モバP「フリーハグだァッ!! ぐへへへへ」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 17:57:41.77 ID:gOKOXAOSo

P「――と、冗談は抜きにしても」

P「君らのはちょっと、あっけらかんとしすぎてる」

P「ハグってのはもっとこう、慈しみの精神が無いとダメなんだよ」

P「二人きりで、静かで、豊かで……」

未央「な、なんか語り始めたっ」

P「ハグソムリエの俺から言わせてもらうと」

P「全体的に軽いんだよね、君らのスキンシップは」

P「もっと恥じらいっていうか、しっとりした感じがほしいよね」

未央「うわあ……」

未央「ハグを要求するだけでもアレなのに」

未央「シチュエーションにも口を出し始めるとか」

未央「どん引きですよ、未央ちゃんは」

P「この三人相手だと」

P「好き勝手言えて楽だわ」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 17:58:37.86 ID:gOKOXAOSo

P「それに実際、ハグには癒し効果があるみたいなんだよ」

P「脳内でオキシなんちゃらとかいうホルモンが分泌されて」

P「幸せな気持ちになれるんだって」

藍子「……幸せ、ですか?」

未央「なるかなー、Pさんとハグして」

P「俺とハグして幸せになるかは、人によるだろうけど」

P「アイドル業は何かとストレスフルだろ?」

P「精神的なケアがやっぱり必要かなって思うわけよ」

P「俺としては少しでも力になりたいわけよ、アイドルたちの」

P「だからできることは何でもしてやりたいのよ」

未央「ほうほう」

未央「たいへんご立派なことですけれども」

P「だろ?」

未央「でもやっぱり、見え隠れしちゃうよね」

未央「Pさんの下心? っていうのがさ」

P「……しゃーない、それは」

P「もはや俺も隠しません! そういうところは!」

未央「うわっ、開き直った!」

P「すべて承知の上で、ハグしてほしい!」

P「ただただアイドルからのハグがほしい!」

P「私からは以上です!」

P「どうじゃっ! 誰か、誰かおらぬかっ!」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 17:59:12.79 ID:gOKOXAOSo

未央「……などと意味不明な供述をしておりますが」

未央「二人とも、いかがかな?」

藍子「……」

茜「あのっ!」

茜「結局、タックルとハグって何が違うんですかっ!!」

P「そこからか?」

P「茜はそこから説明しないとダメか?」

未央「ふふふ」

未央「あんまり響いてないっぽいねー」

藍子「……」

藍子「あの」

藍子「私、少し、興味があるかもしれません」

P「えっ!」

未央「うえっ!?」

P「こ、これは意外なところから……!」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:00:01.52 ID:gOKOXAOSo

未央「だ、ダメだよあーちゃん!」

未央「考えてみてよ? 相手はあのPさんだよ!」

未央「絶対ハグだけじゃすまないって!」

P「俺の評価って基本低いよね」

P「そんなに信用されてないのかっていう」

藍子「あ、いえ、ハグはできないかもしれないんですけど……」

P「へ?」

藍子「さっきのPさんの話、すごく共感するところがあったんです」

藍子「私もよく、"幸せ"について考えますから」

藍子「アイドルとして、どうやったらみんなに幸せになってもらえるかなって……」

未央「あー」

未央「確かにあーちゃんよく言ってるイメージある」

藍子「だから、本当に幸せになる効果があるかどうか」

藍子「興味があって、確かめてみたいんです、その……」

藍子「は、ハグは私にはハードルが高いかもしれませんけど……」

P「……ふむ」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:00:38.30 ID:gOKOXAOSo

P「そういうことなら俺も譲歩しよう」

未央「譲歩?」

P「さっき俺、ホルモンの分泌がどうのって言ってただろ?」

P「アレは別に、ハグだけに限った話じゃないらしい」

P「抱っこするとか肩を組むとかでも同じ効果が得られるんだそうな」

未央「というと?」

P「要するに肌の触れ合いがあるかどうかが大事で」

P「方法はなんでもいいみたいだ」

未央「へー」

未央「柔道の寝技とかでもなるのかな」

P「タックルもそうだけど」

P「お互い敵意がないことが大前提ですからね」

未央「あ、そっか、そうだよね」

P「まあ、だから別にいいよ、ハグじゃなくても」

P「藍子の好きなようにしてくれていい」

P「どうだろう、これで」

藍子「は、はいっ」

藍子「それならなんとかできるかもしれません」

未央「ええー……あーちゃん本気でやるの?」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:01:09.73 ID:gOKOXAOSo

藍子「ふふっ、大丈夫ですよ」

藍子「未央ちゃんと茜ちゃんにも協力してもらいますから」

未央「協力?」

茜「ですか?」

藍子「じゃあ、Pさんは座ったままで」

P「ハイ」

藍子「こっちのイスお借りしますね」

藍子「それで、みんなで座って輪になりましょう」

茜「輪?」

未央「よくわかんないけど、やってみよっか」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:02:18.06 ID:gOKOXAOSo

――


藍子「……みなさん輪になりましたか?」

P「うす」

茜「はいっ!」

未央「オッケーだよっ」

藍子「そしたら、両隣の人と手をつなぎましょう」

藍子「私はPさんと、未央ちゃんに……」ギュッ

未央「わわっ」

藍子「そしたら未央ちゃんは茜ちゃんとも……」

未央「う、うん」ギュッ

茜「そして最後に私がPさんと手をつなげばいいんですね!」ギュッ

藍子「はいっ、これで輪になりましたね」

P「なるほどね」

P「まあ手をつなぐのが一番ハードル低いわな」

藍子「Pさん、どうでしょう、こんな感じで」

P「当初の目論見からは大きく外れてしまったが……」

P「平和な感じにおさまったんで、まあオッケーです」

藍子「ふふっ、ありがとうございます」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:03:03.12 ID:gOKOXAOSo

茜「それで、これからどうしましょうっ!」

茜「みんなで回転しますか!? それともジャンプしますか!?」

茜「もしくはスクラムを組みますかっ!?」

藍子「あ、茜ちゃん落ち着いて」

藍子「何もしなくていいんだよ」

茜「……何、も?」

藍子「そう、ただ手をつないでじっとしているだけでいいんです」

藍子「そのまま楽にして、ゆったりした時間を過ごしましょう」

茜「楽に……わかりました!」

未央「しっかし相手があーちゃんと茜ちんとはいえ」

未央「ずっと手をつないでいるってのは気恥ずかしいねー」

藍子「ふふっ、私も同じです」

藍子「でもきっと、じきに慣れますよ」

藍子「のんびり静かに、いきましょう」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:03:31.97 ID:gOKOXAOSo


P「……」

藍子「……」

未央「……」

茜「……」ソワソワ


P(ポジパ+俺で輪になって手をつないでいる)

P(なんかの儀式っぽい)

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:04:25.82 ID:gOKOXAOSo


P「」チラッ

茜「?」

P(……茜、手がめっちゃ熱いな)

P(しかも、がっつり握り返してきてる)

P(どうしよう、手汗かかないか心配だ……)


P「」チラッ

藍子「?」

P(……藍子の手は、小さいな)

P(こっちは茜と比べると控えめで)

P(お手してるみたいな優しい握手だ)


未央「……」ジー

P(対面の未央は――)

未央「……! ……!」パクパク

P(なんか口パクしてきてる)

P(……悪口言われてる気がする)

53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:05:07.61 ID:gOKOXAOSo

P「……」

藍子「……」

未央「……」

茜「……」


P「……」

P(確かに、ただ握手するだけでも効果はあるかもな)

P(この状況、最初は違和感しかなかったけど)

P(慣れてくると、藍子や茜と"繋がってる"感が強くなってきた)

P(直接手をつないでいるわけじゃないけど)

P(未央とも通じ合えている気がする……)

P(握手のパワー、すごい)

P(なんていうか)

P(肩から力が抜けていく)

P(そうか、これが)

54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:06:02.42 ID:gOKOXAOSo


P(ゆる)


P(ふわ――)

55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:10:54.12 ID:gOKOXAOSo


――――
――

56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:11:21.84 ID:gOKOXAOSo


ガバッ


P「はっ!」

57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:12:10.12 ID:gOKOXAOSo

ちひろ「起きましたか」

P「お、俺は一体……」

ちひろ「びっくりしましたよ」

ちひろ「Pさん、いきなり寝ちゃうんですから」

P「寝た?」

P「あれ? ポジパの三人は?」

ちひろ「もうとっくに仕事に行きましたよ」

ちひろ「まったく、大変だったんですからね」

P「……状況が把握できない」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:12:43.68 ID:gOKOXAOSo

ちひろ「みんなで手をつないでいたじゃないですか」

P「それは覚えてます」

ちひろ「そしたらPさんが船をこぎ始めたんですよ」

ちひろ「電車で寝てる人みたいに首をかっくんかっくんし始めて」

ちひろ「三人ともそれ見て笑ってましたよ」

P「なんてこった」

P「あまりにゆるふわな空間だったもんだから……」

ちひろ「それだけならよかったんですけどね」

ちひろ「Pさん、終いには倒れ込んじゃったんですよ」

ちひろ「未央ちゃんに覆いかぶさるようにしてね」

P「へ?」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:14:03.06 ID:gOKOXAOSo

――――――――――――――――――――――――――

未央「ほらほらPさんっ! 寝るなら仮眠室でね!」

P「うむ……む」

未央「ほら立って! 歩ける?」

P「ゆるふわだ……ゆるふわ」フラフラ

未央「あーあ、うわごと言っちゃってるよ」

藍子「だ、大丈夫でしょうか」

茜「私、肩をかしますよっ!」

未央「Pさんでっかいからなー……茜ちんより私がやった方がよさそう」

未央「Pさん、腕こっち回して! できる?」

P「……」

未央「Pさ――」

フラッ

藍子「あ」

茜「あ」

未央「え」

ガバッ

未央「へ?」

P「……」

ギュッ

未央「ちょ」

P「……」

P「……未央」ボソ

未央「」

――――――――――――――――――――――――――
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:14:47.60 ID:gOKOXAOSo

P「やばい」

P「鳥肌立った、やばいやつじゃないですかそれ」

ちひろ「ほんとですよ」

ちひろ「具体的には言いませんけど」

ちひろ「有らん限りの罵詈雑言を吐いてましたよ、未央ちゃん」

P「次会ったとき土下座確定ですね」

P「誠心誠意、謝罪いたします……」

ちひろ「そうしてください」

P「でも、仮眠室にいるってことは」

P「なんだかんだ、ここまで運んでくれたんですね」

ちひろ「三人で頑張ってました」

ちひろ「未央ちゃんもぷんすかいいながら協力してましたよ」

ちひろ「ぽこぽこPさんの肩をたたいてましたけどね」

P「優しいかよ」

P「今度何かおごってやることにします」

ちひろ「そうしてください」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:15:55.79 ID:gOKOXAOSo

P「とはいえ、意識を失うとは」

P「とんだ不覚を打ちました」

P「アイドルの精神的ケアがどうのと言ってましたけど」

P「本人がこんなになってちゃ世話無いですね」

ちひろ「フリーハグと銘打っておきながら」

ちひろ「ハグされる側が癒されちゃってますからね」

P「面目ねえことです」

P「でも、次こそは汚名返上してやりますよ」

ちひろ「……まだやるんですか?」

P「このままじゃ終われないでしょう」

P「だって、まだキュートのアイドルが来てないんですよ!」

ちひろ「は?」

P「キュートのアイドルが来るまでは……」

P「キュートのアイドルのハグをもらわぬことには」

P「終わるに終われませんよ!」

P「頼む、頼むぞー! きてくれー!」

ちひろ「……」

P「なにか?」

ちひろ「いえ」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:16:42.25 ID:gOKOXAOSo


ガチャッ


P「お」


仁奈・薫・千枝「「「ただいまーっ!!」」 でごぜーますよ!」


P「わ?」

63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:17:37.61 ID:gOKOXAOSo

P「年少組か」

P「意外なところだ」

薫「せんせぇ、ただいまーっ!」

P「はいお帰り」

P「三人とも、仕事終わり?」

仁奈「そうでごぜーます!」

仁奈「いっぱいほめてもらったですよ!」

千枝「えへへっ、"良かったよ"って言ってもらえましたっ」

P「ほおー」

P「だいぶ好印象だな」

P「先方にお世話になりましたメール送っとかなきゃな」

仁奈「ぷろでゅーさーもほめてくだせー!」

P「もちろん褒めるぞ」

P「だが今日はちょっと趣向を変えてだな」

P「こういうキャンペーンをやってるんだ、今」サッ

仁奈「んー?」

薫「なぁにーこれーっ?」

千枝「えっと……」

千枝「"ふりーはぐ"、であってますか?」

P「えっ」

P「千枝読めるの」

千枝「あの、意味は分からないんですけど……」

P「すっご」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:18:23.51 ID:gOKOXAOSo

仁奈「ふりーはぐって、なんだー?」

P「要するにな」

P「ぎゅーってすることだ」

P「俺は今日だけ、ぎゅーってし放題なんだ」

薫「えっ!」

薫「せんせぇにぎゅーってしてもらえるの!」

仁奈「ほんとでごぜーますか!!」

千枝「……!」

P「もちろんだ」

P「ぎゅーだけじゃない」

P「なでなでだってしてやるぜ」

P「たかいたかいだって、お手の物だ」

薫「わあー! やったーっ!!」

仁奈「ひょえー! ふとっぱらだ−!」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:19:30.86 ID:gOKOXAOSo

P「さあ、もう言葉はいらないだろう!」

P「全力で来い、二人とも!!」

P「俺の全身全霊をもって受け止めてやる!」

薫「いっくよー! せんせぇっ!」

仁奈「とつげきー! でごぜーますよ!!」


ダダダダッ


ドカーン


P「ウワー!!」


バターン


千枝「あわわ、P、Pさんっ!?」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:20:28.85 ID:gOKOXAOSo

P「やられたー」

仁奈「あははっ、ぷろでゅーさーにぶらさがってるですよー!」

薫「せんせぇせんせぇ! かおるもやるー!」

P「よーしっ、薫はこっちの腕にぶらさがるといい」

P「いいかーゆらすぞーほれほれー」ユッサユッサ

仁奈「ひゃー!」

P「こんどは回るぞーほらほらー」クルクル

薫「わぁー! 目が回るー!」

仁奈「ぐーるぐるでごぜーます!」

薫「せんせぇ! もっとやってー!」

P「ふふふ」

P「好評なようでなによりだ……ん?」

千枝「……」ジー

P「……」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:21:19.36 ID:gOKOXAOSo

千枝「……あ、あの、Pさん」

千枝「その……千枝……えと……」

P「……千枝」

P「フリーハグはな」

P「"誰でも"ウェルカムなんだ」

千枝「えっ?」

P「老若男女問わず、誰だってハグしていいのさ」

P「人種国籍を超えて、誰もが愛と平和を叫ぶことができる」

P「それがフリーハグの精神だからな」

P「もちろん、千枝だって例外じゃない」

千枝「……!」

薫「千枝ちゃんも、いっしょにやろー!」

仁奈「あったけー気持ちに、なるですよー!」

P「俺の心配ならいらないぞ」

P「三人同時にだって、へっちゃらだ」

P「なぜなら俺は、みんなのプロデューサーだからな!」

千枝「……はいっ!」

千枝「Pさん、千枝、ちょっと大胆になります!」

P「しゃあ!」

P「どんと来い!」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:22:11.25 ID:gOKOXAOSo


千枝「いきますっ! Pさんっ!」

千枝「千枝のこと、受け止めてくださいっ――!」



69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:22:44.93 ID:gOKOXAOSo



70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:23:18.69 ID:gOKOXAOSo


――――
――

71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:23:47.89 ID:gOKOXAOSo


P「――終わりよければ、すべてよし」

P「最後のは、文句ないんじゃないですか?」

P「みんな、満足してくれたみたいですしね」


72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:24:31.38 ID:gOKOXAOSo


ちひろ「……まあ、そうですね」

ちひろ「Pさんの言う"温もり"とやら、わかった気がしますよ」

P「ああいうのがやりたかったんですよね」

P「それまでは振り回されてばっかりだったけど」

P「最後の最後であったけえ気持ちになれました」

P「年少組には感謝しなくちゃいけませんね」

ちひろ「企画倒れにならなくてすみましたしね」

ちひろ「結局、キュートのアイドルは誰一人来ませんでしたけどね」

P「……」

P「そればかりが心残りだ……」

P「後一日くらい延長しようかな」

ちひろ「今度はもう許可しませんよ」

ちひろ「本当に今日だけの特別でしたからね」

P「ええー」

P「せっかくこんなプラカード作ったのに……」

73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:25:20.12 ID:gOKOXAOSo

ちひろ「それじゃ、私はそろそろ」

P「あっはい」

P「お疲れさまです」

ちひろ「戸締まりだけはきちんとしてくださいね」

ちひろ「電気はどうします?」

P「消しちゃっていいですよ」

P「机に明かりついてるんで、大丈夫です」

ちひろ「わかりました」

ちひろ「それじゃあ、失礼しますね」

P「……」ジー

ちひろ「……なんですか?」

P「ちひろさん、このフリーハグですが」

P「これ別に、アイドル限定ってわけではないんですよ」

ちひろ「そうですか」

ちひろ「では」


ガチャ


バタン


P「つれねえ」

74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:26:15.93 ID:gOKOXAOSo


――


カタカタ…


カタカタ…


P「なんやかんやあっても」

P「最後は一人か」

P「そんなもんよね」

P「よっしゃ、さっさと終わらせて――」


ガチャッ


P「?」

P「ちひろさん?」

P「忘れ物でも――」


??「――振り向かないで」

??「そのまま、前だけ見てて」


P「」

P「凛、か」

75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:26:54.51 ID:gOKOXAOSo

凛「当たり、すごいね」

凛「声だけでわかるんだ」

P「そりゃお前」

P「何年この仕事やってると……」

P「ってそうじゃない」

P「なんでここに凛がいるんだ」

凛「加蓮と奈緒がうるさくてさ」

凛「私はいいって言ってるのに」

凛「行かなきゃ絶対後悔する、なんて言うんだよね」

P「……」

凛「今日一日、限定だったよね」

凛「……まだ、大丈夫?」

P「……もちろん」

P「お好きなように、どうぞ」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:28:17.73 ID:gOKOXAOSo

凛「動かないでね、プロデューサー」

凛「本当にそのまま、前だけ見ていればいいから」

P「うん」

凛「……」

凛「それじゃ」

凛「いくよ」


フワッ


ギュッ


P「……」

P(まさか、後ろからとは)

P(ぜんぜん想像してなかった)

P(こういうの、なんつったっけ)

P(あー、そうだ)

P("あすなろ抱き"、だこれ)

凛「……大丈夫?」

P「うん、大丈夫」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:29:15.68 ID:gOKOXAOSo


凛「……」

P「……」


P(凛の顔が、すぐ横にある)

P(長い髪に隠れて、表情は見えない)

P(いい匂いがする)

P(首に回された、凛の腕)

P(結構、力強い)

P(……)

P(静かだ)

P(互いの吐息すらも、聞こえてきそうだ)

78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:29:58.95 ID:gOKOXAOSo


凛「……」

P「……」


ギュー


79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:30:42.84 ID:gOKOXAOSo


凛「……プロデューサー」

P「うん?」

凛「私たちが行った後、どうだった?」

凛「他にも誰か、やってくれる人いた?」

P「……うん、まあ」

P「ぼちぼちだったよ」

凛「何、それ」

P「年少組には好評だったけどな」

P「それくらいさ」

P「まともにやってくれたのは、そんなにだな」

凛「……ふーん」

凛「そうなんだ」


ギュー


P(露骨に力入れてきたな)
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:31:22.49 ID:gOKOXAOSo

凛「……聞いていい?」

P「どうぞ」

凛「なんで、こんなことしようとしたの?」

P「……なんでだろな」

P「半分は下心だろうな」

P「現役アイドルからハグもらえたら、うれしいだろ?」

凛「そう?」

P「そうさ」

凛「今も?」

P「今も」

凛「……そっか」

凛「残り、半分は?」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:32:02.56 ID:gOKOXAOSo

P「後は、三割くらいウケ狙いだよな」

P「セクハラだのいわれるのも、想定内だったし」

P「ちょっと面白いかなってさ」

凛「……」

凛「後は?」

P「残りは、そうだな」

P「他は全部、純粋な気持ちからだよ」

P「"温もり"なんつーもんが本当にあるかは怪しいところだけど」

P「もしハグすることで、少しでも誰かの救いになるのなら」

P「やってみるのも悪くないなって思ってな」

凛「……」

凛「効果は、あった?」

P「……」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:32:41.52 ID:gOKOXAOSo


P(真っ暗な事務所の中)

P(俺と凛だけがぼんやり照らされている)

P(辺りは静寂)

P(物音一つしない)

P(二人だけの空間)

P(だけど、不思議と寂しさはない)

P(まあ、これはきっと、そういうことなんだろうな)


P「効果は、あったよ」

P「なんとなく、だけどな」

83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:33:31.80 ID:gOKOXAOSo



P「――なんとなく、優しい気持ちになれた気がするよ」




終わり

84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/28(金) 18:34:55.95 ID:gOKOXAOSo


PCSにおかれましては、皆様の脳内で補完していただきたく……


html依頼してきます
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/28(金) 18:39:39.71 ID:iwrAvAoso
なんだよこの気持ちは
すごく言葉に表せない幸せな気持ちだ
おつおつ
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/28(金) 19:20:32.62 ID:4YVxV3Xqo

  心

  か
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/28(金) 19:25:23.28 ID:0Cj5DIFJ0

安らぎを感じた
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/28(金) 19:54:13.00 ID:Jj7Kgb12O
そ、そこまでやってくれるのか……PCS(脳内
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/28(金) 19:58:25.03 ID:tLvXR3Pgo
オチはまゆかと思ってたから意外な展開
90 :全治全能の未来を予言するイケメン金髪須賀京太郎様に純潔を捧げる [sage saga]:2017/07/28(金) 22:14:59.66 ID:NGldeDC60
蘭子アーニャ楓幸子「須賀Pとハグしたかった」

千川ちひろの大便「」チーン

須賀P「げ下痢弁が死んでる」

凛「死体終了所に運びますね」

西條P「ちひろ何てアイテムケチるBBAだろ」

本田未央と前川みくが被りました須賀Pは如何しますか
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/28(金) 23:10:11.31 ID:9PLnAPlPO
スレタイからの落差しゅごいね…乙乙
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/28(金) 23:40:35.97 ID:tb725lIk0
アイドルのデレはこれくらいが好みかも
50.69 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)