佐野満「えっ?強くてニューゲーム?」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 21:59:50.93 ID:Nkr8DRMT0
第二十八話 死闘、開戦

 アビスとタイガが辿りついた今回の戦場は、身を隠す遮蔽物が何もない

夜を模した満点の星が瞬く月下の砂漠だった。

 煌々とアビスとタイガを照らす満月の月明かりと星々の煌めきだけが

唯一の光源だった。

 見渡す限り途方もなく広がる砂漠は、地の利を生かして一撃翌離脱の奇襲戦法を

得意とするタイガと、正面切って力でゴリ押しする白兵戦特化のアビスにとって

著しい不利を強いていた。

「strike vent」

 タイガは盾代わりとなる巨大な虎の爪を模した籠手を呼び出し、油断なく

周囲を警戒する。

 土中を自在に泳げるアビスハンマーは、既に龍騎に変装した城戸真一によって

瞬殺されてしまい、残されたアビスラッシャーは白兵戦に特化しているが故に、

迂闊にアドベントのカードを切ることは出来ない。

 何故なら、相手の手の内が分からないうちに... 

「佐野!」

「のわあああっ!」 

 油断なく周囲を警戒していたタイガが、慌ててアビスの身体を引っ掴み自分達が

現在立っている場所から全力で飛び退く。 

 ドガアアアアアアン!!

 わずか一瞬の差だった。

 先程まで自分達が立っていた場所に、巨大な砲弾が着弾した。

 巻き上げられた大量の砂が目眩ましとしてタイガとアビスの頭上に降り注ぐ。

「クソッ!視界が悪すぎる!」

 ピンポイントに二、三、四弾目と、タイガとアビスが回避しようとする

場所へと巨大な砲弾が次々と着弾する。

 カードをバイザーにベントインしようにも、それだけの時間がない。

 そして....
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:00:24.38 ID:Nkr8DRMT0
「ぐあああああ!!」

 六弾目。遂に巨大な砲弾がタイガの左腕を直撃した。

 デストクローの爪の部分を掠めた砲弾はそのまま爆発し、籠手を粉砕した。

「先輩!」

「佐野!あそこだ!撃て!」

 半壊し、使い物にならなくなった左手の籠手を投げ捨て、着弾した左腕の骨が

折れていない事を確認したタイガは、微かに聞こえる機械音の方向を指し、

アビスにその場所にめがけて攻撃を仕掛けるように命令する。

「うおおおおおおおお!!」 

 アビスバイザーで限界まで圧縮された水の鎌鼬が、自分達を狙撃した何者かの

存在を遂に捉えた。

「ゴオオオオ....」

 それはアドベントで呼び出されたマグナギガだった。

 二つ名で鋼の巨人と称されるマグナギガは、その巨体故に機動性に著しく欠け、

攻撃の的にされるというデメリットを抱えていた。

 しかし、その巨体を覆い隠せるだけの地の利があれば、充分にその重火力を

活かせる強みがある。更にAP6000という高い攻撃翌力と防御力を兼ね備えている

マグナギガにとってアビスバイザーの不可視の鎌鼬など豆鉄砲と何ら変わらない。

 目的を果たしたマグナギガは、あっという間に姿を消した。

 マグナギガが消え、次の攻撃に備える為の小さな余裕が両陣営に訪れる。
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:01:19.46 ID:Nkr8DRMT0
「くそっ。地の利は敵さんにあるって訳か」

「先輩。今手持ちのカードは何枚あるんですか?」 

「サバイブを入れて3枚だ」

「3枚?なんでです?」

「嫌な予感がして、城戸にフリーズベントを渡した」

「あー...ナイス判断ですね...」

「佐野、このカードをお前に預ける。持っててくれ」

 突然、意味不明なことをし始めたタイガに面食らったアビスだったが、

「敵を欺くには味方からっていうだろ?」

「なるほど!じゃ、俺も先輩にこのカードを預けます!」

 互いの契約モンスターのアドベントのカードを交換した二人のライダーは

未だに姿を見せないゾルダに対する警戒を強め続けた。

 今頃、香川と真司はオーディンと交戦しているのだろう。

 二人ともオーディンを倒すと息巻きながらも、オーディンのスペックは

全ライダー中最高を誇っている。

 前準備無しに無策で戦えば、いかに瞬間記憶能力を持つ香川や残存する

ライダーの中でも特に高い実力を誇る真司であっても敗北は必至である。

 故に仲村創は、香川邸に突入する前の待機時間に真司へと自分の持つ

モンスターの動きを止めるフリーズベントを渡しておいたのだった。

 タイガもアビスもあずかり知らぬとは言え、今のゾルダは神崎士郎に

よって全ライダー中で最多のカードを持つライダーである。

 仮に満がリュウガと1対1で相対する事を選んでいれば、確実に真司か

仲村のどちらかはゾルダの圧倒的なカードの前に葬られていた。

 また、放置されたリュウガの存在も無視できない。

 更に最悪な事に、アビスもタイガもゾルダが18枚のアドベントカードと

ユナイトベントによる合体モンスターにより20枚以上のカードが使えると

ことを知らない。

 故に二人が勝利を収める為には、一度しか切れない切り札の切り所が

重要になる。 

 だが、それを許すほど限界まで強化されたゾルダは甘くない。 

 何の為にゾルダがアドベントカードでマグナギガを召喚し、初手から

地の利を生かした戦法を採用したのか?
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:01:51.20 ID:Nkr8DRMT0
「まずい!先輩、さっきのあれは陽動作戦だ!」 

 咄嗟にその事実に気が付いたアビスはデッキからカードを引き抜き

隣に立つタイガのバイザーにそれをベントインしようと試みた。

「くけえええええええええ!!!」

 甲高い鳴き声と共に、満の身体が柔らかい砂丘に引きずり倒される。

「ベルデ?!」

 かつて一度だけ相対した姿を消すカメレオンのミラーモンスターと契約していた

ライダーの名前を満は最後に叫んだ。

「待て!」 

「Advent」

 バイザーのスロット部分にはカードが既に差し込まていた。

 辛うじてバイザーにカードを読み込ませたタイガだったが、次の瞬間、

何か硬い石の様な物が自分の顔面に叩き付けられ、思わずバランスを欠き

よろめいてしまう。

 怯んだ隙に、今度はデストバイザーに紐のようなものが絡みつく。

 かつん!という音と共にタイガは自分に投擲されたものがヨーヨーだと悟った。

 だが、それを理解したと同時に自分の手からデストバイザーがすっぽ抜け、

あらぬ方向へと吹き飛んでいく。

「しまった!」 

 デストバイザーと片方のデストクローを失ったタイガの無防備な左のこめかみに

金色に輝く水牛の角が直撃する。

 意識を刈り取る重い一撃を右手のデストクローで防御するが、代償として

タイガはゾルダに無防備な腹部を晒すという最悪の事態を作り出してしまった。

「これで、終わりっす!」

 ギガホーンを振り抜いた回転を殺さないまま一回転したゾルダは左手に持つ

マグナバイザーを零距離で連射し、タイガのデッキと関節部分を特に集中的に狙い、

撃ち続けた。

「ガアアアアアアアアアア!!!!」 

 マグナバイザーの連射を強引にデストクローで断ち切り、ふらつく身体で

何とか距離を取ろうとするタイガだったが...
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:02:46.71 ID:Nkr8DRMT0
「どこに行こうとしているんです?」 

 ギガホーンの砲口から放たれた緑色の一撃に意識を刈り取られてしまう。
 
 タイガを超える鮮やかな奇襲を成功させたベルデは、バイオグリーザが

戻ってくる前に、確実にタイガを仕留めようとギガホーンの角部分を

その無防備な腹部のカードデッキに狙いを定め、一息に振り下ろす!

「ガオオオオオオオオオオオオ」

 だが、間一髪の所で満に渡したデストワイルダーのアドベントカードが

その効果を遺憾なく発揮する。

「なにっ!」 

 無制限に成長を続けるワイルドマッスルと、契約主である東條の死後も

定期的にミラーモンスターを与えられたデストワイルダーの強さは、既に香川の

契約していたサイコローグのAPを超えるまでに成長していた。

 血に飢えた左右のデストクローが袈裟懸けにベルデを正面から切り裂く。

 ゾルダは左側の攻撃は回避したものの、背後を晒してしまう。

 そして右側からの横薙の一閃を躱し損ね、大量の血を撒き散らす重傷を

負ってしまう。 
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:03:24.67 ID:Nkr8DRMT0
「先輩ーーーーー!」

 そして、タイガのアシストによりバイオグリーザに捕食される間一髪の

タイミングでアビスラッシャーに命を救われたアビスが、猛然とタイガと

交戦しているベルデめがけて猛突進をかましてきた。

「アビスラッシャー!」

「ッシャアアアアアアアアアアア!!!!」 

「くっ!」

「clear vent」

 自分の不利を悟ったゾルダは、最後の力を振り絞りマグナバイザーで

デストワイルダーの目に発砲し、その隙を突いて姿を消して離脱する。

「アビスラッシャー!追うな!」

 手負いのゾルダを追撃し、トドメを刺すよりも、アビスは目の前に倒れている

仲村の安全を優先する事にした。

「先輩!先輩!しっかりしてください」

「あ、ああ。間に合ったか。佐野」

 フラフラになりながらも、なんとか立ち上がったタイガは周囲を警戒し、

姿を消したゾルダとの距離を稼ぐべく、満の肩を借りながら這々の体で

今いる場所から離脱を始めたのだった。
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:04:14.75 ID:Nkr8DRMT0
〜〜

 タイガとアビスが月下の砂漠を模した鏡の中の戦場で戦う中、オルタナティヴと

龍騎は荒れ果てた瓦礫の山を模した廃墟で激しい戦闘を繰り広げていた。

 鉄骨、瓦礫、コンクリートの破片。そしてミラーモンスター。

 それらが10mを超える小高い塔の様にそびえ立つ戦場の中で、真司と

香川の二人を待ち受けていたのはリュウガだった。

 既にリュウガはアドベントのカードで自らの契約獣ドラグブラッカーを召喚し、

先手必勝とばかりに空の利を生かしたドラグブラッカーによる絨毯爆撃で龍騎と

オルタナティヴを抹殺せんと躍りかかった。

 黒き龍の口から吐き出される漆黒の火炎弾は、全てを焼き尽くす赤き龍の

灼熱の火炎弾と異なり、全てを凍てつかせる波動を纏った死の吐息だった。

 瓦礫の根元にドラグブラッカーのブレスが着弾する。

 凄まじい反動と共に石化した瓦礫の塔が粉砕され、その破片が散弾の如く

周囲に撒き散らされる。

「香川さん!オーディンはどこにいるんですか!」

「おそらく静観を決め込んでいるのでしょう!」

「私と君、仲村君と佐野君のどちらかが弱った所を叩くはずです」

「更に!あの黒い龍の放つ炎は当たった物を全て石化させます!」

「なんだって!」

「だから...今は隠れましょう!」

 瓦礫の塔に身を隠しながら全てを石化させる死の吐息をかいくぐり、二人は

ようやくドラグブレッカーとリュウガを振り切り、未だ無事な瓦礫の山の隙間に

身を隠すことに成功した。
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:04:50.05 ID:Nkr8DRMT0
「だぁっ!埒があかねぇ!このままだとじり貧だ。体力が尽きる!」

「香川さん!俺がドラグレッダーを出して奴を叩き落とします」

「良いですよ!ですがあの炎に焼かれれば君の契約獣が石になります」

「だから...今から私が説明する通りにリュウガと交戦して下さい」

 息切れしながら龍騎がドラグレッダーを使った空中戦を提案する。

 オルタナティヴもそれには概ね賛成したものの、リュウガの契約獣である

ドラグブラッカーのブレスの石化効果を考慮した作戦を練っていた。

「まず最初にこの戦場に潜む大量の雑魚モンスターを私が引きつけます」

「おそらくリュウガはサバイブのカードをあるタイミングで使う筈です」

「全てのカードを使い切る寸前、互いのカードが一枚になった時...」

「ファイナルベントを使用して君にトドメを刺そうとするはずです」

「その時君は敢えてリュウガから離れ、私のいる場所へ合流して下さい」

「勝算は?!ハッキリ言ってそれ、上手くいくのかよ?」

 矢継ぎ早に出される香川の指示に疑問を呈しながらも、真司は直感で

リュウガが現時点の自分を上回る力を持っているのではないかと考えた。

「ええ。上手くいきますよ。更に言えばリュウガは私を狙うはずです」

「故に、城戸さんにはリュウガのカードを限界まで削って欲しいのです」

「サバイブの猛攻を耐えきる策は既に備えています」

「この勝負、リュウガのサバイブの猛攻を耐えきれば我々の勝利です」

「香川さん....。わかった。陽動をお願いします」

 ドラグブラッカーのブレスが真司と香川の隠れている場所のすぐ隣の

瓦礫の塔を直撃し、粉々に砕け散る。

「wheel vent」

 まず最初に瓦礫の山の隙間から飛び出したのはオルタナティヴだった。

 デッキからサイコローグをバイクに変形させるホイールベントのカードを

引き抜き、スラッシュリーダーへと読み込ませる。
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:05:40.03 ID:Nkr8DRMT0
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

 雄叫びを上げ、猛然と主の元へと駆けつけたサイコローグは己の身体を

一瞬のうちにバイクへと変化させ、オルタナティヴをその背中に乗せる。

「ふん、陽動か...」

 仮面の下で不敵に微笑んだ城戸真一は、ミラーワールドでのぞき見た

オルタナティヴの使用カードの枚数と内容を踏まえた上で、眼下の地上で

五月蠅く這い回る疑似ライダーを確実に葬る為の策を発動した。

「やれ!」

 自分の左手に隠し持つコアミラーの欠片をリュウガは躊躇なく使った。

 神崎士郎から渡されたミラーワールドの権限にアクセスできる、いわば

一度限りの使い捨て程度の力しかない欠片だが、それでも所持カードが十枚

未満の疑似ライダーを葬り去ることが出来るだけのミラーモンスターを

一斉に召喚する事等、今のリュウガにとってはいとも容易いことだった。

「なにっ?!」

 リュウガの攻撃を真司から自分へと移し替えるべく、サイコローダーを

駆りながらドラグブラッカーの照準を狂わせていたオルタナティヴだが、

地面が爆発し、地中から大量出現するシアゴーストを初めとする夥しい

ミラーモンスターの大群には為す術がない。

(くそっ!これでは...為す術もなくやられてしまう!)

 リュウガが呼び出したミラーモンスターの総数は約300体。

 リュウガにとっても一度きりの使用しかできないものの、カードという

枚数の制限された戦闘手段しか持ち得ないライダーにとって、この数の

暴力は、まさに打つ手無しの絶体絶命の窮地に追い込む常勝の策と言える。
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:06:23.60 ID:Nkr8DRMT0
 サイコローダーから人型に戻ったサイコローグも懸命に二本の得物を

振り回し、自らを押しつぶそうと攻撃を加え続けるミラーモンスターを

切り捨てていくが、それでも単純で圧倒的な数量を捌き切れない。

 オルタナティヴもカードがあるだけ、サイコローグよりかは今の所は

善戦出来ているが、ジリ貧な事には変わりは無い。
 
 更に最悪なことに、巨体を誇るディスパイダーが蜘蛛の糸で雁字搦めに

されたサイコローグへと襲いかかった。

 蜘蛛の糸で全身をミイラの様に絡め取られたサイコローグは、身動きが

出来ないまま為す術もなく、蜘蛛の口の中へと運ばれていく。

「ならば!」

 ここまで追い込まれた以上、躊躇う必要はもう無い。

 そう判断したオルタナティヴは、コールサモンと時を同じくしてロール

アウトされた、疑似ライダー専用の新たなカードの使用へと踏み切る。

「Accele vent」

 瞬間加速のカードを使ったオルタナティブは、そのスペック上の限界の

三倍を超えるジャンプ力で空中へと跳躍した。

 そして同時に黒いライダーは己のデッキから三枚のカードを引き抜き、

一枚を地面にもう一枚をサイコローグへ、最後の一枚をディスパイダーへ

投げつける。

「Seal!」 

「Aports!」

「Contract!」

 スラッシュリーダーに読み込まれた三枚の虎の子のオルタナティヴ専用の

カードは誤作動を起こすことなく、その効果を覿面に発揮した。
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:06:57.10 ID:Nkr8DRMT0
 地面に突き刺さった「封印」のカードは、その半径100m以内に存在する

ミラーモンスターの身体の自由を奪う。

 二枚目の「呼び寄せ」のカードはサイコローグの肩に突き刺さると同時に

彼を糸の牢獄から解き放ち、一秒も経過しない内に空中に留まる自らの

契約主の傍へと呼び寄せた。

 そして最後の一枚である契約のカードは狙い誤る事なくディスパイダーの

背中に突き刺さり、そのままオルタナティヴの新たな契約獣(戦力)として

吸収されたのであった。

「今だ!やれッ!」

「しゃあっ!」 

 ドラグブラッカーの背に乗り、空中で未だ事態を静観し続けるリュウガに

一気呵成に勝負を決めるべく龍騎とドラグレッダーが急襲を仕掛ける。

 赤と黒、限りなく同じ存在でありながらどこまでも正反対な二匹の龍と

二人のライダー達は死力を尽くし、今ここで雌雄を決さんとばかりの覇気を

身体から立ち上らせながら、己に相対する敵(自分)へと刃を向け、敢然と

斬りかかっていく。
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:07:43.04 ID:Nkr8DRMT0
 互いの契約した赤龍と黒龍が一つの身体を持ちながら二つの頭を持って

生まれた憎しみ合う双頭の獅子の如く、目の前に現れた不倶戴天の仇敵の

首を叩ききろうと、その身を絡ませ合いながら死に物狂いの死闘を開始する。

 ドラグレッダーがドラグブラッカーの喉首を振り向きざまの一瞬の刹那の

交差で噛みちぎったかと思えば、ドラグブラッカーの返す石化の炎の一撃で

ドラグレッダーの鋭利な尾が脆くなった石像の如く砕け散る。

 敵意と殺意と憎悪が一つの形を取り『怨』という明確な互いを排除する

域にまで達した二体の龍は、眼下で戦いを続ける主達そっちのけで高ぶりに

昂ぶり続けた己の殺意を眼前の相手へとぶつけるべく、最上の威力を誇る一撃を

吐き出そうとした。

 そして、地上に降り立ったリュウガと龍騎の戦いも熾烈を極めた。

 先に仕掛けたのは龍騎だった。

 しかし、ソードベントのカードをバイザーにベントインして呼び出した

龍騎へと敢然と殴りかかり、素手でありながら、まるで数秒先の未来を

予知しているかのようなトリッキーな動きでリュウガは龍騎を圧倒する。

 大上段に振りかぶった龍騎の右肘を押さえ、前屈する左膝の皿を目掛け

強化された脚力による下段蹴りを龍騎へ放とうとするリュウガ。

「おわぁっ!」

 膝を蹴り砕かれれば、その時点で著しい戦闘力の低下は免れない。

 敵の次の一手を読み切った龍騎は、手首を器用に回転させ、その鋒をリュウガの

頭上へと突き立てようと試みた。

 リュウガもまた龍騎の攻撃の意図を察知したのか、瞬時に自分の危機を悟ったと

同時に退き、龍騎との間に充分な距離を取る。
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:08:23.26 ID:Nkr8DRMT0
「俺という最強のライダーの為の器となれ!」 

 狂戦士の如き強さを龍騎に見せつけたリュウガは、異なる色でありながら

真司と全く同じ声と姿、そして力と共に猛然と襲いかかってきた。

 空中で絡み合うドラグレッダーとドラグブラッカーも互いの主の意図する

戦いへと加勢する為に、我先にと地上へと駆けつける。

 全てを石化させる黒炎弾を放ち、龍騎を追い詰めるドラグブラッカーに

ドラグレッダーがすかさずその身を盾にし、龍騎を乱暴ではあるものの、

リュウガの近くへと放り投げる。  

「Strike vent」

「Strike vent」

 互いの契約獣が放った赤と黒の炎弾が龍騎とリュウガを吹き飛ばす。

「「がはっ!」」

 近くにあった未だに倒れずに直立する瓦礫の塔へ、二人のライダーは

激突した。

「あああああああああああああああ!!!」

「おおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 狂った様に叫び合う龍騎とリュウガは、互いを殺し、滅ぼしこの世界から

抹消せんとすべく己の持ちうる全ての命の炎を燃やしながら駆けだした。
  
「Sword vent」

 大上段に振りかぶったリュウガのドラグセイバーが龍騎の頭上へと

振り下ろされる。龍騎はその一撃を真っ向から受け止め、強引に自らの

体を左へ捻り、無防備なリュウガの下半身へとその刃を振り抜かんとする。

 しかしリュウガはあえて自らの身体を前進させ、龍騎へと衝突させる事により

龍騎の次の攻撃の一手を潰す事に成功する。

 吹き飛ばされた龍騎は防御の姿勢を整える暇も無いまま、一瞬で自分との

間合いを詰めたリュウガの斬撃を為す術もなく受け続けてしまう。

 一、二、三撃と振り下ろされ、滅多切りにされ続けた龍騎は敢えて膝をついて

項垂れ、無防備な頭部を差し出すことでリュウガに生じるであろう慢心を利用した

カウンターを放つ事にした。

 案の定、その誘いに乗ったリュウガはその頭部へと渾身の一撃を放ち、

龍騎の頭部を粉砕せんとする全力の一撃を繰り出す。

(いまだ!)

 至近距離から両手で振り下ろされたドラグセイバーの刃の下、両手持ちであるが

故に生じてしまった胴体と胸に生じた僅かな空間に龍騎は全身のバネを使い、

一気に飛び込んだ。
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:09:02.51 ID:Nkr8DRMT0
「喰らえ!」

 ドラグセイバーの内側に潜り込んだ龍騎は、まず自分の膝による二発の

膝蹴りをリュウガのデッキへと見舞い、身体のバネを利用した頭突きを

リュウガの顎へと叩き込む。

 激しく頭を揺らす頭突きのダメージを堪えることは容易い。

 だが、いくらミラーワールドにおける制限時間が無制限とはいえ、リュウガの

デッキを破壊されてしまえば、その時点で城戸真一の敗北は決定する。

(なんて厄介な奴なんだ!) 

 リュウガとその契約獣ドラグブラッカーの攻撃翌力は、龍騎とドラグレッダーの

攻撃翌力よりも一段階上の数値を誇っていた。

 カードも、契約獣の持つ力も全てが龍騎を上回っている筈なのだ。

 自らに襲いかかる龍騎の渾身の右のストレートから始まる拳の乱打を両腕で

ガードし、リュウガはなんとか嵐のような猛攻を耐えきった。

 龍騎は目の前に立つリュウガへと右、左、右斜め、左下段蹴り、前蹴りと

息もつかせぬ猛攻撃を仕掛ける。精緻かつ絶大な破壊力を誇る一撃を、リュウガは

その威力を既に知り抜いている。

 なぜなら、龍騎とリュウガは表裏一体。全く同じ存在だからだ。

「ドラァッ!」

 身体を捻った勢いそのままに龍騎は左回転に廻って胴廻し回転蹴りを放つ。

 リュウガは慌てて頭部をガードするが、完全に蹴りの威力を消す事は出来ず、

右手に持っていたドラグセイバーを取り落としてしまった。
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:09:39.74 ID:Nkr8DRMT0
 武器を無くし、素手同士で殴り合う状況へと流れを引き寄せた龍騎は 蹴りの

回転を殺さないまま、後ろに下がりながら、リュウガの落としたドラグセイバーを

蹴り上げ、自らの右手につかみ取る。

 切り札を使わずして楽に仕留めることが出来る相手ではない。  

 修羅と化した弟をそう評した城戸真一は、神崎士郎がリュウガに与えた恩恵を

今ここで使うことにした。 

 かつての肉親の断末魔を耳にした城戸真司は、ここぞとばかりに最後の

力を振りしぼり、リュウガを攻め立てる。

 しかし、リュウガのこめかみを打ち抜かんと振り抜かれた左拳は

「なっ?!」

 ピン刺しの標本の様になった蝶の様にピクリとも動かなくなっていた。

「どうして!なんで動かないんだ!!」

 リュウガの顔面、後数センチの所で真司の身体は目の前の相手を殴り抜く突きを

放とうとした瞬間のまま、停止していた。

「真司ぃぃぃぃ....」

 リュウガの身体から黒い炎が吹き上がる。

「その肉体を寄越せえええええええええ!!!」

 そして、その黒い炎と同化したリュウガは身動き一つ取れない龍騎の

身体へとまとわりついたのだった。
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:10:49.14 ID:Nkr8DRMT0
〜現時点でライダーが保持しているカードの残り枚数〜

龍騎 ガードベント
   リターンベント
   フリーズベント

アビス ソードベント
    ストライクベント
    ファイナルベント 
   
タイガ ファイナルベント
    サバイブ〜烈火〜      
    コンファインベント
    リターンベント

リュウガ サバイブ〜疾風〜
     ガードベント
     ????
     ????

オルタナティヴ

     ファイナルベント
 アドベント×2(サイコローグとディスパイダー)
     ガードベント×3
     ????

ゾルダ  シュートベント×2
     コピーベント×2
     ファイナルベント×3
     ガードベント×3
     トリックベント
     ソードベント
     アドベント
     ユナイトベント

オーディン サバイブ〜無限〜
  タイムベント
      ソードベント
      スチールベント
      アドベント
      ストレンジベント
     
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 22:11:43.49 ID:Nkr8DRMT0
 今日の投稿はこれでおしまいです。つづきはまた近日中に投稿します
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/26(火) 23:03:37.45 ID:qXZz7rMKo
うひょー更新きたああ!
乙!!!
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:37:48.38 ID:JB4A+Idt0
 29話 王道を貫く信義 

「なんてザマだ....」    

 鏡の中の月に照らされたゾルダの背後には夥しい量の血がこぼれていた。

 先程のデストワイルダーの渾身の一撃は深々とゾルダのスーツを切り裂き

並のライダーであれば一撃で即死してもおかしくない深手を与えていた。

(先生なら、きっとこんな無様を晒す事なんかない....) 

 そう考えながらも、ゾルダは神崎士郎からリュウガが受け取ったのとは

また異なる「恩恵」を自らの身に行使する事に決めた。

「HEAL」

 赤い十字架が描かれたカードをマグナバイザーにベントインする。

 士郎が吾郎へ渡した傷を癒やすカードの効力がすぐに発揮される。

 体力こそ回復しなかったものの、先程の戦闘で受けた大小の怪我や打撲の

痛みが全て消え去るのが身体で理解できた。

「助かった...」

 安堵のため息をついたゾルダは、次の一手をアビスとタイガの二名に

どう仕掛けるのかを考え始めた。

 序盤の奇襲は確かに上手く行ったものの、結果として虎の子の姿を消す

クリアーベントを失ったのはかなり痛かった。

 神崎士郎と手を組んだ以上、カードに不足は全くない。

 加えてこちらには戦況を一瞬で破壊できる切り札が存在している。

 自分にとって、どういう勝ち方が一番勝率が高いのか?

 このまま圧倒的なカードの枚数差を利用して力押しをするのか?

 それともユナイトベントによる合体モンスターで速攻で片をつけるか?

 どちらにせよ、自分の勝利を確信するにはまだ早すぎる。

(まずは相手に先に切り札を切らせる。そこから反撃だ)

 そう結論づけたゾルダは、デッキからカードを引き抜き再び戦場へと躍り出た。
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:39:16.62 ID:JB4A+Idt0
ミラーワールドで繰り広げられる戦いもいよいよ終盤へと差し掛かってきた。

「Final vent」 

 アビスとタイガが身を隠した地点から200mも離れていない地点に巨大な巨人が

轟音を立てながらその姿を現した。

「ええい!クソッタレがぁああああっ!」  

 身を隠す遮蔽物もなく、雨霰と降り注ぐミサイルやビームを防ぐ為の盾もない。

 逃げようにも逃げられない窮地に陥ったタイガは激昂しながら、マグナギガの

後背部にマグナバイザーをまさにセットしている最中のゾルダに向かい、無謀にも

立ち向かおうとした。

「先輩!落ち着いて!今ここでキレちゃダメだ!」

 デッキからカードを取り出したタイガだったが、その特性上、どうしても自分が

相手のいる場所まで到達するのに数秒の時間が掛かってしまう。
 
 仮にファイナルベントが成功したとしても、ゾルダがマグナギガに接続した

バイザーのトリガーを引いてしまえば、ゾルダの腹にタイガの爪が突き刺さる

よりも早くミサイルとビームが自分達を木っ端みじんにするだろう。

 タイガは自分が出したカードをデッキに仕舞う事を考えたが....。

「佐野、俺を信じてくれ!」

 それは、起死回生の閃きだった。

 勝利への一縷の望みとなるカードをアビスへと託したタイガは、あえてゾルダに

聞こえるように、大声で自分達がこれから打つ一手を知らせた。
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:40:11.27 ID:JB4A+Idt0
「ファイナルベントを使うぞ!」

 タイガの悪手に、未だ直面していないアビスのファイナルベントに対する対策を

無意識のうちに考えてしまったゾルダの手先が一瞬だけ引き金を引く事を躊躇った。

「はいッ!」

 アビスは未だに使い慣れていない自分のデッキのファイナルベントを切り、

マグナギガに唯一対抗できる最強のモンスターを召喚した。

 なぜ、タイガが大声を上げて自分に命令を下したのかは分からない。

 しかし、自分に託されたカードを見たアビスは朧気ながらもタイガが描く

この絶望的な劣勢を覆す勝利の方程式の解を垣間見た気がした。

 ならば、自分はその方程式の解に辿りつく為に幾らでも協力しよう。

 アビスがバイザーにファイナルベントのカードをセットするよりも早く、

ゾルダはマグナバイザーの引き金を引いた。

 幾千もの光条とミサイルが乱舞しながら、ロックオンしたターゲット目掛け

一斉に襲いかかる。

 ゾルダに数秒遅れ、アビスもバイザーにファイナルベントをベントインした。

「Final vent」 

 タイガを抱え、被弾しながらも少しでも射程範囲圏から逃れようとするアビスの

走る地面の下から、雄叫びを上げながらアビソドンが現れた。

「シャアアアアアアアアアア!!」

「アビソドン!俺達に構うな!ミサイルとビームを真っ向から相殺しろ!」

 主からの命令に従ったアビソドンは、その巨大な尾鰭で一瞬のうちに主と

その仲間をエンドオブワールドの射程範囲外へとはじき出し、シュモクザメへと

己の姿を変貌させ、ゾルダのビームとミサイルを受け止めながら、徐々に

マグナギガへと肉薄していった。
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:40:55.47 ID:JB4A+Idt0
 間一髪の所でバイザーを引き抜いたゾルダは、躊躇う事なくマグナギガを

囮にして、敢えてアビソドンの元へと走り出していった。

 案の定、マグナギガという大きな獲物を目にしたアビソドンは小さな獲物等、

眼中にないとばかりに、喜々としてその大口を開け、目の前の獲物へと踊り

掛かっていった。 

 AP7000とライダーバトルにおいて屈指の破壊力を誇るゾルダとマグナギガの

ファイナルベントだったが、アビスとアビソドンのファイナルベントは奇しくも

ゾルダのそれとは数値が同等だったものの、無情にも格が違いすぎた。

 マグナギガはその巨体故に、他のモンスターを圧倒する大火力を手に入れたが、

それ故に攻撃を回避する為の機動力を持ち得なかった。即ち、自らが敗北する事は

ないという一撃必殺の己の攻撃スタイルの裏を掻かれてしまったのだ。

 ミラーモンスター二体分の攻撃翌力を兼ね備え、空水地全てに対応できる万能型の

融合モンスターであるアビソドンにとって、自分より何もかもが劣っている

直立不動のミラーモンスターを葬る事など容易いにも程があった。

「ゴオオオオオオ!!!」 

 為す術もなくアビソドンから攻撃を受け続けたマグナギガの鋼鉄の体は左足を

食いちぎられ、右手のバズーカ砲は肩ごと切り裂かれた無残そのものの様相を

呈していた。

「クッ!」

 背後へと回り込む事に成功したゾルダはマグナギガの惨状を目の当たりにし、

遂にユナイトベントによる圧倒的破壊力を持つミラーモンスターを召喚せざるを

得ないと判断した。

 このまま行けば、マグナギガは確実に葬り去られてしまう。

 それだけは避けなければならない。

 秀一のために、秀一が生きたという確かな証が消える事だけはなんとしても

絶対に回避しなければならない。
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:41:59.59 ID:JB4A+Idt0
「やるしか、ない!」 

 腹を括ったゾルダは、己のデッキから遂に「合体」のカードを引き抜き、

それをバイザーにベントインした。

「UNITE Vent」

 その瞬間、マグナギガにトドメを刺そうとしたアビソドン目掛け、左右の

資格からバイオグリーザとガルドミラージュが襲いかかり、アビソドンから

マグナギガを救った。

「嘘だろ、おい....」 

 かつて、東條と香川が烈火の力を得た王蛇サバイブと対峙したように、満と

仲村も命を賭けて、相対し、戦わなければならない強敵と相見えたのだった。

 眩い光が収斂したと同時に、その中心地に立つ「怪物」は主であるゾルダ諸共

三人のライダーを一瞬のうちに爆発と共に彼方へと吹き飛ばした。

「ゴオオオオオオオオオオオ!!!!!」

 それはまさに、大量破壊兵器<ジェノサイダー>と呼ぶに相応しい怪物だった。

 ロボットのように無機質だったマグナギガの体にバイオグリーザの特性である、

しなやかで強靱な筋肉が絡みつき柔軟性と機動性を補っている。更にその背には

三体分のミラーモンスターが合体して尚、その巨体を浮き上がらせ、飛行可能

たらしめる2枚の歪な機械と鳳凰型モンスターの翼が融合した飛行ユニットが

接続されている。

「嘘だろ、あんなのありかよ....」

「止めてくれ、もう、やめてくれよぉ...」 

 完全無欠の最強モンスターと化したマグナギガを目にした満は、思わずそうこぼした。

 あんなバケモノにどう勝てばいいのかが分からない。

 膝から崩れ落ち、絶望的な声をあげた満はそのまま背を向け縮こまってしまった。

 ゾルダはアビスが何を言っているのかは聞き取れなかったが、自分が召喚した

巨大な契約獣の威容を目の当たりにしたアビスが恐怖に屈したように見えた。

 現にアビスは後ずさりを始め、ここから1mでも遠ざかりたいと言わんばかりに

逃げだそうと後ろを頻繁に振り返っている。
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:43:36.55 ID:JB4A+Idt0
「佐野...俺に任せろ」 

 後ずさる満とは対照的に、一歩前に進み出た創は既に覚悟を決めていた。

「俺がお前の、血路を開いてやる」

 例え全ての希望が消え失せたとしても、そこに守るべき者がいるのならば...

(いつだって、人は英雄に至れる!) 

 なぁ、そうだろう?




「東條!」




 俺だってお前だけに格好つけさせるわけにはいかないんだよ!

 満身創痍の体に意地<えいゆう>という名の最後の燃料を投下する。

「先生....また、明日」 

 その日が来るとは限らないが、まだ俺が死ぬには時間がある。

 少なくとも、今すぐ死ぬ事はないだろう。

 だから、体がバラバラになって戦えなくなる時が来るまで足掻いてみせるさ。




「行くぜぇええええええええええええええ!!!!」



 
 砕け散るガラスのように脆弱な己の肉体に最後の灯火を男は灯した。




「Survive」




 烈火のサバイブをデストバイザーにベントインしたタイガの姿が瞬く間に

強化されていく。

 左手には新たに白虎の頭部を模した盾兼バイザーのデストバイザーツヴァイ、

右手には炎と氷の力を宿した分離可能な左右合体の両刃斧が握られている。

 おそらくこの戦いで自分は死ぬ。多分目の前のコイツにやられるだろう。

 だけど、不思議と心は安らいでいた。

 きっと東條も、死んでいく時にはこんな心境だったんだろうと容易に想像できた。

 だからこそ、次に自分が何をすべきかを誤ることは絶対にない。
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:44:19.45 ID:JB4A+Idt0
「Advent」  

 かつて憎み合い、共に戦った仲間の契約獣が創の召喚に応じた。

 風と氷と炎の力を宿した猛虎は眼前に立つ巌の如き巨巌の蚩尤の威容に臆する

事無く、世界を震わせる咆哮を上げる。 

「負ける気がしねえなぁ...そうだろ?!お前らぁ!」  

 その言葉、その背中に一人と一匹が意気軒昂の雄叫びを上げる。

「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 

「グルオオオオオオオオオオオ!!!」

 その姿、その武威は止まるところを知らず。

 英雄は正道を歩み、その前に立ちはだかるは悪の巨魁。

 かくして、英雄達は二度目の試練へと直面することと相成る。

461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:44:59.61 ID:JB4A+Idt0
30話 城戸真一

 
〜回想〜 

 物心ついたときから、城戸真一の心の中には医学や科学で説明のつかない

荒れ狂う破壊衝動と暴力が巣喰っていた。

 生まれつき心の中にある箍が外れているのではないかと真一の父母はそう

分析し、腫れ物に触るようにして一つ年下の弟である真二を可愛がり、兄である

己をなるべく遠ざけようと腐心した。  

 真一は常に孤独だった。

 そしてその孤独を唯一埋めることが出来たのが暴力だった。

 目につく物全てを壊そうとする恐ろしい人間性は、既に幼少期から芽生えていた。

 そんなとき、真一の運命を変える出会いが彼に訪れた。

 城戸真一と神崎優衣が初めて会ったのは彼が中学二年生の時だった。

「兄ちゃん。ちょっと一緒に来てよ」

 自分に逆らった中学三年生を半殺しにし、逆らったというのは真一の視点であり、

本当のところは真一がクラスメイトに暴力を振るうのを見かね、仲裁に入った

数人の生徒達の喉に鉛筆を突き刺したというのが真実である。

 事が事だけに中学校の校長に自宅謹慎を命じられ、暇をもて余す兄を見かねた

真二が両親が夜寝静まったのを見計らい、兄を外に連れ出そうとしたのだった。

「何だよ真司、もう夜中の12時じゃねーか」 

「お前、明日も学校だろ?寝なくていいのかよ」

「大丈夫だって。兄ちゃん」

 他人に対して躊躇無く快楽のままに暴力を振るえる真一だったが、一つ年下の

弟である真二にはどうしてもそうした気が起きずにいた。
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:45:29.04 ID:JB4A+Idt0
 
「分かったよ。しょーがねーなぁ」

 一軒家の二階の窓から雨樋をつたって、仲の良い兄弟は深夜の町を自転車で

どこまでも駆けていく。

「で、真二。お前は俺に何を見せたいんだ」

「いいからいいから。俺に着いてきてよ。兄ちゃん」

 自転車をこぎ続けること30分、真一が辿りついたのは廃遊園地だった。

「なんだ?ここ十年以上前に潰れたところだろ」

 正門の横に自転車を置き、雨風に晒されボロボロになった壁の穴から二人は

鼠のように遊園地に忍び込んだ。

「ふふーん。兄ちゃんはこの遊園地に伝わる噂、知らないだろ?」

「なんだよ。その噂って」

 懐中電灯で暗い道を照らしながら、真二は得意げな表情を浮かべてこの遊園地に

伝わるという噂話を始めた。

 何を伝えたいのか要領を得ない説明だったが、弟が言うにはこの遊園地には

女の子の幽霊が出現し、その子はミラーハウスを根城にしている。その子に

ホイホイついてくと、ミラーハウスの鏡の中に閉じ込められ、その鏡の中に潜む

『何か』に食べられてしまい、二度と家に帰れないというありきたりな話だった。

「真二、お前はガキだなぁ。まさかそれ本気で信じてるのかよ」

「信じてるよ。だってその女の子の幽霊は俺の友達だもん」

「はぁ?」
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:45:58.66 ID:JB4A+Idt0
生まれてから十数年少しの付き合いだが、弟が生来のお人好しであるという事は

今までの付き合いで理解している。少し頭を使えば、虐待された女の子が家に帰らず

廃遊園地で一人遊びをして、時々訪れる頭の悪い連中を驚かし、喜んでいると

分かりそうなことなのに...。

 ともあれ、今から向かう廃遊園地のミラーハウスという場所に潜んでいるのが

得体の知れない幽霊などではなく、実態のある人間ということに内心密かに安堵した

真一は弟の後を素直についていくことに決めた。

「優衣ちゃん。来たよ」

「あっ、真二くん」

 ミラーハウスの入り口に立った弟が幽霊女の名前を呼んだ。

 優衣と呼ばれた弟と同い年の女の子は、まるで親友のように弟へと抱きついた。

「真二。お前の友達ってのは結構変わってるんだな」

「あーっ。真二君から聞いたよ。お兄ちゃんの真一君でしょ」

「そうだよ幽霊女。初めまして、真二の兄の城戸真一だ」

「よろしくお願いします。神崎優衣です」

 真二のように純真さから来る人なつっこさで優衣は初めてで会った真一にも

物怖じすることなく手を差し伸べ、真一もその手を躊躇うことなくとった。

「優衣ちゃん。アレやってよ。アレ」

「えーっ、真二君ってば最近いつもここに来るときそればっかりじゃん」

 ミラーハウスの入り組んだ迷路を歩き続けた三人は大きく開けた場所へと

辿りつく。
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:46:26.06 ID:JB4A+Idt0
「なんだ?何を今からやるんだ?」

「ふふーん。それはねぇ」

 真一の問いかけに得意げに笑う優衣は床に散らばっていた紙を取り上げ、

それを無造作に鏡へと押しつけた。

「?!」

 真一は目を疑った。

 鏡の向こう側に紙が押し込まれるようにして落ちたのだ。

「兄ちゃん。優衣ちゃんは凄いんだぜ。鏡を操れるんだ」

「か、鏡を操れる?」

 なんだコイツは。

 真一の優衣を見る目が一瞬で変わった。

「ほら、見て!鏡を見て」 

 はしゃぐ弟が指さす先ではまたもや信じられないことが起き始めていた。

「嘘だろ」

 紙の中から、何かが姿形を象り具現化したのだ。

「グルルル...」

「フシュー....」

 巨大な赤い龍と黒い龍が鏡の中に現れた。

 その二匹は明らかに自分達三人の存在に気が付いていて、しきりに尾や体を

ぶつけ、こちら側にいる美味そうな餌を喰らおうと試みていた。
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:46:54.54 ID:JB4A+Idt0
「なんだよこれ...」

「兄ちゃん。始まるよ」

 真二が目を輝かせながら、これから始まることに大きな期待を寄せる。

 そして、それは唐突に始まった。

 赤い龍が黒い龍の尾に噛みつき、黒い龍は逆鱗に触れた自分そっくりな龍へと

黒炎の豪火球を吐き出したのだ。

「いっけー!ドラグレッダー!黒いのなんかやっつけちまえ!」

「なぁ真二。あの赤いのドラグレッダーっていうのか?」

「うん。黒いのはドラグブラッカーっていうんだ」

 真一は今、自分の目の前で繰り広げられている光景を信じられなかった。

 信じられなかったと同時に、心の底から得体の知れない歓喜がわき上がってきた。

 誰にも負けない強大な力を誇り、その気になれば国も世界すらも滅ぼせる

あの鏡の中に潜む怪物がたまらなく欲しい。

 戦いは数十分にも及び、赤い龍が黒い龍に対して優勢に戦いを進めていた。

「真一君?」

「なあ優衣。あの黒い龍、俺に寄越せよ」

 血走った瞳は狂気の色に染まり、目の前に手を伸ばせば手に入る人智を越えた

力を手に入れるには何だってするというなりふり構わぬ非道さが浮かんでいた。
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:47:23.24 ID:JB4A+Idt0
「無理だよ...。お兄ちゃんならそれが出来るけど、私には無理なの」

「ああ!?なんだと!」

「魔法が使えるんだろ!その魔法とやらで俺にあの龍を寄越せって言ってんだよ!」

 真二と同じ顔が恐ろしい『何か』に取り憑かれたように変化したことに優衣は

耐えきれず、鏡の中に手を押し当てて二頭の龍の戦いをあっけなく終らせて

しまった。

「ああっ!なんで止めちゃったんだよぉ!」

「って!兄ちゃん?!何してるんだよ」

「手を貸せよ真二。コイツを脅してあの龍を奪ってやるんだ」

「ダメだって!兄ちゃん、そんなことしたら優衣ちゃんの兄貴が....」

「どうせコイツの兄貴も幽霊なんだろ?どけよ!」

 自分を羽交い締めにする弟を振り切り、真一は優衣に再び詰め寄る。

 その時、あの音が聞こえた。

 キィィィィ....ン、キィィィィ....ン。

「ああっ来ちゃった」

 キィィィィ....ン、キィィィィ....ン

 真一の背後。真二にとっての正面に朧気な影のような何かが現れる。

 それは徐々に輪郭を得て、一人の男になった。
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:47:58.61 ID:JB4A+Idt0
「何をしている、優衣。ここにはあまり来るなと言ったはずだ」

「ごめんなさい。でも...」

 真二をちらりと見遣った優衣はそれきり黙りこくってしまった。

「なぁ、アンタ。どうやってこんな面白いものを見つけたんだよ」

「誰だ、コイツは」

「真二君のお兄ちゃんの真一君」

 優衣の兄、神崎士郎は困ったように頭を掻く真二を一瞥し、家に帰る様に促した。

「いこ、真二君。今お兄ちゃん怒ってるから」

「で、でも...兄ちゃんが」

「気にすんな真二。朝には戻る」

 妹と弟を追い出した兄達は改めて互いの存在を認識した。

「どうも始めましてお兄さん。城戸真一といいます」

「今日はアンタにお話しがあるんですよ」

「率直にお願いします。あの黒い龍を俺に下さい」

 身も蓋もない強欲で一方通行の要求を突きつける真一。そのズボンのポケットの

中にはバタフライナイフがその出番を待ち構えていた。

「良いだろう。だが、それには一つだけ条件がある」 

「なんだよ?その条件ってのは?」

「ついてこい。実際に見た方が理解が早い」

 神崎士郎は鏡に手をかざし、真一を異界へと誘った。

 誘われるままに真一も士郎の後を追い、鏡の中へと飛び込んでいった。

468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:48:30.62 ID:JB4A+Idt0
〜〜〜

 真一が降り立った場所は、どことも知れぬ暗い海辺だった。

 月光に照らされた二人の男が、先程見たドラグブラッカーと同じ存在を使役して

命懸けの死闘を繰り広げている。
 
 ライダーバトルとは異なり、あくまでもこの戦いは使い魔を使役する戦いだった。

 その証拠にミラーモンスターの傍らに控える男達は何の変哲も無い服を着ている

一般人のようだった。

「ルールは?」

「12人の総当たり戦だ。契約獣を使い最後の一人になるまで戦え」

「敗北した人間はどうなるんだ?」 

「契約者は最後の一人になるまで戦う。最後の一人になるまでな」

 ぞっとするような恐ろしい色の浮かんだ瞳で神崎士郎は真一に念を押す。

 勝敗はあっけなくついた。

 サイのような契約獣が蜘蛛のような契約獣をその角で貫き、勝利の雄叫びを

上げながら敗北した契約獣の主を頭から貪り喰らったのだ。

「人を、殺せるのか」

「ああ。お前が望むのならば幾らでも」

「乗った。アンタに手を貸してやるよ」

 その時、神崎士郎は確かに笑った。

 城戸真一という一人の人間が人間であることを放棄した瞬間だった。

469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:48:58.62 ID:JB4A+Idt0
〜〜〜

 ドラグブラッカーを得た城戸真一はまさに最強に相応しい契約者だった。

 契約者の戦い。そう神崎士郎はこの戦いのことを評していた。

 自分の内で暴れる凶悪な破壊衝動を満たすことさえ出来れば良いと考えている

真一にとってはどうでも良いことだったが、士郎曰く、この戦いはいずれ来る

戦いの前哨戦というものらしい。

 彼の両親が、生まれつき真一の心は壊れていると評したように人としての大切な

何かが致命的に欠けていた『リュウガ』は、翼を得た虎のように次々に神崎士郎の

口車に乗せられた哀れな人間達を殺し続けた。

 契約者と共に戦うに相応しい契約獣を選定する戦いには様々な人間が士郎の

口車に乗せられて参戦していた。

 正義感に燃える警察官、チンピラ、普通の小学生、窓際族のサラリーマン等が

それぞれの内に抱えた心の中の欲望を契約した獣達に与えることで契約獣は

より強大に、より醜悪な姿へと己を変貌させていった。


 最後の一人になれば、どんな願いも叶えられる。


『合わせ鏡が無限の世界を形作るように、現実における運命もひとつではない』


『同じなのは欲望だけ』


『全ての人間が欲望を背負い、その為に、戦っている』


『その欲望が背負い切れないほど大きくなった時、人は、ライダーになる』


『ライダーの戦いが始まるのだ』



 しかし、真一の契約獣であるドラグブラッカーは契約主の殺戮本能を幾たび

注がれてもその姿を醜く変えることは一度も無かった。

 なぜなら『リュウガ』はミラーワールドで最初に生まれたライダーだからだ...。

 奇跡に縋るしかない哀れな人間達が怪物に叶う道理などどこにもなかった。

 
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:49:31.15 ID:JB4A+Idt0
〜〜〜

「はは、ハハハハハ」
 
「アハハハハハハハ!!!」

 狂ったように叫びながら怪物は現実世界で暴れ回っていた。

 鏡の世界で契約獣を戦わせる戦いがあと一回で終わる頃には、既に城戸真一は

己の体の大半をミラーモンスターと同じくする存在へと成り下がっていった。

 正確に言えば、神崎士郎のとある目的のための被験体になってしまったのだ。

 尤も正気を失っていた怪物にとって、それは本当に些末なことだった。

 鏡の中を通り、自分に刃向かった『餌』の家に忍び込み、ミラーワールドへと

引きずり込んで捕食する。そんなことを繰り返していたある日の出来事だった。


 その日は、リュウガにとって最悪の日だった。

 ミラーワールドの中で眠りに落ちていたリュウガは、鏡の外側から誰かが

自分を探している気配を察し、臨戦態勢へと入った。

「真一君!真一君!どこなの!」

「お前、誰だ...」

 自分の眠りを妨げる存在を確かめたリュウガは、その少女がかつて弟の横にいた

あの神崎士郎の妹だと言うことに気が付いた。 

「神崎、優衣...」

「真一君!助けて!真二君が!」

 既に優衣と出会った日から数ヶ月が経過していた。

「しん、じ...真二が、どうかしたのか」

「真一君に間違われて、襲われてるの!」

 優衣の悲痛な叫びに、リュウガの意識は『真一』へと引き戻された。

「真二が襲われている?!どこだ!アイツはどこにいる!」

「こっち!早く来て!」 

 優衣の手鏡の中に身を潜めた真一は、優衣と共に弟のいる場所へと急行した。

471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:50:03.44 ID:JB4A+Idt0
〜〜〜

「真二君!」

 優衣が辿りついたのは、人通りのない鉄橋の下だった。

 真二は凄惨な暴行を複数人に受け、朦朧としながら懸命に生きようとしていた。

 既に弟の脇腹には深々と包丁が突き刺さっていた。

 真一は暴漢達の中に見覚えのある顔を見つけた。

 自分と雌雄を決する戦いの相手である最後の契約者だった。

「ウオーッ!」

 咆哮を上げながら真一は鏡の中から飛び出し、普通の人間よりも遙かに強い

腕力で次々に弟を襲う暴漢達をなぎ倒していく。

 しかし、暴漢達は真一よりも二回り大きい巨漢達だった。

 あっという間に素手の真一を巨漢達は取り押さえてしまった。

「[ピーーー]やーっ!」

「ガッ!?」

 真一の体に何度も何度も暴漢の包丁が突き立てられた。

 それは、怪物と呼ばれた真一の最後にしてはあまりにもあっけないものだった。

「いやああああああああ!!!」

 拘束され、為す術もなく殺されていく真一の姿を見てしまった優衣は気を失って 

しまった。真一もそれに前後するようにあっけなくその生涯を終えようとしていた。

 筈だった。

「助けて!お兄ちゃん!助けてええええええええ!!!」

 妹の悲痛な叫びと共に、神崎士郎が姿を現した。

「....」

 神崎士郎は無言で自分の契約獣である金色の不死鳥を召喚し、目の前にいる

男達を全て焼き払った。
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:50:40.33 ID:JB4A+Idt0
「しっかりしろ。優衣」

「ごめんなさいごめんなさい。真一君、真二君。ごめんなさいごめんなさい」

 茫然自失状態の妹は、二人の友達を死に追いやった自らの無力さを呪い、

ブツブツと謝罪の言葉を呟くだけのマリオネットになってしまった。

「お兄ちゃん。お願いです二人を生き返らせてくださいお願いします」

「....できる限りのことはしてみよう」

 最愛の妹の心をこれ以上傷つけたくなかった神崎士郎は、ミラーワールドの

コアミラーの力を使い、真一と真二の蘇生を試みた。

 結果として神崎士郎が二人に施した処置は二人の命を長らえさせる結果を出した。

 しかし、それは一方に永劫に等しい苦痛を与えるものでもあった。

 真一は実体を失い、人と呼ぶにはあまりにも不安定な存在へと成り下がった。 

 神崎士郎は城戸真一を延命させるために、彼を正真正銘のミラーモンスターへと

変えてしまったのだ。
 
「優衣。もう大丈夫だ」

「今の俺の力では一人を生き返らせるので手一杯だ」 

「だが、安心しろ。城戸真一も死なせない」

「奴は、お前と同じ存在になるんだ」

 神崎優衣と同じ存在になると優しく諭した士郎だが、それについては些かの

差違が生じる。
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:52:34.02 ID:JB4A+Idt0
 優衣の場合はミラーワールドの自分から寿命を貰い、同じ存在へと同化している。

 ライダーバトルの終焉は神崎優衣の20回目の誕生日である。
 
 では、なぜ神崎優衣の20歳の誕生日でライダーバトルが終わるのか?

 結論から言えば、神崎優衣はどの並行世界であっても殆どの確率で短命に

死ぬ運命にあるからだ。

 もっと正確に言えば、一番長生きできる可能性というものが神崎優衣には

二十歳までしかない。

 この場合、並行世界の自分自身の寿命が尽きるのが20歳の誕生日であり、

そこまでは何も問題なく普通の人間と同じように生きることが出来る。

 ただ、20歳以降は生きられないという運命はどう足掻いても覆ることは

この先二度と無いというデメリットが生じてしまった。

 一方、真一の場合は自らの延命に真二の命を共有する形で命を長らえた。

 優衣の場合と異なるのは、真一は命を失う前に辛うじて人間の肉体を持ったまま

ミラーモンスターと同じ存在になったことである。

 城戸真司が人間として生き続ける限り、その生命エネルギーが真一にも同量分

流れ込む。即ち、真司と同じ様に真一も成長することが出来るように神崎士郎が

城戸真一という存在を「そう言う存在」として作り替えたのだった。

 だからこそ、城戸真一は城戸真司と何もかもが全く同じ姿を取る事が出来た。

 神崎優衣が真一のことを自らと同じと評したのは、かつての優衣が鏡の中の

もう一人の自分から命を分け与えられ、一つの命を共有するのに同化して何とか

生きながらえたのと同様に、城戸真司の命を共有する真一もいずれ現実世界に生きる

真二と同化することが分かっていたからである。
 
 しかし、こちらの場合にも綻びが生じ始めている。

 ライダーバトルの終焉が近づき始める中、ミラーワールドの境界線の線引きが

曖昧になりつつあるが故に、真一の真司に対する干渉の勢いが徐々に強まっている。

 双頭の獅子のように、一つの体に宿る同じ命を共有する二つの存在は高い確率で

共存することは不可能に等しい。

 いずれ喰らい合い、一つの命が必ず死を迎える結末が訪れるのだ。

 更に、城戸真一が城戸真司の体を乗っ取る確率は、どの並行世界においても

神崎士郎の思惑が成功する確率よりも、ずっと高い。

 即ち.....

〜回想終了〜
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:53:09.68 ID:JB4A+Idt0
 ゾルダとタイガ達が最終決戦に臨もうとする中、オルタナティヴと龍騎の戦いも

大きな転換点を迎えようとしていた。

「...........」

 黒い炎を上げ、その姿を一瞬で黒い霧へと変化させたリュウガは龍騎へと

まとわりつき、城戸真司の体を乗っ取った。

「なんてことだ...」

 疑似ライダー専用の『契約』のカードで契約したディスパイダー・リボーンで

雑魚モンスターを駆逐しつつ、サイコローグを強化していたオルタナティブは

少なくとも、香川英行はその顛末をそう分析した。

 糸の切れたマリオネットのように立ち尽くす龍騎の体がビクンと震えた。

 その瞬間、オルタナティヴの周囲を取り囲んだ全てのミラーモンスターが

蜘蛛の子を散らすようにして逃亡を始めた。

 浅倉威と対面したときとは比較にならない殺気が全身を駆け巡る。

 毛穴からマダニと蛆が吹き出し、全身の血液は瞬く間に腐食する。

 骨は髄まで見えない何かの歪な牙に万の顎で齧られる。

 あれは死だ。

 直視すれば死ぬ。戦えば死ぬ。逃げれば死ぬ。見れば死ぬ。

 幾千幾万を超えた億通りに届く死の膨大なイメージがオルタナティヴの脳へと

一斉に叩き込まれる。
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 19:53:41.92 ID:JB4A+Idt0
 
 勝てない。勝てるわけがない。

 無意識のうちにオルタナティヴはデッキから一枚のカードを引き、それを

カードリーダーへと読み込ませた。

 それは、圧倒的実力差に立ち向かおうとした弱者の最後の悪足掻きだった。

 その瞬間、時が止まった。

「Final vent」 

 それがリュウガかオーディンのファイナルベントだったかは定かではない。

 最後に彼が見た景色は

 立ち尽くす自らの体から切り落とされた自らの首だった。
 
 〜〜〜

「何だ、英雄というのも案外脆いものだな」

 遂に己の悲願を達成したリュウガ/城戸真一は目の前で木っ端みじんに

粉砕された哀れ英雄になれなかった男の亡骸を踏みにじり、悦に入っていた。

「真二、安心しろ。お前の望みは俺の望みでもある」

「神崎優衣を救い、ライダーバトルを終わらせる」

 己の死から数年の長き時を経て、遂に男は復活を果たした。

 弟の体の全ての主導権を乗っ取り、己と弟の全てを一つに束ねたのだ。

「言ったよな、真司。お前と俺は兄弟だ。誰よりも近しい」 

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・
「故に、今の俺達こそが本当の城戸真司なんだ」

 
 そして、城戸真司はどこへともなく消え去っていったのだった。

 
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 20:09:55.47 ID:JB4A+Idt0
 今日の投稿はここまでです。鏡像の城戸城戸真司がどういう存在なのかを自分なりに考察して掻いてみたつもりなのですが、作中の説明を簡単にすると

 ミラーワールドの優衣(二十歳までしか生きられない並行世界の優衣であり、この物語に登場する優衣に自分の命を与えることに同意した存在)が、

この世界の神崎優衣に命を分け与えたのと逆バージョンのことを神崎士郎は城戸真一に施した。
 
 即ち、現実世界で死に瀕した城戸真司(兄の死を望まずに、何とかして兄弟二人で生き残りたいと思っていた)の命をミラーワールドの存在となりつつある

城戸真一につなぐことで(真司の生命エネルギー)、一時的に城戸真一をミラーモンスターでもなく、人間というにはあまりにも曖昧な存在へと変えた。

 しかし、ライダーバトルが進むにつれて現実世界とミラーワールドの境界線が曖昧になりつつあり、隣り合う二つの世界が一つに収斂し始めているため、

(龍騎本編の最終話のハイドラグーンの現実世界の侵攻の一歩手前の状況になっている)ミラーワールドの存在と現実世界の存在が同化し始めている故に、

真一は真司の体を乗っ取ることに成功した。という解釈で読み進めてください。
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 11:24:01.81 ID:W0yva3On0
ライダー&契約獣紹介

 合体モンスター 獣帝マグヌム・オプス(ジェノサイダー)

身長:450cm(両翼展開時、700m)
体重:700kg
握力(左腕):250t
ジャンプ力:一飛び60m
パンチ力:350AP
キック力:500AP
AP(アドベント時):10000。

 神崎士郎と結託した仮面ライダーゾルダがユナイトベントによって己の契約する
契約モンスターであるマグナギガ、バイオグリーザ、ガルドミラージュの三体を
合体召喚した、その名の通り烈火王蛇ベノヴァイパーやゴルドフェニックスさえ
超越した最強のミラーモンスターである。

 合体モンスターの戦闘力(AP)は合体したモンスター同士の相性によって
決定されるいわば総合値の様なものであり、劇場版EpisodeFinalにおける王蛇の
ジェノサイダーがドラグブラッカーの石化ブレスによって石化した例もある為、
必ずしも数値が高ければ高いほど絶対的な強さを誇るというわけではない。

 この合体モンスターはそうしたデメリットを合体したモンスター同士の個々の
能力によって全てを補完し合っている為、高い戦闘力を保持したまま殆どの弱点を
潰し、万全にして最高の、最も優れた契約獣として君臨する事となった。

 全身重火器の塊であると同時に、単体での防御力の高いマグナギガはその巨大な
体躯故に、敏捷さで勝る同格のモンスターに劣るという欠点が存在した。
 しかし、ユナイトベントにより姿を消すステルス能力を持ち、バネが仕込まれた
逆関節の脚部による高跳躍力を武器としているバイオグリーザと、飛行能力を持つ
ガルドミラージュの二体の持つ長所を兼ね備えた最強の合体モンスターが生まれた。
 
 外見は四足四腕四腕のケンタウロスそのものであり、無機的でありながら
有機的な生物の要素を含んだ剛柔兼ね備えた万能型のミラーモンスター。
 ロボットのように無機質だったマグナギガの体にバイオグリーザの特性である、
しなやかで強靱な筋肉が絡みつき柔軟性と機動性を補っている。更にその背には
三体分のミラーモンスターが合体して尚、その巨体を浮き上がらせ、飛行可能
たらしめる2枚の歪な機械と鳳凰型モンスターの翼が融合した飛行ユニットが
接続されている。

 また、思考能力も三倍以上に跳ね上がり単体による戦闘行動を展開する事が
可能となり、カードの枚数が制限されているライダーとは異なり、全身武器庫
であるが故に、状況と距離に応じた戦略にて敵を迎え撃てるようになった。
 しかし、サバイブによるライダー強化ではないため、ミラーモンスターの
戦闘力と比較するとライダーのスペックはそのままというデメリットが生じる為、
そこにつけ込む隙が僅かに存在する。
 また、オーディンのゴルドフェニックスを凌駕する余りにも高すぎる攻撃翌力を
誇るため、このモンスターが暴れ続けるとミラーワールドが崩壊してしまう
かもしれない危機に陥る危険性が存在する。
 加えて、合体は契約主であるゾルダにも解けないためジェノサイダー自身の
防御力を凌駕する攻撃を受けてしまえばひとたまりも無い。

 ファイナルベント名は奇しくも並行世界のジェノサイダーと同じドゥームズデイ。
 並行世界のジェノサイダーのそれは開腹した己の胴体目掛け、王蛇が必殺技の
ライダーキックを叩き込み、小型ブラックホールへと叩き込むが、この世界の
ジェノサイダーのそれは、相手を空間に固定した上で、剣で切刻み、フルボッコに
した上でゾルダのファイナルベントであるエンドオブワールド(三体合体により
ミサイルもビームの威力もその量も三倍以上になっている)を叩き込む。
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 11:24:51.59 ID:W0yva3On0
合体によって増加したアドベントカード

 アドベント:マグヌム・オプスを召喚する AP:12000

 シュートベント:AP6000

 ギガランチャーを二連結した巨大砲門を召喚、ロックオンした相手が例え
ガードベントを使用しても、その盾を木っ端みじんに粉砕し、続く二射目で
ライダーも粉砕する最高15連射可能な無反動移動砲門。

 ガードベント:GP6000

 相手の攻撃を防御したと同時に、防いだ衝撃を相手へ同じ威力で返したり、
ライダーの意志によってその大きさを自在に変化させることも可能となった盾。
パンチングアーマーとして相手の防御の上から殴りつけることも可能な攻防兼用
できるギガアーマーの強度と大きさが倍になったガードベント。

 スチールベント:相手の武器やアドベントカードさえ盗めるカード。

 ホールドベント:AP4500

 ガルドミラージュの圏の大きさになったベルデのヨーヨー。
 外見は片手持ちの盾であり、上級ミラーモンスターでさえ切り裂く程に鋭い。
 接触した相手の体に触れる爆発反応を起こす爆発反応装甲仕様となっている。
 また、ホールドベント本来の使い方として相手に投げつけ、雁字搦めにして
身動きが取れないようにして拘束するという使い方もある。

 ファイナルベント:AP15000

 ファイナルベント名は奇しくも並行世界のジェノサイダーと同じドゥームズデイ。
 並行世界のジェノサイダーのそれは開腹した己の胴体目掛け、王蛇が必殺技の
ライダーキックを叩き込み、小型ブラックホールへと叩き込むが、この世界の
ジェノサイダーのそれは、相手を空間に固定した上で、剣で切刻み、フルボッコに
した上でゾルダのファイナルベントであるエンドオブワールド(三体合体により
ミサイルもビームの威力もその量も三倍以上になっている)を叩き込む。
 勿論、直撃すれば例えゴルドフェニックスであっても確実に一回で死ぬ。

479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 11:25:50.47 ID:W0yva3On0
仮面ライダー龍牙 

身長:193cm
体重:95kg
パンチ力:600AP(30t)
キック力:800AP(40t)
ジャンプ力:75m
走力(100m)2.5秒

 鏡像の城戸真司こと城戸真一が弟である城戸真司を急襲して完全に吸収した上で
疾風のサバイブを使用して強化変身したリュウガの最強形態。現実世界の真司と
ミラーワールドの真司が融合している為、アドベントカードを共有し、身体能力は
二倍にまで跳ね上がっている。

 マグヌム・オプスを最強のミラーモンスターとすると、リュウガサバイブは
最強のミラーワールドのライダーと言える。ライダーのスペックはオーディンを
抜き去りにし、ミラーモンスターのスペックもドラグレッダーを吸収、一つに合体
している為、その戦闘力も二倍に跳ね上がっている。

 契約獣 暗黒無双龍・ブラックドラグレッダー

 ドラグブラッカーとドラグレッダーの二体が合体して生まれた双頭の龍。
 ミラーワールドに二体しか存在しない龍型のミラーモンスターが本来の姿に
戻った為、APは11000とあのマグヌム・オプスと同等か上回っている。
 龍型のモンスターであるブラックドラグレッダーの力を与えられたライダー。
 攻守共に二倍の威力へと跳ね上がったの十枚のカードを駆使し、状況に応じた
臨機応変な戦い方を取れるのが特徴と言える。
 また、ブラックドラグレッダーへと二体の龍達が合体する事により、片方が
アドベントカードによる状態異常が打ち消される効果がある。
 
 所持カード
ソードベント×2
・ドラグセイバーを装備。4000AP。

ストライクベント×2
・ドラグクローを装備。4000AP。

ガードベント×2
・ドラグシールドを装備。4000GP。
 腕に装備する場合と両肩に装備する場合を選択可能。

アドベント×3
・ドラグレッダー、ドラグブラッカー、ブラックドラグレッダーの三体を召喚可能。
 なお、ブラックドラグレッダーは龍牙の意思一つで分離、再融合が可能である。
 5000AP、6000AP、11000AP。

ファイナルベント×3
・ドラゴンライダーキック(龍騎、リュウガ、ブラックドラグレッダー)を発動。 6000、7000、12000AP。

リターンベント:タイガから城戸真司へ譲渡された一枚。一度使用したカードを使える。
 
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 11:26:44.92 ID:W0yva3On0
仮面ライダー龍牙サバイブ

 サバイブ〜疾風〜のカードによってパワーアップした龍牙の最強フォーム。
 ブラックドラグレッダーも無双烈火龍・ブラックドラグランザーに進化した。
 二倍に跳ね上がった炎の力に加え、疾風の力による加護を受けている為、
ライダー、契約獣共に相乗効果で更に戦力が増加されている。

 ソードベント×2 6000AP
 ドラグバイザーツバイが銃剣のように変形するドラグブレードと疾風の力を
宿した柄のみの剣であるドラグソードの二本を召喚する。必殺技は二本の刀に
それぞれ烈火と疾風の力を宿した斬撃で相手を一刀両断するバーニングセイバー
(バーストセイバー)

ガードベント 6000GP。
・ファイヤーウォールを発動。ブラックドラグランザーが直接龍牙サバイブを守る。

シュートベント 7000AP。
・メテオバレットを発動。直撃すれば死、石化しても死が待ち受ける。

ストレンジベント
・使ってみないと何が起こるか分からないカード。

アドベント
・無双烈火龍・ブラックドラグランザーを召喚。15000AP。

ファイナルベント
・ドラゴンファイヤーストームキックを発動。20000AP

481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 11:27:38.43 ID:W0yva3On0
仮面ライダータイガサバイブ


身長 205cm
体重 100kg
パンチ力 550AP
キック力 650AP
ジャンプ力 一飛び75m
走力(100m)3秒

 烈火のサバイブによって強化変身を遂げたタイガのサバイブ形態。
 デストワイルダーは烈火の力を宿す炎帝獣・デストブレイカーへと進化した。
 バイザーは両刃の巨大な斧の中心にカードを入れるデストバイザーツヴァイ。

 ライダー自体のスペックは大幅に上昇したが、体力の消費がとても激しい為、
ノーマル形態でカードを大量に持ち、体力を温存しながら持久戦に持ち込める
ゾルダや二人分の体力を持つ龍牙サバイブと比較すると長期戦に難がある。

 炎帝獣・デストブレイカー

 全長 5m
 全幅 2.9m
 全高 1.8m
 重量 560kg
 

 サバイブ〜烈火〜の力によって強化された白虎型ミラーモンスター。
 二足歩行型から四足歩行へと移行したことによって、全長5m・体重560sと
以前の倍ほどの巨躯を誇るようになった。

 刀の如き巨大な爪と烈火と氷の力を宿した強力なブレスが主な武器である。
 その一撃はいかなるミラーモンスターをも切り裂き、その体を包む炎と氷の力を
内包した金色の毛皮はあらゆる攻撃から主や己の身を守護する鉄壁の城塞となる。
 空は飛べないが、炎に姿を変え攻撃を無効化したり、空間に氷の足場を発生させ
空中を飛ぶ敵へと肉薄する等、能力の汎用性はかなり高い。
 また、炎と氷の力を得たことにより、更なる進化をライダーへともたらした。
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 11:30:38.28 ID:W0yva3On0
所持カード

 アドベント AP9000
・デストブレイカーを召喚する。

 ストライクベント AP5500
・氷の力と炎の力を宿したデストブレイカーの爪を模した籠手を与える。
 
 ガードベント GP6000
・氷の甲冑をタイガに纏わせ、いかなる攻撃をも身代わりに受ける。

 トリックベント AP3000
・実体のある分身やない分身を十以上作り、相手を撹乱する。

 フリーズベント×2
・ライダーの動きを止めるカードとミラーモンスターを停止する二枚がある。

 コンファインベント×2
・相手のカードの効果を無効化する。

 スチールベント
・相手のカードを奪う。 

 ストレンジベント
・使ってみなければ何が起こるか分からないカード

 ファイナルベント AP13000
 デストブレイカーが超高密度にまで圧縮した氷と炎の四角錐を出現させ、逃げ道を塞ぎ
そのまま相手目掛けて発射し、八つ裂きにする、更にその攻撃を耐えたとしてもタイガサバイブが
炎の力を宿したデストバイザーツヴァイで一刀両断したり、ライダーキックで粉々に砕く。
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 14:39:54.84 ID:kKdf05dX0
>>1さん投降お疲れ様です。
このお話は神崎が結末を認めないと叫んで巻き戻しになる運命なのでしょうか?
彼は自分に都合が悪い結末を迎えたライダーバトルの場合(オーディンが死亡、もしくは結末を待たずに神崎結衣が消滅)は問答無用でタイムベントで時間を巻き戻していたそうなので、それが気になります。(なので、聞いた話によると劇場版のあれもシアゴーストたちとの決戦の後、タイムベントで巻き戻されたという設定になっているそうです。)
原作では最終的に何度繰り返しても「結衣が新しい命を欲しない」と幾度もなく繰り返してやっと理解した神崎士郎が、時間を巻き戻すのと同時に自分と結衣をミラーワールドの中に引き込んで封じた結果があの結末なのだそうなので、それだとしたらここまで頑張った佐野が報われないなって思います。
物語りは最終局面へと向かっていますが、自分も就活が近いのでその対応をしつつ楽しみにしています。
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/14(火) 15:23:16.63 ID:y+DNB+Gv0
 コメントありがとうございます。質問に対する答えとしてはそういうのは考えていません。
 ただ僕自身もこの物語を書く時に、小説版やHEROSAGAにおける龍騎の物語の一部の設定を流用したりしています。更に私的な考えとして、神崎士郎も不死身というわけではない。ミラーワールドにも何らかの限界があるんじゃないか、ライダーの欲望<ねがい>が神崎士郎の至上命題すらを軽々と凌駕した場合には
ゴルドフェニックスという一種の不可能すら超える最強のミラーモンスター<可能性>すら生み出すのではないか。とかエトセトラエトセトラ。
 長くなりましたが完全に最後の一人になるまでライダーバトルは続きます。佐野君も仲村君も香川先生もゴロちゃんも真司君も真一君も、そして神崎士郎も
叶えたい願いのために戦っているので、戦いの最中に命を落として道半ばで果てる覚悟は全員持っているでしょう。
 最後の一人の願いは必ず叶う。それが、この繰り返された一つの可能性としてのライダーバトルにおけるたった一つの結末とだけお答えします。
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/14(火) 18:58:44.93 ID:yT0A74SK0
最近読み始めたけれども面白いスレだなぁ
まさか東條があんな感じになるなんて思いもしなかったし
614.50 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)