西住みほ「いつの間にか私が不良として認知されていました」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 19:10:48.71 ID:7LHjJAojo
大洗女子学園 2年A組 教室

みほ「はぁ……」

みほ(今日からここで新しい学生生活が始まるんだ……うまくやっていけるかな……。友達、今度こそできるかな……)

みほ「最初、最初が肝心って……お姉ちゃんも言ってたし……」


まほ『初対面の者と話すときは、なるべく目を見たほうが良い。もし視線を外したり、泳がせてしまえば不信感を抱かせることになる』


みほ「目を見て……しっかりと話す……それだけ……それだけ……」


華「あの方、先ほどから教室の前で何をされているのでしょうか?」

沙織「ていうか、見たことなくない?」

華「大洗の生徒も多いですから。見たことがない人がいても不思議ではないかと。それに珍しくはありますけど、高等部から大洗に通う人もいるみたいですし」

沙織「それもそっか。なんか困ってるみたいだし、ちょっと声かけちゃおーっと」テテテッ

華「あ、沙織さん」

沙織「ヘイ、彼女。なにしてるの?」

みほ「はい?」ギロリッ

沙織(目つき、ヤバ!! かなりこわいんだけど!!)ビクッ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1499854248
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/12(水) 19:11:58.73 ID:LiOUbNpQ0
お送りします [saga]

以降P表記のモバP「思いの外ドッサリ買い込んじゃったなぁ」トテトテ

P「こう暑い日が続くとアイスとかジュースとかばっかりになるよなぁ…夏なんて何のために存在するんだよスイカの為か?」

タッタッタッタッタッタッタッ

P「はぁ…外あっちぃ。早く冷房のきいた部屋に戻らねば」

タッタッタッタッダダダダダダダダッ

P「うん?何やら背後から殺気が」

飛鳥「レゾン・デートル!!」ゴスッ

P「脊椎が!」

飛鳥「やぁプロデューサーこんな道端でどうしたんだい?」

P「お前、誰の、せいだと」ゲホッ

飛鳥「ふふ、相も変わらずキミの周囲は非日常なセカイが広がっているみたいだね」

P「げふっ…、取り合えず突然のダイビングクロスチョップの理由を聞こうか」

飛鳥「それは胸に手を当ててみるといいよ」

P「お前の?」

飛鳥「自分の!」

P「冗談だよ。手を当」

飛鳥「手を当てるほどもない、なんて言ったら封印されし左腕の雷帝が火を噴くよ」スッ

P「…身に覚えがないんだけど」

飛鳥「そうかい。だったら己が罪、直接その瞳に映してみるといい」

P「…?どうした飛鳥。何かエクステめっちゃニュルニュルしてね?」

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 19:15:43.37 ID:7LHjJAojo
みほ(知らない人に声をかけられた……!! 目線を外さないようにしなくちゃ……!! 友達を作るチャンスかも……!)

みほ「私に何か?」

沙織「あー、えっと……」

みほ「……」

沙織(すっごく睨まれてるよぉ……な、なになに……この子……)

みほ「なにか?」

沙織「いや、何か、困ってるのかなーって思って……」

みほ「困ってはいません」

沙織「そ、そうなんだー。あはは。ごめんねー。それじゃあ」

みほ「それだけですか」

沙織「う、うん。それだけ」

みほ「……」ジーッ

沙織「ご、ごめんなさーい!!」

みほ「あ……」

みほ(逃げていった……どうしたんだろう……)
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 19:21:43.24 ID:7LHjJAojo
沙織「はなぁぁ」

華「どうだったのですか?」

沙織「なんか、すっごく怖い子だった……」

華「そうなのですか? とても優しそうな雰囲気ですけど」

沙織「でもでも、目つきとか鋭くて、一切私から視線外さないんだよ!?」

華「何か武芸でも嗜んでいるのでは?」

沙織「そんな風には見えないから、怖いんだって」

華「人は見かけによらないといいますから」

沙織「あー、怖かった……」

華「沙織さんがここまで怯えてしまうなんて、初めてみたかもしれません。少し興味が沸いて来ました」

沙織「ダメだって。気軽には話しかけない方がいいと思う」

華「そうですか……」

みほ「……」キョロキョロ

みほ(上手くなじめるかな……不安だなぁ……)

みほ(とりあえず、教科書を机に……)ゴソゴソ
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/12(水) 19:26:05.80 ID:rUawhqGt0





























































ああ
2017/07/12(水) 17:38:04.11ID: FO/WkdNt0 (4)
372: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]
乙です
2017/07/12(水) 17:46:27.91ID: HeBea9beo (1)
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6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 19:35:11.34 ID:7LHjJAojo
担任「新しいクラスになりましたし、一人ずつ自己紹介をしてもらいます」

みほ(来た……!! 大丈夫、この展開は予測通り。ばっちりここを乗り越える作戦は練ってきてる……)

みほ(ノートに書いた自己紹介文。私の話す速度ならピッタリ60秒。十分、私をアピールできる)

担任「窓際の一番前からいきましょうか」

みほ(今の内に復習しておかないと)ゴソゴソ

みほ(今年度から黒森峰女学園より転校してきました、西住みほといいます)

みほ(大洗のことは何も知らなくて、皆さんには色々とご迷惑をかけてしまうこともあると思いますが、よろしくお願いします)

みほ(私はボコシリーズが小さいときから大好きで、ぬいぐるみをたくさん集めています)

みほ(もし、ボコのことが大好きな人がいたら教えてください。それでできればボコ愛好会を作れたらいいなって考えています)

みほ(そういうのって難しいかもしれませんけど、とっても楽しいと思うので是非声をかけてください)

みほ(目指せ、ボコ道!)

みほ(……よしっ)

担任「では、次の西住さん。お願いします」

沙織(お、あの子の番だ)

華(西住さんというのですか)
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/12(水) 19:35:53.60 ID:9e2L3/zM0





























































ああ
2017/07/12(水) 17:38:04.11ID: FO/WkdNt0 (4)
372: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]
乙です
2017/07/12(水) 17:46:27.91ID: HeBea9beo (1)
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8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 19:43:15.50 ID:7LHjJAojo
みほ「……」ブツブツ

担任「……西住さん?」

みほ「……たく……ボコ……ボコ……」ブツブツ

ザワザワ……

担任「西住さん!」

みほ「あ、はい!?」

担任「自己紹介をお願いします」

みほ「は、はいぃ!」ガタッ

みほ「あー、えーと……」

みほ(そうだ……! まずはみんなの目を見ないと……ええと……)

みほ「……」ギロッ

ザワザワ……

沙織(なんでみんなを睨みつけてるの……!?)

華(皆さんの顔を一瞥してから話すなんて……。厳しい礼儀作法を叩き込まれたのでしょうか。格式あるお家で育ったのかもしれませんわ)

みほ(これでよし。次はノートに書いた通りに喋るだけ……!)
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 19:51:33.44 ID:7LHjJAojo
みほ「……」

沙織(黙ってるんだけど……)

華(どうかされたのでしょうか)

みほ(どうしよう……あたまが……まっしろに……ええと……ええと……)

みほ「く、黒森峰女学園より、転校させられた、西住みほ……」

ザワッ……

沙織「(ねーねー! 華! 今、転校させられたって言ったよ!? なんか問題起こしたんじゃない!?)」

華「(緊張で言葉を間違った可能性もあるのでは?)」

沙織「(そ、そうなのかなぁ……)」

みほ「私は……皆さん……ボコ……ボコ……にできれば……いいなって……おもってます……」

ザワザワザワ……

沙織「(ちょ!? 華!! あの子、かなり危ないって!!!)」

華「(見かけに反してかなりアクティブは方なのですね)」

沙織「(そういう問題じゃないってばぁ!!)」

みほ「ご迷惑をおかけすることになりますが、よろしく……お願い……します……」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 19:57:59.05 ID:7LHjJAojo
担任「……」

みほ「……」

担任「お、終わりですか?」

みほ「まだ、何か言わないといけませんか?」

担任「だ、大丈夫です! つ、次の人、どうぞ」

みほ「……」

沙織「(あの子、不良なのかなぁ。大洗を一人で征服しちゃう気なんじゃない?)」

華「(とてもそうは見えませんけど……)」

沙織「(けど、みんなをボコボコにしたいって言ってたじゃない)」

華「(皆さんを笑顔にするための冗談だったのでは?)」

沙織「(それっぽく言ってないし、結構本気のような……)」

華「(そうですねぇ……)」

みほ「……」

みほ(作戦、失敗……)

みほ(このままじゃ、ここでも友達なんてできない……! 次の作戦を練らないと……)
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 20:02:55.95 ID:7LHjJAojo
昼休み

「お昼、どうするー?」

「食堂いこー」

みほ「……」

みほ(そうだよね。あんな自己紹介だと、誰も声なんてかけてくれないよね)

みほ(ボコは子供っぽいもんね……)

みほ(でも、いつかボコが大好きって人に会いたいな……そんな人と友達になれたら……)

みほ「えへへ……」


沙織「一人で笑ってるよ……」

華「取り込み中のようですね」

沙織「とりあえず、食堂いこっか」

華「お声、かけなくてもいいのですか」

沙織「もうちょっと西住さんのことを知ってからでもいいと思う」

華「話さなければ知ることもできないと思いますけど」

沙織「いーから、いーから」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 20:09:51.79 ID:7LHjJAojo
寮 みほの部屋

みほ「初日は失敗しちゃったけど、次の作戦が成功したらなんとかなるはず」

みほ「まずはクラスの人の顔と名前を覚えないと」

みほ「あと、誕生日も。これでぐっと話しかけやすくなるはず」

みほ(借りてきた生徒名簿を見て覚えれば一晩でどうにかできると思うし)

みほ「よしっ。やろう」

みほ「ええと……出席番号1番……」ペラッ

みほ「誕生日は……6月15日……」

みほ「次……出席番号2番……誕生日が4月……」カキカキ

みほ「あ、この人、誕生日が明日だ」

みほ「何かあげられるものはないかな……」

みほ「……」スッ

みほ「ごめんね。けど、私が仲良くなるためだから……」

みほ「本当にごめんね、ボコ」

みほ「ボコで仲良し作戦。明日、試してみないと」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 20:15:14.77 ID:7LHjJAojo
翌日 大洗女子学園 廊下

ザワザワ……

沙織「ん? なんか教室の前にすごい人だかりが……」

華「何かあったのでしょうか?」

沙織「猫田さんっ」

ねこにゃー「あ、あぁぁ……。武部さん……おはようございます……」

沙織「何かあったの?」

ねこにゃー「ボクも今、見たんだけど……」

華「見た、とは?」

ねこにゃー「教室の中央に……に、西住さんが……その、一人で……」

沙織「に、西住さんが? なんだろう?」

華「見てみましょう」

沙織「ちょっと、華!」

華「一体、西住さんが――」


みほ(どうしたんだろう。誰も入ってこない。このボコ、プレゼントできないよぉ)ギュッ
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 20:23:38.82 ID:7LHjJAojo
華「……」

沙織「華? 何が見えたの?」

華「西住さんが大きなクマらしきぬいぐるみを抱えて、教室の中央に立っていました」

沙織「な、なんで……」

華「皆目見当もつきません」

ねこにゃー「昨日の自己紹介もあって、皆教室に入ろうとしなくて……」

沙織「仕方ないかも」

華「ここはわたくしが直接、お話を……」

沙織「待って!! 華!!」

華「このままではいつまでたっても西住さんがどういった人なのか、理解することができません」

ねこにゃー「DQNとかではなさそうだけど……メンヘラ……なのかな……あるいは厨二病……?」

華「猫田さん。そういったレッテルは相手に失礼ですわ」

ねこにゃー「あぅ……ごめんなさい……ボク、ネットにつかりすぎてて……」

華「ともかく、お話を聞いてみましょう」

桃「なんの騒ぎだ!! もうすぐチャイムがなるぞ!! 各自、速やかに教室へ移動しろ!!
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 20:32:15.55 ID:7LHjJAojo
沙織「ちょっと事情があるんですけど」

桃「事情だと?」

柚子「風紀的なことかな?」

華「あるいはそうなのかもしれませんが、生徒会のお力を借りるまでもないことです」

桃「だとしてもこうして騒ぎになっているなら、事情は聞かないわけにはいかない」

沙織「そうなっちゃいますか」

ねこにゃー「黒森峰から転校してきた西住みほさんが、教室に一人でいて……」

桃「西住……?」

柚子「今年度から転入してきた人。ちゃんと届け出が3月にあったよ」

桃「分かっている。それに西住は最後の希望だ」

柚子「うん」

沙織「希望?」

桃「こちらの話だ。それで、その西住が教室にいるだけで誰も入ろうとしないのか」

柚子「そ、そんなに怖い人なの?」

華「西住さんの自己紹介時に問題があったのは認めざるを得ませんが、最初の印象だけで相手の人格まで決めつけてしまうのは間違っているとわたくしは思います」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 22:05:25.97 ID:7LHjJAojo
柚子「自己紹介?」

ねこにゃー「実はみんなをボコボコにしたいって発言してて」

桃「なんだそれは」

柚子「黒森峰では副隊長を務めていたって会長が言っていたけど」

桃「そういえば……。現隊長である西住まほはかなり厳格な人間であるという噂があったな」

柚子「普段抑圧されていた分、ダメな方向に行っちゃったのかな」

桃「可能性はあるな。去年の敗戦が理由で転校してきたいう話だが、事実は別にあるのかもしれない」

柚子「西住さんって、もしかして不良生徒……」

桃「だとしたら、素直にこちらの話に応じてくれるかどうか……」

柚子「それは困るよ、桃ちゃん」

桃「私に言うな」

華「あの……」

桃「すまない。気にするな」

沙織「気になりますって」

桃「おほん。とりあえず私たちが西住と話をしてみる。このまま騒ぎが大きくなるのは生徒会としても看過できないからな」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 22:09:32.79 ID:7LHjJAojo
柚子「いいの、桃ちゃん」

桃「会長になんらかの危害を加えられたら戦車道どころの話ではないからな」

柚子「うん……」

華「わたくしたちでも十分かと」

桃「黙っていろ。入るぞ、柚子」

柚子「分かったよ、桃ちゃんっ」

ねこにゃー「だ、大丈夫かな」

沙織「どうだろうね」

桃「失礼す――」

みほ「……」ギロリッ

桃「ひっ……!?」

柚子「西住、さん……?」

みほ(知らない人……)

みほ「なんでしょうか」

桃「あ……その、だな……」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 22:13:40.47 ID:7LHjJAojo
みほ(目を見て話さなきゃ)

みほ「なんですか?」

桃「ぐっ……。ゆ、柚子、頼む」

柚子「えぇ〜!?」

桃「こういうことは副会長の務めだろう!!」

柚子「こんなときばっかりだよね、桃ちゃん」

桃「いいから、いけ!!」

柚子「西住さん?」

みほ「はい、そうです」

柚子「どうして、そんな大きなぬいぐるみを抱えているの?」

みほ「え……?」

柚子「……」ビクッ

みほ「ダメなんですか?」

柚子「だ、ダメっていうか、そういうのは一応、校則違反なんだけど……。正門のところで風紀委員が立っていたと思うんだけど、何も言われなかった?」

みほ「分かりません。私が来た時はまだ誰もいなかったので」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 22:23:43.12 ID:7LHjJAojo
桃(誰も来ていなかった? そど子は毎日朝の7時には正門にいるはずだが)

柚子「そ、そうなんだ」

みほ「……そういうことですか」

柚子「な、なにが?」

みほ「どうぞ」スッ

柚子「え?」

みほ「持って行ってください」

柚子「あ、えーと……」

みほ「……」

柚子「はい。没収します」

みほ「……さよなら」

柚子「さ、さよなら」

桃「そろそろ戻るか」

柚子「そ、そうだね」

みほ(ごめんね……ボコ……。ボコで仲良し作戦、失敗……)
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 22:28:39.71 ID:7LHjJAojo
桃「もう大丈夫だ。皆、早く教室にはいれ」

「「はぁーい」」

華「そのぬいぐるみ、どうされたのですか」

柚子「西住さんが差し出してきて」

ねこにゃー「そ、そうなんですか。なんのためにもってきたんだろう」

桃「それはわからんが、とりあえずは解決した」

柚子「解決なのかな?」

桃「西住も大人しく席に座っている。問題はないだろう」

柚子「うーん……」


みほ(誕生日おめでとうだけでも言っておこうかな。でも、プレゼントもないのに不自然だよね……)

みほ「……」


沙織「なんか目が死んじゃってる気がするんだけど」

華「クマのぬいぐるみになにか意味があると思うのですけど」

ねこにゃー「大きいし、目的もなくもってくるわけないかも」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 22:36:43.26 ID:7LHjJAojo
生徒会室

杏「お? ボコのぬいぐるみ。どうしたの、これ」

柚子「西住さんが持ってきていたものです。その場の流れで没収してしまいました」

杏「西住ちゃんってボコが好きなのか」

柚子「それは分かりませんけど」

桃「会長はこのぬいぐるみのこと、知っているのですか」

杏「ボコられグマのボコ。昔、流行ったやつだね」

桃「はぁ……」

杏「西住ちゃんはぬいぐるみが好きなんだ。戦車だけのかたーいイメージを勝手に持ってたけど、実際は普通の女の子みたいで良かった」

桃「そうでもないようです」

杏「ん? そなの?」

柚子「もしかしたら問題を抱えているのかもしれません」

杏「ふぅん。なんで?」

桃「早朝から大きなぬいぐるみを抱えたまま教室にいるというのが既に奇行ですし、自己紹介では全員を殴るとまで発言したそうです」

杏「へぇ。面白そうじゃん。もっと聞かせて」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/12(水) 22:41:25.01 ID:Iz12LOWOo
ええね
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 22:52:20.60 ID:7LHjJAojo
2年C組 教室

優花里「……」ペラッ

優花里(月刊戦車道でも記載はありませんか。西住みほさんが黒森峰を退学したという噂は本当なのでしょうか)

優花里(心配です……。会ったこともありませんけど)

「ねえねえ、聞いた。A組にすっごい怖い子がいるんだって」

「知ってる。今朝の話でしょ? 大きなぬいぐるみを抱いたまま朝から教室にいたとか」

「そうそう。しかもそのぬいぐるみ、包帯がグルグル巻きで、体中傷だらけで、結構不気味だったって」

「えー、やだねー」

優花里(変わった人がいるんですね)

「名前って分かる?」

「確か、西住……って聞いたような……」

優花里「西住!?」ガタッ

「キャッ!?」

「ど、どうしたの」

優花里「す、すみません。なんでもありません……」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 23:02:14.39 ID:7LHjJAojo
廊下

優花里「西住……同じ苗字という可能性もありますけど……。でも、確かめてみないと……」

優花里(けど、先ほどの噂話の内容も気になりますね。テレビでみる西住みほさんはとてもぬいぐるみを抱えて一人でいるような人には見えませんでしたし)

優花里「A組。ここですね」

優花里(いるのでしょうか……)ソーッ


みほ「……」


優花里(い、いた……!! 間違いなく、あの西住みほさん……!! どうしてこの大洗に来たのかはわかりませんけど……)

優花里(なんとか……戦車道や戦車のお話をきいてみたい……)


みほ(次の作戦を考えなきゃ。このままだと大洗でも友達なんてできない……)

みほ(変わらなきゃ。戦車道を辞めて、お姉ちゃんたちから逃げ出した意味がわからなくなる)

みほ「まずは……」カキカキ


優花里(なにやらノートに書き込んでいますね。自習中でしょうか)

優花里(今は話しかけられる雰囲気ではないようですし、時間を改めましょう)
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 23:10:27.57 ID:7LHjJAojo
放課後

「バイバーイ!!」

「バイバーイ」

みほ(私もああして、お別れしてみたいな)

典子「あの!!」

みほ「は、はい!?」

典子「バレーボール、やりませんか!?」

妙子「やりませんか!?」

あけび「楽しいし、シェイプアップにもなりますよ」

忍「絶対に損はさせません!!」

みほ「あ、えと、わたし、バレーボールはしたことがなくて……」

典子「未経験者でも問題ありません!! とりあえず、これを受け取ってください!!」

妙子・あけび・忍「「おねがいします!!」」

みほ「はい!! わかりました!!」

典子「ありがとうございます!! よし!! 次いくぞー!!」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 23:18:41.18 ID:7LHjJAojo
みほ「青春、しましょう。急募、バレーボール部員……」

みほ「部活動か……」

みほ(ずっと戦車道ばかりで他のスポーツをするなんて考えたこともなかったな)

みほ「部活なら、さっきの人たちとは友達になれるかも……」

みほ「でも、私じゃ足を引っ張るだけだろうし……ダメかな……」

みほ「……」


優花里(御一人で帰るのでしょうか。それならなんとか声をかけて、一緒に登下校を……)


みほ「んー……」

みほ(ここで勇気を出さないと……きっと一生友達なんて……)

みほ「よ、よしっ」


優花里(気づかれた!?)


みほ(バレーボール、始めてみよう。私にどこまでできるかはわからないけど)


優花里(あ、あれ? 学校のほうへ戻っていく……。忘れ物でしょうか……)
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 23:25:50.19 ID:7LHjJAojo
廊下

みほ「あれ……?」

みほ「バレーボールの表記がどこにもない……。ここって部活棟だったはずなのに……?」

希美「どうかされましたか?」

みほ「え!? あ、その……こ、このバレーボール部員募集って……」

希美「バレーボール部は廃部になりましたけど」

みほ「えぇぇ〜!? でも、こうして……ビラ配りを……」

希美「部員が集まれば復活できるかもしれないっていう噂はありますけど」

みほ「そ、そうなんですか……」

希美「入部希望なんですか? それなら会長に直訴してみてはどうでしょうか。もしかしたら、バレーボール同好会での活動は認めてもらえるかもしれませんよ」

みほ「あ、いえ、ないなら……別に……」

希美「そうですか」

みほ「はぁ……廃部になってたんだ……」

みほ「……帰ろう」


優花里(何か気になる部活でもあったのでしょうか。西住みほさんとなら一緒の部活動も楽しそうです。戦車部とか作れたら……。けど、黒森峰からこちらへ来たのって……もしかしたら……)
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 23:35:03.96 ID:7LHjJAojo
通学路

みほ「はぁ……」

みほ(私って、どうしてこうなのかな)

みほ(さっきのビラ配りをしていた人たちに直接言えれば良かったのに……)

みほ「はぁ……」


優花里(話しかけてみたい……。こうしてずっと後をつけてしまうのも気が引けますし……)

優花里(でも、なんとお呼びすればいいでしょうか……。西住さんやみほさんでは、馴れ馴れしいですし、西住様ではちょっと違和感があります)

優花里(うーん。西住副隊長!! では、問題が多そうです)

優花里(西住みほさんを尊重しつつも、親しく呼びたいですね。あぅ、これは私の我儘でしょうか)


みほ「……ん?」

みほ(誰だろう?)


優花里(西住提督……ちがう……。西住氏! しっくりきませんね……)


みほ(つけられてる……? わけないよね。帰る道、一緒なのかな?)
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/12(水) 23:51:35.20 ID:7LHjJAojo
アイスクリームショップ

沙織「やっぱさぁ、西住さんってかなりのワルだったんじゃない?」

華「そうでしょうか」

沙織「あの目つきに行動だよ? 相当な不良だったと思うなー。麻子もそう思わない?」

麻子「会ったことも話したこともないから、なんとも言えない」

華「冷泉さんも今朝のお話は聞きました?」

麻子「沙織から聞いている。昨日の自己紹介でもおかしなことを言っていたらしいな」

沙織「全員をボコボコにできればいいなって、普通言わないって」

華「違うことを言いたかっただけかもしれませんし」

沙織「どう違うように言えるの」

麻子「緊張で言い間違えたのなら、訂正するだろうしな」

沙織「ボコボコにしたいっていうのは本当ってことでしょ」

麻子「その西住さんが抱えていたぬいぐるみ、ボコという名前らしいな」

沙織「え?」

麻子「殴るではなく、ぬいぐるみのことを指していたのだとすれば意味が違ってくるかもしれない」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/13(木) 00:04:17.36 ID:3xMkPYF8o
華「聞き取れなかっただけで、他にも何かを言っていたかもしれないということですか」

麻子「自己紹介のとき、ボコボコといったのではなく、間をあけてボコ、ボコと言ったのならあり得る」

沙織「確かに、ボコボコとは言ってなかったような」

華「皆さんはボコが好きですか? 私もボコが好きなんです。と言っていたとも考えられます」

沙織「それだけの言葉を聞き逃しちゃうかなぁ」

華「しかし、全員を殴りたいといきなり発言してしまう人間だという説よりは説得力があります」

沙織「そう言う人がいないとも限らないじゃない」

麻子「沙織は調べてみたか」

沙織「何を?」

麻子「西住さんが黒森峰で何をしたのか」

沙織「そんなの調べて見つかるものなの?」

麻子「ネットで調べればすぐに見つかった。これだ」

華「ええと、滑落した戦車の乗組員を救出するために川に飛び込んだ、とありますね」

沙織「西住さんって戦車道してたんだ」

麻子「ワルが他人のために自分の命を投げ出すか否か。ゆっくり考えてみればいい」
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