【安価】 ガンダムビルドファイターズトライ・アズールU【艦これ×GBF-T】

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193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 10:55:24.89 ID:ER0mlBxm0
3
194 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/10/22(日) 17:30:24.62 ID:pilbpDam0
side-阿武隈-


『スフィア・フォーカス・ビームキャノン』を放ち青いスクランブルへと攻撃を行う阿武隈。全方位ビーム攻撃を回避するスクランブルの機動性に四苦八苦しながらも攻撃を続ける。


セルジュ「そのような攻撃では!」

阿武隈「当たらない… 聞いてた以上に速い!」

長波「なら… 奔れ、『グシスナウタル』!」


弓装『グシスナウタル』からビームの矢が屈折しながら放たれスクランブルへと目がけて矢が駆ける。回避行動を行うセルジュだが『グシスナウタル』の矢は『必中』であり回避する事は不可能。

そして矢が直撃するが、スクランブルは傷一つもつかない。


セルジュ「こちらに当てるか…!」

長波「なんだコイツ、堅い!?」

陽炎「耐粒子コーティング…! 生半可な攻撃は通じないわよ!」


足を止めたスクランブルに『グラム』を抜き放ったヴェズルフェルニルが加速し斬撃を加えるがスクランブルはサーベルを抜いて防ぐ。

パワーで劣るヴェズルフェルニルは押し切られそうになるも満潮のスライサー・ビットがフォローの射撃を行い相手を下がらせる。


満潮「アンタの機体は『脆い』のよ! 無闇に接近戦を仕掛けないで!」

陽炎「アイツに追いつけるのは『ヴェズルフェルニル』だけよ! アイツ無駄に運動性高くて…」

阿武隈「なら… フォーメーションを使う! 満潮ちゃん、フォローお願い!」

満潮「ちょ、フォローって…」

阿武隈「行くよ、二人共! NT-D、起動!」

陽炎「リミット解除、ここから飛ばしていくわよ…!」

長波「認証確認、『コード・ブレイヴ!』」


3機の装甲が裂け、蒼い燐光を纏いながら『ガンダム』へと変身する。 さらに全身から燐光溢れ出し全身が光に包まれた。

そしてまずヴェズルフェルニルの背部に装備された『スキーズブラズニル』から白い光が放出され、翼の形を形成していく。


陽炎「マッハで駆けるわよ、ヴェズルフェルニル!」


そう陽炎が告げると、ヴェズルフェルニルが凄まじい速度でスクランブルとの距離を詰める。

咄嗟に反応したセルジュだが既に遅く、正面に居た筈のヴェズルフェルニルは背部へと回り込んでおり『グラム』による斬撃が直撃した。


セルジュ「くっ… しかし!」

陽炎「遅い! 『ネージュ・エール』、切り刻め!」


放出される余剰パワーの塊が無数の刃を形成し、スクランブルへと殺到するがセルジュはその攻撃をシールドで防ぐ。


セルジュ「その程度では!」

長波「なら、盾を壊せば良いんだろ! ブチ抜け、『グシスナウタル』!」


先程とは違う、真っ直ぐに進む光の矢が『グシスナウタル』から放たれ『ネージュエール』の刃を防いでいたシールドを粉砕する。

本体の破壊こそ出来なかったもののライフルと一体化しているシールドを粉砕したと言う事は射撃兵装を喪失したことと等しい。


セルジュ「なっ!?」

阿武隈「今! マ−ナガルム! ファイナル・ウルフ・ストライク!」


猛スピードで直線加速するマーナガルム、そしてマーナガルムに気圧されたセルジュの判断が遅れ体当たりが直撃し壁へとたたきつけられた。

そして阿武隈は腕に装備されたクローアームを展開して振り下ろそうとするが…
195 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/10/23(月) 02:08:12.34 ID:Sb9OY36q0
阿武隈は直感的に『何か』を感じ取り機体を下がらせる。言葉で言い表せないような恐怖、追い詰めたと言うのにまだ余裕を見せる異質さが阿武隈の戦場で培った勘が警鐘を告げた。

そして次の瞬間、スクランブルが震え上がり全身のクリアパーツが赤い色へと変色しツインアイが赤く発光を始める。


セルジュ「子供が私に、コレを使わせるとは…!」

阿武隈「まさか… 『EXAMシステム』…!?」

満潮「どう言う事? 私達の機体だってNT-Dを積んで…」

陽炎「そうじゃない! あの機体、『本物のEXAM』に接続してるのよ!」

長波「こっちのガンプラはあくまでも『NT-Dの擬似的な再現』でしか無い、だけどあっちは『オリジナルのEXAMシステム』を外部接続させて使ってるんだ…!」

満潮「なっ…!?」

陽炎「アイツ等はそのEXAMを使う機械をナノマシンサイズまで縮小させる事に成功してる。 ならこんな芸当も不可能じゃない…」

セルジュ「これを見られた以上、益々貴様等を生かして返す訳にはいかんな」


阿武隈は思案する。 どうすればあのEXAM搭載機に対処出来るか、どうすれば倒せるかと。

だが答えは浮かばない。擬似的な『ニュータイプ』能力を再現するシステムであるEXAMを倒す術を見出せない。


阿武隈(EXAMの特性… NTを検知する事で暴走を行う、もしくは多数の死と殺気の検知による暴走… だけどこの場にNTと言える人間は一人しか居ない!)


しかしその肝心なNTは現在もう1機と交戦している。 そして彼女を巻き込む事は阿武隈の本位では無く、その思考を即座に打ち消す。

だが阿武隈は一つ肝心な事を思い出した。 それは数ヶ月前の事、榛名が珍しくスパロボ以外のゲームを買ってきた時の事だ。



阿武隈『何これ?』

榛名『Vの限定版が売ってなかったので… ワゴンで見つけたから買ってみたんです』

陽炎『『サイドストーリーズ』… なんでよりによってコレなのよ…』

榛名『陽炎達まだガンダム知識薄いじゃないですか。 それを補う為に、これで1年戦争時代の外伝シナリオを振り返ってください』

長波『本音は?』

榛名『限定版が売ってなかった腹いせです』

阿武隈・陽炎・長波『やっぱりね!』


自分の知識の薄さ(当人は塾生時代に全部学んだと言っていたが私達と大差無い)を棚に上げて自分にアレなゲームを押し付けた姉。だが今、それが生きた。

EXAMについて、もう一つだけ対処する方法がある。 そしてその策を実行する為にある人物へと通信を繋いだ。


阿武隈「海風ちゃん!」

海風『阿武隈さん、相手がEXAMを…』

阿武隈「こっちも! だから、相手をEXAM同士で『共鳴』させる!」
196 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/10/23(月) 03:08:16.93 ID:Sb9OY36q0
阿武隈は失念していた、EXAM機は設定上同じ戦場に複数機存在していた場合同士討ちを始めることを。

そしてその事を思い出した今、唯一EXAMに対抗出来る手段がこれであり阿武隈に思いつく『最善』だった。


海風『…分かりました。EXAMを倒すにはEXAMを使うしか無い。そして利用出来るのは…』

阿武隈「敵のEXAMしか無い、ってことだよ…!」

海風『ではタイミングはそちらに合わせます。 霞、お願いします』

霞『分かった…!』


本来二人は互いに手を取り合える相手では無い。 全国大会と言う場で争い合う筈の敵だ。

だが今だけは『共通の敵』が居る以上手を取り合い打ち倒すしか互いに未来は無い。だから二人は互いの蒼い目を合わせて頷く。


阿武隈「行くよ…! 3人共、私に付いてきて!」

陽炎・長波「了解!」

満潮「ちょ、何する気よ!?」

阿武隈「話はあと! 今はアレから逃げるよ!」

陽炎「満潮、掴まりなさい! こっちの方が速い!」

阿武隈「長波ちゃんも、マーナガルムに!」


フレスヴェルグはヴェズルフェルニルを掴み、マーナガルムがガルムの腕を掴んだのを確認すると2機は加速する。

2機の加速性は改RX-0の中でも抜群に高く、MSを1機牽引しようとその速度は落ちることが無い。


セルジュ「逃がさん!」


追いかけるスクランブルに向け手の空いている長波と満潮が『グシスナウタル』と『グングニルU』を使って迎撃を行う。

倒す事が出来なくても牽制にはなる、その目論見通りにスクランブルは小刻みに回避運動を行う為速度が少し落ちていた。


セルジュ「チィッ…!」

阿武隈(目標地点まであと10秒、逃げ切るしか無い…!)

海風『こちらも退避行動開始! カウント! 10、9、8…』


海風がカウントしながらZZをジャスティスと協力しながら牽引してくるのを阿武隈は目視する。

そしてモニターに映る海風と目を合わせ、同時に叫んだ。


海風「今です!」
阿武隈「今!」


機体を急上昇させる7人、急加速を用いてスクランブルを引き剥がす。それを追いかけようとスクランブルも加速するが、様子が変わる。

距離を離されたことで互いが共鳴し最優先目標が変更され、お互いを狙うようになったしまったのだ。


トリスタン「くっ… 何をしている、何故こちらを!」

セルジュ「コントロールが利かん! どうなっている!?」

陽炎「バーカ。 アンタ達は自分の力に溺れてんのよ。 勝手に潰し合って自滅しろ」

長波「EXAMを切っておくんだったな、このバカ共」

神通「システムの本質も機能も理解しないで使うだけ、とは… 愚かにも程があります」

阿武隈「そう言うこと。 しかも暴走状態のEXAMはシステムカット出来ない、どちらかが消えるまでね」

霞「互いに滅ぼしあって、自滅を辿りなさい」

満潮「まさかこんな対処法があったとは…」

海風「阿武隈さん、助かりました」

阿武隈「別に良いよ。 ここで倒されても困るし、気にしないで。 それより、結晶体の破壊に向かうよ!」
197 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/10/23(月) 20:32:22.18 ID:nDTuKHtr0
side-瑞鳳&榛名-


ニムバス「受けよ、我が裁きを!」

榛名「この感覚… EXAM! NT-D!」

瑞鳳「オリジナルのシステムを… なら、私も!」


赤い光を纏うスクランブルガンダムと相対する榛名の『フェンリル』と瑞鳳の『ガンダムエピオン・クロイツ』の2機。

そしてEXAMの力に対抗すべき蒼い燐光を放つフェンリルと明鏡止水の域に至った瑞鳳と同期し黄金の光を纏うエピオンが、スクランブルへと襲い掛かる。


ニムバス「面白い…!まずは貴様達を狩るとしよう!」

瑞鳳「黙れ」

ニムバス「何っ!?」

瑞鳳「黙れと、言った…!」


瞬時に間合いを詰める瑞鳳、咄嗟にサーベルで防御を試みるニムバスだがそれが間違いだった。

瑞鳳はシールドからマスタークロスを展開し脚部を縛り上げ、そのまま振り回す。


ニムバス「コイツっ…! 離せ!」

瑞鳳「でやぁぁぁぁぁぁっ!」


その勢いで壁へと叩き付け地面へと放る。 そして剣を振りかざして一撃を放つ!


瑞鳳「奥義!天剣、絶刀!」


放つは神速の刃、間一髪姿勢制御を行う事で回避するニムバス。 回避された不可視の衝撃波が講堂の地面を切り裂く。

だが大振りな一撃故の隙が出来、ニムバスはそこを狙う。しかしニムバスの思うようにはいかない。


榛名「一人だけだと思うな!」

ニムバス「チィッ…!」


2本のビームアックスを振るい、スクランブルと鍔競り合う榛名のフェンリル。

榛名とニムバスの技量差はほぼ無い、それどころか榛名が一歩押している。 そして機体性能も榛名の方が高く、徐々にスクランブルはパワー負けして追い込まれていく。


ニムバス「何故だ! この機体は、最強の機体の筈だ!」

榛名「いいえ! その機体はあくまでも中途半端な技術模倣で出来た機体、こちらの機体が『本物』です!」

瑞鳳「そんな機体でオリジナルの技術で出来た機体に勝てると思うな! 秘技・十二王方牌大車併!」


背後からエピオンを模した小型の分身がスクランブルを押さえ込み、機体の動きを封じた。

そして瑞鳳と榛名は互いに顔を合わせて頷き合いトドメの構えを取る。


ニムバス「う、動けん…!」

瑞鳳「流派・東方不敗が最終奥義!」

榛名「コード・ブレイヴ… アローモード、マテリアライズ!」


瑞鳳「石波ッ!天驚けぇぇぇぇぇんっ!」
榛名「エクサブレイヴ・シュート・オーバァァァァァッ!」


黄金の拳と蒼い粒子結晶が同時にスクランブルへと殺到し、既にスクランブルは逃げる術を失っている。

そしてそのまま2機の一撃がスクランブルの機体を飲み込み、衝撃波が周囲一体を吹き飛ばした!
198 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/10/23(月) 21:11:06.75 ID:nDTuKHtr0
瑞鳳「やった…?」

榛名「これでは原型も留めていないでしょうね、機体は。 まだ、妙な気配を感じます…!」

『まずは褒めてやろう! 今回の戦い、貴様達の勝ちだ!』

瑞鳳「ッ…! ニムバス・シュターゼン!」

ニムバス『だが次はこうはいかんぞ… 貴様達に未来など無い、この局面を乗り越えたところでな!』

榛名「それは、どうでしょうか?」

ニムバス『そして貴様等の行いが無駄であると、思い知るが良い! さらばだ!』


BATTLE END

パァァァァァァァァ…


瑞鳳「何!?」

榛名「粒子結合の崩壊、恐らくニムバス・シュターゼンの操る『スクランブルガンダム』を破壊したことで粒子が維持出来なくなり結合が崩壊し大気中へと溶けているんです」

時雨「じゃあこの事態は一応収束した、って訳だね」

春雨「何とかなりましたね…」

三日月「しかし… 結局黒幕を倒す事は出来ませんでした」

霞「それに、講堂に取り残されてた人達は…」

海風「彼等の犠牲を無駄にしない為にも絶対に事態を終わらせないと…!」

神通「うっ…!力が…」

萩風「眩暈が…」

瑞鳳「二人共、大丈夫!?」

神通「はい… 今のは、一体…」

萩風「わからない… でも、これは…」

青葉「今は脱出しましょう。 もうすぐここに警察が来るのでしょう?」

天城「厄介事にはもう巻き込まれたくありません…」

ウォースパイト「バズーカやら爆破やら色々ヤバイものがあるものね」

浜風『瑞鳳さん、聞こえますね?』

瑞鳳「そっちは大丈夫?」

浜風『ええ、被害ゼロです。 これからどうします?』

瑞鳳「全員、撤収開始して。 基地で合流、そのままブリーフィングに移るよ」

浜風『了解しました』
199 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/10/24(火) 00:07:12.84 ID:4D3kAt/p0
《瑞鳳達のアジト》


霞「あー、しんどかった…」

海風「夜も監視されててオチオチ眠れませんでしたし…」

瑞鳳「仕方ないか… ブリーフィングはちょっと休んでからね。部屋は前のトコ使って良いよ。 あと神通ちゃんと萩風ちゃんは医務室に」

神通「何故ですか?」

瑞鳳「さっきの眩暈、明らかに疲れからくるものじゃない。 身体に何か起きてるかも知れ無いからね」

萩風「わかり、ました…」

榛名「あの、榛名達は…」

瑞鳳「あ、これパスです。 車貸すので榛名さんはここから2キロくらい先にあるバー○ンにでも阿武隈ちゃん達連れて行ってあげてください。

どうやら朝どころかお昼も何も食べて無いらしくて。 これで足りますか?」

榛名「充分だとは思いますが… 流石にお金は…」

瑞鳳「後でお母さんから毟り取るから大丈夫ですよ。 あと戻ったら9番以降の部屋使ってください」

榛名「分かりました」



霞「あれ、海風? 部屋行かないの?」

海風「ええ。少し用事が」

浜風「海風… 良かった、無事で…」

海風「少しばかり面貸してください、この馬鹿姉貴」

浜風「ば、馬鹿姉貴!? どこでそんな言葉を…!」

海風「良いから! 来て下さい!」ガシッ

浜風「行く!行くから! と言うか首絞まってる!?」ズルズル

霞(何やってんのよ… でも海風、様子が変… どうなってるの…?)


蒼龍「霞ちゃん、ちょっと」

霞「蒼龍さん?」

蒼龍「ちょっと来て。 サイコミュ弄るから」

霞「は?」

蒼龍「ハシラジマからの贈り物、霞ちゃん用に調整するから来て欲しいの」

霞「えぇ…」


イベント選択 直下
1.海風『事象改変の果てに』
2.神通『消える因果』
3.霞『今を越えて』
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/24(火) 00:16:51.10 ID:EizF9bZw0
201 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/10/24(火) 01:32:39.95 ID:4D3kAt/p0
side-海風-『事象改変の果てに』


浜風「何でこんな所に…」

海風「話せる相手が一人しか居ないからです。 その『事象』に組み込まれていて、それを乗り越えてしまった誰かさんにしか」

浜風「…事象を乗り越えた…?」

海風「ええ、言葉どおり… どこぞの誰かさんは『滅びの因果』を偶然乗り越えてしまったんですよ」

浜風「え、ちょっと待って… まさか私が『倒れる』事象が起きる筈だったのが、あの場であったと…?」

海風「はい。 ニムバス・シュターゼンが告げた言葉、『死すべき者』と言う言葉… あれは貴女や蒼龍さん達『昏睡病との戦いで敗れ消えた者』の可能性が高いです。

ここからはあくまでも推測でしかありませんが、『死すべき者』と言う単語は恐らくあの場で死ぬべき人間を指していたのだとすれば…」

浜風「図らずも、私は因果を乗り越えて事象を改変してしまったと…」

海風「はい。 それに萩風さんの話ではの学園の学生は本来皆殺しにされ、誰一人も残らない筈でした。 しかし現実には100人程生き残った…

事象改変の波が、定められた未来が徐々に崩壊しつつあります。 その影響をモロに受けるのは神通さんと萩風さん、そして敵も…」

浜風「まさか二人の体調不良は…」

海風「事象改変で存在が不安定になっているのでしょう。 二人の存在を固定する方法は唯一つ、ただしそれは『四人の死』と引き換えですが」

浜風「…」

海風「ですが、敵の方にもそれは言えることです。 敵は明らかに未来を知覚していた… そうで無い限り、彼の言動に説明がつきません。

そしてそこから導き出される結論は二つ、『敵は未来を知る方法を持っている』か」

浜風「もしくは『敵も未来の存在である』と言う事…!つまり事象を改変すれば改変する程…」

海風「敵に後が無くなっていくと言う訳です。 問題はここから、修正力との戦いでしょう」

浜風「本当に修正力と言うものがあるかどうかすら定かではないけど… 少なくとも暫く警戒が必要、でしょうね」

海風「ええ。 まぁ一度乗り越えた以上二度目も余程理不尽でも無い限り避けられると思いますが…

そしてもう一つ、どうにかして先輩達の因果を作らなければこのままだと確実に『消滅』します。 そうなれば後に因果が繋がれるかどうか、禁忌を犯している以上最悪輪廻転生の輪からも外れます」

浜風「分かりました。 この件は瑞鳳さんにも…」

海風「いえ、瑞鳳さんには伏せてください。 先輩と萩風さんを創造したのが瑞鳳さんな以上、何らかの事象が起こらないとも限りませんから。

少なくともこの話は貴女の無駄にデカイ胸の中だけに留めてください」

浜風「…分かった。 海風がそう言うのなら」

海風「しかしこちらとしても考える事が増えました。 相手は『EXAMシステム』そのものを使える、そこが厄介です」

浜風「ええ。 マトモに対抗出来る者は少ない以上、悩みの種です」

海風「今回は敵が同時使用と言うヘマをやらかしてくれたお陰で対処出来ましたが次はそうはいかないでしょう。 どうやってEXAMを撃破するか、それが当面の課題になるかと」

浜風「『あちら側』の間宮さんのように『HADES』を使える人間が居れば… それか向こう側のNT軍団か…」

海風「確実にEXAMを潰す算段を整えない限り、こちらに勝ちはありません。 そして勝ち筋を整えるのが海風達『戦術指揮官』の務めです」

浜風「海風… ええ、その通りです。 私達が勝ち筋を見出さなきゃ、未来なんて得られない…!」

海風「妹に言われるまでそんな事も忘れているとは…」

浜風「忘れてなんてないけど… 再認識しただけで…」

海風「そう言うことにしておきますよ… 眠いので寝てきます」

浜風「海風… ありがとう」

海風「別に、感謝される謂れはありませんよ。 海風は未来が欲しい、そして先輩達に消えて欲しく無いからやっているだけです」

海風(そう… もう海風は、止まれない…! 先輩達に、消えて欲しく無いから…!)
202 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/10/24(火) 23:42:00.68 ID:4D3kAt/p0
《数時間後 ブリーフィングルーム》


海風「ふぁ…」

瑞鳳「あ、起きた?」

海風「あ、はい… 霞や先輩達は?」

瑞鳳「まだ寝てるよ。 余程精神的にキツかったみたいだからね」

<えぇ〜発表によりますと学園生の大半が犠牲となっており、死者行方不明者共に相当数に…

海風「…」

瑞鳳「早速ニュースになってるよ」

榛名「しかも、シェリンドン・ロナはあの場から逃走して行方不明と… 一体何をしているのだか…」モキュモキュ

海風「…残された信者も、見捨てたんですね」

瑞鳳「それだけわが身可愛さが勝ったんでしょ」

春雨「ああ言う人は自分がそう言う立場になってしまえば良いのに…」

時雨「キミの宗教嫌いは相変らずだね」

春雨「別に宗教そのものはどうでも良いんです、はい。 ですがそれを笠に着て、過激な行動をやる人間が嫌いなだけで」

榛名「まるで見てきたかのような言い方ですね」モキュモキュ

春雨「中東でも、この前行ったイギリスでもそう言う人間は見てきましたから」

海風「中東…?」

時雨「春雨は元々ガンプラを普及する為に父親と色んな所を歩いてたらしくてね」

春雨「その話はどうでも良いことです。 特に中東の件なんかはあまり思い出したくもありませんから、はい」

<続いてアナハイム問題で衝撃の事実が発覚しました。アナハイムは米国主導の下衛星… ピッ

<今回の事件を受け警視庁は原因不明との発表を行い、何が起きたのか詳しく調査中との…

海風「アナハイム絡みのニュースは観なくて良いんですか?」

瑞鳳「今はこっちが優先」

時雨「僕らはあの事件に介入した当事者だ。 だけど『その後』の事は一切知らないでガンプラ拾って逃げて来たからね。 詳しい話を知りたいのさ」

三日月(裏)「だが… 我々の知る情報以上の事は無さそうだ。 残された生存者の話も一切上がらん」

榛名「青葉さん達が今現地で情報を集めつつ痕跡を隠蔽するよう指示しておきました。 なので本格的な事は三人が戻ったらになりますね」モキュモキュ

海風「…一体何食べてるんです?」

榛名「さっき買ったハンバーガーです。 食べます?」

海風「遠慮します…」

春雨「見てるこちらが胸焼けしそうな量をさっきから食べてます…」


イベント 直下
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/25(水) 16:11:14.22 ID:agpo6VYFO
春雨に浜風との戦いについて聞く
204 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/10/27(金) 02:45:29.92 ID:F5YCCpPn0
海風「あの… 春雨さん達は夕雲さんと、そしてアレと戦ったのですよね?」

時雨「アレ扱いは少々酷だと思うけど… まぁ、そうだね。 僕は浜風と夕雲と戦い、そして勝った」

瑞鳳「現状、唯一の勝者だね。 あれより前にも、あの後にも参加した公式戦で二人に敗北は無いから」

時雨「基本的にあの二人はコンビじゃないと真価を発揮出来ない。 浜風の技量は世界レベルとは言え平均程度、夕雲は戦闘になると攻撃に偏り過ぎて周りが見えなくなる。

だけど逆に言えば二人揃えばほぼ負けは無い。 冷静に戦況を見極め的確な指示と補助を行う浜風とそれを実行する夕雲、はっきり最悪の敵だった」

春雨「私達が戦った時、バトルフィールドは『宇宙・デブリ帯』。 二人の機体はもう知ってますよね?」

海風「『ニクスプロヴィデンス・クロイツ・リバイ』と『アストレイミラージュフレーム・クロイツ・リバイ』、でしたよね」

時雨「当時はリバイは付いて無かったけどね。 僕達は二人の機体情報を事前に知らなかったんだ。 二人は前の戦い、レナート兄弟って浜風に比べたら戦略家気取りにも程がある敵相手に元々の機体を破損させて交換していたのさ。

僕達は戦いが始まるまで前の機体、『ヘイルバスター・クロイツ』と『ヴァンセイバー・クロイツ』を使うと思い込んでいた。それが完全に仇になった…」

春雨「加えて、向こうはこちらの機体『スローネ・ヴァリアント』と『ドレッドノート・ファントム』の性能を完全に把握していました。 この時点でこちらの方が劣勢です、はい」

海風「情報の隠匿と敵情報の掌握… さらに初見殺しを使った、と言う訳ですか」

瑞鳳「そう言うこと。 そしてミラージュには『ミラージュコロイド』が搭載されて、フィールドにはデブリって足場がある。 浜風ちゃんはまずドラグーンで二人をデブリの中に追い込んだ」

時雨「ここから先は一方的だったよ。 ミラージュコロイドを使いながら足場を使ってヒット&アウェイを繰り返す夕雲、そしてデブリ帯をドラグーンで囲んで退路を完全に断った浜風…

逃げ場なんか無い、そして見えない敵の攻撃にこっちはもう参ったね。ハッキリ言うと、あの二人のデブリ帯で戦うのは二度と勘弁して欲しい」

瑞鳳「まぁ二人がこんな戦い方をしたのもこれが最初で最後だけどね。 あの時は私さえも薄ら寒さを感じたし…」

春雨「それだけ確実に勝とうと思ったのでしょう。 それに多かれ少なかれレナート兄弟の妄執の影響もあったのかもしれません」

時雨「バトルは地形を生かして戦え、って僕は『リカルド・フェリーニ』ってファイターの教わったけど… あれほど地形を利用した戦い方は初めてだったよ。

ドラグーンもデブリに紛れてどこから来るか分からない、それ以上にミラージュからの攻撃もどこから来るかギリギリまで分からない。それが僕達を追い詰めた、と同時に春雨にある決断をさせたのさ」

海風「決断、ですか?」

春雨「ニクスを止めなければどうにもならない、そう思ったらすぐ身体が動いて… 無我夢中で、武器を捨ててニクスに特攻を仕掛けてました、はい」

瑞鳳「観てた私すらも唖然となったよ。 あれじゃただ自爆するだけ、ドラグーンの餌食になるだけだって。 でも春雨ちゃんは機体スペックをフルに活かしてドラグーンの雨を掻い潜ってニクスと相討ちしたの。

ただそれでもニクスは生きてた。 そして春雨ちゃんは組み付いて機体を自爆させてニクスを自分の機体と引き換えにして倒した」

時雨「これに関しては浜風も想定外、瑞鳳のことをずっと側で見てきたから『ビルダーが自分の機体を特攻・自爆させる訳無い』って。 だからこそ、浜風の不意を突けたのさ。

そして僕はデブリ帯を脱したけど夕雲は追撃してきた。 ミラージュコロイドのメリットを捨ててね」

瑞鳳「ミラージュの弱点は軽量化による装甲の薄さ、少しの被弾が命取りになる。 だけど夕雲ちゃんはそれを夢中になっていたせいで失念してた」

時雨「そこを突けば勝てる。 でも僕にはそれが出来る武器は夕雲の猛攻で全て壊されていた… だけど春雨の武器は違う。 春雨の機体は狙撃機、センサーが強化されていたからミラージュコロイドを見抜けていたしギリギリまで武器が温存できた。

で、僕は春雨のライフルをどうにか探し出して接近してきたところを不意打ちで夕雲をギリギリ仕留めることに成功した。 まあ最後の攻撃で限界が来てドレッドノートも壊れたけど」

春雨「あの戦いでビギナ・ゼラを使っていればサイズが合わなくて、武器が使えずこちらが負けていました。 だからビギナが前の戦いで壊れていた怪我の功名なんです、はい」

榛名「この戦いは榛名も取材で観てましたから印象に残ってますね。 観てるこちらが久々に手に汗握る戦いでした」

春雨「あれ、あの場に居たんですか?」

榛名「…あれ? 榛名、インタビューしましたよね…? 雑誌の特集ちゃんと書いて…」

春雨「あ… あれ榛名さんだったんですか!?」

榛名「わ、忘れられてた…」

瑞鳳「いや、それ私も初めて知ったんですけど…」

榛名「まあ眼鏡と帽子つけてましたから仕方無いですよね…」

三日月(裏)「この戦いは一応、歴代大会の名勝負ベスト3にランクインした。 気になれば動画も残っているかもしれんぞ」

海風「は、はあ…」

瑞鳳「あの戦いでスローネは木っ端微塵で修理不可能、ドレッドーノートは最後の一撃でフレームが全損で修理不可… あとのダメージは春雨ちゃんの方が大きかったけど。

あの後、なんであんな事したんだって凹んだし。 だけどそれが勝利に繋がった… 憶えておいて、ガンプラバトルに確実なんて無い。 どんな状況だろうと諦めなきゃ覆せる」

海風「諦めなければ、覆せる…」
205 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/10/28(土) 02:27:06.09 ID:lr9xDQEb0
《食堂》


愛宕「…」

瑞鳳「…大丈夫?」

愛宕「大丈夫、って言いたいけれど…」

大鳳「少しキツイわ…」

萩風「流石にあの場に二人を連れて行ったのは間違いだったとは思います、お母様」

瑞鳳「そう、だよね… ごめん、二人共」

愛宕「萩風ちゃんはどうして平然としてられるのよ… まだ、子供なのに…」

萩風「私は今まで理不尽な死と言うのを嫌程見て来ました。未来において発生した異形・深海棲艦の侵攻時に… 何万単位で殺されたのを。

理不尽な死などとうに見慣れた身、そしてもう殺される覚悟も殺す覚悟もあります。その覚悟が無ければこの時代に転移したりなどしません」

大鳳「…私が言うのはお門違いだろうけど、教育方針間違ってるんじゃないかしら?」

瑞鳳「うん、私も薄々感づいてた」

萩風「お母様が悪い訳ではありません。時代が、世界がそうさせなかっただけ… 深海棲艦の侵攻など無ければ…」

愛宕「時代、ね…」

萩風「お母様、この調子ではブリーフィングに参加は無理でしょう。 私がここで看ています。 情報に関しては後で自分で何とかできますから」

瑞鳳「分かった。 ここは任せるね」

愛宕「待って… 私も、行く」

萩風「無理しないでください。 あんな惨状を見て並みの人間が耐えられる訳がありません」

愛宕「教え子が耐えてるのに、私がヘバる訳にはいかないわ… 子供が歯を食いしばって耐えてるのに、大人として見過ごせ無い…!」

萩風「…これから、もっと酷いものを見るかもしれませんよ」

愛宕「大丈夫よ。 教え子も妹分も戦ってるのに私だけが暢気にしてるのは耐えられないから」

大鳳「私も、覚悟はしてる… とっくにね。 あの時、『あっちの世界』で銃を持った時に、人を撃った時に」

瑞鳳「二人共…」

萩風「…私は後から連れて行きます。お母様は先に行ってください」

瑞鳳「良いよ、二人は私が連れて行く。 萩風ちゃんこそ先にブリーフィングルームに行ってて。 ずっと潜入してて休んで無いんでしょ? まだ時間かかるみたいだから先に行って休んで良いよ」

萩風「先程仮眠は取りました。 大丈夫です」

瑞鳳「駄ー目。 働き詰めは毒、未来の私からそう学んでる筈だよ。 ここからは私の仕事だから」

萩風「分かりました… それではお先に」
206 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/10/28(土) 03:40:20.44 ID:lr9xDQEb0
萩風「そうは言ったものの… あまり暇と言うのは好きじゃないわ…」

萩風(つくづく自分のワーカーホリック気味には呆れざるを得ないわね…)

神通「あ、萩風…」

萩風「姉さん?」

神通「少し話があります」

萩風「構いませんよ。ここは人も居ないし監視カメラもありませんから」

神通「そこまでする話では無いのですが… あまり聞かせたくは無い話ではありますね」

萩風「何となく内容はわかっています。 私達の『因果』の話でしょう」

神通「ええ。 私達の存在は不安定になった、それは浜風さんと飛龍さんが『事象』を乗り越えたから、ですね」

萩風「はい。 お母様の残した記録では今日この日に二人は奇襲を受けてEXAMに敗れた。 だけど浜風さんが『結末』を知っていたから、事象を偶発的にも逃れて…

そしてここで浜風さんが生き残った事は、重大なターニングポイントになる」

神通「彼女が生き残れば指揮をする者が残り、生存確率が段違いとなります。 だから残る二人の結末を覆せる可能性が高くなった」

萩風「そう言う事です。 さらに言えば今の状況は遺した記録とは違い過ぎています。 私達の介入、そして…」

神通「海風さんと霞さん、ですね」

萩風「未来予知に近い能力を持った者と『ニュータイプ』の可能性を秘めた者… ですが姉さん、事象改変に何度も失敗して何度も同じ時間を繰り返していた…

この二人が居たのに、歴史に変動を齎すことが出来なかった」

神通「それは…」

萩風「あの二人を今までの繰り返しの中で見かけた事は?」

神通「…」


萩風「ハッキリ言わせてもらいます。 二人は今までの『繰り返し』に存在しなかった、今回初めて紛れ込んだ因果なのでしょう」


神通「はい… そしてあの二人が居たからこそ、榛名さんにも因果が繋がり『今』へと至りました」

萩風「やっぱり… 今回はやはり異質なのでしょうね。 だからこそ未来の変動率が大きくなってきた…

同時に私達の未来、存在そのものがあやふやになりつつありますが。 姉さん、事象改変出来るチャンスはこれが最後と考えてください」

神通「分かっています。 恐らくこれが最大のチャンス、同じ二人に巡りあえる可能性はゼロに等しい… だからここで終わらせます」

萩風「未来を変える、私達はその為だけにここに居る… 姉さん、私達はいつ消滅するか分からない。 だから悔いの無い様にしてください」

神通「それは萩風もです。 朝雲さんにゾッコンなのでしょう?」

萩風「さ、さて… 何の事やら… と、ともかく! 姉さんも悔いの無い様全力を尽くしてください!」
207 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/07(火) 01:29:30.78 ID:t1owIyx20
《翌日 ブリーフィングルーム》

青葉「面目ありません… まさか、丸一晩かかってしまうとは…」

蒼龍「今回ばかりは責めるつもりは無いわ。寧ろ私達の居た痕跡も全部消してきてくれたことは感謝する」

衣笠「こっちの警察、有能すぎるでしょ… 私達のキャンプまで探しに来られた」

飛龍「あそこ、一応宗教施設だし瑞鳳が事前に拉致に関する情報を流してたから。 それに前々から公安関係に睨まれてたらしいわよ」

古鷹「掲げている教義もカルトに片足突っ込んでますからね」

霞「ったく、冗談じゃないっての… しかもシェリンドン・ロナは行方不明、その取り巻き一味もね」

間宮「状況から察するに、逃げたのでしょうね」

天城「そう言えばあそこに囚われた方達は…」

古鷹「無事を確認しました。 今は警察の施設に保護されているようです。 私達の事は話さない様にと口止めも」

夕雲「…これを一晩でやるのは、凄くありませんか?」

蒼龍「ええ… 正直腹が立つくらい。でも味方で助かったわ…」

萩風「私も見習わないと…」

神通「見習う必要はありません」

朝雲「でも、今回の事件で完全にこっちは睨まれてる。 EXAM、ニムバス・シュターゼンにね」

海風「…なんでここに居るんです?」

天津風「私達だって一応、事件に関わってるのよ。スドウ・シュンスケを倒した以上、私達だって睨まれてる可能性があるし」

朝雲「それに何も知らないまま終わるなんて真っ平ごめんよ。私にだって護りたいものはある、だからもう戻れ無い覚悟もしてきた」

萩風「…これから見るものは、凄惨なものになるかもしれません。それでもですか?」

朝雲「分かってる。そこまで想像出来ない程私は馬鹿じゃないわ」

天津風「暫く、お肉は食べれなくなる覚悟はしておいたほうが良さそうね…」

神通「それ以上の覚悟が必要です。 特に我々と共に、事件に本格的に関わるとなれば」

朝雲「もう、最初からとっくにしています。 血に塗れる覚悟も、家族と離れる覚悟も」

瑞鳳「…そこまでは必要無いよ。 手を汚すのは私だけで良い。 自分の大事な物を護ることに専念しなさい」

大鯨「う〜ん… その覚悟は良いけど、気負い過ぎないようにね〜」←逆さづり

天津風「何であの人大阪U○Jにあるジョ○ズのとこの釣られたサメみたいな格好に?」

陽炎「私達を拉致った罰」

阿武隈「一度〆なきゃ駄目、ってことで瑞鳳さんと姉さんが追い詰めてつるし上げたの」

長波「〆たところでどうにかなるとは思わないけどな」

満潮「お陰で都内に一泊よ… しかも観光すら出来やしないわ」

榛名「なら後でどこかに連れて行きましょうか?」

ウォースパイト「ハル、そんな余裕は無いでしょう?」

榛名「そうですね… 満潮も、事件の被害にあう可能性もありますから」

秋月「なら私達が連れて行きましょうか?」

如月「最悪、私だって居るし」

野分「護衛なら私が務めましょう」

榛名「お願いします」

春雨「浜風、全員揃ったようです」

三日月(裏)「早く始めてくれ。こちらにも都合がある」

時雨「三日月はまだしも僕達、無断外泊で翔鶴さんに怒られそうなんだよね」

大鳳「私もゼミすっぽかしてるし…」

愛宕「早めに終わらせましょ?」

浜風「わかりました。 ではこれより、ブリーフィングを開始します」
208 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/07(火) 02:24:44.96 ID:t1owIyx20
浜風「まず今回の事件について青葉さん、お願いします」

青葉「はいはい〜い。 今回の事件は海風さん、霞さん、神通さん、天城さんの拉致を端に発した事件です。 元々萩風さんのお話では虐殺が起きる、と言う事でしたが図らずも海風さん達が紛れ込んでしまったと言うことです。

まぁ萩風さん達の未来の結末では『全員死亡』とのことでしたが、お二人の事象介入により100人程生き残りました。全員死ぬよりはマシな結末でしたが、これでも散々な結末… 事件発生を止められなかったことは我々の敗北と言えるでしょう」

蒼龍「ちょっと、青葉…!」

青葉「だからこそ、次の事件は確実に防がなくてはなりません。 起きる前に完全にその芽を潰す、それが我々がやるべき事です」

飛龍「そうね…」

青葉「事件の詳細はこちらの資料の通りです。 学生は677人が死亡、85人が重軽傷、その内27人が重体… 校内に残っていた教職員や事務職、清掃員等にも多くの被害が出ていますね」

瑞鳳「その教職員達の被害人数は?」

青葉「これは少々不明瞭でして… 大きな学校だったので100人以上の関係者が居て、具体的な人数が把握出来ないんです。中には丁度来た外部の業者や、敷地にあった学生寮関係者も巻き添えになってるようで…

だけど死傷者は最低1000名になる、そう見積もってください」

天津風「1000人も、こんな事件に巻き添えになってるの…!?」

朝雲「だけどこの件はまだ始まりよ。これから、1億って桁の違う人間が殺されるかもしれない… これで最後にしなきゃ、もっと多くの人が死ぬ…!」

青葉「そう言うことです。 そして拉致事件のの首謀者シェリンドン・ロナは行方不明、と思われていますが既に居場所は掴んでおります」

飛龍「嘘でしょ!?」

青葉「ヘリのGPS追ったら見つけましたよ。 彼女達は太平洋側、日本の領海内に存在するメタンハイドレート採掘実験場に居るようです」

長波「メタンハイド…?」

海風「メタンハイドレートとは石油・石炭に代わる新しい燃料の一つです。 まだ実用化はされていませんが、日本領海には多大な埋蔵量があり現在研究が進められています」

陽炎「所謂『燃える氷』ってやつね」

神通「どうしてそんなところに?」

青葉「『ブッホ・コンツェルン』、教団の出資会社の一つが運営している場所のようです。 しかも外部から隔絶されていて、関係者以外ほぼ立ち入る者は居ませんから隠れ潜むにはもってこいでしょう」

大鯨「メタンハイドレート事業には私も手は出しているのだけど… あそこまで大きな採掘場は作ってないわね。 それにまだアレは見込みのあるモノじゃない、でもあそこまで事業を大きくしてるって言う事は…

確実に採掘出来る技術があるのか、それとも社運をかけた大博打なのか、そして… ハイドレート採掘試験場以外の機能があるか」ブランブラン

霞「それって… そこに、彼等の何かがあるってことですか?」

大鯨「そう言うこと。 彼等の企みが何かはしらないけど『やらかす』為の設備かもね? シーランド公国みたいに独立とか」ブランブラン

天城「…あんな格好で無ければその推察には素直に賞賛できたのですが…」

海風「格好って本当に大事ですよね」

瑞鳳「どこに逃げようと追い詰めるだけだよ。 あと、事件に関することは?」

青葉「残りは資料にまとめておきましたのであとで各自確認を。 学園側の被害から他も全てまとめておきましたので」
209 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/07(火) 04:10:51.95 ID:t1owIyx20
浜風「では次はEXAMについて、と参りましょう。 現在EXAMシステムそのものを使った者は三人、首謀たる『ニムバス・シュターゼン』と取り巻きと思われる『トリスタン』『セルジュ』の3名…

海風、戦った感想を下さい。 直接刃を交わした、その感想を」

海風「…正直、不気味としか言い様がありません。 少しでも怯めば食われる、そう思いましたが… 一番怖いのは『再生』と『複製』の二つであり、それ以外は脅威とは言い難いです」

浜風「え…?」

瑞鳳「どう言う事?」

海風「海風は一時的にスクランブルを使用していたお陰、ですがチューンしてあったとは言えアレの性能の限界はある程度把握しています。 だからこそ言えるのですが、機体性能そのものは然程厄介とは言い難いのです。

EXAMシステムを起動し機体に反映したところでそれはスペックを1.2倍に引き上げる程度、RGシステムやNT-D、そしてウイングの『アズライト・バースト』には遠く及びません。そして元々の機体完成度は瑞鳳さんが前に言ったように『欠陥品』でしかありませんので…」

大鳳「ハードウェアの差、ってこと?」

海風「はい。 ここに居る大半の使用する機体のほうがスペックは上、故に限界点が違うんです。だからこそ一般ファイターの脅威になり得ても… こちらの人間には然程脅威にはなりません。

ただ厄介なのは反射と対応、これも機体性能の限界があるのですがソレは一般人のモノを超えています。 しかしこれもファイターによっては覆すことも可能、例えば瑞鳳さんは武術の達人なので動きが読め無い点や榛名さん達のような能力者の力を活かせば簡単に対処出来てしまいます」

天津風「EXAMシステムはあくまでもサポートシステムの部類に過ぎ無い… ニュータイプの能力を再現出来ていたとしても、『結構強いファイター』程度って次元で瑞鳳さん達のような『ヤバイ系人間』なら勝てるって訳ね」

海風「まぁここに居る人間の機体スペックがスクランブルを上回っているので対処も可能、と言うだけで一般ファイターには充分脅威です。それに我々でも下手を打てば確実にヤられます。

阿武隈さんと海風の打ったEXAM同時使用の影響による同士討ち誘発は正解の一つでしょう。 『一撃で消滅』させない限りは無限に再生する相手ですのでこちらは消耗する、だけど向こうはシステムを自動で使えば永遠と戦えますから」

阿武隈「EXAMの対処法は一つ、同士討ちを誘発させるか再生する間なく短時間・もしくは一撃で敵を消滅させるか… ってことだね」

海風「はい。 もしくはEXAMとバトルシステムを繋ぐネットワークを封じるか… こちらは現状では不可能なので頭に留めて置く程度です」

ウォースパイト「つまりジャマーを使えば良いのね。 そのツテはあるから、探してみるわ」

海風「ありがとうございます」

霞「案外、すんなり対処法って出来るものね…」

長波「だが言ってることは相当キツイぞ。 人間辞めろって言ってるんだからな」

海風「…キツイですか?」

陽炎「キツイ」

浜風「個々の能力に頼りすぎている、と言うのが問題ですね。 我々が目指さなければならないのは『一般人でもEXAMに対処出来る様にする』ことですから」

海風「じゃあそこまで言うならそれ以外の対処法をどうぞ?」

瑞鳳「こら、喧嘩しないの。 確かに今は海風ちゃんの言う方法しか対処法が無い、でもそれは後々創れば済む事だよ。 私が危惧してるのはそこじゃないの」

朝雲「どう言う事、ですか?」

瑞鳳「私達の記憶が正しければなんだけどね… あのEXAM、こっちで再構成した可能性が高いの」

萩風「え…?」

神通「どう言う事ですか!?」

春雨「私達が『ペイルライダー』と一緒に『BD-02』を発見した時、中破程度の損傷を負っていたんです、はい」

時雨「そして僕らの記憶を必死に手繰り寄せて纏め上げたら、頭部の半分が損壊してたことを思い出したのさ」

三日月「しかもあそこは海底、海の底にあったものです。 ハードの類も海水でやられているとすれば…?」

榛名「多少のモノが残っていたとは言え、EXAMは喪失している… と言う訳ですね」

瑞鳳「だけどナノマシンにEXAMを流用した、って事はこちら側で再構築した可能性が出てきたの。 ううん、完全に復元した可能性がある。

ハシラジマから送られてきたデータ、ナノマシンの『EXAM』と『HADES』のOSデータを照会したら合致する点が多く出てきたみたい。 つまりあれは『こちら側』の技術じゃなく『本当の宇宙世紀のもの』の技術で出来てるんだよ」

浜風「…まさか、こちらに宇宙世紀の人間が流れ着いた…?」

海風「しかもEXAMの根幹に関わった人間が…!」

瑞鳳「それがニムバスなのか、黒幕なのかは分からないけどね… この件は気に留めておく程度で良いよ」
210 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/08(水) 00:45:44.67 ID:UpEfxahV0
如月「でも宇宙世紀の人間なんて、本当に居るのかしらね?」

野分「MSの漂着がある以上繋がりはあるのだろうけど…」

秋月「まぁ実在が疑わしいのは事実ですね」

瑞鳳「ところがどっこい、居るんだよ」

朝雲「居るの…?」

瑞鳳「と言う事で呼んできました。 『ハシラジマのある世界』から、宇宙世紀出身の『リタ・ベルナル』さんです」

リタ「紹介に預かった、リタ・ベルナルです」

榛名「え…」

天城「…姉さんそっくり!?」

間宮「アルバムで見た中学生時代の榛名さんとほぼ同じ顔ですよ!?」

リタ「そりゃそうだよ。 私の肉体は、青葉ママと榛名ママの遺伝子を組み合わせて創ったデザインチャイルドなんだから」

榛名・青葉「!?」

海風「どう言う事ですか?」

リタ「言葉通り、私は宇宙世紀の出だけど体の方はとっくに死んでてね。 でも私の魂自体は残ってたから新しい『器』を作って移し変えたの。

そこで必要になったのが私と波長が合った青葉ママの遺伝子を持つ肉体、でもクローニングは難しいから榛名ママの遺伝子情報も組み合わせて出来たのがこの身体ってこと」

神通(言わば私と萩風の先達、ある意味で姉とも言うべき存在でしょう)

朝雲「でも、リタ・ベルナルなんて名前聞いた事無いわよ」

天津風「…小説版の『RX-0 フェネクス』のパイロットよ。そして非業の死を遂げた強化人間、その魂はフェネクスと一緒に宇宙の果てに消えて…」

リタ「そう、私はその過程でこちら側に流れ着いた。 『フェネクス』と一緒にね… 勿論、貴女の知る『戦い』もやったよ」

天津風「『エシャロット』? それとも…」

リタ「『ネオ・ジオング』、まぁアレとは去年もう一度戦ったけど… でもその話は今は関係ない。

私はちゃんと貴女の知る『リタ・ベルナル』であり、宇宙世紀で生まれ死んだ人間の魂を持つ者。納得できた?」

天津風「そう言われても…」

リタ「ま、仕方無いよね。 証拠も無ければ納得出来ない筈だし… シャア連れて来たほうが良かったんじゃない?」

陽炎「シャアって… まさか…!?」

リタ「『シャア・アズナブル』、本名キャスバル・レム・ダイクン。私同様肉体は失ってるけど、他の身体の魂に融合することで魂は残ってる」

長波「嘘だろ…」

蒼龍「本当よ。 ただ、その人連れてくると厄介な事態になるし… 丁度良かったのはリタちゃんだけだから」

海風「厄介…?」

春雨「あ、あははは…」

時雨「よりによって『あっち側の春雨』がシャアの融合先なんだよ。 普段は表に出無いけどね」

事情を知らない方々「!?」

リタ「その反応になるよね〜…」

瑞鳳「本当、よりによってなのよね…」

阿武隈「」
211 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/08(水) 02:39:09.73 ID:UpEfxahV0
すみません、なんか最後阿武隈が紛れ込んでました…



《ブリーフィング後》

海風「ではリタさんは、数日間はこちらに留まると?」

リタ「まぁね。 榛名ママから、後輩を導けって」

神通「後輩?」

リタ「『ニュータイプ』のね。 あっちの世界のママは両方NT、私もその能力はある程度は受け継いでる… なら先達として、色々話さなきゃいけないことがあるから」

霞「…」

リタ「私は強化人間、本当のNTじゃない。 でも本当のNTの姿は見てきたし『刻の彼方』も垣間みてる。伝えられる事は色々あるよ」

天津風「良かったじゃ無い、霞。 ホンモノのNTと話せる機会なんて無いわよ」

霞「別に… 私は進化とかNTとか興味無い、私は私の辿る道を進むだけ」

リタ「それで良いよ。 辿る道は自分で選ぶ、それが人として正しい生き方だから。 辿る道を強要しようとして破滅したヤツも見てきたし、私は干渉するつもりは無いよ」

朝雲「破滅したヤツ、って?」

リタ「私達が去年倒したヤツのこと。 あっちの満潮の仲間を殺して、各方面に喧嘩ふっかけて… ママに叩き潰された」

萩風(『イノベイター』の一件、あの後向こうの榛名さんは色々と考え込む事が多くなったと聞いていますが…)

リタ「どうすれば良いかなんて自分で決める事、それが『人の革新』… でも一つだけ、みんなも覚えておいて。

特殊な力なんてあってもそれは『人の革新』なんかじゃない。 誰かを思いやり、誰かの為に何かが出来る人が一番『革新』に近いの」


霞(リタ・ベルナル、彼女の言っている言葉の意味は良く分からない。 だけどシェリンドン・ロナの言葉よりは納得出来た。

私が辿る道は、これからどうなるのかなんて私にも分からない。 でも私は進み続ける、何があろうと、何が立ちはだかろうと)


神通(多くの歯車が回りだし、着々と変動していく未来に私は… 私達は何が出来るのだろうか?)


海風(それは誰にも分からない。 だって、未来なんてまだ決まりきっていないのだから)


第12話『コスモ・クルス』 終
212 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/08(水) 02:43:33.90 ID:UpEfxahV0
第12話終了、中学生には少々キツイ話になってまいりました…

リタは第13話までのゲスト扱いで、話にある程度(特に霞絡み)には出ます



あと今回で改造機は出揃ったので第13話は別シナリオ(これからのライバルやかつての対戦相手を出す)をやります

213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/08(水) 09:38:09.40 ID:NvLyVQMS0
了解です。
ちなみにリタは練習相手としてガンプラバトルやるのかな?
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/08(水) 10:48:14.48 ID:R75oalBoO
バトルはしないだろ
あくまでも別世界の人間だし操縦技能無いんじゃない?
215 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/09(木) 02:02:40.55 ID:gT4bISTa0
第13話『未来への翼』


《学園 バトル部部室》

天津風「どう、私の実力は!」

リタ「うーん… 正直機体が能力を阻害してる気がする」

天津風「…は?」

リタ「ミサイル装備ってのは良いし爆撃機としての運用も理に適ってる。 でも装備が空戦機動の邪魔だし何よりミサイルの操作に手間取って機体操作がおざなりになって自分の利点を殺しちゃってるかな。

同じタイプのファイターが出たら確実に負けるよ。 空戦に自信があったとしてもフル対地装備『F-15E』で軽装の『Mig-29OVT』と戦える?」

朝雲「何、『Mig-29OVT』って…」

瑞鳳「ロシアの戦闘機、の試作機だね。 ただ機動性は異常、まず対地装備F-15Eじゃ機動性に翻弄されて負ける」

萩風「現在はロシアの正式採用機に同型の推力偏向ノズルを搭載したMig-35が存在しますね。まだ新鋭機なので配備数はそう多くはありませんが」

朝雲「そ、そう…」

霞「要するに、機体が合って無いってことね」

リタ「そう言う事。 全部最初に放って装備切り離せば多少はマシになるかも」

天津風「ぜ、全否定された…」

海風「リタさんって、割と辛口評価なんですね…」

神通「まさか海風さんのバスターソードも全否定とは…」

リタ「だってさ、ポジション指揮官なのに前に出すぎじゃない? 浜風と同じスタイルの方が絶対良いよ」

愛宕「でもこの子、最初からこの戦闘スタイルなのよね」

瑞鳳「大会まであと3日、もう変更は利かないよ」

海風「それにアレと同じ後ろからチマチマ遠隔砲台使ってコソコソやるなんて死んでもごめんです」

リタ「頑固だねぇ… ま、姉妹の間の事は知らないけど。 良い所はどの戦闘スタイルにもあるんだから、吸収して活かすことも重要だよ」


神通(リタさんは何故か私達の監督役を買って出てくれた。 彼女は何度も深海棲艦や『異世界の人間』と戦っていて戦闘経験は豊富、なのでアドバイスはありがたい)


瑞鳳「じゃあ今日の練習はここまで。 今日以降大会用ガンプラの使用は厳禁、また野良バトルも禁止します」

天津風「え、バトルも駄目なんですか?」

瑞鳳「まだ昏睡病の危険はあるからね。 それにアイツ等が再び動き出した以上またキャリアーが動き出すかもだし」

萩風「バトル練習がしたいのなら『エンガノ』に行くか、CPU戦だけと言う訳ですね」

瑞鳳「そう言うこと。 まぁ後者も遠隔装置で仕掛けてくる可能性もあるけど… それに大会準備もしなきゃいけないしね」

海風「3日で2週間分の着替えと、あと色々用意しておかないといけませんね」

霞「先輩、罠の準備お願いします」

萩風「え、私がやりますよ?」

神通「萩風がやったら確実に無数の肉塊が出来るので駄目です」

リタ「アレだね。ミンチよりひでぇや、ってやつ」

萩風「私の認識ってどうなってるの…?」

朝雲「この部に所属してる時点でキチガイ扱いは免れられないから平気平気」
216 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/09(木) 02:31:14.81 ID:gT4bISTa0
《帰り道》


朝雲「しっかし、終業式も終わって後は大会を待つだけか… 大会、どんな連中が出るのかしら?」

海風「大阪は先週まで決まってなかった、と聞いていますが全て出揃った筈ですよ」

天津風「寧ろなんで先週まで決まってなかったのよ」

海風「機械の故障だそうです。 別会場でやれって話ですよ」

霞「全くね…」

萩風「現時点で最も警戒すべきは… 『ホワイトクリーン』でしょうか」

神通「ガンプラも戦闘スタイルも全て筒抜けですからね。 逆もまた然りですが」

霞「アンタは榛名さん達と仙台行かなくて良かったの?」

リタ「うーん… あくまでもこっち側の人間は私にとってはママじゃないし、寧ろ行く理由は無いかな」

霞「だからってウチに居座るな…!」

リタ「泊まるとこ無いんだから仕方無いでしょ。 間宮さんの所だって、青葉ママ居るから気まずいし」


霞(リタ・ベルナルはウチに今居座ってる。 マイペース過ぎてこちらの生活が掻き乱されている… 順応してるのは海風だけだ)


朝雲「じゃあここで分かれ道だけど… これからどうする?」

天津風「私はZEONで買い物。 シャンプーとか色々買って帰る」

神通「私達は直帰します。 用があればいつでも連絡下さい」

萩風「私は… 少し行くところがある、かな…?」

朝雲「つれ無いわね… 私、間宮さんのトコ行こうっと…」


視点選択 直下
1.霞『再びの山嵐』
2.朝雲『再会、ボクサー』
3.萩風『加害者の今』
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/09(木) 03:23:06.51 ID:Ns40+v870
2
218 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/12(日) 04:41:54.33 ID:Nui2vYAx0
《公園》


朝雲「あっつ…」モソモソ

朝雲(まさか間宮さんのトコ、今日やってないなんて… これが食べれる最後のチャンスだったのに…)

朝雲「あ〜あ… こんなカキ氷よりももっと美味しいやつ食べたかったな…」

朝雲(こっちも悪くは無いんだけど、やっぱり見劣りしちゃうのよね)

「ん…? お前は…」

朝雲「…久しぶりね、イズナ・シモン」

シモン「いつぞやの試合の後の見舞い以来だな、朝雲。 どうだ調子は?」

朝雲「普通よ普通。 そっちは… よくこんな暑い中トレーニングなんて出来るわね」

シモン「慣れっこさ。 最近妹さん退院したんだってな」

朝雲「暫く週3回の通院が必要だそうだけどね。 今は自宅療養、病院生活が長かったから日常生活に馴染ませてるところ。 そっちは?」

シモン「漸くこっちも一時退院が認められた所だ。 そしたらガンプラバトルを見に行きたい、って騒いじまってさ…」

朝雲「ウチのもよ。 試合日程次第、とは言ってるけど」

シモン「連れては行きたいが今は昏睡事件があるからな…」

朝雲「そう、よね…」

シモン「…なぁ、お前何か知らないか? 現場に居たんだろ?」

朝雲「知ってどうする気?」

シモン「あ、いや… 知っておいた方が、マモルの為になるかと…」

朝雲「知らないほうが良いわよ。 碌なモンじゃないもの」

シモン「やっぱりな… 噂は聞いてるんだ。 最近出回ってる『薬』が昏睡事件を招いてるんじゃ無いかって」

朝雲「それは私の口からは言え無い。 唯言えるのは、余計な真実を知ろうとする事は身を滅ぼすってことよ」

シモン「お前はそれで納得出来るのか?」

朝雲「納得も何も、それが一番良いことなの。 余計な事に首突っ込めばアンタだけじゃない、弟君にも累が及ぶ可能性もあんのよ」

シモン「それは…」

朝雲「だからアンタは知らない方が良い。 弟君だけを守る事を考えておきなさい」

シモン「そうだな…」

朝雲「ま、こんな大層な事言っておきながら私も事のあらまし程度しか知らないんだけどね。実際私が何かした訳でもないし」

シモン「お前な…」

朝雲「でも大会中は安全なんじゃないかしら。 あの時、地区決勝の時は特別だっただけでそんなに何回も事件が起きてたまるかっての」

シモン「そうなのか?」

朝雲「確証は無いけどね。 弟君、連れて行くならホテルとか大変よ。 日程ダブってる世界大会と会場近いから宿取れないかも」

シモン「マジかよ…」

朝雲「さて… 私は行こうかしら?」

シモン「もう行くのか?」

朝雲「大会準備があるし、機体の受け取りにも行かないといけないもの」

シモン「何だ、機体換えるのか?」

朝雲「2機運用にしたのよ。 『ストライク』じゃ対応出来ない局面だって出てくるだろうし、せっかく使える機体があるのに勿体無いじゃない」
219 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/13(月) 00:31:03.40 ID:caM4kIUq0
《模型店エンガノ》


飛龍「いらっしゃ… 何だ朝雲ちゃんか。 ようやくストライクの回収?」

朝雲「はい。 色々立て込んでて受け取るの忘れてましたから」

飛龍「『シームルグ』があるからストライクはお蔵入りにしたのかと思ってたけど… で、そっちのは?」

朝雲「付き添い、と言うか…」

シモン「何となく、興味があって…」

飛龍「ふぅん… モテるわねぇ」

朝雲「!?」

シモン「え!? そ、そう言うんじゃ…」

飛龍「冗談よ、冗談」

朝雲「瑞鳳さんは?」

飛龍「さっき一度帰って来たんだけど… ちょっと出かけた。 帰ってくるのは明日になりそう」チョイチョイ

朝雲「?」

飛龍(実はナノマシンの製造工場みたいなものを青葉が突き止めたのよ)

朝雲「え…?」

飛龍(間宮さん達と一緒に制圧に向かってる。 詳しい事は萩風ちゃんか神通ちゃんに報告するから後で電話で聞いてみて)

朝雲(分かりました。飛龍さんは行かないんですか?)

飛龍(私は待機。 いざとなったらMSを引っ張り出すのに、こっちの残ってないと駄目だもの)

朝雲(そんなに大きな規模なんですか?)

飛龍(倒産した製薬工場の跡地を使ってるのよ。 丸々焼き払う必要があるから火力が…)

シモン「何の話だ?」

朝雲「な、なんでもないわ!」

飛龍「女同士の話だから気にしないで!」

シモン「は、はぁ…」

飛龍「えっとストライクは… 工房だったかしら。 夕張ちゃん、ちょっと!」

夕張「は〜い。 ストライクですね」

朝雲「あれ、夕張さん?」

夕張「私、一応ここのバイトよ。人手足りないときの臨時のね。 今はサンプル作例、この前発売した『ケルディムサーガ』の素組やってるの」

朝雲「そうなんですね。 あ、入荷っていつですか?」

夕張「もう入荷はしてますよね?」

飛龍「してるよ。 今在庫は倉庫だけど… 欲しいの?」

朝雲「五月雨、妹が欲しがってるんです。 なのであったら買っておこうかなって」

飛龍「わかった。 後で売ったげる」

シモン「妹もガンプラやってるのか?」

朝雲「ええ。 まぁ根がドジだから… ポリキャップ入れ忘れたりピン折ったりなんて日常茶飯事だけども…」

夕張「私も初心者の頃よくやったわ、それ… じゃあこれ、ストライクね」


機体改修(『ストライク・ヴァルキリー』)

・ベース機:ストライクE(固定)
・改造条件:後方支援特化・射撃寄り装備であること。『味方への補助装備』を含めること

改造内容(名前も併記) 下2
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/13(月) 09:39:13.57 ID:NXrlKSER0
踏み台
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/13(月) 11:50:56.14 ID:EQasxgQO0
ストライク・エインヘリヤル

ベース機本体は戦闘データを基に間接等の強化を行い動作の最適化。
膝部分にケルディムサーガのGNマシンガンのラックを移設。
ショーティーはGNピストルUのように実体刃を追加。
ライフルは実弾機能をオミットした代わりに銃底部にオプションラックを追加。グレネード・マシンガンなど(その他色々)を選択式で装備できる。

スヴェルストライカー
ブリガンディアストライカーをベースに新造したストライカー。
変更点はキャノンを専用のシールドドラグーンにしたことのみ。
シールドドラグーンはプロヴィデンスの複合兵装ユニットにビームシールドを追加してオールレンジ兵装へ換装した武器で、6基搭載している。一応展開しなくてもビームガンは打てる。
ただし、展開時の動きは基本オートのみで、あまり機敏な行動はできない。ちなみに、スヴェルとは北欧神話に出てくる盾のこと。
222 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/15(水) 01:52:11.92 ID:SQaiONta0
ストライク・エインヘリヤル
武装
・M2M5 トーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器×2
・M8F-SB1 ビームライフルショーティー改×2
・専用ロングライフル弐型
ライトニングストライカー改『スヴェルストライカー』
・複合兵装ユニット改『シールドドラグーン』×6

概要
朝雲の『ストライク・ヴァルキリー』を改修し、アップデートを施した機体。
榛名によって仕込まれたガン=カタにより対応出来るよう各部関節の強化などを施されより人間に近い柔軟な動きが出来る。
性能そのものは『RX-0[Sm] シームルグ』より火力・機動力などで劣っているが継戦能力や防御能力、補助能力はこちらの方が高い。
改修点は脚部に『ケルディムガンダムサーガ』の有償サンプルからぶんどったGNマシンガン用のラックを移設されたこと、そしてライフルに改修を加えられ実弾砲撃機能のオミットとその変わりにオプションラックが追加されたこと。
オプション装備は脚部のラックに戦闘時は付いているが戦闘中に切り替えることで柔軟に運用出来る。
またショーティー・ビームライフルに実体刃を追加し格闘能力が向上した。
整備性に難がある『シームルグ』の予備として死蔵しかかった『ストライク・ヴァルキリー』を改修した為、死んだ勇者の魂たる『エインヘリヤル』の名前を付けられた…
と思われているが実際には新たに内蔵された『ある特殊能力』が存在しており、それをイメージして名称変更された。ただしその能力を把握しているのは瑞鳳、そしてテストに携わった夕張のみである。

スヴェルストライカー
ブリガンディアストライカーを改修し、火力から防御能力に重点を移したストライカーパック。
ホーミングビームキャノン発射口を全て廃止し代わりに浜風用のニクスプロヴィデンスの予備パーツ製作の際に余りに余った複合兵装防盾システムを改造した『シールドドラグーン』のプラットフォームに変更されている。
シールドドラグーンにはビームシールド展開機能が付与、そしてプラットフォーム接続時にもビームキャノンは撃てるが相対的に火力は落ちた。
ただしマニュアル操作には高い練度を要するため、運用はオートに限られており機敏な動きは出来ない。



夕張「これが貴女の新しいストライク、『ストライク・エインヘリヤル』よ」

朝雲「…ファ○ナー?」

夕張「いや、そんなモデルの機体があるけどさ… もっと別の感想無いの?」

朝雲「能力的にはどうなんですか?」

夕張「火力以外は全部上がってるわ。 柔軟性も、前の数倍高くなってるからより人間らしく動ける」

朝雲「うわ… ほんとにヌルヌル動けてる… 関節柔らかい…」

夕張「その気になれば爪先立ちイナバ○アーなんて芸当まで出来るようになってるわよ。 体操選手より動けるかも」

シモン「スゲェ…」

飛龍「まさに無駄技術の集大成よ、それ」

夕張「そして新システムも… あっと、これは実際に使ってのお楽しみね。 まぁ使う可能性は低いけど」

朝雲「? コード・ブレイヴ的な?」

夕張「あれとは違うけど… まぁ、一種のチート技ね。 レギュレーション的には問題ないけど、ガンプラとしてどうよって感じの」

朝雲「えぇ…」

飛龍「どう、テストしてみる?」

朝雲「ええ、やってみます。 アンタ、テスト付き合いなさいよ」

シモン「え、俺!?」

飛龍「まぁ、ウチでやるなら大丈夫でしょう。 ガンプラはそこの棚の好きなの使ってね」



視点選択 直下
1.霞『再びの山嵐』
2.海風『苛立つ相手と親戚と』
3.萩風『加害者の今』
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 04:35:35.46 ID:XsastPbA0
224 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/16(木) 03:24:02.18 ID:APGZQfwU0
side-海風-『苛立つ相手と親戚と』

《新宿駅近郊》

海風「…」イライラ

浜風「あの、海風…」

海風「全くもって不愉快です…! あのゴミクズ共、まだふざけた事をほざいて…!」

浜風「口が悪いわ。 …でも、流石に身勝手が過ぎると思う」

海風「いきなり呼び出したと思ったら、東京に戻るからまた家族一緒に暮らそう? 舐めたことを言って、都合の良い時だけ『家族』と言う言葉を振りかざすな…!」

浜風「だけどテーブルにあったウォーターポットから水かけるのはやり過ぎ。 そしてお互いの不倫ネタを暴露するのもね」

海風「ザマァ見ろ。どうせ機能不全の家庭、そんなもの無くなっても大差無いでしょう」

浜風(私に矛先は向いて来ないけど… 少なくとも今日は殺気立ってる。確かに、海風がキレるのも分かるし私が同じ状況ならそうしてた。

流石に互いの不倫については知らなかったようだし、大きな爆弾を投げ付けたことには変わり無いけど)

浜風「ハァ…」

浜風(助けてください、瑞鳳さん… 海風が、妹がだんだんカミーユになっていきます…)

海風「溜息つくくらいならこんな所で油売ってないで、製薬工場跡制圧作戦にでも参加すれば良いじゃないですか」

浜風「私と飛龍さんは予備兵力、MSを出す必要が出たら動く。尤も人目につかない夜にしか動けないけど…」

海風「まぁ良いです… これから少し買い物してから帰りますけど、どうする気で…」

「あ、テメェは…!」

海風「…」

浜風「知り合いですか?」

海風「いえ、こんなワカメ知り合いに居てたまりません」

カリマ「神奈川代表本牧学園のカリマ・ケイだ! テメェ人に不意打ち食らわしといて、良い度胸してんじゃねぇか…!」

海風「先にやったのはどちらでしょうね? やり返されて逆ギレとは、被害者面も甚だしい」

カリマ「ッ…! この七光りが…!」

浜風「七光り…? ウチの妹に、何か文句が?」

カリマ「何!? い、妹…? まさか、アンタ…」

浜風「ウチの妹の何が気に入らないのかは知りませんが七光り呼ばわりとは… この子の実力は私とは無関係、自分で身に着けたものです。

それとも私が直々に貴方を叩き潰してあげましょうか?」

カリマ「せ、世界チャンプが相手…!? だ、駄目だ… 勝てる気が…」

海風「余計な事言わないで下さい。 こんな、相手を侮辱する者に戦う価値など無い」

浜風「…そうですね。 ファイターとしての資格の無い人間、相手にする価値などありませんでした」

カリマ「なっ…!?」

「そう言うこと。 引っ込んだら?」

カリマ「誰だ!」

海風・浜風「え…」


誰? 直下
1.浦風(広島代表)
2.江風(長崎代表)
3.鬼怒(栃木代表)
4.その他(未出及び別世界でメインキャラになっていないこと)
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/16(木) 04:00:25.61 ID:SgtixGYZ0
3で
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/16(木) 04:52:05.53 ID:XJNHroxA0
227 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/17(金) 02:53:01.23 ID:J8texhRT0
「知ってるよ〜。 カリマ・ケイ、ガンプラ学園と戦おうとしたら海風相手に無様を晒したって。 まさに自爆だね、聞いた限り」

カリマ「誰だよ、お前は…!」

浜風「き、鬼怒!?」

鬼怒「そ! 私こそ、栃木代表が一人にしてこの二人の従姉妹… 鬼怒だよ!」

カリマ「い、従姉!?」

海風「相も変らぬハイテンションっぷりですね…」

カリマ「に、似てねぇじゃねぇか…」

浜風「性格から何まで、全く似てません」

鬼怒「酷っ。 そりゃそうだけどさ… 浜風姉も海風も、そのローテンション過ぎるのは直そうよ」

海風「家庭の事情ですから気にしないで… って、栃木代表ってどう言う事ですか!?」

鬼怒「え、鬼怒元々ファイターだったけど… 浜風姉の方が遅く始めてるんだよ?」

浜風「確かに前、5年くらい前に会った時にはそんな事を言ってたような…」

鬼怒「積もる話はあっちのカフェでしようよ。 こんなワカメ放っておいてさ」

カリマ「誰がワカメだ!」

海風「いい加減失せないと、そのワカメ毟りますよ。海風、有言実行がモットーなもので」

カリマ「糞っ…! 憶えてろよ…!」

海風「だから、憶えるつもりはありませんって」


《カフェ》

浜風「で、積もる話は沢山ありますが… 何で居るんです?」

鬼怒「のんびり大会の現地まで鈍行で向かおうかな〜って思って、途中ここでチームメイトと寄り道したら見かけたの」

海風「チームメイト、ですか?」

鬼怒「うん。 逸れちゃったけど」

浜風「新宿で逸れたら出会うのは至難の業でしょうね…」

鬼怒「え、新宿? ここ渋谷じゃないの?」

海風「え…」

鬼怒「おっかしいなぁ… 降りたのは渋谷なんだけど…」

海風「まさか… 渋谷から新宿まで歩いてきたと…?」

浜風「えぇ… 何やってるの、この子…」

鬼怒「向かう先は一緒なんだから出会えるでしょ、多分。 それよりまさか二人が鬼怒より有名になってるなんてねぇ…

浜風姉は言わずもかな、海風も色んな意味でファイター界隈じゃ有名だよ。 鬼怒、正直羨ましいな〜って」

海風「有名?」

鬼怒「昏睡事件解決の立役者、初心者なのに全国級と渡り合うやベーやつ、バスターソードを振り回す指揮官、キレ顔ダブルバスターソード、困ったときにはバスターソード、バスターソードでフィールドを叩き割る女…」

海風「後半の一体なんですか!? 結構身に覚えはありますけど!?」

鬼怒「そしてガンプラ学園のエース、キジマ・ウィルフリッドと互角だった事も知ってるよ。 しかも向こうもほぼ加減無しだったこともね」

浜風「一体どこからそんな話が漏れて…」

鬼怒「京都の『風の会』って所の、無駄にデコがテカテカしてる人」

海風「あの人ですか…!」

浜風「知り合いなんですか?」

鬼怒「うん。 一回だけ練習試合したことあるから、その時仲良くなった」


イベント 直下
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/17(金) 06:52:48.72 ID:9qj+G+gSO
鬼怒のチームメイトがなぜかやってきた
229 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/18(土) 03:43:42.78 ID:bI6qRoTc0
「全く、鬼怒はどこに… って居た!?」

海風「…あの、鬼怒さん?」

浜風「鬼怒、お探しの人が来たようですよ」

鬼怒「おぉ! ここ新宿なのに良く分かったね!」

「探したよ… まさか新宿まで徒歩で来るハメになるなんて…」

「一体何がどうしてこうなって… そちらの方は?」

鬼怒「あ、鬼怒の従姉。 姉の浜風姉と、妹の海風」

浜風「紹介に預かりました、浜風と言います」

海風「海風です。どうぞよろし…」

「「って、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」

海風「…貴女のお仲間と言うだけあって、凄いハイテンションですね」

浜風「ちょっと耳がキンキンしてきた…」

鬼怒「ふ、二人共落ちつい…」

「何で黙ってたのさ! この二人って、ある意味超有名人だよ!?」

「世界チャンピオンに、バスターソードフェチの変態妹… まさかこんな二人に…」

海風「ちょっと表出ろ」

浜風「海風、落ち着いて…」

海風「だって海風、本来の領分で評価されないでバスターソード振り回してることだけが変な風に捉えられてるんですよ!? 凄い風評被害ですよ!

朝風でしたっけあの人!? 一体何喋ったんですか!? あのデコに肉って油性マジックで書いてやりましょうか!?」

浜風「気持ちは分かる…! でも落ち着いて…!」

鬼怒「まぁまぁ海風。 そんなに怒らなくても… 他のお客さんに迷惑だから、ね?」

海風「黙らっしゃい! あんなキンキン声でバスターソードフェチだの変態だのと呼ばれて怒らない人が居るとでも!?」

鬼怒「あ、スイマセン…」

浜風「海風の指揮能力はちゃんと評価されてるから… 今は落ち着いて、お願い…!」

「ご、ごめん… ちょっとハイテンションになってた…」

「流石にちょっと言い過ぎたかも…」

海風「言葉発する前に相手がどう捉えるか考えてから発しなさい! 貴女達のお頭はその程度のことも…」

鬼怒(ねぇ、浜風姉。 もしかして海風の罵倒語彙力上がってない…?)

浜風(ええ… 不仲な両親に挟まれてネットにのめり込んで、なおかつ頭の回転が早すぎるものだから… 私も、言葉でフルボッコにされた…

と言うかさっき、両親相手に啖呵切って罵倒して水ぶっ掛けてきたばかりなの…)

鬼怒(この子どんな方向に向かってるの!?)

海風「ハァハァ… 頭回転させたら糖分足りなくなってきた…」

鬼怒「ごめんね、海風。 ちょっと配慮足りなかったかも…」

海風「全くです… あと次会ったら朝風って人、デコに油性マジックで落書きしてやる…」

浜風「止めなさい。 絶対デコじゃ済まないから」

(エアクラッシャー海風、あの話は本当だった…)

(爆弾発言と暴言と罵倒と嫌がらせのオンパレードで空気を悉く凍らせる… あんまり敵にまわしたくは無いかも…)

海風「で、そこの二人は一体何なんですか?」


チームメイト(とチーム名) 直下
1.嵐・江風 『チーム・トリオ・ザ・レッド』
2.木曾・天霧 『チーム・サンシャイン』
3.その他(キャラクター、チーム名も。 ただし既出など一部キャラはNG)
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/18(土) 05:30:00.20 ID:XvUKx01R0
1
231 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/19(日) 04:44:36.14 ID:t1wIOUKU0
嵐「あ、嵐っす。鬼怒のチームメイトで…」

江風「同じく江風。 一応『トリオ・ザ・レッド』ってチームでやってます…」

鬼怒「え、えっと… 二人共、この子二人より年下の中一だよ…?」

嵐・江風「え…」

海風「はぁ… 『フリューゲル・ヴェント』、海風です。 チームの主席指揮官、そして戦術補佐を担当しています」

浜風「浜風です。 まぁ知っての通り、一応世界大会出場ファイターで優勝もしていますが… 貴女達とは現状、戦わないので気にしないで下さい」

鬼怒「え、えっと… 従姉の鬼怒っす、はい」

浜風「鬼怒、もう知ってる」

鬼怒「だよねー…」

嵐「確かウイングゼロのファイター、だったっけ…」

海風「『ウイングガンダム・フレスヴェルグ』、です」

浜風(今はアズライト、だけど。 情報の隠蔽は基本的なこと、明かさないおは当然ね)

江風「本当にこれであのキジマ・ウィルフリッドと互角だったのかよ…?」

海風「ええ。 押されてはいましたが、粘りましたよ。 時間切れになっていなければ色んな意味で負けていましたが」

海風(あの戦い、先読みを10連重ねていましたが軽く上回られていた… そして『アズライト・バースト』、その前のシステムを使用したことによる超過負荷でウイングの腕が木っ端微塵になったこと…

粘れてはいても、勝ちには程遠かった… だけど次は、次こそは…!)

プルルルルルル

鬼怒「あれ、浜風姉の?」

浜風「あ、ほんとだ… 瑞鳳さん…?」

嵐「ず、瑞鳳って… あの『真紅の戦乙女』!?」

江風「そりゃ当然だよなぁ… 関わりあるンだし」

浜風「浜風です。瑞鳳さん、どうかしましたか?」

瑞鳳『制圧終わったよ。 ただ色々問題があって… 急いで基地に集合して』

浜風「分かりました。 今から海風と向かいます」

海風「何かあったのですか?」

浜風「少々問題が起きた様で… 海風も来て下さい」

海風「分かりました。 では失礼します」

鬼怒「じゃあね二人共… って、お金! お会計忘れてるって!?」

海風「次会ったら払いますから立て替えておいてください!」

232 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/20(月) 00:22:53.90 ID:MjW4mpZQ0
《瑞鳳達のアジト》

浜風「遅れました!」

海風「新宿行ってました、すみません!」

瑞鳳「あれ海風ちゃんも来ちゃったの? 別に浜風ちゃんだけで良かったんだけど… 御両親とのお話はもう終わった?」

海風「ええ。 あんな面、二度と拝みたくはありません」

浜風「まあ私も怒り心頭なので海風と同意です」

瑞鳳「そ、そう?」

瑞鳳(浜風ちゃん達の件、そろそろ何かしないとマズイかもね… もう家庭は破綻してるし、蒼龍さん達と同じで新しい偽装戸籍の用意もしておこうかな。

少なくとも聞いた限りじゃ完全に教育上よろしくないし、引き取るにしろ完全に縁を断たないといけないし… 問題はその資金、そして姉妹二人で生活出来るだけのお金か…)

海風「どうかしましたか?」

瑞鳳「何でもないよ。 それよりちょっと付いて来て」



浜風「予定していた作戦終了時刻を大幅に上回っていますが… 何かあったのですか?」

瑞鳳「警察、しかもSATと鉢合わせしたの。 向こうも本拠地に殴りこみをかけて、私達はギリギリ逃げて来た」

海風「SATって、あのSATですか?」

瑞鳳「警察の特殊急襲部隊だね。 別にSATも纏めて制圧するのは簡単だけど余計話がややこしくなるのは目に見えてる。

第一この基地を知られれば、何が起きるか分かったもんじゃないし」

浜風「軍事力に関してなら我々はある程度の国家の軍隊に相当する戦力を持っています。 我々がそのつもりが無くとも向こうには関係ない、ただの武力集団扱いですから」

瑞鳳「そう言うこと。 だから私達、青葉さんと古鷹さん、衣笠さんと間宮さん、そして榛名さんと蒼龍さんと私はトンズラ。ほぼ得るものは無かった。

抑えられたのは証拠写真とある程度の物証だけ。 ただね、その物証が非常に厄介と言うか…」

海風「物証…?」


《医務室》


瑞鳳「これが私達の見つけた『物証』、と言うより『証人』だね」

海風「女の人… 海風達と大差無い…」

浜風「この少女… 昏睡病の罹患者ですか?」

瑞鳳「と言うか元凶とも言えるかも」

浜風「…!」

海風「まさか…」

瑞鳳「EXAMシステムを完成させるにはね、あるものが必要なの。 『ニュータイプ、それに準ずる存在の脳波』、それをシステムにコピーして核にすることでシステムは完成する。

そしてこの子の脳波は… 『今のEXAMシステム』の波長パターンと完全に一致した。 この子がEXAMの核、パーソナルデータはこれ。抜き出せた情報の一部にこれがあった」

海風「『マリオン・ウェルチ』… アナハイムが経営する孤児院の出身、そして『ガンプラ学園』の学生…!?」

浜風「あそこはアナハイムのお膝元、入学していても不思議じゃないわね…」

瑞鳳「そう言うこと。 それに平行世界のアナハイムは裏で『強化人間』に関する研究をしていた、もしそれがこの世界でも行われていたら…」

海風「この少女が、その被検体だった…?」

瑞鳳「その可能性は大いに在る。 だからこそ私達は、絶対的な切り札を手に入れたことになるの」

浜風「EXAMシステムを止める方法は、大本を破壊してこの子を目覚めさせるしか方法は… まさかその逆も然り、なの…?」

瑞鳳「…うん。 私の見立て、そして『ゼロシステム』とハシラジマにある『ヴェーダ』の予測だとこの子を殺せばこの事態は止まる。

この子とEXAMは今も繋がってる、だからこそこの子を殺して繋がり断てば… 最小限の犠牲で、最大の効果を発揮出来るけど…」

海風「そんな…! そんなの、絶対にやっちゃいけない事ですよ!?」

瑞鳳「分かってる…! だからこそ、私は… 『EXAMシステム』の大本を断つ! この子は死なせ無い、そしてEXAMは絶対に破壊する! そしてこの子を、こんな目にあわせた黒幕を成層圏の果てまでぶっとばして摩擦熱で丸焦げにしてやる…!」
233 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/20(月) 02:45:45.80 ID:VewHh3Dk0
浜風「どうしてこの話を私達に? 今からでも全員集めてブリーフィングを…」

瑞鳳「駄目だよ。 この子を殺せば事態は終わる… でも新しい核となる人間が今後現れ無いとも限らない。

そしてここにこの子を保護していることを知って、私達と共に行動をするメンバーの中にこの子を殺そうと考える人が出てくるかもしれない。ここでこの子を殺せば、現状は解決しても『それだけ』なんだよ」

海風「まさかこの子を隠匿する気ですか?」

瑞鳳「と言うか、リタちゃんと一緒にハシラジマへと移送する。 あそこなら切り離す方法が見つかる可能性もあるし、セキュリティも強固だから万全だよ」

海風「確かに… 異世界であるなら簡単には手を出せないかもしれません。 それに現状の状態で完全に事態が解決しない限り、大本のシステムを破壊しない限り復活する可能性もある…

そして、彼女は現状唯一の手がかりと言っても過言ではありません。 ここで彼女を失う事は、海風達が完全にEXAMの手がかりを失うことになると言うことですね」

浜風「しかし、この子を殺そうとする人が居るとは思えませんが…」

海風「萩風さんとかはやらかしそうな気が…」

萩風「確かに私は手段は厭わないけど… 分かってるつもりよ、この子は何も悪く無い。そしてこの子を殺したところで未来を完全に改変出来ないことくらい」

三人「!?」

浜風「何時の間に!?」

萩風「割とさっきから居ましたが… まさか海風さんにそこまで信用されてないとは…」

海風「前科あるじゃないですか結構」

萩風「うっ…!? そ、それ言われると…」

瑞鳳「で、こんな所にどうしたの? 今ちょっと大事な話を…」

萩風「一つ報告に来ただけです。 先程、スドウ・シュンスケの収監されていた施設が何者かの襲撃を受けました」

浜風「彼の居る施設が…!?」

海風「え、彼逮捕と言うか補導?されていたのは知っていましたが… 収監されてたんですか?」

萩風「ええ。 政府の息がかかった病院の隔離施設、特定伝染病患者を隔離する施設に収監されていました。

しかし私が彼の元を、ナノマシンを渡した者がニムバス・シュターゼン一味の三人の中に居るのかを確認に向かいましたが… 既に何者かの襲撃を受け昏睡病の集団発症を確認、そして私が事態の沈静化を図っている隙にスドウ・シュンスケは脱走しました」

瑞鳳「でもどうして彼を今更…?」

萩風「彼は貴重なサンプル、特に通常とは異なるナノマシンを投与されています。 彼の様な人間は貴重なサンプルなのでしょう」

瑞鳳「分かった、ありがとう。 この件は周知しておくね。 被害人数とか具体的な報告は後で聞くから」

萩風「はい、お母様」

瑞鳳「そして… えいっ」ゴツン

萩風「い゛っ!?」

海風「げ、拳骨…?」

瑞鳳「あんまり危ない事、しちゃ駄目だよ。 必要な時は人数を割くから、独断行動は駄目。 良い?」

萩風「うぅ… は、はぃぃぃぃ…」

浜風「凄く痛そう… 私達なら頭蓋骨凹んでるかも…」

瑞鳳「二人もだよ。 良いね?」

海風・浜風「あ、はい!」


イベント選択 直下
1.神通『山嵐』
2.霞『ニュータイプ』
3.天津風『孤独』
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/20(月) 04:06:25.36 ID:4c3K4iCA0
235 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/22(水) 04:33:18.16 ID:D83G+cmf0
side-霞- 『ニュータイプ』


霞「ねぇ、どうしてアンタは死んだの?」

リタ「あ、それ聞いちゃう?」

霞「当然よ。こんな訳の分からない訓練やらされて… アンタの身の上話の一つでも無いとつまらなくてしょうがないわ」

リタ「そうだよね… 面白くも無い、胸糞悪い話だよ。 U.C.0095年12月3日、私はアイリッシュ級戦艦『エシャロット』に居た。理由は『バンシィ』『フェネクス』のトライアル。

私は『フェネクス』の専属強化人間、相手のパイロットは知らない。 テストは順調だった、途中までは」

霞「ネオ・ジオンの介入、だったわね」

リタ「それはアナハイムとエシャロットに乗っていたラーソン中将が仕組んだことだった、けど私が知る事じゃない…

敵機は複数のギラ・ドーガとサイコミュ搭載MS『リバウ』。 私は応戦してたけどバンシィがリバウを相手にNT-Dを発動して、それに焦った中将が私の機体のリミッターを外した…」

霞「そしてNT-Dが発動して…」

リタ「私は、死んだ。 その理由は憶えて無い。 サイコミュ暴走による脳死なのか加速Gでペチャンコなのか分からない。 でも気が付いたら、私はフェネクスに取り込まれてた…

その後は… 宇宙を彷徨って、一人の男の子と再会して、ネオ・ジオングと戦って、ちょっと永い別れを済ませて宇宙に消えた筈だったんだけど…」

霞「筈だった?」

リタ「気が付いたら北極海に沈んでたんだよ」

霞「え」

リタ「いや、ホント… 気が付いたら北極海のコンテナに沈んでて、瑞鳳達に回収されたの。 紆余曲折を経て私はこの身体を使って蘇ったって訳。

この肉体の元々の魂と融合してるせいか、少しだけ明るくなってるらしいけど。 一度里帰りしたけど最初ヨナには私だって分かって貰えなかったし…」

霞「宇宙世紀行って帰って来たの!?」

リタ「うん。 つい5月の事。 本当はママ二人と一緒に行ったんだけど、抜け出して会いに行ったの」

霞「それで、そのヨナってやつは?」

リタ「『え、リタ? リタ!? お前本当にリタなの!?』とか3度も確認された… 私の事好きだ、って言ってくれたのに…。

でもきちんと話して… いや、もうあそこでママ二人のはっちゃけが無ければ…」

霞「何しでかしたのよ、向こうの榛名さん…」

リタ「あろうことかヨナを拉致った」

霞「はぁ!?」

リタ「『娘キズモノにした責任取って貰う』とか言って… 今はハシラジマで待ってくれてる」

霞「…今回アンタじゃなくてそのヨナってやつ連れてくるべきじゃなかったの?」

リタ「こっちも女ばかりだし、ヨナは私のなんだから鼻伸ばして欲しくないもの。 だから私が来た」

霞「そ、そう…」

霞(意外と嫉妬心はあるのね…)


イベント 直下
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 14:48:36.78 ID:7LVEuh19O
大鯨襲来
237 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/25(土) 04:08:47.16 ID:lJG9yl4z0
ピンポーン


霞「…はぁ、お客かしら? でも最近物騒だから迂闊に出るのも…」

リタ「気配を感じてみれば良いんだよ」

霞「あぁ、そう言う使い方もあるのね」

リタ「榛名ママがよくやってる」

霞「何やってるのよ、アンタのお母さん… やってみる、か…!」ピキィン

霞(既知の気配、しかも昔からの…)

霞「…駄目。 知り合いなのは分かるけど、それ以上は…」

リタ「今はそれで充分、あとで練習すれば良いんだから。 ほら、知り合いなら早く行ったら?」

霞「そうするわ」



大鯨「どもー♪」

霞「大鯨さん、仕事は?」

大鯨「仕事だけど。 貴女の周りの… と言うか土地管理・会社の経営権とあとは賃貸収入管理と税金と…」

霞「ああ、そう言えば引き受けて貰ってましたね」

大鯨「他の誰でもない貴女の御祖母さんの最後の頼みだもの… こんな形でしか恩返しはもう出来ないから。

それに、少しばかり御祖母さんに謝りたいことが出来てしまったし」

霞「謝ること…?」

大鯨「貴女を、昏睡病から護りきることが出来なかったことよ。 事態に巻き込んだ時点で、本当なら謝らなきゃいけなかったのに…

それにあの事件の真相、今世界に起きてることも話さなきゃいけないわ。貴女の事をすぐ傍で見てくれてるとは言え、一度私からのけじめとしてね」

霞「そんな… 私が事件に巻き込まれたのは大鯨さんのせいじゃ…」

大鯨「誰のせいでも無い、それは分かってる… でも私は、その事態を解決する術を持っていない。それが悔しいのよ…」

霞「…大鯨さん、謝るのはきっとお婆ちゃんも望んで無いと思います」

大鯨「分かってる、それも。 けじめとして、よ」



大鯨「で、この資料は… 会社の資産関連のものね」

霞「初めて見た…」

大鯨「貴女は事件の真相と向き合った、その資格はもうあると思うのだけど」

霞「え…?」

大鯨「普通の人ならあんな事件、トラウマを拭うことすら難しいわ。 でも貴女は過去を乗り越え、未来に手を伸ばそうとしてる。

だから私にとっては充分、貴女は成長していると思うわ」

霞「私一人では、無理だったと思います。 …私は今まで一歩踏み出せなかった。友達なんて出来なくて、あの事件にいつまでも囚われて…

でも海風と出会って、先輩と出会って… ちょっとだけ、前に進めたような気がします」

大鯨「神通ちゃんの影響も大きいけど、やっぱり一番は海風ちゃんかしら?」

霞「海風が?」

大鯨「あの子の精神力、正直瑞鳳以上だと思ってる。 あの子の能力は『未来予測演算』、未来を予測する過程の中で幾多もの『最悪の未来』も視ている筈よ。

だけどその未来を受け止め、抗って立ち向かってる。 絶対に何も諦めようとしない不屈の精神、それがあの子の本当の力」

霞「海風の、力…」

大鯨「そしてあの子は瑞鳳以上に周りを視ている。瑞鳳みたいにノンストップで進むんじゃ無くて、隣に立ってくれる人の手を取り合って進むのが海風ちゃんなの。

何を失っても進み続ける瑞鳳、何も失わないように必死に抗いながら前を見据えて進み続けるのが海風ちゃん。そこが二人の違いかしら? そんなあの子の精神が貴女にも影響してるのかもね」
238 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/26(日) 04:09:24.35 ID:PUIUhtT50
霞「確かに海風は… 何かあれば味方のフォローを率先して行ってくれたり、私の事をあの時庇ってくれた…」

大鯨「でもそれは危うさを孕んでる。 あの子はある意味二重の人格を持った子よ」

霞「二重人格? 海風が?」

大鯨「表向きはマイペースで、貴女達の良く知る海風ちゃん。 でもその本質は… 周囲に気を配り誰かの為なら、冗談抜きで自分の命すらも投げ出そうとする。

歳相応のメンタルなのに弱さを押し殺して、自分がどれだけ傷付く事も厭わない。 『他人の為なら自分がどうでなっても良い』、そんなレベルの自己犠牲精神の塊なの」

霞(そうだ… 思い当たる節はいくらでもある… 最初、私達が模型部と戦った時だって自らが率先して飛び出した…

私の時は自分の事を犠牲にしてでも私を逃がそうとして、スドウ・シュンスケに先輩が負けそうになったのも割り込んだのは海風で…)

霞「確かに、海風の事は歪だって思ってたけど…」

大鯨「瑞鳳だってその辺に関しちゃまだまともな思考よ。 『痛いのやだなー』って躊躇ったり『熊肉はいやだぁぁぁぁぁぁ』とか泣いたりするし。

でも海風ちゃんは躊躇うとか恐怖で泣いたりとか、そんな素振りが一切無い。私が言うのもどうかと思うけど、どう育てたらあんな性格になるのか知りたいわね」

霞「海風の家庭環境は…」

大鯨「浜風ちゃんから聞いてる。 ほぼ機能不全、しかも海風ちゃんには見向きもしなかった。 

多分根底部分には『誰かに求めて貰いたい』って感情があるんじゃないかしら?」

霞「誰かに求めて貰いたい、ですか」

大鯨「私の推測でしかないけどね。 家族からも見放され孤独になったが故にあの人格が形成された…

そして居場所が欲しくて、居場所になってくれる人相手なら命だって捨てられる。 そんな、歪で寂しがり屋なのがあの子なのかも」

霞「歪で寂しがり屋… まさに海風みたいです」

大鯨「だから、貴女が側に居てあげて。 友達として仲間として、あの子を結いつける子が必要だから」



大鯨「じゃあこれで全部、かしら? アナハイムが横槍しなくなってきたからやり易くて助かるわ」

霞「そんなにヤバイんですか、アナハイムって」

大鯨「潰れるのは時間の問題ね。 この前の一件で不買運動やらが広まったり、もっと黒い内部告発が出てきたり…

ナノマシンの件が出て来ないのが幸いってぐらい、今追い込まれつつあるわ」

霞「そこまで…」

大鯨「社員も流に流れてるみたいだし… 日本支部の人もウチも数人引き抜いてるから。

あとは… PPSEも手が離れるかもしれない」

霞「PPSEも!?」

大鯨「どうする、買っちゃう?」

霞「…考えさせてください」

大鯨「了解っと。 あ、ちょっとしたアドバイスいいかしら?」

霞「何ですか?」

大鯨「ニュータイプって言うのはね、ただの進化じゃないの。 人の在り方そのものって言っても良い…

精神的や肉体的な共感だけじゃなくて、隣の人を大事にして活かせる人の事を本当の意味で『ニュータイプ』って呼ぶの。異能力と人類の革新は別物、それだけは覚えておいてね」



霞「異能力と革新は別物、か…」

リタ「その通り、だね。 私が最後に言おうとした台詞取られちゃった」

霞「聞いてたの?」

リタ「多分あの人も気付いてた筈だよ。 あの人の言う通り能力なんて関係ない、誰かを想って力を活かせる人こそ本当のニュータイプ…

家族と仲間の為に革新した榛名ママや青葉ママ、ただ姉への愛のために革新した天城、かつての仲間を想い復讐の為に革新した満潮… 在り方はそれぞれだけど、皆ニュータイプって言っても過言じゃ無い」

霞「…最後の違うでしょ」

リタ「ううん。 満潮がやったのは『誰かの為の復讐』であって自分の為じゃなかった。 誰かを想って復讐できる人間って、本当は優しい人間なんだよ。

それに最終的にはママの為にも戦うようになったし… だから少しイレギュラーな形ではあるけどあの子はニュータイプって言って良いの」

霞「そう言うものなのね」
239 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/27(月) 03:24:56.92 ID:JvkVKZ6l0
《翌日 甘味処・間宮》

神通「では最終ブリーフィングを行います」

霞「…何でここ?」

海風「丁度良い場所がここだけだったので」

天津風「ここ一応榛名さん、宮城の連中のお膝元よ?」

間宮「大丈夫よ。 もう榛名さん達は現地に向かったし、他の人も全員出払ってるわ。

盗み聞きとか榛名さんにバラしたりもしないから」

朝雲「間宮さんがこう言ってるんだから良いんじゃない?」

間宮「はい、抹茶あんみつと白玉おしるこ。 あとおはぎセットに宇治金時、コーヒーフロートと心太セットね」

萩風「ありがとうございます」

神通「萩風が甘い物なんて…」

萩風「べ、別に私だっていっつも健康健康って言ってる訳じゃ… それに皆頼んでるのに私だけ頼まないなんて空気が読め無いにも程があるじゃないですか」

霞「でも何でコーヒーフロート?」

萩風「…糖分・塩分その他控えめ生活を送り続けた結果、味覚が過敏になって甘い物が苦手に… コーヒーなら誤魔化せるかなって…」

朝雲「やっぱり度が過ぎると駄目なのよね。人間程々よ、程々」

海風「では皆さん、食べながらでもブリーフィングを始めましょう」


海風「ではフォーメーション、戦闘パターンは先程の資料の通りに。あとは… 各チームの戦力等の再確認と致しましょう」

霞「今私達が把握してるのは… 福島・朝日台と宮城・天山、高知・ディープ・ブルーと京都・風の会、神奈川・本牧と…」

天津風「静岡、ガンプラ学園『ソレスタル・スフィア』…」

海風「朝日台は… 長距離砲撃に警戒してさえいれば何とかなります。 先輩、『ディープ・ブルー』は?」

神通「敵は水陸両用を主体に使う、との前情報でしたが現状は水中でも性能を発揮可能な汎用機を主体にしているようです。

ファイターはフランス留学生『コマンダン・テスト』とアイヌ民族?な『神威』、そして『瑞穂』と言う方でした」

天津風「機体はGN-XWとアビスガンダム、そしてガンダイバーの改造機ね。 海中に引きずり込まれれば強敵だけど、海が無ければ平均的な相手に過ぎないわ」

海風「なので対処は水中に近付かない事、でしょうか。 では次は…  『風の会』ですね」

萩風「ファイターは神風、春風、朝風の三人により構築されています。使用機体は『レギンレイズ・フェーン』『ティエルヴァ・マガツ』『ガデッカ』。

技量は、それなりのようですが『それなり』でしか無いですね。 さらに機体の偏り、中距離のレンジに対応出来る人間が少ない事も弱点でしょう」

朝雲「バランスの悪さ、あと敵を侮る傾向もね。 舐めてかかって改RX-0の餌食にされたし」

海風「本牧のあのワカメは… 本来の機体はMAである事は把握していますが、機種は分かりません。飛ばしましょう。

そして問題は残る二つ… 天山学園とガンプラ学園です」

霞「その二つはぶっちぎって優勝候補、しかも後者に関しては去年優勝してる」

海風「ではまず天山学園から… ファイターは『阿武隈』『陽炎』『長波』、使用機体は『マーナガルム』『ヴェズルフェルニル』『ガルム』。

機体性能に関してはガンプラ学園以上、ファイターも同等レベルの敵が揃っています」

神通「弱点と言える弱点は… ほぼ無い、と言っても過言では無いでしょう。 しかも元軍人の三人だから油断も何も無い、優秀すぎるファイターです」

朝雲「強いて弱点を挙げるとすれば、殆どの機体共通の『機体のモロさ』ね。 RGでも無いHGで完全変形出来る以上、パーツの一つ一つが脆い。

そして粒子消費量の多さと比例しない粒子貯蔵量。 無駄に浪費させ続ければ勝ち筋は見えるかも」

海風「逆に言えばそれしか弱点無いんですよね… で、肝心のガンプラ学園は…」

天津風「ファイターは確定が二人、『キジマ・ウィルフリッド』と『アドウ・サガ』、あとは未定。機体は『トランジェントガンダム』と『ガンダムジエンド』。

キジマ・ウィルフリッドに関しては弱点は無い。 海風、それはアンタが一番分かってるでしょ?」

海風「ええ、未来予測演算を使ってもギリギリ粘るのが限界でした。 アドウ・サガはどうですか?」

天津風「弱点は… アイツ、去年右手首を大怪我してるのよ。 それで去年欠場、今もリハビリ中だって聞いてるわ。 逆に、そこに漬け込むしか弱点は無い」

海風「なんとも面倒臭い相手です… ジエンドも色々ゴタゴタし過ぎて、何か抱えてるか分かったものではありませんし…」


・イベント 直下
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/27(月) 08:06:58.12 ID:h3sQIJ++O
全国出場チームの1つが来店
241 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/28(火) 05:05:50.12 ID:MYyXI1/r0
天津風「ジエンドの弱点ね… あのクロー、ビーム砲とファングのキャリアと格闘武器を兼ねたやつをどうにか出来れば…?」

萩風「本体の腹に切れ込みが入っているのも気になりますね。あそこにも何かギミックが…」

神通「しかし腹部に『ガンダムヴァサーゴ』みたいなビーム砲でも仕込んでいない限り本体の火力は皆無です。あのヘッドを無力化出来れば」

海風「確かに本体は火力が無く脆弱でしょうね。 あと海風の不意打ちに対応出来なかったと言う事は背後からの攻撃への対抗手段が無いと言う事ですし」

霞「アイツは正直遠隔火器頼り、見かけによらずスピードは速いけど『ヴェズルフェルニル』程じゃないし… 攻略手段はいくらでもある」

朝雲「問題は『トランジェントガンダム』の方よ。 昨日、平行世界で対戦経験がある飛龍さんに色々聞いてきたけど…

あの槍、近接武器とビーム生成能力以外にも大出力ビーム砲としての機能と遠隔のランスビットとしての機能があるらしいの」

海風「…あれはかなり手加減されていた状態と言うことですか」

天津風「いえ、手加減はしてない… と言うか出来ない筈よ、あの人は。本気で戦おうとしてくれる相手には。 

ビーム砲を使わなかったのは間合いが取れないしチャージに時間がかかるから、ビット機能を使わないのは簡単にビームを切り払う海風相手には通用しないって理解していたから」

萩風「しかもランスビットは文字通りあの武器そのものをビットとして使うものと推測可能です。 恐らく武器を喪失するリスクを避けたのでしょう」

霞「じゃあビットを潰せば、なんとかなる可能性があるかも?」

神通「そう簡単にはさせてはくれないでしょう。 それにGNドライヴ搭載機である以上『トランザム』かそれに準ずる能力を持つ可能性がありますし。

さらに言えば海風さんの予測を容易く上回った時点で格闘戦能力は遥かに高く、『技』を使わない私と同等であると考えてください」

天津風「…それって最悪じゃない? 先輩クラスって、相当よ?」

萩風「人外もいいところの人外… 私がまだまともに見える程の…」

神通「皆、酷い… 特に萩風…」

萩風「だって半分血が繋がってる私より身体能力かなり高いし…」

朝雲「一般人から見ればアンタも大概よ」

霞「アレね。 トランジェント、と言うかキジマ・ウィルフリッドを倒す方法は… 場外乱闘か闇討ちだけかしら…?」

萩風「!」ガタッ

神通「座ってなさい! 霞さんも、焚き付けないで!」

海風「本当にやりかねないから怖いんですよね…」

間宮「ぶ、物騒なことはしないでね?」

海風「本気でちょっと煮詰まって糖分足りなくなってきた… すみません、追加でこの『トーリスリッターパフェ』ください」

間宮「はーい」

朝雲「確かにここガンプラかなり置いてるし、そう言うメニューもあるけどさ… 何でよりによって『トーリスリッター』なのよ… 普通にガンダムで良いでしょ。

私は『ジンクスカキ氷』お願いしても良いですか?」

天津風「あ、私この『ドートレス饅頭セット』を」

萩風「じゃあ私は… 『アッシュフロート』をコーヒーで」

霞「すっごくメニューが混沌としてるわね… あ、私『グレイズ焼き』で」

神通「本当に機体チョイスが謎です… 『クランシェアイス』ください」

間宮「ちょっと待っててね〜」

ガラッ


どこのチームが来た? 直下
1.鬼怒一行(鬼怒・嵐・江風)
2.神風一行(神風・朝風・春風)
3.その他(チーム、未出ならメンバー・チーム名も)
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/28(火) 05:20:36.73 ID:3Ddokktu0
3 霧島、川内、大淀の鹿児島チーム
243 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/11/29(水) 06:02:52.02 ID:NkL2q9L50
間宮「いらっしゃいませ〜。 3名様でよろしいでしょうか?」

「ええ。 ここが噂のガンダム甘味処…」

「流石にガンプラまみれ、しかも凄い出来栄えだね〜」

「それに、面白い方々もいらっしゃるようで」

萩風「あれは…」

朝雲「萩風? どうかした?」

海風「あれ、どこかで… あ、大会の公式サイトの…!」

天津風「そう言えば大会参加選手は地区優勝時の写真が掲載されて… ッ…!?」ポチポチ

「『フリューゲル・ヴェント』、ドイツ語の『翼』とイタリア語の『風』を組み合わせた珍しい名前のチームね」

「気取った名前だねぇ… それでも実力が伴ってるから面倒なんだけどね」

「それに『真紅の戦乙女』の教え子達… 生半可な相手ではありません」

霞「人の事ゴタゴタ言う前に名乗ったらどう?」

霧島「おっと… それは失礼しました。 私は霧島、鹿児島代表たる我梅学院チーム『アマテラス』のリーダーです」

朝雲「アマテラス? 何で日本神話?」

海風「日本神話の伝承の一つに『天孫降臨』と言うものがあって、その伝承の大本になっているのが鹿児島の霧島連山の高千穂峰なんです。

降臨したと言うのは天照大御神ではなく天孫・邇邇藝命なのですが。 三種の神器が地上にあるのはその伝承によるものだとか」

天津風「そう言う事ね… 一応名前の由来はあるんだ」

神通「ええ。 ただその伝承には鹿児島ではなく宮崎の高千穂町と言う説も存在していて、高千穂町には天岩戸伝説にちなんだ洞窟も存在しているのでそちらの方が有力ではないかと…」

霧島「細かい事は気にしないで下さい。それに天岩戸伝説なんてそこら中に散らばってるのでその説は信憑性に欠けるかと」

萩風「しかし天岩戸神社が高千穂にはあります。 同名の神社は奈良にもありますが海風さんの言った天孫降臨の事も含めると高千穂町説がやはり有力かと」

川内「ここで神話議論は止めて… この前宮崎の人とそれでモメたんだから。 私は川内、得意なのは夜間戦闘ね」

大淀「同じく、『アマテラス』のメンバーの大淀です。よろしくお願いします」

神通「小沢学園『フリューゲル・ヴェント』、部長の神通です。 そしてメンバーの海風さん、霞さん、天津風さん、朝雲さん、萩風さんです」

大淀「? 事前情報には居ないメンバーがいらっしゃいますが…」

萩風「私は諸事情により地区予選後に編入しました。 なのでそれは当然かと」

大淀(事前情報には無い敵、厄介です)

川内「凄い面子だねぇ… 倒し甲斐がありそう。しかもアイツ等と引き分けたって言うじゃん?」

天津風「アイツ等?」

川内「『ホワイトクリーン』だよ! アイツ等、去年私達のことアッサリ倒しちゃってさ… しかも本気にならずにだよ?」

霧島「NT-Dを使われる前に負けたわ… まさかあんなに強いとは…」

間宮「そうでしょうね。 改RX-0相手では」

三人「え…」

間宮「お待たせ〜。 『トーリスリッターパフェ』と『クランシェアイス』、『アッシュフロート』に『ドートレス饅頭セット』、『グレイズ焼き』『ジンクスカキ氷』ね」

海風「すご… 見本の写真より、作りこんである…」

霞「一種の芸術作品レベルよね、もうこれ」

朝雲「因みに言うとね、ここアンタ達が負けた『ホワイトクリーン』のお膝元よ」

三人「は?」

萩風「ここのオーナーは『ホワイトクリーン』のメンバー全員の姉、そして改RX-0シリーズの製作者です。 さらに言えばこの方はその部下です」

三人「!?」

間宮「よろしくね〜」
244 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/02(土) 04:57:38.84 ID:Pp2zDL600
海風(このチーム、海風の情報網に引っかかってない… 情報の隠匿に優れているの…?

敵が未知数過ぎる、どうにかして情報を引き出さないと…!)

霧島(『フリューゲル・ヴェント』、その情報は知り尽くしている… と言いたいですが、彼女達の監督役はあの『真紅の戦乙女』。

そして前年度世界チャンプでほぼ同等の指揮能力を持つ妹も擁する。過去の情報が役に立つかは分からない相手ね)

大淀(さらに不確定要素の新メンバー、この人も大人しそうな顔して何しでかすか分からないタイプです。

敵対する可能性がある以上、可能な限り情報を引きずり出さないと)

霞「アンタ達、心の声駄々漏れよ」ピキィン

川内「分かり易い、っていうかさ… 凄い空気が漂ってるんだけど」

天津風「暗闘は他所でやりなさいな」

萩風「…」ポチポチ

ピロリン

海風「あれ、ライン…」

萩風『情報は既にある程度こちらに入っています。今はポーカーフェイスを貫いて』

海風「えぇ…」

朝雲「これじゃ作戦会議は出来そうに無いわね。 さっさと食べて明日の準備しましょうか」

神通「そうですね。現状、話すことも特には無いでしょうし」

霧島・大淀「チッ…」

天津風「…舌打ち食らう謂れある?」

大淀「いえ… そうだ! あの、意見交換なんかいかがです?」

海風「それをする事で、我々にどんなメリットが?」

霞「デメリットがでかすぎるわ、それ」

霧島「データ、知りたく無いですか? 我々はこれでも今回の出場校の情報は全て取り揃えています。おおよそですが。

また前回の大会に関してもデータは収集済みです。 この一部を提供する、と言えば?」

萩風「…海風さん、去年のデータなど死んだも同然のものです。 情報とは鮮度が命、去年の死んだデータを貰っても今年が同じとは限らないでしょう」

海風「現に、東京代表は海風達に入れ替わってますし… 前年度と同じ出場校は半分程度ですからねぇ…」

大淀「では… 『ガンプラ学園』のデータなどいかがでしょうか?」

天津風「それ、意味無いわよ。元学園生がここに居るし」

三人「は?」

天津風「アイツらの事は私が熟知してる。 聞くメリットは…」

海風(去年の代表…? まさか、『マリオン・ウェルチ』に関する情報もある可能性が…!)

萩風(しかし彼女の情報を持っているとは限らない… ここは受けないのが正しい選択です)

海風「…条件は? そちらが一校だけ提供する、と言う事はこちらも一校だけの提供でイーブンでしょう」

霞「ちょ、何考えてんの!?」

海風「事情はあとで。 我々以外で、我々の持つデータを提供するのは?」

霧島「…では『ホワイトクリーン』を。 戦ったのでしょう?」

海風「ええ。 構いませんよ。 では商談成立と」

朝雲「ちょ、海風!?」

神通(この子、一体何を考えて…)
245 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/02(土) 05:33:19.17 ID:Pp2zDL600
《その後 萩風のマンション》


萩風「はぁ… まさか春の、練習試合時点の情報を渡すなんて…」

海風「嘘は吐いてませんし。 『コード・ブレイヴ』も『特殊兵装』も無い当時のデータ、さらに言えばほぼ去年と変化の無いデータです」

神通「確かに『マーナガルム』以下3機は改修を受けて性能なども大きく変化していますが…」

海風「古いデータを渡されただけなので、こちらも古いデータを渡しただけです」

霞「でも渡したデータで断片的にこっちの事研究する腹積もりよ、アイツ等」

海風「だからこそ、古いデータである事に意味があります。 海風達の能力は、先輩の能力解放と霞のNT化、さらに機体改修と戦術スタイルの大幅変化によって意味はありません。

ホワイトクリーン側の間宮さんも止めに入らなかったと言う事は『時代遅れの情報』なら許してくれてるでしょうし」

萩風「さっき厨房に入って確認したら『阿武隈ちゃん達も春先とは違うからその程度なら良いんじゃない?』って言っていましたし…

しかし欲しいデータが手に入ったのは僥倖でした」

霞「どう言う事? アンタ達、一体…」

海風「まずはそこから説明しましょう」



神通「『EXAMシステム』に取り込まれ、核にされてしまった少女…」

霞「『マリオン・ウェルチ』… ガンプラ学園生で、しかも代表だったって…」

海風「彼女の戦闘データは全て頂きました。 これを確認すれば『EXAM』への対抗手段が見つかるかもしれません」

萩風「姉さん、霞さん、二人にはこの話の開示許可をお母様に頂いているので話していますが、残りの二人には話さないようにしてください」

霞「まさかそんな重要人物を瑞鳳さん達が確保してたなんて…」

萩風「現在ハシラジマへの移送が決定していますので、この話を知るのは突入組の中でも瑞鳳さんと榛名さん、そして私達と浜風さんだけと限られています」

神通「分かっています。 流石に彼女を殺してしまえば、今は事件が止まっても新しい核を用意してもう一度事件が起きる可能性もありますし…

何より、狙われる危険性が高いのは霞さんでしょうし…」

霞「私が、一番NTに近いから…」

萩風「ええ。次の核にされる可能性がある、と言う事です。 海風さん、戦闘データは?」

海風「全て映像資料、あと機体データです。 ただ彼女の機体データは役に立たないかと」

神通「実戦投入されたのはスクランブルガンダム、確かにあれはアナハイムで最近新造された機体ですから意味はありませんね」

霞「とりあえず確認だけしておきましょう」



神通「…これが、彼女の戦闘記録ですか」

海風「ええ。何と言うか、凄い戦闘能力で…」

萩風「寧ろこれ、EXAMシステムに取り込まれて劣化しているのではないかと」

霞「…ねぇ、この機体一体なんなの?」

神通「『ハルファスベーゼ』、Gジェネレーションオーバーワールドで設定された機体です」

海風「鉄血の機体、じゃないですよね?」

萩風「はい。 鉄血の機体名と同じ、ソロモンの魔神72柱の名前から取られていますが別です」

霞「ややこしいわね…」


イベント 直下
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/02(土) 05:39:17.18 ID:sgFoapAA0
世界大会出場者による宣伝を兼ねたエキシビションの生中継
247 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/03(日) 01:10:06.74 ID:jSW1C82u0
『先程入ったニュースによりますと、『昏睡事件』は薬物によって発生する人為的な病であり…』

萩風「警察の発表もやはり情報を濁して…」

神通「敢えて濁しているのかそれとも…」

海風「本質を理解出来ていないのか、もしくは情報が足りていないかですね」

霞「でもこれで、感染者もキャリアーも大幅に減る筈よ」

海風「怖いのはここからです。 誰もがその危険性を理解し触れなくなる事で全てが無くなったと思い込む」

萩風「『終わったこと』だと認識して、警戒心が薄れてしまう。 まだ何も終わって無いのに。 警察も、厄介な事をしでかしてくれました」

神通「彼等は未来を知り得ない、故にこの後に待ち受ける惨事を… 『8月31日』の大規模パンデミックを知らないから余計な事が出来る」

霞「目先の被害は減っても後に起きる大惨事を考えて無い、ってことね。  萩風、国外の情報は?」

萩風「世界でも一部の大国、米国や中国、ロシアや英国にドイツなどの場所で感染者を把握しました。ただ日本に比べてごく最近のものが多く、被害者もそこまでの数は居ません」

海風「だけどもう製造施設は制圧されました。 もう在庫もほぼ無く、残っているのは少数の薬と… 『特別な薬』を使った人間でしょう」

霞「スドウ・シュンスケのように、ね…」

萩風「めぼしい情報は無いわね。 もうワイドショーを見る意味は無いか…」ピッ

『明日から開催のガンプラバトル選手権、世界大会! そのエキシビジョンマッチがこの静岡、アナハイム・スタジアムで行われます!』

神通「そう言えば日程ダブってるんでしたね」

霞「そのお陰で周辺のホテルは満杯だとか… ガンプラってそんなに人気なのね」

海風「子供も大人も楽しめるホビー、ですから。 エキシビジョンは一体誰が…」

『まずは勿論この人、『3代目メイジン・カワグチ』!』ワァァァァァァ

海風「あの残念な人ですね」

霞「残念とか言わないであげなさい。あの人だって必死にやってるのよ」

神通「私達とは一線を画した人物であるのは確かです。 ガンプラ製作もバトルも、一級品ですから」

萩風「だけど勝率は芳しく無いという… 春雨さん達に惜敗、夕雲さん達には惨敗、飛龍さんにはフルボッコと言う有様で」

海風「やっぱり残念じゃないですか」

霞「相手が悪いのよ、きっと… 『まともな人間の中では強い』のよ、きっと…」

萩風「一応塾生の中では同期の主席だった、とは聞いています。 ただ一人だけ、分が悪過ぎる候補生もいたとかで」

神通「榛名さん一択でしょうね。 あの人、メイジン元々最有力候補ですし」

『そしてその対戦相手は… 昨年度チャンピオンの一人、夕雲選手です!』

海風「あ、だから昨日居なかったんですね」

神通「先に現地入りしていたのですか」


メイジン『お久し振りね、夕雲さん。 去年の雪辱、晴らさせて貰う』

夕雲『本選前ですのでお手柔らかに、と言いたいですが… 手を抜く訳には参りませんね』


霞「早速火花散ってるわ」

海風「これがガチ勢ってやつですか」
248 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/03(日) 04:09:06.35 ID:jSW1C82u0
Please set your GP Base

Beginning plavsky particle dispersal

Field to "Speace"

Please set your GUNPLA

BATTLE START!


夕雲『アストレイ・ミラージュフレーム・クロイツ・リバイ、夕雲… 本気で行くわ!』


神通「やはりミラージュですか」

海風「もしかて萩風さんって戦闘スタイル夕雲さん寄りじゃ?」

萩風「ええ。 こちらの方が性に合ってるので」


アストレイミラージュフレーム・クロイツ・リバイ
武装
・75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン
・天羽々斬(アメノハバキリ)
・CソードBタイプ×2
・CソードAタイプ×2
・サーベルファング×2
・フィンライフル×2
・Bソード×2
・Aソード×2
ペネトレイトストライカー
・ワイヤーアンカー射出機構×2
・粒子フィールド発生器

概要
夕雲の専用機たる機体で一度時雨に敗北した機体を改修・強化した仕様。
原型からの大きな変化シリーズ共通のRG搭載以外にライブラリアン機同様バックパックがストライカーシステム対応になっている事。
また他の機体には無い機能で、『足の裏に粒子変容フィールドを限定的に展開、足場にする事が出来る』と言う機能を有する。
その為足場の無いフィールドや重力下だとしても加速を活かしたヒット&アウェイを繰り返す事が可能。
瞬間的な加速性能も非常に高く、現行のクロイツシリーズや改RX-0も含めても『ヴェズルフェルニル』に引けを取らない。
ちゃんとオリジナルのミラージュコロイドを活かしたステルス・外観擬装能力も持っており、浜風と同時出撃した場合は対戦相手がトラウマになるレベルで猛攻を行う。度合いとしては相対した時雨も苦笑・戦慄する程。

ペネトレイトストライカー
ブレイズウィザードを改修し、ストライカー対応にしたもの。ただし外観に名残が残っているだけで中身はまるで違う。
ミラージュコロイド展開時には装備されたワイヤーにより移動する。
そして瞬間的な加速能力を強化する為のブースターとしての機能が主であり、これにより大幅な加速性を持てるようになった。
ただしあくまでも瞬間的な速度だけであり、『ヴェズルフェルニル』とは異なり長時間の加速は出来ない。
またミサイルポッドの代わりに粒子フィールド展開機構が追加され、フィールドを展開したまま突っ込む芸当も可能。


霞「ステージは宇宙、デブリ帯?」

海風「足場いっぱい、ステルスでデブリに紛れる… やりたい放題じゃないですか」

神通「流石に今回は自重してくれるかと…」

萩風「対するメイジン側は…」



メイジン(矢矧の機体)
・ベース機 直下
・改造内容(機体名も) 下3

条件:とくになし
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 04:55:12.23 ID:Z38C8E5kO
ベビーガンダム
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 05:16:30.94 ID:LbAmVGbq0
素体はリバイヴのHGUCガンダムでスクラッチしたパーツを取り付けたセミスクラッチのガンプラ

見た目には関節に一部金属パーツを使用している他に変化はさほどなく、ひたすらに工作・塗装の精度を上げている

カラーリングもMSVのものに準拠
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 11:29:26.59 ID:PjXUnl2X0
ヘビーガンダム・ヴィクトリア

内部を人間に限りなく近い動きができるような構造にし、小型スラスターを大量に増設。
装備はメインをペイルライダー・キャバルリーの「シェキナー」に変更。キャノンはZZのハイパー・ビームサーベル兼用の砲身に換え、2本に増加。元のサーベルは2本に増やし、両腰に移した。
また、腰の後ろにはガンダムのビームライフルを予備で装備している。
ソフト面はバイオセンサーを搭載して、反応速度の向上を図った。
なお、カラーリングはジョニーライデンの帰還に出た赤いカラーリング。
252 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/04(月) 01:32:07.80 ID:8yawf1K30
矢矧「ヘビーガンダム・ヴィクトリア、メイジン・カワグチ… 出るわ!」

ヘビーガンダム・ヴィクトリア
武装
・ビームサーベル×2
・複合型特殊武装『シェキナー』
・ビーム・ライフル
・ビーム・キャノン兼ハイパー・ビーム・サーベル

概要
3代目メイジン・カワグチこと矢矧の新機体。以前まで残していた『アストライヤー』の名前は廃された。能代は関わっていない。
コンセプトとしては『近代化改修と火器のアップデートを図ったヘビーガンダム』であり、以前使用していた『FAスレイヴ・レイス』や『ギャン・エーオース』などにも連なる機体でもある。
武装はフレーム・ランチャーから『ペイルライダー・キャバルリー』や『ペイルライダーDU』の使用する複合型特殊兵装『シェキナー』へと変更、ビームキャノンはZZと同じハイパー・ビーム・サーベルを兼ねたものに変更し両肩装備となっている。
そして両腰にビームサーベルを装備、さらに背部の腰にはガンダム用のビーム・ライフルを予備兵装として追加した。
またコックピット周りには『ジョニー・ライデンの帰還』で実際に搭載されたバイオ・センサーを作りこんで搭載しており圧倒的な反応速度を誇る。
塗装はジョニー・ライデンの帰還で登場したイングリッド0仕様の機体をベースにしているため赤系統のカラーリング。
余談だが矢矧自体は他のファイター・ビルダーとは一線を画しており、本機の能力も世界の中では圧倒的に高い。しかし瑞鳳や榛名のような独創性がなく『ガンダム世界に囚われ巣過ぎている』のが彼女の難点であり弱点。榛名曰く『開き直れば多少マシになる』とのこと。


萩風「ヘビーガンダムの強化改修機体、ですか」

霞「ヘビーガンダム、って… フルアーマーじゃないの?」

神通「『ヘビーガンダム』はフルアーマー同様FSWS計画の機体です。FAガンダム開発の頓挫時に提出された代案の1機種で戦後に3機程が製造、その内の1機が漫画『MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』で近代化改修を受けて運用されました。

あのカラーリングは間違いなくその作中のカラーリング、年代的にはU.C.0090の機体です」

霞「…ん? あれ、『フルーアマーガンダム』って開発中止になってるの? でもサンダーボルトは…」

萩風「あれはパラレルワールド、オリジンも同様の扱いです」

霞「…ゴチャゴチャしてるわね」

海風「商売的には仕方無いんですよ」

萩風「武装はペイルライダー系統の『シェキナー』、そしてZZのハイパービームサーベルを兼ねたキャノン、そしてオーソドックスにライフルとサーベル…

そしてあの機体には恐らく、もしイングリッド0仕様の機体であれば…」


メイジン「さぁ、始めましょう」

夕雲「お先にどうぞ?」

メイジン「そうさせて貰うわ!」


ヘビーガンダムがシェキナーの銃口を向けガトリング砲を放つ。夕雲は回避機動を取りミラージュコロイドを展開して姿を消す。

一度加速すれば慣性で動くことが出来る。彼女はそれを利用してデブリ帯、自分の有利なフィールドへとメイジンを誘導を試みた。


メイジン「分かっているわ、その戦い方は!」


メガ・ビーム・ランチャーで足場となるデブリを焼き払う。彼女は夕雲の戦い方は前回の対戦で熟知している、故に同じ戦い方は通じないだろう。

だからこそ足場を焼き払い、動作を封じようとしていた。 だが夕雲も簡単にいかないのは分かっている。


夕雲「なら、これはどうです!」


粒子を集束させ足場を形成、それを踏み台にして加速させる。 間合いはあるが夕雲にとって距離を詰めるなど容易い。

さらに今はミラージュコロイドを展開し目視で捉える事は不可能。高速で不可視の一撃がヘビーガンダムへと襲い掛かる。


メイジン「チィッ…!」


斬撃が行われる直前、咄嗟に抜いたサーベルで防御するメイジン。夕雲は防御されたことに多少は驚いたが、ただそれだけだ。

夕雲は機体を反転させ一度距離を取る。 離れすぎればシェキナーの餌食になり、近すぎれば加速が足りなくなる、そうならない絶妙な距離。そして夕雲はミラージュコロイドを解除し機体をグラディエーター形態へと変形させた。


夕雲「一撃で仕留めるつもりでしたが… その機体、『バイオセンサー』を作り込みましたね?」

メイジン「ええ。 『クロイツシリーズ』の性能は圧倒的、それは私も痛感してる。 対抗するにはこれ位はしないと」

夕雲「なら、対応出来ない速度で切り刻むまでよ!」
253 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/04(月) 02:17:15.89 ID:8yawf1K30
猛攻を繰り返す夕雲、彼女の操る『アストレイミラージュフレーム・クロイツ・リバイ』の速度は圧倒的だ。

さらに彼女はヒット&アウェイを繰り返して照準を合わせる隙を与えない。射撃がメインのヘビーガンダムにとって、彼女のミラージュフレームはまさに天敵と言えるだろう。


夕雲「いつまで凌ぎ切れるかしら!」

メイジン「くっ… 相性が悪過ぎる…!」


回避を繰り返し、時にはサーベルを使って攻撃を防ぐメイジン。しかし繰り返される猛攻に対応するのが精一杯で反撃に転じるのは難しい。

さらには夕雲の放つ一撃一撃が重く、機体にも負荷がかかっていた。


メイジン(直線機動が多いはずなのに、照準を合わせられない…! 前に戦った時より腕があがってるわね!)

夕雲「そろそろ決めさせて貰います!」

メイジン「来る…!」


一直線に突撃する夕雲、その軌道上へとシェキナーの銃口を向けるメイジン。 そして放たれる大量のミサイルがミラージュフレームへと襲い掛かる。

爆炎が宇宙に広がり、その炎がミラージュフレームを飲み込んだ。ように思えたが…


夕雲「勝負、ありです」

メイジン「…私の負けね」


そこにはヘビーガンダムの背後に立ち、天羽々斬を首へと突きつけるミラージュフレームの姿があった。


BATTLE END


『おっとメイジン、リベンジ失敗! 勝者は前年度チャンピオン、そして今年度日本第3ブロック代表の一人夕雲選手だ!』


海風「何を、したんですか…?」

萩風「ミラージュフレームの最大加速、そしてミサイルの爆発の衝撃を利用したゴリ押しの加速、さらに脚部に展開した粒子フィールドを足場にしてさらに加速をかけて…

三重の加速を利用した、超スピードです」

神通「まずそこまでいけば普通のガンプラは原型を留めず自爆するでしょう。 あれは『クロイツシリーズ』だから出来ること、そして夕雲さんと言う人間だからこそ出来る芸当です」

霞「あれ、目視は無理ね… 下手をすれば、瞬間的な速度なら『ヴェズルフェルニル』より速いかも」


『ではこれにて、世界大会エキシビジョンマッチを終了します! 皆さん、本選をお楽しみに!』


夕雲「お疲れ様です、矢矧さん。 中々こちらも大変でした」

矢矧「貴女に言われると皮肉にしか聞こえ無いのだけど…」

夕雲「まさか。 こちらも、距離を測るのに中々苦労したんですよ? 離れすぎると集中砲火にさらされますから」

矢矧「はぁ… まだまだ私も未熟、と言う事ね。 それにまた貴女腕を上げたんじゃ無いの?」

夕雲「ええ。まだまだ、夕雲は成長期ですから」

矢矧「どれだけ成長すれば気が済むのよ…」

夕雲「瑞鳳さんが言っていましたよ。 子供は無限に成長し続ける、『アンリミテッド』なのだと。どこまでも強くなれる、高く遠くへ飛べる存在なのですって」

矢矧「『アンリミテッド』、ね… 私は、まだ足り無いのかしら」

夕雲「メイジンだからと気を張らず、肩の力を抜いてください。 魅せるバトルではなく自分のバトルをする、それが成長に繋がる一歩ですよ」

矢矧「まさか年下に教えられるなんて思わなかったわ」

夕雲「あら? これでも夕雲、『ケイケン』は豊富なんですよ?」

矢矧「え」

夕雲「修羅場の…」

矢矧「ああ、そっち… あの人と居ると、体がいくつあっても足り無いんじゃないかしら」
254 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/05(火) 03:34:27.15 ID:NORNtPkS0
《その夜 霞の家》

神通「二人共、荷造りは?」

霞「終わってます」

海風「流石に向こうにランドリーはありますよね?」

神通「あるとは思いますが… 念のため、それなりの量の着替えは要るかと」

海風「下着足りるかな…」

霞「…アンタ、まさかまた大きくなったの?」

海風「恥ずかしながら… 下着最近新調したばかりなので少々足りないような…」

霞「…」

リタ「…分かるよ、その気持ち」ポンポン

霞「アンタは将来あるでしょうが!?」

神通「確かに榛名さんも青葉さんもそれなりにあるので…」

霞「先輩もですよ!」

神通「え」

霞「瑞鳳さんはまだしも飛龍さんに蒼龍さん、しかも隔世遺伝で大鯨さんの血が入ってるんですよ!今だって結構大きいのに!」

海風「胸なんてあっても無駄なだけですって。ほら下着すぐ駄目になりますし…」

霞「持つ者が持たざる者の気持ちがわかるか!」

リタ「ああ、うん。 分かったから、もう夜だから大声出さないの」

神通「そう言えばリタさんは明日、私達の出発と同時に向こう側へ帰るんでしたよね?」

リタ「そのつもり。と言うか私は皆に『宇宙世紀の人間が居る』って存在の証明すれば良いだけだから、特にこっちに留まる理由は無かったんだけどね」

霞「じゃあ何でこっちに残ったのよ」

リタ「貴女に興味があったから。 それとママに導け、って言われたから。誤った方に行かないようにね… 杞憂だったけど」

霞「誤った方向?」

神通「『イノベイター』ですか」

リタ「うん。 ママと根源を同じにして、自分を優れた存在だと思い込んだ似非人… そして妄執の果てに全滅した連中。

去年色々あって戦ってね。 その件ちょっとまだ引き摺ってるから。そう言う人が増えないように、って警戒してるの」

海風「コスモ・クルス教団の人達みたい…」

リタ「似たようなもんだよ。 自然発生か人工的か、それしか差はない。 だけど自分が優れてると思い込んで結局その身を滅ぼした…

もう二度とそう言う人間が現れないようにする、その為に私達は導くの」


視点選択 直下
1.神通『花結いの絆』
2.霞『越える絆』
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/05(火) 09:40:31.98 ID:KzJPW0kR0
256 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/08(金) 01:53:03.67 ID:G1L9gFmX0
side-神通-『花結いの絆』


神通「ふっ…! はぁっ!」

海風「あれ、先輩…」

神通「海風さん? どうかしましたか?」

海風「いえ… ちょっと寝付けないから水でも飲もうかと思ったら先輩が庭に居たもので」

神通「ああ、そう言う事でしたか。 私も、少々眠れなくて身体を動かしていたところです」

海風「先輩も… やはり明日のことが気になるんですか?」

神通「はい。 …思えば、遠くまで来ましたね」

海風「先輩…」

神通「私が、私達が全国大会出場なんてするとは思っていませんでした。 これも全部、海風さんのお陰かもしれません」

海風「いえ、先輩のお陰です。 先輩が、海風を見出してくれたから… それに応えただけです」

神通「え…?」

海風「海風、前に先輩の記憶を見た時気付いたんです。重ねてきた『これまで』に海風と霞が居なかったことに…

きっと海風は何も出来ないまま、誰かに必要とされる事の無いまま終わっていたのでしょう。だけど先輩が手を伸ばして海風を見つけ出してくれた… 応える理由はこれだけで充分です」

神通「海風さん…」

海風「まぁ、結果散々な事態に巻き込まれてますけどね」

神通「すみません…」

海風「冗談です。 それに、そうなると分かっていたとしても海風は絶対に止まってなかったと思います」

神通「確かに海風さんならそうでしょうね」

海風「それに、先輩が感謝すべき相手は海風ではありませんよ。 ここまで来れたのは海風や先輩だけの力ではありません。

瑞鳳先生や愛宕先生、蒼龍さんと飛龍さんと教え導いてくれた先生達。霞と朝雲さん、天津風さんだって居たからこそここまで辿り着けたんですから。萩風さんが居なければ死んでた可能性だってありましたし」

神通「確かに、私一人では今まで何も出来なかった… こんな奇跡、二度と起き無いでしょう」

海風「はい。 だからこそこの時間軸で終わらせる。 二度と起き無い奇跡なら一度目で終わらせてしまえば良いんです」

神通「…海風さんって、時々そう言う強引な理論持ち出しますよね」

海風「え、そうでしょうか…?」

神通「でも、その前向きな所に救われます。 貴女がいつでも前を見て、道を示してくれる… だからこそ私は、戦える」

海風「先輩…」

神通「海風さん、こんな事を言うのは今更ですが… 私と一緒に戦ってくれませんか? それが未来を覆す、世界に背く行為だとしても…」

海風「答えなら、とっくに決まってますよ。 海風は、貴女と共にある。 貴女と共に、未来を壊す。 例え世界から咎を受けようが地獄に落ちようが、貴女と共に戦うと」
257 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/08(金) 03:05:36.08 ID:G1L9gFmX0
side-霞-『越える絆』


霞「アンタにしちゃ、まともな回答じゃない」

海風「…聞いてたんですか」
258 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/08(金) 04:05:13.07 ID:G1L9gFmX0
やべぇ、間違えて途中で投稿しちゃった…

side-霞-『越える絆』


霞「アンタにしちゃ、まともな回答じゃない」

海風「…聞いてたんですか」

霞「偶々通りかかったら聞こえたのよ。 まるで漫画の主人公かヒロインみたいな台詞だったし」

海風「まぁ、言われてみればそれらしいような…」

霞「ま、あそこで逃げ腰だったらアンタは私の期待外れだった、ってだけよ」

海風「前にも言ったでしょう。 海風と霞は既に共犯、未来を壊す共犯者になると。

先輩の記憶を垣間見た時、決めたことです。 それを改めて宣言しただけですよ」

霞「そうだったわね… 私達にも色々あったけど、まさかこんな所まで来るなんてね」

海風「2度の席替えも隣、部活も一緒、そしてあらゆる事件に巻き込まれて挙句の果てには同居ですからね…」

霞「ほぼ運命共同体と化してるわね、本当…」

海風「ここまで来たらもう一蓮托生、共に地獄まで落ちましょう」

霞「嫌よ。それにまだ地獄に落ちると決まった訳じゃない。まだ何も決まって無い、私達の運命も、未来も」

海風「そうですね…」

霞「それに地獄に落ちる前提で話すの止めなさいな。 それにそんなものがあるかどうかも分かったもんじゃないし」

海風「どうなんでしょうね、その辺」

霞「リタが言うには『全体』やら『既知』やらってものがあるらしいけど…」

海風「『全体』?」

霞「人が肉の命を終えると『全体』に還って、また循環して繰り返す… リサイクルボックスみたいなものらしいわ。 リタはちょっと前まで居たけど切り離されたから詳しくは憶えてない、って」

海風「切り離されたって…」

霞「向こう側の榛名さんに、『全体』から個に戻されたんだと。 因みに同じ事をやった相手がまだ居るとか」

海風「ある意味凄い事してますね… 一つの宗教軽く作れちゃうんじゃないですかね?」

霞「まぁ後者はある意味偶然、らしいし… 少なくともやってる事は自然の摂理に反する、人の理を壊すことだからあんまりやっていい訳じゃないわ」

海風「で、その素養が霞にはあると」

霞「そこまでヤバイ素養は無い、って思いたいけど… 現に死者の意識に触れちゃってるのよね…」

海風「イタコ芸でもやれば儲けられるかもしれませんよ」

霞「冗談じゃ無いわ。 使うと疲れるし、悪霊とか怖いし」

海風(この世に意識を残してる時点で充分悪霊の可能性が… しかも呪い殺してるような…)

霞「何?」

海風「いえ、なんでも…」

霞「…生き返らせたいって気持ちは分かるけどね。 私も、お母さんとお父さんが居なくなった時何度も願ったから…

悪夢であって欲しい、悪い夢なら覚めてほしいって、何度も。 だけど余程の事が無い限り、魂を呼び寄せたりこの世に蘇らせるなんてしちゃいけないの。それはきっと、歪なことだから」

海風「霞…」

霞「ごめん、変な事聞かせて。 私、もう寝るから」

海風「あ、はい…」

霞「それと、さっきの答えは訂正させて貰う。 例えアンタが地獄に落ちるって言うなら私が引き上げる。 出来ないなら私も一緒に地獄まで付き合う。 それが、共犯の務めよ」
259 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/11(月) 00:32:52.78 ID:h8cyRb790
海風(そして夜が更け、旅立ちの朝となる)


《駅前》

瑞鳳「全員揃った?」

愛宕「点呼!」

神通「1番」

海風「2」

霞「3」

天津風「4」

朝雲「5」

萩風「6… 全員居ますね」

リタ「じゃあ私はここでお別れ。 基地に行って向こう側に帰るから」

瑞鳳「蒼龍さん、お願いします」

蒼龍「了解。じゃあ行きましょうか」


霞(こうして私達の生活を引っ掻き回したリタは在るべき世界へと帰った。だが彼女との再会はすぐ訪れることになる、かもしれない)


瑞鳳「皆切符は行き渡ったね。 じゃあ全員、行くよ」

愛宕「皆、新幹線の中ではマナーを守ってね」

6人「は〜い」


神通(私達は旅立つ、決戦の地へと。 そして新たなる戦いへと…)


海風「あがりです」

天津風「コイツ等…!トランプだけじゃなくてUNOまで強いの!?」

霞「運も実力の内よ。私これでも悪運は無駄に良いのよ」

萩風「それ、洒落になっていないですよ」

朝雲「そして悪運の煽りを先輩が受けてると…」

神通「うぅ… だからカードって嫌い…」(手札こんもり)

瑞鳳「こりゃ酷い…」

愛宕「引きが悪いと言うか、何と言うか…」
260 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/11(月) 04:08:55.52 ID:h8cyRb790
《そして 静岡・PPSE第二スタジアム》


神通「ここが、大会会場…」

天津風「PPSEの第二スタジアム。世界大会が行われる第一スタジアムに隣接、そして今年から新設されたスタジアムよ」

朝雲「金持ってんのね」

萩風「今本社は火の車ですけどね」

霞「自業自得よ、やつらは」

海風「そして第一では世界大会が行われる…」

愛宕「そう。 だから今まで以上に観客が来るわ。 世界大会のついでに、ガンプラの本場の日本の学生レベルを観るために… 貴女達はその中で戦うことになる。その覚悟、出来てる?」

神通「はい。 私達はその為にここまで来たのですから…!」

海風「衆人観衆下での戦いは今までもやってきたことです…!」

霞「今更何人、何百人増えようが構いません…!」

瑞鳳「貴女達はこれから立つ場所は強豪揃い、生半可な覚悟や気力じゃ絶対に押し切れ無い。 立ち向かう覚悟、ちゃんと出来てる?」

天津風「はい…!」

朝雲「どんな敵だろうと、倒して見せます…!」

萩風「私も、ここに立つ以上はその覚悟はしています…!」

瑞鳳「よろしい。 ここから先、貴女達には手強い相手が待ち受けてる。 でも諦めることも止まる事も許されない。

貴女達はもうここから戻る事は出来ない。 戻れない道を振り返る事すら出来ない…」



瑞鳳「高く飛ぶための過ちを恐れるな! 羽ばたきなさい、限界を越え、鳥のように高く舞い上がりなさい!  自らの夢を掴む為に!

貴女達に限界は無い! 貴女達の無限の可能性を、衆人観衆に見せ付けてやりなさい!」


全員「はい!」

261 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/12(火) 01:03:56.44 ID:tLR6qmW90
《選手宿舎》

瑞鳳「じゃあ私と愛宕先生は別の宿だから」

愛宕「皆、良い子にしてるのよ? 特に、そこの二人…」

朝雲「何で私達だけ…」

萩風「酷いです」

愛宕「前科一犯&最も何しでかすか分からないから」

神通「萩風は私が見張りますからご安心を」

萩風「何もする気は無いのに…」

神通「ともかく、これは決まったことです」

瑞鳳「そう言うこと。 大人しくしてれば私も折檻しなくて済むから。 じゃあ皆、また明日〜」


「おい、今のって…」「間違い無い、『真紅の戦乙女』だ…!」「あの有名人かよ!」「じゃああの6人が…」


海風「…良くも悪くも話題になってますね」

霞「しかも私達にほぼ注目されてないって言うね」

天津風「瑞鳳さんの名前が大きすぎる、って言うのもあるけど…」

「話題になるだけ良いよ。私達なんて『あ、来た』的な反応だったもん」

神通「阿武隈さん。 どうも」

阿武隈「何日かぶりだね、皆」

海風「こんな所で何を?」

長波「色々選手が現地入りしてくるから面子の確認。まぁ、あんまり面白くはないけど…」

陽炎「部屋でお菓子食べてた方が絶対有意義よ」

朝雲「そりゃそうよ。 選手が来るの見たところで戦力分かる訳でもあるまいし」

陽炎「ってことで部屋に帰ってお菓子を…」

「あら、随分と仲が良いのね」

天津風「京都『風の会』、神風… だったかしら?」

神風「覚えて貰って光栄よ」

朝雲「確か舐めてかかってホワイトクリーンの代理メンバーにボコられて、挙句海風のツインバスターライフルに仕留められた珍しいヤツね」

神風「その憶え方やめて!? て言うか珍しいって何!?」

海風「まぁ、そうですね… 貴女以外に一人しか居ませんし、ツインバスターライフルで落とした人」

長波「本当にバスターソード好きだな」

朝風「流石バスターソードフェチの変態は言う事が違うわ」

海風「萩風さん、GO」

萩風「わかりました」ガシッ

朝風「ちょ、何!?」

海風「ウチの従姉に散々なこと吹き込んだ礼ですよ。 何、ちょっとデコにラッカー塗料で肉って書いてやるだけです。大人しくしてください」

朝風「従姉って誰よ!?」

海風「どこぞの髪の赤いサムいギャグ好きなグンマーの民ですよ!」

朝風「アイツ!? アイツ従姉なの!? ってか止めなさいよ! 誰か止めて!?」

霞「聞いた限り自業自得ね」

神通「萩風、一応止めなさい」

萩風「えぇ… 折角捕まえたのに」

春風「あの、一応止めて頂けると… 代わりに謝りますから…」

神風「口は災いの元、よ。 常日頃余計な事を言うなって言ってるじゃない」
262 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/12(火) 02:27:25.99 ID:tLR6qmW90
※鬼怒は栃木代表だった… グンマーじゃねぇ…

朝風(肉)「」チーン


海風「余計な事するからこうなるんです」

霞「本気でやったよ…」

神通「はぁ… 揉め事はあまり起こさないで欲しいのですが」

海風「ふっかけられた喧嘩です。やり返してもう喧嘩を売れないようにしただけです」

春風「しかし、ラッカー塗料は流石に酷すぎるのでは…」

海風「人を散々変態呼ばわりした上に他人にまで適当な噂を流した報いを与えただけ、やられたので百倍返ししただけです」

阿武隈「乙女のデコに肉はちょっと酷いと思うけど…」

海風「次やったらもっと酷い文字にしてやりますよ」

陽炎「この子、全く躊躇が無いわ… 怒らせるとマジでヤバイタイプね」

「うわ、本当に書いちゃったよこの子…」

「やっぱ怒らせると怖いわ、鬼怒の従妹…」

海風「あ、鬼怒さん」

鬼怒「う、海風… 一応聞いておくけど、どうしたの?」

海風「やってやりました」

鬼怒「そ、そう…」

神通「あの、貴女は?」

鬼怒「え、あ… えっと、海風の従姉の鬼怒です。 一応栃木代表の」

長波「従姉妹居たんだ」

海風「ええ。あまり交流は無いのですが」

神通「私は海風さんと同じ『フリューゲル・ヴェント』の代表、神通です。よろしくお願いします」

阿武隈「宮城の『ホワイトクリーン』、代表の阿武隈です」

神風「私は… 別に知り合いだから紹介しなくても平気ね」

嵐「鬼怒さんと同じチームの嵐っす!」

江風「同じく江風。 呼び名間違えンなよ?」

鬼怒「あ、海風! お金! 一昨日のカフェの!」

海風「あ、そうでした… 今手持ちに小銭無いんであとで良いですか?」

鬼怒「別に良いよ、払ってくれるなら」



イベント 直下
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/13(水) 01:33:42.29 ID:AEig8BISO
ガンプラ学園現る
264 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/13(水) 03:39:45.16 ID:BTMaHMCm0
ザワザワ


長波「ん? なんか騒がしくなってきたな…」

「おい、あの連中は…」「まさか、ガンプラ学園!?」「もうご到着かよ!」

神風「ガンプラ学園…!」

鬼怒「うっわぁ… 初めて見たよ」

江風「本当に強いのか、アイツら?」

春風「ええ。世界大会基準のレベルと考えても…」

朝雲「並じゃないわ。 機体もファイターも」

天津風「少なくとも片割れは人格面に大問題を抱えてるけどね」


アドウ「チッ… どいつもこいつもジロジロ見やがって…」

ウィルフリッド「見させておけ。 こちらが強者である以上、羨望されるのは当然だ」

アドウ「流石、4代目メイジンを狙っている奴は言う事が違うな」

ウィルフリッド「狙っているのでは無い、なるんだ。 あれは…」


霞「…こっち見てるわよ」

神通「海風さん、ですね」

萩風「しかもこっちに来ましたね」


ウィルフリッド「あの合宿以来、かな。 『フリューゲル・ヴェント』の海風さん」

海風「お久し振りです、キジマ・ウィルフリッドさん」

ウィルフリッド「キミと戦える事を心待ちにしているよ。あの時の決着、果たさせて貰う」

海風「こちらも再戦、決着を楽しみにしています。次こそは勝利をもぎ取らせて頂きますよ」

ウィルフリッド「それは、こちらの台詞でもあるよ」


嵐「やっぱすげえな、鬼怒の従妹…」

鬼怒「昔から肝だけは据わってるからね。無駄に」

神通「そこが私達にとって頼もしくもあります。彼女に何度助けられたか…」

霞「昏睡事件の時だって、アイツが率先して前に出てくれて…」

鬼怒(あの海風が…? 鬼怒とも殆ど会話すらしなかったのに… やっぱり、少しだけ変わったのかな…)
265 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/16(土) 03:45:18.31 ID:B/Q9wPuX0
《その後 海風&霞の部屋》


霞「で、最初の編成は決まった?」

海風「いえ。いくつかパターンは決めましたが相手次第なのでなんとも」

霞「私達の機体は大幅改修した訳だし、事前のデータが役に立たなくなってる以上初見殺しが出来るけど…」

海風「逆に奥の手、『アズライト』『アクロス』『フルブルーム』を晒す可能性もある以上適切ではありませんね。

かと言って晒してもなんとかなる手札も天津風さんのハルート、そして朝雲さんのストライク程度でしょうし」

霞「エクシアは?」

海風「能力上、なるべく隠しておきたいものですが… 不可視とレーダー無効のステルス能力、使いどころを間違えれば手の内を晒すだけでなく対策を練られてその後の作戦に影響が…」

霞「海風にしては珍しく優柔不断ね。いつもの大胆さはどこに行ったのよ」

海風「大胆だけでは勝てません。ここはより慎重に…」

霞「はぁ… 緊張してるわね、珍しく」

海風「ええ、この大舞台を前には流石の海風でも緊張もしますよ」

霞「アンタは普段通りにしてくれれば良いのに… 寧ろその方が私達はやり易い」

海風「霞…」

霞「正直、ウチのチームはアンタが居なければ烏合の衆よ。 各個の能力が秀でていても優秀な指揮官が活かしてくれなければ死ぬだけ…

本調子の海風が居てくれないと困るの。 迷いの無い、ただ真っ直ぐ前だけを見続ける海風が居ないと」

海風「迷いの無い、海風…」

霞「私は海風に従う。 違う、私は海風以外に従わない。 私にとっての最高の指揮官は海風、アンタなの。 そんなアンタが迷ってどうするのよ」

海風「…先輩と朝雲さんも指揮権を持ってるので海風以外に従わないと言うのはどうかと…」

霞「指示されれば従うわ。 海風がその二人に指揮権を預ければ勝てる、って保障してくれるならね。それ以外には絶対に従わない」

海風「もし、その相手がウチの姉だったとしても?」

霞「同じ事は二度も言わない」

海風「…良いでしょう。 その代わり、責任はとってもらいますよ」

霞「責任? 私はとらないわよ。 だって、アンタは負けないから」

海風「ならその期待に応えるだけです。 霞、提出用の編成表を下さい」

霞「もう準備は出来てる。 はい、ペンも」

海風「ここから先は一本道、ノンストップで駆けます」

霞「オッケー。 ぶっちぎってやろうじゃない…!」
266 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/16(土) 04:10:19.14 ID:B/Q9wPuX0
《神通&萩風の部屋》


神通「!」ブルッ

萩風「姉さん?」

神通「今何か悪寒が…」

萩風「姉さんまでニュータイプ紛いのことを…」

神通「いえ、これは修業で培った…」

萩風「そんな事より、ロンギフローラムの調整終わりました」

神通「助かります。 流石に、私ではお母様のようにいかないので」

萩風「ファイター技能に偏って、ビルダー能力を疎かにしたからです」

神通「疎かにしたつもりは無いのですが、これには向き不向きが…」

萩風「言い訳無用、お母様ならこう言う筈ですよ」

神通「そうですね… …本当なら、私の技術で整備出来る機体に仕上げる予定だったのに…」

萩風「お母様が勝手に魔改造を施して… 私もこれには四苦八苦しました。 しかし性能は予定値の数倍、姉さんの『全力』を余す事無く発揮可能です」

神通「東方不敗流剣術だけでなく次元覇王流、そして流派・東方不敗…」

萩風「良かったですね。 今までの機体では腕が粉末だったのが出せるようになって」

神通「…萩風、貴女まだ…」

萩風「ええ。正直恨みがましい… 東方不敗の名を受け継げたのが、姉さんだけなのが。 私に与えられたのは護身術と言う名の殺人技巧ばかりだと言う事が…

仕方の無いことだと頭が分かっていたとしても、どうにも心の整理がつきません」

神通「…」

萩風「私には致命的に、東方不敗の修業に耐えるだけの体力が無かった… ただそれだけなのに」

神通「体が少し弱かったのは仕方の無いことです。今では健康なんですから…」

萩風「だからこそ、尚更恨みがましいというものです」

神通「…」

萩風「冗談です」

神通「冗談に聞こえないのですが」

萩風「それはそうですね。 …姉さん、一つ約束を」

神通「なんでしょう?」

萩風「私の前で、東方不敗の技を使うと言うのなら、絶対に負け無いでください」

神通「分かりました。 元々この名を背負ってる以上、負けは許されませんから」



《朝雲&天津風の部屋》


朝雲「Zzz…」

天津風「暢気に寝て…! 予備パーツ作る手伝いくらいしなさいよ!?」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/16(土) 05:37:41.36 ID:0O0MvfTA0
ムッソリーニ「…ここが東京だというのか」
ムッソリーニが現代転生
268 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/21(木) 09:28:17.69 ID:MlZWmVS60
《翌日 大会アリーナ》


ザワザワ

霞「いよいよ、ね…」

天津風(ようやく、この場に立てた…)

朝雲「ま、当然よ。 私達だって、死に物狂いで戦ってきた訳だし」

神通「静かに。もうすぐトーナメントの抽選会が始まります」


『只今より全日本ガンプラバトル選手権・中高生の部、全国大会の抽選会を開始します。抽選を行うのは…』

メイジン『この、メイジン・カワグチよ!』


海風「あ、残念な人」

萩風「その言い方はもう止めてあげてください」

神通「二人共、静かに」


メイジン『トーナメントは4つのブロックに分けて行われるわ。そして各トーナメントの勝者が決勝大会へと駒を進める事が出来る。

そして、これがトーンメント表よ!』


阿武隈「Cブロック、第2試合。 日程的には明日かな」

長波「アイツ等やガンプラ学園とは別のブロックか」

陽炎「去年は決勝に行けず仕舞いだったけど、今回は違うわよ」


アドウ「Dブロックか… 歯ごたえのある連中が居れば良いがな」

ウィルフリッド(彼女達は… ほう…)


天津風「なっ!?」

朝雲「嘘でしょ…」

萩風「まさか…」

霞「Aブロック、しかも第一試合だっての!?」

海風「『ホワイトクリーン』やガンプラ学園と当たらないだけマシです」

神通「各員、準備を。 海風さん、編成割は…」

海風「済んでいます。 式終了次第、編成を発表します」

神通「分かりました。 対戦相手の方は… いきなり顔見知りとは」


対戦相手 直下
1.京都代表(神風・朝風・春風)
2.高知代表(神威・コマンダン・瑞穂)
3.鹿児島代表(霧島・大淀・川内)
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 09:29:36.89 ID:T6o6l7EH0
1
270 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/21(木) 09:56:48.69 ID:MlZWmVS60
神風「まさか貴女達と戦うことになるなんてね」

天津風「『風の会』の…」

朝風「やりかえさせて貰うわよ…! 絶対ギャフンと言わせてやるんだから!」

霞「…まだデコにうっすらと残ってるわよ、肉」

朝風「え、本当!? 昨日必死に落としたのに!」

春風「すみません、騒がしくて…」

神通「いえいえ。 威勢の良い方が、戦い甲斐があると言うものです」

神風「もう舐めたり油断なんてしない、あの時みたいにはいかないわよ…!」

海風「こちらも、全力で戦わせて頂きます」

萩風(そう言えば私、この人達と関わり無かった。 …こういう時、新参はちょっと辛いかな…)



《会場 控え室》


海風「では編成割を発表します」

天津風「第一陣は誰なの?」

海風「今回は対戦相手不明の為、編成は『全力』を組ませて頂きました」

朝雲「出し惜しみは無い、ってことね」

海風「ええ。確実に、相手を叩き潰せるように」

萩風「それが一番でしょうね。 後の相手への威嚇にもなりますし」

霞「いつも通り、指揮官1とそれ以外2でしょ?」

神通「なら私と海風さん、朝雲さんの誰かは確定ですね」



チーム編成
・一人目 直下
・二人目 下2
・三人目 下3


チームメンバー
・神通:インフィニットジャスティス・ロンギフローラム(指揮官)
・海風:ウイングガンダム・アズライト(指揮官)
・霞:ブラスト・アクロスZZ
・天津風:ガンダムハルート・ボーライド
・朝雲:RX-0[Sm]シームルグ or ストライク・エインヘリヤル(指揮官)
・萩風:ガンダムエクシアルベルム

条件:チーム内に一人『指揮官』を組み込むこと。また朝雲を使用する場合機体を『シームルグ』か『ストライク』かを明記すること
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 10:14:33.70 ID:6XEKZ0VDO
天津風
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 10:15:06.72 ID:a8eDsfMDO
朝雲 ストライク
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 10:15:18.36 ID:EhqZ4q0ZO
萩風
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 10:17:02.23 ID:qXIMfUOM0
天津風
275 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/21(木) 19:00:42.54 ID:MlZWmVS60
海風「朝雲さん、今回の指揮はお任せします」

朝雲「いきなり私!?」

天津風「…本気じゃないの?」

海風「ええ、本気ですよ。 朝雲さんを選んだ点は2つ、朝雲さんに指揮技能を持っていることを知るのは我々のみであること。そして『万が一』に備えられる補助機を持っていることです。

さらに今回に限れば敵にメガランチャー装備機はあれど射程最長なのが朝雲さんなのは僥倖と言うべきでしょう。今回はシームルグではなく、改修したストライクを使用してください」

朝雲「…分かった。 どうせもう変更は利かないし、やるだけよ」

海風「続いて僚機は萩風さん、天津風さんにお任せします」

萩風「分かりました」

天津風「ここで私とはね… やってやるわよ」

海風「今回の作戦は前にやった練習の通り、パターン『インビジブルランス』を主軸として動いて貰います。

具体的な作戦案としては…」

ガチャッ

瑞鳳「あ、やってるやってる」

愛宕「やっほ〜」

神通「お母様に先生?」

瑞鳳「ブリーフィング、どう?」

海風「間もなく終わりますよ」

瑞鳳「なら良かった。 萩風ちゃん、朝雲ちゃん連行ね」ガシッ

愛宕「ちょっと大人しくしてね〜」ガシッ

萩風「え、え!? 何かしました!?」

朝雲「何もしてないわよ!?」

瑞鳳「お着替えタイム」

朝雲「あ、また変な衣装を!?」

愛宕「今回はまともよ、天津風ちゃんのデザインに比べたら」

天津風「私の衣装、風吹いたらパンツ見えそうになるのよね…」

霞「朝雲のは丁度良いんじゃない? あれじゃただの夏服小学生だもの」

朝雲「小学生って言わないでよ!」

海風「…海風と先輩のも大概な気がするのですが」

神通「脇の下開いてますし… ノースリーブと手袋なんてニッチなものを…」

瑞鳳「と言う事で連行〜」
276 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/21(木) 22:31:36.65 ID:MlZWmVS60
萩風「…リボン、紫のは無いのですか?」←陽炎型制服

瑞鳳「無い。 染料が無かったのよ」

朝雲「私のはまぁ… ブレザーが増えただけ?」←スリガオ海峡突入mode

霞「デザイン的にはまともね、二人共」

海風「しかし萩風さんの服はどこかで… あ…」

神通「陽炎さんの戦闘時の衣装ですね」

瑞鳳「似合いそうだからパクった」

愛宕「結果的に二人の衣装デザインは普通になったけど…」

天津風「…」

海風「天津風さんの痴女っぷりが浮き彫りになっただけですね」

天津風「誰が痴女よ!?」

霞「ところで私達のこの衣装ってどんな意味があるのかしら」

瑞鳳「ああ、前に説明してなかったね。 朝雲ちゃん、取り敢えず全力ジャンプしてみて」

朝雲「ジャンプ? えいっ… あだっ!?」ゴンッ

海風「天井に頭がぶつかった…?」

天津風「明らかに人間の跳躍力超えてるわよ!?」

霞「これって身体能力が上がるの…?」

瑞鳳「結果的にそうなってる、ってだけだよ。 使ってる材料が特別、まぁかなーり稀少でチベットの奥地でしか栽培されてないし名前も無いほぼ存在が伝承レベルの布地なのよ。

今も栽培されてるかどうかはわからないけど、取り敢えずそんなものを元にしたのがこれに使われてる材料なの」

萩風「本当にかなり稀少なもので、しかも加工の仕方次第では質感が変化したりと万能な素材なんです。このシャツとブレザー、元は同じ素材ですし」

天津風「肌触りが違う…」

瑞鳳「染料の方も特別なものなんだけどこっちは冬場は保温・保湿、夏場は保冷してくれるだけだから気にしなくて良いよ」

海風「それでも地味に凄いんですが」

瑞鳳「で、この衣装の材料には特殊な力があって、纏っている人のポテンシャルを100%引き出せるって言うものなの。

人の能力は脳によってリミッターをかけられて、数パーセントしか出せてないんだけどこれは100%完全に引き出しちゃうって代物。朝雲ちゃんのはポテンシャルを引き出した結果、結果的に身体能力が上がったように見えてるだけ」

朝雲「じゃあこれって『私の100%』ってことですか?」

瑞鳳「そう言うこと。まぁあんまりやり過ぎると筋肉痛で動けなくなるから注意してね。

それ以外にも防弾とか着ている人の保護の意味合いもあるんだけど… その辺は割愛」

愛宕「因みに私も持ってるわよ。 この前大鯨さんに新調してもらったのもあるし」

瑞鳳「さて… もうそろそろ時間だし、会場に行こっか」

277 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/22(金) 07:52:07.89 ID:5eG6ZXjR0
天津風「準備、ちゃんと出来てるわね?」

朝雲「言われるまでも無いわよ」

萩風「勿論」

朝雲「それぞれ、事前の作戦通りに動いて貰うわ。海風の指示通り、私が指揮を執る」

天津風「…そこが一番不安なのよね」

萩風「いえ、寧ろ頼もしいです」

朝雲「指揮に関することは全部頭に叩き込んでおいた… 第一陣を譲ってくれた先輩達に代わって、『フリューゲル・ヴェント』として波に乗るわよ!」


神風「向こうは… 新入りと可変機使い、そして補助役?」

朝風「あのいけ好かないのが居ないなんて舐めてんの?」

春風「朝風さん、それが驕りに繋がるんですよ」

朝風「分かってるわよ。 でも、今までの編成パターンとは違う。指揮官役が居ない」

神風「新人の人に執れるとは思わないし… いけるかも…!」

春風「慢心は禁物です。もしかすれば新たに技能を身につけた方がいらっしゃるかもしれません」


Please set your GP Base

Beginning plavsky particle dispersal

Field to "Speace"

Please set your GUNPLA

BATTLE START!


天津風「ガンダムハルート・ボーライド、天津風!」

萩風「ガンダムエクシアルベルム、萩風…」

朝雲「ストライク・エインヘリヤル! 朝雲、チーム・フリューゲル・ヴェント!」


天津風「行くわよ!」

萩風「行きます!」

朝雲「出撃する!」




朝雲「と言う事で牽引役よろしく。この方が速いし」

天津風「はいはい… 萩風、機体の姿を消しなさい」

萩風「了解。システム良好、ステルスモードへ移行します」

朝雲「さて敵は… 感あり、射程まではまだ距離があるけど… 狙撃モード、敵を目視で視認っと…!」


敵機

・神風機 直下
1.レギンレイズ・フェーン(そのまま)
2.その他(ベース機・名前・改造内容も)

・朝風機 下3
1.ガデッカ(そのまま)
2.その他(ベース機・名前・改造内容)

・春風機 下5
1.ティエルヴァ・マガツ(そのまま)
2.その他(ベース機・名前・改造内容)
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 10:13:29.36 ID:KydrLTWe0
レギンレイズ・ギブリ
フェーンの改修機。フレームの調整を行って可動が増強されている。さらに、予備のリアクターも装備し疑似的にツインリアクターとなっている。
腕部にグリムゲルデのシールドとソードを追加。射撃は通常のレギンレイズのライフルを改修したものを装備。1発だけダインスレイヴも撃てる。フェーンの時点であった武器はそのまま装備している。
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 10:49:26.99 ID:gAQtdvEe0
クシャトリヤ・シヴァ

クシャトリヤの改修ガンプラ
バインダーにクシャトリヤ・リペヤードのファンネルミサイルのコンテナを組み込み、頭部をリペヤードの物に変更、
バインダーのアーム4本と両手で二連結したビーム・ガトリングガンを装備
カラーリングはレズン専用ギラズールに似た青系統

武装
ビーム・ガトリングガン 2×6
胸部メガ粒子砲 ×4
バインダー部メガ粒子砲 2×4
マシンキャノン 1
ファンネル 6×4
改造ファンネル 6×4
ビームサーベル 2
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 15:54:26.29 ID:xWCQ/OYE0
ブラウカラミティ・ゾルダ

カラミティを改修したブラウカラミティを更に改修したガンプラ。
原型機の脚部にイフリート改のものを改造したミサイルピッドを追加、シールドガトリングの他にもハイペリオンのビームマシンガンを背部にマウント。
また両腰には対艦刀シュベルトケベールを装備しある程度の近接戦能力を付与。射撃武装は必要に応じて切り離すことが出来る。
何故か頭部のメインカメラの保護用にヴェルデバスターのフェイスガードを装備。
塗装は緑がメインで、フェイスガード部など一部は銀色。 元ネタは原型機のパイロットの中の人が演じた某仮面ライダー。

武装
・125mm2連装高エネルギー長射程ビーム砲 シュラーク×2
・580mm複列位相エネルギー砲 スキュラ×2
・115mm2連装衝角砲 ケーファー・ツヴァイ×2
・コンバインドシールド(30mm径6銃身ガトリング砲)×2
・15.78m対艦刀 シュベルトゲベール×2
・脚部6連装ミサイルポッド×2
・RFW-99 ビームサブマシンガン「ザスタバ・スティグマト」
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 19:44:50.89 ID:TRnzxue8O
踏み台
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 09:49:29.46 ID:9BbCPtaf0
ハイゼンスレイU・マガツ
TR-6ハイゼンスレイUをセミスクラッチした後に、中規模の改造を加えた機体。
本体は稼働時間増強のためのEパック・推進剤及び機動力増強用の全身に追加された小型スラスター以外はそのまま。
前の機体も持っていたバンガサはフライルーのロング・ブレード・ライフルをベースに新たに作り直し。装備はそれ以外元機体のままだが、ビームサーベルとヒートブレードは刃部分が刀状となっている。
色は前機体から踏襲したままである。
283 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/24(日) 15:39:50.51 ID:W/DA528l0
朝雲「敵機3、視界を各機にリンクした」

天津風「カラミティ… いえ、『ブラウカラミティ』ね。増強部分はミサイルポッドと対艦刀、そして予備のマシンガンってところかしら。

でも追加装備による重量過多で足が遅くなってるわ。 多分今のハルートの半分程度ってところ、それに味方も巡航速度を合わせてるから対した速度じゃないわね」

朝雲「で、1機は前のレギンレイズの改修機か。 あのライフル、例の爪楊枝付きだけど… 射程はこっちが上ね。

問題は残りの1機、番傘抱えてるから間違いなくあのドリル頭の子の機体だろうけど…」

萩風「『ガンダムTR-6 ハイゼンスレイU』、どの現行キットからも流用出来ない以上恐らく外装パーツはほぼフルスクラッチです。

ちょっと前にウーンドウォートの参考出品はあったけど… ここまでやるのは少しばかり色々とやり過ぎな気が…」

天津風「厄介ね… こっちが勝ってるのは射程、隠密性、機動力ってところかしら…」

朝雲「一応予定の範疇ではあるわ。 じゃあ、作戦開始!」


敵機捕捉
レギンレイズ・ギブリ (神風機)
武装
・機関砲×2
・ドリル・キック×2
・バースト・サーベル(予備刀身×6)
・ハンドガン×2
・ヴァルキュリアブレード&ヴァルキリュアシールド×2
・GR-W11 130mmライフル(ダインスレイヴカスタム)

機体概要
沖縄時点まで使用していたレギンレイズ・フェーンの改修機。海風との交戦(手玉に取られて瞬殺)の影響を受け、全体的に強化を施している。
フレームの調整を行って可動が増強、予備のリアクターも装備し擬似的なツインリアクター化を施し出力増強を図った。
腕部にグリムゲルデのシールドとソードを追加。射撃は通常のレギンレイズのライフルを改修したものを装備。
そして切り札的な武器として1発きりのダインスレイヴをマウント。フェーン時代の装備はそのまま残し使用可能。

ブラウカラミティ・ゾルダ
武装
武装
・125mm2連装高エネルギー長射程ビーム砲 シュラーク×2
・580mm複列位相エネルギー砲 スキュラ×2
・115mm2連装衝角砲 ケーファー・ツヴァイ×2
・コンバインドシールド(30mm径6銃身ガトリング砲)×2
・15.78m対艦刀 シュベルトゲベール×2
・脚部6連装ミサイルポッド×2
・RFW-99 ビームサブマシンガン「ザスタバ・スティグマト」

機体概要

朝風の機体でカラミティを改修したブラウカラミティを更に改修したガンプラ。以前の機体よりも大幅な改修を施している。
原型機の脚部にイフリート改のものを改造したミサイルピッドを追加、シールドガトリングの他にもハイペリオンのビームマシンガンを背部にマウント。
また両腰には対艦刀シュベルトケベールを装備しある程度の近接戦能力を付与。射撃武装は必要に応じて切り離すことが出来る。
何故か頭部のメインカメラの保護用にヴェルデバスターのフェイスガードを装備。
塗装はグリーン系統、そして一部にグリーンを用いている。仮面ライダーっぽいのは気にしない。

ハイゼンスレイU・マガツ
武装
・ブーストポッドバルカン×2
・コンポジット・シールド・ブースター
・ロング・ブレード・ライフル・バンガサ
・肩部ビームキャノン×2
・脚部ミサイル
・メガ粒子砲

機体概要
春風の機体で『ガンダムTR-6[ハイゼンスレイU]』をベースにした機体。以前のティエルヴァは改修機であったのに対し、こちらはフルに近いセミスクラッチ。
本体は稼働時間増強を図るためのEパック、そして全身に機動力を強化する小型のスラスターを追加。あとは原型機と大差無い。
ティエルヴァの持っていたバンガサではなくこちらはTR-5のロング・ブレード・ライフルを改造したもの。バンガサの何が彼女をここまで駆り立てるのか。
また細かい部分だがビームサーベルやヒートサーベルが日本刀の形状になっており、所々に和風の意匠が垣間見る事が出来る。
カラーリングは以前の機体と同じ桜色のカラーリング。
284 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/24(日) 17:12:14.94 ID:W/DA528l0
宇宙空間にスラスターの燐光が輝かせながら神風達の操る3機は駆ける。 

少しばかり速度は遅いが重装のMSを僚機としている以上それは仕方のない事だ。そんな中神風達は雑談を交わす。


朝風「敵、まだ見えないわね…」

神風「もうそろそろ、だとは思うんだけど…」

春風「敵は恐らくこちらより上手、前回のようにくれぐれも気を抜かないでください」

朝風「分かってるわよ。『ホワイトクリーン』の時みたいなのは、もう二度と御免よ」


彼女達が以前戦い、辛酸を舐めさせられた『ホワイトクリーン』戦の苦い経験を反芻する。

格上とは思わず舐めてかかった結果、システムがエラーを吐かねば負けていた。そんな経験は二度としたくない。


神風「各機、慎重に…」


神風が指示を下そうとした瞬間、耳に警告音が響く。 ロック警報などではなく攻撃が放たれたと言う警報、条件反射的に神風は「散開!」と叫ぶ。

そして次の瞬間正確なビームによる狙撃が神風の機体が居た場所を走り付近を流れるデブリに直撃して火球を生み出す。


春風「なんて狙撃の腕… 朝風さん!」

朝風「駄目、こっちの有効射程外よ!」

神風「一瞬遅れてたら当たってた… やっぱり油断は出来ない…!」



狙撃銃を構えたストライクがデブリに身を隠しながら照準を合わせる。 チーム内で最長の射程を持つストライク、そして朝雲の技量を以ってすれば直撃は容易い。

先程の一撃は牽制と布石、これが彼女達の作戦の火蓋が切って落とされる。


朝雲「第一フェーズクリア、セカンドに移行!」

天津風「分かってるわよ!」


天津風のハルートが高速で神風達へと迫る。 何故か彼女達は気付く事が出来なかった、ハルートの接近を。

そして数瞬遅れて神風達は迎撃行動へと移った。


朝風「速い! それに動きが気持ち悪い…!」

神風「こっちの攻撃を全部掻い潜って! 当たりなさいよ!」

春風「落ち着いてください! 浮き足立てばやられるのはこちらです!」

神風「そんな攻撃当たらないわよ! ミサイル、全弾発射!」


全ての攻撃を回避するハルート、そのまま一気に距離を詰めてありったけのミサイルを放つ。

神風達はミサイルの迎撃を試みるが一瞬の隙が生まれる。それこそ朝雲たちの狙い目…


萩風「はぁッ!」

朝風「なっ!?」

神風「朝風!?」


エクシアの右腕に装備されたGNクナイの斬撃が背後からカラミティへと遅いかかり、バックパックを破壊する。

朝風は咄嗟にシュラークごとバックパックを切り離すことで難を逃れるが、火砲の一部を失ってしまう。


春風「ステルス機…! ハルートがギリギリまで捉えられなかったのもアレの影響…!」

萩風「気付いてももう遅いです! 私は既に懐を捉えました!」


行動安価 直下
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 18:13:12.08 ID:3IGcKtuI0
萩風と朝雲でカラミティを集中攻撃、天津風は残りへ挑発と妨害
286 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/25(月) 21:48:13.91 ID:GOBne9Z40
シールドに付属したガトリングとケーファーツヴァイによる攻撃を右旋回で回避しつつ脚部に装備されたビームサーベルを展開し回し蹴りを行うエクシア。

サーベルの光刃がカラミティの左腕に装備されたシールドを切り裂き、そのまま左腕のGNクナイを展開し回転の勢いを維持した斬撃が走り胸部のスキュラを切り抉る。


朝風「な、何なのよ一体!」

萩風「…」


朝風にとって萩風の動きは異質としか見えない。今まで相対した事の無い動作、そして一撃一撃が殺意を乗せた刃により窮地に立たされる。

逆に萩風にとって朝風は格好の獲物。闇に紛れ、姿を現すのは必殺の時のみ。今姿を現しているのは確実に敵を斃す為だ。


朝風「何よ! こっちの事いたぶって、舌なめずりのつもり!?」

萩風「…」


『確実に殺せる』獲物を前に舌なめずり、ましてや語るなど三流。萩風は教えられていた通り無言で刃を敵へと向ける。

右腕で抜いたビームサーベルでカラミティの右腕の肘から下を切り落とし左足のサーベルを展開して両足を落とす。この動作を数瞬の内に行う。


春風「朝風さん!」

神風「あのエクシア、一体何なの!?」

天津風「貴女達の相手は私よ!」


ソードライフルをサブマシンガンを使いレギンレイズとハイゼンスレイを牽制し、機動力で翻弄する。

神風達は朝風をフォローしたい、だが目標をエクシアに集中するとハルートに落とされるかもしれない。故に朝風をフォローする事などほぼ不可能だ。


朝風「このっ…! アンタだけは、なんとしても!」


一度距離を取ったエクシアに向け、残った左腕で対艦刀を抜き放ちカラミティは加速する。

例え機体が壊れようとこの厄介な相手、ステルス機能を持ち仲間を危機に陥れる敵だけは倒そうと。


萩風「…」


だがこの状況も萩風にとって打ち合わせ通りで想定の範囲内。 そして朝風はエクシアに気取られていて忘れていた、自分を上回る射程を持つ者を。

アラートが耳を打ち思い出す、敵は狙撃手を有していた事を。次の瞬間、一条の光が機体を貫きカラミティは火球となった。


朝風「あ…」

朝雲「目標撃破、っと。萩風、そっちは?」

萩風「損傷なし、この程度なら造作もありません」

朝雲「じゃあ次、移るわよ」
287 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/26(火) 00:02:41.25 ID:qxeOrp1g0
神風「朝風がヤられた! 春風、態勢を立て直すわよ!」

春風「はい! 絶対に仇を討たないと…!」


神風はレギンレイズの状況を確かめる。 何度か被弾はしたが致命傷では無い、そしてまだ『切り札』はまだ手中だ。

ライフルに装填されてる一発だけの切り札『ダインスレイヴ』。これがあれば、状況を覆せるかもしれない。


神風(当てれば、必ず倒せる…!)


直撃すれば確実に1機は落とせる。予備の弾などなく、これだけと言うのが手痛いが。

ただ1機でも撃破できれば2対2で状況をイーブンに持っていける、まだ逆転のチャンスは作ることが叶う。だが使う相手が問題だ。


神風(エクシアはステルスで捉えられない、それにあの動き… 絶対に当てられない… ハルートも、まず照準を定める事すら出来ない…)


残る対象は1機、朝雲の駆る『ストライク・エインヘリヤル』だけ。 あれは基本狙撃担当で動けない、当てられる筈だと神風は確信する。

そして神風は決断する。 すぐさま春風へと通信を入れ、決断を伝えた。


神風「春風! あのストライクを潰す! ダインスレイヴで!」

春風「…! わかりました、フォローしますから行って下さい!」


レギンレイズが加速し、それを止めようとするハルートの進路にハイゼンスレイが立ちはだかる。


春風「ここから先は通しません!」

天津風「朝雲! そっち行った!」

朝雲「分かってる!」


朝雲は思案に耽る。 ダインスイレヴの射程はストライクのライフル程長くは無い。だが当たれば致命傷、一撃でこちらは沈むだろう。

だけどまず発射されれば避けれない。 そして何より弾が細すぎて見えないのだ。


朝雲(私がやるべき事、私に出来る事… 今の私は海風に指揮を任された。だから、絶対に落とされちゃ駄目…!

…私のポテンシャルは今最大、だから… 出来るかもしれない…!)

朝雲「力を貸しなさい、ストライク!」


バックパックを切り離し、身軽になる。 荷物を抱えたままでは『今からやる事』は難しいから。

そして腰のショーティー二丁を抜き放ち構えを取った。 敵の筈の榛名から教えられた技能、そして狙撃以外のもう一つの力。そして朝雲は一気にレギンレイズの間合いへと飛び込む!


神風「馬鹿ね! これを、受けなさい!」


放たれる『ダインスレイヴ』の砲撃、朝雲はこれを待っていた。

目の前に迫る弾頭を目視で捉えて意識を集中する。 そして朝雲は…


朝雲「そこ、だぁっ!」


榛名によって教えられ、自ら磨き上げたガン=カタ。 その技能で、ショーティーに追加された実体刃を使ってダインスレイヴを弾く!

軌道を変えられ目標を失った弾頭はデブリに直撃し突き刺さる。 その光景は神風の想定外、そして本来在り得ない出来事だ。


神風「嘘よ… ダインスレイヴの、軌道を変えるなんて…!」

朝雲「私には出来る、それだけよ!」

神風「在り得ない… 認めないんだから…!」

朝雲「別にいいわ、認められなくても。 でもね、アンタはもう終わりだから」


衝撃的な出来事に唖然となってる間に距離を詰め、そして銃口を頭部へと押し付けるストライク。そして朝雲は躊躇なく、その引き金を引く。
288 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/26(火) 00:45:38.36 ID:qxeOrp1g0
天津風「くっ… しつこい…!」

春風「残るのはわたくしのみ、負ける訳には参りません!」


春風のハイゼンスレイがハルートに喰らいつく。 天津風は気圧されつつも敵を振り切ろうとするが、相手は一向に退かない。

ドリルのように回転させたバンガサをソードライフルで防ぐ天津風、しかしそう長くはもたない。


天津風「私も、こんな所で終わる訳には!」

春風「ッ…!トランザム!?」

天津風「いかないのよっ!」


ハルートのトランザムを発動させてハイゼンスレイを出力差で無理矢理押し返す。

そして出力勝負で負けたハイゼンスレイが吹き飛ばされデブリへと叩き付けられた。


春風「まだ、まだ終われ…」

萩風「いえ、もうここで終わりよ」


どこからともなく2本のケーブルがハイゼンスレイへと突き刺さり次いで投擲されたダガーが機体の両肩を貫きデブリへと磔となる。

そして春風は機体の出力がどんどん落ちていくことに焦りを見せた。そして機体を磔から逃れさせようとするが、動けば動くほど粒子が減っていく。


春風「マガノイクタチ…」

萩風「これで、貴女も詰みです」

春風「そん、な…」


そして最後は抵抗すら出来なくなり、ハイゼンスレイから粒子が無くなり機体機能が停止した。


天津風「…これ、トランザム使う必要あった?」

朝雲「無い」

萩風「まぁ必要としたのは貴女なのであるのでは?一応」


BATTLE ENDED

Winner"Flügel Vento"


『第一ブロック一回戦第一試合、勝者・東京代表『フリューゲル・ヴェント』』


ワァァァァァァァァァァ


神通「ふぅ… 勝てましたね」

愛宕「一回戦突破、おめでとう」

海風「まさかダインスレイヴ弾くなんて…」

瑞鳳「ある意味凄い成長してるわね、あの子…」

霞「私達が言えた義理ではないけど…」


陽炎「へぇ、面白いじゃない…!」

阿武隈「海風ちゃん達じゃないから見る必要無いって思ったけど、結構見る甲斐あったかも」

長波「…ところで榛名姉さ、朝雲の件の弁解はどうする気?」

榛名「大変申し訳ありませんでした!」

天城「か、彼女は一応想定外の方向に成長してるだけですから… 敵に塩を送ったことに関しては擁護できませんが」
289 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/26(火) 01:02:18.03 ID:qxeOrp1g0
霧島「これは… データの更新が要るわね…!」


神威「テスト合宿の時より腕が上がってる… こちらも頑張らないと…!」


鬼怒「海風は分かってたけどさ、他もこんな実力者まみれなんて聞いてないよ!?」


ウィルフリッド「彼女のチームメイト、中々面白い…!」




朝雲「二人共、お疲れ」

天津風「でも、まだ始まりよ」

天津風(そう、ガンプラ学園に復讐するまでは…)

萩風「お二人共、後で疲労抜きの為に萩風特製健康ジュースを…」

「そこの三人!」

朝雲「何?」

神風「…どうして、ダインスレイヴを弾けたの?」

朝雲「ミサイルとかある程度の実体弾を弾く練習してた、その応用よ。タイミングを図るのは難しかったけど。

死に物狂いで、独力で頑張って… なんとかモノに出来たの」

神風「そう…」

朝風(この三人だけじゃない、あそこのメンバーも皆必死になって努力したのね…

ただ先生が良かっただけじゃない、本人達の努力が実を結んで…)

朝風「私達の完敗、かしら」

春風「はい。わたくし達もまた、努力が足りなかったようです」

神風「次は… 次こそは負けないからね!」

朝雲「なら、また返り討ちにしてあげるわ!」


神通(こうして、私達の初戦は華々しい勝利で終わった)

海風(しかし今後は強い敵が沢山出てくるだろう…)

霞(それでも私達は止まれない。 風に乗った鳥の翼の羽ばたきは、絶対に止まらないから)


第13話『未来への翼』 終
290 : ◆6G6UiAPa1Q [saga]:2017/12/26(火) 01:35:24.10 ID:qxeOrp1g0
次話選択 下5まで

1.海風編『藍銅鉱は何を見る?』…海風VS鬼怒。 『浜風の妹』として向けられる視線、そして何も理解しない様々な相手に鬱憤を溜め込み爆発寸前の海風。ただ妹と言うだけで誰にも海風は理解されない、そんなコンプレックスまみれの少女は従姉妹との戦いの先に何を『見る』のか。

2.天津風編『復讐の意味』…天津風VS霧島。 ガンプラ学園への復讐を思う天津風、しかし対・ガンプラ学園対策会議でメンバーから外されてしまう。納得が出来ないまま2回戦を迎えるが相対したのは天津風同様『復讐』の感情をガンプラ学園へと向ける霧島だった。

3.神通編『無限の先に』…神通VSイノセ・ジュンヤ。 ゲームで負けた罰でアイスを買いに行かされた神通、しかし暴漢の集団に襲われ神通は全員を叩きのめしてしまう。そしてその首謀者はかつて『次元覇王流』を学びながらも『不敗』に至れなかった、瑞鳳の弟弟子イノセ・ジュンヤだった。
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/26(火) 04:18:44.12 ID:G/pXoGjA0
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/26(火) 09:28:32.76 ID:E1E1IYQe0
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