サーバル「ジャパリスクールってなになにー!?たのしそー!!」

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118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 13:36:20.61 ID:Opb9nYyko
アルパカ「はぁーい、紅茶、はいったよぉ。はい、どうぞぉ。はい、どうぞぉ」

かばん「いただきます」

カワウソ「ねえねえ、飲んでもいい? 飲んでも良い?」

アルパカ「めしあがれぇ」

カワウソ「いっただきまーす!」

サーバル「うみゃぁ……」

スナネコ「おいしい」

ハシビロコウ「落ち着く……」

プレーリードッグ「んぐっ……んぐっ……!! おかわりであります!!」

ビーバー「そんな一気に飲むものなんっすか?」

アルパカ「いいよぉいいよぉ。いくらでもあるからぁ、たぁくさん飲んでいってにぇ」

サーバル「私もおかわりー」

スナネコ「おかわりください」

アルパカ「わかったよぉ。ちょっとまっててにぇ。すぐにいれるからぁ」

かばん「あの、授業は……?」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 13:55:13.45 ID:Opb9nYyko
アルパカ「それじゃあ、授業はじめるよぉ。紅茶の淹れ方なんだけどにぇ。ここのボタンを押すとぉ、お湯がでるんだぁ」

アルパカ「それでねぇ、この紅茶の元をカップにいれて、お湯を注ぐと……」タポポポ

アルパカ「はい、できあがりぃ。えへへぇ」

サーバル「わー! すっごーい!!」

カワウソ「できたの! これで紅茶、できたのー!!」

ハシビロコウ「さっきも見たけど、割と簡単にできるんだ」

アルパカ「そんなことないよぉ。見た目以上に結構むずかしいんだよぉ。お湯の注ぎ方とかぁ、紅茶の元の量とかぁ、そういうのがちょっと違うだけで味ががわっちゃうからぁ」

ビーバー「奥が深いっすね……」

プレーリードッグ「私たちも紅茶を淹れもいいでありますか」

アルパカ「いいよぉ。みんなの分の紅茶の元わたすねぇ」

スナネコ「枯れた葉っぱみたいですね。ここからあんなに美味しい紅茶ができるなんて」

アルパカ「できるんだよぉ。ふへへへぇ」

カワウソ「おゆいれちゃおーっと」

アルパカ「火傷しないように気を付けてにぇ」

カワウソ「はーい!」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 14:07:23.80 ID:Opb9nYyko
サーバル「うみゃ……うみゃ……みゃ……みゃみゃ……」タポポポ

サーバル「みんみー!! できたー!!! かばんちゃん、のんでのんでー!!」

かばん「ぼくが飲むの? サーバルちゃんは?」

サーバル「私はかばんちゃんの淹れた紅茶がのみたいなー」

かばん「もう、サーバルちゃんたら。待ってて、淹れてくるよ」

サーバル「えへへへ。うれしいなぁ」

スナネコ「にがい……」

ハシビロコウ「味が薄い……」

ビーバー「失敗したらもったいないっすよね……。一回で成功させないといけないっすよね……。ボタンをおしたらお湯は一定量必ず出るから……うぅ……おせないっすぅ……」

プレーリードッグ「こうでありますな!!」タポポポポポポッ

プレーリードッグ「ぬおおお!! たくさんいれちゃったでありますー!!!」

アルパカ「零したらたいへんだよぉ。その場でのんでぇ」

プレーリードッグ「は、はい! んぐっ……んぐっ……!!」

プレーリードッグ「ぷっはぁ!! 味があまりしないであります!!」

アルパカ「それだけお湯を淹れちゃうとダメだねぇー」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 14:23:31.71 ID:Opb9nYyko
カワウソ「おかしーなー。同じようにやったはずなのに、どうしてアルパカの紅茶と味が違うのー」

アルパカ「淹れ方がそれぞれ違うからだねぇ。私の淹れ方とカワウソの淹れ方は似てるようで全然ちがうのぉ」

カワウソ「それじゃあダメってこと? 私、アルパカみたいに美味しい紅茶をいれたいのに」

アルパカ「一回で美味しくは淹れられないよぉ。自分なりに美味しい淹れ方を研究しないとにぇ」

カワウソ「そーなんだ。もういっかいいれよーっと」

サーバル「スナネコー、私の紅茶のんでみてー。かばんちゃんが美味しいっていってくれたんだー」

スナネコ「いいですよ」

アルパカ「みんな楽しんでくれてるみたいでよかったよぉ。最初はこんなことでいいのかなっておもってたけどぉ」

かばん「アルパカさんが考えた授業じゃないんですか」

アルパカ「ちがうよぉ。ぜーんぶ、ハカセたちがかんがえたのぉ。これだけじゃないよぉ? すいえいもぉ、さんすぅも、みんなに学ばせたいからやってるみたい」

かばん「学ばせたい……」

アルパカ「私の授業は息抜きも兼ねてるんじゃなぁい? こくごとかさんすぅとか頭使うことばっかりやってたらつかれちゃうしぃ」

かばん「あぁ。そうかもしれませんね」

アルパカ「そぉだ、紅茶のおかわり、どぉ? ぅん?」

かばん「あ、はい。いただきます」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 17:41:35.33 ID:3D3PbN3Go
さんすぅで若干ゃ草
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 20:51:55.57 ID:Opb9nYyko
―校長室―

ワシミミズク「ハカセ。いえ、こーちょー」

オオコノハズク「どうしたのですか、助手。いえ、きょーとー」

ワシミミズク「今のところ、問題はないのです」

オオコノハズク「そうですか。それはよかったのです」

ワシミミズク「このまま何事もなくいけばいいですね」

オオコノハズク「我々はただ学校を復活させたいだけなのです。起こってほしくはないですね」

ワシミミズク「ここで失われていた教育をもう一度蘇らせるのです」

オオコノハズク「そうなれば、このパークもいずれ……」

ワシミミズク「ハカセ。そろそろ鐘を鳴らす時間ではないですか」

オオコノハズク「そうですね。行ってくるのです」

ワシミミズク「次は待ちに待ったきゅーしょくですね」

オオコノハズク「かばんを早く調理室に連れて行くのです」

ワシミミズク「今日は何にするのですか。じゅるり」

オオコノハズク「昨日、カレースープなる料理を見つけたのです。じゅるり」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:01:06.46 ID:Opb9nYyko
―午後 昼休み 廊下―

ツチノコ「これでよしっと」

かばん「あれ? ツチノコさん?」

ツチノコ「お前か。今日は午後からの授業きちんと受けろよ」

かばん「はい。寝坊しないようにします」

ツチノコ「それじゃあな」

かばん「みんなの『作品』を貼り出してくれていたんですか」

ツチノコ「作品、なんて呼べる代物じゃないが、あいつらが初めて書いた文字だからなぁ」

かばん「ありがとうございます」

ツチノコ「こんな汚い字が未来のフレンズたちの目に触れるなんて、ただ恥ずかしいだけだろ」

かばん「そんなことないですよ。ここにサーバルちゃんたちがいたっていうことが分かるんですから」

ツチノコ「ふんっ」

かばん「ツチノコさんは残そうとしてくれているんですよね」

ツチノコ「なんのことかなぁ。さーて、俺も昼寝してくるかぁ」

かばん「お疲れ様です」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:12:44.95 ID:Opb9nYyko
かばん「このままみんなが文字を書けて、読めるようになるだけでも色んなことができそう」

ラッキービースト『――多くのフレンズがここでヒトと同じことを学び、吸収していく』

かばん「……」

ラッキービースト『それはとても素晴らしいこと。だけど、同時に少しだけ寂しいこと』

ラッキービースト『私たちの手が必要なくなる。このパークはフレンズたちだけで運営できるようになる』

ラッキービースト『パークにヒトの手が入らなくなり、あるべき自然な姿へと変わっていくことでしょう』

ラッキービースト『ただ心配事が一つだけ。知識を得たフレンズがヒトのように愚かな歴史を築かないか……。私はフレンズたちを信じたいですけどね』

ラッキービースト『フレンズになれたんだからヒトのことをもっと知りたいと言ってくれた、みんなを』

ラッキービースト『さて、セルリアン対策に戻らないと。ここにあるみんなの成果や思い出も守らないとね』

かばん「思い出……」

ラッキービースト『……』

かばん「やっぱりここにはあったんだろうな。フレンズさんたちが過ごした証が」

かばん「ぼくも増やしたい。もっと、もっとたくさん」

ラッキービースト『カバン ソロソロ ゴゴノジュギョウガ ハジマルヨ』

かばん「ええと。それじゃあまずは鐘を鳴らしにいきましょうか。ハカセさんたち、寝ているかもしれないですし」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 21:19:36.86 ID:Opb9nYyko
呼称修正

>>17
かばん「教えてくれるのは多分、はかせさんになるかと」→「教えてくれるのは多分、ハカセになるかと」

>>31
かばん「はかせさんたちは先生ってことでいいんですよね? 今から授業を……?」→「ハカセたちは先生ってことでいいんですよね? 今から授業を……?」

>>89
かばん「あれってハカセさんが鳴らしていたんですか」→「あれってハカセが鳴らしていたんですか」

>>106
かばん「どうしてハカセさんはそんなことを……」→「どうしてハカセはそんなことを……」

>>125
かばん「ええと。それじゃあまずは鐘を鳴らしにいきましょうか。ハカセさんたち、寝ているかもしれないですし」→「ええと。それじゃあまずは鐘を鳴らしにいきましょうか。ハカセたち、寝ているかもしれないですし」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:27:13.24 ID:Opb9nYyko
―美術室―

オオカミ「ようこそ。私のアトリエへ」

サーバル「絵を教えてくれるんでしょー」

カワウソ「おえかきしたーい! キャハハッ」

オオカミ「逸る気持ちもわかるけど、まずはどんな絵を描くのか。それを決めなくてはいけないんだよ」

ビーバー「家を建てるのと少し似てるっすね。おれっちもどんな家にするか決めてからでないと作業できないっすから」

オオカミ「その通りだ。いいかい? 創作するということは、頭に思い描いたことをそのまま形にするということなんだ」

オオカミ「それが如何に困難なのか。君たちは今から体感することになるだろう」

スナネコ「あきました。帰ってもいいですか?」

オオカミ「ぐっ……」

ハシビロコウ「スナネコ、そんなこと言ったらオオカミが可哀想だから」

スナネコ「そうですか」

オオカミ「おほん。今日はモデルを一人選んで、そのモデルの絵を描いてもらおうと思っている」

プレーリドッグ「モデルとはなんでありますか!」

オオカミ「絵のモデル。描かれる対象になってほしいということさ」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 21:28:06.81 ID:Opb9nYyko
>>127
プレーリドッグ「モデルとはなんでありますか!」

プレーリードッグ「モデルとはなんでありますか!」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:32:18.98 ID:Opb9nYyko
かばん「みんなに自分の絵を描かれてしまうってことですか」

サーバル「おもしろそー! 私がやるー!!」

カワウソ「わたしもモデル、やってみたーい!」

オオカミ「できるかな」

サーバル「どーいうことー?」

オオカミ「モデルは絵を描かれている最中は絶対に動いてはいけないんだよ」

かばん「動くと絵が描きづらいからですか」

オオカミ「それもあるけど、もう一つ重要な理由があるのさ」

ビーバー「なんっすか?」

オオカミ「指の一本でも動かしてしまった時点で、絵の世界に引きずり込まれてしまうのさ……」

サーバル「えぇぇぇ!!!」

プレーリードッグ「モデルって危険すぎるであります!!」

スナネコ「誰もやりたくなくなりますよ」

かばん「オオカミさん、嘘ですよね」

オオカミ「勿論、冗談だよ。良い顔、頂きました」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:36:28.96 ID:Opb9nYyko
サーバル「もう!! オオカミは酷いよ!!」

オオカミ「あはは。すまない。さて、このスケッチブックを配ろう。これにモデルの絵を描くといい」

カワウソ「だれがモデルするー?」

サーバル「動けなくなっちゃうのはつらいよー」

プレーリードッグ「私も絶対に我慢できなくなって動いてしまうであります」

ビーバー「おれっちも自信ないっすねぇ」

かばん「……あ」

ハシビロコウ「なに?」

かばん「ハシビロコウさんが適任じゃないですか」

ハシビロコウ「わ、私……? 私の絵をみんなが描くの?」

かばん「はい。そうなりますね」

ハシビロコウ「もっと可愛い子を描いたほうがいいと思うけど……」

サーバル「ハシビロちゃんは十分可愛いよ。睨まなければだけど」

スナネコ「いいのではないですか。ハシビロコウがモデルで」

ハシビロコウ「ええ……そ、そんな……」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 21:39:40.67 ID:+N7lGZo2O
もしかしてそーぷらんどのSSと同じ人かな?
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:43:53.09 ID:Opb9nYyko
オオカミ「モデルが決まったのなら、ここに座って前を向いていほしい」

ハシビロコウ「こ、こう?」

オオカミ「そのまま、じっとしているんだ」

ハシビロコウ「うん」

オオカミ「他のみんなは好きな位置からモデルを描いてみるといい。目の前にあるものを描けずして、頭にある景色は描けないからね」

サーバル「どこから描こうかなー?」

プレーリードッグ「この辺りから描くでありますか……」ズイッ

ハシビロコウ「ち、ちかいから……。それだと私の耳しか描けないと思う」

ビーバー「おれっちは後ろから全体を描くっす。オオカミさんもはいっちゃうっすけど、いいっすかね」

オオカミ「私はモデルじゃないからやめてほしいな。恥ずかしい」

スナネコ「恥ずかしいのですか。では、あえてぼくはオオカミを描きますね」

オオカミ「スナネコは私を追い込むのが趣味なのかい」

スナネコ「……」カキカキ

オオカミ「聞いてくれ」

かばん「ぼくは正面から描こうかな」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:49:02.20 ID:Opb9nYyko
カワウソ「ふんふふーん。おーえかきー。おーえかきー」カキカキ

ハシビロコウ「……」

プレーリードッグ「むむー……」

ビーバー「うーん……ちょっとこっちのバランスが……」

サーバル「ハシビロちゃん、すごいねー。全然、動かないもん」

かばん「うん。やっぱりモデルにぴったりだったね」

スナネコ「できました」

オオカミ「もうかい? 早いね」

スナネコ「可愛く描けたでしょっ」

オオカミ「やはり私を描いたのか」

スナネコ「どうぞ」

オオカミ「あ、ありがとう。さて、ハシビロコウを――」

スナネコ「満足したので、寝ますね。終わったら起こしてください」

サーバル「自由すぎるよ!! 今更だけど!!」

オオカミ「このまま寝ていてもらうほうが私にとってはありがたいかもしれないね」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:58:23.42 ID:Opb9nYyko
プレーリードッグ「できたであります!!!」

オオカミ「どれどれ、拝見」

プレーリードッグ「どうでありましょう!?」

オオカミ「うん。味のある絵だね。これからが楽しみだ」

プレーリードッグ「本当でありますか!! うおー!! がんばるであります!!」

カワウソ「でーきたー! はいっ」

オオカミ「おぉ。ハシビロコウの特徴を上手く捉えた絵だ。素晴らしい」

カワウソ「やったーほめられたー」

サーバル「うみゃ! オオカミ、みてみてー」

オオカミ「うむ。サーバルの性格が反映させている絵だね。とにかく元気だ」

サーバル「わーい! かばんちゃん、私の絵、元気なんだってー!!」

かばん「よかったね、サーバルちゃん」

オオカミ「そういうかばんの絵は、とても優しく、柔らかい。誰が見ても癒される絵といえるね」

かばん「そ、そんなにいいものじゃないとおもうんですけど……」

サーバル「かばんちゃんの絵、とっても素敵だね! 私も欲しいぐらいだよー!!」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:01:56.29 ID:Opb9nYyko
ハシビロコウ「……」

ビーバー「むぅ……こうっすねぇ……」カキカキ

オオカミ「ほほぉ……」

ビーバー「ま、まだ完成してないっす……みないでほしいっす……」

オオカミ「実に良い。私のアシスタントにしたいぐらいだ」

ビーバー「や、やめてほしいっす……てれるっす……」

カワウソ「どんな絵なのー? ちょっとみーせてー!」

サーバル「私もみたいみたい!」

ビーバー「そ、そんな期待されるほどの絵じゃないっすからぁ」

かばん「うわぁ……」

スナネコ「おぉ」

プレーリードッグ「これは……!!」

サーバル「なにこれなにこれー!!」

カワウソ「すごーい!!」

ハシビロコウ(どんな絵なんだろう……気になる……)ウズウズ
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:10:37.58 ID:Opb9nYyko
ビーバー「かんせいっす……」

オオカミ「全員、描きおわったかな。お疲れさま、ハシビロコウ」

ハシビロコウ「疲れた……。じっとしてるのは得意だと思ってたのに」

オオカミ「見られているというだけで疲れるものだよ。さて、みんなの絵が気になっていることだろうから、是非とも見てあげてほしい」

ハシビロコウ「うん。実はすごく気になってて」

サーバル「みてみてー!」

カワウソ「ハシビロコウってこんなかんじだよねー」

ハシビロコウ「そう見えてるんだ……」

プレーリードッグ「私の絵も褒められたでありますよ!!」

ハシビロコウ「なるほど」

かばん「どうでしょうか」

ハシビロコウ「こんなに私、かわいいかな……」

ビーバー「自信はないっすけど……一応、かけたっす……」

ハシビロコウ「……これ、頂戴」

ビーバー「あ、いいっすけど?」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:17:23.85 ID:Opb9nYyko
ハシビロコウ「……」ジーッ

ビーバー「おれっちの絵をそんなに凝視されると、なんか照れ臭いっすねぇ」

サーバル「やっぱりビーバーの絵にはまけちゃうよぉ」

かばん「紙の中にハシビロコウさんがそのまま写りこんだみたいだもんね」

カワウソ「すごいよねー。あんな風に描けたらなー」

オオカミ「練習次第だね。ビーバーはただ、みんなよりも少しだけ先にいただけさ。練習すればすぐに追いつけるよ」

サーバル「あんなに上手になれるまでどれぐらい練習しなきゃいけないんだろー?」

プレーリードッグ「たくさんしなければいけないでありますね!」

サーバル「そっかー。たくさんかー。よぉーし!! 絵もがんばるぞー!!」

カワウソ「おー!!」

ハシビロコウ「大切にする」

ビーバー「うれしいっす」

オオカミ「まだ時間はあるみたいだし、次は好きな人を描いてみようか」

ハシビロコウ「ビーバー、お礼に貴方の絵を描く」

ビーバー「はい。おれっちでよければ」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:23:03.68 ID:Opb9nYyko
スナネコ「好きな人、ここにいました」ズイッ

オオカミ「か、顔が近いから。わかったよ、好きなだけ私を描いてくれ」

スナネコ「ありがとう」

サーバル「かばんちゃんのこと描いてもいい?」

かばん「うん。ぼくもサーバルちゃんのこと描いていい?」

サーバル「もちろんだよぉ!!」

プレーリードッグ「私はカワウソ殿を描くであります!!」

カワウソ「よろしくー」

ハシビロコウ「……」

ビーバー「あの……見つめるばっかりで、手がうごいてないっすよ……」

ハシビロコウ「あ、ごめん。私、ずっと見つめちゃう癖があるから」

ビーバー「でも、ハシビロコウさんの好きなように描けばいいっすよね。おれっち、出来上がるまで待つっすから」

ハシビロコウ「ありがとう。丁寧に描くから」

サーバル「うみゃみゃみゃー!! うみゃー? あっ! うみゃみゃみゃー!!!」カキカキ

かばん(これの絵、また飾ってもらおう)
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:28:51.44 ID:Opb9nYyko
―夕方 プール―

トキ「よぉぉこぉそ〜じゃぱぁぁりぱぁぁぁくぅぅぅ〜」

イワビー「全然、違うってば。うぇかむとぅ! ようこそジャパリパーク! 今日もドッタンバッタン、お、お、さ、わ、ぎっ! ――だぜ?」

トキ「難しいわね」

イワビー「腹から声を出すんだ」

トキ「お腹ね。かばんも同じことを言っていたわ」

アルパカ「ふたりともぉ。がんばってるにぇ」

トキ「あら、アルパカ。どうしたの」

アルパカ「トキがここで練習してるってハカセからきいてぇ、紅茶、もってきたよぉ」

トキ「ありがとう、アルパカ」

アルパカ「イワビーものむぅ?」

イワビー「おう!! もらうぜ!!」

アルパカ「お昼からここでずっと練習してたのぉ?」

トキ「ええ。みんなに完璧な歌を聞かせてあげたいもの」

アルパカ「あはぁ、そっかぁ。トキの努力、絶対に実を結ぶよぉ」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:35:17.14 ID:Opb9nYyko
トキ「ねえ、いつかでいいから私もペパプと一緒に歌えないかしら」

イワビー「いいけど、何を歌うんだ?」

アルパカ「いいんだぁ」

トキ「もちろん、『ようこそジャパリパークへ』がいいわね」

イワビー「おう。マーゲイに相談してみるな」

トキ「うれしいわ。だったら、もっと練習しましょう。うぇぇかむとぅぅ〜!!」

イワビー「だーかーらー。うぇかむとぅー、だってば」

トキ「こうね。うえええかむぅ〜!!」

イワビー「ああ、もう!! どうおしえりゃあいいんだー!!」

トキ「こうでもないのね……」

アルパカ「あははぁ。紅茶はいくらでも用意できるから、安心してねぇ」

トキ「ええ」

イワビー「あれだな、他のメンバーも呼んでおいた方がよさそうだな、こりゃあ」

トキ「ペパプ全員で指導してくれるの?」

イワビー「そのほうが早い気がするからな」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 22:36:08.53 ID:Cq9hiChlo
フルルは教えれるのだろうか
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:42:30.02 ID:Opb9nYyko
―美術室―

ビーバー「……」

ハシビロコウ「うーん……こう……ちがう……こうかな……あぁ……変になっちゃった……」

スナネコ「すぅ……すぅ……」

プレーリードッグ「うへへ……もうほれないでありますぅ……」

カワウソ「よっと、ほっと」ヒョイッヒョイッ

かばん「すぅ……すぅ……」

サーバル「うみゃぁ……うみゃぁ……」

オオカミ「……おっ。いいネタを思いついた」カキカキ

ビーバー「……」

ハシビロコウ「ごめんね……こんなに時間かけて……わたし……絵が得意じゃないみたい……」

ビーバー「ハシビロコウさん」

ハシビロコウ「今日は、ここまでにしよう」

ビーバー「いいっすよ。完成するまでまってるっすから。ゆっくり描いてくださいっす」

ハシビロコウ「けど……もう夕方だし……みんなも……」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:46:35.50 ID:Opb9nYyko
ビーバー「誰も気にしてないっすよ」

ハシビロコウ「これ以上、待たせるなんて……」

オオカミ「鐘はまだ鳴っていない。授業は継続中だよ」

ハシビロコウ「……」

ビーバー「おれっち、ハシビロコウさんの絵、すっごく楽しみっす」

ハシビロコウ「……ごめんね」

カワウソ「かけたのー?」

ハシビロコウ「ううん。まだ」

カワウソ「そっかー。それじゃあ、もうちょっとあそんどくねー」

ハシビロコウ「ごめんね……」

カワウソ「なんであやまるのー?」

ハシビロコウ「だって……」

カワウソ「私もハシビロコウの絵、気になるしぃ。友達を待つのは退屈じゃないもんねー」

ハシビロコウ「……ありがとう」

ビーバー「納得できるまで描き直していいっすから」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:52:22.00 ID:Opb9nYyko
ハシビロコウ「できた……!」

ビーバー「おぉ!! おめでとうっすぅ!」

カワウソ「みせてー! いちばんにみせてー!!」テテテッ

ハシビロコウ「あ、ま、まって」

サーバル「うみゃ!? できたのー!! わたしもハシビロちゃんの絵、みたーい!!」

スナネコ「興味、あります」

かばん「ぼくも、いいですか?」

ハシビロコウ「ま、まって、じゅ、じゅんばんに……」

ビーバー「これがハシビロコウさんから見た、おれっちなんすね」

ハシビロコウ「ごめん。ビーバーみたいにはどうしてもできなくて……」

ビーバー「これ、貰ってもいいっすか」

ハシビロコウ「え……。そんな下手くそな……絵でいいの……」

ビーバー「全然、下手じゃないっす。ハシビロコウさんの渾身の絵っすよ、これぇ。もう一生ものっす」

ハシビロコウ「うれしい……」

オオカミ「おっ。とっても良い顔、いただきました」カキカキ
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 22:56:15.43 ID:Opb9nYyko
プレーリードッグ「羨ましいであります。ハシビロコウ殿、次は自分も描いてほしいであります」

サーバル「わたしもかいてよー」

ハシビロコウ「うん、また機会があれば」

スナネコ「約束ですよ」

オオコノハズク「いつまで残っているのですか」

ワシミミズク「良い子は早く帰るのです」

オオカミ「私は悪い子だからいいかな」

かばん「すみません。でも、鐘がならなかったような……」

ツチノコ「こーちょーたちは今まで寝てたからなぁ」

オオコノハズク「またしてもお昼寝をしてしまったのです」

ワシミミズク「かばんの作る料理でいつもお腹いっぱいになるのですよ」

かばん「ぼくの所為なんですか!?」

イワビー「おーい! ひがくれちまうぜー!!」

アルパカ「みんなぁー、はやくかえろぉー」

トキ「今日も1日、よくがんばったわね、みんな」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:01:12.10 ID:Opb9nYyko
―正門―

サーバル「今日もたのしかったねー」

かばん「うんっ。明日はどんなことするのかな」

サーバル「きっと今日よりも楽しいことだよー」

かばん「あはは、そうだね」

カワウソ「さっきの絵、ろーかに飾ったんだー」

ツチノコ「持って帰ったらめちゃくちゃにするだろ、お前らは」

カワウソ「んー? そーかもー。キャハハッ」

ハシビロコウ「……」

プレーリードッグ「良い絵であります」

ビーバー「そんなに褒めないでくださいっす」

サーバル「いいなー。ハシビロちゃんもビーバーも。私もかばんちゃんに絵を描いてもらったけど、みんなにも描いてほしいなー」

オオカミ「だったら、モデルになればよかったのに」

サーバル「でも、動けなくなるのはちょっとやだなぁ。お互いに絵を描き合ってるならいいんだけどなぁ」

かばん「あはは。あれ? あれはハカセ……? 何をしてるんだろう」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:04:21.30 ID:Opb9nYyko
オオコノハズク「分かったのです。引き続きお願いするのです」

かばん「ハカセ?」

オオコノハズク「かばんですか。何か?」

かばん「いえ、そこでなにをしているのかなって」

オオコノハズク「何でもないのです。ほら、早く帰るのです」

かばん「わ、わかりました」

サーバル「かばんちゃん、どうしたのー?」

かばん「なんでもないよー」

スナネコ「今日はどこでねようかなぁ」

カワウソ「屋根裏なんていいんじゃない?」

スナネコ「そこはまだでしたね」

オオコノハズク「……」

ワシミミズク「ハカセ……。いえ、こーちょー」

オオコノハズク「いつでも動けるようにしておくのですよ」

ワシミミズク「分かっているのです」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:10:06.93 ID:Opb9nYyko
―森林―

アライグマ「もう一生出ることができない気がしてきたのだぁ……」

フェネック「うーん。アライさぁん。こっちはまだ行ったことのない道みたいだよー」

アライグマ「ちょっと疲れたのだ。休憩するのだ、フェネック」

フェネック「あいよー」

アライグマ「帽子泥棒に近づいているはずなのに、これじゃあまた遠ざかってしまうのだ」

フェネック「あとかばんさんにもねー」

アライグマ「そうなのだ!! かばんさんにも会いたいのだ!!」

フェネック「だったら、ここからすぐにでないとねー」

アライグマ「そうなのだぁ……でも……でられないのだぁ……」

フェネック「ん……?」ピクッ

アライグマ「……よし! 休憩終わりなのだ!! いくのだ、フェネック!!」

フェネック「アライさぁん、ちょっとまずいかもねー」

アライグマ「どうかしたのか?」

フェネック「セルリアンの臭いがするよー。ここ、あぶないかもねー」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:14:21.41 ID:Opb9nYyko
アライグマ「セ、セルリアン……!! どこなのだ!? どこにいるのだ!?」

フェネック「……」

ガサガサガサガサ……

アライグマ「き、きたのか!?」

フェネック「下がって、アライさぁん」

セルリアン「……」

アライグマ「ホントにでたのだ!!」

フェネック「小さいのが一匹だけならなんとかなるかもねー」

ガサガサガサ……!!!

セルリアン「「……」」

アライグマ「た、たくさんいるのだぁ……!!」

フェネック「おー。よぉし、アライさぁん。良い考えがあるよー」

アライグマ「どうするのだ、フェネックぅ」

フェネック「にげろー!」

アライグマ「さ、さんせいなのだー!!」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:23:19.85 ID:Opb9nYyko
―ジャパリスクール 屋上―

ツチノコ「……来たみたいだな」

オオコノハズク「まだ遠いですね」

ワシミミズク「カメレオンの報告だと、徐々に増えてきているみたいなのです。のんびりしていれば包囲されるのです」

ツチノコ「ここはやっぱり狙われやすんだな。まぁ、これだけフレンズが集まれば嫌でも寄ってくるか」

オオコノハズク「やはり、無理でしたね」

ワシミミズク「あと2日ぐらいなら余裕はありますね」

ツチノコ「何もかも中途半端だが、あいつらもきちんと学べるってことを知ったんだ。十分だろ」

ワシミミズク「ええ。教育はまたいずれにするしかないのです」

オオコノハズク「それでは卒業式の準備に入るのです」

ツチノコ「それがいいな」

ワシミミズク「残念です」

オオコノハズク「フレンズが料理を作れるようになれば、我々いつでもおかわりができるようになったのですが」

ツチノコ「火を怖がらないフレンズを探してくるんだなぁ」

オオコノハズク「知っている限りではヒグマあたりですね」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:32:44.30 ID:Opb9nYyko
―かばん・サーバルの部屋―

サーバル「うみゃ……みゃみゃ……」カキカキ

かばん「字の練習?」

サーバル「うん! さーばるきゃっとまで書けるようになりたいの!」

かばん「手伝えることがあればいってね」

サーバル「これぐらい大丈夫だよ!! 私、夜行性だから!」

かばん「関係ないんじゃあ……」

ラッキービースト『……』

かばん「ラッキーさん、窓の外になにかあるんですか」

ラッキービースト『……』

かばん「ラッキーさん?」

ラッキービースト『セルリアン チュウイホウ トオクデ セルリアンノ ハッセイヲカンチシマシタ シュウイノ オキャクサマハ ゴチュウイクダサイ』

サーバル「セルリアン!?」

かばん「遠くにいるみたいだね」

サーバル「こっちにくるの?」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:35:51.27 ID:Opb9nYyko
かばん「わからないけど……」

ラッキービースト『……』

かばん「ラッキーさん、大丈夫、なんですよね?」

ラッキービースト『マダ ダイジョウブ デモ チュウイハ シテネ カバン』

かばん「はい」

サーバル「私の爪でやっつけちゃうから、へーきだよ!! みゃ! みゃ!」

かばん「頼もしいね」

サーバル「えっへん!」

かばん「けど、こっちにくるなら……」

サーバル「嫌だね。学校もあるのに」

かばん「……」

サーバル「どうしたの?」

かばん「え、ううん。なんでも」

サーバル「そうなの?」

かばん(もし、過去と同じようなことが起こるなら……ここはとても危ない場所に……)
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:39:21.54 ID:Opb9nYyko
―翌日 教室―

サーバル「今日もこくご、するのかなぁ」

ハシビロコウ「さんすうかも」

プレーリードッグ「りかというものもあるらしいですよ。りかしつ、という場所で勉強するみたいであります」

スナネコ「なんですか、それ」

ビーバー「りかしつっすか。確かホネのフレンズがいたっすよね」

スナネコ「ホネ。興味あります」

サーバル「すっごく怖いんだよ!?」

かばん「……」

ハシビロコウ「サーバル」

サーバル「なぁに?」

ハシビロコウ「かばん、元気ないみたいだけど」

サーバル「え? そ、そそ、そーかなぁ。いいい、いつもとおなじだよー」

カワウソ「今日の授業まだかなー。まだかなー」

ツチノコ「おーし、席つけ―」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:43:38.14 ID:Opb9nYyko
カワウソ「なにするのー! なにするのー!?」

ツチノコ「静かにしろぉ! えー……。残念だが、ジャパリスクールは今日までとする」

サーバル「えぇー!? なんでー!? どうしてー!?」

プレーリードッグ「急すぎるであります!!」

ビーバー「おれっちたち、まだ殆ど勉強してないっすけど」

ハシビロコウ「……」

かばん「……」

ハシビロコウ(あまり驚いてない……。知ってたのかな)

スナネコ「どうしてなのですか」

ツチノコ「昨日の夜、セルリアンが見つかった。それもかなりの大群だ」

カワウソ「それがどうしたのー?」

ツチノコ「そいつらはここを目指している。ここで勉強なんてしてたらセルリアンの群れに飲み込まれるぞ」

ビーバー「そ、それはこわいっすね……」

かばん「それは、ぼくたちが、学校にいたからですか?」

スナネコ「かばん?」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:52:08.35 ID:Opb9nYyko
ツチノコ「それは否定できないな。過去にも似たようなことがあったし」

かばん「どうして、それを教えてくれなかったんですか」

ツチノコ「悪い。そんなことを言えば、怖がって誰も来なくなる可能性があったからだ」

ツチノコ「俺もハカセらも、フレンズは学べるってことを知ってほしかったんだ」

ツチノコ「学べば学ぶほど、色んなことを知る。そうしたらできることが多くなる」

ツチノコ「フレンズたちに野生以外の力が手に入る。知識っていう力がな」

ツチノコ「成長してほしかったんだ。ただただ動物のときと同じように寝て、食べて、また寝て。それはそれで幸せだと俺も思う」

ツチノコ「だが、フレンズになれたのならもっとできることがあるんだ。それを知っているのと知らないでは大きな差がある」

ツチノコ「黙っていたことは謝る。すまん」

かばん「……」

サーバル「逃げなきゃいけないの? やっつけちゃえばばなんとかなるんじゃない?」

ツチノコ「バカ野郎。逃げればなんの危険もないんだよ」

サーバル「そうだけど……」

ビーバー「もう学校には集まれないってことっすかね」

ツチノコ「そうなるな。ここはセルリアンを呼び寄せてしまうエリアみたいだ。だから、フレンズたちも自然とここをナワバリにはしなくなったんだろ」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 23:58:05.06 ID:Opb9nYyko
スナネコ「もしにゅうがくしきのときにセルリアンが攻めてきていたらどうするつもりだったのですか?」

ツチノコ「この学校の周りには何重にも対策を講じてあった。いきなり襲われる心配はなかった」

ハシビロコウ「そうなんだ……」

ツチノコ「とにかくだ。ここにいたら危ない。全員、体育館に集まれ。卒業式を始めるぞ」

サーバル「そつぎょうしきって?」

ツチノコ「この学校で学ぶことはなくなったことを証明する儀式だな」

サーバル「まだまだたくさん勉強することあるよ!」

ツチノコ「ここから離れたら個人的に勉強させてやるよ!!」

プレーリードッグ「それならまぁ、いいでありますか」

ビーバー「みんな一緒がよかったっすけどね」

スナネコ「ここ、楽しいことが多かったので気に入っていたのですが……」

カワウソ「つまんなーい」

ツチノコ「いいから、移動しろ!!」

ハシビロコウ「……」

かばん「卒業式……」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:03:48.34 ID:fLW+dB+to
―体育館―

ワシミミズク「急なことで困惑しているかもしれないですが、事情はわかってくれているのですか」

サーバル「わかってるけど」

スナネコ「納得はしていませんよ」

オオコノハズク「きちんと謝るのです。我々の都合に付き合わせて申し訳ないのです」

ワシミミズク「ごめんなさいなのです」

トキ「歌……まだ完璧じゃなかったのに……」

イワビー「どうすんだよ……」

アルパカ「はぁーぁ……。もうおしまいかぁ……。ペェ!!」

オオカミ「フレンズたちがみんなで学ぶ。儚い夢、だったね」

プレーリードッグ「あの!! また学校で勉強がしたいであります!!」

オオコノハズク「約束はできないですが、安全が確保されたら勉強するのです。みんなで」

ツチノコ「フレンズが集まれば、そこにセルリアンが来てしまうって問題を解決できなきゃ無理だろうけどな……」

ワシミミズク「かばん、あなたから卒業生代表としての言葉をもらいたいので、こちらに来てもらえますか」

かばん「ぼくが代表なんですか!?」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:12:48.17 ID:fLW+dB+to
オオコノハズク「言ったはずなのです。かばんには大切なことを教えてほしいと」

かばん「ぼくが気が付くこともわかっていたんですか」

オオコノハズク「……お願いするのです」

かばん「はい……」

かばん「みなさん。ここは昔、数多くのフレンズさんたちが通っていて、色んなことがあったんだと思います」

かばん「楽しいこと、悲しいこと。きっと、想像できないくらい多くのことがあったはずです」

かばん「けど、それをセルリアンが奪ってしまった」

サーバル「……」

かばん「ここには無くなった思い出があります。もう直せない思い出です」

かばん「ぼくは、それを埋めたいって思いました。新しくぼくたちの思い出で無くなった部分に足したいって」

かばん「昨日の絵も飾りました。みんなが一生懸命書いた自分の名前も飾られています」

ツチノコ「……」

かばん「もっと、もっと、もっと、色んな思い出を飾りたかった」

かばん「昔のフレンズさんたちに負けないぐらい、楽しい思い出を」

カワウソ「だったら、もっと勉強しよーよ。なんでそつぎょーしちゃうのー?」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:20:28.73 ID:fLW+dB+to
かばん「それはセルリアンが……」

カワウソ「セルリアンは確かにこわいけどー。別にーここで一緒にやらなくてもいいじゃない? どこか違うところで一緒にやればいいよー」

カワウソ「そのときはジャガーちゃんも一緒がいいなー。わー、たーのしそー!」

ビーバー「いいっすねぇ。おれっちもそれがいいっす」

かばん「多分、長い時間多くのフレンズさんたちが集まっていること自体、とても危ないんだと思います」

カワウソ「えー……」

ツチノコ「まぁ、そこは試してみないことにはわからないけどなぁ。ここだけにセルリアンは集まってくる可能性もある」

プレーリードッグ「何事も試してみるでありますよ!! ひょっとしたらひょっとするであります!!」

オオコノハズク「どちらにせよ、ここからは退避するのです」

ワシミミズク「危ないので」

プレーリードッグ「うぅ……」

ハシビロコウ「……」

かばん「みなさん。ぼくだって納得はできていません。けれど、みなさんが傷ついてしまうのは嫌です。だから、今日で……卒業しましょう……」

サーバル「うんっ。そうだね。危ないなら、にげないと」

かばん「サーバルちゃん……」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:25:10.28 ID:fLW+dB+to
サーバル「みんな!! 楽しかったでしょ!? すっごく、すっごーく! 楽しかったでしょ!?」

サーバル「だったら、もういいじゃない! こんなに楽しいこと、ずっと味わってたら他の楽しいことがつまんなくなっちゃうかもしれないよ!?」

スナネコ「それは困りますね」

サーバル「でしょー!? だったら、今日ですっごーく楽しいことは終わりにして、明日からすごく楽しいことを探そうよ!」

サーバル「私はかばんちゃんと一緒なら、見つけられると思うから」

かばん「……」

トキ「そうね。我慢も時には必要なことね」

アルパカ「歌の練習はカフェでやればいいにぇ」

トキ「そうね」

イワビー「……」

オオカミ「まだ納得できないかい」

イワビー「いや、逃げるのはいいんだけどな」

カワウソ「あーあ、しかたないかー」

プレーリードッグ「サーバル殿のいうこともわかるであります」

ビーバー「そうっすね。もう二度と勉強できないわけじゃないっすもんね」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:30:26.27 ID:fLW+dB+to
オオコノハズク「それでは卒業式を終わるのです」

ワシミミズク「忘れ物がないように速やかに避難するのですよ」

ツチノコ「できるだけ遠くに逃げろよ。まだまだ時間はあるし、焦ることはないからなー」

カワウソ「はぁーい」

かばん「ありがとう、サーバルちゃん」

サーバル「どうして?」

かばん「皆を納得させてくれたから」

サーバル「私は思ったことを言っただけだよ」

かばん「そこがサーバルちゃんの良さなんだろうね」

サーバル「うみゃぁ?」

オオコノハズク「かばん」

かばん「はい?」

オオコノハズク「改めて、お詫びをするのです」

ワシミミズク「申し訳なかったのです」

かばん「いいんです。ハカセたちは、僕らの成長を考えてくれていたんですから。それに、短かったけど、すっごく楽しかったです」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:34:05.45 ID:fLW+dB+to
―正門―

カワウソ「がっこー!! まーたねー!!」

プレーリードッグ「絶対に戻ってくるでありまーす!!」

ビーバー「おれっちももどってくるっすー」

ハシビロコウ「……」

かばん「忘れ物はない?」

サーバル「大丈夫!!」

ラッキービースト『ジャパリバスデ ミンナヲ ハコブヨ』

かばん「お願いします」

トキ「それじゃあ、私たちは飛んで帰るわね」

アルパカ「またカフェにきてねぇー」

サーバル「うん!!」

イワビー「どうするかなぁ……。まぁ、どこかで会えるか……?」

ラッキービースト『ハッシャスルヨ』

かばん「はい」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:41:24.95 ID:fLW+dB+to
―ジャパリバス 車内―

サーバル「ねえねえ、文字の練習はどこでもできそうだよね」

スナネコ「そうですね。ぼくも飽きるまで練習しますよ」

サーバル「絶対に帰るまでに飽きてるでしょ、スナネコ」

ツチノコ「ちっ……。折角、アレをやろうとおもってたのになぁ……」

カワウソ「がっこー、またいきたいなー」

ハシビロコウ「あの」

かばん「はい?」

ハシビロコウ「私たちが避難したら、セルリアンはどこに行くの? 追ってこないの?」

かばん「そういえば……」

ツチノコ「大丈夫だろ。あいつらはサンドスターの濃度が濃いところへ移動していく。おれらがこうして移動していれば問題ない。残り香が蓄積している学校を目指すはずだ」

かばん「え……」

ハシビロコウ「それならよかった」

かばん「ツチノコさん……それって……今からセルリアンの大群は学校に進み続けるってことですか……」

ツチノコ「俺たちはずっとあそこにいたからなぁ。俺たちからこぼれ出た分のサンドスターを搾り取りにくるはずだ」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:45:11.15 ID:fLW+dB+to
サーバル「セルリアンってそこまでするんだねー」

スナネコ「食い意地がはっていますね。サーバルみたいです」

サーバル「私はそんなに食いしん坊じゃないよ!!」

かばん「ラッキーさん!! 止まって!!」

ラッキービースト『ワカッタヨ』キキッ

ツチノコ「な、なんだよ」

ビーバー「どうしたっすか……」

かばん「忘れ物を思い出しました」

ツチノコ「なに?」

かばん「みんなが書いた自分の名前。あと、絵です」

ツチノコ「お前……」

かばん「まだ時間はあるんですよね。今から戻れば……」

ツチノコ「待て! もう小型のセルリアンは到着しているかもしれないぞ!」

かばん「けど、もし……あの絵やみんなの名前が……セルリアンに奪われたら……」

サーバル「かばんちゃん……」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 00:51:16.24 ID:fLW+dB+to
イワビー「また描けばいいんじゃないか」

プレーリードッグ「そうであります」

ハシビロコウ「……」

ツチノコ「諦めろ。それに絶対に無くなるわけじゃない。運がよければ……」

かばん「でも……」

ハシビロコウ「それだけじゃないんじゃない?」

スナネコ「え?」

かばん「ハシビロコウさん……」

ハシビロコウ「私たちのモノより、守りたいものがあるんでしょ」

かばん「……」

カワウソ「それって、昔のフレンズが残した絵とか?」

かばん「ダメ、でしょうか」

ツチノコ「あぁ。ダメだな。会ったこともない、顔も知らないフレンズのためになんえ命をかけられる。しかも無くなるのは、ただの紙とそれに使われた塗料だけだぞ」

かばん「違います。無くなるのは、思い出なんです。あの学校に残った、思い出なんです」

サーバル「……」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/25(月) 00:51:58.35 ID:fLW+dB+to
>>165
ツチノコ「あぁ。ダメだな。会ったこともない、顔も知らないフレンズのためになんえ命をかけられる。しかも無くなるのは、ただの紙とそれに使われた塗料だけだぞ」

ツチノコ「あぁ。ダメだな。会ったこともない、顔も知らないフレンズのためになんで命をかけられる。しかも無くなるのは、ただの紙とそれに使われた塗料だけだぞ」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 01:00:18.55 ID:fLW+dB+to
ツチノコ「思い出がなくなるからってなんだ」

かばん「……」

ツチノコ「当時のフレンズもヒトも、パークにはいない。守るだけの価値はない。歴史的価値はあるけどな」

かばん「ぼくはサーバルちゃんと出会って沢山助けられました」

かばん「カワウソさんやトキさんやビーバーさん……。みんなのことは、きっと誰かに伝えます」

かばん「こんなに素敵なフレンズさんがいるんですよって、広めたいから」

ツチノコ「何が言いたい」

かばん「当時のことを知っているヒトやフレンズさんはどこかにいるかもしれないじゃないですか。学校に通っていたヒトから聞いたかもしれないじゃないですか」

かばん「学校って楽しいところなんだって。学校はみんなが一緒に笑い合えたところなんだって」

ツチノコ「それを聞いたやつが学校に行って、絵がなくなっているのを見て悲しむ。そういいたいわけだな」

かばん「はい」

ツチノコ「冷静になれ。そんな奇跡みたいなことはない。このまま遠くにいくぞ」

かばん「失くしてはいけないと思うから」

ツチノコ「いい加減に……!」

かばん「ぼくには記憶がありませんでした。自分が何の動物なのかもわかりませんでした。サーバルちゃんたちが手伝ってくれて、ここまで来ることが出来ました。だから、ここで、このパークで手に入れたものが、ぼくの全てなんです」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 01:08:00.04 ID:fLW+dB+to
かばん「何一つ、奪われたくはないんです」

ツチノコ「ふざけんな。いいから逃げるぞ」

かばん「お願いします!! せめて! せめて! 昨日、みんなが描いた絵だけでも……!!」

ツチノコ「うるせええ!!!」

かばん「……!?」

ツチノコ「ここで描け。それで解決だろうが」

かばん「……」

ツチノコ「分かってくれよな……ったく……」

サーバル「戻ろうよ!」

かばん「え……」

サーバル「昨日、描いた絵なんて、もう一度描けないもん。取りに戻らなくちゃ」

ツチノコ「サーバル!!」

サーバル「かばんちゃんと出会った場所も、一緒に歩いた道も、一緒に登った山も、全部私にとっては大切な宝物だもん」

サーバル「これからかばんちゃんと行く場所だって、見てないところだって、全部宝物だもん」

サーバル「だから、あの絵だって、私の命よりも大切なものなの。たった一つしかない、かばんちゃんの絵なの」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 01:11:51.09 ID:fLW+dB+to
ツチノコ「おまえ……しにたいのかよ……!!」

サーバル「だいじょーぶ!! まだセルリアンは来てないんでしょ! 急いで戻るよ!」

ツチノコ「何があっても不思議じゃないんだぞ!?」

サーバル「行こう、かばんちゃん」

かばん「でも……」

サーバル「それとついでに守ろうよ。昔のフレンズの思い出」

かばん「サーバル……ちゃん……」

サーバル「私とかばんちゃんなら守れるよ!」

かばん「……ぼくのわがままだよ」

サーバル「うん」

かばん「危ないよ?」

サーバル「わかってるよ」

かばん「怪我じゃ済まないかもしれないよ」

サーバル「ぜーんぜん、こわくないよ! だって、かばんちゃんといっしょだもん!」

かばん「……ごめんなさい。ツチノコさん」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 01:15:19.45 ID:fLW+dB+to
ツチノコ「あ!? まて!!」

サーバル「いそごう!!」

かばん「うんっ!!」

ツチノコ「もどってこーい!!! シャー!!!」

カワウソ「あーあ、いっちゃったー」

ハシビロコウ「……」

プレーリードッグ「どうするでありますか」

オオカミ「さて、どうしようかな」

イワビー「ったく、しょうがねえなぁ」

ツチノコ「何をするつもりだよ」

イワビー「ハカセに言われてるんだよなぁ。教師は生徒を守らなくちゃいけないってよ」

オオカミ「そうだったのか。では、私もいかないとね」

ビーバー「いいんっすか」

イワビー「なんとかなるだろ。んじゃ、いってくるぜー」

ツチノコ「ば、ばかやろー!!!!」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 01:19:13.74 ID:fLW+dB+to
カワウソ「よいっしょっと」

ツチノコ「なんで降りた……」

カワウソ「んー? だってー、学校の方がおもしろそーなんだもーん! キャハハッ」

ツチノコ「お前らはどうして揃いも揃って……!!」

ハシビロコウ「カワウソ!」

カワウソ「なぁに?」

ハシビロコウ「私が運んでいく」

カワウソ「やったー、らーくちーん!」

プレーリードッグ「我々もいきましょう!!」

ビーバー「そうっすね」

ツチノコ「やめろって!!」

プレーリードッグ「すぐに戻ってくるでありますよ」

ビーバー「だいじょうぶっす」

ツチノコ「アホかぁぁぁ!!!」

ラッキービースト『カバン……』
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/25(月) 01:23:29.44 ID:fLW+dB+to
スナネコ「……」

ツチノコ「お前までいくのか?」

スナネコ「行きます」

ツチノコ「好きにしろよ……」

スナネコ「一緒にいきませんか」

ツチノコ「行くかっ」

スナネコ「そうですか。では、行ってきますね」

ツチノコ「おい」

スナネコ「はい?」

ツチノコ「かばんたちに伝えてくれ、頭を使えよってな」

スナネコ「はい。頭突きですね」

ツチノコ「ちがーう!!」

スナネコ「冗談ですっ。では」タタタッ

ツチノコ「まぁ、確かに時間には多少の余裕はある……。それまでにできることをしておくか。どうせあいつらすぐにもどってこないだろ……」

ラッキービースト『……』
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/25(月) 08:05:54.01 ID:wbJh0rRvo
わからん……ここから先どうなるか全然わからん!
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 15:30:34.85 ID:IRI4mxqMo
サーバル「結構、遠くまで来ちゃってたね。がっこーまで少しかかりそう。セルリアン出てくるかな」

サーバル「あ、でも、セルリアンが出てきても自慢の爪でやっつけちゃうから! 安心して、かばんちゃん!」

かばん「サーバルちゃん……。本当によかったの?」

サーバル「私もね、かばんちゃんの気持ち、わかるんだ」

かばん「え?」

サーバル「あの学校にあったものを見て「こんなことがあったんだー」って喜ぶフレンズだっているかもしれない」

サーバル「誰かに聞いただけだけど「ここではこんなに楽しいことをしてたんだー」って喜ぶ子だっているかもしれない」

かばん「……」

サーバル「あとね! 憶えてないし、知らないけど、学校とか絵とか勉強したノートを見て、なんだか懐かしくなって、嬉しくなって……」

サーバル「ちょっぴり、悲しくなるけど、でも、それでもたのしーって思える。そんな子だっているかもしれないよ」

かばん「それって、ロッジで見たミライさんの映像のこと……?」

サーバル「うーん、よくわかんないや」

かばん「えぇ……?」

サーバル「けど、かばんちゃんが出会ったことも見たことのないフレンズたちの思い出を守りたいって思えたのも、似たようなことなんじゃないかなって」

サーバル「学校にあったものを守りたいって思ったのはかばんちゃんがとっても優しいからってだけじゃないよ、きっと」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 15:40:05.10 ID:IRI4mxqMo
かばん「それって……」

サーバル「かばんちゃんにとって、あの学校にはなにかあるんじゃないかな。私はそう思ってたんだけど」

かばん「ぼくにとって……。ぼくはあの学校を……」

サーバル「急ごうよ! かばんちゃん! セルリアンが来ちゃう前にツチノコのとこに戻らなきゃ、また怒られちゃうよ!!」

かばん「……うんっ」

サーバル「よーし!! がっこうまでいっちょくせんだー!! うみゃみゃみゃー!!」

かばん「まってよー!! サーバルちゃーん!!」

ガサガサ……

サーバル「かばんちゃん! 止まって!!」

かばん「え!?」

サーバル「……」

かばん「な、なにかいたの……?」

サーバル「あれー? 今、そこで何かが動いたような気がしたんだけどなー」

かばん「気のせい?」

サーバル「そうかも。ごめんね、さー、あらため、しゅっぱーつ!」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 16:06:22.21 ID:IRI4mxqMo
―正門―

サーバル「ここまでセルリアンはいなかったね」

かばん「うんっ。まだ大丈夫みたいだね」

サーバル「まずはどうするの? 私たちの描いた絵を持ちだすだけじゃダメなんだよね?」

かばん「以前、ここにセルリアンがきたときに貼られていた作品は破れちゃったり、文字が掠れちゃってたりしたみたいだし」

かばん「セルリアンにちょっとでも当たっちゃうだけで影響が出ちゃうとしたら……」

かばん「サーバルちゃん、少し大変だけど大きな穴を掘りたい」

かばん「穴を? いいよ! どこに掘る?」

かばん「目立たなくて……ある程度の広さがあるところがいいけど……」

サーバル「どこにする?」

かばん「そうだね……。それじゃあ、あののぼりぼうの傍にしよっか」

サーバル「わかったー!」

かばん「穴を掘ったら、みんなの作品を集めて、穴の中に埋めちゃおう」

サーバル「それで隠すんだね!」

かばん「うん。けど、あの量だし、直接土の中には入れられないから、丁度いい箱か何かがあればいいんだけど」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 16:15:36.82 ID:IRI4mxqMo
サーバル「それなら――」

ビーバー「材料さえあれば、つくれるっすね」

かばん「ビーバーさん!?」

プレーリードッグ「私も穴を掘るお手伝いをするであります!!」

かばん「どうして……」

ビーバー「おれっち、かばんさんにはお世話になったっすから。恩返しぐらいさせてほしいっす」

プレーリードッグ「私もであります。あと、学校で穴掘りがしてみたかったでありますよ」

サーバル「すみません。ぼくなんかのために」

ビーバー「急がないとセルリアンが来ちゃうっすよ」

プレーリードッグ「私が穴を掘って、ビーバー殿が入れ物を作るので、かばん殿たちは作品を回収してきてほしいであります」

サーバル「かばんちゃん」

かばん「うんっ。すみませんが、お願いします」

ビーバー「まかせてほしいっすぅ」

プレーリードッグ「がんばるであります!!」

かばん「行ってきます!」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 16:21:44.14 ID:IRI4mxqMo
―廊下―

かばん「早速、全部集めよう」

サーバル「改めて見てみると、たっくさんあるねー」

かばん「うん。どれだけ時間がかかるかはわからないけど……」

サーバル「へーき、へーき! 私とかばんちゃんが集めればすぐだよ!」

かばん「ありがとう」

サーバル「さー! あつめるぞー!!」

カワウソ「おー!!」

ハシビロコウ「おー」

サーバル「うわぁぁ!?」

カワウソ「なになに!? 何かいた!? 何かいた!? セルリアン!?」

サーバル「カワウソとハシビロちゃんに驚いたんだよ!!」

かばん「ハシビロコウさん……カワウソさん……。追いかけてきてくれたんですか?」

カワウソ「うんっ。かばんたちを追いかけたほうが面白そうだったもんねー」

ハシビロコウ「ごめんね。けど、私でも手伝えることがあるかもしれないし……」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:34:16.89 ID:IRI4mxqMo
カワウソ「わたしは楽しいことの味方だけどねー」

かばん「本当に、本当にありがとうございます。あの、それじゃあ……」

カワウソ「あつめちゃうぞー!」

ハシビロコウ「ここから絵をとっていけばいい?」

かばん「はい。ただ紙は破れやすいので注意してくださいね」

サーバル「わかったよ!」

カワウソ「やってみるねー」

ハシビロコウ「緊張するかも」

かばん「みんなで集めればセルリアンが来る前に全て回収できそうです」

ハシビロコウ「うん。早く終わらせないと」

カワウソ「わーい、かいしゅーかいしゅー。ほいっ、ほいっ」

サーバル「カワウソ、もうちょっと優しく剥がさないと破れちゃうよ」

カワウソ「だいじょーぶだってー。キャハハッ」

サーバル「もー破ってもしらな――」ビリッ

カワウソ「あっ」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 19:11:40.15 ID:IRI4mxqMo
かばん「よいしょ……うーん……」

ハシビロコウ「高い位置にあるのは私に任せて」

かばん「すみません」

ハシビロコウ「気にしないで」

かばん「ありがとうございます」

ハシビロコウ「よっ……と……。まだまだあるね」

かばん「はい。けど……」

ハシビロコウ「ここにはヒトもいたんだよね」

かばん「フレンズさんはヒトに色々と教えてもらっていたみたいですから」

ハシビロコウ「あなたも……」

かばん「はい?」

ハシビロコウ「あなたも、ここに居たとか?」

かばん「わかりません。どこをみても、見覚えなんてありませんし」

ハシビロコウ「フレンズ化する前のあなたはここで何かを教えていた。だったら、素敵かも」

かばん「ぼくもそう思います」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 19:18:33.18 ID:IRI4mxqMo
サーバル「かばんちゃん! かばんちゃん!!」

かばん「どうかしたの?」

サーバル「ごめん!! 一枚、やぶっちゃったの!!」

かばん「あー……」

カワウソ「ごめんねー。元にもどらない?」

サーバル「カワウソは謝らなくていいよ。私が破ったんだし……」

カワウソ「私も傍にいたからねー。謝っておかないとねー」

かばん「サーバルちゃん」

サーバル「は、はい!」ビクッ

かばん「元に戻す方法はあとで考えよう。今は集めることが大事だから」

サーバル「気を付けるね」

かばん「ううん。協力してくれるだけで嬉しいから、何も気にしないで」

カワウソ「がんばるねー」

ハシビロコウ「そういえば美術室にもたくさん絵があったような」

かばん「作品が飾られている教室自体、かなりありますから。一部屋一部屋回って、出来る限り多くの作品を回収したいですね」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 19:23:14.26 ID:IRI4mxqMo
―グラウンド―

サーバル「よーいしょ、よーいしょ」

カワウソ「どこまではこぶのー」

かばん「プレーリーさんが穴を掘ってくれているので、そこまで持っていきます」

ハシビロコウ「埋めるんだ」

かばん「ビーバーさんが作品を仕舞うための箱を作ってくれています。箱に作品を入れて、埋めれば汚れることもないですから」

サーバル「まだまだ回収しなきゃいけないし、早く運んじゃおー」

カワウソ「おー!」

かばん「ビーバーさん、プレーリーさん、穴は――」

プレーリードッグ「かばん殿! 見ていただけますか!!」

かばん「お、おおきい……!? 短時間でこれだけ掘ったんですか!?」

スナネコ「満足?」

かばん「す、スナネコさん……」

スナネコ「バスで待っているのも飽きるので、追ってきました」

かばん「スナネコさんまで、ありがとうございます」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 19:27:43.68 ID:IRI4mxqMo
ビーバー「うーん……。これぐらいの箱でいいっすかねぇ」

かばん「ビーバーさん」

ビーバー「あぁ、かばんさん。一応、試作品で箱を作ってみたっすけどぉ」

かばん「十分です。ありがとうございます」

ビーバー「本当ならプレーリーさんに頼むところなんっすけどね……。こんな出来で申し訳ないっす」

かばん「いえ、立派すぎるほどです。早速これに作品を保管しましょう」

ビーバー「はいっす」

かばん「まずは箱を穴に入れて……」

スナネコ「手伝います」

プレーリードッグ「私も持つであります」

ビーバー「これでいいっすね」

かばん「サーバルちゃん、カワウソさん、ハシビロコウさん。持ってきた作品を入れてください」

サーバル「うんっ!」

カワウソ「ここで投げちゃだめなんだよねー」

ハシビロコウ「うん。そっと置くほうがいいと思う」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 19:34:37.61 ID:IRI4mxqMo
カワウソ「ぜーんぶ、いれたよー」

かばん「ありがとうございます。次の分を回収してもらえますか」

カワウソ「おっけー!」

ビーバー「ここからはおれっちたちも手伝うっす」

プレーリードッグ「任せてください!!」

スナネコ「飽きるまでがんばりますよ」

サーバル「飽きちゃだめだよ!!」

ハシビロコウ「手分けしたほうがいいかも。部屋が多いし」

かばん「そうですね。ええと……」

カワウソ「がっこーの部屋って何部屋あるのー?」

プレーリードッグ「たくさんであります」

ビーバー「学校は三階建てっすね。これを7で分けるとなると……」

カワウソ「階数ごとで2、2、3ってわかれるの?」

ビーバー「それがいいかもしれないっすね」

サーバル「よーし!! みんなであつめよー!!」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 20:10:57.00 ID:IRI4mxqMo
―3階―

カワウソ「この教室って何につかうんだろー? ねえねえ、はいっていい? はいっていい?」

ハシビロコウ「作品が飾ってあるなら……」

カワウソ「入っちゃったー!!」

ハシビロコウ「この部屋は……」

スナネコ「教室の扉の上に文字がありますよ」

ハシビロコウ「この文字は……」

カワウソ「なになにー? なんてかいてあるのー?」

スナネコ「ぼくは習っていないので、わかりません」

カワウソ「最初の文字は「し」でしょー? ハシビロコウの「し」じゃない?」

ハシビロコウ「うん。次の字はツチノコの「ち」かな?」

スナネコ「小さな文字はわかりませんね」

カワウソ「その次はわかるよー。コツメカワウソの「う」でしょ!? ねーねー! 「う」だよねー!?」

ハシビロコウ「次はかばんちゃんの「か」。次がプレーリードッグの「ぐ」に点々がない文字みたい……」

スナネコ「あとは「し」と「ツチノコの「つ」。まとめると、しちうかくしつ、になりますね」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 20:17:08.95 ID:IRI4mxqMo
―2階―

プレーリードッグ「はい、であります! はい、であります!」スッスッ

ビーバー「プレーリーさんは相変わらず仕事がはやいっすね」

プレーリードッグ「早く回収しないとセルリアンが来てしまうであります」

ビーバー「そうっすね」

プレーリードッグ「そういえば、オオカミ殿とイワビー殿はどうしたでありましょう。姿をみていないでありますが」

ビーバー「途中で見失ったっすねぇ。迷った、とは思えないっすけど」

プレーリードッグ「こっちは終了であります!! 次の教室に向かうであります!!」

ビーバー「はいっす」

プレーリードッグ「お邪魔するであります!!」ガチャ

ビーバー「ん……?」

プレーリードッグ「ビーバー殿、どうしたでありますか?」

ビーバー「あの……窓の外……。遠くから何か来てるような気がするっす……」

プレーリードッグ「え? あれは……」

ビーバー「セルリアン……。かなり近くまで来ちゃってるっす。急がないと」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 20:35:23.71 ID:IRI4mxqMo
―1階―

サーバル「1階はこれでおしまいだね」

かばん「うん。箱に入れにいこうか」

サーバル「セルリアン、まだ来てないかな」

かばん「どうだろう。1日ぐらいの余裕はあるってツチノコさん言ってたけど」

サーバル「それならまだ大丈夫だね! いくよ、かばんちゃん!!」

ハシビロコウ「まって」バサッバサッ

サーバル「ハシビロちゃん! どうしたの? なんで降ってきたの?」

ハシビロコウ「窓から外をみたら、セルリアンが近づいているのが見えて……」

かばん「すぐに到着しそうなんですか」

ハシビロコウ「まだ大丈夫だと思うけど、全部の作品を回収する時間はないかもしれない」

かばん「……」

サーバル「できるところまででいいから、集めようよ」

かばん「そうだね。ギリギリまで集めたい」

ハシビロコウ「みんなに伝えてくる」バサッバサッ
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 20:49:24.17 ID:IRI4mxqMo
―グラウンド―

カワウソ「これでよーし!」

ビーバー「回収した分の作品、入れ終わったっす」

かばん「では、箱に蓋をして、穴を埋めて、ここから移動しましょう」

プレーリードッグ「残っている作品、まだまだあります。良いのですか?」

かばん「これ以上は危険すぎます。逃げましょう」

カワウソ「はぁーい!」

ハシビロコウ「……」

サーバル「かばんちゃん……」

かばん「どうしたの?」

サーバル「ううん」

プレーリードッグ「埋めたであります!!」

サーバル「はやっ!!」

かばん「す、すごいですね」

スナネコ「ぼくとプレーリーなら一瞬です」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 20:53:39.31 ID:IRI4mxqMo
かばん「今度こそ、忘れものはありませんか」

カワウソ「プレーリーの絵、もってるよー」

プレーリードッグ「私もカワウソ殿が描いてくれた絵、大切にもっているであります!!」

スナネコ「ぼくもオオカミが描いてくれた絵を回収しました」

サーバル「私もかばんちゃんから貰った絵、もってるよ」

かばん「ありがとう。では、バスに戻りましょう」

ハシビロコウ「……」

ビーバー「はいっすぅ」

スナネコ「またここで、遊びましょ」

サーバル「そうだね! 私も遊びたい!」

カワウソ「わたしもー! キャハハッ」

プレーリードッグ「もっと掘りたかったでありますなぁ」

ビーバー「今度来た時はいくらでもほれるっすよ」

プレーリードッグ「楽しみであります!」

かばん「……」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 20:58:19.51 ID:IRI4mxqMo
―森林―

カワウソ「バスどこだろー?」

ビーバー「もう少し先のはずっす」

プレーリードッグ「イワビー殿とオオカミ殿は戻っているのでしょうか」

スナネコ「学校には来ていませんね」

カワウソ「迷子になっちゃった!? イワビーとオオカミ、迷子になっちゃった!?」

ビーバー「それなら探さないと……」

サーバル「あれ!? かばんちゃん!? おーい!! かばんちゃーん!!」

プレーリードッグ「サーバル殿、かばん殿がどうしたでありますか」

サーバル「かばんちゃんがいないの!!」

カワウソ「なんで?」

サーバル「わからないよー!!」

スナネコ「ハシビロコウもいつの間にかいないような……」

サーバル「えー!? かばんちゃーん!! ハシビロちゃーん!!」

ビーバー「まさか……」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:01:51.18 ID:IRI4mxqMo
―学校―

かばん「みんな……ごめんなさい……」

かばん「よいしょ……んー……」

ハシビロコウ「とってあげる」

かばん「え……!?」

ハシビロコウ「やっぱり、全部守りたかったんだ」

かばん「どうして……」

ハシビロコウ「……」

かばん「これ以上、ぼくの我儘に……」

ハシビロコウ「ともだち、だから」

かばん「……」

ハシビロコウ「思い出だけ残っても、ともだちがいなくなるのは、悲しいから」

かばん「……すみません」

ハシビロコウ「全部、守ろう。いざとなったら空も飛べるし、いつでも逃げられるよ」

かばん「は、い……ありが、とうござい……ます……」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:10:41.57 ID:IRI4mxqMo
―体育館―

かばん「こっちのボールが沢山置いてある倉庫に仕舞います」

ハシビロコウ「ここなら残りの作品は全部隠せそうだね」

かばん「はい。あとはセルリアンが来るまでにどれだけ隠せるか、なんですけど」

ハシビロコウ「できるだけ急がないと」

かばん「あとは3階だけなのでなんとか間に合いそうです」

ハシビロコウ「さっき窓から見たときはもうすぐ到着しそうだったけど……」

かばん「そこまで近づいているんですか?」

ハシビロコウ「うん。見えたのは小型のセルリアンだけだったけど、それでもすごい数だった」

かばん「このままじゃ、いつセルリアンがきても……」

ハシビロコウ「……」

かばん「ハシビロコウさん?」

ハシビロコウ「最初のセルリアンが到着しちゃったみたい」

かばん「え……」

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:24:20.28 ID:IRI4mxqMo
かばん「うっ……」

ハシビロコウ「どうする」

かばん「もちろん、逃げましょう」

ハシビロコウ「……」

かばん「ハシビロコウさん……?」

ハシビロコウ「私の目を見て」

かばん「あの……」

ハシビロコウ「……」

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ

かばん「ハシビロコウさん、セルリアンが近づいてます!!」

ハシビロコウ「分かった……」ザッ

かばん「え……!?」

ハシビロコウ「えいっ!!」バシッ!!!

パァーン!!

ハシビロコウ「――セルリアンは倒していく。かばんちゃん、ここに残る思い出たちを守ってあげて」
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:27:38.69 ID:IRI4mxqMo
かばん「そんなのダメです!!」

ハシビロコウ「いいの。私がそうしたいだけ。私の我儘だから」

かばん「け、けど……」

ハシビロコウ「早く3階に」

かばん「そんな……にげましょう……」

ハシビロコウ「納得していないでしょ。だから、行って」

かばん「……」

ハシビロコウ「お願い」

かばん「……はい!!」

ハシビロコウ「かばんちゃんの後ろは私が守る」

かばん「くっ……!!」タタタッ

セルリアン「……」ポヨンッ

ハシビロコウ「2匹め……!」ザンッ!!!

かばん「ハシビロコウさん!!!」

ハシビロコウ「心配しないで。あなたに、セルリアンは近づけさせない」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:31:13.05 ID:IRI4mxqMo
かばん「すみません……!! すみません……!!」タタタッ

ハシビロコウ「――ここから先は通さない」

セルリアン「「……」」ポヨンポヨンッ

ハシビロコウ「ふっ!!」ザンッ!!!

パァーン!!!

ハシビロコウ「やぁ!」バシッ!!!

パァーン!!!

セルリアン「「……」」ゴゴゴッ

ハシビロコウ「増えてる……。でも、逃げない」

ハシビロコウ「ここで逃げたら、ヘラジカたちに笑われる」

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ

ハシビロコウ「はっ!!」

セルリアン「……」バキッ!!!

ハシビロコウ「ぐっ……!?」

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:35:14.17 ID:IRI4mxqMo
ハシビロコウ「うぅ……いたい……」

セルリアン「……」ポヨンッ

ハシビロコウ「そっちに……! そっちに行かないで!!」ザンッ!!!

パァーン!!

ハシビロコウ「はぁ……はぁ……」

セルリアン「「……」」ゴゴゴゴッ

ハシビロコウ「かばんちゃんを守れるのは、私だけ……だから……」

ハシビロコウ「絶対に……!! 通さない!!」

セルリアン「……」グワッ!!!

ハシビロコウ「あぶないっ!」

セルリアン「……」バキッ!!!

ハシビロコウ「きゃぁ!?」

セルリアン「……」

ハシビロコウ「かずが……おおすぎ……る……もう……」

セルリアン「……」グワッ!!!
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:39:10.20 ID:IRI4mxqMo
パァーン!!!!

ハシビロコウ「……え?」

カワウソ「わーい! やっつけたぞー!! キャハハハッ!!」

ハシビロコウ「カワウソ……」

セルリアン「……」ポヨンッ

カワウソ「ハシビロコウ……。怪我した? ねえ、怪我しちゃった?」

ハシビロコウ「こ、これぐらいは……へいき……」

カワウソ「そっか。怪我しちゃったんだー」

ハシビロコウ「カ、カワウソ……?」

カワウソ「そっかぁー……」

セルリアン「……」ゴゴゴゴッ

カワウソ「よぉーし、セルリアン。怪我しちゃったハシビロコウの代わりに、私と遊んでいってよねー」

カワウソ「私が満足するまで遊んでもらうよー。キャハハハハッ」

ハシビロコウ「カワウソ……おこってるの……?」

カワウソ「いっくぞー!!! おおあばれだー!!!」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:45:11.05 ID:IRI4mxqMo
―グラウンド―

ビーバー「いいっすか。セルリアンたちはこの学校を囲むように進んできてるっす。今から逃げても逃げ場はないっす」

プレーリードッグ「空を飛べればよかったであります」

スナネコ「ぼくたちに翼はありませんね」

ビーバー「けど、掘る力はあるっすよ」

スナネコ「はいっ」

ビーバー「学校を中心にして、円をかくっす。それで6等分にしちゃうっす」

ビーバー「プレーリードッグさんはこのエリア、スナネコさんはこのエリアに大きな落とし穴をつくってほしいっす。これだけでセルリアンの数を減らせるっすから」

プレーリードッグ「了解であります!!」

スナネコ「ツチノコのいっていた頭をつかえってこういうことですね」

ビーバー「おれっちはプレーリーさんに指示を出したいので一緒にいくっす。スナネコさんはわるいっすけど……」

スナネコ「だいじょうぶですっ」

ビーバー「すみません、よろしくおねがいするっす」

プレーリードッグ「出撃であります!!!」

スナネコ「久しぶりにがんばろうっと」テテテッ
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:49:45.31 ID:IRI4mxqMo
スナネコ「いってきますね」

オオカミ「ああ、よろしくね」

ツチノコ「さっさといってこい」

スナネコ「その前にあれをやっつけてください」

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ

ツチノコ「これぐらい自分でやれー!!! どぉりゃぁぁぁ!!!」ドゴォッ!!!

パァーン!!!

オオカミ「道が開いたよ。急げ」

スナネコ「どうもです」テテテッ

ツチノコ「ちっ……。面倒だな」

オオカミ「歴史的建造物を守るためだろう」

ツチノコ「そうだよ」

オオカミ「私は、大切な友達を守るため、だけどね」

ツチノコ「おまえ!! 自分だけ良い子ぶるなよ!!!」

オオカミ「そんなつもりはないよ。っと、次が来たようだ。ふんばりどころだね。生きて戻らないと、アミメキリンが怒ってしまうな。生き返って早く続きをかけと」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 21:56:17.99 ID:IRI4mxqMo
イワビー「おりゃぁぁぁ!!!!」パシンッ!!!

パァーン!!!

イワビー「くっそ……。こんだけがんばっても、何匹かは学校の中に入っちまうな……」

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ

イワビー「でも、数を減らせば……!! このやろー!!!」パシンッ!!!

パァーン!!!

イワビー「中にいる奴らがなんとかしてくれるだろ。多分」

セルリアン「「……」」ゴゴゴゴッ

イワビー「今度はこっちかよ!!!」パシンッ!!!!

パァーン!!

イワビー「はぁ……はぁ……。どこまで増えるんだ……こんなの……無理だろ……」

セルリアン「「……」」ゴゴゴゴッ

イワビー「……泣き言いっても、始まらないか」

イワビー「こいよ、セルリアン。ペンギンの翼じゃあ、空は飛べないけどなぁ……」

イワビー「海で泳げて!! 友達も守れるんだぁぁ!!!」パシンッ!!!
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 21:59:18.35 ID:sA8iqjmX0
全体的に死亡フラグを感じる
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 22:00:17.44 ID:IRI4mxqMo
―森林―

セルリアン「「……」」ゴゴゴゴゴッ

フェネック「このちほーセルリアンおおいねー、アライさぁん」ダダダッ

アライグマ「そんなこと言ってないでにげるのだー!!!」ダダダッ

パァーン!!!

フェネック「お?」

アライグマ「フェネック、倒してくれたのか!?」

フェネック「私じゃないねー」

オオコノハズク「ここまでセルリアンが来ていたのですか」

ワシミミズク「行きましょう、ハカセ」

アライグマ「ハカセたちなのだ! 助けてくれてありがとうなのだー!!」

オオコノハズク「貴方達は早く逃げるのです。これ以上は構っていられないのです」

ワシミミズク「助けに向かわなければいかないので」

フェネック「だれのことー?」

オオコノハズク「かばんたちがまだがっこーに残っているらしいのです」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 22:05:35.50 ID:IRI4mxqMo
アライグマ「がっこーってなんなのだ? あとかばんさんがいるのか!! あいたいのだー!!」

ワシミミズク「説明している時間もないのです」

オオコノハズク「我々はいくのです」

アライグマ「アライさんたちも一緒にいきたいのだー!!」

フェネック「……」

アライグマ「フェネック!! ハカセたちを追うのだ!!」

フェネック「セルリアンが向かってる方向とハカセたちが向かった方向は同じみたいだねー」

アライグマ「それがどうかしたのか?」

フェネック「つまりー、かばんさんは今、大ピンチってことだよー、アライさぁん」

フェネック「がっこーってところにセルリアンの大群が押し寄せてるみたいだからねー」

アライグマ「えぇぇ!! かばんさんが危ないのだ!!!」

フェネック「どーする、アライさぁん」

セルリアン「……」ポヨンッポヨンッ

アライグマ「うーん……。決まってるのだ!! ここでセルリアンを倒して、かばんさんに近づけさせないようにするのだ!! かばんさんはアライさんの命の恩人なのだ!! 命がけで恩返しなのだー!!!」

フェネック「あぁー。そうなっちゃうかぁ。わかったよ、それじゃあ、最後までアライさんに付き合うよ」
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 22:10:07.20 ID:IRI4mxqMo
アライグマ「のだー!!!」バキッ

パァーン!!

フェネック「よっと」バキッ!!!

アライグマ「順調なのだー!! ワハハハ!! アライさんとフェネックなら無敵なのだー!!」

フェネック「アライさぁん、ちゃんと数を数えてよー」

アライグマ「え?」

セルリアン「「……」」ゴゴゴゴゴッ

アライグマ「いっぱいなのだ」

フェネック「10匹以上からは数えないようにしてる?」

アライグマ「けど、ここで逃げたらかばんさんのところに向かってしまうのだ」

フェネック「はいはい。わかったよー」

アライグマ「かばんさんのところにだけはいかせないのだー!!」

フェネック「無茶しちゃだめだよー。アライさぁん」

アライグマ「ぜーんぜん、へっちゃらなの――」

セルリアン「……」グワッ!!!
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 22:14:51.51 ID:IRI4mxqMo
フェネック「アライさん!!!」

アライグマ「ひっ……!!」

パァーン!!!

フェネック「あ……」

アライグマ「え……?」

オーロックス「お前ら、こんなところで何をしている?」

アライグマ「た、たすかったのだ」

オーロックス「このエリアは俺の管轄だ。どこかに隠れていろ」

アライグマ「だ、だいじょうぶなのだ!」

フェネック「オーロックスがいるってことはぁ……」

オーロックス「威勢がいいな。だったら、手伝ってくれ。正直、俺だけでは苦しいかもしれないからな」

アライグマ「まかせるのだ!!」

フェネック「そっかぁ……。よぉーし、安心したよー」

アライグマ「何がなのだ?」

フェネック「顔は見えないけど、みんながいるってことだよー、アライさぁん」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 22:22:37.16 ID:IRI4mxqMo
カメレオン「――報告するでござる!! こちら側からも、反対側からもかなりの数が攻めてきているでござる!!」

ヘラジカ「ハカセたちの勘が当たったか」

ライオン「どーするぅ、ヘラジカぁ」

ヘラジカ「私たちは反対側に行こう。皆の者、ついてこーい!」

ヤマアラシ「おー!!」

シロサイ「いきますわー!!」

ライオン「いってらっしゃーい。たのむよー」

オリックス「大将、我々もセルリアンを迎え討ちましょう」

ライオン「いや、オリックとツキノワグマは学校のほうへいってあげて。かばんたちも不安になってるだろうしねぇ」

ツキノワグマ「いくら大将が強くても数が多くては……」

ライオン「だーいじょーぶぅ。ライオンが強い理由って知ってるぅ?」

オリックス「え……。ええと……」

ライオン「ぶっぶー。時間切れー。行って、ほら」

ツキノワグマ「わ、わかりました」

オリックス「大将……」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 22:28:45.25 ID:IRI4mxqMo
ライオン「……来たね」

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ

ライオン「おーおー、確かに大群だねぇ、こりゃあ」

セルリアン「……」ズゥンズゥン

ライオン「結構大きいのも一緒かぁ。こいつだけは通しちゃいけないなぁ」

ライオン「さて、セルリアン。ライオンが強い理由、知ってる? まぁ、しらないよねぇ」

セルリアン「……」ポヨンッ

ライオン「ライオンが、強いのはぁ――」

セルリアン「……」グワッ!!!

ライオン「らぁっ!!!」ザンッ!!!!!

パァーン!!!

セルリアン「……」

ライオン「いざってときに負けないためだ」

セルリアン「……」ズゥゥゥン

ライオン「大きい奴も小さい奴も一匹も通さんねえぞ。かかってこい、百獣の王が相手だ」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 22:33:48.79 ID:IRI4mxqMo
―学校 教室―

かばん「これで……全部……」

かばん「みんなは……!」

かばん「グラウンドで……みんなが戦ってる……」

かばん「みんなが……」

サーバル「かばんちゃん!!」

かばん「サーバルちゃん!?」

サーバル「もう!! 心配したんだよ!?」ギュゥゥ

かばん「ごめん……」

サーバル「戻るなら戻るっていってよ!!」

かばん「ごめん……」

サーバル「わたし……かばんちゃんがいなくなったら……なったら……」

かばん「もう、いなくならないから、ごめんね」

サーバル「かばんちゃんのばか……」

かばん「ありがとう……サーバルちゃん……」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 22:39:35.51 ID:IRI4mxqMo
オオコノハズク「かばん、無事ですか」

ワシミミズク「無事なのですね」

かばん「ハカセたち……」

オオコノハズク「ツチノコがラッキービーストを使って知らせてくれたのです」

ワシミミズク「何故、こんな危険なことをしたのですか」

かばん「すみません。どうしても……」

サーバル「かばんちゃんは、ただみんなの思い出を守りたかっただけなの」

オオコノハズク「かき集めた絵のことですか」

かばん「はい。ここであったことを失くしたくないって、思って……」

ワシミミズク「……」

オオコノハズク「とにかくかばんは逃げるのです。各エリアで多くのフレンズが戦ってくれていますが、それでも何匹かはこの学校に侵入してきてしまうのです」

かばん「ぼくだけが逃げるんですか?」

ワシミミズク「我々は戦えます。しかし、かばんに戦う力はないのです」

かばん「みんなで逃げましょう」

オオコノハズク「セルリアンが多すぎてすぐには退却できないのです。それに周りを囲まれているので」
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 23:00:51.61 ID:IRI4mxqMo
かばん「ぼくのせいで……」

サーバル「かばんちゃん、逃げて」

かばん「そんなことできるわけないよ!」

ワシミミズク「かばん、言うことを聞くのです」

かばん「ぼくの所為なんです!! なのに、ぼくだけが逃げるわけには……!!」

ワシミミズク「我々はかばんを失いたくないのです」

オオコノハズク「かばんだけでも守るのですよ」

オオコノハズク・ワシミミズク「「我々はフレンズなので」」

かばん「……!」

サーバル「私たちなら大丈夫! 自慢の爪でなんとかするから!! うみゃみゃみゃー!!」シャッシャッ

かばん「ぼくも……」

オオコノハズク「助手、かばんをお願いするのです」

ワシミミズク「任せるのです、博士」

サーバル「かばんちゃん、絶対に戻ってくるからね」

かばん「ま、まって……!!」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 23:08:27.31 ID:IRI4mxqMo
ワシミミズク「かばん、これ以上はいけないのです」

かばん「でも……!!」

ワシミミズク「美味しいものを食べてこその人生なのです」

かばん「……」

ワシミミズク「その美味しいものとは、ジャパリまんでも料理でもないことを我々はここで学んだのです」

ワシミミズク「皆で分け合い、皆で食べるものが美味しいものなのです」

かばん「だったら、行かせてください。ぼくも一緒に……」

ワシミミズク「誰かが欠けてはこの世に美味しいものがなくなっしまうのです。かばん、それを分かってほしいのです」

かばん「確かにぼくには戦う力はありません。木だって上手く登れません。水の中を泳ぐのだって得意じゃありません。速く走れもしません」

かばん「だけど……ぼくは……」

かばん「みんなの友達でいたいんです。一緒に楽しいことも悲しいことも、経験したいんです」

ワシミミズク「ダメです」

かばん「そんな……」

ワシミミズク「かばんには知識と知恵という我々にはない力があります。我々はセルリアンと戦える力があります。適材適所なのですよ。気にすることはないのです」

かばん「……っ」
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 23:10:10.06 ID:joxeOw+Eo
集団行動中の勝手な行動は全体が被害を被るのだ…
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 23:12:45.01 ID:ZgBzGiozO
それでも、友達にいきてほしいと思うのは罪ですか?
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 23:23:59.43 ID:IRI4mxqMo
―森林―

セルリアン「「……」」ゴゴゴゴッ

プレーリードッグ「きたであります!」

ビーバー「そのまま……そのままっす……」

ゴゴゴゴゴゴッ!!!

プレーリードッグ「おぉぉぉぉ!!! やったであります!! セルリアン、一網打尽であります!!」

ビーバー「これでこのエリアからセルリアンが学校に攻め込んでくることはないっすね」

プレーリードッグ「ビーバー殿のおかげでありますよ」

ビーバー「そんなことないっす。それよりもおれっちたちも学校にいくっす」

プレーリードッグ「了解!」

スナネコ「おっ」

ビーバー「スナネコさん。上手くいったっすか」

スナネコ「はいっ。こっちも成功したみたいですね」

プレーリードッグ「学校にいくであります!!」

スナネコ「はい。かばんとサーバルが心配です」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 23:28:49.31 ID:IRI4mxqMo
イワビー「ぐあぁ!?」

セルリアン「……」ポヨンッポヨンッ

イワビー「くっ……ここまでかよ……」

セルリアン「……」ポヨンッ

イワビー「もっと……アイドル……したかったな……」

イワビー「みんなと……もっと歌いたい曲だって……あったのに……」

イワビー「次のイワビー……いつ……うまれ――」

セルリアン「……」グワッ!!!!

イワビー(ペパプ……また……やりたいな……)

パァーン!!!

イワビー「……え?」

フルル「イワビー、トキってどこにいるのー? ぜんぜん見つからないんだけどー」

イワビー「ふ、ふるる……?」

フルル「うん。フルルー。ふんぼるとぺんぎんっ」

イワビー「……」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 23:35:26.60 ID:IRI4mxqMo
コウテイ「探したぞ」

ジェーン「大丈夫ですか?」

イワビー「あ……あはは……みん、な……」

プリンセス「トキの練習に付き合ってほしいって言われたから来たのに、これでできるの?」

フルル「トキー? どこー? トキー」

イワビー「……悪い、こんなときに呼んで……」

ジェーン「いいんです。良いところに来たぐらいです」

コウテイ「歌の練習をするにはこのセルリアンたちを倒さないといけないか」

プリンセス「みんな! アイドルの顔に傷がついたら大変よ!!」

コウテイ「分かっている」

プリンセス「けど、友達を傷つけたセルリアンが相手だから……」

ジェーン「だから、なんですか」

プリンセス「後先考えずに、踊りましょう!!」

フルル「はぁーい」

プリンセス「行くわよ!! ペパプの力、見せるときよ!!」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 23:41:56.10 ID:IRI4mxqMo
―正門―

ツチノコ「このやろぉぉ!!!」ドガァッ

オオカミ「ふんっ!!!」ザンッ

ツチノコ「きりがねえな……」

オオカミ「彼女たちの助力があっても、これではね」

オリックス「はぁ!!」ザンッ

ツキノワグマ「成敗!!」

ツチノコ「数が違い過ぎるんだよぉ!!!」バキッ!!!

セルリアン「「……」」ゴゴゴゴッ

オオカミ「せめて、セルリアンの気がを散らすものでもあればね。セルリアンが動きを止めれば、それだけ楽になるんだが」

ツチノコ「そんな都合のいいことあるわけ――」

「うぇぇぇかむぅぅ〜!!! よぉぉぉぉこそぉぉぉ〜!!! じゃぱぁぁぁりぱぁぁぁく!!! きょぉぉぉもどぉたぁんばぁたぁん、おぉぉさわぁぎぃ〜!!!」

オオカミ「な、なんだ……!?」


アルパカ「あはぁ。みんなぁ〜だいじょ〜ぶぅ! たすけにきたよぉ!」

トキ「うぅぅぅぅぅ……!! がぁぁぁおぉぉぉぉ〜ん!!」バサッバサッ
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 23:46:08.76 ID:IRI4mxqMo
オリックス「新たな敵か!!」

ツキノワグマ「空からなんて聞いてない!!」

ツチノコ「ひでえ歌声だな……」

オオカミ「けれど、都合のいいことが起こったようだ」

ツチノコ「なにぃ?」

セルリアン「……?」

セルリアン「???」


トキ「たぁぁからかにぃぃわらいわらえぇぇ〜ばぁぁ〜ふれぇぇんずぅぅ〜!!」

アルパカ「トキのうたぁ、きいてるぅきいてるぅ!」


セルリアン「?????」

ツチノコ「なんで動揺してるんだ? まぁいい、今がチャンスだ!!!」

オオカミ「いわれずとも!!」

オリックス「はぁぁぁ!!」

ツキノワグマ「おりゃー!」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 23:51:59.76 ID:IRI4mxqMo
―森林―

オーロックス「ふんっ!!!」ザンッ

アライグマ「のだぁー!!」バキッ!!

フェネック「今ので最後っぽいー?」

オーロックス「気配が消えたか」

アライグマ「ぜぇ……ぜぇ……」

フェネック「つかれたねー、アライさぁん」

アライグマ「こ、これで……かばん……さ……」ドサッ

フェネック「アライさん!? どうしたのさ、アライさん!!」

アライグマ「すぅ……すぅ……」

オーロックス「疲れと安心から緊張の糸が切れたみたいだな」

フェネック「もー、驚かせないでくださいよー、アライさぁん」

カメレオン「――伝令でござる!!」

オーロックス「どうした?」

カメレオン「そ、それが……!」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 23:52:06.19 ID:gXT/LKSeo
このセルリアンたちは音に反応するのだ?
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 23:56:35.84 ID:IRI4mxqMo
セルリアン「オォォォォォォ!!!!」ズゥゥゥン

ライオン「この……!! でかい癖にやけに素早いなぁ……」

セルリアン「オォォォォ!!!」ブンッ

ライオン「当たるかぁ!!」

セルリアン「……」ブンッ!!!

ライオン「そっちからも――」

セルリアン「オォォ!!」ドゴォッ!!!

ライオン「ごっ……!?」

セルリアン「……」ズゥゥン

ライオン「いったぁ……。このぉ……!」

セルリアン「オォォォ」

ライオン「百獣の王としてのプライドは、守るよ」

ライオン「王が負けて……!!」

ライオン「うちの子たちを守れるかぁ!!」

セルリアン「……」ドゴォ!!!
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/28(木) 00:01:59.54 ID:PCG2L7xVo
ライオン「がっ……!?」

セルリアン「オォォォ……」

ライオン「う……ぅ……」

セルリアン「「……」」ポヨンポヨンッ

ライオン「ちいさいやつらが……がっこうに……」

ライオン「くそ……せめて、このでかいやつだけは……!」

セルリアン「オォォォ!!!」

ライオン「こうなったら刺し違えても……!!」

セルリアン「オォォォォ!!!」ブンッ!!!

ギィィィン!!!

ヘラジカ「何を遊んでいる!! ライオン!!」

ライオン「ヘラジカ……」

ヘラジカ「カメレオンから応援要請がなければお前を見殺しにするところだったぞ!!」

ライオン「ごめんよ。ちょっとかっこつけちゃった」

ヘラジカ「王とは強くなくてはいけないからな。それも分かる。だが、無理なときはある。そんなときは、別の王を頼れ」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/28(木) 00:07:36.04 ID:PCG2L7xVo
ライオン「ヘラジカと一緒ならなんとかなるかなぁ」

ヘラジカ「ならんほうがおかしい」

セルリアン「オォォォォ……」

ライオン「百獣の王と……」

ヘラジカ「森の王を倒せると思うな」

セルリアン「オォォォ!!!」ブンッ

ヘラジカ「ふんっ!!!」ギィィン!!!

セルリアン「グアァ……」

ヘラジカ「どうした!! 私は避けることも逃げることもしないぞ!! どんどん打ち込んでこい!!」

セルリアン「オォォォォ!!!」ブンッ!!!

ヘラジカ「ふんっ!! きかんぞ!! セルリアン!!」

セルリアン「オォォォ……!」

ライオン「――がおぉぉぉ!!!」バキィ!!!

パァーン!!!

ライオン「はぁ……はぁ……。うしろが隙だらけだよ……。あーあ、こんな弱いやつに苦戦しちゃうなんてね」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/28(木) 00:11:54.00 ID:PCG2L7xVo
ヘラジカ「傷は?」

ライオン「へーき、へーき。いたた……。やっぱり、痛いかも」

ヘラジカ「全く。そうやってプライドを守ろうとするのも問題だな」

ライオン「反対側は?」

ヘラジカ「問題ない。それよりもここを通過していったセルリアンが厄介だな」

ライオン「そうだねぇ。んじゃ、がっこーのほうに――」

ズゥゥゥン!!

ライオン「えー……」

ヘラジカ「む……」

セルリアン『グアァァァ……』

ライオン「またおおきいやつが……」

ヘラジカ「このサイズ、私たちだけでは厳しいぞ」

ライオン「どうするぅ?」

ヘラジカ「選択の余地はなさそうだ」

セルリアン『オォォォォ!!!!』
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/28(木) 00:18:33.32 ID:PCG2L7xVo
―グラウンド―

トキ「きょぉぉもぉぉどぉたぁんばぁぁぁたぁん、おぉぉさぁぁわぁぁぎぃぃぃ〜」


セルリアン「????」

オオカミ「ほいっと」ザンッ

パァーン

オオカミ「倒すのは楽だが、流石に疲れたね」

ツチノコ「サンドスターだって消費していくしなぁ」

サーバル「うみゃぁぁぁ!!!」ザンッ!!!

パァーン!!!

ツチノコ「お前も大丈夫なのかぁ」

サーバル「私はまだまだ元気だよ!!」

オオコノハズク「かばんは上手く逃げられたでしょうか」

スナネコ「だといいですね」

ズゥゥゥゥン!!!

アルパカ「なになにぃ? なんのおとかなぁ?」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/28(木) 00:25:32.80 ID:e2kEBoTJO
セルリアンってセルリアンの鳴き声には反応するんだよな
ってことは音にも反応はするか
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/28(木) 12:48:26.80 ID:6V37wg5T0
感傷の為に命を張るのもヒトって感じだ
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 20:21:28.89 ID:1LX7F7NKo
―廊下―

カワウソ「わーい! たーのしー!!」バコンッ!!!

パァーン!!!

ハシビロコウ「……」

カワウソ「んー? もうセルリアン死んじゃった? セルリアン、死んじゃった? キャハハッ」

ハシビロコウ「カワウソ……なんだか……こわい……」

カワウソ「あ! まだいたー!! やー!!」

ラッキービースト『アワワワワワ』

カワウソ「なーんだ、ボスか。やっほー、ボスぅ」

ハシビロコウ「ボス? どうしてこんなところに……」

ラッキービースト『カバン カバン』トテトテ

カワウソ「かばんを探してたんだ。あ、ハシビロコウ、もうだいじょうぶだよー」

ハシビロコウ「う、うん……ありが……」

『オオオオッォォォォォォォ!!!!!』

カワウソ「おー? 外から聞こえてきたぞー。なんだろー?」
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 20:27:36.96 ID:1LX7F7NKo
―グラウンド―

セルリアン『オォォォォォォ!!!!』

ツチノコ「おいおいおい……。あんなのまで来てたのか……」

オオカミ「これは大きいね」

オリックス「ハンターに応援要請は!?」

オオコノハズク「既に戦ってくれているのです。しかし、こちらまで来れるかはわからないですね」

オリックス「そ、そうか……別のエリアでセルリアンと……」

サーバル「ど、どーする! ねえ、どーしよー!! おおきいよー!!」

セルリアン「……」ポヨンッポヨンッ

アルパカ「ちぃさいセルリアンもきてるよぉ。どうしよー?」

ツキノワグマ「もう学校を放棄して私たちも逃げないと……」

オオカミ「賛成だね」

ツチノコ「かばんは逃げたんだな?」

オオコノハズク「助手が逃がしてくれているはずなのです」

ツチノコ「だったら、逃げるぞ。無理に戦う必要はないからな」
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 20:36:25.24 ID:1LX7F7NKo
オオコノハズク「逃げ道は確保できていますし、それもアリですね」

スナネコ「よっと。あっちならセルリアンと戦わなくてもよさそうですよ?」

プレーリードッグ「向こうから来ていたセルリアンは全て穴に落ちたであります!!」

ビーバー「逃げるなら今っす」

オオカミ「潮時、だね」

ツチノコ「逃げるぞ!!」

セルリアン『オォォォォ!!!』ズゥゥゥン!!!

サーバル「……」

オオコノハズク「サーバル、行くですよ」

サーバル「あんなにおっきなセルリアンががっこーまで来ちゃったら、がっこー潰れちゃわない?」

オオコノハズク「間違いなく潰れますね」

サーバル「かばんちゃんが隠したみんなの思い出はどうなっちゃうの」

オオコノハズク「建物が潰れてしまえば、建物内に隠したものは瓦礫の下敷きになり、壊れるかもしれないですね」

ビーバー「けど、土の中にも埋めたっすから……全部は守れなくても……」

サーバル「それにそれに、こんなにおっきながっこーが潰れても、ボスたちは本当に直せるの?」
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 20:43:58.97 ID:1LX7F7NKo
ツチノコ「無理に決まってるだろ。ラッキービーストができるのは、簡単な補修で、建て直すことはできない」

サーバル「だったら……守らなきゃ……」

スナネコ「サーバル?」

サーバル「この学校自体が、みんなの思い出なのに!! 潰れちゃったら意味ないよ!!」

オオコノハズク「何を言うのです。我々はセルリアンとの戦闘はさけるべきなのです」

ツチノコ「取り込まれたらどうなるか、知らないわけじゃないだろ」

サーバルわかってるよ!! けど、学校がなくなるのも嫌だもん!!」

スナネコ「学校がなくなったら、勉強ができなくなりますね」

アルパカ「それは困るよぉ。あたし、まだみぃんなに紅茶の淹れ方おしえたいのにぃ」

オオカミ「勉強は建物がなくてもできるはずだ」

ビーバー「そうっすよね……。い、今は逃げたほうがいいっす」

サーバル「私は残るよ」

ツチノコ「お前……」

サーバル「かばんちゃんが守りたかったものは、私だって守りたい!!」

ツチノコ「勝手にしろ!! お前だけでやれ!!」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 20:44:36.72 ID:1LX7F7NKo
>>231
サーバルわかってるよ!! けど、学校がなくなるのも嫌だもん!!」

サーバル「わかってるよ!! けど、学校がなくなるのも嫌だもん!!」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 20:50:46.75 ID:1LX7F7NKo
サーバル「うん! やるよ!!」

ツチノコ「おっまえ……本当にバカだな……」

サーバル「さぁー! こい!! セルリアン!! 自慢の爪でやっつけちゃうよ!! うみゃー!!」

オオカミ「どうする?」

オオコノハズク「こうなるとサーバルは言うことを聞かないのです」

ビーバー「サーバルさん」

サーバル「だいじょーぶ!! 私だけでなんとかするから!!」

ビーバー「いえ、多分無理っすよぉ」

サーバル「無理でもやる!! 学校がなくなったら!! かばんちゃん、悲しんじゃうから!!」

トキ「セルリアンの動きなら、私の歌で止められるわ」

アルパカ「あはぁ、そうだにぇー。トキがいるなら平気だよぉ。いけるぅいけるぅ〜」

ライオン「はぁ、はぁ……! みんなー!! ごめーん!! たおしきれなかったよー!!」

オリックス「大将!! ご無事で!!」

ヘラジカ「何をしている!?」

ツキノワグマ「それがサーバルが戦うって言いだして」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 20:55:55.93 ID:1LX7F7NKo
ヘラジカ「ほぉ……」

ライオン「あれとぉ?」

サーバル「うん!!」

ヘラジカ「はっはっはっはっは!! 頼もしいぞ、サーバル!! よぉし、では手を貸そう!!」

サーバル「いいの!?」

ツチノコ「よくねえよ!! にげるんだよぉ!!」

サーバル「私は!! ここで作った思い出を壊されたくない!!」

ツチノコ「思い出はお前の中にあンだろ!!」

サーバル「もし、忘れちゃったら!?」

ツチノコ「あぁん!?」

サーバル「いつか、私がセルリアンに食べられちゃって、忘れちゃったら!? どう思いだすの!!」

ツチノコ「そうなったら思い出せねえだろ!!」

サーバル「けど、学校があったら思い出せるかもしれないよ!! 学校をみたら、みんなと給食を食べたことも、名前を書いたことも、プールで泳いだことも全部思い出せるかもしれないよ!!」

ツチノコ「俺が頭を蹴って思い出させてやるよぉ!!!」

サーバル「そんなことできるの!? すっごーい!! でも、ツチノコがいてくれるかわからないし、学校があったほうがいいよ!! きっと!!」
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 21:02:44.04 ID:1LX7F7NKo
オオカミ「戦うにしろ、逃げるにしろ、決断は早い方がよさそうだ」

セルリアン『オォォォォォ!!!!』

セルリアン「……」ポヨンッポヨンッ

スナネコ「すぐそばまで来ていますね」

プレーリードッグ「どうするでありますか」

サーバル「私は学校を守る!!」

ツチノコ「好きにしろよ!! お前に付き合ってられるかー!!」

サーバル「ごめんねね、ツチノコ。文字とかさんすうとか、教えてくれてありがとう」

ツチノコ「ちっ……」

トキ「よぉぉこぉそぉぉ〜じゃぱぁりぱぁぁくぅぅぅ〜!!」

セルリアン「……?」

セルリアン『オォォォォォ』

アルパカ「みんなぁ、おっきなセルリアンもうごきがとまったよぉ。これ、かてるんじゃなぁい?」

オオコノハズク「勝機があるのなら……」

ツチノコ「本気か?」
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 21:07:01.34 ID:1LX7F7NKo


>>235
サーバル「ごめんねね、ツチノコ。文字とかさんすうとか、教えてくれてありがとう」

サーバル「ごめんね、ツチノコ。文字とかさんすうとか、教えてくれてありがとう」
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 21:15:25.23 ID:1LX7F7NKo
トキ「どぉぉぉたぁぁぁんばぁぁぁたぁぁぁん!! おぉぉぉさぁわぎぃぃぃ!!」

サーバル「うみゃー!! いまのうちだー!!」ザンッ!!!

セルリアン「????」

パァーン!!

サーバル「やったー!!」

オオカミ「小さなセルリアンなら倒せるが、あの大きなセルリアンはどうだろう」

オオコノハズク「まずは弱点である石を見つけなくてはいけないのです」

トキ「ふりむけぇぇばぁぁ〜あちらぁぁこちらぁぁ〜」

トキ「あら?」

セルリアン『オォォォォ……』

トキ「みんなっ。セルリアンの頭のてっぺんに石があるわ」

アルパカ「みんなぁ〜、セルリアンの頭にあるんだってぇ〜」

サーバル「頭の上かぁ。私のジャンプでもとどかないよぉ。どーしよー!」

セルリアン『オォォォォ』ヒュンッ!!!

トキ「え――」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 21:30:41.05 ID:1LX7F7NKo
ドンッ!

トキ「うっ……!?」

ツチノコ「セルリアンが何か飛ばしやがった……!」

アルパカ「ふわぁぁぁ!! トキぃ!! トキぃ〜!! トキが落ちちゃうよぉ〜!!」 

オオコノハズク「任せるのです!」バサッバサッ

オオコノハズク「――ふっ!」ガシッ

トキ「うぅ……」

オオコノハズク「無事ですか」

トキ「油断したわ……。あんな風に体の一部を飛ばしてくるとは思わなくて……」

オオコノハズク「取り込まれなかっただけでも幸運なのです」

トキ「そうね……」

アルパカ「トキ!? トキぃ〜!! 怪我はぁ!? 怪我してないかなぁ!?」

セルリアン『オォォォ……』

サーバル「あんなことしてくるセルリアンなんてみたことないよぉ……」

ツチノコ「だから逃げるぞって言ったんだよ!! あれだけの距離から攻撃できるなら、今背中を見せたらヤバいぞ……」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 21:36:34.60 ID:1LX7F7NKo
オオカミ「私の人生はここまでかな」

ライオン「縁起でもないこといわないでよぉ」

ヘラジカ「歌の他にセルリアンの気を逸らせることはできないものか」

サーバル「……」

カワウソ「わー!! おっきいぞー!!」

ハシビロコウ「あんなに大きなセルリアンが……」

スナネコ「無事だったみたいでよかったです」

ハシビロコウ「カワウソに助けられて……」

カワウソ「あのセルリアン、どうするの? やっつけるの?」

オリックス「倒せるものなら倒したいが」

サーバル「ビーバー!!」

ビーバー「な、なんっすか?」

サーバル「あれ、作ろうよ。もしかしたら、トキの歌のかわりになるかも!」

ビーバー「なにをっすか」

サーバル「ノートに書いてくれてたでしょ? みんなでたくさん作ればなんとかなるから! きっと!!」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 21:42:51.48 ID:1LX7F7NKo
―教室―

ワシミミズク「かばん、いつまでこうしているつもりなのですか」

かばん「……」

ワシミミズク「逃げるのですよ。逃げなければ、万が一のとき、みんなが悲しむのです」

かばん「分かっています……分かっているんです……」

ワシミミズク「かばん……」

ラッキービースト『カバン ココニ イタンダネ』

かばん「ラッキーさん!?」

ワシミミズク「ラッキービースト……」

ラッキービースト『ココハ キケンダヨ ハヤク ヒナンシヨウ』

かばん「……」

ラッキービースト『カバン?』

かばん「ラッキーさん、教えて」

ラッキービースト『ナニヲ?』

かばん「昔、この学校がセルリアンの大群に襲われたとき、当時のフレンズさんはどうしたのかを。みんなは逃げだしたの? それとも……」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 21:51:26.18 ID:1LX7F7NKo
―グラウンド―

ビーバー「ノートは卒業式のあとに荷物にいれたっすけど……。おれっちの絵で作り方、つたわるっすかね……」

サーバル「大丈夫だよ!!」

プレーリードッグ「私がせっせと作るであります!!」

ライオン「むずかしそうだなぁ」

ヘラジカ「何事も挑戦だ!」

オオコノハズク「作戦は理解しました。けれど、作る時間が足りないのです」

ツチノコ「あんな傍まできてるのにどーすんだよ!!」

サーバル「うぅ……」

アルパカ「トキぃ……ときぃ……」

トキ「そんなに悲しい顔をしないで、ちょっと当たっただけよ」

サーバル「私が囮になってセルリアンを惹きつけるから、その間にみんなは紙飛行機をつくるっていうのはどうかな?」

ツチノコ「あぶねえだろうが!!」

オオコノハズク「他のフレンズが戻ってきてくれたらいいのですが……」

セルリアン『オォォ……!!』
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 22:02:31.28 ID:1LX7F7NKo
カワウソ「私も囮になってもいーよ?」

ツチノコ「やめろ!!」

ハシビロコウ「……」

ツチノコ「なんだよ!!」

ハシビロコウ「優しいんだね」

ツチノコ「優しいとか優しくねえとか!! そんなんじゃねえんだよ!!! シャー!!!」

オオカミ「実際、この中でサンドスターを消費していないのはサーバルとハカセぐらいだ。そういう役回りを担ってもらうほかない」

ツチノコ「しかしだなぁ……」

セルリアン『オォォォ……!!』

セルリアン「……」ポヨンッポヨンッ

サーバル「みんな!! お願い!!」

オオコノハズク「はぁ……。やるしか、ないですか」

ツチノコ「おい!!! そんなことより逃げる方法をだなぁ……!!」

ビーバー「今、逃げたらかえってあぶないんすよね? 大型のセルリアン、体の一部を飛ばしてくるから……」

ツチノコ「くっ……。あぁぁ!! しかたない!! さっさと紙飛行機つくるぞ!! ノートを千切れ!!」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 22:08:12.64 ID:1LX7F7NKo
オオコノハズク「サーバル。無理だけはしないように」

サーバル「美味しいものを食べてこその人生だもんね!!」

オオコノハズク「その通りなのです」

セルリアン『オォォォ!!』シュンッ!!!

サーバル「うみゃぁ!! とんできたぁ!!」

オオコノハズク「囮役ではありますが……」バサッバサッ

セルリアン『オォォォ!!』

オオコノハズク「倒してしまうかもしれないのです。長なので」バシッ!!!

セルリアン『オォォォ!!!!!』ブンッ!!!

オオコノハズク「中々、素早いのです。ライオンとヘラジカたちが逃げてきたのも納得です」

サーバル「うみゃ!! うみゃみゃー!!」ザンッ!!!

セルリアン「……」ポヨンポヨンッ

オオコノハズク「サーバル!! 後ろです!!」

サーバル「この――」

フルル「フルルー」バシンッ!!!
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 22:11:31.80 ID:7pQ2JcNHo
出た!ペンギンビンタ!
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 22:12:04.93 ID:1LX7F7NKo
パァーン!!!

サーバル「フルル!!」

フルル「サーバル、ジャパリまん、もってない? お腹すいちゃったぁ」

サーバル「今、食べたいの!?」

フルル「だめなのー?」

プリンセス「間近でみるとお、おおきいわね……」

ジェーン「こんなセルリアンが存在しているんですね」

コウテイ「でかすぎるぞ……」

オオコノハズク「ペパプ、無事でしたか」

イワビー「あったりまえだろ!! アイドルは無敵だぜー!!」

フルル「おなかすいたよー」

セルリアン『オォォォォ!!!』

サーバル「みんな!! 危ないから逃げて!!」

プリンセス「危ないのは分かってるわよ。分かってて、こっちまで来たの」

イワビー「生徒を置いて教師が逃げるわけにはいかないからな!!」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 22:16:59.36 ID:1LX7F7NKo
オオコノハズク「やはり、普段はポンコツでもいざというときには、頼りになりますね」

プリンセス「聞こえてるわよ!! ハカセ!!」

コウテイ「私たちはどうしたらいいんだ!」

サーバル「と、とにかく時間を稼ぐの!! みんなが紙飛行機をつくってくれてるから!!」

イワビー「それでどうにかなるのか?」

サーバル「大丈夫!! それでセルリアンを倒せるはずだよ!!」

ジェーン「それを信じましょう」

プリンセス「信じるしか、ないわね」

フルル「ジャパリまん……」

プリンセス「あとで好きなだけ食べさせてあげるわ!!」

フルル「1個でいいのにぃ」

セルリアン『オォォォォ!!!』

コウテイ「くるぞ!!」

サーバル「みんな!! バラバラに逃げて!!」

フルル「わー」テテテッ
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 22:26:32.66 ID:1LX7F7NKo
ドォォォン!!!!

サーバル「うみゃぁー!?」

イワビー「なんか飛ばしてきたぞ!!」

オオコノハズク「気を付けるのです。今のでトキがやられたのです」

ジェーン「トキさんが?」

コウテイ「歌い方を教える相手か」

イワビー「あとコラボ相手だな」

プリンセス「それは見過ごせないわね。大事なレッスン仲間になるはずのフレンズに怪我させるなんて」

フルル「トキぃ? いるのー? どこにいるのー?」

オオコノハズク「トキなら心配いらないのです。それよりも自分の身を案じるのですよ」

プリンセス「それもそうね。小型のセルリアンだって、周りに沢山いるし」

セルリアン「……」ポヨンッポヨンッ

コウテイ「くらえ!」パシンッ!!!

オオコノハズク「セルリアンの周りをグルグル回るのです。それだけでセルリアンは学校の校舎まで用意には近づけないのです。ただし、無理に倒そうとするのは厳禁なのです。できるだけ距離をとるのです」

イワビー「わかった!! やってみる!!」
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 22:35:06.82 ID:1LX7F7NKo
フルル「このートキをかしえてー」パシンッパシンッ

セルリアン『オォォォ!!!!』

プリンセス「フルル!! 近づきすぎ!!」グイッ

フルル「わー」

ドォォォォン!!!

サーバル「だいじょーぶー!?」

プリンセス「平気よ!!」

フルル「ありがとー」

コウテイ「いつまでも逃げ回れないぞ……」

イワビー「さっきまでセルリアンと戦いまくってたもんな……」

ジェーン「弱気にならないでください」

プリンセス「アイドルは苦しそうな顔をしちゃいけないって教えたでしょ。フルルを見習いなさい」

フルル「えー?」

オオコノハズク「ペパプは何故こうも緊張感がないのですか」

サーバル「また飛んでくるよ!!」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 22:41:00.06 ID:1LX7F7NKo
セルリアン『オォォォォ!!!!』グググッ

コウテイ「来るか……!!」

フルル「くるるー?」

セルリアン『オォォォ!!!』

プレーリードッグ「――はっしゃであります!!!」スッ

ビーバー「みなさん、作った紙飛行機を次々に投げてくださいっす」

オオカミ「わかった!!」

ライオン「おー。とんだ、とんだぁー」

ヘラジカ「ライオン! セルリアンを倒せたら、どちらが遠くまで紙飛行機を飛ばせるか勝負するぞ!!」

ライオン「はいはい」

セルリアン「????」

セルリアン『オォォォ』

オオコノハズク「動きがとまったのです!」バサッバサッ

サーバル「よぉーし!!」ダダダッ

セルリアン『オォォォ!!!』シュンッ!!!
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 22:46:05.85 ID:1LX7F7NKo
ドォォォン!!!

スナネコ「あぶないっ」

ツチノコ「やろぉ。紙飛行機を潰しにきてるぞ」

プレーリードッグ「紙飛行機を絶やさないようにするであります!!」

オリックス「こういう作業は苦手みたいだ……」

ツキノワグマ「がんばって!!」

セルリアン『オォォォ!!!』シュンッ!!!

ドォォォォン!!!

ビーバー「怯まずになげるっす」

ライオン「おりゃー」

プリンセス「私たちは他のセルリアンを釘付けにするわよ!!」

フルル「はぁーい」

コウテイ「こっちだ!! セルリアン!!」

イワビー「サーバルとハカセは!?」

ジェーン「上に行ったみたいです」
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 22:51:46.68 ID:1LX7F7NKo
オオコノハズク「サーバル!! 合図をしたら一緒に仕掛けるのです!!」

サーバル「まっかせて!!! 木のてっぺんからなら石を狙えるはずだから!!」ダダダッ

オオコノハズク「さて……。紙飛行機に気を取られている間に……」

セルリアン『オォォォ!!』ドォォォン

オオコノハズク「――今です!!」バサッバサッ

サーバル「うみゃぁぁぁ!!!」バッ

セルリアン『オォォ』ググッ

オオコノハズク「……!?」

オオコノハズク(こちらを見た……!! 反応が早すぎるのです……!!)

ツチノコ「あのデカイの紙飛行機を見てないぞ!!」

ビーバー「そんな……!!」

セルリアン『オォォォ……』ゴゴゴッ

オオコノハズク「こちらを狙って――」

サーバル「ハカセー!!! うみゃぁぁ!! とどけー!!!」


カラーン!!! カラーン!!! カラーン!!!
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 22:58:14.80 ID:1LX7F7NKo
オオコノハズク「え……」

オオカミ「鐘の音が……」

セルリアン『オォォォ』ググッ

オオコノハズク(鐘の方向を見た……!)

オオコノハズク「すきあり、なのです!」ザンッ!!!

サーバル「うみゃぁぁ!!」ザンッ!!!

セルリアン『オォォ……』

パァァァン!!!!

サーバル「やったぁぁ!! たおしたー!!」

プリンセス「すごいじゃない!!」

カワウソ「わーい!! あとは小さいセルリアンだけだー!!」

セルリアン「……」ポヨンッポヨンッ

ハシビロコウ「これならなんとかなるかも」

オーロックス「大将!! 無事ですか!!」

ヤマアラシ「ヘラジカさまぁ、助太刀にきたですぅ」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/01(日) 23:09:04.71 ID:1LX7F7NKo
ライオン「こいつで、さいごだー!」バキッ!!!

パァーン!!

ヘラジカ「うむ。セルリアンの臭いがしなくなったな」

カワウソ「たのしかったねー」

スナネコ「飽きるほどに」

ビーバー「よかったっす……ほんとに……」

ツチノコ「ちっ。一瞬ビビっただろうが……」

オオカミ「あの大きなセルリアンは、近くで動くものに反応していたようだね。だから、最も接近したハカセに照準を合わせた」

ツチノコ「だが、結局は音に気を取られたな」

オオカミ「トキの歌、そして学校の鐘の音。動く標的よりもセルリアンはそれらを優先したわけだ」

ツチノコ「なんでだろうな。助かったからいいけど」

オオカミ「考古学者のツチノコにとっては気になるのかい」

ツチノコ「フレンズにとってセルリアン対策は永遠の課題だからなぁ」

オオカミ「確かにね」

ツチノコ(学校にも図書館にも完全なセルリアン対策はなかったが、音と歌がヒントになればいいがな)
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 10:33:54.03 ID:9C2OaFrSO
ハカセが「別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう」的なこと言っててさすが長だと思った。
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/09(月) 09:13:53.91 ID:HDbmaL2q0
>>1はセルリアンに食べられてしまったか
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 20:06:28.93 ID:WPoy6KK5o
アルパカ「トキぃ、トキぃ。みんながやっつけてくれたよぉ」

トキ「みたいね……」

アルパカ「やったにぇ」

オオコノハズク「それにしてもあの鐘は誰が鳴らしたのでしょう」

サーバル「勝手に鳴ったんじゃないの?」

ツチノコ「バカ野郎。あれは誰かが鳴らさないといけない鐘だ。自動じゃ鳴らん」

サーバル「そっかー」

カワウソ「それなら助手かかばんじゃないかなー?」

オオコノハズク「かばん……?」

オオカミ「かばんは助手と共に逃げたはずじゃなかったかい」

カワウソ「出て行くところみてないよ?」

ハシビロコウ「あのとき、私とカワウソ以外に校舎にいたのはかばんと助手だけだったような……」

オオカミ「鐘を鳴らせるのは必然的にかばんか助手だけになるね」

ツチノコ「かばんを安全な場所に運んでから、助手だけが戻ってきて鐘を鳴らしてくれた。……ってのは考えにくいな。短時間で帰ってくることができる距離に安全な場所はないはずだ」

サーバル「それじゃあ、かばんちゃんは?」
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 20:15:58.93 ID:WPoy6KK5o
―校舎内―

ワシミミズク「かばん」

かばん「はい……」

ワシミミズク「怒られる覚悟はあるのですか」

かばん「勿論です」

ワシミミズク「では、何も言うことはないのです」

かばん「……」

サーバル「かばんちゃーん!!!」ダダダダッ

かばん「サーバルちゃ――」

サーバル「あの鐘、かばんちゃんが鳴らしてくれたの!?」

かばん「う、うん」

サーバル「すっごーい!! かばんちゃんが鳴らしてなかったらハカセがとっても危なかったんだよー!! ありがとう、かばんちゃん!!」

かばん「……」

オオコノハズク「かばん、何故ここにいるのです」

かばん「ハカセ……。ごめん、なさい。でも、どうしても、ボク、みんなのために……」
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 20:28:35.64 ID:WPoy6KK5o
オオコノハズク「どうしてなのです。勝手なことをされると困るのです。我々はかばんの安全を第一に考え、行動していたのです」

かばん「……」

オオコノハズク「かばんを失いたくないと、言ったはずなのです。どうしてなのですか」

かばん「ごめんなさい……」

オオコノハズク「もしセルリアンの大群が建物の中まで入り込んできたり、大型のセルリアンが学校を壊し始めたりしたらどうするつもりだったのですか」

サーバル「ハカセ、待ってよ!! ハカセはかばんちゃんが守ってくれたんだよ!?」

オオコノハズク「それとこれとは関係ないのです」

サーバル「ゆ、ゆるしてあげても……」

オオコノハズク「簡単に許せるわけないのです」

サーバル「うみゃぁ……」

かばん「いいの、サーバルちゃん。悪いのはボクだから」

サーバル「でもぉ」

かばん「本当にごめんなさい。ボクの所為で……」

オオコノハズク「助手も助手です。何故、かばんを無理矢理にでも連れていかなかったのですか」

ワシミミズク「ラッキービーストから情報を聞けたのです、ハカセ。この学校が何故、過去にセルリアンの大群が襲ってきても原型を保てていたのかを」
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 20:35:51.75 ID:WPoy6KK5o
ワシミミズク「この学校だけでなく、図書館もジャパリカフェも、何故現存できているのか。ラッキービーストが教えてくれたのです」

ツチノコ「簡単な補修しかできないラッキービーストじゃあ、ここまで綺麗には残しておけないよな」

オオコノハズク「その理由とはなんですか」

オオカミ「おぉ、気になるね。良いネタになりそうだ」

ワシミミズク「かばん」

かばん「あ、はい。ええと、ここで見るより良い部屋があるんですけど……」

オオコノハズク「案内するのです」

かばん「こっちです」

アルパカ「移動するみたいだよぉ」

トキ「そう……。アルパカ、このまま運んでくれるかしら?」

アルパカ「いいよぉ〜。よいせっ」

かばん「この部屋だと映像が見やすくなるんです」

スナネコ「ここはしちうかくしつ、ですね」

ツチノコ「しちょーかくしつ、な」

ハシビロコウ「そう読むんだ」
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 20:43:19.00 ID:WPoy6KK5o
―教室―

ライオン「暗い部屋だねー」

ビーバー「陽の光が入らないようになってるからっすね」

プレーリードッグ「では、あけるであります!」

かばん「あ、待ってください。このままで。暗い方が映像も見やすいので」

プレーリードッグ「そうなのでありますか」

イワビー「で、どんな映像なんだよ」

フルル「ジャパリまん食べながらみてもいいー?」

ジェーン「いいとおもいますけど」

かばん「ラッキーさん、ボクに見せてくれた映像をもう一度お願いします」

ラッキービースト『ワカッタヨ』

オオカミ「おぉ……! 何か浮かび上がった……」

スナネコ「わぁー。すごーい。どうなってるんだろー? まぁ、気にしてもわからないかぁ」

サーバル「飽きるの早すぎるよ!!」

ラッキービースト『――先日、この学校に向かって多くのセルリアンがやってきました』
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 20:58:38.63 ID:WPoy6KK5o
ミライ『何故、セルリアンの大群が学校に攻め込んできたのかは、よくわかりません。ここに多くのフレンズがいたから、というのが有力かもしれませんが』

ツチノコ「オレもそれしか理由はないと思うがなぁ」

オオコノハズク「……」

ミライ『ただ、学校はこのように守ることができました。フレンズさんが戦ってくれたのです』

ミライ『大事な場所を守るんだ。みんなとの思い出を守らなきゃ。そういって、みんなはセルリアンに立ち向かっていきました』

プリンセス「昔のフレンズも同じようなことをしたわけね」

コウテイ「時代が違ってもやることは一緒か」

ミライ『こことは別の場所でセルリアンに取り込まれ、学校に通えなくなったフレンズの思い出も、あったそうです。だからこそ、みんなは必死になって戦いました』

ビーバー「かなしいっすね……」

ハシビロコウ「うん……」

ミライ『みんなは私だけでも逃がそうとしてくれましたが、どうしても逃げる気にはなれなくて残っちゃいました。みんなを見捨てるなんて、できなかったので』

サーバル「かばんちゃんと一緒だね!」

かばん「うん……」

ミライ『けど、私にできることなんて何一つありませんでした。ここでみんなにヒトの知識を教えることができても、みんなを助けることはできない、ちっぽけな存在です』

ミライ『いざというときには、必ず守られていました。助けられていました。それでもみんなは言ってくれます、ミライさんは大切な先生で、大事な友達だと』
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 21:10:20.84 ID:WPoy6KK5o
ミライ『先生が慕ってくれる生徒を置き去りになんてできるわけないじゃないですか!! ええ! できませんとも!!』

ミライ『コホン。というわけで、何ができるのかを探しました。中々見つからなかったんですけど、トキがヒントをくれました』

トキ「わたし? 何かしたのかしら」

アルパカ「なんだろねぇ」

ミライ『トキのええと、ちょっとカラスにも似た声でセルリアンを威嚇してくれたんですけど』

トキ「なぁ……は……!?」

アルパカ「あぁ、トキぃ。気にしちゃダメだよぉ」

ミライ『そのときセルリアンが声のするほうを向いたのです。そしてピーンと閃きました。そうだ、鐘を鳴らしちゃえと』

ミライ『鐘を鳴らすとセルリアンたちはみんな立ち止まり、鐘のほうを見ていたように思います』

ミライ『どうやら、セルリアンは音に反応するようですね』

ツチノコ「ってことは、これからセルリアンが出てきても、簡単に倒せるな」

オオカミ「ハンターたちが喜びそうだね」

オオコノハズク「これを見たから、自分でもできると、そう思ったのですか」

かばん「……」

オオコノハズク「決して褒められたことでは――」
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 21:20:29.28 ID:WPoy6KK5o
ミライ『結果、学校を守ることはできたんですけど、みんなに怒られてしまいました』

オオコノハズク「え……」

ミライ『ミライさんがいなくなったら学校に通う意味がない! ミライさんを守るためにセルリアンと戦ったのに!』

ミライ『色んな子に叱られてしまいました。反省しています』

ミライ『みんなの気持ちはすごくうれしかった。でも、分かってほしい』

ミライ『私もフレンズでいたいから』

サーバル「フレンズ……」

ミライ『ああ、この場合は友達って意味ですよ。友達でいたい。守られているだけのお客様、職員でいたくなかった』

ミライ『それだけは、知っていてほしいんです』

ビーバー「かばんさんも、このミライさんってヒトと同じなんっすよね」

オオコノハズク「こんな無茶をしなくても……よかったのです……」

サーバル「だよね!! かばんちゃんはもうみんなの友達だもんね!!」

ワシミミズク「ハカセ、思うのですが。我々がかばんの立場なら、素直に逃げていましたか?」

オオコノハズク「む……」

ワシミミズク「ハカセもきっとみんなのために鐘を鳴らしたのではないですか?」
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 21:35:18.84 ID:WPoy6KK5o
サーバル「かばんちゃん、やっぱりお礼をいうね! ハカセを、みんなを守ってくれてありがとー!!」

かばん「ボクは……そんな……」

スナネコ「ありがとうございます」

カワウソ「よくわかんないけど、ありがとー!! キャハハッ」

ワシミミズク「ヒトのことは言えないのですよ」

オオコノハズク「……でも、言うことを聞かなかった生徒には罰が必要なのです」

ビーバー「ば、ばつ……!?」

プレーリードッグ「そ、そこまでする必要があるとは思えないでありますが!!」

ハシビロコウ「こ、ここは、通さない」

オオコノハズク「どくのです」

ハシビロコウ「ご、ごめんなさい……」ビクッ

かばん「ハカセ……」

オオコノハズク「覚悟はいいですね、かばん」

ライオン「ちょっと、ちょっとぉ、穏やかにいこーよー」

カメレオン「かばん殿は拙者たちの恩人でござるし……何卒穏便に……」
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 21:40:10.18 ID:WPoy6KK5o
オオコノハズク「かばん。今すぐ、学校を守ってくれたフレンズたちに給食を振る舞うのです。それが罰です」

かばん「え……と……」

オオコノハズク「これだけのフレンズがいるのですから、生半可な量では全然足りないのですよ。分かっていますか」

かばん「は、はい!! がんばります!!」

オオコノハズク「さっさと準備をするのです」

かばん「はい!!」

オオコノハズク「まったく」

ワシミミズク「精一杯の罰ですね」

サーバル「もう!! ハカセ、ひどいよ!! かばんちゃん!! 私もてつだうよー!!!」ダダダッ

カワウソ「わったしもー!!」

ハシビロコウ「私もできることがあるなら……」

アルパカ「うぅ……」ソワソワ

トキ「行ってきてあげたら?」

アルパカ「け、けどぉ、トキのことが心配だしぃ」

トキ「うふふ。私のことは大丈夫だから。アルパカの紅茶が料理と一緒に出てきてくれたほうが元気になれるわ」
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 21:46:10.80 ID:WPoy6KK5o
イワビー「行って来いよ。トキは私たちで看ててやるから」

アルパカ「いいのぉ?」

コウテイ「最高の紅茶を頼む」

プリンセス「その間にトキには歌を叩き込むわ」

ジェーン「それいいですね」

フルル「れんしゅーだー」

アルパカ「それじゃあ、いってくるよぉ」

トキ「あとでね」

アルパカ「うんだよぉ! がんばってくるよぉ〜」

トキ「ふふっ」

イワビー「お前はお前で平気なのかよ」

トキ「ええ。まだ少し、痛いけど」

オオコノハズク「トキ、保健室にいって休んでくるのです」

トキ「そうね……そうしようかしら……」

イワビー「ほら、掴まれよ」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 21:58:54.55 ID:WPoy6KK5o
ヘラジカ「ライオン、お前も休んでいたほうがいいのではないか」

ライオン「んー。これぐらいはヘーキだけどねぇ」

ヘラジカ「どれどれ」ツンッ

ライオン「おぉ……!? ぐ……!!」

ヘラジカ「リーダーとして強がるのもいいが、それでは身がもたんぞ」

ライオン「そーだね……。ちょっと休んで来ようかなぁ……」

ヘラジカ「うむ。そうしろ」

ヒグマ「大将!! ついていきます!!」

ビーバー「おれっちたちは料理を並べられるように準備するっす」

プレーリードッグ「なにから作るでありますか!?」

ビーバー「作るわけじゃないっす。机をならべて――」

プレーリードッグ「こうでありますか!!」ドーンッ

スナネコ「はやい」

ツチノコ「オレは……」

ラッキービースト『……』
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/09(月) 22:02:46.28 ID:ypfoowJjo
ライオンの部下はヒグマじゃなくてニホンツキノワグマなのだ
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/09(月) 22:04:30.36 ID:WPoy6KK5o
>>267
ヒグマ「大将!! ついていきます!!」

ツキノワグマ「大将!! ついていきます!!」
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