城ヶ崎莉嘉「Only this “P” is one for me!」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/01(金) 08:53:06.29 ID:LH0UCaDg0

最近なんか、チョーシ悪いかも。
右と左がひっくり返って映るおっきな鏡の向こう側で、こっちを睨むその目を見ながらなんだかアタシはそう思う。

フキゲンそうな鏡のその子にイーーって歯を出して、おさらいでとんとん床を踏んでから、もっかいアタシは機材のとこ行って、サビのちょっと前からの音源を自分で流す。
ボーカル無しのその音に、息まじりの小声で歌いながら体を動かすと、足元できゅっ、きゅって、一人きりのレッスンルームに音が響く。
ちょっとずつ曲が盛り上がって、それに合わせて床からきゅむきゅむ音が鳴ると、だんだん頭がまっ白くなっていく。
この感じ、アタシ大好き。
打ち込みのドラムのリズムが速まって、変拍子はさんで、それでいよいよサビに入ってうんと高く跳び上がると、
黄色のサイリウムが目の前いっぱいにうねるのが見えるみたいでワーっ!ってなった。
わおー、今度はなんだかイイ感じ。このまま行けそう!
サビの終わりに近づいて、きゅきゅ、きゅでシューズ鳴らしてターンして、
最後にダダダン、ムズいステップ踏んでからのーー、ピタっ!
やったーバッチリぃ☆

……ってなるとこで、体が流れてよけいな足踏み。

「まーた同じとこぉ……」

あーもーこれ、何度目だろ。
何回やってもここんとこが、カッコよくビシッと止まって決まらない。
肩をがっくり落としながら、とぼとぼ歩いて次のAメロ流し始めてる音を途中で止めた。

んーー、ダメっ。
うまく行かないっ。
もうチョーシ悪い、決定っ。

八つ当たりっぽくふとももをばしばし叩いて、イスに置いてたバッグの横のペットボトルを持ち上げると、ひょいって軽い感触。
うわもうカラっぽじゃん。
目の前でなんにも入ってないペットボトルをゆらゆらやると、ぐにゃぐにゃに歪みながら透けて見える窓の向こうが、夕やけ色。
あーもうそんな時間かー。今日、ここまでにしよっかなあ。
うーんって一人で迷うけど、アタシはやっぱ、でもこんな時お姉ちゃんだったら、ってつい考えちゃう。

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