一ノ瀬志希「キミが死んだら、その死体はあたしが欲しいな」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/09(木) 23:39:24.53 ID:6z2e4cgVO
【23】


志希(あたしがキミにそうプロポーズしてから、今日で3年…)



レポーター『たった今判決が出ました!無期、無期懲役です!』

レポーター『内縁の夫を殺害した元アイドル妻・一ノ瀬志希被告に、無期懲役の判決が下されました!』



志希「…………」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1510238364
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/09(木) 23:46:49.42 ID:bbnOXP6bo
ええ…
3 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/09(木) 23:48:43.20 ID:6z2e4cgVO
【0】


「あぁーーん!!おぎゃああーーん!」


???『かわいい女の子よ。私たちの赤ちゃん』

???『ああ、よくがんばってくれた。本当にかわいいよ』

???『この子の名前は…志希だ。希望を志す子に育つように』

???『ええ。良い名前ね』



志希(そんなやり取りがあったそうな)

志希(きっと、これは、後から両親に聞いた話)

志希(だからこれはきっとあたしが後から作りあげた想像。捏造の記憶)

志希(産まれたばかりの0歳の記憶なんて憶えているはずがない憶えているはずがない憶えているはずがない)

志希(……きっと、あたしは両親のセリフを憶えているはずがない)
4 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/09(木) 23:55:59.68 ID:6z2e4cgVO
【2】


志希「……」パチッ カチッ


母親「すごいわ志希。もうこんなに解けるようになるなんて!」

父親「ああ。まだ2歳なのに、6歳児向けのパズルを解いている…」

母親「あなたに似て賢いのかもしれないわね」

父親「ははは。だが、この子はもしかすると…」


志希「……」カチッ バチッ

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 00:00:38.76 ID:P8w3MJb50
おいやめろ
6 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 00:00:47.66 ID:x+zP9GpRO
【22】



志希「父は学者でした」

志希「そのせいもあってか、あたしの、あたしが…」

志希「あたしが、他の子とは少し違うということに、彼はいち早く気付いたんです」

志希「あたしのような子を集めるための幼稚園。その入園試験を受けたことを憶えています」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 00:04:21.60 ID:vxVbTAVeO
時系列バラバラ系いいぞこれ
8 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 00:09:17.06 ID:x+zP9GpRO
【4】



志希「……」カリッカリカリ



幼稚園教諭「志希ちゃんの数学力は、現時点で高校入試レベルにあります」

父親「やはり…!」

母親「すごいわあなた!志希…まだこれから幼稚園なのに!」

幼稚園教諭「ぜひとも当園に入園を!彼女はまさに天才…!」


幼稚園「ギフテッドです!」


父親「ええ!あの子にふさわしい教育をお願いします!」

母親「お世話になります!」



志希「……」カリカリ
9 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 00:19:53.57 ID:x+zP9GpRO
【5】



園児「せんせー!しきちゃんがまたわりこんだーー!」

教諭「あらあら志希ちゃん。またなの?」

教諭「おててを洗う時には、みんなで順番に並びましょうね?」

志希「どうして?」

志希「どうせ全員手を洗うなら、こうやって並んだ方が早いのに」

教諭「…順番に並ぶのが幼稚園の決まりなのよ」

志希「……よくわかんない」
10 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 00:30:42.36 ID:x+zP9GpRO
【5】


母親「すみません、すみません…」

教諭「あ、いえ。いいんですよお母さん」

教諭「当園はその都合上、少し偏屈な児童も多いので」

母親「はい…」

教諭「しかし、それだからと言って社会のルールからイツダツした児童を出すわけにはいきません」

教諭「ご家庭でも、勉強だけではない積極的な教育をお願いします」

母親「はい…」



志希「……」
11 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 00:39:42.45 ID:x+zP9GpRO
【23】


志希(母はいつもあたしのことで誰かに謝っていた気がする)

志希(父は逆に、あたしがおかしなことを仕出かすたびにはしゃいで喜んだ)

志希(……あたしはどうするべきだったんだろう)

志希(あの時幼稚園の先生が言っていた言葉は、あまりあたしの評判がよくないという意味だと察していた)

志希(当時、わからないことがあれば何でも調べられるようにと、あたしには辞書や辞典が買い与えられていた)

志希(“イツダツ”)

志希(あたしは今なお、その意味を辞書で引くことが出来ない)
12 : ◆G4Z1KppkgXoT [sage]:2017/11/10(金) 00:40:30.94 ID:x+zP9GpRO
中断
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 01:28:52.84 ID:3KQiGzrYO
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 01:30:53.84 ID:MJez7zoBO
きたい
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 03:48:40.74 ID:Z5IeQHheo
ギフテッドって映画気になる
16 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 20:31:46.20 ID:q4Gf1AK4O
【6】


???「ねぇ!キミ、ようちえんではあったことないよね!?」

志希「…だれ?」

ハナ「あたしハナちゃん!はじめまして!」

志希「そう。あたしは遠くの幼稚園に通っているから」

ハナ「そっか〜!だから、こうえんにひとりできてあそんでるんだね!」

志希「…そうだよ」

ハナ「それなら、あたしとこうえんであえたときにはいっしょにあそべるね!」

志希「……あたしと遊びたいの?」

ハナ「うん!ハナちゃんキミとあそびたい!」

志希「……!」
17 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 20:36:21.52 ID:q4Gf1AK4O
【6】


ハナ「ねぇ、キミのなまえは?」

志希「あたしは、志希」

ハナ「そっかー!よろしくね、しきにゃん!」

志希「…にゃん?」

ハナ「にゃっはっは〜〜!ね、しきにゃん!あっちであそぼう!」

志希「…うん」





志希「お父さん、お母さん。お願いがあるの」
18 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 20:42:22.42 ID:q4Gf1AK4O
【22】



志希「幼稚園に馴染めなかった私は、公園で出会った近所に住む幼なじみとよく遊びました」

志希「両親にねだって、小学校からは英才教育のための小学校への推薦を蹴り、彼女と同じ近所の公立小学校へ」

志希「10歳で転校するまでは、その小学校へ通いました」


???「転校の理由はなんですか?」


志希「それは……」
19 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 21:02:56.36 ID:q4Gf1AK4O
【10】


志希「ハナ、だから言ったでしょ?」

ハナ「にゃはは〜、ご、ごめんね志希にゃん?」

志希「ああもう、効率悪いなぁ。時間無駄にした」

ハナ「……っ」

志希「ほら、もう一回あたしが考えたとおりにやるよ」

ハナ「……」


同級生「てかさ、そんな言い方なくない?」


志希「は?」
20 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 21:17:03.48 ID:q4Gf1AK4O
【10】


同級生「お前なんなの?いっつも上からさぁ」

同級生「みんなちゃんとやってんじゃん」

ハナ「い、いいんだよ、あたしは別に…」

志希「ちゃんとやってても効率悪いよ、それ」

同級生「だからそういうのをさぁ!!」

同級生「確かにアンタは頭良いかもしれないけど、言い方とかあるでしょ?」

志希「…あたしが頭が良いことと、効率の良い手段を取るかどうかは別の話だよ」
21 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 21:31:02.58 ID:q4Gf1AK4O
【10】


同級生「あーあ、もういいや。やってらんない」

同級生「一ノ瀬さんはここじゃなくて頭の良い学校に行くべきだと思いまーす!」

志希「なんで?」

ハナ「ね、ねえっ!もうやめよ?志希にゃん?」

志希「あたしの方が退くの?意味がわからない」

志希「あたしは間違ったことを言ってない。そんなこともわからないの?」

ハナ「……」
22 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 21:36:28.30 ID:q4Gf1AK4O
【10】


同級生「「出ーてーけ!出ーてーけ!」」

志希「おかしいのはそっちでしょ!?」

同級生「「出ーてーけ!出ーてーけ!」」

志希「〜〜〜〜っ!!」

ハナ「……ごめん、志希にゃん」

志希「…ハナ?」

ハナ「あたしにも、もうこれ以上かばえないや…」

志希「!!!」
23 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 21:41:01.22 ID:q4Gf1AK4O
【10】


母親「すみません、すみません…」

担任「はい。ですが、子供同士のこととは言え、問題がこじれてしまった以上はどうしたものか…」

志希「……」

父親「志希。お前はどうしたいんだい?」

志希「……」

志希「転校…」

志希「転校、したい…」

父親「わかった」
24 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 21:55:53.22 ID:q4Gf1AK4O
【10】


父親「君が6歳の頃に推薦を断った学校には行けないから、どこか近場の私立を探そう」

志希「はい」

担任「そうかそうか。志希さん、転校先でも元気でがんばってくださいね」

志希(先生、ほっとした顔してる…)

父親「それと、志希のような子を教育している塾があるんだ」

父親「そこにも通ってみよう。幼稚園の時とは違って、今度は友達ができるかもしれないよ」

志希「…はい」
25 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/10(金) 22:09:01.94 ID:q4Gf1AK4O
【10】


志希(今日から新しい学校…)

志希(あたしは幼稚園児の時から何も変わっていなかったんだ)

志希「でも、今日からは違う…!」


担任「今日は皆さんに転校生を紹介します!さ、自己紹介してね」



志希「にゃははっ♪あたしの名前は一ノ瀬志希!志希にゃんって呼んでっ!みんなよろしくね〜!」



志希(あたしはネコをかぶることにした)

志希(愛想を良くして、トラブルを避けて、余計な火の粉が降りかからないように)

志希(誰かにかばってもらう前に、自分自身を覆いかぶせてしまうことにした)
26 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/11(土) 11:07:59.80 ID:KRzGOqimO
【14】


志希「今日はカラオケ楽しかったね〜♪」

同級生「うん!志希にゃん歌上手いんだね〜」

同級生「99点はおしかったね」

志希「ふっふー♪あんなのただのテクニックだってー!」

同級生「また行こうね志希にゃん!」

同級生「今度は甘いものでも食べに行こうよ」

志希「うん!うん!また遊んでよっ♪」

志希「それじゃ、あたしんちここだから!まったね〜♪」

同級生「また明日」
同級生「バイバーイ!」

志希「バイバーイ!」

ガチャ

志希「パパ〜、ママ〜、たっだいま〜!」
27 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/11(土) 11:24:18.73 ID:KRzGOqimO
【23】


志希(あの頃のあたしは、すっかりネコをかぶることにもなれていた)

志希(もはやネコをかぶっているなんて自覚が出来ないほどに)

志希(いや、むしろ、過去のあたしがまるで別人かのように、かつての人格を思い出せないようになっていた)

志希(両親にも、学校のクラスメイトにも、塾のクラスメイトにも、人懐こく振る舞った)

志希(それほどまでに、もうみんなに嫌われるのが怖かった)

志希(幼なじみの彼女と出会い、誰かと仲良くなる喜びを知ってしまったから)

志希(もう以前の自分には戻れなかった)

志希(自分が鋼鉄に薄皮を一枚羽織っただけの人間であるということを、自覚することはもう出来ない)
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 23:20:04.18 ID:0x1lwBEH0
期待してる
29 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/13(月) 06:22:20.91 ID:wsY+cHh8O
【14】


志希「ただいまー。ママ〜?」

母親「おかえりなさい、志希」
父親「おかえり」

塾長「こんにちは志希さん」

志希「あれ?塾長??どしたの?家庭訪問?」

父親「用事があって来て頂いたんだ」

志希「用事〜?パパもたまに日本に帰って来た時くらいゆっくりすればいいのに」

父親「志希に関わる用事なんだよ」

志希「あたしに?」
30 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/13(月) 06:40:06.72 ID:wsY+cHh8O
【14】


父親「志希、私が勤めている大学に入学しないか?」

志希「へっ?」

塾長「志希さんの頭脳は、もう日本の義務教育の枠を超えています!海外の天才児教育プログラムを受けた方が良い」

父親「私の大学には志希のような子を受け入れる体制があるんだ。志希より若い大学生だっているんだよ」

志希「でも…急に大学生って言われてもなぁ」

志希「それに、ママはどうするの?日本で仕事あるわけだし、ひとりで残して行くなんて…」

母親「行くべきよ、志希」

志希「マ……マ……?」
31 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/13(月) 06:46:01.47 ID:wsY+cHh8O
【14】


母親「あなたはこのお話、受けるべきだと思う」

志希「にゃはは…受けるべきって…」

母親「行きなさい、志希。あなたにはあなたにふさわしい場所があるわ」

志希「ママ……?」

母親「だってあなた……ずっと無理をしているでしょう?」

志希「!!!」

母親「あなたは、ありのままでいられる場所に行くべきよ」

志希「……」
32 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/13(月) 06:57:37.54 ID:wsY+cHh8O
【22】


志希「自分でさえ忘れかけていたネコかぶりは、母には看破されていました」

志希「変われたつもりでいたのは私だけで、母にとって私の中身はなにひとつ昔と変わらなかったのでしょう」

志希「母はいつも通りの笑顔でしたが、目だけは私に有無を言わせない表情でした」

志希「父が海外に赴任してから、日本では母と二人暮らしをしていました。その負担もあったのだと思います」

志希「母にとって、私の存在はずっと『理解できないモンスター』でしかなかったようです」

志希「父にとっては『自分だけが持つ高性能なオモチャ』」

志希「そこに愛情が無かったわけではないし、互いに愛し合う努力はしたように思います」

志希「でも、私たちはどうしてもズレてすれ違ってしまったようです」
33 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/13(月) 07:19:45.15 ID:wsY+cHh8O
【22】


志希「私は母と離れるべきだと思い、父とともに海外の大学に行きました」

志希「大学ではほとんど友達を作れませんでした」

志希「外国人であること、私より年少の学生や普通の大学生との年齢格差などは問題ではなく」

志希「私が私自身の人格をよくわからなくなり、不安定になっていたからです」

志希「母にはありのままで、と言われましたが、素の自分が他人に接すれば、また嫌われるのではないかと思いました」

志希「そもそも本当の自分が何者かさえわからず、思春期の精神不安定も重なり、私は人を避けるようになりました」

志希「単位を気にしなくなり、父が大学に用意させた、研究室という名目の私の私室にこもりきりになりました」

志希「そこで自分の研究に没頭するも、誰かに甘えたい、優しくされたいという欲求は日に日に高まっていきました」

志希「ネコをかぶることこそが、私の人格だと気付く頃。私は人に甘えたいがために研究室を悪用するようになりました」
34 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/13(月) 07:34:33.41 ID:KROA4UT0O
【18】


志希「ハスハス…ん〜、これならオッケーかな?」

志希「あ〜〜、上出来っ♪最高だね!」

志希「それじゃあ〜〜、ひっさしぶりに部屋から出ますかぁ!」

志希「あっはぁ!靴とかどこに脱いだんだっけ?」



志希「キミたち〜、今時間あるカナ?」

大学生「え、誰?」

大学生「ほら、この子例の研究室の。教授の娘の」ひそひそ

大学生「あの研究室にこもってるっていう?」ひそひそ
35 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/13(月) 07:43:13.19 ID:KROA4UT0O
【18】


志希「そうそう!そのヒキコモリの志希にゃんだよ〜♪」

大学生「…そんで、研究室のお姫様が俺らになんの用?」

志希「いやねー。キミたちなんとなくフリョーっぽいから、こういうの好きかな〜?って思って!」スッ

大学生「…なんだよそれ?」

志希「自作のドラッグ♪」

大学生「はっ!?」

志希「研究室でこんなの作ってるんだ〜。最っ高に良い夢見れるけど、キミたちもいかが?」

大学生「マジかよ…」

大学生「ははっ、教授の娘が大学の中でドラッグ作るって…そんなのありかよ!?」

志希「いいんだよ〜♪ダッドは落ちこぼれたあたしに興味なんかないし!」

志希「ねぇ、人集められる?どこかでコレ使ってパーティーしようよっ!」
36 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/13(月) 07:50:19.54 ID:KROA4UT0O
【22】


どよっ…!ひそひそ…


???「静粛に」

???「裁判長!」

裁判長「被告弁護人」

弁護士「このように、被告が生い立ちを話すのは情状を得るためではなく、事件の経緯と精神状態を正確に伝え、裁いてもらうためで…

裁判長「被告人。必要なことなのですね?」

志希「はい」

裁判長「…では、続けてください」
37 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/13(月) 08:18:02.22 ID:KROA4UT0O
【18】


大学生「ぁ〜〜……ぁ〜〜……」

大学生「ひゃはっ…」

大学生「zzz」


志希「にゃは…はは…」

志希(大学にも行かず、家にも帰れず、かまってもらいたくて学生を薬漬けにして連夜のドラッグパーティー…)

志希「あははっ、何やってんだろ、あたし……」ぽろぽろ


ガチャ ギィ


志希「!」
38 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/13(月) 08:27:54.57 ID:KROA4UT0O
【18】


志希「ここは貸し切りだよ、お兄サン…」

「らしいな。ガキがパブを貸し切って毎晩ドラッグパーティーしてると聞いてやってきた」

「全員ツブレてるな。やったのはお前か?」

志希「……キミは誰?マフィアの方?」

「いいや、違う」ぐいっ

志希「うっ…!」

「自分で立つこともできないくらいドラッグをキメたのか?」

志希「そんなのあたしの勝手だよ…」



志希(私の胸ぐらをつかんで持ち上げた彼の手からは、不思議と良い匂いがした)
39 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/13(月) 08:39:42.59 ID:KROA4UT0O
【18】


「その発音。日本人だな?」

志希「キミもね。それがどうかした?」

「日本人のガキが、その年でドラッグに頼らなきゃいけないほどの何があった?」

志希「……キミには関係ないよ」

「かもな。お前、自分が辛い目にあってると思っているんだろ?」

志希「…はい?」

志希「だったら何?知ったようなことを言わないで…」

「何につまずいた?」

志希「……うるさいっ」
40 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/13(月) 08:47:33.21 ID:KROA4UT0O
【18】


「こうも思っている。『こんな人生は間違っている』と」

志希「〜〜っ!!それが…それが……なんだって言うの!?」

志希「ああ!!そうだよ!!思ってる!!こんなのおかしいって!!!」ぽろぽろ

志希「あたし何か間違ったことした!?わかんない!!なのに人生間違っちゃった!!」

志希「でも仕方ないでしょ!?そうなっちゃったんだから!!そういう風に生まれちゃったんだから!!」

志希「ううっ、グスッ…こんな風に生まれて、こんな風に生きてきちゃったんだから……」ぽろぽろ

志希「キミに…なにがわかるって…言うの……」


「俺もそう思ったからだ。『お前の人生は間違っている』」


志希「……!!」
41 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/13(月) 08:54:20.62 ID:KROA4UT0O
【18】


「お前の間違った人生。俺ならあるいは正しい道に戻せるかもしれない」


「一瞬だけなら、俺はお前に力を貸してやれる」


志希「……キミは何者なの?何をしている人?」

「俺は…俺は靴屋だ」

志希「靴屋さん?靴屋さんがどうして…?」

志希「……あなたはどんな靴を扱っているの?」


「…………ガラスの靴」




志希(それが彼との出会いだった)
42 : ◆G4Z1KppkgXoT [sage]:2017/11/13(月) 08:55:14.37 ID:KROA4UT0O
中断
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/13(月) 09:17:19.46 ID:172PCt2uO
プロデューサーのPはPoetのP
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/13(月) 19:20:58.94 ID:4yylSiNbo
これはみっしー直属のP
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/13(月) 21:53:58.95 ID:OItDHqK/o
ポエマーの波動を感じる
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/13(月) 22:28:02.08 ID:pFOMRrayO
ポエムバトルの系譜がこんなところまで…
47 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/14(火) 05:31:11.59 ID:Cee4lhpwO
【22】


志希「その時出会ったのが、後に私が殺害することになる被害者。夫…内縁の夫です」

志希「彼が名乗る通りの靴屋ではなく、アイドルプロデューサーであることは世間の皆さんが知ることだと思います」

弁護士「出会ったその時には、もう殺害を考えていましたか?」

志希「まさか。結婚さえ考えていませんでした。でも、恋愛感情のようなものは…出会ったその日から抱いていたと思います」

弁護士「内縁関係とのことですが、籍を入れなかった理由は?」

志希「彼が『商材に手をつける気はない』とし、法律婚は拒みました」

志希「しかし、教会の神前で誓い合いました。概念上の結婚は成立しています」

弁護士「裁判長。被告と被害者が教会で署名した結婚証明書は資料として提出しています」

裁判長「……」

弁護士「さて、一ノ瀬さん。あなたの夫はあなたをアイドルとしてスカウトしました。その理由はなんですか?」

志希「それは…」
48 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/14(火) 05:58:48.96 ID:Cee4lhpwO
【18】


「金になりそうな美人が転がっていたから、拾っただけだ」

志希「金って…んー、つまり、女の子をアイドルにできれば誰でも良かった?」

「そうだな。巧く口説けば、元手はタダで俺には金が手に入る」

志希「やれやれ、なにが『俺は靴屋だ』なんだか。キミ、半分人さらいじゃんっ」

「かどわかしはプロデューサーの基本スキルなんだよ」

志希「あっ!今自分のことをプロデューサーって認めた!」

「ああ、お前をプロデュースしてやる。歌やダンスのレッスンも存分に手配する」

志希「まったくもー。キミに連れられて日本に帰ってきたら、まさかアイドルやらされるなんて思ってもみなかったよ」

「だが、志希にはアイドルの才能があった。歌もダンスもあっという間に覚えてこなした」

志希「キミがめちゃくちゃスパルタなレッスンスケジュールを組むからだよっ!!」

「そうだ。あれ程レッスンしたんだ。自信を持っていけ」

「……出番だ」

志希「……うん!」
49 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/14(火) 06:07:49.11 ID:Cee4lhpwO
【18】


ぎゅっ

「ん?」

志希「ハスハス…」

「おい、あまり抱きつくな。メイクが落ちるぞ」

志希「うん…だいじょぶ…ハスハス」

志希「ふーーっ!キミがお金のためにアイドルをプロデュースしてなんかいないことくらい、わかってるよ」

「……」

志希「そうじゃなきゃ、わざわざドラッグパーティーの中に飛びこんで女の子を連れ出したりなんかしない」

志希「それに、キミはあたしに力を貸してくれるとも言った!人生を正しい道に戻せるともね」

「…正しい道には戻れそうか?」

志希「それを今から確かめてくるっ!」

「よしっ!デビューイベント、思いっきり暴れてこい!」

志希「にゃははははっ♪」
50 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/14(火) 06:29:22.06 ID:Cee4lhpwO
【23】


志希(アイドルは本当に楽しくて、輝いてたなぁ…)

志希(あんな世界があって、自分がそこに飛びこむことができるなんて知りもしなかった)

志希(彼と、みんなといる毎日が楽しくて楽しくて、一気にアイドルの階段を駆け上がる日々)

志希(これがあたしなのか、と初めて実感できた)

志希(彼はあたしのなんの希望も志しも無い人生に、新しい道を示してくれた!)

志希(その道をまっすぐ迷いなく進めていたら…)

志希「そっちの方が、後悔したかもしれない」
51 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/14(火) 06:50:14.26 ID:Cee4lhpwO
【19】


志希「カンパーイ!」

「乾杯!」

キィンッ

志希「キミとのコンビも早一年かぁ。けっこうあっという間だったね〜」

「あっという間なのは志希の出世速度だ。まさかわずか一年でトップアイドルの仲間入りするとはな…想像以上だ」

志希「あそこで金になりそうなあたしを拾ったのは正解だったね、靴屋さん?」

「まったくだ。自分の育てたアイドルが、ガラスの靴をはく姿を見られて良かった。志希のおかげだ」

志希「なに〜?今日はいつも以上にストレートなもの言いだね。初めてキミにお礼言われたかも」

「感謝している。感激も」

志希「感謝はこっちこそだって♪」

志希「ていうか、コレ、チャンピオンベルトとったボクサーとトレーナーの会話っぽい」

「なかなかの名伯楽ぶりだったろ?」

志希「ん〜、そだねぇ。キミがいなかったら、あたし今ごろどうしていたか…」

志希「……どうもしていなかった、だろうな」
52 : ◆G4Z1KppkgXoT :2017/11/14(火) 07:11:46.58 ID:Cee4lhpwO
【19】


「志希はもう一流のアイドルで、一人前の人間だ。もう昔のように戻ることはないだろ」

志希「にゃはは。そうだといいなぁ」

「大丈夫だ。自信を持っていけ」

「…ここでお別れだ、志希」

志希「……どうして?」

「最初に会った時に言ったはずだ。『一瞬だけ力を貸す』と」

「お前にはもう俺が力を貸す必要が無い」

志希「それがどうしてあたしから離れる理由になるの?」

「…お前がひとり立ちできたからだ。俺は今度は別のヤツに力を貸しに行く」

志希「嘘。それくらいはわかるよ」

「……」
53 : ◆G4Z1KppkgXoT [sage]:2017/11/14(火) 07:12:32.14 ID:Cee4lhpwO
中断
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/14(火) 10:09:24.33 ID:NoO+Hf000
くぅぅぅ....続きが気になるよ!
24.66 KB Speed:5.9   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)