【艦これ】男の提督はどうやら信頼出来ないらしい

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195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 13:20:05.00 ID:BdDUJhaIo
そんな曙や加賀みたいなヤツ居るわけないやろ
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 13:37:08.45 ID:gh016Y0yO
とりあえず赤城さんを落として心酔させて
さすていしてもらわなきゃ…
面白いから毎日更新しろください
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 14:09:11.96 ID:a6ryctoLo
曙は提督の覗き行為(誤解)を大本営に密告したのかな?
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 17:16:05.72 ID:xRro4WK4O
こういう無自覚超人って、実際にいると自分より出来ない奴を努力が足りないか無能としか思えない危険人物だよな。ワタミのアイツがそうだし。
199 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/30(土) 22:12:45.29 ID:El68fOKQ0

 
************************

 
「元帥殿、艦娘の外出願いが出ておりますが」

 私は憲兵隊一部の部隊の指揮を預からせて頂いている者です。
 此度は電話応答から引き継ぎ、元帥殿へと知らせるよう仰せつかっております。

元帥「外出願い? そんなもの、その鎮守府の提督に申せば良かろう?」

「いえそれが……例の横須賀鎮守府でして……」

 ーーというか直接的に此処へ掛けてくるなど、“あの鎮守府”以外にあるものか。


 
200 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/30(土) 22:14:04.04 ID:El68fOKQ0

 
元帥「あー、成る程。しかしおかしいな。あそこには昨日づけで“彼”が着任したはずなのだが……」

「例の“彼”ですか……しかしあそこに残った艦娘は僅か11人。提督への連絡が混む事も無い。もしかして彼は信頼されていないのでは?」

元帥「ふむ……いやまさか彼に限ってそんな事はないだろう」


 ーー彼。


 軍の上層部に就く事の絶対条件として、有り体に言えば三つの要素、心・技・体が挙げられる。
 
 しかしそんなものは軍学校を卒業すれば大抵身に付いているし、そこからどう精進していくか、どう自分を上司に売り込むか、そこが鍵だ。


 
201 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/30(土) 22:15:39.63 ID:El68fOKQ0


 しかしこと提督になる絶対条件においては、ここに『妖精が見える』というものが付いてくる。

 私は見たことが無いので分からないが、妖精は自分を見つけてくれる人間に協力してくれるらしい。要は妖精に好かれれば好かれるほどに、仕事は円滑に進む傾向にある。

 一説に、『妖精はその艦娘と一心同体である』というのがある。故に艦娘が提督を信頼していれば、その妖精もまた提督を信頼する。

「彼が信頼されていないということは、その妖精と“ケンカ”でもしましたかね?」

 私の言葉に、元帥殿が笑う。

元帥「ハッハッハ、まあ妖精とケンカなど後にも先にも“彼しか”出来ないだろうな」

「そうですね……」

 
202 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/30(土) 22:17:10.33 ID:El68fOKQ0


 なにせ横須賀鎮守府に新しく着任した彼は、なんと妖精と“話せる”らしいのだ。

 こんな人間は聞いたことがない。他の鎮守府の提督は、勿論妖精が見えるものの、言語難により正確な意思疎通は出来ない。が、彼は事もあろうにそんな妖精と、“談笑”したことがあるらしい。

 艦娘を連れた提督がその様子を目撃しているので間違いない。

 確かに、それが嘘の類でなければ稀有の中の稀有。提督に抜擢しない手はないのかもしれない。

「ですが、いくら妖精と会話が出来る力があったとはいえ、やはり他が伴っていなければ提督は務まりませんよ。聞くところによれば彼の成績は『中の上』、提督として多くの艦娘を纏めるならば、せめて上位15%以内には食い込んでもらわないと……」

 言いかけて、ハッと気付いた。この発言は、元帥殿の決定に文句をつけているも同然。一介の部隊長に過ぎない私にはあまりにも僭越すぎた。

 
203 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/30(土) 22:18:30.43 ID:El68fOKQ0

 
「も、申し訳ございません! 私は元帥殿の御決断を何よりも尊……

元帥「ーーいや、まあそれなんだが」

「ーーーー?」

 ど、どうしたと言うのだろうか。ま、まさか今の失言がそのまま私の失職になるというのか!? そんな、あんまりだ。

元帥「彼、全部満点なんだよね」


「…………はい?」


元帥「いや、実技筆記面接に至るまで、彼は文句無しの満点。いわゆる“天才”だ」

「え、いやでも成績は確かに『中の上』と報告されていましたし、彼にもそう伝えた筈なのですが……」


 
204 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/30(土) 22:19:50.59 ID:El68fOKQ0

 
元帥「点数なんてものは本人には言わないさ、渡す物はあくまで“決められたルールの中で”付けられた評価のみ」

「……と、申しますと?」

元帥「訓練で根を上げそうになった仲間の荷物を代わりに持ってタイムを遅くしたり、災害に見舞われた土地に飛んで座学に遅れてきたり……色々とね」

「それで、最終的に与える評価が下がったという訳ですか!? 考慮の余地は……」

元帥「いや、そういう決まりなので下がるのは当然だ。我々は戦いを強いられる。時には“非情さ”も必要。彼にはそれが欠けている。全ての実を拾うことなど出来ないのだ。そういう意味では、彼へのこの評価は正当とも言える」


 
205 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/30(土) 22:22:48.05 ID:El68fOKQ0


「…………」

 成る程、最もだ。綺麗事だけではやっていけないし、荷物を代わりに持った行為は、持たれた側からすれば極論だが、テストで解答用紙を見せたような物……

「その事を、彼は知っているのでしょうか?」

元帥「まあ、知らないだろうね。だけど、彼にそうやって救われてきた人達は少なくない」

「…………はい」

元帥「情けは人の為ならず。そういうものは得てしていつか返ってきてくれるものだ」

「勉強になります」

 出来れば彼が、安寧に暮らせますように……


 
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 22:32:39.88 ID:Zs3odVvJo
提督「学校では評価されない項目ですからね」
207 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/30(土) 22:34:32.68 ID:El68fOKQ0

すいません、赤城と加賀と勝負するネタなのですがこれは内容に関してはストーリー進行にほぼ影響が無いので、安価させて頂きます。

ランダム採用です。

1人3つまで勝負する内容お願いいたします。
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 22:36:51.59 ID:fUg136tPO
え?話の流れ的に考えたら弓勝負だと思ったのに違うの!?
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 22:41:42.56 ID:AkpZqE5U0
花札とかどうでしょう
210 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/30(土) 22:41:45.66 ID:El68fOKQ0

>>208さん
違うくても良いかなと。


安価下3まで、勝負する内容1人3つまで、お願いいたします。

 
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 22:45:02.33 ID:AkpZqE5U0
花札 将棋 福笑い
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 22:45:27.60 ID:a6ryctoLo
猫の前に無造作に2つの干し肉を放り投げてどちらを先に取るかを当てるゲーム
グラスに注いだ酒に交互に硬貨を入れて先に溢れされた方が負けなゲーム
ポーカー
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 22:46:25.79 ID:g2PyYUwe0
せっかくだし弓でもやればいいんじゃね?
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 22:49:46.67 ID:TDLadvPGO
相手の得意分野で勝たなきゃ
215 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/30(土) 22:51:03.35 ID:El68fOKQ0

将棋、猫の前に干し肉
採用いたします。

あと一つは?
下2で。(卑猥なものだったり実現不可能な場合はさらに下1)
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 22:56:13.59 ID:n+maX7CDO
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/30(土) 22:57:05.87 ID:MlqHsAfq0
甘いもの早食い対決
218 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/30(土) 22:59:26.90 ID:El68fOKQ0

承知しました。短いですが今日はここまでとします。
明日時間があればですが大量に進みます。それでは。
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 23:03:39.79 ID:AkpZqE5U0
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/30(土) 23:16:28.68 ID:99X8RBpnO
>>212
自分の飼い猫を使う
綿で酒を吸うorグラスの下にあらかじめチョコか何かを仕込む
周囲の人間全員がサクラ、イカサマが仕込まれたカード、タバコやジュースを使ったブラフ
ってか
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/01(日) 02:08:17.72 ID:zGtj11lH0
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 08:35:58.36 ID:P0E5kv6so
期待
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 09:32:18.75 ID:LuO6fSOMO
後にしたって事は、曙と潮は横鎮出ていったって事だよね?
224 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/01(日) 10:37:01.46 ID:hvIf8TJd0
>>223
はい。外出したということです。
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 12:31:14.49 ID:tlz2ZuY6o
後にしたって表現は外出とかで使う言い方じゃなくて何かしらの決意を込めてもう戻ってこないとかの時に使うんや
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 12:38:29.61 ID:qcBQWZNyO
敬礼を謝罪だと思ってたのもそうだけど格好つけようとして滑るの凄い恥ずかしいな……普通の言葉つかえはいいのに
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 12:49:14.75 ID:IFBRtLMhO
賢者の孫と同じ物を感じる
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 13:02:37.45 ID:+gTsMklrO
>>225
普通に使うから。
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 13:06:34.64 ID:+gTsMklrO
わたしは台所を後にして、部屋に戻ると……
普通に書籍にある文章。『出て』って意味で使われてる。
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 13:45:39.56 ID:C0DogdYiO
うるさい外野やでほんま
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/01(日) 20:34:16.91 ID:zGtj11lH0
続き待ってます
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 22:31:11.87 ID:bmHL9lf+O
>>226なんか可哀想だから言っとくけど、敬礼と最敬礼は違う。最敬礼は頭下げるし、ちゃんと1の言ってるみたいに謝罪の意味もある。目上の人間に対して使うってのも合ってる。ただ 最大限 の謝罪って意味じゃなかったってことな?
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 23:00:47.27 ID:vW+DKsUkO
敬礼の上位が最敬礼だろ?
確かに敬礼(最敬礼)には謝意の意味もあるけど敬礼における謝意は「感謝する心」の方で謝罪の方の意味はないだろ
「礼をして敬う」んだぞ?
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 23:11:28.37 ID:haRa+hTzO
>>232
何か指摘がトンチンカンじゃね?
>>226が言ってる敬礼は文脈的に最敬礼のことだって見れば分かるでしょ……ってか目上の〜ってのはどっから出てきたのよ
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 00:40:01.87 ID:FWA+cIs70
そんなこといいから続きはよ
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 01:15:36.88 ID:TOit2Oaeo
今更だけどヘイト物ってそれだけでアンチが湧きやすいんだからサクッと短編で終わらせたほうがいいかもね
あとヘイト物はカタルシス得る前にエタるのもよくあるしなー
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 06:25:42.33 ID:DgMN6a8LO
言うほどヘイト物か?この程度じゃ言うほどじゃなくね
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 07:57:11.90 ID:nOvkVjyJO
なろうよ系ハーレム物に慣れた人はちょっとキツいこと言われただけでヘイトと感じてしまう軟弱メンタルだからね、仕方ないね
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/02(月) 18:18:47.91 ID:cfBUuGLP0
続き待ってます
240 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/02(月) 20:55:17.32 ID:68mArPb90

すいません、実は一昨日の夜から高熱が出ているので治るまで書き込めません。申し訳ございません。
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 21:28:25.43 ID:7nSW/cpg0
ありゃりゃお大事に
のんびり待ってますよー
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 21:57:50.72 ID:+vGhDVOxO
お大事に
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 21:59:48.37 ID:IyLkyumYo
それでも毎日スレは見るってか
ネットなんかやってねーで寝ろ
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/02(月) 23:43:02.80 ID:AW5fQeyDO
ゆっくり療養してくれ
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/03(火) 01:45:22.71 ID:jaddy5Fvo
お大事に
246 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:03:17.53 ID:i/ikTpOF0

 
提督加賀「「よろしくお願いします」」

 私、赤城は今お二人の“勝負”に立ち会っています。提督が勝負をしないかと提案してきたのには少々驚きましたが、加賀さんはこれを呑みました。

 意外……と思われるかもしれませんが、それはひとえに“条件”の存在が大きかったのでしょう。

提督『この勝負にもし俺が負けた場合、上官を殴った件は不問、さらに指揮の最高決定権をお前に譲渡しても良い』

 ーー破格。

 最高決定権ということは、もし提督の指揮に不満があった場合、最終的にはその指揮を破棄することも可能ということ。それは正しく今の加賀さんが欲しているもの。

提督『その代わり俺が勝ったら、俺をちゃんと提督として認め、お前らはしっかり俺の指揮に従うこと』


 
247 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:05:55.98 ID:i/ikTpOF0

 
 そう。それは私達にとって、メリットこそあれ、“デメリットが殆どない”提案でした。何故なら提督の指揮に従うのは、こんな勝負以前に“当たり前”だからです。

 加賀さんも昨日はカッとなって提督に手をあげたものの、指揮に従わないような素振りはあくまで形だけ。気持ちはそうでも、それを周囲(大本営)が認める筈もない。

 ゆえに結局のところ提督という立場の人間の意見は、艦娘にとって絶対的な強制力を持っているのです。
 悪態はつけど、提督に刃向えば自分がどうなってしまうのかを、しっかりと理解していますから。

 そういう意味では、加賀さんの昨日の行動は感情に任せた愚かな行為だったと言えるでしょう。

 加賀さんはこの提督の条件を聞いた瞬間、明らかに闘志を剥き出しにしていました。その目は彼女の言葉を借りるなら、「ここは譲れません」と言いたげでした。

 
248 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:08:39.17 ID:i/ikTpOF0

 
赤城「手番は振り駒により加賀さんから。それでは始めます」

 そう。勝負は幾つか行う。そのうち第一回戦は『将棋』。将棋はいわば戦争のシミュレーション。お互いが同等の兵力で持って、戦略をぶつけ合う勝負です。

 提督がこの種目を選んだ理由、それは暗に私達へ伝えようとしているのでしょう、「俺の戦略はどうだ?」と。

加賀「(それを真っ向から叩き潰す……)」

 2人は共に居飛車、それに加賀さんは手早く舟囲い?……急戦でしょうか?
 対して提督は矢倉囲い。スタンダードにいくならここからは3-7銀戦法ですかね。


 と、最初に手を止めたのは提督でした。

 
249 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:10:36.88 ID:i/ikTpOF0

 
提督「俺に将棋を教えてくれたのは、俺の爺ちゃんでさ」

加賀「ーーーー」

 提督のお爺さん?

提督「俺は昔っから合理主義みたいなところがあって、爺ちゃんはその反対でバカばっかやってたからさ」

加賀「…………それで?」

 加賀さんも私も、急に話し出した提督の話に一時耳を傾けます。私はともかく、加賀さんも興味があったのでしょう、彼という人物をつかむ情報に……

提督「俺絶対将棋やっても勝てるだろって思ってたんだけど、あっさり負けてさ。……最後まで勝てなかったな」

加賀「貴方のお爺様がどれぐらい凄い人なのかは分からないけれど、それは貴方の指揮力が無いことを吐露しているように聞こえるのだけど?」

 
250 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:16:47.00 ID:i/ikTpOF0


 勿論一口に将棋に負けたからといって、それだけで提督に指揮力が無いとまでは言わないでしょうが、あくまで指標として。“そういう意図”で彼が設定したのなら、尚更でしょう。

提督「ああ。でもあん時爺ちゃんが言ってたことが、3年経ってようやく分かってきたんだ」

加賀「それは一体?」

提督「定石ばかりじゃダメってこと。型にとらわれ過ぎるのは、結局その型を作った人間以上にはなれない」

加賀赤城「「ーーーーッ!!」」

 そう言って提督が打った手は、とんでもないものでした。

加賀「あなた、それは一手損……」

 一手損角換わり。
 後手の角がわりで一手損。しかし、近年ではまあ見るようになった……が、ほぼ確実に矢倉を形成するかにみえたその戦略を急変させたのだ。

 
251 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:19:16.87 ID:i/ikTpOF0

 
 たちまち提督の手は無定形へと変わってしまいました。

 それは序盤も序盤での出来事。

 しかし、思えばここからすでに加賀さん、そして私は提督の術中にハマっていたのかもしれません。

 持ち時間20分としたこの勝負。気付けば加賀さんの残りタイムは2分を切り、提督はなんと15分以上を残していました。

加賀「ーーーーっく……」

 加賀さんが塾考し、やっとの思いで打った手も、提督が即座に打ち返し、また加賀さんの塾考が始まる。

 これを6度程繰り返し、

加賀「……参りました」

 
252 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:21:07.17 ID:i/ikTpOF0


 ーー詰み。

 加賀さんは潔く提督に頭を下げました。

 この勝負、決して加賀さんが弱かったわけではありません。寧ろ、確か加賀さんは相当将棋が強かったはず……その強さを一切感じさせずに、提督は彼女を倒してしまいました。

 まるで、その辺の雑兵のように……

 暫し加賀さんが目を閉じたままジッとしていましたが、彼女は一呼吸おいて意を決したように

加賀「……次の勝負は何?」

 ーー加賀さん、やる気満々ですね……。

提督「なんだ加賀、お前結構負けず嫌いなんだな」

加賀「当たり前よ。貴方のような人になら尚更ね。……将棋には負けたけれど、次は絶対に勝つわ」

 余程悔しかったのでしょう、加賀さんの瞳に強い意志が見えます。

赤城「それで提督、次の勝負は」

 加賀さんのような動機ではありませんが、私もこの勝負には少し興味があります。先程の提督の手腕、並みのそれではありませんでした。

 勿論、ただ単に将棋が上手かっただけという可能性も否定は出来ませんが……

提督「そうだな、次は赤城も参加してもらおうか」

赤城「ーーーーへ?」

 
253 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:23:39.69 ID:i/ikTpOF0

 
*********************


 所変わって食堂へ。

 前までは間宮さんがいらした食事処も寂しく、ここ最近は大鯨さんが料理を作ってくれています。

 しかし、おかしいですね。いつもなら大鯨さんがいらっしゃる筈なのですが、何か都合が合わなかったのでしょうか?

提督「そろそろ腹も減ってきたとこだし、次の勝負、こんなのはどうだ?」

加賀赤城「「…………?」」

 そう言って提督はカウンターの奥へ入って行ったかと思うと、ガラガラと大きいカートを引いて戻ってきました。

加賀「こ、これは……」

赤城「ーーーーっまあ!?」

 
254 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:25:01.34 ID:i/ikTpOF0


 そこにはとても美味しそうなショートケーキの山が……。

赤城「流石に気分が高揚します」

加賀「赤城さん……」

 加賀さんがジト目を向けてきましたが、最早それに構ってはいられません。だって、だって目の前に宝の山があるのですから!

赤城「提督、これは一体どうなされたんですか? それも普通のショートケーキには見えません!」

提督「ご明察。このショートケーキは某有名ケーキ専門店の、まあ所謂高級なやつだ。今朝早くに頼んでおいたんだよ。まあお前らが勝負を受ける受けないどちらにせよ、消費はできるしな」

 ーーあの、ショートケーキが一個1000円近くするという超有名専門店の!?

 ああ、いけない。思わず口から何やら液体が……

 
255 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:27:10.47 ID:i/ikTpOF0


 加賀「そんな高価な物どうやって……っ! ま、まさか貴方、鎮守府の運営経費から!?」

赤城「ーーーーッ!」

 そう加賀さんが言った瞬間、一気に温度が冷えた気がしました。

 ケーキは全部で軽く100個はくだらない。単純計算で10万円、決して安い額ではありません。
そもそもこの様な個人の争いに経費を割くなどもってのほか。

 ーーこれは早急に対処しないと……

赤城「ていと……
提督「あ、いや。これはポケットマネーだ」

加賀赤城「「…………はい?」」


 What is Pocket Money? (ポケットマネーって何?)

 
256 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:28:12.07 ID:i/ikTpOF0


 驚きのあまり思わず金剛さんの真似をしてしまいました。

 隣で加賀さんも私と同じ様な反応をしています。

赤城「えっと……つまりこれは提督の自腹、ということでしょうか?」

提督「ああ、まあウチは多少裕福な家庭でね……」

赤城「多少……」

 少なくともこの様な使い方が出来るほどには、お金持ちということでしょうか。それは世間一般的には多少、ではなく“かなり”、の部類に入りそうですが……

提督「で、多分察しているかもしれないが今回の勝負はケーキ早食い対決だ」


 
257 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:30:07.95 ID:i/ikTpOF0

 
*********************

 時刻は12時を少し過ぎたところ。普段なら昼食の時間でお腹も空いてきたというもの。

 しかし、私(赤城)としては提督の前であまりバカバカと食べるというのは、なんともはしたない気がします。

 ただこの時ばかりはこれが勝負なので、仕方がありません。


赤城「おいしぃ、ですねぇ〜!(もぐもぐ)」


 ……仕方がないことなのです。

 
258 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:32:07.45 ID:i/ikTpOF0

 
提督「お、赤城は流石の食いっぷりだな」

加賀「そういう貴方はどうしたのですか? もう限界ですか?」

 設けられた制限時間は8分。現在3分が経ち、私こと “加賀” が9皿、赤城さん8皿、そして提督が6皿という状況、平均ペースは1皿約22秒といったところ。

提督「馬鹿言うな、まだまだいけるさ」

加賀「ふっ、どうやら戦う種目を誤ったようね」

 自分で言うのもなんだが、私と赤城さんはかなりの大食漢だ。正直いってこの8分間手を休めることなく食べ続けられる自信がある。

 対して彼はどうだ、男で身長は高く中々に鍛え上げられた肉体をしているが、所詮それだけ。

 その証拠に、既に私と比べて3皿分の差がある。

 大食いではなく“早食い”にしたとはいえ、彼に勝機があるようには……

 
 
259 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:33:41.00 ID:i/ikTpOF0

 
提督「うん、結構美味いな。……じゃあそろそろ、“飛ばすか”」

加賀「ーーーーッ!?」

 そう提督が零したかと思うと、彼は今までとは比較にならない程のスピードでケーキを口へとかきこんでいった。

 ーーま、まさか今までは早食いをしていた訳ではなく、“味わって食べていた” とでも言うの!?

赤城「おいひぃ〜ですぅ(もぐもぐ)」

加賀「ここは譲れません!」

 早食いというのは大食いと違い、ペース配分が一定であれば逆転というものが起こりにくい。

 ーーだからここで抜かれる訳にはいかない!

 
260 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:36:40.04 ID:i/ikTpOF0


 
 そこからは激戦だった。

 私と提督は一進一退、残り1分30秒を切ったところで私と提督が共に26皿、赤城さんが20皿となった。つまり差はない。
 彼の胃袋がまだ根を上げていないと言うのなら、ここから先は一歩も引くことは出来ない。

提督「うおおおおおお!!」

加賀「ラストスパート……行きます!」

 正直言ってこれ以上のペース上げはきついが、勝ちたいという一心で自分に喝を入れた。



 その時だった。


 
261 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:38:15.11 ID:i/ikTpOF0

 
赤城「…………ラスト?」

提督加賀「ーーーー?」

 赤城さんが何やらボソリと呟いた。しかし手を休める訳にはいかないのでそちらを振り向くことは出来ない。

しかし次に聞いた彼女の言葉で、私は理解してしまった。


ーー“怪物”が動き出したことを。


赤城「ラスト? ……ラストって、







……もう食べられないってことですか?」





 
262 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:42:01.39 ID:i/ikTpOF0


 瞬間、辺りの空気の流れが変わった。

 私は手を、口を、呼吸が止めた。

 ーー否、“止められた”

 真横から襲い来る途轍もないプレシャーに、身体を拘束されてしまったのだ。

 しかしそれは幸い首位争いには影響しなかった。それはなぜか? 提督も私と同じように固まっていたからだ。

提督加賀「「…………」」

 食べる……というよりは吸う感覚だろうか、おそらく掃除機に近い。そして噛むというよりは飲み込まれるという表現が正しいように思える。そう、まるでブラックホールのような。


赤城「ーーヅッーーッーーヅッーーヅッーーッ」


 
263 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:44:55.97 ID:i/ikTpOF0

>>262
私は手を、口を、呼吸が止めた →ミス
私は手を、口を、呼吸を止めた→◯
264 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:46:50.57 ID:i/ikTpOF0

 
赤城「ーーヅッーーッーーヅッーーヅッーーッ」

 それは咀嚼音……というには些か質素な音であった。

 永遠に空気を吸い込み続ける音。

 無声音で表すなら字面に濁音が混ざったような……。これは一体 “何を” 食べている音だろうか。

 私はしばらく考えた。隣を見やれば、どうやら提督も考えているようだ。

 ーーあ。

 そして思い付いたのだ。


 そうだ、これは “麺類だ”、と。



 ーー赤城さんは今、 “麺類を食べている” のだ、と。



 
265 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:50:52.54 ID:i/ikTpOF0


 納得した私と提督はお互いに顔を見合わせて頷きあった。

 ーー良かった。どうやら麺類という見解で合っているようだ。



 1分程、私と提督は拘束されているかのように動かなかったというのに、食器の触れ合う音がやけに顕著になったかと思うと、ラスト20秒を切ったところで突然ピタリと止んだ。

加賀「…………」

 赤城さんはとても満足そうな笑顔を浮かべながら、今しがた食べ終えた1枚の皿を自身の皿の山へと積んだ。

赤城「ごちそうさま」

 それが最後の音だった。

 それ以降、音が鳴ることはなかったのだ。


 そして何故か、ショートケーキは全て消滅していた。


 不思議な事もあるものだと、私と提督はハハハと無機質に笑い合った。


 
266 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:52:46.75 ID:i/ikTpOF0

今日はここまでとします。
正直将棋の下り自身が無いので言っていることがおかしいと指摘されても返信できません。申し訳ございません。
267 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/04(水) 00:55:07.07 ID:i/ikTpOF0

艦娘一人三人までの件ですが、まだまだ募集していますのでよろしくお願いします。一度答えて下さった方々も、もう一度安価して頂いて大丈夫です。

それではよろしくお願いいたします。
注意 多数決形式です。

 
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/04(水) 01:14:42.27 ID:bCDCNNov0
乙でした

愛宕
陸奥
由良
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 02:01:05.08 ID:LY/Y7cXGo
乙です

子日
若葉
雪風
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 05:30:55.23 ID:dQ7DtDizO
さすていいいゾ〜これ
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 06:38:24.06 ID:wLMoP5KhO
汚え食い方するなぁ……品の欠片も無い
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 09:13:22.75 ID:It71wodBO
>>271
早食い競争に品を求めるとか馬鹿じゃねぇの(嘲笑)
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 10:22:40.58 ID:+Kxo7lZSO
最低限の品性は必要じゃね?
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/04(水) 10:34:01.95 ID:Uxd923lvO
>>273
早食いの大会とかえぐいよ
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 10:38:58.55 ID:ojcz7WcDO
ギャグ表現やろが
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 13:05:10.06 ID:g4az00oDO
学校の先生か?じゃなきゃ姑か何か?
「相手にケチをつけてやり込める」が前提だから、指摘がネチネチしてるんだよね
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 18:32:17.11 ID:+excXPW1O
グルメ・デ・フォアグラ封じ思い出した
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 23:11:53.48 ID:YeYPb/qZo
否定的な意見や感想は絶対に認めないマン
279 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 22:50:36.35 ID:GKl8HPrB0

 
 赤城です。


 その後も私達は色々と勝負をしました。


 ババ抜き、ポーカー、50メートル走、花札、テニス、卓球、福笑い、マリオカートなど。


 実に様々な勝負をしましたが、結局早食い勝負以外は全て提督の勝利でした。


 正直この結果は信じられません。


 提督は一体何者なのでしょうか? その手腕は最早超人の域に達しているようにすら見えました。その癖全くもって自分の実力を肯定しないのですから、謙虚が過ぎて逆に嫌味に聞こえてしまいそうです。

 
280 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 22:54:19.84 ID:GKl8HPrB0

 
提督「ふぅー、疲れたー。さて……そろそろお開きにするか」


 しかし、提督が伝えようとてきた事はもう既に充分私達に伝わっているはずです。


加賀「待ちなさい! まだ、まだ終わってないわよ……“提督”」


 だって加賀さんがしっかり彼のことを “提督” と、そう呼んでいるのですもの。


 それだけ彼の技量という物を再三見せられてきたという訳です。勿論実戦になった時にどうなるかは不明ですが、既に“この勝負”において彼の勝利は確定されています。


 その結果勝負の “条件” を、加賀さんはすんなりと受け入れました。

 
281 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 22:59:59.96 ID:GKl8HPrB0

 
提督『その代わり俺が勝ったら、俺をちゃんと提督として認め、お前らはしっかり俺の指揮に従うこと』

 
 やけに潔い……と思われるかもしれませんが、加賀さんも、そして私も。ここまで彼と勝負をしてきて、もう薄々分かってしまったのだと思います。



 ーー彼が決して悪い人ではないという事を。



加賀「これだけ勝負してきてまだ私がただの一度も勝てないなんて、そんな馬鹿なことあり得ないわ。もう一戦、もう一戦だけやりましょう!」


 それでもここまで彼女が追い縋ろうとするのは、ただ単純に彼女が負けず嫌いだからでしょう。


 彼に……“提督”に一矢報いてやりたい。そういう気持ちなのだと思います。

 
282 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 23:03:48.54 ID:GKl8HPrB0

 
提督「分かった分かった、じゃあ次がラストな。赤城はどうする?」


赤城「あ、いえ。私は遠慮させて頂きます。最後は提督と加賀さんの一騎打ちという形でお願いします」


提督「ーーそうか」


赤城「こう見えても私は一回勝ちましたからね!」


加賀「くっ、私もせめて一勝ぐらいは……」


 最期に加賀さんの悔しそうな顔を見たところで、私は満足しました。


 ーーそれにとても “楽しかった” です。ありがとうございました、提督。


 もしかしたら彼は、別に自分の力を見せ付けにきた訳でも、条件で私達を従わせるつもりも無かったのかもしれない。

 
283 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 23:05:30.05 ID:GKl8HPrB0

 
 ただ彼は私達と “遊び” に来たのかもしれない。そうやって仲良くなろうと、彼から歩み寄って来てくれただけなのかもしれない。


 というか、彼の様子から多分そうだろう。








加賀「ーーーーあ」


提督「…………お」


加賀「やっと……やっと勝てました! 流石に気分が高揚します!」


284 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 23:07:05.49 ID:GKl8HPrB0


 どうやら最後の勝負は加賀さんの勝利に終わった様です。あのクールな彼女がガッツポーズまでしながら無邪気に笑っています。


 ーーあんな加賀さん、彼女(女提督)の時にも見た事ないかもしれません。


加賀「ありがとう。貴方のお陰よ」


猫「ニャー?」


提督「ははは、参ったな!」


赤城「お二人は一体何の勝負をしていたのですか?」


 あの提督を倒すなんて、一筋縄ではいかないはず。というかやけに決着が早かった気がしますが。

 
285 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 23:09:17.15 ID:GKl8HPrB0


加賀「猫の前に2つの干し肉を置いて、どちらが先に食べてもらえるかという勝負よ!」


 私が勝ったんだから! みたいな感じでドヤ顔を向ける加賀さん。


 ーーえぇ、なんて斬新な勝負……。でも確かにそれなら決着は早そうですね。


提督「なんだ赤城、見てなかったのか? 凄い面白かったんだぞ?」


赤城「え、本当ですか?」


 何があったのでしょう、気になります。


提督「ああ。猫もどっちの肉食べるかやっぱり迷っててさ……そしたら急に加賀が猫の鳴き真似とかし出したんだぞ」


赤城「ふふっ、そんな事があったんですね!」


加賀「ーーちょ、ちょっと赤城さん!?」

 
286 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 23:12:27.91 ID:GKl8HPrB0


 私が笑いかけるとあの加賀さんが顔を真っ赤にして恥ずかしがってくれました。かわいいです。


提督「そんなんで来る訳ないだろって笑ったら、加賀が黙ってなさいって怒って、また鳴き真似して。……でも本当に来たんだからビックリだよな」


赤城「良かったですね! 加賀さん」


加賀「こ、この子が私の心を感じ取ってくれたのよ」


猫「ーーにゃ?」


 そう言って加賀さんは私達に顔を見られない様にしながら猫を放してあげました。

 
287 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 23:14:34.19 ID:GKl8HPrB0


提督「まあ確かに、あの猫の鳴き真似は中々だったぞ?」


赤城「私も聞きたいです! 加賀さんがニャーって言ってるところ!」


加賀「い、嫌よ! 断固拒否するわ」


 自然と3人に笑みがこぼれる。


 それは昨日の張り詰めたあの空気からは想像も付かなかった、とても優しくて温かい光景でした。

 
288 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 23:15:59.07 ID:GKl8HPrB0

 
提督「……“楽しかった”か?」


 不意に提督が加賀さんにそう問いかけました。


 ーーああ、やっぱりこの人は。


 提督は今までの余裕振りが嘘のように、とても不安そうな顔をしています。


 不覚にも、可愛いなと思ってしまいました。


加賀「……えぇ、まあまあね。機会があればまたやりましょう?」


提督「ーーーーっ! ああ」

 
289 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 23:19:17.74 ID:GKl8HPrB0


 加賀さんの言葉を聞いて提督はとても嬉しそうです。加賀さんももっと素直に言ってさしあげれば、提督ももっと喜びそうですが。


 まあ彼女はその辺が少し固いところがありますし、なにより恥ずかしがり屋さんですからね。私がちゃんと後で伝えておきますね。“私も”とっても楽しかったです、と。




 そう……提督はまともでした。それは演技だとかそういう類のモノではないと思います。


 もちろん彼の技量なら難なく私達を騙せるかもしれませんが、一緒に時間を過ごして思ったのです。


 何故かは分かりません……騙されているかもしれませんがどうしてか根源的な部分から、彼は善人である気がしてならないのです。


 私は彼を信じたいと、そう思っているのです。


 だから一つだけ、解せないことがあります。

 
290 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 23:20:39.79 ID:GKl8HPrB0


 本当に“そうだったとして”、どうして提督は初日に大遅刻し、あまつさえ潮ちゃんを覗く様な真似をしたのでしょう?


 それだけが、私の中で……恐らく加賀さんの中でも引っかかっていました。


提督「なあ、一つ聞いて良いか?」


加賀赤城「「…………?」」


提督「結構疲れたしひとっ風呂浴びたいんだが、提督用の風呂って見た感じ無いんだけど。どうしたらいいんだ?」


赤城加賀「「ーーーーは?」」

 
291 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 23:22:54.65 ID:GKl8HPrB0


 私と加賀さんの声が重なりました。いえ、それも当然のことなのです。


 だってーー


提督「あ、いや。前任の提督は女だったから入渠用の浴槽でも良かったのかも知れないけど……


赤城「いえ、提督用のお風呂でしたら普通にありますが……」


提督「ーーーーえぇ!?」


加賀「ちょっとそれ見せなさい」


 そう言って加賀さんは提督の持っていた“地図”を、手に取りました。


加賀「ーーーーこれはっ!?」

 
292 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 23:28:01.83 ID:GKl8HPrB0

 
赤城「どうしたんですか加賀さーーッ!?」


 言いかけて、しかしそれ以上先を私は話せませんでした。理由は提督が持っていた、その“地図”なるものを見たからです。


 ーーそんな馬鹿なことが。


提督「……どうしたんだ2人とも?」


 これが驚かずにいられますか。


 提督が持っていたその “地図” には、入渠用の浴槽の所にしっかりと『風呂』と記載されており、逆にまるで出鱈目な場所に、入渠用の浴槽が記載されていたのです……。


 ーーこんなもの、提督が “間違えて当然” だ。


加賀「……この地図、誰から受け取ったの?」


提督「ーーえ、“曙”だが?」


 ーーああ、加賀さん……


 それを聴いた瞬間、加賀さんは提督に土下座をしていました。

 
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/05(木) 23:30:21.57 ID:3JzItad+o
むしろ何で事故直後にその話が無いのか……
294 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/10/05(木) 23:34:37.42 ID:GKl8HPrB0
今日はここまでとします。
更新を焦るあまり、文章がかなり雑になってしまったと思います。申し訳ございませんでした。
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