【ラブライブ!サ!!】曜「私とあの娘のアイスな関係」

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89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/23(月) 23:00:29.09 ID:XH3tkQ9L0
ルビィちゃん…
90 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 17:47:47.15 ID:swqWhekf0
すこしだけ更新します。
91 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 17:57:04.43 ID:swqWhekf0
ーーーーーー



曜「え? ルビィちゃん、休みなんですか?」



土曜日。
午前中の練習に行くと、ルビィちゃんの姿がなくて。
それで、ダイヤさんに聞いたらそんな答えが帰ってきた。



ダイヤ「……えぇ。少し調子が悪いようですわ」

曜「……そう、なんだ」



正直、ホッとした。
昨日、ルビィちゃんのことを考えたせいで、会うのがなんだか不安だったから。

………………。



曜「早くよくなるといいですね」

ダイヤ「………………はい」

曜「…………?」



って、なんだか変じゃない?

いつものダイヤさんだったら……。


「体調管理を怠るなんて! ぶっぶーですわ!!」


なんて。
ルビィちゃんを心配しながらも、そう言いそうなのに。
今のダイヤさんは……?



千歌「よーちゃ〜〜ん!! ちょっといい〜〜?」

曜「あ、うん! ごめんなさい、ダイヤさん! 千歌ちゃん呼んでるから!」

ダイヤ「あ、はい。ご心配をおかけして……」

曜「そりゃあ…………」



曜「……仲間だし」



ちょっとだけ、言葉に詰まりながら、そう答える。
仲間だし、当然。

そうとしか答えられない。
そんな自分が…………ちょっとイヤ。
92 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 18:06:28.10 ID:swqWhekf0


曜「って、イヤイヤイヤイヤ!!」



自己嫌悪に陥りそうな頭を振って、思考をリセットする。
ついでに、



ーー バチンッ ーー



曜「っし!」



頬を叩く。
これでよし!



曜「おまたせ、千歌ちゃん!」

千歌「……よーちゃん」

曜「ん? なに?」



千歌「悩みあるなら聞くよ?」



と、突然、ポンッと私の肩を叩いて、千歌ちゃんがそう言う。

え?
な、なに?



千歌「なに? 痛いのに目覚めちゃったの?」

曜「え? はぁっ!?」

千歌「いや、いま、ばちんってすごい音して、顔叩いてたから」



って、しまった!
千歌ちゃんに見られてた!?
確かに、これ、幼馴染みの千歌ちゃんの前でもほとんどやったことないやつだった。



曜「イヤイヤイヤイヤ!」

曜「違うから! そんなんじゃないから!」



チラチラと視線を送ってくる千歌ちゃん。



千歌「……///」



って、なんでちょっと赤い顔してるの!?



千歌「叩く?」

曜「いや、いい!」

千歌「え? 叩いていいの?」

曜「あ、違う違う!! そっちのいいじゃない!」
93 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 18:11:55.95 ID:swqWhekf0


果南「おーい! 二人とも! 遊んでないで練習続けるよー!」

千歌「あ、はーい!」



果南ちゃんの声に助けられ、ほっと一息。



千歌「……いつでもーー」

曜「よーし! 全速前進! ヨーソロー!!」

千歌「むー……」



どうにか誤魔化してみんなの輪に戻る。

……危ない危ない。
千歌ちゃんがなにかに目覚めるところだったよ……。



そんな。
くだらないやりとりをして、この日は終わってしまった。
だから、結局、



ダイヤ「…………はぁ」



様子の変なダイヤさんから話を聞くことはできなかった。
私自身もそれをあんまり大きな事だと考えてなくて。

だから、起こっちゃったんだ。
この二日後に。



あの事件がーー。



ーーーーーー
94 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 18:20:21.55 ID:swqWhekf0
ーーーーーー



月曜日のこと。
前の日に、千歌ちゃんと梨子ちゃんと一緒に遅くまで衣装の相談をしてたせいで、授業中は爆睡しちゃってた。

……まぁ、寝てるのは今日に限らなかったりするんだけどね。

とにかく、気だるさが残る放課後の練習。
その前の時間。



ーー バタン ーー


花丸「遅刻ずらぁ!」



と、慌てて部室に入ってきた花丸ちゃん。
その後ろには、決め顔の善子ちゃんがいる。



善子「フッ、悪魔に誘われて天界に残りし我が聖典をーー」

花丸「日直の日誌を出さなきゃいけなくて……」

果南「あー、あれね。確かに少し時間かかるから面倒だよね」

善子「無視するなー!!」

曜「っと、これで全員…………」



曜「じゃないね」



今、部室にいるのは、7人。
えっと、ダイヤさんとルビィちゃんが来てないみたい。
95 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 18:25:11.63 ID:swqWhekf0


善子「あ、ルビィは休みよ」

曜「え?」



善子ちゃんもメンバーを見て、気づいたみたいで、ルビィちゃんが休みだと教えてくれた。

って、お休み?



花丸「うん。なんだかまだ具合が悪いらしくて……」

果南「そうなの?」

梨子「土曜日もお休みだったし……心配ね」

曜「…………」



口々に、ルビィちゃんのことを話すみんな。
私は……。



果南「で、ダイヤはその看病で家に帰ったよ」

鞠莉「フフフ、さすが、ダイヤ。シスコンね〜♪」

梨子「シ、シスコンって……」

96 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 18:31:09.27 ID:swqWhekf0



千歌「よし!」

千歌「私たちもルビィちゃんのお見舞いに行こう!」



ダイヤさんのシスコンっぷりで盛り上がる鞠莉ちゃんたちの会話を遮るように、千歌ちゃんがそう叫んだ。

善子ちゃんがちょっとビックリして、イスから落ちかけてたのが視界の端に映ったけど……。
まぁ、触れないようがいいよね。



果南「お見舞いかぁ」

花丸「それいいと思う! まるもルビィちゃん看病したいずら!」

梨子「お、大勢で押しかけるのもどうかと思うけど……」



チラリと。
梨子ちゃんがこちらを見てくる。

千歌ちゃんがああいってるけど……。
どうする?

って、感じのアイコンタクト。



曜「………………」



…………まぁ。
別に反対する理由もないよね?



曜「いいんじゃないかな」



千歌ちゃんも私の言葉に嬉しそうに頷く。
97 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 18:36:14.13 ID:swqWhekf0


千歌「よーし!!」

千歌「じゃあーー」




果南「でも、人数は考えた方がいいかもね」

千歌「えー! でも!」

梨子「私もそう思う」

千歌「梨子ちゃんまで!?」

果南「とりあえず、鞠莉とか千歌とかは行かない方向で」

千歌「なんで!?」
鞠莉「What's!?」

梨子「…………うるさいから」

ちかまり「「ガーン!?」」



善子「……フッ、任せなさい。リトルデーモンの想いはこのヨハネがーー」

花丸「善子ちゃんも風邪うつるからやめるずら〜」

善子「!?」



……と。
そんなこんなでーー。



ーーーーーー
98 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 20:26:40.88 ID:swqWhekf0
ーーーーーー



果南「結局、3人かぁ」

曜「そうだね」

梨子「あはは……」



鞠莉ちゃんと千歌ちゃんはうるさいから。
善子ちゃんは風邪うつるから。
花丸ちゃんはその付き添い……?

ということで、結局、私と梨子ちゃん、果南ちゃんの3人でルビィちゃんとダイヤさんのお家へ。
手には途中で買ったプリン。
勿論、お見舞い用に買ったやつだ。



果南「アイスじゃなくてよかったかな?」

曜「っ」



果南ちゃんの言葉に、思わずからだが跳ねる。
どうやら果南ちゃんは、私の目線を追っていたようで……。



梨子「お見舞いに、アイスは……ちょっと……」

果南「それもそうだね」

曜「…………うん」



……………………。

うん。
アイスは……いいや。
99 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 20:33:25.70 ID:swqWhekf0



果南「さて、それじゃ行こうか」



曜「へっ?」

梨子「……曜ちゃん、どうかした? さっきからぼんやりしてるけど……」

曜「あ、いや……なんでもないであります!」



気づけば、いつのまにか目の前には立派な門があって。
ボンヤリしてるうちに、着いてた……みたい。


ーー バチンッ ーー


と、叩くわけにはいかない。
二人も見てるし。
だから、深呼吸をしてから、



ーー ピーンポーン ーー



ーー呼鈴を押した。



曜「…………」

梨子「…………」

果南「…………」

曜「…………」

梨子「…………」

果南「…………」




果南「出ないね?」


100 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 20:39:45.35 ID:swqWhekf0
少し待っても応答はなし。
もう一度、呼鈴を押してみても……。



曜「……出ない」



留守かな?

梨子ちゃんの言葉に首を振る。
ダイヤさんなら、ルビィちゃんが具合悪いのに留守にはしないと思うけど?



果南「ダイヤ〜〜っ!!」



梨子「ちょっ!?」

曜「果南ちゃん!?」



いきなり大声を出す果南ちゃん。
それを梨子ちゃんと止める。



曜「果南ちゃん! なに大声だしてるの!?」

果南「え? いや、聞こえなかったのかなって思ってさ」

梨子「いやいや! 近所迷惑ですよ!」

果南「近所って……ダイヤの家広いから、隣の家、あそこだよ?」

曜「……まぁ、それはそうかもしれないけどさ」



流石に、大声で呼ぶっていうのは……。
そもそも呼鈴で聞こえない?んだから、呼んでも返事はーー




ダイヤ「果南さんっ!!!」




曜「えぇ!?」
101 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 20:48:14.64 ID:swqWhekf0
黒澤家の二階。
そこの窓から身を乗り出して登場したのは、ダイヤさんその人。
果南ちゃんに負けず劣らずの大声を張り上げていた。



梨子「だ、ダイヤさん!?」

果南「あ、やっぱりいた」



ほらね?
と、得意気な表情の果南ちゃん。
う、うーむ。
果南ちゃんも千歌ちゃんたちと変わらない……というか、勝手知ったるって感じだから千歌ちゃんよりたち悪いかも……?
こんな大声で……って……?

あ、あれ?



曜「ダイヤさん! なにかあったんですか?」



そう。
果南ちゃんや鞠莉ちゃんならともかく、ダイヤさんがあんなに声を張り上げていたんだ。

なにかあった。

そう考えるのが自然なことだ。



ダイヤ「よ、曜さんっ」



慌てた様子のダイヤさん。

落ち着いてください。
そう言うと、ダイヤさんははっとした後に、軽く目を閉じる。
自分の気持ちを落ち着けるため……?
とにかく、そんな仕草をした後に、こう言った。
102 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 20:55:29.84 ID:swqWhekf0
ーーーーーー




ダイヤ「ーールビィがっ」

ダイヤ「ルビィが、どこにもいないのですわっ!!」




曜「………………え?」




ーーーーーー
103 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 20:56:06.38 ID:swqWhekf0
ーーーーーー
104 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 21:03:12.47 ID:swqWhekf0
ーーーーーー




ルビィ「………………ぅゅ」




ポツリ。
つぶやく。



ルビィ「…………はぁ」



そして、ため息。
じこけんお……ってやつ。



ルビィ「なんで、こんなこと……」



なんで、こんなことしちゃったんだろう。

おねえちゃんにおこっちゃったこと。
学校をサボっちゃったこと。
家出してきちゃったこと。

全部ぜんぶ……。



ルビィ「モヤモヤのせいだもん……」

ルビィ「…………」

ルビィ「…………ううん」



わかってる。
そんなの理由にしちゃいけないんだってことは。
きっと、おねえちゃんに言ったら、そんなのは甘えだって言われるよ……。

だけど、どうしていいか分からないから。
ルビィは、どんな顔をして会えばいいの?

……………………。

…………だれに?

おねえちゃん?
それともーー
105 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 21:11:54.70 ID:swqWhekf0



ルビィ「くちゅっ……」



くしゃみ……うぅぅぅ。
夏っていっても、夕方はすこしだけ涼しくなる。
だから、このカッコはちょっとさむいよぉ。

それに、




ーー カァァァァ ーー



ルビィ「ピギィッ!?」



びくんってなっちゃった。
か、カラスさん……ぅゅ、ビックリしたぁ……。


カラスが鳴くから、帰りましょう。



……だっけ?
昔、おねえちゃんといっしょに歌いながら帰った記憶がある。
ちっちゃいころの記憶だけど……。

それを歌ってたのは、いつも夕方でーー



ルビィ「……もう、暗くなってきた……」



周りをみれば、今も夕方。
暗くなり始めちゃった……。



ルビィ「か、かえらなきゃ……」



ーーーーーー
106 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 21:18:09.72 ID:swqWhekf0
ーーーーーー



ルビィ「あ、あれ……?」

ルビィ「バス……は?」



いつもはバスに乗らないし。
今日はとくにボーッとしながら歩いてたせいだとおもう。
バス停につくと、周りはもう暗くて。
あわててバスの時刻表を見る。

けど、



ルビィ「え……え……?」

ルビィ「あ、あれ……?」



バスの時刻表の下半分。
夜の7時から下が破れて見えなくなっちゃってた。



ルビィ「っ」



急いで、反対側のバス停の時刻表を見に行く。
道路、車来てないことを見てから……。



ルビィ「バスは……」

ルビィ「っ」



時刻表を見てわかった。
もう7時にバスはなくて。
あとは……。



ルビィ「9時……半……?」


107 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 21:23:47.01 ID:swqWhekf0
9時に一本。
一番最後のバスだけ。



ルビィ「え……」



ヒヤリとした。

こんなとこで…………あと…………。
あ、あれ?



ルビィ「……ケータイっ」



ポケットを確認するけど……ない。
……持ってくるの、わすれちゃった……。



ルビィ「…………え……」



え、え…………?
ま、まってよ……。
ここで、あと…………え?



ルビィ「…………っ」



時間もわかんない。
それに 家に戻る方のバスがいつくるかも……わかんない。
…………え、まって、まって……。
今、9時より前だよね?



ルビィ「…………も、もし……いま……9時すぎてたら」



もう、バスがないとしたら?

そう考えてーー




ルビィ「ぅ…………うぅぅぅ……」




108 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 21:30:03.63 ID:swqWhekf0
泣きそうになる。
バス停のところで、うずくまる。



ルビィ「っ、うぅぅぅ…………」



急に、怖くなった。

怖い。
怖い怖い怖いっ……。

がくがくと、からだも震えだした。




ルビィ「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ……っ」




ルビィは、だれにあやまってるんだろう……。

おねえちゃん?
それとも、おかあさんとおとうさん?
わかんない。
ただ、言葉だけが出てくる。



怖くても……しかたない……。
だって、ルビィが悪いんだもん。

おねえちゃんにひどいことして。
学校もずる休みして。
家出なんてしてこんな時間に出歩いて。



ルビィは悪い子で。

だから、これは罰なんだ。
神様がルビィにあたえた罰。
109 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 21:37:21.65 ID:swqWhekf0



ルビィ「る、ルビィの……せいだもん……っ」

ルビィ「だから……しょうがない……よねっ」



目をぎゅってつぶって繰り返す。
ルビィのせいだから、って。



ルビィ「ごめんなさい……っ」

ルビィ「ごめんなさい…………っ」



繰り返す。
反省する……ためじゃない……。
静かにすると……。




ルビィ「……………………」



ーー カァァァァ ーー



ルビィ「ピギィッ……」



音が聞こえる。
ハッキリ聞こえてくるから。

カラスさんの鳴き声。
風が草を揺らすの音。
それに、バス停もガタガタって揺れてる。

いろんな音が、ルビィをおそってくる。

こわいこわいこわいっ。
いやだよぉ……。



真っ暗なのは怖い。

色んな音が、ものがいつもよりハッキリ見えて。
それがルビィのことを驚かせようとしてるみたいで。
だから、夜はいつも夕方にーー



ルビィ「っ!」



そうだ!
光!

お月さまの光をみればーー
110 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 21:44:01.25 ID:swqWhekf0
見上げた空。
お月さまも、お星さまも、



ルビィ「な、い……っ」



見えない。
いつの間にか空一面に雲が、かかってる。



ルビィ「っ」



また、うずくまる。
うずくまって、目をかたく閉じた。



やっぱり、罰なんだ。

そう思った。
ルビィが悪い子だからって……思った。
いまだって、ルビィは反省じゃなくてちがうことを考えてた。
ごめんなさいじゃなくて。

助けて。

都合がいいとルビィもわかってる。
好き勝手して、怖くなったら助けてなんて。
ほんとにルビィは……。



ルビィ「うぅぅぅっ……」



でも、でもやっぱり……どうしてもこわくて。

だから、ルビィはつぶやく。
もう、こわくて声も出そうにないけど、それでもつぶやく。
そうしないと、ほんとにこのままな気がして……。

それはいやだよぉ……。
怖いよ……。

たすけてーー





ルビィ「…………ようちゃん」



111 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 21:45:28.06 ID:swqWhekf0
ーーーーーー





「や、やっと……みつけた……っ」





ーーーーーー
112 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 21:53:06.99 ID:swqWhekf0



ルビィ「え…………」



聞こえた音。

ルビィ以外だれもいないはずの場所で聞こえたその音は……。
カラスさんでも、風の音でもない。
バス停が軋むような嫌な音じゃなくて。
それとは正反対のーー



ーー安心できる声。




「ぜんぜんっ……見つからなくてっ……はぁっ」




顔をあげなくても、息を整えてるのがわかる。
ルビィと同じ量の練習をしても息がぜんぜん切れないその人がぜぇぜぇってしてるのがわかる。
その人が、ルビィに近づいてくるのがわかる。



「でも、よかった……はっ……見つかって……」



本気で心配してくれてたのがわかる。
今、ほんとにホッとしてるんだって伝わってくる。

そして、




「ほら……ルビィちゃん……っ」


113 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 21:55:44.30 ID:swqWhekf0




曜「こっち、おいで!」



ルビィ「〜〜〜〜っ、ようちゃぁぁんっ!!」





114 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 22:02:32.18 ID:swqWhekf0

曜ちゃんに飛びついた。
ルビィはそのあとずっとわんわん泣いて。
その間、曜ちゃんはずっとルビィのことを撫でてくれて。


そして、わかった。
ルビィの心のモヤモヤが晴れていくのがわかった。

そっか。
そうだったんだ。



ルビィは、こうやって曜ちゃんにぎゅっしてもらいたかった。



簡単なことだったんだ。

あの日。
曜ちゃんがルビィにアイスを買ってくれなかった時。
ルビィは曜ちゃんにもう優しくしてもらえないのかなって思った。

おねえちゃんが曜ちゃんからもらったアイスを食べた時。
曜ちゃんがとられちゃった気がした。



………………。



簡単なこと。
ルビィは曜ちゃんをとられたくなかった。
曜ちゃんに優しくしてもらいたかった。
曜ちゃんをひとりじめしたかった。




…………うん。




ルビィは、曜ちゃんのことがーー




ーーーーーー
115 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 22:03:02.84 ID:swqWhekf0
ーーーーーー
116 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 22:14:20.92 ID:swqWhekf0
ーーーーーー



例の事件の後。
ルビィちゃんは、1ヶ月の外出禁止をダイヤさんから言い渡された。


勿論、学校は行っていいけれど、それ以外は禁止。
練習のあとも、ダイヤさんと一緒に帰ること。

あ、ちなみに、今回はちゃんと1ヶ月禁止だったんだって。
いくらルビィちゃんに甘いとは言っても、今回のは別。
お父さんたちには話をしなかったらしいけど、その分ダイヤさんに怒られた、と。


ま、当然かな。
今回のは本気で心配したしね。
あの場にいた梨子ちゃんも果南ちゃんも、そして、連絡した他のメンバーもかなり必死になって探し回ったから。




ん?
私?

いや、まぁ。
私が見つけられたのは、偶然だよ。

愛の力……って///

イヤイヤイヤ!!
そんなんじゃないってば!!

………………。

今?
今はまぁ、普通だよ?
そもそも1ヶ月間、ダイヤさんとベッタリだったわけだし。



………………え?



…………あー、そっか。
今日で、1ヶ月か。




ーーーーーー
117 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 22:19:41.35 ID:swqWhekf0
ーーーーーー




ダイヤ「な、な…………」




梨子「ダイヤさん?」

千歌「どーしたんですか? ぷるぷる震えて?」

ダイヤ「な……な……」

果南「な?」

善子「な?」

鞠莉「NATTO?」



ダイヤ「ちっっっっがいますわ!!」



善子「っ、び、ビックリするじゃない!!」

果南「なに? どしたの?」

ダイヤ「な、ないんですわ!!」

梨子「ないって……」

千歌「なにが……?」




ダイヤ「練習終わりに食べようとここに冷やしておいたーー」

ダイヤ「ーーお高いアイスが! ですわ!!」



118 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 22:24:33.32 ID:swqWhekf0

果南「……ダイヤ、部室になにを持ち込んでるのさ」

善子「いや、部室の外にワカメ干してるあなたが言うのはどうなのよ……」

果南「え? ワカメ美味しいよ?」

善子「いや、そうじゃなくて……」



ダイヤ「そんなことはどうでもいいですわ!!」バンッ



花丸「あ」

ダイヤ「花丸さん? なんです?」

花丸「そこにあったアイスなら……」




花丸「ルビィちゃんがさっき必死に食べてたずら」




ダイヤ「なっ!?」

梨子「って、そのルビィちゃんは?」

花丸「曜ちゃんと寄り道して帰るって言ってたような……?」

ダイヤ「な、なっ、な……」




ダイヤ「なにをしてるの、あの愚妹はァァァァ!!!」




ーーーーーー
119 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 22:31:56.99 ID:swqWhekf0
ーーーーーー




ルビィ「〜〜〜♪」



ご機嫌なルビィちゃんに連れられて帰る帰り道。

ま。
1ヶ月ぶりに自由なんだもんね。
聞けば、夏休みもろくに外出できなかったらしいし。
そりゃご機嫌にもなるか。



曜「ねぇ、ルビィちゃん?」

ルビィ「? なぁに?」

曜「えっと…………」



……なに話そう……。
なんだか久しぶりすぎて……。
えぇと……。



曜「…………涼しくなってきたね」



って、なんだそりゃ……。
そんなどうでもいいことーー



ルビィ「うん。もう二学期だもんね」



ーー答えてくれるんだ。
そっか。
えぇと……。



曜「……もう」

曜「もうさすがにアイス食べるのは寒いよね、あはは」

ルビィ「……………………」



…………えー。
渡辺曜ってこんなに話下手だったっけ……?
うぅぅ、自信なくすよ……。
120 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 22:36:37.55 ID:swqWhekf0



ルビィ「……………………」



ほら。
ルビィちゃんもあきれて黙っちゃったよ。
うつむいてるし。

はぁぁぁ……。
やっぱりーー




ルビィ「ね、ねぇ!」

ルビィ「ようちゃんっ!」




曜「……え、あっ、うん! なにっ?」



ワンテンポ遅れて返事を返す。
び、ビックリした。
えっと……?

ルビィちゃんの顔を見ると、なにやら真剣そうな表情で……。
それを見て、私も少しだけ姿勢を正す。



えぇと。
その……ね?



ルビィちゃんの言葉を待つ。
なかなか言葉に出来なくても、待つよ。
うん。
だから、聞かせて。
121 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 22:39:28.62 ID:swqWhekf0



ルビィ「あ、あのね!」

ルビィ「実はルビィーー」




ルビィ「ーーおねえちゃんのアイスを間違って食べちゃったの」




曜「へ?」

ルビィ「…………っ」

曜「…………」




ルビィちゃんがなにを考えているのか。
それは、よく分からない。

だけど、私はーー
122 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 22:41:34.02 ID:swqWhekf0



曜「……アイス、買ってくるね」

ルビィ「!」

曜「……大丈夫」





曜「二人だけの秘密だから!」



ルビィ「〜〜っ、うんっ!」




ーーーーーー
123 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 22:44:24.16 ID:swqWhekf0
ーーーーーー




今はまだ『アイス』な関係だけど。



いつかは。
もしかしたら。
あるいは。

『アイス』も溶けちゃうような、そんな関係になれるのかな?



……どうかな?





曜ちゃん?





ーーーーーー fin ーーーーーー
124 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/10/29(日) 22:56:04.21 ID:swqWhekf0
以上で
『曜「私とあの娘のアイスな関係」』完結になります。
久しぶりの百合作品でした。

レスをくださった方
読んでくださった方
稚拙な文章・表現にお付き合いいただき、ありがとうございました。

以下、過去作です。
よろしければどうぞ。

百合もの
果南「異世界に飛ばされた。百合の楽園だった」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1482147488/

衝動で書いたもの
梨子「よっちゃんのせいで血が足りない」ダイヤ「迷惑です」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504434565/
にこ「さぁ、お前の罪を数えろ!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500978922/

またお付き合いいただけたら幸いです。
では、また。
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/30(月) 00:22:04.74 ID:BiaNZsMSO

ようルビ尊い
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/30(月) 10:34:58.78 ID:ci3zXPM6O
すごくよかった
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