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【デレマス時代劇】速水奏「狂愛剣 鬼蛭」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 18:39:54.26 ID:KNm5BNRE0
前前前作
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495368262/
前前作
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495801740/
前作
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496064989/
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1496137193
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 18:50:19.96 ID:KNm5BNRE0
速水奏は悩ましげな息を吐いた。
20歳足らず、世間的には“小娘”と呼ばれる年齢である。
しかし奏には、奇妙に円熟した妖艶さがあった。
深い海のような髪。
しっとりと甘い色をした肌。
整った目鼻。形の良いあご。
だが、全体的な容貌よりも、
特別美しい場所があった。
唇。
薄すぎず、厚すぎすぎず。
丁度よく、ふっくらしている。
ほんのり桜味がかって、ふにふにと柔らかい。
そしていつも濡れるように、
つらつらと輝いている。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 19:00:14.27 ID:KNm5BNRE0
奏の唇は、男だけでなく、女もでも狂わずにはいられなかった。
また彼女自身も、様々な人間に“狂って”きた。
奏が初めて愛情を覚えたのは、速水家の下男だった。
特に美しくもなく、醜くもない。
賢いわけでも、馬鹿でもない。
ただ、奏に優しかった。
奏は時間を見つけると、その下男に引っ付いて甘えた。
幼いときも、少女に成長したときも。
身体が女としての変化を始めたときも。
年若く魅力的な娘が、自分にしな垂れかかってくる。
下男はある時我慢ができなくなり、奏の唇を奪おうとした。
しかしその瞬間、愛情が強烈な憎悪に変わって、
奏は彼を斬り殺した。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 19:10:02.84 ID:KNm5BNRE0
また、奏は神道流居合術の道場へ通っていた。
特に理由はない。
ただ、速水家から近かった。それだけだ。
だが神道流の剣は、奏の肌に合わなかった。
静謐と一撃。気に食わぬ。
奏はもっと激しく、執拗に相手を斬りたかった。
彼女は神道流剣術の摂理を捻じ曲げ、
独自の法則性を築き上げた。
そして、剣術とも舞踊とも
なんとも言えぬものが出来上がった。
奏はそれを用いて、親しかった道場の皆を弑殺した。
奏の動きを馬鹿にしたからだ。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 19:14:19.79 ID:KNm5BNRE0
愛と憎悪。
速水奏の人生は、その間の往復かのように見えた。
藩で1番の男娼。
接吻が上手と自慢したので、斬り殺した。
尊敬していた上役。
奏が身を寄せたとき、唇にふれようとしたので
顔面の皮を剥がした。
初めての嫁。
せっかく貞淑だったのに、
次第に奏に媚びるようになった。
だから、閨で解体した。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 19:21:36.33 ID:KNm5BNRE0
しかし二年前程から、彼女の心はにわかに落ち着きはじめる。
理想の親友を手に入れたためである。
奏と同じく馬廻、新田美波。
奏とは、まったく異な魅力を持つ女だった。
初夏の清流のような、さわやかな笑顔。
木漏れ日のような、心地よい優しさ。
奏は美波に夢中になった。
美波の方は、あくまで友人としての
立ち位置を守った。
肩を寄せれば一歩離れる。
手をつなごうとすれば解く。
「好き」と告げようとすれば、話をはぐらかす。
だが奏はそうされると、
かえって、ますます美波のことが愛おしくなった。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 19:23:06.36 ID:KNm5BNRE0
聖女。
奏の美貌に溺れず、奏に優しくしてくれる。
彼女は永らく、そのような人間を待っていたのだ。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 19:29:32.29 ID:KNm5BNRE0
その美波が、藩から終われる身になった。
罪状は家老の殺害。犠牲になったのは、奏の母親だった。
だが、奏は美波を全く恨まなかった。
奏の母親は、よく娘に添い寝をせがんだ。
そして娘が寝静まると、その身体をまさぐるのであった。
奏はある時目を覚まして、奏の臍を吸っている母親を見た。
気持ちが悪かった。
とはいえ、家老を簡単には殺せなかった。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 19:35:32.02 ID:KNm5BNRE0
このような経緯があったから、
彼女は美波に対して、感謝の念と深い愛情を抱いた。
周囲の人間達は、奏のことを哀れんだ。
実の親友に、実の母親を殺された。
さぞ憎かろう。
そして藩主はまったくの同情から、奏に美波の成敗を命じた。
仇を自身の手で討て、と。
その命を受けたとき、奏の背筋はぞくぞくとした。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 19:42:44.98 ID:KNm5BNRE0
現在の奏は馬を駆り、美波の潜伏する農村へ向かっていた。
奏ではまた、悩ましげな息を吐いた。
美波を討つつもりは毛頭なかった。
だが、黙って見逃すわけにもいかぬ。
やはり共に行くべきか。
奏と美波の腕前を以ってすれば、造作もないことである。
美波は澁川流薙刀術の猛者。
そこらの武士など、瞬く間になます斬りにしてしまう。
そして藩内で美波と渡り合えるのは、奏のみ。
どこの国へ逃れようかしら。
奏は、幸福そうな笑みを浮かべた。
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 19:44:35.38 ID:KNm5BNRE0
果たして美波は、奏を待っていた。
村の中心に立って、逃げも隠れもせず。
美波の表情にいつもの笑顔はない。
唇をきつく引き絞って、奏を睨んでいた。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 19:49:09.85 ID:KNm5BNRE0
「速水様から聞いたの」
奏は愛した人間の血を刀に吸わせる、剣の鬼。
お前もじきに殺される。
「ずっと私を斬りたかったの!?」
美波は薙刀を振るった。
村に吹く木枯らし、舞い散る葉、砂利の混じった地面。
それらがばっくりと裂け、抉られる。
美波は悲しんでいた。そして、奏を憎んでいた。
少々距離の近い友人。
そう思っていた相手が、虎視眈々と自分の命を狙っていたとは。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 19:54:53.05 ID:KNm5BNRE0
奏にはそれを否定する余裕がない。
今の美波の薙刀は、達人を通り越して、
怪物的ですらあった。
奏は暴風のような攻撃を、“ぬめり”とした動きで躱す。
これが奏の工夫である。
自分と相手の間合いから絶対に離れない、
見た目に反した攻撃的な動き。
だが奏は美波を傷つけるわけにはいかぬ。
せめて相手の動きを止めねば。
奏は水が滴るように、ゆっくりと剣を抜いた。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 20:00:16.59 ID:KNm5BNRE0
美波の薙刀さばきは激しさを増す。当然である。
奏が臨戦態勢に入ったのだから。
だが薙刀は重い。まして、気の休まらない逃亡の身。
美波の表情には疲れが浮かんできていた。
彼女の攻撃は勢いを保っていたが、大雑把になってきていた。
奏はその隙を見逃さず、美波に斬り返す。
狙いは彼女の武器。
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 20:06:14.83 ID:KNm5BNRE0
がっと乾いた音がして、刀身が薙刀の柄に食い込む。
奏はちょうど美波を押し倒す形となった。
美波の誤解をはやく解かないと。
殺気のない鍔競りをしながら、奏は思った。
しかし身体には力が込もっているから、声が出せぬ。
どうしたものか。
奏が考えあぐねている間に、美波の限界がきた。
ふっと薙刀から彼女の力が抜ける。
その拍子に奏の刃が、美波の綺麗な首筋に
すっと滑り込んだ。
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 20:11:03.38 ID:KNm5BNRE0
「美波…!」
奏は親友の名を読んだ。
しかし刀は引かず、押し込んだままだった。
身体が自然にそうした。
奏は気づいてしまった。
美波を斬れと命じられた時感じた、甘い疼痛の正体を。
奏は無意識の内に、美波を斬りたいと、ずっと願っていたのだ。
いや、美波だけではない。
今まで愛した人間達は、心底斬りたいと望んだ者ばかり。
憎悪は、ほんのきっかけでしかなかったのだ。
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 20:13:39.75 ID:KNm5BNRE0
「美波…」
奏は再び、親友の名を読んだ。
結局、母親と美波の言う通りになってしまった。
奏は今まで誰にも許さなかった唇を、
美波の唇に重ねた。
そして喉から噴き出してくる血を、じゅるじゅると啜った。
その姿は人ではなく、一匹の大きな蛭のようであった。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/30(火) 20:15:18.41 ID:KNm5BNRE0
おしまい
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/30(火) 21:27:31.57 ID:KT4BMAceo
乙
悲しい愛の結末だな奏もかなり歪んでるようで
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/31(水) 00:02:36.12 ID:3uv3ojMy0
SS向けに短く、そんで人間関係を整理した。
苦情が多かったから…
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 00:20:12.49 ID:hwL0dxD3o
苦情なんてあったっけ。もしかしてまとめサイトのコメント欄?
そういうのは無視していいと思う
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 00:23:08.93 ID:bb3NuPpvo
まとめサイトの奴らは自分の読解力のなさを棚に上げて「わかりにくい」ってほざくからなww
話10分の1くらいで聞いたほうがいいよ
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/31(水) 00:39:00.17 ID:3uv3ojMy0
嫌いだと言われると傷つくし。
他のシリーズ打ち切っちゃって、そっちの苦情もいっぱいきた。
だから、読み手に不安がないものを書きたかった。
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/31(水) 00:40:08.30 ID:3uv3ojMy0
一話完結なら読みやすいし。
変に期待もさせないから、苦情も来ない。
結局、あまり捻りのないものになったけど…。
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 00:40:52.31 ID:+jeOyW1jo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495123746/
そりゃこんなことすればな…
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 00:42:02.48 ID:hdxEVmEz0
気にしすぎだろ好きに書けばいいのに
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 00:48:35.59 ID:f1GlB9Sa0
外野は無視して好きに書けば良いぞ、時代劇シリーズ楽しみだし
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 00:51:36.18 ID:hwL0dxD3o
読み手が不安や不満を抱かない物を書くのは、誰がやっても不可能
自分のため、楽しんでくれる人のためだけに書けば良い
文句や苦情は、視界と記憶から剣士のように切り捨てて消せば良い
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/05/31(水) 00:51:42.32 ID:3uv3ojMy0
>>25
無料で書いてるから、まあ頭に来てしまうことはある。
ごめんね。見苦しいとこ見せちゃって…
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 01:00:04.41 ID:hdxEVmEz0
発狂してんのなんて少数だろ気にすんなよ
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 02:08:52.82 ID:oOVQkIus0
気にすんなよったって気になるものは仕方ないだろうけど
「外野はいないものだと思え」っつったら相当楽になるんじゃね
「世界で一番の物書きのお前」
「お前にとってネガティヴな書き込みは全て嫉妬か妨害」
「全世界の視聴者が黙ってお前を待ってる」
「お前が書くものは無条件に素晴らしい」
「お前は常に成長する」
「お前は前進をやめない」
「お前はこの俺が全肯定する」
「お前は一文字ごとに成長している
「お前は1秒ごとに成長している」
これ鏡を前にして10セットくらい唱えてみ
世界変わるから
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 02:11:36.27 ID:55cNLrPz0
>>31
ひらめいた
それ今のSSのネタにするわ
自分は
>>1
じゃないけど、どうもありがとう
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 02:27:32.91 ID:hwL0dxD3o
毎日鏡に話しかけて頭おかしくなる話を思い出した
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/05/31(水) 03:05:14.31 ID:cgGl4pRuo
pixivでやれば?こっちよりは向いてそう
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クオリティの高いサービスを貴方に
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