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千歌「これはきっと、悲劇だ」
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64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 22:47:46.00 ID:Pn9aw2edo
梨子「よーちゃーん」ムニーッ
曜「んー……」
梨子「起きて、曜ちゃん」ペシペシ
曜「ふぁ……ん。梨子ちゃんだぁ。おはよ……」
梨子「うん、おはよう」ニコッ
曜「な、なんか怒ってる……?」
梨子「今何時でしょうか?」
曜「…………12時です」
梨子「正解」
曜「ご、ごめんなさい……!」
梨子「まぁ、昨日は食事行ってたし仕方ないけど……曜ちゃん全然起きないんだもん。びっくりしたよ」
曜「あ、はは……昔から眠りが深くて……って、あれ?千歌ちゃんは?」
梨子「千歌ちゃんなら地下に……」
曜「千歌だけに?」
梨子「…………」
曜「……はい」
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 22:48:15.48 ID:Pn9aw2edo
梨子「赫子出す練習してるんだけどなかなか……ね」
曜「どうやって教えてたの?」
梨子「赫子を出す感覚がどんなか、とか……どう力を入れるかとか……あとは赫子の種類とかかな」
曜「……なるほどね。ちょっと顔洗ってくるから待ってて」
梨子「うん…………?」
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 22:48:45.00 ID:Pn9aw2edo
千歌「うぐぐぐ……」
千歌「あ、おかえりー!曜ちゃんおはよ!」
梨子「お待たせ、千歌ちゃん」
曜「……千歌ちゃん」
千歌「ん?」
曜「先に謝っとくね。ごめん」
千歌「ぅえ!?またそのパターン!?」
曜「まずは赫眼出す所からかな」スッ
千歌「ぇ、ぇ……とぉ……」
ドゴォ
梨子「えっ」
千歌「っぐ、ぅ」
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 22:49:11.14 ID:Pn9aw2edo
曜の膝蹴りが千歌のみぞおちに入る。
あまりの痛みに思わずうずくまるが、曜は構わず頭を持ち上げる。
曜「……まだ出ない?じゃ、もう一発」
千歌「ぅぐ、ぇ……っ」
二発目は千歌の顔面に飛んだ。衝撃で歯が一本床に落ちる。
千歌「は、ぁ……ぃた…っ」
梨子「ちょ、よ、曜ちゃんやりすぎじゃ」
曜「黙ってて」
梨子(昨日良心が痛むとか言ってなかったっけ……?)
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 22:49:41.80 ID:Pn9aw2edo
曜「危機感なさすぎだよ……私なら千歌ちゃんに手加減してあげると思ってる?」ズズッ
千歌「ぅ、げほ、は……ぁ」
曜「死んじゃったらごめんね」
千歌「ゃ、め……」
千歌(赫子、向かって、これ、死……?死にたくない死にたくない死ぬのは怖い死にたくない)
千歌「ゃ、めて……よっ」ギリッ
曜「……!」
千歌「はー…はー……」
曜「赫眼出せたね、おめでとう」ニコッ
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 22:50:55.10 ID:Pn9aw2edo
曜「じゃ、第二段階ね……っと」
千歌(死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない)ズズッ
梨子「あれが千歌ちゃんの赫子……?」
曜「尾赫が一本……か」フムフム
梨子「なんか…千歌ちゃんの様子、変よ……」
千歌「ゎ、たし、は……っ」
曜「ん?」
千歌「……ろさ、れ…ない…」ギッ
曜「…………じゃあ強くなりなよ。弱いやつから死んでくんだから」
千歌「ぅ、ぁあ、あぁぁあ…っ!」ヒュッ
千歌の赫子が曜のすぐ横を通り後ろの壁に激突する。
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 22:51:27.18 ID:Pn9aw2edo
曜「おぉ、威力あるね。でもちゃんと狙わないと」
梨子「な、なに煽ってるの、曜ちゃん……!」
千歌「つ……く……ょ、く……」ブツブツ
千歌(わたし私はチカ千歌ちかワタシは私、チカ、千歌ちか、わたし、)
曜「……」
千歌「わ、たしはあ!ょくな、らぁ!」
曜「その前にメンタル鍛えるべき?」
梨子「……かな」
曜「とりあえず楽にしてあげるよ」
曜「筋はいいんだけどさ、隙だらけなんだよね」ヒュッ
千歌「っだ、ぁ」ヨロッ
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 22:51:54.05 ID:Pn9aw2edo
曜「痛みに慣れてないから一発受けたらもっと隙だらけになるし。それに立ち回りが下手。攻撃が単調になってるよ……はい、捕まえた」
曜の赫子が千歌の四肢に突き刺さる。
千歌「ぐっ……な、せっ、はなせ!なせはなせはなせ……っ!」
曜「無駄だって。いくら弱くても感覚でわかるでしょ。今の千歌ちゃんじゃ誰も倒せないんだよ」
曜「それと、理性手放すの早すぎ。甘えてるだけでしょ。自己防衛ってやつなのかな。ま、なんにしろ自分の意思で戦えないと死ぬから」
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 22:52:44.87 ID:Pn9aw2edo
千歌「…れ…ば」スゥゥ
曜「ん、戻ってきた?」
千歌「じゃ、どうすれば……」グスッ
千歌「いきなり戦うとか死ぬとか言われても無理、わかんない、よ」
千歌「教えてよ……わたし、は…………なんなの……?」
曜「…………じゃ私行くから」
梨子「い、行くってどこに……」
曜「うるさいな……ぅ、ごめ…………ちょっと、頭冷やしてくる」
梨子「氷水被るくらいがちょうどいいと思うよ」
曜「……はは、いい嫌味だね」
梨子「でしょ?私は千歌ちゃんの手当てしておくから、夜には帰ってきてよ」
曜「…………うん」
梨子「あんまり無茶しないで」
曜「………………」
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 22:57:21.62 ID:Pn9aw2edo
千歌「いてて、しみる…」
梨子「こら、動かないの。はぁ……今日はしばらく動かないようにね。傷開くわよ」
千歌「ぅぐ、本当に治るの……?」
梨子「すぐ治るわよ。千歌ちゃんがどれくらいの回復力なのかはわからないけど……はい、口開いて」
千歌「あー……」
梨子「うわ、歯折れてる……もう、仮にもアイドルの顔に蹴り入れるなんてね」クスッ
千歌「笑いごとじゃないよぉ……本当に痛いんだよぉ……」
梨子「慣れなきゃ仕方ないわよ……ま、強引な気はするけど。あとは精神面をもう少し鍛えないと」
千歌「そー言われても……」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 22:57:47.53 ID:Pn9aw2edo
梨子「やっぱり場数踏むしかないね。私も手伝うから頑張ろ?」
千歌「ぅー……お手柔らかに……」
梨子「まぁ……曜ちゃんよりは、ね」
千歌「……曜、ちゃん」
梨子「ちょっとやりすぎだと思うけど……千歌ちゃんを思ってのことだから」
千歌「それはわかってるけど……なんていうか…………私、曜ちゃんのことなにも知らなかったんだな、って」
梨子「…………はい、手当て終わったよ」
千歌「うん……ありがとう」
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 22:58:14.30 ID:Pn9aw2edo
善子「……曜?いきなりどうしたのよ」
曜「善子ちゃんに会いたくなっちゃってさー」
善子「わっかりやすい嘘……なに?千歌関係?」
曜「……うん」
善子「中入りなさいよ。コーヒーくらい出すわ」
曜「ごめんね、せっかくの休日に」
善子「別にいいわよ……あ、ズラ丸とルビィいるから」
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 22:59:19.93 ID:Pn9aw2edo
曜「……今日は堕天しないの?」
善子「曜だってヨーソローしてないじゃない」
曜「あは、確かにそうかも」
花丸「善子ちゃーん、どうしたのー?」
ルビィ「善子ちゃんの分食べちゃうよー?って、あれ。曜さん?」
曜「やほっ」ヨーソロー
善子「千歌と喧嘩したらしいわよ」
ルビィ「そうだったんだ……」
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 23:00:31.02 ID:Pn9aw2edo
曜「善子ちゃんに慰めてもらおうと思って!」
花丸「よーし、じゃあ曜さんも一緒に遊ぶずら!」
曜「お、いいよ〜!なにしてたの?」
ルビィ「ちょうど勉強してて……」
曜「……げっ。それは遊びとは言わないんじゃ」
ルビィ「もちろん遊んだりもするけど……勉強も大切だよ!」
花丸「教えて欲しいな」
曜「曜ちゃん先輩、勉強の方はあまり……」
花丸「大丈夫だいじょーぶずら!」
善子「……ほら、いつまでも玄関にいないで中入るわよ」
曜「うん、ありがとー」
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 23:01:15.34 ID:Pn9aw2edo
花丸「……はい、曜さん」アーンズラ
曜「いいの?あーん……んー!これ新商品だったよね!えへへ、ありがと!」
ルビィ「いつも思うけど……曜さんってすごくおいしそうに食べるよね……料理も上手だし」
曜「へへ、作るのも食べるのも好きなんだよねー」
善子「はい、コーヒー」
曜「ありがと!」
花丸「ブラック?なんだか意外かも。苦いの苦手そうなのに……」
曜「ふふーん、大人ですから!」
花丸「ひとつしか変わらないずら」
曜「それで……なんの勉強?」
ルビィ「数学の……」
曜「あー……善子ちゃん、よろしく」
善子「投げるの早いわよ」
曜「だって数学難しいじゃん!」
花丸「あはは、善子ちゃんは説明するときによくわからない言葉使うから……」
善子「ヨハネ!」
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 23:01:41.36 ID:Pn9aw2edo
千歌「ぃ、た……っは、ぁ……」ズキズキ
千歌「ぅぅう……」
千歌「……なか、すいた……っ」
千歌「ち、が……っがまん、我慢…………」
ガチャ
梨子「千歌ちゃん、平気?」
千歌「ん……梨子ちゃん」
梨子「はい、これ」
千歌「なにこれ……包み?」
梨子「ちゃんと食べるのよ……中は、わかるよね」
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 23:02:15.69 ID:Pn9aw2edo
千歌「……っ」
梨子「食べてるとこって見られたくないだろうから、私はしばらく外にいるね」
バタンッ
千歌「ひ、と……だよ、ね」グゥゥ
千歌「…………食べる、もんか」
千歌「わたしは……っ」
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 23:02:41.31 ID:Pn9aw2edo
曜「いやー今日はありがとね!楽しかったー!」
ルビィ「曜さんのハンバーグすっごいおいしかった!」
曜「へへ、また作ってあげるよ!」
花丸「楽しみずら〜」
善子「……で、いいの?」
曜「へ?」
善子「喧嘩してたんでしょ、千歌と」
曜「……ん、ちょっと考えてみる。付き合ってくれてありがとね」
善子「夜道に気を付けなさいよ……泊まっていけばいいのに」
曜「そんなに家遠くないんだから気にしないで!またねー」
ルビィ「気を付けてね!」
花丸「ばいばいずら!」
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 23:04:51.20 ID:Pn9aw2edo
曜「…………」
曜(体重い……食べすぎたなぁ)
曜(先に出しちゃお…………いつも思うけど、なんか、もったいない気もする)
曜(仕方ないんだけどさ)
ズキッ
曜「っ」フラッ
曜(戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ)
曜「わたしは……お前なんかに、負けない……絶対に、負けるもんか……っ」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 23:05:18.50 ID:Pn9aw2edo
曜「はー……はーっ」
「あのー……大丈夫、ですか?」
曜「……え?」パッ
「あ、あれ……曜先輩ですよね!私、水泳部の……」
曜「…………あは。丁度いいとこに……」ボソッ
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 23:05:45.78 ID:Pn9aw2edo
ガチャ
梨子「……やっぱり」
千歌「ふー……ふーっ」ギロッ
梨子「つらいでしょ。食べればいいのに」
千歌「……だれが……食べる、もんか……っ」
梨子「…………生きるためなら仕方ないって言ったのは誰かしら」
千歌「れ、を……食べたら、も……もどれ……い、きが……て」
梨子「もう今さら遅いじゃない」グイッ
千歌「っ、」
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 23:06:55.27 ID:Pn9aw2edo
梨子「ほら、食べなさい」
千歌「ゃ、だ……っ」
梨子「そんなに死にたい?」
千歌「、にたく、ない、よぉ……」
梨子「じゃあ食べて」ググッ
千歌「ぅ、ぉ、あ……っだ、」
……ゴクンッ
千歌(悔しい、けど……美味しい)
千歌(お母さんの作る料理みたいなあたたかさと懐かしさ)
千歌(お母さん……はやく、会いたいよ……私を、抱きしめて……)グスッ
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 23:08:03.44 ID:Pn9aw2edo
梨子「…………泣かないでよ。変に罪悪感が……」
千歌「ごめ、ん……その、ありがとう」
梨子「……ううん。それより……明日の練習どうしよっか」
千歌「Aqours、の?」
梨子「えぇ、午後からだし傷もそんなに深くないから治るだろうけど……」
千歌「もちろん出るよ。曜ちゃんも、梨子ちゃんも……でしょ?」
梨子「……えぇ、そうね」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 23:08:30.20 ID:Pn9aw2edo
ガチャ
曜「…………ただいま」
梨子「……おかえりなさい」
千歌「曜ちゃん、おかえり」
曜「……う、ん」
千歌「なんか顔色悪いけどへーき?」
曜「ぇ、と……善子ちゃんとこで色々食べて……出したから、かな」
千歌「善子ちゃんのとこ?善子ちゃんって……人間?喰種?」
曜「喰種、だよ。戦ったことはないけど……結構強いらしいんだ」
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 23:09:15.10 ID:Pn9aw2edo
千歌「へー……そうなんだ……」
曜「その、お、怒って……ないの?」
千歌「怒る?なんで?」
曜「だって……そ、そんな怪我させちゃったし」
千歌「……また明日も特訓付き合ってくれるなら、許します」
曜「……へ?」
千歌「私が強くなるまで、責任持って特訓、付き合ってよ」
曜「で、でも」
梨子「……曜ちゃん」
曜「梨子、ちゃん」
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/22(日) 23:10:40.75 ID:Pn9aw2edo
梨子「千歌ちゃんも変わろうとしてるんだよ。次は……曜ちゃんの番じゃない?」
曜「…………」
千歌「曜ちゃん……」ジーッ
曜「……わかった。でも、加減はしないからね」
千歌「ぅぐ……頑張る……」
梨子「……ふふ。じゃあ明日からはAqoursの練習と特訓、両立させなきゃね」
曜「うん、頑張ろ!」
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/07(火) 14:38:05.95 ID:ARd5RpTBO
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