ある門番たちの日常のようです

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300 : ◆vVnRDWXUNzh3 [saga]:2017/09/22(金) 23:00:38.17 ID:VgaczIdP0
バチ、バチ。

短く二回、自身を覆う船体殻が艤装が上げた火花に合わせて明滅する。

本来無色不可視の防壁が、僅かに黄色くなっているのを青葉は視認する。

(………小破、ですか)

損傷としてはさして大きな物では無いが、それでも艤装の稼働率に僅かながら支障を来す。当然、決して喜ばしいことではない。

嗚呼、なのに。

(─────青葉、なんで満面の笑みなんて浮かべちゃってるんでしょうねぇ)

別に、今まで中破・大破を経験しなかったわけじゃない。“海軍”設立間もない頃は物量差に加えて此方が押し込まれていたことも手伝って、遙かに危機的な状態を迎えたことも数え切れないほどある。

だが、それらはあくまでも“物量に押されて”のこと。押し寄せ群がる、一向に減らない深海棲艦の大艦隊にダメージを蓄積させていった結果だ。
では一体一体の手応えはというと、特にあの筋肉ムキムキの変態に鍛え上げられて以降はまるで感じたことはない。姫や鬼なら多少手こずるかといった程度で、基本的には(あくまでも彼女を筆頭とする“海軍”水準で)凄まじい数量以外の面で深海棲艦が脅威となることはなかった。

いつ以来だろう。【単艦同士の攻防】で自身が明確な損害を受けたのは。

何ヶ月、否、何年ぶりだろう。これほど心の底から高揚できる、命をかけていると実感できる戦いは。

「いや、ホント─────司令官の悪いところばっかり似ちゃいましたね。青葉って」

全身を震わせるほどの、青葉の歓喜に応えるように。









『──────♪♪』

紅い瞳を爛と光らせて、“彼女”も………【重巡リ級elite】もまた、歯を剥き出しにして笑った。
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