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岡部「安価で比屋定真帆と親しくなる」
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35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 22:16:16.62 ID:kxTy7IE70
岡部「みんなで宴会……か」
ダル「なんか三つとも当たり障りないっつーか……普通だね」
岡部「下手に無理難題を科せられるよりは余程いい……」
岡部「では、真帆を祝うための宴会を開くとするか」
ダル「つっても理由付けが必要っしょ。どういう建前で宴会を開くつもりなん?」
岡部「む……そうだな。新しいラボメンの加入祝いとかでいいんじゃないのか?」
ダル「まあそんなもんかね」
岡部「それではオペレーション・ロキの最終段階に入る! この作戦が果たされた暁には、このラボに有能なる人材が新たに加わっていることだろう。フゥーハハハ!」
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 22:20:07.19 ID:kxTy7IE70
岡部「というわけで第666回円卓会議だ! 皆の衆、よく集まってくれた」
ダル「急に開催数増えすぎな件について」
まゆり「今日は何についてお話しするの、オカリン?」
岡部「フッ……今日の議題はすなわち、新たなるラボメンの加入を祝う宴<スムブル>についてだ!」
萌郁「……わー」(パチパチ
ルカ子「新しいラボメンって……比屋定さんの事ですか?」
岡部「無論だ!」
ダル「つってもまだ正式なラボメンじゃなくね? オカリンが一方的にラボメンにしただけだお」
岡部「ふっ、今日の宴が終わった暁には……必ず奴の口から、自分からラボメンになる旨を言わせてやるさ」
フェイリス「キョーマ、本気だニャ……! 真帆ニャンをこの血の盟約により結ばれた魔女の夜宴<サバト>に招き入れるつもりニャ!」
岡部「俺はいつでも本気だ。貴様にも協力してもらうぞ、フェイリスよ」
フェイリス「ニャフフ……フェイリスの秘奥義を開放する時が来たみたいだニャ」
岡部「それではオペレーション開始だ! 皆の者、準備に移るように」
ラボメンたち「「「「「オーキードーキー!」」」」」
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 22:25:35.38 ID:kxTy7IE70
岡部「ふぅ……それでは俺も買い出しにでも行くとするか」
岡部「…………」
紅莉栖「…………」(ムッスー
岡部「……で、貴様はさっきからなぜそんな不機嫌面で黙り込んでいるのだ、助手よ」
紅莉栖「別に不機嫌じゃない。いいんじゃないの? 先輩も喜ぶと思うわよ」
岡部「言葉と表情が全く釣り合っていないわけだが」
紅莉栖「……それで、どういう風の吹きまわしよ」
岡部「何の話だ?」
紅莉栖「急に先輩にべたべたし始めて。何か下心があるんでしょ?」
岡部「下心などあるものか。俺は常に崇高な目的のために行動しているにすぎん」
紅莉栖「……先輩をラボメンに引き込んで、あわよくば未来ガジェットのクオリティを上げようだとか」
岡部「ぐぬっ……そ、そんなつもりは微塵もないぞ」
紅莉栖「図星かよ」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「……岡部、あんたって、さ」
岡部「む、なんだ?」
紅莉栖「本当は……先輩の事」
岡部「真帆のことを?」
紅莉栖「……ッ! なんでもない! 私もみんなの手伝いしてくる!」(ダッ
岡部「あっ、おいっ! ……なんだというのだ、まったく」
岡部「まあいい。とりあえず、真帆に足止めのメールを送っておくとするか」(カチカチ
『 9/13 10:23
to ロリッ子
sub 伝令だ
未来ガジェットの誤作動によりラボがエラいことになった。
復旧が確認されたらメールを送る。それまではラボに来ないように。』
岡部「送信……っと」
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 22:32:48.36 ID:kxTy7IE70
岡部「と、いうわけで買い出しを手伝っているわけだが」
スコンブスコンブスコンブスコンブスコンブスコンブ
岡部「……いくらなんでもこんなに酢昆布は要らんだろ!」
まゆり「えぇ〜? まゆしぃ、好きなバナナとかからあげならいくらでも食べられるよ?」
岡部「普通の人は、いくら大好物でもずっと食べ続ければ飽きるのだ。いいから棚に戻してこい」
まゆり「はぁーい」(トボトボ
岡部「……で、これはなんだ、助手よ」
紅莉栖「ん? ゴーヤチャンプルの具材よ。先輩の故郷の料理だから、ちょうどいいかと思って」
岡部「……なぜゴーヤチャンプルの具材にマンゴーとドラゴンフルーツが入っているのだ?」
紅莉栖「南国の果物だし、たぶん合うでしょ。ゴーヤの苦みと果物の甘みが打ち消し合っていい感じになりそうだし」
岡部「……なぜ研究については論理を突き詰めるくせに、料理は『多分こうなる』という推論ばかりなんだ! いいからお前も棚に戻してこい!」
紅莉栖「なによ、多少味が悪くたって、栄養価の高いものがいっぱい入ってるんだから体にはいいでしょ」
岡部「いくら栄養価があろうと貴様の料理が体にいいわけないだろうが! 以前にお前のアップルパイを食った時には危うく死にかけたのだぞ!」
紅莉栖「はぁ!? あんたにアップルパイ作った覚えなんてないわよ! 妄想乙!」
岡部「ほかの世界線ではあったのだ! 少しは自分の料理の腕前を自覚しろ、このメシマズ天才HENTAI処女が!」
紅莉栖「はいはい童貞童貞! 自分が料理作らないのに人の料理ばっかり批判してさ!」
岡部「貴様の料理実験なら他の時にやれというのだ! 真帆が腹でも壊したらどうする!」
岡部(助手の殺人料理で腹でも壊されたら作戦遂行は絶望的だぞ……!)
紅莉栖「ッ……! また先輩のこと……? なによ、このばか岡部……」
岡部「……どうしたというのだ。最近のお前は少しおかしいぞ」
紅莉栖「誰のせいだと……ッ!」
ルカ子「お、お二人とも、スーパーの中ですので、それくらいに……」
クスクス
アラヤダ サイキンノワカイコハ
フヒヒリアジュウバクハツシロ ビシィ
岡部「……はぁ」
紅莉栖「……ふん」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 22:38:30.92 ID:kxTy7IE70
岡部(もともと助手を引き止めるためのオペレーションだったというのに、当の助手が不機嫌になっているのでは意味がない気がしてきたぞ……)
岡部(まあここまで来て辞めるわけにもいかんしな。とりあえず後のことはオペレーションを完遂してから考えよう)
フェイリス「キョーマ、なにを考え込んでいるのニャ?」
岡部「む? ……フッ、世界を混沌に陥れるための発明についてな」
萌郁「……暇なら、手伝って」
岡部「ぬぐっ……ズバリと言うようになりおって、指圧師め」
フェイリス「それじゃキョーマはこの飾りをあっちに頼むニャ」
岡部「うむ。……それにしても、随分と大掛かりになったな。殺風景なラボの中がまるで別空間だ」
萌郁「……椎名さんが、考えた」
ルカ子「流石ですね、まゆりちゃん……」
まゆり「そんなー、大したことないよぉ」(テレテレ
紅莉栖「一時間かそこらでこの飾りつけを考えたのはほんとにすごいわ……。というか、普段からこんな感じでいいんじゃないの?」
岡部「何を言うかっ! ラボは多少殺伐としていてこそマッドな雰囲気が醸し出されるというもの! こんなふわふわした空間など普段の我がラボには相応しくないわっ!」
紅莉栖「……あっそ」
岡部「……む」
ダル「オカリンェ……牧瀬氏となに修羅場ってるん?」(ヒソヒソ
岡部「知らん! 昨日からなぜか知らんが助手が不機嫌なのだ」(ヒソヒソ
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 22:44:37.77 ID:kxTy7IE70
ガチャ
由季「こんにちはー」
ダル「ゆ、ゆ、由季たん! よく来てくれたお!」(ドンッ
岡部「ぬわっ! お、おのれダルめ……俺を突き飛ばすとは。……というか、いつの間に阿万音由季を呼んでいたのだ?」
由季「アハハ、ごめんなさい。ダル君のメールにちらっと宴会の話が出てきて、私も行きたいなーって、我儘言っちゃって」
まゆり「いやいや、大歓迎だよぉ〜♪ ゆっくりしていってね、由季さん」
由季「ありがと、まゆりちゃん。……急な参加ですけど、大丈夫ですか? 岡部さん」
岡部「む……まぁ、構わん。人数が多い方が盛り上がるだろうしな」
ダル「まあオカリンがダメって言ったら逆にオカリンを追い出すわけだが〜」
岡部「ぬぁに!? 裏切ったかダル!」
まゆり「その場合はまゆしぃも参戦するのです♪」
岡部「くぅっ!! ……俺だ。どうやら『機関』がラボ内の切り崩し工作を始めたらしい。フッ、大丈夫だ。上手くやって見せるさ。エル・プサイ……『ブゥーン』……む?」(カチャ
『 9/13 14:25
from ロリッ子
sub re:伝令だ
了解したわ』
岡部「……いかにもあのロリっ子らしいそっけないメールだ」
まゆり「真帆さんを待たせちゃったら悪いし、早く仕上げちゃお〜」
フェイリス「オーキードーキーニャ!」
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 22:52:01.35 ID:kxTy7IE70
岡部「さて、メールを送って時間も経ったから、そろそろ来るはずだが」
萌郁「……どきどき」
由季「息を潜める必要はあるのかな〜……」
まゆり「特に意味はないんじゃないかな〜♪」
フェイリス「ニャフフ……こういうサプライズパーティーは大好物ニャ」
紅莉栖「シッ! 足音が聞こえる!」
コツ、コツ、コツ、コツ
岡部「いいかお前たち! 俺の合図に合わせるのだぞ」(ヒソヒソ
ラボメンたち「「「「「「「「オーキードーキー」」」」」」」(ヒソヒソ
ガチャ
真帆「こんばんはー……」
岡部「今だっ!」
パパパパーン!!
真帆「ひゃわあっ!!?」
岡部「フゥーハハハ! よく来たなロリっ子よ! この混沌たる宴<スムブル>に!」
真帆「何、なに!?」
紅莉栖「くぉら岡部! こんな時くらいちゃんと言え!」
真帆「く、紅莉栖?」
まゆり・フェイリス「「おめでとー、真帆さん(ニャン)♪」」
ルカ子「あの、お料理を作ってきたので、どうぞ召しあがってください」
萌郁「……おめでとう」(パーン
由季「えっと、よくわからないけど、おめでとうございます」
真帆「まゆりさんにフェイリスさん、漆原さんに……えっ、と? あなたは……」
ダル「僕のか、か……友人の由季たんだお。真帆たんおめでとー」
岡部「ええいお前らやかましいぞ! ロリっ子が混乱するだろうが! とりあえず席へ戻れぃ!」
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 22:57:45.80 ID:kxTy7IE70
真帆「それで、この集まりは……?」
岡部「フッ、先ほど言っただろう! 今宵は血の盟約により結ばれたラボメンたちの、混沌なる宴<スムブル>だと」
まゆり「あのね〜、オカリンが真帆さんのラボメン加入祝いで、宴会を開こうって言ったのです♪」
岡部「こ、こらっ! まゆりっ!」
真帆「えっ……? 岡部さんが……?」
岡部「べ、別に貴様のためではない! 俺はただラボメンの親睦を深めようとだな!」
ダル「うわー男のツンデレとかないわーマジないわー」
由季「ふふっ……岡部さんって、やっぱり優しいんですね」
真帆「ええと……ありがとう、岡部さん……」
岡部「……フン、礼を言われるほどの事ではない」
紅莉栖「先輩、今日はぜひ研究の疲れを癒していってくださいね」
真帆「紅莉栖も……ありがとう」
岡部「さて、立ち話はこれくらいにして、ルカ子の手料理を堪能しようではないかっ!」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 23:02:16.93 ID:kxTy7IE70
真帆「このお料理、とても美味しいわね……」
ルカ子「あの、褒めて頂けて光栄ですっ」
真帆「でも漆原さんって……」
萌郁「……だが、男だ」
真帆「……私も、お料理練習しようかなぁ」
紅莉栖「あ、真帆先輩、私もご一緒しますよ」
岡部「じ、実験大好きっ子二人で料理の練習だと……? 貴様らっ、このラボを腐海にするつもりか!」
真帆「……どーいう意味かしら!?」(ムカッ
紅莉栖「先輩、こいつの発言にいちいち腹を立ててたら体力が持ちませんよ。……そうしたら岡部ぇ? それじゃ私のホテルで料理するから、あんたが私たちの料理の試食してね?」(ニコォ
岡部「こ、[
ピーーー
]気かっ!?」
ダル「うわぁ……おにゃのこの手料理イベントなのに、全く嬉しくない……」
フェイリス「キョーマ……骨は拾うニャ」
真帆・紅莉栖「「あなたたちも大概酷いわねっ!!」」
由季「……プッ、あはははは!」
まゆり「由季さん、どうしたの?」
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 23:07:14.11 ID:kxTy7IE70
由季「ふふっ……いや、普段ダル君に聞いてる以上に楽しいところだなって思って」
まゆり「えへへ、そうでしょ? ラボはとってもとーっても素敵な所なのです♪」
由季「私もこんなメンバーの一員になれたら、楽しいだろうなぁ……」
岡部「……ふむ」
ダル「オカリン? どしたん?」
岡部「よかろう。本来であればラボメンに『阿万音』の性は一人で十分だが……この世界線ならば、それもまた一つの選択なのだろう」
紅莉栖「日本語でおK」
真帆「えっと……紅莉栖?」
紅莉栖「……ハッ!//」
岡部「阿万音由季! お前はこのラボの一員として、身命を賭す覚悟はあるか?」
由季「えっと……?」
フェイリス「ラボ加入祝い、二人分に増やさないとニャ〜?」
ダル「オカリン、言い方回りくどすぎ。……由季たん、つまりオカリンは、由季たんをラボメンの一人にしたいみたいだお」
由季「な、なるほど……えっと、それなら、よろしくお願いします」(ペコリ
岡部「フゥーハハハ! お前は今日からラボメンナンバー010だ! 初の二桁代のラボメンだぞ、光栄に思うがいい!」
真帆「……え?」(ズキッ
ルカ子「お、お祝いのケーキ、もう一つ作った方が良いですか?」
由季「いえいえ、そこまでしていただかなくても……」
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 23:12:16.47 ID:kxTy7IE70
真帆「えと、何を言っているのよ――『オカリンさん』」
岡部「む? ……今なんと」
真帆「阿万音由季さんはラボメンナンバー011、でしょ? ラボメンナンバー010は……」(ズキッ
岡部「おい、……真帆?」
紅莉栖「先輩?」
真帆「ラボメンナンバー010は――」
真帆「……『椎名かがり』……うっ、ぐぅ……」
まゆり「えっ? まゆしぃ?」
岡部「おい真帆、どうした!? 頭が痛いのか!?」
真帆「……うっ……あ、わ、私は、何を……?」
由季「あの、大丈夫ですか? 私が、何か……?」
真帆「……いいえ。私、何か変なことを言ってしまったみたいね。……少し、夜風に当たってくるわ。私の事は気にしないで、パーティーは続けて頂戴」
紅莉栖「あっ、先輩……」
コツ、コツ、コツ、コツ……
フェイリス「……真帆ニャン、大丈夫かニャ」
岡部「……少し見てくる」
岡部(あの症状は……まさか)
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 23:19:26.48 ID:kxTy7IE70
真帆「…………」
真帆「……うっ……」(ズキッ
岡部「……真帆」
真帆「……オカリン、さん? 私は大丈夫だって、言ったのに」
岡部「その呼び名」
真帆「呼び名……って」
岡部「いつからお前は、俺の事を『オカリンさん』と呼ぶようになった?」
真帆「それ、は……」
真帆「この屋上で……!」(ズキッ
――私の事は真帆と呼んで。あなたの事は、オカリンさんって呼ぶから。
真帆「うっ、頭が……いた、い……!」
岡部「……真帆ッ! 大丈夫か!?」
真帆「何なの……経験したことのないはずの、この記憶は……?」
岡部「……やはり、リーディング・シュタイナーか」
真帆「リーディング……?」
岡部「荒唐無稽な話だが……聞いてくれるか」
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 23:23:28.32 ID:kxTy7IE70
岡部「――と、いうわけだ」
真帆「……世界線を越えての記憶の保持。とても信じられないわね」
岡部「……そうだろうな。しかし……」
真帆「と、本来なら言っていたでしょうけど。私には、確かに経験したことのない記憶がある。一概に切り捨てることはできないわ」
岡部「リーディング・シュタイナーは誰しもが潜在的に持つものだ。……だが、真帆のそれは、かなり強い形で発現しているように見える」
岡部「阿万音由季がラボメンナンバー011だった世界線……そして、俺の知らない『ラボメンナンバー010』」
真帆「……だけれど、この屋上での記憶と、『ラボメンナンバー010』の記憶には……私の中で、大きな断絶を感じるわ」
岡部「断絶?」
真帆「えぇ。二つとも別の世界線での出来事だけれど、その二つもまた、異なる世界線における記憶のような……そんな違和感が」
岡部「ふむ……俺が経験した、α世界線1,2,3のようなものか……」
真帆「同じ世界線内での世界線変動率の違いが生み出した記憶の齟齬、かしら……。ッ……!」(ズキッ
真帆「う、あ、うう……!」
岡部「また、発動したのか……!?」
真帆「う、くぅ……」
真帆「……オカリンさん?」
岡部「……真帆?」
真帆「オカリンさんっ! ラジ館屋上から抜け出せたのね! よかった……」(ギュッ
岡部「お、おい、真帆?」
真帆「本当に良かった……。無茶しすぎなのよ、あなたは……ぐすっ」
岡部「…………」
岡部(これは……世界線移動か……?)
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 23:29:21.29 ID:kxTy7IE70
岡部「落ち着け。よく周りを見渡してみろ」
真帆「……あれ? ここは……?」
岡部「ラボの屋上だ。お前はどんな状況からここに来たんだ?」
真帆「私は……タイムリープしてきたオカリンさんが、鈴羽さんとまゆりさんを送り出そうと、ラジ館へ行って……様子を見ようと屋上に上がったら、ラジ館の方に軍用機や軍人たちが一斉に向かって行って……」
岡部「タイムリープ……α世界線か? いやしかし、軍用機に軍人……?」
真帆「それよりもっ! オカリンさん、こんなところで悠長にしている暇はないわ! もう第三次世界大戦は始まってしまった! 早く避難しないと、もう秋葉原は、安全な街ではない……!」
岡部「……第三次世界大戦……まさか、β世界線か!?」
真帆「オカリンさん、ほら、早く! すぐに支度をして、ここを出なきゃ!」
岡部「落ち着け、真帆っ! ここはβ世界線ではない。第三次世界大戦は起きないんだ!」
真帆「……え? どういうこと?」
岡部「周りを見てみろ。ヘリが飛んでいなければ銃声もしない。いつも通りのアキバの街だ。お前が見た景色は俺にはわからないが、少なくとも戦争が起こる雰囲気じゃないのはわかるだろう」
真帆「そんな……それじゃ、ここはどこなの? どんな世界線なの?」
岡部「ここは、『シュタインズ・ゲート』。ディストピアも、第三次世界大戦も起こらない、未知の世界線だ」
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 23:34:07.97 ID:kxTy7IE70
真帆「シュタインズ・ゲート……」
岡部「そうだ。お前にとっては初耳かもしれないが……」
真帆「あった……本当にあった……」(ポロッ
岡部「お、おい、真帆?」
真帆「オカリンさんは辿り着けたのね……紅莉栖も、まゆりさんも救って、この世界線に……」(ポロポロ
真帆「よかった……よかったよぉ……」(ポロポロ
岡部「…………」
〜〜〜
真帆「……コホン。ごめんなさい、取り乱して」
岡部「いや……構わん」
真帆「……冷静になって、自分の記憶を探ってみると、なんだかすごく混乱するわね。この世界線の記憶に、β世界線のいくつかの世界の記憶が入り乱れて、よくわからなくなる」
岡部「……別の世界線の記憶を追いかけてもいいことはない。出来ればすぐに忘れたほうがいいくらいだ」
真帆「……そう」
岡部「ああ」
真帆「でも、私はこの記憶を、忘れたくないわ」
岡部「どうしてだ? 紅莉栖が死んでいて、第三次世界大戦が起こる、β世界線の記憶なんて、どう考えてもいいものでは……」
真帆「『この世界線での私』が……初めて会った時からオカリンさんに惹かれていたのも、この記憶があったからだと思うから」
岡部「え、惹かれ……?」
真帆「β世界線では、絶対に言うつもりは無かった。すべてを紅莉栖の為に捧げようとしていたあなたの『執念』を鈍らせるようなことは、したくなかったから」
岡部「何の、話を……」
真帆「だけれど、ここなら……未来のまだわからないこの世界なら、私があなたに想いを伝えても、いいのよね」(ギュッ
真帆「オカリンさん、私はあなたの事――」
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 23:40:44.94 ID:kxTy7IE70
『あああああああああああっ!!!』
岡部・真帆「」(ビクッ
紅莉栖「おおおおおかあああべぇぇぇええ!! あ、あんた、体調不良に付け込んで、先輩を毒牙にかけようなんて……!」
岡部「ちょっ、待てクリスティーナ! 誤解だ! 俺は別にそんなつもりは……」
真帆「」ギューッ
岡部「っておい、真帆っ! なぜそこでさらにくっつく!」
紅莉栖「ちょっと、先輩!? そいつは橋田と同レベルのHENTAIなんですから、そんなにくっついちゃだめです! ばっちいです!」
岡部「ダルと同レベルにされるのは非常に遺憾なのだが!?」
真帆「……はぁ。紅莉栖も、素直になればいいのに」
紅莉栖「な、何の話ですか?」
真帆「素直に、『オカリンさんにくっつかれるのが嫌』って言いなさいよ」
紅莉栖「ふぇ!?」
真帆「『アマデウス』ですらオカリンさんに惹かれてるんだから、その素体であるあなたがオカリンさんの事を好きにならないはずが――」
紅莉栖「わーーーー!!// 何の話ですか何の話ですか!! 大事なことなので三回言いました!!//」
真帆「人生すら賭して助けようとされるなんて、オカリンさんにそんなに愛されてるのは妬けちゃうけど」
岡部「あ、愛ぃ!? こ、このロリっ子めが、何の話をしているのだ!?」
真帆「……二人とも、少しは素直になるという考えはないのかしら。特に紅莉栖、あなたが素直にならないようなら、オカリンさんは私がもらってもいいのよね?」
紅莉栖「も、貰っ!?//」
岡部「お、おい! 真帆! お前、さっきから少しどころではなく変だぞ! お前はそんな、人をからかうような性格じゃないだろ!」
真帆「からかっているつもりは無いわよ。だって私は、ただオカリンさんの事が好きなだけだもの」
岡部「んなぁっ」
紅莉栖「ふぇっ!?」
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 23:44:30.12 ID:kxTy7IE70
真帆「そういえば紅莉栖はオカリンさんの助手だったわよね。それなら、私も助手に立候補していいかしら?」
岡部「い、いや別に、構わんが……」
真帆「オーケー。ならとりあえず大学の方に長期休暇の申請を取らないと。暫くは向こうに帰らなくてもいいわね」
岡部「いや、そこまでしなくても別に」
真帆「こちらとしては向こうに帰ると色々とまずい事情があるのと……まぁ後は、好きな人の傍に居たいだけよ。実益も兼ねてるから、心配しないで」
岡部「ぐぅっ……」
岡部(こ、ここまでストレートに好意を表してくるタイプは初めてだぞ……というか近い! 顔が近い!)
紅莉栖「…………」ブルブル
真帆「オカリンさん、それじゃあパーティーに戻りましょうか。みんなを心配させてしまっているわ」
岡部「あ、あぁ、そうだな」
岡部(というかこの会話、途中から全部聞かれてるんじゃ)
紅莉栖「……よ」
真帆「……ん? 何か言ったかしら、紅莉栖?」
紅莉栖「わ、私だって、岡部の事が好きですよっ! これでいいんですか先輩っ!!」(ギュッ
岡部「うおぉっ!?」
岡部(な、なんだこの展開は!? ダルのプレイしてるギャルゲじゃないんだぞ!!)
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 23:55:59.09 ID:kxTy7IE70
紅莉栖「もうこの際だから恥を捨ててはっきり言うわよ! あんた、最近真帆先輩真帆先輩ばっかりずーっと言ってて、全然私と話してなかったでしょっ!! すごく寂しかったんだからな!!//」
岡部「ぬぐっ!? い、いやそれは、お前を引き止めようと、オペレーション・ロキをだな」
真帆「でもオカリンさん、私に掛けてくれた言葉は本心よね。大仰な言い方をしてるときは照れ隠しだって、私も最近なんとなくわかるようになってきたわ」
岡部「ま、まぁ、嘘を吐いたつもりは無いが……」
紅莉栖「なによそのどっちつかずな解答はっ!! あんた、私と先輩、どっちを選ぶのよ! はっきり言いなさい!!」
真帆「……開き直るとすごいわね、この子。あぁオカリンさん、私は別に無理に答えてもらわなくてもいいわよ。たとえオカリンさんが紅莉栖を選んだとしても、ずっと一緒にいるつもりだから。たとえアマデウスには到底届かない、サリエリだとしても」
紅莉栖「なにそれずるい! ずるいです先輩! 私だってずっと岡部の傍に居たいです!」
由季「何事かと様子を見に来てみれば……岡部さん、両手に花ですね」(クスッ
ダル「……ちょっ、個別√突入かと思ったらまさかのダブルヒロインかよ。オカリンマジギャルゲ―主人公」
まゆり「あ〜、二人がオカリンに抱き着いてるー! まゆしぃも♪」(ギュッ
フェイリス「ここはフェイリスもノるところニャ!」(ギュッ
萌郁「……便乗」(ギュッ
ルカ子「えっと、じゃあ、ボクも……//」(ギュッ
岡部「お、重い重い重い! 離れろお前らーっ!」
岡部(け、結局オペレーション・ロキは成功なのか? 失敗なのか?)
岡部(だが、このラボがこれから更に騒がしくなっていくであろうことは間違いない)
岡部(……俺の心労が加速度的に増えそうだが)
岡部(まあいい。これも一つの世界の形なのだろう)
紅莉栖「岡部、す、好きだぞ」(ギュー
真帆「なんでそこで照れるのよあなたは。……大好きよ、オカリンさん」(ギュー
岡部「……これもまた、『運命石の扉』の選択か。エル・プサイ……つ、潰れる……」
終わり
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/11(日) 23:57:38.12 ID:kxTy7IE70
真帆ニャンのSSもっと増えてほしいよ
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/12(月) 00:01:09.82 ID:Hh9MF3++0
乙
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/06/12(月) 00:07:43.30 ID:FkpnGafbO
真帆ニャンかわいい
乙・プサイ・コンガリィ
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/12(月) 01:18:10.37 ID:q3f40DePo
リア充(ry
乙
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/12(月) 12:41:52.73 ID:RM4HcFiNo
乙
俺も読みたい
58 :
サリエリの隣人
:2018/05/12(土) 12:33:58.00 ID:EykqkjGF0
真帆にゃんまじ可愛い
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