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高垣楓「純情な恋する乙女なんて如何でしょうか?」
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1 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/16(月) 20:31:27.45 ID:G+tFTeWDO
これはモバマスssです
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1508153487
2 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/16(月) 20:32:15.50 ID:G+tFTeWDO
高垣楓です……
私、自己紹介とかってあまり、得意じゃなくて……
こんな時、何を話せばいいのか……
あの……頑張りますので、プロデュースよろしくお願いします。
担当アイドル、高垣楓との最初のやりとりはこんな感じだった気がする。
ようやく仕事も安定してきて、初めて俺が一人で担当したのが彼女だった。
喜びと同時に、多大な不安に押しつぶされそうになったのを覚えている。
あともともとモデルをやっていたらしく、俺と大して変わらない身長に若干威圧感を覚えたのは内緒だ。
ふんわりとしたボブカット風の髪型に、左目の泣きぼくろがチャームポイントのややあどけない顔立ち。
二十代半ばと言われても、大人び過ぎているような、けれど子供っぽさの残る表情と立ち振る舞い。
よく見るとオッドアイだったり綺麗過ぎる髪だったり。
兎に角、初対面の俺はその神秘的な姿に面白いくらい緊張してしまった。
内面は、どちらかと言えば内向的。
自分の考えを人へ伝えることはあまり得意ではなく、自己紹介も一瞬で終わってしまったのを覚えている。
けれど実は案外抜けているところや天然なところがあり、駄洒落が好きだと知った時はむしろ安心したくらいだ。
思った以上に、等身大な女性だった。
3 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/16(月) 20:33:13.93 ID:G+tFTeWDO
そんな彼女と、俺は二人三脚で必死に進んできた。
衣装を着ると、自分はアイドルなんだって実感が沸いてきました。
ふふっ、今更って感じですけど………改めてよろしくお願いしますね、プロデューサー?
お疲れ様です……仕事終わりに1杯、どうですか?
今夜は寝かせませんよ?
ついに私もCDデビューです。
喜んでくれますか?……良かった、私もうれしーでーす。
なんて、少しお茶目な彼女に支えられて。
CDデビューも迎えて、ソロライブも無事に終了し。
今ではテレビで見ない日なんて無いくらいブレイクし。
時に呆れながら、時に驚かされながら。
俺の人生初めての担当と、一周年を迎えた。
今まで、本当にありがとうございました。
次に私を導く場所は……きっとそこもまた、特別な場所になるでしょう。
私達は、どんな場所へ行っても、プロデューサーとアイドルですから……ね?
改めて……これからも、よろしくお願いします。
4 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/16(月) 20:33:51.78 ID:G+tFTeWDO
彼女のそんな言葉に、俺は救われた気持ちになった。
正直、不安で仕方がなかった。
この路線でいいのだろうか、他の敏腕な先輩たちならもっと上手く売り出せたんじゃないか。
彼女が不満を抱いていたらどうしようか。
不安で寝れない日が何日あっただろうか。
けれど……俺は、間違っていなかった。
それを知れて、本当に良かった。
こっそりお手洗いで大泣きしたのは、多分バレているだろう。
彼女に嘘なんて、きっと通じないんだから。
さて、そんな高垣楓とのプロデュース生活二年目に突入して。
これは、そんなある日の出来事。
雨が降り続ける毎日に嫌気マシマシな午後。
事務所のソファで書類片手にスタミナドリンクを飲んでいる時だった。
5 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/16(月) 20:34:44.35 ID:G+tFTeWDO
「あ……お疲れ様です、プロデューサー」
「お疲れ様、楓さん。今日はもうあがりですよね?」
部屋へと戻ってきた楓さんは、レッスン後だからか少し汗をかいていた。
湿気はそのままに室温の高いレッスンルームで激しい運動をしていたら、それは汗をかいても当たり前たろう。
そんな人間として当たり前の事象ですら美しく見えてしまうのは、高垣楓のポテンシャルが高過ぎるからか。
今の彼女をそのまま写真に撮って写真集を出しても、きっと日本中の書店で売り切れ続出になるだろう。
ところでシャワーを浴びてから部屋に寄ると思っていたが、部屋に着替えでも忘れてしまったのだろうか。
「いえ……その、少し……大胆に、なってみようと……」
……大胆に?
それは、どう言う意味だろう。
「プロデューサー。隣、大丈夫ですか?」
「いいですけど……先にシャワー浴びて来ちゃったらどうですか?風邪ひきますよ?」
薄いレッスン着でソファの隣に座られるというのは、些か目のやり場に困る。
かといってずっと書類に目を通し続けていても拗ねるだろう。
そちらを凝視しないよう脳内で羊の数でも数えてようか、なんて考えている間に楓さんは隣に座っていた。
何故女性ってこんなにいい香りが……げふんげふん。
6 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/16(月) 20:35:27.45 ID:G+tFTeWDO
「あ……お仕事中でしたか。すみません……」
「あぁいえ、大丈夫ですよ。ちょうど休憩しようと思っていたので」
「ビール、淹れましょうか?」
「せめてお茶だとありがたいんですけどね」
こんな軽口を叩きあえるようになるなんて、一年前では想像も出来なかったな。
だから楓さん、どこからともなく缶ビール取り出さないで下さい。
え、ほんと何処から出したんだろう。
「ふふっ、冗談です。お仕事中にお酒を飲む枠なんてありませんよね」
枠……わく……あ、ワークか。
分かりづらい駄洒落に気付かないと、服の後ろにシール貼られるから危ない。
「8点ですね」
「あら、厳しいんですね」
「今後の発展に期待してますよ」
「……プロデューサー、酔ってるんですか?」
酔ってない。
理不尽な会話に泣いてもない。
7 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/16(月) 20:40:11.32 ID:G+tFTeWDO
「プロデューサー。私、少し眠くなってきました」
「レッスン後ですからね。シャワー浴びたら少し仮眠とってから帰りますか?」
「ですから、少し読み聞かせをして頂けませんか?」
俺の声が届いていないのは、彼女が疲れてるからだと信じたい。
そして彼女が差し出した本……雑誌も、勘違いであると信じたい。
「……楓さん。これ絶対読み聞かせで読むものじゃありませんって」
「あら、プロデューサー大人なのに文字が読めないんですか?」
「いや読めますけど」
「では、読んで下さい。さぁ……!」
……明るい表情がとても可愛らしい。
すこし意地悪な目も、とても魅力的だ。
眠かったのではないのだろうか。
「私が寝たら、襲うつもりだったんでしょう……?」
「あの」
「だって……先ほど発展、と……」
「あー、なるほど、そういう意味じゃ無いです本当に」
……で。
読むの?これ?
「はい。お願いします」
「……二十代女性の婚活事情」
まさか、担当アイドル(25歳)に。
事務所でゼクシ◯を読み聞かせる日が来るとは思わなかった。
8 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/16(月) 20:41:26.76 ID:G+tFTeWDO
「ーーなんて事もあるので、結婚してから後悔しないようきちんと調べておこう」
「はい、ありがとうございました」
……なんで俺は、事務所でゼクシ◯を読み聞かせていたのだろうか。
いや、事務所じゃなくてもおかしいと思うけど。
なんか勢いで特集のページ読み終えちゃったけど。
「さて、プロデューサー。どうでしたか?」
「どうって……恥ずかしかったんですけど」
「結婚は、恥ずかしい事なんですか……?」
「婚活誌を女性に読み聞かせる事は恥ずかしいですね」
何故、楓さんは俺にこれを読ませたのだろう。
単にたまたま何処かで見掛けたから、なんて可能性が高そうだが。
「ところでプロデューサー。結婚したくなりませんでしたか?」
二十代女性の婚活事情特集を読んで結婚したくなった男性は世の中いにるのだろうか。
「ほんと、なんでこれ読まされたんですか?俺」
「最近、雨がずっと降っていますから……」
「なにかあるんですか?」
「ジューンブライド、です」
今十月なんですが。
「雨が多いと、六月と勘違いしちゃう事ってありませんか?」
そんな傾向は聞いたことがない。
あとジューンブライドって言われるのは六月が晴れが多いからだった気もする。
9 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/16(月) 20:42:31.56 ID:G+tFTeWDO
「それで、結婚を考えたくなったりは……」
「いやだから無いですって。そもそも相手がいませんし」
言ってて悲しくなってきた。
まぁ仕方のない事だろう。
一人で結婚は出来ないのだから。
「相手……いないんですか?」
ぐい、っと。
楓さんが俺の顔を覗き込んできた。
「ほんとうに、いないんですか?」
「ちょ、楓さん近い近い!」
物凄くドキドキする。
彼女の透き通った瞳で見つめられると目をそらせない。
え、なんだこの状況?!
ま、まさか……
「でしたら……純情な乙女なんて、如何でしょうか?」
「か、楓?!」
そのまま、楓さんはさらに距離を詰めてきて……
10 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/16(月) 20:43:32.95 ID:G+tFTeWDO
「くしゅん」
咳をした。
「すみません、プロデューサー。冷えてきたのでシャワー浴びてきますね」
「あ、あぁはい。体調気を付けて下さいね」
バタン、と。
そのまま言ってしまった。
……なんだったんだ。
「なんだったんだ?!」
俺の純情を弄んだだけだったのだろうか。
その後の仕事は、若干誤字が多くてちひろさんに微笑まれた。
目は笑っていなかった。
11 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/16(月) 20:44:06.02 ID:G+tFTeWDO
「……ふふっ」
「あら、楓ちゃん機嫌良さそうね。何かあったの?」
「はい。六月気分、です」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/17(火) 00:13:39.52 ID:qnNjkSI+O
久しぶりだな
難産か
おつおつ
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/17(火) 07:00:57.82 ID:7kB85lAoo
おつ
14 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/17(火) 17:44:22.38 ID:KSf2hlIYO
昨日から降り続けている雨は、未だ衰える事なく人々のやる気を削いでいた。
もちろん俺も例に漏れず、やる気は地を這っている。
朝カーテンを開けば空は暗く、ドアを開ければ吹き込んで来た雨に服が濡れるとそれだけで回れ右したい気分になった。
傘を片手に道を歩けば靴は水たまりにダイブ、ズボンの裾の色が変わるのも気が滅入り、外は寒いわ電車内は蒸し暑いわとなんかもう色々嫌になって。
丁度いい空調に設定されている事務所に到着した時は、もう此処で暮らしたいなんてアホな事を考えてしまった程だ。
カタカタとキーボードを叩きながらディスプレイと睨めっこ。
今日は外に出る予定が無くて本当に良かった。
夜になる頃には雨が止んでくれるととてもとてもありがたいが……
「明日まで雨みたいですね」
ちひろさんの一言で、俺はトドメを刺された。
15 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/17(火) 17:45:06.03 ID:KSf2hlIYO
「ほんと嫌になりますよね……髪は跳ねるわ靴は濡れるわで」
「そうですね……とはいえ、言ったところでどうにかなる訳でもありません。景気付けにスタミナドリンクなんて如何ですか?」
「あー、今は大丈夫です。これ終わったらお昼買いに行ってきますんで」
そこまで言って、外が雨である事を改めて思い出した。
はぁ……と、ため息を一つ。
外、出たくないなぁ。
「ん、冷蔵庫にゼリー入れといたんだった。それでいいか」
「あ、すみません。その……私、差し入れかと思って……」
ため息、ダブルで。
なんてこったマイゼリー。
しかしここで怒るのも大人気なさ過ぎるだろう。
仕方がない、コンビニ行くとするか。
「あぁいえ大丈夫です。何も言わずに突っ込んでおいたこっちにも非はありますし、コンビニ行ってきますよ」
「ふふっ、ありがとうございます。ご馳走様でした」
ちひろさんもご機嫌の様だし、良しとしよう。
16 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/17(火) 17:46:00.92 ID:KSf2hlIYO
「ぷくー……プロデューサー、私もゼリー食べたかったです」
「あら。おはようございます、楓さん」
「おはようございます楓さん。今後は冷蔵庫に入れる時名前書いとくかな……」
いつの間にか、楓さんが部屋に入ってきていた。
今日はとても寒かったからか、普段よりも厚着な格好だった。
冬もののトレンチコートが凄く似合っている。
雨だというのにサラサラと流れる髪はとても美しい。
使ってるシャンプーが気になるところだ。
「……楓、です」
「……?いや、分かってますけど……」
「ぷくー」
「マイブームなんですか?それ」
かわいいけど。
正直写真撮って待ち受けにしたいくらいだけど。
17 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/17(火) 17:47:04.36 ID:KSf2hlIYO
「さて、プロデューサー。他の子とのお話、楽しいですか?」
「いきなりどうしたんですか楓さん……」
「実は少し前から部屋にいたんですが……会話の円に加わってエンジョイする事が出来ませんでした」
加わる……join……エンジョイか。
今回のは若干難易度が高い気がする。
「やっぱり、自分のものには名前を書くべきなんでしょうか?」
「まぁ冷蔵庫に入れる時はそうした方が良いかもしれませんね」
「む、プロデューサーさん。ちょっと意地悪じゃありませんか?」
「あぁいや、そう言うつもりじゃないですって」
18 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/17(火) 17:48:19.18 ID:KSf2hlIYO
「そう言えばプロデューサー。私、お弁当作ってきたんです」
「え、楓さん自炊出来たんですか?」
「おかげで、朝食を食べる時間が殆どありませんでした。超ショックです」
そこまでショックを受けてはいなさそうだ。
あと割と失礼な事を言ってしまった気もするが、気にしていない様だし流しておこう。
……と、待てよ?
お弁当を作ってきたのだと俺に報告したという事は。
もしかして……
「そのお弁当って、もしかして」
「はい。私、プロデューサーと一緒に食べたくて……」
「楓さん……」
「自分用に作ってきました」
「コンビニ行ってきます」
勘違いは悲しみしか生まない。
いや、悲しんでなんてないし勘違いもしていないが。
昼食なのに中どころか大ショックを受けた気がしなくもないが。
19 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/17(火) 17:50:37.16 ID:KSf2hlIYO
「プロデューサー」
楓さんが、優しく微笑み掛けてくる。
まるで天使の様な笑顔だ。
どうしようもない俺にどうしようもない天使が降りてきた。
「どうしましたか?」
「私の分のゼリーもお願いします」
ポン、と背中を押された。
追い討ちとも言うかもしれない。
「了解です。ちひろさんも、何か買ってきましょうか?」
「いえ、私は大丈夫です」
「それじゃ、行ってきます」
ドアノブに手を掛けたところで。
「あ、プロデューサーさん……」
「行ってらっしゃい、プロデューサー。ゼリー、お願いしますね?」
一瞬ちひろさんに止められた気もしたが。
まぁ、特に何もなさそうだし大丈夫だろう。
傘を片手に、俺は事務所隣のコンビニへと走った。
20 :
◆TDuorh6/aM
[saga]:2017/10/17(火) 17:53:12.64 ID:KSf2hlIYO
レジで支払いをしている時、なんとなく違和感を覚えた。
気のせいだろうか、周りの人が此方を見ては変な表情をしている。
何が原因だかは分からないが注目を集めるのは得意じゃない。
さっさと事務所に戻ろう。
雨はまだ止みそうにない。
確かちひろさんが明日まで降るとか言ってたなぁ。
そんな事を考えながら事務所の廊下を歩いていると、同事務所のアイドルである川島瑞樹とすれ違った。
軽く挨拶して立ち去ろうとしたところで……
「……ねぇ、楓ちゃんのプロデューサー」
川島さんが、此方へ振り返った後に話しかけてきた。
「どうかしましたか?川島さん」
「えっと、買い物帰りかしら……?」
「はい、昼食を買いに。何かありましたか?」
なんだか、話しずらそうな顔をする川島さん。
はぁ、なんてため息をついている。
どうしたのだろう。
自分の担当には話せない深刻な悩みでもあるのだろうか。
「その、言い辛いんだけど……」
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