【艦これ】禍福は絡み合う触手の如し 〜鎮守府水着の乱〜

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1 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/20(月) 23:44:37.92 ID:469hJYMN0
*息抜きのつもりが本気に

*地の分あり。むしろ半分くらいそれです。苦手な方はスルーを

こちらもよろしくお願いします
【艦これ】エラーねこのなく頃に 艦こまし編
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475634532/


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1487601877
2 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/20(月) 23:47:15.79 ID:469hJYMN0
プロローグ



禍福はあざなえる縄の如し――という言葉がある。
幸福と不幸は表裏一体であり、不幸な出来事が幸運な出来事につながることもあれば、またその逆もあり得るという意味合いの言葉だ。
「塞翁が馬」も同じような意味の言葉だったはずだ。

正直なところ、この禍福云々に関してあえて言及するなら、わざわざこんな小難しい諺で言い表すようなことでもないのでは? と思う。
昔の人間はこういう取るに足らないありきたりなことを小賢しく表現するのがよっぽど好きだったのだろう。


などと、現実逃避をするほど、その言葉がこの上なく似合う状況――もとい、その成れの果てというのが、まさに今の自分の境遇なのだろうなと俺はこれでもかとばかりに思い知らされていた。
3 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/20(月) 23:48:31.57 ID:469hJYMN0

「ロリ司令、こちらが午後の演習の報告書になります」

「そうかご苦労。だが霧島、その呼び方はやめろ。それだと俺が幼女になってしまう。訂正しろ」

「そうですね、失礼しました。ロリコン司令」

「霧島、この数日間それについて口を酸っぱくして言っているが、俺はロリコンでは断じてない。訂正しろ」

「そうですか? では訂正しますね触手大好き幼児性愛司令」

「…………」

その眼鏡カチ割るぞ霧島ぁ。
そう言いたいのを必死に抑えつけ、手渡された報告書にざっと目を通して確認印を押す。
4 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/20(月) 23:50:30.41 ID:469hJYMN0

「……それでは、私はこれで失礼しますね。ロリコン司令」

報告書が適切に処理されるのを見届けた霧島が一礼して執務室を出て行った。

……最後、呼び方がロリコン司令に戻っていたな。
触手大好き幼児性愛司令は思いのほか呼びにくかったのだろう。語感もあまり良くないからな――いや、そうじゃなくて。

「ハア"ア"ァァァァァ……あのクソ真面目な霧島までなんなんだよもうチクショーめぇ」
5 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/20(月) 23:51:29.57 ID:469hJYMN0
盛大に溜め息を爆発させて机に突っ伏す。
こんな扱いをされるほど悪いことしたかよ俺は…………確かにあれは外部に漏れたら外面は最悪だろうけど。
いやだがあれは何かの間違いで――と、俺は危うく思い出したくもないあの出来事を掘り返しそうになり、グッとストップをかける。

しかし、思い出さないようにするというのは、思い出すようにするのと同義なわけで。


結局、心理的ブレーキがほぼほぼ効かないまま、俺は"こう"なった事の発端のであるあの日に思いを馳せることになった――


6 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/20(月) 23:53:06.83 ID:469hJYMN0


「どうしたものかな、これ……」


真夏の盛りが鳴りを潜め始め、残暑が肌を焼くある日の朝。
執務机の上に置かれた二つの"それ"の処理に俺は頭を捻っていた。いや処理と言うほど物々しいものでもないけれども。

「むー……誰かに譲るか……?」

そんなことを一人でブツブツ呟いていると扉が三度ノックされる。

「提督、大淀参りました」

「ああ、入れ」

「はい、失礼します」

そう言って、大淀が静かに入室してきた。
執務用のファイルを片手にしたいつも通りの佇まいの大淀だ。
7 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/20(月) 23:54:57.31 ID:469hJYMN0

「おはようございます、提督――おや?」

すると大淀、執務机の上のそれが早速目についたようだった。まあ、これ見よがしに置いてあるからな。


物珍しげな大淀の視線の先、彼女の興味を引いたであろうそれは――榛名と大和の水着姿のフィギュアだった。


榛名の方は白一色のビキニ。大和は白と赤を基調としたビキニ。両名とも腰にはパレオ(だったか?)を巻いた大変瑞々しい水着姿となっている。

「提督? これは一体……?」

「少し前に大本営の広報部から通達があったろ。何て言ったっけ……確か、艦娘だらけの水泳大会、だったか? あれの完成品だそうだ」

「ああ、そういえばありましたね。へぇ、これがそうなんですねー……」

8 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/20(月) 23:56:53.88 ID:469hJYMN0


昨今、艦娘に対する一般人の好感度は彼女達の命がけの活躍により良化傾向にある。
しかしながら、軍事機密も多分に絡む彼女達に対して未だに偏ったイメージを持つ層の人々も少なからず存在する。

そこで大本営が誇る広報部は、艦娘達のことをよりよく知ってもらい、親しみやすい存在であることをアピールするため、イメージアップ企画なるものを度々一般に向けて展開している。

その内容は多岐に渡る。

艦娘によるボランティア活動やオーケストラ演奏会といったイベント(最近では艦娘アイドルグループのライブコンサートなるものまであるのだとか)の開催。

艦娘を題材とした書籍や映像作品等(最近では艦娘との恋愛シミュレーションゲームなるものも発売されたらしい。このあたりから俺は疑問符を浮かべ始めた)の発売。

艦娘に関連した各種グッズ(最近の人気商品は艦娘抱き枕カバーらしい。最早何が何だか)の販売。
9 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/20(月) 23:59:17.27 ID:469hJYMN0

そしてこの度、その一環として実施されることになったのが『真夏の艦娘だらけの水泳大会!』と称されるキャンペーンである。
……何だこのトチ狂った企画は。というのが俺の第一印象だ。

一部の量販店や書店・コンビニエンスストアではずれなしのクジを販売し、そのクジの当たり度によって真夏らしい格好――つまり水着姿の艦娘グッズが賞品として手に入れられるという企画だ。
普通の格好の艦娘グッズも中にはあるようだが、メインは言うまでもなく水着の方だろう。


で、今俺の目の前にある二体のフィギュアもそれぞれその一種である。

しかも――

10 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:00:15.21 ID:QDgwJcc50

「確かクジの賞品でしたよね? 何等の賞品なんですか?」

「大和のが一等。榛名のが二等だ」

「上二つじゃないですか。どうされたんですかこれ? もしかして広報から送られてきたサンプルかなにかで?」

「まさか。この件に関してうちはモデルやら撮影やらの依頼は一切なかったんだぞ。そんなところにわざわざこんなもの贈ってこないだろ」

「え、じゃあ……」

「ああ……昨日、二つとも俺が当てた。二回引いたらその二つだったんだよ」

「二かっ……ええっ!?」
11 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:02:12.89 ID:QDgwJcc50

大淀に軽く驚かれた。クジを引いた本人である俺もかなり驚いたのだから当然の反応だろう。
分母がどのくらいかは分からないが、クジを二回だけ引いて、それで一等二等を狙い撃ちする確率がいかほどのものか。

馴染みの書店の店主も目を丸くして「こんな強運の持ち主が提督なのは頼もしい限りだ」と言っていた。そう言ってくれるのは有り難いが、俺はこんなことで運を使いたくはなかったよ。

「提督。お言葉ですが、あまりこういうことで運気を消費してしまわれるのはどうかと……」

お前もそう言うと思ったよ。何も言い返せない。

「……それにしても、すごい再現度ですね」

「ん? ああ、そう……なのか?」

「ええ、お二人ともスタイルが良いですからね――」
12 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:04:18.00 ID:QDgwJcc50

と、そこでフィギュアを眺めていた大淀の視線がピタリと止まる。
大和と榛名のある一部分をしばらく見つめて、そしておもむろに自分の胸元へと目を向ける。

「…………ハァ」

それから天井を仰いで溜め息を一つ。その表情を窺い知ることはできない。

あー……大淀? "それ"に関して俺に力になれることはないが…………小さいのも、悪くないと思うぞ?
セクハラになるから絶対口にはしないが。

「……ふーん、そうか。すごい再現度、か。俺は現物を見たことがないから今一よくわからないが。そうなのか、これ」

「あら? 提督、お二人の水着をご覧になったことがないのですか? 私はてっきり」

「よく考えてみろ。他所の大和と榛名はどうだか知らんが、うちの二人がこんな格好して俺の前に出てくると思うか?」

「なるほど確かに。恥ずかしがってやらないでしょうね」

「プライベートでは姉妹や仲間内で見せ合ったりしてるようだがな」
13 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:07:20.74 ID:QDgwJcc50

異性の前で肌をあまり晒さない奥ゆかしいそのスタンス。嫌いじゃない。
しかしそうもったいぶられると、少しだけそういうのも見てみたいと思うのは男としては普通の反応だろう。
少しだけ。すこーしだけ、な。

ちなみに彼女らの姉妹には、奥ゆかしさなど放り投げて水着姿で抱きつこうとする姉と、普段から褐色肌色増し増しの漢らしい痴女みたいな妹がそれぞれいるわけだが。そっちに関してはもっと自重してほしいと切に願う。

「それで大淀、このフィギュアどうしたらいいと思う?」

「どうしたらって、普通に自室に飾られては?」

「普通の格好のフィギュアならそれでも良かったけどな。ほら、あれだ。水着とはいえ部下のあられもない姿のそれを部屋に置いとくのは複雑な気分になるというか。本人達に知られたら良い気もしないだろうし」

下手すればセクハラで憲兵コースまである。それだけは避けておきたい。
14 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:09:38.00 ID:QDgwJcc50

「あの二人なら喜びそうなものですけど……でしたら、いっそ本人達に差し上げては?」

「お前、自分の部屋に自分の水着姿のフィギュアが置いてあるのどう思う?」

「………………ないですね」

「だろうな」

俺だって自室に自分のフィギュアが飾られてるところなんか想像しただけで鳥肌が立つわ。
男物の水着フィギュアがあるかどうかは知らんがな?

「となると、やはり艦娘の誰かに、ということになりますね」

「そうなってくると、まず大和と同室の武蔵と金剛姉妹も除外するとして――」
15 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:11:15.98 ID:QDgwJcc50

と、そこからフィギュアの処遇について二人並んであれやこれやと話し込んでいると、騒がしい足音が徐々に近づいてくるのを感知した。
ああ……またなのか。


「グッッモォーニン、テイトクぅーー! モォォォニング・ラァァァァヴ!」


「ノックしろって俺いつも言ってるんだよなぁ……」

「ア"ア"ァァァウチッ!? アタマがぁぁぁぁ!」

扉を勢いよく開け放って跳んできた紅茶馬鹿の顔を片手で鷲掴んでクローしてクランチ。
俺の手の中で金剛がワタワタと悶え苦しみ始める。
16 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:12:22.91 ID:QDgwJcc50

「ああっお姉さま!?」

「だから抑えた方がいいといつも言っているのに……」

「ハハハ……」

「ん? なんだお前らも来たのか。おはよう」

「あ、はい。おはようございます司令。大淀さんも」

「提督、大淀さん。おはようございます」

「はい。おはようございます。お二人とも」

金剛に続いて入ってきた姉妹のうち、霧島と榛名が扉を閉めて俺と大淀に挨拶をする。
比叡は頭を締め上げられてる金剛を前にあたふたしていて、それどころではないようだ。
17 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:14:45.33 ID:QDgwJcc50

とりあえず金剛の頭から手を放すことにする。

「いい加減学んでほしいものだな。ノックはきちんと。あと廊下を走るな。駆逐艦にだってできるぞこのくらい」

「Sorry……でも、テイトクだって悪いんだカラネ?」

「は?」

「ワタシのテイトクへの迸るLoveが、この身をテイトクのもとへ早く速くと駆り立てるのデース。そう、いわばこれはテイトクのGuilty――」

「今度は両手でいくか」

「ア"ア"ア"ァァァ、マイヘェェッド!?」

「お姉さまぁぁぁっ!」

再び悲鳴を上げる金剛とやはりあたふたする比叡。

朝っぱらから俺は何をしているのだろうな。


18 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:16:38.09 ID:QDgwJcc50





「それで、何か用か?」

「はい。用と言うほどではありませんが、司令を朝食にお誘いしようと思いまして」

「ご迷惑でなければ、ですが……」

「迷惑も何もあるかよ。大淀も一緒に来るか?」

「はい。私もよろしければ」

唸りながら床で頭を抱える金剛とそれを介抱している比叡を他所に、落ち着いた雰囲気で話が進む。
やっぱり金剛型の下二人はこういうとき大人しくて助かる。
変なところで面倒くさいのは上二人同様だが。

と、そこへ再びノックが三回。
19 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:18:00.91 ID:QDgwJcc50

「提督よ、武蔵並びに大和。入室するぞ」

「ああ、入っていいぞ」

「ん。失礼する」

扉越しにそう返して武蔵が、その後ろから大和が執務室に入ってきた。

「おはよう。武蔵。大和」

「ん。おはようだ、提督」

「はい。おはようございます。今朝は随分と賑やかなのですね」

「ちょうどいつも通り金剛を返り討ちにしてやったところでな。それで、お前たちは何の用だ? ああ、あれか。昨日の演習の報告か?」

「そうだ。報告書を出すついでに久しぶりに朝メシでも一緒に、と思ったんだが。どうやら先を越されたようだな」

「そうか。だったらお前達も一緒に行くか?」

「いいのか? ではそうさせてもらおう。大和もそれでいいか?」

「ええ。私は提督とご一緒できるのならよろこんで」

「じゃ、それで」
20 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:20:03.28 ID:QDgwJcc50

随分と大所帯な朝食メンバーになってしまったな。
そんなことを思いながら武蔵から報告書を受け取り、それを執務机の上に置いておこうとして――ふと、思い出す。

何か忘れてないか、と――

「うん? 机の上に何かありますね――」

するとそこで、金剛を看ていた比叡が何かを見つけたようだ。

「「あ」」

そこでようやく、俺は机の上のフィギュアの存在を思い出した。
どうやら大淀も忘れていたらしい。
そして俺がそれについて言及するよりも早く、比叡が声を上げる。

「金剛お姉さま、これ榛名と大和さんのフィギュアですよ! しかも水着の!」

「What's!?」「おや……」「何だと?」「「え・・・・・・」」
21 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:22:09.29 ID:QDgwJcc50

一斉に視線が比叡と机の上に向く。
しかもなんということだろうか。モデルになった二人もちょうど今ここにいるわけで。
これは早めに弁明しておかねば。

「あー……あのな、それは――」

「ワーオッ、ホントデース! あられもナイ姿の榛名と大和デース!」

「おい馬鹿。語弊があるだろその言い方」

「ほぉう、これは中々……そうか、お前もついに……ふむ」

「何勝手に納得してる武蔵。いいかこれはだな――」

「いやー司令がこういうのを集めていらっしゃるとは意外でしたねー…………私じゃなく榛名の、というのは少しばかり不満がありますが」

「霧島少し黙ろうか。あと最後何て言った?」

「は、はるにゃはっ、は、恥ずかしい格好の榛名を提督が持っていても、ぜんぜんっ、大丈夫れすっ!」

「全然大丈夫じゃないやつだなそれは」

「て、提督? あの、その……お、お手柔らかに、お願いしますね?」

「一体何のことを言ってるんだ大和?」

22 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:24:04.25 ID:QDgwJcc50

「ヘーイ、テイトク! どーして榛名と大和ナノ!? ワタシのFigureは?」
「それはむしろ私が欲しいです! 司令、もし持ってるなら私にください!」
「いっそ四姉妹フルコンプで揃えてほしいところですね、司令?」
「は、はるなは、四人全員恥ずかしい格好でもダイジョウブですっ!」
「その理屈でいくなら、私のもあってしかるべきだと思うのだがな。どうなんだ、提督よ?」
「えっ、ちょっと、武蔵!?」

ええいもうっ。一人だけならまだしも、こんだけいると騒がしくて説明がしづらい。
頼むから少し黙ってひとの話をちゃんと聞いて?
君ら比較的大人だろ?
俺泣くぞ? いい歳した大人の俺が。


23 : ◆KFFL7SRdLI [saga]:2017/02/21(火) 00:27:53.93 ID:QDgwJcc50
とりあえずここまで。もう一方のやつと並行して書いていければと思います


ちなみに私は6回引いて榛名さんと大和さんがいらっしゃいました

来年、ぼくは死ぬのかな? と、思いました(小並感)
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