敏恵「今度こそ、ストライクウィッチーズ!」

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159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/16(日) 11:26:52.12 ID:dxocCx4D0
 
ハイデマリー「ぃ、いえすみません! 問題ありませんので、今から出ます…!」ガシャコ


ゴォォォ――

ブゥゥウン――…




整備兵「……よし。後は夜番に任せて、もう寝るか」


整備兵(しかしあの大尉殿にまたお会いするとは、俺も運が良いのか悪いのか……つい下心でこんな時間まで働いてしまった。明日早朝当番なのに)ムッツリ



――タッタッタッ


敏恵「お疲れ整備兵さん!」ポン

整備兵「ん? えっ…!」


敏恵「そい!」ダッ スポ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/16(日) 11:35:21.80 ID:dxocCx4D0
 
整備兵「大尉殿!?」

敏恵「よし、今マリが出たばっかだからまだ発進路安全だよね」フィィン ピョコ

整備兵「…いやあの、ちょっと? 何をしてるんですか大尉??」

敏恵「ぇ? あ、あー……ごめんなさい。坂本さんの命令っていうの、実は嘘です」テキパキ

整備兵「は?」

敏恵「騙して本当すみません。でもあたし、どうしても行かなきゃいけないの!!」ジャギンッ

整備兵「……ぁいえ、はい。お気をつけて…」タジ


敏恵「うん、どうもありがとう」ジッ

整備兵(――! //)ドキィ



敏恵「〜うしっ! さあ行くよ月光、ネウロイを倒さなきゃ」


敏恵「…発進!!」


ガジャンッ


ブゥゥウウン――
 
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 22:31:30.61 ID:hU78NFIy0
 

ベルギガ領上空


エイラ「取り敢えずライン川まで直行する感じなのか?」

ハイデマリー「はい、サン・トロン周辺の警戒は基地に任せて先ずは急ぎましょう。なるべく余力を保った状態で敵を探します」

サーニャ「了解」



「おぉーーい、待って〜〜!」



ハイデマリー「…!」

サーニャ「?」


――ブゥゥウン


敏恵「ふぃ〜よかった! 見失ったかと思った」

ハイデマリー「工藤さん!?」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 22:35:15.39 ID:hU78NFIy0
 
エイラ「オイオイ、なんで大尉まで? 聞いてないぞー」

サーニャ「…えっと、管制に確認してみます。随行指示が出ていたのかも」ス

敏恵「あっ!! 駄目、待って!?」

サーニャ「ぇ?」

エイラ「なんだよ? 基地に連絡させると都合が悪いのかー?」

敏恵「その、それは〜…えぇー……なんというか、あのぉ…――」

ハイデマリー「…自己判断で出撃したんですね? 恐らくどこかで今夜の任務を知ったから」

サーニャ「それって、つまり…」

エイラ「まあ命令違反だな。工藤大尉はまだ待機指示だって中佐も言ってたぞ」

敏恵「ぅ…!!」ギク
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 22:37:01.20 ID:hU78NFIy0
 
ハイデマリー「……」

敏恵「だ、大丈夫! 芳佳ちゃんのおかげで身体は平気だから、心配ないよ!?」

ハイデマリー「ですが…」


エイラ「――まあ、しょうがないな」ヤレヤレ

サーニャ「エイラ?」

エイラ「べつにイイんじゃないか? 戦力多いなら楽だし、クドー大尉は夜間専門のキャリアもあるから足手まといにはなんないだろ」

敏恵「お…! うんうん、その通り!」

エイラ「どうするハイデマリー少佐? 一応指揮官の判断に任せるけど、ワタシ達が一緒なら平気だと思うし、さっさと任務終わらせた方がイイんじゃないか?」

サーニャ(エイラってば、まさか引き返すのが面倒だとか思ってないよね…?)ジー
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 22:39:22.56 ID:hU78NFIy0
 
ハイデマリー「…………分かりました。ではとにかく哨戒はこのまま、続けましょう」

敏恵「本当に!? やった!」


ハイデマリー(小園大佐やミーナ中佐達が危惧している工藤さんの“何か”…――)

敏恵「ありがとうマリ!」ニッ

ハイデマリー「は、はい(――こうなったらいっそ、直接確かめた方がいいのかもしれない。ただ闇雲な不安を思うよりは…)」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 22:43:46.20 ID:R1Cyu1aTo
来たっ!待ってたよ
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 22:45:31.39 ID:hU78NFIy0
 
――――
――



敏恵「――じゃあ巣じゃなくて、ライン川の近くで何かが…?」

ハイデマリー「はい。506のウィトゲンシュタイン少佐が不審なネウロイの痕跡を確認しています」

ハイデマリー「…恐らくここ最近昼間に頻出していた飛行型らしき群はそのネウロイが要になっていると、ミーナ中佐はそう考えているようです」

敏恵「“らしき”って?」

エイラ「足の生えてるヤツがいたんだ。ワタシも昨日出撃して何体か見たぞ?」

敏恵「えっなにそれ、飛んでるのに脚付いてるの?」

サーニャ「……。つまり地上型のネウロイだったという事ですか?」

ハイデマリー「可能性はあると思います。実際に形だけでなく変質をも実現するネウロイがいる話は“聞いた”ことがあります」


敏恵(…マリが言ってるの、前に戦ったネウロイ・リーパーのことかな? やっぱり緘口令で――)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ――ズブリッ

『ッごぎゅ!? ゥぅ゛…!!』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



敏恵「!?」ゾワッッ


敏恵「…? ……??」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 22:51:38.41 ID:hU78NFIy0
 
エイラ「まーとにかく、ソイツをなんとかしないとダメなんだってコトらしい」

ハイデマリー「はい。セダン基地からの情報によると、ガリアでも国境対岸の森林倒木が北〈ベルギガ〉側を中心に発見されたそうです」

サーニャ「…地上型のネウロイが進行した跡ですよね?」

エイラ「ソー言われてみると確かに、この辺の沿岸も向こう側だけやけに荒れてたよなー? 侵略地だからそんなモンだと思ってたけど」

ハイデマリー「いえ、501の皆さんが来る最近までは繁茂したままでした。占領地内で最も外れの沿岸部は地上荒廃もまだ消極的な筈なんです」

エイラ「てことは中佐の読み通り、やっぱナンかいるのか? メンドクサイナー」

サーニャ「エイラ、大事なことだから」

エイラ「ウン、わかってるけどさァ。夜にコソコソ企むなんて手のかかる敵だよな〜マッタク」


敏恵「…………」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 22:56:10.66 ID:hU78NFIy0
 
ハイデマリー「……工藤さん?」

敏恵「…! ん、なに?」

ハイデマリー「大丈夫ですか?」

敏恵「え? 何が?」

ハイデマリー「いえその、急に黙っていたので」

敏恵「ぁ…うん、ごめん。久しぶりだからちょっと緊張してきちゃって」

ハイデマリー「……」

敏恵「でも大丈夫、あたしが絶対そのネウロイやっつけるから。任せて」

ハイデマリー「ぃ、いえ。べつにそういう心配では…」

敏恵「……」

ハイデマリー「(工藤さん…?)ぁ、あの――」



ハイデマリー「!」フィン フィン

 
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 23:04:52.76 ID:hU78NFIy0
 
サーニャ「…! 飛行体の反応です」フィィン

敏恵「!?」

エイラ「お、ホントにでた! ネウロイか?」

サーニャ「うん、周辺空域で他のフライトプランは特にないわ」

ハイデマリー「方向およそ1時。…距離から推測してほぼライン川の上空かその先ですから、間違いありません」

敏恵「マリ、上下はどっち!?」

ハイデマリー「ぇ…? あ、高度はかなり低い位置です。ただ――」

敏恵「下だね? ありがとう!!」バッ

ハイデマリー「あっ、駄目です工藤さん! 待ってください!?」


ブゥゥウンッ――



エイラ「…オイなんだよクドー大尉、突然はりきり出したぞ? 結構好戦的なヤツなんだな」

ハイデマリー「……ぃ、ぃぇ。“もう”そんな事ない筈ですが…」

エイラ「ヘ?」

サーニャ「――! この反応…!」フィィン

エイラ「ン?」

サーニャ「ハイデマリーさん、私達も」チラ

ハイデマリー「…はい、そうですね。直ぐ追いましょう!」


ブゥゥウン――



エイラ「あ、ナンだよオイ! 待ってくれよサーニャ〜!?」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 21:19:44.04 ID:uqGYSXL70
 

ベルギガ=カールスラント国境

ライン川上空



――ブゥウウン


敏恵「はぁ……ふぅ…。見えた、あれだ」~フワ






ネウロイ「……」ゴゥン ゴゥン






敏恵「結構遠いなぁ。これ以上行くと敵地侵入〈ごはっと〉か…」ジー

敏恵(でも超夜間視力は冴えてる。相変わらずはっきり見えるし、小さいけどコアも――)


敏恵「――…! ちょ、えっ!? なにあれ下に沢山いる…!!」
 
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 21:25:40.65 ID:uqGYSXL70
 

「「「…………」」」ゾロゾロゾロ


ネウロイ「…〜〜」ペカー


「ッ…!?」ズズズ


ネウロイ「〜〜〜〜」


「…ー! ~~!」フヨフヨ






敏恵「むぉ、おお…! 一個浮いた!? 昇ってる!」ガーンッ

敏恵(なるほど、ああやって“夜なべ”された兵隊達が日中に突破して来てたんだ)


敏恵「…よし! だったら先ずあいつのコアを撃ち抜けばいいよね!?」グィ

敏恵「この十八試三号機銃の特性30ミリ魔導徹甲弾なら届く。遠くてもこれ位なら、余裕で狙える!」ガジョンッ





ネウロイ「〜〜〜〜」





敏恵「…すぅ……はぁー…、すぅ……」ドキドキ
 
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 21:30:47.08 ID:uqGYSXL70
 


ネウロイ「〜〜〜〜」





敏恵「はぁ………すぅ、はぁ…。んっ…」ゴクリ

敏恵(…食らえネウロイ、あたしが絶対退治する!)グッ


敏恵(――今度こそ、先にッ…!!)ガチィ



ドォォウンッッ



ヒュゥゥゥンッ――



敏恵「…! 外れた!?」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 21:38:20.99 ID:uqGYSXL70
 
敏恵「ぐっ……何やってんのあたし!! ちゃんと狙え!」ガチ


ドフッ ドォオンッ



ヒュゥ ヒュゥウウン――



敏恵「!!? …〜〜ッ!! く、くそ! なんで!? #」ドフドフドフドフッ






ネウロイ「〜〜――」スカ スカ

ネウロイ「…? ……!」


ネウロイ「ーー! 〜ー!」ゴゥン ゴウン

 
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 21:50:51.39 ID:uqGYSXL70
 

敏恵「こ、こっちに来る…! 気付かれた!?」ビク





ネウロイ「…ー〜〜」ゴゴォォ…





敏恵「ッ…!?」ゾワッ


敏恵「く、来るな!! このぉ!」ドフドフドフ

敏恵「中れっ…! あたれぇえッ!!」ドフドフドフドフ




ネウロイ「〜〜、ー…」スカ スカ スカ

 
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 21:58:09.46 ID:uqGYSXL70
 

敏恵「――ぅ…! た、弾切れ!?」カシュ カシュ


敏恵「ど…ぇ、えぇと……っ! 弾帯を――」アセアセ


〜ズルッ


敏恵「あっ!」


ヒュゥ〜〜……↓


敏恵「〜ッ゛……ぅぅ、くぅ…!!(き、九十九式機銃――)」アタフタ





ネウロイ「……。ーー!」ギラ



ビイィィーーッッ



敏恵「ひゃあっ!!?」バジュゥン


敏恵(ぶ、武器が…! ネウロイのビームが、あぁ…ぁたしの横を!?)ザワザワザワ
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 22:22:13.23 ID:uqGYSXL70
 

ネウロイ「……」ゴゴゴォ…




敏恵「――ッッ…!!!」ゾワワッ

敏恵「うっ…なんで、こんなに。あたし、こんな筈じゃ…!?」ワナワナ



『――…工藤さん!』ガザザ


ドォオンッ



ネウロイ「ッッ! …!?」バギィン




ハイデマリー「大丈夫ですか工藤さん!?」ブゥゥンッ

敏恵「……ま…、マリ…!」

エイラ「たくー、大尉が全速力で行くから追うの大変だったぞ? ていうかどういう状況だコレ?」ブゥゥン
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 22:33:28.24 ID:uqGYSXL70
 
サーニャ「前方、迫って来る未確認飛行型1体。他に複数の動体反応が対岸数キロ地点にいるわ」ブゥゥン

エイラ「そっちは地上型か? 川の向こうじゃ手が出せないな」

ハイデマリー「…ユーティライネン中尉は飛行型ネウロイを陽動、対岸の群から十分に孤立させて、サーニャ中尉の火力で動きを止めてください!」

サーニャ「了解。エイラ」コク

エイラ「オウ! そんじゃ、やるか〜」ブゥゥン



ハイデマリー「ふぅ…。突然先行して、どうかしたんで――」ス

ハイデマリー「!?」

敏恵「……ご、ごめんマリ。あたし…っ」ガクガク

ハイデマリー(装備が殆ど無くなって――…いやそれより、明らかに様子が変!)
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 22:43:17.30 ID:uqGYSXL70
 
ハイデマリー「…大丈夫ですよ工藤さん。無理はしないで、さがっていて下さい」

敏恵「!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『――大丈夫やで、いたっちゃん! 心配無用や』


『あかんっっ! 皆逃げぇ!!』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



敏恵「っ……だ、だめ。……駄目だょ、マリ…?」ハシ


ハイデマリー「ぇ?」

敏恵「だっ…“大丈夫”じゃない…。 あたしは、もぅ……逃げなくて平気なの…!」ワナワナ

ハイデマリー「ですが、あの――」

敏恵「だって、もう違うんだよ!? あたしはやれるんだから!! な、何度も何体もッ……憶えてるんだから!!」

ハイデマリー「…く、工藤さん?? いったい何の話を…?」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 22:48:44.65 ID:uqGYSXL70
 
敏恵「ぁ、そうだ! まだ奥の手が――」ゴソソ

敏恵「銃弾は終わっちゃったけど、この小太刀があるから!」

ハイデマリー「それは…! まさかまたネウロイに突き立てて魔法力を流す気ですか!?」


敏恵「これなら外すもんか……これならッ!!」ブゥゥンッ



ハイデマリー「待って、危険過ぎます! 今の工藤さんでは――」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 22:55:36.31 ID:uqGYSXL70
 

――




ネウロイ「ーー!」ゴゥン ゴゥン


ビビィーーッ



エイラ「おっと! 危ないな」ヒョイ

エイラ「…そろそろイイんじゃないか? サーニャ〜!」

サーニャ『うん、離れてエイラ』ガザ



バシュシュゥウウゥウ――


ネウロイ「ーッ…ッッ゛…~!!」ドゴォォア



サーニャ『全弾命中。ネウロイが怯んだわ』

エイラ「でも意外と頑丈だな? コアは吹き飛ばなかったのか」

サーニャ『…私の残弾で残りの装甲を剥がしてみるから、エイラがコアを』

エイラ「エ? イイけど、失敗したらサーニャ危なくないか!?」

サーニャ『一発は残すから大丈夫。まだハイデマリーさん達がいるし、撃ったら直ぐ下がるわ』

エイラ「ン……分かった。じゃあ今のうちに――」


ハイデマリー『爆撃待って下さい!』ガザザ
 
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 22:57:09.26 ID:uqGYSXL70
 
エイラ「オ…? どうしたハイデマリー少佐?」

ハイデマリー『工藤大尉がその……っ…』

エイラ「??」

サーニャ『ハイデマリーさん?』

ハイデマリー『と、とにかく大尉がもう敵に向かってしまって…。私が止めるのでお二人は援護をお願いします!』


エイラ「……ナンダヨもー。やっぱり好戦的なんじゃないか、クドー大尉」ヤレヤレ

サーニャ『…でもエイラ、私達も言われた通り援護しなきゃ。もうネウロイが動き出すわ』
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/17(木) 23:01:37.34 ID:uqGYSXL70
 
――



――ビュォオオォンッ


敏恵「この為に戻って来たんだ、やらなきゃ…!!」ビュォォ





ネウロイ「…!」

ネウロイ「〜ー」ゴゥン ゴゴォ…





敏恵「!?」ゾワ


敏恵(っ…恐い筈ない、もう昔の事だ! 今まで通りネウロイを倒すだけ!!)




ネウロイ「ーー!」ギラ


ビィーーシュゥウッッ



敏恵「――!! どぅぃ゛…!!!」パァアッ


ズズンッ


敏恵「ぐッ…!」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 23:08:50.99 ID:uqGYSXL70
 
敏恵(ど、どうして…?? ビームが避けられない!?)~ヨロ

敏恵(…なんで? どぅしようぁたし、このまっ……このままじゃ、また!!!)ザワザワ


敏恵「――…はっ、はぁ……!!」チラ




ネウロイ「…〜」ギラリッ




敏恵「ぅぅ…!」

敏恵(守らなきゃ、まもらなきゃまもらなきゃまもらなきゃ――)グワグワ グワン




ネウロイ「ーー!!」カッ



ビビィイイーーーーッッ



敏恵「ま、まも…――」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 23:37:36.29 ID:uqGYSXL70
 

――ビュゥウウンッッ


ハイデマリー「工藤さん、私の後ろに!!」バッ

敏恵「…!?」


パアアァッッン


ハイデマリー(あ、危なかった…! やっぱり今の工藤さんは何かおかしい)


敏恵「……ぁ、ぁあっ…」ワナワナワナ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『――皆逃げぇ!!』バッ



『菊井ぃいーーッ!!!』




ジ ュ オォ ン ッ ッ



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



敏恵「ぅ゛うぅ……〜っ、ぁああぁあ゛!?!?」ガバッ

ハイデマリー「――!」

敏恵「〜ゃ、やめて!!」

ハイデマリー「ぇ…!?」

敏恵「いぃやだ、マリッ!!!」


ハイデマリー「く、工藤…さん??」ザワ
 
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 23:43:59.24 ID:uqGYSXL70
 

第四話:傷の錘 に続く

 
186 :>>1 [sage]:2017/08/18(金) 21:05:36.95 ID:ethE49LG0
納得のいくものがどうしても書けないので無期限休止すると思います。
落ちたらすみません
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 21:16:05.37 ID:vCpGK6HWo
えー…
せっかく読んでるのに
188 :>>1 [sage]:2017/08/18(金) 21:50:06.49 ID:ethE49LG0
>>187
自慰というか惰性でやり始めたせいで前回みたいに終わり方まで組み立ってないので……書けば書くほど蛇足を生やしている気がしてならなんのです

ですが確かにここまで読んで頂いてブツ切るのも酷いのでなんとか次話までやってみます。
今暫くお待ちくださいm(_ _)m
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 21:57:38.42 ID:vCpGK6HWo
困ったら小ネタとかでもいいんだよ
文章好きだからやめないでほしい
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 22:00:20.23 ID:ethE49LG0
(;×;)
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 22:13:28.68 ID:kJ7xEvb2O
頑張れ、キャラとしていい子だし真面目にやってくれてるなと思う
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 23:39:13.47 ID:LrOpK2i90
 

ウィッチとして復帰をしたものの、航空任務参加を許可されない工藤敏恵は夜間ネウロイ討伐への無断出撃を強行した。


国境付近で暗躍するネウロイのもとへ逸早く辿り着く敏恵だが、かつての様な実力を発揮できず、万事休すに陥る。

すんでの所でハイデマリーの魔法シールドに助けられるが、追い詰められていた敏恵はその光景を過去と重ねて錯乱してしまうのであった――――
 
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/22(火) 23:42:07.56 ID:LrOpK2i90
 
【第四話 傷の錘】



敏恵「いやだっ!! マリ、まりぃぃいッ!!!」


ハイデマリー「工藤さん!! どうしたんですか工藤さん!?」

敏恵「ぁあっ……あぁぁ…ッ……〜〜」シュルル

ハイデマリー「!?」

敏恵「〜…」フラッ

ハイデマリー「わっ!! あ、あの…!?」ダキッ


敏恵「…・・ 」


ハイデマリー「えっ…? ぇ、工藤さん??」

敏恵「 」
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 23:46:58.50 ID:LrOpK2i90
 

――ブゥゥウンッ


エイラ「2人ともナニやってんだよ? 危ないじゃないか」

サーニャ「…! 工藤大尉!?」


エイラ「――ちょ!? 大尉やられちゃったのか!?」

ハイデマリー「い、いえ! 攻撃は私が防いだんですけど、突然気を失って…!」オロオロ

エイラ「ハァ?? な、ナンで…?」

ハイデマリー「わた、私にもわかりません!!」

サーニャ「ハイデマリーさん、落ち着いて…」

敏恵「 」

ハイデマリー「っ…工藤さん! しっかりしてください、工藤さん!?」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 23:52:09.56 ID:LrOpK2i90
 


ネウロイ「……〜」ギラッ





エイラ「――!」キュピン


エイラ「危ね!!」バッ


ビィィイイーーーーッ


パァァアンッ


エイラ「クッ……久々シールド張ったけど、アイツのビーム重いな…!」

サーニャ「――! 不味いわエイラ、対岸〈むこう〉側のネウロイもこっちに来はじめてる」フィィィン

エイラ「ゥ…、例の地上型か!? もうナン体か飛べるようにしてあったのか!」

サーニャ「そうだと思う。残りの群も沿岸際から狙われるとここも危ないかもしれない」

エイラ「どうする指揮官! 今のウチ先にアイツをやっつけるか!?」




ネウロイ「……」ゴゥン ゴゥン
 
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/22(火) 23:57:17.47 ID:LrOpK2i90
 
ハイデマリー「…て、撤退します」

エイラ「え、ナンだって!? 放置すンのか!?」ガーン

サーニャ「エイラ、従いましょう? 大尉を抱えてハイデマリー少佐も戦えないわ」

エイラ「イヤでも…今ならワタシとサーニャで倒せるだろ?」

サーニャ「エイラ!」

エイラ「!? さ、サーニャ…?」タジ

サーニャ(ハイデマリーさんは工藤大尉が心配なの。仲間の救助を優先しなきゃ)フルフル
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 01:23:28.67 ID:3GO0Y1rR0
 
エイラ「……わ、ワカッタ。じゃあ撤退だな」

ハイデマリー「すみません、ユーティライネン中尉…」

エイラ「気にすンなって、それより早く大尉を連れて逃げよう。その後どうするかは中佐達に任せればイイさ!」

ハイデマリー「はい。……ではすみませんが、工藤さんをお願いします」グイ

エイラ「エ? ぁ、ウン。いいけど…」ヨイセ ヨイセ


ハイデマリー「…殿は私が、あの飛行型を牽制します。ユーティライネン中尉は工藤さんを連れて安全圏まで離脱してください!」キリ

エイラ「お、オウ…」

ハイデマリー「サーニャさん、私の砲撃を合図に対岸一帯にフリーガーハマーを! その後はユーティライネン中尉に付いて警戒護衛をお願いします!」グ…ジャギン

サーニャ「了解」

ハイデマリー「では、いきますッ!!」



ドォオオンッ――――

 
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 01:27:56.11 ID:3GO0Y1rR0
 

――――


――

 
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 01:30:29.52 ID:3GO0Y1rR0
 
―翌日―

サン・トロン基地


ミーナ「……」

美緒「ふむ…」

ハイデマリー「も、申し訳ありませんでした。全部私の責任です…」


シャーリー「あー…いやまあ気にしないでさ? 大した事じゃないって、ですよね中佐?」

バルクホルン「責任云々についての話で無責任な擁護をするな、シャーリー」ジト

シャーリー「ぐっ! ……そりゃ悪かったね」プイ

ミーナ「……。両大尉は退室していいわ」

シャーリー「ん?」

バルクホルン「なに? どうしてだミーナ?」

ミーナ「いいから、喧嘩は外でやりなさい」ジロ

バルクホルン「!?」

シャーリー(…やばい。なんか中佐、マジで機嫌悪い?)ギクリ
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 01:33:42.81 ID:3GO0Y1rR0
 
美緒「……お前達ちょっと来い」スタスタ


ミーナ「坂本少佐!」


美緒「解っている中佐。直ぐ戻る」

バルクホルン「…?」

美緒「出ろ、2人とも」グイ

シャーリー「あ、あの〜…??」ヨロヨロ


ガチャ

バタン



ハイデマリー「……」


ミーナ「…ごめんなさいね」

ハイデマリー「!」

ミーナ「貴方に苦労を強いてしまって。…まさか工藤大尉がそんな無茶をするなんて」

ハイデマリー「ミーナ中佐?」

ミーナ「美緒の危惧した通りだわ…」ボソ

ハイデマリー「ぇ…?」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 21:03:52.11 ID:3GO0Y1rR0
 

――ガチャ


美緒「……」パタム


ミーナ「…2人には何て言ったの?」

美緒「うむ。工藤の名誉の為、まだ全ては聞かせられんとな」スタスタ

ミーナ「ありがとう少佐。でも反って意味深ね、それだと」

美緒「怒気で誤魔化そうとしたお前が言うな。少し余裕を持て」

ミーナ「……ごめんなさい」

美緒「フッ…いや、個人的に私もまだ役立てる分には構わんがな?」

ハイデマリー(坂本少佐?)チラ

美緒(お前も、あまり気に病むな。察してやってくれ)クイ

ハイデマリー(…! はい)コク
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:07:02.89 ID:3GO0Y1rR0
 
ミーナ「えぇと、それでハイデマリーさん? 小園大佐が貴方に伝えた話というのは…」

ハイデマリー「あ、はい。その……“工藤さんのPTSDが再発しているかもしれない”と」

美緒「なに、心傷障害だと?」

ハイデマリー「…原因になった出来事については聞いてませんが、工藤さんは元々ネウロイに対して強い恐怖心があったと思います」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

敏恵『あたしはネウロイなんかと戦えない!! 怖くて、本当に怖くて嫌だったのにッ…!』

敏恵『――こんな所もう離れて、家に帰りたい…』



小園『工藤には暗示をかけていた。あいつの抱えたトラウマを取り除き、戦える動機を与えてやった』

小園『ああしてやらねば――…奴が抱える恐怖体験を取っ払ってやる術が最善だったんだ』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ハイデマリー「……小園大佐がマインドコントロールによって、その恐怖心を強制的に抑えていたそうです」

美緒「それは、流石に初耳だ…」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:14:03.94 ID:3GO0Y1rR0
 
ミーナ「誰かさんが教示した薬物強化兵士〈よこしまな〉プロジェクトの転用ね…。マインドコントロールと言うより厳密には暗示と洗脳だった筈よ」

美緒「詳しいな中佐?」

ミーナ「…前にハイデマリーさんから相談された時に、ちょっとね?」

ミーナ「昔当時の“新薬強壮剤”試験で偶発した魔導麻薬症のウィッチ、そのリスクをどうにか利用しようと考案された手段よ。そもそもの段階で当然破綻した計画みたいだけど」

ハイデマリー「……」

ミーナ(あの元帥直下のホルテン中佐なら、その辺り知らなくなかったでしょうし…)


美緒「そんな話があったとはな」

ミーナ「ただ、工藤大尉が“夜の女王”になってしまったのは不幸な偶然でしょうね」

ミーナ「あの頃は軍用メタンフェタミンに対する危機意識もまだ薄かったし、…きっと大佐も状況に迫られて投与した結果だったんだと思うわ」

美緒「…成る程。その状況とやらに陥った一時で心的外傷を負ったのか」

美緒(流石にそこまでの事情は聞かされていない。大佐は私を快く思ってないから無理ないが――)チラ


ハイデマリー「……」


美緒(“そっち”の解決は彼女に託した、という訳か)
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:18:17.49 ID:3GO0Y1rR0
 
ミーナ「施した処置の善悪は別にして、大佐は工藤大尉が暗示から脱却したことでまたトラウマに晒される影響を危惧していたんだわ」

ハイデマリー「で、ですがそれは既に克服した筈なんです! 魔導麻薬症の副作用も治癒魔法で抑えられているのに、どうしてあんな事に…!?」

ミーナ「…いいえ、残念だけど多分克服はできてない。だから過剰防衛に走ったんだわ」

ハイデマリー「!? 過剰、防衛…?」

ミーナ「一口にPTSDと言っても、それによって引き起こされる行動は“逃げる”だけじゃないのよ」

美緒「まあ、そうらしいな。根幹症状として不安、回避、そして追体験であるというのは聞いた事あるが」

ミーナ「ええ、だけどあらゆるケースにおいてそこから先は様々――」

ミーナ「…彼女には実績と経験、つまり自信が有り得たから、トラウマに対して“積極的な”回避症状が出たのね」

ハイデマリー「そ、そんな違います!? そういうのではなくて……工藤さんは自分で打ち勝って、それで戦う意思を決めたんです!」

美緒「……」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:24:09.47 ID:3GO0Y1rR0
 
ミーナ「ハイデマリーさんがそう言うならそれも真実かもしれないわね。でもその使命感のいくらかはPTSDによる脅迫よ」

ミーナ「ネウロイの討伐に固執して勝手に出撃したのもそう。…貴方も昨夜現場で何か感じたんじゃない? 恐らく普通ではなかったでしょうから」

ハイデマリー「ぅ…! そ、それは――」タジ

ミーナ「……」

ハイデマリー「――…………。はぃ」

ミーナ「はぁ…、参ったわね」ガク

ハイデマリー「……」ショボン


美緒「よせ中佐、我々が呼んだんだぞ?」

ハイデマリー「! 坂本少佐…」

美緒「私が名を挙げ、お前が決めた。今の工藤をどう扱ってやるかは我々の責任だ」

ミーナ「……ええ。だから困ってるの」ハァ
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:34:46.90 ID:3GO0Y1rR0
 
美緒「ふむ…。よし分かった、中佐は少し休め」

ミーナ「え? ちょっと――」

美緒「工藤大尉は私が様子を見てみる。報告するまで気にするな」スタスタ


美緒「取り敢えずこの場はもういい、少佐。出よう」ポン

ハイデマリー「…? あ、あの」オド

美緒「心配するな。行くぞ」

ハイデマリー「は、はい…」テクテク


ミーナ「……」


美緒「いいな中佐? 我々に任せて一息つけろ」ピシ

ハイデマリー「…失礼、します」ペコ


ガチャ


パタム…――



ミーナ「……。はぁ…もぅ」ギシ

ミーナ(私、そんなに余裕なくしてるかしら…?)
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:40:35.26 ID:3GO0Y1rR0
 
廊下


――パタム


美緒「…さて。私はこれから工藤と話そうと思うんだが、シュナウファー少佐はどうする?」

ハイデマリー「ぁ…、……えっと…」

美緒「ん、いや無理に答える必要はない。すまないな」

ハイデマリー「……」

美緒「お前も少なからず参ってるんだろう? 一先ず落ち着き、頭を整理してから動いてみるといい」

ハイデマリー「すみません…」

美緒「中佐の様子については大目に見てやってくれ。あいつも色々まあ、背負っているんだ」

ハイデマリー「…はい、それは十分理解しています。責任ある御立場ですし、きっと私なんかよりも苦心されている筈です」

美緒「……。優しいな、少佐は」

ハイデマリー「ぃ、ぃぇ。そんな…」


美緒「――だが、優しさだけでは足りない時もある」

ハイデマリー「ぇ?」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/23(水) 21:45:27.75 ID:3GO0Y1rR0
 
美緒「ついさっき私がミーナにしたように、厳しく切る事も必要だ。優しく在るのなら尚更な?」

ハイデマリー「……ですが、それは…」シュン

美緒「フッ、どうした“友”なのだろう? 勇気を持て」ス

ハイデマリー「! 坂本少佐…」

美緒「お前のやり方でいい、友を信じて打つかってみろ!」バシィ

ハイデマリー「ぁぅ!?」ビクッ


美緒「はっはっはっ! 私も工藤〈あいつ〉をきっちり扱いて来る、残りは頼むぞ少佐!」スタスタ


ハイデマリー「……。…………」サスサス
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/23(水) 21:46:51.54 ID:3GO0Y1rR0
また少し空きます(・×・)
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 22:07:41.02 ID:R4CXR+D0o
おつかれさまです
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 17:19:16.35 ID:cWq8stjT0
 

敏恵&ハイデマリー部屋



美緒「おい工藤、いるか?」ガチャコ


敏恵「……」


美緒「とっくに起床だ、目を覚ませ」テクテク

敏恵「……。嫌だ…」モゴ

美緒「起きているな? 布団から出ろ、ちょっと来い」

敏恵「…ご飯は後でいいです」モゴゴ

美緒「いいから速く出ろ」

敏恵「っ〜〜…あたしは、ナイトウィッチなんですぅ〜… #」モゾモゾ

美緒「……」

敏恵「こんなんじゃ……こんな筈じゃなかったのに〜〜ッ…! ##」モゾモゾモゾ

美緒(鬱ぎ込んだ訳ではなく悔しさか。シュナウファーの言う通り決意は確かなようだ、これなら望みも有るか?)


敏恵「〜……」

美緒「……」

敏恵「…………やっぱりお腹空いた」モゴモゴ

美緒(謎の図太さは有るな…)
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 17:25:53.83 ID:cWq8stjT0
 
美緒「食事は後だ。どの道もう片付いてるだろう」

敏恵「……。なにそれ、酷すぎる…」バサ

美緒「自業自得だ馬鹿者。昨日の続きを話すからついて来い、外へ出るぞ」

敏恵「えぇ……〜寝癖直してからじゃダメですか?」ムクリ

美緒「顔を洗って水でも飲め」

敏恵「ぅ〜…」






基地 野外


敏恵「……」ホケー


美緒「ほれ、少しはシャキッとしろ」ペチペチッ

敏恵「ぃぷっ! ちょ…ほっぺ叩かないでくださいよぉ!?」

美緒「呆けてる場合か、お前に差し迫ってる問題なんだぞ?」

敏恵「む、んぅ…」サスサス
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 19:26:43.94 ID:cWq8stjT0
 
美緒「昨夜起きた件は私も聞いた。お前が何をしでかしたかも含めてな?」

敏恵「!? ゃあの、それはそのっ…!」アタフタ

美緒「…まあそこに関しては、今はいい」

敏恵「――…え、いいの?」

美緒「後で別の奴に叱ってもらえ。それより私の話は戦術の、お前の歪〈いびつ〉についてだ」

敏恵「昨日の? ……確か“あたしがあたしに追いつかないといけない”ってやつ?」

美緒「そうだ。今のお前は三位〈さんみ〉の均衡が著しく崩れている。その所為で存在する二人の己にお前は振り回されてるんだ」

敏恵「は? …??」ポケ

美緒「本来ならばそれは“理想と現実”という形で現れたりする。私も新米の頃は経験したし、教官を務めた折にもよく見た」

美緒「つまり身体も技術も付いて行かないんだ。みな理想は有れどもそれらの研鑚にはどうしたって時間が要るからな?」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 19:32:09.02 ID:cWq8stjT0
 
敏恵「……えぇっと、結局坂本さん、やっぱりあたしは実力不足って言いたいんですか?」ポリポリ

美緒「いいや違う。お前の練度は昨日の試験と、なによりお前が自負する通り実績がその確かさを裏付けているだろう」

美緒「――にも拘わらず、その実力が発揮できないのは身体や技術以外に重要なもう一つ……精神面の遅れが原因だ」ビシ

敏恵「!! せ、精神ん…!?」ガビーン

美緒「そうだ」

敏恵「……もっと根性出せってぇー…ことですか??」

美緒「そんな事なら一々説明しなくとも、この竹刀でお前の尻を引っ叩けばいいだけなんだがな?」ス

敏恵「――ひ!?」ビク


敏恵「いやだっ!」トタタッ



美緒「…。だから“違う”という意味だ、戻って来い」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 19:36:19.28 ID:cWq8stjT0
 
――



美緒「…昨日やった模擬戦を憶えているか? 工藤」

敏恵「あ、はい。一応」←戻って来た


美緒「あの時お前は調子が出せないと言ったが、それは無理もない事だ」

敏恵「?」

美緒「お前の言う本調子の姿とは誰だ? 海軍の鎌鼬――…いや、夜の女王としてネウロイを討ち周っていたお前か?」

敏恵「えっ」

美緒「ならばその頃と比べ、今のお前が何を変えたか分かるか? …それが歪を生む根元になったものだ」


敏恵「……? ………〜」モヤモヤ


敏恵「――!! あっ、えぇ…!?」ハッ

美緒「分かったか?」

敏恵「まさか…、魔導麻薬症〈マギードジング〉!?」

美緒「うむ。そうだ」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 19:47:06.16 ID:cWq8stjT0
 
敏恵「で、でもちょっと待って!? 確かにそのっ…アレのおかげで強くなってたみたいですけど――」ズイ

敏恵「だけどあたし、具合悪くなるからって魔法を抑えて戦ったりもしてたけど、こんなの一度もッ…!?」

美緒「私もお前の患っている奇病について詳しい訳ではないが、恐らく自分の意志で止めるのは無理だったのだろう」ドウドウ


美緒「起伏はあれど基本的にお前は魔導麻薬の影響を受け続けていた筈だ。常に魔法力を行使する戦闘ともなれば、その時の集中力諸々はおよそ尋常ではないな」

敏恵「っ…!」

美緒「…とはいえ身を亡ぼす疾患だ、“今の”お前の方が間違いなく正しい。そこは勘違いするな?」

敏恵「わ、分かってますよ。大丈夫です」

美緒「そうか、ならいいが……こうして歪が出たという事は、今の治療で完全抑制は出来ているんだろう。良かったな?」

敏恵「え? まぁ、はい。…でもあたし、どうすればいいんですか?」

美緒「うむ。まさにそれが本題だ、よく聞け」スタスタ

敏恵「……」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 19:52:38.36 ID:cWq8stjT0
 
美緒「いいか? あらゆる所作を極める為には相応の身体能力と技術、そして精神の力が不可欠だ」ザッ

敏恵「…! ぇ!?」

美緒「動くな? …シッッ!!」ブンッ



ビュッッッ――


――ピタ…


敏恵「いッ!!?」

美緒「心と技と体、この三位によって揺るぎのない完成度が保てる」スス


敏恵「……〜あぁ、危な…?!?」ヨロ~ ドテッ

美緒「はっはっはっ! いや驚かせてすまんな? だが万が一にもミスはない」

敏恵「〜〜ッ!?(眉間て人中〈きゅうしょ〉だよね…? 全然笑えないから!!)」ガーン
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 19:58:13.10 ID:cWq8stjT0
 
美緒「この芸自体に意味はないが…解るか工藤? 要は今のが、かつてのお前だ」

敏恵「…? えっとつまり、その心技体がなんか…ばっちりだったってこと??」ノソノソ

美緒「ああ。但し外道ではあったがな」

美緒「本来ならば経験と共に培うべき心の強さ、それをお前は自身の麻薬効果で代用していたんだろう。…そしてその欺瞞を取り払った結果が今だ」ビッ

敏恵「……」

美緒「頭の中にはかつて熟していたイメージが有れど、まるで上手くいかない。だから焦り、力む――」

美緒「そうしてお前の考える本調子から益々遠ざかり、終いには有り得んような失敗。…昨夜も大凡こんな感じだったろう?」

敏恵(すご…、本当にお見通しなの?? なんかちょっと怖い…)
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 20:06:30.18 ID:cWq8stjT0
 
美緒「どうだ、違うか?」

敏恵「えぇ、まあ。…そうです」グヌ

美緒「ふむ…そうか。やはりな」


美緒(難儀な奴だ。PTSDの件も相まって激烈なストレスだったろう、気絶で身を守れたのは幸いだな)ジー

敏恵「っ……坂本さん! 今のあたしにできることを教えてください!!」

美緒(しかしこうしてなお正気を支えるのは工藤の意志だ。何かは知らんが、こいつ自身の戦う決意は本物か。…これは小園さんやシュナウファーを信じるべきだぞミーナ?)

敏恵「何かあるんでしょっ!? だってここに呼ばれたんだから!!」ズイッ

美緒「その通りだが落ち着け。これから話す」

敏恵「さっきもそう言った! 回りくどいっ!! 園さんはもっと短いのに!!」

美緒「昨日はそれで反発しただろ。大佐は“工藤はよく口答えする”と仰っていたぞ?」

敏恵「そ、それは! 〜んだって園さん、理由とか聞かないと説明してくれないんだもん…」

美緒「だから順序立てて説明しているだろ?」


敏恵「……そ、そっか。ごめんなさい」

美緒(小園さんの言う通り、不思議と愛嬌はあれど軍属向きではないな? 滅茶苦茶な奴だ)フッ
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 20:14:57.37 ID:cWq8stjT0
 
美緒「…まあはっきり言ってお前の置かれている状況は非常に特殊で厄介だが、それ故に救いも有る。安心しろ」

敏恵「! 本当に!?」

美緒「ああ。よくあるジレンマと違い、お前の歪は精神面の遅れが主だ。つまり三位のうち技と体の練度はかつてのお前に程近い」

敏恵「ぉ? おぉ…??」

美緒「所謂“身体は記憶している”ということだ。だからこそ今の状況に陥っている、解るな?」

敏恵「ほー……つまり?」モヤ


美緒「……。はぁ、やれやれ」

敏恵「あ、もっさん! 阿保って言わないでくださいよ!?」


美緒「…要するに、お前の考える“実力”は八割がた発揮できる。そういうことだ」

敏恵「!! ……えっ、でも八割だけ!?」

美緒「集中力や判断力、思い切る決定力等は運動神経や技量の向上にも影響する。そもそもに魔導麻薬の作用でお前は動体視力や反射神経すらも底上げしていたそうだな?」

敏恵「えぇっと…難しい話は憶えてないですけど、多分…?」

美緒「正確無比の砲撃や、正面のビームを紙一重で躱しながらの肉薄という妙技はもう流石に厳しいだろう。特に後者の難易度は尋常でないから止めておけ。私の経験則だが、半端なうちは危険なだけだ」

敏恵「ぅ…、そうですか。魔法力の流し込みは決め手にしてたんだけどなぁ…」ニギニギ
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 20:23:51.94 ID:cWq8stjT0
 
美緒「戦い方――…というよりお前は考え方を変えてみろ、工藤」

敏恵「へ?」

美緒「今のお前が熟せる戦術と己の在り方を正しく理解すれば、本当の実力もまた正しく発揮できる」ポン

美緒「――そしてその為に私はお前を指導するんだ」

敏恵「!」

美緒「いいな、もう愚図るなよ?」


敏恵「…はいっ、よく分かりました!」グッ


美緒「うむ、よし。……これで残る問題はあと一つか」

敏恵「――えっ、まだ何かあるんですか!?」ガーン

美緒「残念だが有る。しかし私の役はお前の訓練指導だ、それは後で教えてやろう」

敏恵「な、なに!? 気になる!」

美緒「…さて訓練だ! 昼過ぎまでに形にするぞ、気合入れろ?」

敏恵「待ってもっさん!? 気になるってば!」

美緒「時間無いぞ! ハンガーへ駆け足!!」ビシッ

敏恵「いや聞いて!?」
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/26(土) 20:25:24.02 ID:cWq8stjT0
今日はここまで φ(・×・)
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/26(土) 21:29:24.54 ID:cZsxiCWSo
乙なんだナ
あと今日は坂本さんの誕生日
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/29(火) 21:48:44.15 ID:GzALDD4D0
 

芳佳&静夏の部屋


リーネ「そんなに大変な事情が…」

芳佳「でも良かったじゃないですか! ちゃんと復帰できるって事ですよね?」ポワァァ

敏恵「うん、まぁそうだけ――んぁ…!」ヘニャリ


敏恵「ぃ芳佳ちゃん? なんかちょっと、魔法力重くなってきた…//」

芳佳「えっ、あれ? …少し長くやり過ぎちゃったかも」シュルル

敏恵「ぁふっ… //」

芳佳「ご、ごめんなさい敏恵さん!? また時間空けてからやりますから、先にお腹の傷跡を診ていいですか?」

敏恵「〜ぅん。でも今のは今ので気持ちよかったかも…」ヨッコラショ
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/29(火) 21:55:45.89 ID:GzALDD4D0
 
リーネ「……あの、ところで工藤大尉?」

敏恵「んー?」クイー

リーネ「私も今のお話を聞いちゃって、大丈夫なんですか…? 偶々ここに居ただけなのに…」

敏恵「えぇ? あー…うん、べつにいいよ。隠して居辛くなったら嫌だし」ハイ オナカ

リーネ「……」


芳佳「――えっとそれで、訓練の方は上手くいったんですか?」ポワワァ

敏恵「うん。改めて“カン”は掴めそうだし、調子は出てきたかなぁ」

芳佳「そうですか、よかったですね!」

敏恵「……。ん…」

リーネ「?」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/29(火) 22:01:36.39 ID:GzALDD4D0
 
芳佳「どうかしましたか?」

敏恵「あ、いや。…ネウロイの前でも同じように出来るのかなって」

芳佳「ぇ?」

リーネ(…!)


敏恵「――ぁ、あはは! なんてちょっとか弱いふりしてみたけど、どう? 乙女過ぎた?」ケロ

芳佳「…? よく分かりませんけど、前向きな方が敏恵さんらいですよ」ポワァァ

敏恵「はは…。……まぁ、そうだね」

リーネ(工藤大尉…)
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/29(火) 22:08:49.75 ID:GzALDD4D0
 
芳佳「ん〜…なんだろ、また急に腫れてる?(もう癒合してるけど、ばい菌が触れて炎症したのかな?)」シュルル


芳佳「――ちょっと、医務室から消毒薬とか借りてきます」スク

敏恵「ぇ? ぁぁ、うん」

芳佳「すぐ戻りますから、ちょっと待っててください」トテテ



ガチャ―― パタム



敏恵「…? あれ、今芳佳ちゃん何て言ってた??」ポケ

リーネ「……」


敏恵「まいいか。……ふぅ」クテ




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

敏恵『トラウマって…!』

美緒『何があったかは無理に話さなくていい。それをお前の心が錘としてしまっている』

敏恵『……そっか。あの時の、菊さんのこと…』

美緒『もう自分でも解っていると思うが、ネウロイを意識したお前は到底平静を保てていない。まして実物と対峙した結果が昨夜の様だ』

敏恵『っ…』

美緒『致し方無いうえ過酷だと私も思う。だがそれでもお前が志を遂げたいのならこの訓練だけでなく、“それ”を越えろ』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





敏恵「……」
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/29(火) 23:19:32.81 ID:GzALDD4D0
 
リーネ「あの…?」オズ

敏恵「! ぁごめん、今何か言った?」

リーネ「は、はぃ。……私なんかが、余計なことかもしれませんけど――」

リーネ「その……きっと大丈夫ですっ!」ムン

敏恵「…?」


リーネ「私も実戦で上手く出来なくて、ずっと独りで悩んでいました。でも芳佳ちゃんのおかげで乗り越えられたんです」

リーネ「なので、その…誰かと一緒だからできることもあると思うので、諦めない方がいいです!」クワッ

敏恵「!?」ビク
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/29(火) 23:26:31.55 ID:GzALDD4D0
 
リーネ「――ぁ…す、すみません! 生意気なこと言って…」オド

敏恵「ぁや……ううん、励ましてくれたんだよね? ありがとう」

リーネ「ぃぇ、そんな…」


敏恵「へへ、リネットさん優しい。あたし元気になっちゃった!」

リーネ「そ、そうですか// それは…良かったです、大尉」ペコ

敏恵「あっ! もうそんな遠慮しなくていいから!? 階級なんて関係なく普通に呼んで?」

リーネ「ぇ? はい。…それじゃあ、私も“リーネ”で大丈夫ですから」

敏恵「おぉ、本当に!?」

リーネ「はい」

敏恵「わーお、やった! リーネと友達になった!」

リーネ「あはは…」




芳佳「ごめんなさぁい、お待たせしま――」ガチャコ

芳佳「…!(なんか敏恵さん盛り上がってる、リーネちゃんと仲良くなったのかな?)」
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/29(火) 23:35:23.58 ID:GzALDD4D0
リーネちゃんをちょい出しつつ今日はここまで(・×・)
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:00:01.93 ID:3Y39Dbw50
 

敏恵&ハイデマリー部屋



ハイデマリー「〜…、ん…」ノソリ


ハイデマリー(…結局、眠ってしまった)スチャ

ハイデマリー「――! ぇ、もうこんな時間…?」


ハイデマリー「……」


ハイデマリー(こんな寝てる場合じゃないのに、私…)モヤ


ハイデマリー「……。ヴァルトラウト中佐が来たあの時は“皆さん”がいてくれた」

ハイデマリー(だけどもう、今回は私独りで工藤さんを…――)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

エステル『偶にはガツンと言ってやれば良いんですよ』

〜〜

美緒『優しさだけでは足りない時もある。頼むぞ』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ハイデマリー「…どうすれば――」



『〜…はぁ、さてと』



ハイデマリー「!」ピク
 
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:05:02.36 ID:3Y39Dbw50
 

『マリ、まだ寝てるかな?』


ハイデマリー「ぁ…! ぅ…ぇと――」アタフタ



ガチャコ


敏恵「お?」ソロリ ソロリ


ハイデマリー「……」

敏恵「これは…?」

ハイデマリー(わ、私はいったい何をしてるんだろう!? こんな逃げる真似ばかりして…!)

敏恵「……。んー…」ジー

ハイデマリー「っ… //」

233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:09:02.10 ID:3Y39Dbw50
 
敏恵「……」ツンツン

ハイデマリー「ッ! //」ビクッ

敏恵「…?」ホッペプニ~

ハイデマリー「ッ…、っ… //」モゾ


敏恵「ふむふむ…。やっぱり」

ハイデマリー「……」


敏恵「マリ、普通に起きてるよね?」

ハイデマリー「……はぃ」モゴ

敏恵「そのぉ、なんか、気まずいのは解るんだけどさ? …メガネ掛けたままだし、それだと直ぐバレるよ?」

ハイデマリー「ぅ… ///」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:19:24.05 ID:3Y39Dbw50
 
――



ハイデマリー「……」


敏恵「――マリ♪ 着替えなくていいの?」トサ

ハイデマリー「……」

敏恵「あー…じゃあ、お腹空かない? 何かつまみに行こっか!」

ハイデマリー「……」

敏恵「えっと…まぁ、もし面倒臭いならあたしが此処に持って来よ――」


ハイデマリー「……」

敏恵「――……。ん、んん……(ダメか、やっぱ昨日のこと気にしてる…)」ムグ


ハイデマリー「…工藤さん」チラリ

敏恵「! ぅ、うん。…なに?」

ハイデマリー「私は、工藤さんのことがちゃんと知りたいです」

敏恵「ぇ?」

ハイデマリー「……教えてくれますか? 私に」ジ
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:23:34.43 ID:3Y39Dbw50
 
敏恵「ぁ…う、うん。勿論いいよ?」

ハイデマリー「なら聞かせてください。5年前のカールスラントで何があったんですか?」

敏恵「!」

ハイデマリー「何が貴方を、傷つけてしまったんですか?」


敏恵「……そ、その話かぁ…」

ハイデマリー「……。すみませんでした、やっぱり――」

敏恵「あ! ぃいいって、大丈夫だから!? ちゃんと教える!」オロオロ

ハイデマリー「……」
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:30:31.57 ID:3Y39Dbw50
 
敏恵「はぁ……あれだよね? 何で昨日みたいになっちゃったかマリも聞いたんでしょ?」

ハイデマリー「はい。中佐達から伺いました」

敏恵「そっか。…いやぁ参っちゃうね、今更トラウマで戦えないなんてさ」

ハイデマリー「工藤さん…」

敏恵「…………。初めてネウロイに襲われた時、庇ってくれた先輩が死んだんだ」

ハイデマリー「!?」


敏恵「あたしの目の前でね、眩しい筋が遮った瞬間その中で――」

敏恵「何て言うのかな……影みたいな、塵みたいな姿が確かに見えた。…気がしたの」

ハイデマリー「……」
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:33:48.95 ID:3Y39Dbw50
 
敏恵「まるで何も無かったみたいに消えちゃってさ。全然意味が解らなくて、信じたくなかったんだけど――」

敏恵「…菊さんは死んだ、消し飛んだんだって園さんに怒鳴られて。もう無理だった」

ハイデマリー「それは…っ、残酷ですね…」

敏恵「べつに園さんは悪くないよ。とにかくネウロイをどうにかしなくちゃいけなかったし、隊長だったんだから」

ハイデマリー「そうかもしれませんが、でも…」

敏恵「…菊井さんは園さんの親友なの。本当はあたしなんかよりずっとショックだったと思う」

ハイデマリー「!」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:42:11.39 ID:3Y39Dbw50
 
敏恵「そんなに一緒じゃなかったけど、あたしも菊さん好きだった。明るい人で優しくて、ネウロイが来たあの時も、怯えるあたしを園さんと励ましてくれてた」

敏恵「っ……あの時、先にあたし達を庇ったから! だからあたしは…!!」ギリ

ハイデマリー「…負い目を、感じているんですね?」

敏恵「――……。うん、多分それもある…。でも何よりもう嫌だった」

敏恵「友達とか、あたしの側にいて欲しい人があんな風に……いなくなるなんて」ジワ


ハイデマリー(工藤さん…。だからリーパーの時も、それで貴方は昨夜――)


ニギ…


ハイデマリー「!」

敏恵「〜ッ、ごめんねマリ…。あたし…っ……今度は自分でなんとかしたかったのッ…!」ポロポロ

ハイデマリー「……」

敏恵「だって出来ると思ったからッ……〜っ…そうじゃないと、あたし…〜ぇぐ……〜ッ」

ハイデマリー「…解りますよ工藤さん、どうか安心してください」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:50:14.09 ID:3Y39Dbw50
 
敏恵「ぅ…ぅうっ……」エグエグ

ハイデマリー「工藤さんの本音をやっと聞くことができました。…だから――」

ハイデマリー「今度こそ私も、貴方の力になりますから」

敏恵「〜ぇうッ、……まりぃ…」

ハイデマリー「さあ、涙を拭って。よく聞いてください」

敏恵「っ…、……ぅ…ぅん。うん…」グシ


ハイデマリー「……。っ… //」

敏恵「…?」グス

ハイデマリー「工藤さん」スス


ヒシ…


敏恵「!」

ハイデマリー「貴方は、その……。わ、我儘です」ギュ

敏恵「ぇ…!?」

ハイデマリー「とても親切なのに、自分勝手で…。どうして周りを置いて行ってしまうんですか?」

敏恵「ま、マリ…」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 19:57:12.58 ID:3Y39Dbw50
 
ハイデマリー「私も工藤さんと戦います。私が貴方の側にいるんです」

ハイデマリー「――…だから少しくらい、我慢もしてください」

敏恵「……」

ハイデマリー「……」ヒシシ



敏恵「…………ん、分かった。ごめんねマリ」

ハイデマリー「約束です。もう絶対、“独り”にならないで…。一緒に乗り越えましょう」

敏恵「うん…」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 20:09:35.90 ID:SKALhD1N0
 
ハイデマリー「――…いきなり驚かせてすみませんでした」スス

敏恵「へへ…ぃゃ、こんなに温かく叱られたのは初めてだし… //」

ハイデマリー「工藤さんは厳しくされるの嫌なんですよね? 私も強く言うのは苦手ですから」

敏恵「ぁはは、その通り……。でも今回の上官命令には文句言えないね」ポリポリ


ハイデマリー「…! 違いますよ工藤さん?」

敏恵「え?」

ハイデマリー「“軍とかウィッチとかそういうの関係なく、女友達として”…ですよ?」

敏恵「…? あっ!」

ハイデマリー「憶えていますか?」

敏恵「……えっへへ、参っちゃうなぁ。あたしの台詞 //」

ハイデマリー「いいえ、“私達の”です。独り占めしない約束ですよ?」ニコ

敏恵「でゅ…!? な、なにもぉ〜! 急に遠慮なくなっちゃってマリってば〜!」

ハイデマリー「ふふ」クス
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/18(月) 20:14:11.66 ID:SKALhD1N0
 
敏恵「むむむ、楽しそうにしちゃってぇ…。〜そりゃ!」フニュ

ハイデマリー「ふゃ! ひょ……く、くどぅひゃ…!? ///」


敏恵「笑顔がまだ硬いよ? ほぐしてあげる、それそれ!」ムニムニ

ハイデマリー「ぁぅ…す、すみまぇんでしっ……ゃめてく… ///」

敏恵「お〜何ですか〜? よく聞こえませんよぉ?」ウリウリ





廊下 部屋前


エイラ(な、なにイチャついてンだよアイツら…)フィィン ←未来予知で覗き見

サーニャ「工藤大尉はどうエイラ? 入っても平気そう?」

エイラ「……」チラ

サーニャ「?」

エイラ(サーニャ…)ジー

サーニャ「??」

エイラ「ぐっ…!(ぅ羨ましくナイ、羨ましくなンかナイぞ!! #)」ミシミシミシ

サーニャ「ぁ、エイラ!? ドアノブが…」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/20(水) 19:22:53.58 ID:sMLj56xJo
お、来てた!
毎回クオリティ高い作品乙です
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 09:40:06.58 ID:JfFvlenl0
 
[ざっくり!解説メモ]


 未来予知の応用

エイラ・ユーティライネンの固有魔法“未来予知”はその直後の行動によって予知した未来を避ける事が出来る。
>>242で中尉が行った覗き行為はこれの応用で、以下の仕組みで“ドアを開けた後”の景色を透視した。

ドアを開けようとする → 未来予知 → ドアを開けない(未来回避)


 菊井

敏恵が初遣欧で配属された航空戦隊で知り合ったウィッチ、当時19歳で故人。
小園里葉とは腐れ縁で訓練生時代からの仲。同い年にも拘らず多感な時期にあった彼女の女房役を務めた。

扶桑がネウロイ侵略から逃れてなお戦う道を選ぶ小園に付き添い欧州へ行くが、カールスラント撤退戦下にネウロイのビームを諸に浴びて消滅、死亡した。
遺体は残らなかったが、母国実家のある兵庫加西郡某所の家墓にて先祖と一緒に供養されている(家系長男ではないが遺族の意向にて)。
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 09:42:33.76 ID:JfFvlenl0
 
執務室


ミーナ「――待ちなさい。それ本気で言ってるの?」


敏恵「勿論です! この辺には偶にやって来るけど、昨日の“でか輪っか”もやっぱり普通のネウロイじゃない」

敏恵「カールスラントや大陸扶桑でもそうでしたけど、ああいうの放っておくと絶対ろくな事になりません! さっさと倒した方がいいです」

ミーナ「ええ、その点については私も同意見よ。残念ながら日中の哨戒に捕まらなかった以上、今夜改めて夜間討伐任務を組むわ」

ミーナ「…だけど工藤大尉? 貴方がそれに参加したいと言うのはちょっと、どうかしらね?」

バルクホルン「……」チラ

シャーリー(うん。流石にあたし等は何も言えない)フイフイ

美緒(ふむ…)
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:02:34.32 ID:JfFvlenl0
 
ミーナ「大尉は自分が昨晩何をしたか理解してる?」

敏恵「ばっちりしてます!」

ミーナ「……。なのに直ぐまた同じ“危険”を犯したい、そういう認識でいい?」ジト

ハイデマリー「ミーナ中佐、あの――」オズ

敏恵「自分で言うよマリ、大丈夫だから」スッ

ハイデマリー「工藤さん…」

ミーナ「……」

敏恵「仰りたいことは本当に解ってます、隊長さん。だから今度こそあたしも役に立って、それで責任を取ります!」

ミーナ「…それは貴方が決められる事じゃないわ」

敏恵「はい、だからお願いします! やらせてくださいっ!!」バッ


シャーリー(おーおー…。なんかメチャクチャだけどガッツあるなぁ)

バルクホルン(少佐といい宮藤といい、扶桑海軍は何というか……まさか服部も実はこうなのか?)モヤ
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:11:52.52 ID:JfFvlenl0
 
ミーナ「…今度は徒な逸りじゃないというのは解ったわ。でも現実貴方にはもう少し、時間が必要な気がするけど?」

敏恵「そうかもしれません。だけどここで逃げたら……昨日の後悔を晴らさないとあたし、変われない気がする!!」

ミーナ「それは自分の為ってことよね?」

敏恵「っ…! そ、そうです。あたしと、あたしの大事な人の為――」チラ

ハイデマリー「!」

敏恵「それからこの隊の一員として認められる為に。…隊長さんだってそれが望みでしょ?」


シャーリー(中佐相手に開き直ったなぁ…)

バルクホルン(しかし繕うよりはよっぽど信頼できる。後はミーナがどう判断するか)
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:19:34.42 ID:JfFvlenl0
 
ミーナ「……。坂本少佐、意見を聞かせて」

美緒「そうだな、戦術面での問題は少ない。元々の練度に申し分は無いので今朝からの訓練だけでも十分出来る様にはした」

美緒「後は本人の“心”次第だが、こればかりはやってみない事には分からんな?」チラ

ミーナ「…つまり?」

美緒「いずれ出撃す気なら、今やろうと同じ事だ。準備が万全だろうと結局は最初に壁を越えねばならん」

美緒「つまり挑戦を躊躇う限り工藤は“肥やし”のままだぞ、中佐?」ニッ

ミーナ「……」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:26:50.92 ID:JfFvlenl0
 
敏恵「…? ぇ、ちょっと待ってもっさん? 今あたしのことウンチに例え――」オズ

ミーナ「工藤大尉」

敏恵「――! ぁ、はっ、はい!? すみません!」シャキッ

ミーナ「私は何よりこの隊の命を預かる身として、間違った判断を下す訳にはいかない」

敏恵「……」


ミーナ「責任どうこうを気にする必要は無いわ。但し今夜、貴方にやれるのね?」ジィ


敏恵「それはー…まあ、まだ無理そうですけど」ポリポリ

ミーナ「――ぇ!? …??」

敏恵「でもマリと、みんなと一緒なら絶対できますから! やりますっ!」グッ

ミーナ「……」

敏恵「ね? マリ」チラ

ハイデマリー「はい、そうですね」コク

ハイデマリー「…ミーナ中佐、坂本少佐。工藤大尉はもう大丈夫です。私達で乗り越えますから」

美緒(ふむ、これは…。正直どうかと思っていたが小園さんの目論見は当たったか?)
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:33:35.97 ID:JfFvlenl0
 
ミーナ「…なるほど、分かったわ。いいでしょう」

敏恵「!」


ミーナ「夜間チームにライン沿岸国境に潜伏する特異型ネウロイへの攻撃を命じます」

ミーナ「ハイデマリー少佐は今夜2300時にリトヴャク中尉以下“3名”全員を率いて出撃しなさい。作戦および現場指揮は任せるわ」

ハイデマリー「…はい! 了解しました」

敏恵「お、おぉー!! 有難うございますミーナさん! やっぱりいい人だったんだ!?」ヤター!

ミーナ「……」
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:40:14.70 ID:JfFvlenl0
 
美緒「フッ、いや落ち着け中佐? ああいう奴だが決して悪気はないんだ」ポン

ミーナ「…はぁ、はいはい。べつに何も言ってないでしょ?」ガク

バルクホルン「――しかし本当に平気なのか少佐? 私から見ても、昨日の模擬戦では結構危な気だったが…?」テクテク

美緒「ん? ああ、もうあの時点からは見違えてまともだぞ。今やればお前の演習にもなるかもしれないなバルクホルン?」

バルクホルン「ほう、ハンデ無しでか? それは言い過ぎじゃないか少佐?」

美緒「はっはっはっ! まあ、そのうち試してみろ」




シャーリー「ヘーイ! よかったな工藤?」ポンッ

敏恵「んへへ、ありがとシャーリー」

シャーリー「でも気を付けなよ? 2人が来る前に話してたんだけど、今のところ周辺基地からもネウロイが来たって情報はまだ無いらしいんだ」

敏恵「へ?」

ハイデマリー「…そうですか。だとするとやはり向こうは…」

シャーリー「ええ。待ち構えてそうですね」

敏恵「んん? どうして解るの??」
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/09/22(金) 10:45:04.84 ID:JfFvlenl0
 
シャーリー「え? あー、だって昨晩も敵は空飛ぶ“脚つき”を作ってたんだろ?」

敏恵「うん。作ってたっていうか、地上型を飛べるようにしてた感じだけどね」

シャーリー「そいつらがまだこっちに侵攻して来ないんだよ」

敏恵「ほうほう? …??」チラ

ハイデマリー「あのネウロイ達によると疑われる最近の襲撃パターンでは、今日の日中にも表れておかしくない筈なんです」コク

敏恵「ん、んー…それが来てない。ということは…?」チラ

シャーリー「まあだから、つまり迎撃態勢とられたかもしれないってこと。向こうもまたあたし達がちょっかい出しに来るつもりで“待たれてた”ら厄介かも」

敏恵「!? なにそれ不味いじゃん!」ガーン

シャーリー「うん。だから気を付けた方がいいよって」


敏恵「えぇ……。ねえ、シャーリーも一緒に出撃ない?」

シャーリー「いや、あたし夜間はちょっとなぁ…。一応スクランブル鳴ってもすぐ行けるように寝とくよ」

敏恵「あ、うん…。なんかごめん」

ハイデマリー「――…ですがあまり憶測ばかりで悲観するのも危険です。先ずはミーナ中佐に情報を確認してからブリーフィングをしましょう」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/02(木) 19:39:02.01 ID:PBhM9KlT0
 
 
―22:40―

格納庫


敏恵「――ん、よし!」ピッ

ハイデマリー「工藤さん、その服…!」

敏恵「へへ、そうだよ。夜空四隊の時と同じ特製一種服! もうボロいけど、やっぱこれの方が気持ち入るや」

ハイデマリー「……工藤さんのシンボルですもんね?」

敏恵「うん。これを着てた“夜の女王”は負け無しだったから、あたしもね」

ハイデマリー(工藤さん…)


整備兵「――大尉殿、出撃準備完了しました!」タタッ

敏恵「ぉ、速い。高さ調整もしたんですか?」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/02(木) 19:46:54.82 ID:PBhM9KlT0
 
整備兵「固定解放時に沈む分ですよね? 援戦武官でいらした頃から自分がみてますから、完璧ですよ」

敏恵「んー、やっぱりマリの隊員さんは優秀! 昨日は嘘ついてごめんなさい」ペコ

整備兵「いえ、また御任せ頂き光栄ですよ。隊長(※ハイデマリー)の担当は整備士長班が譲りませんし、バルシュミーデ少尉達もいなくて暫く手持ち無沙汰でしたから」

ハイデマリー「…小園大佐のご指示もあって“月光”の整備には私の隊員を中心にした専属チームを組んでいます」

敏恵「へぇ…! ぇなに、じゃあ武器整備とかも?」

整備兵「大尉の扶桑製機銃だけこっち〈欧州〉用にイニシャライズされてませんから。持ち回りでやるより効率いいです(それに貴女よく投棄するし、壊すし…)」

敏恵「ふーん? そっかぁ」

整備兵「えぇと、それでですね大尉殿? 隊長の御指示通り五式機銃の弾薬は魔導炸榴弾を装填しましたが、支給数が少なく予備弾帯もありませんので注意して下さい」

敏恵「うん分かった。 じゃあいつもの徹甲弾も持って行こう、十八試三号は?」

整備兵「……昼間のうちに回収済みですが、案の定銃身がイッてました」

敏恵「のっ!? おぅ…」ギク

整備兵「残念ながら“また”一時返還でしょう」

敏恵「でゅぁあ不味い、園さんに怒られる…っ!!」

ハイデマリー「し、仕方ありませんよ工藤さん?」

整備兵(いや、投棄を止めればいいだけでは…)モヤ
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/02(木) 19:57:18.36 ID:PBhM9KlT0
 
敏恵「……まぁでも、とりあえずいいか。もう独りでやっつける訳じゃないし、五式の一門だけでも…」

ハイデマリー「そうですよ工藤さん?」スス

整備兵「!」

ハイデマリー「作戦通りで大丈夫ですから」サス

敏恵「…うん、だね。先ずはそこから頑張るよ」

ハイデマリー「はい。私が付いていますから、頑張りましょう」ニコ

敏恵「ん…!」ニッ


整備兵「……」マジマジ

整備兵(なんだろうか、何か凄く役得をした気がする!)
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2017/11/02(木) 20:04:44.62 ID:PBhM9KlT0
 

ベルギガ東端 某空域


エイラ「ホントに大丈夫なのかー? あんな自爆しといて、昨日の今日でさ」ブゥゥン

サーニャ「エイラ、その話はもうブリーフィングで…」

エイラ「まーそうだけどさぁ、扶桑のウィッチってなんか頑固だし。無理してるンじゃないか? 止めとくなら今のウチだぞ?」

ハイデマリー「……」

敏恵「大丈夫! 多少の無理は承知済みだから」

エイラ「イヤそういう意味じゃなくてナ…」

敏恵「それにもう分は弁えてるし、マリの作戦もあるから上手くいくよ。というかいかせる!」

エイラ「……ンー、じゃあ今夜だけは付き合ってヤルけど、気を付けろよ大尉?」

敏恵「了解りょーかい♪ ありがとうエイラ」

サーニャ「――! 敵の群れを捉えた、けどやっぱり……ハイデマリー少佐」フィン

ハイデマリー「…そうですね。皆さん一度停まって下さい」

エイラ「ン、了解」
257 :>>1 [saga sage]:2017/11/02(木) 20:14:10.54 ID:PBhM9KlT0
更新していますが書き溜めている訳ではないので、あしからず
258 :>>1 [saga sage]:2017/11/03(金) 13:21:16.91 ID:bvWmYT4K0
と言いつつ書き溜め始めたのでまた後日に更新を予定します(・×・)
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