ガヴリール「戻らぬ時間と叶わぬ恋」

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93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 14:12:51.91 ID:gHKwS+gmO
まだか
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/18(月) 01:37:51.76 ID:HAa8Ykq60
>>1です
最近時間が取れなく進められてはいませんが必ず終わらせますので……
毎日が休みだといいのに
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/18(月) 01:59:05.16 ID:eQlSNHG50
待っております
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 17:45:33.77 ID:Qvp04yoko
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:01:15.35 ID:lR93cPuP0
―――――――――

カレーの一件があってそれなりに月日が流れた

諦めていた私の身長も少しは伸びた

身体的変化に少し変わったように精神的にもまた少し変わったところがある

普段はもうヴィーネに対する怒りはほぼほぼないに等しい

私にだって生活があり、いつまでもヴィーネに憤りを覚えたままなのもおかしいだろう

しかし治まった怒りは相変わらず私の心にしこりを残している

このしこりは私の知らないヴィーネの話を聞くと簡単に発火する
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:03:12.51 ID:lR93cPuP0
その炎は何とも言えない感情で私を焼いていくのだ

それは胸の中をチクチク刺すように痛み、モヤモヤと釈然としないものを与える

そしてムカムカと苛立ちを与えるのだ

これはあの時……ヴィーネの家に訪れたときにも抱いたものと同じで

だからこの感情は怒りなのだ

そう怒りなのだ……

99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:07:49.62 ID:lR93cPuP0
―――――――――

私がすべてを知っているなんて自惚れでしかない

でも私とヴィーネの関係は互いのすべてを知っているものだと錯覚するには十分なものだった

だからこそ、だからこそだ

ヴィーネが私の知らないところで私に似た人と一緒に居ることが許せなかった

しかし時間を置くことで私は冷静になれた

冷静になれた今だからもう一度ヴィーネに会いたいとそう思うようになった
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:11:36.84 ID:lR93cPuP0
自分でも身勝手だと思う

しかし、高校時代からあの時までは私の生活には彼女が居たのだ

彼女に会えない生活はやはり寂しかった

もしかしたら私の勘違いだったのかもしれない

ただの友人だったのかもしれない

親戚だったのかもしれない
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:14:47.59 ID:lR93cPuP0
土下座だって何だってしよう

優しくても悪魔な彼女は許してくれないかもしれない

私が悪いのだ

許してくれなんて偉そうなことは言えない……

ただ私はもう一度彼女の顔を見たいのだ
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:17:39.32 ID:lR93cPuP0
―――――――――

以前彼女が暮らしていたマンションへ向かった

そんなに時間も経っていないからか建物に変化はない

相変わらず部外者が入ってこれないように扉は閉じられている

天使にとって開かない扉はないものと同じである……

しかし、しかしだ

今の私には以前のように易々と越えていけるほど心に余裕がない

ヴィーネには会いたい、たしかに会いたいのだが

やはりあんな態度を取ったのだ、敷居が高く感じてしまう

どうしたものか……
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:21:16.73 ID:lR93cPuP0
うろうろと建物の周りを歩く姿は不審者だ

グダグダ悩んだところで仕方がない……仕方ないのだが踏ん切りがつかないのだ

そう言えばヴィーネの部屋は何号室だっただろうか

あいつは馬鹿正直だ

このご時世なのに郵便受けに名前を貼っていた

それを見ればわかるだろうと軽い気持ちで郵便受けを探すのであった
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:25:06.15 ID:lR93cPuP0
……?

数年前の記憶とはだから間違っていることはある

しかし建物を間違えることはないだろう

建物を間違えていないのなら、あのバカ真面目なヴィーネのことだ、郵便受けから名前を外すなんてことも考えにくい

だから郵便受けに彼女の名前がないのはおかしい

それこそもうここに住んでいないのなら分かるのだが……

冷や汗が出た
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:26:42.46 ID:lR93cPuP0
そう、ヴィーネがもうここに居ないなんてことを考えてもいなかった

居ないなんてことはないはずだ

引越しをするにしたって自分に連絡が来るはずだ……来るはずなのだ……

もう彼女がここに居ない……

焦る気持ちを抱き、私は建物の中へ入るのだった

106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:31:05.10 ID:lR93cPuP0
数年前の記憶とは言え何階に住んでたかぐらいは覚えている

彼女の部屋があったフロアを隈なく探してみたのだが、彼女の表札は見つからない

フロアを間違えたのかとすべてのフロアを探したがやはり彼女の表札は見つからなかった……
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:34:25.44 ID:lR93cPuP0
今まではもう関わる気がないとか言っていたが心のどこかでいつでも会えると考えていた

だって今まで私の横に居たヴィーネだ

会わないことはあっても会えないことなんてなかったのだ

拒否設定にしたアドレスや電話番号にも連絡を入れてみたがもう使われていなかった……

彼女を……ヴィーネを許せない気持ちは確かにあった

しかしそれも彼女に直接言われたわけではなく

私が勝手に騒いだだけだ
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:38:38.82 ID:lR93cPuP0
もしかしたら恋愛関係ではなかったのかもしれない

ただの友達だったのかもしれない

たらればの話をしたところで何も変わらないのだが……

どうして私は彼女の話を聞かなかったのだろう


いつでも会えると思っていたヴィーネに会うことができない

前までの様に会話なんかなくてもよかった

ただ、ただ一目だけでも彼女を見たかったのだ
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:40:29.88 ID:lR93cPuP0
この時私は初めてヴィーネを失ったという実感を得た

なんだかんだいつでも彼女に出会えると

そんな甘えた考えは間違っていた……

もう私の手の中に彼女はいないのだ
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:44:32.61 ID:lR93cPuP0

胸に残るしこりはもう燃え上がらない

喪失感を知ることでしこりが何か分かってきた

これは怒りではない

そう怒りではないのだ

怒りではなく燃え上がるもの

私の胸を苛むもの

答えは分かりきっている
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:47:55.51 ID:lR93cPuP0
だけど私はそれを隠すことにした

それを知ってしまうと、それに正しい名前を与えてしまうと

私はあの時の自分を許せない

私と似た誰かと居る彼女が気持ち悪いのだと

これを怒りだと捉えていないと

私はきっと後悔するのだから……
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/03(水) 18:49:02.08 ID:lR93cPuP0
ぼちぼち再開していけたらと思ってます

プロットの段階だとこれまだ半分行ってないんですよね……
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/03(水) 19:03:27.96 ID:QyFlaKAt0
楽しみに待っています
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/03(水) 20:03:21.64 ID:Rh8lQ1p80
続きが楽しみだ!
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/05(金) 00:18:45.56 ID:ywXitSKFO
控えめにいって神だわ
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/06(土) 03:57:30.49 ID:Rp1DAqu70
訂正
>>111
だけど私はそれを隠すことにした

それを知ってしまうと、それに正しい名前を与えてしまうと

私はあの時の自分を許せない

私と似た誰かと居る彼女が気持ち悪いと感じたのは怒りからだと

そう、これを怒りだと捉えていないと

私はきっと後悔するのだから……
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/06(土) 04:13:50.93 ID:3yf+FJQoO
来たか
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/26(金) 11:46:05.79 ID:MIrDCkO20
続きが楽しみだ
ゆっくり待ってます
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/26(月) 04:09:26.47 ID:xxAtMg8Z0
―――――――――

大学も4年生になり、大きなイベントも後は卒業を控えるだけになった

あれからヴィーネには会うことはなかった

いや会えなかったのだ……

あの悪魔のことだ、きっとラフィやサターニャには……少なくとも同じ大学に通うラフィには引越し先を教えているはずで

あの二人にただヴィーネはどこに居るかを聞くだけでヴィーネに会うことは可能であったと思う
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/26(月) 04:12:31.44 ID:xxAtMg8Z0
しかし、あいつは私に引越すことを言わなかったのだ……

あの真面目なヴィーネが私に言わなかったということはそういうことだろう

だから私は彼女に会うことが怖かった

あの優しさにあふれた目が敵意に染まるところなんて見たくなかったのだ

もう一度顔が見たいと望んでいたはずなのに……

いや今でも望んでいる

だけど、その顔に浮かぶ表情が怒りなら……侮蔑なら……

私はきっと立ち直ることはできないだろう
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/26(月) 04:17:25.15 ID:xxAtMg8Z0
―――――――――

就職先は天界にあるそれなりに大きな仕事だ

だから地上に居られるのは卒業までの期間である

地上に降りて来たばかりの私なら部屋もきれいな状態であっただろう

しかし、駄天使……懐かしいな

私がヴィーネにしたことを考えると本当に堕天使が正しいのかもしれない

……そんなのはどうでもよくて

今の私は部屋の整理をきちんと行っていない

私の精神をそのまま部屋で再現したかの様な部屋である

それはとても醜く目をそらしたくなるもので……

しかし長く住んだこの部屋も卒業とともに引き払わなければならない

そのためには乗り気でなかろうと掃除はしなければならないのだ
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/26(月) 04:22:16.83 ID:xxAtMg8Z0
部屋を掃除することで私の精神もきれいになるかもしれない

そんな期待を持って部屋の掃除を始めるのだった


掃除をしていると分かることがある

この部屋にあるものの大半は自分の生活ごみや日用品、嗜好品である

だけど、稀にこの部屋を訪れた人物のものがある

魔界通販と書かれた箱はサターニャが捨てて行ったものだろう

赤いリボンはラフィが忘れたものだろう

C言語と書かれた本はタプリスのものだろう
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/26(月) 04:30:30.27 ID:xxAtMg8Z0
この部屋に来たことがある様々な人物の残り香がこの部屋にはあるのだ

その中に見覚えがあるエプロンがあった

私はそもそも料理をしないし、したところでエプロンは使わない

サターニャやタプリスはこの家で料理をしない、ラフィが台所に立ったのはカレーの時ぐらいだ

この家で一番台所に立っていた人物は……一番料理をしていたのは

あの優しい悪魔しかいないのだ

そのエプロンを抱きしめると懐かしい匂いがした

それは本当に懐かしく……きっともう嗅ぐことはないと思っていたその匂いに涙があふれてくる


「ヴィーネ……」


綺麗になった部屋に言葉が響く

部屋が綺麗になったところで私の心は晴れることはない

だけれど、もう感じることがないと思っていたヴィーネを感じることができた
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/26(月) 04:35:52.99 ID:xxAtMg8Z0
ヴィーネを感じることで胸のしこりがなくなっていく

見ないようにしていた感情は

怒りだと思っていた感情は

ヴィーネを感じることで小さくなっていく

もう隠し通すことはできない

怒りだったならヴィーネを感じて燃えなければならないのだ

それなのにヴィーネを感じてしこりは小さくなっていく

答えは分かっていた
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/26(月) 04:41:45.16 ID:xxAtMg8Z0
ただそれを見たくなかっただけなのだ

後悔しようにも自分をごまかすことができなくなった

ならば諦めて正しい名前を与えよう

この感情の名前は

そう「嫉妬」である
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/26(月) 04:47:06.06 ID:xxAtMg8Z0
今なら分かる

分かるにしても遅すぎた

私の気持ちは高校の時から変わっていない

変わっていないのだ……

私は高校の時から


ヴィーネが好きだったんだ
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/26(月) 04:52:34.28 ID:xxAtMg8Z0
遅すぎた気持ちを理解して

今の私には何ができるだろう

分かっている

何もできないのだ

理解したからこそ、ヴィーネに会うのが怖い


私の恋愛は始まったときには終わっていたのだ


涙はあふれ出て止まらない

濡れた叫びが部屋に響いているのだった
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/26(月) 04:54:54.47 ID:xxAtMg8Z0
待っている人がいるのか知りませんが今回はここまで

だいぶ余裕も出てきたので3月中には終わらせたいです

これまだ折り返し行ってないんですよね……
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/26(月) 04:56:35.49 ID:xxAtMg8Z0
あと長く間が開いたので文体が変わっていて違和感を覚えられたら申し訳ありません
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 05:43:30.80 ID:Wbz7XhsM0
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 23:25:07.40 ID:GDsO2mCeO
ずっと待ってた

132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 01:56:14.40 ID:nanm2OOoO
まだ折り返しに行ってないのか(歓喜
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/20(火) 22:28:50.85 ID:S8gi/CKr0
待ってたし待ってるよ
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/27(火) 00:37:08.97 ID:gcs54Kj9O
さ、3月がもうすぐ…
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/31(土) 14:26:36.02 ID:zjZ1yw1e0
今日で三月が……いやっ、来年も三月はくるか
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