転校生「貴方の体質を教えてください」男「…」

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91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/09(土) 10:35:39.28 ID:w8z7tdGAO
「…………」スタスタ

「………?」スタ…



「…………………………………………………え」ピタ

「ッ!!? ッ?? !!?!??!??」ゾクゾクゾクゾクッッ



「ぇ…嘘…嘘嘘嘘…」バッッ バッッ

「なんっ──どうしてッ、そんなコトあり得るわけッ!?」キョロキョロ



『ダウト。君は僕に嘘をついた』



「あり得ないあり得ないあり得ないッ! だってそれは──」ババッ

『崩壊寸前の山のように連なった廃棄物。果たしてそれは本当に崩壊寸前だったのか』

ザリッ

「──あっ…それはあまりにも…人として、ヒィッ!?」キョロキョロ

『暗闇でまず確認することとは? …それは壁だ、壁伝いであればいずれ出口に繋がるルートになる』

『極力避けたかった君は、僕の選択肢を脅して削ぎ、とある一択に絞らせたかった』

『それが中央、この地下室の真ん中を通させること、だと僕は思う』

(ぐッ…!! 何処だ、何処に──足音だけは聞こえるんだ、それを捉えて…!)

『だが、予測に反して僕は慎重だった。壁伝いに移動し始めて、君は異様に焦っていた』
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/09(土) 10:38:50.97 ID:w8z7tdGAO
『それでは自分がいる出口付近へ近づいてしまう。それに転校生さんの体質によって状況は一変した』

『負けの確定だ。暴露は阻止され、味方には捨てられ、君自身が追い詰められた。だから…』

「どこに、どこにいるんだ一体……!?」


『君は僕を[ピーーー]ことを決意した』


『──ダクトからコードが伸びたまま放棄されたテレビ、それは人知れず電源が落ちた』

『君はコードを手繰れば出られると言ったが……果たしてその先は本当に出口だったのだろうか?』

『その先は、そのコードの先はもしやすると──』

『──中央に入った大規模な亀裂、一年前の大地震で発生した、底の見えない穴へ繋がっていたのではないか』

(だ、駄目だ! 地下室内に足音が反響して場所が把握できない──もう逃げるしかッ)くる

『推論は否めない。正確性もこの暗闇の中では得られない、でも、そうであってもわかってしまう』

『この声、僕の声、そして【転校生さん】の声、……君は今、ちゃんと聞こえているのかな』

(どうしてどうしてどうしてなんでどうして!?)ダダッ

『いや聞こえやしない。転校生さんに送った作戦メール、実は委員長の方とは違いがあるんだ』

敵対視する程ではなかったら、本気で、心から思う気持ちで愛おしんで欲しい。

『そのプラス思考。もとい【相手を思いやる気持ち】、そう、これこそが君が一番危険視していたモノ』スッ

「ぐぅうううッッ……!!?」ズッシャアアア…

『本当の意味で地獄耳体質……だっけ? その体質発動を止めるトリガーだったからだ』

「はぁッ……はぁッ……やめ、やめて…!」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/09(土) 10:39:32.90 ID:w8z7tdGAO
『君は嘘をついた。僕に対し名指しの感謝するコトバのみで体質は止められると言い切った』

『…けどねミス唸り声、僕は君が、あの放送室で、社会から隔離された異室で、人間関係を立っていたことを知っている』

『人とのかかわり合いをやめた理由は、人と人との人間味を恐れていたからだ』

『では己の噂を流す意味は? 関心をもたせれば放送室の密室を暴かれる、なのに君は敢えて噂されるよう奇行した』

『【人に噂され、体質によって会話を聞き取り、人とのかかわり合いを絶ちたくなかったからだ】』

『なぜ其のようなことをした? つまり君は密室に居ながら人間関係を諦められないほど臆病で、小さな人間であり…』


『けれど同時に、自分という人間と仲良くして欲しくなかった』


「…やめて、やめてよ…」ブルブルブルブル

『本当に体質から逃れるためには、誠実な思い──善意な感情が必要だった、つまり君はそれを聞き取れない』

『君は【プラスコトバを聞き取れない、聞き入れてしまえばなにも聞こえなくなる体質だったから】』

「ううっ…ひっぐ…ううううっ…」

『嘘をついんたんだ。僕を殺すために、君はどうしよもない嘘で人を陥れようと決意した』

『──だから僕も、その思いに応じて見ようと思うよ』スッ





男「殺すぞ」ボソリ




「ひ──ひぁ…っ!? あああああああああああああああ!!!?」

男「……………」

「ひっ、ひっ、ひぁ…ひぎっ、やだ! やめ、やめてよ、やだやだ…!!」ブルブル
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/09(土) 10:41:13.69 ID:w8z7tdGAO
男「聞こえるかい、唸り声」

「聞こえっ、聞こえてるっ!! ちゃんと聞こえて────」

男「………」

「──なによ、その目…っ…でも、その目で分かった…確信したわ、あんたの正体ってヤツ…!」ブルブル

「あ、あたしの体質…地獄耳体質は『糸電話』のように…悪意のイトで繋がり言葉を聞き入れる…」

「悪意的思考が、負の感情が向けられるほど聴力は強まり…会話すれば遠距離で居場所すら把握する…」

「言わば数値なの…悪意が高いほど良い…その逆は駄目…」

「善意や仲間意識、感謝の言葉で耳は遠くなる、でも数値が減少するだけッ! 一言で聞こえなくなるなんてあり得ない!」

男「………」

「でもッ、アンタの声は聞こえなくなった…それでまた【たった悪意の一言で聞こえるようになった!】」

「それでわかったわ…そう、そうなのね…あんたって人間は元より…」

「【最初から最後まで! その言葉に善意も悪意もこもっていない!!】」


シーン…


男「僕の声が聞こえるね、唸り声」グイッ

「ひいッ!?」

男「上っ面な優しさと根拠の無い褒め言葉。表面上より深層心理に深く介入する君の体質、実に憐れだ」

男「嘘を見抜ける。地獄耳体質は言葉の裏に隠された本質を見透かす、そういった体質なのだろう」

男「…でも」パッ

ドン!
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/09(土) 10:41:53.26 ID:w8z7tdGAO
ドン!

(え──なにし、押し出された、いや待って!? あたしの後ろって確か──)ぐらり…

男「僕は不器用なんだ。本心じゃなくても行動に矛盾が生じる…まるで、そうだね…」

男「好きな女の相手に虐めてしまう、イタズラをしてしまう男子のように」ガシッ

「ひぃいいいいいいいいいい!!!?!??」

男「まあ君のことなんて全く興味なんてないけど、しかし、一点だけは非常に興味があるんだ」

「後ろっ、あたしの足元ッ! なにもない! 後ろは地震できた穴が!」

男「知ってるよ。だから腕を引っ張って支えてる、落ちたくないだろう? 死にたくはないだろう?」グラグラ

男「答えてもらおうか。君個人の意見だ、返答次第では僕でも悪意ある言葉が吐けてしまうかもしれない」

「なにを言ってるの…!?」

男「僕の秘密。どこまで知っている」

「……!?」

男「吐け」スルルル…

「あぁっ!? あぁあぁあぁあ…っ! 知らない、知らない! あたしは何も!」ズルルル…

男「本当に? ウソを付くなよ、実は知っているんじゃないか?」シュルルルル…

「本当に! 本当よ! 何も知らない! 頼まれただけ、あの人にテープで脅すよう言われただけ!」

男「……」

「信じて、お願い! あたしは何も知らないの! 本当に本当よ!」ブルブルブル

男「そう、か」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/09(土) 10:42:30.51 ID:w8z7tdGAO
(──チャンス、無事に切り抜けられると意識が浮ついて、あたしの耳が聞き取りづらくなってる)

(安堵の感情が言葉にこもり始めてる! 信用もまた信頼! その隙をついてこのまま、あんた諸共一緒に───)

グググ

男「うん。なら十分だ、ありがとう唸り声」パッ

「ぇ…………ぁ…」ヒュッ…

(なッ、何ィーーー!? こ、こいつ何ら躊躇いなく手を離しッ! ぁぁああああ!!)

男「転校生さん達そろそろかな、今のうちに脱出ルートを探しとくか」クル

(落ちる、落ちるっ! あぁッ! ──こ、こいつはゼロだったんだ、あたしが甘かった)

男「……」スタスタ

(プラスもマイナスもない。きっと敵味方関係なく、相手に向ける言葉に魂が少し足りとも宿っていない)

(偶然にも靴底でありんこを踏みつぶした以下の感情で喋ってる)

(なんてヤツ…まさか転校生よりも【優しい人たちを失う怖さよりも】…心底、こいつが一番恐ろしいなんて…)


ヒュウ…  ドシャアアア…


男「来たか」ピタ


ドッガァアアアアアアアアアアアン!!


転校生「──おまたせしやしたー! よっと、って暗!? 生きてますか男サン!?」シュタ

男「生きてるよ」ヌボォ…

転校生「ヒィイイイ!? いきなり真っ暗闇から無表情に現れないでくだサイよぉ!?」ビクッ

男「こっちは無事に済んだよ、君の方は──まあ良からぬ方法で突破できたんだろう」

転校生「本気出せって煽られましたからねぇ」ニヒヒ
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/09(土) 10:43:39.17 ID:w8z7tdGAO
転校生「──それよりも、男サン。そんな終わった話よりも今の話をいましょうよ」

男「なにかな?」

転校生「それ、なんです?」ビシッ


「……………」ちーん


男「放送室の唸り声。脅して色々と聞き出してた、でも無理したら気絶してしまったよ」スタスタ

転校生「ありゃ〜…これはこれはご愁傷様ッス…」ナムナム

男「ちょいと後ろに崖があるぞ、落ちるぞ、ってイタズラに冗談で言ってたんだけどね…」

男「夜目が聞かなくなってたみたいだ。おや? 耳から血…鼓膜が破れてるのか、なるほどそれでか…」

男(カメラフラッシュに効果があったようだ。お互い様だ、テレビで夜目を下げてきた彼女も同類)


「男ぐぅうううん”! だいじょーぶぅううう!?」


男「委員長…」

転校生「一番アナタを心配してましたよ。私まで普段以上のやる気出ちゃいましたから」ニコニコ

男「…偽りのない言葉だと思う?」

転校生「疑うので? ま! 嘘でも真でも、土壇場じゃ言ったもん勝ちってな所あると思いません?」

男「……。ああ、そうだね」

転校生「それじゃーあ、みんなで楽しく帰還しましょう!」


第三話 終
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/17(日) 22:26:12.02 ID:2OnNkHOJo
おつおつ
男何者だ
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/03(水) 05:09:49.89 ID:tsAtg+vQo
あけたぞ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/06(土) 23:10:54.62 ID:T7CGN5EH0
久々に続いてほしいスレを見つけた
次も待ってる
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/04(日) 22:04:49.15 ID:cUp25aNKO
〜体育館〜


転校生「よいしょーッッ!!」

バィーンッ! ガコォン!

委員長(わ、凄い。打ち付けたボールが天井近くまで跳ねた…鉄骨にはまってるし…)

転校生「おしゃーー! これでわたくしたちのチームが優勝ですよぉ! みんなーっ!」キャー


「あ、うん…や、やったね転校生さん…」

「すごいすご〜…い…」

「これもはやバレーじゃないよ…」


転校生「ありがとう皆さんありがとう! チームスポーツってやっぱりステキ!」ダバーッ

委員長(楽しそう。でも私は額の怪我で見学、そして……)パカ


『体育の授業終わり、つまり今日の放課後にて、みんなで学園の外を覗いてみよう』

『放送室の唸り声──もとい眼鏡さんが教えてくれた状況を確認しに行くんだ』


委員長(世界が滅びかけている、なんて、到底信じられないことだけど…)

委員長「でも…」


〜回想・放送室〜

委員長「学園の外が滅んでる…!? んなのっ、まさか、ウソでしょ!?」

男「だから確認しに行こう。鵜呑みにするぐらいなら実際に目で見たほうが早いし」チラ

転校生「………」

男「味方であれ友達であれ、──こうまで疑われている人物が口を閉ざすなら、行動するしか無い」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/04(日) 22:05:44.29 ID:cUp25aNKO
転校生「おやおや? ミナサマのお役に立てる情報なら幾らだって滑らすつもりですよ?」

委員長「本当になにも知らないの…?」

転校生「ええ、なにも。放送室の唸り声──もとい眼鏡ちゃんが言う『学園外の危機』は初耳に近い」

委員長「……。似たような情報は知ってるってコト?」

男「………」ジッ

転校生「そうも睨まないでくだサイよ、事実を言ってるまでです」ニコニコ

男「じゃあ君はこう言いたいわけだ。世界は滅びかけてるかも知れない、でも原因は君ではないと」

転校生「滅ぶかもしれない可能性を知ってながらココに来た、が正しい言い分です」

男「ではその理由はなんだ? 自分のことじゃなければ口にするのはたやすいだろう?」

転校生「無論、体質ですよ」


世界は未だ常識はずれの力に対応しきれていませんし、脅かされてます。

指導者たる人物や機関、ルールや法律などもってのほか。


転校生「私は見てきましたし、聞いてきました。どれだけ世界が危うい状態なのかを知っています」

男「君が上下左右学園に来て二日目。もし眼鏡さんや君の言い分が正しいとするならば…」



眼鏡「──三日前から、世界は唐突に終わりを迎えた、ってことでしょ」



委員長「うっ…」ビクッ

眼鏡「なにも知らないけど原因は知ってて、上下左右学園に来た。…それ信じるなら結局そーなるじゃん」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/04(日) 22:19:11.84 ID:cUp25aNKO
男「そうだね。でも君は学園外が滅びる原因を転校生さんのせいだと言っていたけど?」

眼鏡「そらそうよ。今でも十分そー思ってるケド」

転校生「ハッハー! こやつめっ☆」ニコニコ

眼鏡「ハァ…あのさ…コイツのどこを信じればいいワケ? 教えてほしいんだけど?」ビシィッ

男「だから【行動】だ。みんなで実際に学園の外を己の目で確認しに行く、…今日の放課後で良いかな」

転校生「ええ。わたくしは一向に構わないですよ」ニコ

眼鏡「あたしも行く」

委員長「………っ」

男「委員長。無理はしなくていい、こうまで敵が明確なら君の安全の保証はできない」

委員長「で、でも…」

転校生「いざとなったらドンっとわたくしに任せても宜しいのですよー?」

男「ハッキリ言って、学園内では味方なんて居ないと思うんだ」

委員長「うっ…実はちょっと転校生さんも信用できない、かも…」チ、チラ

眼鏡「プッ! おもクソ敵視されてやんの」クスクス

転校生「えぇ〜…わたくし信用皆無ですかぁ〜…」しょぼーん


男「──この僕だって、君にとっては敵なのかもしれない」


委員長「……」ピク

眼鏡「…………」

転校生「そうですねぇ、取り敢えずわたくしにとって、黒幕よりアナタのほうが怖いですけど」クス

男「決めるのは君だ。誰も止めないよ、自由に考えていい。…答えは放課後まで待ってるから」

委員長「待って、男くん!!」バッ
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/04(日) 22:33:20.75 ID:cUp25aNKO
眼鏡「……チッ」

転校生「?」チラ

委員長「私はこの学園の生徒、上下左右学園の二年B組の委員長!!」

男「うん。それはとっくに知ってる」コク

委員長「私は!! …私は…本当になにもできない、転校生さんや眼鏡さんや、君みたいに…」

委員長「誰かを敵視したり、貶めたり、戦ったり頑張ったりできるとは思えない…でもね…」

ギュッ

委員長「──見過ごせないよ、知ってて知らないフリなんて無理なんだ、きっと」グググ…

男「もしかしたら死ぬかもしれない。そんな可能性があり得るんだよ、それでもいいの?」

委員長「………」コク

男「そう、か」

転校生「男サン。彼女を図るのもう止めときましょうよ、放送室でわたくしを煽るほどの強情なお人ですしね」

男「流石は自分の死亡すらギャグで済ませる人間だ、容易く言うね」

転校生「安心してくだサイ。ここじゃあ人は簡単に死にませんよ」ニコ

男「? どういう意味?」

眼鏡「ああ、そっからはあたしが説明する。つーかアンタ等は黒幕について何も聞かなすぎじゃない?」


転校生「まあ勝てますし☆」キラリン

男「興味が無い」キッパリ

委員長(わ、忘れてた…)ガビーン


眼鏡「ハァ〜…あんたら、凄いわ、うん、まーいいよ、変に状況を捉えられるより動きやすいだろーしね」

眼鏡「化物が言った【ここでは人は簡単にしなない】という根拠。それは黒幕の『体質』に関係してくるワケよ」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/04(日) 22:55:30.00 ID:cUp25aNKO
眼鏡「まず言っとくけど、これを言うのは味方になったワケじゃなく世界崩壊有無の根拠の一つとして捉えて欲しいから」

転校生「心得てますよ。命乞いには有益な情報を吐くべきです、実に献身的ですね」ニコニコ

男「転校生さん、少し黙ってて」

眼鏡「黒幕と直接面識してない。会話自体も一方的だし、けれど相手の明確な自信を感じた。あたしは学園外は滅びかけてると信じたよ」

眼鏡「でも、それはいい。世界が滅んだって関係ない、世界はここだけ。放送室内だけで十分だし」

委員長「………」

男「なるほどね。君は食料提供以外に黒幕に関わることを良しとした理由があった、と」

眼鏡「アレは勝手にやられたの、別に頼んでない。でもその通り、あたしは黒幕に加担することを認めた理由がある」

転校生「それはつまり、わたくしから命を護ることですか?」

眼鏡「いや、そうだけどそうじゃない」



眼鏡「───死んでも、生き返るの。例えグッチャグチャに滅茶苦茶にぶっ飛んでも、綺麗さっぱりになる」



委員長「生き、返る…!? それが黒幕の体質だっていうの…!?」

転校生「ホーーーーゥ…まさか本当にその通りだとは…なるほど、だからわたくしに喧嘩をふっかけた…」

男「……。君が地下施設で僕を巻き沿いにしようとした理由がそれ?」

眼鏡「…………」

男「転校生さんを敵視すれば『生き返りの恩恵』を受ける。だから加担した、それは分かったけれど──」

男「──僕達には当て嵌まらない。死んだらそれまで、結局は人は簡単に死なないとはならないと思うが」

委員長「お、男くん? まずは生き返りできる体質について話し合うべきじゃないカナ…?」

眼鏡「恩恵ね…フン、言っとくけどあたしが体質とやらに目覚めたのは半年前。詳細を話せるほど専門家じゃないの」

眼鏡「そーいうのはソッチ。化物の方が詳しいでしょーよ、さあ、どーいうことか言ってあげてよ」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 07:39:22.74 ID:ptnh7ofiO
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 01:18:36.84 ID:Tv6knbkco
まってます
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 02:51:32.68 ID:LDSRYMLp0
なかなか面白いな
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/07(木) 18:35:02.26 ID:p7PpTvQMO
転校生「……………」

委員長「なにか知ってるの……? 転校生さん?」

転校生「ええ、まあ。知っているといえば断言できるでしょうね、『知っている』と」チラ

男「……なにか?」

転校生「いえ。この事実を口にして無茶を───言い換えれば【特定の誰かが良からぬイタズラ】を思いつくのがあまり…」

眼鏡「………」

転校生「ここでぶっちゃけるのが得策ではないかと、思いまして」

男「何をどうの恐がっているのか、正直、興味がそそられる話ではあるけれど、とりあえず転校生さん」

男「この場は僕だけじゃなく、多人数での話し合いだ。騙し合いはよろしくないと思うけれど?」

転校生「言うじゃあないですか。この場まで絶妙な駆け引きで持ち込んだ貴方だからこそ言えたセリフだ」ニシシ

男「妙に持ち上げるね、キミがどうのこうののたまっても逃げられる立場じゃないことは十二分に理解できているとおもっているけれど?」

眼鏡「……くっく」

委員長「ちょっとッ!? ここでその不穏な空気は委員長さん的に見逃せませんけども!?」

男「転校生さん」

転校生「へいへい。わーかりやしたとも、みなのソウルフレンド転校生さんは正直にゲロってみせてみましょうとも」ヘヘー

転校生「──ようは体質が問題なのですよ、黒幕のね」スビジッ

転校生「他人を無条件で復活、敵味方関係なし、黒幕に賛同する意思など皆無となれば……」


転校生「奴は『展開』体質。つまり、黒幕の体質は上下左右学園全域に達していることになります」


〜〜〜


委員長(──体質、体質ね……ぶっちゃけ今だにどこまで体質が凄いのかって、理解できてないところはあったりするよ)
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/07(木) 18:43:16.56 ID:p7PpTvQMO
転校生「どりゃーッッ!!」ズボァゴォーン


委員長「……。身近にすごい人がいるけどね…」

委員長(でも今一歩、世界の危機が体質によって引き起こされてる…学園外が滅んでるかも、なんて信じられない…)ギュッ

グググ…

委員長「だったら確かめなきゃね…自分の目で、ちゃんと…」

「あ。いいんちょー」

委員長「えっ! あ、うん! どうしたの?」

「そろそろ授業終わりだけど、せんせーいないから探してくれない?」

委員長「え…? あ、本当だ…さっきまで居たのに…」キョロキョロ

「こっちは片付けしとくから、おねがーい!」

委員長「うん、わかった。じゃあ行ってくるね」

〜〜〜


委員長(見た人の話だと、体育倉庫に向かったって言ってたけど…確か教員室があったよね…)スタスタ

ガララー

委員長「せんせぇー! そろそろ授業が終わるんですけど、点呼の方を〜〜……」


しーーーーーん


委員長「あれ? 居ない?」

委員長(先に職員室に帰ったのかな? いやそれは流石に───むっ? 隣の倉庫から物音…)

委員長「…先生? そこにいるんですか?」

ギシッ ぎしっ ギシッ
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/07(木) 18:56:32.68 ID:p7PpTvQMO
委員長(……? なに? なにかが、軋しむ音? 別に地震で揺れてるわけでもないし───)


「あっ、あっ、やめっ、せんせっ、ヤダ!」


委員長「───ぇ」


「だめだってば──そとにきこえちゃ、〜〜〜〜〜っっっっっ!!!!?」


委員長(えっ、こっ、この声……確かクラスの女子──いや、待って、違う、嘘、そんなワケっ)


「今更なに言ってんだ? 倉庫中に響くぐらい喘いでおいて」

「言わないでっ」

「ハッ! ハハッ! いいよそれ、燃えてくるじゃねえかオイ、どうだ、ほらっ?」

「〜〜〜〜〜ッッ!!」


委員長(これってもしかしなくても──)


〜〜〜

転校生「良いですか? わたくしの見解ですが、黒幕の仲間は学園内に存在します」

転校生「遠距離にて居場所や声を把握する体質、または他人を思うがままに操れる体質など───」

転校生「──【特定の条件下に落とし込まれれば、わたくしだって簡単に逃れられません】」

転校生「まずは仲間へご報告を。怪しい展開や非常識な人間が現れたら、即座に逃走を図ってください」

転校生「体質の驚異はその【非日常】の悪どさですからね」

〜〜〜

「──助けて…誰か、あっ、あんっ! 助けて……!!」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/07(木) 19:09:53.98 ID:p7PpTvQMO
委員長「…………」


「誰もこねーよ。いつまで期待してんだ? どうにもならないって事はお前が十分に理解してるだろ」

「──一生、このままだよ。この学園が終わるまでずっとずっと、オレのオモチャなんだよ!」

「アハハッ! ハハァーーーハハハッ!!」

「さて…」ズルッ

「…っ…」

教師「──ここまで便利だとはな…体質とやらは…正直びっくりしてるよ…」クククッ

「…くされ外道…ッ」

教師「うーん? なにを言う、お前だって愉しんでたろう?」

教師「何人ものクラスメイトの秘密をばらして、オレにリークしてたやつが言えたセリフじゃねーなぁ?」

「それはあんたが…ッ」

教師「それを誰が聞く? この隔離された学園で誰が見破れる? 他の女子共がボロボロにされて…」

教師「いまの地位に立ててるお前の言葉を、誰が素直に信じる?」

「……ッ…」

教師「誰も信じないッ! そうッ! そもそもオレの行為を誰一人として咎めることなどできやしないッ!」



教師「この力があればッ! いくらだって犯罪を犯しても裁かれないッ! アハハッ! どうだ、このオレこそ神だ……ッ!」



ガララーッ! バンッ!


教師「──あん?」

「私が認めない」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/07(木) 19:18:28.72 ID:p7PpTvQMO
認めてはいけない。このような事実を、見過ごす訳にはいかない。


教師「お前…」

「話はすべて聞かせてもらいました、先生──この事は、ご報告させていただきます!」


委員長「例えッ! それが貴方の体質であってもッッ!!」


教師「…………」

委員長「覚悟してください」


ただの一歩たりとも、足を遠のかせる訳にはいかないのだ。


教師「確か君は、委員長、ああ、君はこのクラスの委員長だったね」

委員長「そうですが」チラ

「……!」

委員長(なんてひどい…)ダダッ

「わ、わたし…」

委員長「いいんです。今は服を着てください、ほら、はやく」

「………」

教師「違うんだよ、誤解なんだ。これは暴行などじゃなく、私と彼女は…しいていうなら…恋人関係でね…」

委員長「恋人関係? ならばなぜ、脅迫するような物言いを彼女に?」

教師「…聞いていたのか」

委員長「ええ。それはもうばっちりと、貴方が彼女を脅して関係を持ったこと、他の女子を脅して迫ったことも」

教師「へぇ…そう…」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/09(土) 19:09:08.23 ID:97qlBGgTO
待ってた
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/01(日) 02:13:25.40 ID:H5d5G4gjo
おきて
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:18:25.76 ID:BviuarhjO
委員長「聞いたことはすべて教師や周囲の人達に伝えます、覚悟してください」

教師「………」

委員長「さ、立てる? もう大丈夫──きゃあっ!!?」ぐいっ

教師「まあ待ってよ、少しはこっちの話しも聞いてくれよ」グググ

委員長「……!? 離しッ、て…!!」

教師「なにもそう焦らなくても良いだろ。【時間はたっぷりある】、まずはそう…誤解を解こうよ、ね?」

委員長「誤解!? だからそんなこと……あるハズないじゃないですか!?」

教師「本当にそう思ってるの?」チラ


「……、………、」


教師「一つずつだ、一つずつ君に質問をするとしよう。まず、誰が君に助けを求めた?」

委員長「私はちゃんと聞きました…!! 彼女が助けを呼ぶ声をきちんと…!!」

教師「そうか、それは済まないことをしたね」ニコ

委員長「な、なぜ貴方が謝るんですか…!?」

教師「それは嘘なんだよ。…互いに関係を深めていると、時折、私たちは擬似的に愉しんでいたんだ」

教師「疑似プレイとでも言おうかな? 彼女は別に本当に助けてほしいわけじゃない」

委員長「そんなコト…」チラ

「………」

教師「ほら正直に言ってご覧よ」

「……ごめ、んなさい…ちが、うんです…」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:28:22.90 ID:BviuarhjO
委員長「……!?」

教師「失礼な話だが、君は今まで男女の付き合いに経験はあるのかな?」ニコニコ

委員長「な、なんでそんなこと答えなくちゃいけないんですか…!?」

ずいっ

教師「これが大人の付き合い方だからだよ?」

委員長「ッ…」ビクッ

教師「しかし疑問に思うのもわかるし、この行為が犯罪なのも認めるよ」

教師「──私は大人だ、彼女は子供。教師と生徒、それは犯してはならない絶対的なモノだろうね」

教師「だが、誤解はしては困る。私と彼女はきちと愛し合い、男女の交際を行っている清いカップルだ」


ズズズ…


委員長「じゃ、じゃあ…私が聞いた悲鳴は…単なる誤解…?」

教師「断言はしないよ。私は誤解を解きたいだけだからね。君が思うなら、そうなのかもしれない」

教師「君は……このクラスの委員長だったね? 聡明な君なら、納得はそう難しくないと思うけれど」


ズズズゾゾゾゾゾ……


教師「───だから、君は私の言葉を信じてくれるかい?」

「……ッ…!?」ビクゥッ

教師「……。どうかな?」

委員長「わ、わたしは…」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:43:41.50 ID:BviuarhjO
教師「うん?」にこにこ

委員長「………」スッ

教師「……。どうやら理解してくれたようだね、ありがとう、でも納得しづらいのは分かるよ」クル


すたすた… ポン


「う…っ」

教師「彼女とは愛し合ってる。これだけは誤解なきよう願いたいんだ、ね?」

「……」ブルブルブル…


教師「そう思ってくれたなら、委員長、どうか【言葉にして言ってくれたら】ありがたい」ニコォ


委員長「そう、ですね」

教師「!」

委員長「私は誤解していたようです、先生。貴方の行為を……邪なコトだったと、勘違いをしてました」

教師「そうかい、それは本当に良かった…それじゃあ認めてくれるんだね…?」ズズズ


委員長「ええ。認めましょう、私は誤解していました」


教師「………」ニコォ

教師(───よしッ! よしよしよしよしッ! 認めたァ…その言葉…きちんと【俺の行為】を認めたなァ!?)ズズッ!

ズバァ!

教師(俺の体質は……己の行為を認証させた時ッ! この時を持ってして発動条件となるッ!)
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/07(土) 23:58:48.67 ID:BviuarhjO
グニュウウウウ〜〜〜

教師(もうお前はこの【檻】から逃げられない…永遠と続く展開から一歩とも…骨の髄まで遊び尽くしてやるよ…)

委員長「………」ジッ

教師(オイオイオイ! なんだァ? その目は…今だに疑ってるな? 俺の行いを? だがもう遅いッ!)スッ

パァン!

「!!?」ビクゥッ

教師「ほら、いつまでそんな格好してるつもりだ? 同級生に見られてるぞ、早く着替えなさい」

「は、はい…」

教師(ククク…そら着替えはクソガキの後ろだよ、でも、わかってんだろうな? オイ?)

「っ…っ…」ブルブル

教師(【すでに誰も体育倉庫から出られない】、【こんな場所に居続ける違和感なんて沸かない展開だから】)

委員長「……先生は」

教師「? なんだい?」

委員長「手伝ってあげないのですか? 彼女、着替えるのもやっとな様子ですよ」チラ

「…っ……っ……」ブルブル

教師「ああ、確かに。いつもなら手を貸してあげるんだが、…困ったな、どうやら私も普段どおりじゃないらしい」スッ

委員長「……すみません。私が乱入してきたばかりに」

教師「良いんだよ。むしろ私こそ不注意極まりなかった、生徒に見つかるような場所で……」

委員長「…………」

教師「行ってしまう、なんて、…………!」ピク
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 00:09:49.18 ID:ayyiLPAnO
教師(今……)バッ

委員長「……………」

教師(【コイツはなんて言った?】)



委員長「………………」ジッ



教師「キミ…」

委員長「先生。もう一度言っておきます、私は本当に意味で誤解していたんです」

教師「ど、どういう…」

委員長「驚いてたんです。だって、そう都合よく会えるとは思えないじゃないですか」

委員長「──昨日今日でそう何度も、貴方のような人に、こうも巡り合うなんて」

教師「な…なにを言ってるんだ…?」

委員長「だから私は勘違いしていた。貴方はまた私たちを脅かす存在、…転校生さんや眼鏡…さん、みたいに…」


委員長「この学園の平和を壊す存在が、私の思う悪の存在がやってきたんだんだって」


教師(は…? 急になにを……コイツ、頭おかしいのか……?)

委員長「……男くんや転校生さんは、私のこと、ちょっと勘違いしてるみたいだけれど……」スッ


「……うわぁあああ!!」ババッ


教師「!」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/08(日) 00:24:27.82 ID:ayyiLPAnO
教師(し、しまった展開が進んで…! ぎ、疑問が残るが、そのままアイツに襲わせれば良いッ!)

教師(押さえつければあとはどうとでも───!)


委員長「私は……」シュッ

「わあああっ!! ……えっ!?」ガシッ


ギュルルッ! ブォンッ!


「ギャッ!?」パァンッ!

教師「………は?」

教師(うそ、だろ……今の投げ技…? 一本背負い!?)

委員長「ふぅー……」バサァ

委員長「うん。これでも私、実はけっこう図太くて、機転がきくオンナなんですよ」ニコ

「…っ…う…ぁ…」

委員長「ダメだよ。有段者を相手にダルダルな服装なまま近づいちゃ、投げてって言ってるようなものだから」

教師「お前……」

委員長「先生、タイプホルダーですよね。でも、別に悪の親玉さんに私を襲えって言われたわけじゃなく…」

委員長「…単純に私が偶然に、遭遇しただけ。だから勘違いしてました、だから謝りたいんです」


委員長「【彼に関わらない問題】なら、私が出しゃばっちゃっても良いですよね?」


教師「どういう意味──うわぁっ!?」

委員長「──投げますよ」シュバッ
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/09(月) 00:40:39.17 ID:R/7qGhzUo
待ってた
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/05(日) 01:08:09.29 ID:4AcFwlF9o
まつ
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 08:19:05.28 ID:icyor6FQo
まうまう
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/06(火) 15:38:28.46 ID:Rcs9UzMZo
そい
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/21(金) 22:57:34.41 ID:y/m7wO5qo
もい
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/01/04(金) 01:12:17.65 ID:r6VvrtWOo
みたいぞ
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/02(土) 19:00:58.44 ID:/L16w71zO
教師「ぐぇぇッッ!? ぐごおッ!?」ブォン

ドッシャーン!

委員長「ふぅー、久しぶりの背負投げ。意外とうまくいけたかな?」


教師「っ……ッ……ッ!」パクパク


委員長「あ。その腰から落としました、かなり衝撃が脊髄にはいりました、なので結構、真面目に動いたら危ないです」

教師(ま、まったく身体が動かなッ、なん、だコイツ────)


委員長「大丈夫? へいき?」スッ

女生徒「う、うん…」


教師(【体質が発動していない?】【俺の行いに対して違和感を持ち続けてる?】)

教師(──馬鹿な! あり得ないッ! コイツは確かにこの場の違和感を認めたハズだッ!)


この俺の展開体質の『種付おじさん体質』はきちんと展開されている!


教師(い、いや…仮にもし…違和感があっても…大の大人に対して、暴力を働くことに躊躇いがなさすぎるだろ!?)グググ…

教師(なんだ、何かが違う…何かがコイツはおかしい…それはなんだ…探さなければ、この違和感を…)


ずりっ ずりっ


委員長「! 駄目ですよ、先生。動いたら酷くなりますよ、怪我が」

教師「り、理由を聞きたい…ゴホゴホッ…なぜ私を投げたんだ…?」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/02(土) 19:13:54.71 ID:/L16w71zO
委員長「なぜって、そりゃあまあ、当たり前じゃあないですか、なにを言ってるんですかまったく」ハァ

委員長「───先生が、悪人だからですよ」

教師「あ、悪人!? どうして悪人だと決めつけた…!? 君はいったいなにを言ってるんだ…!?」

委員長「先生って黒幕の仲間でしょう? だから先生は女生徒を助けないんでしょう?」コテン

教師「…………は?」

委員長「恋人の着替えを恋人の先生が助けないなんて変じゃないですか。不自然じゃあないですか、先生」

教師「不自然…だから…」

委員長「そう、なので先生は悪人です。だから先生を投げるのです、以上です」

教師「………こッ……」


こいつ、頭が狂ってる。おかしいんじゃない、俺が間違ってるんじゃない。

前提が間違ってるんだ。この女の【違和感の認め方】が尋常じゃないほど異常なんだ。


教師(種付おじさん体質で違和感消失。俺は、女性との恋人と認識された、ハズ)


しかし、この認識(恋人)を持ってして、

──恋人の着替えを手助けしないだけで投げ殺しかけていいとまで断定する、その認識方。


教師(俺は一体、何者に体質を仕掛けたんだ……?)ブルルッ


悪人基準が、常人のそれじゃないッ!


委員長「先生?」ニコ
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/02(土) 19:23:41.84 ID:fgMG2XsFO
教師「ひぃぃ…ッ!?」

委員長「意外とタフなんですね。お腹ブヨブヨで、反射神経悪そうで、綺麗に受け身取られました?」

教師「わ、私は…」

教師「──私は違うぞッ!? 君の考える悪人、そう、恋人を間違っても蔑ろにする人間じゃないッ!!」

委員長「…これも、そういったプレイの一種だと?」

教師「その通りだ! き、君はその基準をきちんと定めてるのかい!? わからないだろう!? 知らないだろう!?」

委員長「ええ、わかりません」コク

教師「【では君は間違っている! その認識は、私を貶める身勝手な考えだ!】」


グニュウウウウウウウ〜〜〜


委員長「……」

教師「ハァッ……ハァッ……!?」

委員長「た、確かに! そうですね…あなたの言うとおりです、私の…私の身勝手な考えでした、すみません…」

教師「……ッ」


効いている…ちゃんと効いている…


委員長「じゃあ、恋人ならちゃんと手伝ってください? ね?」


なのになんだその笑顔はッ! 怖いッ!
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/02(土) 19:40:51.63 ID:fgMG2XsFO
〜〜〜

眼鏡「……」ぼぉー

転校生「おりゃーっ! 見ててください、この流星の如き──この煌めきッ! シューティングダスト!」


ズッ… ドォン!

ィィィィィイィイイイイイイ!! バッッッゴォ───

しーん…


「きゃッ──えッ…!?」

「なになになに!? どーいうことッ!? どーなってんのッ!?」キョロキョロ

「ボールが打たれた瞬間、この場から消えたよ!? 消し飛んだの!? ボールの残滓ごと!?」


眼鏡(目がしょぼしょぼする…これ、消し飛んだボールの残滓が粒子状になって周囲に舞ってる、とかかな…)ゴシゴシ

転校生「くァーハッハッハッハッ! ってね? 流星のごとく粒子にしちゃうっつー、あれでしてね、うまくギャグ思いつかなかったっつてね!」

眼鏡「……弁償だぞ、フツーに」ボソリ

転校生「そうでしょうかッ?! そうなった場合、やっぱり教師の方と親御さん同伴で謝罪会見勃発でしょうかッ!?」シュババッ ズドムッ

眼鏡「知らねーよ……つぅかコート真反対の壁際に居るやつの独り言、拾ってこっちくるんじゃねえよ…」ぐいぐいぐい

転校生「え〜? 仲良くしましょうよ、今後も末永くソウルメイトとして世界の平和を掲げて暗躍跋扈していきましょーよ!」ニパー

眼鏡「うるせぇ…するか、絶対そんなこと…あっちいけって…」ぐいぐいぐいぐい


ちらり


眼鏡(まったく、疲れるっつーの。放送室出て授業出んのも久しいのに、いちいち化物がきて吐き気がヤバいわ)
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/03(日) 21:06:13.57 ID:QyMy4a00O
転校生「? なんです?」ニコニコ

眼鏡(わかってんのか。あたしは敵、あんたらと立場が違うどころか【生きている場所さえ違う】ってこと、理解してるのか)カパリ

ぽち ぽちぽち

眼鏡(つーのに協力関係? あたし含め、放課後で学園外を見に行こうだって? …呆れる、緊張感がまるで無い)ポチポチ

転校生「こうも堂々と無視して携帯を弄られてしまうと、些かむかつきも湧きにくい! やりますね!」

眼鏡「悪魔。あんたはそれでいーわけ」

転校生「なんです? 急に? あと、わたくしに向けて『悪魔』と呼ぶには少々と役不足ですよ」

眼鏡「ハッ! じゃあなんだ、あんたは世界を救いに来た天使とでもいいたいのか?」ヒッハハ

転校生「おしいッ!」

眼鏡「……あん?」

転校生「天使とやんや、悪魔とよいしょと。世界全土と恐れ忌避され、畏怖を込め、数多と呼ばれまくったわたくしですが…」

転校生「断言します。わたくしは、その程度の存在意義でこの世に存在し、あなた達と行動を共にしておりません」

眼鏡「どういう意味だ……?」

転校生「【運命】なのですよ、これは。抗いようもない、世界のね」

転校生「運命とはつ・ま・り! カミサマです! 古今東西、津々浦々。どこもかしこも見たくても見えない未来調和はカミサマがご活躍!」

転校生「カミサマの意義は? それは運命の選択! わたくしは運命を司り、収縮し、瓦解させて、ここにいます!」

眼鏡「………」

転校生「不思議に思われます? そーでしょう! それが正しい! コイツは何を言っているのか分からない、それが人間としての正しい見解だ!」

バッ くるくるくる〜〜〜

転校生「あなたは苦悩し、洗礼させ、そして答えを導き出す──尊き子羊なのですよ、わたくしから見たらね?」にしし

眼鏡「……頭おかしいのか、テメー」

転校生「ふふふ。良いのですよ、それが答え。わからないのがこの世界にとって貴女が無事に適応できているという証明なのですから」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/03(日) 21:29:18.73 ID:QyMy4a00O
眼鏡「お前がぶっとんでんのは元からだったが……話すたびにもっと酷くなる、奴らはよく無事にテメーと会話できてるな」

転校生「あ! それはわたくしも不思議なだなって思ってましてね、多分、彼らは世界にとって異分子なのでしょう。ええ、たぶんきっとそうなのです」

眼鏡「ハッ! カミサマのアンタが言うならそーなのだろうよ。で、その異分子様たちのことどう思ってるんだ?」

転校生「どうとは?」コテリン

眼鏡「はっきり言って邪魔だろ。あの目が死んでる男子生徒はまだ良い、だがもう一人は正直なところ───」


転校生「彼女を失うのが怖いと?」


眼鏡「──……」ピクッ

眼鏡「意味が、言っている意味がわっかんねーな化物。なんだ突然おい? 怖いだぁ? ふっざけんなボケナス」

転校生「まあまあ正直になられてもいいのでは? 聞こえにくいのでしょう? 彼女の声が、委員長の声は貴女の耳だと、とてもとても」クスクス

眼鏡「チッ、余計な勘ぐりするんじゃねーよ」


『  ごせないよ、  て知らないフ   て無理な   っと』


眼鏡「……一般人を巻き込むのかよ、テメーは」

転校生「巻き込むも何も、望み望んで先陣を切ったのは彼女らですよ? わたくしはそれに同行するのみに限られますから」

転校生「しかし、心配されるご気持ちは十分深く理解してるつもりです。ですが、それは杞憂です。無問題なのですよ、最初からね」

眼鏡「どうしてそう言い切れる、カミサマだからか?」

フルフル

転校生「運命の選択は全人類に備わっています。切り離すもくっつけるのも、その人次第で幾つにも別れていきます」

眼鏡「…なら、」


人も殺せるのか、あたしらみたいに。
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/03(日) 21:40:06.55 ID:QyMy4a00O
転校生「………」

眼鏡「選択次第でどーにでもなれるんなら、いっそ手を出してしまった『あたしら』みたいになれるってか?」

転校生「ん〜〜???」

眼鏡「あん? んだよ、誤魔化す気か?」

転校生「いえ、いえいえ、正直なところ貴女がどう人を殺したかを考えてたもので──まあいいでしょう、それはそれだ」ピタリ


転校生「眼鏡さん。そんなのもうどうだっていいので、今を楽しみましょうか?」


眼鏡「……は?」

転校生「やっちゃったもんはシカタネーですし、考えても意味ないですし、ぶっちゃけ興味もさほどですし」

眼鏡「オイ!! それをテメーがいうか!? 完全にここ来る前に戦争バンバンやらかしてきただろーが!? こっちは聞いてるんだぞ、耳で!?」

転校生「人を殺す、運命選択でありえるでしょう。人を殺さず平和の道を、それだって十分あり得る世界戦でしょう」

転校生「世界は滅びかけてる。けれどそれは運命じゃない、定められた運命のはずがない」じっ

眼鏡「……ッ…」

転校生「望んで楽しみましょう。今は、学園外がどうなっていようと──一時の平穏と幸せを、噛み締めましょうよ」

眼鏡「…どうするってんだよ、外、見られたら終いじゃねーの?」

転校生「なら今の授業を楽しましょう! ほらほらほら、未だプレーは続行中! 細っこい身体に筋肉の未来投資を開始しては!?」ぐいぐいぐい

眼鏡「ちょッ!? こら…!? やめ…!?」ちらり


123対2


眼鏡「点数が頭おかしい数字になってんのに勝負できるワケねーだろ!?」

転校生「なぜか今日は調子よくってバンバン点数が入るんですよねー! れっつごー! 泣けようぐいす平安京ー!」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/04(月) 21:45:27.85 ID:4p+XcMCgO
〜体育館準備室〜


女生徒「…あ、ありがとうございます」

教師「いや…別に構わんが…」スッ


委員長「…………」ジィー


教師(見られている。なんて冷たい目だ、まるで『犯罪者』を見るかのよう…)

教師(体質は発動している。ではなぜこうもうまくいかない? ──ならば更に陥れるしか、決着は無い)

教師(恋人(仮)の着替えを手伝っている今……彼女がこちらに対しアクションは見せない今、チャンスだとも言える)


そしてこれが【最後】のチャンスになるのか、自分の行い次第だ。


教師「上着を羽織りなさい」ススッ

女生徒「は、はい…」


もう心から確信した。彼女は、俺の体質から逃れる素質【可能性】がある。

経験上ありえないことだったが、認めるしか無い、己の未来のためにも……


教師(……クククッ…ああ、良いだろう…最初こそ焦ったが、体質が聞くことは証明済み…)ニタァァ

教師(不思議な事ながら、わかるんだよ。自分にはさらなる展開が起こせることを、なんとなくな…)クク

委員長「終わりましたか、先生」

教師「あ、ああ、無事に終わったとも。待たせてしまって済まないね、それとも監視してたのかな?」

委員長「ええ。もちろん、先生はだって黒幕のお仲間さんですから、たとえ恋人でもね」

教師「………? 親玉、と先程から言ってるけれど、それは一体どういうことだ……?」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/04(月) 22:06:10.21 ID:4p+XcMCgO
委員長「この学園を陥れようとしつつ、けれど一定数は救おうとしている。みたいな不思議な人のことです」

教師「すまない。君が、本当に何を言っているのか分からないんだが」

委員長「───知らないんですか、黒幕のことを?」キョトン

知らない。誰だそれは?

そんな存在初めて聞いた、…学園に広まる噂話の一つにあっただろうか?

教師「俺は…私は、その黒幕と言われる者に関係してないし聞き覚えもないが…」

委員長「えぇっ!? で、でも先生って…体質…持ってますよね、きっと…そういった不思議な能力みたなの…」

教師「? なんだそれは?」

委員長「んんっ!?」

教師「不思議だな。君はいつそう思ったんだい? 私が変な力を持っているだなんて」

委員長「だって…私がそう思って…あれ? でもなんで急に私って、先生のことを疑ってしまった…?」


───なるほど、それが原因か。


教師(理解したぞ…出会っていたんだな…過去に、私のような体質を扱う人間に…私欲のままに行動する人間に…)

教師(彼女は明らかな特殊感性だ。一般人とは相容れなくなる程の経験を積んでしまい、結果、私との齟齬が起こった)


ならば話は簡単だ。警戒レベルを落とせるほどの、安易な解決方法。ククク。


委員長「わ、わたしは…」

教師「落ち着き給え。もしや君はとても怖い目にあったんじゃあないか? 常識を覆す、とても奇妙な出来事に」スッ

委員長「なんでこちらに近付こうとするんですか?」

教師「…………。いや、うん、待ってくれ、えーっと、そうだそうだ、とりあえずコーヒーをだそう、とりあえず落ち着こう」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/04(月) 22:16:45.38 ID:4p+XcMCgO
委員長(いや、恋人同士が逢瀬を楽しんだ空間でお茶なんて。それに授業だってそろそろ───)

教師「私は気にしないよ」グニュウウウ

委員長「あっ、はい。ありがとう…? ございます…?」

教師「じゃあ気にせず、そこに座ってくれ。ああ、君も一緒にどうだい? それとも断るかい?」チラ

女生徒「えっ……あ、いやっ……はい…いただきます……」ストン

コポコポ コポコポ

教師(更に確信した。俺が最も恐れていた可能性、彼女が体質持ちだということ)カチャカチャ

教師(俺の予想を超える展開があった場合、私の『種付おじさん体質』は確実に露見する)


【奇妙な現象に対し言いくるめた際、相手は俺のことを疑わなくなる】


教師(…この効き目が悪かっただけだ。彼女は体質で対処したのではない)

教師(くくく。着実に一歩一歩と陥れていくぞ、クハハ…すでに君は『言いくるめ』だけじゃない…2つ目の発動も身に受けている…)


そして、これから行うのは3つ目の『体質能力』だッ!


教師(逃しはしない。決して、俺のユートピアを崩壊なんぞさせはしないのだ…!!)



第四話 終
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/06(水) 01:18:04.36 ID:Bdqo8J9Ao
おつおつ
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/26(水) 16:58:41.29 ID:at9v1i5mO
まつぞ
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/16(月) 02:41:36.59 ID:f6+1Nwn3o
みてるぞ
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