奈緒「晶葉から借りたゲームでもやるかー」

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33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/05(木) 01:24:22.06 ID:6zqvFsTL0
――ブラックパール城(指令室)

楓「タケミカヅチ2機、ブロッサムウイング、戦闘中ですね。桜霞のみんなもそろそろ戦闘区域に到着します」ピピッ!

周子「……」ピクッ、ピクッ

翠「開発室、解析状況はどうなっていますか?」

晶葉『まだ何も分からん、が他所から情報が来た。政府側の防衛機関で稼働させているシステムが軒並みダウンしているらしい』

美優「ということは……政府軍側も戦闘機が出せないですね……」

千秋「いてもいなくても、変わらないけれどね」

晶葉『恐らくは破壊者の介入による物だろうが……しかし政府軍のデータベースを狙っているのか? あそこに重要な情報なんてあるか……?』

翠「こちらが保持していない情報、または兵器……ですがこちらも政府軍の情報はほとんど掴んでいますし……」

周子「……さーてと」

楓「周子ちゃん? どうしたんですか?」

周子「ちょーっと遊びに行ってこよっかなーって。それじゃ頑張ってね」

パシュンッ!


……
…………
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/05(木) 01:25:20.06 ID:6zqvFsTL0
――東京、戦闘区域

P「くっ、上半身だろうが下半身だろうが、狙っても足に攻撃は防がれるわ……!」ドシュゥン! ドシュゥン!

麗奈『どう見ても上半身がひょろくて貧弱だから、そっち狙いたいケド!』ガションッ!

ズドドドドドドドッ!!

ドガアアアアンッ!

クラーケン「……」

麗奈『上半身は上半身で、当たってもこっちの装備じゃ大したダメージは入らないわね……』

芳乃『そなたー』

P「はい?」

クラーケン「……!」ビシュルルルルルッ!!

芳乃『破壊者の足がー』

P「もっと早く言ってほしいわ! 避けれないっての!」ギュオオオオオオッ!!

ピピピピピッ!

珠美『P殿!!』ギュルルルルルルッ!!

ズガガガガガガッ!!

クラーケン「!?」

P「ドリル……珠美か! 助かった!」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/05(木) 01:25:47.48 ID:6zqvFsTL0
珠美『いえ、ご無事なら何よりです!』

歌鈴『お、お待たせしましたぁ!』

紗枝『なんや気味の悪い破壊者やなぁ……』

あやめ『P殿、奴の対処はどうしましょうか』

P「太い足が硬くて厄介だな。タケミカヅチじゃどうしようもない状態だし、ブロッサムウイングの砲撃でもダメージが少ない」カタカタカタッ

芳乃「むー……」

晶葉『お前たち、こちらの解析はまだ終わってないが、どうやら政府側のデータベースがやられているらしい。まずは破壊者が根を張っているのを何とかしてくれ』

歌鈴『そ、それじゃあ……足が邪魔ならブロッサムソードで全部斬っちゃいましょう!』

P「そうなるか……よし了解、指令室!」


千秋『そうね……まずは、奴の動きを止めることが優先ね。桜霞、月下転身よ!』
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/05(木) 01:26:21.17 ID:6zqvFsTL0
歌鈴『はいっ! フィールドジェネレーター、起動!』バッ!

パアアアアアアアッ!!!!

芳乃『でしてー』

クラーケン「……!」シュルッ……

P「合体中はやらせん! 麗奈、弾幕だ!」ボシュシュシュッ!

麗奈『レイナサマに命令するんじゃないわよ!』ボシュシュシュッ!

ドガガガガガァンッ!

歌鈴「Pさんたちが隙を作ってくれている間に……いきますっ! 月下転身!!」

ブッピガンッ!

パシュウウウウウンッ!!

「「「「降臨! ダイオウカー!!」」」」

芳乃「でしてー」

……
…………
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/05(木) 01:27:25.62 ID:6zqvFsTL0
――戦闘区域

歌鈴「Pさん! 珠美ちゃん!」

P『よし、行くぞ珠美!』カタカタカタッ!

ブッピガン!

珠美『はい! ブロッサムソード!!』ガションッ!

P『フィールドジェネレーターをリンク、ビーム粒子を再形成……よし、行け!』カタカタカタッ

歌鈴「ええええいっ!」

珠美『ブロッサムスラッシュ!』ヒュカッ!!

クラーケン「!!」ビシュルルルッ!

ガキィィィンッ!!

珠美『ぐうっ……!』

歌鈴「や、やっぱりタコ足が邪魔をして……!」グググッ!

P『振り回されてゲロ吐きそう……あやめ、紗枝、破壊者の隙を作ってくれ!』

紗枝『ぶろっさむびーむや!』ズドォォォンッ!!

あやめ『こちらもミサイルで……!』ボボボボボッ!

ドガアアアアンッ!!

クラーケン「……!?」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/05(木) 01:28:11.63 ID:6zqvFsTL0

珠美『足の勢いが落ちた……せぇぇぇいっ!』ヒュカカカッ!

シュパアアアアンッ!

歌鈴「一本目!」

珠美『歌鈴殿、もう一歩踏み込んでください!』

歌鈴「はいっ!」ガションッ!

クラーケン「……!」ビシュルルルッ!

珠美『2本、3本!!』シュパアアアンッ!

P『おぼぼぼぼぼ……』

晶葉『いいぞ、このまま奴の配線を――』

あやめ『むっ……歌鈴殿! 紗枝殿!』

歌鈴「えっ?」

紗枝「な――」

クラーケン「……」シュルルルルルルルルッ!

ギシッ!!

珠美『なっ……!』
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/05(木) 01:28:59.06 ID:6zqvFsTL0
P『なんだ……情報収集用の細い配線も、戦闘に使うのか!?』

歌鈴「う、くっ……ダ、ダイオウカーの足に絡みついて……さ、紗枝ちゃん……!」

紗枝『ふ、振りほどけまへん……ぱわーが足りなくて……』

クラーケン「……」シュルルルルルルルルッ!

ギシッ! ギシッ!!

P『両足まとめて縛ってくるのかよ……キャリアー……紗枝!』

紗枝『ぱわーが、足りひんなら……ぶろっさむきゃりあーとの刻印同調率を上げて……!』ググググッ!

あやめ『それは……いけません紗枝殿!』

P『おい紗枝、やめろ!!』

……
…………
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/05(木) 01:29:30.86 ID:6zqvFsTL0
――ブラックパール城(指令室)

ビビビビビッ! ビビビビビッ!

翠「アラート!?」

楓「ブロッサムキャリアーの稼働率が低下しています! 紗枝ちゃんのバイタル値に異常が……」カタカタカタッ!

千秋「くっ、刻印の回復も満足にしていないツケが回ってきたわね……ダイオウカーのフィールドジェネレーターは!」

楓「フィールドジェネレーター、形成率低下してきています。このまま下がり続けてると、ダイオウカーを維持できないかもしれません……」

美優「……あ、あれは……破壊者の動きが……!」

楓「……これは、キャリアーを縛っている配線が……紗枝ちゃん、Pさん!」

……
…………

41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/05(木) 01:29:58.89 ID:6zqvFsTL0
――戦闘区域(ブロッサムキャリアー機体内)

ドクンッ!

紗枝「うぐっ!?」

ドクンッ、ドクンッ……

紗枝「な、なんや……か、体が、思ったとおりに動かん……」ハァ、ハァ……

ビビビビビッ! ビビビビビッ!

紗枝「警報……」ハァ……ハァ……

ピピピッ!

楓『紗枝ちゃん、キャリアーのコックピットブロックを切り離してください!』

紗枝「なんやて……?」

ピキッ!

シュルルルルルッ!!

紗枝「線が――」

ビシィッ!

紗枝「んぁあああっ!? ん……あ……か、体に……配線が……」ギシッ! ギシッ!

シュルッ、シュルルル……

紗枝「んっ、はぁんっ!?」ビクンッ!

紗枝「あ、あ……す、すーつん中にも……う、うちの体……あひぃっ!」ビクンッ! ビクンッ!

紗枝「う……く、苦しい……」ハァ、ハァ……

紗枝「あ、あかん……このままやと……だいおうかー、が……」


……
…………

[5-6]
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/05(木) 01:31:35.53 ID:6zqvFsTL0
――戦闘区域

P「おい紗枝、刻印同調率は上げるな! いまのお前じゃ体がもたないし、ダイオウカーの維持が……」

ピピピッ!

楓『Pさん大変です! 破壊者の配線がブロッサムキャリアーの中に……紗枝ちゃんが触手プレイされてます!』

P「はぁっ!? おい紗枝、応答しろ! 紗枝……楓さん、そっちからの通信は!」

楓『途中で途切れて……早く紗枝ちゃんを救出しませんと!』

P「中のパイロットまで……まさか、奴はパイロットのデータも直接……くそっ!」ガションッ!

パシュンッ!!

歌鈴『Pさん!? どうしてタケミカヅチのハッチを……』

P「ここからキャリアーまで降りるのは……緊急用のワイヤーを使えば何とかいけるか。麗奈、晶葉!!」

麗奈『コイツの気は逸らしておいてやるわよ! 珠美、上手いこと取っ組み合いは続けてなさい!』

珠美『は、はい!』

晶葉『P、端末を持っていけ! キャリアーのコックピットハッチの解除コードを送る!』

晶葉『あとコックピットのツールボックスに高周波振動カッターも入ってるから配線の切断用に一緒に持っていけ』

P「くそっ、紗枝……待ってろよ!」バッ!

……
…………
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/05(木) 01:32:41.46 ID:6zqvFsTL0
今日はこれで終わります。
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/05(木) 05:48:31.38 ID:DrgnzdIgo
触手!よし!
大魔王云々は設定の深いとこにかんけいしてるんだろか
読んでないんだよな
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:09:37.91 ID:2jccS6Us0
――ブロッサムキャリアー(機体内)

紗枝「ぁ……ぁ、ぁ……」ピクッ、ピクッ……

ピチャッ……

紗枝(うち……もう、あたま、おかしくなって……しんで、まう……)

シュルッ、シュルルルルッ……

紗枝「んくぅぅぅ……!?」ビクンッ!!


パシュンッ!!


P「紗枝!!」

紗枝「ぁ……」

P「うっ……コイツ! 待ってろ、いま配線を……!」ザシュッ!

ブツッ……ブチッ!!

ビチャッ!

P「くそっ……おい、紗枝、紗枝!」

紗枝「……」ピクッ、ピクッ……
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:10:06.33 ID:2jccS6Us0
P「スーツは破けてるけど刻印同調はされたままか……おい指令室、晶葉! そっちでキャリアーと紗枝を切り離せないのか!」

晶葉『ダメだ。こちらから切り離しは出来るが、いまそれをやるとダイオウカーのフィールドジェネレーターが維持できん』

晶葉『紗枝を切り離した途端に他のパイロットの保護としてセーフティが働いてブロッサムディーヴァは分離される。この状態では無理だぞ』

楓『せめて戦闘区域から離脱するか、破壊者を追い払いませんと……』

P「全員まとめてやられるってわけか……紗枝だけ連れて脱出しても歌鈴たちが戦えなくなる……」チラッ

紗枝「ぅ……」ピクッ、ピクッ……

P「紗枝……待ってろ、それなら!」ギュッ!

カタカタカタッ!

晶葉『おいP! キャリアーのコンソールを出して何をやっている!』
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:10:37.64 ID:2jccS6Us0
P「ちょっと待ってくれ! 同期作業を手伝うのにメンテ用のマニュアルを見たときに……」

麗奈『くっ、コイツ!! ちょっと晶葉、いまのタケミカヅチの兵装じゃポンコツ過ぎて役に立たないわよ!』

歌鈴『くぅぅぅ……ク、クラーケンの足のパワーのほうが強くて……』グググッ……

珠美『い、いけません……踏ん張りが効かなくてブロッサムソードが……!』


――キィィィィィンッ!!


P「なんだ!?」ピクッ!

あやめ『なっ!?』

芳乃『……ほほー』

歌鈴『い、今の音……?』

麗奈『……まさか、あの狐!』


……
…………
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:11:06.11 ID:2jccS6Us0
――戦闘区域

パアアアアアッ!!

周子「まっ、そーゆーズルもありかりもしれないけど?」

クラーケン「……!?」

周子「まーあたしもね、アンタたちがあそこに来られたら困るからね? 来ないうちならこの世界で好き勝手暴れてもええよ?」

クラーケン「!!!!」ブチブチッ!!

周子「せやけど、せっかくここまで来たのにそれじゃ不満なのも分かるからねー、だから、仕切り直し。またおいでー」

パアアアアアッ!!

バシュンッ!!


周子「……いやー、あたしでも出来るもんだねー」

周子「あたしでこれくらい出来るなら、あたしはどれだけ凄いこと出来るんやろ? ま、帰ることが出来たら聞いてみよっかな」


……
…………
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:11:32.21 ID:2jccS6Us0
――ブラックパール城(指令室)

楓「……破壊者の反応、戦闘区域から消えちゃいました」

千秋「……」

美優「ど、どこに行ったんでしょうか……?」

翠「……ヤタノカガミをこちらから起動してください。宇宙側の観測を再開、稼働から24時間後に待機状態に戻してください」

楓「自動起動じゃないと、法術の力も足りなくなっちゃいますからね。それにしても……」

ピピッ!

楓「戦闘区域の……破壊者がいた場所で計測された凄い法術の力、どこから出てきたんでしょうか?」

翠「調査は開発室に任せましょう。ダイオウカーの回収を急ぎます。キャリアーは最優先で」

美優「は、はい、格納庫にアナウンスします……」

……
…………
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:12:05.71 ID:2jccS6Us0
――戦闘区域跡

歌鈴『破壊者が……消えた……』

あやめ『一体何が……いえ、それよりも』

珠美『P殿、紗枝殿は!』

P「歌鈴、ダイオウカーを分離してくれ。キャリアーのシステムを落とす。回収が来るまでは全員待機だ」

歌鈴『は、はい……』

ガコンッ!!

P「……」

『System Convert――』

紗枝「……」

P「……紗枝」



紗枝「……」



……
…………
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:12:48.07 ID:2jccS6Us0
――深夜、ブラックパールガーデン、ブラックパール城(医務室)

ピッ、ピッ、ピッ……

紗枝「……」

P「……」


歌鈴「紗枝……ちゃん」

あやめ「面目ありません……わたくしたちも、共に戦っていましたが……」

P「……皆は、刻印の消耗は大丈夫か?」

珠美「は、はい……もう1、2度ほどの戦闘までなら何とか……」

P「そうか、よかったよ。安心した」


ピピピッ!

P「……」

あやめ「P殿、端末が」

ピピピッ!

P「……なんだ」ピッ!

晶葉『開発室に来い』

P「分かった。皆、後で戻ってくるから休んでいてくれ」

……
…………
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:13:23.63 ID:2jccS6Us0
――ブラックパール城(開発室)

晶葉「馬鹿者。ログを見たが、キャリアーのシステム変更をしたところで刻印同調の対象をお前に変えることは出来んぞ」

P「どうしてなんだよ」

晶葉「P、お前の役目はダイオウカーのパイロットたちが消耗した際の刻印の譲渡だ。言ってしまえばタンクなんだよ」

晶葉「どうしてその立場なのか、どうしてお前はダメなのか、説明は受けただろう?」

P「……俺には法術が使えない。自力で刻印を燃やすことができない」

晶葉「そうだ。出来るならとっくに、お前を適当なブロッサムディーヴァのパイロットにしている。私たちだって……彼女たちを戦わせたいとは思っていない」


麗奈「バカね。自分の身の程を弁えないで」

晶葉「麗奈か……紗枝はどうなった?」

麗奈「集中治療室に入ったわ。これまでの分もあって、刻印の消耗具合も深刻だし体も衰弱している。今の状態じゃ刻印の譲渡も無理ね」

P「助かるのか?」

麗奈「死にはしないでしょ。ヒトって思ったよりも頑丈に出来てるもんよ」

P「そうか……よかった」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:14:38.35 ID:2jccS6Us0
麗奈「ただ、戦闘はしばらく無理でしょうね。次にあの破壊者がいつ来るか知らないけど、そこまでのんびり出来るとは思えないし」

晶葉「クラーケンについてはこちらで場所を特定できた。ヤタノカガミの観測結果から出てきたが、宇宙に戻っていた」

麗奈「へぇ」

P「宇宙……」

晶葉「かなり遠いところにいたが……そうだな、大まかに計算しても次に地球に来るのは遅くても24時間後……1日猶予があるくらいか」

P「そんなに早いのか……」

晶葉「とりあえずはキャリアーの修理を最優先、他のブロッサムディーヴァとツクヨミヒメの整備は並行してやるとして、タケミカヅチはその後だ」

麗奈「そりゃあ、ダイオウカーがないと話にならないものね」

晶葉「そういうことだ。だからP、お前は少し休め。今日は出ずっぱりだったろう」

麗奈「……ま、あのバカたちの面倒なら、朝まではレイナサマが見てアゲル。だから寝なさい」

P「しかし……」

麗奈「寝なさい。燃やすわよ」

P「……わかった」


……
…………
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:15:20.26 ID:2jccS6Us0
――ブラックパール城(廊下)

周子「おっ、元気ー? 元気じゃなさそうだけどさー」

P「……」

周子「え、無視? ちょっとー」

P「……なんだ」

周子「どうしたのさ、そんなに暗い顔しちゃって」

P「どうしたもないだろ」

周子「はー、冷たいわぁ。せっかくシューコちゃんが頑張ってイカ? タコ? 追い払ったんやけどー?」

P「……あれは、お前だったのか?」

周子「内緒だよ、内緒。あたしだって何度も出来るわけじゃないんだから。今回はたまたま出来たってだけ」

P「……そうか。ありがとう」

周子「んー、苦しゅうない。で? 紗枝ちゃんヤられちゃって落ち込んでるってわけね」

P「……」

周子「それじゃあ、そうだなー……また面白い話してあげよっか」

P「いらん」

周子「がくっ……こういうときはさー、実は役に立つ話なのかも!? って思うとこじゃない?」

P「……なんだよ」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:16:21.21 ID:2jccS6Us0
周子「えーっとね、あたしもここからはあんまり詳しく知らないんだけどねー」

周子「新しい英雄の話、協力者が1人いたんだよ。1人、とっても大事な役目を持った1人」

周子「その人はね、大勢の英雄を育てたとんでもない人間なんだ。しかも、本人もメチャクチャでねー、英雄が戦うよりも強い人間だったんだよね」

P「……なんで自分で戦わなかったんだよ」

周子「戦ったんだよ」

P「ん?」

周子「戦った、戦って、戦って……それでも、その人間は大魔王には絶対に勝てなかったんだよ」

周子「だから、大魔王を倒せる英雄を育てたんだよ」

周子「だけどね、たぶん、その人間は悔しかったんだろうね。結局、自分も戦ったんだよ。勝てないってわかっても」

周子「自分が育てた英雄のことが大事になって、守ってあげたいって思いと、命を捨てたとしても大魔王を倒したいっていう思いがまぜこぜになって」

周子「目も見えなくなって、足も動かなくなって、最後は自分が死ぬことになっても……どうしても、やりたかったことだったのかなって、さ。だから……」


周子「おにーさんだったら、どうする?」


……
…………
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:17:22.77 ID:2jccS6Us0
――翌日、夕方、ブラックパール城(指令室)

歌鈴「Pさんが……ブロッサムキャリアーに?」

晶葉「そうだ。厳密にいえば、パイロットとして搭乗するわけではないがな」

珠美「それでは、どうしてP殿が?」

千秋「楓さん、スクリーンを表示させて頂戴」

楓「はいどうぞ」

ピピッ!

あやめ「ダイオウカーの見取り図、ですか」

晶葉「ツクヨミヒメ、ドリラー、ストライカー、ウイングはこれまで通り、パイロットとの刻印同調により機体を稼働させる。だがキャリアーについては」

ピッ!

晶葉「オートパイロット機能を戦闘用に改修したシステムを別途積み込む。そして実装予定だった刻印同調機能の負荷軽減装置を設置する」

歌鈴「けいげんそうち?」

晶葉「細かい話は別の機会にするが、Pによる刻印の譲渡を別システムを経由して戦闘中でもリアルタイムに各パイロットに行う為の装置になっている」

晶葉「これにより通常時であれば従来よりも各パイロットの刻印の消耗を抑えることができ、より長期の戦闘を行うことが可能となる」

晶葉「だが今回は紗枝が不在の為、キャリアー側の刻印同調機能が働かない。キャリアー側の制御を歌鈴に、刻印の負荷分散を珠美とあやめ、芳乃にやってもらう」

晶葉「Pによる負荷軽減装置も込みで、これでダイオウカーは通常稼働時と比較して90パーセント程度の稼働率を維持することが出来る」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:17:48.05 ID:2jccS6Us0

珠美「なるほど……よくわかりませんが、これでいつも通り戦えるということですね」

楓「90パーセントっていつも通りじゃないですよね?」


ピピピピピッ!


美優「は、破壊者……クラーケン、ヤタノカガミの通常監視圏内に入りました。降下までは、もう時間はないと思います……」

翠「来ましたね……千秋さん」

千秋「ええ、そうね……みんな、苦しい戦いになるのは分かっているわ。だけど……」

歌鈴「……はい、大丈夫です!」

珠美「世界を守るための剣として、珠美はここに立っています!」

あやめ「皆、覚悟はできています。千秋殿、号令を」

紗枝「……桜霞、出撃!」

……
…………

58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:18:20.32 ID:2jccS6Us0
――ブラックパール城(医務室)

P「……」

紗枝「……」

P「……」

ピピピッ!

P「……俺だ」

翠『Pさん、破壊者が間もなく地球に向けて降下を開始します。今朝の打合せの予定通り……キャリアーでの出撃をお願いします』

P「ああ」

翠『……あの、お体のことですが』

P「大丈夫だ。晶葉が作った装置だし、上手くやってくれる。今、紗枝を戦わせるわけにはいかない。俺が……守る」

翠『わかりました。桜霞のメンバーは出撃準備に向かっています。Pさんも急いでください』

P「わかった」ピッ!


P「……紗枝」

紗枝「……」

P「ゴメンな。本当は、大人の俺たちが……皆の代わりに戦わなきゃならないんだ。それでも、皆に頼ることしかできない……」

P「だけど、皆のことを助けるのが俺たちの役目だ。俺だけじゃない、翠や、千秋……城の皆は、その為にいるんだ」


『たぶん、その人間は悔しかったんだろうね』


P「……そうだな。俺も、悔しい」


パシュンッ!!

……
…………
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:18:56.60 ID:2jccS6Us0
――ブラックパール城、カタパルト、ブロッサムキャリアー(機体内)

晶葉『P、事前に説明した通り、オートパイロットの機能にバイタルデータ管理機能を入れている』

P「わかっている。自分の体くらいは自分で管理するよ」カタカタカタッ!

晶葉『頼むぞ。何度も言うが、キャリアーに乗ったとしても、お前は負荷軽減装置を使用する為のタンクだ。刻印同調が出来ない以上、キャリアーを動かすことが出来ん』

P「俺自身はどれくらい持つんだ?」

晶葉『そこは気にしなくてもいい。1、2回の戦闘でダメになるタンクなんてあるはずがないだろう?』

P「タンクなだけはあるってことか……分かった。皆、出撃した後は頼むぞ」

歌鈴『は、はぃぃぃ……!』

珠美『P殿もお気をつけて』

あやめ『今回の戦、長引く前に終わらせましょう』

P「ああ、俺のことは気にしないでやってくれ」

芳乃『……そなたー』

P「ん、どうした?」

芳乃『そなたは……またしてもー……』

P「俺が?」

ピピピッ!

美優『は、破壊者……降下終わりました。場所は前回と同じ……東京の千代田区です』

P「来たか……よし、皆いくぞ!」

歌鈴『は、はぃっ! 出撃しましゅ!』

……
…………
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:19:52.05 ID:2jccS6Us0
――ブラックパール城(医務室)

紗枝「……」

周子「ばぁっ!」

紗枝「……」フイッ

周子「ほら、やっぱり起きてるやーん」

紗枝「……」

周子「もうみんな行っちゃったよ。ま、何とかなるやろ?」

紗枝「……」

周子「……愚痴くらいなら聞いてあげる。どうせ、あたしなんてフラフラしてるだけなんだから」




紗枝「……何しとるんやろ、うち」

周子「戦ってるんだよ。この世界を守るために」


61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:20:32.97 ID:2jccS6Us0
紗枝「……何度も、何度も夢に見た……うちにしかできひんこと。それが、みなはんをお守りすることやって、ずうっとそう思って」

紗枝「せやけど、あの人が来て、思ってたんと違うくて、みなはんもやらしいことばかりで……」

周子「そうだねー。たしかに、ちょっとやらしいかもねー」

紗枝「そんなん、おかしいやろって思って……せやけど、うちが守らなって思ってた、みなはんが……うちのこと、守るって……」

周子「悔しい? 守りたいって思ってたものに、逆に守ってもらって……ずっと、守られていたことに気づいちゃって」

紗枝「……」

周子「いいじゃん。なんであのおにーさんがそこまでするのか、もう分かってるんでしょ?」



P『すみません、もしかしてそれは私が作った朝ご飯は食べる価値すらないということでしょうか……』

P『キャリアーは動くな!』

歌鈴『あっ、鰤の西京焼きも、美味しそう……』

P『よーし翠、ちょっとみんな集めて待機しといてくれ。ちょっとディレクターさんのところに挨拶しに行くから』



紗枝「……うちは」

周子「それに応えるのも、寄り添うのも、突き放すのも……紗枝ちゃんの自由だけどね。だけど、1つだけ」

周子「紗枝ちゃんの、自分にしかできないこと、それだけは……うん、間違ってないってあたしが保証してあげる」

紗枝「……」ギュッ!


……
…………
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:21:41.49 ID:2jccS6Us0
――戦闘区域

ブッピガンッ!

パシュウウウウウンッ!!

「「「「降臨! ダイオウカー!!」」」」

芳乃「でしてー」

クラーケン「!!」ビシュルルルルッ!!

あやめ『先手は取らせません! ブロッサムミサイル!』ボシュシュシュシュッ!!

ドガガガガガガァンッ!!

クラーケン「……」シュルッ、シュルルル……

珠美『ま、また地面に線を……!』

P『根を張らせるか! 芳乃ちゃん!』

芳乃『ブロッサムストーム、でしてー』

ビュオオオオオオオオオッ!!!!

クラーケン「!?」グッ、グググググッ!!

歌鈴『えっ、そ、それ、そのまま使えたんですか?』

珠美『歌鈴殿! 奴の残りの足を破壊します、ドリルを!』

歌鈴『はい!』ガションッ!
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:22:33.50 ID:2jccS6Us0
珠美『P殿、お力をお借りしますよ!』

P「ああ、珠美とドリラーの刻印同調率、上昇……俺からの負荷軽減を……!」

珠美『いける……いけます! 普段よりも力が……いきますよ、歌鈴殿!』

歌鈴『えええええいっ!!』

珠美『ブロッサムドリル……ストライク!!』ギュルルルルルルッ!!

ドガガガガガガガガッ!!!!

クラーケン「!?」ガガガガガガッ!!

P「3本やったか! 残りの足は2つ……配線はまだメチャクチャ残ってるが、これでやっと互角か……!」

歌鈴『は、配線も壊しましゅ! ブロッシャムビーミュ!!』ズドォォンッ!!

ピピピッ!

楓『全然言えてない……』

ドガァンッ!!

P「キャリアー側の動作も問題ないか……歌鈴が上手く使えてるなら……」

ピピピピピッ!!

クラーケン「……!!」ビシュルルルルルッ!!

歌鈴『し、しまっ――』
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:23:05.47 ID:2jccS6Us0
ギシッ!!

珠美『くっ……』

あやめ『ふ、不覚……!』

P「珠美、あやめ! くそっ! 奴め、取っ組み合いをする足が足りなくなったから今度は配線でドリラーとストライカーを縛りやがって……!」

クラーケン「!!」ブォン!!

ドゴォッッ!!

歌鈴『きゃあっ!? クラーケンの、あ、足が……』

P「奴の足がダイオウカーの胴体に……ブロッサムウイング、芳乃ちゃんは!」

芳乃『ほほー?』

P「全然平気そうでしたね……っていうか腕を縛られたままだと……!」

歌鈴『ブロッサムビーム! い、言えました!』ズドォォンッ!!

ドガァァンッ!

クラーケン「……!」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:23:43.25 ID:2jccS6Us0
歌鈴『ま、まだまだ、ダイオウカーの腕を離すまで打ち続けて……!』ズドォォンッ! ズドォォンッ!

珠美『またしても根比べですか……しかしこのままでは……!』

P「くそっ……麗奈、援護を頼む! コイツの配線をぶった切って――」

ピピピッ!

麗奈『何か言った?』

周子『そのポテチ取って―』

P「っていうかお前なんで指令室にいるんだよ! 出撃しろよ!」

麗奈『昨日仕事したでしょ……アンタたちの仕事なんだから、少しくらい自分たちで頑張りなさい』

P「状況見ろよ! こっちは1人足りない状態で戦ってるんだぞ!」

麗奈『へぇ、1人足りないってワケ?』

P「そうだよ!」

麗奈『だってさ、紗枝』

P「は?」

ピピピッ!



紗枝『……ほんま、いけずな人やわ』ブォンッ!

シュパアアアンッ!!


66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:24:39.49 ID:2jccS6Us0
ドガアアアンッ!

歌鈴『きゃっ!?』

珠美『腕の配線を……紗枝殿!』

あやめ『実体剣を装備したタケミカヅチ……P殿の機体ですか』

紗枝『遅くなって申し訳おまへん……みなはんにえらいことさせて……』

P「えちょ、俺のタケミカヅチ……操縦……」

紗枝『……あんさん、うちらが武御雷動かせへんって思ってるんどすか?』

珠美『た、珠美たちも一応訓練は受けていますので……』

P「あ、そう……じゃなくて! おい黒川千秋、晶葉! なんで紗枝を出撃させたんだよ!」

千秋『本人の要望よ』

P「お前……!」

晶葉『怒るなよ、千秋も私も、全員一度は止めたさ。だが、どうしても出たいと言うからな。いいか紗枝、2分だぞ』

紗枝『それだけあれば十分……珠美はん、ぶろっさむそーどや!』ガションッ!

珠美『は、はい! ブロッサムソード!』ブッピガンッ!

紗枝『あんさん、きゃりあーのはっち開けてといて。わいやーで降ります』

P「あ、はい……」ピッ!

パシュンッ!
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:25:18.13 ID:2jccS6Us0

バサッ!

紗枝「……」

P「おい紗枝、体は……」

紗枝「……うちが、うちにしかできひん、みなはんを守ること……せやけどうちのこと、守ってくれはるのは」

P「……起きてたのか」

紗枝「ぶろっさむきゃりあー……おーとぱいろっとからしすてむ変更、各機でーたしんくろ確認……刻印同調」

P「無視ですか」

パアアアアアッ!

紗枝「んっ……!」ビクンッ!

P「……負荷軽減対象にブロッサムキャリアーを追加、ツクヨミヒメからの一部制御を解除」カタカタカタッ!

P「歌鈴、いけるか!」

歌鈴『はい! 紗枝ちゃんが来てくれたから、思いっきり踏ん張れます! 珠美ちゃん!』

珠美『覚悟! ブロッサムスラッシュ!』ヒュカッ!!

シュパアアアアンッ!

クラーケン「!?」ドガアアアアンッ!!

あやめ『奴の足はすべて落とした……今です!』

紗枝「歌鈴はん!」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:25:45.67 ID:2jccS6Us0
歌鈴「はい! 草薙剣!!」

パアアアアアアッ!!!!


ヒュカッ!!

クラーケン「……!」

ズドォォォォンッ!!!!

歌鈴「私たちの、刻印……最後まで燃やして……!」

歌鈴「ブロッサムストーム!!」

芳乃『でしてー』

ビュオオオオオオオオッ!!!!

クラーケン「!?」ググググッ!!

歌鈴「やあああああっ!!」ギュンッ!

歌鈴「桜! 花! 斬!」ヒュカッ!!

ズバアアアアアアアッ!!


クラーケン「……」

ドガアアアアアアアンッ!!!!


歌鈴「悪鬼、滅殺……!」



……
…………
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:26:28.03 ID:2jccS6Us0
楓『……破壊者の反応、消滅しました。戦闘終了ですね』

美優『おわり……ですね』

歌鈴『お、終わったぁぁぁぁ……』ハァ……

翠『お疲れ様です。今回の戦闘、こちらも厳しい状態でしたが』

千秋『そうね……でも、ダイオウカーならやれると信じていたわ。お疲れ様』

晶葉『よくやった。すぐ回収班を向かわせるから待機していてくれ』

麗奈『ま、頑張ったんじゃない?』

周子『おうおう、シューコちゃんの頑張りも無駄じゃなかったねー』

珠美『これにて一件落着……今回は色々とありましたね』

あやめ『歌鈴殿、ダイオウカーは分離させましょう。紗枝殿やP殿の負担になります』

歌鈴『あ、はいっ、それじゃあフィールドジェネレーターを解除して……』

バコンッ!!

P「ふぅ……終わったかぁ」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:26:54.93 ID:2jccS6Us0
P「それにしても、思ったよりも負荷軽減やって何ともないもんだな……何も無いに越したことはないけど」

P「ってそうだ、紗枝……」

紗枝「……」ハァ……ハァ……

P「もう少しで回収が来るから、苦しいだろうけど少しだけ我慢してくれ」

紗枝「……大丈夫、どす」ハァ、ハァ……

P「そうかそうか。じゃあ横になっておけよ。ほら、少し寝なさい」

紗枝「ぅ……ん……」

紗枝「……」

ピピピッ!

晶葉『大儀だったな。お前も疲れただろう』

P「そうだなぁ……なんか、疲れた」

晶葉『回収するまで少し休んでてくれ。あと、戻ったら紗枝のことは頼むぞ』

P「はぁ……戻ったらな」

……
…………
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:27:57.18 ID:2jccS6Us0
――夜、ブラックパール城(集中治療室)

ピッ、ピッ、ピッ……

紗枝「……ん」ピクッ

P「紗枝……!」ガタッ!

紗枝「なんや……あんさん、おもろい顔して」

P「人の顔を面白い顔なんて言わないでくれよ……いやそれはいいとして、大丈夫か? 刻印の消耗も相当酷い状態だぞ」

紗枝「大丈夫……やおまへん。もう、苦しくて……」ハァ、ハァ……

P「そうか。それじゃあスタッフを呼んで――」

紗枝「……あんさん」

P「な、なんだ?」

紗枝「あんさん……なんでうちのこと、構うんどすか?」

P「それは……そりゃ構うさ。俺は、言い方は悪いが、紗枝の面倒を見るのが仕事だ。俺のやらなきゃならないことで……」

紗枝「……」

P「だけどな、俺は……誰かの為に命を掛けることが出来る子を、見捨てたくない。俺だって……できるなら、同じようになりたい」


『貴方の意思で……誰かを、守りなさい……』


P「俺に色んなことを教えてくれた人がいる。俺の意思で、誰かを守れって……だけど、紗枝みたいに皆を守ることは出来ない」

P「だから、せめて俺に出来るなら……皆を守ろうとする紗枝を、守りたい」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:28:25.72 ID:2jccS6Us0
紗枝「……うち、うち、いつもあんさんに好き勝手言うて……ほんでもあんさん、ずっと、うちのこと……」グッ……

P「お、おい動くなよ。少なくても今日は大人しくここのベッドで寝て――」

ギュッ!!

紗枝「うち、偉そうなことばかり言うて……あんさんや、みなはんがしてくれはったこと、何も気にせんで……」グスッ

P「……そうか。まあ、いいんじゃないか?」ポンポンッ

ピッ、ピッ、ピッ……

紗枝「……あんさん」ハァ、ハァ、ハァ……

P「なんだ?」

紗枝「うちの……刻印、もう、ほとんど燃えて……体も、熱い……」ハァ……ハァ……ハァ……

P「いいのか? 紗枝は――」

紗枝「んっ……!」

P「ん……」

紗枝「んっ、はぁっ……ちゅっ、んん……ん……」

ピピッ、ピピッ……

紗枝「はっ……はぁっ、はぁ……」

P「ん……紗枝……」

P(もう刻印の状態が……昨日よりは、紗枝の体も落ち着ているから、刻印を回復させるなら今のうち、か)

紗枝「あんさんになら……せやから、うちのこと……どうにか、して……」ギュッ!

P「ああ、分かった」

紗枝「んっ……!」ギュッ……

……
…………


[5-7]
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:29:25.35 ID:2jccS6Us0
――翌日、早朝、ブラックパールガーデン、ブラックパール城(中庭)

P「ふわぁ……昨日はしんどかった……ん、翠、おはよう」

翠「おはようございます。今日もお早いですね。昨日は戦闘もありましたが……」

P「いやまあ、昨日は……」

翠「あ……そうでしたね。紗枝ちゃんが……」

P「まあ少しは俺も寝たけど、結構長かったな……」

翠「その分刻印の回復も早く済めばいいのですが、どうでしょうね」

P「そこら辺は俺も詳しくないからなぁ。とりあえず、皆起こして学校に行かせてから紗枝の様子は見に行くよ」

翠「そうですか。私も後で医務室に行きますので」

P「ああ、それじゃあ後でな」

翠「はい」


……
…………
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:29:52.62 ID:2jccS6Us0
――ブラックパールガーデン、屋敷(玄関)

珠美「……あ、P殿、おはようございます」シャッ、シャッ

P「おはよう。今日は朝練……じゃないな、玄関掃いてるのか? 珍しいな……」

珠美「ああいえ、その、いつも通り中庭で素振りをしようと思っていたのですが、その、少し居づらくて……」

P「ん?」

珠美「何と言いますか……」

P「まあいいや、とりあえず朝飯作るから屋敷戻るぞ。歌鈴も起こしてやらないと」

珠美「は、はぁ……」

……
…………
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:31:11.12 ID:2jccS6Us0
――屋敷(居間)

P「……」

歌鈴「……」

あやめ「……」


紗枝「♪」


P「……なんであの子ここにいるの」

珠美「た、珠美が起きて居間に降りたときには既に……」

紗枝「珠美はーん? 朝練終わったんなら、お皿出して……あ」クルッ

P「あいやすみません、私も早々に仕事に戻りますので……」

紗枝「あらぁPはん、おはようさんどす」

歌鈴「えぇっ!?」

珠美「P殿に挨拶……」

あやめ「なんと」

P「え? あ、うん、おはようございます。じゃあ俺仕事あるから……」

紗枝「こないな朝早くからお仕事せんでも、朝ごはん食べまひょ?」

P「え?」

紗枝「今日はうちが朝ご飯作ったから、ほらほらPはん、こっち座りまひょ」

P「……」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:32:16.00 ID:2jccS6Us0
珠美「P殿を上座に座らせてますよ……」

歌鈴「Pさん引いてる……昨日何があったんだろ」

あやめ「昨日の紗枝殿の様子は監視しておりましたが、P殿に刻印の譲渡をしてもらってただけですが」

珠美「珠美たちと同じことをしてもらっただけのはずですが……」


紗枝「みなはん? どないしたんや? 学校ありますし、朝ご飯食べまひょ?」

歌鈴「えっ? あ、う、ううん……その、紗枝ちゃん、昨日どうしたのかなーって思って……」

紗枝「昨日……」

P「……」

紗枝「昨日……うち、Pはんの益荒男に……ああ、おかしくされてしもうて……」

P「ぶほっ!?」

珠美「やっぱり珠美たちと同じですね」

あやめ「別の病を患ってますね、これは……」

P「いや、ていうかキミ、医務室に戻って……」

紗枝「はぁ……あんな色めいたこと、歌鈴はんたちもやっとったなんて……はぁ、うち、なして今までしてもらわなかったんやろ」ハァ……

P「いや、普通に刻印を譲渡しただけなんですが」

紗枝「今日もPはんにやってもらわへんと……はぁ、待ちきれへんなぁ……」

P「……仕事行っていい?」

紗枝「あきまへん」ギュウウウウウッ!!

P「いててててっ!」

……
…………
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:33:54.05 ID:2jccS6Us0

――ブラックパールガーデン、ブラックパール城(屋上)

麗奈「ふぅん、結局こっちには1人で来たワケ?」

??『彼女たちには、任務があるわ……いずれ、機会があればこちらに来ることになるけれど』

麗奈「機会があれば、ね。そっちに出てる奴らは大したことないとはいえ、特務の奴らがいないとキッツイかしらね」

??『ええ……とはいえ、何れは対応していく必要があるもの……魂を燃やすのは、彼女たちだけであってはいけない……』

麗奈「しかしまぁ、こっちでも奴らが出てくるなんてねぇ……連合の用事終わったらこっち来るんでしょ? どっかで会う?」

??『必要ないわ。日本の政府に……前回の戦闘の件を伝えるだけ……終わり次第、城に向かうわ』




麗奈「あっそ。それじゃ千秋たちには話しておくかしらね……ま、さっさと来なさいよ、のあ」

のあ「分かっているわ。その為に……私は戻ってきたもの」



――――
――
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:34:20.17 ID:2jccS6Us0
――早朝、奈緒の部屋

奈緒「……もう5時か。今日はこれでやめておくか」カチカチッ

奈緒「……」

奈緒「うーん……今回は結構苦戦したなぁ。これ、敵が強くなってきてそろそろ太刀打ちできなくなるとか、あるんじゃないか?」

奈緒「でも最後にのあさん来たし……何かパワーアップするイベントとか……いや、でもなんかそういう雰囲気じゃないし」

奈緒「……というか、周子は今回よく画面に出てたな。なんの話してたのかは、よくわかんなかったけど」


奈緒「まぁ、5時だしそろそろ寝るか……続きは夜にしよ」

……
…………
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/09(月) 17:35:57.35 ID:2jccS6Us0
終わり。HTML化依頼出して終了。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/09(月) 20:56:25.30 ID:6dXOtoGVo
おつおつ、さえはんのエロエロ期待
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 01:12:56.71 ID:I/YlOZn3o
敵が強くなってるって話は出てるしどこかでパワーアップか新機体かはあるだろうな
イベントで気力130から始まる感じで
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/10(火) 22:38:20.25 ID:B/0WBlk00
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