【安価】地方契約兵たちの小規模な冒険【コンマ】

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102 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/08(日) 20:37:48.94 ID:U+GZ7fxC0
ssを再開します。
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/08(日) 20:39:24.38 ID:rKLpWolMo
はい
104 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/08(日) 21:23:02.85 ID:U+GZ7fxC0
夕方というにはまだ早いが、日が徐々に傾き始めた頃、ルナミリア達は森の中の一本道を進んでいた。

道の両脇の森には、様々な種類の広葉樹が密集して生えており、所々に苔むした倒木が横たわっていた。

また幾重にも重なり合う葉のカーテンに遮られ、地面には殆ど日の光は入っておらず、例え昼でもこの森の中を歩くときは十分な注意が必要だろう。

「バード村へは森の中を通る一本道を通っていくしかない。 あらかじめそう聞いてはいましたが……、随分と長い道ですね」

ルナミリアは思わず呟いた。

「ええ、大体二キロ程度はありますが、もうすぐ村が見えるはずです。
バード村は林業と薬草の採取で生計を立てている村ですから、森の中に村を作ったほうが何かと都合がいいのですよ。
……それに、亜人種対策の意味合いも含まれていた、と祖父から聞いたことがあります」

「亜人種、ですか?」

ポールの言葉にルナミリアは疑問を感じた。

亜人種とは、人間と似通った身体的特徴を持つ他種族の総称である。

一括りに亜人種と言っても、ゴブリンやコボルトなどの様に、知能が比較的低く性格も粗暴である為、しばしば人間から略奪を行う種族。

リザードマンや巨人の様に、高い知能を持ち、場合によっては人間と友好的関係を築くこともある種族。

バンパイアやハルピュイアの様に、人間を襲うことが最早生態に組み込まれていて、人類の天敵として恐れられる種族など様々なものがある。


その内、この辺りで脅威となる可能性がある種族はゴブリンやコボルトなど、小規模な集団を構成し、村や旅人を襲って生計を立てる
種族だろう。

ただ、その手の種族は大抵は人目の届かない森などに住む家を作るもの。

もしも亜人種の脅威から逃れたいのならば、森の中に村をつくるのは逆効果の気がするが……。

ルナミリアの声色から彼女の考えを察したポールは補足して説明をする。

「まあ普通の森の中に村を作るのは、かなり危ないことでしょうね……、でもここは例外なんですよ。
この……赤目の森はね」
105 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/08(日) 21:54:48.61 ID:U+GZ7fxC0
「赤目の……森? どういう意味でしょうか? ただの森に付けるには、ちょっと不気味な名前だと思うのですが……」

「ええ、実はですね、この辺りの森にはとある魔物が多く住んでいるのですよ。 ……そしてその魔物を恐れて、ゴブリンなどの低い知能しか持たない亜人は
この森には近寄らないのです」

「魔物とは……、穏やかな話では無いですね」

魔物……、それは人間に対して特に攻撃的であったり、危険な存在とされている生物のことだ。

野犬やカラス、そして数時間前に泉で倒した蛇も人間に害を与えるという意味では同じだが、それらは魔物と呼ばれることはない。

魔物とは、過去に人類に大きな被害を出した、恐るべき生物に対して付けられる名称である。

「いえ、対処法さえ知っていればそこまで物騒な魔物ではありませんよ。 
ブラッドスライム、又の名をブレイン・イーターという魔物なのですが……ご存知ですか?」

【知識】
『依存ステータス』
ルナミリアの知識 5

『補正項目』
なし

目標値 5

>>↓1 コンマ一桁
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/08(日) 22:03:05.75 ID:rKLpWolMo
107 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/08(日) 22:04:13.27 ID:U+GZ7fxC0
【知識】
目標値 5
 出目 5 成功
108 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/08(日) 22:30:42.87 ID:U+GZ7fxC0
その魔物は、赤黒い粘液に覆われた核を持つスライムの一種だ。

普段は、小さな洞窟などに隠れ潜んでおり、冬季、動物が冬眠をしようと、その洞窟へ入ると活動を活発化させる。

獲物が寝ている間に鼻の穴から頭蓋骨内へと侵入。 最終的には獲物の脳を食い荒らし、自分の核と粘液を獲物の頭蓋骨内部へすっぽりと収めてしまうのだ。

しかし、それだけではブレイン・イーターが魔物と呼ばれることは無かっただろう。

かの生物が魔物と呼ばれる所以は、ブレイン・イーターの持つ、獲物となった動物の脳機能の一部を再現し、体を乗っ取る能力にある。

ブレイン・イーターに乗っ取られた生物は、次なる獲物を求めて彷徨い歩き、獲物となりうる動物を見つけると、その動物を殺し、死体が新鮮な内に
獲物の頭蓋内に自分の核の欠片を送り込む。

そして、その核の欠片は獲物の脳を養分として成長した後、体を乗っ取り、次の獲物を探して彷徨う……、というプロセスで繁殖を繰り返す。

しかも、乗っ取られた動物の肉はブレイン・イーターの分泌物に汚染され、毒性を持つようになってしまうのだ。

過去、牧場でブレイン・イーターが大量に繁殖し、牛や羊などの家畜数千頭が生ける屍となったことさえあり、この生物が経済に及ぼしうる
脅威の大きさから魔物に分類されるようになった。

唯一の救いは、ブレイン・イーターの能力では人や亜人種など、特に高度な知能を持つ生物を乗っ取ることは難しい為か
こちらが危害を加えようとしなければ、直接襲って来ることは無いという点だった。
109 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/08(日) 22:35:17.38 ID:U+GZ7fxC0
少し早いですが、今日はここまでにします。
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/08(日) 23:39:00.70 ID:kuFn7xqmo
111 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/10(火) 21:13:23.77 ID:6ctSSTVI0
ssを再開します。
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 21:40:48.54 ID:hC5X+dqJo
はい
113 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/10(火) 21:43:01.02 ID:6ctSSTVI0
「あの魔物ですか……。 私の故郷でも、数年に一度は、誰かの家畜がブレイン・イーターにやられたという話は聞きました。
……確かに、ブレイン・イーターならば人間は襲わないでしょうが、村の家畜などは被害に遭うのでは? それに、森の生態系も崩れてしまいませんか?」

「ああ、その辺は大丈夫ですよ。 ごく稀にブレイン・イーターが大量発生してしまうのは、元々自然にいた物が、牧場などの人為的な環境下に迷い込むことで
混乱してしまうからだと言われています。 森などに居ついているブレイン・イーターは、何らかの方法で意思疎通でもしているのか
不思議と生態系を壊さない程度に個体数を抑えているようですよ。 家畜に関しても、ブレイン・イーターが忌避するハーブ、ミナヨモギを飼料に
混ぜておけば、寄生を防げますし」

かなり詳細に、ブレイン・イーターの特徴を話してくれたポールの知識にルナミリアは少なからず驚いた。

普通、魔物との戦闘を生業にするものでもなければ、ここまで詳しい知識は仕入れない筈だ。

「でも、それがどうして、亜人が森に住み着かないことに繋がるのですか?」

「ゴブリンやコボルトなどの知能の低い亜人は、間違って寄生された動物の肉を食べてしまうことが多いんですよ。 なんせ、目が赤くなる他は外見で
見分けは付きませんし、寄生された動物は動きが、少し遅くなるので狩りやすいんでしょうね。 そうして何体もの仲間が毒で倒れる内に
彼らの間にこの森は危険だという認識が生まれて、亜人は寄り付かなくなった……、こんなところだろうと言われています」

(つまり……、バード村は、ブレイン・イーターから多大な恩恵を受けているということですか。 魔物とは人間に害を及ぼすだけの生物だと思っていたけど……
こんな場合もあるんですね)

「もうそろそろ、着きますよ」

話している内に、馬車はかなり進んでいたようだ。

ルナミリアが進行方向に目をやると、薄暗い木々のトンネルの先から、明るい光が差し込んでいるのが見えた。

遂に、バード村へ到着したようだ。

幸い、蛇に噛まれた手にも、特に以上は現れていない。
あの蛇は、毒蛇では無かったのだろう。

ルナミリアはこれから始まる依頼を思い、気を引き締め直した。
114 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/10(火) 22:22:48.00 ID:6ctSSTVI0
森の先はバード村の広場へと繋がっていた。

森を円形にくり抜いた広場の周りを囲むように、四十軒程の家が建っている……、事前にガドに聞いたとおりだ。

村の様子に特に変わったところは無い。

並ぶ家々は、木で骨組みを作り、上から土を塗りつけただけであろう土壁、そして藁葺きの屋根という至って簡素な作りだった。

それぞれの家の周囲には、狭い畑が作られており、幾つかの作物が実っている。

事前に林業の村だと聞いていた通り、広場の一角には枝が落とされた丸太が積み上げられており、新鮮な木の匂いが風に乗って漂ってきた。

「まだ、日暮れまでには時間がありますね……。 一度私の家によりましょう。 この村には宿なんかありませんので、仕事の間は
私の家に止まってください。 部屋は息子が使っていたものがありますから。 ……息子は首都で働いていましてね。 私の父……あの子の祖父が
亡くなったと、手紙は書いたのですが、少なくとも一ヶ月は帰って来ないでしょう」

ルナミリア達は、広場を馬車で横切り一軒の家の前に止まる。

そして扉を開けると、丁度炊事中だったようで、美味しそうな匂いが漂ってきた。

「あんたかい、割と早かった……って本当に警備兵さんを連れてきちまったのかい」

奥から出てきた、ポールよりも少し若そうな五十代と思われる奥さんは、ルナミリアを見るなりそう呟いた。

その顔は、まさかこの村に、本当にフォレストサイドの警備兵が来るとは思っていなかった、と雄弁に語っている。

「はは、そんな意外そうにすることは無いだろう。 明々後日までは、この家に泊まっていただくことになったから、よろしく頼む」

「ああ、分かった。いやー、それにしても本当に出世していたんだねぇ、ランディくんは。
昔は特に腕っ節の強い方でも無かったのに」

「ちょっ、ちょっと、名前はまずい! あー、と、ルナミリア殿、今の話は忘れていただけると……」

例の警備隊幹部と、何か約束でもしていたのだろう。

慌てるポールにルナミリアは苦笑いをしながら頷いた。

「ああ、まずいこと言っちまったかね……。 ……それより、えーとルナミリアさん。 息子の部屋はそこの扉を開けたところなんで
荷物を下ろして来てくださいよ。 晩飯は今作っているけど、もう少し待っていてくださいね」

ルナミリアは勧められた通りに、この家の息子が使っていたという部屋に向かった。
115 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/10(火) 22:40:10.52 ID:6ctSSTVI0
荷物を置いたルナミリアは防具と下着を脱ぐと、奥さんから借りた水桶で濡らした布で汗を拭った後に、足の汚れを洗った。

居間に出ると、ポールが椅子に座り、テーブルの上に並べられたランプや松明などの手入れをしていた。

「ああ、ルナミリアさん。 墓地の見張りは夕食を食べ終わってからにしましょう。 今、見張りに必要になる光源の準備をしているところです」

「そうですか……、しかし夕食まではもう少し時間が有りますね。 何かお手伝いすることは有りませんか?」

「うーん……、ああ、そうだ。 実は昨日の夜の見張りは、村の狩人をしているゴードンさんに無理を言って、一晩だけ頼んでいたんです。
さっき、そのお礼を言いに行ったときは、昨日、墓荒らしらしい者を見かけたなどとは当然言っていなかったのですが……。
詳しく聞けば、墓地の警備をする上でのアドバイスなんかを聞けるかも知れません。 又は、家の納屋を探してランプや松明以外に使えそうだと
思うものがあるか探して頂いても……」
116 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/10(火) 22:42:23.28 ID:6ctSSTVI0
村の狩人ゴードンに、昨日の話を聞きに行く。
もしくは、ポール家の納屋を探し、役立ちそうな物を物色する。

この二つから、最初の警備前の行動を、一つ選択してください。

23:05までを会議時間とします。
117 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/10(火) 23:05:12.60 ID:6ctSSTVI0
ルナミリアはどうする?

>>↓1
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 23:09:13.36 ID:hC5X+dqJo
村の狩人ゴードンに、昨日の話を聞きに行く。
119 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/10(火) 23:10:31.98 ID:6ctSSTVI0
ゴードンに話を聞きに行くに、決定しました。
120 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/10(火) 23:29:24.48 ID:6ctSSTVI0
ルナミリアは、狩人のゴードンに話を聞きに行くことにした。

墓荒らしについての情報はルナミリアも期待していないが、何か役に立つことを聞けるかも知れない。

ルナミリアは、ゴードンの家を直ぐに見つけた。

軒先の日陰で干し肉を作っており、家からは独特の獣の匂いが漂ってきている。

狩人の家に生まれた彼女にとっては、慣れ親しんだものだ。

ドアをノックして暫く待つと、中から髭面の三十歳程の男が姿を現した。

「んん? 誰だ、嬢ちゃん。 この辺りじゃ、見ねえ顔だが……」

「はい! 明々後日まで墓地を警備することになりました、フォレストサイド警備隊のルナミリアと申します。 
ゴードンさんは、昨晩墓地を警備したということで……、何かお話を聞けないかと思い伺ったのですが……」

「ああ、そういえばポールのおっさんがそんなこと言ってたな……。 まあ、上がれよ。 大した話も出来ないと思うけどな」

そう言ってゴードンが、家の奥へとルナミリアを案内してくれる。

だが、その時。

ルナミリアの前を歩いていたゴードンの体が、唐突にぐらりと揺れた。

「っ……おっと」

「どうしました?」

ルナミリアが心配し、声を掛けると、ゴードンは笑いながら、何でもないと手を振った。

「心配はいらねえよ。 何かここ最近、立ち眩みが多くなってな。 別に具合悪いとかではないんだが……、もしかしたら変な風邪でも貰ったかね。
村の奴らにも、同じように急に目眩がして蹲ったりしてしまう奴が結構いるみたいだし……」

「そう、ですか」

確かに心配はいらないという、ゴードンの言葉通り、彼の顔に体調を崩しているような兆候は見られない。

ルナミリアは、ゴードンに勧められた椅子に座り、昨晩の警備についての話を聞き始めた。
121 : ◆1WEjI0bkj6 [saga]:2017/10/10(火) 23:29:55.64 ID:6ctSSTVI0
今日はこれで終了します。
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