【安価】Timeless Heroes【クロスオーバー・ヒーロー】

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56 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/07/14(金) 18:12:58.40 ID:NyMu1gOCo
・はじめて行きましょう
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 18:43:58.84 ID:0Qr6GyLN0
わーい
58 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/07/14(金) 19:09:25.93 ID:NyMu1gOCo
続いてコンラッドも話し始めた。

「そうだカラム博士。アズマは元気かね?」
「ええ。アズマはいつも通りですよ。無口で、いつも眉間に皺を寄せていて」
「だから気に入っているんだ。奴は無駄なことを喋らないし、考えない。常に任務に忠実な男だ」
「そう……ですか」

 カラムは、機密保持部のアズマと、大学時代から旧知の間柄であった。
しかし、親友の話をするカラムの表情は明かに曇っていた。
その理由は、無謀な実験の日が避けようなく近づいていることだけではない。
カラムは、コンラッドの言葉が、ただ同じ研究所に居る自分の友人のことを聞いただけとは思えなかったのである。

「なあ、カラム博士。昨日の空港側で起きた事故の件、知っているかね?」
「ええ、まあ」
「あれの被害者は偶然にも≠アの研究室の元職員だったそうだ。それも――」
「知っています。オーラフは……優秀な研究員でした。よく家族の話をしていた。優しい……人でしたよ」
「そうか」

コンラッドは付け加えた。

「もし――もしものことだが、君がこの研究所を離れると言うのなら、事故には気を付けると良い」
「それは君だけに関して言っているのではない。君の妻や子供にも言えることだ」

「コンラッド上級顧問、それは脅しですか……?」

カラムは聞いた。その声はひどく震えていた。
守るべきもの≠ェできる前まで、彼はこのようなことをするのに勇気などいらなかった。
だが、それが彼を弱くした。

コンラッドは何か変わった様子も無く答える。

「何のことだねカラム博士。私は交通事故に気を付けろ、と言っただけだが。交通規則を尊守することは市民の特権だと思わないのかな?」
「――実験結果、楽しみにしているよ」


不安は尽きぬまま、その時は訪れようとしていた。

*
59 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/07/14(金) 21:25:36.88 ID:NyMu1gOCo
*

 夜、カラムとアズマはいつもの店≠ナ待ち合わせていた。

「カラム、リンを家に置いていていいのか?」

「やあ、アズマ。ああ、リンには今夜のことはもう連絡している。それに、ここにはそんなに長くはいないよ」

「その方が良い。つまむものは先に頼んでおいた。何か飲むか?」

「じゃあ、ミルクを――」
60 : ◆RbLyhCxL4nw3 [sage]:2017/07/14(金) 21:58:32.19 ID:NyMu1gOCo
・ごめんなさいちょっと中断
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/14(金) 22:02:43.90 ID:0Qr6GyLN0
一旦乙。
簡単にまとめると「基本世界のエネルギーが低下してるから平行世界のエネルギーを吸収して保つ必要があるけどめっちゃ危険」ってことでええの?
62 : ◆RbLyhCxL4nw3 [sage]:2017/08/08(火) 13:19:22.94 ID:2YLE0rmIo
・お久しぶりですごめんなさい。始めます

>>61
そうです! 回りくどく説明してます
63 : ◆RbLyhCxL4nw3 [sage]:2017/08/08(火) 13:39:25.68 ID:2YLE0rmIo
*

 学生時代のカラムは非常に孤独だった。
彼は生まれた時から既にタイムレスだった。
インド系アメリカ人の家に生まれた彼が1歳の誕生日を迎えるころには、6歳に求められる程度の言語機能を取得しており、それを気味悪く思った親が自主的に政府の機関に通報、さらに育成施設へと預けた。
多額の契約金と共にであった。
カラムはそれを「自分は金と引き換えに売られた」と認識している。

その出来事を育成施設職員の話を盗み聞いてしまった日から彼は人間不信に陥っていた。
政府から常に監視される恐怖感も相まって、その思いは日に日に強まっていった。

友人などできるはずもなかった。
育成施設内の同世代のタイムレスは数人いたが、その会話の輪には入らず、いつも少し遠くの場所からジッとそれを見つめていた。

 15歳の時、彼は大学に在籍し研究員として働くこととなった。
次世代の育成を目指した彼は、教授職に就くことを希望したがそれは出来ぬ相談であった。
非タイムレスの教授らがそれを許さなかったのである。
タイムレスへの偏見・嫉妬は今も根深い。年上の同僚、年上の部下達の彼に対する態度も厳しいものであった。

それが彼の心をさらに頑なにしていった。
64 : ◆RbLyhCxL4nw3 [sage]:2017/08/08(火) 14:00:56.69 ID:2YLE0rmIo
 そんなある日。

その日の学食は特に混んでいた。
カラムは、いつも座る席が空いていなかった為、違う場所で昼食を取っていた時のことである。

「隣、いいか」

 そう声をかけてきた者がいた。
これがアズマであった。

その次に彼がカラムに言った言葉が

「キャンパスツアーは今日だったか? 友だちとはぐれたのか?」

であった。
最初カラムは、それを侮辱と受け取った。
自分の存在は、ある程度知られていると思っていたし、周りの同僚からそうやってからかわれたことがあったからである。
後から聞くと、アズマはそんなことはないと笑って答えた。
あどけなさが残る少年が、一人で居たから純粋にそう言っただけ。実際、アズマが通っていた学部とカラムが働く研究室は全く違う場所に位置し、アズマは彼を知らなかっただけである。
そもそも、大学の研究室にはタイムレスが在籍しているケースが多い。カラムもその一人にすぎなかった。

カラムはぽつりとこう答えた。

「友だちなんていないさ。いつも一人」

皮肉の一つでも言い返してやろうかと思っていたが、そんな余裕も当時の彼にはなかったのである。
65 : ◆RbLyhCxL4nw3 [sage]:2017/08/08(火) 14:11:03.02 ID:2YLE0rmIo
そんな彼にアズマはこう言った。

「なら、またここに来た時、この場所に座ると良い。俺がいる」

何気なく言った一言であろうが、カラムはその言葉に強く心を揺さぶられた。

「いいの?」

恐る恐る彼は聞くと、アズマは笑いながら返した。

「一人で食う飯は、マズい」
66 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/08(火) 14:35:38.65 ID:2YLE0rmIo
 一度だけ、信じてみよう。カラムはそう思った。
こんな経験は初めてだったのだ。

カラムは次の日、学食へ行くと昨日と同じ場所にアズマが座っていた。
待っていてくれたのである。

カラムは昨日とは今までの孤独をぶつけるように、不器用ながらもアズマに話しかけることにした。
名前を教え合う時、アズマはさすがにその名に気付き驚いていたが、アズマはタイムレスに別段畏怖も偏見も抱いていなかった為、彼らはすぐに友人となった。
アズマは学生、カラムは研究員。5つ離れた友人関係だった。

この出会いが後のカラムに良い影響をもたらすこととなる。
カラムは社交的な性格へと変わっていった。
人とも積極的に会話するようになっていったし、年上の同僚の心無い一言にも反論するようになった。
また、アズマと友人であった学生リン=デュゲイ≠ニ知り合い、その内良い関係へと発展していった。

この二人がいなければ今頃自分はどうなっていただろうか、カラムはたまにそう想像する。

カラムはアズマに日々感謝していた。
彼はカラムにとって唯一無二の親友であった。

*
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 14:37:57.60 ID:52ysMmUq0
更新ktkr!
68 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/08(火) 15:11:47.61 ID:2YLE0rmIo
*

 アズマは酒を煽った。
カラムが彼のこのような姿を見るのは初めてであった。

しかしカラムは、アズマが軍から離れた後、変わってしまったようには感じていた。
アズマの姿は、まるで自分の姿のようであった。

今の彼が、カラムと同じ研究所に配属され、機密保持部の部長職に就いてから黒いうわさが絶えない。

元研究所職員らの事故死、急な旅行を告げ音信不通になる者、それらに彼が関わっているのではないかという噂であった。
噂がうわさを呼び、今はまるで事実かのように周囲で語られている。アズマの友人であるカラムはそれが不愉快で仕方が無かった。
二人は友人。そんなことあるはずがないとカラムは断言していた。

以前、同僚のケインとバッブがその話をした時、彼は耐えかねて二人を叱責したことがあった。
それ以来、彼の周囲のその話をすることはタブーとなった。

しかし元々この研究所は国家機密の研究を行っているが、今までにそのようなことは起こってこなかった事実であった。

 それについて、カラムは思うことがあった。
アズマが配属されたのは、カラムの元に役人が研究結果の発表の催促をしてくるようになってからである。
アズマは、この研究所に就職した経緯を「入隊時培ったノウハウを戦場ではなく、今度は国の未来を担う現場で活かしたい」と語っていた。
これが建前であることは明白。
だが、その本当の理由を彼はカラムに語ることは無かった。

ここで先程NROのコンラッド上級顧問が言った『アズマは元気かね?』と続けて『事故には気を付けると良い』という言葉を思い出す。

この時、カラムの中で自分の中でタブー視されていたある″lえが浮かんでいた。


アズマは自分を監視するために、この研究所へ配属されていたのではないか という考えである。
69 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/08(火) 15:30:58.42 ID:2YLE0rmIo
黒い考えが頭の中を巡った。

疑惑は他にもあった。
コンラッド=バジョット上級顧問はアズマの軍在籍時の恩師である。
そんな彼がそう′セったというのには、何か意味があるのではないか。
自分の深読みだろうか。答えは出せないまま。真相は聞けないまま、時間ばかりが過ぎ、他愛もない会話が続いた。

アズマは大分酔っていた。
これ程になるまで酒を飲み、乱れる彼の姿を見てカラムは店員に会計を告げた。
日頃の疲れからか子供のように眠ってしまう彼に肩を貸し、店を出た。
カラムは自分の車でアズマを彼の家まで送っていくことにした。

「アズ、大丈夫かい」
「ああ」
「部の仕事は僕より忙しそうだね」
「ああ」
「出来ればかわってやりたいよ。僕も観測実験の座標計算に飽きてきたからね」
「……俺は計算は苦手だ」
「覚えてしまえば簡単さ。プログラムを組むより楽だよ」
「そうか……」
70 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/08(火) 15:40:04.06 ID:2YLE0rmIo
「カラム――」
「どうした? アズマ」
「……今日は誘ってくれて……ありがとう」
「良いんだよ。暫くこうして会うことも少なくなったろう? だからさ――」

「俺達は……友だち、だよな」
「何さ、急に。当たり前だろ?」
「だよな……分かっていた……どうやら少し、飲み過ぎたようだな……眠い」
「あれだけ飲めばああなるさ。大丈夫、家まで送っていくよ」
「玄関までで……良い」
「はいはい」

「アズマ――」
「……どうした」


「初めて会った日、君が僕に話しかけてくれた言葉、覚えているかい?」
「……」
「……寝ちゃったか」

カラムは後部座席に彼を寝せ、家まで送った。事故≠ヘ起きなかった。
彼は自分の抱く黒い思いはバカバカしいものだと考え直し帰宅した。

*
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/08(火) 15:55:48.69 ID:xN3R6syE0
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72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/08(火) 16:08:53.16 ID:xN3R6syE0
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73 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/08(火) 17:05:43.68 ID:2YLE0rmIo
*

「おかえりなさい、カラム」
「リン、ごめんよ。思ったより遅くなってしまった」
「気にしなくていいわ。アズとでしょ?」
「ああ。彼、かなり酔ってて……身長が高いから運ぶのが大変だったよ」
「そうね。彼、あなたより――」
「気にしてるんだ、やめてくれよ。はは」
「気にするのは、そのお腹の方ね」
「それもだよ、リン」


「あ……見てカラム。今、蹴ったわ」
「元気な子だ……人体の構造と機能は知っていたが……自分の子供となると……不思議なものだ」
「ええ……そうね……」


「僕、研究成果発表、頑張るよ」
「ええ……不安なの?」


「ああ、少しね」
「らしくないわ。あなたなら大丈夫よ。絶対に、大丈夫」
「ああ……そうだといいんだけど」

*
74 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/08(火) 17:52:57.21 ID:2YLE0rmIo
*

 観測実験当日。研究所は大いににぎわっていた。
多数のマスコミ関係者に囲まれながら、カラムと、共に研究に携わる所員らは研究室へと入っていった。
その後ろには、米科学界を代表する研究者、兼ねてよりこの研究に興味を示していたハーマリー上院議員、をはじめとした政府高官ら、DOE情報部ジョーン、NROコンラッドの軍部高官、それを警護するアズマら機密保持部であった。
ここから先は、関係者以外立ち入り禁止。
それは、議員らのSPである。機密保持の点において、この場の警備はアズマらに任されることとなっていた。

彼らは6時間に及ぶ実験の結果報告を鍵の掛けられたドアの前で待つのみ。
これ以上の介入は許されない。

その期待に押される歩くカラムの表情は固かった。不安によるものだった。
75 : ◆RbLyhCxL4nw3 :2017/08/08(火) 18:57:34.87 ID:nvKo6sLiO
・中断もうすぐ一話も終わりです
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 19:14:15.96 ID:YbkUMNkd0

おかえり
77 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 12:26:36.89 ID:fsGUhO/Ao
・はじめていきたいと思います
78 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 12:40:28.81 ID:fsGUhO/Ao
 実験は二室にわたって行われる。
100メートル四方で囲われ模擬宇宙空間で構成された本実験室。
真空のこの部屋には人間が入り込むことができない。その為、特殊ガラスで隔てられた装置制御室兼観測室がある。

実験に参加する全員は観測室で見守ることとなる。

 実験は滞りなく開始された。

「真空状態安定しています」

「星雲ガス注入完了。気圧安定」

研究員らは次々カラムに報告した。
カラムは静かに頷き、参加者らに告げた。

「特殊ガラスの向こうに広がるのは宇宙です。宇宙とは未知の空間。そこに更に僕達が開くことになるのは更に未知の空間『並行世界』です」
「タイムレスの存在が発表されてから半世紀。それでも未だ宇宙空間には謎が多い」
「未知の空間の先に更に未知の空間を広げることの危険さを皆さんはまだ知らない」
「これから起こることは、僕にも分からない。初めに言っておきますがこの実験は非常に危険なもので――」

「はじめたまえ、カラム博士。我々はもう十分待った」
「世界で初の試み、緊張をしているのは分かるがもういいだろう。皆君に期待しているんだ」

遮ったのコンラッドであった。

カラムはコンラッドを一度睨むように見つめた。
何かを訴えるかのようであった。

カラムは観測室の最後尾にいるアズマを見つめた。
アズマは静かに頷いた。

カラムは一度目を伏せた後、視線を上げ、実験室の方を見た。
そして言った。

「これから実験を始めます」
79 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 13:02:38.19 ID:fsGUhO/Ao
予め準備されていた照射装置のメーターがゆっくりと動き出す。

基本世界と、それに隣接する並行世界の隔たりを粒子を照射し徐々に徐々に広げていくのである。

開かれた空間を安定させるのには、相応の時間が必要。
この様子を見学者は静かに見守った。

目に見える変化が現れたのは実験開始から2時間半後のことであった。

疑似宇宙空間に小さな光が見えた。
その光は時間に従って光量を増しながら一本の縦筋を描くかの如く広がっていった。
80 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 13:13:53.14 ID:fsGUhO/Ao
その後、観測は停滞を見せた。

実験終了予定の6時間を大幅に超え、8時間が経過しようとしていた。

カラムは見学者らに、空間の安定が予想より難航していることと、疑似宇宙空間に見える光からは膨大なエネルギーが発生していることが告げられた。

エネルギーとは基本世界を維持させるにものであろう。
それを知るコンラッドらは静かに拍手をした。

カラムの実験は政府の意志の下、最早彼自身の意志で止められるものではなくなっていた。
81 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 13:46:10.33 ID:fsGUhO/Ao
空間が安定したのはそれから1時間後。

光の縦線から溢れる光は強い光を発生させていた。

それは門の内側から明かりが漏れ出しているようにも見えた。

そのまばゆい光に見学者がわく傍ら、カラムはこの光の解析を行っていた。

光には高い宇宙線量を持っていた。
実験室と観測室を隔てる特殊ガラスや壁には、それを妨げる加工が施してあったがそれでも危険であった。

――解析不能な反応があった。

想定はしていたが、やはり並行世界には基本世界とは構造が全く異なっているらしい。
宇宙線であっても違う原子核が存在しており、それが僅かに漂っている。
それがこの世界にどのような影響をもたらすのかまったく分からない。

空間が安定した途端、急激に上がる光量は不安の的中を感じさせた。
カラムは何度も実験の中止を呼び掛けようと思った。
その度、家族の顔が浮かんだ。
愛する妻の顔、まだ見ぬ我が子の顔。これが彼の口に枷を付けていた。



その時、観測室にけたたましいビープ音が鳴り響いた。

実験室が異常を検知したのである。
以上の原因は室内の大気圧の増加。
光の内側から強い圧力がかけられているのを感知したのである。
光は門が開かれるように広がっていった。目視で言えばゆっくりと広がっているように見えるが、この光が広がる工程は本来これより4時間以上かけて行われるものであった。

退避を告げる赤いランプが観測室染める中、コンラッドは大声を上げた。


「はははッ! そうだ! すばらしい! 開かれるぞ、並行世界の門が!」
82 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 14:05:25.69 ID:fsGUhO/Ao
「実験は中止します! 危険すぎる!」

カラムは叫んだ。
正しい判断であった。事故が予想される以上、見学者に危害が及んではいけない。
早急に粒子照射を取りやめ、宇宙空間を元に戻す必要がある。そう結論付けたのである。

「いやダメだ! 例え何が起こるか分からなくても、だ! 成果が出なければ君の立場でさえ――」

コンラッドも叫んだ。しかし、カラムはこの程度の脅しはもう通用しなかった。

「ダメだ! 照射を中止する! ラヴィニア! 装置の線量を既定の速度に低下させるんだ!」

瞬間、コンラッドが25口径の銃を抜いた。
観測室内の女性らが悲鳴を上げた。

「続行しろ。これは国の……世界の存亡に関わることだぞ」

コンラッドは言った。ジョーンもこれはマズいと制止したが、銃口を向けられると手を上げ何も言わずその場に伏せてしまった。
コンラッドは続けた。

「これは国のためだ」
「……事故? 気にするな。例えこの場で誰が死のうと、すぐに後任が続けてくれるだろう。アメリカに何人タイムレスが居ると思うんだ?」
「だから、続けろ。中止では上に伝えることができない」
「私が求めるのは『大きな成功』か『大きな失敗』だ。こんな中途半端な形で終わらせることはできない」
83 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 14:28:55.33 ID:fsGUhO/Ao
 コンラッドは更に言った。

「君の心労は十分に理解している。実験と家族の身の安全に挟まれていて――」
「しかしそれでも君はここまでやってきた。何故だ?」
「妻のリンか? いや、違うな。君の意志で彼女を研究から遠ざけていた」

「なら他に誰が孤独な君を支えてくれた――?」

カラムはハッとした表情で、彼≠見た。

「アズマ=コンドー。そう、彼が君を支えていた」
「彼は君を監視する為に、私がこの研究所に送り込んだんだよ」
「苦しむ君を元気付け、君が話した言葉を逐一報告させていた。優秀なトレーナーだろう。なあアズマ?」
「逃げ出すことは許されない。もし万が一、君が逃げ出した時は家族だけでなく君自身をアズマが事故に合わせていた=v

「アズマ、やっぱり君――」

疑惑が現実に変わった瞬間であった。
アズマは苦し気に目を逸らした。
コンラッドはカラムに語り掛けるように言った。

「カラム=チャーチル博士。天才はやはり孤独でなければいけない。その為に私は君たちの友情とやら≠利用させてもらっていたんだよ」
「もういいだろう。博士、実験を続行するんだ」

「ふざけるな!!」

カラムは力の限り叫んだ。

「撃つなら撃て!」

手を大きく広げるカラムを見て、コンラッドはため息を吐いた。

「そうか。ガッカリだ。こんな報告をしなければいけないのにも、君にも」

コンラッドは銃を構えた。
84 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 14:45:47.61 ID:fsGUhO/Ao
*

 銃声の後、その場に倒れこんだのはコンラッドだった。
撃ったのはアズマだった。

「アズマ、何を――」

 足を撃たれ、苦しむコンラッドはアズマを睨んだ。
アズマはそれに答えず、コンラッドの持つ銃を奪い、カラムに言った。

「これくらいで許されるとは思っていない。だが、時間が無いんだろ」
「カラム、実験を中止するんだ!」

 カラムは合点が言った。
最近の彼の様子のおかしさは、自分を監視する任務に苦しんでいたのであろうと。口数が少ないゆえに、自らが抱える問題を伝えられない彼らしい行動であった。
コンラッドが言った利用させてもらった≠聞くに、友情は確かに存在していた。
都合が良すぎる考えであることは自覚していたが、今のカラムはその思いを信じるしか自分を保てなかった。

「ああ!」

カラムは震えるラヴィニアに代わって照射装置のスイッチに手を掛けた。

*

 部屋が強い光と衝撃に包まれた。


 遅かったのだ。

*
85 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 15:03:04.72 ID:fsGUhO/Ao
*

 カラムは目を覚ました。衝撃で後方吹き飛ばされ、気を失っていたらしい。
ふと隣に目をやるとラヴィニアの細い指が見えた。彼は彼女を起こすべく、視線を上げた。


彼女は死んでいた。


衝撃で打ち所が悪く死んだのではない。
彼女の頭部は今まさに何か≠ノ捕食されているところであった。

 カラムは実験室の方向を見た。

「門が……開いている」

彼は呟いた。
実験室の中で輝いていたあの光は、今や巨大化しており、完全に並行世界との接続を完了させていた。

 何か≠ヘ虫のような姿をしていた。ラヴィニアの頭を喰らうそれは、喰らうことに集中しておりカラムには興味を示していない。

 カラムは辺りを見回した。虫のような何か≠ェ数匹。見学者らはそれらに襲われていた。或いは既に捕食され肉塊になっている者もいた。
ハーマリー上院議員、ジョーンがそうであった。
86 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 15:21:46.32 ID:fsGUhO/Ao
(――アズマは!)

 カラムは親友を思い出し、その姿を探した。

(いた!)

 彼は今何か≠ノ向かって銃を撃っていた。効果は感じられない。

「アズマ!」

 カラムは叫んだ。アズマはすぐさまそれに気づき答える。

「カラム、この場を離れるぞ!」

「でも装置が!」

「コイツら≠フ対処方法が分からない事には話にならない! 動きが遅いが食いつかれたら、死ぬぞ!」

「他の見学者も起こさなきゃ!」

「ダメだ! 時間がない! 起こしている間にも増えるだけだ! 襲われる確率が高くなるぞ!」

「増える!?」

そういえば、自分が目を覚ました時より観測室内の何か≠フ数が増えている。
恐らく出所は、実験室の門の光から特殊ガラスをどういう原理か透過し来ているようである。
人間を襲う姿を見た以上、この場に留まるのは自殺行為に等しい。

「……研究室の外の人たちを避難させなくちゃ……」

苦しい決断であったが、カラムはアズマに従い研究室から一旦離れることにした。

1メートルほどの虫は逃げる彼らを追うが足の遅さ故、追いつくことはできなかった。
*
87 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 15:27:33.43 ID:fsGUhO/Ao
#1 Pilot

to be continued…
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 15:28:54.09 ID:87F3p93CO
乙。
事態が動き始めましたねぇ…。
89 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 15:37:42.31 ID:fsGUhO/Ao
Next…

First Timeless Hero:Ultimate fate of the universe

#2 Insect 異界の蟲
 避難を呼びかけながら研究所内を逃げる二人。状況を窺うが何か≠ヘ増えていくばかり。
被害を最小限にするよう努めるが、遂に研究室から何か≠ヘ外に出てしまい、所内の人間に無差別に襲い掛かる。
その中で、アズマは何か≠ヨの対抗手段の確立。カラムは装置の停止を行うため新たな行動に出る。
90 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 15:59:11.90 ID:fsGUhO/Ao
【#1解説】
・このコーナーでは話の中で説明しきれなかったことを今後のネタバレをしない程度に解説します

☆あれ? 予告と内容違くね?:書いてるうちに変わってきました。あくまで予定なので変わる可能性も大いにあります。本来は#1で全て終わらせることを#1〜3を使って終わらせようとしています。

☆U.S. Army:泣く子も黙るアメリカ軍。

☆DOE:ジョーンは、アメリカ合衆国エネルギー省。国家の存亡と、並行世界を基本世界とつなげることで得られるエネルギーについて聞きに来ていたという側面もあります。

☆DoD(NRO):アメリカ国防総省。通称ペンタゴン。NROはアメリカ国家偵察局、米諜報機関です。空軍直轄の組織で、アズマの「16年前の〜作戦」にかかってきます。空挺降下作戦に参加していたのです。コンラッドとの繋がりはここですね。

☆カブリ理論物理学研究所:カリフォルニア大学サンタバーバラ校が擁する、世界で最も権威ある理論物理学研究所の一つです。

☆学食:アメリカの学食は肉がいっぱいあります。

☆上院議員:大統領に助言したり立法したり弾劾したりする偉い人です。ハーマリー上院議員は、国の科学に関する立法を勧める為、研究所を訪れるなどして精力的な外部視察活動を行っていました。
91 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 16:07:24.85 ID:fsGUhO/Ao
【refer to…#1】
・このコーナーでは皆さんのこんなアイデア・意見を参考に書いたことをお知らせするコーナーです。皆の意見がこんな感じで反映されているとお話しします。

☆人類が、別世界から生命エネルギーを奪うことで世界の存続を計る:モロですね。基本世界から並行世界の寿命をいただいていこうと研究が進められていました。

☆別の世界を繋ぐワープゲートの入り口:本文内の『門』に当たります。

☆主人公は世界の均衡を保つ為に組織された特殊部隊の隊長:大分変ってしまいましたが、アズマはそこから着想を得ました。

☆身長は高めで容姿の整った優男。線は細いが鍛えあげられた肉体をしている:まだ描写されていませんがアズマはそんなつもりです。伊勢谷友介とかオダギリジョーを想定しています。そこから更にその逆を行く見た目のカラムを思いつきました。

☆決して私情を挟まない冷徹な人間だが、心の何処かに葛藤がある:これもアズマのキャラを考える時役に立ちました。彼にも葛藤があったようですね。
92 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/09(水) 16:08:59.20 ID:fsGUhO/Ao
・中断

・意見、アイデアについてはまだまだ募集中です!

・ではこのへんで
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 17:10:40.80 ID:RinGSVNN0
わずかな内容からここまで引き込まれるダークな展開とは…圧巻です
とりあえず蟲怖い
94 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 14:28:51.22 ID:tFzSZnUao
・ゆっくりはじめていきたいと思います
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/12(土) 14:35:38.47 ID:C7rnmyPjO
まってた
96 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 14:38:50.81 ID:tFzSZnUao
#2 Insect

 観測室出た二人は、真っ先にマスコミ待機部屋へ向かった。
彼らを見た、多くのマスコミ陣は彼らに群がった。
事情を知らない報道陣、は次々と質問を投げかけた。

「実験はどうなったのですか」
「成功? それとも失敗?」
「他の研究員の話も聞きたいのですが」
「ハーマリー上院議員はまだ観測室の方に居るのですか?」

 カラムは憔悴仕切っていた。実験はやはり失敗。そうなることは気づいていたものの、あの警報が鳴るまで止める決心は付かなかった。
更にその先にあったのはまさに地獄≠ナあった。
並行世界から現れた。巨大な甲蟲のようななにか=Bそれが、人間を喰らい始めたのである。
更に彼らは、恐らく正しい判断とはいえ見学者を置き去りにし、観測室を離れてしまったのである。次いで言うなら並行世界と基本世界を繋げる為の粒子照射装置は止めることができておらず、現在も動き続けている。
彼は強い自責の念に駆られており、とても答える気にはなれなかった。

 そんなことはお構いなしに記者らは質問を増やす。

「隣に居るのは機密保持部のコンドー=アズマさんですね。貴方は現在近代のアサシン≠ニして黒い噂が囁かれていますが、その噂は本当なのでしょうか?」
「カラム博士、コンドー氏とは大学在籍時代の友人と聞きましたが」
「実験の結果は?」
「並行世界など存在しないと他科学者の批判を受けていると聞きますが――」

辟易するカラムに代わってアズマは答えた

「端的に言えば、実験は失敗だ。現在実験室内で事故が発生している。現在上院議員含め見学者全員は機密保持の観点において観測室内で待機中。我々から話せることは以上だ」

マスコミ陣は事故発生という単語に大いに沸き、質問を更に増やしたが

「現在原因究明中。更なる事故が予想される。一般関係者はご退出を願う」

とアズマが言うと、彼らは少し文句を言いながら研究所を去って行った。彼らも命までは惜しかったらしい。

「アズ……すまない」

 カラムはアズマに礼を言った。その声は酷く震えていた。

「混乱は優先して防がなくてはならない。この事態を最初から説明するには時間がかかりすぎる」

アズマは事もなげに答えた。こういうこと≠ノは慣れていたのである。
97 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 14:43:08.40 ID:tFzSZnUao
 二人はマスコミ陣全員が出ていくのを確認すると、自体を伝える為、研究所所長の元へ向かおうとした。
すると一人の男が応接室出入り口から飛び出し、実験室へと一目散に走り出した。
先程帰ったと思われた報道陣の一人であった。彼は文字通りの「命知らず」であった。
アズマが止める暇なく彼は研究室へと侵入してしまった。

その後、悲鳴が聞こえた。悲鳴は数秒続いた後ピタリと止まった。

「愚かな奴だ」

アズマは呟いた。

「しかし、あの部屋を封鎖できなかったのはマズかった。だがこちらもあの場所に留まり続けることは良いこととは思えない」
「奴らは直に、観測室の扉を食い破り所内で暴れ出すに違いない。その前に――」

「ああ、全員をこの研究所から避難させる。所長にこの事態を説明しに行かなくちゃ」

「そうだな、カラム」

*
98 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 15:07:38.21 ID:tFzSZnUao
*

 研究所の所長ジャスタス=アクロイドはカラムらの報告に震えあがった。
その理由を説明するには、何故彼が今この地位に就いているかということから話さなくてはならない。
彼の昇進は常にカラムと共にあった。

カブリ理論物理学研究所在籍時発見した世界の終焉を予見する論文の提出を政府に提出するよう進言したのも、今回の並行世界という理論上の存在を研究するにあたって多額の研究支援金を出したのも彼である。

 更には彼自身の研究成果発表の小さな成功と、カラムからの推薦が重なってここまで上り詰めたのである。
正直な所、彼はカラムに依存していた。彼自身才能は科学者として優れたものを持っていることは間違いない。
しかし、知能に優れたタイムレスが現れてからというもの、賞賛の目は彼らに向けられることが多くなり、その居場所はひどく狭苦しいものとなってしまった。

彼の信頼はカラムへの信頼。彼の成功はカラムの成功。カラムの後ろ盾がどうしても必要であった。

そんな彼が信用するカラムの実験失敗報告は、ジャスタス自身の次の昇進はないということを意味していた。

失敗という言葉を聞いてからというもの、彼の耳にすべての音が届かなくなっていた。

「平行世界を繋ぐ門が未だ開き続けている」ことも、「平行世界の住人と見られる生物が現れた」ことも、「その生物が見学者らを食らう」ことも、「今すぐ避難命令を出さないと被害が大きくなる」ことも、
彼には聞こえていなかった。

 だが、傍目から見て彼はとても冷静な様子に見えた。平静を装っていたのである。
ジャスタスは日常的に周囲の科学者達からの非難に晒されていた。何故なら彼の持つ地位的なものは全てカラムからのおこぼれに過ぎないからである。
それを彼は重々承知していた。だが、家族を守るためにも自身を守るためにもこれは捨てられない唯一のものなのであった。
そんな中、彼に芽生えた才能があった。

「都合の悪いことは聞こえない」才能。

 実際、パニックに陥っていた彼は一言

「そうか、分かった」

とだけ二人に言い、所長室を小走りに出、車に乗り、研究所から帰るマスコミ陣と共に消えてしまった。

 二人は、二人だけでこの状況を納めなくてはいけなくなってしまった。
カラムは頭を抱え、アズマは眉間をつまんだ。

*
99 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 15:34:02.30 ID:tFzSZnUao
*

 避難誘導は最初、思うようにうまくいかなかった。
放送を行っても、直接話しに行っても、所員の動きは緩慢だった。
それもそのはず、並行世界から人食い生物が現れたので逃げろなどということを誰が信じるであろうか。パニックにさえ陥る者が現れなかった。

 カラムが予測するに、蟲が何らかの方法で観測室から出るまでおよそ40分。
避難誘導するにも呼び掛けるにも時間が足りない。二人はまず事情を信じ、避難誘導を手伝ってくれる者を探した。

二人が手分けして10分程協力者を探すと数人が名乗りを上げた。

カラムとは別部署にいる友人ケインとバッブ。
彼らは、「事情は見ない事には信じられないがカラムが、この実験を前にして嘘を吐くことはないだろう」と言った。
バッブは「ランチは大盛で頼むぜ」と付け加えた。

そして、上院議員らのSS。
「機密保持部が付いていながらなぜこのようなことに」とアズマを責めたが、「責任追及は後にする。とにかく誘導が先だ」とカラムの指示に従った。

彼らが手伝ってくれるようになってから、避難誘導は円滑に進むようになった。

避難者らにはとにかく早くこの研究所から退避させるため、「事故が起きた。二次被害を防ぐ為、一旦退避」と伝えるようにした。

馬鹿正直に事情を教えるより、ある程度ぼかして伝えた方が良いらしい。
100 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 16:06:31.17 ID:tFzSZnUao
 そこから暫く誘導を行っていると、カラムが突然呻き出した。
アズマが「どうした?」と尋ねるのに答えることなく、彼は近くの会議室に入ってしまった。
アズマがそれを追いかけると、部屋の端で小さくなり子供のように震えるカラムの姿があった。
カラムは呟いた。

「僕のせいだ。全部、僕の」
「僕がこんなもの見つけなければ」
「どうすればいいんだ」

「カラム、そんなことしている場合じゃ――」

アズマがカラムの肩に手をかけると、強く振り払われた。
カラムは彼を睨む。

「分かってる! 分かっているんだ! でも! でも……身体が、身体が震えるんだ。どうしようも……ないんだ」
「もう人が死んでいるんだぞ! 僕の実験のせいで……」
「何がタイムレスだ! そんなものを持たなかったらこんなことは起こらなかった! もう、嫌だ! 僕だって! 僕だって! 普通に――」

「辛い気持ちは……分かる。だが――」

アズマの言葉は、カラムに火に油を注ぐだけだった。

「君に分かる訳ないだろ! 人が死んでいるのに――」

ここでカラムは口を噤んだ。

アズマの目は言葉では到底言い表せないくらい悲しい目をしていた。

カラムは気付く。
そうだ、彼もまた――。

カラムは目から溢れかけた涙を拭い、言った。

「ごめん、アズマ。僕はもう大丈夫。でも……少し……10秒だけ待ってくれ」

*
101 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 16:07:03.43 ID:tFzSZnUao
・休憩
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/12(土) 16:13:24.09 ID:Ay/nRG+7O
乙。
超人的な頭脳を持っててもやっぱり精神は人間そのものなんやなって。
103 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 19:15:26.27 ID:tFzSZnUao
*

 二人は誘導を他に任せ、次なる行動へ出た。

「カラム、次はどうする」

「ロッカールームへ向かう。実験の工程から言えば、あの門≠閉じるには照射装置を段階的に止める必要がある」
「だが、あのなにか≠ェ蔓延る部屋でそれを行うのは不可能だ」
「強制停止を行う」

「強制停止? できるのか、そんなことが」

「できる。ただ――」

「ただ?」

「いや、何でもない。強制停止さえすればあの門≠ヘ閉じ、消え去る。そうすれば奴ら≠烽烽、増えることはないだろう」

「残った奴らはどうする。奴らは人間を襲うんだぞ」

「それは……考えていなかった。門を閉じることばかり考えていて」

「カラム、お前は考え過ぎだ。なにか≠ヨの対抗手段については俺に任せろ。相手は生物である以上、タイムレスじゃない俺でも何かしらは考えつくはずだ」

「アズ……ありがとう」

「当たり前だ」

二人は拳をぶつけ合った。

*
104 :急に始まってすいません  ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 19:38:32.75 ID:tFzSZnUao
*

 ロッカールームにもちろん誰もいなかった。
カラムは自分のロッカーを開けるとUSBメモリを取り出した。

「これはなんだ」

アズマは聞いた。

「これを観測室にあるメインコンピュータに差し込み、データを入れるんだ」

「それだけでいいのか」

「ああ、それだけ。データを読み込むと全ての装置が強制停止する。もちろん照射装置もだ」

「用意がいいな」

「ああ……元々実験は失敗すると思っていた。万が一の為にこれを用意していたんだ。まさか、ここまで被害が及ぶとは思っていなかったし、事故発生時であっても手動で装置を止めることを想定していたからね。持ってきていなかったんだ。それがまさか……」
「いや、今そんなことは気にしていられない。とにかく、これが僕の最終兵器≠ウ」

 カラムは、この話をしている間終始俯きがちだった。
更に言えば、さっきからカラムの様子がおかしい。
重責によりパニックを起こし、会議室に引きこもったのは仕方がないとして、「ロッカールームへ向かう」と言った時の何か決意したような表情をアズマは見逃さなかった。
何かを諦めるような悲しい表情、そして決意をした勇気の意志が込められた瞳。友人としてその意味を知る必要があった。
アズマは意を決して、彼に聞いた。

「カラム。お前……俺に何か隠していないか」

「いや、何も」

「……言ってくれ」

「何言ってるんだアズ。君には何も隠し事なんかしないよ」

「そうか……」
「そうだ、カラム。お前、そのUSBを入れに行く時、俺も着いて行くだろ? その時――」

カラムは目を逸らした。

「……おい、カラム。お前――」
「あの危険な観測室へ独りで装置を止めに行くつもりなのか!」
105 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 19:55:59.01 ID:tFzSZnUao
カラムは観念して話し出した。
観測実験の終了及び基本世界と並行世界とを繋ぐ門を閉じる為には、ある段階を踏まなければいかない。
まず照射装置の照射線量を徐々に減らし、並行世界とのつながりを断つ。
次に、疑似星雲ガスを半減させて行き疑似宇宙空間状態を解除。
更に、大気圧を戻し、真空状態も解除。
最後に除染。
この工程を行わなくてはならない。

つまりは、カラムの持つUSBとはその工程を全て行わない上で全ての装置を切ってしまうということであった。

それがどういう状況をもたらすのであろうか。
照射装置の緊急停止により門は突然閉じられる。
門から溢れていた強いエネルギー反応は行き場を失い、装置によって安定を保っていた疑似宇宙空間と反応を起こす。
その時、大気圧の安定しない実験室内の空間体積が膨張と強い光、つまり放射線を発生させるのである。

簡単に言えば、致死量の宇宙線を生身で浴びる、ということ。

USBを使った強制停止を使えば、カラムの死は免れないのである。
106 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 19:56:26.68 ID:tFzSZnUao
・休憩
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/12(土) 20:21:52.03 ID:XdaAmYP50
108 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 21:23:50.64 ID:tFzSZnUao
・再開していきます
109 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 21:54:36.97 ID:tFzSZnUao
「助かる道はないのか?」

アズマは聞いたが、カラムは首を振るばかりであった。

「……なら俺も着いて行く」

「ダメだ。これは僕にしかできないことだ」

「どうしてもか?」

「ああ。これは僕の責任の取り方だ」

「責任の取り方」。この言葉にアズマは違和感を抱いた。
責任とは何を指して呼んでいるのだろうか。
実験を終わらせる責任――それは0911を呼べば政府公認のヒーローが対応してくれる可能性もあるが、到着まで何か≠フ侵攻までは間に合わない。
人を死なせてしまった責任――それは危険性を知る彼に実験を強要したコンラッドらに向けられるべきであろうとアズマは考える。

実際、この強制停止は、並行世界研究を深く知るカラム自身にしかできないことである。
しかし――しかし、だ。彼が言う責任とは、本当に彼が死を以て行える程大きいものなのであろうか。そうだとすれば、これ程残酷な運命はない。

アズマもU.S. Armyの一兵士として戦っていた時も、機密保持部として情報漏洩を行う者に制裁を加えることにも責任を感じ、行っていた。

だが、友人としてカラムの感じている責任はそれとはまた違う。
タイムレスとしての責任だ。
先程彼は自信がタイムレスとして生まれたことへの怨嗟を口にしていた。それ程、彼の責任は重く常に彼の背中にのしかかっていたものなのである。
それは、アズマがカラムに初めて出会った時から、いやそれより前から抱いていたものなのであろう。

「大いなる力には、大いなる責任が伴う」

ある本に、そんな言葉があった。
だが、その責任は大いなる力を背負う者だけが払うものなのか。
アズマは答えを出す。断じて否。

「カラム、観測室にはまだあの蟲がいる。お前はその中で作業を行えるのか」

「いや、それは――」

「カラム、リンは元気か」

「ああ、今日も――いや、今そんな話関係ないだろう!」

「……お前が停止作業を行う間、俺はあの蟲を引き付ける」

「アズマ!」

「俺も着いて行く。いいな」

「……後悔、しないのかい」

「なあ、カラム。お前と初めて会った時、なんて言ったか覚えているか?」
「『友だちなんていないさ。いつも一人』」
「今は俺がいる」
「行くぞ」

大いなる責任は、時に共に、その責任を分けて背負うこともできる。
これがアズマのカラムの友人としての責任≠フ取り方であった。
110 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 22:22:36.42 ID:tFzSZnUao
 その時、カラムのPHSが鳴った。
電話はバッブからだった。電話口からは興奮したような声が聞こえた。

『オイ、カラム早く来てくれ! お前が行っていた虫みたいななにか≠チてこいつのことだろ!』

二人は顔を見合わせ、バッブが言った場所へと急いだ。

*

 確かにバッブと共に蟲は居た。
バッブは片手にパイプのような細長い金属の棒を持っており、その先には緑色の粘ついた液が付いていた。

 バッブは誇らしげにカラムに語った。

「こいつが壁を這っているのを見つけたからよ。壁を思い切り蹴って落としてやったんだ」
「そしたら仰向けに落っこちて来てわちゃわちゃ動いてるんだよ。気持ち悪いだろ? だからこいつでブッ刺してやったんだ」

アズマは仰向けに転がる蟲の表面を見た。
夥しい牙が並んだ口、芋虫のような疣足。
パイプが一突き刺さっている場所を見るに、成程この部位は甲虫のような背面より柔らかい素材で出来ていることが分かった。

蟲はピクリとも動かない。死んでいるようにも見えた。

バッブは言う。

「あいつら背中は銃も通さないが、ひっくり返しちまえばこっちのもんだ。殺せるぜ。これ」
「SSにも教えたら、観測室の方に行ったぜ」

「観測室!」

カラムは焦った。SSは早まった≠フである。
一体を偶然見つけて倒したバッブのような状況ならまだしも、観測室にいた十数匹によって見学者たちはほぼ全滅にまで追い込まれていたのである。
それはあまりにも無謀な考えなのではないであろうか。

不安はまたもや的中した。

「ゲ……」

死んだと思われていた足下の虫が嗚咽音を出したかと思ったその時――

「ゲエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ」

と泣き出したのである。

その声と共にあらゆる場所から、その声がこだまのように聞こえてきた。

「今まで俺達でやっつけて来た方からだ!」
バッブは青ざめた。

加えて避難が済んでいないという第4研究棟の方から悲鳴が聞こえて来た。

「バッブ! 君も早くこの研究所から避難するんだ! アズ、行こう!」
「ああ!」

二人は観測室の方に向かって走り出した。
111 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 22:37:15.56 ID:tFzSZnUao
 二人が観測室前に着くときには既に遅かった。
蟲達は鉄のドアを、壁を通気口を食い破り四方八方に散ってしまっているようであった。
散った先は、恐らくさっきの鳴き声が聞こえた方向であろう。倒された蟲は、最後の力の振り絞り仲間を呼ぶ、そういう寸法だろう。
目の前にはSSの死体に群がる蟲の姿があった。やはりこちらには興味を向けられていない。

「カラム、どうする?」

アズマは銃を蟲達に向けながら言った。
蟲が観測室を出、暴れ出す予測はしていたが、そのカラムの計算より十分程早く全てが進んでいた。そして想定よりさらに数が多い。

「観測室へ急ごう。早く増援を止めなくちゃ!」

二人は迷わず奥へと進んでいった。
112 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 23:13:04.86 ID:tFzSZnUao
*

 観測室の見学者は肉片も残さず食われてしまったらしい。
部屋に入ってすぐ彼らを出迎えたのは床をべたべたと濡らす一面の血の池と、蟲達の視線だった。

「カラムは装置へ急げ! 蟲は俺に任せろ!」

 アズマは彼の足に群がる蟲を蹴って落とし、仰向けになったところにすかさず銃弾を撃ち込んだ。

 カラムも観測室に入る前、SSの死体から拝借した銃を使って虫を次々撃っていった。
彼は射撃に関しては全くの素人。アズマから撃ち方を教わる暇なく、こちらへ来た為、どうしても当てるのは難しかった。

 こうして戦う内、分かったこともあった。
蟲達は何かの法則に従って、二人を襲っているようであった。
アズマに襲い来る蟲の個体数と、カラムを襲う蟲の個体数。多いのはアズマの方であった。

しかし、推理している余裕は無かった。
門≠ェ開かれている以上、蟲の数は一向に増え続ける。考えるより対処する方が先である。

「カラム! 大丈夫か!」

「装置に辿り着いた! 君は!?」

「足を少し噛まれた! 相手がゾンビじゃなくて良かった!」

「蟲になっちゃうかもね!」

「冗談はよしてくれ!」

カラムはいよいよ装置へ近づき、そのメインコンピューターにメモリを繋ぐことに成功した。
113 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 23:40:11.75 ID:tFzSZnUao
アズマは自分の身を顧みず、作業するカラムに群がる蟲を撃ち殺していった。
アズマの足は多くの虫に噛みつかれたことにより、赤く爛れ、立っているのが不思議なほどであった。

「まだかカラム!」

「もう少しだよ! それまでどうにか持ってくれ!」

「ああ、大丈夫だ!」

アズマは気合だけで引き金を引き続けた


そして、彼のマガジンが尽きる頃

「インストールができたぞ! 後は起動させるだけだ!」

カラムが叫んだ。緊急停止させるまでの段取りが整ったのである。

「100、99、98、97――」

メインコンピューターがカウントを開始する。
これが0になった時、二人は強い放射線を浴び、死ぬ。だが、被害は何とか最小限に済む。

蟲達が何かを察したかのように何処かへ逃げ去って行った。今更、二人はそれらを追おうとは思わなかった。
幾ら奴らとて強い宇宙線を浴びれば一溜りもないであろう。

二人は黙してその時≠待った。
脳裏には今まで記憶が現れては消えて行った。全ては懐かしい思い出であった。

その時であった――
114 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/12(土) 23:54:47.93 ID:tFzSZnUao
 アズマの背後に人影を感じた。
振り返るとそこに居たのは――今までより更に巨大な蟲であった。
先程の蟲と同族であることには違いない。ただし今までと違うのは大きさだけではなかった。特筆すべき点としてはその姿。
アズマらの目の前に居た巨大な蟲は、ちょうどクワガタムシを擬人化したような姿をしていたのである。
アズマが子供頃読んだ漫画に出てくる虫型の宇宙人にも似ていた、非現実的な二本足で歩く生物であった。

身の丈2.5mの蟲は二人を交互に見た。

すると、黒く硬そうな大顎を縦に開き、二人に向かってこう言った。

「Na Sachin Baba」

どの国の言語かも分からない。人間の発音では難しいものであった。

相手が言葉を返せると知ったアズマは、空の銃を構え人型に尋ねた。

「何者だ」

人型は答えた。

「Na Sachin Baba」

「それが名前か」

人型はそれに足を大きく踏んで答えた。

「Na Sachin Baba!」

これは詰り会話は噛み合っていないことを意味していた。
115 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 00:04:01.44 ID:MNobfxzCo
 人型は片手に持つクワガタの角のような形状の武器を引き摺りながら、アズマへ近づいた。

 瞬間、ガンと何かを弾いた音がした。

アズマがその音の出所を見ると、そこには人型に向けて銃を放ったカラムがいた。
カラムは震える手から銃を落とした後、言った。

「僕の親友だ。僕の親友に……近寄るなッ!」

力の差は歴然であった。
その相手に手を出すのは愚かな行為に他ならない。なのに何故。
アズマが「やめろ!」と叫ぼうとしたその時――


「ぐっ」


カラムの小さな悲鳴が上がった。


彼の胸には人型の持つ剣が深々と突き刺さっていた。
116 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 00:20:35.61 ID:MNobfxzCo
剣は素早く引き抜かれ、そこから血しぶきが上がった。

「カラム!」

アズマは痛む足を引いて、倒れ伏した彼の元へ近寄った。
それを見た人型は

「Lyarigareni」

とだけ言い、二人を追撃することは無かった。


カラムは痛みを感じることすら出来なくなっていたのか、自分の返り血に染まる天井をぼうっと眺めていた。

「カラム! カラム!」

アズマの必死の叫びも彼には届いていないようだった。

「起きてくれカラム! 死ぬな!」

意識を失わないようアズマは彼の頬を何度か軽く叩くと、カラムはその存在に気付きこちらを向いた。

「ああ――君か――アズマ――」

「そうだ! 俺だ!」

「ああ――君とは――長い夢を見てたみたいだ――友達ができた夢……」

「夢じゃない! 友達なら居るだろ! 俺だ! ダメだぞカラム! おい! 死ぬな!」

カウントが0になれば二人とも死ぬ。そう知っていながらも目の前の致命傷を負った親友に、そう声をかけるしかないアズマであった。

「ああ――ああ――そうだ――」




――僕らは友だちだ
117 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 00:29:49.26 ID:MNobfxzCo
――そりゃたまにケンカする時だってあったさ

でも、次の日には一緒にいつもの店でタコスを食べに行っていただろ?

最初は二人目も合わせずに店に入って、帰りには笑いながら出ていく

いつものことさ


「カラム、死ぬな!」

「――あのUSBには――僕の研究のすべてと――具体的な危険性――それと――安全性が確立された際の使用方法が入っている――」


僕らは友達

それはいつどんな時だって変わらない事実


「――何となくだけど――君は――まだ――こっちには来ないと――思うんだ」

「何を言ってるんだカラム!」

「――リンには――代わりに――謝っておいてくれ――あと――『愛してる』と――」

「おいカラム! そんなこと言うな!」


「だからさ――大丈夫だよ――初めて会った日」
「君が僕に話しかけてくれた言葉、覚えているかい――?」
118 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 00:34:18.49 ID:MNobfxzCo
*

「隣、いいか」

「あ、ああ。はい、どうぞ――」


「キャンパスツアーは今日だったか? 友だちとはぐれたのか?」



「は? ボクのことしらないワケ? ……友だちなんていないさ。いつも一人」




「なら、またここに来た時、この場所に座ると良い。俺がいる」





「え? ……いいの? ほんと?」






「はは、気にすることない。一人で食う飯は、マズい」


*

 カラムはアズマの腕の中で長い眠りに着いた。

*
119 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 00:34:44.95 ID:MNobfxzCo
・休憩。もうひと頑張りします
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 00:39:20.30 ID:nv2aKGWkO
カラム…逝ってしまったか…
121 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 01:21:39.91 ID:MNobfxzCo
・再開します
122 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 01:22:20.99 ID:MNobfxzCo
*

 カウントは20を切っていた。

「Lyarigareni Lee!」

と叫び、手を広げる人型。

アズマはそれにわき目も振らず、装置の方へと走って行った。
彼はメインコンピューターに刺してあったUSBメモリを抜くと、それを強く抱きかかえ、その場に蹲った。

 人型はアズマが自信を無視したことに腹を立て、こちらへ走ってきた。

その瞬間――


「3、2、1、停止」


 強い光が、破裂音が、衝撃が、放射線が、観測室と実験室を焼いた。
並行世界へと繋がる門はここに急速に閉じられ、疑似宇宙空間膨張と共に崩壊を告げた。
実験室と観測室を隔てる強化ガラスも膨張により砕け、無重力の中に浮いた。

強い熱と放射線に晒されたアズマの身体は、内側及び外側から焼き尽くされ、蹲った姿勢のまま徐々に黒く焼け焦げた灰の塊へと変化していった。




そして、再構成が始まった。
123 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 01:43:33.22 ID:MNobfxzCo
・中断します。これで1/3くらい

・意見、アイデアについてはまだまだ募集中です! 皆からの感想励みになります! ありがとうございます!

・ではこのへんで
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 01:44:23.98 ID:nv2aKGWkO
乙乙
続きが気になる…!
125 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 09:05:41.72 ID:MNobfxzCo
・続けて行こうと思います
126 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 09:38:41.13 ID:MNobfxzCo
 一度灰になったアズマの身体は残されたメモリを中心に今一度、人の形に戻り始める。
理由は分からない。現にこの現象が及んだのはアズマだけである。その足下に横たわっていたカラムの身体は跡形もなく消え去っていたのだから。

しかし、アズマが再構成されたその姿は、今までの彼の物とは似ても似つかないものであった。

*

 以前人型の蟲は身体に傷は付けど、そこに立ち続けていた。
どうやら彼らは、放射線に耐性があるらしい。それもそのはず、疑似宇宙空間に繋がれた門から彼らは生身≠ナここまで来ていたのである。
人型は初めて見る異世界の生物人間≠フ脆さにため息を吐いた。
そして考える。どうしてこの程度の力しかない彼らが、自分の知識を凌駕する機材で、平行世界から自分たちを呼び出すに至ったのだろうと。

人型の彼≠ノは、先ほどまで人を襲っていたなにか≠ノはない知能があった。
故に考える。

(門≠ェ塞がれたことで、帰る場所は無くなった。同朋もない。さて、どうするか)

*

 アズマは目を覚ました。身体が妙に重く、そして熱い。
内側から込み上げてくる熱い血が皮膚の下を拘束で巡っているような感覚を受けた。
目を開けて、ふと自分の手を見ると、皮膚が固く黒く変わっていた。

(熱を受けて焦げたのか?)

最初はそう思ったが、すぐにそうでないことが分かった。
黒く固くなったのは手だけではない。全身に及んでいるのだ。

 それは皮膚というより甲虫のような皮膚骨格に近い形をしていた。
何故か彼は、自分がまだ生きていること、自分の姿が変わってしまったことに思いのほか混乱はしていなかった。

それより気になるのは、その皮膚骨格の下に感じる熱い血、というか液体の流れであった。
マグマのように熱い液体は無限に自分の中を巡り、何かを待っている様子であった。しかし彼は、その液体達≠ェ何を待っているのかは分からなかった。


「Ha Nuanua!」
「Lee!」


その時、聞き覚えある声が聞こえて来た。人型のものであった。
今の彼には、人型の意志が分かる。
「来い」「かかって来い」という意志である。彼はそれに従う。
彼の内に巡る体液達≠ェ語り掛けるのに従うように、人型を倒すべく走り出した。


人型は、そこに立つ変態したアズマを一瞬、自分と同族と見間違えた。
が、彼から溢れる悪意と並々ならぬ敵意がそうではないとすぐに感じさせ、すぐに剣を構え、応戦の姿勢を取った。
127 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 10:11:37.02 ID:MNobfxzCo
 アズマは人型が振り下ろす剣を素早く避け、その利き腕を持ち、関節を突いた。
人型は初めて喰らうその技術的な攻撃に純粋に感動した。自分の身の丈より小さな者が、小さな力だけで自分の剣を簡単に奪ってしまったからである。
U.S. Army仕込みの格闘術は、相手の無力化に長けた組み技重視の格闘術。
戦士然とした人型の大ぶりな太刀筋を見極めるのは容易なことであった。

アズマはそのまま、カラムにされたのと同じように、奪った剣を人型の胸に突き立てた。
しかし刺さらない。
人型の頑丈な外皮は刺突を一切受けつかない。
何より剣が大きく、重すぎた。これを扱うことができるのは、あの人型と同じくらいの蟲でなくては難しいらしい。

人型は続いて、アズマに打撃を与えた。
アズマは剣を立てて、防御するが、衝撃は彼の身体を剣ごと貫いた。

一撃が重い。

アズマは燃え盛る観測室の壁に叩きつけられた。
頭を強く打ち、目が回る。だが、思っていたより痛みはない。
自分がこの姿≠ノなったことにより、皮膚骨格がある程度のダメージを吸収したのであろう。
ならば次はどう出るか。どうやってあの人型を殺すか。

考える隙を与える暇なく、人型はアズマの元へ近づき、烈しく殴打した。
アズマは磔にされる形で壁にめり込んでいく。

殴られ続けたからか、さすがの彼の黒い皮膚骨格にもヒビが入り始めた。
128 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 10:59:03.08 ID:MNobfxzCo
 アズマは既に自分の身体は何らかの理由でタイムレスへと覚醒≠遂げたことを悟っていた。
黒い皮膚骨格、鋭い爪、強い力。異形の姿が何よりもの証拠であった。
タイムレスは、後発的に覚醒することもあるが、自分もその一例だとアズマは冷静に理解できた。

それは何故か。

殴られる中でアズマは考えた。


そこで彼の耳元に声が聞こえて来た。

『怒れ――』

『もっと深く怒れ――』

頭に響く声にアズマは気づいた。

何故、これ程にも自分が落ち着いているのか。
何故、この状況に自分は適応しているのか。

理由は簡単だった。
今、自分は怒りに支配されている。
親友を殺された怒り。何もできなかった自分への怒り。人型への怒り。
これが逆に自分自身を冷静にしていたのである。

(怒り? この俺が?)

兵士だった頃のアズマは、相応のメンタルトレーニングにより強靭な精神を手に入れていたはずであった。
責任と感情は必ずしも一致しない。
親友がたとえ目の前で殺されたとしても、だ。
怒りや悲しみなどの一感情で武器を振るえば、作戦に支障が出る。
感情の無駄な動きは行動を阻害する物に他ならないとして、彼は今までも入隊後もそして今もそう思ってきた。

それは違う――体の内を巡る液体達≠ヘ答えた。

そう。

これは血液ではない。

これは今までアズマが押さえて来た怒り=Bそれが流体エネルギーとなって彼の身体の中を巡り声をかけていたのだ。
129 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 11:21:05.81 ID:MNobfxzCo
(でも――どうやって?)

彼は怒りの発散の仕方を知らなかった。

怒りは原初の感情だ、と怒り≠ヘ答えた。
怒りとは防衛本能から生まれた感情。恐怖から身を守るための感情。攻撃意志を伝える感情。

発散するのも簡単で良い。怒り£Bはそう伝えた。

(簡単に――)

込み上げるものが怒りだとすれば、と考えたアズマは殴られながら、その手を人型の顔面に黒い右手かざし

(簡単に――)

怒り≠放つ<Cメージをした。


アズマの黒い外皮が弾け飛んだ。不思議と痛みはない。
外皮の下から現れたのは赤く輝く腕であった。
それが現れた途端、そこから強い力が放たれた=B

それを当てられた人型は軽々と吹き飛んだ。

「これが……怒りか!!」

アズマは壁から抜け出て叫んだ。

「来い人型! 人の肉より、カラムの痛みと俺の怒りの方が美味いぞ!!」
130 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 11:46:17.11 ID:MNobfxzCo
「Uaaaaaaaaaaaaa!」

人型がこちらへ向かってくるところをアズマは次に左手をかざして怒り≠放った。

左手の外皮が崩れ、強い熱衝撃が飛ぶ。
が、当たったのは研究室奥の壁だった。壁は爆発音と共に崩れ落ちた。

 アズマは、人型の接近を許してしまった。彼は人型に首を掴まれ、放り投げられる。
胸を強く打ち、息ができない。そこに人型はマウントポジションを取る。
人型はアズマの髪を掴み、何度も地面へ叩きつけた。
脳が揺れ、先ほどのめまいなど比にならない程のダメージを感じた。

反撃のつもりでもう一度、右手をかざしたが、次は何も出なかった。

(あの外皮から一度解き放ったエネルギーは出ないのか)

 アズマは推理した。次の一手を放つなら外皮の残る胸か脚からしかない。

この距離なら、当たる。
胸の外皮からエネルギーを解き放った。

怒り≠ヘ人型の胸の外皮を抉りながら、空中へと吹き飛ばした。
空中で無防備になった身体目掛けてアズマは剥き出しの腕で、人型の胸に何度もパンチを繰り出した。

人型は度重なる攻撃を受けて地面へと叩き落ちた。
131 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 12:11:56.06 ID:MNobfxzCo
ふら付き立ち上がった人型は、雄叫びを上げ、もう一度アズマへ向かって行く。


一方アズマはと言うと、怒りが頂点に達していた。
初めて触れる本気の怒りは彼を支配し、今や感情に任せて戦うだけの機械と化しつつあった。



一閃。



人型の胸には、彼がアズマにより一度奪われた剣が深々と突き刺さっていた。

アズマが人型の胸を狙って攻撃し続けていたことで、装甲は時間が経つにつれ脆弱なものとなっており、彼はトドメにそこを目掛けて剣を放ったのであった。

「Mullez……!」

人型は笑ったように顔を歪めると、ドサリとその場に倒れこんだ。
132 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 12:18:35.54 ID:MNobfxzCo
*

 カラムの研究室から上がった炎はやがて勢いを増し、全てを焼き尽くさんとしていた。
その中に彼≠フ姿があった。
獣のように吠える彼は、研究所に残る蟲の駆除を行っていた。

それが彼自身の意志で行っていることなのか、怒りに身を任せそれをぶつけているにすぎないのかは誰にもわからない。

ただ、絶対に開かれぬ右手の拳の中には、一つのUSBメモリが握りしめられていた。

*
133 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 12:25:02.94 ID:MNobfxzCo
*

 それと時を同じくして、焼ける研究所の中から現れた一人の男性が救急隊に保護された。

彼は顔面左半分に渡る酷いやけどと、足に銃で撃たれた跡があった。

彼は保護された当時、気が触れたように笑い続け、救急隊や警察の質問に答えることができなかった。


彼の名前は――

コンラッド=バジョット

カラム=チャーチル博士の実験の見学に来ていたNROの上級顧問だった。

*
134 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 12:26:21.79 ID:MNobfxzCo
#2 Insect

to be continued…
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 12:29:46.17 ID:n9xyr5ja0
136 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 12:36:27.29 ID:MNobfxzCo
Next…

First Timeless Hero:Ultimate fate of the universe

#3 Chaser 苦悩
 異形の姿へと変わったアズマを待っていたものとは、警察からの取り調べと政府直轄超人保護局の監視であった。
一時の自由を許された彼は、カラムの妻――リンの元へ向かおうとする。しかし、その行く手を阻んだのは且つての恩人コンラッド=バジョットだった。
コンラッドはアズマの持つカラムの形見≠渡してほしいと告げるが――
137 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 12:52:14.46 ID:MNobfxzCo
【#1解説】
・このコーナーでは話の中で説明しきれなかったことを今後のネタバレをしない程度に解説します

☆また予告と微妙に違くね?:許してください。#1で収めたかった話を#2まで延長してやっと収束しました

☆これからどうなるの?:実はここから先、何となくしかきまっていません。これから安価の力に頼ろうと思います

☆ジャスタス=アクロイド:気に入ってます

☆二人は拳をぶつけ合った:ウェイ系がよくやってるアレです。米本国では「フィストタッチ」「フィストバンプ」と呼びます。

☆0911:米本国の通報は911ですが、この世界では0911に電話することで状況によって政府公認のタイムレス通称「ヒーロー」を呼んでくれることがあります。ヒーローに会いたいばかりにいたずら電話が後を絶ちません。

☆ヒーロー:政府に公認され且つ人命救助・犯罪者逮捕の為にその力を使うことを許された職員をそう呼びます。カラムは政府公認タイムレスですが、研究職に就いているので関係ありません。タイムレスにだって職業選択の自由がありますん。

☆人型の蟲:彼らが喋る言語はGoogle翻訳で再生可能です。イメージに近い音を組み合わせて作りました。文法もあります。

☆後天的なタイムレス覚醒:タイムレスとしては、生まれつきの次に多い発生理由です。理由は不明です。
138 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 12:56:52.74 ID:MNobfxzCo
【refer to…#2】
・このコーナーでは皆さんのこんなアイデア・意見を参考に書いたことをお知らせするコーナーです。皆の意見がこんな感じで反映されているとお話しします。

☆別の世界を繋ぐワープゲートの入り口:本文内での『門』にあたります。現在は塞がれて蟲も増えることはないでしょう。
139 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 13:06:08.85 ID:MNobfxzCo
・中断……その前に、これを見ている方に相談したいことが

・次回、話の中にアズマの友人or知り合いを登場させたいのですが、まだどんなキャラにしようか思いついていません

・皆さんのアイデアや意見を見て、それを元に妄想を膨らませます

【聞きたいこと】

・どんな友人or知り合いがいてほしいですか?

・コンドー=アズマというキャラについての質問はありますか?

・具体例を出してもOK

・関係ない質問でもOK

・ではここから30分ほど受け付けます
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 13:13:25.79 ID:cATJRAT8O
カラムとは違ったおちゃらけた性格とか良さそう、陽気な黒人枠的な
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 13:23:55.62 ID:n9xyr5ja0
相棒的立場のクール系同僚女子とかほしい。
あとアズマがarmy入りした経緯とか知りたい。
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 13:29:04.88 ID:+ZsbLaeb0
アズマ以上に精神をやられる任務に付いてるけど、お互い隠した上で付き合ってる感じ
超精神的に強いけど、葛藤とかはすでに諦めててそれ以外でストレス発散してる
143 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 13:36:40.39 ID:MNobfxzCo
・一旦中断

・意見、アイデアについてはまだまだ募集中です! 皆からの感想励みになります! ありがとうございます!

・友人・知人のアイデアは引き続きお願いします! それ以外のことでもOKです!
144 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 16:12:18.64 ID:MNobfxzCo
・再開します

・質問はない感じかな?

・何となく思いついてきました

・では、これを踏まえて設定を更に募ります。

・知人・友人でなくても、他の設定でも敵でもOK

・#4では具体的な敵キャラの募集を考えています。

↓1〜3【キャラや設定についてアイデアください】
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 16:18:46.04 ID:cATJRAT8O
かつてカラムの行った実験とは全く違ったアプローチで偶然、異世界の存在に遭遇した人物がいる(事実上は抹消されている)
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 16:50:30.72 ID:n9xyr5ja0
身長が高くスレンダーなクールビューティー、アズマとは旧知の仲。冷徹な女性に見られがちだがその実誰よりも心を痛めている。
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 16:57:11.43 ID:n9xyr5ja0
平行世界の虫の残骸を研究した結果、様々な違いこそあるものの遺伝子レベルではこの世界の虫と同一なもの。しかし見たこともないDNAが組み込まれている。
148 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/13(日) 17:03:47.19 ID:MNobfxzCo
・ありがとうございます。どんなキャラを出すか見えてきました

>>145は確かにおいしい設定だなあ。これ違う話で出すかも。次の主人公はキマッてます

・では#3をお待ちください

・意見、要望、アイデアについてはまだまだ募集中です! 感想励みになります! ありがとうございます!

・ではこのへんで
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 17:11:42.78 ID:+ZsbLaeb0
DNAが同じなら、実は並行世界ではなくこの世界の未来だったとかいうオチはどうだろう
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 17:15:26.09 ID:cATJRAT8O
あくまでも可能性の一つとしての未来とかの設定が欲しくなる
151 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/14(月) 19:47:41.50 ID:mre5kRA2o
・再開します

・今回は次回の内容についての助言です

・次回、アズマと戦うキャラ(アズマにとっての敵)が出てきます。独りはどんなキャラにするか決めました。ですが、もう一人についてが決まっていません。

・皆さんのアイデアや意見を見て、それを元に妄想を膨らませます

・最悪キャラ安価を前倒して行おうとも考えています。

【どんなキャラかというと】

・ヴィラン寄り

・人間(タイムレスであっても無くてもかまわない)

・あるキャラの手下或いはそのキャラに雇われている

【聞きたいこと】

・どんな敵が出てくると面白いですか?

・具体例を出してもOK

・関係ない質問でもOK

・ではここから30分ほど受け付けます
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 19:53:05.85 ID:5sVGmO/N0
例えば、こちらの人間以上に平行世界の知識や科学力があり、平行世界をコントロールしようとするとか?
敵のイブはヘルメットと課で顔を隠していて、ベタだけど平行世界のアズマとカラムとかいうオチとかはあり?
あと敵組織の具体的な事とか決まっている?

敵は「見た目は人間だけど、顔と体から人食いの化け物になる。敵の組織に雇われている男。口が悪い」とかどうだろう?
153 : ◆RbLyhCxL4nw3 [saga]:2017/08/14(月) 20:02:58.46 ID:mre5kRA2o
>>152
 実はオチというか着地点は決まっていて、その内容はネタバレを避ける範囲で答えるとなると壮大なものにはならないとしています。
あくまで壮大なのはカラムの発見とそれがもたらした影響と遺した物なので。
なので、壮大な設定を(今のところ)持つ敵キャラが現れるとややこしいことになるかなーと思うので、それは避けます。
実はこの物語、既に決まっていることが多く、今回カラムがアクセスした並行世界についてや、人型の正体などはここで話されるかはともかく決まっているのです。
そうしないと話が破たんしそうなのでそうならないように、やっています。

 今回の敵組織の目的は#3の本タイトルを読むと何となく見えてくるかと思います。
また、予告を見るとどのキャラの手下かも分かるかと思います。
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 20:08:02.86 ID:5sVGmO/N0
俺以外人が来ないような気がするからアゲておく
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 20:12:16.57 ID:zRaK7q5A0
見てるけどどんな質問すればいいのかわからぬ。
どんなのが敵がいいっすかね?
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