アンチョビ「助けてくれ西住! まほが口をきいてくれないんだ!」

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111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/14(水) 23:06:40.02 ID:hcSbQMY70
まこさおか、はなさおか
これが問題だ
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/14(水) 23:24:41.18 ID:QB2Z0esBO
落ち着け、これはまほチョビSSだ
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/14(水) 23:45:44.97 ID:9QrlWulkO
さおりんハーレムでもいいぞ
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/15(木) 00:20:13.75 ID:uPtpvG1b0
>>110
天才だなお前
>>111
まこさお&はなゆかで
みぽりん?会長がいるじゃない
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/15(木) 05:05:00.54 ID:5AMviB3xo
ばたばたしてて投下出来ずに申し訳ない
終わりは見えてるので気長にお付き合いいただければと覆います・・・
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/15(木) 20:00:18.15 ID:uPtpvG1b0
おk
気長に待ってる
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 00:48:05.26 ID:ho82WW9Bo
今日も早寝予定ですが少しだけ進めます
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/16(金) 01:02:51.99 ID:ho82WW9Bo

華「それに、女心が理解出来ているとはとても……」

沙織「もー、そりゃ私はオトコノコの方が好きだけど……」

沙織「でもでも、誰より恋愛については興味津々で調べてるんだからねっ」

麻子「少女漫画を読み漁るのは調べているとは言わんぞ」

華「ドSツンデレ王子様系モテ男子に惚れられるタイプの恋愛映画を毎週レンタルするのも勉強とは……」

沙織「ううっ」

優花里「フィクションと現実は違いますからねえ」

優花里「私も戦車道の試合を見ているだけだった頃と、実戦経験を積んだあととじゃ、全然見える世界が違いましたし」

沙織「うぐうっ!」

アンチョビ「……」

アンチョビ(そうなんだよなあ、私の知識も所詮は小説仕込みなんだよなあ……)

アンチョビ(だから速攻頼ったんだけど……)

アンチョビ(……)

アンチョビ(色々不安になってきてるし、違う角度の意見を出してほしい……)
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/16(金) 01:12:33.45 ID:ho82WW9Bo

みほ「まあまあ……」

みほ「とりあえず、意見だけでも聞いてみていいんじゃないでしょうか」

みほ「何だかんだで、社交性の高い沙織さんの意見は貴重ですし……」

麻子「……まあ、西住さんがそう言うなら」

沙織「えーっとね、こういうのは奇を衒うより基本に忠実な方がいいんだよ!」 フフン

アンチョビ(いきなり真逆の行動方針だ……)

沙織「基本戦法その1!」

沙織「男は胃で掴む!」

麻子「男じゃないし、本当に口に出すのも躊躇われるレベルの有名所出してきたな……」

沙織「いいじゃん!」

沙織「有名ってことは、それなりに効果があるってことなんだよ!」

沙織「美味しい料理は心を掴むだけじゃなく、食事の場は空気が和らぐし、笑顔も生まれる」

沙織「ましてやアンチョビさんの料理なんだから、団欒出来ないわけがないもん」

沙織「一緒に食卓を囲んで、最初はぎこちなくても、ちゃんと面と向かって話していれば、食べ終わる頃には仲直りできてるよ!」

アンチョビ「な、なるほど……」

優花里「でも、もうそれやりましたよね」

沙織「え?」

アンチョビ「え?」

優花里「さっきアンツィオの人に食事戦法を聞いて、作戦に盛り込んだんです」

沙織「そっか、そうだったんだ……」

アンチョビ「え、ええ?」

アンチョビ(ピザのマスクで顔面隠してただけで、胃袋は掴んでなくないか……?) ← 助けてもらってる手前、気を使って口に出せない

みほ「でもおかげで、私達の作戦が間違ってないことの後押しにもなりました」

みほ「やはり上手く作戦は効いていて、お姉ちゃんを追い詰めることが出来ているはずですっ」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/16(金) 01:22:50.55 ID:ho82WW9Bo

沙織「じゃあ、えーっと、えーっと」

沙織「お色気作戦とか……?」

沙織(恥ずかしいけど、あんこうの皆はこういうの提案できないだろうし……)

沙織「あんまり良くないことかもしれないけど、やっぱり、こう、そういうのでちょっと許しちゃおうかなーってなることもあるんだって」

沙織「勿論それだけで解決するのはどうかと思うけど……」

沙織「グッと距離が近くなるし、壁を壊してからなら素直な気持ちが言いやすいはずっ」

アンチョビ「なるほど確かに……」

沙織「そ、それに、ほら、ベッドの中で枕を並べるのが一番素直な気持ちを言える、的な///?」 キャッ

アンチョビ「ばっ、おま、そーいうのはちょっと早っ……///」 アワアワ

優花里「それももうやりましたよね」

沙織「え?」

アンチョビ「え?」

優花里「もうとっくにセクシー水着であれこれしたあとなんですよ」

沙織「そうだったんだ……」

アンチョビ「ま、まあ、確かにきわどい水着を着たりはしたが……」

アンチョビ(移動が恥ずかしすぎるからさすがにさっき家出た瞬間服着てピザも外したけど)

みほ「でもこれで、やはり方針は間違ってなかったことが証明されました」

みほ「あとはもう一押をするだけです」

アンチョビ「……」

アンチョビ(西住達のやり方がおかしいとまでは言わないけど、少なくとも今言われてる意見のやり方とは全然違う使い方をしていたような……)
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/16(金) 01:41:30.94 ID:ho82WW9Bo

麻子「全然役に立ってないな」

沙織「も、もう! しょうがないじゃん!」

沙織「途中からだったし、何したか知らないんだもん!」

沙織「じゃあ、これは?」

沙織「仲直りの定番・プレゼント攻撃!」

優花里「当然それはもうやってますね」

アンチョビ「コロネだけどな……」

沙織「あ、おしゃれなお菓子とかあげたのかな」

アンチョビ「……」

沙織「でもプレゼントの定番はそれだけじゃないよ!」

沙織「アクセとかはちょっと即物的すぎるし、みぽりんのお姉さんっぽくないから――」

沙織「ここはロマンティックに花束をプレゼントなんてどうかな!」

沙織「いくらお花ってキャラじゃなくても、お花を突然見せられたら、ちょっとドキッとしちゃうはずだよ!」

優花里「生憎、それも……」

沙織「え?」

アンチョビ「え?」

みほ「最初に大きな成果をあげるのに貢献しましたよね」

優花里「まあ、さすがは恋愛テクニック集愛読書」

優花里「我々がチームを組んで時間をかけて編み出した作に一人で即座に辿りつくなんて驚きですよ!」

沙織「そ、そう?」 テレテレ

アンチョビ「な、なあ、もうちょっと深く聞いてみて一個くらい試した方がいいんじゃあ……」

アンチョビ(どう考えても花のプレゼントと朝顔髪の毛にくくりつけるのとじゃ違うよな……?)
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/16(金) 01:52:18.08 ID:1z1oRp0BO
【朗報】ゼクシィ、良心
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/16(金) 02:11:28.50 ID:ho82WW9Bo

沙織「うーん、コレもダメかあ……」

沙織「私と華の共同作戦!って感じでいけるかと思ったんだけどなあ」

華「!」

華「安斎さんの言葉もありますし、一つくらい天丼してもいいのではないでしょうか」

麻子「お前……」

華「それで、具体的にはどんな共同作業なんでしょうか」

沙織「ほら、華って、花言葉にも詳しいじゃん」

沙織「告白に最適なお花をチョイスして、それを渡すのがいいかなーって」

華「……」

沙織「……って、何よーその顔はー」

華「いえ……」

華「ただその作戦、相手が花言葉を熟知していることが最低条件だと思って」

沙織「それなら大丈夫だよ!」

沙織「お花貰ったら、普通は気になって花言葉くらい調べるって!」

華「……」

華「ちなみに……私が以前差し上げた花束の花言葉を調べたりは……」

沙織「勿論したよ!」

沙織「ベゴニアの花言葉は、『幸福な日々』とか『親切』なんだよね」

華「……」

沙織「なんか照れくさいけど、嬉しかったなあ」 エヘヘ

華「他にも、『片想い』とか、『愛の告白』という意味もあるんですよ」

沙織「あ、そうなんだ」

沙織「……じゃあダメかなあ、みぽりんのお姉さん、花言葉詳しいようには見えないし」

沙織「複数の意味がある花言葉から伝えたい気持ちのものをちゃんと選んでくれるかどうか分からないもんね」

華「……そうですね」

沙織「私だったらちゃんと選ぶ自信があるのになあ〜」

沙織「どうして世の男子は私に花束を贈ってこないんだろう」 ハア

みほ「いつかはいい人が現れますよ」

華「……」

麻子「…・・あいつは多分真っ赤な薔薇でも見誤るな」 ポン
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/16(金) 04:34:55.31 ID:ho82WW9Bo

アンチョビ「じゃあやっぱり難しいか……」

沙織「一応、昔華には本当に好きなオトコノコが出来た時には黒い薔薇がいいよーとは言われたけど……」

沙織「調べてみたら『永遠の愛』って言葉の他に『貴女はあくまで私のもの』みたいな捉え方によってはアレな意味もあったし……」 ウーン

麻子「……」

麻子(『彼に永遠の死を』、だろうな……)

みほ「まあ、あともうひと押しですし……」

みほ「薔薇ならばピラニアンローズとかどうでしょうか」

優花里「いっそ紫の薔薇にして、メッセージカードでやりとりとかどうです!?」

みほ「なるほど……それなら確かに直接口を聞かずに色々いえますね」

麻子「紫の薔薇の人じゃなく、紫の馬鹿の人って感じだな」

沙織「もう、そこまで言うなら麻子も何か意見出しなよー」

麻子「……」

麻子「やれやれ」

麻子「私なんかより、お前が意見を言えばいいだろう」

沙織「私は結構挙げたじゃん」

麻子「……あれはお前が本で読んで得た知識を披露しただけだろ」

麻子「今必要とされているのは、お前自身の考え方であり、お前だけが言えるようなアドバイスじゃないのか」

沙織「麻子……」

アンチョビ「まあ、確かに、薔薇のプレゼントとか、小説で見てある程度知ってたはずの戦略ではあるもんな……」

麻子「……みんなを信頼しているから、既に作戦実行済みって所を深くツッコまないんだろ」

麻子「西住さんがおかしな作戦を立てるわけがないって信頼をしているから」

※麻子は気付いていないようだが、西住みほは対人コミュニケーションにおいては無能軍師である

麻子「秋山さんがその持ち前の明るさとフットワークで色々試行錯誤してると信じているから」

※麻子は気付いていないようだが、秋山優花里も対人コミュニケーションにおいては無能兵士である

麻子「それと……」

華「……」 ドキドキ

麻子「……」

麻子「まあ、色々信用してるから、無駄に自分の意見をゴリ押ししようとしなかったんだ」

華(私への言及は……?)

麻子「……同じように、皆、お前のコミュニケーション能力を信じているんじゃないのか」

麻子「別に雑誌に載ってるような一般論が聞きたいわけじゃないだろ」

麻子「まとまりのない私達を纏めてくれた沙織自身の言葉を聞きたいんだ」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/16(金) 04:35:20.42 ID:ho82WW9Bo
寝かけてました申し訳ない。中断します。今夜は透過できるか怪しいです。
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 00:10:43.13 ID:65DSLC750
おつ
頑張ってるけど頑張りすぎない感じでガンバやで

……麻子の反応、さては華さん過去に対人関係で何かやらかしたか
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 19:29:24.96 ID:Ng2GtHrL0
同じ人を好きになるって百合なんだよな……

128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 21:53:03.33 ID:CK2JI+5VO
さおりんはモテる(ただし女限定なうえに本人はノンケ)
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/18(日) 13:10:04.51 ID:5pYzqjeIO
この西住殿や秋山以下の信頼度なのか……
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/20(火) 02:07:47.39 ID:zADhV+22o
眠いですが少しだけでもやります
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/20(火) 02:14:41.19 ID:zADhV+22o

沙織「私の言葉、かぁ……」

アンチョビ「……」 ゴクリ

沙織「……」

沙織「うん」

沙織「正直に言うと――まだオトコノコとそういう関係になったことがないから、こうするのが一番!みたいなのは分からないんですよね」

沙織「格好つけてるけど、そんなにコミュニケーション能力が頭抜けてるわけでもないし、本来偉そうに言える立場じゃないというか」

沙織「……だから、どうすればいいのかなんて、私には分かりません」

沙織「っていうか、多分、みぽりん達にも分かりません」

沙織「どうすれば一番いいのかなんて、誰にも分からないんだと思います」

沙織「だから――」

沙織「だから、せめて、分かってるはずの『どうしたいのか』って気持ちに正直になるのが、いいんじゃないかなって思います……!」

沙織「考えなしとか、感情だけで動くおバカとか、言われれちゃうかもしれないけど。でも!」

沙織「放っとけなくて麻子の面倒を見て。話してみたいなって思って華と友達になって」

沙織「みぽりんが気になったから声をかけて。ゆかりんとも仲良くなりたいなって思ったから一緒に遊んで」

沙織「少なくとも私は、そうやって、自分が伝えたい気持ちに正直にやってきました」

沙織「……その結果、良くない方向に転んじゃったときもあります」

沙織「だけど」

沙織「後悔しないためにも――誰かに言われた“最善手”より、自分が思う“最もやりたい事”に従ったって、いいんじゃないかって」

アンチョビ「……」

アンチョビ「私がどうしたいのか、か……」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/20(火) 02:35:45.79 ID:zADhV+22o

アンチョビ「私は……」

アンチョビ「……」

アンチョビ(私は、どうしたかったんだ……?)

アンチョビ(今回の件、確かに私にも非はある。わかってる)

アンチョビ(でも、夕ご飯を食べてくれなかったことに関しては、怒ってるぞ)

アンチョビ(悲しいし、納得だって出来てない)

アンチョビ(だから、そう、なんとかそこについては謝らせなくちゃいけないんだ)

アンチョビ(そのためには、私から喋ると負になるから、こうして一見アホなことだって……)

アンチョビ「……」

アンチョビ(いや――違うか)

アンチョビ(そーいうごちゃごちゃしたことを置いて、単純な答えを出すなら……)

アンチョビ「……また、仲良く2人でパスタが食べたい……」

アンチョビ「このまま、喧嘩しっぱなしなんて嫌だ……」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/20(火) 02:43:16.47 ID:zADhV+22o

沙織「……じゃあ、それを何より最優先に考えましょう!」

沙織「例え他の99の望みが叶ったって、その一番大事な1が叶わなかったら意味ないんだし」

みほ「なるほど……?」

優花里「難しすぎて何言ってるんだか正直イマイチ……」

沙織「ううっ、私説明下手なのかな……」

沙織「ほら、みぽりん達って真面目だし凄い頭いいから、きっと100の希望があれば100全部を満たすような作戦を考えるじゃん」

優花里「ええ」

みほ「はい。そのために、今まで作戦行動を取ってきたわけですし……」

沙織「それはとても凄いことだと思うんだけど、こう、さすがに全部取ろうとすると厳しいってことってあるじゃん?」

沙織「そういう時は、何を優先するのかが大事なんだよ!」

アンチョビ「そう、だな……」

アンチョビ「私は、また、アイツと話がしたいんだ」

アンチョビ「……例え、私から話しかけることになるとしても、このままなんて嫌なんだ」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/20(火) 02:48:05.41 ID:zADhV+22o

麻子「じゃあまずはそれをなんとかするんだな」

アンチョビ「……そう、だな」

アンチョビ「すまん西住」

アンチョビ「折角考えてくれた作戦だけど――」

アンチョビ「やっぱり、私から頭を下げようと思う」

みほ「そんな!」

優花里「完全勝利は目の前なんですよ!?」

アンチョビ「ああ。本当にすまなかった。こんな馬鹿が振り回しちゃう形になってさ」

アンチョビ「でも――」

アンチョビ「例え勝利なんてものを手に入れても、また2人で仲良く食卓を囲めなきゃ、そんなものに意味なんてないんだ」

アンチョビ「今回は謝ってでも仲直りして、それから素直に嫌だったことも伝えてみるとするさ」

アンチョビ「そうしたら、想いが伝わって今後は改善してくれるかもしれないしな」

アンチョビ「……アンツィオの皆に貰ったノリと勢いでなんとかするパワーを、OGとして見せてやるさ」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/20(火) 03:06:42.49 ID:zADhV+22o

沙織「ほら、麻子も何か言って言って!」

麻子「……私はお前以上に言えることなんてないぞ」

麻子「…・・・・」

麻子「ああ、でも……」

麻子「体験談のようなものならある」

沙織「え!?」

アンチョビ「ほえー」

アンチョビ(意外だ……)

麻子「……私から言えることなんて、一つだけだ」

麻子「伝えたい想いがあるなら、素直に言ってしまう方がいい」

麻子「恥ずかしくても柄じゃなくても、他にどんな障害があったとしても、言える内に言っておいた方がいい」

麻子「……ある日突然、その相手がいなくなることだってある」

沙織「麻子……」

麻子「……」

麻子「それに、時が経てば経つほど、“今更”の二文字を前に、平気で屈するようになる」

麻子「……手遅れになって後悔するようなことにだけ、ならないといいな」

アンチョビ「……ああ」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 03:13:42.85 ID:nvFlf/RXo
沙織の説明は分かりやすいよ
みほたちは理解出来ないではなく、したくないんじゃ
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 08:28:45.78 ID:f4J3UfzHO
やっぱさおりん天使ですわ
これ聞いた華さんがどうでるか・・・
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 14:04:17.73 ID:GhJoCJDS0
>>136
みぽりんたちは根っこがアレやから理解できなくてもしゃーない
沙織さんはやっぱ常識人かつ陽キャですわ
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 18:20:44.26 ID:hELCR7w6O
麻子がさらっと重たい
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/20(火) 21:18:22.31 ID:LQpXnztD0
>>139
身体はさおりんの方が重い筈なんだがな(すっとぼけ
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/21(水) 02:12:49.01 ID:RbLlAZmyo
寝落ち申し訳ない。ダウン癖つかないよう頑張ります。
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/21(水) 02:17:36.53 ID:RbLlAZmyo

アンチョビ「悪い、また行ってくる」

アンチョビ「……」

アンチョビ「あんだけ意地張って喋らないようにしてたのに、不思議と今はまほと喋りたくてしょうがないんだ」

沙織「うん、それがいいですよ」

みほ「朝顔やピザも置いていくんですか?」

アンチョビ「……ああ」

アンチョビ「皆のおかげで、素直になれたし、西住にも感謝してるよ」

アンチョビ「でも、ごめんな」

アンチョビ「今は――素直な気持ちで、自分の思うがままに行動したい気分なんだ」

優花里「ですが、折角ここまで上手く行っていたと言うのに、勝ちを捨てることはないのでは……?」

アンチョビ「……どんな結果になったとしても、いいんだ」

アンチョビ「まあよくはないけど、思うがままに行動してダメならしょうがないさ」

アンチョビ「……どうでもいいことなんかじゃなくて、私も久々にムッとするくらい、本気で怒った」

アンチョビ「それで、本気でぶつかって、話し合いたいって、思っていたんだ」

アンチョビ「だったら、そういうときくらい、誰かに頼って和解できる道を選ぶのでなく、素直にぶつかるべきだったのにな」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/21(水) 02:43:05.10 ID:RbLlAZmyo

優花里「……行っちゃいましたねえ」

みほ「せめて花束くらい持っていってもよかったと思うんだけどな」

麻子「……ああやって素直な気持ちでぶつかるのが、あの人なりの“本気”であり“誠実”なんだろ」

華「愛に対する姿勢はそれぞれ――ということでしょうか」

沙織「あ〜いいなあ〜」

沙織「私もあんな風に愛されたいなあ〜」

優花里「あんなに的確にアドバイスが出来るのに、何でモテないんでしょうね」

みほ「不思議だよね。私がオトコノコなら、絶対放っておかないのに」

沙織「うう〜ありがとう〜」

沙織「でもそれが逆にぐさっと来る〜」

華「実際、結構人気はあると思いますよ」

華「……色々あって、告白する勇気が出ないだけで」

沙織「そうかな? そうかな?」 ウキウキ

麻子「そうだとしたら尚更絶望的だな」

麻子「自分から気付かなくちゃいけないのに、自分への好意には誰より愚鈍だ」

沙織「むむむむ!」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/21(水) 02:47:34.68 ID:RbLlAZmyo

沙織「で、でもでも!」

沙織「私、素敵な恋人を見つけるために、常にアンテナは張ってるんだから!」

麻子「発言の割に、恋愛模様からは常に蚊帳の外だからな」

麻子「折角張ってるアンテナも精度が低いんだろ」

沙織「そーいう麻子だって、なんか格好いいこと言ってたけど、恋愛したことなんてないんじゃないの!?」

麻子「……あるぞ」

沙織「え!?」

みほ「!?」

優花里「ええええっ!?」

麻子「……なんだその顔は」

麻子「私にだって、好きな奴くらい、いる」

麻子「……」

麻子「さっきのアドバイスだって、半分くらいは両親のことを踏まえての体験談だったけど」

麻子「……残りの半分は、私自身の恋の話からきたアドバイスだ」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/21(水) 03:41:42.51 ID:RbLlAZmyo

沙織「えええええええええええええ!?」

沙織「うそ!?」

沙織「うそうそ誰誰!?」

沙織「私の知ってる人!?」

麻子「……言わない」

沙織「えー、やだもー何照れてるのよー」

沙織「教えてくれたらアドバイスくらい送るのにぃ〜」

優花里「わ、私も少し興味が……!」

麻子「……言ったところでどうにもならないだろ」 ハァ

沙織「わかんないじゃん!」

沙織「それにほら、私に出来る範囲のことなら何でもしちゃうよ?」

麻子「……そうか」

麻子「じゃあ、付き合ってくれ」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/21(水) 03:45:03.18 ID:RbLlAZmyo

華「!!!!!!!!!!!!!」

沙織「いいよ」

沙織「何に付き合えばいい?」

沙織「プレゼント選び?」

沙織「それともデートの下見とか?」

沙織「私にも恋人が出来たらダブルデートとかしてもいいよね〜」

麻子「……」

麻子「ああ、そうだな」

沙織「それで、何に付き合えばいいの?」

麻子「……」

麻子「毎朝起こしてくれ」

沙織「ええっ、それじゃいつもと変わらないじゃん!」

麻子「そういうことだ」

麻子「……好きな奴はいるが、そいつと寝ないで不純異性交遊するより、一人で寝て沙織に起こされる方がいい」

沙織「なにそれぇ〜」 プクー

沙織「っていうか、結局誰が好きなのかはぐらかされたし!」

麻子「……諦めろ。言う気はない」

麻子「……」

麻子「さっき言った通り――言葉にしないまま放置しすぎて、今更言えなくなっちゃったしな」 ボソ

沙織「?」

華「……」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/21(水) 03:49:03.43 ID:RbLlAZmyo

まほ「……」 グッタリ

まほ(ああ……何てザマだ……)

まほ(ツッコみたいのにツッコめないし、いつ終戦するとも分からない蠱毒な戦い……)

まほ(これまでのどんな試合より過酷で辛いな……)

ガチャッ

まほ「!」

まほ(ぐうううっ、やはり安斎は外に出ていたのかッ!)

まほ(しくじったッ)

まほ(ここはリスクを承知でトイレで吐き出すべきだったんだッ)

まほ(今追加攻撃をされては――――)

アンチョビ「まほ!」

まほ(――――え?)

アンチョビ「ごめんっ」 ガバッ
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/21(水) 03:51:25.69 ID:RbLlAZmyo

アンチョビ「意地張ってた。ごめん!」

まほ「……」

アンチョビ「まほのことを傷つけてた、ごめん!」

まほ「……」

アンチョビ「嫌な想いを、させちゃって、ごめん……!」

まほ「……」

まほ「顔を……」

まほ「顔を上げてくれ、安斎……」

アンチョビ「……まほ……」

まほ「その、なんだ……」

まほ「私の方こそ、その、意地張って――悪かったよ」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/21(水) 03:54:01.06 ID:RbLlAZmyo

アンチョビ「まほ……!」 ウルッ

アンチョビ「あ、あとな。もう一個、先に謝っておくことが、あるんだ」

まほ「……先に?」

アンチョビ「また、嫌な気分にさせちゃったら、ごめん」

アンチョビ「本当なら、ここで仲直りして、ぎゅっと抱き合いたかったけど」

アンチョビ「私は……」

アンチョビ「そんななぁなぁで一緒に暮らすんじゃなくて、ちゃんとぶつかって、互いに尊重し合いたいんだ……」

アンチョビ「例えその結果、一緒に住めないって結論を出されちゃったとしても……」

アンチョビ「適当に不満や想いを誤魔化して一緒にいる方が、辛いから」

アンチョビ「だから――」

アンチョビ「私の我儘で、もう一緒に居られなくなっちゃったらごめん」

まほ「安斎……」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/21(水) 04:09:43.29 ID:RbLlAZmyo

アンチョビ「……今回爆発しちゃったのは、ずっと思ってたモヤモヤが、積み重なりすぎたからなんだ」

まほ「……モヤモヤ?」

アンチョビ「……ああ」

アンチョビ「……今回引き金になった、その、なんだ」

アンチョビ「大切な人から貰ったっていうものを、その、大事にしてたというか、なんというか……」

アンチョビ「恥ずかしい話だけど、嫉妬してたっていうのは、あると思う……」

アンチョビ「それに――」

アンチョビ「……」

アンチョビ「私が最初に仲良くなったのが、妹の方だろ?」

まほ「ああ」

アンチョビ「……だから、区別をつけるため呼び方を変えようってなったあと、慣れてる妹の方を『西住』呼びにして、まほは下の名前で呼ぶことにした」

まほ「……」

まほ「懐かしいな……」

まほ「最初は西住と呼ばれていたのに、そういえば気が付いたら安斎には『まほ』と呼ばれていたんだな」

アンチョビ「……ああ」

アンチョビ「……」

アンチョビ「私は――」

アンチョビ「私はお前を『まほ』って呼ぶのに」

アンチョビ「……お前は私を、『安斎』としか呼んでくれないんだな」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/21(水) 04:14:12.58 ID:RbLlAZmyo

まほ「そ、それは……」

アンチョビ「分かってる。ただの私のワガママだ」

アンチョビ「……言わずに気付いてほしい、なんてのもワガママ」

アンチョビ「……」

アンチョビ「勿論、黙っていても気付いてほしかったけど、でも」

アンチョビ「その“黙っていて気付いてもらう”ってことより、大事なことっていうか、したいことっていうか……」

アンチョビ「まあとにかく、望みみたいなもんがあって」

まほ「……ああ」 ドキドキ

アンチョビ「……うう、上手く言えないけど、でも!」

アンチョビ「ノリと勢いで、言っちゃうぞ!」

アンチョビ「い、一度だけしか言わないからなっ!」

まほ「……ああ」

アンチョビ「まほ!」

アンチョビ「わ、私は、お前が――――――」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 04:17:51.89 ID:DK+jbUPcO
エンダァァァァァァァァ
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/21(水) 05:14:26.13 ID:RbLlAZmyo

ブツッ

プーップーッ

みほ「!?」

優花里「あ、ああ〜〜〜〜っ!」

沙織「ええ!? 何!? 何があったの!?」

優花里「何で切っちゃったんですかあ!」

麻子「……いや。もう十分だろ」

麻子「頼まれてた分のアドバイスはしたし、それがちゃんとプラスに働いたかどうかの確認も終わった」

麻子「……ここから先は、私達が聞いてていい領域じゃない」

沙織「まあ、そうかもしれないけどさ……」

優花里「でも、ちょっと気になりますよね」

麻子「なら終わってから堂々と聞け」

麻子「……ああやって一歩を踏み出すのは、相当な勇気がいることだ」

麻子「私はできなかったしな」

麻子「……あんまり突っついてやるな」

沙織「……うん。そうだね」

沙織「んー。でも、なんか麻子だけ恋愛上級者っぽい雰囲気なの、なんか納得いかないなあ〜」

沙織「何で私より恋愛経験豊富みたいになってんのーおかしいよー」

沙織「うー、何で世の男性は私を放っておくのかなあ」

華「……」

華「放っておかない女性なら、一人どころでなく居ますけどね」 ボソ
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/21(水) 05:15:16.37 ID:RbLlAZmyo
眠気が限界なので寝ます、申し訳ない
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 23:01:44.97 ID:TgNVEVIV0

やっぱさおりん総受けだよな!
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 01:31:53.46 ID:s08dahRHO
さおりん達も幸せなキスしてほしい
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 03:14:35.65 ID:yXmkNkf7o
華さんも素直になろうず
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 21:12:00.75 ID:QNubSsjmo
いい加減終わらせたいので頑張ります
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 21:25:52.91 ID:QNubSsjmo

ガチャッ

アンチョビ「ただいま」

優花里「あ、おかえりなさ――」

まほ「おじゃまします」

みほ「うわっ、お、お姉ちゃん!?」

まほ「久しぶりだな、みほ」 フッ

沙織「わわっ、手ぇ繋いでるよ、手!」 バシバシ

麻子「痛いからやめろ……」

華「ええと……」

アンチョビ「ああ……」

アンチョビ「ご覧の通り無事に和解できたんだが、電話が切れてたみたいだからさ」

アンチョビ「一応、報告しておくのが義務だよなって」

アンチョビ「それに――」

まほ「私が問いただしたんだ」

まほ「途中から明らかにやり口が安――千代美らしくなくなったからな」

みほ「……」

みほ(あれ、お姉ちゃん、呼び方が……)
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 21:50:32.01 ID:QNubSsjmo

まほ「みほかダージリンだとは思っていたが、まさかあんこうのチーム全員とはな……」

華「すみません、なんか……」

まほ「ああ、別に怒ってはいない」

まほ「いやまあ途中ちょっとキレそうだったしこれがダージリンだったらAmazonでお下品なものを毎週定期配送してるところだったけど」

みほ「お姉ちゃん怒るの下手すぎてたまにそういう奇行に走るけど私や家には迷惑かけないでね」

アンチョビ「まあ何にせよ、皆の助けを得られてよかったよ」

アンチョビ「それと、ペパロニやカルパッチョの手助けもな」

まほ「あの二人のアドバイスも盛り込まれていたのか」

アンチョビ「ああ、まあな」

アンチョビ「さすがに遠すぎて、会って相談とはいかなかったけどな」

アンチョビ「だから西住には感謝してるんだ」

アンチョビ「わざわざ東京まで来てくれて、本当にありがとうな」

みほ「いえ……アンチョビさんにはお世話になってますし……」

みほ「明日もアンチョビスポンサーで皆でボココラボカフェの全メニュー制覇しないといけませんし、むしろお礼を言うのはこっちですよ」

アンチョビ「お、おう」

アンチョビ(いつのまにか全メニュー制覇が全部私持ちになってる……)
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 22:01:58.02 ID:QNubSsjmo

まほ「……みほ、あんまり千代美を困らせるのは……」

アンチョビ「あー、いいんだ、まほ」

アンチョビ「今回は本当に助けられたし……」

まほ「あの作戦でか?」

アンチョビ「……」

アンチョビ「うん、助けられたし」

まほ「今何か変な間がなかったか?」

アンチョビ「……まあ、それはともかく」

アンチョビ「実際相談出来る相手なんて、他にほとんどいなかったからな」

沙織「そうなんだ……」

麻子「意外だな、友人は多いと思っていたが」

アンチョビ「まあ、少なくはないだろうが……」

アンチョビ「こう、人間関係を相談する程の仲となるとな」

アンチョビ「どうしても低予算弱小校って関係で、強豪連中とは顔を合わせる頻度も少なかったし」

沙織「なるほど……」

華「意外と大変なんですね……」

麻子「……ウチの先代会長とは旧知の仲だったんじゃなかったか?」

麻子「確か東京にいるはずだろ」

アンチョビ「……」

アンチョビ「アイツは良い奴だし、同じ貧乏無名校仲間としてよく顔を合わせたし、大切な友人の一人だ」

アンチョビ「だがソレはソレとして、あいつに弱み丸出しの相談ができるか?」

麻子「……」

沙織「……あー」

麻子「すまなかった」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 22:07:10.56 ID:QNubSsjmo

アンチョビ「まあ、これからもまたちょくちょく相談させてもらうかもしれないが……」

沙織「大歓迎ですよ!」

沙織「実際に人の恋バナは参考になりますしねっ!」

まほ「……私も相談していいか?」

沙織「え?」

みほ「……さすがに実の姉の口から恋バナ流れてくるのはちょっと……」

アンチョビ「さすがに同じ相手に相談するのって気まずいような……」

まほ「まあそう言うな」

まほ「何を隠そう、私も相談出来る友達がいないんだ」 バーン

みほ「何でそんな物悲しいことを自信満々に口に出せるのお姉ちゃん……」

まほ「友達が少ないくせに謎の自信がある所は西住の血らしいぞ」

みほ「巻き込まないで」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 22:11:47.98 ID:QNubSsjmo

みほ「お姉ちゃん、それこそ名門なんだから、繋がりとかないの?」

まほ「なくはないが……相談事となるとな」

まほ「プラウダには何故か怯えられているし」

アンチョビ「……まあ、そうじゃなくても、恋愛相談できそうなメンツじゃないよな」

まほ「ダージリンは鬱陶しい格言をどや顔で言ってきそうでムカつく」

アンチョビ「……」

アンチョビ(ちょっと分かるし相談避けた手前何も言えない……)

みほ「ケイさんは?」

みほ「ケイさんすっごく頼りになるし、優しいからいつでも相談に乗ってくれるんじゃ……」

みほ「私も進路のこととか相談させてもらってるし……」

まほ「……私には相談してくれないのに……」

優花里「わっ、私も相談にならいつでも乗りますし、頼り甲斐なら負けませんよっ」

アンチョビ「あー、まあ、確かにケイなら相談しやすそうではあるよな」

アンチョビ「私も西住に断られたら、あんまり会ったことないけど相談しようかと思ってたし」

まほ「いや、ケイは恋愛相談するには豪快すぎる」

アンチョビ「そうかあ?」

まほ「大体アイツに恋愛問題を解決する技量があれば、とっくに副官が恋を実らせているだろ」

アンチョビ「ああ……」

沙織「ああ……」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 22:20:32.25 ID:QNubSsjmo

アンチョビ「そういえば、逸見だっけ」

アンチョビ「あの副官はどうだ?」

まほ「ちゃんと名前覚えていたのか……」

みほ「逸見さんかあ……」

華「あの方は……」

アンチョビ「ええ……なんだそのリアクション……」

まほ「こう、アイツはみほとはまた違う形でコミュニケーション能力が低いというか、キレたナイフみたいなものだからな……」

まほ「みほが黒森峰に居た頃なんて、外向きのコミュ障と内向きのコミュ障を両方揃えた『メドローア副隊長』とか陰口されてたほどだ」

みほ「それを言うならお姉ちゃんも含めて『コミュ障内閣』とか『コミュニケーション能力を生贄に戦車の腕を特殊召喚!世代』とか言われてたんだよ」

みほ「私のせいで負けたあと、『コミュニケーションも試合もダメとか何も残るものがない』とか『コミュ力の時点で例え勝てても暗黒期だった』とか言われたもん」

まほ「なっ……わ、私もだと……!?」

みほ「だってお姉ちゃん、逸見さんも私もコントロール出来てないのに、いつも逸見さん連れて歩いて問題起こさせてたし……」

まほ「うぐぐぐぐ……」

優花里「そういえば以前練習試合した時に、副隊長に赤星さんが任命されて、コミュニケーション能力が大幅改善されたとか言われてましたね……」

沙織「え、あの子もなかなか引っ込み思案サイドじゃなかった?」

優花里「まあそうなんですけど、それでも最低限のやり取りが出来るだけ『三人合わせてファービー以下のトーク力』の暗黒期を抜けた〜とか……」

アンチョビ「黒森峰大丈夫なのか……?」 ハラハラ
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 22:23:34.54 ID:QNubSsjmo

まほ「まあとにかく!」

まほ「そんなわけで、エリカに相談ゴトなんてするようになったら人として終わりというかだな」

まほ「それに格好いい尊敬する隊長としてのプライドだってある!」

まほ「だから何の躊躇もなく妹の友人たちに相談したいと思う!」

みほ「ええ……」

沙織「私はかまわないけど……」

優花里「あ、でも先に言っておきますけど、大前提として我々は西住殿の味方ですからね!」

優花里「西住殿と意見が割れたら私は西住殿につきますから!」

華「そうでないとしても、客観的に正しいと思う方につきますので……」

麻子「まあ、贔屓しなくていいなら、というところか」

まほ「……まあ、それでいい」

まほ「常に正しい道を邁進してこそ、西住流であり西住まほだからな」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 22:25:33.70 ID:QNubSsjmo

麻子「まあ、じゃあ今後相談された時のために……」

麻子「何でこんなことになったのか聞いておこうか」

みほ「!」

アンチョビ「!」

アンチョビ「あー……」

アンチョビ「いや、それはちょっと……」

まほ「……どうした、らしくないぞ」

まほ「この質問は当然の権利と言える」

まほ「……それに、これから新たに千代美と歩み始めるんだ」

まほ「今の私は、もうあのコトに確執はない」

華「あのこと……?」

アンチョビ「あー……まあ、何て言うかだな」

アンチョビ「どうしようもない私に天使が舞い降りたとでもいうのか……」 シドロモドロ
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 22:35:39.58 ID:e/LE3ZR9o

沙織「あ、それ知ってる!」

沙織「槇原敬之だよね、お父さんがよく聞いてた!」

アンチョビ「あ、ああ、つまりそういうことなんだ」

華「どういうことなのでしょう……」

沙織「えーっと、確か……」

麻子「……昔の恋人のくれた目覚まし時計を何度言われてもずっと使ったのが気に入らない」

麻子「そういう歌詞だったな」

華「あー……」

アンチョビ「まあ、その、みっともないことに、私の嫉妬みたいなもんだ」

みほ「……あれ?」

みほ「でも、お姉ちゃん、今まで恋人なんて出来たことなかったような……」

優花里「確かに、黒森峰という西住流のお膝元じゃそんなことできませんよね」

アンチョビ「ま、まあ、ほぼそういうのに近いって感じで……」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 22:47:27.95 ID:e/LE3ZR9o

まほ「いや、ここは素直に言おう」

まほ「変に本心や事実を取り繕った結果が、私達のすれ違いだったんじゃないか」

アンチョビ「そ、そりゃそうだけど……」

沙織「それで、喧嘩の原因って……」

まほ「ああ……」

まほ「私は部屋の電気を完全に消さないと眠れない派でな」

アンチョビ「……私は豆電球で軽く照らしてないと、その、ちょっと怖い派なんだ……」

華「……それで喧嘩を?」

優花里「可愛らしい動機じゃないですか」

麻子「……じゃないだろ」

麻子「これだけなら、さっきの天使云々が関係してこない」

まほ「ああ」

まほ「それに黒森峰時代は寮で複数名と同室だったからな」

まほ「完全消灯より、豆電球をつけた方がいいという意見の方が多かった」

まほ「……そういう事情もあって、ずっと、アイマスクをしていたんだ」

まほ「いつも使ってたアイマスクじゃないと、落ち着かなくてな」

アンチョビ「そ、そうなんだ」

アンチョビ「だから、こう、いい加減違うアイマスクにしてくれと言ってな……」

沙織「へえ、誰からの貰い物だったんですか?」 ワクワク

アンチョビ「ちょ、ちょっとワクワクしてないかお前!?」

まほ「ああ……」

まほ「みほからだ」

みほ「え?」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 22:51:26.57 ID:e/LE3ZR9o

優花里「おおっ、美しき姉妹愛……!」

優花里「西住流後継者にまつわる絆のエピソードが……!?」

みほ「待ってお姉ちゃん、私そんなのあげた覚え――」

まほ「……ああ」

まほ「実は――勝手に貰ってたんだ」

みほ「へ?」

アンチョビ「……」

まほ「戦車道のため早々に家を出て寮に入ることになっただろう?」

まほ「それでどうしても寂しくて、ホームシックになって、でも西住流後継者のイメージを崩すことも許されなくて……」

まほ「それで夏休みに帰った時に、実家の匂いや愛する妹の匂いが染み付いた、みほのぱんつを貰って帰ったんだ」

みほ「…………」

みほ「は?」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/24(土) 22:53:22.03 ID:VRO3aMEYo
突然の自白
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 22:56:54.86 ID:e/LE3ZR9o

まほ「みほのぱんつを被って寝ると、それまでが嘘のように快眠できてな」

まほ「みほの匂いに包まれることで、実家のような安心感があったのかもしれない」

まほ「いい匂いがするしな」

みほ「は?」

みほ「え?」

みほ「……は?」

まほ「そのことが安斎――千代美にバレてな」

まほ「そういうのはやめろだの、みほに謝れだの色々言われて……」

まほ「つい、カッとなって『お前に何が分かる』みたいに怒鳴ってしまって……」

まほ「今では猛省している」

みほ「いや、ちょ……」

まほ「それに、私が持ってきたことで、西住流本家に下着ドロが入ったみたいに関係者に連絡が回ってくるとか大事になっただろ?」

まほ「そのせいで言い出せなかったんだが……」

まほ「千代美のおかげで目が覚めたし、今ならもうみほのぱんつを卒業できる」

まほ「だから、堂々と全てを明かし、千代美と新たな一歩を踏み出したい」

まほ「そう思ったから――全てを包み隠さずに告白することにしたんだ」

みほ「……」

まほ「私もみほに似て、あまりコミュニケーション能力が高くない一面はある」

まほ「だから、また、こういう些細なことで千代美と喧嘩するかもしれない」

まほ「だが――これからは、ぱんつじゃなくて本物のみほがいる」

まほ「西住流のしがらみから解き放たれた今、改めてお願いした」

まほ「みほ!」

まほ「妹として、千代美と新たな人生を歩み出すお姉ちゃんの相談に、これからも乗ってくれ!」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 22:58:19.58 ID:e/LE3ZR9o
















まほ「助けてくれエリカ! みほが口をきいてくれないんだ!」

エリカ「!?」

おしまい
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/24(土) 22:59:43.50 ID:e/LE3ZR9o
ようやく完結です。
2日くらいで終わる予定がご覧の有様ですが、お付き合い有難うございました。
やりたかった小ネタも月日とともに大分忘れたので、次があれば今度こそ早く畳めるよう頑張ります。
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/24(土) 23:16:13.11 ID:LnsB02aco
乙乙
笑わせてもらった
巻き込まれエリカかわいそうわに
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/24(土) 23:19:14.37 ID:9xDo5Pxno
いないところでさんざんな言われようだったしな
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/24(土) 23:22:17.24 ID:kb85LMzAO
人として終わりEND
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/24(土) 23:23:41.90 ID:USHymRjy0
おつ。まほチョビは勿論、ナイスまこさおだった
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 00:24:24.34 ID:X5wwJCuLO
は、はなさおだってあったから……
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 04:57:09.87 ID:ktGceCByo

理由話したらエリカさんにも口を聞いて貰えなくなるパティーンですねぇ
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 15:58:37.60 ID:Dxk0bI7p0

ひどいものを見た(褒め言葉)
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/26(月) 00:44:27.81 ID:3NmC0u6kO
アンチョビ姐さんは癒し
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/26(月) 01:18:34.70 ID:F83ocexU0
今後まこさお、はなさおがどうなっていくのかに興味をひかれるわ
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/26(月) 21:22:24.97 ID:CBsAZLIE0
>>182
まこさおはな円満三角関係成立に一票
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/26(月) 23:20:32.46 ID:N/f5TArTo
皆はなさおやまこさお好きなんだな
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