゴムのような弾力でウィングランサーを押し返した。


ウィンタープリズン(泡だと!?)

シザース(魔法を使えるのは貴女だけでは無いんですよ)


今度は小さな泡がマシンガンのように高速で射出され
ウィンタープリズンに直撃し、次々と爆発が起きた。

341 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/10(月) 10:16:57.72 ID:VBckhTQl0
ウィンタープリズン(ぐっ…そんな隠し玉を持っていたか)

シザース(最初はそんな大した泡が作れなかったんですけどね)

シザース(何人も、何十人も、人間の魂を喰らい続けている内にこれだけの魔法を得ることが出来ました)

シザース(私は、更に強力な魔法を手にして見たい……更に人を喰らいたいんですよ……)

ウィンタープリズン(残念だが、そのお前の望みは叶わない。お前はここで死ね!!)

『トリックベント』

シザース(決める気ですね。返り討ちにしてあげましょう)


5体に増えたウィンタープリズンがシザースに向かって特攻をする。
シザースは魔法の泡をバリア代わりに周囲に展開し、迎え撃つ。
トリックベントによる分身達が泡に衝突に次々と爆発を起こす。
爆炎に包まれたこの瞬間を狙い、二人は同時に切り札を発動した。


『ファイナルベント』

『ファイナルベント』


マントに包まれドリル状になったウィンタープリズンと
泡のクッションをジャンプ台に跳躍し回転したシザースのファイナルベントがぶつかり合う。
五体満足で着地するシザースと全身から血を流して地面に倒れ落ちるウィンタープリズン。
互いに切り札を使った勝負はシザースに軍配が上がった。

342 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/10(月) 10:17:47.44 ID:VBckhTQl0
ウィンタープリズン(うぐっ…ごほっ…)

シザース(貴女も人間の魂を喰らい続けていれば結果は違っていたでしょうに、残念でしたね)

『ストライクベント』

シザース(何っ!?)


火球がシザースに直撃し燃え盛る。
ウィンタープリズンを殺させない一心でスノーホワイトが放った攻撃だ。


シザース(ほう、なかなかの攻撃ですね。ですが私には聞きませんよ)

スノーホワイト(そんな……)


シザースの鎧から小さな泡が次々と生産され
ドラグクローファイヤーから放たれた炎を殆どシャットダウンしていた。


スノーホワイト(戦わなきゃ……皆が死んじゃう……そうちゃんも、ウィンタープリズンさんも……)

『ファイナルベント』

スノーホワイト(戦わないと……戦わないと……うわあああああああああ!!!!)

シザース(このパワーは、まずい!)

『ガードベント』


空高く跳躍したスノーホワイトの周囲に炎の奔流が生まれ
炎の勢いに身を任せてシザースに向かって特攻した。
爆発的な破壊力によってシザースのシェルディフェンスを弾き飛ばし
蹴りがボディにめり込み、オレンジの鎧に亀裂を走らせた。


スノーホワイト(……!?私は、私は何でこんなことを……)


他の魔法少女達がシザースに殺される事を考えた瞬間に頭が真っ白になった。
気が付いたらファイナルベントが既に発動された後であり
目の前にはひび割れた鎧の隙間から血がドクドクと流れているシザースが倒れていた。
自分が怖くなった、無意識に人を傷付けていた自分の行動が。
これが契約者になった者の性なのかと。

343 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/10(月) 10:18:41.65 ID:VBckhTQl0
シザース(ぐぐっ…私が貴女みたいな人に、ここまでやられるとは…)

スノーホワイト(生きていた!?……良かった……)

シザース(何を喜んでいるんです……戦いはまだ終わってませんよ)

スノーホワイト(もう止めてください!!どうしてそんなに力にこだわるんですか!?)

シザース(どうして?それを貴女が言いますか……)


『元はと言えば力を求める原因を作ったのは貴女ですよ』『力の無い者は何もするなと教えたのはね』


シザースの心の声が流れてきた。
それは須藤雅史の嘘偽りの無い、心からの叫びだった。


スノーホワイト(まさか、刑事さんは……必死にファントムと戦っていたあの……)

シザース(ええ、無様に正義を信じて無駄に足掻いていたその刑事ですよ!私は!)

スノーホワイト(どうしてです?なんであの優しい刑事さんがこんな酷い事を!)

シザース(心底がっかりしたからですよ。警察に関しても、力を持たなかった私自身に対してもね!)

シザース(ファントムのような恐るべき脅威からは目を反らし、弱者を救わず、金や権力を持つ悪人の肩を持つ)

シザース(そんな警察側に正義があると本気で信じていたんですよ私は、おかしな話でしょう)

シザース(そして私は気付いたのですよ。世の中は他人を蹴落とし、ずるく、賢く生きるべきだとね)

シザース(他の生物だってそうです。弱肉強食こそ世の摂理なのですよ)

シザース(だから私は決めました。他者を喰らい、全ての頂点に立とうと、その為ならどんな悪事だって働きましょう)

スノーホワイト(刑事さん!!お願い……元の優しい刑事さんに……)

シザース(無駄ですよ!力の無い者の言葉では私は止まりません!)

スノーホワイト(……っ!)

シザース(ごぼっ)


シザースの巨大な鋏がスノーホワイトに振り下ろされる寸前に
背後から突いたウィングランサーがシザースの身体を貫いた。

344 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/10(月) 10:19:37.10 ID:VBckhTQl0
ウィンタープリズン(はぁ……はぁ……)

スノーホワイト(刑事さん!!)

シザース(……愚かな娘ですね。私は、貴女を殺そうとしたのに……)

スノーホワイト(きっと……きっとまたやり直す事が出来ます!)

シザース(ありえません……私は、余りにも、手を汚しすぎました…)


シザースの変身が解け、須藤雅史の姿に戻った。
身体から粒子が放出され、徐々に姿が薄くなっていく。


須藤(せいぜい、貴女は……私みたいにならずに、正義の道を、進み…続けて、ください…)

スノーホワイト(刑事さん…)


須藤の身体が完全に消滅した。
スノーホワイトは彼の死に際に語った最後の言葉を決して違えないよう生きる事を強く決心した。
その時、スノーホワイトは気付いた、未だにもう一人の魔法少女が合流していない事に


スノーホワイト(……ラ・ピュセル!ラ・ピュセルの所に行かないと!)

ウィンタープリズン(彼女もミラーワールドに来ているのか?)

スノーホワイト(はい!)


二人はラ・ピュセルを探しに走り出した。
嫌な予感がスノーホワイトの脳裏に過った。
それが最も最悪な形で的中する事になった。

345 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/10(月) 10:20:19.29 ID:VBckhTQl0
颯太「」


ラ・ピュセルの変身前の姿である、岸辺颯太の死体が放置されていた。
刃物のような鋭い武器で心臓部分を貫いた外傷がある。
それが彼の死因であった。


スノーホワイト(そんな……そうちゃん……)

ウィンタープリズン(遅かったか……ラ・ピュセル……)

スノーホワイト(気付いていたんですか?)

ウィンタープリズン(ああ、過去に一度、元の姿を見た事がある)

スノーホワイト(ううっ…そうちゃん……私も残って一緒にミラーモンスターと戦っていれば……)

ウィンタープリズン(……違う。ラ・ピュセルはミラーモンスターに殺されたのではない)

スノーホワイト(えっ……?)

ウィンタープリズン(ミラーモンスターは私達を捕食する存在だ)

ウィンタープリズン(それが彼の胸だけを貫いただけで死体を放置する筈が無い)

ウィンタープリズン(つまりこの場には私達とシザース以外にも契約者が潜んでいたのだ)

スノーホワイト(そうちゃんが……契約者に……ううっ)


颯太「」


颯太の死体から粒子が漏れる、シザースの時と同様に。
ミラーワールドに死体は残らない、まるで初めから存在しなかったかのように細胞一つ残らず消滅する。

346 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/10(月) 10:21:02.66 ID:VBckhTQl0
スノーホワイト(嫌だ……そうちゃん!消えちゃ嫌だよ!そうちゃああん!!)


颯太の肉体が消失していく事実に耐え切れないスノーホワイトは颯太の死体を抱えて走り出した。
死体はまるで中身が空っぽのように体重が軽かったのがとても悲しかった。
既にそれほどまでに存在が消えていたのだ。
ガラスの前に到着した頃には颯太の死体は完全に消えてしまった。
もう颯太の肉体はどこにも存在しないのだ。


スノーホワイト(そうちゃん、そうちゃん、そうちゃん……お願い、戻ってきて……そうちゃん!!いやあああああああ!!)

ウィンタープリズン(……辛いが、もう戻ろう。活動限界時間だ……)

スノーホワイト(待って!まだそうちゃんが帰ってきてない!)

ウィンタープリズン(もうラ・ピュセルは戻らないんだ!分かるだろ!)

スノーホワイト(いやだぁ!!そうちゃん!そうちゃあああん!!)

ウィンタープリズン(ラ・ピュセルの分まで生きなければ彼は無駄死になるぞ!)

スノーホワイト(…っ!!うっ、ううっ……)


ウィンタープリズンの手に引っ張られてスノーホワイトはミラーワールドから生還した。
しかし、その犠牲は決して小さな者では無かった。


仮面契約者シザース、須藤雅史 死亡


347 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/10(月) 10:24:31.96 ID:VBckhTQl0
今回はここまで

ゲーム版でボルキャンサーが泡を吐いていたので
シザースを泡魔法の使い手にしました
このSSで蟹刑事が闇落ちしたのはまほいく世界での警察の扱いが存外なせいでもある
次回は悪徳弁護士が出てきます


契約者紹介

仮面契約者 シザース
装着者 須藤雅史

魔法
色んな特性を持つ魔法の泡を作り出せるよ

魔法説明
体から泡を精製して飛ばす事が出来る。
応用性は高く、衝撃を吸収、ジャンプ台、爆弾、熱を防ぐ等
状況によって色んな性質の泡を使い分けられる。
見た目はどれも同じ泡なので他者が外見で判別するのは難しい。

348 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/15(土) 21:26:31.17 ID:1o2Zwag/0
ラーワールド 教会


教会内にある無数の鏡からは、契約者達の戦いの姿が記録として映し出されている。
その中でラ・ピュセルとシザースが戦いに敗れる場面も映っていた。


黒い影(二人の契約者が脱落した、か)

ドラグブラッガー()


黒い影の周囲を旋回しながらドラグブラッガーは映像を見つめていた。
まるで死に行く契約者達の姿を見てほくそ笑むように唸り声をあげている。


黒い影(お前は早く契約者を見つけこい。お前を除き、全ての契約者は揃ったのだ)

黒い影(余計な邪魔が入る前に、戦いを終わらせなければならない)


既に殆どの契約者は決まり、至る所で契約者バトルが始まっている。
だが契約モンスターに選ばれたミラーモンスターの中でドラグブラッガーだけは
未だに契約者を見つけ出せないでいた。
ドラグブラッガーは好き嫌いが激しいために、彼の食指に合う契約者で無ければ
一向に契約するつもりは無いのである。


黒い影(サバトと同じ失敗を繰り返す訳には行かない)

黒い影(何としてでも蘇らせてみせるぞ……暦)

オーディン()


ミラーワールドの案内人である黒い影にも願いは存在している。
願いを叶える為に用意された契約者、オーディンを従え、ただ期を待つのであった。


349 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/15(土) 21:27:04.65 ID:1o2Zwag/0
橋の下


真琴「あれ?おっちゃーん!……ねえ、この辺に住んでたおっちゃん知らない?」

ホームレスA「そういや最近見ないねえ」

ホームレスB「どこか仕事先でも見つかったんでべか?」

真琴「そっか、ありがと。じゃまたね〜」

真琴「仕事が見つかったんだとしたら喜ばしいわね。私も頑張りますか」



魔法の国、戦極凌馬の研究所


魔法少女「これが笛木の研究所から発見された資料です」

凌馬「ご苦労様、君達の働きで得た情報は私が有効に活用しよう」

魔法少女「大変だったんですよ。いきなりアラームが鳴ったと思ったらカプセル内のファントム達が動き出したり」

魔法少女「ファントムを捕食する別のファントムが乗り込んで来たりでもう……」

凌馬「私が言った通り、魔王塾から用心棒を雇って正解だったでしょ」

魔法少女「それはそうですが戦いの余波で怪我人も出たんですからね」

凌馬「ふむふむ……ほう、これは興味深い……」

魔法少女「駄目だ。資料を読むのに夢中になってる。では失礼します」


資料にはミラーワールドの情報が書かれていた。
凌馬は最初、ミラーワールドは笛木によって作られた世界だと想定していた。
事実は違っていた、ミラーワールドは遥か昔から存在していた。
どうして存在しているのかは笛木ですら掴めていなかったようだが
錬金術が栄えた時代には既に存在していたらしい。
つまり契約者バトルは昔から行われていたのだ。


契約者の力の研究資料にも目を通した。
そこは凌馬の好奇心を大いに刺激させた。
笛木は契約者を独学で開発、量産する事で願いを叶えようとしていたようだ。

350 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/15(土) 21:28:02.17 ID:1o2Zwag/0
凌馬(なるほど、白い魔法使いは元々、仮面契約者の構造を参考にして開発されていたのか…)

凌馬(ファントム同様に人工的にミラーモンスターを製造すれば、契約者の力を得る事も理論上は可能)

凌馬(それがオルタナティブ計画か。非常に面白い……)


笛木の資料が確固たる証拠となりミラーワールド内で行われている契約者バトルの存在は
より明白に知られることになった。
しかし良いニュースばかりではない、契約者バトルによって一人の魔法少女が命を落とす惨事が起こった。
上層部は速やかに事件を解決するべく、対応を急がせたのであった。


ブラッドレイ「ケイネス君、お主は依然、N市の事件に関わりがあり現地の魔法少女達とも親しい立場だ」

ブラッドレイ「此度の事件の調査及び解決の任を命ずる。大変だろうが頼むぞ」

ケイネス「はっ!必ずや任務を遂行してみせましょう!」

ケイネス(この任務、例え命じられなかったとして、志願してでも私は参加するつもりだ)

ケイネス(こんな事、暦が望むとでも思っているのか?笛木め……)


笛木の蛮行を知り、怒りを燃やしながら廊下を歩くケイネス
彼の行く先を待ち受けるように戦極凌馬は立っていた。
ケイネスと対照的に凌馬はとても嬉しそうな表情をしている。


凌馬「やぁケイネスさん、またN市に行くようだね」

ケイネス(毎度毎度、耳が早いことだ)

凌馬「この先、契約者との戦闘もあるだろう、このエンブレムを受け取りたまえ」

ケイネス「貴様の力を借りたくないんだがな」

凌馬「まぁそう言わずに、これは身に着けてるだけで他の契約者の存在を探知できる道具なんだ」

凌馬「残念ながらミラーワールド内に侵入する効果は付属できなかったが外の世界で戦うなら問題無いだろう」

ケイネス「……分かった。ありがたく使わせてもらおう」

凌馬「理詰めで説明すれば聞き入れてくれる、その冷静な判断力は好きだよケイネスさん」

ケイネス「随分楽しそうじゃないか。こんな事態になっているというのに」

凌馬「『こんな事態』だからだよ、そうでも無ければこういった研究はとても出来ないからね」


ミラーワールドなんて本来なら禁忌として研究するだけで処罰される案件である。
今は事件の対応の為の解析として許されているだけなのだ。
賢者の石、聖杯など悪用すれば世界を傾けるような危険な物は存在するべきではない。
魔法の国ではそれが信条とされている。
事実、800年前にはとある小国の錬金術師達が作り出した兵器を用いて
神になり世界を支配しようとした王が存在した事件も起きていた。


凌馬「もしそんな法が生まれずに聖杯なんて作られていたらケイネスさんも戦死しただろうね。あっっっっっさりやられて」

ケイネス「喧嘩売ってるのか?お前は」

351 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/15(土) 21:28:37.06 ID:1o2Zwag/0
その頃、王結寺では


ウィンタープリズン「私を呼び出して何の用だ?」

ルーラ「単刀直入に言うわ、貴女、私に協力しなさい」

ウィンタープリズン「悪いが君達に手を貸す暇は無い」

ルーラ「貴女は私達に借りがあるわよね、それを返す義務があるわ」

ウィンタープリズン(透明外套の件か)

ルーラ「心配しなくても時間は取らせない、一度ミラーワールドの案内をするだけでいい」

ウィンタープリズン「……それだけで済むなら手を貸そう」

ミナエル「張り切ってるね〜ルーラ」

ユナエル「この事件を解決するのはルーラチームだ!って言ってるもんね〜」

たま「でもでも……ラ・ピュセルが死んじゃったんだよ……私達で出来るのかな?」

スイムスイム「大丈夫、ルーラの言う事に間違いは無い」


N市の魔法少女達に最初の任務が届いた。
ミラーワールド事変を解決せよという指令だ。
それを受けて真っ先に行動を開始したのはルーラチームだった。
契約者であるウィンタープリズンの力を借りてミラーワールドへの侵入を試みるのであった。


ルーラ(ファントム事件ではそれほど目立った活躍は出来なかったけど)

ルーラ(今度こそ私達チームの有能さをアピールする時よ!)

ミナエル「すっごいやる気だねルーラ、目が炎になってるよ」

ユナエル「やる気満々だねー」

スイムスイム「ルーラ、素敵」

たま「大丈夫かな…」

352 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/15(土) 21:29:24.58 ID:1o2Zwag/0
ミラーワールド


ウィンタープリズン(着いたぞ。どこに敵が潜んでいるか分からない、迂闊に動き回るなよ)

ルーラ(任せなさい、渡された情報はしっかり目を通してあるわ)

たま(ルーラ!あれ……)

ゾルダ(おやおや、魔法少女がこうもごちゃごちゃと、うっとおしいねぇ)


ルーラチームは緑の装甲を身に纏った契約者ゾルダと遭遇する。
ゾルダは魔法少女達に向かってマグナバイザーを構えると引き金を引いた。


ミナエル(うわぁ!撃ってきた!)

ユナエル(ルーラ、どうする?)

ルーラ(昨日伝えた作戦通りにやるわよ。スイムスイム!)

スイムスイム(……)

ゾルダ(蜂の巣になりなよ)ズドドド

スイムスイム(効かない…)

ゾルダ(ちっ、面倒だな)


『シュートベント』


ゾルダの両肩にビーム砲『ギガキャノン』が装着される。
両肩から放たれたビームがスイムスイムに向かって放たれた。


スイムスイム(ぐっ…!?)

ゾルダ(どうやらこの攻撃は通じるようだね。決めさせてもらうよ)

ミナエル(させるかぁー!)

ユナエル(うちのスイムスイムに何すんだてめー!)

353 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/15(土) 21:29:51.94 ID:1o2Zwag/0
バグに変身したミナエルがチェーンソーでゾルダの身体を斬り裂き
チーターに変身したユナエルが爪や牙を用いて飛びかかる。
二人の攻撃でひるんだゾルダだったが、重戦車のような装甲と火力を持つ彼に対して有効打にはならず
双子天使の動きを見切って迎撃していった。


ミナエル(わぁー!)

ユナエル(きゅう……)

ゾルダ(まぁ君達にしては頑張った方なんじゃないかな)

たま(えーい!)

ゾルダ(何!?)


突如、地面に大穴が開いた。
ゾルダは穴に落ちる寸前に飛ぶことで地面を掴んでよじ登る事に成功した。
よじ登った先には透明外套を身に纏ったルーラが先回りしていた。


ルーラ(ルーラの名の元に命ずる)

ゾルダ(いつの間に…!)

ルーラ(降伏し貴方の持つ個人情報を全て教えなさい!)

ゾルダ(誰がそんな事……俺の名前は北岡秀一、30歳、仕事は弁護士をしている)


彼の意思とは裏腹に名前、住所、連絡先などあらゆる個人情報が
包み隠す事など全て防露されていった。


ウィンタープリズン(なかなか恐ろしい魔法だな。ルーラは)

ゾルダ(くそ!何で俺がお前らにそんな情報を……)

ルーラ(これで目的は果たしたわ。次は外の世界で会いましょう)

ゾルダ(何だって!?)

ルーラ(お前ら、退散するわよ。じゃあ外への案内頼むわねウィンタープリズン)

ウィンタープリズン(分かった)

スイムスイム(ごめんなさいルーラ、途中でやられちゃって)

ルーラ(気にするな。それぐらいの事故は想定範囲内だ)

ミナエル(それにしてもスイムスイムにもすり抜けない攻撃があるんだね)

ユナエル(ビーム系の攻撃は当たるっぽいね)

たま(でも大きなケガしなくて良かったよ)

354 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/15(土) 21:30:23.07 ID:1o2Zwag/0
北岡の家


ウィンタープリズンの手引きでミラーワールドから脱出したルーラチームは
仮面契約者ゾルダの装着者である北岡秀一の自宅へと早速訪問するのであった。


ピンポーン

ルーラ「先ほど貴方と戦った魔法少女よ。入れてちょうだい」


インターホンからルーラが名乗りあげ、数秒経ってからドアのロックが解除された。
ルーラ達の侵入が許可されたのだ。


ルーラ「お邪魔するわよ」

北岡「いらっしゃい、魔法少女さん達」


北岡はランチを取っていた。
ランチと呼ぶには豪華すぎるフレンチで
フォアグラを重ねたステーキの上にたっぷりと生ウニがかかっている。
双子天使が「お゛い゛し゛そ゛う゛」言いながら唾を飲んでいる。


ルーラ「…………っ!!」


ルーラは一瞬、心を奪われかけた。
今まで出会った人間の中で北岡は最も整った容姿をしていたからだ。
すらりとした長身で小さな顔、彼自身が美術品と呼んでも過言ではない綺麗な造形をしている。
外見だけでなく立ち振る舞いや仕草の全てが気品に満ちており、生まれ持った資質の違いを理解させられた。
容姿端麗とされる魔法少女達ですら、彼の持つ美しさの前では引き立て役に落ちてしまう。
それが北岡秀一である。

355 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/15(土) 21:31:45.75 ID:1o2Zwag/0
ルーラ「単刀直入に言うわ。私達は契約者バトルを阻止するために来たの」

ルーラ「だから貴方もすぐに戦いを棄権する事、いいわね?」

北岡「悪いけど、それは出来ない相談だね」

ルーラ「どうして?他の人を殺してまで叶えたい願いがあるって言うの?」

北岡「ああ、あるね」

たま「自分の願いの為に人を殺すなんてそんなのよくないよ…」

北岡「世の中にはね。正しい事なんか何も無いんだよ。犬のお嬢ちゃん」

ミナエル「こんな何でも買えそうな良い暮らししてる癖に何が欲しいんだよ!」

ユナエル「欲しいんだよ!」

北岡「確かに俺は何でも持っている、見ての通り容姿端麗、頭脳明晰、年収も君達より遥かに多いだろう」

北岡「彼女も8人ほどいて、そっちの方面でも全く不自由していない」

北岡「父方のご先祖は旧華族の出身で血筋も申し分ない」

北岡「仕事も順調で若手弁護士の中では間違いなく俺がナンバーワンだ」

北岡「人は俺を天才と言うが俺に言わせればそれはまだ控えめな褒め言葉で本当は大天才と言って欲しい」

北岡「そんな完璧な俺でさえも一つだけ手に入らない物があるから俺は契約者になったんだ。それは」

ルーラ「永遠の命、とでも言った所かしら?」

北岡「君はなかなか冴えてるね、俺という存在はこの日本にとって、いや世界にとって多大な価値のある宝だ」

北岡「たかが十数人の命でそれが存続出来るなら、これ以上に無いほどお得な条件じゃないか」

北岡「理解出来たなら、君達も俺が勝ち残る為に協力してくれるとありがたいんだけどね」

ルーラ「それは出来ないわね。魔法少女としての任務が最優先よ。長生きしたかったら健康にでも気を遣う事ね」

北岡「…交渉は決裂か」

吾郎(…………)

たま「ひっ!」


北岡の秘書兼執事兼料理人の由良吾郎が北岡を庇うように魔法少女達の前に現れた。
たまが小さな悲鳴をあげる、それは無理もない事であった。
ルーラが今まで出会った人間の中で、最も醜い容姿をしていたからだ。
その醜い風貌から発せられる威圧感は魔法少女ですら怖気づいてしまう。
吾郎の顔をより不気味に見せているのは紫色の分厚い唇だった。
吾郎は喋る事が出来なかった、その唇は金色の糸で縫合されていたからだ。

356 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/15(土) 21:32:54.97 ID:1o2Zwag/0
北岡「大丈夫だよ。下がって吾郎ちゃん」

吾郎(はい、先生)

北岡「このまま突っぱねても、また君達が妨害するだろうし」

北岡「俺の言う条件を聞き入れてくれたら、俺も契約者バトルを諦めるよ」

ルーラ「何?その条件って」

北岡「俺はある契約者に手を焼いていてね、そいつに契約者バトルを諦めさせるよう説得出来たら君達に従おうじゃないか」


そう言って北岡はメモとペンを用意してさらさら〜と住所と行き方の地図を書いてルーラに手渡した。


ルーラ「山に住んでいるの?分かったわ、その代わり約束を違えたら」

北岡「約束は守るよ。なんなら誓約書でも作ろうか?」

ルーラ「そこまではしなくていい。行くわよ貴女達」

スイムスイム(……なんかこの人、嫌い)


その後


吾郎(先生が渡したメモに書かれてる人って…)

北岡「浅倉威だよ。あの怪物を説得なんて俺でも不可能さ」

北岡「魔法少女達が浅倉をどうにか出来ればそれで良し、魔法少女達が殺されたとしても煩いのが消えるだけってね」

吾郎(先生……素敵です!)

357 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/15(土) 21:34:11.12 ID:1o2Zwag/0
今回はここまで

スイムスイムが北岡先生の事嫌いなのは
「お姫様ってのはさ…お姫様になろうとした瞬間に失格なのよ、つまりお前は最初っからアウトって訳」
と煽りそうな人だから


契約者紹介

仮面契約者 ゾルダ
装着者 北岡秀一

魔法
様々な重火器が使えるよ

魔法説明
火力に物を言わせた強力な武器を駆使して戦うことが出来る。
遠距離攻撃は勿論の事、近接用の武器や盾も装備可能。
特にファイナルベントは契約者の中でも最大火力を誇る。
ただしモンスター以外の殺傷率は物凄く低い。
358 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/18(火) 13:07:57.74 ID:+9mlcSVz0
北岡に渡された地図の場所


たま「うわぁ!ムカデふんじゃったぁ!」

ミナエル「うぎゃー!クモの巣引っかかった!」

ユナエル「本当にこんな山奥に人が住んでんのー?」

ルーラ「取り合えず行って見ないと判断は出来ないわね」

スイムスイム「もし嘘だったらあいつ許さない」



浅倉「……」ZZZ

ミナエル「寝てる、こいつが契約者」

ルーラ(どこかで見たような……)

ユナエル「おーい!お前起きろー!」

たま「きゃあ!!」

ルーラ「どうした、たま?」

たま「あ、あれぇ……」


たまの指した方向には焚き木の上に渡された鉄串があった。
鉄串には三匹の犬の首が刺さっていて、周辺には肉のこびり付いた無数の骨が散らばっている。

359 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/18(火) 13:08:30.66 ID:+9mlcSVz0
スイムスイム「あの人、犬食べた?」

ミナエル「うげげげぇ〜」

ユナエル「おい!犬食い男!早く起き」ガシ

浅倉「なんだぁ?お前ら……」

ユナエル「ギャー!!放せぇー!!」

たま「ユナちゃん!」

ルーラ「私達は契約者バトルを止めるためにやってきた魔法少女よ」

ルーラ「貴方は契約者ね?速やかに戦いを中止するよう伝えに来たの」

浅倉「魔法少女……?はははぁ……お前達もそうか」


浅倉は彼女達を見て乾いた嗤いを響かせながら掴んでいたユナエルの腕をやっと放した。
人間と魔法少女の身体能力には格差が有るはずなのにユナエルの腕に痣が出来ていた。


浅倉「なぁ、魔法少女。俺を楽しませてくれ、血の匂いを嗅がせてくれ」

ルーラ「何を言って…」

浅倉「変身」

王蛇「俺を楽しませろぉ!うがぁぁぁぁ!!」


獣が吠えた。
最初に戦った魔法少女であるウィンタープリズンは中々愉しませた。
こいつらもきっと愉しませてくれるだろう。

360 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/18(火) 13:09:08.47 ID:+9mlcSVz0
たま「きゃあああ!!」

ミナエル「こいつヤバいよ!説得なんて無理だって!」

ユナエル「やっちゃおう、やっちゃおう」

ルーラ「仕方ない、行くわよ!」

スイムスイム「ルーラの障害になる者は取り除く」

『ソードベント』

王蛇「はっはぁ!」


スイムスイムの放つ鉄球をベノサーベルで弾きながら王蛇は接近した。
ベノサーベルの振るった一撃がスイムスイムの体をすり抜ける。


王蛇「あぁ?」

スイムスイム「いま…」

王蛇「ごふっ……くくっ…はははっ……」


すり抜け魔法によって出来た隙を付いてスイムスイムは王蛇の首めがけて手刀を突き刺した。
一瞬よろける王蛇であったがさほどダメージを受けている様子は無い。
嗤いながら大口を開けた王蛇の口内から酸の霧が放出され、周辺の木や草が枯れていく。


ミナエル「ううっ……なにこれぇ……」

ユナエル「体がひりひりするよぉ……」

スイムスイム「――ッ!?」


霧で王蛇の姿が見えなくった瞬間、スイムの背後から強烈な一撃が入り倒れる。
彼女達に気取られないよう気配を消した王蛇による攻撃である。
倒れたスイムの頭をかち割るように振ったベノサーベルの攻撃を魔法で回避する。

361 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/18(火) 13:10:07.98 ID:+9mlcSVz0
スイムスイム(攻撃のタイミングさえ分かれば避けられる)

王蛇「っはぁ!!」

ミナエル「うぎっ」

ユナエル「ぎゃふっ」


スイムスイムを狙った所を見計らって奇襲した双子の攻撃も回避され
カウンターの斬撃が双子を叩き落した。


王蛇「ぷんぷん臭うんだよ……糞の臭いがよぉ!」

ルーラ「がっ……」


ベノサーベルの突きが透明外套ごとルーラの体を突き刺した。
姿を消した所で王蛇の異常な嗅覚から身を隠す事が出来なかった。


王蛇「もっと、もっと俺を楽しませろぉ……」

たま「うわああああああああああ!!!!」

王蛇「ははぁ…」


仲間達が次々とやられていく中でたまは勇気を振り絞って王蛇に向かって飛び出した。
腕を振り下ろすも回避され、爪は王蛇に当たる事なく、地面を斬り裂いて無駄な穴を作った。
地面にすっころんだたまの腕を掴むと王蛇は唾液を撒き散らしながら耳まで裂けた王蛇の口が開く


たま「いや、いやああああああああああああああ!!!!」


たまの悲痛な悲鳴が響き渡った。
王蛇はたまの右腕に噛み付いたのだ。
サメのようなギザギザの牙が、たまの腕の肉に食い込んでいく。
みしみしと骨が軋み、溢れ出る血をすすり上げる。

362 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/18(火) 13:11:19.94 ID:+9mlcSVz0
たま「はなして!!はなしてぇえええ!!」

スイムスイム(たまを助けないと…)


ぶちっ


王蛇「くちゃくちゃ……ブフゥ――!!」

スイムスイム「うっ」


王蛇は食い千切ったたまの肉片を咀嚼して毒霧のように吐き出した。
スイムスイムの顔面に吹きかけて視界を奪う。
その瞬間、ベノサーベルの斬撃を受けて腹部が斬り裂かれる。


スイムスイム(ルーラだけでも……守らないと……)

スイムスイム(それがお姫様に仕える者の役目……)

王蛇「まだだ……まだやりたりねえ……もっと戦え!!」


全員満身創痍のルーラチーム、その中でルーラだけでも生かそうとスイムスイムは立ち上がる。
そんな彼女の望みを容赦無く打ち砕こうと接近する仮面契約者王蛇。
腹部からの出血が激しく、魔法の発動も困難なスイムスイムに向かって王蛇はベノサーベルを振り上げた。


『フリーズベント』


王蛇「ああっ!?」

???「魔法少女達、逃げて」

スイムスイム「貴方は……?」

???「早く逃げた方がいいよ」

ミナエル「助かったぜ、見知らぬ人」

ユナエル「見知らぬ人、マジクール」

たま「あ、ありがとうございます!」


ルーラチームのピンチに突如現れた契約者。
ダメージが大きく自力で動けないルーラをお姫様だっこで抱えた彼を見て
何故かスイムスイムは童話に登場するお姫様を救う存在を思い出していた。


スイムスイム「王子様……?」

???「……君も動けないみたいだね。掴まって」

王蛇「待てぇっ!まだだ!もっとやらせろぉ!!がぁあああ!!」


王蛇の口から酸が垂れ流しになっている。
自分の体が酸で焼かれようとも凍結の拘束を外そうとしていたのだ。
ルーラチームを救った契約者は右手にルーラを、左手にスイムスイムを抱えて急いで下山した。

363 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/18(火) 13:15:10.80 ID:+9mlcSVz0
今回はここまで

この浅倉は小説版設定だからTV版よりもやることエグイ
凶悪な犯罪者から魔法少女達を救った契約者は正に英雄に相応しい行為です
364 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/20(木) 17:58:35.67 ID:kbv0Co5T0
英雄

それは優れた能力を持ち、偉業を成し遂げた人物を指す言葉である。


創作物では正義のヒーローが悪の秘密結社と戦い
勇者が魔王と戦い、勝利して世界に平和をもたらした人物が英雄視されている。
また現実の逸話においても戦争で国を勝利に導いた人物が英雄として評価されている。
彼ら、英雄の武勇伝は多数の人間の心を動かし、尊敬されていった。


東條 悟
彼もまた、英雄達の武勇伝に心躍り、魅了された人間である。
幼い頃から勇者が魔王を倒すRPGにのめり込み
特撮ヒーロー物のビデオが擦り切れるほど視聴を繰り返した。


東條母「あらあら、悟ったら本当に英雄物が好きね」

東條「だって英雄って凄いんだよ!皆の為に悪い奴をやっつけて困ってる人達を助けるんだ」

東條「僕もそんな英雄になって街の平和をまもりたーい!!」

東條母「そうね、悟が良い子にしてたらきっとその願いは叶うわよ」

東條「うん!!僕、良い子になって英雄になるよ!」

365 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/20(木) 17:59:13.38 ID:kbv0Co5T0
東條は英雄を目指すようになった。
木の枝を拾っては修行と称して、必死に枝を振るって強くなろうとしたり
近所の子供達と勇者ごっこで遊んだりもした。


東條「怪人め〜!覚悟しろー!!」

リュウタロス「うわ〜やられた〜」

ロストアンク「おのれ〜勇者め〜」

ドラス「覚えてろ〜!」

東條「もう一回、勇者ごっこしよー」

リュウタロス「悟くんばっかり勇者役やってずるいー!」

ロストアンク「もう怪人役飽きたよー」

ドラス「僕達にも勇者役やらせてよー」

東條「えー、皆は怪人役の方が似合うよー」

リュウタロス「そんなのつまんないよ、僕お家帰る!」

ロストアンク「僕もコアメダル探さなきゃ」

ドラス「お兄ちゃん探しに行こうっと〜」

東條「皆、行っちゃった……つまんないの」


東條は思いやりに欠ける部分があり、自分の目的の為なら他人を考慮しない性格だった。
そのせいで友達は少なく、自分の殻に籠りがちになっていった。
小学校を卒業をしても英雄願望は一向に消える事無く、中学、高校と進んでもそれは変わらなかった。


東條「英雄……英雄にさえなれば、皆が僕を見直して僕の事を好きになってくれる筈……」

東條「だけど、どうすれば英雄になれるんだろう?」

366 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/20(木) 18:00:13.51 ID:kbv0Co5T0
この現代社会では世界征服を企む悪の秘密結社も、人類を滅ぼそうとする魔王も存在しない。
英雄とは主に、戦いの中で生まれる存在であるが倒すべき敵がいない。
東條は英雄になれる方法が見つからないまま月日が流れた。


N市にある都市伝説が流れた。
魔法少女という人助けを繰り返す正義の味方の存在。
それが彼の心を動かした。


東條(魔法少女……皆が彼女達を噂して褒め称えている)

東條(彼女達こそ、この世界の英雄と言える存在なんだ)

東條(でも魔法少女って女の子がなる存在だから僕には無理だ……)


特撮ヒーローが大好きだが魔法少女物には関心が無い東條。
それでも彼女達の生き様は自分が英雄になる為のヒントがあるかもしれない。
東條は魔法少女と接触するべく噂を頼りに探し回った。


東條(どこにいるんだろう……魔法少女)ゴツン

綾名(…………)

東條「大丈夫……だよね?」

綾名「…………」コクリ


結局、魔法少女は見つからなかったが奇跡は起こった。
ミラーワールドの世界へ入った僕は仮面契約者タイガになり
願いを叶える為の力を手にした。

367 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/20(木) 18:00:44.87 ID:kbv0Co5T0
タイガ「これが……僕?」

タイガ「すごい、すごいすごい!!かっこいい!!これだけの力があれば僕は英雄になれる!!」

タイガ「あははっ……はははははははは!!!!」


契約者になった僕は英雄になる為に他の契約者と遭遇し、戦った。
それで分かった事がある、他の契約者は皆、最低な連中ばかりだった。
正義の為に戦ってる契約者は僕だけ。
後は遊び感覚で戦っていたり、他人を陥れたり殺人を楽しむクズ達だ。
僕は理解した、彼らのような悪党を倒すために僕は契約者として選ばれたのだと。


僕以外に新たな契約者が生まれた。
都市伝説になった魔法少女達が契約者になってミラーワールドにやってきたのだ。
魔法少女達の目的は契約者バトルを止める事だと言う。
それが本当なら魔法少女達がいると僕の願いが叶わなくなってしまう。


でもあの極悪な契約者達と敵対して戦っている魔法少女達の方が正しいのではないか?
僕は真意を知る為に魔法少女と接触を図る事にした。
契約者バトルで勝ち残って願いを叶えるべきか、魔法少女達と協力して戦いを止めるべきか。


ついに発見した。
凶悪犯罪者である浅倉が魔法少女達と交戦をしていた。
浅倉は契約者の中でも最も凶暴で、魔法少女達が追い込まれている。
僕はすぐに魔法を使って浅倉の動きを止めて、その隙に魔法少女達と共に撤退した。
その後、僕は魔法少女達のアジトに案内してもらい、自己紹介を済ませた後、話をする事になった。

368 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/20(木) 18:01:27.84 ID:kbv0Co5T0
王結寺


ルーラ「……つまり魔法少女の事が知りたくて、私達と接触しようと考えたのね」

タイガ「うん、契約者バトルを止めようとしてるみたいだけど」

ルーラ「それが魔法の国から与えられた使命、私達はその為に動いてるのよ」

タイガ「……難しいと思う。戦いを放棄した契約者は死んじゃうから」

ミナエル「じゃあ邪魔する契約者みんなやっちゃおうよ」

ユナエル「お姉ちゃんさえてるぅ〜」

たま「乱暴だにゃ…」

ルーラ「それは最後の手段よ。犠牲者は双方共、最小限に抑えないと、んで、貴方は何の願いで契約したの?」

タイガ「僕は、英雄になるため」

ルーラ「英雄?」

タイガ「英雄は皆の憧れだから、英雄になれば皆が僕の事を好きになってくれる」


英雄?くだらない理由だとルーラは思った、だがそれを口に出すつもりは無い。
彼は本気で言っている、本気で目指している、そんな声をしていたからだ。
相手の意思が本物なら、誠意をもって答えなければならない。
それもルーラ(リーダー)の務めである。

369 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/20(木) 18:02:09.34 ID:kbv0Co5T0
ルーラ「だったら私が貴方を英雄にしてあげる」

タイガ「え?」

ルーラ「それだったら契約者バトルで願いを叶える必要は無くなるでしょ」

ルーラ「その代わり、私に協力しなさい」

タイガ「本当に?本当に僕を英雄にしてくれるの?」

ルーラ「私に二言は無いわ。貴方が立派な英雄になるまで最後まで面倒見てあげるわ」

タイガ「……僕はルーラに従うよ、それで英雄になれるなら何だってする」

ルーラ「決まりね。よろしく頼むわね東條」

ミナエル「ルーラチーム新メンバーいえーい!!」

ユナエル「いえーい!!」

たま「一緒に頑張ろうね」

スイムスイム「……よろしく」

タイガ「皆……よろしく」

ミナエル「ねえ東條、素顔見せてー」

ユナエル「見たい見たい!!」

ルーラ「貴女達ねぇ……」

タイガ「…いいよ」


タイガの変身が解除された。
ダウナー系の内気な表情をした青年の姿が現れた。
年上の女性に好まれそうな外見をしている。

370 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/20(木) 18:03:00.68 ID:kbv0Co5T0
東條「…………」

ルーラ(なかなか若いのね)

ミナエル「おお〜!結構可愛い顔してるじゃん!」

ユナエル「ねえ、君〜いくつぅ〜」

東條「……25歳」

ミナエル&ユナエル「ええーーーーーッ!?」

ルーラ(私より年上!?童顔過ぎるわよ……)

たま「驚きだにゃ…」

スイムスイム(東條……どこかで会ったような……)

東條「皆の事も知りたいな。魔法少女の事をもっと教えてよ」

ミナエル「私達の元の姿が知りたいって?でも私達って実はかなり美人だからぁ〜」

ユナエル「惚れちゃうかもよぉ〜東條くぅ〜ん」

東條「元の姿?」

ルーラ「魔法少女は仮の姿で中身は普通の人間なのよ。これは秘密だけどね」

東條「見たい」

ルーラ「それは駄目よ」

スイムスイム「魔法少女たるもの、誰にも正体を知られてはならない、ルーラが言ってた」

ルーラ「そうね、他者に知られるとそれが弱点に繋がるのよ」

東條(僕の姿は見せたのに……)

東條「もし知られたらどうするの?」

スイムスイム「正体を知られたら魔法少女失格になる」

ルーラ「だから変身を解除する時は慎重にやるのよ」

東條「そうなんだ。じゃあ見せない方がいいね」

ルーラ「今日はこれで解散にするわ。次の作戦はまた後日に連絡するわ」

ルーラ「皆はそれまでに安静をして傷の回復に専念しなさい」



371 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/20(木) 18:03:44.88 ID:kbv0Co5T0
ミナエル「今日のルーラはご機嫌だったね」

ユナエル「部下が増えたからかな」

東條「ルーラって凄い立派な人なんだね」

たま「うん、ちょっと怖いけどとっても優しいよ」

スイムスイム「ルーラはかっこよくてとても素敵な憧れのお姫様」

東條「スイムスイムはルーラに憧れてるんだ」

スイムスイム「うん、私はルーラみたいなお姫様になりたい」

東條「じゃあ一緒に頑張ろうね。僕は英雄に、スイムスイムはお姫様になれるように」

スイムスイム「……頑張る」

ミナエル「ヒューヒュー!」

ユナエル「二人ともお熱いね〜」

東條&スイムスイム「……?」

たま「ミナちゃんユナちゃん、からかっちゃ駄目だよぉ」

372 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/20(木) 18:05:09.83 ID:kbv0Co5T0
今回はここまで


ソラ×リップルも好きだがスイムスイム×タイガタイガも好き(カプ厨並みの発想)
ファントム編では因縁のキャラがおらず空気だったルーラチームもこれから目立ちそうです


契約者紹介

仮面契約者 タイガ
装着者 東條悟

魔法
相手を動けなくするよ

魔法説明
発動と同時に対象の敵の肉体を凍結する。
魔法の性質上、回避行動は不可能であり
対応策を持たない場合、一方的に相手を攻撃する事が出来る。

373 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/22(土) 13:43:27.68 ID:FJmm7yKE0
とある田舎のアパート


浅倉母「……ごめん……ごめんねぇ…」


浅倉威は糞尿の中から生まれた。
N市から遠く離れた田舎のアパートで一人暮らしをしていたまだ高校生の母親は
村のほとんどの男と関係を持ったせいで父親の分からない浅倉を汲み取り式の共同便所に産み落とした。
浅倉は夥しい糞尿の中で産声を上げた。


浅倉「おぎゃあ!おぎゃあ!」

浅倉「ふぎゃあ!!あううう!!んぎゃあ!!」

浅倉母「うう……ごめんなさい……ごめんなさい……」


便所の中に放置された浅倉は三日間、泣き続けた。
母親は頭から布団を被って耳を塞いで謝罪を繰り返した。


四日目……


浅倉母「……はぁ、やっと、終わった……」


便所から浅倉の泣き声が聞こえなくなり、母親はほっと胸を撫で下ろした。
浅倉の声を聞きながら眠らなければならない悪夢は終わったのだ。

374 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/22(土) 13:44:01.24 ID:FJmm7yKE0
七日目……


ズルリ……ズルリ……


浅倉母「ん……何?何の音?」


ズルリ……ズルリ……


浅倉母「ひっ!?」


七日目の夜中、奇妙な音を聞いて母親は目を覚ました。
窓からの月明かりに照らされた黒い塊がスルッズルッと畳の上を這ってくる。


浅倉母「んごぉっ!?」

浅倉母(こ、これは……)

浅倉「あう〜」


恐怖で動けなくなった母親の口にその黒い塊が頭を突っ込む。
その時になって母親はそれが糞尿に濡れた浅倉であることに気がついた。
浅倉は糞尿を食べて生き残り、汚物タンクを這い上がって母親の元にやって来たのだ。
浅倉はもう一度胎内に戻ろうとするように母親の口から食道を通って胃袋に落ちて体を丸めた。


浅倉母「ひぐっ、痛、や…やめっ…いぎ…ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

浅倉「はふぅ…」


だが、すぐに息苦しくなって母親の腹を引き裂いて顔を出した。
こうして浅倉は自らの力で第二の誕生を完遂した。
浅倉は生まれた時から怪物だったのだ。


母親の死体を発見したのはアパートの大家だったが
駆けつけた駐在も死体の傍ですやすやと眠っている赤ん坊が犯人だとは想像すらできなかった。

375 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/22(土) 13:45:06.87 ID:FJmm7yKE0
児童養護施設


その後、浅倉は施設に引き取られた。
浅倉が6歳になって次の惨劇が起こった。


莉奈「ねえたけしくん、一緒に遊ぼう!」

浅倉「…………」

男の子「無理だよ。りなちゃん、たけしの奴、誰とも遊ぼうとしないんだぜ」

莉奈「えー、でもぉ…」

男の子「今夜はりなちゃんの誕生パーティーなんだよな、今の内に沢山遊んでお腹空かせようぜ」

莉奈「うん!じゃあ鬼ごっこしよー」

男の子「わーい!」

浅倉「…………」

浅倉(あっちいけよ!俺の顔にくっつくなよ!)


浅倉は、浅倉にしか見えない黒い手と戦っていた。
黒い手は無数の蝶のようにいつも浅倉のまわりを浮遊していた。
そして次々と舞い落ちて浅倉の口を、鼻を塞いだ。
黒い手は糞尿の匂いそのものだった。
その匂いがギュッと凝縮され、黒い手になって襲い掛かる。
この世界は糞尿の匂いで充満していた。


誕生日パーティーが終わり、その夜……


莉奈「すやすや」

浅倉「…………」シュ

莉奈「うっ!?」ブシャアア


台所から包丁を持ち出して部屋に忍び込んだ浅倉は莉奈の腹を裂いた。
殺した相手にはこれと言った特別な理由があったわけではない。
強いて言えばその日が莉奈の誕生日だったからだ。


浅倉「っ!?ああ……」

浅倉(糞の匂いが消えた……黒い手はどこにもいない……)


莉奈の体から噴き出した鮮血が無数の黒い手を消し、糞尿の匂いが霧散した。
血の香りが糞尿の匂いを駆逐したのだ。
しばらくの間、浅倉は陶然としてその場で深呼吸を繰り返した。

376 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/22(土) 13:46:30.94 ID:FJmm7yKE0
朝になり……


指導員A「おーい、朝食の時間だぞー莉奈……うわああああっ!!」


死体を発見した指導員はそのあまりの惨たらしさに卒倒した。
死体はほとんど原型を留めず、夏の日の庭に水を撒くように
血や内臓がそこら中に散っていたからだ。
警察は指導員による快楽殺人を疑い尋問を繰り返したが
決定的な証拠を得ることなく外部からの侵入者の犯行と結論した。


また他の児童が誕生日をを迎えた日、浅倉は同じ手口で部屋に内臓をばらまいた。
再び施設は騒然となったが、この時は指導員の一人が浅倉に疑いを向けた。


指導員A「ん?」

浅倉「…………」

指導員A「威、その口に付いてる血はなんだ?」

浅倉「あぁ…」ザシュ

指導員A「ぐっ…うぎゃあああ!!」

指導員B「なんだ!?」

浅倉「はっ」ドス

指導員B「がふっ…」

浅倉(…もうここにはいられない)


隠し持っていた包丁で指導員達を殺害した浅倉は施設から姿を消した。


それから月日は流れ、浅倉は住処を変えながら殺人を繰り返していた。
血の匂いが黒い手を消し、糞尿の匂いから解放されるがそれも一時的な効果に過ぎない。
また黒い手が現れて、浅倉を掴んでくる。


浅倉の殺人衝動は止まらない。
25歳になり警察によって逮捕され、二度と凶行は繰り返されないと思われたが
仮面契約者となって脱獄し、いよいよ警察ですら手の負えない獣となった。

377 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/22(土) 13:47:35.27 ID:FJmm7yKE0
そして現在
魔法少女達との戦闘を繰り広げながらも未だに生存し血を求めていた。


クラムベリーの小屋


浅倉「……戦い足りねえ、ああっ!!」ガシャン


タイガによって戦闘を中断され、フラストレーションを溜めた浅倉は
小屋の中にあるピアノを素手でハンマーの様に拳を振り下ろして叩き壊した。


浅倉「つまらねえ、寝るか」

浅倉「…………」zzz


浅倉の夢の世界


浅倉「ここは……またか」


そこは汚物タンクの中である悪臭に満ちた世界だった。
この夢は何度も出てくる。
糞尿の匂いに満ちた世界で生きる浅倉の心情風景そのものだ。


ねむりん「うう、酷い匂いだね…」

浅倉「なんだお前?」

ねむりん「どうも〜、ねむりんで〜す」

ねむりん「君の事はニュースで見たよ〜」

浅倉(ムカつかせる喋り方だな)

ねむりん「それにお友達が言ってたよ。君は契約者なんだよね」

浅倉「ほう、それを知ってるって事はお前、魔法少女か」

ねむりん「契約者なんてやめて自首して罪を償おうよ。ね?」

浅倉「戦い足りなくてイラついてた所だ。俺と戦え……変身!」

ねむりん「ごめんね……ケガさせてでも君を止めさせるよ!」
378 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/22(土) 13:48:20.66 ID:FJmm7yKE0
『ソードベント』

王蛇「今度は逃がさず仕留めてやる」

ねむりん「うお〜!ねむりんキィーック!!」

王蛇「ぐっ…!?」

ねむりん「ねむりんび〜むっ!!びびびび」

王蛇「ごふっ…はははぁ、もっとだ!もっとお前の力を見せろ」

ねむりん「ねぇ、血がいっぱい出てるよ、痛いでしょ?もう降参しようよ」

王蛇「まだだ、まだ足りねぇ…もっと戦い続けろ!」

ベノスネーカー『この世界なら俺様に任せろ!早く召喚するがいい!』

王蛇(いいぜ、暴れて来い)

『アドベント』

ベノスネーカー「シャアアア!!」

ねむりん「うわぁ!何か出た〜」

ベノスネーカー「シャッ」

ねむりん「うわあああああ!!顔がぁ、焼けるよぉ…」


紫色の大蛇型ミラーモンスター、ベノスネーカーがねむりんの顔に酸を吐いた。
ねむりんの愛らしい顔がじゅううっと焼き爛れる。
すぐさま魔法を発動し、顔の火傷を治療しようとするが効力が薄かった。


ねむりん(なんで……?なんで魔法が効かないの?)


ミラーモンスターは眠らない。
眠っている相手には無敵の力を発揮するねむりんであったが
眠らずに夢の世界への介入を果たしたベノスネーカーはねむりんの魔法効果を無効化していた。


ベノスネーカー「シャアア」

ねむりん「あがっ!」


ベノスネーカーがねむりんの体に巻き付いて締め上げる。
ボキボキと音を鳴らしながら背骨をへし折った。

379 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/22(土) 13:49:37.58 ID:FJmm7yKE0
王蛇「あとは俺がやる」

ねむりん「ひゅぅ……ひゅぅ……痛いよぉ」

王蛇「くくく……死にな」

ねむりん「や、やめて……お願い、やめ、て……ひっ」


王蛇はねむりんのパジャマを掴んで引き裂いた。
ねむりんの体はパンツを一枚履いただけのほぼ全裸な姿で晒される。

ねむりん「いやぁ!もうやめてぇ、許して……あああああっ!!」


王蛇はベノサーベルを使ってねむりんの腹を斬り裂いた。
血がどくどくと溢れだし、ねむりんの目からは大粒の涙がこぼれる。


ねむりん「いたい!いたい!いたい!いたい!いた、い…ぎゃあああああああ!!!!」


腹の傷口から王蛇は手を突っ込んで内臓を掴むと、勢いよく引っ張り
ぶちぶちと体内で千切れる音を響かせながら腸を抜き取った。
おっとりとした性格のねむりんからとは思えないほどの大きな悲鳴が響き渡る。


王蛇「さぁ餌だ!食え!」

ベノスネーカー「ガツガツガツ」

ねむりん「…………」


自らの体内から抜き取られた腸を喰らうベノスネーカーの姿をねむりんはぼんやりと見ていた。
常人だったら既に絶命している負傷だが、魔法少女として生命力の強い存在であるが故、未だに生存していた。
だが、それはねむりんにとってただ悪戯に苦痛を長引かせるだけに過ぎない。


王蛇「美味そうに食うなお前……」

王蛇(そういや、あの犬の魔法少女の腕を食い千切った時、なかなかいい味がしたな)

王蛇(もしかしたら魔法少女は……)

ねむりん(来ないで……もう、これ以上ねむりんを傷付けないで……)

380 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/22(土) 13:50:31.08 ID:FJmm7yKE0
ぶちっ


王蛇はねむりんの右目に指を突っ込んで引き抜いた。
引き千切った眼球を口に含んで、少し舌で転がして楽しんだ後に噛み砕いた。
ぶちゅっと眼球が潰れて液体が口内に広がっていく。


王蛇「美味い、美味いなこれ……おい、お前も食ってみろ」


もう片方残っていた眼球も抜き取られてベノスネーカーの口へと投げ入れた。


王蛇(……まだある。他に美味い部分が)


獣の本能か。
とびっきりに美味い所がまだ食べられていないのを察知した。
ベノサーベルを持ち上げてねむりんの頭へと叩きつけた。
頭蓋骨を砕いて、頭の中へと手を伸ばすとそれは見つかった。


王蛇「はぁ……はぐっ、くちゃ…もにゅっ…ごくん」


灰色の脳を口に押し込んで咀嚼する。
とてつもなく濃厚な風味が舌を魅了した。
これはベノスネーカーにも渡せない味だ。
更に手を伸ばした王蛇は一欠片も残さず、ねむりんの脳を喰らいつくした。


王蛇「こんな美味い物を食ったのは生まれて初めてだ……もっと食べたい」


既にねむりんは息絶え、夢の世界は崩壊していく。
ミラーモンスターに近い特性をその身に宿し。
人の味を覚えた獣は、更に危険な存在へと変貌していった。


合歓宅


合歓母「合歓!凄い悲鳴が聞こえたけど大丈夫!?合歓!」トントントン


ガチャ


合歓母「――ッ!?いやっいやあああああああっっ!!ねむぅう!!いやああああ!!」


母親が見たものは、辺り一面に血が飛び散り、腹が引き裂かれ、腸は飛び出ており
両目がくり抜かれ、頭蓋骨が砕かれ、ぐちゃぐちゃになった脳味噌が滴り落ちた愛娘である合歓の姿であった。


ねむりん 死亡

381 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/07/22(土) 13:54:02.77 ID:FJmm7yKE0
今回はここまで

生後一週間で人殺せる小説版浅倉はそこらの怪人なら生身で倒せそう
ねむりんに関しては某ドーパントみたく眠らずに夢の世界に介入すれば対処できる理屈です
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/22(土) 21:31:42.81 ID:eVx2o5MXO
開始時は優しい世界だと思っていたのに、どうしてこうなった
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/26(水) 10:47:06.75 ID:otVKqF0t0
良くも!こんなキチガイ文章を!之はジェラル星人のせいに違いない!(意味不明)
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/27(木) 10:49:48.51 ID:DwyYjp8V0
この人は目玉くり抜き好きだな・・・(リップルでもやったし・・・)
所でクラムベリーが釈放されて展開が変わるとかアリか?
(戦闘強と言う意味で救いそう)
385 : ◆kJur2.rMxfRZ [sage saga]:2017/08/05(土) 08:52:32.05 ID:kP6mMz9l0
落ちないように1レスだけ書き込み
>>382
ウィザードならともかく龍騎と絡んだ時点で犠牲者は仕方無い

>>384
クラムベリーは後々出てくる
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/20(日) 11:07:45.84 ID:2LK/jOD70
お〜い!某所で完結されちゃいましたよ〜!
スレタイ変えてたのち続きをよろしくお願いします。(出来ればだけど・・・)
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/25(金) 11:40:58.48 ID:GiboZMKP0
そもそもアニメ事態がある意味でキチガイだから違和感ないぞ!泉研と思われる人よ(笑)
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 06:47:31.00 ID:d4gsmL4r0
あげ
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 06:53:12.05 ID:d4gsmL4r0
あげ
390 : ◆kJur2.rMxfRZ [sage saga]:2017/12/18(月) 19:21:08.48 ID:ngPZnzD60
次の日

クラムベリーの小屋


浅倉(腹が減った……)

浅倉(食い物は、干し肉と缶詰がある、それを食うか)ガツガツガツ

浅倉「うぐっ!げほっげほっ……なんだこの味は」


便所の中で糞尿を喰らい生存する程の異常な浅倉の適応力が
ミラーモンスターとの適合率を最大にまで高め
その結果、ミラーモンスターの特徴である『他者の命を喰らって強化する』性質を
偶然にも浅倉は引き継いでしまった。


ミラーモンスターは人間と同じ物は食べない。
浅倉はもう常人が食す物を胃に取り込めない体質に変化していた。
ならば浅倉が次に取る行動は決まっている。


山道


そんな凶悪犯罪者がこの山に潜伏してる事も知らずに
山菜採りを楽しみにやってきた親子がはしゃいでいた。


息子「父さーん、これ食べられる〜?」

父親「ああ、この山菜は鍋に入れて食うと美味いぞ〜」

息子「わーい♪」

浅倉「よぉ…」

息子「ひっ!」

父親「な、なんだね君は!」

浅倉「腹が減った」

父親「そうか、私達の弁当を渡す、だから近づくのはよせ!」

浅倉「弁当はいらねえ、その代わり」

父親「やめろ!離せ!」


浅倉が男の体を掴んだ、男は抵抗するが異常な力でとても振り切れない。
大きな口を開けた浅倉が男の喉元を噛み付き、食い千切った。


息子「うわあああああ!!父さーん!!」

391 : ◆kJur2.rMxfRZ [sage saga]:2017/12/18(月) 19:22:05.50 ID:ngPZnzD60
N市高校


カレン「ヘーイ、華乃ォ〜帰りにショッピング行きましょう!」

華乃「ごめん、最近は色々用事があるから」

カレン「そうですかー、じゃあ用事が終わったらまた一緒にお買い物するデース」

華乃「うん、終わったら必ず伝えるね」

烏丸先生「おい生徒共、最近物騒なニュースが多い、早く帰れよ」

男子A「はい!ヒット先生!」

男子B「分かりました!正座おじさん先生!」

男子C「レオイマジン先生も気を付けて〜」

烏丸先生「お前ら…ぶちのめすぞ」

和菓子「そういえば色々おっかないニュースが流れてるわよね」

こけし「刑務所から凶悪犯が脱獄したとか」

アリス「怖いですね…」

ココア「うう〜チノちゃんが心配になってきたよ〜」

陽子「なーに!もしそんな奴が現れたら私がぶっ飛ばすから心配すんな」

綾「もう陽子ったら、無茶しないでよ」

鬼島「陽子さんがいれば心強いですね。アタシも落語の小道具を買いたいのでご一緒させてもらいましょう」

陽子「いやいや、お前は男なんだから私達を守るぐらいかっこつけろよ!」

鬼島「アタシは喧嘩が苦手でしてね。荒事は陽子さんに任せます」

カレン「鬼島が蟹怪人になったら心強いのにデース」

こけし「大丈夫です いざって時は鬼島さんが狙われた所を見計らって逃げましょう!」

鬼島「えー……」

392 : ◆kJur2.rMxfRZ [sage saga]:2017/12/18(月) 19:22:38.32 ID:ngPZnzD60
小雪の家


小雪「…ぐすっ…そうちゃん……」ポロポロ

小雪「もう会えないなんて…やだよぉ…」ポロポロ

ドラグレッダー(いつまでメソメソしている?スノーホワイトよ)

小雪「…………」

ドラグレッダー(分かっているのか?ラ・ピュセルが死んだのは貴様のせいでもあるのだぞ)

小雪「…っ!」

ドラグレッダー(貴様が躊躇せずに手早くシザースを仕留めていればラ・ピュセルは殺されずに合流出来たかもしれなかった)

小雪「……黙って」

ドラグレッダー(いつまで塞ぎ込んでいるつもりだ?後手に回っている内にまた魔法少女の犠牲者が増えるぞ)

ドラグレッダー(こちらの犠牲者を減らす唯一の手段は他の契約者を殺害すること、それ以外には無い)

小雪「煩い」

ドラグレッダー(貴様に戦う意思が無いならハードゴア・アリスにでも契約を譲渡するがいい)

ドラグレッダー(あの娘なら貴様の為に命でも差し出すだろうな)

小雪「……悪魔」

ドラグレッダー(我は契約に基づいて行動しているだけに過ぎん、契約者を戦いに駆り立たせる為なら強引な手も使わせてもらう)


ppp


小雪「緊急連絡?……嘘、そんな…ねむりんが……」

ドラグレッダー(貴様が戦う事で救えたかもしれない魔法少女の命がまた一つ消えたな)

小雪「――っ!!」

ドラグレッダー(悲しいか?憎いか?ならばその感情を闘志に変えて戦え!スノーホワイト!)

ドラグレッダー(そうしなければ貴様の仲間達は次々に命を落としていくぞ!)

小雪「いい加減にして!私は契約者バトルを止めるために戦うの!」

ドラグレッダー(その虚勢がどこまで続くか、見ものだな)

小雪「……っ」

393 : ◆kJur2.rMxfRZ [sage saga]:2017/12/18(月) 19:23:16.44 ID:ngPZnzD60
その頃


北岡の家


ミナエル「北岡いないねー」

ユナエル「秘書もいないねー」

たま「引っ越したのかな?」

ルーラ「私達に捕まるのを恐れて逃げたんでしょ!馬鹿たま!」

たま「あうう……」

東條「北岡がルーラ達と浅倉を殺し合わせるように仕向けたんだね……許せない」

東條「あいつは口先で人を騙して、遠くから攻撃してくる卑怯な奴だから気を付けてね」

ルーラ「そうみたいね。次会ったら問答無用でとっ捕まえるわ」

東條「もしルーラが撃たれそうになったら僕が盾になるから…」

ルーラ「東條、あまり無茶な事はしないように、私のチームで死者なんて許されないんだから」

東條「はい」

スイムスイム(東條はルーラの忠実な王子様……やっぱりお姫様に王子様は似合う)

スイムスイム(シスターナナにはウィンタープリズン、スノーホワイトにはラ・ピュセルが傍にいたように…)ジィー

東條「どうしたの?」

スイムスイム「東條はルーラの事、好き?」

ルーラ「ちょっとこんな時に何言って」

東條「……好き」

たま「はわわ!」

ミナエル「わーお!」

ユナエル「言うねえ!」

東條「僕にこんなに優しくしてくれたのはルーラが初めてだから…」

スイムスイム「それならルーラの王子様になってほしい、お姫様には王子様が必要」

東條「それが英雄になる為に必要なら、僕は王子様になるよ」

スイムスイム「東條、ありがとう」

ルーラ「そこ!勝手に盛り上がってないで移動するわよ!」

ミナエル「照れてますなールーラ」

ユナエル「赤くなってますなールーラ」

ルーラ「そこの双子、黙れ!」


ppp


ルーラ「何よ……ってケイネスがこの街に?丁度いいわ東條、他の魔法少女達に貴方を紹介してあげるわ」

東條「他の魔法少女……どんな人達か気になるかも……」

394 : ◆kJur2.rMxfRZ [sage saga]:2017/12/18(月) 19:24:16.56 ID:ngPZnzD60
集合場所


ケイネス「ラ・ピュセルとねむりんの事はとても気の毒だ、事態は想像以上に悪化しているようだな」

東條「あの人も魔法少女?」

ルーラ「彼は魔法使いだから違うわよ」

ケイネス「見ない顔がいるな」

ルーラ「彼は東條悟、私達に協力を申し出た契約者で味方よ」

スノーホワイト「契約者……」

リップル(私と同じか年下ぐらいの歳か?)

トップスピード「へぇ〜結構若い子が契約してるんだなぁ」

東條「僕、25歳だけど」

リップル「っ!?」

トップスピード「え?マジで!?見えね〜」

マジカロイド「合法ショタデスね」

ケイネス「我々は契約者に対する情報が不足している、取り合えず君達の知り得る情報を共有してもらおう」


情報の提示が始まった。
スノーホワイトは龍騎、ウィンタープリズンはナイト、ラ・ピュセルはファムとして契約したこと。
彼女達が接触した契約者はガイ、インペラ―、シザース、王蛇であること。
シザースはウィンタープリズンの手でトドメを刺したがラ・ピュセルとねむりんの死亡原因は不明であること。


ケイネス「ふむ、そうか辛かっただろうなスノーホワイト」

スノーホワイト「うう……」ポロポロ

アリス「スノーホワイトさん……」

東條「僕の知っている契約者はガイとインペラ―はよく一緒に行動をしている」

東條「特にガイは契約者バトルをゲームと呼んで遊び感覚で楽しんでるから絶対に降りないと思う」

東條「ゾルダは口がよく回って人をすぐに騙してくるから信用出来ない」

東條「現にルーラ達を騙して王蛇に襲わせてたから」

ウィンタープリズン「待て、ルーラ達は王蛇と戦っただと?どこで戦った?」

東條「山奥の方にいたけど……」

ウィンタープリズン「具体的な場所を教えてほしい、奴は私が倒さなければならない」

ルーラ「地図なら渡すから落ち着きなさい!」

東條「あの人どうしたの?」

ルーラ「彼女の大切なパートナーが浅倉に襲われたのよ」

東條「そうなんだ」

『復讐目的の為に戦うなんて英雄らしくない行動かも』

スノーホワイト(英雄?)

ウィンタープリズン「早速ですまないが先に失礼する」

ケイネス「おい待て!!仕方ないスノーホワイトとアリスの二人は後を追え!一人で行かせるのは危険だ!」

スノーホワイト「はい!」

アリス「分かりました」
395 : ◆kJur2.rMxfRZ [sage saga]:2017/12/18(月) 19:25:11.62 ID:ngPZnzD60
ケイネス「全く……続きを教えてくれ東條」

東條「他にはライアは契約者バトルを止めようと独自に行動していた」

東條「話し合えばきっと僕達に協力してくれるかも」

東條「それと魔法少女達による契約者バトルの介入を誰よりも先に知っていたのがベルデで」

東條「魔法少女の事をよく把握しているみたいだった、気を付けた方がいいかも」

ケイネス「そうか。貴重な情報をありがとう」

ミナエル「あれ?カラミティ・メアリいなくね?」

ユナエル「ほんとだ。いないし」

トップスピード「マジカロイドならメアリの居場所知ってるんじゃないか?」

マジカロイド「さぁ、ワタシにはわかりかねマス」


ドォォォォォン!!


たま「にゃ!?」

スイムスイム「爆発?」


離れた場所でテロか何かが起きたような爆発音が響き渡った。
音のした方向を見てみると大きな建物から煙が出ているのが見えた。


リップル「あの場所は……トップスピード!!」

トップスピード「しっかり掴まってろよ!飛ばすぜ!」

リップル(爆発の起きた場所はショッピングモール……あそこには私の友達が!!)


ケイネス「我々も後を追うぞ、契約者が暴れている可能性が高い」

ルーラ「ええ、行くわよ皆!!」

ミナエルユナエル「おう!」

たま「はい!」

スイムスイム「……」コクリ

東條「うん」
396 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2017/12/18(月) 19:30:44.52 ID:ngPZnzD60
ものすごく久しぶりの投下終了

ライアは良い奴です
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 11:31:17.93 ID:AnmaEjB+0
おぉ生きてたんですねぇ
398 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/10(土) 04:55:28.48 ID:GX+qw2sa0
山道

ウィンタープリズン「この辺りか」

スノーホワイト「ウィンタープリズンさん!待ってください!」

ウィンタープリズン「なぜ付いてきた?」

スノーホワイト「ケイネスさんが単独行動は危険だって…」

ウィンタープリズン「余計なお世話を」

アリス「……これは?」

アリスが発見したそれは地面や木々に飛びかかった血痕であった。
周囲を見渡すと何かが引きずられたような跡が地面に残っている。

スノーホワイト「まさか……浅倉が……」

ウィンタープリズン「……追うぞ、注意しろ」

399 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/10(土) 04:56:06.51 ID:GX+qw2sa0
クラムベリーの小屋


ウィンタープリズン(跡はここで止まっている)

アリス(この中にいるとしたら……)

ウィンタープリズン(私が中に入る。二人はここで待機だ)

スノーホワイト「はい、気をつけてください」

ドン!

ウィンタープリズン「ぐっ!?」


ドアをぶち破った瞬間、おぞましい光景が目に映り、むせ返るような悪臭に表情を歪めた。
テーブルの上には中年男性と少年の死体が無造作に寝かされていた。


二人の死体は獣に食い千切られたかのような歯形が至る所に付けられ
腹部は切り裂かれて臓器は食いつくされており
頭部の上半分は砕かれ、脳が無くなっていた。


ウィンタープリズン(何だこれは?……食べたのか?この死体を?)

ウィンタープリズン(浅倉は……いない。どこかへ行ったのか)

スノーホワイト「……ウィンタープリズンさん?」

ウィンタープリズン「見るな!遅かったか」

スノーホワイト「あ……ああ……」

アリス「これは一体……」

ウィンタープリズン「こんな事を出来る奴は人間じゃない……怪物だ……」

ppp

その時、三人のマジカルフォンからショッピングモールへの出動命令が下された。
ここは既にもぬけの殻だ、彼女達は小屋から出るとすぐさま目的地へと向かった。

400 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/10(土) 04:57:12.49 ID:GX+qw2sa0
回想シーン


N市の中で最も力に渇望し、力にこだわり、力を求めた魔法少女はカラミティ・メアリだろう。
ファントムとの戦いの中、フェニックスを撃破こそして見せた物の完全に命を奪う事は出来なかった。
いくら酒を仰ごうともメアリのイラつきは収まらない。


ファズこと蛮野天十郎に取引を持ち込まれた。
蛮野はメアリを利用する気だろうが逆に利用してやろう。
賢者の石を奪い、誰にも私に逆らえない程の力を得てやる。


結局、賢者の石は手に入らずファントムとの戦いは終わった。
報酬として正式な魔法少女になれたがそんな物では私は満たされない。
スーパー弁護士を名乗り、得意げにTVに映る男の顔が気に食わない。


鏡から音が鳴り響くと思って近づいたら鏡の世界に引きずり込まれた。
影の男が願いを聞いてきた「世界中の人間が私に跪く程の力」と冗談半分で書いた。
そして私は契約者になった、仮面契約者『アビス』に。


ミラーモンスターアビソドンと契約した私は圧倒的な力を手にした。
とても気分がいい、私が初めて魔法少女になった日を思い出す。
これなら好き勝手出来る。邪魔する奴は誰だろうと容赦しない。


近隣のヤクザを従わせてる私の手腕を聞きつけて一人の契約者がやってきた。
ベルデと名乗る契約者はヤクザですら用意できない程の大金と武器を渡す代わりに。
報酬として私に魔法少女の情報や力を要求してきた。


ベルデは面白い男だった、私の要求する物を与えてくれるが決してへりくだった態度は取らず。
要件が済めばいつでも敵対関係になっても構わない程の冷酷さも秘めている。
魔法少女達の特徴や魔法を伝えたベルデの行動は速かった。


「ラ・ピュセルを殺した」とベルデは笑いながら語っていた。
呆気なさ過ぎて拍子抜けしたぐらいだと余裕を見せている。


その後、ガイが起こす騒動に乗じて魔法少女達を仕留める情報を教えてくれた。
それなら私が次にやるべき行動は決まっている。


メアリ「リップル、お前は私が直々に殺してやるよ」

401 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/10(土) 04:57:59.35 ID:GX+qw2sa0
ショッピングモール


ガイ「皆来たね、あと3分で始まるから見ててよ」

インペラ―(ここ俺のバイト先じゃん…)

メアリ「何を始める気さね?」

ガイ「それは秘密、すっげー面白い事が起きるから楽しみにしてよ」

ベルデ「例の発明を見せてもらうぞガイ」

インペラ―「あれ?ゾルダは?」

ガイ「なんかミラーワールドの外で戦うのに不向きだから今回はパスだって」

ベルデ「抜け目ない奴の事だ。最もらしい理由を付けて俺達と魔法少女の潰し合いを狙ってるのだろう」

インペラ―「ずるいなぁ」

ガイ「時間だ。始まるぞぉ〜」


ショッピングモール一階紳士服売り場


黒装束集団「……」

男性客「なんだあれ?何かのイベントか?」

黒装束「……」チャキ

男性客「銃?……それ、ほんも」

パンパンパンッ!

女性客「き、きゃああああああああああ!!」

店員「ひいいいいい!!」


ショッピングモールへ乗り込んで来た黒装束の人間達。
銃や鈍器や刃物を手に持った彼らは手当たり次第に人を襲い続けた。

402 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/10(土) 04:58:41.69 ID:GX+qw2sa0
インペラ―「ちょ、ちょっと!!何が起きてるんだよ!!」

ガイ「どうだ。すっげーだろ!俺が作ったこのソシャゲをプレイした人は皆こうなるのさ」

インペラ―「ソシャゲで?」

ガイ「そのソシャゲには俺秘伝の洗脳プログラムが組み込まれていてね」

ガイ「洗脳されたら最後、俺の指示一つで人間は殺戮マシーンになるのさ」

メアリ「へえ、その為に私に武器の強化を頼み込んだって訳かい」

ガイ「兵隊として魔法少女達の相手をやらせるには普通の武器が役不足だからね」

インペラ―(俺のバイト先が地獄絵図に……)

ベルデ「さて、そろそろ魔法少女が感づく頃だろう。俺も動くとするか」

メアリ「分かってるだろうね。リップルはあたしの獲物だよ」

ベルデ「もちろん、約束は守るさ」

ガイ「あははは!!ゲームみたいに人が死んでいくぜ」

インペラ―(次のバイト先探さないと……)


ショッピングモール三階


アリス「きゃああああああ!!」

カレン「大変デース!早くここから出ないと!」

陽子「待て!ここから降りたらあいつらに見つかる!」

綾「そうね、どこかに隠れた方がいいわね」

鬼島「ここは関係者用の入り口に向かいましょう、そこなら隠れられる場所も多いでしょう」

こけし「それがいいですね。鬼島さんもたまには役に立つんですね」

和菓子「怖いわ……」

ココア「大丈夫だよ!きっと魔法少女がまた助けに来てくれるよ!」

カレン「その通りデース!信じる者は救われるデース!」

403 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/10(土) 04:59:22.57 ID:GX+qw2sa0
ショッピングモール外


トップスピード「到着したぜー!って何なんだよこれ……」

リップル「あいつらぁ……!!」

マシンガンを持った黒装束「……」パラララ

男「ごふっ!」

リップル「やめろぉぉぉぉっっ!!!!」ドゴッ

マシンガンを持った黒装束「」ドサ

日本刀を持った黒装束「……」

拳銃を持った黒装束「……」

大鎌を持った黒装束「……」

リップル「こいつら、一体?」

トップスピード「非殺傷設定にして…食らえ!マスタースパーク!!」

黒装束達「」ガク

トップスピード「今の内に行くぞ!リップル!」

リップル「ああっ!」

リップル(無事でいてくれ……皆ッ!!)

トップスピード「んぐっ」


クラスメイトの姿を思い浮かべながらリップルはショッピングモールへと侵入する。
それに続いてトップスピードも向かおうとした所で、顔の周りに透明な何かが絡みついた。
声を出そうにも顔の締め付けが強くて声が出せない。

404 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/10(土) 05:00:23.18 ID:GX+qw2sa0
ベルデ「人命救助は結構な事だけどよ、契約者達に命を狙われている事を忘れるな」


光学迷彩を解除したベルデがトップスピードの目の前に現れた。
顔を絞めつけていた物の正体は彼の異常な長さの舌による物だった。


トップスピード(こいつは……契約者、マスタースパークで)

ベルデ「させねえよ」


トップスピードがミニ八卦炉をベルデに撃つよりも早く
ベルデのバイドワインダーがニ八卦炉を叩き落した。
更にお返しとばかりにみぞおちに拳を叩き込む。


トップスピード(しまっ、ごふっ……)

ベルデ「速さが自慢の魔法少女も捕まっちまえば大した事ねえな」


舌を振り回してトップスピードを地面に叩きつけると
ベルデは彼女の腹部に向けて勢いよく膝蹴りを放ち、そのまま押し倒した。


トップスピード「がぁっ!!お腹は……いやっ」

ベルデ「そうかい、じゃあ望み通りにしてやるよ!そらぁっ!!」


馬乗りになったベルデの拳がトップスピードの顔面へ振り下ろされる。
鼻が砕け、血がドクドクと溢れて拳を赤く染めながらも更に拳を振るった。


トップスピード(嫌だ!俺が死んだらお腹の子も、だから俺は絶対に死ぬわけにはいかないんだ!!)

ベルデ「はははっ、暴れた所で俺のマウントからは逃れられねえっ!!」


生への執念で必死に抜け出そうとするトップスピードを嘲笑うかのように
ベルデは彼女の顔面にひたすら拳を降り続けた。
にちゃり……と打撃音が粘着染みた音に変わり始めてから彼女の抵抗は弱まり、そして動かなくなった。
ベルデの攻撃が止まった時にはトップスピードの端麗な顔はグチャグチャに潰れ、既に原型は失っていた。


ベルデ(圧倒的な力を持つ魔法少女ですら屠れる強さ、これこそが俺が求めていた暴力だ!!)

ベルデ(リップルの方はメアリが足止めしているおかげで楽に殺せたぜ)

ベルデ「フフフ、ファハハハハハ、ハァァァハッハッハッハッハッハッ!!!!」


トップスピード 死亡
405 : ◆kJur2.rMxfRZ [sage saga]:2018/02/10(土) 05:05:12.40 ID:GX+qw2sa0
今日はここまで
トップスピードお疲れ様でした
メアリも契約者になりアビスの力を得ました
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/20(火) 08:50:13.97 ID:rqgRRo290
あぁトップスピードついに逝ったか・・・
トップ生存ル—トだから逆にリップル逝くのかと思ったけど・・・(何言ってんだおれ?)
(もう見るのやめようかな・・・)
407 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/23(金) 16:51:44.12 ID:yDNhF24h0
ショッピングモール内


友人たちを救うべく駆けだすリップル
そこにカラミティ・メアリが立ち塞がり銃口を向けた。


リップル「ちっ、何のつもりだ!?」

メアリ「いい加減、あんたが目障りになってきてねぇ、ここで始末するのさ」

リップル「今はそんな事をしてる場合じゃない!」

メアリ「やる気が無いなら結構、あたしがあんたに一方的に攻撃するだけさね」

リップル「糞ッ!」シュ

『ストライクベント』

メアリ「お前の手裏剣なんて通用するかよ」

リップル「その力は……」

メアリ「そうさ。あたしも契約者の力を得たのさ。もう誰の言いなりにもならねえ、誰にもナメた口は聞かせねえ」

メアリ「勿論、お前にもなァ!」

リップル「カラミティ……メアリィィィィ!!」

『ソードベント』

メアリ「接近戦なら勝てると思ったかい?甘いんだよ!」

リップル「うわっ!」

メアリ「死になぁ!!」

ルーラ「やめなさい!!カラミティ・メアリ!!」


メアリがアビスの力を使いリップルを追い詰めた所で
チームルーラが到着し、メアリと相対する。

408 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/23(金) 16:52:54.66 ID:yDNhF24h0
メアリ「ああん?ルーラかい、また痛い目に会いたいのかい」

ルーラ「くっ、いつまでも私がビクビクしてると思ったら大間違いよ」

ミナエル「おお!言うじゃん、ルーラ」

ユナエル「ルーラマジクール〜」

タイガ「ねえ、あの魔法少女はルーラと何かあったの?」

ミナエル「かくかくで〜」

ユナエル「しかじかなのよ〜」

タイガ「そうなんだ」

ルーラ「それにカラミティ・メアリ、なんで貴女が契約者の力を使えるのよ?」

メアリ「ピーピー煩いねえ、おい二人とも、あいつらの相手をしてやんな」

インペラ―「任せてください!メアリの姐さん!」

ガイ「よぉタイガ、噂通り魔法少女側に付いたみたいだな」


メアリの合図によりインペラ―とガイが現れる。
契約者バトルを妨害しようとする魔法少女達を倒すべく彼らはメアリと共闘していた。


タイガ「この騒動って君達の仕業なの?」

ガイ「ああそうさ、さいっこうのショーだろ?」

タイガ「ふーん、なら君達のような悪を倒せば僕は英雄に近づけるかな」

ガイ「相変わらず訳分かんねえ奴だなお前、さぁ行ってこい兵隊共!!」

自動小銃を持った黒装束達「……」

たま「わわわっ!!」

スイムスイム「……ッ!?」

ルーラ「これは……囲まれたか!」

ミナエル「ヤバくね?」

ユナエル「ルーラチーム超ピンチって奴?」


ルーラチームの周囲に潜んでいた黒装束達が一斉に姿を現し銃口を向けた。
黒装束達は陽動だけが目的ではない、伏兵としても残していたのだ。

409 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/23(金) 16:53:42.28 ID:yDNhF24h0
ガイ「流石の魔法少女達も全方位からの銃弾は躱しきれないだろ?」

インペラ―「芝浦やるじゃん!」

ガイ「ちゃんと頭を使わないとな、よし撃て!!」


ドガガガガガガガガガ!!!!


タイガ「危ない!」

ルーラ「東條!?」


弾丸の雨から守るべく、タイガはルーラに覆い被さりその身を盾とした。
体全体に浴びるであろう弾丸の苦痛から耐えるべく目を閉じ歯を食いしばった。
弾丸の音が響く中、予想とは違い肉体に一切ダメージが来なかった。

ルーラ「東條……大丈夫よ」

タイガ「え?」

ガイ「おいおいおい!なんだよこの液体は?」


ルーラチームを包むように広がった液体が黒装束達の弾丸を全て防ぎ切っていた。
この魔術の正体はルーラチームはよく知っている。


ケイネス「その程度の玩具で我が魔術を破れると思うなよ」

ガイ「何だこのハゲ?あいつも魔法少女なの?」

ケイネス「ハゲでは無い!!私は魔術師だ!!このクソガキ共め…生意気な口を聞きおって……」

ルーラ「貴方達、これはチャンスなのよ。今すぐ契約者バトルなんてふざけた真似は止めて降伏しなさい」

ルーラ「そうしたら貴方達の身の安全は保障してあげる」

ガイ「あんたらさ。初めて魔法少女になった時、どんな気分だった?」

ルーラ「何よいきなり」

ガイ「すっげードキドキしただろ?他の人とは違った特別な力を手に入れたってさ」

ガイ「それをわざわざ手放すと思うか?お前らだって魔法少女の力を手放したくないだろ」

タイガ「君達とルーラを一緒にしないでくれるかなぁ、ルーラはとても崇高な使命を持って行動しているんだから」

ガイ「様は世の為、人の為、だろ?それなら被災地でも行ってボランティア活動でもしてろよ」

ガイ「人間の身でもやろうと思えば出来るじゃん、でもそれをしないのはさ」

ガイ「魔法少女の力を楽しんでる訳でしょ?結局は俺達と同じ穴の狢って訳よ、分かる?」

ケイネス「くだらん、お前達ウジ虫と問答をする気は無い」

ガイ「お、俺とやる気?いいよ、かかってこいよハゲ」

ケイネス「よろしい!!貴様はこの私が直々に誅罰をくれてやろう!!」


挑発を繰り返すガイに怒りを露わにしたケイネスは月霊髄液に魔力を一気に注ぎ込み
ガイに向かって水銀の斬撃を討ち放つ。

410 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/23(金) 16:55:06.71 ID:yDNhF24h0
『コンファインベント』


ケイネス「っ!?魔術が……使え…?ごはっ」

ガイ「思った通り、その術が使えなきゃただのおっさんだな」


突如、魔術を封じられた事で月霊髄液がただの液体と化し
ケイネスが狼狽えた所を見計らってガイのパンチが腹部へと入り
彼の意識はそのまま途絶えていった。


ルーラ「まずい…このままじゃ!」

ガイ「おい佐野!こいつらを足止めしとけ、良い事を思いついたぜ」

インペラ―「オッケー、任せてよ」


ガイがケイネスを担いで離れていく間
十数体のインペラ―がチームルーラに向かって駆けだした。
ルーラとたまを後方に下げ、タイガとスイムスイムが前衛になり
ミナエルとユナエルは戦闘に適した変身をして迎撃に入った。


タイガ「一人一人は大した事無いけど数が多いね」

拳銃を持った黒装束「……」パンパンパン

ミナエル「うわ、こいつらも攻撃してきた!」

ユナエル「ちょっと数多すぎじゃん!」

ルーラ「くそ!本物を捕まえて私の魔法で解除させれば纏めて消せるのに…」


チームルーラとインペラ―達の目の前に鉄パイプが勢いよく投げ込まれた。
鉄パイプは黒装束の一人の胸に突き刺さる。
ビクンビクンと何度か痙攣を繰り返し、息絶えた。


浅倉「ここか…祭りの場所はぁ…」

ルーラ「あいつは!」

たま「きゃあああああ!!」

インペラ―「や…ヤバい!!」


浅倉の出現により、過去に腕を喰い千切られたたまと、ヘタレのインペラ―は恐怖した。
奴にとっては魔法少女も契約者も関係無い。
全て捕食すべき対象であり、全ての生物の敵である。

411 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/23(金) 16:55:58.08 ID:yDNhF24h0
浅倉「俺も混ぜてもらおうか、変身」

王蛇「ああ……」


浅倉が王蛇へと変身すると口から酸の霧を吐き出して、周囲を猛毒の空間へと変異させる。
魔法少女や契約者ならともかく操られた一般市民である黒装束達には致死量となる毒であり
もがき苦しみながらバタバタと倒れて行った。


『ソードベント』


王蛇「戦え……俺と戦えぇぇ!!」

インペラ―A「うぎゃー!」

インペラ―B「あがぁ!」

ユナエル「ひっ!」


分身体である二体のインペラ―を瞬殺した王蛇は続けてユナエルへ迫る。


ミナエル「させるかぁ!」

王蛇「ふん」


槍へと変身したミナエルが王蛇へと突っ込むも片手で捕まれ動きを止められる。
王蛇が手に力を込めるとミシミシと槍が軋み、激痛のあまりミナエルの変身が解けた。


ミナエル「うわああああああ!!いだい、いだい、いだいよぉぉぉ!!」

ユナエル「お姉ちゃぁぁぁぁぁん!!」

タイガ「させない!」

スイムスイム「助ける」

王蛇「はははぁ……」

ミナエル「いや…やだ……お願い!殺さないでころさないでころさないでぇぇぇ!!」


三者が王蛇へ攻撃を仕掛けるも、全て躱され、片手で迎撃してミナエルを救うことができない。
王蛇は乾いた嗤いを繰り返しながらミナエルの方へ顔を向け大口を開いた。


ミナエル「やだやだ!死にたくない!死にたくない!しにたぐぅえええ!!」


王蛇は頭蓋骨ごとミナエルの頭を噛み砕いた。
ボリボリと骨を砕く音と、グチュグチュ、ブチブチと肉を噛み、何かが潰れる音を下品に響聞かせた。
ごくん、と飲み干すと残った胴体を喰い始めた。

412 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/23(金) 16:58:03.19 ID:yDNhF24h0
ユナエル「おねぇぇぇちゃぁぁぁぁん!!うああああぁぁぁぁぁっっ!!!!」

ルーラ「何てことを……」

インペラ―「な、何で人を喰えるんだよ!訳分かんねえよ!!」

王蛇「ああ?殺したもの喰って何が悪い?相変わらず魔法少女の肉は他の人間よりも美味いな」

ルーラ「まさか……他にも魔法少女を襲って……」

王蛇「喰ったぜ。パジャマ姿の魔法少女をな。美味かったぜ」

ルーラ「っ!?ねむりん……貴方、絶対に許さない」

王蛇「ならかかってこい、お前らも喰ってやる」

ユナエル「殺してやる!お前だけは私が殺してやる!」

王蛇「ははは!もっと俺を楽しませろ!」


月霊髄液の斬撃が王蛇とルーラを切り裂いた。
攻撃の飛んできた方向にはケイネスとガイが立っている。


ルーラ「ぐぅっ」

タイガ「ルーラ!」

スイムスイム「大丈夫?」

ルーラ「ええ、かすり傷よ」

ガイ「よぉ佐野、時間稼ぎご苦労さん、ってこの霧は何?おかげで俺の兵が皆死んでるんだけど」

インペラ―「王蛇が来たんだよ!それで手当たり次第に攻撃してきてさ!」

ガイ「邪魔だなぁ、先に二人で王蛇を殺ろうぜ」

インペラ―「え?(無理無理無理!!)」

ガイ「おっさんは魔法少女達の相手をしててよ、味方相手なら向こうも躊躇するだろうさ」

王蛇「いいぜ。纏めて蹴散らしてやる」


『ファイナルベント』


王蛇「はっはっはぁ……」

ガイ「やばっ!」

413 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/23(金) 16:58:48.03 ID:yDNhF24h0
『コンファインベント』


王蛇「あん?つまらねえ真似をするな…」

ガイ(この攻撃食らってたらやられる所だった)

インペラ―「ねえ芝浦、今日はもう引こうよ!」

ガイ「……この状況はちょっと分が悪いか、仕方ない行くぞ」

王蛇「帰るのか?もっと俺と戦え!」

インペラ―「俺の分身達!あいつを足止めしろ!」


数体の分身達が王蛇を取り囲み、一斉に飛びかかる。
どちらが勝つかなんて答えなくても分かる。
ただ逃走の時間さえ稼げればそれでよかった。
王蛇の唸り声に怯えながらインペラ―は必死に走って逃げた。


ケイネス「…………」

ルーラ「目を覚ましなさい!ケイネス!」

スイムスイム「聞こえてないみたい」

たま「はわわ…どうしよう!」

ユナエル「くっそー!あのハゲ!」

タイガ「……」


ケイネスは月霊髄液を駆使して魔法少女達に攻撃を繰り返す。
ガイの洗脳によって黒装束達と同じく命令に忠実に動く殺戮人形と化していた。


タイガ(あいつは僕の大切なルーラを傷付けた……許さない)


『フリーズベント』


ケイネス「……!?」


『ファイナルベント』


タイガ「クリスタルブレイク」


タイガの魔法によってケイネスの体は凍り付き、指一本動かなくなった。
更に発動した魔法によってタイガの足元から冷気を発し地面を凍らせ
ケイネスの元まで高速で滑りながら接近し、デストクローでケイネスの体を突き刺し、片手で持ち上げた。


デストクローから放たれる冷気がケイネスの体内へと流れ込み
血を一滴も垂らす事無く、全身を完全に凍結。
タイガが腕を振り下ろして地面に投げ落とすとケイネスの体はガシャン!という音と共に粉々に砕け散った。

414 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/23(金) 17:00:01.64 ID:yDNhF24h0
ルーラ「と、東條……」

タイガ「ルーラ、敵は倒したよ」

ルーラ「殺さなくても無力化さえすればケイネスは…」

タイガ「ルーラはチームを導くリーダーなんだから絶対に生きて貰わなきゃ」

タイガ「だからルーラの脅威となる者は迅速に排除しないと」

ルーラ「それは、そうだけど…」

タイガ「ルーラの命を守る為なら僕は誰が相手でも戦うよ」

スイムスイム(東條はすごい……誰よりもルーラの命を最優先に考えている)

スイムスイム(まさにお姫様を守る騎士、東條はルーラの騎士に相応しい)

ルーラ(気持ちを切り替えないと、仲間が二人も死んだ今、これ以上戦い続けても犠牲は増すばかり)

ルーラ「撤退するわよ、たま!逃走用の穴を開けて!」

ユナエル「待ってよルーラ!王蛇を殺さないと私の気が済まないっ!!」

ルーラ「今は抑えるのよユナエル、後で絶対に仇を取らせるから」

ユナエル「ぐっ……ぐうううううっっ!!……分かったよルーラ」

ルーラ「皆急いで!」

タイガ「うん」

スイムスイム「……」コクリ


王蛇「あいつらぁ……逃げたか」


分身達を処理した時には既にガイ、インペラ―、チームルーラの姿は無い。
ならば別の獲物を狙えばいいだけ。
幸いにも近くでくのいち風の魔法少女とガンマン風の魔法少女が戦闘をしている。


王蛇「あいつらなら俺を楽しませてくれそうだ。さぁ……俺と戦えッ!!」


ミナエル 死亡
ケイネス・エルメロイ・アーチボルト 死亡
415 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/02/23(金) 17:05:24.51 ID:yDNhF24h0
今日はここまで
ミナエルがマミりました お疲れ様です

>>406
あの世では蛮野や大量のファントムが待ってるし、お友達もきっと後からどんどんやって来て
トップスピードが寂しい想いせずに済みそうだから安心して読んでください
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/25(日) 09:44:36.20 ID:Axz4hoMv0
後々出るらしいがクラムベリーまだですかねぇ?
リップル・・・トップスピードの遺体を発見するなよ・・・
知らない方が幸せな事もあるんだ・・・
417 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/02(金) 03:02:29.89 ID:jXkJjIzz0
王蛇の放った酸の霧はショッピングモール一階を完全に包み込み二階、三階へと立ち昇っていく
上の階では黒装束の襲撃から逃れるべく避難していた人たちがいた。


男性客「何なんだよこのガスは!」

女性客「きっとテロが撒いた毒ガスよ!あのガスを吸った人達が倒れていくのを見たわ!」

和菓子「このままだと煙がここにもやってくるわ!」

綾「探したけれど脱出ルートはどこもガスで充満していて通れないわ」

陽子「……こうなったら息を止めて突っ走るしか」

鬼島「それはお勧め出来ませんね」

陽子「鬼島大丈夫か!?その傷」

鬼島「防護服代わりにそこらの服を数枚厚着して通ろうとした結果がこれですよ」

鬼島「ガスに数秒振れただけで服がボロボロに溶けて皮膚が焼け爛れてしまいましたよ」

ココア「大変!すぐに手当てしないと」

男性客「もうダメだぁ!!俺達はここで死ぬんだ!!」

カレン「オゥ!そんな事無いデース!私達は助かるデース!」

アリス「カレンちゃん?」

カレン「前に私達がピンチになった時もくノ一の魔法少女が助けに来てくれまシター!」

カレン「信じていればきっとまた助けに来てくれるデース!」

こけし「そうですよね、皆さん信じましょう!」

陽子「信じる者は救われるって言うしな」

綾「こういう時こそ、希望を持たないとね」

ココア「弱きになったらお姉ちゃん失格だもん!」

和菓子「私も落ち込んでばかりじゃいられないわ」

鬼島「神でも仏でも魔法少女でも特撮ヒーローでもいいから来てくれると助かりますねー」


彼女達が祈る中、酸によって腐食した壁や天井の一部が崩壊した。


人形『おべんきょうしなきゃだめじゃない またせんせいにしかられるわよ』

人形『あたしねむくなっちゃった おにいちゃんこもりうたうたって うふふふ』


持ち主から置き去りにされ、崩れた瓦礫に埋もれた人形は
酸に溶かされながらただただ言葉を発し続けていた。

418 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/02(金) 03:03:35.59 ID:jXkJjIzz0
リップル(…?どこかで声が)

メアリ「ほらほらほらぁ、よそ見何かしてる暇は無いよ!」

リップル「このっ」


クナイや手裏剣をメアリに向かって次々と投げつけるリップルだが
メアリの放つ水圧のカッターにより全て撃ち落とされる。


メアリ「あっはははっ!!こいつは便利だねぇ」

リップル「ちっ、厄介な」

メアリ「これが普通の魔法少女と契約者の魔法少女との差って奴さ」

メアリ「諦めてさっさとあたしに殺されな」


リップルの眉間へ向けて拳銃を構える。
メアリが引き金を引くよりも早く王蛇の斬撃がリップルの背中を切り裂いた。


リップル「うわあああ!!」

王蛇「俺も仲間に入れろぉ……」

メアリ「てめえ……あたしの獲物に手を出すなんてよっぽど死にたい様だねえ」

王蛇「お前らも喰ってやる」

メアリ「喰えるもんなら喰ってみな!」


拳銃の銃弾と水圧のカッターを王蛇へ向けてひたすら乱射する。
王蛇はベノサーベルを振るうが何発かは弾く事が出来ずに被弾していく。
それでも王蛇の接近は止まらない、痛覚をまともに認識する精神では無いのだ。
王蛇が口を大きく開くと、メアリに向かって黄色い酸を勢いよく吐き出した。


メアリ「酸?くっ……武器が!」

王蛇「次はお前の体を溶かしてやるぜ、安心しろ、頭は残しておく。俺が喰うからな」

メアリ「調子に…乗るんじゃないよ!」

王蛇「こい!」


『ファイナルベント』

『ファイナルベント』


メアリのブーツに刃が生えると共に足場が瞬時に水に包まれる。
まるでサーフィンをしているかの如く水を乗り回したメアリが王蛇へと向かう。
同時に酸の濁流に乗って跳躍した王蛇もメアリへ特攻する。
二人のキックが衝突し爆発を起こした。

419 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/02(金) 03:04:27.74 ID:jXkJjIzz0
その頃、外では


『助けてくれー!』『救急車はまだかよ!?』『うちの子が…うちの子がいないの!』


スノーホワイト「心の声がこんなに……急がないと!」

ウィンタープリズン「これも契約者の仕業か……酷いな」

アリス「あれは、ガス?」

ウィンタープリズン「この魔法が使えるのは、浅倉ぁぁぁ!!」


『魔法少女が三人も来たか、別れるまで様子を見るか』


スノーホワイト「ウィンタープリズンさん待って!契約者が近くにいます!」

ウィンタープリズン「何っ?」


『まさか…気付いたか?』


スノーホワイト「そこにいるのは分かっています。出て来て!」

ベルデ「くくくっ、この俺を見つけ出すとは中々やるじゃないか」

ウィンタープリズン「姿を消していたのか」


『トップスピードの様に始末してやろうと思ったがバレたなら仕方ないか』


スノーホワイト「トップスピードさんが!?」

ベルデ「俺の心を読んだか、トップスピードならあそこでくたばってるぜ」

ベルデ「妊婦の身で戦いの場に出るとは愚かな女だよ、クカカカカッ!」

ウィンタープリズン「貴様っ」

ベルデ「あ〜そうそう、ラ・ピュセルと言ったかな?スノーホワイトのパートナーは」

スノーホワイト「……!」

ベルデ「あいつを殺したのは……この俺だ」

アリス「……何てことを」

420 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/02(金) 03:06:48.65 ID:jXkJjIzz0
『ソードベント』


スノーホワイト「うわあああああああ!!」

ベルデ「俺に挑むか、馬鹿め」

スノーホワイト「あうっ」


スノーホワイトの怒りに任せた大振りの斬撃をベルデは軽々と躱しながら
脇腹へ蹴りを放ち、怯んだスノーホワイトの顔面にパンチを叩き付けた。


『ソードベント』


ウィンタープリズン「こいつ」

ベルデ「壁を生やすんだろう、てめえらの魔法は知れてんだよ!」

アリス「……避けられた」

ウィンタープリズン「この契約者、戦い慣れているな」


ベルデは先を読んだ行動でウィンタープリズンの壁を躱し
アリスの特攻に合わせて後方へ跳躍する事で打撃技も回避する。


ベルデ「生憎、俺は契約者になる以前からずっと体を鍛え続けているんだよ」

ベルデ「三人がかりで突っ込めば楽に倒せると思ったか?俺をそこらの契約者と一緒にするなよ、魔法少女ォォォ!!」


『クリアーベント』


ウィンタープリズン「消えた…」

ベルデ(魔法で俺を探知できる?だったら対応できない攻撃を使えばいい)


『ファイナルベント』


ベルデ(最初に狙うのはスノーホワイト!貴様だぁぁ!!)

スノーホワイト「敵は私を狙っている……!」

ベルデ(俺の舌は弾丸以上のスピードと正確さを持つ、躱しきれるか)

アリス「させない」


アリスがスノーホワイトの体を突き飛ばすと同時に
まるで槍のように長く鋭い舌がアリスの体を串刺しにした。
ベルデが舌を通じてアリスの体内へと魔力を流し込み爆発した。


スノーホワイトの悲痛な悲鳴が聞こえる。
アリスの胸には爆発によって大きな風穴が空いていた。

421 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/02(金) 03:07:32.13 ID:jXkJjIzz0
スノーホワイト「アリスゥゥゥ!!」

アリス「心配しないで、ください。わた…しの怪我は、治ります」

ベルデ「今の俺ではこいつらを殺しきれないか、ここは引くとしよう」

ウィンタープリズン「逃がすと思うか」

ベルデ「いつまでも俺の相手をしていていいのかぁ?魔法少女の本文は人助け、だろう?」


『ホイールベント』


ベルデ「安心しろ、その内ラ・ピュセルの元へ送ってやるぜスノーホワイト。クククッ…ハハハハハハッ!!」


バイドワインダーを高所に引っ掛けたベルデはワイヤーアクションの要領で上空へと飛び
あっという間にショッピングモールから遠くへと移動していった。


スノーホワイト「もう心の声が聞こえません、本当に撤退しました」


敵が近くにいない事を知ったスノーホワイトはベルデの指していた女性の遺体へと近づいた。
顔がグチャグチャに潰されて生前はどんな顔をしていたのかは分からない。
お腹の大きさで妊婦であるのは間違い無く、彼女だけでなくお腹の子供の命までも奪われた事実に胸が苦しくなる。
ウィンタープリズンが所持品を調べるとマジカルフォンが発見された。
彼女こそがトップスピードの本来の姿である事実は否定しようが無かった。


スノーホワイト「トップスピードさん……」

ウィンタープリズン「今は感傷に浸っている暇は無い、急ごう」

スノーホワイト「……っ、はい」

422 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/02(金) 03:08:20.51 ID:jXkJjIzz0
三人の魔法少女がショッピングモール内へ突入した頃


メアリ「ぐぅっ!くっそがぁぁぁ!!」

王蛇「ごふっ、はぁ〜……はっはっはっ」


メアリのアビスダイブが王蛇のベノクラッシュの蹴りを上回り
王蛇の胸に大きな裂傷を与えるダメージを与えたが
彼女の体に多量の酸が付着し、肌を焼く激痛を負った。


王蛇「くっくっく、殺すか殺されるかの命の奪い合い、それこそが俺が生きてる実感を与えさせくれる」

メアリ「この、これ以上付きあっていられるか!だけどその前に……」

メアリ「リップル!お前だけでも殺しておくよ!」

リップル(っ!?動け、私の体……)


『スイングベント』


突如現れたピンク色の鞭がメアリの指に命中し。拳銃を叩き落した。


メアリ「誰だい?アタシの邪魔をするのは」

ライア「彼女は殺させない」

メアリ「面倒な奴が現れたねぇ」

王蛇「ほう、お前も契約者か」

ウィンタープリズン「浅倉ァァァァァァ!!」

王蛇「あの時の魔法少女か。久しぶりだな」

スノーホワイト「リップルさん!酷い怪我……」

リップル「私の事はいい!それよりも、私の友達が来ているんだ!助けないと!」

スノーホワイト「分かりました。必ず助けます」

王蛇「せっかく魔法少女達が集まったんだ。俺と…」

ベノスネーカー『撤退だ浅倉よ』

王蛇「邪魔するな。俺はまだやりたりねえ」

ベノスネーカー『広範囲による酸の霧の長時間維持、二度に渡るファイナルベントの使用』

ベノスネーカー『我の魔力が限界だ。もうじき変身も解ける』

王蛇「……お前ら、今回はお預けだ。次会った時に俺と戦え」

ウィンタープリズン「何だと」

メアリ「そらよ」

王蛇「……!」


王蛇に視線を向けられた隙を狙い、メアリはスタングレネードを投げ込んだ。
強烈な音と光が発せられる直前に、王蛇は危険を察知して体の向きを変えて後方へと下がる。
魔法少女達の聴力と視力が回復する頃にはメアリと王蛇の姿は無かった。

423 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/02(金) 03:08:57.07 ID:jXkJjIzz0
ウィンタープリズン「くそっ!逃がしたか!」

アリス「霧が晴れてます」

リップル「今の内に皆を探さないと!」

スノーホワイト「その傷では無茶です!」

リップル「じっとしてはいられない!」

ライア「俺にも協力させてほしい」

スノーホワイト「貴方は?」

ライア「俺は仮面契約者ライア、この契約者バトルを止めようとしている者だ」

ウィンタープリズン「本当なのか?」

ライア「ああ、今は人命救助に専念して落ち着いた後で続きを話そう」

ウィンタープリズン「分かった。今は信じよう」



魔法少女達による人命救助は始まった。
スノーホワイトの魔法により、効率良く次々と救出していった。
ショッピングモール内にいる助けを求める声の主がいなくなるまで救出を繰り返したが
リップルの友達の姿は依然見つからないままだった。


リップル「どこだ?どこにいるんだ!」

スノーホワイト「もう心の声は聞こえません、もしかしたら既に自力で脱出したのかもしれません」

リップル「そうか、そうだよな」

リップル(なにか、なにか胸騒ぎがする……そうだ)

リップル「トップスピードは?あいつはどこに行ったんだ?」

スノーホワイト「トップスピードさんは……その……」

ウィンタープリズン「……契約者と戦って、命を落とした」

リップル「……っ!?誰が、誰が殺したんだ!!」

スノーホワイト「……っ」

リップル「その顔は知ってるんだろう!?教えてくれよ!!頼むからさっ!!」

スノーホワイト「……ベルデ」

リップル「ベルデだな!殺してやる!今すぐに殺してやる!」

ライア「駄目だ。ベルデは狡猾で強い、迂闊に戦うべきではない」

リップル「離せ!!離さなければお前を殺す!!」

ライア「それで落ち着いてくれるなら俺は構わない」

リップル「ぐっ……」

ウィンタープリズン「ベルデはトップスピードだけではなくラ・ピュセルも殺害している」

ウィンタープリズン「苦しいのはスノーホワイトも同じだ」

リップル「……今は怒りを抑えるよ。ねえ、トップスピードに会わせて」

ウィンタープリズン「それは出来ない。遺体の損傷が酷く、君が見たら冷静ではいられなくなる」

リップル「お願いだ!最期に、最期にトップスピードに会わせてよ……お願いだから」

リップル「トップスピードに別れの言葉を言わせてよ……お願い」

ウィンタープリズン「……分かった」

424 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/02(金) 03:09:32.83 ID:jXkJjIzz0
リップルはウィンタープリズンの案内によってトップスピードの亡骸を発見した。
バイオテロの警戒によってレスキュー活動が遅れている為、まだ現場に残されていたままだった。


リップル「……あっ、ああ、あああああぁぁぁぁっっ!!」


過去に一度、トップスピードが語った話を思い出した。
あと半年は死ねないと言っていたトップスピードの言葉を。
その意味が今分かった、トップスピードのお腹にいるもう一つの生命。
半年後に生まれる我が子の為に死にたくなかったのだと。


リップル「何で!?何で!?何でっ!?何で私に付いてきたの!?」

リップル「私なんかを放って置けば、トップスピードが死なずに済んだかもしれないのに!」

リップル(もしかしたらグレムリンとの戦いでも命を落としていたかもしれない)

リップル(私がトップスピードを死地に呼んだんだ!私のせいでトップスピードは死んだんだ!)

リップル「ごめんなさいトップスピードぉ……ごめんなさい、ごめんなさい」

リップル「私のせいで……わたしのせいでぇ!!」

ウィンタープリズン「行くぞリップル!」


ウィンタープリズンはリップルを抱えてショッピングモールを後にした。
人気の無い場所へ移動して落ち着かせるべきだと判断した。
数時間後――。


ウィンタープリズン「落ち着いたか」

リップル「少し……ありがとう、トップスピードに会わせてくれて」

ウィンタープリズン「もし私が逆の立場だったらシスターナナに会わずにいられなくなると思ってね」

ウィンタープリズン「例えショックで取り乱すと分かってでも会う事で自分の心に整理が付くはず」

リップル「ああ、私はもう決めたよ。ベルデを殺す」

リップル「魔法少女失格となろうが私の意思は変わらない」

ウィンタープリズン「私も王蛇を殺すつもりだ。例え自分の命と引き換えにしても」

リップル「何だか似てるね。その目的が叶う事を祈るよ」

ウィンタープリズン「私も、君の成功を祈るよ」

リップル「これから用があるから私は行くよ」

ウィンタープリズン「分かった。気を付けて」

425 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/02(金) 03:10:41.41 ID:jXkJjIzz0
病院


メールを送ってもカレン達の反応は一切来ない。
気になったリップルは変身を解いてショッピングモールで負傷した人達が搬送される病院へ向かった。
病院内は治療の為に駆け回る医師達と苦痛に呻く負傷者達で溢れており
まるで野戦病院のような凄惨な光景だった。


華乃(皆が怪我を負っているならここにいるはず……)


患者達の顔を一人一人確認していく華乃だが友達の姿は見えない。
ここにいないという事はもしかしたら助かったのかもしれない。
何か理由があってメールが使えないだけなのかもしれない。


記者「お、死亡者発表だ。ちょっとすいません」

華乃(……まさか)


不安を押し込めて、華乃は死亡者が書かれた表を見に向かった。
死亡者リストの前に集まった人達が悲鳴をあげ、泣き叫んでいる・
リストから家族や友の名を発見した人々の悲しみであった。


無事であってほしかった。

信じたくなかった。


華乃(そんな……そんな事って……)


大宮 忍
アリス・カータレット
小路 綾
猪熊 陽子
九条 カレン
保登 心愛
宇治松 千夜
鬼島 夏児


大切な友達の名が死亡者リストに一つ残らず書かれている事実に
華乃は膝から崩れ落ち涙を流した。


華乃「なんで……なんでぇっ!!いやぁぁぁ!!」


その時、病院に設置された鏡が泣き崩れる華乃を引きずり込んだ。
一瞬にして景色が変わった事に驚いた華乃は周囲を見渡すと
巨大な黒龍が華乃を見下ろしているのに気付いた。


ドラグブラッカー『貴様の嘆き、苦しみ、憎しみ、気に入ったぞ』

ドラグブラッカー「我と契約しろ。さすれば貴様の願いを叶える手伝いをしてやろう」

華乃「願い……?だったら力を貸せ!!私の大切な人達を奪った奴らを、全員殺せる力を私に寄こせ!!」

ドラグブラッカー『良かろう!契約は結ばれた、これより我は汝の使い魔として力を貸そうぞ!』


仮面契約者リュウガがここに生まれた。
426 : ◆kJur2.rMxfRZ [sage saga]:2018/03/02(金) 03:17:16.42 ID:jXkJjIzz0
今日はここまで
ライアが登場しました

>>416
今回のリップルはちょっと不幸だけどリュウガになれたから良い事もありました
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/02(金) 10:19:19.09 ID:lKp0UbEK0
そもそもリップル=華乃は小学生の頃から不幸だし
序に原作だと母親は自分の娘をある意味見ていない
正直可哀そうだ・・・
(やっぱタイミングがムズイのかなクラムベリーをだすのは?)
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/02(金) 22:24:29.38 ID:srswRkmSO
とうとう日常系からも死者が
正直やり過ぎでは?と思う
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/03(土) 09:27:12.39 ID:NjtZxyUP0
どうでもいいけど俺の小説では〈投稿しないけど)
クラムベリーはリップルの実父にしてる
そう言えばメアリの過去にでたあの子供って没設定の名残かな?(ラピス・ラズリーヌ?)
430 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/07(水) 05:29:49.46 ID:xvsbUhF30
ショッピングモールでの戦闘は終わった。
結末は魔法少女達の大敗である。


カラミティ・メアリの裏切りによって内情を知った契約者達が待ち伏せており
魔法少女達が罠にかかる形で襲撃を受けた。
そのせいでトップスピード、ミナエル、ケイネスが戦死した。


その後、魔法少女達は現状を魔法の国へ報告した。
魔法少女はともかく魔術師の死亡は魔法の国としても
事態をより一層重く受け止める事態となった。


魔法の国


イオク「なんという事だ!我らが同士であるケイネス殿の命が失われるとは!」

イオク「こうなれば、この私がN市に出向いて憎き契約者達を討ち果たそうでは無いか!」

凌馬「その気持ちはありがたく受け取っておくよ。だけどN市に関しては私に任せてくれないかな」

イオク「ぬぅ……、分かった。何か困ったことがあればいつでも私に頼ってくれたまえ!」

凌馬「もちろん、その時が来たら協力を頼ませてもらうよ」

凌馬(正直、足手まといだから来られる方が困るんだけどね)

凌馬(それにしてもケイネスさんが死ぬとはね、それなりに利用できる人だから失ったのは少々手痛いな)

凌馬(笛木の資料を基に開発したオルタナティブは完成した。後は契約者だが)

凌馬(周りには私の発明品の実験体になってくれる魔法少女がいないんだよね。まぁ私のせいだけど)

凌馬(仮にケイネスさんが生きていても機械嫌いだから断るだろうし、イオクさんじゃ宝の持ち腐れになる。あとは……)

431 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/07(水) 05:30:30.12 ID:xvsbUhF30
キークの研究室


凌馬「やぁ、キークちゃん!」

キーク「帰れ、戦極凌馬」

凌馬「連れないなぁキークちゃんは、ねえ私の研究のお手伝いをして見ないかい?駄賃は弾むよ」

キーク「私は知っているんだぞ!お前の実験体にされて怪我した魔法少女が何人もいる事を!」

凌馬「多少の事故じゃないか。現に死者は誰も出てないし結果オーライさ」

凌馬「それに私の発明品によってこの国の技術は進歩している。些細な被害だよ」

キーク「私はお前のそういう所が大っ嫌いだ!自分の研究の為なら他者を平気で使い潰せるその性格がな!」

キーク「これ以上、魔法少女達を実験体にしてみろ。お前を電脳空間に一生閉じ込めてやる!」

凌馬「おー怖い怖い、それじゃあ退散するとしますか」

キーク「もう来るなよ」

凌馬「……所で、私が部屋に入った時に画面隠したよね?何やってたの?」

キーク「来るな!近づくな!触るな!出ていけぇーーー!!」

凌馬「秘密にされると知りたくなるのが研究者の性ってね。んん?ゲームかな、これ?」

キーク「ヤーメーロー!見るな!くっつくな!ガルルルル!!」

凌馬「いたたた!何も噛み付かなくてもいいじゃないかキークちゃん」

凌馬「そうだ。ゲームなら私の知り合いで腕の良い開発者がいるけど紹介しようか?」

キーク「いらん。お前の知り合いなら変人に決まっている」

凌馬「そこまで邪険にされると私も傷付くなぁ。さてキークちゃん弄りも楽しんだし本当に帰るとするよ。じゃあね」

キーク「……」イライライラ

凌馬(刑務所から仮出所させる手続きが面倒だけどやっぱりあの人に頼むかな)

凌馬(N市の元試験官である、あの魔法少女なら契約者達が相手でも後れを取る事は無い筈さ)

432 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/07(水) 05:31:18.36 ID:xvsbUhF30
N市では……


スノーホワイト「本当ですか?契約者バトルを止める方法を知っているって」

手塚「ああ、ミラーモンスターを生み出すコアミラーを破壊すればミラーワールドも消滅するらしい」

ウィンタープリズン「らしい?確証は無いのか」

手塚「コアミラーを破壊した前例は無いからな。ただ一つだけ分かっているのは」

手塚「コアミラーの周囲には常にミラーモンスターが徘徊しており、さらに黄金の契約者が守護している事だ」

手塚「それほど厳重な監視がされている以上、奴らにとって重要な存在であるのは明白だ」

ルーラ「つまり、私達全員がミラーワールドに侵入して防衛する敵を倒してコアミラーを壊せばいい訳ね」

手塚「そうだ。俺一人ではとてもコアミラーまで辿り着くことが出来ない。魔法少女達の力を貸して欲しい」

東條「契約者バトルを止めるのは願いを諦めるって事だけど君は叶えたい願いは無いの?」

手塚「……俺は仮面を付けるのが怖くなったんだ。俺が俺で無くなっていくようで」

東條「どういう意味?」

手塚「あの仮面は人を人で無くす……。顔を覆い隠すことにより逆に人の本能を剥き出しにする」

手塚「仮面契約者として戦い続ける内に闘争を、殺戮を望む自分の悪意が増大していくのを感じるんだ」

手塚「君達も感じた事は無いか?仮面契約者になってから己の中の残酷な本能が日に日に増していく感覚を」

スノーホワイト「……あります」

リップル「スノーホワイトが?」

スノーホワイト「シザースと戦った時に無意識の内に彼を殺そうとしました。気付いた時にはとても怖かった」

手塚「その恐怖を忘れてはならない。闘争本能を抑え込まなければ彼ら達の様に殺戮を楽しむ存在に堕ちてしまうだろう」

スノーホワイト「闘争本能を……抑える」

手塚「誰かを殺そうとする意志よりも魔法少女の使命を最優先に考えるんだ」

手塚「こんな戦いは速く止めなければならない、俺達、契約者は戦い続ける内に人で無くなり」

手塚「あのミラーワールドに住むモンスターの様になってしまうかもしれないと考えている」

スノーホワイト「契約者がモンスターに?」

手塚「もしかしたらあれは契約者の人の心の成れの果ての姿なんじゃないかと思えてくるんだ」

リップル(例え、契約者が呪いの力だったとしても復讐を果たす為なら、私は喜んで使う……)

東條「僕はよく分からないけど、英雄になるためなら契約者の力も捨てられる」
433 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/07(水) 05:32:24.14 ID:xvsbUhF30
ユナエル「ねえ、コアミラーを壊したら王蛇は私達が殺すからね」

ウィンタープリズン「それは出来ない相談だな。王蛇はシスターナナの仇だ」

ユナエル「私だってお姉ちゃんをあいつに殺されたんだ!」

手塚「まて、王蛇は魔法少女達の力を終結しなければ倒せない、と占いで出ている」

たま「占い?」

スイムスイム「当たるの?」

手塚「俺の占いは当たる」

マジカロイド「遅れて到着して申し訳無いデス。話は聞きましたがこの際、早い者勝ちで良いんじゃないデスか?」

リップル「マジカロイド!!貴様ァ!!」

マジカロイド「何なんデスか?苦しいデス!離してくだサイ!」

リップル「何で……何でお前だけショッピングモールに来なかった!?来ていれば彼女達は死なずに……」

マジカロイド「ヤバそうな予感がしたので近づかないでおいたのデスよ」

マジカロイド「案の定、契約者達が待ち伏せしていてワタシの判断は正解だったデスよ」

リップル「戦わなくてもいい!一般市民の避難だけでもしてくれていれば結末は変わった筈だ!!」

マジカロイド「誰が亡くなったのかは知りませんが、それは八つ当たりデスよ!」

ウィンタープリズン「もう止すんだリップル、誰かに怒りをぶつけても失った人は帰ってこない」

リップル「……悪かったマジカロイド」

マジカロイド「分かりまシタ。次の任務では私もご一緒しマスからこの件は水に流してくだサイ」

東條(他の魔法少女は仲間が死ぬと復讐に走るか八つ当たりする人ばかり)

東條(だけどルーラは違う。ルーラは私情に駆られずにやるべき事を冷静に考えられる人だ)

東條(この街で最も魔法少女に相応しいのはやっぱりルーラだ)

434 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/07(水) 05:33:24.71 ID:xvsbUhF30
高見沢グループビル本社


社員「お帰りなさいませ!!」

高見沢「うむ、皆さんご苦労」

男「おい会長!!」


高級車から降りた高見沢の目の前に中年の男性が飛び出してくる。
両手には包丁がしっかりと握られており、目が血走り完全に冷静さを失っている。


社員「何をしている!!早く警備員を!!」

高見沢「まぁ待て、そこのお前、そんな刃物を持ちだして何が目的だ?」

男「俺はこの会社で20年も身を粉にして働いてきたんだ!!」

男「それを一つのミスを犯しただけでいきなりリストラとかふざけるなぁー!!」

高見沢「ふん、ふざけてるのはお前だ。そのミスのおかげで一つの取引が潰れたんだ」

高見沢「いくら損害を被ったと思ってるんだ。てめえ如きが汗水働いた程度じゃ返せる額じゃねえんだよ」

男「必死に頭を下げて謝ったのに許せない……ゆるせないー!!」

高見沢「んで?いつまでもお前に構ってるほど俺は暇じゃねーんだよ。見逃してやるからさっさと消えな」

男「貴様ぁーーーッ!!」

高見沢「はん」


高見沢の蹴りが男の手に持つ包丁に当たり、押し上げられて宙を舞った。
更に上空の包丁へ視線を向けた男の顔面にハイキックを叩き込み男は倒れると
高見沢は男の右膝を思いっきり踏みつけて砕いた。


男「ぎゃああああああああああ!!!!」

高見沢「そこに寝られると迷惑だ。片付けて置け」

社員「はい!!」


仮面契約者ベルデの装着者、高見沢逸郎は巨大企業・高見沢グループの総帥である。
彼はその類稀なる手腕を持ってライバル会社を次々と蹴落とし、吸収し、傘下に収め
圧倒的な権力や財力を手にしていた。


だがそれでも高見沢の欲望は尽きる事は無い。
権力も財力も彼の野心を満たすには至らない。
特に彼が求めて止まなかったのはどんな強者も屠り去る事が出来る暴力であった。


権力や財力は月日が経つに連れ、増やす事は出来るが暴力はそうは行かない。
食生活による栄養バランスや日々のジム通いによって強靭な肉体と格闘技術は身に付いたが
プロの格闘家達を相手に優勝できる力で無ければ彼は満足できなかった。


そんなある日、高見沢は黒い影の声によってミラーワールドへ誘われ
超人的な力を手に入れるのを願いとして仮面契約者になった。
仮面契約者になった時点で願いは叶ったとも言えるが
彼にとっては勝ち残って最強の力を示さない限り、野心は満たされないだろう。


仮面契約者となった後も鍛錬は欠かす事無く
バイドワインダーを自分の手足の様に正確に操作出来る程の技術も会得した。
邪魔となる魔法少女達も手駒を使い、機を見計らって二人の魔法少女を殺害した。
次はどんな手で魔法少女を追い詰めてやろうかと考えてる所で鏡から音が聞こえてくる。


高見沢「なんだ?」

黒い影「魔法少女達が不穏な動きを見せている……契約者達を教会へ集めるんだ」

高見沢「そうか。契約者達に伝えておこう」

高見沢(魔法少女め。痛い目に会ったばかりだと言うのに行動が速いな)

435 : ◆kJur2.rMxfRZ [saga]:2018/03/07(水) 05:34:40.87 ID:xvsbUhF30
北岡の宿泊しているホテル


ルーラ達によって自宅を知られた北岡秀一は現在この高級ホテルに泊まっていた。
高級な食材をふんだんに使ったフルコースを口にして、やっぱり吾郎ちゃんの料理の方が好きだよと吾郎に囁いた。
デザートを食べ終わろうとした所で吾郎は薬を用意した。


北岡「もう薬はいいよ、吾郎ちゃん。全然効いてないじゃん」

吾郎(そう言わずに飲んでください。ドクターの指示ですから)

吾郎(治る事はなくても病気の進行は遅くなっている筈です)

北岡「そうだといいね」


北岡はとても病気が遅くなっているとは思えなかった。
どんどん物忘れが激しくなりむしろ、日々、酷くなっている。
まぁ、これも契約者バトルが終わるまでの我慢だ。


俺は常に勝ってきた。小学校の運動会のリレーでも優勝し
高校の弁論大会でも優勝し、大学在学中の司法試験でもトップの成績を収めた。


北岡「弁護士になって最初の裁判も勝ったんだよな」

吾郎(はい、今の私があるのは全て先生のおかげです)


吾郎は強盗障害の罪で告訴されていた。
それを北岡は金に物を言わせたり、脅迫めいた取引を持ち掛けるなど
相当強引な手を使って黒を白に変える手腕を見せた。


晴れて無罪になった吾郎は以後の全ての人生を北岡に捧げる決心をした。
勾留中に何度も面接を重ねる内に吾郎は北岡の情熱に打たれ
生まれて初めて他人に心を開いた。一度開いた扉は二度と閉じる事は無い。


北岡の病気を知った吾郎は、沈黙を誓い願をかけた。
北岡の快癒を願い、その代わりに言葉を捨てると神に誓った。
完全に言葉を封印するために吾郎は金の糸で唇を縫い合わせた。


飲食は僅かに開く唇の間から摂取出来るものに限られた。
金の糸を選んだのは沈黙をより神聖なものとするためだった。
吾郎の沈黙は神に捧げたものだ、だから神聖でなければならない。


北岡「吾郎ちゃん、俺、他の全部を忘れても、吾郎ちゃんの事は忘れないからさ」

吾郎(先生なら契約者バトルでも勝ち残って病気を治す事が出来ます)


病気が治れば吾郎は金の糸を切り、北岡と共に祝いの酒を飲むだろう。
そう吾郎は決意していた。


北岡「そろそろ晩飯にしようか吾郎ちゃん、俺腹減ってきちゃったよ」


もう食べたとは言えなかった。


北岡は二度目の夕食を注文した。

436 : ◆kJur2.rMxfRZ [sage saga]:2018/03/07(水) 05:40:21.83 ID:xvsbUhF30
今日はここまで
コアミラーを壊せば戦いは止まるのか?
ミラモンの説は漫画版龍騎で手塚が言ってた台詞です

>>427
刑務所に入ってるクラムベリーを誰が出すんでしょうね

>>428
主人公の所属する隊員や身内が全滅する子供向けの番組もあるし
無差別に人を押そう敵が出てくる作品で一般人の犠牲が出るのは仕方ない
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/19(月) 11:29:49.64 ID:OBV8u9hk0
かなり序盤に出たブロリーとパラガスは何に?(消えたけど)
ドラゴンボール的な物でも出るのかな?
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/21(水) 08:27:11.33 ID:9uDXdwbo0
ミラモン?フジ系でやってるあの番組の略ですか?
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 08:14:56.31 ID:cXgz5G8g0
動いてくれないとまとめ速報の方が『完結』されるんだけど・・・
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