【ヤンデレCD】ヤンデレロンパ〜希望のヤンデレと絶望の兄〜2スレ目

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659 :♪V3議論 -PANIC- ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 17:53:09.92 ID:cMg7GukF0



【巴に傷一つつけてない】


  |壊れたゴールポスト>


  聞こえた……!


 -BREAK-


660 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 18:10:54.66 ID:cMg7GukF0


 矛盾は聞こえた……、けど、こんなのって……!



コウモト アヤセ
「……ねぇ、ちょっと待って。増田君」


マスタ イサム
「何だよ。お前も俺がクロだって言うのか?」


コウモト アヤセ
「そうじゃない、けど……。巴ちゃんを傷つけてないって言うのは嘘になるよね」


マスタ イサム
「何言ってるんだよ! 実際俺は一度だって巴に手を――はっ?!」


コウモト アヤセ
「うん。球技大会の時、ゴールポストを壊して、巴ちゃんを下敷きにしちゃったよね?」


マスタ イサム
「確かに、あの時巴は頭をぶつけた。だがあの時は何ともなかったし、そもそもあれは事故じゃないか!」


ノノハラ レイ
「だから最初に確認しておいたんじゃないか。過失致死の場合はどうなるのかって。
 それにボクと綾瀬はモノクマから聞いている。機器の不具合以外で発生したいかなる事故も、自己責任。
 だから、事故死も状況によればクロが出来るんだよ」


マスタ イサム
「嘘……、だろ……?」


ノノハラ レイ
「十歳ぐらいの頃かな、ボクの大好きな声優さんが階段から落ちて死んじゃったんだよね。頭を強く打った結果脳挫傷で、さ。
 この話、キミが事故ったときにも仄めかしたんだけど。覚えてない?
 それにあの時言ったよね。後頭部ぶつけたんだから激しい運動は厳禁だって」


マスタ イサム
「あ……、あぁ……っ! アアアアアァァァァァァ!!!」



661 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 18:11:56.50 ID:cMg7GukF0




ユーミア
「間違っています! 何もかも!」



662 :♪Living in Lazy Parallel World ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 18:25:44.98 ID:cMg7GukF0



ユーミア
「やはり貴方に推理を任せるのは誤りでした」


ノノハラ レイ
「どういうことかな? 最初から不思議に思ってたんだよ。モノクマファイルにはクロが有利になるよう記述されている。学級裁判を公平にする物なのに。
 でも犯行がみんなの前で堂々と行われてたのなら話は別だよね。死因を書けば一発で誰がクロなのか分かってしまう。だからクロが不利にならないよう隠すしかなかった」


ユーミア
「それが大間違いだとまだ気付きませんか。朝倉巴の後頭部を殴りつけることが出来るのは誰でも同じこと。
 マスターの事故は衆目を集めましたが、論拠がそれだけだというなら話になりません。
 朝倉巴の後頭部を殴りつけることが出来たのはマスターだけですか?
 そんな保証はどこにもありませんよね?」


ノノハラ レイ
「増田クンだけだよ。残念ながら。……いい加減キミとの口論にも疲れた。そろそろ止めを刺そう」


ユーミア
「望むところです」



663 :理論武装 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 18:39:45.91 ID:cMg7GukF0



TYPE-SAKUYA A9



「マスターがクロ? 冗談は顔だけにしてくれませんか?」「マスターだけが疑われるなんて」「貴方の品性を疑うべきでしたか?」
「死因が硬膜下血腫であれ、脳挫傷であれ、誰でも朝倉巴の後頭部を殴りつけることが出来るはずです」「無論、ユーミアならどのくらいの時間差で死に至らしめることが出来るのかの調製だって余裕です」



「命に代えてもマスターだけはユーミアがお守りいたします……!」「貴方にマスターの何が分かると?」「マスターの苦しみを理解できるのはユーミアだけ」
「お労しいマスター」「どうかユーミアの勝手をお許しください」「マスターが幸せであればユーミアはそれだけでいいのです」



「貴方の発言には確たる証拠が何一つ存在しない」「このユーミアが決定的な物証を残すとお思いで?」「証拠は全て灰となりました」「残念でしたね」
「しつこいですよ」「異常者の相手はこれだから」「何故ここまでの議論でユーミアに票を入れないのです?」「もうこの話は終わりです」「終わり、終局、犯人決定、閉廷、それでいいじゃないですか」


664 :トドメを刺せ! ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 18:45:11.29 ID:cMg7GukF0



TYPE-SAKUYA A9



                     △
                     ぶ


□こ     「何故マスターをクロと断定するのか、不思議で仕方ありません」      ん○


                     た
                     ×


     た ん こ ぶ


 これで終わりだよ


 -BREAK-


665 :♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 18:54:41.93 ID:cMg7GukF0



ノノハラ レイ
「朝倉巴の後頭部にたんこぶができているのは、ほかならぬユーミアさんも知ってるね?
 本人も当時言っていた。平気だがたんこぶができたって」


ユーミア
「ユーミアのスペックなら、同じ場所を狙うことなど容易です……!」


ノノハラ レイ
「抜かせ。ウィッグが外れたあの時、ちょっと後頭部にも触ってみたけどそれらしいこぶは一つしかなかった。
 朝倉巴の生前にできた頭部の傷は、それ以外一つもない」


ユーミア
「勘違いしているだけでは? 検死を担当したこのユーミア以外に頭部をよく調べた人間がいるとでも?」


ノノハラ レイ
「なら正直に言いなよ。朝倉巴の生前に出来た頭部の外傷がなんなのかを」


ユーミア
「それは――」


マスタ イサム
「もう、いい」


ユーミア
「ま、ます、たー……?」


マスタ イサム
「そうか。そうなんだな。――俺がクロ、なんだな」


666 :♪Almost Hell Heaven ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 19:11:35.80 ID:cMg7GukF0



ユーミア
「待ってくださいマスター! こんな状況、まだいくらでも覆せます!
 ――いえ! そもそもあんな男の言うことなど信じられるものですか! 前の裁判でどれだけ引っ掻き回したのかお忘れですか?!」


マスタ イサム
「こういうのも癪だが、そういう所は真面目なんだよ、そいつは。
 なあ、裁判が始まる前から、俺がクロだって思ってたんだろ? じゃなきゃ、冒頭でモノクマにあんな質問をぶつけるのはおかしいもんな」


ノノハラ レイ
「……正直、認めたく、なかった。捜査時間もずっと、キミがクロじゃない証拠を集めようと躍起になって。
 結局出てきたのは、キミがクロだって証拠と、キミを庇うためのユーミアの偽装工作の痕跡だけだった。
 あらゆる面で消去していって、最後に残ったものこそ、いかにそれが信じがたくとも、真実なんだって。残酷すぎる事実から、目を背けていたかった。
 いっそ、ユーミアさんがクロ認定されないかって、冒頭でモノクマに聞いてみたんだよ。そんな儚い一縷の希望は粉微塵になったけど」


マスタ イサム
「意外だな。そんな風に考えてたのか。てっきり、クロには容赦しない質だとばかり思ってたんだが」


ノノハラ レイ
「心外だよ。ボクは優しいんだぜ? ――どうしてせっかくできた友達を喪うことを望めるんだ」


マスタ イサム
「そっか。なら――終わりにしてくれ。俺が巴に何をして、何をしてやれなかったのか。
 ユーミアに何をさせて、俺は何に気付かなかったのか。
 でないと、俺は俺を許せそうにない」


ノノハラ レイ
「……キミがそう望むなら」


667 :♪クライマックス推理 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 19:30:51.35 ID:cMg7GukF0



――男四人で麻雀をやっている上で……?
  ←男の娘がオタカラGET!

――朝倉巴の身に何が起きた?
  ←被害者の頭の中の爆弾が!

――死体の本当の第一発見者は?
  ←メイドは見た!

――ユーミアの偽装工作とは?
  ←やはり暴力……!! 暴力は全てを解決する……!!

――ユーミアが別館から本館へ移動した方法は?
  ←恐れを知らないメイドの滑走

――ユーミアは証拠隠滅のために何をした?
  ←やることが……やることが多い!!

――朝倉巴の変調、その原因は?
  ←いえお気になさらず。こんなのはただの、不慮の事故ですから。



 これが事件の全容だよ


668 :♪クライマックス再現 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 20:51:19.70 ID:cMg7GukF0




Act.1
 まず、被害者が死亡した前後の話をしよう。まず、ボク等四人は別館のゲームコーナーでTRPGと、夜通しで麻雀を行っていたんだ。
 そして、被害者。朝倉巴は別館の二階、男子更衣室に向かっていた。ボク等が見かけたことはないことからして、22時よりも前の出来事だ。
 何故朝倉巴が男子更衣室に行ったのか、その理由は慕っている人物の、洗っていない体操服を手に入れることだった。この手のものは、その手の人には垂涎のお宝だからね。
 女性のふりをしてはいるが、実際は男である朝倉巴は簡単に男子更衣室に侵入することが出来た筈だよ。もちろん、そんなシーン誰にも見られるわけにもいかないから、シアタールームにでも入って、夜が更けるのを待ったんじゃないかな。
 正直、いつ入ったのかは分からない。普通にゴンドラリフトで帰る気だったのかもしれないし、スキー用具で滑って帰る予定だったのか、あるいは一晩中別館に居座る予定だったのか、今となっては闇の中だけど。
 でも、男子更衣室に入って目的のものを手にしたのは事実だと思う。そして、その瞬間がやってきてしまった。
 朝倉巴は頭の中に爆弾を抱えていたんだ。硬膜下血腫という、いつ爆発するか分からない爆弾をね。それがとうとう爆発してしまったんだよ。
行き場をなくして溜まった血液が脳を押しつぶした時、被害者は激しい頭痛と吐き気に襲われ、男子更衣室の隅に胃の中身を全て吐き出すほどの激しい嘔吐をしてしまった。
ほうぼうの体で辛うじて男子更衣室からは出ることが出来た朝倉巴は、廊下で力尽きて、死んでしまったんだ。
 そうとは知らず、一階にいたボク等は麻雀をしていた。この時異変に気付けていれば結果は変わっていたのかもしれないけど、もう後の祭りだ。
 こうして、誰も朝倉巴が死んだことを知らないまま夜は更け、朝になった。ボクを除く三人は朝一のゴンドラリフトに乗り込んで本館に帰り、ボクは綾瀬と一緒に朝風呂に入るために別館に残ったんだよ。




Act.2
 朝一のゴンドラリフトに乗って別館にやってきたのは綾瀬だけじゃなく、多目的ホールの掃除をするためにユーミアさんもいた。そして、二階に行って目撃したのが、朝倉巴の死体だった。
 その時は傷らしい傷なんて何もなかった筈だから、きっとユーミアさんは倒れている朝倉巴を見ても、まさか死体だとは思わなかったんじゃないかな。でも近寄って調べて初めて、死んでいることが分かったんだ。
 多分、死因も一緒に分かった筈だよ。まったく損傷がない状態なんだから、調べれば一発だ。そしてユーミアさんはそこから誰がクロなのかが分かってしまった。自分の主だ、と。
 メイドであるユーミアさんは主を守るために、信じられない行動に移す。死因を誤魔化すための偽装工作として、体中のあちこちを被害者の持っていた剣で突き刺していったんだ。
 さらに、主が疑われないように、朝倉巴が死んでも離さなかったそれを無理矢理取り出すために、死後硬直で岩のように固く握りしめられた拳を力技でこじ開けた。
 その痕跡を隠すためさらに被害者の全身の骨を折る。蹲るような姿勢から伸ばすためにも。ユーミアさんの力ならではのゴリ押しだ。
 これらの工作は女湯で行われたんじゃないかな。綾瀬に見つかるリスクは高いけど、証拠隠滅のメリットを考えればできる場所はそこしかないわけだし。
 綾瀬が混浴風呂に向かっていることが分かったユーミアさんは最後の仕上げとして、シャワー室で死体を磔にし、シャワーで死体についた諸々を洗い流した。
 これなら、犯人は女湯に入ることのできる女性であると誤認させることが出来るし、被害者の手や服についた吐瀉物とその臭いも洗い流すことが出来る。
 死体の全身を痛めつけ、磔にすることで、ユーミアさんは何重ものカモフラージュをし、容疑が本当のクロではなく自分に向くよう仕向けたんだ。



669 :♪クライマックス再現 ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 20:51:58.35 ID:cMg7GukF0




Act.3
 一連の凶行が終わったユーミアさんは、今度は自分が犯人だと思わせるためのミスリードに移行した。
 まず多目的ホールを掃除していたという辻褄を合わせるために一通り多目的ホールを掃除する。でもここで重要なのは廊下に残っていた吐瀉痕の始末だ。こっちを優先するあまり、多目的ホールの方は杜撰になってしまった。
 本当は大本である男子更衣室の吐瀉物も、と行きたかったのだろうけど、生憎ユーミアさんは女性だ。男子更衣室に入ることは出来ない。こればかりは諦めるしかなかった。
 後々被害者の本当の性別が判明したら厄介なことになると踏んだユーミアさんは、被害者の持ち物やその他諸々を処分する為に本館の焼却炉を目指した。
 一刻を争う事態だ。悠長に10分かけてゴンドラリフトで行くより、スキーで滑って行った方が速いと判断したユーミアさんは、減速無しでゲレンデを突っ切り、5分とかからず本館に到着した。
 朝早い時間で、被害者の部屋がエレベーターに最も近いことも幸いして、誰にも見つからないように被害者の部屋に侵入したユーミアさんは、朝倉巴が男性である証拠を全て回収し、そのまま誰にも見られず焼却炉に証拠品を詰め込んで、燃やした。
 しかし、ある程度自分が朝倉巴に殺意を抱いていると見せかけないと動機が怪しまれる。だからわざと被害者の所持品の中から如何にもなものを残しておいたんだ。
 全ての工作が終わると、急いでゴンドラリフトに乗り込んで別館へ向かった。死体が発見される前に別館へ到着していなければならない。こればかりは賭けだったんじゃないかな。ユーミアさんもきっと、天に祈った筈だよ。
 そしてユーミアさんは賭けに勝った。死体が発見される前に別館について、朝倉巴の所持品をカバンごと女湯の脱衣所のゴミ箱に捨て、綾瀬の悲鳴が聞こえるのを待った。
 死体発見アナウンスが不自然にならないようにするためには、ユーミアさんは第二死体発見者に見せかけるしかない。三人目が死体を発見した時にアナウンスが流れるわけだから、ユーミアさんよりも前に二人が死体を発見したらその段階でアナウンスが流れる。
 かと言って二階の多目的ホール……、女湯から結構距離がある所にいたということにしている自分が一番目に死体を発見するというのも不自然だ。
 だから、ユーミアさんは第一死体発見者にも関わらず第二死体発見者を装うために、脱衣所でスタンバイしていたわけだ。
 そして綾瀬が惨たらしい死体を見て悲鳴をあげ、それを聞きつけた形で駆けつけてきたように見せかけ、ボクが入って来るのを足止めしてから、死体を発見させた。そして目論見通り死体発見アナウンスが流れる。
 後は臨機応変に対応して、如何にも自分が犯人だと陰ばかりに主張し、票を自分に集めようとすればいい。すべては、敬愛するべき主の為にね。




Act.0
 では何故朝倉巴は硬膜下血腫を抱えなければならなかったのか。
 それは昨日の球技大会で起きたある事故が原因だ。
 老朽化したバスケットのコールポストに何度もスラムダンクを決めたものだから、とうとう耐えきれずに壊れてしまったんだよ。根元からポッキリと折れてしまったんだ。
 当然その人物は重力に従い落下する。その巨体を受け止めようと無謀な挑戦をした朝倉巴は、その下敷きとなってしまい、後頭部を強打してしまったんだ。
 当時は平然としていた被害者だけど、実際は硬膜下出血が起きていた。これが爆弾の正体だよ。ゆっくりと時間をかけ血が溜まっていき、とうとう限界を迎えてしまったんだ。



 全ては不慮の事故……、でも、朝倉巴の死の原因となったのは、キミなんだよ。
 ――超高校級の画家候補生、増田勇クン。


 -COMPLETE-



670 :♪Wonderful Story ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 20:56:31.51 ID:cMg7GukF0



マスタ イサム
「……そう、か」


ユーミア
「マスター! 出鱈目です! こんな男の言うことなど信じるに値しません!」


マスタ イサム
「ユーミア。もう、いい。もう……、いいんだ」


ユーミア
「マスターァァァァァァ……」


モノクマ
「どうやら、オマエラの結論が出たみたいですね!では、お待ちかねの投票タイムと参りましょう!
 オマエラはお手元のスイッチで投票してください。
 投票の結果クロとなるのは誰なのか?そしてその答えは正解なのか、不正解なのか?」


671 :VOTE ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 20:58:14.35 ID:cMg7GukF0



  マスタ イサム 12票 \GUILTY/

  ノノハラ レイ 1票


672 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 20:58:54.62 ID:cMg7GukF0




学 級 裁 判 

  閉 廷


673 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/02/27(土) 21:00:50.42 ID:cMg7GukF0



――本日はこれにて。


674 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 21:30:03.50 ID:Y5IO5UdV0



モノクマ
「だいせいかーい! 朝倉巴クンを不慮の事故で死なせたのは、増田勇クンなのでしたー!」


ユーミア
「こんな裁判は不当です! 事前の説明が全く足りていない!
 それにこんな判例が認められれば、ほんのわずかな接触でも疑心暗鬼の種になるではありませんか! 皆さんはそれでもかまわないとでも?!
 こんな不公平な裁判を認めるわけにはいきません! 告訴します!」


モノクマ
「却下ですぅ……、うぷぷ……、いいのかなぁ? そんなこと言っちゃって。ボクだって最初はこれ、どう処理すべきか迷ったんだけどさぁ、決定打になったのはオマエの行動なんだよ?」


ユーミア
「それは……どういう……」


モノクマ
「あれはただの事故死だった。老朽化したゴールポストを修繕してなかったボクにも落ち度はあったから、校則違反も見逃してあげたんだよ?
 その後はどうなろうが自己責任ってことで放置したのは事実だけどさ。誰がどう見ても事故死なのに学級裁判なんて開いたら面白くないじゃん。
 だけど、オマエが事件性を持たせちゃったから、学級裁判を開かざるを得なくなっちゃったわけ。それを不当と言われるのは心外ですなぁ」


ユーミア
「あ……、ああ……、アアアアアァァァァァァッッッ!!!」


モノクマ
「オマエが何もしなければ増田クンがクロになることもなかったのにねぇ!
 いやー愉快愉快! 矜持も未来も、オマエの全てを捧げて誰によりすがろうと! 主一人さら救えないとは!
 惨めだよねぇ、この上なく惨めだよオマエ。うぷぷ。うぷぷぷぷぷ!
 ぶひゃひゃひゃひゃ!」ゲラゲラゲラゲラ


675 :♪Rise of the Ultimate ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 21:41:54.36 ID:Y5IO5UdV0



マスタ イサム
「その辺にしておけモノクマ」


モノクマ
「おやおや。そっちはそっちで随分冷静じゃない。オマエ本当に解ってる? これから理不尽にオシオキされて、死んじゃうんだよ?
 怖くないの? 恨めしくないの? どうせだ、YOU、本音さらけ出しちゃいなYO!」


マスタ イサム
「……何なんだろうな。多分いつも通りだったら取り乱してただろうさ。だが、ユーミアが俺の為にあそこまで尽くしてくれたんだ。ここで醜態を晒すワケには行かないだろうよ」


モノクマ
「何だい何だい、そんな覚悟決めた漢みたいな顔しちゃってさ。どうせオマエみたいな奴ほど死にたくないとか直前になってビビるんだ!
 ホラホラ怖がれ! 怯えろ! 泣き喚け!」


ノノハラ レイ
「流石にこれ以上は無理なんじゃない? いい加減諦めたら?」



モノクマ
「何だいオマエも!」


オモヒト コウ
「……お前、どっちの味方なんだよ」


ノノハラ レイ
「誰の味方でもないよ。ボクはボクであり続ける限り、ボクのやりたいことをする。それだけ。
 使えるものは全て使う。妨げになるものは全て消す。それが相手にとっての利益や害となるだけだ」


モノクマ
「ムキー! ドイツもコイツもいい気になりやがって! そこまで言うからにはやってやろうじゃねぇかよこの野郎!
 張り切っていきましょー! おしおきターイム!!!」



676 :♪New World Order ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 21:47:17.42 ID:Y5IO5UdV0



マスタ イサム
「……巴を死なせたケジメはつけないとな。だが、ただじゃ死なないぞ、俺は」



 モノクマが槌を振り上げた瞬間、増田クンも懐に手を突っ込んだ。
 取り出されたのは、キャップが外されむき出しとなった矛先と瞬間的に長くなった柄。増田クンの凶器だ。



モノクマ
「うぷぷ、そんなのでオマエに何が出来るのかなぁ? 殺られる前に殺っちゃう? このボクを?
 殺れるもんなら殺ってみなよ! 不可能だからさ! ぶひゃひゃひゃひゃ!!!」


マスタ イサム
「言ってろ。出来る出来ないじゃない。やるんだよ、今、ここで!」



 そう言って増田クンはその槍をおおきく振りかぶって――自らの胸に突き刺した。



677 :♪New World Order ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 21:49:18.25 ID:Y5IO5UdV0



マスタ イサム
「グハッ……」


モノクマ
「はぁ?」



 深々と突き刺した槍は体を貫通し、傷口や矛先から血が滴り落ちている。まぎれもなく致命傷だ。
 その証拠に、増田クンは虚ろな目で立っているのもやっとという状態。今にも膝をつきそうな蒼褪めた顔だ。吐血もしている。



ユーミア
「マスター! 今止血を!」


マスタ イサム
「いや、いい、ユーミア。これで、いいんだ……」


モノクマ
「お、オマエ! 何やってるんだー! まさかオシオキ怖さに自殺する気かー?!」


マスタ イサム
「そんなんじゃ、ない……。巴が死んだのは、俺のせい、だ。だから、俺の死で、償う。
 だが……、お前の思い通りになんて、させない……!
 俺の命は……! お前を悦ばせるためには、絶対に使わせない……! 使わせてやるものか……ッ!!」


モノクマ
「だったら、今から何が何でもオマエを絶対に治してやる! 待ちに待ったオシオキタイムを邪魔させるもんか!」


ノノハラ レイ
「そうはさせないよ、モノクマ。――というより、それは出来ない。の方が正しいかもしれないけど」


モノクマ
「はぁあぁ? 何言ってんのさ。言ったでしょ、ここじゃボクがルールなの!」


ノノハラ レイ
「キミは朝倉巴が硬膜下出血で倒れた時、必要な治療をしなかった。そしてその原因を作った増田クンをクロと判断した。
 ここで暮らす分には病死はありえないとキミが冒頭で明言した以上、増田クンに原因があるとはいえ朝倉巴が倒れた時に何もしなかったのはキミの怠慢に他ならない。
 なら、自分を殺し切り損ねている増田クンの治療は、朝倉巴に対し必要な治療しなかった怠慢と相反することになるよね? いいのかいゲームマスターだからってそんな横暴。
 いくら裁判長とはいえ、公平公正を守ってこその秩序だと思うけど。
 それに、老朽化したゴールの破損の管理不行き届きに関して何もしなかった。これもいけないね。
 あの時点でキミが出てきてくれればしかるべき処置を施せたかも知れない。つまり事件は起きなかった可能性だってある。だがキミはそれを怠った。
 校則違反と老朽化の放置でトントンにしたとして何もしなかったのはおかしいよねぇ?
 その件に関して、しかるべき責任ってものがあるんじゃないかな、モノクマ学園長殿?」


モノクマ
「ムグググ……」



 ごねるモノクマを説き伏せるのは気分がいい。自分が強者だと思っている輩を正論で殴りつけるのは最高だ。



678 :♪New World Order ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 21:54:55.18 ID:Y5IO5UdV0



マスタ イサム
「悪い……、な。迷惑かけて……」

ノノハラ レイ
「別に。ボクもモノクマの思い通りに事が進むのは気に食わないし。それに、朝倉巴の死に関して、責任の一端を感じないわけでもないしね。
 ……あの時もっとちゃんと診てればこんなことにはならなかったかも知れない。そう後悔してる節がないとは言い切れないから」

マスタ イサム
「はは……、もう少し薄情な奴かと思ってたんだがな。違ったか」

ノノハラ レイ
「とんでもない誤解を最期に解けてよかったよ。――なんて、言えるワケないじゃない」

オモヒト コウ
「お、俺の所為、なのか……? 俺が老朽化に気付かないで球技大会なんてやりださなければ……、こんな、こんな事には……」

ウメゾノ ミノル
「そんなこと言ったら、僕だってイベントを開催しようって流れ作っちゃったし……」

ユーミア
「ユーミアが……、ユーミアが……、あぁ、あああ、ああああああ! マスターの為と思って重ねた罪が逆にマスターの首を絞めることになるなんて、そんな、そんな……。
 違う、違うんですマスター。これは何かの間違い、夢、幻、あってはならない事。マスターをお守りすることだけがユーミアの存在意義なのに!
 またマスターを守れないだなんて嘘、嘘。嫌、否、ユーミアがマスターを殺した……? そんなはずは、そんな、はず、は……」

マスタ イサム
「……気にするな。誰も、悪くない。調子に乗ってゴールポストを壊した俺が悪い。それで、いいじゃないか。
 それに、どのみち死ぬんなら、あん畜生に一泡吹かせてやる方が気分がいい、だろ?」

オモヒト コウ
「大馬鹿野郎だよ……、お前は。遺された側の気持ちがこれっぽちも解ってないじゃないか……」

マスタ イサム
「言い返しのしようがないな、それに関しては。……なぁユーミア、この期に及んで図々しいかもしれないが、一つだけ頼まれてくれるか?」

ユーミア
「お任せください! マスターの命は必ずユーミアがお救い致します! こんなところで死なせるわけにはいきません!」

マスタ イサム
「それじゃどのみちオシオキで殺されるだろ……。
 巴には姉がいる。この件について謝りたいところだが、俺はもうこのザマだ。代理、頼まれてくれるか?」

ユーミア
「嫌です! ユーミアはマスターがいないと前を見て歩けません! それに約束したじゃありませんか! ずっと側にいて欲しいと! あの言葉は嘘だったのですか?!
 ユーミアはマスターが見ていてくれないと怖くて先へ進めないのです! もう二度とマスターを喪いたくないんです!」

マスタ イサム
「ゴメンなユーミア。こんな身勝手なマスターで。俺の我儘で余計に辛い思いさせちまうんだもんな。
 ……けど、こうでもしないと俺が死なせちまった巴に示しがつかない。だから、これが俺からお前に向ける、最期の命令だ」

ユーミア
「……わかり、ました。必ずや、その命令、果たして見せます」

マスタ イサム
「あとこれは、完全な個人的な頼みなんだがな……。俺の事も、あの時の約束なんかも全部忘れて、お前はもっと自分自身の幸せを見つけてこい」

ユーミア
「マスターの傍に使えること以上の幸福などありません! マスターがいなければユーミアは……! ユーミアは! ユーミアは……! どうすればいいのですか……」

マスタ イサム
「こんな酷くてみすぼらしい糞野郎なんかよりももっといい主が見つかるさ。ユーミアならきっと引く手あまただ、心配いらない。
 ……さて、モノクマ。これだけは言っておくぞ。お前の正体は必ず、俺の仲間達が、絶対に暴いてみせる。先に地獄で待ってるからな、首洗って待っとけ」

モノクマ
「オマエ、随分と生意気じゃん。ま、ボクが捕まることなんてありえないけどね。中の人なんていないんだから! ぶひゃひゃひゃひゃ! とんだ仇花だよ! 傑作だ!」

マスタ イサム
「言ってろ……。澪、差し出がましいのは百も承知だが、頼まれてくれるか? ユーミアの事」

ノノハラ レイ
「……必要最低限の努力はするよ。結果は保証しかねるけど」

マスタ イサム
「構わん。……よし、もう言い遺すことも思い残すこともないな。
 あぁ、これが死、か。なんだ、存外、怖くないもんなんだな。――いや、俺はここまでだが、俺の遺志を継ぐ奴らに託せたんだ。満足だ。いい……、人生、だった、よ」

ユーミア
「マスター! ダメ! ダメです! 目を開けてください!
 嫌! 体が冷たくなって! もう独りは嫌なんです! マスター! マスター!!」



679 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 21:56:26.94 ID:Y5IO5UdV0



モノクマ
「……ちぇっ。こんなお涙頂戴の茶番劇反吐が出るね。興が削がれちゃったよ。
 じゃ、これで今回の学級裁判は終わったから、そこのエレベーターで帰ってね。バーイクマー」



 こうして二回目の学級裁判は幕を下ろした。
 主の亡骸を抱きかかえ、嗚咽している従者(メイド)を残し、ボク等はエレベーターで上へと昇った。



680 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 21:58:45.03 ID:Y5IO5UdV0



コウモト アヤセ
「……よかったの、澪? あの二人を残しておいて」


ノノハラ レイ
「梃子でも動かないでしょ、あの状態だと。それに、あの二人の間に水を差すような真似はしないほうがいいし」


オモヒト コウ
「意外だな。てっきり前の裁判同様、増田かユーミアの事を忘れるものかと思っていたが」


ノノハラ レイ
「キミはボクを何だと思っているんだ。一応、人並みの感性はあるんだからね? 増田クンの件に関しては全くの事故だし、ボクにも落ち度がないとは言い切れない。
 ユーミアさんにしたって、やったことは結果的に悉く裏目ったけど、増田クンのことを想っての行動だ。今は憐れみさえ覚えるよ。
 ……そうだ、この際だから言っておこうか。取引について」


ウメゾノ ミノル
「最大7人が外に出られるってあれ?」


ノノハラ レイ
「そうそう。その定員なんだけどさ、一人減ってあと二人になったから」


ウメゾノ ミノル
「――なぁそれ、僕達の誰かが寝返ったんじゃなくて、今生き残ってるのが12人だからかい?」


681 :♪Nightmare in Locker ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:00:24.31 ID:Y5IO5UdV0



ノノハラ ナギサ
「え、どういう事?」


ウメゾノ ミノル
「簡単な話だ。学級裁判の必勝法、それは全員がクロになること。そうだろ?」


サクラノミヤ アリス
「どういうことよ、ちゃんとわかるように説明しなさい」


ウメゾノ ミノル
「最大人数の半数が一人一殺。これで全員クロが確定する。今は12人だからその半分の6人が共謀して残りの6人を殺せば、学級裁判もクソもない。完全犯罪達成だ。
 全員分の票を外せば、それだけでクロの勝利が確定する。学級裁判のルールの穴を突いたいい方法だけど、こうして表沙汰になった以上は何某かの対策をしてくるはずだ」


モノクマ
「んなことされたらツマラナイじゃないか! 後で校則付け加えておくからね!」


ウメゾノ ミノル
「さ、これで君の企み、交渉材料は無くなった。いつまでも自分の思い通りにいくとは思わないことだ」


ノノハラ レイ
「へーぇ」


ウメゾノ ミノル
「おいおい、なんだそのにやついた顔は。君の目論見は全てご破算になったんだぜ?」


ノノハラ レイ
「いやーぁ感心した。前々から思ってたけど、キミ、馬鹿だけど頭は悪くない、いや、かなり良いね、馬鹿だけど」


ウメゾノ ミノル
「二回も言うな! 馬鹿って言った方が馬鹿なんだよ!」


ノノハラ レイ
「これでも褒めてるんだぜ? なんてったって、このボクが最初に思い付いたプランなんだからね。過半数クロ計画は」


ウメゾノ ミノル
「今は違う、って?」


ノノハラ レイ
「もっとスマートな方法を思いついたのさ。最初の裁判の途中にインスピレーションが湧いてねぇ。
 この計画なら、最大7人が同時に卒業可能だ。これ以上は言えないけどね。察せられても困るし」


ウメゾノ ミノル
「やっぱり誰かを犠牲にすること前提じゃないか。誰が乗るかそんな計画」


オモヒト コウ
「ちょっと待て、今の口ぶりだともう既に一人澪の計画に加担する奴がいるってことじゃないか?」


タカナシ ユメミ
「ちょっと誰よ! あんなロクデナシに手を貸す異常者は! 名乗り出なさいよ! 今なら指詰めるだけで勘弁してやるから!」


ノノハラ レイ
「そんなこと言ったら誰も名乗り出ないって。ま、ボクも個人情報をリークするなんて真似は口が裂けてもしないけどね」


タカナシ ユメミ
「へぇ? じゃぁそのべらべらよく回る舌、ちょっとくらい切っちゃっても構わないって事かしら?」


ノノハラ レイ
「おーぉ怖ぁ、戸締りしとこ。――さて、そろそろ地上階だね。じゃ、ボクとの取引に応じたいって人は気軽に連絡してね。早い者勝ちだぜ」



 別館のエレベーターを後にした。


682 :♪亡き王女のためのパヴァーヌ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:03:51.94 ID:Y5IO5UdV0



 別館のゴンドラリフト乗り場の外側。吹雪の中でボクは佇んでいる。
 何をするでもなく、ただ曇天を見上げ、六花の流れに身を委ねていた。
 髪も、裾も、袖も、ただ風にたなびかせるだけ。
 この風と吹きすさぶ雪で、己の罪を洗い流せる気がして。



コウモト アヤセ
「こんなところにいた。探したのよ?」


ノノハラ レイ
「ボクを見つけるの、ホント上手いよね綾瀬。みんなとっととゴンドラリフトで本館に戻ると思ってたのに」


コウモト アヤセ
「こういう時、澪が一人で黄昏ることくらいはお見通しだからね。一人きりになれるとしたら、別館かその近くしかない。そう思って探したの。
 ……まだ引き摺ってる?」


ノノハラ レイ
「否と言えば噓になるね。短い間だったけど、せっかくできた友達、だったんだけどな」


コウモト アヤセ
「わたしは、誰も悪くなかったと思う。悪いのはモノクマよ、誰かに犠牲を強いるこんな合宿を思いついたあいつが全部悪いの」


ノノハラ レイ
「そう思った方が精神衛生上一番いいのかもね。……いけないな、雪が目に入りそうだ。早く、戻ろう」


コウモト アヤセ
「いまさらそんなこと言うの? じゃ、ただでさえ寒いんだから早く帰りましょうよ。体だって冷えて――、澪、その顔……」


ノノハラ レイ
「これは雪、――目に当たって融けた雪ってことに、してくれないかな」


コウモト アヤセ
「……そう、ね。そういうことにするわ」



 そう、ボクには涙を流す資格なんてない。だからこの目から頬を伝う雫は、ただの雪の結晶の残滓なのだ。



ノノハラ レイ
「せっかくだ、レクイエムにトロイメライでも弾いてよ。もう、誰も残ってないんでしょ?」


コウモト アヤセ
「……そうね。こんな悲劇、子供の見た悪い夢よ。目が覚めたらきっといいことばかりだわ」


683 :♪トロイメライ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:05:32.06 ID:Y5IO5UdV0



コウモト アヤセ
「澪、一つだけ、聞かせてくれる?」


ノノハラ レイ
「なぁに?」


コウモト アヤセ
「『野々原澪がコロシアイに参加したのは今回が初めてではない』」


ノノハラ レイ
「……そっか、綾瀬だったんだね。ボクの秘密を知ってたのって」


コウモト アヤセ
「どういうことなの? 澪は前にもこんなコロシアイを経験したってことなの?
 ――だからあんな風に手馴れてたの?」


ノノハラ レイ
「そういう認識で間違いないよ。――そっか、そういう表記をしてくるんだね」


コウモト アヤセ
「ねぇ、教えて? 澪の身に、一体何があったっていうの? わたしの知らない間に何があったの?」


ノノハラ レイ
「――今は言えない、かな。言わないんじゃない。言えないんだ。これで察してほしい。
 でも、これだけは誓うよ。いつか必ず本当のことをキミに伝えるって」


コウモト アヤセ
「そこまで言うなら、信じる。でも、いつか絶対話して。それだけは約束して」


ノノハラ レイ
「うん、約束だ。来るべき時が来たら、ボクはキミに全てを伝える」


コウモト アヤセ
「わかればいいの。……そろそろ、帰る?」


ノノハラ レイ
「いやぁ、ボクはもう少し余韻に浸ることにするよ。綾瀬は先に帰っててくれない?」


コウモト アヤセ
「……乗り場で、待ってるから」


ノノハラ レイ
「わかったよ、じゃぁ早めに切り上げないとね。余り待たせて風邪でもひかれたら大変だ」


コウモト アヤセ
「わかればいいの。……じゃぁ、ね」


ノノハラ レイ
「うん。心配しなくても、早めに行くから、ね?」


684 :♪亡き王女のためのパヴァーヌ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:07:15.13 ID:Y5IO5UdV0



―――



ウメゾノ ミノル
「……これが君の望んだ結末なのか?」



 海千山千犇めく魑魅魍魎の中でも、鯨鯢と恐れられてきた“あいつ”でさえ、増田君の決断は予想できなかっただろう。
 けど、本当に良かったのか? あんなお涙頂戴の最期、見方を変えればただの自己満足じゃないのか?
 遺されたメイドの事を慮っていたのなら、かけるべき言葉はもう少し選んだ方がよかったんじゃないのか?
 ……いけないな。実によろしくない。暗い気分になると、思考も釣られてしまう。
 おっと、誰かの気配だ。隠すもの隠さないと。



サクラノミヤ エリス
「お兄さま! 探しましたよ! ……どうしてまた焼却炉の前にいるんですか?」


ウメゾノ ミノル
「ココだけの話だぜ、監視カメラの死角なんだよ。今僕が立ってるこの位置が」


サクラノミヤ エリス
「わかるんですか? そういうのって」


ウメゾノ ミノル
「見られてるって感覚がこの位置には無いんだ。僕ってばそういう“視線”には敏感だからさ、解っちゃうんだ、監視カメラの死角がどこかってことが、直感的に」


サクラノミヤ エリス
「そう、なんですか。……それで、その、そこで何をやっていたんですか?」


ウメゾノ ミノル
「増田君の追悼だよ。短い間だったけど、それでも仲良くしてきたんだ。感傷に浸りたくもなるさ。
 それに火を使うからここでやってたってだけで、別に深い意味はないけど。ほら、このライター使ってさ」


サクラノミヤ エリス
「あの時のライターですね。……イニシャルが刻んでありますよ。F.M.って。
 誰なんですか? お兄さまの名前じゃないですよね?」


ウメゾノ ミノル
「そろそろ部屋に戻ろうぜ慧梨主」


サクラノミヤ エリス
「えっとその、ライター……」


ウメゾノ ミノル
「このライターは紛れもなく僕の物だ。そこに一切の嘘偽りはない。名前なんてどうだっていい、だろ?
 ――それとも慧梨主は僕の言うことが信じられないって言うのか?」


サクラノミヤ エリス
「え?! いえ、その、そう言うことではなく」


ウメゾノ ミノル
「じゃぁさっさと部屋に戻ろう。ここは冷えるから、な?」


サクラノミヤ エリス
「えぇと、その、はい……」


―――


685 :♪トロイメライ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:09:50.00 ID:Y5IO5UdV0




 シアタールームの隠しチェストに入れたVHDを取りだし、再生する。名前は“クロの章”。永久に封印しなければならない負の遺産。
 興味を持たれるわけにもいかず、かと言って破棄するわけにもいかないから、視界にも入れたくないZ級中のZ級映画のタイトルを書き連ねることにした。
 このまま誰にも見られないようにしなければならない。本当の内容を、ボク以外が知ってしまっては都合が悪い。苦肉の策だったが功を奏した。


ノノハラ レイ
「……言えるワケないじゃん。こんなこと」



686 :♪イキキル ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:13:31.01 ID:Y5IO5UdV0



―――


モノクマ
「超高校級の画家候補生、増田勇クンにふさわしい、スペシャルなオシオキを用意しました!」


マスタ イサム
「こんなことで死ねるか!」


モノクマ
「張り切っていきましょう! おしおきターイム!」


マスタ イサム
「死んでたまるかぁアアアアアァァァァァァ!!」



 あの増田クンが必死の形相で駆け抜けている。そこにあの時の面影は何処にもない。



マスタ イサム
「ウウウゥゥゥゥオオオオオォォォォアアアアアアァァァァァ!!!」



 咆哮空しく、モノクマのガベルが振り下ろされた。



687 :GAME OVER ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:14:26.63 ID:Y5IO5UdV0




マスタくんがクロに決まりました。


おしおきを開始します。




688 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:15:41.37 ID:Y5IO5UdV0




 いつの間にか開け放たれた扉へ向かって増田クンは駆け抜けていく。
 枠に刻まれた、『Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate' (汝等此処に入る者、一切の希望を捨てよ)』の文字には目もくれない。



689 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:17:01.24 ID:Y5IO5UdV0




マスターコード


超高校級の画家候補生


増田勇処刑執行



690 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:18:51.90 ID:Y5IO5UdV0



 門をくぐった先は狭い一本道。チェーンソー、鉄球、振り子ギロチン、回転カッターetc.と殺意マシマシなトラップの数々を時には避け、時にはダメージ覚悟でぶつかる増田クン。
 さらにはパズルの様相を呈するような難解な迷路となり、殺人トラップも更に過酷になっていく。
 それでも何とか『EXIT』と掲げられた扉に辿り着き、増田クンは躊躇なく開け放った。
 その先には笑顔で迎え入れる皆――などではなく、



『↑出口
 ↓ブエノスアイレス』の看板と、天井から吊るされた鎖と地面からせりあがる溶岩。

 増田クンは鎖を手繰って昇っていく。しかし、ほぼ満身創痍の増田クンが昇る速さよりも、せりあがる溶岩の方が速く、距離はどんどん縮んでいく。
 最後の力を振り絞ったのか、それとも鎖から伝わってくる熱に焦ったのか、増田クンは急いで鎖に手を伸ばしていく。
 銀色に輝く鎖が、いつの間にか鈍くなっていた。それは増田クンの血が着いたわけでも、溶岩からの照り返しでもなく、鎖そのものの輝きがない。鎖の質が変わったということか。
 それから少しして、増田クンは空中落下をしていた。鎖から手を離したわけでも、力尽きたわけでもないのに、鎖を掴んだまま落ちている。
 鎖は天井に繋がっていたわけじゃない。ウインチによって垂らされていたのだ。そして巻かれていた鎖が尽きた。だから落ちたのだ。質が変わったのはその知らせということか。
 いずれにせよもう遅い。もうほとんど増田クンは溶岩に沈んでいる。
 辛うじて掲げた右手は中指を立てていた。



―――



691 :♪Moon on the Water ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:22:40.90 ID:Y5IO5UdV0



ユーミア
「マスター、ユーミアは諦めが悪いんです。これくらいの我儘は、許してくださいますよね?
 ――ライフインフィニティシステム、起動」



692 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:24:12.45 ID:Y5IO5UdV0



       第二章


  ノーマーダー・ノーライフ


       END



693 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:25:08.49 ID:Y5IO5UdV0



       生き残りメンバー
         12人



         To Be
        Continued



694 :ITEM GET! ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:27:04.62 ID:Y5IO5UdV0




    プレゼント“画材セット”を獲得しました。


     プレゼントメニューで確認できます。



695 :プレゼントメニュー ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:27:57.85 ID:Y5IO5UdV0




画材セット:第二章を解明した記録。
      アメリカンスタイルの屋敷によく似合う。中々値の張る逸品。



696 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:37:20.83 ID:Y5IO5UdV0



――第二章、これにて閉幕でございます。


――はてさて、このスレのまま第三章を始めるか、このスレは後は小ネタ等で埋めて新スレで第三章を始めるか。


――悩みどころではございますが、読者の皆様方にはこれからもヤンデレロンパをよろしくお願いいたします。


――ヤンデレCD Re:Turn 夢乃の章の配信も間近なので、そちらも楽しみですね。


――それではこんばんはこれにて。おやすみなさい。


697 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/03/30(火) 22:37:20.76 ID:Y5IO5UdV0



――第二章、これにて閉幕でございます。


――はてさて、このスレのまま第三章を始めるか、このスレは後は小ネタ等で埋めて新スレで第三章を始めるか。


――悩みどころではございますが、読者の皆様方にはこれからもヤンデレロンパをよろしくお願いいたします。


――ヤンデレCD Re:Turn 夢乃の章の配信も間近なので、そちらも楽しみですね。


――それではこんばんはこれにて。おやすみなさい。


698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/15(木) 12:55:02.98 ID:n+90wFMs0
乙です。三章も楽しみにしています。
699 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/04/28(水) 22:13:28.40 ID:iT6CYkPy0


    番外編


    狭間の夢


700 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/04/28(水) 22:15:17.53 ID:iT6CYkPy0
 覆った水は盆に返らない。齧った林檎を吐き戻しても元の形には戻らないように、死んだ人間は決して黄泉帰ったりはしない。
 人生の如何なる道も一方通行の片道切符であり、時計の針を反対に回そうとも、地球の回転を逆にしようとも、流れてしまった時を遡りやり直すことは叶わない。
 親殺しのパラドクス然り、過去に干渉しようとした者には碌な末路が用意されていない。所謂“たられば”など、所詮泡沫の夢物語だ。
 それでも、あの時無理にでも父さんを止めることが出来ていたならば、二人は死ななかったのではないか。その禍根が今でも胸に突き刺さる。
 あれは不運な事故だった。とうの昔にそう整理していたと思っていたはずだった。いつも通りに母さんを迎えに行く父さんを見送ったときに見えた、なんだかいつもと違う父の顔。



「いってくる」
「――いってらっしゃい」



 口から出そうになった違和感も、その決意に圧されてとうとう言えず終いだった。これが今生の別れだともっと早くに気付けたのなら、二人の結末は変わっていたのだろうか。
 あるいは、父は既に己の命運を知っていて、その終焉を受け入れようとしていたのだろうか。ならば何故遺された者の悲哀を、喪失を、慟哭を推し量ってくれなかったのだろう。
 子は親の庇護なしに生きるには余りにも脆弱なのだと、知らないほど浅はかでも無かったろうに。



701 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/04/28(水) 22:16:13.58 ID:iT6CYkPy0



―――



シオザキ ココネ
「みんな元気してる? 天聖院学園お昼の校内放送『汐崎 ここねのCOCOラジッ!』はじまるよー。
 お弁当食べてる人も、部活にいそしんでる人も、図書館で勉強してる人も、恋人とまったりしてる人も、お昼休みのウキウキなこの時間、お付き合いくださいね。
 パーソナリティーは、天聖院学園放送連盟が誇るアイドルアナウンサー、汐崎ここねでーす! 今日も張り切っていっちゃおう!
 本日の放送は、天聖院学園第四出版部の提供でお送りします」



702 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/04/28(水) 22:16:53.18 ID:iT6CYkPy0



 未知を恐れるな。未来を切り開くのは、愛と勇気だ。
 恐怖に向き合い、未来を創れ。
 綾小路重工は、理想の未来を希望する。



703 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/04/28(水) 22:18:31.27 ID:iT6CYkPy0



シオザキ ココネ
「はーい、ということで『汐崎 ここねのCOCOラジッ!』今日も元気に始めていきたいと思いまーす。
 さてさて、いつもとは少し違うCMに戸惑った人もいるかと思いますが、今日はスペシャルなゲストにスタジオにおこし頂いて、色々お話を聞かせていただきたいと思います。
 よろしくお願いします、ミオさん」


ウナガミ ミオ
「MIWOちゃんネルー! と言う訳で今回はニライカナイに出張です、AIのアイドル略してAIdol海神水音でございます。
 初めましての方はどうぞよしなに。二度目以降の皆さんはこれからもよろしゅう。
 これは『汐崎 ここねのCOCOラジッ!』と『MIWOちゃんネル』のコラボと言うことで良いのかな?」


シオザキ ココネ
「はい、ということで本日のゲストは綾小路重工が誇る人工知能、海神水音さんです。今日はいつもと雰囲気が違います?」


ウナガミ ミオ
「わかるかな? せっかく天聖院学園に来たんだもの。その制服を着てみたいと思うのは結構自然なことだと思うんだ。
 絶対数が多い女子制服を快く貸してくれたリスナーさんにはあとで何かお礼あげちゃおうかな、個人的に」


シオザキ ココネ
「なるほど、それで女子の制服なんですね。でも中性的な顔ですし、ミオさんって実は女性なのでは?」


ウナガミ ミオ
「どうだろ、AIには生物学的な性別なんてないからそういう感性は解らないな。
 ちなみにこの体、実は綾小路重工が誇るメイド型アンドロイド――メイドロイドの執事版、バトロイドとでも言うのかな。その試作機なんだ。
 だから体は一応男だよ。服は女だけど。やっぱ心の在り方次第なんじゃないかな、その辺のジェンダー論は」


704 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/04/28(水) 22:19:39.94 ID:iT6CYkPy0



シオザキ ココネ
「うーん、どうなんでしょうねぇ。そもそも、ミオさんって本当にAIなんです?
 かなり人間っぽいですよね、何と言うか、考え方とかが」


ウナガミ ミオ
「そも、何を以って人間とするか、だよ。情緒を持っていれば人間らしいと聞かれれば、感情の起伏が乏しい人間だっている。
 ボクは情緒を持っているけれど、人間じゃないのは明らかだ。体も機械だし、思考だってAIで賄っている。それでもあえて言わせてもらうなら。ボクにはね、心があるんだ」


シオザキ ココネ
「かなーり哲学っぽくなっちゃいましたねぇ。さてさて、では次の質問に参りましょうか。
 ミオさんは綾小路重工で造られたAIということですが、一体どんな技術を使ったんですかね?」


ウナガミ ミオ
「うーん、それはね、企業秘密としか言えないなぁ。でもまぁ、かなり長い時間を要したみたい。ボクが物心ついたの2008年の1月11日だし」


シオザキ ココネ
「それはかなり昔ですね。物心と言うのはやはり、いわゆる“自我”を持った瞬間、ということでしょうか?」


ウナガミ ミオ
「そうだね。“感情”とも言うべきかもしれない。AIが意志を持った日。だから海神水音の誕生日は2008年1月11日とも言えるかもね。
 あ、これオフレコで。公式設定じゃ18歳だから、ボク」


シオザキ ココネ
「アイドルはイメージが大事ですからねー。私も色々気を付けてますよー」


ウナガミ ミオ
「……まぁ、芸名にこだわるのもまた個性だよね」


シオザキ ココネ
「何か言いました?」


ウナガミ ミオ
「いいや? ――あぁ、ボクのチャンネルからも色々コメントが寄せられてるねぇ。いくつかピックアップしていくかい?」


シオザキ ココネ
「そうですねー。私が答えられる範囲でお願いします」


705 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/04/28(水) 22:20:58.52 ID:iT6CYkPy0


ウナガミ ミオ
「その辺はお任せあれ。じゃ、ハンドルネーム『ブロッサムメイズ』さんから、常連さんなんだー。いつもありがとね。
 さて、本文読むよー。『ニライカナイの皆さんこんにちは。そちらには超能力者が集められていると聞きました。実際にはどれだけ凄い人がいるんですか?』だって。
 まぁねぇ。本土の人からしてみればニライカナイってモロにフィクションの世界っぽいし」


シオザキ ココネ
「凄い人というと、最近で言うなら大天聖祭の決勝に進出した四人と乱入した一人でしょうかねぇ。
 外見はとってもキュートなのに驚天動地の怪力無双! 弱冠十二歳で天聖院学園格闘技連合総大将を務める怪力少女、鬼住山鬼火(キズミヤマオニビ)選手。
 天聖院学園錬金術協会会長であり、稀代のアルケミスト。人知を超えた魔術を操る星薙(ホシナギ)フレア選手。
 天聖院学園で唯一“剣聖”の称号を持つ剣豪、九蓮寺早苗(クレンジサナエ)選手。
 ディフェンディングチャンピオンにして五十八代天聖妃、その強さはもはや違法、その気高さは成層圏をはるかに超える! 天聖院麗華(テンショウインレイカ)選手。
 そして、星薙選手と九蓮寺選手に同等以上の戦いぶりを見せた乱入者、ドールマスター朝倉奏(アサクラカナデ)さん。この五人の戦いぶりは見ごたえ抜群ですよ!」


ウナガミ ミオ
「この決勝戦の映像を収めた動画ファイルが今ならなんと五千円から見放題! 見るっきゃないねこれは。
 ――にしても、ボクのこと人知を超えたとか言えないねぇ、これ見た後だと。いつからフィクションがリアルに存在するようになったんだい?
 これがアリなら、ボクの存在って結構有り触れてるんじゃないかなぁ。まだボクの方が物理化学の法則に従っている分十分に科学的なわけだし」


シオザキ ココネ
「その辺の人外ーズについてはこれ以上言及すると後が怖いのでこの辺にしておきましょうかねー。
 次の質問行きましょう、次の質問!」


ウナガミ ミオ
「うーん、とはいえ大抵がニライカナイの実情について聞きたがってるばっかりだからなぁ。
 お、じゃこんなコメントどうだろう。ハンドルネーム『ベリリロイド』さんから、『実際にニライカナイに行きたいのですが、どうすればいいですか?』だって」


シオザキ ココネ
「そうですねぇ、ニライカナイは観光地にもなっていますから、正規の渡航証と宿泊券を利用して高速船で渡航するのが一番簡単で安全な方法ですね」


ウナガミ ミオ
「結構なお値段するんだよね、そのチケット。滞在期間も最大で一週間でしょ? 結構厳重なんだねぇ。
 まぁ、何の能力も持たない一般人が能力者に巻き込まれないとも限らないわけだし、防犯上で言えば妥当とは思うけど。
 それ以外のイリーガルな方法だと、下手すれば拘束されるんだっけ?」


シオザキ ココネ
「そうですね。生徒会副会長であり風紀委員長でもある八雲凍子(ヤクモトウコ)さんが目を光らせていますから、不法入島は即刻対処されちゃいますよ」


ウナガミ ミオ
「タダより怖いものはないってことだろうねぇ。まぁ、一番はまとめた休みを取って、高いチケットを買ってニライカナイを周るのが一番満喫できる方法なのかなぁ?」


706 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/04/28(水) 22:22:12.77 ID:iT6CYkPy0


シオザキ ココネ
「ですです。生々しい話はそこまでにしておいて、何かさわやかなお題はありませんか?」


ウナガミ ミオ
「うーん。ハンドルネーム『ソルトレークシティー』さんからは『せめて宿泊費だけでも安くなるような宿ありませんか?』とか。
 あぁ、あとハンドルネーム『のみやK』さんからは『ニライカナイを車で周りたいんですが、交通事情はどうなってるんですか?』とかあるけど」


シオザキ ココネ
「あー、宿なら民宿もありますよ。町のはずれにあるんですけど、お手ごろな値段でサービスがいいんです。『旅の宿 塩田』って言うんですが。
 車の方はちょっとわかりませんねー。学生の移動手段は大抵が敷地内を走る路面電車か徒歩ですんじゃいますし。
 それにほら、大天聖祭なんかが顕著なんですけど、能力者同士の争いに巻き込まれて……とかもしょっちゅう耳にしますから、余り車やバイクの持ち込みはお勧めできませんね」


ウナガミ ミオ
「損害賠償とか保険とか、そこらへん面倒だしねぇ。ま、何があっても自己責任ってことなのかな?
 あと、ステルスマーケティングはやめなよ。さっき芸名の話したんだから」


シオザキ ココネ
「それはそれ、これはこれです。決してステマじゃありません」


ウナガミ ミオ
「……そう言うことにしておくよ。後は――おっと、『一体いつから俺達はフィクションの世界へ迷い込んだんだ?』だの、『綾小路重工未来に生きすぎぃ!』だの、続々届くねぇ」


シオザキ ココネ
「やっぱり本土とこことじゃ常識が違うんですかね? 私からしてみれば、ミオさんも十分に非常識な存在だと思うんですけど。と言うか、綾小路重工が、ですが」


ウナガミ ミオ
「そうかな?」


シオザキ ココネ
「そうですよ! 意志を持つAIの開発とか、人とほとんど変わらないアンドロイドの生産とか、十分にフィクションじゃないですか!」


ウナガミ ミオ
「フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』って小説、名前くらいは知ってるよね? あれ、書かれたのが1968年なんだけど、舞台設定何年だと思う?」


シオザキ ココネ
「あれって第三次大戦の後の話ですよね、設定上は。具体的に何年かとか書かれてましたっけ?」


707 : ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/04/28(水) 22:23:24.92 ID:iT6CYkPy0



ウナガミ ミオ
「ふふ、ちょっと意地の悪い質問だったね。小説を基にした1982年の映画『ブレードランナー』じゃ、2019年11月、ロサンゼルスが舞台になってるんだ」


シオザキ ココネ
「……とっくに過ぎちゃってるじゃないですか! あー、でも当時の人たちは、そのころにはアンドロイドが町中を歩いてるって思ってたんですね」


ウナガミ ミオ
「その通り。まぁ、現実には今科学技術の進化はピラトー、つまり停滞しているわけだけど。
 これは目先の利益ばかり追って先行投資を渋る現代の会社と銀行に問題があるとボクは思うね。
 不確定な未来に博打をするより目の前の技術を進展させる方が堅実だって言うのは解らなくもないけどさ。挑戦無くして結果は得られない。
 だからこそ綾小路重工は、科学技術の精鋭に至れたんだ。ボクやメイドロイドといった形で」


シオザキ ココネ
「ダイレクトマーケティングありがとうございまーす。CMの未知を恐れるなってそう言うことなんですね」


ウナガミ ミオ
「その通り。ボク等は未来を変えることが出来るんだ。その為には知らないことを知ることが必要で、未知を既知にすれば、恐れることは何もない。
 現状で満足しているだけじゃ、今までと何も変わらない。将来の自分を決めるのはいつだって今の自分なんだってことを皆に分かってくれると嬉しいな」


シオザキ ココネ
「未来はボク等の手の中ってことですね。名残惜しいですが、本日の『汐崎 ここねのCOCOラジッ!』はここまでです。
 ミオさん、本日はありがとうございました」


ウナガミ ミオ
「汐崎さんとはまた『MIWOちゃんネル』でもまたコラボしたいねぇ。今度はこっちにおいでよ。いつか招待するからさ」


シオザキ ココネ
「それは楽しみですね。それでは皆さんシーユーアゲーイン!」


ウナガミ ミオ
「グッバァイ!」



―――


708 :テンノコエ ◆S7YK1FdmZg [saga]:2021/04/28(水) 22:27:49.60 ID:iT6CYkPy0



――本日、および番外編はこれにて。


――さて、新しいスレですが、せっかくの機会ですし移転しようと思いまして。


――おーぷん2ちゃんねるの創作発表と言う場にて、
  URLはhttps://engawa.open2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1619614529
  でございます。


――本日以降はここで投稿しようかと。


――読者の皆様方にはご迷惑をおかけするかもしれませんが、今後ともどうかヤンデレロンパご愛好の程を。


――それでは、新スレにてお待ちしております。


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