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ウォルター「鎮守府の執事をやれ?」【安価あり】
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277 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/04/14(土) 22:29:54.65 ID:PIjDFo10O
ウォルター「もう嫌だ。あんな掃除今までに経験もしたことない」
ウォルター「えーと最後は提督の部屋か、まあ先ほどに比べたら楽だろう」ガチャ
ウォルターがドアを開けると、床に下着や雑誌が散らばり、いわくゴミ部屋であった。
まさかの連続ゴミ処理に白目をむいた。
ウォルター「・・・FUCK。けどやるしかないよな」
彼はあらかじめ持ってきたゴミ袋を使い、明らかにゴミである物を入れていく。
下着などは洗濯をするので別の袋に入れてはいるが少なからずとも抵抗があった。
傍から見ればただの変態である。
ウォルター「はあ、可愛そうな僕。てか提督は何故プライベートではこんなにもズボラなんだ・・・」
愚痴をこぼしながらも順調に拾っては袋に入れを繰り返す。
二十分も掃除をしているとスッキリしてきた。
額に浮かんだ汗を拭い、最後の紙くずを拾い、掃除を終えた。
雑誌は使うかもしれないと積み重ね、どう見てもゴミな物はゴミ袋にぶち込んでいる。
278 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/04/30(月) 11:13:26.09 ID:vm5wGOQzO
ウォルター「ふぅ、やっとのことで片付き終えた。すっきりした」
エラー「ホントそうだよね、提督という職に就いているのにこれは流石にね」
ウォルター「ホントホント、ったく仕事とかは納期に必ず提出する癖に・・・」
ウォルター「は?」
エラー「やあやあ久しぶり、ウォルター」
ウォルター「うおおおお!?」ガシッブンッ
ウォルターはエラーを鷲掴みにし、壁に向けて思いっきり投げ飛ばした。
壁にぶつかりそうになるも、とっさに出現させたネコにより防いだ。
エラー「危ないな、死んでしまったらどうするんだい」
ウォルター「死ねばいいのに」
エラー「そんなの酷いよ」
279 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/04/30(月) 11:23:21.90 ID:vm5wGOQzO
エラー「さーて、今ウォルターさんが考えていることを当ててあげようか」
ウォルター「何を言っているのかわからないな」
エラー「・・・何で今現れたのか。じゃなくて私の正体は一体何だ、とか」
ウォルター「・・・」
エラー「図星だね、今回は君と敵対することはない」
ウォルター「はっ、今はだろ。僕はそこまで間抜けじゃないぞ」
エラー「まあまあ、そうかっかするなって」
ウォルター「病院送りにされた身にもなってみろよ馬鹿野郎」
エラー「ハハハッ、私に性別なんていう壁は無い。野郎でもあり野郎じゃないのさ」
ウォルター「(アーカードみたいだな)」
エラー「本題に入ろうか、ウォルターさん。君が提督と関わらないでおけば私は攻撃しない」
ウォルター「無理だ。それには乗れない」
エラー「義理堅いねぇ・・・」
ウォルター「提督との間に出来た主従関係だ。そう易々と切れるものではない」
280 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/04/30(月) 11:34:15.61 ID:vm5wGOQzO
エラー「で、私が何故鎮守府を襲うのかについて言及しよう」
ウォルター「気まぐれか?」
エラー「違うよ、勝敗をつけさせるためさ」
ウォルター「勝敗だと?」
エラー「うん、この世界はゲームそのものだ。チェスや将棋に引き分けはあると思うかい?」
ウォルター「そんなのはない」
エラー「そうだね、そのゲームの中で引き分けをしようとするプレイヤーを罰する存在が私だ」
ウォルター「だからエラーという名前か」
エラー「勘が鋭い、過去に若くて有望な提督が居てね、そいつが深海側に和解を出そうと案じたんだ。これはルール違反だから罰したよ」
ウォルター「それが数師団を消滅させた所の提督のことか、それに和解という案は深海側には有効なのか?」
エラー「答えはYESだ。もうあちらの方も疲弊しきっていてね、もし彼が和平案を出したら了承してくれた筈さ」
ウォルター「・・・共存はなしか」
エラー「当たり前じゃん、それがゲームだもん。深海側もルールを破ろうとする輩がいるからそれも私が罰するんだけどね」
ウォルター「どっちの味方でもないということか」
エラー「うん、だって私はこの世界というゲームの審判だから」
281 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/04/30(月) 11:42:41.08 ID:vm5wGOQzO
ウォルター「此処に来たということは何かルールを破ったのか?」
エラー「そうだね、詳しく言うと人類側じゃなくて深海側の不正だけど」
ウォルター「それって・・・」
エラー「・・・そうだ! 私は最近動いて疲れたから君にやらせよう!」
ウォルター「はあっ!?」
エラー「そうだそうしよう」
ウォルター「勝手に決めるな!!」グオッ
エラー「なーに、今回でこの不正を直したいんだ。実質此処には何度も来てるから飽き飽きしてるのさ」
ウォルター「(そりゃあキレる訳だ)」
エラー「今日の深夜に浜辺で輩を呼ぼう。楽しみにしててね」
ウォルター「・・・わかった。そこで待とう」
エラー「さてと、工作工作」スッ
ウォルター「・・・消えたか。本当にエラーみたいな奴だな」
282 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/05/04(金) 13:17:15.80 ID:+X+1dZ3lO
太陽は沈み、闇夜が海を支配する。
それに反抗するかごとく月光が一部海面を照らしつけている。
浜辺に独り立ち尽くす輩がいた。
ウォルター「・・・遅い」
ウォルター「あぁもう全く、エラーの奴騙しやがったな」イライラ
ウォルターが浜辺で待ちぼうけしてもう二時間も経った。
しかし一向として変化が見受けられずにいたのであった。
ウォルター「あの性別不明のカタツムリが、今度会ったらただじゃおかないからな」
提督「・・・カタツムリって誰のことだい?」ヒョコッ
283 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/05/04(金) 13:22:40.10 ID:+X+1dZ3lO
ウォルター「何だ提督でしたか」
提督「そうだよ、ちょっと散歩をしようと」
ウォルター「・・・やたら大きい酒瓶持ってですか?」
提督「そうさ、この時期の月は好きでね」
ウォルター「・・・満月じゃないですよ、むしろ新月よりの月です」
提督「ハハハッ! そんなことはいいじゃないか、そうだろう?」
ウォルター「(変わった人だなぁ・・・)」
提督「はいはい私は変わった奴ですよー」
ウォルター「心読まないでもらえます?」
提督「善処しよう、それで何故君がいるんだい?」
ウォルター「散歩ですよ」
提督「待ちぼうけしているようにも思えたけど」
ウォルター「・・・そう見えましたか」
提督「うん」
284 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/05/04(金) 13:30:28.99 ID:+X+1dZ3lO
ウォルター「勘が鋭い、そうです待ち人をしていました」
提督「へぇー、そうなんだ」
ウォルター「貴女があまり興味を抱いてないとは不気味ですね」
提督「プライベートには口を出さない主義でね」
ウォルター「人のこと言えないからですよね」
提督「そうそう、にしても部屋の掃除助かったよ感謝するね」
ウォルター「いえいえ当然のことですよ」
提督「だけど私の下着が無いんだ。まさか・・・」
ウォルター「ぶっ!? 全くもって僕じゃないです!」ゴホゴホ
提督「ホントかな〜」
ウォルター「本当ですよ!」
提督「アハハッ! 冗談さジョークの類だよ」
ウォルター「心臓に悪いのでやめてください」
提督「・・・まさか本当に」
ウォルター「してないですから! あぁ、日本語は難しいなぁ!」グワッ
提督「これも冗談さ」ニシシ
ウォルター「(面倒だなぁ・・・)」
提督「そんじゃ別の場所で飲むことにするよ」
ウォルター「遭難しないでくださいね」
提督「君も失踪しないでね、じゃあねー」
285 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/05/17(木) 19:22:38.09 ID:/Srg+u6OO
ウォルター「・・・優柔不断の具現化だよ、提督は」
ウォルター「いい人なんだけど、癖が強いのが欠点だよ。黙れば艦娘にも劣らない美人さんなのにね、あぁ勿体ない」ハァ
ハァ、とため息をつくウォルター
下を向いた際に一枚、花弁が落ちていた。
不思議に思い、それを拾おうと屈んだ時、いきなり発砲音が鳴り響く
頭部があった場所に弾丸が通過した。
ウォルター「チィ! 何処から!?」
すぐさま回避行動に専念する。弾は浜辺の砂を巻き上げて着弾していく。
ウォルター「危ねッ!?」
鋼線を編んで盾を構築、何とか防ぐことに成功した。弾丸の種類は狙撃弾のようだ。
狙撃への反抗手段として鋼線で辺りの建物を破壊する。
ウォルター「ハッハー! ざまあないぜ」
286 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/05/17(木) 19:34:08.98 ID:/Srg+u6OO
だが、謎の暗殺者は手を止めない。
「なっ!?」
今度は瓦礫の陰からRPGが飛来、鋼線で防ぐも流石に爆風は処理しきれず吹き飛ばされた。
そして間髪入れずに狙撃が始まる。
吹き飛ばされたが受け身を取ることのできたウォルターは転がって弾を回避、ついでに鋼線を使って身体を隠せるほどの穴を作る。
ウォルター「ハァハァ、何だよアイツ!」
今度はポンポンッと軽い音が聞こえ、数秒後にはウォルターの傍で爆発していく。
ウォルター「今度はグレネードランチャーかよ、どんだけ武器持ってるんだ!」シュバッ
お返しと言わんばかりに発射された手榴弾を鋼線で捕獲、発射した張本人の元へと送り返した。
すると先程より大きな爆発を巻き起こした。きっと他の手榴弾やら弾薬が誘爆したのだろう。
ウォルターは確実に殺したと笑みを浮かべる。
ウォルター「死神に勝とうなんざ、後百年早いんだよバーカ」
穴から這い出て煙草を吸う。
しかし、口に咥えていた煙草の先端部が突如として現れた者に切断される。
冷や汗を流して後ろへと距離を取る。
287 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/05/17(木) 19:44:09.54 ID:/Srg+u6OO
そして、その人物を目の当たりにしたウォルターは目を丸くして苦笑いをする。
ウォルター「まさか、まさかアンタだとは思わなかったよ」
ウォルター「我らの提督さん」
提督「・・・」
彼女の鋭い眼光がウォルターを捉える。
彼女は本気だ。そう直感したウォルターは全力を挙げて戦うことにした。
鋼線を伸ばし、彼女を捕まえようとする。
提督「・・・」シュバッ ドォン
提督はまるでダンスを踊るかのように華麗に避け、ご自慢の大口径拳銃を放つ。
ウォルター「はっ!」ガキンッ
提督「・・・」ドォンドォン
軍刀を納刀、拳銃による連続攻撃
だがアーカード戦の如く次々と弾を防いでいき、鋼線を彼女の足元へと伸ばす。
提督「・・・ッ」ドゴォン
足元を絡め、建物の瓦礫へと叩きつけた。
粉塵が舞い、人間では耐えうることすらもできない一撃である。
ウォルター「・・・やったな」
288 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/05/17(木) 19:45:47.85 ID:/Srg+u6OO
安価下1で回避。コンマ40以下なら成功、40以上なら失敗
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/20(日) 15:45:03.10 ID:KeMS94Jw0
ん
290 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 17:25:19.37 ID:jw7HyV55O
ウォルター「ちっ!?」ヒュ
提督「・・・外したか」
ウォルター「何だ、喋れるじゃないですか」
提督「別に」
ウォルター「じゃあ質問といきましょうか」
提督「そんなものは、不要」ドォン
ウォルタ「でしょうね!」キィン
銃弾を鋼線で防ぎきるウォルター、しかし間髪入れずに銃を放つ提督
ウォルターは何が出てくるのか予想もできないので短期決戦で決着をつけることにする。
ウォルター「はああああ!!」ダッ
提督との距離を詰めて体術に持ち込もうとする。
291 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 17:36:53.22 ID:jw7HyV55O
提督「甘い」シュパッ
ウォルター「くっ!?」
紙一重で抜刀を躱す。だが、服が少し切られており、あと少しでも踏み込んでいたら切断されていただろう
舌打ちを鳴らしながら再び鋼線による攻撃を仕掛ける。
提督「・・・見切った」
ウォルター「は?」
すると提督は二丁の銃を仕舞って今度はこちらの番と距離を詰める。
あらかじめ仕掛けていた罠を発動して拘束しようとする。
ウォルター「捕まれ!」シュッ
提督「ふんっ!」ズバッ
そんな簡単に罠に嵌る人物ではないのをウォルターは再確認した。
提督は地面を踏みしめ、大振りの振り下ろしをするのだ。
提督「しゃああああああ!!」ブォン
定石どおり三重に編んだ鋼線で防ごうとするも、何か嫌な予感を察知し、横へと跳躍した。
地面に接地した瞬間、振り下ろした所には深々と斬撃の跡が残る。
もしもこれを鋼線で受けたらどうなっていたのかと身の毛がよだつ
292 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 17:53:37.19 ID:jw7HyV55O
提督「終わりだ」カラカラカラッ
何処からか落ちてきた幾つかの手榴弾、起爆まであと少し、被害を抑えるために鋼線で防ごうと思索する。
しかし、視界が悪くなったところを先ほどのような攻撃を仕掛けられたら、という不安が判断を遅らせた。
ウォルター「ぐあっ!?」
手榴弾による爆発で身体を吹き飛ばされ、爆風が彼の身体を包んだ際に破片が刺さる。
身体を小さくすることで被害を最小限にはしたものもかなりの痛手となった。
ウォルターは地面に激しく打ちつけられてしまった。
提督「・・・」
提督は不敵な笑みも浮かべずに、ただただ起き上がらなくなったウォルターを眺めている。
淡々とウォルターに接近していき、ポケットから別の種類の手榴弾を取り出した。
白燐弾、周囲に炎をまき散らして相手を焼死させるための手榴弾
確実に殺すために距離を縮めていく
293 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 18:06:31.03 ID:jw7HyV55O
本来は飛行機から投げるものだが、提督が独自で改造に改造を重ねて手榴弾サイズにしてあった。
なので本来の手榴弾とは格段と威力が違う。
提督「燃えて消滅しろ」ポイッ
倒れこんだウォルター目掛けて投げる。
一向に動かないウォルターは対処できずにいた。
だが、それは欺くためであった。
提督「!?」
そう白燐弾はピタリと空中で静止したのだ。
思わず目を見開く提督、そして信管は止まらずに作動した。
提督「ぐっ!!」
炎をまき散らして提督の服に着火、激しく燃え盛る。
一方でウォルターはというと鋼線を編んで全身を覆いかぶせるような薄い盾で炎から守る。
あまりの熱さにジタバタと暴れまわっており、浜辺には跡が残る。
提督「熱い熱い熱い熱い!!」ジタバタ
ウォルター「・・・」
ウォルターは鋼線の盾を解除して立ち上がる。
すぐ近くで燃え盛る炎から煙草に火を移して、猛牛のように暴れまくる提督を嘲笑うかのように眺めるウォルター
その姿はまさしく死神と言うのに相応しいだろう。
294 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 18:13:25.79 ID:jw7HyV55O
ウォルター「どうです、貴女の全部を暴露してくださったら消火して差し上げましょう」
提督「ぐああああっ!!」バタバタ
ウォルター「・・・貴女の銃の弾倉が暴発する頃合いです。早く決断しないとバラバラになりますよ」
提督「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!」
ウォルター「では交渉決裂ということで」
提督「やだ、私はまだ・・・生きたいんだ。死にたくない・・・!」
ウォルター「その言葉が聞きたかった」ヒュン
鋼線で浜辺の砂浜を掬いあげて提督に被せる。
大量の砂が提督の身体に被さり、火を消火することができた。
それと同時に軍刀や拳銃を奪うことにも成功した。
295 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 18:24:49.69 ID:jw7HyV55O
ウォルター「さぁて、話して貰いましょうか、提督」
提督「・・・」
すぐさま拘束し、軍刀を鋼線で操り首元に当てる。
恐ろしい程の目力をウォルターに向ける。
ウォルター「あんなにも生きたいと懇願したんだ。話した方が身のためなのは理解できますよね」
提督「・・・わかってる」
重々しい口調で口を開く。ウォルターはニヤリと口元を緩める
そして全ての内容を話し始めいった。
提督「私はね、人間ではないのだよ」
ウォルター「はあ?」
提督「つまりはね、私は深海側の駒さ」
ウォルター「それは薄々感づいていた。けど驚いたのは前者の方ですよ」
提督「・・・驚嘆した。私が繋がってのを知っていたなんて」
ウォルター「あのクソ猫が教えてくれましたよ」
提督「お互いに苦労するね、あの化物には」
ウォルター「じゃあ貴女はどういう存在なんです?」
提督「・・・簡単に言うなれば改造人間。いいや違う、人工的に作られた疑似的な人間だよ」
296 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 18:40:19.78 ID:jw7HyV55O
ウォルター「ほう」
提督「私の目標は人間側の蹂躙。そのためには人間と同じ姿をする必要があったんだ」
提督「けどね、私だけじゃなくて、あと十人程度居たんだ」
ウォルター「・・・どういうことだ」
苦虫を噛み潰したような表情で提督は重々しく語る。
怒りか懺悔か悲しみか、幾つもの感情が混じり合ったようにも思えた。
提督「私らは、数々の試練を受けたのさ」
提督「最初は簡単なものだった。何せ勉学だ。けど最下位を取った同胞の姿は消えていたんだ」
提督「今度は毒ガス訓練、二人が死んだらこの試練が終わった。今度は対人戦を想定した試練では三人が死んだ」
ウォルター「選別という訳ですか」
提督「そうだね、次は変な機械を頭に付けて電流を流すという試練でね、二人死んでしまった」
ウォルター「・・・まさか」
提督「君が思う通りさ、最後は生き残った者同士の殺し合いさ」
声が震えている。
それだけではない、涙を目尻に浮かべていつでも泣きだしてしまいそうである。
提督「そして私は勝った。一緒に、一緒に乗り越えた同胞を殺したんだ」
ウォルター「完封だったのでしょうか?」
提督「違う、私は演技で勝ったんだ。自分は戦いたくないというのを示したんだ。そうしたら同胞は騙されて私に背後を刺されたのさ」
その時、ウォルターは悟ってしまった。
彼女も被害者なのだと。
297 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 18:49:09.90 ID:jw7HyV55O
提督「そして上手く人間側に乗り込んで提督という地位を確立したんだ」
提督「そしたら、とある電文が届いたんだ」
ウォルター「それはクソ猫から聞いています。始末せよという内容だったんですよね」
提督「ははは、あの化物は把握済みだったんだぁ・・・」ハハハ
活気の無い笑い声を上げる。
いつもの凜とした態度ではなく、年相応の女の子であった。
これが艦隊を嵌めようとしていた張本人とは思えなかった。
提督「けどね、あの鎮守府の皆とは長い仲だったんだ。だからね、その命令に背いちゃったんだ」
ウォルター「第二艦隊合流の件ですか」
提督「その通り、本来ならば誘導して深海側の圧倒的な力で押しつぶす予定だったんだけど、私の私情で崩れちゃった」
ポタポタと砂浜が濡れる。
彼女の頬には涙が零れ落ちていた。
提督「私はもうじき消去される。命令に背いたから、ならば・・・」
「ウォルター君の手で殺してくれ」
298 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 19:00:09.09 ID:jw7HyV55O
殺伐とした言葉を笑いながら、そして涙を流しながらに発した。
その言葉は温かくもあり、同時に冷たくもあった。
提督は目を閉じて、いつでも殺されるように腹を決めた。
ウォルター「・・・」
提督「まさか、化物と対面した際に落とした花言葉が裏切りという意味のダリア。あれには肝を冷やしたよ」
提督「私は十分に親である深海側に尽くした。もう言い残すこともない、いや残す権利はない。私は両陣営を裏切ったのだから」
提督「さあ殺してくれ、私の存在よりも大事な忠実なる執事、ウォルター・C・ドルネーズ」ニコッ
自分のことを暴露し終えた彼女は、最後にウォルターを褒めたたえながら微笑んだ。
君に殺されるのなら悔いはないと醸し出す雰囲気が伝えてくれた。
ウォルターは軍刀を振り上げた。
ウォルター「貴女にはまだ価値はある」
299 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 19:14:03.99 ID:jw7HyV55O
そしてあろうことか軍刀を放り投げてしまう。
軍刀は深々と浜辺に刺さる。
ウォルター「貴女みたいな人は親に歯向かえないタイプでしょう、それならば親に反抗してみせましょうよ、貴女個人の願いを叶えるために」
提督「・・・無理だよ」
ウォルター「なーに、私も一度やらかしたんですよ。身勝手でしょ」
提督「けど規模が違う、私は重大なことをやらかしたんだ」
ウォルター「はははっ!私なんかは雇い主である領主に歯向かったんですよ、宿敵を倒すために私は裏切って敵陣営に就いたんです」
提督「なっ!?」ビクッ
まさかの暴露に提督は目を見開いた。
こんなにも忠実なる執事が自分の私利私欲のために領主を裏切ったというのだ。驚くことしかできない。
彼は懐かしいものを思い出すかのように話し出す。
ウォルター「最終的には私は宿敵に敗北した。だけど心はとても晴れやかな気分だった」
ウォルター「さあ、貴女の願いは何だ。死かそれとも自分の欲のために反抗するか」
提督「私は・・・」
提督は口をつぐみ、考える。
自分の選択はどちらが良いのかを必死に模索していた。
そしてようやく自分なりの答えを導きだした。
「私は、艦娘の皆と仲良く居たい!!」
300 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 19:25:20.94 ID:jw7HyV55O
離島棲姫「・・・オカシイ、目的地ハ此処ノ筈」
戦艦ル級「ナカナカ来マセンネ、電文ダト確カニ此処ナノニ」
重巡リ級「敵ノ誤情報デハ?」
離島棲姫「アノ電文ヲ解読デキルノハ、アノ子ダケヨ」
重巡リ級「ナラソイツが裏切ッタノデハ?」
離島棲姫「馬鹿ナコト言ワナイデ頂戴、アノ子ノ心ハ既ニコチラデ掌握シテアル」
戦艦ル級「!? ヲ級ノ艦載機より入電! 敵艦載機ガコチラニ接近!!」
離島棲姫「数ハ?」
戦艦ル級「オ、オオヨソ二百機デス!」
離島棲姫「何デスッテェ!?」
301 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 19:33:21.25 ID:jw7HyV55O
赤城『戦闘機隊接敵いたしました』
提督「そうかいそうかい、まんまと居たか」
加賀『にしても基地航空隊を全機出撃させるとは・・・』
提督「はははっ! 生半可な戦力じゃ壊滅するからね、徹底的に叩かねば」
飛龍『けど基地の守りが・・・』
提督「なーに、近隣の鎮守府が飛んでくれてる。それと心強い味方も居るし」
赤城『まさかだとは思いますが、ウォルターさんでは?』
提督「正解!」
加賀『いちよう執事ですよね?』
提督「兼任だけど、ささっ、気を引き締めるよ!」
『『『『『『了解!!』』』』』』
提督「(第一艦隊は空母機動部隊、それで露払いをする。そして第二艦隊の戦艦主力部隊で決定打を、ね)」
302 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 19:42:59.46 ID:jw7HyV55O
離島棲姫「何デ、何デナノヨ・・・!!」
提督『あーあー、本部聞こえますか?』
離島棲姫「オ前、裏切ッタノカ!」
提督 『そうだよ、ごめんなさい。けど自由に生きたいんだ』
離島棲姫「私ノ所有物ノ筈ダ! スグニ作戦ヲ失敗サセロ!」
提督『それは無理、これから始まる娘の反抗期だと思って受け止めてください』
離島棲姫「待ッテ、話シハマダ・・・!!」ブツンッ
突如として激しい爆発音により通信は途絶えた。
四時間後、熾烈を極めた戦闘は人類側の勝利に終わる。
損害は大破止まりであり、轟沈した者は居ない。一度、鎮守府に空襲が起きたが友軍による航空勢力
それと爆弾を投下された際に迎撃したウォルターの活躍もあって、窓ガラスが割れた程度に収まった。
提督「ねえウォルター、私は親に反抗できた。そして自分が獲得した自由を謳歌しようと思う、どうかな」
ウォルター「素晴らしいですよ提督、それでこそ貴女に相応しい」
手に入れた自由を謳歌する者、そして二度も主に刃を向けた者が肩を並べる時、何が起こるのかは神のみぞ知りえることだろう」
303 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 20:01:30.53 ID:jw7HyV55O
とある時
一本の長い廊下に種類豊富な扉が埋め込まれている廊下、そこに一人の白人男性が座り事務作業をする。
男性は煙草を吸いつつ、書類を書き綴る。
その事務机の机上には小さなノートパソコンが置かれており、画面には艤装を取り付けた女の子が存在している。
そのなかには【ウォルター】と呼ばれる少年と【反逆者】と呼ばれる女性が居る。
すると突然、廊下の彼方が黒く染まっていき、奥から黒いゴスロリ服を纏った少女が歩み寄ってきた。
EASY「はんっ! つまらないゲームだったわ、紫」
紫「失せろEASY、お前がズルをするからだろう」
EASY「さあどうでしょう?」
紫「例えお前が万のイカサマをしようが審判がそれを打ち破る」
EASY「・・・貴方だって引き分けにしようとしてた筈よ」
紫「お前が止めようとしないからだ。引き分けは双方の同意の元で成し得ることなのだ」
EASY「だけどやっぱり」ガチャン
いきなり彼女は机上に置いてあったパソコンを掴んで床に叩きつける。
パソコンは内蔵された部品を散らして壊れてしまい、画面にはエラー発生、後は駒が自分で進めます。というメッセージが表示される。
そのパソコンの残骸を踏みしめながら告げる。
EASY「じゃあ、決着をつけましょうか。あの異世界で」
紫「・・・」
廊下を染めている黒が奥へと引き返していく、それと共に彼女も奥へと帰っていくのだ。
紫はある書類に目を通して口角を上げるのだ。
紫「島津豊久、お前がジョーカーだ」
書類を茶色のファイルに入れて別の書類を書き始める。
その書類作業はいつ終わるのだろうか、それは神にすらわからない。
304 :
◆4Ow9KuSD9Y
[saga]:2018/06/12(火) 20:03:46.76 ID:jw7HyV55O
くっっっっそ長すぎる期間のSSをこれにて終わります。
今までありがとうございました。
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/25(月) 11:55:50.84 ID:ITezWPsQO
キャラクターが違いすぎるゴミSS
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