老ガイル

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20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:28:12.51 ID:m60a5kLz0


「ガハッ…ゴホッ…アハハ…そろそろお迎えが来る頃かな…」


「何を言っているの。しっかりして!まだまだ生きなきゃダメよ!」


雪ノ下は病床の由比ヶ浜を励ましているが実際のところ今日が峠だ。

これは先日、医者から宣告されていた。

元々由比ヶ浜は俺たちのいた施設に入居していた。

それが去年頃、持病が悪化して由比ヶ浜は入院を余儀なくされた。

それから日に日に病に蝕まれ、やつれていく姿は

見ていて哀れだとしか言い様がない姿に変わり果ててしまった。

医者ではない俺たちはそんな衰えていく由比ヶ浜の姿をただ黙って見ているしかなかった。

俺たちにとって大切な存在である由比ヶ浜。

それなのに俺たちはただ見ているしかないなんて自分の無力さを呪わずにいられなかった。


21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:29:03.01 ID:m60a5kLz0


「けどまだ何か手があるはずよ!そうだわ。海外の病院なら治るかもしれない!」


諦めずに闘病生活を続けよと意気込む雪ノ下。

高校の頃から相変わらず負けん気だけは人一倍だよな。

けどそれは今の由比ヶ浜にとっては酷だ。


「やめろ。もうゆっくりと休ませてやれよ。」


「何でそんなこと言うのよ…このままじゃ由比ヶ浜さんは…」


「今日まで頑張ってこれたんだ。それでいいだろ。これ以上無理をさせるな。」


そう、由比ヶ浜は今日まで必死に闘病生活を懸命にこなしてきた。

だからこそこうして命を保てた。

だがそれも限界。既に由比ヶ浜の身体はボロボロだ。

それなら安らかに眠らせることがせめてもの優しさってもんだろ。

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:29:48.37 ID:m60a5kLz0


「何で…あなたは…どうして諦めるの…このままじゃ由比ヶ浜さんは死んじゃうのよ…」


「ああ、そうだな。それなら俺を恨め。それで少しでも気を紛らわせるなら存分に恨め。」


そう言うと雪ノ下の怒りの矛先は由比ヶ浜の病から俺へと移り変わった。

そうだ。それでいい。

どうしようもないモノに悪意を抱くよりも

目の前にいるわかりやすいものを睨みつけた方がまだ感情をぶつけられるだろ。

高校時代の相変わらずのやり方だ。

こうして憎まれ役を買うことで相手の感情を和らげる。

まったくこれじゃあ雪ノ下のことを強く言えないな。

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:30:30.61 ID:m60a5kLz0


「もう…二人とも…お見舞いに来てくれたんだから騒いじゃダメだよ…」


そんな俺たちを諌めてくれたのは病の身である由比ヶ浜だ。

こんな時だというのに俺たちは高校時代からちっとも変わらない。

頑固一徹な雪ノ下。憎まれ役の俺。そんな俺たちを諌める由比ヶ浜。

これが俺たち三人の関係。まさかこの関係が70年も続くとは思わなかった。

あの日、高校2年の春に平塚先生の手によって

奉仕部にぶち込まれなきゃこんな堅い絆は手に入らなかっただろう。

20年前に独身の身で亡くなられた我が恩師の平塚先生に感謝しなきゃならん。


「ねえ、最期にひとつだけお願いをしていいかな…?」


「勿論よ。何が欲しいの?すぐ比企谷くんに買いに行かせるわ。」


「おい、こんな時まで俺頼みかよ。まあいいけど…それで何が欲しいんだ?」


「別に何か欲しいってわけじゃないの。
ただ…二人と一緒に最期まで抱き合っていたい。それだけなんだ。」


唯、抱き合っていたい。それが由比ヶ浜の願いだった。

その言葉を聞いた雪ノ下はすぐさま由比ヶ浜の身体を抱いた。

抱いただけで脆くも崩れそうな由比ヶ浜の身体を雪ノ下は優しく抱きしめた。

よかったな。これで由比ヶ浜の願いは叶えられた。

24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:31:08.40 ID:m60a5kLz0


「ほら、ヒッキーもだよ。」


「いや…俺は…」


「お願い。ヒッキーも一緒じゃないとダメなの。」


由比ヶ浜から促されて俺は思わず雪ノ下の顔色を伺った。

こんな俺が由比ヶ浜を抱きしめていいのかと…

けど雪ノ下はコクッと頷くだけ。察するに由比ヶ浜の望み通りにしたいのだろう。

それから俺も遅れながら由比ヶ浜を抱きしめた。

由比ヶ浜の身体は暖かく心地良いものだ。

それは由比ヶ浜の優しさを表しているようにも思えた。


「アハハ、最期に三人一緒でよかった。」


「フフ、思えば私たちはいつも一緒だったわね。」


「こんなこと俺が言うのもなんだがよくもまあここまで腐れ縁が続いたもんだと思うぞ。」


由比ヶ浜を通して俺たち三人はひとつになれた。それは本当に心地良い感覚。

由比ヶ浜の優しさがあったからこそ俺たち三人は今日まで一緒にいられた。

けどその三人の関係は今日限りだ。

何故ならこうして肌のぬくもりを感じるからこそわかる。

由比ヶ浜の命が次第に失われていくことに…

25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:32:08.47 ID:m60a5kLz0


「もうお別れの時間かな。」


「そんなこと言わないで…あなたがいなくなったら私は…」


「ごめんね…ゆきのん…本当にごめんね…」


今生の別れ。それを雪ノ下は何度も否定した。

だがどんなに否定しようとそれは無駄だ。

それでも愛する人との別れなど誰が望むものか。

どうしようもないことなのはわかっている。

だがそれを感情が拒絶するのは人間として当然のことだろ。

俺だって同じだ。理性では納得しても感情が由比ヶ浜の死を拒んでいる。

何故由比ヶ浜が死ななければならない。どうせ死ぬのなら俺が…

俺の命でよければいくらでだってくれてやるのに…

26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:32:37.56 ID:m60a5kLz0


「ヒッキーありがと。けどもういいの。」


そんな俺の想いをわかっていたのか由比ヶ浜は優しげな顔で首を振った。

誰かの命を犠牲になどできない。そう訴えているのだろう。

それから由比ヶ浜は俺にも何かを語りかけてきた。


「ヒッキー、今だから言うね。アタシ本当はお嫁さんになりたかったんだ。」


「そんなこと今更言うなよ。お前ならいくらでもいい人がいただろうが…」


由比ヶ浜も雪ノ下と同じくこの歳まで独身だった。

その理由を俺は知らない。知ろうともしなかった。

俺が言うのもなんだがこいつは面倒見のいい性格だ。

結婚すれば必ずやいい母親になれたかもしれない。

そうすればこうして看取ってくれる人間も

俺たちだけでなく子供たちが駆けつけてくれたはずなのに…

27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:33:14.78 ID:m60a5kLz0


「もういい加減に気づいてよ…アタシだって好きな人と結婚したいんだからね…」


「アタシが好きな…人…」


「ヒッキーと…結婚したかったの…」


既に御年88歳だというのに

まるで由比ヶ浜は未だ恋する乙女かのように照れくさそうにそう告げた。

由比ヶ浜が…俺と結婚…ハハ…全然予想できねえや…

だってそうだろ。この歳までぼっちをこじらせた男と結婚だぞ。

俺なんか家族を持つ資格のない男と結婚なんて悲惨な未来しかないはずだ。

それを考えれば俺が独身であることは誰にとっても喜ばしいことだろうが。


「バカ…バカ!バカ!バカ!どうしてそんなことしか考えられないの!?」


「何でって…俺が家庭なんか持てるわけないだろ…だって俺は…」


「だって俺は…何なの?
目の前にヒッキーのことを想っている人たち立っているんだよ。
他の人はどうだか知らないけどアタシとゆきのんはヒッキーのことが好きなんだからね。」


「ちゃんと…人を好きになって…」


「ていうかアタシが愛した人なんだからしっかり自信を持ってよ。」


「お願い…逃げないで…最期くらいちゃんとしてよ…」


由比ヶ浜はこんな死の間際ですら俺を気にかけてくれた。

やはり由比ヶ浜結衣は優しい。それを改めて実感することが出来る。

それなのに俺は未だに愚図った態度を見せているだけ…

お前は何でこんな俺を選んじまうんだ。

俺なんか選ばなければ幸せな未来があったはずなのに…

だが今はそんな野暮なことを言うつもりはない。

それは俺を選んでくれた由比ヶ浜を侮辱するに等しい行いだ。

由比ヶ浜は命の瀬戸際でも俺と結婚したいと告げてくれた。

それなら俺も最期にちゃんとこの想いに応えて見せなければならない。

28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:33:41.65 ID:m60a5kLz0


「ああ、俺もだ。これは同情でもなんでもない。お前と心から結婚したいと願っている。」


「嬉しい…ようやく素直になってくれたんだね…ありがと…」


由比ヶ浜…いや…結衣の頬から一筋の涙がこぼれ落ちた。

暖かくそして優しい涙。

それは死の瀬戸際にある彼女が流すにはあまりにも優しいものだ。

こんな優しい人を俺は70年も待たせてしまったのか。

我ながら思うが本当にろくでもない男だな…俺…


「これでもう思い残すことはないや。いつでも逝けるよ…」


「そう…あなたは幸せだったのね…」


「うん…幸せだよ…ゆきのんがいてヒッキーがいて…
それにアタシもいて…三人一緒に居られて幸せな人生だった…」


由比ヶ浜は満足そうな表情で雪ノ下にそう語った。

もう思い残すことはないのだろう。

そんな由比ヶ浜だが最期に雪ノ下にだけあることを耳打ちで呟いた。

それは俺には聞こえない。いや、俺が決して聞いてはならないことなのだろう。

それが済むと由比ヶ浜の抱きしめる力が弱くなるのを感じた。

どうやら最期の時が来たようだ。

もう言葉はいらない。俺と雪ノ下は由比ヶ浜が息を引き取るまでずっと抱きしめていた。

29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:34:51.85 ID:m60a5kLz0


それからすぐに葬儀が執り行われた。

だが葬儀といっても既に由比ヶ浜の家族は

あいつの両親が30年前に亡くなっているのでこの世にはいない。

それに友達だって俺と雪ノ下以外はもう誰も生きちゃいないはず。

だから葬儀は俺と雪ノ下の二人だけで密かに行われた。

それが済むと火葬場で由比ヶ浜の遺体は火葬されて小さな骨壷に納まった。

もうこんなこと何度も慣れているがやはり親しいヤツが死ぬと堪えてしまう。


「う…うぅ…由比ヶ浜さん…」


俺の隣で雪ノ下はもう何度も泣き続けていた。

無理もない。雪ノ下にとって由比ヶ浜は高校時代からの大事な親友。

俺が知る限りでは雪ノ下が同性の友人で由比ヶ浜以上に親しかった人間などいやしない。

だから雪ノ下は自分の両親が死んだ時以上に由比ヶ浜の死を悲しんでいた。


「ほら、バスに乗るぞ。」


「うぅ…ひぐっ…」


雪ノ下はまだ泣くことをやめようとしない。俺もそれを止めるつもりなどない。

泣きたい時は泣けばいい。理性で感情を抑えるのだって限界がある。

俺の場合は理性が上回っているので感情の抑えが効く。

だがこれは他人からしてみれば薄情だと思われるのだろう。

言っておくが俺だって由比ヶ浜の死を悲しんでいる。唯それを表に出さないだけだ。

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:35:21.98 ID:m60a5kLz0


「パパ、ママ、今日は楽しかったね!」


するとそこにある親子連れが現れた。

それは先日、雪ノ下が注意を行った家族連れだ。

クソ、よりにもよってこんな時に遭遇するとは思わなかった。

しかもクソガキの方がこっちに気づいたらしい。


「あ〜!この間のお婆ちゃんだ!なんか泣いてる〜」


「本当ね。この前は喚くなと言っておきながら自分が泣き喚いているなんて。」


子供と母親は未だに泣き続ける雪ノ下を指摘していた。

どうやらこの間の仕返しをやりたいみたいだ。

だが今は状況が悪すぎる。大事な人が死なれた時なんだ。

お前らの子供みたく癇癪で喚き散らしているんじゃないから大目に見てくれ。

仕方がない。ここはなんとか宥めさせておくか。

31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:35:49.02 ID:m60a5kLz0


「なあ…悪いがそっとしておいてくれないか…」


「はあ?俺たちの時はあれだけ怒鳴りつけたのに自分たちは見逃せだと?ふざけんなよ。」


「そうよ。そのお婆さんだって人のこと言えないじゃないの。」


「この間はすまなかった。だが今は勘弁してくれ。頼むよ…」


なんとかこの家族を宥めるがそれにも限界がある。

こんな80を過ぎた爺さん一人で若い夫婦を相手にするなどかなり骨のいることだ。

だがそれでもこの場は俺がなんとか収拾付けなければならない。

その後も捲し立てる夫婦たち。だがその隙に子供が雪ノ下に駆け寄って行った。


「えいっ!」


それは単なる子供の悪巫山戯だったのだろう。そいつは雪ノ下の足を蹴飛ばした。

子供はこれでこの前の仕返しを行えたと満足した顔をしている。

親たちもそれを見て気まずくなったのか子供をすぐに雪ノ下から遠ざけようとした。

だが…俺は…

32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:36:22.22 ID:m60a5kLz0


「このクソガキィッ!よくも!!」


気づけば俺は子供の顔を思い切りビンタしていた。

咄嗟のことで自分でも何をやっているのか見当もつかなかった。

だが自分の中にある何かが爆発していることだけはわかった。


「アンタ…うちの子に何してんだ!?」


「うるせえ!俺の女房を傷つけるんじゃねえッ!!」


俺の女房って…何を馬鹿なことを言っているんだ…

すぐに雪ノ下の方を向くがなにやら不機嫌なようで顔を俯かせていた。

よかった。どうやら今のことは聞いていなかったようだ。

とにかくもうこのバスには乗っていられない。

俺は未だに泣き続ける雪ノ下を背負い逃げるように下車した。

もう俺自身、自分が何をしているのかよくわからなかった。

だが今はもう他人にとやかく言われたくない。もう放っておいてくれとそれしかなかった。


33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:36:57.74 ID:m60a5kLz0


「まったく…子供に暴力を振るうなんて最低ね…これだからDV谷くんは…」


それから数分後、雪ノ下はようやくいつもの冷静さを取り戻した。

しかし最初に出たのが子供への暴力についてか…

あんなもん躾だ。俺なんてガキの頃に小町を泣かせたらすぐに親父の鉄拳が飛んできたぞ。


「あのくらい見逃してくれ。
それにあれくらいやっておかないとあのガキのためにもならなかったはずだ。
たぶんあの夫婦は普段から子供を甘やかしていたから大人がちゃんと叱らないとな。」


「ハァ、自らの行いを正当化するなんて相変わらずの捻くれね。」


「言うな。もう毎度のことだろ。」


そう、いつものことだ。

毎度のトラブルはいつも俺がこうして仲裁して解決する。

だが今日はちがった。この歳になってあんな感情的になるなんて自分でも意外だ。

まさかこれが更年期障害ってヤツか?やはり老いとは厄介なもんだ。

34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:37:49.32 ID:m60a5kLz0


「ところでもう夕方ね。確か今日は花火大会がやっていたはずよ。」


「そういえばそんなのもあったな。もしかして見たいのか?」


「ええ、せっかくの外出だからそのついでにね。
けど私たちの身体じゃ会場なんて無理だからどこか見える場所に連れて行ってほしいの。」


まあそのくらいの頼みなら問題はない。

ここから施設までの帰り道で花火は十分に見える。

だからわざわざ会場まで行く必要などないわけだ。

それから施設の方まで歩いていくと数人が挙って花火を見上げていた。綺麗な花火だ。


「綺麗な花火ね。」


「ああ、綺麗だ。」


「以前に由比ヶ浜さんから聞いたけど高校の頃に二人で花火を見に行ったそうね。」


「まあな。あの時は花火を見ただけですぐに帰っただけだ。何もなかったよ。」


そういえば高校の頃に由比ヶ浜に連れられて花火を見に行ったな。

今にして思えば由比ヶ浜はあの頃から俺に好意を抱いていたのかもしれない。

だが俺はその好意を無下にした。

自分は誰からも愛されてなどいない。

俺が誰かと付き合えばそいつが不幸になると必死に言い聞かせて…

だがそれは過ちだった。そのせいで由比ヶ浜は人生を棒に振った。

もう取り返しなど付かない。

もしもあの時、好意を素直に受け取っていたら由比ヶ浜は幸せになれたのだろうか?

その疑問が頭を過ぎった。
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:38:37.33 ID:m60a5kLz0


「ねえ見て!花火だよ!」


「本当に綺麗だな。」


「そうね。家族一緒に見れてよかったわ。」


そんな疑問に頭を悩ませる俺を尻目に

この辺りの住人と思しき連中が家から出てきて花火を見物していた。

その中にはやはり数組ほど家族連れの姿も見受けられた。

幸せそうな家族。それを見ているとどうしても心に燻る苛立ちを隠せなかった。

俺も雪ノ下と同じだ。家族連れを見ると何故か妙に心が苛立ってしまう。


「本当に若い家族連れを見るとどうしようもなく腹が立つわ。けどこれって嫉妬なのよね。」


「嫉妬ってどういうことだよ?」


「見てわからないの?羨ましいということよ。
私たちは家族を持てなかったのにどうして他の人たちはと嫉妬してしまうのよ。」


そんな…何で赤の他人を見て羨ましいなんて思わなければならない…

だって仕方ないだろ。雪ノ下はともかく俺は誰かに好かれたことはない。

まだ純粋だったガキの頃、理解されたくて他人に好意を向けたことがあった。

だがそれはあっさりと無碍にされた。

人を信じて二度と傷つきたくない。だから俺はぼっちの人生を選んだ。

それなのに嫉妬なんて…傲慢過ぎるだろ…

36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:39:43.42 ID:m60a5kLz0


「何でお前は結婚しなかったんだ?」


「今更それを聞くの。」


「お前は俺とちがってその容姿で誰からも好かれた。
勿論いい縁談だってあったはずだ。それなのにどうしてこの歳まで独身なんだ。」


本当に今更なことを聞いてしまった。

俺は雪ノ下が独身である理由を聞いたことがない。

いや、本当は知っているのかもしれない。けどそれを知りたくなかったのかも…

だから今日までそのことについて知ろうとしなかったのだろう。


「………憎いのよ。あなたが憎くて仕方なかった。」


「どうして人の好意を無碍にするの。あなたのことを信じていた人がいたはずよ!」


「それなのにあなたは誰も信じようとしなかった。だから憎かった!」


それが雪ノ下の結婚しなかった理由だ。

俺が憎い。そうだろうな。俺は常日頃から誰かの悪意を受けている。


「うっ…うぅ…」


雪ノ下が俺の背中で泣き出した。

先ほどの由比ヶ浜の死を悼むほどではないがそれでも背中から涙の湿りを感じる。

37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:40:29.04 ID:m60a5kLz0


「あなたのことをずっと待っていた。」


「お願いだから素直になりなさい。」


「他の人なんてどうか知らない。けど私は…」


「少なくとも私はあなたと結婚したかった。あなたの子を産みたかった。」


「由比ヶ浜さんだってそうだったでしょ。それなのにあなたはどうして…」


それが雪ノ下の本心だった。

そして俺もようやく自分が家族連れを見て苛立つ気持ちが理解出来た。

俺たちは互いに家族を持ちたかった。

だがそれはお互いの孤独に苛まれていたために望むことが出来なかった。

それなのに誰もが結婚して家庭を持っている。それが我慢ならなかっただけのこと。


「だから憎たらしいわ。憎たらしいから私は…」


「あなたと家族になりたかった。」


「家族揃って花火を眺めたかった。」


「唯それだけのことなのに…どうして叶わなかったのよ…」


雪ノ下は力の限り俺の背中を握り締めながらそう呟いた。

それからは花火の光景など目も暮れずに俺は雪ノ下をおんぶしたままその場を後にした。

誰も俺たちのような老いぼれがこの場から立ち去ることを見向きもしない。

当然だ。ぼっちをこじらせた爺と泣き疲れた老婆など誰が心配などするものか。

その後、施設に帰り俺たちは各部屋へと戻った。

部屋に戻った俺は雪ノ下の思いについて頭を悩ませた。

家族なら…だが今更そんな願いを叶えてどうなる…

むしろ雪ノ下は俺に憎悪を抱いている。それなら俺のやるべきことは決まっている。

決意を堅めた俺はすぐさま準備に移った。部屋を整理して身支度を整えた。

38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:41:04.37 ID:m60a5kLz0


そして翌朝―――


「さて、行くか。」


早朝、荷物を整えた俺は誰にも知られずにこの施設を抜け出た。

あれからずっと考えた。雪ノ下の憎しみを晴らすにはどうすべきか?

そして結論が出た。それは雪ノ下と由比ヶ浜を不幸にした元凶。

つまりこの俺が死ぬことにある。

だがさすがにこの施設内で自殺なんてなれば施設側に迷惑が掛かる。

ここには俺たち以外にも大勢の人間が暮らしているんだ。

そんなことしたら誰もが路頭に迷うことになる。

だからこうして人知れず抜け出して何処か人気のない場所で自殺を図ろう。

幸いにも俺の死を悔やむ人間はもういない。

いや、以前は居たかもしれないが…今となっては…

フン、馬鹿らしい。気落ちしている場合か。それとも今になって怖気づいたか?

もう俺が生きていく意味などない。

そもそもあいつらを傷つけその未来を台無しにした俺が生きていちゃいけない。

俺の死が雪ノ下の鬱憤晴しになれば幸いだ。

さあ、これで準備も心構えも出来た。あとは出発するだけだ。

39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:41:50.51 ID:m60a5kLz0


「おはよう、今日はいつもより早いのね。」


そんな出発直前になんと雪ノ下が姿を現した。

嘘だろ…何でここに…?

まだ5時ちょっと前だぞ。この施設の人間は全員寝ている時間じゃないのか!?


「年寄りは朝が早いのよ。まったく歳を取るのも考えものだわ。」


「そうか…」


まさか出発直前で雪ノ下に出会すとは思わなかった。

出来れば雪ノ下には知られず立ち去りたかった。

まあ俺の死を知って罪悪感に駆られる…とは思わないが…

それでも雪ノ下が余生を健やかに過ごすためにも俺など最早異物でしかない。

早くこいつの目の前から去らなきゃならない。そんな矢先に奇妙なモノを見つけた。

それは雪ノ下の足元、こいつ少量だが荷物を持っている。

何でこんなものを持っているんだ?

40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:42:56.08 ID:m60a5kLz0


「ほら、早く行きましょう。出かけるんでしょ。」


「待て…お前…俺が何をするのかわかっているのか…?俺はこれから…」


「死にに行く。そうよね。」


雪ノ下の言葉に思わず俺は図星を突かれてしまった。

嘘だろ…まさか…何で気づかれたんだ…?

だって俺は何も告げていないのに…


「何を意外な顔をしているの?
これでも70年の付き合いよ。あなたの考えくらい手に取るようにわかるわ。」


「そうか…それで…どうするつもりだ…まさか止める気なのか?」


「何を期待しているの?
あの優しい由比ヶ浜さんを不幸にさせて報われるとでも思っているのかしら。」


「ああそうかよ。それならこのまま死なせてくれ。お前だってそれを望んているんだろ。」


そうだ。これが雪ノ下の望む結末だ。

俺の死が雪ノ下の不幸をすべて精算してくれる。

これで雪ノ下は報われる。そうあるべきなんだ。


「そうよ…だから…私が見届けると言っているのよ…」


「まさか付いて行く気なのか?」


「ええ、そうよ。ヘタレなあなたのことですもの。
きっと気を変えて途中でやめようとするはずだもの。
だからしっかり見届けておかないとならないわ。」


それが雪ノ下の返答だった。

だがその言葉は何故か弱々しくそれに雪ノ下自身も涙目だ。

こんなこと止めるべきだ。さすがに悪趣味すぎる。

それに万が一にも警察に疑われてみろ。それこそ大事じゃねえか。

41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:43:38.00 ID:m60a5kLz0


「ダメだ。お前はもうここで静かに暮らすんだ。
死ぬのは俺だけでいい。お前が死んだらあの世にいる由比ヶ浜に申し訳が立たん。」


「こんな時にまで由比ヶ浜さんを言い訳にするのはやめなさい。私は…あなたを…」


「わかっている。俺が死ねば全部解決するんだろ。だから死んでやるよ。」


もうわかっている。

誰かを不幸にさせてばかりの俺なんかが生きていちゃいけない。

頼む雪ノ下。これ以上俺なんかに絡まないでくれ。

お前だけは静かに余生を過ごしてくれればそれでいいんだ。


「それで最期までぼっちでいるつもりね。
それは逃げだわ。結局あなたは出会った頃から何も変わっていないのね。」


「そういうことだ。結局俺は生粋のぼっちなんだよ。わかったら部屋に戻れ。」


そう告げると俺は雪ノ下を素通りして施設を出ようとする。

だが出る寸前、雪ノ下が足を挫いた。

42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:45:10.08 ID:m60a5kLz0


「痛っ!昨日の子供が蹴ったのがまだ響いているようね。本当に身体の衰えは嫌だわ。」


「まったく…ほれ…立てるか?夜勤のヘルパーさんを叩き起してくる。」


「やめなさい。どうせまだ仮眠中よ。それよりもあなたと一緒に行くわ。」


「ダメだ。お前はちゃんと生きないと…それが由比ヶ浜のためだ…」


どうやら雪ノ下は意地でも俺と同行するつもりらしい。

けど俺は雪ノ下にはなんとしても生きてほしいと願っている。

だから何度も頑なに説得したのだが…


「あなたは…ここに足の挫いた女性がいるのよ…
それを置いて一人で自殺しに行くつもり?最低だと思わないの。」


「最低で結構だ。俺は卑屈で最低なぼっちのヒキタニくんだぞ。」


「だから…そういうのはやめて…もう素直になりなさいよ…」


「泣くなよ。お前は雪ノ下雪乃だ。
誰かに泣いてるところなんて見せるな。いつものように強がってみせろよ。」


「うるさいわよバカ…こんな時くらい泣いてもいいでしょ…」


「なあ…もう俺のことなんて忘れろ…お前にはまだ生きて欲しいんだ…」


「生きて何をしろというの?もう私にはあなた以外に誰もいないのよ。」


「だから出会いくらい…」


「まったく…80過ぎたお婆ちゃんに出会いなんてあるわけないでしょ…
私だってあなたと同じぼっちよ。施設でもあなた以外と話したことなんてないもの。」


そういえばこいつが施設で俺以外と話しているところを見たこともないな。

本当に今更過ぎる。鈍感というのも度が過ぎると罪になるらしい。

43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/07(月) 23:45:57.00 ID:m60a5kLz0


「わかった。行くぞ。背中に掴まってくれ。」


もう説得なんて無理だ。

それに雪ノ下をこのまま一人置いて行くのは不憫に思うように感じてしまう。

だから俺はいつものように雪ノ下を背負い施設を出た。


「ねえ、何で家族を持とうと思わなかったの?」


「そりゃ俺が誰かを背負って生きていくなんて出来るはずないだろ。」


「何を言っているの。こうして私を背負ってくれているじゃない。」


「まあそれを言われると弱いな。
けどお前みたいな気難しいのは俺じゃないと誰も背負わないだろ。
そんな役を誰かに押し付けるのも不憫で仕方ないからな。」


「そうよ。これはあなたの役目なのだから…」


もう何度交わしたのかわからない口喧嘩の応酬。

人を不幸にさせてばかりいた俺が誰かを幸せになる出来るはずもない。

それでも誰かとこんなやりとりを行えるのは正直言って心地良く思える。

いや、そんなこと感じちゃダメだな。俺は人を不幸にしてしまった。

やはりこれ以上こんなところにいるわけにはいかないか。

44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 00:00:49.82 ID:K+LH1GOD0


「ねえ、死にに行くのよ。どう?怖気づいた?それなら戻ってもいいのよ。」


「まだ歩いて10分も経ってねーよ。そこまでヘタレじゃねえ。」


「そう、あなたのことだからそろそろ臆病風に吹かれると思ったのだけど意外ね。」


「それよりお前の方こそトイレは済ませたか?遠出になるから用足ししないときついぞ。」


「だから女性にそういうことを聞くのはやめなさい。行く前にちゃんと済ませたわよ。」


「そか…それじゃあ腹減ってないか?コンビニで何かメシでも買ってくか。」


「いいえ、その必要はないわ。お弁当を作ってきたからそれを食べましょう。」


「本当に準備いいな。お前…いい奥さんになれたかもしれねえな…」


「あなたこそひょっとしたらそこそこな旦那さんになれたかもしれないわ。」


「なあ…本当に死にに行くんだぞ…後悔しないか…?」


「あなたこそ…私はあなたの最期を見届けるつもりよ…」


「やめろよ。そんなの見てもろくなモンじゃねえぞ。」


「それでもよ。由比ヶ浜さんが言っていたわ。あなたを一人きりにさせるなって。」


「由比ヶ浜はそんなことを言っていたのか。だったら…」


「それにこんなことも言っていたわ。
ゆきのんもヒッキーと結婚しちゃいなよとそう言ってくれた。
あの子ったら最期だから変なこと言うのよね。本当におかしいんだから…」


「まったくだな。あいつは最期まで心配性で…」


「そういえば昨日あなたは私のことを女房とか言っていたわね。」


「何だよ。やっぱり聞いてたのか。悪かったな、咄嗟に口から出ちまった。」


「本当にその通りだわ。不快よ。あなたの奥さんだなんて…」


「ああ、悪い思いをさせちまったな。」


「そうよ…遅すぎるのよ…そのせいであなたもう88歳じゃない…」


「88…そうか…今日は俺の誕生日だったな…よく覚えていたな。」


「そうよ。誕生日に死に行くなんてあなたも相当ね。
どうせ最期になるのかもしれないのだから言っておくわ。お誕生日おめでとう。」


end
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/08(火) 00:03:05.66 ID:K+LH1GOD0
終わりです。八幡くんの誕生日記念ssとして書きました。

お誕生日おめでとう
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 01:55:59.60 ID:ruh5dLB+O
アンチじゃないからゴミ。
二度と書かないで欲しい。
これが面白いと思って書いたの?
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 02:10:24.62 ID:Oic8OvyoO
<ガハマ厨1>

「妄想」「根拠」「ガイジ」「電池君」「八幡は雪乃と友達になりたい」
これらのワードを連呼し、複数垢を使いで議論を押し流そうとするガハマ厨の中でも最凶のキチガイ。基本日本語が通じない上に
俺ガイル関連のあらゆるスレ、果ては知恵袋にまでその生息が確認されている
最大の特徴として議論で論破されると、「妄想」「根拠」などのワードを連呼し、
いざ根拠を提示しても「電池君」「ガイジ」などを壊れたradioのように連呼して煙に巻きスレを荒らし議論ができないようにする

<ガハマ厨2>(八幡アンチ?)

八幡の求める「本物」を徹底的に否定し、最終的には本物が手に入らない。八幡は変わるべきだと比企谷八幡の人間性を否定している
ガハマ厨に比べると人間の言語を理解できる知能を持つが八幡や作品のテーマである「本物」に否定的なアンチよりの連中
八幡の「人格」「本物」に対して否定的で俺ガイルという作品自体を曲解しており、作品のテーマ及び主人公に対して

「そんなものを求めていては成長できない」「八幡は本物を諦めるあるいは妥協すべき」

などと、八幡にとっては大きなお世話以外なにものでもない押し付けがましい感情論を振りかざし作品自体を否定しているような俺ガイルファンからすれば何故、俺ガイル読んでるかわからない迷惑以外の何物でもない連中
主な生息地は「HACHIMAN信者を見守るスレ」でpixivなどの二次創作サイトに度々凸している迷惑集団
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 02:11:31.02 ID:iyGDiLK7O

     ,、‐'''''''''ヽ、
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     l::::::l  _,,、-‐"iiiiiilllllllllllliiiiiiiー-、__ゞ:::::::::::`ヽ,
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    |: : : :llllf l: : : : : : : : : : :.iflllli、: : : : : <iiii|
    |: : : :|llll |: : : : : : : : : : .llllf l: : : : : : : : :.|
    |: : : :.!lllll!' : : : : : : : : : : |llll |: : : : : : : : :i
   /: : : : :    ○    : : .!lllll!' : : : : : : : :.i
   ̄|: : :"  ,,,,,,,,,,,,,|____    : : : : : : : :.<iii/
.  /!.:   |:::::/    ̄''''''''l ヽ: : : : :-─/─   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ヽ   ヽ/        ノ    : : :ヽ/   <  八幡アンチくん! くそすれをたてないで!
     \  \,,_    _,,,/     : /\     \ すぐにくびをつってしんでね!
       `''‐、、__  ̄ ̄   __,,,、-‐"         \しまじろうとお約束だよ!!!
.     //:::::/ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ノ::::/\             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.   / /:::::/  ` ̄ ̄ ̄/:::::/.  \
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 02:12:28.15 ID:9LgeTmTTO
ガハマの原作での所業

・犬のリードを離し事故の原因を作り八幡を大怪我させる
・犬を庇った八幡に一年間も直接お礼を言いに来ない
・御礼と称して木炭クッキーを渡すなど人の常識としてあり得ない事をやる
・面識が殆どない八幡に「ヒッキー」と失礼な渾名を付けてキモいなどの暴言を吐く
・事故の事がバレても謝るでもなく落ち込むだけ、終いには「馬鹿」と吐き捨てる自己中ぶり
・夏祭りの時も八幡が居た堪れなくなってるのにそれに気付かない
・文化祭の時もクラスの手伝いばかりで奉仕部は放置してたくせに雪乃を責め八幡に責任を背負わせる
・修学旅行の依頼の件で戸部の依頼を強引に押し切り厄介事を奉仕部に持ち込む
・アニメ2期の冒頭で事情を知っていてクラスの連中と一緒に八幡の事を笑っていた
・空気読めるとか説明されてる割にはクッキーや夏祭りの件の様に八幡を困らせてばかり
・加えて八幡と雪乃が進展するのを邪魔して自分の恋愛感情を八幡の気持ちも考えずに押し付けてばかり
・材木座の事も汚物の様に扱って、依頼も殆ど放置の無責任ぶり
・優しいと言ってもそれは自分が都合がいい時だけ、都合が悪くなれば手の平返して保身を優先する上っ面の偽善
・11巻で雪乃に弱みに付け込んで八幡への恋愛感情を封じる提案をする

普通の神経を持った人なら嫌いになって当然じゃないですかね
これほど「ガイジ」という言葉が似合う糞女いなくね性根が何もかも腐り切ってる
だからpixivでも人気がないし八結よりアンチガハマの方が勢いあるんだよなあ
というかファンの殆どがガハマは八幡と雪乃の前から消えて欲しいと思ってる人が大半だと思う
pixivやTwitterでのコメントが全てを物語っている
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 04:34:58.78 ID:u1l2VloQo
乙です
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/08(火) 07:56:45.55 ID:dObrMxHB0
少女A「なんて酷いことを…
久々のVIP投稿なのに私がいないなんて!
雪ノ下さん、由比ヶ浜さん…許さない…!?」

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 06:39:48.19 ID:N/HEDz7HO
スレタイが卑怯
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/09(水) 16:55:28.45 ID:8Qn4hlkuO
面白かった^ ^
なんというかほっこりした、平和やなぁ……亡くなってる人いっぱいおるのに
不謹慎にも笑った、まだまだSS速報生きてるんじゃね?
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 08:35:20.81 ID:yjeXmGxeO
面白かった

奉仕部メンバーの老後の話とかは、自分も考えた事ある(この話とは全く違う内容だげど)

結局、頓挫して書いてないけど
まあこうやって久々に俺ガイルssが見れて良かったよ
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/12(日) 22:45:59.77 ID:3qInV5i80
SSを泣きながら読むとは思わなかった  なんかありがとう
56 :テスト [sage]:2018/11/07(水) 02:24:56.93 ID:3YTTgBIDO
「八幡、着いたぞ」


車の後部座席にて文庫本を読んでいると叔父に声をかけられたので車の中の時計を見ると12時を回っていた。車に乗りだしたのは9時前だったので3時間近く車に乗っていたようだ。


俺は文庫本を閉じて横に置いてあるケースを持ち車から降りるとレンガ造りの一軒家が目に入る。表札には由比ヶ浜と叔父の名字が刻まれている。


「ここが叔父さんの家っすか? 初めて見ましたが大きいっすね」


千葉にある俺の生家より一回り大きい。豪邸とまでは言わないが、周囲の家より大きいのは確かだ。


「そういえば改装してから来てなかったな」


「そうですね。これからよろしくお願いします」


「おいおい。そんな大げさに頭を下げるなよ? これからは一緒に暮らすんだからよ」


「いえ。自分の身勝手が原因で厄介になるので」


俺は叔父に頭を下げると叔父からは呆れた声が聞こえてくるが、叔父やその家族からしたら親類とはいえ部外者が家庭に入ってきたら迷惑に決まっている。


「事情については聞いてる。誰もお前を傷付けないから安心しろ」


「……ありがとうございます」


嘘を言っているようには聞こえない。それを理解すると少しだけ安心する。家族以外の人全てから拒絶された俺からしたら胸にくる。


「だから、そんなに畏まんなって。それより早く入れ。結衣もお前に会いたがっていたぞ」


叔父は自分の娘にして俺の従姉弟の名前を口に出す。彼女と会ったのは年の初めだから久しぶりに会う事になる。
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/23(日) 11:48:44.47 ID:9yXTFP1MO
晒しage
58 : ◆9pp7qon/u2 [sage]:2021/05/23(日) 17:54:39.78 ID:9yXTFP1MO
投稿から4年。この度「老ガイル」の改訂版の連載を決意しました
旧版と比較しながら読んでみてください
59 : ◆9pp7qon/u2 [saga]:2021/05/23(日) 18:02:58.08 ID:9yXTFP1MO
【やはり俺の玄冬ラブコメはまちがっている。】



家族――それは男女が愛を交わして

その愛が育みやがて子供が生まれるという

人類が有史以前から持ち合わせているコミュニティの一種だ。

この俺、比企谷八幡も当然そのコミュニティのおかげでこの世に生まれた。

だが俺の場合は家族というカテゴリーからかなりかけ離れる。
60 : ◆9pp7qon/u2 [saga]:2021/05/23(日) 18:21:04.34 ID:9yXTFP1MO
何故なら俺は両親の愛情を貪り、今日まで生きてきた。

最愛の妹である小町が巣立って所帯を持った後も

俺は父と母に守られて生きてきた。

年を重ねる内に人と交流する機会も減り

恋する事も愛する事も忘れてしまった。

まちがい続けた青春が終わり

朱夏と白秋を知らない俺の人生は玄冬を迎えた。
61 : ◆9pp7qon/u2 [saga]:2021/05/23(日) 18:24:49.98 ID:9yXTFP1MO


「ヒキタニさん。比企谷八幡さん。朝ですよ! 起きてください!」

62 : ◆9pp7qon/u2 [saga]:2021/05/23(日) 18:47:02.74 ID:9yXTFP1MO
「うぅ……うるさいのぅ……」

「もう起きる時間ですよ」

「まだ6時じゃろ……」

「何言ってるんですか! もう9時過ぎてますよ。とっくに食堂が閉まっている時間です!」

職員の松ヶ谷廿一(まつがや・はたひと)に叩き起されて俺はようやく目が覚めた。

俺は年老いても変わらず宵っ張りで朝寝坊の常習犯なのだった。
63 : ◆9pp7qon/u2 [saga]:2021/05/23(日) 19:01:22.57 ID:9yXTFP1MO
比企谷八幡、87歳。既に総武高校を卒業してもう半世紀以上が過ぎた。

本来なら気ままに余生を過ごす筈が

5年前に大病を患って以来、お節介な親族により介護施設にぶち込まれた。

なんでも近所と交流がない独居老人は危険だとかそんな理由だ。

まったくもって余計なお世話だ。心配ならお前達が養ってくれよ。
64 : ◆9pp7qon/u2 [saga]:2021/05/23(日) 19:04:35.40 ID:9yXTFP1MO
だがここでの生活は案外悪くはない。

日々職員達が身の回りの世話をしてくれるので気楽に過ごせる。

まあ松ヶ谷のヒキタニさん呼びだけは納得いかんのだが…。

今時のヘルパーは入居者にあだ名を付けるものなのか?
65 : ◆9pp7qon/u2 [saga]:2021/05/23(日) 19:11:49.89 ID:9yXTFP1MO
「朝食は取り置きしていますので」

「わかったよ」

そそくさと去る松ヶ谷。

他の部屋も担当しているので俺ばかりに引っ付いている訳にもいかないのだ。
66 : ◆9pp7qon/u2 [saga]:2021/05/23(日) 19:14:49.23 ID:9yXTFP1MO
「いただきます」

だから俺は黙々とぼっち飯している訳だ。

うん、実に……老いた体に優しい味付けだ。別に悪いとかそんなんじゃない。

だが……なんといえばいいのだろうか……

今日は妙に居た堪れない気分になる。

何でいい年してぼっち飯しなくちゃならんのだとそう思える。

いや、これは寝坊した俺が悪い。

こうなるのは当然の事だろ。
67 : ◆9pp7qon/u2 [saga]:2021/05/23(日) 19:27:22.50 ID:9yXTFP1MO
「おはよう。今日もぼっち飯なのね」

老女が現れた。雪ノ下雪乃(87歳)だ。

「今日も可愛げのない挨拶だな」

思えばこいつとは高校時代からずっと腐れ縁が続いた。

大学、就職先とずっと一緒だった。

定年を迎えて、ようやくおさらばかと思えば、まさか同じ施設に入居するとは…

一体何の巡り合わせなんだかな。平塚先生の導きか?
68 : ◆9pp7qon/u2 [saga]:2021/05/29(土) 20:56:48.20 ID:fMVhr6j/O
「こんなお婆さんに可愛げを求めるなんて変わってるわね」

「今の年寄り向けの娯楽作品は容姿も性格も良いジジババで溢れているんだぞ。婆に夢見て何が悪い」

「凡庸なお爺さんが美老女達に囲まれるラブコメを基準にしないでちょうだい」

「するね! 特に上地毛遺影(うえちけ・いえい)先生の『老いらくの恋(ラブコメ)は介護施設(ホーム)で始まる』をな!」

「右肩から腕に桜の入れ墨彫ったお爺さんを元妻と幼馴染と同級生が取り合う話だったかしら?」

「そうそう」
69 : ◆9pp7qon/u2 [sage]:2021/07/14(水) 20:34:53.63 ID:Mvktp2xwO
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