ガヴリール「戻らぬ時間と叶わぬ恋」

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12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 02:12:17.75 ID:cTVZwN9W0
この時にも流石に毎日来ることはなくなったが私とヴィーネの関係は続いたままだった

嫌がる私を無理やり連れだすのがヴィーネの役割で、そのついでに部屋の掃除などをやってくれていた

たまには授業がない日も来て、なんだかんだ高校時代から不変な関係を続けていたのだ
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 02:15:06.25 ID:cTVZwN9W0
………

皆で集まることをサターニャが企画することに何故違和感がなかったのか

こういうイベントごとに一番乗り気なのは彼女だろうに


彼女はよく私の家に来ていたが、私は一度も彼女の家に行ったことがないのも

高校時代の関係から考えると不自然なはずだ


それをなぜ当然のように、不変であると私は思い続けていたのだろう……

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 02:17:11.79 ID:cTVZwN9W0
ひとまずここまで

ぼちぼち進めていきます
そんなに長い作品にはならないと思います
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 02:53:43.28 ID:yNEsVzoso
これ系のSSってなんか普通に大学生になったり社会人として生きてったりしてるが
ガヴ達って高校生の間だけ人間界に来てるだけとちゃうの
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 23:00:31.54 ID:cTVZwN9W0
訂正
>>10
この時の自分の鈍感さを悲しく思う反面よろこびを感じてしまう

この時に気付いていれば何か変わっていたのかもしれない

だけど、この時気付いていれば私の今もないかもしれないのだ


そう、私たちの関係が壊れるのは意外に早かったのだ

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 23:02:48.61 ID:cTVZwN9W0
>>11
高校も無事卒業し私たちは大学に進学をした

私はサターニャとヴィーネはラフィエルと同じ大学に進学することになった

異なる大学だがなんだかんだ近いところにある

だから私たちの仲が薄れることはなく

月に3,4回、つまり1週間に1回は4人で集まっていた

サターニャが企画をし、ラフィエルとヴィーネが大きくする

私はいつも嫌そうな顔をしながらもなんだかんだ皆出会うのを楽しみにしていた
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/06(月) 13:26:11.18 ID:WKcn6FOE0
期待
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/06(月) 23:07:26.09 ID:e7qN/tvX0
少しだけ進めます
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/06(月) 23:09:42.55 ID:e7qN/tvX0
―――――――――

変化が起きたのは2年生の春だ

3年生へ進級前、ラフィエルがお酒を飲めるようになったこともあり

週に1回あるいつもの集まりで居酒屋に行ったのだ

どうにも私はお酒に弱いらしく最初にお酒を飲んでからの記憶がごっそりとない

意識が戻ったのはもうお開きにしようという時だった
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/06(月) 23:15:11.93 ID:e7qN/tvX0
それぞれが帰路に着くとき私はふと思い出した

私はヴィーネの家に行ったことがないと

意識が戻ったとはいえ酔いがきれいさっぱりと治まったわけではない

そんなふわついた頭で思い浮かんだのはヴィーネを驚かせようってことだった

だから私は彼女に気付かれないように彼女の後をつけていたのだ

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/06(月) 23:25:28.28 ID:e7qN/tvX0
………

これが彼女との関係が壊れる直接的な原因になった

彼女の家に行こうと考えてなければ、酔ってさえいなければ

少なくともこんな最悪なことにはならなかっただろう

この出来事が私たちの関係を変え、そして私たちのこれからにも変化を与える

本当に悔やんでも悔やみきれない


しかし……




今の私はその時を待ち望んでいるのだ
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/07(火) 18:13:07.14 ID:6no9P3Nh0
ドキドキする
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/07(火) 22:44:12.50 ID:GS89J4Z+0
訂正
>>21
それぞれが帰路に就くとき私はふと思い出した

私はヴィーネの家に行ったことがないと

意識が戻ったとはいえ酔いがきれいさっぱりと治まったわけではない

そんなふわついた頭で思い浮かんだのはヴィーネを驚かせようってことだった

だから私は彼女に気付かれないように彼女の後をつけていたのだ
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:05:44.01 ID:3MUmcV/F0
進めます
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:07:20.79 ID:3MUmcV/F0
―――――――――

その時のヴィーネを言葉で表すと上機嫌だろうか

鼻歌交じりに早足で歩いていた

今日の集まりもヴィーネにとって、もちろん私にとってもだが楽しいものだったのだろう

ヴィーネの鼻歌を聞きながら私は彼女の後をつけていく

それなりに近い距離なのにヴィーネは私に気付く様子がない

どうやらあいつも酔っているのだろう
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:10:10.83 ID:3MUmcV/F0
ヴィーネの家は予想を超えて大きかった

高校時代の部屋とは比べ物にならない物件だ

一人暮らしにしては立派過ぎるのではないだろうか

しかし酔いが醒めきっていない私には然程違和感を抱くことはなかった

ヴィーネが郵便受けを覗き建物に入っていく
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:13:06.88 ID:3MUmcV/F0
私も後に続こうと思ったのだが、扉が開かなかった

どうやらオートロックのようだ

諦めて帰っても良かったのだけど、折角ここまで来たのだから当初の目的を果たしたい

幸いなことにヴィーネが覗いていた郵便受けから部屋の番号も分かった

開かない扉は天使にとってはないものと同じである

29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:16:32.64 ID:3MUmcV/F0
運命の時が来た

ヴィーネの家の前に来たのだ

後はインターホンを押し私の存在を知らしめるだけだ

どんな反応をするのだろう

ヴィーネのことだから笑いながら家に上げてくれるだろう

インターホンを押す

ピンポーンと間抜けな音が響いた
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:19:59.86 ID:3MUmcV/F0
………

ついにこの時が来た

私の人生を変えた瞬間だ

これから起こることを思うと心が痛む

何で冷静になれなかったと何で相手の言い分を聞かなかったのかと

しかし、今はどうでもいいことだ

今の私にあるのはこれからのことに対しての期待だ

これからは後悔を幸せで上書きするのだ



そのためにどうか犠牲になってくれ
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:23:38.82 ID:3MUmcV/F0
―――――――――

「はい」

知っているようで知らない声が返答をする

これはヴィーネの声ではない

部屋を間違えたのか不安になってくる

「すいません。ここは月乃瀬さんのお宅でしょうか?」

「そうですが、どちら様でしょう?」

「えーと、月乃瀬さんの友人です」

「……そうですか。少々お待ちください」

32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:27:20.53 ID:3MUmcV/F0
どうやらヴィーネの家で会っていたようだ

しかしすると新しい疑問が生じてくる

今さっき対応した人物は誰なのだ?

親だろうか?

私のところにも度々ゼルエル姉さんが訪ねてくる

来るタイミングを間違えたのかもしれない……


そんなことを考えていると鍵を開ける音が響いた
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:34:17.34 ID:3MUmcV/F0
扉が開かれる

私を出迎えてくれた人を見て私は固まることになる

それは酔いが醒めるほどの衝撃だった

小柄な体、絹のような美しい金色に輝く髪、真っ白な肌……

そう私なのだ

いや厳密には私ではない

小柄といえ私よりも身長は大きい

纏う雰囲気は駄天前の私に近いだろう



開かれた扉の先には私に似た誰かが居たのだ

34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/08(水) 08:05:49.77 ID:7xP4b04Qo
なん……だと……
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/08(水) 15:09:51.97 ID:qzKB77mu0
ハラハラしながら見てたがこの展開は予想外
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 04:23:18.43 ID:Kt532aYj0
進めます
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 04:24:34.92 ID:Kt532aYj0
―――――――――

私と似た人と同棲している……

いや確認したわけじゃないからもしかしたらただ遊びに来ただけなのかもしれない

しかし……しかしだ

高校時代私はヴィーネに告白されたのだ

好きですと言われたのだ

そんな奴が私と似た人と居るなんて聞くまでもないだろう

こいつらはそういう関係なのだ

ヴィーネは私に似た人で自分の欲を満たす人なのだ
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 04:26:13.83 ID:Kt532aYj0
「あれ?ガヴどうしたの?」

気が付けばヴィーネが私の前に居る

どうやら居間に案内されたようだ

「……」

「ガヴ?」

「ああ。なんとなく来てみた」

39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 04:29:57.67 ID:Kt532aYj0
「そうなんだ……あれ?私、家教えたっけ?」

「ヴィーネをつけてみたんだ」

「ふふ、何してるのよ」

ヴィーネが笑っている

いつもだったら特に気にならないものだけど

今は……今の私には

とても気持ち悪いものに思えた

「ガヴ?聞いてる?」

「ああ……」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 04:32:25.94 ID:Kt532aYj0
今この部屋には私とヴィーネの二人だけ

さっきのやつは気を利かせて席を外したのだろうか

「どうしたの?様子が変よ」

「……なぁ」

「うん?」

「さっきのあいつは誰?」

「さっきの?ああ!ルシさんか」

ヴィーネが嬉しそうに名前を呼ぶ
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 04:35:08.22 ID:Kt532aYj0
「あいつ私に似ていたよな」

「え?確かに似ているかしら」

似ているだろ……

私自身が似ていると感じるのだ

ヴィーネがそれを分かってないはずがないだろ

「仲が良いんだな」

「まあ、そうね……ねえ、ガヴ何が言いたいの?」

私の雰囲気から不審に思ったのかヴィーネが話を進めてくる
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 04:38:24.20 ID:Kt532aYj0
「ヴィーネはさ、あいつとそういう関係なのか?」

「そういうって?」

「付き合ってるのか?」

「つ、付き合ってるって……」

ヴィーネが顔を真っ赤にしながら焦っている

やっぱりそういうことなのだろう

あー……吐き気がする

気持ち悪い



気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 04:43:36.94 ID:Kt532aYj0
「お前、高校の時私に告白したよな」

「え?ええ」

「つまりそういうことか」

「そういうこと?」

「お前は私の代わりにあいつと居るんだな」

「は?何言って……」

「いやそうだろ。なんでよりによって私に似た人と居るの?」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 04:46:51.17 ID:Kt532aYj0
「これがラフィエルやサターニャとそういう関係なんだったら分かるよ!」

「それがまさか私と似た人物ってお前……」

「ちょっと待って!」

「待てるかよ!あり得ないだろ!」

「私を手に入れることができないから似ている人で代用するって」

「お前気持ち悪いよ」

「気持ち悪いって……ちょっと話を聞いてよ!」

45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 04:50:43.13 ID:Kt532aYj0
ヴィーネが目に涙を浮かべながら言う

いつもなら綺麗に見えた涙も今は汚れた泥にしか見えない

「聞くまでもないだろ。手に入らないものに似たもの見つけてさ」

「それで自分の欲を満たすってよくあることなんじゃないの」

「だから……聞いてよ……」

「あーそうか、私に家を教えなかったのもそういうことか」

「流石に私に紹介できないよなーあなたと似た人と付き合ってるのってか、はは」

「ごめんな。ヴィーネは気を付けてたのに私が勝手に来ちゃったんだもんな」

「安心しろよ。もう関わる気ないから」

「え?」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 04:52:39.40 ID:Kt532aYj0
「お前みたいな気持ち悪い奴と一緒に居てたくない」

「じゃあ帰る。今まで色々とお世話になったな」

「待ってよ!」

「触るなよ汚らわしい」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 04:55:06.21 ID:Kt532aYj0
私は泣き崩れるヴィーネを置いて行く

言い過ぎだってことは自覚している

頭に血が上っていたとはいえここまで言う気はなかった

なんでか止まることができなかった

それに気持ち悪く思うのは事実であり、そんな奴と関わりたくないとこの時は本当に思ったのだ
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 04:58:31.92 ID:Kt532aYj0
ベッドに倒れ込む

今日のことを思い出し心が荒む

早く寝よう……

明日お風呂に入ればいいや

体が布団に沈んでいく

心地よさが広がるとともに涙が流れてきた

拭いても拭いても涙が止まらない

涙とともに気持ちが昂っていく

「あ、あああああああああ」

何で涙が出るかは分からなかった

49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/09(木) 05:06:56.92 ID:Kt532aYj0
今回はここまで
もうすぐ半分かなぁ
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/09(木) 10:31:16.94 ID:mcZwEFOp0
ガヴリールがひどい
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 00:30:41.67 ID:6dy1Q7Q/0
これは期待
どうなるのか
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/11(土) 02:40:50.43 ID:IQsKnHvT0
訂正
>>32
どうやらヴィーネの家で合っていたようだ

しかしすると新しい疑問が生じてくる

今さっき対応した人物は誰なのだ?

親だろうか?

私のところにも度々ゼルエル姉さんが訪ねてくる

来るタイミングを間違えたのかもしれない……


そんなことを考えていると鍵を開ける音が響いた
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/11(土) 03:20:32.14 ID:IQsKnHvT0
少しだけ進めます
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/11(土) 03:23:49.31 ID:IQsKnHvT0
……

思い通りに……いや記憶通りに事は進んだ

これから私は後悔にまみれながら生きていくことになるのだろう


私がこれまでの彼女と居たのなら「私」がこれからの彼女と共に生きよう


ありがとう

記憶通りに動いてくれて

ありがとう

まだ本当の気持ちに気付いていなくて
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/11(土) 03:26:28.35 ID:IQsKnHvT0
ありがとう……


そして、ごめんなさい

幸せを譲ることが出来なくて……

56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/11(土) 03:29:33.10 ID:IQsKnHvT0
―――――――――

昨日は泣き疲れてしまったのかいつの間にか眠ってしまったようだ

目が腫れている

カーテンを閉め切っており外の光が入ってこない

今は何時だろうか……

携帯を見るとヴィーネから数回の電話と一通のメールが来ていた
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/11(土) 03:33:25.21 ID:IQsKnHvT0
あいつのやっていることは卑怯だ

私があいつのものにならないからといって私に似た人に手を出すなんて

そこまで私が欲しいのか……そんなに欲を満たしたいのか……!

ああ駄目だ、ヴィーネのことを考えると頭がぐちゃぐちゃする

中身を確認せずにメールを消す

電話もメールも拒否設定にした

ヴィーネのことを考えたくない……いやもうヴィーネとは関わりたくないのだ


私の生活に優しい悪魔はもういらないのだ……
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/11(土) 03:35:17.38 ID:IQsKnHvT0
今回はここまで

なかなか折り返しまで進めない……
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 17:03:28.15 ID:DDe61nVCo
つらい
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 02:59:46.10 ID:W3prbCD9o
まだ折り返しじゃないのか…
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/13(月) 02:48:20.69 ID:DfID05Ne0
進めます
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/13(月) 02:48:51.08 ID:DfID05Ne0
―――――――――

あれから一週間が経った

この一週間は家からも出ずひたすらゲームをやっていた

何もしていない時間があるとヴィーネの顔が浮かんでしまう

その度に虫唾が走るのだ

何も考えたくなかった……

ひたすら敵を倒す

何も考えず、ただただ敵を倒すだけを繰り返していた
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/13(月) 02:54:28.82 ID:DfID05Ne0
私が大学に顔を出さないことでサターニャが度々連絡をよこしてきた

なんだかんだあいつは良い奴である

しかし、今の私には彼女の優しさを受け入れられるほどの余裕がなかったのだ

いつも通り電話越しに騒ぐ彼女の声にどうしようもない怒りが湧いてきた

私以外に友達が居ないのかと

お前には悩みなどないだろうと

馬鹿みたいに騒ぐなと


お前もあいつと同じ汚らわしい悪魔なのだと

64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/13(月) 02:58:08.73 ID:DfID05Ne0
口を開くと感情が零れそうになった

こんなのは八つ当たりでしかない

八つ当たりだと分かっているから、当分放っておいてくれと頼んだのだ

普段なら食い下がるであろうサターニャも電話越しとはいえ空気を読んだのかそれ以降追究をしてこなかった


今の私には怒りしかないのだ

その怒りを無くすため、ただただモニタに映る敵を倒すのだった
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/13(月) 03:02:55.30 ID:DfID05Ne0
ずっとゲームをしていると突如インターホンが鳴り響いた

私は今誰にも会いたくないのだ

誰であろうと扉を開ける気などないのだ

だから私はひたすら敵を倒し続ける

再度インターホンが響く

私の手が止まることはない

66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/13(月) 03:05:07.42 ID:DfID05Ne0
今度は小さくノックの音が聞こえた

しつこく思いながらも手を止めることは……

「ねぇ、ガヴ……」

手が止まった

今私が最も会いたくない人物の声が聞こえてきたのだ

「ねえ、ガヴいるんでしょ?」

一週間ぶりに聞くあいつの声は私の怒りに油を注ぐ

どの面下げてここに来た

私はもうおまえには会いたくないのだ
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/13(月) 03:07:29.63 ID:DfID05Ne0
「扉は開けなくていいから聞いてほしいの」

聞きたくない聞きたくない聞きたくない

身近にあったヘッドホンをモニタに繋ぎ耳をふさぐ

言い訳なんかは聞きたくない……

お前の声なんか聞きたくない……

もうこれ以上軽蔑させないでくれ!

68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/13(月) 03:10:02.90 ID:DfID05Ne0
それから何時間経っただろう……

締めっぱなしのカーテンで外の様子も分からない

まだヴィーネは居るのだろうか

玄関まで音を殺し進んでみる

覗き窓から外を見るとそこには誰も居なかった

扉を開けて確認してみる

やはりそこには誰も居なかった……

69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/13(月) 03:10:54.31 ID:DfID05Ne0
今回はここまで

なんか無駄に長くなってる気がする
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/13(月) 03:24:51.62 ID:Z1xlH33Co

全然冗長でもないし好きに書いてくれ
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/13(月) 06:07:50.76 ID:AqevUGY50
いいね
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/17(金) 00:22:19.42 ID:F/5JVf3I0
最後どうなるか楽しみ
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 06:25:58.09 ID:GPF/+wb20
遅くなりました
再開します
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 06:26:52.14 ID:GPF/+wb20
―――――――――

私が不変だと信じ切っていたものは思っていたよりも脆く、私はあれ以降ヴィーネを見ていない

顔を出していなかった大学にもきちんと復帰した

というのも痺れを切らしたのかサターニャが家まで強引に連れ出しに来たのだ

私の生活からあの悪魔が消えたところで劇的に何か変化することもなくただただ時間は流れていく
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 06:29:13.07 ID:GPF/+wb20
一番大きく変わったことは週に1回あった集まりが大学生活の忙しさから月に1度になり、またそれも全員が揃うことが無くなった

三回生以降になると研究や就活で忙しくなるから仕方ないだろう

そのためかサターニャもラフィエルも私とヴィーネのことを知らなかった

しかし、ヴィーネのことは疑問に思っていたようだ

なにせ、あれ以降私が知る限りヴィーネは一度もその集まりに参加していないのだから……
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 06:33:19.39 ID:GPF/+wb20
ヴィーネと会わなくなり時間を置くことで、燃え続けていた怒りも今では小さくなっていた

だから疑問に思うことがある

なぜあんなに怒ってしまったのか

なぜ冷静になれなかったのか

静まった怒りは私の心にしこりを残していった

77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 06:36:39.19 ID:GPF/+wb20
―――――――――

たまに思い付きで料理をすることがある

もちろん私のことだ、そう手の込んだものではなく簡単なカレーとかである

今はカレーの気分であり、どうしてもカレーを食べたくなったのだ

普段は冷凍食品やカップ麺ぐらいしか買うことのないスーパーにカレーの材料を買いに行く

オーソドックスにんじん、玉ねぎ、ジャガイモ、肉をかごに入れていく

ちなみに肉は豚肉だ

豚は牛より安い

あとはルーだけだ

カレールーのコーナーを覗いていると、

『ガヴは甘口でいいのよね?』
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 06:39:55.71 ID:GPF/+wb20
前にヴィーネと買い出しに行ったことを思い出した

私が食べたいものを言うとヴィーネはそれを作ってくれた

買いものに無理やり連れて行くのはどうかと思ったが……

まあ、ヴィーネは料理が上手だったからそれで満足するのなら安いものだ

しかし、もうヴィーネは居ない
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 06:43:12.60 ID:GPF/+wb20
私と似たやつと仲良くやっているのだろう

落ち着いたはずの怒りがまた燃え始める

ヴィーネが居なくたってカレーぐらい作れる

カレーなら満足できるものを作ることができる

無駄に意気込みながらいつものルーを手にするのだった

80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 06:46:36.15 ID:GPF/+wb20
―――――――――

カレーを作るのは難しくない

ルーの箱にも書いてある通りに作ればよく、誰が作ってもそうそう味に差が出ることはない

実際、私もそう苦戦することなく完成させた


しかしどうだろう

いつも食べていたものと味が違う

作り方も間違ったことはしてない

それなのにいつもとは雲泥の差があるように感じるのだ

たかが市販のカレーなのに一人で作ることもできないのだろうか
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 06:48:42.24 ID:GPF/+wb20
こういう時は第三者の意見を聞くのがいい

サターニャは味音痴で役立たずとなればラフィエルしかいない

一緒にご飯でもどうかとラフィエルを誘ってみたのだった

82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 06:53:13.57 ID:GPF/+wb20

「お邪魔します」

程なくしてラフィエルが来た

「あ、来た来た」

「ガヴちゃんが私をご飯に誘うなんて珍しいですね」

「別にそんなこともないだろ」

「そうですか?」

「うん。で、ラフィこのカレーを食べてみてくれ」

「美味しそうなカレーですね。いただきますね」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 06:55:54.02 ID:GPF/+wb20
ラフィエルがカレーを口に運ぶ

何一つ変わったこともしていないのに様になっている

本当にこいつは見た目だけなら神々しく天使そのものだ

「どう?」

「どうと聞かれましても普通においしいですよ?」

「ホントに?」

「え、ええ」

「普通はもっと美味しくない?」

「市販のものですよね?こんなものだと思いますが……」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 07:00:53.39 ID:GPF/+wb20
「私が覚えている味とは何か違うんだよ」

「覚えている味ですか?」

「うん。いつもはもっと美味しいはずなんだよ」

「んーそうですねーそれはガヴちゃんが作ったんですか?」

「いや……その、ヴィーネが作ったものだけど」

「ヴィーネさんがですか……」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 07:03:24.96 ID:GPF/+wb20
何やらラフィエルが考え込む

材料も同じだし作り方も箱通りにやったのだ

それが何故こんなにも味に差が出るのだろう

考えられることは一つしかない

ヴィーネが何かアレンジしていたのだろう

私が知らないんだ

もうあのカレーを食べることはできないのだろう……

86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 07:07:02.97 ID:GPF/+wb20
「そうですね。お台所お借りしてもよろしいでしょうか?」

「え、ああ良いけど……」

「少しお待ちくださいね」

ラフィエルが台所に入っていく

何か思いついたようだけど何をするのだろう

数分ぐらい作業をしてラフィエルがカレーを持って戻ってきた
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 07:10:30.76 ID:GPF/+wb20
「これでどうです?」

「えっ?」

「おそらく近い味にはなっていると思うのですが」

ラフィエルからお皿を受け取り食べてみる

……!

そうだ確かにこの味だ

いつもの味だ
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 07:13:37.72 ID:GPF/+wb20
「どうでしょう?」

「うん。いつもの味だと思う」

でも……なんで?

胸がムカムカする

「ふふ、それは良かったです」

おかしいだろ……

じわじわと私の心に広がってくる
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 07:16:49.87 ID:GPF/+wb20
「何で知ってるの?」

私が……今まで一緒に居た私が知らなかったのに

前まで私の心を渦巻いていた感情

「以前ヴィーネさんに教えていただいたんですよ」

なんでお前が知ってるんだよ!

そう、これは怒りだ……
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 07:20:02.45 ID:GPF/+wb20
―――――――――

それからのことはよく覚えていない

普通に話して何もなく帰ってもらったはずだ


気が付けばまた黙々と敵を倒していた


ラフィエルに文句を言うのも筋違いだ

考えてみれば友達同士なんだ

私の知らないところでのやり取りは当たり前にあっただろう

それなのに、それなのに

私の知らないヴィーネのことを、知っているラフィエルに何で怒りが湧いたのだろう……
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/19(日) 07:20:35.06 ID:GPF/+wb20
今回はここまで
なかなか進まない……
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/19(日) 10:17:36.57 ID:XfeepnqD0
ガヴちゃん荒れてんな
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 14:12:51.91 ID:gHKwS+gmO
まだか
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/18(月) 01:37:51.76 ID:HAa8Ykq60
>>1です
最近時間が取れなく進められてはいませんが必ず終わらせますので……
毎日が休みだといいのに
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/18(月) 01:59:05.16 ID:eQlSNHG50
待っております
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 17:45:33.77 ID:Qvp04yoko
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:01:15.35 ID:lR93cPuP0
―――――――――

カレーの一件があってそれなりに月日が流れた

諦めていた私の身長も少しは伸びた

身体的変化に少し変わったように精神的にもまた少し変わったところがある

普段はもうヴィーネに対する怒りはほぼほぼないに等しい

私にだって生活があり、いつまでもヴィーネに憤りを覚えたままなのもおかしいだろう

しかし治まった怒りは相変わらず私の心にしこりを残している

このしこりは私の知らないヴィーネの話を聞くと簡単に発火する
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:03:12.51 ID:lR93cPuP0
その炎は何とも言えない感情で私を焼いていくのだ

それは胸の中をチクチク刺すように痛み、モヤモヤと釈然としないものを与える

そしてムカムカと苛立ちを与えるのだ

これはあの時……ヴィーネの家に訪れたときにも抱いたものと同じで

だからこの感情は怒りなのだ

そう怒りなのだ……

99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:07:49.62 ID:lR93cPuP0
―――――――――

私がすべてを知っているなんて自惚れでしかない

でも私とヴィーネの関係は互いのすべてを知っているものだと錯覚するには十分なものだった

だからこそ、だからこそだ

ヴィーネが私の知らないところで私に似た人と一緒に居ることが許せなかった

しかし時間を置くことで私は冷静になれた

冷静になれた今だからもう一度ヴィーネに会いたいとそう思うようになった
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:11:36.84 ID:lR93cPuP0
自分でも身勝手だと思う

しかし、高校時代からあの時までは私の生活には彼女が居たのだ

彼女に会えない生活はやはり寂しかった

もしかしたら私の勘違いだったのかもしれない

ただの友人だったのかもしれない

親戚だったのかもしれない
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:14:47.59 ID:lR93cPuP0
土下座だって何だってしよう

優しくても悪魔な彼女は許してくれないかもしれない

私が悪いのだ

許してくれなんて偉そうなことは言えない……

ただ私はもう一度彼女の顔を見たいのだ
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:17:39.32 ID:lR93cPuP0
―――――――――

以前彼女が暮らしていたマンションへ向かった

そんなに時間も経っていないからか建物に変化はない

相変わらず部外者が入ってこれないように扉は閉じられている

天使にとって開かない扉はないものと同じである……

しかし、しかしだ

今の私には以前のように易々と越えていけるほど心に余裕がない

ヴィーネには会いたい、たしかに会いたいのだが

やはりあんな態度を取ったのだ、敷居が高く感じてしまう

どうしたものか……
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:21:16.73 ID:lR93cPuP0
うろうろと建物の周りを歩く姿は不審者だ

グダグダ悩んだところで仕方がない……仕方ないのだが踏ん切りがつかないのだ

そう言えばヴィーネの部屋は何号室だっただろうか

あいつは馬鹿正直だ

このご時世なのに郵便受けに名前を貼っていた

それを見ればわかるだろうと軽い気持ちで郵便受けを探すのであった
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:25:06.15 ID:lR93cPuP0
……?

数年前の記憶とはだから間違っていることはある

しかし建物を間違えることはないだろう

建物を間違えていないのなら、あのバカ真面目なヴィーネのことだ、郵便受けから名前を外すなんてことも考えにくい

だから郵便受けに彼女の名前がないのはおかしい

それこそもうここに住んでいないのなら分かるのだが……

冷や汗が出た
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:26:42.46 ID:lR93cPuP0
そう、ヴィーネがもうここに居ないなんてことを考えてもいなかった

居ないなんてことはないはずだ

引越しをするにしたって自分に連絡が来るはずだ……来るはずなのだ……

もう彼女がここに居ない……

焦る気持ちを抱き、私は建物の中へ入るのだった

106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:31:05.10 ID:lR93cPuP0
数年前の記憶とは言え何階に住んでたかぐらいは覚えている

彼女の部屋があったフロアを隈なく探してみたのだが、彼女の表札は見つからない

フロアを間違えたのかとすべてのフロアを探したがやはり彼女の表札は見つからなかった……
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:34:25.44 ID:lR93cPuP0
今まではもう関わる気がないとか言っていたが心のどこかでいつでも会えると考えていた

だって今まで私の横に居たヴィーネだ

会わないことはあっても会えないことなんてなかったのだ

拒否設定にしたアドレスや電話番号にも連絡を入れてみたがもう使われていなかった……

彼女を……ヴィーネを許せない気持ちは確かにあった

しかしそれも彼女に直接言われたわけではなく

私が勝手に騒いだだけだ
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:38:38.82 ID:lR93cPuP0
もしかしたら恋愛関係ではなかったのかもしれない

ただの友達だったのかもしれない

たらればの話をしたところで何も変わらないのだが……

どうして私は彼女の話を聞かなかったのだろう


いつでも会えると思っていたヴィーネに会うことができない

前までの様に会話なんかなくてもよかった

ただ、ただ一目だけでも彼女を見たかったのだ
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:40:29.88 ID:lR93cPuP0
この時私は初めてヴィーネを失ったという実感を得た

なんだかんだいつでも彼女に出会えると

そんな甘えた考えは間違っていた……

もう私の手の中に彼女はいないのだ
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:44:32.61 ID:lR93cPuP0

胸に残るしこりはもう燃え上がらない

喪失感を知ることでしこりが何か分かってきた

これは怒りではない

そう怒りではないのだ

怒りではなく燃え上がるもの

私の胸を苛むもの

答えは分かりきっている
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:47:55.51 ID:lR93cPuP0
だけど私はそれを隠すことにした

それを知ってしまうと、それに正しい名前を与えてしまうと

私はあの時の自分を許せない

私と似た誰かと居る彼女が気持ち悪いのだと

これを怒りだと捉えていないと

私はきっと後悔するのだから……
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