【艦これ】古鷹「届かぬ声」

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70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/18(火) 22:01:14.39 ID:0HQfHSwN0
提督「おー! いっぱい人がいるなー!」

古鷹「皆さんも休日なんですね…」コクリ

提督「古鷹はどこ行きたい!?」

古鷹『提督と一緒ならどこでも』カチッ

提督「ど、どこでもか! 嬉しいが、ちょっと迷うな!」

古鷹「…」ニコニコ

提督「あ、じゃあ水族館に行かないか!?」

古鷹(提督、海の生物が好きなのかな…ちょっと可愛いかも…)

古鷹『良いですよ』カチッ

提督「ありがとう! イムヤやゴーヤ達から色んな話を聞いて気になってたんだよなー!」

古鷹「あぁ、そういう事でしたか!」

提督「こっちこっち!」

古鷹「あ、もう…はしゃいだら危ないですよー!」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/18(火) 22:06:10.99 ID:0HQfHSwN0
早いですがここまでで。
また明日続きを書きます。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/19(水) 20:37:41.88 ID:s/nXGkgq0
〜水族館〜

古鷹「思ったより広いなぁ…」

提督「古鷹! あれ見てあれ!」

古鷹「?」

提督「マンボウ! すごくでかいな!」

古鷹「そうですね、とても大きいです♪」

提督「あの水槽にはサメがいるのか! 色んな種類がいるなー!」

提督「おお、あのサメ面白い頭してる!」

古鷹「なんだか可愛いですね♪」


青葉「側から見るとただのカップルですね…」

衣笠「青葉青葉。このタコ、水槽のガラスに引っ付いてる…タコの口ってこうなってるんだね…怖…!」

青葉「き、衣笠! 司令官と古鷹さんが行っちゃうよ!」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/19(水) 20:42:08.91 ID:s/nXGkgq0
提督「古鷹、ペンギンペンギン!」

古鷹「下に小さい子がいますね。親子なんでしょうか?」

提督「泳ぐのも速いんだな!」

古鷹「そうですね♪」

提督「そういえば古鷹は水族館では何の生物が好きなんだ!?」

古鷹「え、私ですか? えっと、あまり詳しくないんですけど…」

古鷹『本で見たイルカというのが、可愛くて好きです』カチッ

提督「あぁ、イルカか! …そういえば貼ってあったチラシで見たんだが、もうすぐでイルカのショーがあるって!」

古鷹「え、本当ですか!?」

提督「…ちょうどいい時間だな! 見に行くか!」

古鷹「はい♪」


青葉「イルカのショー…ふむふむ…」

衣笠「青葉…わ、私も見たい…!」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/19(水) 20:47:18.18 ID:s/nXGkgq0
「はい!」

イルカ「」バシャーン!

提督「おー!」パチパチ

古鷹「初めてこんな近くで見ました…♪」

提督「すごいジャンプ力だな!」

「それじゃあ次は皆さんの中から一人出てきてもらって、イルカに指示を出してもらいます!」

古鷹「え、そんな事もできるんだー!」

「やってみたい人ー!」

ハーイハーイ! ヤリターイ! ヤッテミタイデスー!

提督「あ、あのイルカこっち見てる! おーい!!」フリフリ

「あ、そこのお兄さん! 元気いっぱいですね! それではこちらへ降りてきてください!」

古鷹「え、提督!? 提督の事ですか!?」

提督「? …??」

「どうぞー!」フリフリ

提督「な、なんかあのお姉さんこっち見て手を振ってるんだけど!」

古鷹「えぇ!?」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/19(水) 21:07:44.10 ID:s/nXGkgq0
「あ、あれ?」

提督「こんにちは!」

古鷹「…///」カァァ

「え、えっと…一人と言ったんですけど…そちらの方は…?」

古鷹「あの、ちょっと離れたくなかったので一緒に来ちゃいました…///」

「そ、そうですか! ラブラブさんですね!」

古鷹「…ら、ラブラブ…!?///」

古鷹(うぅ…提督一人だと絶対困らせちゃうからついてきたけど…私が恥ずかしすぎて死んじゃいそう…///)

「それじゃあ予定は変わりましたが、この熱々のカップルさん二人でイルカに指示を出していただきます!」

提督「…?」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/19(水) 21:13:57.70 ID:s/nXGkgq0
「さ、じゃあこうやって手を出して…」

古鷹「こ、こうですか…?」スッ

提督「?」スッ

「その手を振り上げたらイルカも一緒にジャンプしてくれますから! それじゃカウントダウンします!」

古鷹「え、カウントダウン!?」

「ゼロと言ったら二人で一緒に手を振り上げてくださいねー!」

古鷹「い、一緒に!?」

「サーン、ニー…」

提督「え、何で手を出したんだ!?」

「イーチ!」

古鷹「提督! 腕、失礼します!///」ギュッ

「ゼロー!」

古鷹「えい!」グイッ

提督「おっ!」

イルカ「」バシャァ!

提督「おー跳ねた跳ねたー!」

古鷹「はあ…///」

「一緒に手を握って振り上げるなんてやっぱり熱々ですねー!!」

古鷹「あぅぅ…///」


衣笠「ふ、古鷹ってば大胆…」

青葉「二人で前に出た時は驚きましたが、中々やるもんですね…」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/19(水) 21:17:36.39 ID:s/nXGkgq0
提督「水族館、楽しかったな!」

古鷹「…はい♪///」コクリ

提督「また古鷹と行けたら良いなぁ!」

古鷹「わ、私とまた…!?///」

提督「…あ、もうそれは無理か! …あはは!」

古鷹(い、いえ…提督がよろしければ…また一緒に…私は…///)

提督「…」

「どうぞー♪」スッ

提督「ん? 何だこれ!? チラシ!?」

古鷹「? あ、花火大会…聞いた事あります!」

提督「へぇ〜、今日の夜やるのかぁ〜!」

提督「…よし、折角だし花火大会行ってみようか!」

古鷹「は、はい!」コクリ
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/19(水) 21:23:14.22 ID:s/nXGkgq0
ヒトキュウマルマル

提督「おー、浴衣着た人達がちらほら出てきたなー!」

古鷹「そうですね…」

提督「…古鷹も着てみたいか!?」

古鷹「えっ、私ですか!?」

古鷹「…///」

古鷹『私では勿体無いですよ…』カチッ

提督「えー! そんな事あるわけないだろ! ほら、あそこの店寄ろう! 浴衣着てる人がいっぱい出てきてるぞ!」ギュッ

古鷹「あ、提督!?///」

古鷹(提督が…手を握って…///)スタスタ
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/19(水) 21:37:31.18 ID:s/nXGkgq0
提督「お、この浴衣とか可愛くないか!?」

古鷹「可愛いですけど…///」

提督「これも古鷹に似合いそうだなぁ!」

提督「んー、迷う! 古鷹はどうだ!?」

古鷹「うぅ…///」

古鷹『やっぱり浴衣なんて大丈夫ですよ…』カチッ

提督「そんな事言うなって!」

「お困りでしょうか?」

提督「……あ、店員さん! 今彼女に似合うような浴衣を探しているんですが、ここで着付けとかってできますか!?」

「はい、勿論です♪」

提督「…?」チラッ

古鷹「…///」コクリ

提督「そうなんですか! ではおすすめの浴衣も含めて、早速お願いします!」

「お任せください♪ ではこちらへどうぞ…」

古鷹「あ、えっ…まだ心の準備が…!///」
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/19(水) 21:41:52.65 ID:s/nXGkgq0
「着付けが終わりましたよ?」トントン

提督「! 終わりました!?」

古鷹(浴衣)「…は、恥ずかしいです…///」

提督「あ、古鷹! …えっと、可愛い! すごく可愛いよ!///」

古鷹「ど、どうして提督まで顔が赤くなってるんですかぁ…///」

提督「これ買います!」

「かしこまりました♪ このまま近くの花火大会に行くんでしたら、その格好のままどうぞ♪」

古鷹「あ、ありがとうございます…///」

提督「俺が買うよ! プレゼントだ!」

古鷹「えぇ!? ですが…」

提督「はい!」

「お買い上げありがとうございました!」

古鷹「もう買ったんですか!? うぅ…もう…///」


青葉「うへへ、古鷹さんの浴衣…!」パシャパシャ!

衣笠「そんなに撮ると流石にバレるって…」

青葉「大丈夫大丈夫! それにこんなシャッターチャンス逃せないって!」

「お客様、何をなさっているのでしょうか?」

青葉「えっ!? あ、いえ何でもないですよ! あはは…」

衣笠「もー…」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 21:00:55.91 ID:LnYFy0Ah0
続き書いていきます。
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 21:01:21.89 ID:LnYFy0Ah0
提督「なんかいっぱい店が並んでるなー!」

古鷹「皆楽しそうで、素敵ですね♪」

提督「…まだ花火は始まってないようだし、ちょっと見回るか!」

古鷹「良いですよ♪」

古鷹「…あ、あそこに金魚すくいがあります!」グイグイ

提督「お、なんだなんだ!? あれやりたいのか!?」

古鷹「はい♪」コクリ
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 21:01:52.90 ID:LnYFy0Ah0
古鷹「…」ジーッ

古鷹「えいっ!」バシャ

古鷹「あぅ…穴が空いちゃいました…」

提督「おぉ、黒いの取れた! 可愛いな!」

「彼氏さん金魚すくい上手だねぇ!」

古鷹「あっ、えっと…彼氏じゃ…///」

提督「古鷹! なんかでかいのも取れたぞ!」

提督「取れたやつ古鷹にあげるからな!」

古鷹「あ、ありがとうございます…///」


衣笠「ほらっ、もう一発!」パンッ!

お菓子「」ペチン!

「お、ナイスヒット!」

衣笠「やった! もう二個も貰えたよ! 射的なら衣笠さんにお任せ!」

青葉「ぐぬぬ…全く当たらない…こうなったら弾着観測射撃で…」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 21:03:57.10 ID:LnYFy0Ah0


提督「焼きそばも良いなー!」

古鷹(あ、この綿あめとっても美味しい…♪)

提督「おぉ、大きい綿あめだな!」

古鷹「うん! はい、あーん♪」スッ

提督「ん?」

古鷹「? …あっ!///」

古鷹(つい加古との癖で思わずやっちゃった…///)

提督「あ、一口くれるのか! じゃあいただくよ!」

古鷹「えぇ!? あ、うぅ…///」

提督「…あむ」パクッ

古鷹「…///」

提督「うん、甘くて美味しいな!」

古鷹「はい…///」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 21:21:32.47 ID:LnYFy0Ah0
ザワザワ ガヤガヤ

古鷹「あれ、どうしたのかな…?」

提督「? みんなもう空を見上げてるな!」

古鷹「…あ! 提督! もうすぐ始まるみたいですよ!?」

提督「もう始めるのかな!? ちょっと見やすい所に移動しよっか!」ギュッ

古鷹「!…はい、分かりました♪」ギュッ

古鷹(あぁ…今日みたいな日がずっと続けば良いな…)
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 21:23:24.90 ID:LnYFy0Ah0
提督「ここらへんでいいか! 人も少ないしよく見れそうだ!」

古鷹「ドキドキしますね…!」

「始まるぞー!」

「楽しみー!」

バンッ

ヒュゥゥゥ

提督「お、きたきた!」


ドーン!


提督・古鷹「「わぁぁ…!」」

ドーン! パラパラ...

ドーン! ドーン!

古鷹「凄く綺麗ですね…!」

古鷹「花火が打ち上がる音も迫力があって…」


古鷹「…あっ…」

提督「…」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 21:31:54.29 ID:LnYFy0Ah0
バーン! ドーン!

ターマヤー! カーギヤー!


提督「…」

古鷹「…」

古鷹(私の、馬鹿…)

古鷹(…提督には、花火のこの音は…)


提督「綺麗だなー!!」

古鷹「!」

提督「とても綺麗だ! 色とりどりで、凄くでかくて圧倒されそうだ!」

古鷹「…提督…」

提督「こんなものを古鷹と見れるなんて俺は幸せものだな! あははは!」ニコニコ

古鷹「…はい、古鷹も…幸せです…」



青葉「綺麗だね…衣笠」

衣笠「うん…じゃあ、もう帰ろっか」

青葉「え?」

衣笠「これから多分、古鷹は提督に告白する気だよ。そこまでお邪魔しちゃ悪いでしょ?」

青葉「…」

青葉「そうだね! 今回ばかりは見逃してあげよっか! あとは鎮守府に帰った時に!」

衣笠「もしかしたら今日は帰ってこないかもね♪」

青葉「もー、衣笠ったらー!」

衣笠「あはは!」

青葉(古鷹さん…あとは頑張ってくださいね…)
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 21:32:49.24 ID:LnYFy0Ah0


提督「いやー、花火大会楽しかった!」

提督「にしてもこの道から見える海の夜景、月が反射してて綺麗だな!」

提督「花火もとても綺麗だったけど!」

古鷹「…はい、そうですね♪」

提督「…」

古鷹「…」

古鷹(…人が誰もいない…今、言わなきゃ…)

古鷹「…すぅ…はぁ…」ドキドキ

古鷹「あの、ていと…」

提督「古鷹!」

古鷹「は、はい!」ビクッ

提督「…」クルリ

提督「…」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 21:34:20.13 ID:LnYFy0Ah0
提督「…俺は、お前達の提督になれて本当に良かった!」

古鷹「え…な、何ですかいきなり…」

提督「最初の頃は大変だったよな! まだ戦力も十分に揃ってなくて! 資源が枯渇したり、補給を忘れてしまう事もあった!」

提督「早い段階で古鷹が来てくれて嬉しかったよ!」

古鷹「…///」テレッ

提督「でも、そんな俺もみんなもさ! 今では立派になったもんだ! 鎮守府にも活気が溢れて、海もどんどん平和になっている!」

提督「それは他でもない、古鷹! お前達のおかげだ!」

古鷹「提督…」

古鷹『そんな事ないです。それは提督が居たから成せた事なんですよ』カチッ

提督「…はは! 古鷹ならそういうと思ったよ! でも俺のおかげなんかじゃない! お前達が強く、そして気持ち的にも成長したからなんだ!」

提督「心の底から感謝している!」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 22:07:07.79 ID:LnYFy0Ah0
古鷹「も、もう…そんな事言って…///」

古鷹『私達だって提督には感謝しています』カチッ

古鷹『ありがとうございます』カチッ

提督「…どういたしまして!」

提督「それで、古鷹!」

古鷹「は、はい」

提督「俺の感謝の気持ちは伝わったか!?」

古鷹「…はい! とても伝わりました!」コクリ

提督「…そうか!」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 22:08:34.80 ID:LnYFy0Ah0
提督「…古鷹!」

提督「…」ジーッ

古鷹「…な、なんでしょう…?///」

古鷹(真剣な眼差し…えっ、これってまさか…!///)

提督「…それじゃあ!」

古鷹(待って! まだ心の準備が全然…!///)





提督「俺が居なくても、もう安心だな!」


古鷹「…えっ…?」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 22:28:36.81 ID:LnYFy0Ah0
古鷹「…あ、あの…提督…?」

提督「俺は! 提督をやめることになった!」

古鷹「…!?」

提督「俺の能力! というかこんな障害を抱えたままではこの先やっていけないらしい! だから俺は一ヶ月後に鎮守府を出ていく!」

古鷹「…て、提督! な、何を言ってるんですか!?」

古鷹(そんな…)

提督「半月が経った時に、俺の後継ぎの人がやってくるらしい! それから一ヶ月後、俺が出ていった後はその人が新しい提督になるんだ!」

古鷹「提督! いい加減にしないと怒りますよ!? 何でそんな嘘を言って…」

古鷹(言わないでください…!)

提督「さっき言ったようにお前達は成長した! お前達なら提督が変わってもしっかりやっていけるさ!」

古鷹「…」

古鷹(それじゃあ、まるで…)


古鷹「本当、みたいじゃないですか…!」ジワ...
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 22:29:37.21 ID:LnYFy0Ah0
提督「ふ、古鷹!?」

古鷹「嫌です! 提督、いつまでも一緒に居たいです! 提督と離れるなんて…絶対に嫌です!」


古鷹「…好きです! 提督…貴方の事が好きです!」

古鷹「いつも優しくて…誰にも隔てなく接し、弱音も見せず、私達に笑顔を振りまいてくれる…そんな提督が大好きです!」

古鷹「だから…提督をやめないでください…私の…私達の、ずっと傍に居てくださいよぉ…」ポロポロ

提督「…」

提督「古鷹! まさか、お前が泣いてまで止めてくれるなんてな!」

古鷹「! 違います! …いえ、止めてるのは違くないんですけど…今伝えたいのは…その事じゃなくて…」

古鷹(…そ、そうだ! 焦って口で言っちゃったけど…提督に伝えたい事は信号で送らなきゃ…!)

古鷹(大丈夫…この為にいっぱい練習して…)スッ

提督「…古鷹!」ギュッ

古鷹「っ!?」ポロッ

懐中電灯『』ガシャン!

提督「…今まで、ありがとう!」ギュゥ...

古鷹「…」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 22:30:14.42 ID:LnYFy0Ah0
古鷹(…提督が、初めて私を抱きしめて…)

古鷹(でも、こんな状況で抱きしめられても…全然嬉しくないよ…)

古鷹「い、いやっ…離しっ…提督…」


提督「…俺には聞こえないんだ!」


古鷹「うっ…!?」ズキッ

提督「お前が必死に何かを話しても、俺には何も聞こえない! いくら懐中電灯で信号を送ってくれようが!」

提督「俺の声が古鷹に届いても、古鷹の声は俺に届かないんだよ!」

古鷹「…!」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 23:07:07.05 ID:LnYFy0Ah0
提督「…実はさ!」

提督「俺は別に、元々耳が不自由だったわけじゃないんだ!」

古鷹「えっ…?」

提督「だがある日を境に俺の世界は無音になった!」

提督「その原因は今ですら分からない! 医者も様子を見ただけで一向に俺の無音の世界は変わらなかった!」

提督「…俺、曙や霞とか! 色んな子から五月蝿いってよく思われてるだろ!?」

提督「耳が聞こえなくなった最初の頃は、声を出す時の感覚がまだ分かっていたから、声量は普通だったんだと思う!」

提督「だけど毎日を過ごすうちに、段々とその普通の声量っていうのが分からなくなってきてさ!」

提督「俺の中では普通に話してるつもりでも、時々! 相手には俺の声が聞こえてないんじゃないかって不安になるんだ!」

提督「曙達の鬱陶しそうな顔を見れば声が届いているのは分かるが、それでも俺には普通の話す声量なんて分からない!」

提督「俺は、自分の声さえ聞けないんだから!」

古鷹「提督…」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 23:08:04.21 ID:LnYFy0Ah0
提督「こんな事を古鷹に言っても何も変わらないのは分かっている!」

提督「…でも、ただ古鷹には俺の事を知ってほしかった!」


古鷹(賑やかな世界から、一転…無音の世界)

古鷹(それって、一体どれほど辛い事なんだろう…そして…)

古鷹(私の、声は…提督に届いていない…)

古鷹(そんなの分かっていた…でも、それでも…)

古鷹「うわあぁぁぁん!!!」ポロポロ

古鷹(…その事を提督の口からはっきり言われて、私は感情を抑えきれなかった)

古鷹「でいどぐざぁぁぁん!!」

古鷹(この声だって、届いていない…)

古鷹「うわあああん!!!!」

古鷹(この私の泣き叫ぶ声だって、提督には届いていない…)

古鷹(…だって)

提督「…」ギュッ



古鷹(提督は、耳が聞こえないから)
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/20(木) 23:29:34.60 ID:LnYFy0Ah0
明日できれば続けます。
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 00:23:41.51 ID:JNMOIaRoo
乙です。待ってる。
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 01:22:10.40 ID:YJg288LA0
おつおつ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 18:48:21.54 ID:HF0Jx6Cxo
耳聞こえないと正しく言葉発声できなくなるんよね
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/22(土) 00:41:02.39 ID:VmGxwzXbO
>>100
常識だよな
「実は」とかいらなかったでしょ

あと花火は音が聞こえなくても振動はわかる
というか音より振動のおかげで迫力を感じてるので古鷹の感想は的外れ
提督可哀想とか負い目を感じさせたいんだろうけど、無理矢理過ぎて不自然
せっかく地の文書いてるのに展開が雑で、ギャップが酷い
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/22(土) 03:51:00.36 ID:55EAMzRro
音無しの振動だけで迫力を感じられる自信無いわ
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/22(土) 04:41:54.69 ID:9Cq1lmNDO
>>101
つんぼニキとかいるんすね〜
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/22(土) 20:22:59.07 ID:XEERp+ado
>>100
突発性難聴とかならしばらくは問題ないんでは?
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 18:08:04.32 ID:Vejl1zqB0
お待たせしました!
続きやっていきます。
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 18:08:59.60 ID:Vejl1zqB0
〜鎮守府〜

ガチャッ

青葉「?」

古鷹「…」スタスタ

青葉「あ、古鷹さん!」

衣笠「お帰りー、今日は帰ってこないかと…」

古鷹「…」スタスタ

衣笠「…ってあれ…?」

青葉「ふ、古鷹…さん…?」

古鷹「…」スタスタ

衣笠「…行っちゃった…何だかとても暗かったような…」

青葉「だ、だって古鷹さんとあの司令官ですよ!? 一体…何が…」

衣笠「取り敢えず今は…関わったらいけなそうだね…」

青葉「…」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 18:09:47.59 ID:Vejl1zqB0
ガチャッ

加古「ん? あぁ、古鷹…おかえ…」

古鷹「…」

加古「…って、帰ってきて早々何で毛布に包まるんだ…? 何か話を…」

古鷹「…」

加古「…!」

加古「あ、えっと…あぁ〜、寝てたら何かお腹が空いたな! ちょっと食堂行ってくる!」ガチャッ

バタン


古鷹「…」

古鷹「う、うぅっ…」グスッ

古鷹「嫌…だよぉ…!」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 18:10:21.58 ID:Vejl1zqB0
青葉「か、加古さん! 古鷹さん、どうでした…?」

加古「あー、あれはダメだね…」

衣笠「だ、ダメって…?」

加古「…暫く一人にさせておきたいよ」

青葉「…やっぱり、何かあったんですね…」

加古「…」

衣笠「フラれちゃったのかな…」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 18:11:30.74 ID:Vejl1zqB0
古鷹「ん…」パチッ

加古「…」

古鷹「加古…?」

加古「〜…」

古鷹(あれ、加古…? 声が聞こえない…?)

青葉「…〜…」

衣笠「…」

古鷹「あ、あおば! きぬがさ!」

古鷹「!?」

古鷹(声が出ない…いや、聞こえてない?)

古鷹(さっきから皆口を開けて何か話しているのに…声が聞こえない!)

提督「〜! 〜!」

古鷹「あっ! ていと…」

古鷹(嘘…提督の声も、私の声も…)

古鷹「あああー!」

古鷹(叫んでも、何も聞こえないよ…!)

古鷹(周りの音さえ、聞こえない…これが無音?)

………

……



古鷹(…怖い)

古鷹(怖いよ…嫌、助けて…加古…青葉…衣笠…皆…!)

古鷹「提督!!」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 18:12:49.82 ID:Vejl1zqB0
加古「…古鷹!」

古鷹「!」バッ!

古鷹「はぁ…はぁ…」

加古「だ、大丈夫か…すごくうなされてたけど…」

古鷹(…夢…?)

古鷹「…加古…?」

加古「う、うん…あたしだけど…」

古鷹「…!」ギュッ

加古「うおっ、え、何? どうしたの急に…」

古鷹「良かった…聞こえる…加古の声が聞こえるよ…」

加古「そりゃ提督じゃないんだからさ…」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 18:16:46.04 ID:Vejl1zqB0
加古「…成程、耳が聞こえなくなった夢かぁ…」

古鷹「…とっても、怖かった…独りで…本当に何にも聞こえなくて…頭がどうにかなりそうだった…」

加古「…そっか…」

古鷹「! そ、そういえば今何時!?」

加古「今? 今は…8時だよ。今日は早起きでしょ」

古鷹「朝…」

加古「…今日の朝会でさ、聞いたよ」

古鷹「…」

加古「提督が…解任になるって」

古鷹「…」

加古「そう言われた時には、みんなもう大騒ぎで…よっぽど好まれていたんだね…あたしも提督は好きだったけど」

加古「…古鷹は昨日聞いたんでしょ?」

古鷹「…」コクリ

古鷹「告白もしたけど…失敗しちゃった…」

加古「…」

加古「そっか…」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 18:18:36.10 ID:Vejl1zqB0
〜執務室〜

提督「…」

提督「…」チラッ

手紙の山「」

提督(みんなからの手紙…全部目を通したが、納得いかないとの声が全員…)

提督(普段厳しい霞や曙…俺の事が苦手だと思っていた山城や大井達なんかも、たくさん書いてくれていた…)

提督(こんなに俺の事を思っていてくれたなんて、俺としては嬉しいが…)

提督「…」

提督(…もう戻れない、か…)
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:17:32.98 ID:Vejl1zqB0
〜数週間後〜

提督「俺があの鎮守府の提督だ! よろしく!」

新米提督(以下女提督)「よ、よろしくお願いします!」ペコリ

提督「それにしても新しい提督が女性だったとは! 立派だな!」

女提督「あ、ありがとうございます!」

女提督(この人が…優しそうな人だけど、ちょっとうるさいかも…でも、耳が聞こえていないらしいし…)

提督「じゃあ早速鎮守府に行こうか!」

女提督「はい!」コクリ
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:21:17.63 ID:Vejl1zqB0
〜鎮守府〜

シーン...

女提督「な、なんだか静かですね…」

女提督(やっぱり、まだ新しい提督の私の事を認めてくれていないよね…この提督は好かれそうだし…多分私は嫌に思われてるんだろうなぁ…)

提督「古鷹!」

古鷹「…はい」

古鷹「こんにちは。古鷹です。貴女がこれからの私達の提督ですね? よろしくお願いします…」ペコリ

女提督「あ、はい! よろしくお願いします!」

提督「じゃあ早速で申し訳ないけど、古鷹に鎮守府の案内を頼んでいるから行ってきてくれ!」

女提督「わ、分かりました!」ビシッ
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:27:04.34 ID:Vejl1zqB0
古鷹「ここが食堂です」

女提督「へぇ〜、広いですね…」

古鷹「はい、艦娘は多いので…」

古鷹「…!」

女提督「え、何ですか? どうしました?」

古鷹「あ、ごめんなさい! ただ、提督の方と会話するのは初めてだったので…」

女提督「…あっ…そう、ですよね…」

古鷹「…会話できるってだけで、私達は幸せなんでしょうね…」

女提督「…」

女提督「あの人はいつから耳が聞こえなかったんですか? まさか…生まれつき?」

古鷹「いえ…生まれつきではないんですけど…突然だったようです。それで、私達の提督となった時にはもう…」

女提督「…突然…」

古鷹「それでも、提督は頑張ってきました。これからもそうだと思いましたが…」

古鷹「…あっ、ごめんなさい…女提督さんが悪いわけじゃないですよ?」

女提督「…はい」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:44:34.53 ID:Vejl1zqB0
提督「お疲れ様! 鎮守府はどうだった!?」

女提督「と、とても立派でした!」コクリ

提督「これからは君の鎮守府になるんだから、設備とかもよく確認しておくように!」

女提督「は、はい…」

古鷹「…」

提督「? どうした古鷹!? 調子悪いのか!?」

古鷹「あ、いえ…」フルフル

提督「そ、そうか! 辛かったら交代しても大丈夫だからな!」

古鷹「はい…」コクリ

女提督「…?」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:53:00.18 ID:ci3tWQRM0


女提督「古鷹さんって、あの提督の事苦手なんですか?」

古鷹「!? そ、そんな事ないですよ!」

女提督「あ…ごめんなさい…いきなり…」

古鷹「…あっ…わ、私もいきなり大声出しちゃってごめんなさい…」

女提督「…いえ…」

女提督「ただ…なんだか、提督との間に距離があるように見えて…」

古鷹「距離…」

女提督(普通だよね。提督の耳が聞こえないから、気遣ってるだけだよね…)

古鷹「…」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 20:56:47.45 ID:ci3tWQRM0
古鷹(…そっか)

古鷹(確かにあの時から私と提督の間には…距離が空いてしまったような気がする…)

古鷹(それでも提督は頑張って私に笑顔で接してくれるけど…こんな私はいつまでも過去を引きずっていて…)

古鷹「…はぁ…」

加古「でかい溜息だなーもう…」

古鷹「あ、ごめんね加古…」

加古「いや良いけどさ…どうせ提督絡みの事だし」

古鷹「うっ…」

加古「でもあまり悩んでたらいけないと思う。あたし…はちょっと得意じゃないから、青葉とか衣笠に相談するのもありだと思うし」

古鷹「うん…」

加古「…うじうじ考えてたら、もう終わっちゃうよ? 提督だってもう残り少ないんだから…」

古鷹「…分かってるよ…」

加古(本当かねぇ…)
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 21:45:31.99 ID:ci3tWQRM0
フタフタマルマル

女提督(はぁ…疲れた…)

女提督(…やっぱり、なんだか艦娘の目線が痛かったなぁ…)

女提督「まあ仕方ないよね…これから信頼を得ていかないと…ふぁ〜あ…」

女提督「確か私の部屋は…ん?」

女提督(誰だろ、こんな時間に明かりを点けて…)チラッ


提督「…」ペラッ

提督「…」


女提督(提督さんだ…何か書類を見てる…凄い人だなぁ、耳も不自由で解任も決められたのに遅くまで…)

女提督「…いや、書類はもう私に渡されて明日からやる筈だよね…?」

女提督「じゃあ今提督さんが見てるのは…?」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 22:32:27.77 ID:ci3tWQRM0
提督(…医者から受け取った俺の耳に関しての書類…)

提督(治療は困難とはいえ、これから改善されて音が聞こえるようになる可能性は0%、ではないと…)

提督(…受けるべきだろうか…)

トントン

提督「!」ビクッ

女提督「あっ、ごめんなさい! 驚かせるつもりは…」ペコリ

提督「あぁ、大丈夫だから顔を上げて! どうしたんだ!? もう遅いのに!」

女提督「えっと、ペンは…」ゴソゴソ

女提督「あった。これで...」カキカキ

『提督さんがまだ明かりを点けて仕事をしていたと思ったので』

提督「あはは、もう俺がやる仕事なんて全然ないさ! 今のはちょっとプライベートの予定を立てようとね!」

女提督(提督さんが気付いてないだけで、申し訳ないけど内容を見てしまったのは黙っておこう…)

女提督「そうでしたか♪」ニコッ
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 22:34:29.83 ID:ci3tWQRM0
女提督「はい、お茶をどうぞ」コトッ

提督「ありがとう!」

提督「…女提督は不安か!?」

女提督「…はい…」コクリ

提督「…でも大丈夫さ! みんなは今戸惑ってるだけで、本当はとっても優しいから!」

提督「こんな俺を支え続けてくれたしな!」ゴクッ

提督「ん、美味しいな!」

女提督「…」

女提督(それは、貴方が素晴らしい人だからです)

女提督(…今自分でちゃんと話せているのか、それは届いているのか…そちらの方が不安で不安で、仕方ないのに…)

女提督(私なら到底、耐えられない困難なのに…)

提督「さて、やる事がないからって夜更かしは駄目だな! もうそろそろ寝るか!」

女提督(健気なこの人を、私も支えてあげたい)

女提督「! …ふふっ、なんだ…そういう事でしたか…この人が好かれる理由も分かるような気がします…」

女提督「あの、提督…」トントン

提督「? なんだ!」

女提督「…」カキカキ

女提督「…」スッ

『もう少しだけ、お時間を頂けますか?』
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/23(日) 22:35:55.77 ID:ci3tWQRM0
明日から続きをやります。
来週中には終わるかもしれません。
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 01:30:37.31 ID:QEIqtBIA0
おつおつ
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 10:17:58.37 ID:jd4rVKPro
NT-Rの流れ
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 11:02:11.97 ID:nZwSJwIgO
???「この泥棒猫…」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/24(月) 21:03:57.48 ID:4JNqtE530
やっていきます。
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/24(月) 21:06:36.82 ID:4JNqtE530
翌日

古鷹「提督、おはようございます」

提督「…」ススッ

古鷹「…?」

提督「…」グッ!

古鷹「えと…何ですか、そのハンドサインは…?」

女提督「手話ですよ」

古鷹「あ、女提督さん。おはようございます」

女提督「おはようございます」

古鷹「それで、手話って…?」

女提督「あー、あまり馴染みがないですよね…軍なら他の信号とかもありますし…」

古鷹「?」

女提督「手話というのは、手で話すと書いて手話なんです。つまり耳が聞こえなくても、口で話さなくても相手に言葉を伝える事が出来るんです」

古鷹「…そ、そんな事が…」

女提督「軍に入る前に色んな事をやってまして。中でも手話は不自由な耳や口を持つ人に役立つと思ってたまたま練習してたんです♪」

古鷹「! 女提督さん…」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/24(月) 21:20:07.07 ID:4JNqtE530
女提督「因みに今のは『おはよう』と言いました」

古鷹「成程…」

古鷹「…」

古鷹「あのっ、女提督さん! ぜひ私にもお教えください!」

女提督(そういうと思ってました)

女提督「ええ、良いですよ♪」ニコッ

女提督「…本当は手話のやり方の紙があったんですが、持っていかれちゃいましたしね」

古鷹「え、誰に…?」

女提督「青葉さんです♪」

古鷹「!」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/24(月) 21:21:16.32 ID:4JNqtE530
〜食堂〜

青葉「皆さーん! 良い情報が手に入りましたよー!」

長門「全く、朝から賑やかなやつだな…」

陸奥「? なになに…えっ、手話…?」

長門「?」

陸奥「…」

陸奥「へぇ〜…」

長門「な、なんだ? その顔は…」

陸奥「新しく来た提督も中々やるわね…♪」

長門「?」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/24(月) 21:22:13.26 ID:4JNqtE530
時雨「…こう、かな?」

村雨「うーん…ちょっと難しいね…」

白露「えー、簡単だよー?」ススッ

時雨「わっ…流石姉さん…」

夕立「因みに今には何て言ったっぽい?」

白露「いちばーん!」


暁「わ、私だって…か、簡単よ! レディならこれくらい出来て…あ、あれ…?」

雷「意外と楽しいわね♪ これなら司令官と楽に話せるし、もっと頼ってくれる筈だわ!」

電「え、えと…えと…」

響「この文字はこうやって…うん、そうやるんだよ」

電「! ありがとうなのです!」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/24(月) 21:23:03.86 ID:4JNqtE530
女提督(よ、予想以上に広まってる…!?)

女提督(みんなには新鮮で良かったのかな…)

トントン

女提督「! は、はい!」クルリ

漣「女提督さん、あの手話っていうの教えてもらえますかー?」

女提督「わ、私?」

漣「だって紙だけ見たって分からないんですもんー!」

潮「お、お願いします…提督の役に立ちたくて…」

曙「…わ、私は一応よ…ただ、手話を使って話せばあのクソ提督のうるさい声が聞こえなくて済むと思ったから…」

朧「…紙でも分かると思うけどなー…あ、でも私も一応…」

女提督「…はい、良いですよ♪」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/24(月) 21:24:33.42 ID:4JNqtE530


提督「なんかみんな、徐々に手話っていうのを覚えてきているな!」

女提督「そうらしいですね…」

提督「でも確かに手だけで出来るって便利だもんなー!」ススッ

女提督「ふふっ、今のは言ってる事とちょっと違いますね。本当はこういう…」スッ

提督「あ、こうか!?」

女提督「はい、順調に出来てきてますね♪」ススッ

提督「えーっと…今の手は…出来てるってことか!?」

女提督「はい♪」

提督「ありがとう!」

提督「…でも、なんか申し訳ないな!」

女提督「?」

提督「女提督は、俺の為に手話を広めてくれたんだろ!?」

女提督「そう、ですけど…」コクリ

提督「みんなが覚えてきてくれたところで! 俺はもう行っちゃうからな!」

提督「みんなには申し訳ない!」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/24(月) 21:37:31.42 ID:4JNqtE530
女提督「…そんな事…言わないでくださいよ…」スッ

提督「…! そ、そうだよな! すまなかった!」

女提督「…」

提督「…」

提督「じ、じゃあ早速仕事するか!」

提督「分からなかったら俺が教えるからな!」

女提督「はい…」コクリ
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/24(月) 21:40:31.68 ID:4JNqtE530
女提督「え、えーっと…ここは…」

提督「あっ、そこはここに名前を書いて! それからこっちには印を!」

女提督「は、はい…!」

提督「女提督の字って綺麗だな!」

女提督「え、普通ですよ…?」

古鷹「提督の字は…」スッ

女提督「ん?」

女提督「あ、あはは…元気いっぱいな字ですね…」

古鷹「仕事は出来るんですけどね…」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/24(月) 21:42:07.41 ID:4JNqtE530
阿武隈「提督、艦隊が帰投しましたー」

提督「あ、ご苦労様!」

女提督「ご苦労様です」

阿武隈「あ、あぁ…えっと…はい、報告書です」スッ

提督「俺じゃないよ! こういうのは全部女提督に渡してくれ!」

阿武隈「あっ、すいません! ど、どうぞ!」

女提督「私こそごめんなさい…提督っぽくなくて…」

女提督「えっと…あぶくま、さん…?」

阿武隈「…あ、ちゃんと艦娘の名前は覚えてくれてたんですね…因みに漢字はどうですか?」っ紙

女提督「漢字? 漢字は…」カキカキ

『阿武隅』

阿武隈「違いますぅ! もぉー!」

女提督「えー!? ご、ごめんなさい…」

提督「? あぁ、阿武隈の字はこうだよ!」カキカキ

『阿武隈』

阿武隈「あっ、そうです! えへへ、流石ですね!」

提督「当たり前だ! お前の名前なんだからな!」

阿武隈「わ、私の名前…は、はい!///」

女提督「うぅ…もっと勉強しなきゃ…」

古鷹「だ、大丈夫ですよ? そんなに落ち込まなくても…」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/24(月) 21:52:48.25 ID:4JNqtE530
提督「あ、そうだ!」

提督「ちょっと俺は用事があるからあとは頼んだ!」

女提督「え? あ、はい!」

古鷹「あ、あの…私もついて行って良いでしょうか…?」ススッ

提督「…大丈夫だ! 大した事じゃないから! それより古鷹は女提督の事よろしくな!」

古鷹「…はい…」

提督「んじゃ行ってくる!」

ガチャッ

バタン

女提督「…大体、予想はつきますね」

古鷹「…」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/24(月) 22:16:02.35 ID:4JNqtE530
今日はここまで。
また明日出来たらやります。
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 22:37:22.79 ID:oB2cjAU5o
おつ
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 23:46:45.86 ID:b4O3TwWD0
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 20:48:14.57 ID:sgr7EHxb0
ガチャッ

夕立「提督さん! 夕立…ってあれ?」キョロキョロ

時雨「あれ、居ない…?」

女提督「あ、夕立ちゃんと時雨ちゃん…どうしたんですか?」

夕立「夕立もちょっと手話を覚えたから、提督さんと一緒にやりたかったっぽい…」

時雨「どこに行ったのかな…?」

女提督「提督なら出掛けましたよ。何やら用事があるようで…」

夕立「…」ションボリ

女提督「あっ…」

女提督「…そうだ! 夕立ちゃん、覚えてきた手話を私に見せてくれますか?」

夕立「ぽい?」

女提督「提督が帰ってきたら一緒に出来るように、もっと練習しましょう♪」

時雨「…そうだね。女提督さんに教えてもらった方が上達すると思うし…提督も喜ぶかも」

夕立「! 夕立、頑張って練習するっぽい!」

女提督「ふふっ♪」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 20:50:43.11 ID:sgr7EHxb0


「へぇ、手話ですか! …新しく来た提督さんが…成程」

「う〜ん…うちに手話が出来る子はいたっけか…」

「…ごめんね、また紙に書かせてもらうよ」カキカキ

「…そうだね。しかし…前にも伝えた通り、治療はやはり難しい…後遺症も残ってしまう可能性もある…」カキカキ

「…それでも受けるというなら、私も全力を尽くすよ」カキカキ

「…」

「…」

「…分かりました」コクリ
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 20:51:51.99 ID:sgr7EHxb0
フタヒトマルマル

〜執務室〜

ガチャッ

提督「…」スタスタ

女提督「あっ…提督…」

提督「! あ! 女提督!」

女提督「!」シーッ

提督「…?」チラッ

夕立「ぽい…zzz」

時雨「すぅ…」

提督「…」ニコッ

女提督「…」ニコッ

女提督「ちょっと、移動しましょうか…」ススッ

提督「…! …」コクリ
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 20:54:07.57 ID:sgr7EHxb0
〜鎮守府(外)〜

提督「…女提督!」

女提督「はい…?」

提督「…」ススッ

スッ

スッ

女提督「…!」

提督「どうだ!? 伝わったか!? この声も伝わってるか怪しいけど!」

女提督「…ええ、伝わりましたよ」ススッ

提督「…そうか! なんか、手話っていうのはすぐ覚えられるもんだな! それとも、自分の身の事だからかな!?」

女提督「…」

女提督(…提督…)


女提督(私はこの鎮守府に来て、日は浅いですが…ひとつだけ確信した事があります)

女提督(…この鎮守府には、貴方は必要です)

女提督(例え耳が不自由でも…上からの命令であっても…)

女提督(貴方は、ここにいるべきです)


女提督「…治療、頑張ってくださいね」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 21:02:09.41 ID:sgr7EHxb0


女提督「というわけで…提督は現在、鎮守府から離れ、聴覚の治療に専念しています」

ザワザワ

ガヤガヤ

古鷹「あっ、あのー! もう少しだけ静かにしてください!」

女提督「…なので、少し早いですがその間は私がここの提督となります。よろしくお願いします」ペコリ

パチパチ... パチ...

女提督「…」

漣「あのー!」

女提督「! は、はい…?」

漣「ご主人様って耳が聞こえるようになったら、ちゃんと戻ってくるんですかー!?」

女提督「…分かりません…そのまま解任される可能性の方が高いでしょう」

曙「はぁ!? 何でよ! その耳の治療が終わって無事だったなら解任は取り消しにならないの!? それに、私達は別に今のままでも良いじゃない!」

曙「どうして、今更解任なんか…!!」

潮「あ、曙ちゃん…落ちついて…?」

漣「…お、お騒がせしましたー…」

漣「…」

ザワザワ

女提督「…他に、質問のある方は…?」

シーン...

女提督「…では、以上となります」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 21:04:52.73 ID:sgr7EHxb0
女提督「はぁ…」

女提督(流石に、いきなりの報告過ぎたかな…)

女提督(あんな空気になるのも当たり前だよね…)

古鷹「女提督さん…お疲れ様です…」スッ

古鷹「良かったらお茶、飲んでください

女提督「古鷹さん…ありがとうございます」

古鷹「…いえ…」

女提督「…古鷹さんも、びっくりしましたよね」

古鷹「…はい…」

女提督「皆さんより先とはいえ、今日の朝でしたからね…」

古鷹「…はい」

古鷹「…」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 21:10:37.73 ID:sgr7EHxb0
女提督「あの、古鷹さん」

古鷹「は、はい」

女提督「少し変な事…聞いても良いですか…?」

古鷹「変な事…?」

女提督「…」

女提督「古鷹さんって…」


女提督「提督の事、好き…ですよね?」

古鷹「! …」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 21:12:20.38 ID:sgr7EHxb0
古鷹「…どうしてそう思ったんですか?」

女提督「…なんとなく、です…」

古鷹「な、なんとなく…?」

女提督「はい…女としての勘というか…提督との態度とか…様子を見てたら…そういう感じに、思えたんですけど…」

女提督「ま、間違っていたら…」

古鷹「いいえ」

女提督「!」

古鷹「…好きですよ、あの人が…」

古鷹「今も…いえ…これからも…きっと、ずっと…」

女提督「…」

古鷹「一度告白したんですが、失敗しちゃって…」

古鷹「…いや…失敗…?」

古鷹「…ふふっ」


古鷹「…あぁ…あの人の中では、私は告白した事にはなってませんでした」

女提督「…」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 21:16:33.67 ID:sgr7EHxb0
古鷹「…私ったら…本当にダメ、ですね…」

古鷹「私の声は、提督に届かなかったんです」

女提督「ち、違います! 大事なのは声ではなく、気持ちが届いているかで…」

古鷹「それも届かなかったんです!」

女提督「っ…」ビクッ

古鷹「声だけじゃないんです。想いも…届かなかったんです…」ジワッ

古鷹「私は女提督さんから手話を学びました。これで届く? 私の気持ちは届く…!?」

古鷹「…でも、もういないじゃないですか!!」

古鷹「提督は…もう…いないじゃないですかぁ…!!」ポロポロ...

女提督「…古鷹、さん…」

提督『みんなが覚えてきてくれたところで! 俺はもう行っちゃうからな!』

提督『みんなには申し訳ない!』

女提督(…)



古鷹「こんな別れ…嫌ですよぉ…!!」ポタポタ...
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 21:18:14.36 ID:sgr7EHxb0
数日後

〜執務室〜

女提督(提督が居なくなってから、この鎮守府は少し…いえ、かなり寂しくなりました)

天龍「…ほらよ、遠征の報告書だ」

女提督「ありがとうございます」

天龍「…あのよ」

女提督「はい…?」

天龍「その…提督が治療? 受けてるっつー所から、何か…情報とかは入ってこないのか?」

天龍「聴覚の、様子とか…」

天龍「あっ、別に俺が気になってるわけじゃねぇぞ!? ただ駆逐艦のやつらがあいつに会いたいってうるさくてよ…」

女提督「…」

天龍「ったく…大人しく待ってろよな…って、もう戻って来ないんだっけか……くそっ」

女提督「…ごめんなさい」

天龍「…なんでお前が謝るんだよ…」

天龍「…それじゃあな」ガチャッ

天龍「…何かあったら…連絡頼む…」

バタン
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 21:22:31.08 ID:sgr7EHxb0
女提督「はい…えっ!? あ、ごめんなさい! はい…以後気を付けます…はい…」

女提督「…失礼します」

ガチャッ

女提督(私が来て何週間かな…)

女提督(はぁ…失敗ばかり…私、やっぱり提督向いてないのかも…)

女提督(こんな時、提督が居たら何ていうか…)

女提督(って、そんな事考えてちゃダメ! 私はこの鎮守府を守っているんだから…自分で何とか頑張らなきゃ…)


トゥルルルル


女提督「あ、また電話…?」ガチャッ

女提督「は、はい…」


女提督「…えっ?」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 21:25:19.57 ID:sgr7EHxb0
〜病室〜

ガラガラ!

女提督「提督!」

提督「!」

女提督「あ、良かった…元気…そうではないですけど…」

「…こんにちは。あなたが提督さんが言っていた新しい提督さんかな?」

女提督「! どうも、こんにちは」

女提督「…それは私の事です…」

「…ちょっとこちらへ」

女提督「…分かりました」

女提督「…提督、数日間も空けちゃいましたが…手話はまだ覚えていますか?」ススッ

提督「!」コクッコクッ

女提督「あぁ、良かった…♪」

女提督「…では提督、ちょっと待っていてください」ススッ

提督「…」コクリ
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 21:57:05.21 ID:sgr7EHxb0


女提督「お待たせしました」

提督「…」

女提督「…治療を受けている間に、声の出し方や口の動かし方が分からなくなってしまったらしいですね」ススッ

女提督「…余計なストレスを与えないよう、声を出さないように言われたからでしょうか?」

女提督「…提督の元気な声、聞きたかったんですけどね」ススッ

女提督「でも、今はこうやって手話がありますから…」ススッ

提督「…」

提督「…」チラッ

女提督「…?」

女提督「あっ、手や腕に点滴をさせられてるせいで上手く手話が使えないんですか…それなら…ペンとメモ帳を…」

女提督「はい、どうぞ。書くくらいなら大丈夫でしょう…」スッ

提督「…」

提督「…」カキカキ

提督「…」スッ

『ありがとう』

女提督「…お礼なんて、必要ありませんよ…♪」ススッ
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 21:57:49.21 ID:sgr7EHxb0
提督「…」カキカキ

『鎮守府のみんなは?』

女提督「…とても良い子達ですが、やはり提督に会いたいようです…」ススッ

提督「…」ニコッ

提督「…」カキカキ

『俺も会いたいな』

女提督「治療が終わったらぜひ来てほしいです♪」ススッ

提督「…」

女提督「そ、そうだ! あの子達も随分と手話が上手になったんですよ!?」ススッ

女提督「私に出来る事はこれくらいですけど、提督の帰りを待っていますから」ススッ

提督「…」ニコッ

「すいません、そろそろ…」

女提督「あ、分かりました。それでは提督、また…」ススッ

提督「…」スッ

女提督「あっ、ペンとメモ帳。ありがとうございます」

提督「…」フリフリ

ガラガラ

バタン
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 21:59:08.20 ID:sgr7EHxb0
女提督「…」ペラッ

女提督(声は聞けなかったけど、提督とは色々紙で話せた…)ペラッ

女提督「…今度、提督用の紙でも買ってこよう♪」

女提督「あ、その前に皆さんにこの事を教えてあげて…」

女提督「ふふっ、提督が帰ってくるのも時間のうちかな…♪」

女提督(皆さん、どんな顔するだろう…)ペラッ

女提督「ん…?」

女提督(メモ帳に一枚折り目がついてる…私何かメモしてたっけ…?)

女提督「…」

ペラッ


『あいつらを頼んだよ』
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:00:30.14 ID:sgr7EHxb0
〜鎮守府〜

古鷹「!」

女提督「…」スタスタ

古鷹「女提督さん! どこに行ってたんですか…? いきなり留守したらダメですよ!」

女提督「あっ、ごめんなさい…」

古鷹「…急用でしたか? 次からはちゃんと言ってくださいね?」

女提督「はい…」

古鷹「…ここの提督は、あなたなんですから…」

女提督「…」

女提督(そんな事ないですよ)

女提督(あの人が提督です。治療が終われば帰ってきます)


女提督(…そう言いたい)

女提督(けど、そんな無責任な事…言えない…)

女提督(本当に…提督は帰ってくるのかな…)

女提督「…」チラッ

メモ帳「」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:02:26.74 ID:sgr7EHxb0
数時間前

女提督「お願いします! もう一度! もう一度だけ話させてください!」

「も、もう今日は終わりです!」

女提督「少しで良いです! 一分間でも!」

「提督さんは今治療中です!」

女提督「嫌…!」

「お願いします! 落ち着いてください…!」

女提督「…」ガクッ

女提督「…てい、とく…」

157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:03:02.93 ID:sgr7EHxb0
古鷹「女提督さん」

女提督「っ!」バッ

古鷹「…聞かせてください」

女提督「…」

古鷹「…提督の事…」

女提督「…どうして、それを…」

古鷹「…」

古鷹「…なんとなく、です」

女提督「!」

古鷹「勘ですよ…勘…」

女提督「…」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:05:31.75 ID:sgr7EHxb0
古鷹「…」ペラッ

『ありがとう』

ペラッ

『鎮守府のみんなは?』

ペラッ

『俺も会いたいな』

ペラッ

ペラッ

ペラッ

『あいつらを頼んだよ』

古鷹「…」

古鷹「なんですか、それ」

古鷹「私達は…まだ何も言えてないのに…」

古鷹「提督だけ、好き勝手に伝えたい事だけ伝えて…!」

古鷹「ズルいですよ…!」ポロッ
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/25(火) 22:07:22.62 ID:sgr7EHxb0
女提督「…明日、もう一度行ってきます」

古鷹「!」

女提督「私だって、納得いきませんしね」

女提督「…一緒に、行きませんか?」

古鷹「…ぐすっ…」グシグシ


古鷹「…はい」

女提督「治療が終わったら…あの人を連れて帰るんです」

古鷹「…はい!」

女提督「ふふっ…♪」ニコッ

古鷹「えへへ…♪」ニコッ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 19:52:38.92 ID:SacNfDZL0
翌日

女提督「古鷹さん、準備は出来ましたか?」

古鷹「は、はい」

女提督「なら早速行きますか!」

古鷹「そうですね…」

金剛「女提督ー、代理はもう慣れてるからいいですケド、どこへ行くんデスカー?」

女提督「気にしなくて大丈夫ですよ。ちょっとした用事ですから♪」

金剛「…古鷹も?」

古鷹「はい…少しの間、お願いします」

金剛「まあ良いネ。気を付けて行ってらっしゃいデス!」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 19:53:43.15 ID:SacNfDZL0
古鷹「…金剛さんに、言わなくていいのですか?」

女提督「…」

古鷹「代理もやってくれますし、やはり事情は話しておいた方が…」

女提督「…金剛さんに話したら、淡い期待を持たせちゃいますからね」

女提督「勿論提督が戻ってくるよう私も色々とするつもりですけど…もし、それが無理だったら…」

女提督「…もっと、悲しくなるじゃないですか」

古鷹「…」

女提督「だから言いませんでした」

女提督「…本当に提督が戻ってきたときは…その時に伝えるさけです」

古鷹「…そう、ですね…」

古鷹「…分かりました…」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 19:55:34.73 ID:SacNfDZL0

ガラガラ

女提督「おはようございます、提督」ペコリ

提督「!」

女提督「…あのメモは…見なかった事にします」

女提督「あと今日はもう一人、お見舞いに来てくれましたよ♪」ススッ

スタスタ

古鷹「て、提督…」

提督「! ふぅ…あ!」

女提督「えっ!? な、何と言いました!?」

提督「ふう…たあー!」

古鷹「提督…!?」

女提督「…ずっと声を出していなかったせいか、口も回らず既にまともに話せる状態ではないそうです…」

古鷹「…!」

古鷹「…」

古鷹「…これは、私の名前を呼んでくれてるのでしょうか…?」

女提督「た、多分…」

提督「…」ニコニコ
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 19:56:28.60 ID:SacNfDZL0
「あー、女提督さん。すいません、少しお時間を…」

女提督「あ、はい…」

女提督「…古鷹さん」トントン

古鷹「は、はい。何ですか?」

女提督「私、少し席を外すので提督と話してあげていてください」

古鷹「…分かりました」

提督「ふぅ…あぁ〜!」

女提督「あ、あとこれはメモ帳とペンです」

女提督「点滴をやってる今じゃ、碌に手話もできませんから…」スッ

古鷹「ありがとうございます」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 19:57:55.52 ID:SacNfDZL0
古鷹「…提督。お久しぶりです」ススッ

提督「…」カキカキ

『久しぶり』

古鷹(女提督さんから聞いてましたが…提督、病人のようになって…)

提督「…」ニコニコ

古鷹「…」ギュッ

提督「!」

古鷹「…手、握らせてください…」

提督「…」

古鷹(なんで、この人がこんな目に遭っちゃうのかな)

古鷹(…この人は、悪くないのに…)

古鷹(一生懸命、頑張ってきただけなのに…)

提督「ふー! あー!」

古鷹「…!」

提督「…」ニコッ

古鷹「…大丈夫です…私は大丈夫ですよ…♪」ニコッ
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:03:06.53 ID:SacNfDZL0
古鷹「提督、治療の方はどうですか?」ススッ

提督「…」カキカキ

『よく分からないけど、このままだったら改善できるかもって』

古鷹「本当ですか!?」

古鷹「じ、じゃあ提督は戻ってくるんですね…?」ススッ

提督「…」

提督「…」カキカキ

『それは分からない』

提督「…」カキカキ

『完全には治らないらしいから』

古鷹「そ、そんな…」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:11:06.15 ID:SacNfDZL0
提督「…」カキカキ

『それにこのままだとお前達にも迷惑がかかるからな』

古鷹「そんな事を言わないでください! …迷惑なんかじゃ、ありませんよ!」ススッ

古鷹「…それに私達は…それで頑張ってきたじゃないですか…!」ススッ

提督「…」

ガラガラ

女提督「お待たせしました」

女提督「ふふっ、提督! 素晴らしい回復らしいですね! まだ音は聞こえてないようですが、数日後には少しずつ…」ススッ

女提督「…って、あれ…?」

古鷹「…」

提督「…」

女提督「えっと…あと一週間くらいで退院できるという吉報だったんですけど…」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:12:03.63 ID:SacNfDZL0


女提督「え、提督が鎮守府に戻らないかもしれない?」

古鷹「…」コクリ

女提督「ど、どうして…だって、提督だって皆さんに会いたがってたみたいですし…」

古鷹「…それでももう、自分のせいで迷惑はかけたくないそうです。女提督さんに、全て任せると…」

女提督「…」

女提督「迷惑をかけたくない、ですか…」

古鷹「…女提督さん、ごめんなさい」

女提督「は、はい…?」

古鷹「…やっぱり私は…提督と一緒に居たいです。あっ、女提督さんが嫌いなわけではないですけど…」

女提督「…分かっていますよ。誰だって好きな人とは一緒に居たいですから」

女提督「それに言ったでしょう? 提督を連れて帰ると…」

古鷹「…はい…!」

女提督「それにしても全く、古鷹さんの気持ちも知らないであの人は…」

女提督「大体、提督が居なくなった方が皆さんに迷惑がかかるというのに…」

古鷹「…ふふっ…」

女提督「ど、どうしました…?」

古鷹「あ、ごめんなさい…ただ、女提督さんが来てまだ数週間しか経ってないのに、ここまで私達の事で真剣になってくれてると思うと…嬉しくてつい…」

女提督「…そんな、私はただのお節介焼きですよ…♪」

古鷹「…それでも、ありがとうございます」

女提督「…じゃあ、どういたしまして♪」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:13:18.78 ID:SacNfDZL0
加古「あ、古鷹ー。金剛が女提督と出掛けてたとかなんとか聞いたんだけど…」

古鷹「う、うん…ちょっとね」

加古「…?」

加古「まあ多分、提督の事でしょ?」

古鷹「うっ…」

古鷹(さ、流石に加古にはバレバレだなぁ…何でこういう時だけ鋭いんだろ…)

加古「それで、どうだった? 様子とかなんか…」

古鷹「…順調だそうだよ。少し聴力は改善されるようだし、一週間後には退院できるって」

加古「へぇ〜! なら安心だな!」

古鷹「…でも、ここに戻ってくるかはまだ分からないけどね…」

加古「…そ、そうなんだ…」

古鷹「…心配しないで。きっと提督は…連れてくるから」

古鷹「それと、この話はくれぐれも言わないように。分かった?」

加古「…うん、分かったよ」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 20:17:32.43 ID:SacNfDZL0
女提督「…」カキカキ

古鷹「お疲れ様です。休憩をとられたらどうでしょうか?」

女提督「あ、古鷹さん…そうですね。少し休憩しましょうか…」

女提督「…ん〜!」ノビー

古鷹「…女提督さんって、少し提督と似ていますね…仕事に没頭しすぎるところとか…」

女提督「え?」

古鷹「あっ、いえ…何でもないです。仕事の方は慣れましたか?」

女提督「うぅ〜ん、程々にですかねぇ…」

古鷹「焦らずゆっくりやっていきましょうね」

女提督「…はい♪」
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