武内P「起きたらひどい事になっていました」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 21:27:35.32 ID:RXMnuIV2o
武内P「確かに、仕事中に寝てしまった私も悪いです」

アイドル達「……」

武内P「しかし、この仕打はあまりにも酷いとは思いませんか」

アイドル達「……」

武内P「私は今……とても、悲しいです」

アイドル達「……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1510316855
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 21:30:24.15 ID:RXMnuIV2o
武内P「皆さん、目を瞑ってください」

アイドル達「……」

武内P「寝ている私に何かした人は、手を挙げてください」

アイドル達「……」

武内P「ありがとうございます。目を開けてください」

アイドル達「……」

武内P「誰も、手を挙げませんでしたね」

アイドル達「……」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 21:33:11.84 ID:RXMnuIV2o
武内P「事務所には……」

アイドル達「?」

武内P「監視カメラがついています」

アイドル達「!?」

武内P「それでは、もう一度目を瞑ってください」

アイドル達「……」

武内P「寝ている私に何かした人は、手を挙げてください」

アイドル達「……」スッ

武内P「ありがとうございます」

アイドル達「……」

武内P「まさか、全員とは思いませんでした」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 21:35:54.66 ID:RXMnuIV2o
武内P「監視カメラの話は、本当の事ではありません」

アイドル達「!?」

武内P「申し訳ありません。嘘をつかせていただきました」

アイドル達「……」ムッ

武内P「しかし、貴女達が憤るのは違うと思うのです」

アイドル達「……」

武内P「わかって頂けたようで幸いです」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 21:39:05.81 ID:RXMnuIV2o
武内P「本田さん」

未央「……」

武内P「事の発端は貴女の発言からだ、というのは本当でしょうか」

未央「……」フルフル

武内P「もう一度だけ聞きます」

未央「……」

武内P「『第一回チキチキ! プロデューサー危機一髪!』の開催はしましたか?」

未央「……」コクリ

武内P「お答え頂き、ありがとうございます」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 21:43:04.97 ID:RXMnuIV2o
武内P「……それでは、順番に話を聞いていこうと思います」

アイドル達「……」

武内P「アタスタシアさん」

アーニャ「……」

武内P「貴女が手に持っている、それは何でしょうか?」

アーニャ「リミェーニ、アー、ベルト、です」

武内P「お答え頂き、ありがとうございます」

武内P「新田さん」

美波「……」

武内P「貴女が手に持っている、それは何でしょうか?」

美波「スラックスです」

武内P「お答え頂き、ありがとうございます」

武内P「そうですね、どちらも私が着用していたものです」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 21:47:16.96 ID:RXMnuIV2o
武内P「ラブライカで、流れるように脱がせていますね」

美波「アーニャちゃん!」

アーニャ「美波!」

パシンッ!

武内P「ハイタッチをしないでください」

美波・アーニャ「ア〜ア〜ア〜♪」

武内P「『Memories』を歌い出さないでください」

美波・アーニャ「♪」スイスイッ

武内P「お二人とも、踊り出さないでください」

蘭子「ひ〜と〜り〜よがりの〜♪」

武内P「神崎さんなら歌って踊っていい、という意味ではありません」

蘭子「……」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 21:51:42.00 ID:RXMnuIV2o
武内P「神崎さん」

蘭子「……」

武内P「貴女が羽織っている、それは何でしょうか?」

蘭子「我が友を包む漆黒の衣」

武内P「お答え頂き、ありがとうございます」

武内P「そうですね、私が着用していた上着ですね」

蘭子「……」

武内P「とりあえず、それらの返却をお願いします」

美波・アーニャ・蘭子「……」モタモタ

武内P「返すのを渋らないでください」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 21:55:03.85 ID:RXMnuIV2o
武内P「多田さん」

李衣菜「……」

武内P「今日は、随分とTシャツがゴワついていますね」

李衣菜「……」

武内P「ちょっとしたワンピースの様になっていますよ」

李衣菜「……」

武内P「返さないのがロックと思っていませんか?」

李衣菜「……」モタモタ

武内P「話が早くて助かります」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 21:58:16.37 ID:RXMnuIV2o
武内P「さて」

楓「……」

武内P「何故、貴女まで参加したのでしょうか」

楓「……」

武内P「ワイシャツを、ワーイシャッと脱がせましたね?」

楓「!?」

バシバシ!

武内P「素肌を叩かれると痛いのでやめてください」

楓「……」ムスッ

武内P「その表情には釈然としませんが、返して頂きありがとうございます」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:02:13.06 ID:RXMnuIV2o
武内P「さて、それでは」

凛「……」

武内P「渋谷さん、私のパンツを帽子のように着こなすのはやめてください」

凛「悪くないかな」

武内P「悪いです。返して頂けませんか」

凛「逃げないでよ!」

武内P「大声を出したら私がいつもひるむと思ったら大間違いですよ」

凛「ふーん! ふーん!」ペタン

武内P「座り込んで駄々をこねないでください」

アイドル達「……かわいそう」

凛「ふーん! ふーん!」イヤイヤ

武内P「……後で必ず返してください」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:05:59.59 ID:lF21RBMLO
(まさかパンツまで脱がされているとは)思わなかった
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:06:30.49 ID:RXMnuIV2o
武内P「前川さん」

みく「……」

武内P「この猫耳、似合っていますか?」

みく「あんまり」

武内P「そうですね、私もそう思います」

みく「……」

武内P「しかし、比較的軽い行動ですね」

みく「!」

アイドル達「え……ズルい」

武内P「しかし、ギリギリアウトとします」

みく「……」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:06:31.71 ID:qu/XVf7G0
まさか靴下ネクタイのみなのか?
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:10:19.44 ID:RXMnuIV2o
武内P「このままでは私の心が折れそうなので、一つだけ褒めます」

アイドル達「……」

武内P「見かねた私に、布をかけてくれた方がいますね」

アイドル達「……」スッ

武内P「全員、手を挙げないでください」

アイドル達「……」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:14:54.59 ID:RXMnuIV2o
武内P「諸星さん」

きらり「……」

武内P「私の服が、パンツ以外戻ってきたので、これはお返しします」

きらり「……」

武内P「しかし、自分のスカートを脱いで私にかけるという判断は如何なものかと」

きらり「……」

武内P「自分のパンツを丸見えにする必要は無かった、そう、私は思います」

アイドル達「……いやらしい」

武内P「すみません。ありがとうございました、これはお返しします」

きらり「……」

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:16:14.30 ID:lF21RBMLO
やっぱりきらりは天使だったんや…
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:18:10.12 ID:RXMnuIV2o
武内P「三村さん」

かな子「……」

武内P「私の乳首をクリームでコーティングしましたね?」

かな子「……」

武内P「これは何クリームですか? 取れないのですが」

かな子「美味しいから大丈夫です」

武内P「味の話はしていません」

かな子「……」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:19:32.55 ID:g9e+ZvcoO
ちっひは守護神なんだってはっきりわかんだね
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:21:30.45 ID:RXMnuIV2o
武内P「緒方さん」

智絵里「……」

武内P「クリームに、四葉のクローバーでトッピングをしましたね?」

智絵里「……」

武内P「とても、可愛らしく配置されていると思います」

智絵里「……見捨てないで、くださいね」

武内P「このタイミングで言われると、返答に困るのでやめましょう」

智絵里「……」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:23:17.04 ID:9fJl3nQ3O
果たして武内Pは服が戻るまでスカートを持って前を隠してたのかそれともスカートを履いて隠してたのか
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:25:41.88 ID:RXMnuIV2o
武内P「双葉さん」

杏「……」

武内P「四葉のクローバーでトッピングされたクリームの頂点が見えますか?」

杏「……」コクリ

武内P「飴ですね」

杏「……」

武内P「左右で違う色なのは、何か意味があるのですか?」

杏「きらりが右で、杏が左につけた」

武内P「諸星さん、私の感動を返してください」

武内P「キャンディアイランドの皆さんと諸星さんは、私の乳首に恨みがあるのでしょうか」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:30:15.31 ID:RXMnuIV2o
武内P「島村さん」

卯月「……」

武内P「島村さんの『頑張ります』の声で起きる事が出来ました」

卯月「……」

武内P「何を頑張るつもりだったかはわかりませんが、ありがとうございます」

卯月「何にもない……! 私だけ、何にもない……!」

武内P「何をする気だったんですか」

卯月「笑顔なんて、誰にだって出来るもん……!」

武内P「今の私に、笑顔が出来ると思いますか?」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:31:14.13 ID:6cHijtGIO
ごもっとも
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:33:50.76 ID:RXMnuIV2o
武内P「城ヶ崎さん、赤城さん」

莉嘉・みりあ「……」ムスッ

武内P「貴女達が参加出来なかったのは、私にとっては幸運でした」

莉嘉・みりあ「……」

武内P「大量のシールはまだ良いです、大丈夫です」

莉嘉・みりあ「……」

武内P「その、大量のカブトムシをどうするつもりだったのですか?」

莉嘉・みりあ「……」

武内P「やめておきましょう。心が折れてしまいそうです」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:36:42.92 ID:RXMnuIV2o
武内P「千川さん」

ちひろ「……」

武内P「盛りましたね?」

ちひろ「……」フルフル

武内P「もう一度だけ聞きます」

ちひろ「……」

武内P「盛りましたね?」

ちひろ「……」コクリ

武内P「どうしてすぐバラすのに嘘をつくのか、私にはわかりません」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:38:39.37 ID:m6k2u0+bo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1442925474/
このスレ思い出した
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:40:25.17 ID:RXMnuIV2o
武内P「さて、皆さん」

アイドル達「……」

武内P「どうして、こんな真似をしたのですか?」

アイドル達「……」

武内P「私は今、とても悲しい気持ちでいっぱいです」

アイドル達「……」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:43:39.57 ID:RXMnuIV2o
武内P「私は、皆さんに嫌われていたのでしょうか?」

ちひろ「それは違います、プロデューサーさん」

武内P「千川さん?」

ちひろ「皆、プロデューサーさんに怒ってほしくてやったんです」

武内P「そう、なのですか?」

アイドル達「……」コクリ

武内P「意味が、わかりません」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:45:19.88 ID:g9e+ZvcoO
事務員がいない間に犯行に及んだと思ってたのに…
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:46:47.85 ID:RXMnuIV2o
ちひろ「悪いことをしたら叱って欲しい」

武内P「……」

ちひろ「でも、プロデューサーさんはいつも怒りませんよね」

武内P「……そう、ですね」

ちひろ「自分達が大切じゃないから、怒ってはくれないのかと、皆不安なんです」

アイドル達「……」

武内P「そう、だったのですね」

アイドル達「……」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:51:05.16 ID:RXMnuIV2o
武内P「皆さん、私は今まで皆さんを怒ったことがありませんでした」

アイドル達「……」

武内P「ですが、皆さんは私の大切なアイドル達です」

アイドル達「……プロデューサー……!」

武内P「それだけは、覚えていてください」

アイドル達「はいっ!」

武内P「良い、笑顔です」


武内P「それではお望み通り、今から本気で怒ります」




おわり
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:52:41.66 ID:dlg6vUXOO
綺麗に落ちたな
おつおつ
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:53:41.65 ID:RXMnuIV2o
HTML化依頼出してきます
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:56:22.15 ID:vQQqZVwHo
面白かった
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 22:57:41.29 ID:RXMnuIV2o
>>27
これ滅茶苦茶面白いな!
酉ついてるから他のも漁って見る!
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 23:43:02.02 ID:KmYP+UUbo
おつ
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/10(金) 23:47:25.90 ID:VsNhTil5o
本気で怒ったら阿鼻叫喚の地獄絵図になりそうな乙
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 00:01:14.25 ID:ghyp++vbO
、              f∧
 ` 、             i. ∧
     i          i. ∧
    |           i  ∧
    |          i   ∧
___ j!          i    ∧__
     ≧=- _      i     ∧
     ___ ∧       ir‐ 、   ∧
  /      ∧    i   \   ∧ ___   - ―― 、
./      >‐┴―‐- .{    i>' ´> ―― v'  _  -  _ \
      /           ! >'´   〔    ・ /‐       ‐`   \
     /          i'´      }  ≧==≦      , 、       {_
    /_       //        .{            /ニニニ≧=ァ‐‐′
   ,    ‐--- ァ'´  ,        i       _ ィ≦ニニニニニニニ/
   i       /   ./       /   /二二ニニニニニニニニニニ/
   |        ,   /       /   /ニニニニニニニニニニニ>‐┘
ー―∨       i   ト、 __ /\  /ニニニニニニニニニニ /
    ∨    ∧   V       |    /ニニニニニニニニニニ /
     V >'´   、  ∨_   !  /\ニニニニニニニニニ{
      `<     \  __ } ̄ ̄       ヽニニニニニニニニ、
          <_>'´  i         `<ニニニニニニ≧ __
                 ` <        >‐‐ ´   /
                        <           
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 01:25:17.76 ID:r8kMWHUZ0


まぁこれで怒らない方がおかしいわなwww
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 06:10:08.60 ID:VZQdSusso


アイドルなのにニンジャリアリティショックで失禁!
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 09:43:36.71 ID:mHATkwTg0
おつ
R板的行動や結果になってない辺り、恐らく全員生娘か…
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 11:27:24.82 ID:mcnAe1Hc0
これはひどい(褒め言葉)
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 20:02:04.25 ID:q0L+cdfXo
武内Pの本気の怒りを見て股座を濡らすアイドルたち
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 21:46:51.09 ID:WAWs22VdO
>>44
それは怖くて漏らしたのか
それとも性的興奮を覚えて濡れたのかどっちなんだ…
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 23:48:30.32 ID:P87IkpD2o
ゲームしてて何も考えてないので0時までにスレタイっぽいレスがあればそれで書きます
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 23:50:16.14 ID:M38CuwTro
早耶「好きと嫌い」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 23:51:19.71 ID:P87IkpD2o
すまない、そこまで詳しくないのです
武内Pでオネシャス
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 23:53:35.80 ID:ZVt4ZSAno
武内P「高垣さんが私への好意を世間に晒しすぎて困る」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 23:54:14.38 ID:P87IkpD2o
把握
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 23:55:58.26 ID:P87IkpD2o
武内P「高垣さん、お話があります」

楓「はい、改まってどうしたんでしょう?」

武内P「話がある……という切り出し方でおわかりになりませんか?」

楓「いいえ」

武内P「……」

楓「?」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 23:58:29.15 ID:P87IkpD2o
武内P「高垣さんは、アイドルとしてとても活躍されていますね」

楓「はい、おかげさまで」

武内P「しかし、貴女の行動はアイドルのとる行動ではありません」

楓「どこが……でしょうか?」

武内P「言わなければ……わかってはもらえませんか?」

楓「勿体ぶらずに仰ってください」

武内P「今、貴女の着ているシャツにプリントされているのは、私の顔ですね」

楓「はい、それが何か?」

武内P「……」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:00:53.99 ID:rwFnrVcHo
武内P「高垣さん」

楓「このシャツ、とっても着心地がシャッとしてて良いんですよ」

武内P「……そう、ですか」

楓「ふふっ、似合いますか?」

武内P「我ながら怖いです」

楓「? 似合いますか、とお聞きしたんですが……?」

武内P「……」

武内P「少し、似合っています。残念ですが」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:03:17.96 ID:rwFnrVcHo
武内P「高垣さん、貴女は最近ほとんどの場合そのシャツを着用していますね」

楓「そうですが……何か、問題がありますか?」

武内P「男性の顔がプリントされたシャツは――」

楓「――普通、ですよね?」

武内P「!?」

楓「もう一度お聞きしますね」

武内P「……!」

楓「何か、問題がありますか?」

武内P「……」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:07:30.10 ID:rwFnrVcHo
武内P「……そうですね、男性の顔がプリントされたシャツは、普通にありますね」

楓「ふふっ、でしょう?」

武内P「……」

マッテクダサイ!マッテクダサイ!

武内P「!? 今のは……私の声ですか……?」

楓「あ、すみません、電話が」

マッテクダサイ!マッテクダサイ!

武内P「!?」

武内P「それは着信音なのですか!?」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:10:09.82 ID:rwFnrVcHo
楓「はい、そうですけど……もしもし?」

武内P「待ってください! いつ録音したんですか!?」

楓「しーっ、電話の声が聞こえません」

武内P「……すみません」

楓「はい……はい……わかりました、では、失礼します」

武内P「……」

楓「はい、お待たせしました」

武内P「……」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:12:40.26 ID:rwFnrVcHo
武内P「高垣さん、率直にお聞きします」

楓「もう、質問ばっかりですね」

武内P「申し訳ありません。ですが、確認しておきたいので」

楓「はい、何でしょう」

武内P「……今の声は、どこで録音したのですか?」

キカク、ケントウチュウデス

武内P「!?」

楓「あ、すみません、LINEなので気にしないでください」

武内P「気になりますよ!」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:15:47.13 ID:rwFnrVcHo
武内P「他にも……何か録音しているのでしょうか?」

楓「そんな疲れた顔を……ふふっ、ロックオン♪」

ゼンショシマス

武内P「!? 今、撮りましたね!?」

楓「貴重な顔を撮る時は、緊張しますね」

武内P「シャッター音まで……!?」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:19:56.94 ID:rwFnrVcHo
武内P「……事態は、私が思っていた以上に深刻だったようですね」

楓「あの……何か、まずかったでしょうか?」オロオロ

武内P「とても、まずいです」

楓「まあ、随分な言い草ですね!」プンプン

武内P「……」

楓「知り合いの声を使うのは、おかしな事では無いと思うんです」

武内P「……まあ、それは確かにありますが」

楓「でしょう♪」

武内P「……」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:22:44.77 ID:rwFnrVcHo
楓「それを言うなら、貴方の行動もまずいと思うんです」

武内P「私が……ですか?」

楓「……」

オーネガイーシーンデレラー♪

武内P「すみません、着信が……と、高垣さんですか」

楓「はい」

武内P「何が……問題なのでしょうか」

楓「その歳にもなって、10代の女の子の歌が着信音はどうなんです?」

武内P「!?」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:27:14.39 ID:rwFnrVcHo
武内P「待ってください! 私は、担当アイドル達の歌を……!」

楓「そんな事、知らない人からしたらわからないですよ」

武内P「それは……確かにそうですが……!」

楓「考えてもみてください」

武内P「……」

楓「貴方のようないい大人が、まだ10代前半の女の子が居るグループのファン」

武内P「……」

楓「はい、着信音を『こいかぜ』に変えてください」

武内P「……はい、わかりました」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:32:20.57 ID:rwFnrVcHo
武内P「……着信音を『こいかぜ』に変えました」

楓「よろしい」ムフー

武内P「……」

楓「まだ、何か問題がありますか?」

武内P「……いえ、やはり私の顔がプリントされているシャツは、どう考えても――」

ゼンショシマス

武内P「シャッター音で返事をしないでください! そして撮らないでください!」

楓「ふふっ、本日二枚目ですね♪」

武内P「……」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:37:03.66 ID:rwFnrVcHo
武内P「……まさかとは思いますが」

楓「?」

武内P「他にも、何か私に関する事をしていますか?」

楓「それは、ええと……あまり、大きな声では言えないのですが」

武内P「お願いします。必要なことなので」

楓「その……下着にも、プリントがしてあります」

武内P「っ! し、失礼しました! 女性の下着に関する事を聞くとは……!」

楓「……///」

武内P「……」

武内P「いや、待ってください! そんな所までですか!?」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:40:16.49 ID:tRYsGllko
太もも内側に「武内P専用」とか彫ってそう…
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:42:35.73 ID:rwFnrVcHo
武内P「高垣さん、すぐに、やめていただけますか」

楓「えっ?」

武内P「プロデューサーとして、私は貴女の行動を看過する事は出来ません」

楓「……」

マッテクダサイ!マッテクダサイ!

武内P「……そのですね、有名人でも無い私の顔や声を用いるのは、その」

楓「……」

マッテクダサイ!マッテクダサイ!

武内P「……話に集中出来ないので、電話に出ていただけますか」

楓「電話に出んわ」

マッテクダサイ!マッテクダサイ!

武内P「いえ、出てください。お願いします」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:46:27.48 ID:rwFnrVcHo
楓「……お話は、わかりました」

武内P「わかってくれたのですか!」

楓「ですが――」

武内P「?」

楓「――その話、お受け出来ません」

武内P「……わかった上で、断ると?」

楓「私は、一緒に階段を登っていきたいんです」

楓「ファンの人達と、笑顔で」

武内P「っ!」

武内P「……」

武内P「あの……物凄く良い事を言われたのですが、今、それは関係ありましたか?」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:50:24.84 ID:rwFnrVcHo
楓「貴方は、私のファンでは無い……のでしょうか?」

武内P「!? い、いいえ! そんな事はありません!」

楓「けれど……ファンの人は、私のグッズを沢山買ってくださいます」

武内P「そう……ですね」

楓「私の写真がプリントされたグッズや、着信音、着ボイスも」

武内P「……はい」

楓「これは……ファンの人と一緒に階段を上るという事では無いのでしょうか?」

武内P「はい……その通りだと思います」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:53:36.10 ID:rwFnrVcHo
楓「だから、私もせめて身近なファンの人と一緒に居たい」

楓「身近なファンの人のグッズを使っていたい」

楓「……そう、思っただけなんです」

武内P「……高垣さん、ですが」

楓「本当はわかってたんです。こうしたら、貴方を困らせてしまう、って」

武内P「……」

楓「けれど、どうしても不安になります」

楓「……貴方が私のファンなのか、が」

武内P「……」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:59:15.25 ID:rwFnrVcHo
武内P「……高垣さんのお話は、よくわかりました」

楓「……」

武内P「確かに、私にも至らない点がありました。それは認めます」

キカク、ケントウチュウデスキカク、ケントウチュウデスキカク、ケントウチュウデスキカク、ケントウチュウデス

武内P「ですが、やはりアイドルである貴女が私のグッズを使用するのは認められません」

キカク、ケントウチュウデスキカク、ケントウチュウデスキカク、ケントウチュウデスキカク、ケントウチュウデス

武内P「今の貴女はトップアイドルで、私はプロデューサーですから」

キカク、ケントウチュウデスキカク、ケントウチュウデスキカク、ケントウチュウデスキカク、ケントウチュウデス

武内P「あの、一回携帯を切ってもらっていいですか?」

キカク、ケントウチュウデスキカク、ケントウチュウデスキカク、ケントウチュウデスキカク、ケントウチュウデス

武内P「というか、スタンプ爆撃を受けてませんか!?」

楓「……」

ゼンショシマス

武内P「携帯の電源を落としてください、今すぐに」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 01:07:50.96 ID:rwFnrVcHo
楓「では……やはり、駄目だとおっしゃるんですね」

武内P「……しかし、ただ禁止するだけでは、貴女は笑顔になれない……のですよね」

楓「……」コクリ

武内P「その、これは代案として認めてもらえるかわからないのですが……」

楓「……」

武内P「私が、貴女のグッズを使用する、というのではいけませんか?」

楓「……もう一声」

武内P「……」

武内P「……全く、貴女は本当に仕方ない人ですね」

楓「うふふっ♪」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 01:13:14.02 ID:rwFnrVcHo
  ・  ・  ・

美城専務「やはり、君は優秀だな」

武内P「いえ、そんな事はありません。当然の事をしたまでです」

オチョコデ、チョコット♪

専務「問題になっていた、高垣楓の件は解決したと言って良いだろう」

武内P「はい。私も、彼女のファンの一人として安心しました」

デンワニデンワ♪デンワニデンワ♪デンワニデンワ♪

専務「……だが、新たな問題が生まれた。今も、その最中に居る」

武内P「っ!? 一体、今度は何が……!?」



専務「君が、高垣楓への好意を世間に晒しすぎて困る」




おわり
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 01:17:01.45 ID:rwFnrVcHo
HTML化依頼は出してあるから放置でいいのかしらね
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 01:37:16.07 ID:ctFmuMDmo
おつ
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 06:17:35.67 ID:IFYcin9z0
猫パンツみたいにPの顔が正面にプリントされてんのかなw
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 13:38:59.15 ID:IF/UDxo30
乙乙
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 18:22:12.07 ID:dsjMuC8MO
おいおい(特定のアイドルに偏ったら)戦争でしょ
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 21:42:09.11 ID:7UNGMOLUo
正面ならともかく裏側なら目も当てられん
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 22:58:59.58 ID:dAZ9rHWK0
爆笑しちゃたよセンスあるね
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/12(日) 23:11:21.53 ID:dAZ9rHWK0
新しい話がきてたのであげ
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/13(月) 12:10:02.51 ID:tv18Y3hwo
前半最後の落ちがほんと良かったww
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/14(火) 06:45:35.10 ID:oRywpR9Uo
スタンプ爆撃で腹筋やられた
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/15(水) 20:52:57.19 ID:54LCz3Bc0
どっちも面白かった!特に武Pの冷静なツッコミがおもろかったわ。もし作品をまとめているところがあったら教えて欲しい
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/17(金) 21:17:45.68 ID:Z43aXat3o
武内P「コミュニケーション不足の解消のため、という名目でしたね」

アイドル達「……」

武内P「皆さんの意見、とても参考になりました」

アイドル達「……」

武内P「皆さん、キレるのは十代の特権では無い、という事を知っておいてください」

アイドル達「……」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/17(金) 21:18:31.77 ID:Z43aXat3o
ごばく
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/22(水) 01:42:34.83 ID:y3PKGhdCo
楓さん大勝利モノを一つ
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/05(金) 23:49:13.11 ID:06sF2cFuo
手のスタミナが余ってしょうがないので書きます
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/06(土) 00:05:43.48 ID:B+U7VTfFo

「……」


 もう、明日はオフだって言うのに、どうして誰も捕まらないのかしら。
 今日は、お猪口でちょこっとだけで良いから、飲みたい日なのに。
 お酒は一人で飲んでも美味しいけれど、誰かと飲むともっと美味しい。
 せっかくなら、美味しくいただきたいじゃありませんか。


「あら……?」


 と、事務所の中をうろついていたら、思いもよらない光景。


「キミは優秀だが、少し頭がかたいところがあるようだな」
「それこそが、彼女達を笑顔にするために必要な事だと、私は考えます」


 最近、346プロダクションの名物になりつつある、えーと、何て言ったかしら?
 ああ、そうそう! ポエムバトル!
 うふふっ、詩的に戦うだなんて、素敵、ですね!


「それは傲慢と言うものだ。キミは、魔法使いにでもなったつもりか?」
「魔法を使うのは、彼女達自身です。私は、あくまでもそのサポートにすぎません」
「まあ! それじゃあ、素敵なステッキ、という事ですね!」


 とっても自然に話に入り込めたわ。
 あとは、この二人を居酒屋に誘導すれば……完璧ね!


「……高垣くん?」
「……高垣さん?」
「はい、高垣楓でーす♪」


 二人共、私に注目してる今がチャンスよね。


「続きは、居酒屋で……というのが良いと、私は思います♪」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 00:22:40.83 ID:B+U7VTfFo
  ・  ・  ・

「……まさか、キミが私を酒の席に誘うとは思ってもみなかった」


 常務――今は専務でしたね――が、何度目かわからない言葉を口にした。
 とっても強そうに見えるのに、意外とお酒に弱かったなんて。
 だけど、見た目に変化は無いから、体質的には平気なのかも知れないわね。


「あら、どうしてそう思ったんですか?」
「キミと私の意見は対立している。同じ卓を囲まない理由が、他に必要か?」


 専務は、どうやらあの日のやり取りがひっかかっているらしい。
 けれど、それは私の中では一緒にお酒を飲まない理由にはならない。


「ですが……それは、お仕事の話でしょう?」
「何?」
「仕事とプライベートは分けて考えるべきだと思うんです」
「……」
「もう、専務ったら、アメリカに研修に行ったんでしょう?」


 と、笑いかけたら、とっても呆れた顔をされちゃった。
 私、何か間違ったことを言ったかしら?
 とても、当たり前の話をしただけだと思うのだけれど……。


「……高垣さんは、こういう人ですから」


 そんな、呆れとも諦めともつかない言葉を口にすると、
彼はビールをグイと煽り、箸の背で串焼きから丁寧に串を外している。
 大柄だから、こういう所も大雑把かと思いきや、意外に細かな作業も似合うのね。


「……成る程。少し、理解した」


 専務は、彼の用意した砂肝を一つ箸でつまみ上げ、ひょいと口に放り込んだ。
 少し塩が強かったのかしら、複雑そうな表情をしてるけど。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 00:35:48.65 ID:B+U7VTfFo

「もう、二人して馬鹿にしてます?」


 二人に、そんな意図が無いのはわかっている。
 けれど、お酒の席なんだもの、ちょっとふざけても良いじゃありませんか。
 そう、思いません?


「いっ、いえ! そんなつもりは……!?」


 そんな私のおふざけに、真面目に反応するのが彼だ。
 とっても不器用で真っすぐな人。
 だからこそ、からかうととっても楽しいし、可愛らしい反応が見られる。


「あら、じゃあ私はどんな人なんですか?」
「高垣さんは、その……とても素晴らしい方です」


 少し、すねた風を装っただけでこの慌てよう。
 うふふっ、これなら、女優としてもやっていけるかも?


「……どんな所が、ですか?」
「どっ、どんな……!?」
「……」
「え、笑顔がとても素敵で、神秘的な雰囲気があり……」
「……それから?」
「それから!? その、美しい容姿や歌声なども魅力的で……!」
「……それから?」
「!?」


 思わずクスクスと笑ってしまいそうになる。


「上司の前でアイドルを口説くとは、関心しないな」


「せっ、専務!?」


 ああ、駄目、おかしい!
 私達は、右手を首筋にやって困る彼を見て、笑い合った。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 00:49:05.23 ID:B+U7VTfFo

「……勘弁してください」


 自分がからかわれたとわかったのか、彼の声は弱々しい。
 それがまた可愛らしくて、我慢しようとしても笑みが零れてしまう。
 専務も私と同じ気持ちらしく、口の端を釣り上げている。


「まさか、キミにこんな愉快な一面があったとはな」
「……私も、貴女にからかわれるとは思ってもみませんでした」


 まだ笑いの余韻が残る中、二人は言った。


「ふむ……まだ、からかわれ足りないのかな?」
「……お気持ちだけ、いただいておきます」


 彼がそう言うと、また専務がクックッと声を上げる。


「――これはもう、乾杯するしかありませんね♪」


 やっぱり、お酒はこうでなくてはいけない。
 私の言葉を聞いた二人は、無言でジョッキとグラスを手に持ち、掲げた。


「新たな発見に――」


 そして、新しい飲み友達に――


「「「乾杯っ」」」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 01:12:15.38 ID:B+U7VTfFo
  ・  ・  ・

「美城さ〜ん♪ はい、かんぱ〜い♪」
「か……乾杯……!」


 お猪口とグラスをカチリと合わせ、読んで字のごとく杯を乾す。
 ああ、今日のお酒はとっても美味しいわ。
 こんなに美味しかったら、いくらでも飲めてしまいそう。


「そう、思いません?」
「はい、笑顔です」
「うふふっ! 笑顔に、かんぱ〜い♪」
「かんぱーい」


 日本酒がスルリと喉を通り抜けていく。
 口当たりがとっても優しくて、鼻に抜ける香りもとても良い。
 だけど、お銚子を振ってみると残りがもう少なくなってるの。
 調子よく、お銚子の追加を頼まないといけないわ。


「すみませーん、お銚子2本追加、お願いしま〜す♪」


 丁度、通りがかった店員さんに声をかける。
 でもどうしてかしら、こっちを見て一瞬ビックリした顔をしてたけど。


「まだ……飲むのか……!?」


 まあ、どうして美城さんもビックリしてるのかしら。
 ……あっ、そうよね!
 すみません、私ったらうっかりしてました。


「お猪口も、二つ持ってきてくださ〜い♪」


 三人で、笑顔で、乾杯しましょう♪



おわり
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/06(土) 01:26:35.42 ID:55gnhgaAo
酒豪怖い
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/06(土) 01:32:03.25 ID:M+8NCxUdo
常務も脱糞させられるのかと…
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/06(土) 01:36:57.99 ID:HNx3oq/h0
あのスレの>>1かしら
おつおつ
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/06(土) 10:24:09.41 ID:FruFiQjvo
>>93
そういや常務はまだでしたね

96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/06(土) 10:53:19.63 ID:TF2UokZfO
織田non「えぇ…」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 22:43:44.17 ID:B+U7VTfFo
では、それで


武内P「待ってください、今の音は?」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 22:45:28.13 ID:B+U7VTfFo
専務「音? キミは、何を言っている」キョドキョド

武内P「……いえ、何でもありません」

専務「よろしい。先程の音の事は、忘れ給え」

武内P「は――」


ブブリュッ!


武内P「!?」

専務「……」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 22:47:07.86 ID:B+U7VTfFo
武内P「……今」

専務「何がだね」

武内P「……あの、今」

専務「何がだね」

武内P「今、響いてはならないおt」

専務「シンデレラプロジェクトを解散する」

武内P「何も聞こえませんでした」

専務「よろしい」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 22:49:04.33 ID:B+U7VTfFo
武内P「……あの」

専務「これ以上キミと話す事は無い」

武内P「……これをお使いください」

スッ…

専務「上着を差し出して、どう使えと?」

武内P「安物ですので、お気になさらず」

専務「ありがたく使わせてもらう」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 22:50:41.21 ID:B+U7VTfFo
武内P「……では、私はこれで」

専務「待ちたまえ」

武内P「……この事は、誰にも言いません」

専務「キミは優秀だな」

武内P「いえ……では」


コンコン!


武内P・専務「!?」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 22:54:02.75 ID:B+U7VTfFo
奏『速水です。クローネの今後の事で、お話があると聞いて』


武内P「……!?」

専務「……!」

くいっ

武内P「私が相手を、ですか……!?」

専務「……!」コクコク

武内P「……!」コクリ
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 22:58:07.22 ID:B+U7VTfFo
ガチャ…バタンッ

武内P「おはようございます、速水さん」

奏「おはようございます、って……CPの、プロデューサーさんじゃない」

武内P「はい。少し、専務に用事があったものですから」

奏「そうなの。入れ違いになるなんて、タイミングが悪かったわね」

武内P「……」

奏「それじゃあ、またね。私は専務に用事が――」

武内P「居ません。中には、誰も居ません」

奏「……は?」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:00:33.81 ID:B+U7VTfFo
奏「けれど、さっき中で話し声が……」

武内P「私の独り言です」

奏「私が相手をとか、どうとか……」

武内P「困った癖だとは思うのですが……」

奏「それに、いつもの上着はどうしたの?」

武内P「追い剥ぎに、やられました」

奏「追い剥ぎ? こんな所で?」

武内P「はい」

奏「……」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:04:33.47 ID:B+U7VTfFo
奏「……なんだか、とっても怪しいんだけど」

武内P「そうですね。よく、警察の方に捕まってしまいます」

奏「……何か、隠そうとしてない?」

武内P「いえ、そんな事はありません」

奏「ふふっ、それじゃあ……嘘じゃないって、誓いのキスは出来る?」

武内P「わかりました」

奏「そうよね、貴方はそういう所、とってもチャーミングだと思うわ」

奏「……」

奏「わかりました!?」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:08:48.23 ID:B+U7VTfFo
武内P「では、目をつぶって頂けますか」

奏「えっ、ちょっと……本気!?」

武内P「信じて頂ける方法が、それしかないようなので」

奏「……!?」

武内P「目をつぶって頂けますか」

奏「わ、わかった! わかったわ! 信じる、信じるから!」

武内P「出直された方が、よろしいかと」

奏「……そうするわ」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:12:30.14 ID:B+U7VTfFo
ガチャ…バタンッ

武内P「……」

武内P「……――ぶはーっ! はーっ!」

武内P「速水さんに不審に思われてしまったが……何とか……!」

武内P「……嫌な、汗をかいてしまった」

シュルッ

武内P「……まさか、この部屋でネクタイを外す事になろうとは」

武内P「――専務、首尾はいかがでしょうか!?」


プリュリュッ!


武内P「せめて! せめて、声で返事してください!」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:16:28.08 ID:B+U7VTfFo
武内P「専務……デスクの裏で、一体何を……!?」


専務「聞かないで貰おうか。私にも、恥ずかしいという感情はある」

プリュッ!


武内P「……ご自愛ください」

武内P「そっ、それでは、私はこれで――」


コンコン!


武内P・専務「!?」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:22:33.46 ID:B+U7VTfFo
フレデリカ『はいはーい、フレちゃんがー、会いに来たよー♪』


武内P「……!?」

専務「……!」

くいっ

武内P「もう、限界です……専務……!」

専務「……!」

プッ!

武内P「……!」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:26:08.69 ID:B+U7VTfFo
ガチャ…バタンッ

武内P「おはようございます宮本さん」

フレ「うわお、本当にCPのプロデューサーが出てきた!」

武内P「専務はいませんよ今日はとてもいい天気ですね」

フレ「あれー? どうして、シャツ一枚で、そんなに汗かいてるのかなー?」

武内P「企画検討中です」

フレ「けんとーちゅうなら、仕方ないね! いえーい!」

武内P「……」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:30:08.52 ID:B+U7VTfFo
フレ「そっかー、中には誰も居ないんだー」

武内P「はい。ですので、出直されたほうが宜しいかと」

フレ「うんうん。フレちゃんも、それが良いと思うな―」

武内P「わかっていただけて、何よりです」


フレ「それじゃあ、お邪魔しまーす♪」


武内P「にょわー!?」


ドンッ!


武内P「……宮本さん、中には、誰も居ないですよ」

フレ「……わーお、壁ドンなんて……やーん、大胆♪」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:35:37.17 ID:B+U7VTfFo
武内P「宮本さん、中には、誰も居ないので」

フレ「……ちゅー」

武内P「あの……何を?」

フレ「シチュエーション的に、アタシ、ちゅーされちゃうのかなー、って」

武内P「いえ、私はプロデューサーで、貴女はアイドルですので……」

フレ「それじゃあ、相手がアイドルじゃなかったら?」

武内P「……それは、どうでしょうか」

フレ「おっけー♪ それじゃあ、アタシは行くねー、ばいばーい♪」

武内P「……」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:42:18.85 ID:B+U7VTfFo
ガチャ…バタンッ

武内P「……」

武内P「……――ぶはーっ! はーっ!」

武内P「何故、立て続けに人が……!?」


専務「よく、やってくれました」


武内P「専務……終わったの、ですか?」

専務「不測の事態にキミが居て良かったと、そう思いましたよ」

武内P「……いえ、お気になさらず」

武内P「……」

武内P「……いえ、気になさってください」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:46:31.30 ID:B+U7VTfFo
  ・  ・  ・

武内P「部長、私にお話とは?」

部長「……まあ、座り給え」

武内P「はい。失礼します」

部長「……」

武内P「それで、あの……お話とは、一体?」

部長「……キミは、彼女の事をどう思う?」

武内P「彼女……専務の事、でしょうか?」

部長「そうだ」

武内P「……」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:50:46.94 ID:B+U7VTfFo
武内P「以前と、私の思いは変わりません」

部長「そうか……憎からず思っている、か」

武内P「? あの、少し、ニュアンスが……」

部長「しかしだね、もう少し、時と場所を考えなさい」

武内P「はぁ……?」

部長「キミ達のオフィス・ラブ、噂になっているよ」

武内P「……」

武内P「はい!?」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:55:55.84 ID:B+U7VTfFo
部長「私が相手を……それに、もう限界です、か」

武内P「あの、何故、そんな話に……!?」

部長「キミにしては珍しい、ラフな上に乱れた服装に汗……」

武内P「待ってください!」

部長「アイドルの唇を奪ってても、決して執務室に入れようとしない……」

武内P「誤解です! それには、訳が!」

部長「ほう? 一体、どんな訳が?」

武内P「そ、それは……!?」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/06(土) 23:59:31.12 ID:B+U7VTfFo
部長「聞かせて貰おうか。その、訳とやらを」

武内P「それは、専務が――」


専務「――待ちたまえ」


武内P「!?」

部長「……おや、噂のもう一人のおでましかい?」

専務「キミは、私の顔に泥を塗るつもりか?」

武内P「ですが、現状ではあまりにも……!?」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 00:08:34.03 ID:KN1u4Jrjo
専務「キミと私は平行線だ。だが、ちょちょいと交わる時もある」

部長「……やはり、そうなのかね?」

武内P「違います!」

専務「彼は、とても頼もしいと思います」

部長「やはり……!?」

武内P「……」


武内P「――専務。真実とは、決して嘘の中には無い、輝いているものです」

専務「――ほう? ならば、キミは私が脱糞した真実が輝いているとでも?」

武内P「――たとえそれが汚い物に塗れていたとしても……私は、そう考えます」

専務「――理解出来ないな。やはり、私達は平行線のようだ」


部長「……」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 00:16:01.35 ID:KN1u4Jrjo
武内P「――いえ、私は、そうは思いません」

専務「――何?」

武内P「――少なくとも、あの時の私と貴女は、同じ思いだった筈です」

専務「――決して、この事を知られてはならないと……か」


武内P「……と、言う訳なのです、部長!」

部長「これはまた……驚きの真実だ」


専務「――フッ、キミはやはり変わっているな」


武内P「信じて、頂けましたか!?」

部長「……信じざるを得ない、だろうねぇ」


専務「――だが、やはり脱糞というのは美城のイメージに相応しくない」


武内P・部長「……」


専務「――私は、私のやり方でやらせて貰う」キリッ



おわり
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 00:20:55.61 ID:KN1u4Jrjo
皆さん、ウンコへの抵抗が薄れてきて、とてもいい傾向だと思います
おやすみなさい
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/07(日) 01:40:07.47 ID:7pO5bLq+0
ひっでえあとがきだ
おつ
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/07(日) 10:33:19.68 ID:8rPS48nio
常務の脱糞を戦略的に利用していくスタイル嫌いじゃない
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 23:19:01.52 ID:KN1u4Jrjo
書きます


武内P「アイドルの方は、名前で呼べません」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 23:20:39.08 ID:KN1u4Jrjo
夏樹「――って、言ってたよな?」

武内P「はい。申し訳、ありません」

夏樹「ああ、良いんだ謝らなくて」

武内P「? では、何故、その話を……?」

夏樹「――アナスタシアさん、ってのは名前じゃないのかい?」

武内P「!?」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 23:23:54.26 ID:KN1u4Jrjo
武内P「それは……そう、ですが」

夏樹「つまり、名前で呼べないってのは嘘だった、って訳だ」

武内P「! ですが、アナスタシアさんの場合は……!?」

夏樹「……フッ、悲しいな」

武内P「……木村さん?」

夏樹「アタシを名前で呼ぶのは、あんなに嫌がったってのに……」

武内P「……」


みく「夏樹チャン、ものすっごく楽しそうにゃ」

李衣菜「うっすら笑ってるもんね」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 23:26:20.57 ID:KN1u4Jrjo
夏樹「そりゃ、そうだよな」

武内P「……木村さん」

夏樹「アタシは担当でもない、ただのアイドルさ」

武内P「……」

夏樹「それに、あの子に比べたら可愛げも無いしな、ははっ!」

武内P「……木村さんには、木村さんの良さがあります」

夏樹「……そうだね、木村さんには、ね」

武内P「……」


みく「これは……さすがのPチャンも折れるんじゃない!?」

李衣菜「さっすがなつきち! やっぱり違うよなー!」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 23:29:34.44 ID:KN1u4Jrjo
夏樹「悪かったね、変なこと言って」

武内P「……いえ」

夏樹「なんだか、寂しくなってさ……っく……く」

武内P「……木村さん……まさか、泣いて……!?」

夏樹「っく……ああ、いや、なんでも……うっく、ないよ……っ!」

武内P「……!?」


みく「あー、やっぱり笑いを我慢出来なかったにゃ」

李衣菜「プロデューサーの困り顔、慣れてきたら笑えちゃうもんねぇ」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 23:33:06.84 ID:KN1u4Jrjo
夏樹「……く……うっくく」

武内P「……」

夏樹「あー、もう駄目d」


武内P「夏樹さん」


夏樹「!?」

夏樹「へっ、あ……はい///」


みく「夏樹チャン、完全に虚を突かれてやられたにゃ!」

李衣菜「うっ、嘘でしょ!? なつきち……なつきちー!」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 23:37:37.01 ID:KN1u4Jrjo
夏樹「きゅ、急に名前で呼ぶから、お、驚いたよ///」

武内P「申し訳、ありません」

夏樹「い、良いって……謝らないでくれよ」

くしゃくしゃっ

武内P「まさか、貴女にそんな思いをさせていたとは……思いませんでした」

夏樹「そ、それよりさ……もう一回、名前で呼んでみてよ」

ジーッ

武内P「もう一回、ですか……?」

夏樹「う……うん」


みく「髪を下ろして、革ジャンも閉じて露出を減らしたにゃ……!?」

李衣菜「駄目だよなつきち! その口調は全然ロックじゃないよ!」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 23:42:06.34 ID:KN1u4Jrjo
夏樹「ほ、ほら……早く」

武内P「……」


武内P「夏樹さん」


夏樹「……はい///」ジュンジュワー


李衣菜「なつきち!!」


夏樹「! だ、だりー!? いつからそこに!?」

李衣菜「最初から居たよ! 何、今の!?」

夏樹「ああ……名前で呼ばせる事に、成功したぜ!」グッ!

李衣菜「かもしれないけど、明らかに負けてたよ!」


みく「……ふっふっふ!」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 23:46:50.77 ID:KN1u4Jrjo
みく「やっぱり、ロックなんてそんなもんにゃ!」

夏樹「おいおい、それは聞き捨てならないな」

李衣菜「なつきちは、今ちょっと黙ってて」

みく「やっぱり時代はネコミミ! キュートなアイドルが勝つにゃ!」


ガチャッ


菜々「キャハッ! 皆さん、ここに居たんですね!」


みく「菜々チャン! みく達の、大勝利にゃー!」

菜々「へっ!? 大勝利!?」

みく「いえーい!」

菜々「な、なんだかわからないですが……い、いえーい!」


夏樹・李衣菜「……」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 23:52:36.47 ID:KN1u4Jrjo
夏樹「みく、一方的な勝利宣言はロックじゃないぜ」

李衣菜「そうだね、なつきちの言う通りだよ」

みく「……つまり、二人は、菜々チャンも名前で呼ばれてみろ、って?」

夏樹・李衣菜「……」コクリ

みく「良いよ! その勝負、受けて立つにゃ!」

菜々「えっと……どういう事なんでしょうか?」


みく「菜々ちゃんが、Pチャンに名前で呼ばれて平気だったら勝ちだよ!」


菜々「ふえっ!? な、ナナがやるんですか!?」

みく・夏樹・李衣菜「勿論!」

菜々「……!?」


武内P「……」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/07(日) 23:57:49.30 ID:KN1u4Jrjo
菜々「えーっと……なんだかそういう話らしいので、お願いします」

武内P「あの……安部さんを名前で呼ぶのは、さすがに」

菜々「そ、そうですよねー」


夏樹「……これは、アタシの不戦勝かな」

李衣菜「うん、ステージに立ててすらいないんだもん」

みく「菜々ちゃーん! 頑張ってー!」


菜々「がっ、頑張る!?」

菜々「これが若い子のノリ……!? うぅ、キツいです……!」ボソボソ


菜々「と、とにかく! ナナを名前で呼んでください!」

武内P「……申し訳、ありません」

菜々「……!? ど、どうすれば……!?」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 00:04:03.21 ID:yuli92kpo
みく「菜々チャン……!」

夏樹「……フッ、見てられないな」

李衣菜「……なつきち、見てるだけって、ロックじゃないよね?」

みく「二人共……?」

夏樹「――行くぜ、お前達! 菜々に、熱い想いを届けてやるんだ!」

みく・李衣菜「!」


みく・李衣菜・夏樹「――ミンミンミン、ミンミンミン、ウーサミン!」


みく・李衣菜・夏樹「ミンミンミン、ミンミンミン、ウーサミン!」


菜々「これは……ド級のありがた迷惑ですよ……!?」

武内P「……」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 00:09:20.70 ID:yuli92kpo
菜々「あの……名前で、呼んでくれませんか?」

武内P「ですが、それは……」


みく・李衣菜・夏樹「ミンミンミン、ミンミンミン、ウーサミン!」


菜々「もうホント! ホントあの……キツいので、はい」

武内P「……」


みく・李衣菜・夏樹「ミンミンミン、ミンミンミン、ウーサミン!」


菜々「えっと、土下座とかします?」

武内P「!? いけません、土下座は! それは、あまりにも!」


みく・李衣菜・夏樹「ミンミンミン、ミンミンミン、ウーサミン!」


菜々・武内P「……」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 00:14:03.02 ID:yuli92kpo
菜々「それじゃあ、どうすれば? メルヘンチェンジしますか?」

武内P「……いえ、名前で呼びますので、ご安心を」


みく・李衣菜・夏樹「! やった!」


菜々・武内P「……」

菜々「えっと……じゃあ、お願いします」

武内P「……はい」


武内P「菜々」


菜々「……」


みく・李衣菜・夏樹「呼び捨て!?」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 00:19:56.04 ID:yuli92kpo
菜々「……はい」

武内P「これで……よろしかったでしょうか?」


夏樹「……さすが、菜々さんだ。動じてない」

李衣菜「菜々、さん?」

みく「菜々ちゃーん! みくは……菜々ちゃんを信じてたにゃ!」


菜々「あの……ちょっと、ウサミン星から電波が来てたので」

くいっ

武内P「あの……何故、上着の裾を引っ張って……」

菜々「もう一回、呼んでくれないと駄目かもです……///」


夏樹・李衣菜「……あちゃー」

みく「菜々ちゃーん!? キュートだけど、負けてるよ!?」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 00:25:46.96 ID:yuli92kpo
菜々「……」

武内P「……菜々」

菜々「……頑張ったね、菜々……で、お願いします」

武内P「いえ、それは……」

菜々「お願いします」

武内P「……」


武内P「頑張ったね、菜々」


菜々「……えうっ……!」ポロッ

武内P「!?」

菜々「……うっ、ひっ……! ううぅ……!」ポロポロッ


みく・李衣菜・夏樹「泣いた!?」


武内P「……!?」オロオロ
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 00:31:19.70 ID:yuli92kpo
  ・  ・  ・

ちひろ「……それで、その後はどうなったんですか?」

武内P「何とか、必死で安部さんをなだめました……」

ちひろ「あら、もう名前では呼ばないんですか?」

武内P「……はい」

ちひろ「でも、その方がプロデューサーさんらしいかも知れませんね」

武内P「ええ……やはり、慣れない事は、するものではありませんでした」

ちひろ「それじゃあ、慣らしていけばいいのでは?」

武内P「……」

武内P「はい?」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 00:36:36.79 ID:yuli92kpo
ちひろ「今回の事は、普段とギャップがあったから起こったと思うんです」

武内P「ギャップ……ですか」

ちひろ「いつもと違って、親しげに名前で呼ばれたから、ですね」

武内P「だから……普段から、名前で呼んで私も慣れろ、と?」

ちひろ「はい♪」

武内P「しかし……やはり、アイドルの方を名前で呼ぶのは……」

ちひろ「あら、ここに良い練習相手が居るじゃありませんか」

武内P「千川さんを名前で……ですか」

ちひろ「はい♪」

武内P「……」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 00:42:31.79 ID:yuli92kpo
武内P「ち……」

ちひろ「……」

武内P「ちひろ、さん」

ちひろ「さん、は無しで」

武内P「ちっ……ちひろ」

ちひろ「はい、もう一回」

武内P「……ちひろ」

ちひろ「はい、もう一回」

武内P「ちひろ」

ちひろ「……」


ちひろ「……!」ムフー!


武内P「……」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 00:48:55.18 ID:yuli92kpo
ちひろ「……ゴホン! 中々、良いと思います」

武内P「そう……でしょうか? 自分では、よく……」

ちひろ「だけど、やっぱり練習が必要ですね」

武内P「……口調は、結局なおりませんでしたからね」

ちひろ「なので、私が良いと言うまで、他の子を名前で呼んじゃ駄目ですよ?」

武内P「はい……わかりました」

ちひろ「よろしい」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 00:53:52.24 ID:yuli92kpo
武内P「元々……アイドルの方を名前で呼ぶのは、抵抗がありましたから」

ちひろ「それをなくすため、二人っきりの時、私は名前で呼びましょうね♪」

武内P「これからよろしくお願いします、千川さん」

ちひろ「んー? 千川さんー?」

武内P「……すみません」

ちひろ「はい、もう一回」

武内P「……これからよろしくお願いします、ちひろ」

ちひろ「……!」ムフー!

武内P「……」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 00:56:56.99 ID:yuli92kpo
武内P「……では、質問なのですが」

ちひろ「はい、何ですか?」

武内P「呼び方で距離感が変わるならば……」

ちひろ「?」

武内P「私の呼ばれ方も、名前にした方が良いのでしょうか?」

ちひろ「え、っと……それは……その」

武内P「? どうか、されましたか?」

ちひろ「……」


ちひろ「プロデューサーの方は、名前で呼べません」



おわり
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 01:05:12.99 ID:yuli92kpo
寝ます
おやすみなさい
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 01:25:54.12 ID:2pLk/88lo
役得かな
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 07:00:25.76 ID:HM5lkR1Fo
武夏良いな
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 15:58:49.19 ID:yuli92kpo
書きます


武内P「人妻が溢れそう?」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:00:52.00 ID:yuli92kpo
美波「はい……! もう、限界です……!」

アーニャ「美波! しっかりしてください!」

武内P「あの……人妻が溢れそう、とは……?」

美波「落ち着くのよ美波……! 私、まだ独身……独身……?」

アーニャ「ダー! 美波は、まだ結婚してない、です!」

武内P「……!?」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:03:21.11 ID:yuli92kpo
武内P「あの、新田さん……?」

美波「新田さんだなんて、もう! 昔の呼び方ですか?」

アーニャ「ニェート! いけません、美波!」

武内P「昔も何も……私は、いつも通りに……」

美波「美波、って呼ぶ約束でしょう?」

武内P「!?」

アーニャ「いけません……! アー、人妻が、溢れてしまいました!」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:06:48.84 ID:yuli92kpo
武内P「人妻が、溢れた……?」

アーニャ「ダー。今の美波は、アー、貞淑な人妻、です」

美波「優しい夫。だけど、刺激が無く、物足りない日常……」

武内P「待ってください! 不穏なモノローグを語りだしています!」

アーニャ「ダー。所詮は、人妻です」

美波「今は、とても幸せ。そう、そのはずなのに……」

武内P「新田さん! 戻ってきてください、新田さーん!」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:10:53.59 ID:yuli92kpo
アーニャ「このままでは、美波が!」

美波「私は、何を求めているのかしら?」

武内P「これは……一体、どうすれば!?」

アーニャ「このままでは……寝取られ? て、しまいます!」

武内P「アナスタシアさん、そんな言葉をどこで!?」

美波「わからない……誰でも良い……教えてちょうだい」

アーニャ「美波に教わりました♪」

武内P「新田さーん!?」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:14:10.29 ID:yuli92kpo
ガチャッ

今西部長「――おお、ここに居たのかい」

武内P「! 部長! 新田さんの様子が、おかしいのです!」

部長「何?」

美波「お義父さん……あっ、駄目です……!」

アーニャ「ニェート! 部長は、お義父さんではない、です!」

部長「ふむ……何が、駄目だと言うのかね?」

武内P「部長も乗らないでください!」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:19:27.30 ID:yuli92kpo
美波「駄目……いけません、こんなの……!」

部長「だから、何が、駄目だと言うのかね?」

美波「駄目よ美波……! 夫を裏切れないわ……!」

アーニャ「プロデューサー! 夫として、美波を止めてください!」

武内P「何故、私が!?」

アーニャ「はやくしないと、取り返しがつかなくなります!」

美波「夫もアーニャちゃんも見てます……! いけません……!」

武内P「どんなシチュエーションですか、一体!?」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:22:37.96 ID:yuli92kpo
美波「でも、もう……駄目ぇ……!」

武内P「! 待ってください!」

美波「!? あ、アナタ……これは、違うの!」

武内P「新田さんは、私の大切な担当アイドルです」

美波「アナタ……いえ、プロデューサーさん……」

部長「ほう……ならば、目を離すべきではなかったねぇ」ニヤリ

武内P「部長、少し黙っていてください」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:26:07.71 ID:yuli92kpo
武内P「申し訳ありません、新田さん」

美波「……いえ、そんな」

武内P「貴女の人妻が溢れるのを止めることが出来ませんでした」

部長「何を言っとるんだねキミは」

武内P「……私も、何を言っているかわかりません」

美波「でも……おかげで、人妻が溢れるのを抑えられました」

アーニャ「ハラショー! プロデューサー、すごいです!」

武内P「はぁ……そう、でしょうか」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:31:13.93 ID:yuli92kpo
武内P「しかし……これは、困りましたね」

美波「はい……私も、困ってたんです」

アーニャ「いつもは、私が、アー、当て身をして止めていました」

武内P「気絶させて止めていたのですか!?」

アーニャ「ダー。そうでないと、止められなかった、です」

武内P「……!?」

部長「ふむ……これは、キミのお手並みを拝見するとしようか」

武内P「待ってください! これは、かなりの大問題では!?」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:36:57.73 ID:yuli92kpo
武内P「なんとか、人妻を溢れるのを止めなくては……!」

美波「頼りにしてます……アナタ♡」

武内P「もう早速溢れているじゃないですか!」

アーニャ「美波、とっても幸せそう! 美波、可愛い、です!」

美波「ふふっ、アーニャちゃんも祝福してくれてますね♪」

武内P「助けてください、部長!」

部長「すまない、ちょっと煙草吸ってきても良いかい?」

武内P「はい!? よりによって、今ですか!?」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:42:05.89 ID:yuli92kpo
部長「ちょっと吸ってくる間に、何とかしておきなさい」

武内P「待ってください! それは、あまりにも!」

部長「キミに、一つだけ忠告しておこう」

武内P「っ……忠告、ですか?」

部長「……」

ガチャ…バタンッ

武内P「――何も言わないのですか、部長!」

美波「ふふっ……二人っきり、ですね♡」

武内P「違いますから! アナスタシアさんがいらっしゃいます!」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 16:45:48.64 ID:HHmOAw0mo
三船さんも呼んでこよう
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:46:59.23 ID:yuli92kpo
武内P「アナスタシアさん! 新田さんを止めてください!」

アーニャ「ニェート。それは、出来ません」

武内P「!? 何故、ですか!?」

アーニャ「アーニャと呼んでくれないと、駄目、です」

武内P「……!?」

アーニャ「夫婦だから、アー、愛称も無しはいけませんよ♡」

武内P「溢れた人妻の影響を受けてるじゃないですか!?」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:51:52.88 ID:yuli92kpo
美波「ねぇアナタ……♡」

アーニャ「マーマでも良い、です……パーパ♡」

武内P「……!?」

武内P「お二人とも、いけません!」

武内P「私達は、プロデューサーとアイドルです!」

武内P「それに、まだお昼ですよ!」

武内P「嬉しいですけど……夜まで我慢なさってください♡」

武内P「……」

武内P「――私にも人妻の影響が!?」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 16:57:08.73 ID:yuli92kpo
武内P「いけない……! 気をしっかりもたなくては……!」

武内P「私はプロデューサーだ……! 決して、人妻ではない!」

武内P「人妻には、決して負けない!」

美波「もう……意地悪言わないでください♡」

アーニャ「ロシアでは……普通、です♡」

武内P「ダーメ! ゴハンとお風呂を済ませてから、ね♡」

武内P「……」

武内P「んあああああ!?」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 17:02:40.17 ID:yuli92kpo
武内P(どうすれば……どうすれば、人妻から逃れられる!?)

武内P(助けを……いや、駄目だ。人妻が増えるだけだ)

武内P「……」

武内P「!」

武内P「――そう言えば、お二人ともそろそろお子さんは?」

美波・アーニャ「えっ?」

武内P「……」

武内P(私だけ、人妻で無いから夫にされてしまうのだ……)

武内P(ならば……私も人妻になってしまえば良い!)
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 17:07:15.86 ID:yuli92kpo
美波「子供……ですか」

アーニャ「それは……アー」

武内P「子供って、良いですよね」

美波・アーニャ「……」

武内P「お二人の子供だから、やっぱりアイドルになったり」

美波・アーニャ「……」

武内P「あっ、もうこんな時間。それじゃあ、私はこれで……」

ガチャッ…バタン

武内P「……」

武内P「……なんとか、脱出する事が出来た……!」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 17:11:13.73 ID:yuli92kpo
武内P「部屋の外までは、人妻の影響は無いようですね……」

武内P「新田さんと、アナスタシアさんには申し訳ないですが……」

武内P「……落ち着くまで、中に居て貰うしかありません」

ドンッ!

武内P「!? いけません、今、外に出ては!」


美波『開けてください! どうして、閉じ込めるんですか!?』

アーニャ『ひどい、です! これは、アー、家庭内暴力、です!』

ドンドンッ!


武内P「違います! これは、そういうのではないですから!」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 17:19:53.85 ID:yuli92kpo
美波『閉じ込めておきたいほど、愛してるって事ですか!?』

アーニャ『ハラショー! そこまで、私を愛して!?』

ドンドンッ!


武内P「なんてパワーだ!? ドアが悲鳴を上げている……!?」

武内P「落ち着いてください! お二人とも、落ち着いてください!」


美波『「さよならだね」って、さ〜い〜ご〜のこ〜とば♪』

アーニャ『耳に、残る、から、い〜たいよ今も♪』

美波・アーニャ『愛し〜ているから♪』

ドンドンドンドンドンドンドンドンッ!


武内P「うおおおおおおっ!?」

武内P「何故『Memories』を歌うとパワーが急激に上がるんですか!?」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 17:24:17.73 ID:yuli92kpo
武内P「これが……パワーオブスマイル……!?」


未央「ねえ……何、やってるの?」

卯月「中に……誰か、閉じ込めてるんですか?」

凛「ねえ、どういうこと? 説明して」


武内P「! 皆さん、これには、事情が……!」


美波『!? 今、女の人の声がしたわ!』

アーニャ『ニェ――ット! どういう事、です!?』


武内P「それはしますよ! アイドル事務所ですから!」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 17:29:45.05 ID:yuli92kpo
蘭子「我が友よ! この狂乱の宴は、一体何事ぞ!?」

智絵里「閉じ込めるのは……可哀想、です」

かな子「クレープ美味しい〜♪」

杏「良いなー、杏も引きこもって楽したいよー」


武内P「これには、事情が!」


美波『事情って何ですか!? ひどい……ひどすぎるわ!』

アーニャ『泣かないでください、美波。償いは、きっちりとさせましょう』


みく「うっわ……Pチャン、最低にゃ」

李衣菜「見損ないましたよ、プロデューサー」


武内P「待ってください! 本当に、事情があるのです!」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 17:37:00.45 ID:yuli92kpo
莉嘉「とにかく、二人を出してあげようよ!」

みりあ「うんうん! さんせー!」


武内P「待ってください! そんな事をしては!」


きらり「閉じ込めたりしないで、皆でハピハピするにぃ☆」

ガチャッ!


武内P「……ああ、なんてことだ」


CPアイドル達「……さあ、説明してください」

CPアイドル達「ねっ、アナタ♡」



武内P「人妻が溢れてしまった」



おわり
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 19:45:08.27 ID:xXbLn9RUO
人妻と夜の生活編はよ
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 20:24:57.88 ID:yuli92kpo
では、夜をドタバタ書きます
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 20:33:03.99 ID:yuli92kpo

「……」


 夜、寝苦しくて目が覚めた。
 季節は夏――シンデレラプロジェクトの、恒例の合宿中だ。
 普段と枕が違うと眠れない、という細やかな神経では無いつもりだったのだが、
蒸すような気温と、寝相で乱れたシーツのシワが気になる。


「……」


 聞こえるのは、虫の鳴き声。
 田舎の虫は大きく、数も多いためその鳴き声は都会の比ではない。
 だが、今はその鳴き声も夜のBGMとしては相応しい。


「……」


 モゾモゾと体を動かし、少しだけ体勢を変える。
 それだけで、また安らかな眠りの世界に戻れる。
 そう、思ったのだが、


「グッスリ寝てる」
「プロデューサーさんの寝顔、可愛いです♪」
「ふーん。まあ、悪くないかな」


 私の部屋に、侵入者が居た。


「!?」


 今の声は、ニュージェネレーションズの三人。
 何故、私の部屋に居るのですか、という疑問は一先ず置いておこう。
 今は、一刻も早く体を起こし、彼女達に注意をしなければいけない。
 よし、体を起こ――


「……!?……!?」


 ――まさか、ここで、金縛り……!?
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 20:40:35.07 ID:yuli92kpo

 体が、動かない。


「……!……!」


 声が、出ない。


「……!?」


 金縛りは、疲れている時になるものだと聞いたことがある。
 しかし、まさか今、この状況でなるとは最悪の一言に尽きる。
 ニュージェネレーションズの彼女達の意図はわからないが、
このままでは、為す術無く思い通りに事が運んでしまう。


「さあ、宴の始まりぞ」


 神崎さん!?
 まさか、貴女まで居たのですか!?


「しーっ、蘭子ちゃん。あんまり大きな声を出しちゃ駄目よ」
「ダー。美波の言う通り、です」


 ラブライカのお二人まで!?


「プロデューサー……気持ちよさそうに寝てますね」
「まな板の上の鯉、だね〜」
「どうせなら、一緒に飴玉も欲しいかなー」


 キャンディアイランドの方達も!?


「……!?」


 どれだけ、この部屋に集まっているのですか!?
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 20:49:51.57 ID:yuli92kpo

「にょわー☆ Pちゃん、お酒飲んでたもんねぇ」


 諸星さん……!


「でも、莉嘉チャンとみりあチャンは良かったの?」
「寝ちゃってたもん。しょうがないって」


 アスタリスクのお二人まで……!?
 しかし、城ヶ崎さんと赤城さんが居ないのは……不幸中の幸いか。


「……!」


 体の自由がきかないため、耳に神経を集中する。
 私の耳に届かないように話しているつもりなのかもしれないが、
今の私は、押し殺した彼女達の息遣いさえ聞こえる気がする。


 彼女達は、一体何をしようと言うのか?


「それじゃあ、寝起きドッキリの練習開始だね」


 ……成る程、そういう訳だったのか。
 彼女達には、そういった仕事を入れた事はないが、今後に備えて、という事だろう。
 だとすればまあ、合点がいかないでもない。
 しかし、プロデューサーである私で練習とは……皆さん、今回限りにしてください。


「はいっ♪ まず、ぬるま湯を股間にかけるんですよね?」
「うん。そうすると、漏らしちゃうって話だけど……確かめないと」


 練習にしては、内容がハードすぎませんか!?
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 21:01:40.25 ID:yuli92kpo

「……!」


 待ってください! それは、あまりに危険すぎます!


「……!?」


 金縛り!
 何故、こんな重要な時に私は金縛りにあっているのだ!


「聖杯より、我が友へ降り注げ」


 ちゃぷん、という音が聞こえる。
 彼女達は、本気で私の股間にぬるま湯をたらすつもりでいるらしい。
 何故、後先を考えないのか。
 もし、本当に私が漏らしたらどうするつもりなのか。


「布団はもう剥ぎ取ったわ」


 いつの間に!?


「浴衣は、アー、はだけさせますか?」


 いけません! 貴方達は、アイドルなのですよ!?


「それは……寝てても、寒そうだからやめてあげよう?」
「だねー。それは、さすがに気が引けるよ」
「うんうん、パンケーキ美味しい〜♪」


 皆さんの優しさの基準が、私にはわかりません!
 そして三村さん、パンケーキの匂いが尋常でなく鼻につきます!
 この時間に、他人の部屋で焼きたてパンケーキを食べないでください!
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 21:15:27.64 ID:yuli92kpo

「それじゃあ〜、Pちゃんの股間に〜……」


 まさか、もう!?
 待ってください、心の準備が!


「どうなるのか……ぷくく、楽しみにゃ」
「ちょっと、笑ったら起きちゃうって……うくく」


 後で、アスタリスクのお二人には個別で話をします。


「行くわよ、皆」


 新田さん……貴女をシンデレラプロジェクトのリーダーに指名したのは、
最初の合宿の時でしたね。
 それがまさか、こんな事になるとは思ってもみませんでした。
 彼女達の、統率の取れた動きは……恐らく、貴女によるものなのでしょうね。


「シンデレラプロジェクト、ファイトぉぉぉ……」


 おーっ、という、いつもの彼女達の掛け声は聞こえない。
 代わりに部屋に響いたのは、バシャリと、勢い良く私の股間に降り注いだ、


「んああああああああっ!?」


 熱湯、そして、私の叫び声だった。
 ぬるま湯とは明らかに違う、生易しい温度でないそれに、
私の体は危険信号を発し、金縛りを彼方へ吹き飛ばした。


「……!?」


 私の叫びを聞いた彼女達は、あまりの驚きに絶句している。


「うわあああああっ!? あっ、ああああっ!?」


 図らずも、逆ドッキリが成功した。
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 21:29:05.05 ID:yuli92kpo
  ・  ・  ・

「……」


 私の前で、城ヶ崎さんと、赤城さんを除く、シンデレラプロジェクトメンバー12人が正座している。
 事情はわかっているので、特に聞くことはない。
 聞くことはないが……説教だ。


「皆さんの今回の行動は、行き過ぎています」


 いつもよりも低い私の声に、メンバー達は体をビクリと震わせる。
 彼女達を憎いとは思わない。
 だが、ここでしっかりと話をしておかなければ、私が今後もたない。


「今後は、絶対にこのような事は無いように、お願いします」


 はい、と、全員が揃って返事。
 その肩は震えていて、泣くのをこらえているのだろうか。
 しかし、泣いても今回ばかりは簡単に許す訳にはいかない。


「……あの」
「はい、何ですか本田さん」


 本田さんが、おずおずと挙手をした。
 何か、言いたいことでもあるのだろうか。


「ドッキリした?」


 彼女の言葉に対する私の返事をメンバー達はワクワクとした顔で待っている。
 此処に来てその質問が出来るとは、恐れ入ります。
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 21:45:46.55 ID:yuli92kpo

「そうですね……はい、とても驚きました」


 私の答えを聞き、メンバー達は顔を見合わせ、笑った。
 それは、とても良い笑顔で、思わず見とれそうになるもの。


 しかし、心底腹が立った。


「では、イタズラのお仕置きとして、一発尻を叩こうと思います」


 メンバーがざわつく。
 私の表情を伺おうとしているが、恐らく、何の表情もしていないだろう。
 反省を促すためとは言え、体罰はしたくはない。
 だが、それが彼女達にとって必要な事ならば、私は鬼になろう。


「それじゃあ……リーダーの私から、お願いします」


 新田さんが手を上げた。
 その顔は、仕方ないという諦めの色が強い。
 まずは、彼女に反省してもらう事にしよう。


「では、両手を壁について、尻をこちらに向けてください」


 聞きようによっては、とても艶めいた言い回し。
 彼女もそう思ったのか、他のメンバーを安心させるためか、少しおどけた口調で、


「んっ……プロデューサーさん、優しくしてくださいね?」


 と、のたまった。
 さすがはリーダーですね……今の言葉を聞いて、メンバー達の緊張が少しほぐれたようです。


「いえ、駄目です」


 私は、それを無慈悲に打ち砕いた。
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 22:01:05.44 ID:yuli92kpo

「……!」


 天を貫くように、右手を高く振り上げる。
 イメージするのは、鞭。
 硬さだけでなく、しなやかさも併せ持つ鋼の鞭だ。


「ぷ、プロデューサーさん……?」


 呼吸を整え、心を落ち着かせて、全身に回る血液を意識する。
 細胞の一つ一つを掌握し、全身の、髪の毛一本に至るまでの全てを連動させる。
 今の私は、プロデューサーではない。
 ただ一個の、尻を叩くためだけに存在する、兵器だ。


「あのっ!? や、優しく! 優しくお願いします!」


 筋肉が、爆発の時を待ち、今か今かと叫び声を上げている。
 骨が、寸分の狂いも無く尻を打ち据えるため、残忍な笑い声を上げている。
 一瞬で、何十、何百回と、理想の尻叩きをイメージしては、最高のものに近づけていく。


「……」


 果たして、それは成った。


「や、やめ……おねが」


「プロデュゥゥゥ――スッ!!」


 円運動の軌跡を描き、鋼と化した私の右手が、
新田さん……いや、イタズラをした少女の尻に叩き込まれた。
 破裂音にも似た打撃音。
 衝撃は尻だけでは止まらずに、彼女の体を一直線に突き抜け、パプリと鼻水を噴出させた。


「はああああっ!? ほっ、ほあああああ!?」


 辺りに、アイドルらしからぬ叫び声が響いた。
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 22:10:45.72 ID:5xk4dXvwo
虎眼流並の張り手になりそう
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 22:12:30.69 ID:yuli92kpo

「……」


 お仕置きとは言え、彼女はアイドル。
 その体に痕が残るような打ち方はしていない。


「んんんんん! これやば、んんんんん!」


 だが、私のプロデューサーとしての全てを用いて、尻を叩いた。
 その結果が、これだ。
 新田さんは、その場で尻を押さえてのたうち回っている。


「では、次は誰にしますか?」


 私が視線を向けると、残されたメンバーがビクリと肩を震わせた。
 彼女達に、こんな顔をさせるのはとても心苦しい。
 しかし、やらなければならないのだ。


「皆あああああ! 逃げてえええええ!」


 新田さんが、残された力を振り絞り懸命に他のメンバーを逃がそうとする。
 鼻水を垂らしながらにも関わらず、仲間を思いやるその姿勢には胸を打たれる。


「では、次も新田さんという事で、宜しいですか?」


 その思いには、応えなければならないだろう。


「アーニャちゃああああん! ファイトおおおおお!」
「ミナアアアアミ!? なんで、私ですかあああ!?」


 わかりました、次はアナスタシアさんですね。
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 22:36:48.07 ID:Wuf1BvX9O
流石プロデューサーともなると鞭打も出来るのか
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 22:37:08.69 ID:yuli92kpo
  ・  ・  ・

「ねえねえ、昨日の夜何かあったの?」


 赤城さんが、不思議そうに首を傾げている。


「なんか皆、お尻を気にしてるみたいなんだよねー?☆」


 城ヶ崎さんの、お尻、という言葉を聞いて昨夜のメンバー達がビクリと動きを止める。
 休憩時間中だと言うのに、他のメンバーは全員立ったままだ。
 いや、双葉さんはうつぶせの状態で寝転がっているか。


「いえ……私には、よくわかりません」


 右手を首筋にやろうと動かした途端、メンバー12人が身構えた。
 何故か、数名ほど壁に手をついて尻をこちらに向けているが、放置する。


「あっ! そういえば、昨日の夜のドッキリどうだった?」
「そうそう! アタシとみりあちゃん、寝ちゃったんだよねー☆」


 お二人の言葉を聞いて、少し考える。


「そうですね……成功、だったと思います」


 確かに、かけられたのが熱湯でなければギリギリセーフだったかもしれない。
 ドッキリ自体は私の金縛りがあったにせよ、成功だったとも言える。


「あーん! みりあも参加したかったー!」
「それじゃあそれじゃあ、今晩はアタシ達がドッキリしにいくねっ☆」
「……あらかじめ言ってしまっては、駄目なのでは」


 そう、言ってみたものの、赤城さんと城ヶ崎さんはやる気になっているようだ。


「皆さん……赤城さんと城ヶ崎さんを止めてください」


 私の言葉を聞いて、数名ほどが必死で彼女達の説得に回ってくれた。
 残ったメンバーが軒並み壁に手をついて尻をこちらに向けているのを見て、私は頭を抱えた。



おわり
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 22:39:44.22 ID:yuli92kpo
回線の調子が悪いので、今日は寝ます
おやすみなさい
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/08(月) 22:48:27.64 ID:ADlGbqZmo
ハマったな
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 22:51:22.58 ID:5xk4dXvwo
大人アイドル組って脱糞してたっけ
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 23:00:39.84 ID:cfki+luFo
総受けと見せかけてカウンターがデカいのはいい事だ
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 23:31:14.05 ID:HM5lkR1Fo
癖になってるメンバーが居ますね…
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/09(火) 14:36:35.50 ID:csg3aW1QO
性獣ミナミィはドMかと思ってたんだけど、尻打ちには目覚めなかったのかな…?
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/09(火) 20:30:40.58 ID:uAYUhdeD0
トラプリ見たい
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 21:24:35.00 ID:ZhryCFPso
>>187
覚えてないので書きます
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 21:33:04.06 ID:ZhryCFPso

「……」


 キャハハ、と、女性達の明るい笑い声が響き渡る。
 アルコールが回っているのだろう、全員顔が赤く、とても良い笑顔だ。
 会話に流れなどなく、ただ、起こった事、起こりうる事を話しているだけ。
 にも関わらず、彼女達は必ず笑顔で話を続けている。


「……」


 此処、シンデレラプロジェクトの、プロジェクトルームで。


「いえーい! 飲んでる〜!?」


 飲んでいません。


「飲んでないわ」


 また、笑い声が響き渡った。
 本当に、どうして彼女達はここで酒盛りをするのだろう。
 確かに、広さ的には丁度良いし、ソファーもあって居心地は良いだろう。
 しかし、誰が後片付けをすると思って……ああ、だから此処に来るのですね。


「かんぱーい!」


 何度目かの乾杯を尻目に、巻き込まれないようにパソコンの画面を見つめる。
 さすがに、仕事中の私の邪魔を直接的にする程、非常識ではないらしい。
 間接的には尋常でない程の邪魔をしているのだが、それを抗議する勇気は、無い。


「……」


 早く、帰ってくれないだろうか。
 でないと、後片付けが出来ず、私も帰れない。
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 21:45:10.92 ID:ZhryCFPso

「はーい! 一番バッター、オナラしまーす!」


 本当に、酔っぱらいというのは最悪だ。
 自分も酔ってしまえば気にならなくなるのだろうが、その選択肢は私には無い。
 私まで酔ってしまっては、後始末をする者が居なくなるからだ。


「Fight! Fight! Let's Go〜! Fight! Fight! 頑張って!」


 自らのソロ曲に合わせてオナラをする事の、何が楽しいのか。
 私にはわからないが、彼女達は大いに盛り上がっている。


「Fight! Fight! Let's Go〜! Fight! Fight! 負けないで!」


 お腹が千切れちゃう、と言いながら笑っている人も居る。
 さすがは酔っていてもアイドル、パフォーマンスはとても素晴らしい。


「フレーフレー、みんなでLet's Go! フレーフレー大きな声で!」


 この時のためだけの、オリジナルの振り付けだろう。
 彼女のダンスは、チアーを模したものというよりも、バッターのスイングのようだ。
 それを見られたのは喜ぶべきか、彼女がこれから放つアーチを悲しむべきか。


「フレーフレー気持ちを込めて!」


 渾身のスイング。


「Go〜!」


 ブボッ!


 ――特大の、ホームランだ。


 ボッ、ボブリッ、ブッ、ブブッ!


「!?」


 ――場外ホームランじゃないですか!?
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 21:56:37.61 ID:ZhryCFPso

「……!?……!?」


 スイングで、お腹をひねった瞬間にオナラを出そうとした。
 恐らく、それが彼女の放ったアーチを場外まで運んでしまったのだろう。


「……」


 しん、と静まり返る室内。
 アーチストは、スイングを終えた体勢のまま微動だにしない。
 目線の先を追ってみるが、そこはただの壁だ。
 彼女には見えているのだろうか……青空に吸い込まれていく、白球が。


「……」


 さて、ここから、私はどう行動すべきなのだろう。
 思考を巡らせてみるが、これが最善だ、というものは浮かばない。
 目の前で歌いながら脱糞したアイドルにどう対処するかなど、研修では習わない。
 どうすれば……どう――


「チャッチャッチャッチャッ、チャララ♪ チャッチャッチャッチャッチャ♪」


 ……この、軽快な前奏は――


「チャッチャッチャッチャッ、チャララ♪」

 待ってください!
 何故、貴女まで歌って踊り始めるのですか!?


「ズン、ズン、ズン!」


 う、うわあ、あああああっ!?


「バキューン!」


 ボブリッ!
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/09(火) 22:07:21.74 ID:VWsZULNAO
ブボボ(`;ω;´)モワッ
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 22:10:47.32 ID:ZhryCFPso

「……!」


 モコリ、モコリと彼女の体のラインを強調するような服の臀部が膨らんでいく。
 しかし、それを気にする事無く、元婦警はバッターに歩み寄る。
 そして、両手を高くあげ、


「いえーい! 2ランホームラン、ね!」


 ハイタッチを要求した。
 そして、パシンと打ち鳴らされる、友情の架け橋。


「今のだと、連続ソロホームランですよー!」
「あたし、野球そんなに詳しくないのよ!」


 こんな状況にも関わらず、彼女達の微笑み合う姿は、とても美しい。
 出来る事なら、腰から下を視界に映したくないと思える程に。
 いや……ああなったからこそ、彼女達の笑顔が輝いて見えるのか。


「……」
「……」


 残った二人が、すっくと立ち上がった。
 いやいや、もう十分です!
 もう、綺麗にまとまった感じがするではないですか!


「四番は任せるわ」


 よく通る、美しい声。


「トゥントゥントゥルトゥトゥーントゥトゥーン♪」


 ……そうですよね、口でやるとそんな感じになってしまいますよね。
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 22:26:01.62 ID:ZhryCFPso

「ムゥーンムゥムゥムゥーン、ムゥーンムゥムゥーン♪ ムゥ〜ン♪」


 沸き起こる、爆笑の嵐。
 完璧な振り付けに対して、あまりにも卑怯な言葉と表情。


「ティーンッ♪ ティーンティティーンティンティッティンッ♪」


 この元アナウンサーアイドル、完全に笑わせに来ている。
 既にバッターボックスから降りた二人は涙が出る程笑っている。
 そして、控える四番も肩を震わせ、ヒーヒーと呼吸困難に陥っているではないか。


「プゥープゥープゥッ♪ プゥープゥプゥプゥープゥプゥー♪」


 アナウンサー時代のボキャブラリーを活かしているのだろうか。
 擬音が全て違うものになっているのが、彼女のこだわりを感じさせる。


「これ……無理……!」


 ビチュッ!


 たまらず、四番が先にスイング。


「テトリテトリトン♪ テトリテトテテ♪」


 バブンッ!


 順番は逆になってしまったが、三番バッターも特大のアーチを見せてくれた。


「臭いわ」


 彼女達は、笑った。
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 22:40:13.09 ID:ZhryCFPso

「……」


 笑いの後に訪れたのは、不気味なほどの静寂。
 誰一人言葉を発しようとせず、何一つ行動に起こそうとしない。
 プロジェクトルームに立ち込める異臭。
 あの……後片付けは私がやるので、本当にもう、帰ってください。


「「「「……」」」」


 そう、思った瞬間、四対八つの瞳が、ギョロリと私に向けられた。


「……!?」


 思わず息を呑む……臭い。
 彼女達は、何故私に視線を向けているのだろう。
 他言するつもりは毛頭ないし、言ったとしても誰も信じはしないだろう。
 なのに、どうして私を見て――


「アッ、ハイーヤーアーアーアアアーアー」
「ちゃちゃりりちゃらららちゃちゃりりちゃらら」


 何故、四番の前奏を!?


「待ってください! 私にも、しろと!?」


 抗議の声は、儚くもシンデレラ達の歌声にかき消される。
 彼女達の歌声は、止まらない。
 そして、私には理解出来る……出来てしまう。


 出さなければ、殺される。
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 23:03:28.27 ID:ZhryCFPso
  ・  ・  ・

「……」


 プロジェクトルームの片付けが終わった。
 臭いはまだ残っているが、それはこの際仕方ないだろう。


「……」


 部屋の隅にあるビニール袋に目を向ける。
 あの中には、友情の結果と、恐怖の結果が詰まっている。


「……」


 結論だけ言わせてもらうならば、私は脱糞した。
 情けなく、悲鳴を上げながら。
 あの時の恐怖は決して忘れることは出来ないだろう。


 ――ティロン♪


「……」


 携帯に、LINEが入る。
 シャワーを浴び終えた、という連絡だろう。
 彼女達が戻ってくる前に片付けを終わらせた自分を褒めても良いと、そう、思います。


「……!?」


 確認のために、携帯を開き……――愕然とした。
 カツリと、携帯が床に落ち、転がる。


「何故……私の家で飲み直すという話になったのですか……!?」


 この時の私は、まだ知らない。


 これから先、何度も繰り返される悪夢を。



おわり
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 23:11:08.60 ID:ZhryCFPso
非武内P書きます、申し訳ない


オレP「早苗さんの尻にしかれたい」
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 23:13:10.82 ID:ZhryCFPso
ちひろ「それは、姉さん女房的な意味ですか?」

オレP「いいえ、物理的な意味ですよ?」

ちひろ「……えっと」

オレP「こう、ですね? 顔の上に、バフッと座る感じで」

ちひろ「……警察、呼びますね?」

オレP「何故!?」

ちひろ「何故!?」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 23:15:39.87 ID:ZhryCFPso
オレP「急に警察だなんて、頭おかしいでしょう!?」

ちひろ「アナタに頭おかしいとは言われたくないですよ!」

オレP「あっ、もしかして」

ちひろ「?」

オレP「エッチな意味にとらえちゃいました?」

ちひろ「……それ意外、何があるって言うんですか?」

オレP「いやー、参ったなー! ちひろさん、やーらしー!」

ちひろ「は……腹立つ……!」
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 23:18:19.07 ID:ZhryCFPso
オレP「良いですか、血液は酸素を全身に運んでるんです」

ちひろ「急に、何を」

オレP「つまりですね、早苗さんの尻にしかれるでしょう?」

ちひろ「……はあ」

オレP「そこで呼吸をしたら、早苗さんの尻が全身を巡ると言っても――」

オレP「――過言では、無いッ!」カッ

ちひろ「はい、通報しますねー」

オレP「待って待って、落ち着いて!」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 23:22:07.84 ID:ZhryCFPso
オレP「オレだってね、無理矢理座ってもらおうとは思いませんよ」

ちひろ「安心しました。早苗さんは、無事なんですね」

オレP「だから、皆にも相談したんです」

ちひろ「……皆?」

オレP「ええ。人に夢を与えるのがアイドル……でしょう?」

ちひろ「アイドルの子達に相談したんですか!?」

オレP「そう! LiPPSと、炎陣にね!」

ちひろ「なんですかその人選は!?」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 23:28:15.25 ID:ZhryCFPso
オレP「彼女達は、とても素晴らしいアイドルですから」

ちひろ「……アイドルにする話ではないと思います」

オレP「拓海にも同じことを言われ、ブン殴られましたよ」

ちひろ「それは、良い鉄拳制裁ですね」

オレP「でもね――守りに入るのが正しいと言えるのか?」

オレP「――危険を知りつつも向かっていくのが、自分を通すって事じゃないのか?」

オレP「――お前はどう思うよ、特攻隊長さんよぉ!」

オレP「……って煽ったら、協力を取り付けられましたよ、ハハッ!」

ちひろ「もう! なんでそんなに単純なんですか!?」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 23:31:52.06 ID:ZhryCFPso
ちひろ「美嘉ちゃんなんか、軽蔑してきたんじゃないですか?」

オレP「ええ、ゴミを見るような目で見られましたよ」

ちひろ「そうですよね、当然の反応です」

オレP「だから――あっ、出口はそっちだから」

オレP「――一応さ、声だけはかけなきゃと思っただけだから」

オレP「――ゴメンな? なんか呼び出しちゃって」

オレP「……って正直に言ったら、協力してくれるって。別に良いのに」

ちひろ「別に良いのにとか、思ってても言わないでくださいよ!」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 23:37:03.84 ID:ZhryCFPso
ちひろ「夏樹ちゃんとか、反応が読めませんね」

オレP「アイツ、面白そうじゃんって笑ってましたよ」

ちひろ「……あー、なんとなくわかります」

オレP「でもね――悪い、オレは真剣なんだ」

オレP「――遊び気分で、こんな事を話したりはしない」

オレP「――この熱い気持ちに名前をつけるなら、ロックになるのかね」

オレP「……ってそれっぽく言ったら、協力するぜと、真剣に」

ちひろ「それっぽくで、人の気持ちを弄ばないでください!」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 23:41:58.21 ID:ZhryCFPso
ちひろ「奏ちゃんは……」

オレP「ご褒美のキスは要らないって言ってましたよ」

ちひろ「そりゃそうですよね」

オレP「だから――ああ、オレの唇はもう先約があるんだ」

オレP「――喋るためじゃなく、早苗さんの尻のために」

オレP「――ケツにキスするために、咲いている」

オレP「……って本音を語ったら、協力するわと、オーラを放って」

ちひろ「『Tulip』の歌詞っぽく欲望を語らないでくださいよ!」
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 23:47:32.03 ID:ZhryCFPso
ちひろ「里奈ちゃんは、ああ見えて常識がありますから……」

オレP「そうですね、アタシバカだけど良くないと思うよー、って」

ちひろ「見た目はチャラっとしてるけど、良い子ですよね」

オレP「だから――オレはバカだから、正直にしか行動出来ない」

オレP「――自分に正直に生きるってのは、とっても難しいよな」

オレP「――だけど、バカ正直に生きるのは、悪い事じゃないさ」

オレP「……って誤魔化したら、協力するぽよー! ぽよぽよー!」

ちひろ「良い子なのを利用しないでくださいよ!」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/09(火) 23:49:37.88 ID:zyQsKaG9o
まだ絡んだことのないアイドルと武内Pの話を読んでみたい
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 23:53:04.43 ID:ZhryCFPso
ちひろ「志希ちゃんも……反応が読めませんね」

オレP「アイツ、お尻の匂いが嗅ぎたいのかにゃ〜って」

ちひろ「ああ、あの子だったらそういう反応ですよね」

オレP「だから――わかってるんだろ、そんな単純な話じゃないって」

オレP「――オレは、お前のギフテットとしての力に期待してる」

オレP「――天才のお前なら、こんな事もあろうかと、って言うはずだ」

オレP「――顔面騎乗! カオニスワリタクナール、だよ!」

ちひろ「ストーップ! アナタ、本当に怒られますよ!?」

オレP「まだ出来てないらしいので、開発、待ってます」

ちひろ「やろめっつってんでしょうが!」
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/09(火) 23:59:18.43 ID:ZhryCFPso
ちひろ「涼ちゃんは……普通に説教されたんじゃないですか?」

オレP「はい。ガチで凹みました」

ちひろ「だけど、諦めないんですね」

オレP「当然――お前の言う事も一理ある」

オレP「――だけど、理屈だけじゃ片付かない、感情ってもんがある」

オレP「――お前は、その熱い思いを歌に乗せてるんだろう?」

オレP「――オレは、言葉に乗せてみたんだが……届いたか?」

オレP「……って聞いたら、協力するよ、って渋々承諾してくれました」

ちひろ「なんでそこで物分りが良くなっちゃったの!」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 00:03:30.59 ID:oWHtUYR3o
ちひろ「フレデリカちゃんは……もう! LiPPSって反応が読めない!」

オレP「その個性のぶつかり合いが、彼女達の良い所ですよ」

ちひろ「急にプロデューサーぶらないでください」

オレP「だから――BGMは、どんなのが良いかな?」

オレP「――あんまり壮大すぎても良くないと思うんだよね」

オレP「――ちょっとポップな……あ、ヒップホップで!」

オレP「――頼んだぞ、新曲、楽しみにしてる」

オレP「……って言ったら、協力するするー、って二つ返事でした」

ちひろ「相談の形がちょっと違ってるじゃないですか!」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 00:08:23.93 ID:oWHtUYR3o
ちひろ「亜季ちゃんは成人してますから、きっと!」

オレP「ところがどっこい、そうでもない」

ちひろ「……乗せられやすそうですもんね」

オレP「そりゃ――大和! 貴様に、特殊任務を言い渡す!」

オレP「――対象、片桐早苗の尻にしかれるための工作任務だ!」

オレP「――彼女に気付かれる事なく、オレの印象を操作しろ!」

オレP「――尻にしいても良いと思えるようにだ! わかったか!」

オレP「……って命令したら、サーイエッサー! って、チョロチョロでしたよ」

ちひろ「その任務、難易度が高すぎませんか!?」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 00:13:39.49 ID:oWHtUYR3o
ちひろ「周子ちゃんには、何の相談をしたんですか?」

オレP「おっ、彼女も相談の質が違うのがわかりますか」

ちひろ「はい、悲しいですけど」

オレP「ははは――なあ、渡す菓子折りはどんなのが良いと思う?」

オレP「――ビール詰め合わせも良いんだけどさ、違うのも良いじゃん?」

オレP「――可愛いお菓子とか、似合うと思うんだよね」

オレP「――桃の和菓子とか……って、これじゃ桃尻か!」

オレP「……って聞いたら、協力するよー、って実家に聞いてみてくれるって」

ちひろ「あの、菓子折り持って行く気ですか!?」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 00:17:05.89 ID:oWHtUYR3o
オレP「……とまぁ、こんな感じで相談した訳です」

ちひろ「……見事に協力を取り付けてますね」

オレP「オレはプロデューサー、一人では何も出来ません」

オレP「アイドルが居るからこそ、力を発揮する事が出来る」

オレP「お互いが支え合い、協力して高め合える」

オレP「それが、理想的な関係だと、思いませんか?」

ちひろ「詐欺師に向いてますよ、プロデューサーさん」

オレP「よく言われます」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 00:19:54.09 ID:oWHtUYR3o
ちひろ「その調子で、本人に言ったら良いんじゃないですか?」

オレP「なっ、何言ってるんですか!?」

ちひろ「あの、何故慌てる必要が?」

オレP「そんな……ちょ、直接言うだなんて……」

ちひろ「?」

オレP「恥ずかしくて……出来ないよぅ///」イヤイヤン

ちひろ「アナタのこれまでの行動の方が恥ずかしいですよ」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 00:24:05.97 ID:oWHtUYR3o
オレP「良いんです、オレは果報は寝て待つタイプなんです」

ごろんっ

ちひろ「ソファーに寝転がって、何を?」

オレP「早苗さんがオレの上に座るのを待ってるんです」

ちひろ「聞かなきゃ良かったです」

オレP「あっ、ちひろさんは座らないでくださいね?」

ちひろ「座りませんよ!」

オレP「良かった、オレの上に座るちひろさんは居ないんだ」

ちひろ「そんなつもりは全然無いのに、無性に腹が立ちますね!」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 00:32:36.97 ID:oWHtUYR3o
  ・  ・  ・

オレP「はっは、結局顔面をボコボコに殴られて終わりでしたよ」

ちひろ「あの、ジャガイモみたいな顔になってますよ?」

オレP「早苗さんお手製の、ポテトボーイです」

ちひろ「……物は言いようですね」

オレP「……ま、この結果には物言いを付けたいですけどね」

ちひろ「まだ、諦めないんですか?」

オレP「女のケツを追いかけるのは、男の性ですからね」

ちひろ「悲しい習性ですね、それって」

オレP「ハハッ……あー……」


オレP「早苗さんの尻にしかれたい」



おわり
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 00:36:17.05 ID:oWHtUYR3o
思いついたら書かないと次が書けないので、非武内Pの時があります申し訳ない

絡んだことのないアイドル、明日以降やってみます
TPとか新曲良かったですし、上にも出てましたから

では、おやすみなさい
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 01:11:45.34 ID:S/bBkHmyo
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 21:48:34.87 ID:oWHtUYR3o
書きます


武内P「トライアドの皆さんと、ですか」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 21:51:25.07 ID:oWHtUYR3o
凛「うん、収録について来て欲しい」

加蓮「って、奈緒がどうしてもって」

奈緒「あたし!?」

武内P「そう、なのですか?」

奈緒「違うから! ああいや、違うけどそうじゃなくて……!?」

凛・加蓮「……」ニヤニヤ

奈緒「お前らなー!」
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 21:54:27.72 ID:oWHtUYR3o
凛「まあ、奈緒をからかうのはこのくらいにして」

加蓮「居てくれると助かるなー、って思って」

奈緒「あたし達、こういう収録って初めてでさ……」

凛「私はニュージェネでやった事ある仕事だけど、ね」

加蓮「お願い、出来ますか?」

奈緒「お願いしますっ! どうしても、成功させたいんだ!」

武内P「……わかりました。スケジュールを調整してみます」

226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 21:56:40.49 ID:oWHtUYR3o
武内P「収録は、歌番組でしたね」

凛「うん。だから、プロデューサーが鼻をかんでくれないと困る」

加蓮・奈緒「……ん?」

武内P「確かに、その通りです」

凛「でないと、歌声がネバネバになっちゃうから」

加蓮「あの……凛?」

奈緒「なんか……おかしくないか?」

凛「? 何が?」

加蓮・奈緒「……!?」
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 21:58:59.64 ID:oWHtUYR3o
加蓮「あのさ……いつも鼻をかんでもらってるの?」

凛「そんなわけないでしょ」

奈緒「だ、だよな! あたし達の聞き間違いだよな!」

凛「歌う前だけ。そこまで迷惑かけられないし」

加蓮・奈緒「!?」

武内P「私は、迷惑だと思ったことはありませんが……」

凛「……そう?」

武内P「はい」

加蓮・奈緒「……」
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:02:08.24 ID:oWHtUYR3o
加蓮「鼻をかむって……えっと、何かの例え?」

凛「例え?」

奈緒「ほ、ほら! 鼻の通りを良くするための、何かとか!」

凛「? 普通に、こう、チーンってかんでもらってるけど?」

加蓮「……冗談じゃ」

凛「無いってば。もう、しつこいよ二人共」

奈緒「なんでそんなに当たり前の事みたいに振る舞えるんだよ!?」

凛「えっ? だって、普通の事でしょ」

加蓮・奈緒「……!?」
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:04:38.93 ID:oWHtUYR3o
加蓮「あの……本当にやってるんですか?」

武内P「はい。渋谷さんが歌う前は、いつも」

奈緒「いつもあたしをからかう割に、そんな事してたのかー!」

凛「当たり前でしょ。アイドルなんだから」

加蓮・奈緒「……は?」

武内P「ファンの前でアイドルが輝けるようにするのが、プロデューサーですから」

加蓮・奈緒「……」

加蓮・奈緒「……はい?」
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:07:19.72 ID:oWHtUYR3o
加蓮「もしかして、シンデレラプロジェクトでは……」

奈緒「そんなのが、当たり前に行われてる……?」

武内P「はい、勿論です」

加蓮・奈緒「勿論です!?」

凛「二人も、何かしてもらったら?」

加蓮「えっと……何かって、何?」

奈緒「あたしも鼻をかんでもらえって!? ヤだよ!」

武内P「そうですね……お二人の場合でしたら……」

加蓮・奈緒「!?」
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:13:58.35 ID:oWHtUYR3o
武内P「まず、北条さんの場合ですが――」

加蓮「えっ……ええっ?」

武内P「あまり、体が強くない方だと聞いています」

加蓮「そ、そう……だけど」

武内P「なので、当日までの体調管理は勿論ですが」

加蓮「……」

武内P「当日も、すぐに支えられるように控えていようと思います」

加蓮「それは……うん、ちょっと良いかも」

凛「でしょ?」

奈緒「……」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:17:45.59 ID:oWHtUYR3o
奈緒「そ、それじゃあ、あたしの場合は?」

武内P「そうですね、神谷さんの場合ですが――」

奈緒「……」

武内P「髪の毛のセットが乱れやすそうなので、その点のケアを」

奈緒「おお……それはちょっと嬉しいな」

武内P「当日は、より一層キリリと力強い眉毛になるようサポートしたいと思います」

奈緒「なんだそのサポート!?」

凛「ふーん。悪くないかな」

加蓮「やったじゃん、奈緒」

奈緒「やってないからな!?」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:20:34.95 ID:oWHtUYR3o
奈緒「眉毛のサポートって、何!?」

武内P「それは……言葉で説明するのは、難しいですね」

凛「今、実際にやってあげたら良いんじゃない?」

奈緒「は!?」

加蓮「あー、それは先に見ておいた方がいいかもね」

奈緒「おい! 他人事だと思ってテキトーな事言うなよな!?」

武内P「……わかりました。お二人が、そう仰るのでしたら」

奈緒「あたしの意見を聞いてなくない!?」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:24:45.25 ID:oWHtUYR3o
武内P「それでは神谷さん、目をつぶっていただけますか?」

奈緒「目をつぶるって……な、何する気だよ!?」

武内P「眉を触るので、目を開けていては危険ですから」

奈緒「ま、眉を触るって……」

凛「奈緒、言う通りにした方が良いよ」

奈緒「で、でも……!?」

加蓮「ほら、早く」

奈緒「……くっそー! 覚えてろよな!?」
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:27:06.16 ID:oWHtUYR3o
奈緒「……は、はい。目、つぶったけど」

武内P「では、失礼します」

さわさわっ…

奈緒「う……うぅ……///」

凛「奈緒、顔が真っ赤だよ」

加蓮「大丈夫、キスされる訳じゃないんだし」

奈緒「余計な事言うなって!///」

武内P「――では、行きます」

奈緒「……へっ?」


武内P「プロデュゥゥゥス!」


シャランラ〜

236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:31:32.23 ID:oWHtUYR3o
加蓮「えっと……今の掛け声、何?」

凛「大丈夫、いつもの事だから」

加蓮「……」


武内P「……どうですか、神谷さん」

武内P「……いえ、」


神谷13「……どう、って言われても」キリリッ


武内P「神谷13(サーティーン)さん」


凛「凄いね奈緒……いや、神谷13。これなら、仕事は失敗しなさそう」

加蓮「……」

加蓮「!?」
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:35:22.90 ID:oWHtUYR3o
神谷13「そ、そうか? 自分では、よくわからないんだけど……」キリリッ

加蓮「髪型をセットって言うか、角刈りにセットされてるよ!?」

神谷13「? 何言ってるんだよ、前からだろ?」キリリッ

加蓮「!?」

神谷13「お礼は……スイス銀行に振り込めばいいのかな?」

武内P「いえ、お気持ちだけ頂いておきます」

神谷13「そっか……じゃあ、一回だけ後ろに立っても見逃す事にするよ!」

武内P「はい、ありがとうございます」

加蓮「……!?」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:39:22.61 ID:oWHtUYR3o
凛「……ついでだから、私も鼻をかんでもらおうかな」

武内P「渋谷さん?」

神谷13「おいおい凛〜? まさか、独占欲か〜?」

凛「違うから。そんなんじゃないって」

加蓮「待って凛! 鼻をかむのは、普通なんだよね……!?」

凛「普通じゃない鼻の噛み方って、何それ」ケラケラ

加蓮「そう、だよね……」

武内P「――では、失礼します」

凛「……んっ」


武内P「プロデュゥゥゥス!」


シャランラ〜
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:43:28.05 ID:oWHtUYR3o
加蓮「また……あの掛け声……!?」

凛「……」

加蓮「凛、大丈夫なの……!?」

凛「……あ」


凛「あ〜〜〜……!」ガクガクッ!

ズルリッ!…ボトッ!


加蓮「い、いい、いやあああ!? 何それ!? 何それ!?」

武内P「鼻水です」

加蓮「量がおかしい! なんか体が痙攣してるし!?」

武内P「しかし、これで彼女の歌声はより美しくなります」

加蓮「……!?」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:47:59.00 ID:oWHtUYR3o
凛「……うん、スッキリした」

加蓮「ほっ、本当にちょっと声が綺麗になってる……!?」

凛「でしょ?」

奈緒「……あれ? あたし、何でここに居るんだっけ?」

加蓮「! 奈緒、正気に戻ったの!?」

武内P「今回は試し、という事で時間は短めにしておきましたから」

加蓮「……!?」

凛「奈緒、どうだった?」

奈緒「なんだかよくわからないけど……調子が良い気がする!」

加蓮「……!?」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:53:00.77 ID:oWHtUYR3o
奈緒「おい、どうしたんだよ加蓮!? 顔が真っ青だぞ!?」

加蓮「いや、これは……」

武内P「!? いけません! すぐ、ソファーに横に!」

凛「プロデューサー! 膝枕して!」

加蓮「それはいらない! って……ああ、大声出したら……」

武内P「どうぞ、北条さん!」

加蓮「……はい、失礼します」

奈緒「大丈夫か、加蓮……」

加蓮「……悔しいけど、案外悪くない」
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 22:58:45.72 ID:oWHtUYR3o
凛「……プロデューサー、お願いがあるんだけど」

武内P「はい、何でしょうか」

奈緒「加蓮にも、さっきあたし達みたいにした風に!」

加蓮「……やめて……! 本当にやめて……!」

武内P「ですが……」

凛「逃げないでよ! アンタ、プロデューサーでしょ!?」

武内P「!」

奈緒「お願いします!」

武内P「……わかりました。お二人が、そう仰るのでしたら」

加蓮「……いや……! やめ――」


武内P「プロデュゥゥゥス!」


シャランラ〜
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 23:06:17.43 ID:oWHtUYR3o
  ・  ・  ・

専務「先日の収録の付き添い、ご苦労だった」

武内P「いえ、当然のことをしたまでです」

専務「結果的には、成功だったと言えるでしょう」

武内P「何か、ご不満が?」

専務「神谷奈緒くんが、報酬はスイス銀行に振り込むよう言ってきました」

武内P「良い、狙撃です」

専務「北条加蓮くんが、報酬は全てプロテインでと言ってきました」

武内P「良い、筋肉です」

専務「彼女達の個性を伸ばし、欠点を補った、と言う事ですね」

武内P「はい。皆さん、とても良い笑顔でした」

専務「……」


専務「優秀過ぎるのも考えものだな」



おわり
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 23:06:43.43 ID:oWHtUYR3o
休憩
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 23:09:33.94 ID:9lBrhYYWo

人妻というか未亡人が漏れそうな三船さんとかどうすか
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 23:12:25.13 ID:oyM1HxuHo
プロデューサーって凄い、ぼくは色んな意味でそう思った
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 23:23:05.26 ID:oWHtUYR3o
346プロのTさんか、やってみます
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/10(水) 23:42:08.09 ID:oWHtUYR3o

 私には、悩みがあります。
 結婚をしていた事も無いのに、未亡人の様に扱われるのです。
 プロデューサーさんには、「儚げな色気がある」と言われます。
 けれど、初めて出会った大切だと思える人にそう思われるのは、とても、複雑です。


「あっ、あそこに居るの、アイドルの三船美優さんじゃない?」
「ホントだ。まるで、ここまで未亡人の儚げな色気が漂ってくるみたいだ」


 街を歩くと、いつもこう言われてしまいます。
 褒められているのはわかっているし、悪気は無いともわかるんです。
 ……それでも、未亡人扱いされるのは、悲しいです。
 だって、私の大切な人は、今も生きて、私に笑いかけてくれているのに……!


「笑顔です!!」


 唇を噛み締め俯いていた私は、突然かけられた低い男性の声にハッと顔をあげました。
 この方は、確かシンデレラプロジェクトの、プロデューサーの……。
 それに、今の言葉は、一体?


「貴女の大切な方に……そして、ファンの方達に向けるのは、その表情で良いのでしょうか?」


 私は、ハッとなりました。
 確かに、私は未亡人の色気があるとも言われますが、あの人にいつも褒められるのは、笑顔。
 あの人と一緒に居ると自然に出る、笑顔を褒められていたと、思い出しました。
 そんな大切な事を思い出させてくれた男性は、警察の方から職務質問を受けています。
 私はまず、その男性に向けて、思い出させてくれた笑顔を向けました。


「良い、未亡人の様な笑顔です」


 やっぱりプロデューサーって凄い、私は改めてそう思いました。
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 00:01:46.19 ID:TYMGDyEUo

「はぁ……」


 いつになったら、スプーン曲げ以外の超能力が身につくんだろう。
 サイキックアイドルとして売り出しているのに、このままじゃ駄目だ。
 今の状態が続けば、エスパーユッコじゃなく、スプーンユッコと呼ばれてしまう。


「ムムム……!」


 離れた所にあるスプーンに向けてサイキックを飛ばしてみる。
 だけど、何度練習してもスプーンが浮き上がる事はない。
 今度こそは、今度こそはと思っているのに。


「これが成功しなかったら……」


 もう、サイキックアイドルは卒業しよう。
 これからは、スプーン曲げアイドルとしてやっていこう。
 そう思い、サイキックを飛ばした瞬間、ドアが物凄い勢いで開き、大柄な男性が!
 あの人は、シンデレラプロジェクトの、プロデューサーさん!


「笑顔です!!」


 プロデューサーさんはそう叫ぶと、スプーンを手に取り、真っ二つに引きちぎりました。


「堀さん。私は、貴女のサイキックアイドルとしての輝きは素晴らしいと、そう考えます」


 私の目の前に、コトリ、コトリと二つに分かれたスプーンが置かれました。
 これは……私の超能力が、この超筋力を呼び寄せたという事ですね!?


「良い、さいきっく笑顔です」


 やっぱりプロデューサーは凄い、サイキックそう思いました。
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 00:19:25.47 ID:TYMGDyEUo
寝ていたので、寝ます
おやすみなさい
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 00:27:33.29 ID:dhaGyACCo
サイキックパワー(物理)
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 00:53:24.87 ID:vMAEUXhwO
薄々気付いてはいたけどプロデューサーが笑顔とプロデュースさえ言えば何でも出来る存在になっとる…
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 01:33:10.71 ID:cLqej5pSo
そのうち変身でもしそうだ
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 13:38:54.31 ID:TYMGDyEUo
変身、書きます
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 13:49:11.33 ID:TYMGDyEUo

「渋谷さん、お疲れ様でした」


 LIVEが終わってステージ裏に戻ると、真っ先にプロデューサーが声をかけてきた。
 まだ会場は興奮冷めやらぬようで、ざわめきがこちらまで届いてくる。


「どうだった?」


 こうやってプロデューサーに感想を聞くのは、いつものこと。
 だけど、この人はいつも決まってこう言う。


「はい。とても素晴らしい、良いLIVEでした」
「……ん」


 今回のLIVEは、私だけのソロLIVE。
 少し緊張したけど、プロデューサーが見ていてくれたから、不安は無かった。
 だって、私が見ていてって言ったのに、かっこ悪い所は見せられないし、ね。



「きゃあああああっ!?」
「うわあああああっ!? なんだ、このバケモノは!?」



 そんな私達の耳に、明らかに、普通とは思えない叫び声が飛び込んできた。
 何か、あったのかな?
 それに、バケモノって……一体、何のこと?


「――渋谷さん。すぐに、避難を」


 プロデューサーは、真っすぐにステージに向かいながら、背中越しに言った。
 その歩みには一切の淀みが無く、まるで、何かを察しているかのよう。


「避難って……アンタ、どこへ行く気!?」


 避難するなら、そっちじゃないでしょ!?


「私は……プロデューサーですから」


 何それ……全然答えになってない!
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 14:03:35.16 ID:TYMGDyEUo

「意味がわからない! プロデューサーだから、何なの!?」


 必死でプロデューサーに追いすがり、スーツの上着を掴んだ。
 すると、プロデューサーはこちらを見ることなく、首筋に手をやり、言った。


「今回のLIVEは、とても素晴らしいものでした」


 そんなの、関係無い。
 だって、わからないけど……会場では、絶対に変なことが起きてる。
 それなのに、アンタがそこに向かう理由は何なの?


「ちゃんと説明して!」
「その、素晴らしいLIVEを最後まで見届けるのが、私の役目です」


 プロデューサーは、ゆるんだ私の手を振りほどき、また歩みを進めた。



「助けて! 誰か、誰かあああああ!」
「うわあああああ! 来るなっ、来るなあああああっ!」



 待って。
 待って、待って、待って、待って!


「……渋谷さんは、避難を早く」


 低い、いつもの声がより一層低くなった。


「……逃げないでよ!」


 逃げようよ、一緒に!
 アンタ、私のプロデューサーでしょ!?


「逃げるのでは、ありません」


 プロデューサーは、上着のボタンをプチリプチリと外し、上着を翻した。


「戦うのが、プロデューサーの務めです」


 その腰元では、大きな銀色のベルトが、輝きを放っていた。
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 14:18:21.87 ID:TYMGDyEUo
  ・  ・  ・

「助けて……! 誰か……誰か……」
「うああ……力が……力が入らない……」


 LIVE会場は、ひどい有様だった。
 会場の一角を中心に張り巡らされた、白い巨大な糸。
 それに捕らえられた人達は身動きすら出来ず、助けを求め続けている。


「――アナタが、これを?」


 プロデューサーが、白い巨大な糸の中心に立つ影に問いかけた。
 その影は人の形をしているが、シルエットが似ているというだけで、明らかに違う。


「SYAAAAAAAAAA!!」


 影――クモの異形の怪人は、此処は自分の巣だと言うように、咆哮した。
 耳をつんざくようなその咆哮は、ビリビリと会場を震わせる。
 それを聞いた、捕まった人達の上げた悲鳴が、絶望をより加速させていく。


「申し訳、ありません。今すぐに、お引き取り願います」


 しかし、プロデューサーはそれを何一つ意に介さず、平坦な口調で言い放った。
 クモの怪人は、ひるまなかったその様子が気に食わなかったのか、
シュルシュル、獲物を前に舌なめずりするかの様な音を上げた。


「聞き入れては、貰えませんか?」


 プロデューサーの、再度の問いかけ。


「SYAAAAAAAAAA!!」


 クモの怪人は、それに咆哮で応えた。


「……」


 プロデューサーは、右手を首筋にやると、少し困ったような顔をした。


「――それでは、少し強引な手段をとらせていただきます」
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 14:36:36.47 ID:TYMGDyEUo

 強引な手段?
 こんな、異形のバケモノを相手に、一体何が出来るというのか。
 悪夢の宴を終わらせられるような何かが、彼に出来るというのか。


「……」


 プロデューサーは、右のポケットからスマートフォンを取り出した。
 そして、ホームボタンを素早く三回押し、画面を起動。
 流れるように、暗証番号を画面を見ずに打ち込んでいく。


 ――3――4――6!



『LIVE――』



 スマートフォンから、どこかで聞いたことのある女性の声が聞こえた。
 プロデューサーは、スマートフォンを銀色のベルトにかざし、



「変身ッ!」



 言った。



『――START!』



 彼の体を光が包み込んでいく。
 光の粒子はやがて形を成していき、プロデューサーに鎧を纏わせた。


 鎧は黒を基調としたもので、所々白い箇所もあり、まるでスーツのよう。
 すっぽりと全身を覆うその鎧の胸元では、
ピンクと、ブルーと、イエローの宝石のような物が輝きを放っている。
 プロデューサーが今、どんな顔をしているのかは、
目付きの悪いぴにゃこら太のようなフルフェイスに覆われ、見ることは出来ない。


「……」


 だけど、きっと、いつもの無表情に違いない。
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 14:43:55.00 ID:ULS5uIaSO
ぴにゃぴっぴ
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 14:54:30.90 ID:TYMGDyEUo

「SYAAAAAAAAAA!!」


 明らかに、クモの怪人の空気が変わった。
 圧倒的捕食者の立場だと思っていたが、目の前の男は違う。
 この男は、ただ逃げ惑い、食われるだけのウサミン星人では、無い。


「SYAAAA!!」


 クモの怪人は、人間では……いや、生物ではあり得ない跳躍を見せた。
 数メートル程高く跳び上がったクモの怪人は、
放物線の軌道を描き、プロデューサーへ向けて異形の右腕を振り下ろそうとした。
 が、


「善処します!」


 プロデューサーは腰を落とし、真正面からそれを拳で迎撃。
 ぶつかり合う右腕と右腕。
 しかし、両者にもたらされたのは、あまりにも違いすぎる結果。


「GYAAAAAAA!?」


 クモの怪人の右腕は有り得ない方向に折れ曲がり、


「……」


 一方、プロデューサーの纏う鎧には傷一つなく、拳を放った体勢から微動だにしていない。


「GURYUUUUU……!」


 クモの怪人は、折れた自分の右腕に糸を巻きつけ、固定。
 しかし、先程までの勢いは完全に削がれていて、ジリジリとその足を後退させている。
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 15:12:37.71 ID:TYMGDyEUo

「……勝てる」


 プロデューサーなら、あのクモの怪人に勝てる。
 そう思った瞬間、私の口から思わず言葉が漏れた。


「!?」
「!」


 私の声に、反応が二つ。
 一方は、鎧を纏ったプロデューサー。
 そしてもう一方は、


「SYAAAAAAAAAAA!!」


 クモの怪人だった。


「っ!?」


 クモの怪人の8つの目全てが、私を捉える。
 本能的な恐怖から足がすくみ、逃げようと思っても足に力が入らない。
 それでも逃げなければと思い足を動かそうとしてみたものの、その場で尻もちをついてしまう。


「SYAAAAAAAAAAA!!」


 クモの怪人は、咆哮と共に口から液体を私に飛ばしてきた。
 あれは、消化液だ。
 吐き出した時に散った飛沫が落ちた床が、ジュウジュウと音を立てて溶け出している。
 それをスローモーションの様に確認出来るのは、私に消化液が――死が迫っているからか。


「――っ!」


 理由が何にせよ、私は、あれを体に浴びて、終わる。
 万に一つ命が助かったとしても、アイドルを続けるのは絶望的だろう。
 ……ごめんね、皆。
 私、アイドル続けられなくなっちゃうよ。


「――ぐおおおおおっ!?」


 だけど、そんな私を守る、一つの影があった。
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 15:26:35.78 ID:TYMGDyEUo

「――渋谷さん、お怪我はありませんか?」


 なんで。


「アンタ……私をかばって……?」


 なんで。


「見たところ、異常は無いようです。ですが、この後、医務室に――」
「私じゃなくて! 今、大変なのはアンタでしょ!?」
「……」


 プロデューサーの背中から、ジュウジュウと何かが溶ける音が聞こえてくる。
 この人は、私をあの消化液からかばって、こうなった。
 それなのに、いつもみたいに右手を首筋にやって、私を見て困っている。


「……渋谷さん」


 そして、


「笑顔です」


 いつもの台詞を口にする。


「笑顔って……そんなの、出来っこない!」


 自分を庇って傷ついた人に向けて笑顔なんて、出来ない!
 この状況で笑ってられるのが、アイドルだって言うの!?


「……私は、貴女の笑顔を見続けて行こうと思っています」


 プロデューサーは、立ち上がり、私に背を向けた。


「今までも――」


 振り返らず、


「――そして、これからも」


 前を向いて。
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 15:45:18.66 ID:TYMGDyEUo

「ふっ――!」


 プロデューサーが、クモの怪人に向かって駆け出す。
 背中からあがる煙を置き去りにするかの様な速度に、クモの怪人は反応出来ない。


「――企画!」
「GYAAAAAA!?」


『Cute!!』


 ピンク色の光を纏ったプロデューサーの拳が、クモの怪人の腹部に突き刺さった。
 よろめくクモの怪人の頭部に、


「――検討中です!」
「GYUUUUUU!?」


『Passion!!』


 今度は、イエローの光を纏った拳が突き刺さる。


「GUUU……OOOOOOOOOO!!!」


 クモの怪人はひるみながらも、両手を振り上げ、プロデューサーに襲いかかった。
 その攻撃は、正に命を賭したもの。


「……」


『CoooooooooooL!!!』


 ブルーの光を纏った、プロデューサーの右足。
 その右足が高く振り上げられ、クモの怪人に叩き込まれた。


「せめて!」


 断末魔の叫びを上げながら、クモの怪人は光の粒子となって消えていく。


「……名刺だけでも」


『LIVE SUCCESS!!』
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 15:46:33.33 ID:TYMGDyEUo
休憩
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 16:12:07.54 ID:TYMGDyEUo
  ・  ・  ・

「……なんかさ、最近しぶりん」
「?」


 プロジェクトルームでゆっくりしていたら、未央にしては珍しく歯切れ悪く切り出してきた。
 視線を向けてみるものの、続く言葉が来ない。
 もう、一体何? 途中でやめられると、気になるんだけど。


「凛ちゃん……その、ですね」
「卯月までどうしたの」


 二人共、なんでそんなに言いにくそうにしてるの。
 もしかして、気付かない内に何か二人にしてた?


「ぷっ、プロデューサーと……!」
「……みょ、妙に仲が良くないですか!?」


 二人の予想外の言葉に、驚く。
 冗談やお巫山戯でない、二人の真剣な様子がおかしくて、クスリと笑いが溢れる。


「そう?」
「そうだよ! 何か、この前のソロLIVEの後から何か違うもん!」
「はい! 明らかに、こう、距離が近くなったように見えます!」
「そうかな。自分では、よくわからないけど」


 距離が近くなった、とは少し違うかもしれない。
 私は、二人の知らない、プロデューサーの秘密を知っているだけだ。
 もしかしたら、この二人もいつかはそれを知る事になるのかもしれない。
 だけど、口止めされてるし、変に怖がらせる必要は無いよね。


「白状しなさい、しぶりんや! ソロLIVEの時、何があったのか!」
「教えてください、凛ちゃん! まっま、ま、まさか……!?」


 ごめんね、未央、卯月。
 今は、まだ――


「内緒」



おわり
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 16:21:28.04 ID:TYMGDyEUo
ゴハンいてきます
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 18:06:53.29 ID:ji1zqeIsO

やっぱりしぶりんがヒロインだってはっきりわかんだね
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 20:04:41.19 ID:TYMGDyEUo
これ書いてて楽しいので続けます
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 20:15:43.44 ID:TYMGDyEUo

「「「私達、ピンクチェックスクールを――」」」


 大勢の記者さんに向けて、三人でせーのと掛け声を合わせ、


「「「よろしくお願いしますっ♪」」」


 精一杯の笑顔で、挨拶しました。
 練習通り、いえ、練習以上にうまくいったので、とっても嬉しいです。
 降り注ぐフラッシュとシャッター音の中、私は美穂ちゃん、響子ちゃんに笑いかけました。


「「「……エヘヘ」」」


 二人共同じ様に感じていたのか、自然と三人で笑い合う形に。
 私は今、階段を駆け上がっている最中です。
 皆と……そして、この二人とも一緒に。


「……」


 そして、私をアイドルにしてくれた、プロデューサーさんと一緒に。
 そう思うと、会場の隅で控えているプロデューサーさんに自然と目が行きます。
 いつも通りの黒いスーツに、無表情。
 背が高いから、探さなくてもすぐにわかりました。
 プロデューサーさん、私、今、とっても楽しいで――



「うわあああああっ!?」
「なんだ!? コウモリが急に……あっ、あああああっ!?」



 ――会場に響く、大きな悲鳴。
 明らかに普通ではないその様子に、私達は顔を強張らせました。
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 20:30:43.05 ID:TYMGDyEUo

 記者さん達の居る所から、キーキーという鳴き声が聞こえてきます。
 その鳴き声はどんどん増え、一瞬の静寂の後……ブワリと、コウモリが飛び立ちました。
 会場中を埋め尽くす程の大量のコウモリの群れに、沢山の悲鳴。
 全員、パニックに陥っていました。


「なっ、ななな、何あれ……!?」


 当然、私達も平気ではいられませんでした。
 何か、とんでもない事が起こっているのはわかります。
 だけど、どうしたら良いか、わかりません。
 美穂ちゃんも響子ちゃんも、ガタガタと体を震わせています。


「――皆さん、すぐに避難を」


 だけど、私は怖くありませんでした。


「プロデューサーさんっ!」


 だって、こちらに向かってくる、プロデューサーさんが見えていたから。
 私はプロデューサーさんの元に駆け寄り、聞きました。


「あ、あのっ! 何か、出来ることはありませんか!?」


 私の口を突いて出たのは、そんな言葉でした。
 こんな状況で、私達に出来る事なんて無いのはわかってます。
 だけど、記者さん達は、私達のために集まってくれたんです。
 だから、せめて、何か……!


「……」


 プロデューサーさんは、困ったように笑いながら、右手を首筋にやりました。
 呆れてます、よね。
 でも、だけど、私は……プロデューサーさんが選んでくれた、アイドルだから――!


「笑顔です」


 プロデューサーさんは、上着のボタンをプチリプチリと外し、上着を翻し言いました。
 その腰元では、大きな銀色のベルトが、輝きを放っています。
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 20:44:11.85 ID:TYMGDyEUo
  ・  ・  ・

「あ……うあ……!」
「……誰か……助け……」


 コウモリに襲われた記者さん達が倒れています。
 よく見ると、その体にはコウモリに噛まれた痕があり、とても痛そうです。
 その中心に、一つだけ立つ、大きな影。


「――申し訳ありません。今は、会見の最中です」


 プロデューサーさんの靴音が、カツリカツリと聞こえます。
 他にも音がするのに、何故か、プロデューサーさんの声がハッキリと聞こえるんです。


「KYUUUUUUUAAAA!!」


 大きな影――コウモリのような姿をした怪人が、その両手を大きく広げました。
 そうしただけなのに、腕と体を繋ぐような形の翼が、その怪人の姿をとても大きく見せます。
 プロデューサーさんも大柄だけど、それよりももっと大きく。
 実際、コウモリの怪人はプロデューサーさんよりも大きいから、余計に大きく感じます。


「今すぐに、お引き取りを」


 表情を変えず、プロデューサーさんが言い放ちました。
 私は、その背中をただ遠くから見ているだけ。
 ただそれだけなのに、その背中が、とても頼もしく見えました。


「KYUUUUUOOOO!!」


 コウモリの怪人が、そんなプロデューサーさんを威嚇するように吠えました。


「……」


 話の通じる相手ではないと、プロデューサーさんもわかっていたようです。
 それでも声をかけたのは、何か理由があったのかもしれません。
 プロデューサーさんは、右手を首筋にやり、少し困った顔をしていました。


「――それでは、少し強引な手段をとらせていただきます」
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 20:50:51.32 ID:TYMGDyEUo

「……」


 プロデューサーさんは、右のポケットからスマートフォンを取り出しました。
 そして、ホームボタンを素早く三回押し、画面を起動。
 流れるように、暗証番号を画面を見ずに打ち込んでいきます。


 ――3――4――6!


『LIVE――』


 スマートフォンから、どこかで聞いたことのある女性の声が聞こえました。
 こういうの、ええと、複合音声って言うんでしたっけ。
 プロデューサーさんは、スマートフォンを銀色のベルトにかざし、



「変身ッ!」



 言いました。



『――START!』



 その体を光が包み込んでいきます。
 光の粒子はやがて形を成していき、プロデューサーさんに鎧を纏わせました。


 鎧は黒を基調としたもので、所々白い箇所もあって、まるでいつものスーツ姿のようです。
 すっぽりと全身を覆うその鎧の胸元では、
ピンクと、ブルーと、イエローの宝石のような物が輝きを放っています。
 プロデューサーさんが今、どんな顔をしているのかは、
目付きの悪いぴにゃこら太のようなフルフェイスに覆われ、見ることは出来ません。


「……」


 だけど、きっと、いつもの無表情に違いありません。
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 21:01:15.29 ID:TYMGDyEUo

「KYUUUUUUOOOOOO!!」


 コウモリの怪人が、変身したプロデューサーさんを威嚇しています。
 だけど、プロデューサーさんはそれを気にせず、カツカツと歩みを進めます。


「KYUUUU!!」


 コウモリの怪人の叫び声に命令されたかのように、
大量のコウモリが一斉にプロデューサーさんに襲いかかりました。
 危ない! と、そう思った次の瞬間、


「善処します!」


 プロデューサーさんは体を翻し、
襲い来るコウモリ達をチョップで全て叩き落としました。
 叩き落とされたコウモリ達は、
地面に落ちると同時に、光の粒子となって消えてしまいました。


「KYUUUOOOO……!」


 コウモリの怪人がそれに驚いたのが、私にもわかりました。


「……」


 プロデューサーさんは、また、カツカツとコウモリ怪人へ向かって歩みを進めます。


「KYUAAAAAAA……!」


 まるで、来るなと言うようなコウモリ怪人の鳴き声。
 けれど、それを聞いてもプロデューサーさんの歩みは止まりません。


 
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 21:13:39.82 ID:TYMGDyEUo

「……凄い……あれ、あれ、あのまま倒せちゃいそう!」
「シンデレラプロジェクトの、プロデューサーさん……凄いです!」


 美穂ちゃんも響子ちゃんも、目を輝かせています。
 勿論、私もプロデューサーさんから目が離せません。


「KYUUUUUUOOOOOO!!」


 だけど、そんな私達にコウモリ怪人が目を付けたようです。
 今までよりもひときわ大きな声で鳴くと、
コウモリの大群が、一斉にこちらに向かってきます。


「「ひっ!?」」


 それを見て、二人共悲鳴を上げました。
 だけど、私は表情を変えません。
 だって、プロデューサーさんは私に言ったんです。


 ――私に出来るのは笑顔だ、って。



「――皆さん、お怪我はありませんか?」



 いつの間にか私達の前に立ちふさがった、大きな背中。
 その背中越しに聞こえるのは、いつもより優しい口調の声。


「はいっ♪」


 島村卯月、笑顔で頑張りました!
 この笑顔……背中越しでも、届いてますか?
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 21:25:14.06 ID:TYMGDyEUo

「プロデューサーさんが、守ってくれるって信じてました」


 プロデューサーさんの足元から、キラキラと光の粒子が舞い上がっています。
 こんな状況でちょっと不謹慎かも知れません。
 だけど、それがとっても綺麗で、私はドキドキしちゃいました。


「……」


 右手を首筋にやると、プロデューサーさんはコウモリ怪人に向かって駆け出しました。
 それがなんだか照れて逃げ出す子供みたいに見えたのは、気のせいでしょうか。


「KYUUUOOOOOO!!」


 コウモリの怪人が叫びながら、その手をプロデューサーさんに叩きつけます。
 だけど、鎧には傷一つつく事なく、二つの影の距離はゼロになり、重なりました。


「アイドルには手を触れないでください!」


 プロデューサーさんが叫びました。
 その声は、今まで聞いたことのない、怒った声です。


「――企画!」
「KYUUUUOOO!?」


『Cute!!』


 ピンク色の光を纏ったプロデューサーさんのパンチが、コウモリ怪人のお腹に突き刺さります。


「――検討中です!」
「KYUUUAAAA!?」


『Cute!!』


 そして、続けざまに、またピンク色の光が軌跡を描き、同じ箇所に叩き込まれます。
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 21:25:34.61 ID:BLl1VRwcO
漫画で読みたい
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 21:44:46.23 ID:TYMGDyEUo

「KYUUUOOOOO……!」


 コウモリの怪人は、その体を大きくよろけさせました。
 そして、プロデューサーさんからは見えないように、でしょうか。
 背中から、小さなコウモリが飛び立ちました。


「……」


『Cuuuuuuuuuute!!!』


 今までよりも、一際大きなピンクの光を纏った、プロデューサーさんの右手。


『Groove!!!』


 その右手が真っ直ぐに突き出され、コウモリ怪人のお腹にパンチ。


「せめて!」


 コウモリ怪人は何一つ言葉を発する事無く、光の粒子になって消えていきます。


「……名刺だけでも」


『LIVE SUCCESS!!』
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 21:57:15.33 ID:TYMGDyEUo
  ・  ・  ・

「おかしい!」


 未央ちゃんが、テーブルをダンッと叩き叫びました。
 それにビックリして変な声が出ちゃいました……うぅ、恥ずかしいです。


「どうしたの未央、急に大声出して」
「ごっ、ごめん」
「気をつけてよね」
「うん、気をつける……じゃなくって!」


 凛ちゃんが注意してくれましたけど、未央ちゃんの興奮は収まりません。
 一体、何が原因なんでしょう?


「しぶりんがプロデューサーに最近お熱だったじゃん?」
「何言ってるの。そんなんじゃないから」
「それに続いて、しまむーまで!」
「わ、わわっ、そんなんじゃないですよー!?」


 私がプロデューサーさんにお熱だなんて……はうぅ、顔が熱くなっちゃいました。
 確かに、あの事があってからプロデューサーさんとはよく話しますけど、
お、お熱とかそういうんじゃなくて……その、あ、あははは。


「そこまではまだ良いよ!? でも、なんで、みほちーやきょーちゃんまで!?」


 あの一件以来、美穂ちゃんと響子ちゃんもプロジェクトルームに顔を出すようになりました。
 私は二人とお話する機会が増えて嬉しいし、良い事だと思うんです。
 ……なんだか、ちょっとモヤモヤしますけど。


「ねえ、二人共、私に何か隠してない!?」
「あー……あははは」


 ごめん、未央ちゃん!
 あの時の事は誰にも言っちゃいけないって、口止めされてるんです!
 だから――


「この前も言ったでしょ、未央」
「――内緒です♪」



おわり
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 22:00:25.19 ID:TYMGDyEUo
休憩
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 22:28:40.32 ID:XFQ/o65M0
>>278の最初のセリフだけ読んで一瞬未央が黒幕なのかと思ってしまったww
おつ
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/11(木) 23:49:22.12 ID:TYMGDyEUo

「ねえ、私に隠し事してるでしょ!?」


 喫茶店の奥、私はプロデューサーに詰め寄った。
 思いの外大声が出てしまい、慌てて回りのお客さん達に頭を下げる。


「……」


 目の前に座るプロデューサーは、右手を首筋にやって困り果てている。
 だけど、この困り方は説明に困っている訳ではない。
 どうやって誤魔化せば良いのかと思案する困り方だ。


「……しまむーも、しぶりんも何か知ってるみたいだし」


 私だけ、仲間はずれにされている。
 あの二人の事だし、このプロデューサーだ。
 話せない事情があるのはなんとなくわかるし、それが悪意の無いものだともわかる。
 ……でも、やっぱり寂しいじゃん。


「本田さん……申し訳、ありません」


 プロデューサーの答えは、私の望むものではなかった。
 思わず俯いてしまったが、顔を上げた時、どんな表情をすればいいのだろう。
 わかんない……全然、わかんないよ。



「きゃああああああっ!?」
「なんだこのバケモノは!? やめ、くっ、くるなあああ!!」



 外から聞こえる、大きな悲鳴。
 それにハッとなって顔を上げた時、プロデューサーはいつになく険しい表情をしていた。
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 00:01:46.82 ID:kXQoLy7No

 悲鳴は、どんどんこの喫茶店に近づいてくる。
 何かが、ここへ向かってきている?
 私達以外の人もそれに気づいたのか、一目散に喫茶店から逃げ出していった。
 そして、中に居るのは私と、プロデューサーだけ。


「ねえ……何が、起こってるの……!?」


 プロデューサーに聞いても、わからないかもしれない。
 だけど、私には妙な確信があった。
 プロデューサーだったら、私の疑問に答えてくれるんじゃないか、って。
 自分でも変だと思うけどさ、そう、思ったんだよね。


「――本田さん。少し、隠れていてください」


 険しい表情から一転、穏やかな表情。


「プロデューサー……?」


 隠れてろって、プロデューサーはどうするの?
 ねえ、ちょっ、ちょっと待って、どこに行く気!?


「隠し事……というつもりは、ありませんでした」


 プロデューサーは、上着のボタンをプチリプチリと外し、上着を翻した。


「申し訳ありません。貴女に、寂しい思いをさせてしまっていたと、気付かず」


 その腰元では、大きな銀色のベルトが、輝きを放っていた。
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 00:08:49.09 ID:kXQoLy7No
「……しかし、可能な限り、知られたくはありませんでした」


 プロデューサーは、右のポケットからスマートフォンを取り出した。
 そして、ホームボタンを素早く三回押し、画面を起動。
 流れるように、暗証番号を画面を見ずに打ち込んでいく。


 ――3――4――6!



『LIVE――』



 スマートフォンから、どこかで聞いたことのある女性の声が聞こえた。
 あの二人分の声、なんだか、どこかで聞いたことある気が……。
 プロデューサーは、スマートフォンを銀色のベルトにかざし、



「変身ッ!」



 言った。



『――START!』



 プロデューサーの体を光が包み込んでいく。
 光の粒子はやがて形を成していき、プロデューサーに鎧を纏わせた。


 鎧は黒を基調としたもので、所々白い箇所もあり、まるでスーツのよう。
 すっぽりと全身を覆うその鎧の胸元では、
ピンクと、ブルーと、イエローの宝石のような物が輝きを放っている。
 プロデューサーが今、どんな顔をしているのかは、
目付きの悪いぴにゃこら太のようなフルフェイスに覆われ、見ることは出来ない。


「……」


 だけど、私には、フルフェイスの向こうでプロデューサーが悲しげに微笑んでいる気がした。
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 00:25:07.59 ID:kXQoLy7No
  ・  ・  ・

「助けて……痛い……痛いよぉ……!」
「母さん……母さん……!」


 喫茶店の外は、惨憺たる光景が広がっていた。
 背中や腕から血を流す人たちが地面に倒れ伏し、苦痛に喘いでいる。
 倒れ伏す母親に泣き縋る、小さな子供も居る。


「――これは、アナタがやった事ですね」


 プロデューサーが、その光景を作り出した張本人と思わしき人影に言い放った。
 確信を持って言えるのは、その人影の頭部と手から、赤い血が滴っていたから。


「GRRRRRRRRR!!」


 その人影の頭部は肉食獣――ヒョウのような怪人で、獰猛な唸り声を上げている。
 それに対するプロデューサーに一切の動揺は無く、あるのはただ、


「……」


 黒い鎧越しにもビリビリと伝わってくる、怒りのみ。
 直接顔を見ている訳ではないのに、
初めて触れるプロデューサーの怒りに、私は、ほんの少し恐怖した。


「私は、誰かを憎いと思った事はありません」


 プロデューサーの声が、低く、低くなった。


「――ですが、アナタと共に歩む事は、不可能なようです」


 それは、問答無用の、敵対宣言。
 プロデューサーが、ヒョウの怪人に向けて、駆け出した。
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 00:38:26.00 ID:kXQoLy7No

「ふっ――!」


 鎧を纏っているとは思えない程の、高速の踏み込み。
 けれど、ヒョウの怪人はそれに反応し、大きく後ろに跳躍した。


「GURRRRRRRR……!」


 ヒョウの怪人は警戒してか、プロデューサーの周囲を回るように足を動かしている。
 それはまるで、本物の猛獣が獲物に飛びかかる前の動作。
 いまのやりとりを見た限りでは、ヒョウの怪人の方が動きが速い。


 ――プロデューサー、逃げて!


 そう、心の中で思う。
 だけど、肝心の言葉が口から出てこない。
 私は怖い。
 ヒョウの怪人だけじゃなく、それに立ち向かっている、プロデューサーも。


「GURRRRRRR……!」


 ヒョウの怪人の唸り声が、どんどん大きくなる。
 その声でもって、相手を威嚇し、萎縮させようとしているのだろう。
 現に、その声を向けられたわけではないのに、私の足は震えが止まらない。
 だけど、プロデューサーは違った。


「歌は、得意のようですが――」


 ポツリと、ヒョウ怪人に向けて、


「――ダンスの方は、苦手なのでしょうか?」


 かかって来ないのかと、そう言わんばかりの挑発をした。


「GRUUUUUUUOOOOOOOO!!」


 それを聞いたヒョウ怪人は、大きく咆哮した。
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 00:53:25.19 ID:kXQoLy7No

「GRRRRRROOOO!!」


 ヒョウの怪人が、高速でプロデューサーの周囲を円を描くように高速で移動する。
 そして、プロデューサーの視線が外れた一瞬を狙い、


「GRRRRRRR!!」


 飛び出し、その両手の大きな爪でプロデューサーに斬りかかる。


「ぐおっ!?」


 爪で切りつけられた場所からは火花が飛び散り、苦痛の声があがる。
 幾度となく繰り返されるその攻撃に、段々とプロデューサーの鎧にヒビが入っていく。


 このままじゃ、プロデューサーが殺されちゃう!
 なんで逃げないの!?
 そんなの投げ出して、早くそこから逃げてよ、プロデューサー!


「GUUUURRRRRROOOOOOO!!」


 ヒョウの怪人が、トドメと言わんばかりに、
大きく腕を振り上げプロデューサーに斬りかかった。
 あんなのを受けたら、ひとたまりもない。


「プロデューサー!!」


 私は、思わず声を上げた。



「――本田さん」



 ……しかし、ヒョウ怪人のツメはプロデューサーの体を捉える事は無く、
ガシリと、イエローに輝くプロデューサーの左腕によって拘束されていた。


「笑顔です」


 いつもの、プロデューサーの台詞。
 それを聞いて、私は頬を伝う涙に初めて気づいた。
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 01:04:13.11 ID:kXQoLy7No

「――おおおっ!」


 プロデューサーが、ヒョウ怪人を左腕で捕らえたまま叫び声を上げた。
 いかに素早く動けるとは言え、こうなってしまっては、為す術がない。


「――企画!」
「GYAAAAAA!?」


『Cute!!』


 ピンクの光を纏ったプロデューサーの右拳が、ヒョウ怪人の腹部に突き刺さった。
 くの字に折れ曲がるヒョウ怪人の体が、


「――検討中です!」
「GYAAAAAAAAA――!?」


『CooL!!』


 ブルーの光を纏った右足によって、天高く蹴り上げられた。


「AAAAAAAAOOOOOOOO!!?」


 暴れるものの、ヒョウ怪人の手足は空を切るだけ。
 その上昇が頂点に達しようとした時、


「……」


『Passioooooooon!!』


 イエローの光を纏った、プロデューサーの左手。
 その手は親指と人差し指を立て、銃を模したような形をしていた。


「せめて!」


 プロデューサーの左手から、流星の様にイエローの光が放たれた。
 それに撃ち抜かれたヒョウ怪人の体は光の粒子となり、地上に降り注いだ。


「……名刺だけでも」


『LIVE SUCCESS!!』
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 01:20:19.82 ID:kXQoLy7No
  ・  ・  ・

「ちょっと未央」
「未央ちゃん、説明してください」


 しぶりんとしまむーが、二人して詰め寄ってくる。
 いやー、この前は逆の立場だったのに、不思議なもんだねー!


「説明って、何の?」
「とぼけないで」
「プロデューサーさんに、お弁当作ってきたんですよね!?」
「うんうん。我ながら、だし巻き卵が絶品だったと思うんだよね!」


 あの後、プロデューサーからこれまでの事を全部聞いた。
 そしたらさ、何ていうか、頑張ってるプロデューサーに何かしてあげたいな、って。
 最初は断られたんだけど、そこは未央ちゃんって事ですよ!


「「……!」」


 私の答えを聞いて、二人は言葉を失ったようだ。
 はっはっは、キミ達! 行動に移したもん勝ちだよー?


「明日は、私が作ってくるから」
「凛ちゃん、ずるいです! じゃ、じゃあ私は明後日!」
「それじゃあ、私はまた卯月の次の日ね」
「ちょいちょーい!? そこは私じゃないの!?」


 私は、今でもプロデューサーがちょっと怖い。
 あんな怪物に立ち向かうのなんて、誰にでも出来る事じゃない。
 理由を聞いてみたんだけど、プロデューサーだから、とした答えてくれなかったんだよね。


「もー! 二人共、順番決めるよ!」


 だから、これからプロデューサーの事をもっと知っていこうと思う。
 それが、私の出した結論だ。
 そして、もし怖くなくなった時、その時は……あれ?
 そしたら、そうなったら……


「未央ちゃん、なんだか顔が赤いですよ?」


 何でもない! と、思わず大きな声が出た。



おわり
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 01:23:38.67 ID:kXQoLy7No
趣味全開、最高ですね!
おやすみなさい
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 09:06:14.16 ID:HUI6281fo
かっこいい
ファイズ思い出した懐かしい
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 16:27:13.43 ID:esHi0d30O
数字入力して変身するのはファイズっぽいよね
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 22:31:51.88 ID:kXQoLy7No
555良いすな、書きます
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 22:42:44.35 ID:kXQoLy7No

「私を置いて……早く逃げてください……!」


 私達は、森の中を逃げている。
 道は無く、ガサリガサリと生い茂る葉が肌に刺さる。
 だけど、止まる訳にはいかない。


「いいえ……! それは出来ません……!」


 こんな風になるとは思って無かったけど、スニーカーを履いてて良かったわ。
 それに、スカートじゃなくてパンツスタイルなのも。
 ふふっ、不幸中の幸いっていうのは、こう言う事よね。


「高垣さんだけでも、早く……!」


 苦痛に喘ぐ声が、すぐ側から聞こえる。
 それは当たり前よね、だって、私がこの人を支えながら歩いてるんですもの。
 だけど、まだ歩ける程の怪我で良かった。
 そうでなかったら、私の細い手足じゃこの人を引きずるなんて出来ないし。


「しつこいですよ……! 見つからないよう、しーっ、ついてこい……!」


 本当、弱音を吐くだなんてらしくないじゃないですか。
 おかげで、私の駄洒落もちょっとイマイチな出来になっちゃいますよ。
 ……って、そんな状況じゃないのは、わかってるんです。



「SYAAAAAAAAAAA!!」
「GRRRRROOOOOOO!!」
「KYUUUUOOOOOOO!!」



 遠くから、とっても大きな鳴き声が、3つ。
 さっきよりも、どんどん近づいてきてるのが、わかる。
 だから、急いで逃げなくちゃ。
 そうしないと、私だけでなく、この人まで殺されてしまう。
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 22:55:31.69 ID:kXQoLy7No

「……あっ!?」


 急ぐ気持ちが足元を疎かにしていたのか、木の根に足を取られてしまった。
 披露で棒のようになってしまった足では、こらえきれない。


「っ……!」


 傾く私の体を支えたのは、支えられていたはずの彼。
 しかし、急に無理な動きをしたためか、その顔は盛大にしかめられた。
 だけど、倒れそうになった私の体の前に差し出された腕は、
私の体重がかかっているにも関わらず、微動だにする事は無い。


「……お怪我は、ありませんか?」


 そういう自分の方は、どうなんですか?
 私を逃がすために、怪人たち三体と戦って、ボロボロじゃないですか。
 スーツの袖は片方取れかかってるし、あちこち、傷だらけ。
 私を心配そうに見る顔の頬からは、未だに血が滴り落ちている。


「はい、おかげ様で」


 だけど、この人はそれを指摘しても無駄なのだ。
 この人は、プロデューサーとして、アイドルを一番に考える。
 アイドルのためならば、自分はどうなっても良いと……そう、本気で考えているのだ。


「……――私が、奴らを食い止めます」


 彼は、そっと体を離すと、来た道を戻るべく、私に背を向けた。


「私だけ逃げろと……本気で仰ってるんですか?」


 そんな彼の背中に、問いかける。


「貴方を犠牲にして、私だけ生き残れと……そう、言うつもりですか?」


 再度、彼の背中に、問いかける。


「……高垣さん?」


 彼が振り向いた時、私は、今まで誰にも見せたことのない表情をしていたと思う。
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 22:56:58.33 ID:kXQoLy7No
誤)>披露で棒のようになってしまった足では、こらえきれない。

正)>疲労で棒のようになってしまった足では、こらえきれない。
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 23:10:24.65 ID:kXQoLy7No

「残念ですが……そのお話、お受け出来ません」


 私は、彼の提案を完全に突っぱねた。
 驚いたわ、この人は私がその提案を受けると思ってるのかしら。


「ですが……!?」


 だとしたら、


「貴方は――」


 それは、アイドル、高垣楓の事をわかっていなさすぎる。


「――プロデューサー、でしょう?」
「……」


 この人は、私が誰かを犠牲にして生き残っても、笑っていられると思うのかしら。
 そうだとしたら、飲み屋でお酒を飲みながらお説教をしないといけないわ。
 お猪口でちょこっとだなんて、とんでもない。
 ビールを浴びーる程飲みながら、叱ってやらなくっちゃ。


「アイドルから笑顔を奪うのは、プロデューサーの仕事ですか?」
「しかし……!」


 ペチリ。
 ……人のほっぺたを叩いたのなんて初めてだから、手加減しすぎちゃった。


「……」


 だけど、彼は叩かれた頬に手を当てて、呆然とこちらを見ている。
 うふふっ! どうやら、思った以上に効果があったみたい!


「しゃんとしてください」


 貴方がプロデューサーとしての使命を全うしようと言うのなら、


「貴方の前に居るのは、アイドル、高垣楓ですよ」


 私も、笑顔のために命を賭けようじゃありませんか。
 案外、ビギナーズラックでなんとかなると思うんです。
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 23:24:58.57 ID:kXQoLy7No

「……申し訳、ありませんでした」


 彼の顔に、生気が漲った。
 傷だらけで、疲れ果てているはずなのに、とても綺麗なお辞儀。
 もう、今はそんな事してる場合じゃないでしょう?


「いいえ。こちらこそ、叩いてしまってすみませんでした」


 だけど、私も彼のほっぺたを叩いてしまった。
 だから、その事はちゃんと謝っておかないと、ね。
 後で飲んでいる時に、グチグチ言われたら嫌だもの。


「……」


 彼は、上着を翻し、大きな銀色のベルトを露出させた。



「……私は、笑顔が得意ではありません」


 右のポケットからスマートフォンを。
 そして、ホームボタンを素早く三回押し、画面を起動。
 流れるように、暗証番号を画面を見ずに打ち込んでいく。


 ――3――4――6!



『LIVE――』



「――しかし、笑顔を守る事は出来る。そう、考えます」



 そう宣言すると、スマートフォンを銀色のベルトにかざし、



「変身ッ!」



 言った。



『――START!』
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 23:39:46.63 ID:kXQoLy7No
  ・  ・  ・

「SYAAAAAAAAAAA!!」
「GRRRRROOOOOOO!!」
「KYUUUUOOOOOOO!!」


 クモの怪人と、ヒョウの怪人が、コウモリの怪人を守るような位置取り。
 見れば、先の二人の怪人の体はボロボロで、まるでゾンビのよう。
 けれど、その動きはまるで生きている時そのまま。


「……先程は、お世話になりました」


 ズシャリと、彼が一歩前に踏み出す。
 此処は、工事が途中で中止になった採石場だろうか。
 彼は――いえ、私達は、追い詰められてここまで逃げてきたのではない。


「うふふっ♪ コテンパンに、やられちゃってましたものね」


 戦うために、此処に来たのだ。


「……」


 ……あっ、すみません。
 せっかく挨拶をしていたのに、余計な事を言ってしまいましたか?
 もう、首筋に手をやって困らないでください!
 顔が見えて無くても、その仕草をしたら困ってるって丸わかりなんですからね。


「高垣さん、避難を――」
「最前列で見るのが、最善です」
「……」


 さっき、あれだけ話したじゃないですか。


「うふふっ、頑張ってくださいね」


 ペチリ、と彼の背中を叩く。
 鎧に覆われた背中なのに、何故かあたたかく……そして、頼もしい背中を。


「はい……頑張ります」
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/12(金) 23:50:08.78 ID:kXQoLy7No

「SYAAAAAAAAAAA!!」
「GRRRRROOOOOOO!!」
「KYUUUUOOOOOOO!!」


 大きく咆哮する、三人の怪人。
 一度、手ひどくやられた相手だと言うのに、彼のどこにも不安は感じられない。
 ズシャリ、ズシャリと地を踏みしめるその足には、一切の淀みがない。


「このスーツには……私が、今まで起動出来なかった機能があります」


 ズシャリ、ズシャリ。


「何が欠けていたのか……それは、今でもわかりません」


 ズシャリ、ズシャリ。


「しかし、今の私ならば起動出来ると……そう、思います」


 ズシャリッ!



「笑顔を守るため――」



『……――Please!』



「――そのためならばッ!」



『Cinderella!!!』
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 23:56:27.36 ID:NTDlsdcno
映画の撮影かよ
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 00:09:41.24 ID:NJCIoJsqo

「……!」


 彼の体を包んでいた黒い鎧が、その形を変えていく。
 スライドした装甲の下は、金色に輝いている。
 その輝きは、まるで血液のように鎧を縁取り、白い箇所も金色に染めていく。
 胸に輝くのは、ピンクと、ブルーと、イエローの宝石。
 そして、その中心には、一際多きな輝きを放つ虹色の宝石が現れていた。


「……綺麗」


 思わず、こんな状況なのにその姿を美しいと思った。
 可愛らしいぴにゃこら太のようなフルフェイスの下で、彼はどんな顔をしてるのだろう。
 もしかしたら……うふふっ、苦手な笑顔をしてるかもしれないわね。



「SYAAAAAAAAAAA!!」


 そんな彼に、クモの怪人が大きく跳躍し、飛びかかった。
 けれど、


「――企画!!」


『CoooooooooooL!!!』


 ブルーの眩しい程の光を纏った右足が、叩き込まれた。
 ただそれだけで、さっきは彼をあんなに苦しめたクモの怪人が、
光の粒子となって消えていく。


『Full Combo!』


「GRUUUUUUUOOOOOOOO!!」


 その隙をつこうと、ヒョウの怪人が恐ろしいスピードで駆けてくる。
 それでも、


「――進行中です!!」


『Cuuuuuuuuuute!!!』


 ピンクの眩しい程の光を纏った右拳が、そのお腹に突き刺さる。
 ヒョウの怪人も、クモの怪人と同じように光の粒子となって消える。


『Full Combo!』
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 00:29:44.38 ID:NJCIoJsqo

「KYUUUUOOOOOOO!?」


 彼の、圧倒的な強さにコウモリ怪人は本能的に恐怖したのだろう。
 分が悪いと見るや、その大きな翼を広げ、羽ばたいた。


「――待ってください!」


 彼はそれを逃さず、銃の形にした左手から、イエローの眩い程の光を放った。


『Passioooooooon!!』


「KYUUU!? KYUUUOOOO!?」


『Perfect Combo!』


 イエローの光の直撃を受けたコウモリ怪人。
 ピンク、ブルー、イエローの光がコウモリ怪人を捕らえ、身動きをとれなくしている。
 何かをしようとしているように見えるけど、それも上手くいかないみたい。


「アンコールが残っています。まだ、席を離れぬよう、お願いします」


 彼はそう言うと、


「――ふっ!」


 大きく跳躍し、左足を前に突き出した。
 その左足は、今までよりも一際大きく――虹色に輝いている。
 彼の背中から、虹色の光が溢れ出し、一直線にコウモリ怪人に向かっていく。
 そして、まるで虹色の穂先の大きな槍の様に、


「せめて!」


 彼のキック、はコウモリ怪人の体に大きな穴を開けた。
 コウモリ怪人の体は、爆発したかのように、光の粒子となって消えていく。


「……名刺だけでも」


『LIVE SUCCESS!!』
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 00:43:39.70 ID:NJCIoJsqo
  ・  ・  ・

「ええと……こういう挨拶って、あまり得意じゃないのだけど」


 今日は、待ちに待った快気祝いの飲み会だ。
 誰のって、それは勿論決まっている。


「……」


 神妙な顔つきで、ビールのジョッキを手に持っているこの人の、だ。
 大体、どうして私が乾杯の挨拶をしなきゃいけないんです?
 誰の快気祝いだと思ってるんですか、全くもう!


「楓さん! いっちょ、カッコイイ所見せてください!」
「ちょっと未央、静かにしなって」
「そ、そうですよ!」


 未成年の後輩達は、ジュースで乾杯。
 お祝い事だもの、こういう時はパーッとやらないと駄目よね。


「……今日は、とっても沢山の人が来てくれました」


 チラリと視線を向けると、彼は部屋を見渡した。
 此処に居るのは、事情を知った人間だけ。
 皆、彼にとても感謝している……勿論、私も。


「と、言うわけで、何か一言お願いしま〜す♪」


 そう言って、私はペタンと腰を座布団に下ろし、挨拶の役目をバトンタッチ。


「は……!? あ、いえ、その……!?」


 自分にふられると思っていなかったのか、彼はとっても慌ててる。
 うふふっ、こういう所は、本当に可愛げがありますよね。
 ニコニコと笑う私に向かって、彼は言った。


「……その笑顔には、完敗ですね」


 乾杯と、皆が一斉にグラスを合わせた。
 私は、一人悔しい思いをしたのだけど、どうしてくれましょう。



おわり
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 00:46:52.05 ID:NJCIoJsqo
ここ2日、非常に楽しゅうございました
おやすみなさい
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/13(土) 12:00:41.31 ID:nO1MbzPN0
おつ
終わりか?いつもオチつけるのうまくて感心するわ
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 20:54:12.27 ID:NJCIoJsqo
ライダーは終わりですね
気が向いたらまた書こうかと思う程度には楽しめました


書きます


武内P「変身ヒロイン、ですか」
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 20:58:00.13 ID:NJCIoJsqo
武内P「ラブライカのお二人に、そういう趣味があったとは……」

ガチャッ!


アーニャ「ミニャー ザヴート シンデレラ・ホワイト!」ビシッ!


武内P「白をモチーフにした、変身ヒロインですね」


美波「溢れる痴性の泉! シンデレラ・全裸!」ビシッ!


武内P「絶対にツッコミませんよ」
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:02:06.15 ID:NJCIoJsqo
アーニャ「ドーブラエ ウートラ、おはようございます、プロデューサー」

武内P「おはようございます、アナスタシアさん」


美波「溢れる痴性の泉! シンデレラ・全裸!」シャキーン!


アーニャ「どう、ですか? 似合っている、でしょうか?」

武内P「はい。アナスタシアさんの魅力が引き出されているかと」


美波「溢れる痴性の泉! シンデレラ・全裸!」パカッ


武内P「ゴリ押しはやめてください。そして、脚を閉じてください」
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:04:49.50 ID:NJCIoJsqo
美波「どうですか? この格好、似合ってますか?」

武内P「私に聞かないでください」

アーニャ「美波、とっても似合ってます!」

美波「うふふっ、ありがとアーニャちゃん♪」

武内P「アナスタシアさん、新田さんを甘やかさないでください」

アーニャ「イズヴィニーチェ……すみません」

美波「アーニャちゃん……アーニャちゃんが謝ることないわ!」

武内P「ええ、本当に」
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:07:46.35 ID:NJCIoJsqo
美波「聞いてください、プロデューサーさん!」

武内P「聞きましょう、言い訳を」

美波「まだ、変身の途中だったんです!」

武内P「本当ですか?」

アーニャ「ダー。途中も見てもらった方が良いと、そう、思いました」

武内P「……なるほど。まだ、変身の途中だったのですね」

美波「どうしてアーニャちゃんに確認を取ったんですか?」

武内P「当然の結果です」
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:11:47.94 ID:NJCIoJsqo
武内P「しかし……申し訳ありません、新田さん」

美波「? どうして謝るんですか?」

武内P「私は、てっきり別の趣味に付き合わされたと、辟易してしまいました」

美波「もうっ! ひどいですよ、それ!」

アーニャ「途中を見せたがったのは、美波では……?」

美波「プロデューサーさんでも、許しませんよ?」

武内P「何を許さないのか、仰ってください」
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:15:01.81 ID:NJCIoJsqo
武内P「では、今度はちゃんと変身を終えてからにしてください」

美波「待ってください。まだ、この格好について何も聞いてません」

武内P「聞かないでください」

アーニャ「お願いします、プロデューサー。美波が、可哀想です」

武内P「……」


美波「溢れる痴性の泉! シンデレラ・全裸!」ビシッ!


武内P「クレイジーだと、そう、思います」
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:19:43.09 ID:NJCIoJsqo
  ・  ・  ・

武内P「また全裸だったら、ひっぱたく。そう、考えています」

ガチャッ!


アーニャ「ミニャー ザヴート シンデレラ・ホワイト!」ビシッ!


武内P「先程よりも、アクセサリー等が増えていますね」


美波「くるくると回る一輪の花! シンデレラ・クリア!」シャキーン!


武内P「体にサランラップを巻いたら、叩かれないと思いましたか?」
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:23:24.35 ID:NJCIoJsqo
アーニャ「変身、アー、完了、です!」ムフー

武内P「とても可愛らしく、また、凛々しい姿だと思います」

アーニャ「……スパシーバ!///」


美波「くるくると回る一輪の花! シンデレラ・クリア!」シャキーン!


武内P「変化している前口上が、イラッときます」


美波「くるくると回る一輪の花! シンデレラァァァ……クリア!」ズギャーン!


武内P「何故、名乗りをためたのですか?」
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:26:32.69 ID:NJCIoJsqo
美波「どうですか? 私も、変身完了です!」

武内P「変身というか、変態です」

アーニャ「美波は、とっても可愛いです!」

美波「うふふっ、ありがとアーニャちゃん♪」

武内P「本当の感想を言えば、プラネタリウムに連れて行きましょう」

アーニャ「美波は、頭がおかしいです」

美波「アーニャちゃん!?」

武内P「何故、ショックを受けられるのか、私にはわかりません」
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:29:48.59 ID:NJCIoJsqo
美波「聞いてください、プロデューサーさん!」

武内P「聞く価値があるのか、疑問ですが」

美波「サランラップじゃないんです!」

武内P「本当ですか?」

アーニャ「ダー。サランラップではなく、アー、クレラップ、です」

武内P「……なるほど。サランラップでは、無かったと」

美波「やっぱり、私にはサランラップより、クレラップの方が合うかな、って」

武内P「謎のこだわりを見せないでください」
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:33:55.24 ID:NJCIoJsqo
武内P「ですが……申し訳ありません、新田さん」

美波「? どうして謝るんですか?」

武内P「ラップ一枚程度では、全裸と変わりません」

美波「ええっ!? そ、そうでしょうか?」

アーニャ「何回も巻いたら見えなくなると、言っていたような……?」

美波「ごめんなさい、これならいけるって思ったんですけど」

武内P「どこへいこうと言うんですか、貴女は」
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:38:34.59 ID:NJCIoJsqo
武内P「良いですか。次が、最後のチャンスです」

美波「待ってください。まだ、この格好について何も聞いてません」

武内P「ひっぱたきますよ」

アーニャ「お願いします、プロデューサー。美波が、可哀想です」

武内P「……」


美波「くるくると回る一輪の花! シンデレラ・クリア!」シャキーン!

…はらっ

美波「キャアッ!?/// ら、ラップが……!///」


武内P「さっきは全裸でも平気だったのに、何故!?」
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:46:47.08 ID:NJCIoJsqo
  ・  ・  ・

武内P「新田さんは、服を着てくると思いますか?」

アーニャ「ニェート。私は、美波を信じています」ニコッ

武内P「良い笑顔です。ですが、嫌な答えです」

ガチャッ!


美波「オークに捕らわれた騎士のプリンセス! シンデレラ・プリンセス!」ビシッ!


武内P「! 新田さんが、服を!?」


美波「くっ、殺せ!」


武内P「何故!?」
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:51:45.02 ID:NJCIoJsqo
美波「私は、アナタ達になんか屈しないわ!」

武内P「今までで、一番変身ヒロインをしています、新田さん!」

アーニャ「スパシーバ! 美波、とてもカッコイイです!」

美波「くうっ! 駄目よ美波、負けちゃ駄目!」

武内P「頑張ってください!」

アーニャ「ファイトです、美波!」

美波「ああっ、だ、駄目ええええっ♡ 美波、いきますっ♡」

武内P「はい、そこに正座してください」
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:52:40.16 ID:NJCIoJsqo
誤)>アーニャ「スパシーバ! 美波、とてもカッコイイです!」

正)>アーニャ「ハラショー! 美波、とてもカッコイイです!」
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 21:57:34.12 ID:NJCIoJsqo
武内P「新田さん」

美波「ごめんなさい、プロデューサーさん♡ 私、負けちゃいました♡」

武内P「アナスタシアさん、新田さんのちょっと良い話を」

アーニャ「美波は、私に日本語を教えるため、ロシア語を勉強してます」

美波「あ、アーニャちゃん?」

武内P「成る程。新田さんは、とても優しいですね」

美波「や、やめてください……/// は、恥ずかしいですから///」

武内P「はい、正気に戻られたようですね」
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 22:01:39.95 ID:NJCIoJsqo
武内P「新田さん、服を着た事は、とても素晴らしいと思いました」

美波「本当ですか?」

武内P「しかし、その後が今日一番で最悪でした」

美波「そ、そんな……!?」

武内P「まず、名乗っている時点で捕まっています」

アーニャ「プロデューサー、美波を責めないでください!」

美波「いいえ、もっと責めてください! もっと!」

武内P「何故、服を着たら言動がひどくなるのですか?」
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/13(土) 22:03:33.31 ID:yL3cYXy4O
この世界でミナミィはどんな立ち位置のアイドルなのか非常に気になる
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 22:08:38.86 ID:NJCIoJsqo
武内P「……やはり、お二人には変身ヒロインは難しいかと」

アーニャ「……イズヴィニーチェ、すみません、時間、とらせてしまって」

美波「気にすることないわ。アーニャちゃん、頑張ったもの!」

武内P「新田さん、貴女は気にしてください」

美波「それに、アーニャちゃんは、いつでも私のヒロインよ♪」ニコッ

アーニャ「美波……スパシーバ!」ニコッ

武内P「……良い、笑顔です」

武内P「それでは、ひっぱたこうと思います」
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 22:11:58.90 ID:NJCIoJsqo
  ・  ・  ・

武内P「……というわけで、昨日は大変でした」

ちひろ「うふふっ、お疲れ様です」

武内P「もう、二度とあの様な事が無いよう、願っています」

ちひろ「あら? 知らないんですか、プロデューサーさん」

武内P「? 何を……でしょうか?」

ちひろ「プロジェクトの子達が、変身ヒロインの話で盛り上がってる、って」

武内P「!?」
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 22:16:02.28 ID:NJCIoJsqo
武内P「待ってください、その話は――」


?「ちょっと、本当に私からなの?」

??「大丈夫! しぶりんならいけるって!」

??「凛ちゃん、ファイトです!」

????「リン、応援、しています」

??「一番乗りは任せるわ!」


武内P「……」

ちひろ「五人組……美少女戦士、ですかね?」

武内P「……あのドアが開いて欲しくないと、本気で思います」
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/13(土) 22:18:59.00 ID:OnURAjrRO
ちひろさんのキツイようでキツくない少しだけキツイ美少女ヒロインコスプレみたい…見たくない?
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 22:19:59.70 ID:NJCIoJsqo
武内P「……」

ガチャッ!


凛「か、駆け抜ける蒼い風! ぷっ、プリンセス・ブルー!」ビシッ!


武内P「……」

凛「……」

武内P「……」

凛「……は、早く次の人――」


バタンッ!


凛「!?」

凛「なんで!? ねえ、どうしてドアを閉めたの!?」

武内P「……」

凛「……!?」
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/13(土) 22:21:17.69 ID:OnURAjrRO
イジメかっ!
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 22:26:38.81 ID:NJCIoJsqo
凛「……な、何!?」

武内P「いえ……別に」

凛「もう! この状況は何なの!?」

武内P「……」


武内P「――お前一人で立ち向かうつもりか、プリンセス・ブルー」


一同(乗った――!?)


凛「アンタまでふざけないで! バカにしてるの!?」


ガチャッ!

一同「台無しじゃねーか!」

凛「! 皆、来てくれたの!?」

一同「今、乗る!?」


武内P「……やはり、皆さんにはアイドルが一番向いています」



おわり
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 22:31:05.03 ID:NJCIoJsqo
>>328
見たいので書きます
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 22:44:36.05 ID:NJCIoJsqo

「えーいっ!」


 今日は、事務所の近くに出たから助かったわ。
 遠い所に出ると、移動が大変で困っちゃうものね。


「悪い心にさようならっ♪ 綺麗な心に、な〜れ〜♪」


 ステッキを振って、ガシャットモンスターに魔法をかける。
 そうする事によって、悪い心に取り憑かれた物は、元の姿に戻る。
 今回悪い心に取り憑かれていたのは、古い、ぴにゃこら太のぬいぐるみ。
 きっと、元の持ち主に捨てられて、悲しい思いをしていたのだろう。


「アナタも、寂しい思いをしてたのよね」


 私は、ぴにゃこら太のぬいぐるみを抱え上げた。
 少し古くなっているけど、きらりちゃんだったら綺麗に直せるかも。
 事務所に持って帰ってあげよう。


「……」


 かかえあげたぴにゃこら太のぬいぐるみを撫でる。
 私は普段、アイドル事務所で働く、普通の事務員だ。
 名前は、



「……千川さん?」



 千川ちひろ。



「……プロデューサーさん?」



 25歳、魔法少女も、兼業しています。
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 22:57:02.75 ID:NJCIoJsqo

「あの……」


 まさか、こんな路地裏に誰かが来るとは思わなかった。
 それも、知っている人が現れるだなんて、なんて偶然。


「その、格好は……」


 この人は、私が働く事務所のプロデューサーさんだ。
 大柄で、無表情で、とにかく不器用だけど……凄く、真面目な人。
 そんなプロデューサーさんの、初めて見る表情。
 困惑の上から困惑を塗り固めて、ピクリとも動かなくなるほどメイクしたみたい。



「……」


 その理由は、今の私の格好にある。
 アイドルの子達の衣装よりもフリフリなスカートは、とっても短い。
 ノースリーブで二の腕は見せているのに、胴体はガッチリガード。
 髪型だって、普段のおさげじゃなく、フワフワと不思議な感じに纏まっている。


「……申し訳、ありませんでした」


 プロデューサーさんは、ペコリとお辞儀をすると、私に背を向けて歩き出した。
 心なしか、いや、明らかにその歩調は速い、速すぎる。


「ま、待って! ちょっと待ってください、プロデューサーさん!」


 慌ててその後を追う。
 声に反応して振り返ったプロデューサーさんは、本当に申し訳なさそうに、


「あの、本当に……はい、私は何も見ませんでしたから……」


 私から目を逸らしながら、言った。 
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 23:10:00.39 ID:NJCIoJsqo
  ・  ・  ・

「私、魔法少女なんです」


 一日の仕事を終え、事務所で二人きりになったタイミングを見計らい、言った。
 今日はこの後誰も此処を訪れる予定は無い。
 鍵もバッチリ締めてある、ぬかりは無い。


「そう……ですか」


 プロデューサーさんは、私の言葉を正面から受け止め、華麗に流した。
 そんな器用な真似、出来るんですね!


「プロデューサーさんも、見たでしょう?」


 私の、魔法少女としての姿を。


「いえ……私は何も、見ませんでした」
「っ……!?」


 頑なすぎる!
 別に、趣味でああいう格好をしてるんじゃないんですからね!?
 変身すると、ああいう格好になっちゃうだけなんですから!


「そんなに、私のあの格好はキツかったですか!? 記憶から消したい程!?」
「いっ、いえ! 少しだけ、その、キツいかなとは思いましたが――」
「いやああああああ! キツいって! ひどすぎるううううう!」
「!? ま、待ってください! ギリ! ギリセーフだと、私は思います!」
「ギリって何ですか! ギリってええええええ!?」
「……!?」


 こんな辱めを受けるだなんて!
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/13(土) 23:20:34.29 ID:V/d3mMxr0
ちひろさん×魔法少女=田中ぷにえ
という単細胞な計算式が浮かんでしまった
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 23:21:23.20 ID:NJCIoJsqo
  ・  ・  ・

「私、魔法女なんです」


 良いわよ、別に。
 私だってね、魔法少女にカテゴリーされるかなー、
と思って魔法少女って言ってただけなんですから。
 少女じゃないなんて、とっくにわかってますよ。


「そう……ですか」


 プロデューサーさんは、私の言葉を正面から受け止め、頷いた。
 それが、少女って言ったことに納得してなかったみたいで、余計に腹が立つ。


「プロデューサーさんも、見たでしょう?」


 私の、魔法女としての滑稽な姿を。


「……はい、見ました」


 初めから、正直に見たって言えば済んだのに。
 気を遣ってくれたのはわかるんですけどね?
 明らかに私に優しくしてましたよ、プロデューサーさん。
 あんな、危険物を扱うような態度って、無いと思います。


「コスプレとかじゃ、ありませんから」
「……」
「アイドルの衣装を着たいとかじゃ、無いですから」
「……」


 バンバン、と机を叩く。


「はっ、はい! 仕方のない事なの、です……よね?」
「はいっ、そうなんです♪」
「……」


 プロデューサーさん、右手を首筋にやって困らないでください。
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 23:34:14.19 ID:NJCIoJsqo

「変身すると、あの格好になっちゃうんです」


 変身しないと、ガシャットモンスターを綺麗な心に出来ないんです。
 編み込みもほどけるけど、変身を解いたら綺麗に元通りです。


「そう……ですか」
「はい」


 訪れる、沈黙。
 プロデューサーさんは、その沈黙を打ち消すべく、言った。


「それでは……私は帰ります、ね」


 そそくさと立ち上がり、カバンを掴むと早足でドアに向かう。
 一刻も早くこの場を離れたい気持ちが伝わってくる。


「待ってください! なんか……その態度、なんかなんかですよ!」
「千川さん!? あの、仰っている、意味が……!?」


 私は、プロデューサーさんの上着を両手で掴み、その場に引き止めた。
 けれど、プロデューサーさんは上着を引っ張って、それに抵抗する。
 男の人だけあって凄い力で、私はズルズルと引きずられてしまいそうになる。
 だけど、決して、この手を離すわけにはいかない。


「んぐぎぎぎぎ……!」
「千川さん……!? あの、離していただけますか……?」
「待ってくれたら離します!」
「……」


 突然、上着が私の胸に飛び込んできた。
 飛び込んできたのが上着だけという事は……、


「上着を脱ぎ捨ててまで、逃げることないじゃないですか!」
「帰してください! 私を帰してください、千川さん!」


 逃しませんよ、プロデューサーさん!
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 23:44:25.62 ID:NJCIoJsqo
  ・  ・  ・

「ふーっ……! ふーっ……!」


 この部屋の唯一の出入り口であるドアに背中をつけ、死守。
 ここから一歩も出さないぞ、と睨みつける。


「……わかりました。もう、逃げませんから」


 プロデューサーさんは、観念したようだ。
 さすがに力づくで来られたら勝ち目はないけど、
私に怪我をさせないように気を遣ってくれている。


「一度、座って落ち着きましょう」
「……わかりました」


 一方私は、大暴れをしたから座りたくてたまらなかった。
 だから、プロデューサーさんの提案を受け入れ――


「……っ!」


 ――た、フリをした途端、この人は懲りずに部屋からの脱出を試みた。
 だけど、貴方はそんな器用な演技が出来る人じゃないです。
 お見通しなんですよ、そんな魂胆は!


「かーっ!」


 私は、再度ドアに背中をつけ、今度こそ此処から離れないと誓った。


「……」


 プロデューサーさんは、諦めてトボトボと自分のデスクへ戻っていく。
 その背中が、やけに小さく見えた。
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 23:54:17.29 ID:NJCIoJsqo

「……千川さんは、どうすれば納得していただけるのですか?」


 椅子に腰掛けながら、プロデューサーさんはため息混じりに言った。


「実際に、私が変身する所を見てもらおうと思います」


 目の前で変身すれば、この人もきちんと理解するだろう。
 好きで、あの格好をしているわけではない、と。


「……わかりました」


 良しっ!
 今、わかりました、って言いましたよね!?
 やっぱり今の無しって、駄目ですからね!?


「それじゃあ、耳を塞いでください」
「はい? あの……何故、耳を?」


 そんなの、決まってるじゃないですか。


「さすがに、変身する時の言葉を聞かれるのは……恥ずかしいですから」


 あれを聞かれたら、私は生きていけない。
 どうして魔法少女が変身する時は、ああなのだろう。
 本気で仕事している時の、菜々さんよりもキツいと思う。


「……わかりました」


 私のそんな思いを感じ取ったのか、プロデューサーさんは素直に耳を塞いだ。
 一刻も早く帰りたい、という願いが、この人の行動を迅速にさせている。


「それじゃあ……いきますね」


 魔法のステッキを取り出し、天にかざした。
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/14(日) 00:06:43.44 ID:GmJL7RB/o

「リリカル♪ マジカル♪ シンデレラ♪」


 キラキラと、魔法のステッキから光が溢れ私の体に降り注ぐ。
 その光はやがて全身を包み込み、事務員の私を魔法少女に変えていく。
 あっ、魔法女でしたね、すみませんね。


「輝く世界の魔法で〜♪」


 そう言えば、私が変身してる姿を見られるのって初めて。
 人から見たら、どんな風に映ってるのかしら。
 あとで、プロデューサーさんに聞いてみよう、っと。


「プリンセスにな〜れ〜♪」


 あっ、今、髪型が変わった。
 今までそんなに意識してなかったけど、
一回髪がほどけてセットしなおされるまでほとんど一瞬なのね。
 こう、しゃらら〜ん、ぽんっ、って感じ。
 ……あ、終わった。


「魔法少女、マジカルチッヒ♪」


 これも、今まで言ってた癖で、変身した後は言わないと気持ち悪い。
 本当、耳を塞いでるように言って、良かった。


「アナタのハートに、ログインボーナスっ♪」


 気合で、変身後の決めポーズを省略。
 いつもの、キャルンとしたポーズを見られたら、私は死ぬ。


「……――さあ、どうでした!? 本当に変身したでしょう!?」


 どうでしたか!? 見ましたよね!? 私が変身したのを!


「……!」


 あらあら、まあまあ。


「……なんで目をつぶってるんですかああああああ!?」
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 00:09:24.25 ID:vs195qfgo
高垣さんはアルコールを消防車のようにぶっ放つ魔法少女になってそう
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/14(日) 00:22:02.98 ID:GmJL7RB/o

「プロデューサーさああああああん!?」


 耳を塞ぎ、目を瞑るプロデューサーさんの体をガクガクと揺する。
 すると、プロデューサーさんはうっすらと警戒しながら目を開けた。


「……終わりましたか?」
「じゃ、ないですよ! なんで目をつぶっちゃったんですか!?」


 目をつぶってたら、変身してるかわからないじゃないですか!
 見てくださいよ、この格好!
 完全に変身し損じゃないですか! 何だ、変身し損って!


「……手に、持たれていたステッキから光が溢れ……」
「眩しかった、とでも!? そんなに強い光じゃなかったでしょう!?」
「その……」


 プロデューサーさんが、言いにくそうに口ごもった。
 ハッキリ仰ってください!
 見るって約束したのに、男らしくありませんよ!



「突然……千川さんが、全裸になったので……」



 私は、掴んでいたプロデューサーさんの服から手を離した。


「……」


 そして、ツカツカと入り口のドアへ向かう。


「あの……千川さん?」


 ドアの前にたどり着いたら、振り返り、ペコリとお辞儀。


「お先に失礼します」


 それだけ言って、ドアを壊さんばかりに勢い良く開け、部屋から脱出。
 ドアを閉める時間すら惜しんで、


「……見られた――!」


 私は逃げ出した。
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 00:23:45.96 ID:Cuc0xxVno
かわいい
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/14(日) 00:38:22.83 ID:GmJL7RB/o
  ・  ・  ・

「うーっ!」


 夜の闇に紛れ、私はビルの谷間を飛び、すり抜けていく。
 一刻も早く事務所から離れたい、そんな思いを抱きながら。
 誰かに見つかる心配はない。
 だって、これでも魔法少女ですから。


「……見られたぁ……!」


 路地裏に着地し、一人呟いた。
 まさか、変身する瞬間、他の人から見たら裸になっているとは思わなかった。
 知らなかったけど……裸の私を見て、って言ってたようなものじゃない!


「明日……どんな顔で出社すれば良いの……」


 トボトボと、路地裏をあてもなく歩く。
 当然、答えが返ってくる筈もない。


「……」


 あの曲がり角を曲がったら、変身を解こう。
 変身を解いたら、魔法も解けてしまう。
 だから、見つからない所で、元の姿に戻らないと――



「変身〜♪」



 ――と、思い、曲がった先で、光が溢れた。


「……」


 ああ……あんな感じで、一回全裸になるんですね。
 ポンッ、ポンッって感じに服が変わって……はー、キャルリンッって髪型が。
 これは……確かに、突然見せられたらビックリしちゃいますよね、わかります。


「魔法少女――……っ!?」



 本当……見なかった事にして帰りたいです……。



おわり
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/14(日) 00:40:21.72 ID:GmJL7RB/o
寝ます
おやすみなさい
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 00:47:01.06 ID:wOD5OuHa0
最後は誰なんだ……武内P?(適当)
おつ
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 12:43:37.74 ID:URWicTTJO

25歳児か安部菜々さんじゅうななさいかもしれない
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 22:46:36.84 ID:IiQdA0Xeo
書きます


武内P「結構願望、ですか」
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 22:48:27.35 ID:IiQdA0Xeo
未央「うんうん、プロデューサーにもあるのかなー、って」

武内P「あの……結婚願望ではなく、ですか?」

卯月「あるんですか?」

武内P「いえ、今は仕事が恋人という感じですので……」

凛「そう言うと思った」

武内P「……」
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 22:50:34.62 ID:IiQdA0Xeo
未央「だからさ、ああしたいー、とか、こうしたいー、とか」

卯月「そういう、願望みたいなものは無いのかなぁ、って」

武内P「結構、というのは?」

凛「程度を表してるんだよ。結構なレベルの、って意味」

武内P「はぁ……」

武内P「私の、結構なレベルの願望……」

未央・卯月・凛「……」
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 22:52:00.86 ID:IiQdA0Xeo
未央「あっ、そうだ。アイドル関係は言わなくていいから」

武内P「何故、でしょうか?」

卯月「どういう答えが返ってくるか、なんとなくわかりますから」

武内P「……」

凛「だから、それ以外を言ってみてよ」

武内P「……」

武内P「アイドルに関する以外の、私の結構な願望……」

未央・卯月・凛「……」
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 22:53:47.36 ID:IiQdA0Xeo
武内P「……」

未央「さあさあ、恥ずかしがらずに言ってみなってー!」

武内P「……」

卯月「いくつでも良いですよ! 夢は多いほうが素敵ですし♪」

武内P「……」

凛「ほら、早く言いなよ」

武内P「……」

武内P「無い、ですね」

未央・卯月・凛「!?」
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 22:56:18.29 ID:IiQdA0Xeo
未央「な、無いって事は無いんじゃない!?」

武内P「結構なレベル、と限定した場合……思い当たりませんでした」

卯月「じゃ、じゃあ! 結構よりちょっと下レベルなら!?」

武内P「晩御飯は、カレーが良いな……ですかね」

凛「結構のレベルも低すぎる!」

武内P「そ、そうですか? では……ビーフカレー、で」

未央「好きなカレー食べなよ!」

武内P「はい。そうしようと、思います」ニコリ

未央・卯月・凛「良い笑顔!」
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 22:59:41.93 ID:IiQdA0Xeo
未央「プロデューサーって、欲は無いの!?」

武内P「いえ、人並みにあると思いますが……」

卯月「その人並みのレベルがおかしいですよ!?」

武内P「私には、人並みの幸せは……難しいかもしれませんね」

凛「そういう事を言ってるんじゃないから!」

武内P「私は、皆さんの笑顔が見られるだけで、十分です」

未央・卯月・凛「……!」ジーン!

未央「……って、なんか感動してる場合じゃないよこれ!」

卯月・凛「!」コクコク
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:01:39.09 ID:IiQdA0Xeo
未央「えーっと、じゃあほら! 彼女欲しいとかは!?」

武内P「今は、仕事が恋人ですから」

卯月「いつか! 今じゃなくても、いつか欲しいとか!」

武内P「そう、ですね……はい、いつかは」

凛「駄目。なんか、全然欲しそうじゃない」

武内P「……」

未央・卯月・凛「……」
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:03:20.37 ID:IiQdA0Xeo
未央「結婚! 結婚願望は!?」

武内P「今は、仕事が恋人ですから」

卯月「それは聞きました! お見合いとか、どうです!?」

武内P「そう、ですね……はい、いつかは」

凛「駄目。絶対しない時の言い方してる」

武内P「……」

未央・卯月・凛「……」
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:04:57.79 ID:IiQdA0Xeo
未央「出世! 今よりも、偉くなりたいとか!」

武内P「それは……考えたこともありませんでした」

卯月「大きなプロジェクトも担当してるし、すぐ出世しそうです!」

武内P「そう、ですね……はい、いつかは」

凛「駄目。私には現場が一番です、って断りそう」

武内P「……」

未央・卯月・凛「……」
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:07:01.40 ID:IiQdA0Xeo
未央「家が欲しい!」

武内P「帰る機会が、あまり無いので……」

卯月「車が欲しい!」

武内P「私用で使う機会が、あまり無いので……」

凛「休みが欲しい!」

武内P「皆さんの笑顔を見る機会が、減ってしまうので……」

未央・卯月・凛「……!」

武内P「……」
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:09:44.80 ID:IiQdA0Xeo
未央「御両親に、親孝行!」

武内P「孫の顔を見せるのが、一番の親孝行だと……」

卯月「じゃ、じゃあ、おじいちゃんおばあちゃん孝行!」

武内P「ひ孫の顔を見せるのが、一番の孝行だと……」

凛「駄目。親族からも、なんだか諦められてる感じがする」

武内P「……」

未央・卯月・凛「……!」
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:12:28.05 ID:IiQdA0Xeo
未央「じゃ、じゃあ……アイドル関係以外で、一番の願望は!?」

卯月「それです、未央ちゃん!」

凛「うん、それなら個人的な、一番の願望が聞ける」

武内P「晩御飯は、ビーフカレーが良い、ですね」

卯月「未央ちゃん! 時間を無駄にしないでください!」

凛「見損なったよ、未央。しっかりしてよね」

未央「なんで私が悪い感じになるの!?」

武内P「……」
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:16:26.32 ID:IiQdA0Xeo
未央「じゃ、じゃあ……お酒!」

武内P「飲みすぎては仕事に差し支えますから、たしなむ程度で……」

卯月「それなら……アイドル関係以外の趣味、とか」

武内P「ありません」

凛「即答しないで。……待って、考えるから」

武内P「あの……あまり、無理はなさらず」

凛「何か……そう、欲しいものとかないの!?」

武内P「欲しいもの……ですか?」

未央・卯月・凛「!」
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:19:39.62 ID:IiQdA0Xeo
未央「そう! 欲しいもの! それも、結構なレベルの!」

武内P「欲しいもの……」

卯月「アイドル関連は駄目ですからね!?」

武内P「私の、結構なレベルのほしいもの……」

凛「兎に角言ってみて。でないと、先に進めない」

武内P「……平和で、穏やかな日常、ですね」

未央・卯月・凛「そういうのじゃない!」

武内P「……!?」
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:23:56.92 ID:IiQdA0Xeo
未央「何!? そんなのを欲しがる程の日常なの!?」

武内P「い、いえ……ですが、とても大事な事だと思うのですが」

卯月「それが結構なレベルって、戦場にでも住んでるんですか!?」

武内P「芸能界は、戦場とも言いますし……!」

凛「上手いこと言って、誤魔化さないで」

武内P「しかし……思い当たるものが、平和で、穏やかな日常しか……!」

未央・卯月・凛「……!」
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:27:49.48 ID:IiQdA0Xeo
未央「大体さ、プロデューサーは欲が無さ過ぎ!」

武内P「……自分では、よくわかりません」

卯月「もっと、素直になってください!」

武内P「素直に……ですか?」

凛「一番ほしいものが平和で穏やかな日常って、おかしいから!」

武内P「……」

未央・卯月・凛「……!」
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:32:39.03 ID:IiQdA0Xeo
未央「今は悪魔が微笑む時代だよ!? 笑っていこう!?」ニヤァ

武内P「その笑顔は、アイドルのものとしては不適切です!」

卯月「ありますよね? 人には言えない願望とか」

武内P「ありません。私は、プロデューサーですから」

凛「誤魔化さないで。あるでしょ、そういうのの一つや二つ」

未央・卯月・凛「言って」

武内P「……」


武内P「仕事に集中したいので、邪魔しないでください」




おわり
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:34:15.13 ID:IiQdA0Xeo
>>349レスした後誤字に気付いたので、やり直します


武内P「結婚願望、ですか」
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:36:06.04 ID:IiQdA0Xeo
武内P「そう、でうね……」

CPアイドル達「……」

武内P「無くは、無いですね」

CPアイドル達「!」

…ガチャッ

武内P「あの……何故、鍵を?」

CPアイドル達「なんとなく」

武内P「……」
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:37:41.49 ID:IiQdA0Xeo
未央「したいと、思ってるんだ?」

武内P「はい、いずれは」

卯月「お相手は、居るんですか?」

武内P「今は、仕事が恋人ですから」

凛「ふーん。まあ、そうだと思ったけど」

武内P「……?」

CPアイドル達「……」
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:40:38.89 ID:IiQdA0Xeo
美波「体の相性って、大事ですよね」スルスルッ

武内P「新田さん、服を脱がないでください」

蘭子「我が友よ、その……お嫁さんの実家が、遠くても……?」

武内P「問題無いと、そう思います」

アーニャ「ダヴァイッッ!!」

武内P「何故、両手を広げているのですか、アナスタシアさん?」

武内P「……あの……皆さん……?」

CPアイドル達「……」
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:43:28.11 ID:IiQdA0Xeo
智絵里「見捨てたりは……」

武内P「私の方が、見捨てられそうかと……」

かな子「甘い物、好きですよね―?」

武内P「はい。食には関心があります」

杏「家事とかさ、分担するのが良いよねー」

武内P「それに関しては、はい、問題ないと思います」

CPアイドル達「……」

武内P「……?」
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:46:05.35 ID:IiQdA0Xeo
きらり「Pちゃんは〜、おっきぃ子はダメダメ……?」

武内P「いえ、特に気にはしません」

莉嘉「はーい! 歳の差とか、オッケーなカンジ?☆」

武内P「はい、お相手の方が気にしないようでしたら」

みりあ「ねえねえ、子供はいっぱいがいい?」

武内P「それは、話し合いで決めるでしょうね」

CPアイドル達「……」

武内P「……」
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:49:18.13 ID:IiQdA0Xeo
みく「ネコチャンを飼ったりは、どう思うにゃ?」

武内P「そうですね、それも、良いと思います」

李衣菜「ギターの練習とかしても、大丈夫ですか?」

武内P「そういう趣味がおありでしたら、防音室も検討します」

CPアイドル達「……!」

武内P「あの……皆さん?」


ドンドンッ! ドンドンッ!


武内P「!?」
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 23:54:14.79 ID:IiQdA0Xeo
ドンドンッ! ドンドンッ!


武内P「鍵がかかっていて、入れないようですが……」

未央「入れない? 何のこと?」

武内P「物凄い勢いでドアが叩かれていますよ!?」

卯月「そうですか? 私、何も聞こえないですよ?」

武内P「!?」


ドンドンッ! ドンドンッ!

「カリスマ―!★ カリスマ―!★」


凛「うぶっふ! 鳴き声じゃないんだから……!」

武内P「やはり、聞こえていますよね!?」
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 00:00:51.30 ID:MlvXbWbko
ドンドンッ! ドンドンッ!

「あー、アタシ結婚願望チョーあるわー!★ つれーわー!★」


美波「でも、プロデューサーさんも結婚願望あったんですね」

武内P「それは、まあ……あの、開けてあげては……」


ドンドンッ! ドンドンッ!

「こう見えて、家事とか得意だし★ カリスマ主婦とか、良くない?★」


蘭子「封印を解いてはならない!」

武内P「ですが、あの……ドアが壊れてしまいそうで……」


「あの……混ぜて?」


アーニャ「ズヴィズダ、無くなりました。もう、大丈夫です」

武内P「そう……ですか」
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 00:06:51.58 ID:MlvXbWbko
武内P「しかし……何故、私の結婚願望の話を?」

コンコン


智絵里「その……な、なんとなくです……///」

武内P「はぁ……なんとなく、ですか」


コンコン


かな子「和食って、結構お砂糖使うんですよねー」

武内P「……そうですね。気をつけないと、いけないと思います」


コンコン


杏「杏、ゴハンはテキトーでいいよー」

武内P「いえ、栄養バランスを考え、しっかりと食事は……」


コンコン


武内P「あの……開けてあげませんか!?」

CPアイドル達「……」フルフル
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 00:12:49.12 ID:MlvXbWbko
きらり「うゅ……やっぱり、美嘉ちゃんみたいな子が良いにぃ……?」

武内P「いえ、諸星さんも、魅力的な方だと思います」


コンコン


莉嘉「あっ、でもそれだと、お義兄ちゃん☆ ってPくんの事呼べるねっ☆」

武内P「あの……何の、話でしょうか?」


コンコン


みりあ「あのねあのね、そういうプレイでも、みりあは平気だよ?」

武内P「あの! 本当に何の話をしているんですか!?」


コンコンコンコンコンコンコン


武内P「皆さん、開けてあげましょう!?」

CPアイドル達「……」フルフル
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 00:19:17.08 ID:MlvXbWbko
武内P「ですが、あまりに不憫すぎます!」


コンコンコンコンコンコンコンコン


みく「Pチャン、ネコチャンの名前はどういう風にきめる?」

武内P「大事な家族の一員ですから、慎重に……スルーですか!?」


コンコンコンコンコンコンコンコン


李衣菜「友達とか呼んでも、良いですか!?」

武内P「その時は、おもてなしをしないといけませんね……あの、ですから!」


コンコンコンコンコンコンコンコン


武内P「っ……! 今、開けますから!」

CPアイドル達「!?」
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 00:23:51.78 ID:MlvXbWbko
ガチャリ!

武内P「鍵を開けたので、もうドアを叩くのはおやめ――」


ガチャッ


楓「おはようございま――」

武内P「……」


バタンッ…ガチャリ!


武内P「誰も、居ませんでした」

CPアイドル達「……」


コンコンコンコンコンコンコンコン


「ドアがおーぷんしなくて、もぉーぷんぷんです」


武内P「帰ってください! お願いしますから!」
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 00:28:28.42 ID:MlvXbWbko
武内P「あの……何故、皆さんそこまで……!?」

CPアイドル達「……」

武内P「私に結婚願望があるのが、皆さんに関係があるとは……」

CPアイドル達「……」

ちひろ「優良物件なんです」

武内P「……千川さん?」

CPアイドル達「……」コクコク

武内P「……皆さん?」
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 00:31:19.37 ID:MlvXbWbko
ちひろ「プロデューサーさんは、自分がどう思われると考えてますか?」

武内P「その……女性から見て、でしょうか?」

ちひろ「はい」

武内P「……仕事人間の、つまらない男、かと」

CPアイドル達「そんな事ありません!」

武内P「!?」

ちひろ「そんな事ないですよ、プロデューサーさん」

武内P「……そう、でしょうか」
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 00:36:56.45 ID:MlvXbWbko
未央「プロデューサー、一生懸命でカッコイイよ!」

武内P「それは……必死なだけです」

卯月「頑張ってる姿を見て、こっちも頑張らなきゃ、って!」

武内P「それは……皆さん自身の、力です」

凛「目を離さないでくれるって、言ったよね」

武内P「それは……はい、確かにお約束しました」

美波「夜も、とっても頑張ってくれそうです♡」

武内P「それは……はい、私に出来る限り――」

CPアイドル達「……///」

武内P「――いえ! あの、何を言わせるんですか!?」
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 00:42:33.87 ID:MlvXbWbko
蘭子「言の葉を理解する、魂の同胞!」

武内P「それは……はい、とても大事で、必要でしたので」

アーニャ「ハラショー! ロシア語も、その調子です!」

武内P「それは……待ってください、あの、そこまでは!?」

智絵里「浮気しなさそうで……もう、会話の無い食卓は……」

武内P「それは……あの、何と言って良いか、わかりません」

杏「五分だ五分だと言うけどさ、キューイチでやってくれそうだよね〜」

武内P「それは……して、しまいそうです」

かな子「ケーキ美味しい〜♪」

武内P「好きなだけ食べていて欲しいと、そう思います」
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 00:48:01.87 ID:MlvXbWbko
きらり「Pちゃんおっきぃから、きらりも普通の女の子みたいだにぃ〜☆」

武内P「それは……他にも、背の高い男性はいます」

莉嘉「Pくん、なんだかんだでチョー優しいもん!☆」

武内P「それは……そう、でしょうか?」

みりあ「うんうん! あのねあのね、それって、とっても素敵だと思うな〜!」

武内P「それは……いえ、それこそ、大勢居ると思います」

みく「違うにゃ! ストライキしたみく達を許すなんて、普通は出来ないよ!」

武内P「それは……仏の顔も三度まで、と言いますから」

みく「待って、あと二回何かやったらまずいの!?」

武内P「……」
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 00:51:31.84 ID:MlvXbWbko
李衣菜「何にせよ、プロデューサーはロックなんですよ!」

武内P「それは……自分では、よくわかりません」

ちひろ「アイドルの子達を見てばっかりですからね」

武内P「……千川さん?」

ちひろ「もっと、自分にも目を向けたら良いと思いますよ」

CPアイドル達「……」ウンウン

武内P「皆さん……」
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 00:54:45.12 ID:MlvXbWbko
ちひろ「そんな、自分に目を向けないプロデューサーさんだからこそ……」

武内P「千川さん」

ちひろ「滅茶苦茶お金溜め込んでそうだな、って思うんです」

武内P「千川さん?」

CPアイドル達「……」ウンウン

武内P「皆さん?」

ちひろ「年収、おいくらですか?」

CPアイドル達「……」

武内P「……」
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 01:01:38.38 ID:MlvXbWbko
武内P「……皆さんの思い、伝わってきました」

CPアイドル達「……」

武内P「確かに、私は今まで自分には目を向けてきませんでした」

ちひろ「貯金、おいくらですか?」

武内P「これからは、身の振り方を考えようと……そう、思いました」

CPアイドル達「はいっ!」

武内P「良い、笑顔です」


武内P「恋人である仕事と、このまま結婚します」



おわり
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 01:05:32.14 ID:MlvXbWbko
次は、ロボ、SF、魔法少女、VSのどれか書きます
寝ます
おやすみなさい
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 01:28:24.90 ID:MXJz/+4to

カリスマー!★カリスマー!★でふふってなった
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 02:06:41.67 ID:kbiRm7C30
前も書いたけど毎度オチが素晴らしい
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 12:27:26.90 ID:Cjhal+ZqO
前降りからのオチが毎度きれい
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 14:32:44.73 ID:N+HdjQcko
割合大人なこと言うみりあちゃんに興奮した
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 22:22:37.51 ID:MlvXbWbko

「魔法少女、マジカルチッヒ♪」


 変身後の、決め台詞。
 言わなければなんとなく気持ち悪くなっちゃうのよね。
 それに……言わないと、怒られちゃうもの。



「魔法少女、プリティーミッシー♪」



 専務に。



「アナタのハートに、ログインボーナスっ♪」
「課金もしないと、解散させちゃうんだからっ♪」 


 二人揃っての、決めポーズがビシリと決まった。
 今までは一人でやっていたから綺麗に出来るかわからなかったけど、
こういうのって案外ノリで出来るものなのね。
 身長差があるから背中合わせにはしなかったけど、それが良かった。
 私がちょっと前、専務がそのすぐ後ろに控える配置。


「さあ、覚悟しなさい! ガシャットモンスター!」


 魔法のステッキをビシリと突きつけ、言ってやる。
 それにグルルと唸り声をあげて抵抗しようとするガシャットモンスター。


「歯向かうつもりか? 理解出来ないな」


 専務が……いや、ミッシーがツインテールを揺らしながら言った。
 その姿は正に魔法少女、いや、


「行くわよ、ミッシー!」
「当然だ、チッヒ」


 美少女戦士……でもなく、


「三分で片を付ける。私は、あまり気が長い方ではない」


 歴戦の勇士。
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 22:30:35.07 ID:RQmFjHOfo
織田nonかよwww
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 22:34:34.63 ID:MlvXbWbko
  ・  ・  ・

「……ふん、他愛ない」


 ミッシーがツインテールを一房かき上げ、言った。
 ガシャットモンスターは既に元に戻っており、路地裏にポテリと転がっている。
 今日のモンスターの元の姿は、ちいさな女の子用の人形。
 髪はグシャグシャで、お洋服も汚れてしまっている。


「……」


 ミッシーはその人形にツカツカと歩み寄ると、両手で優しく抱き上げた。
 その姿は、戦っている時の姿とはまるで別人。


「無様だな。見るに耐えないとはこの事か」


 とても乱暴な言い方だけど、私はそれに口を挟まない。
 だって、ミッシーは――魔法少女だから。


「キミには、以前よりももっと輝いてもらう。成功は私が保証しよう」


 そう言ったミッシーの姿は、自愛に満ちていた。


「うふふ、専務ったら、お優しいんですね♪」


 職場では、こんな軽口を言ったら怒られてしまう。
 だけど、今の私達は大切なパートナーだ。


「チッヒ。今の私の事は、ミッシーと呼びなさいと言ったでしょう」
「あっ、そうでした……ごめんね、ミッシー」


 ついうっかり、専務とよんでしまう事もあるけれど。
 舌をペロリと出し、両手を合わせてミッシーに謝る。



「……・!?」



 その視線の先に……また、プロデューサーさんが居た。
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 22:35:49.35 ID:MlvXbWbko
誤)>そう言ったミッシーの姿は、自愛に満ちていた。

正)>そう言ったミッシーの姿は、慈愛に満ちていた。
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 22:45:44.44 ID:MlvXbWbko

「? どうしたチッヒ、顔色が悪いぞ」
「……!?」


 ミッシーに指摘されたが、今はそれどころではない。
 前回は、何も無かったかのように振る舞い、事なきを得た。
 だけど、今回は二度目。
 それも……私だけでなく、ミッシーの姿も見られた。


「!? まさか、今の戦いで怪我を!?」


 ハッキリ言おう。
 ミッシーの見た目は、ガチでキツい。
 薄桃色に染まったツインテール、可愛らしいフリフリのドレス。
 手に持っている魔法のステッキの先端には、大きな星。
 それを妙齢の、高身長のきつい顔立ちの女性がしているのだ。


「……!?」


 そうですよね、驚いて目を見開きますよね。
 今は大分慣れましたけど……私も、最初は驚きました。


「チッヒ、見せてみなさい」
「……」


 心配そうに私に歩み寄る専務の背面を指差し、告げた。


「ミッシー、見られてるわ」
「? 何にだ」


 ガシャットモンスターは倒したはずだ……と、つぶやきながらミッシーが振り向く。
 そして、問題の人物の姿を確認し、全身をビクリと震わせた。


「……」
「……」
「……」


 流れる、沈黙。
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 22:56:41.46 ID:tylwWXJSO
中の人は新妻魔女のシャイニールミナスだぞ
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 22:57:03.80 ID:MlvXbWbko

 誰かが、口を開かなければならない。
 けれど、誰もが言葉を失っている。
 こういう時にパパッと魔法で解決出来れば、と思う。
 そんなに便利じゃないんですよ、魔法って。


「……ふむ、見られてしまったか」


 ミッシーが、思いの外冷静につぶやく。
 さすがの人生経験か、前にもこういった事があったのかしら?


「その……申し訳、ありません」


 プロデューサーさんが、理由無く謝罪する。
 この人が謝る必要は無いのに、とても綺麗なお辞儀。
 その声が少し震えていたのは、気のせいじゃないと思う。


「気にする事はない。だが、私も初めての経験に戸惑っている」


 凄いです、専務!
 初めて変身中の姿を見られた時の私とは、落ち着き方が違います!
 やっぱり、偉くなる人っていうのはこういう所が違うのかしら。


「専務――」


「プリティイイイッ、バインドッ!!」


 路地裏に、プリティーとはかけ離れた裂帛の気合が響いた。


「うおおおおっ!?」


 ミッシーの魔法のステッキの先端から放たれた光が、
プロデューサーさんの体に絡みつき、その体を拘束する。
 突然の事に戸惑い、プロデューサーさんは叫び声を上げるが、


「静かにしなさい。今の私は、何をするかわからない」


 顔を真っ赤にし、頬をヒクヒクと引きつらせるミッシーが、
魔法のステッキを首筋に突きつけ、強引に中断させた。
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 23:09:19.01 ID:MlvXbWbko
  ・  ・  ・

「……」


 専務の執務室。
 私達三人は、それぞれが居心地の悪さを感じながら座っていた。
 専務は、自分のデスクに。
 私とプロデューサーさんは、その前にあるソファーに対面で。


「……」


 コチリ、コチリと、部屋に置かれていた時計の針の音が響く。
 この空間は、なんというか……とても心臓に悪い。


「……!」


 主に、プロデューサーさんの。


「――さて、私の言いたい事は、わかるな?」


 専務が、口火を切る。
 話をするために、魔法で彼を拘束し、ここまで連れてきたのだ。


「……何の、話でしょうか?」


 大根役者にも程がある。
 けれど、プロデューサーさんは、専務の望む選択を選んだ。
 それに満足したのか、専務は満足そうに頷く。


「よろしい。私がプリティーミッシーだと言う事は、忘れたまえ」
「……プリティーミッシー、ですか?」
「何だ。何か、問題でも?」
「いえ、なんでも……そうですか、プリティーですか……」


 プリティーという単語に釈然としなさそうなプロデューサーさんの様子を見て、


「うっふふ!」


 私は、笑ってしまった。
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 23:24:13.20 ID:MlvXbWbko

「どうした、何か可笑しいことでも?」


 すかさず、専務が私の笑いの理由を問うてくる。


「いっ、いえ! 何でもないです!」


 そうは言ったものの、彼女の視線が私から外れる事は無い。


「……」
「……」


 絡み合う視線。
 私達魔法少女ユニットは、今までで最大のピンチを迎えていた。


「……」


 そんな視界の端で、プロデューサーさんが体を小さくしているのが見えた。
 中腰の姿勢で、ゆっくりと、しかし一歩一歩確実に出入り口であるドアに向かっている。


「――んー! んー!」
「!? 離してください! 離してください、千川さん!」


 私は、そんなプロデューサーさんに駆け寄り、腰に抱きついた。
 上着を掴むだけでは逃げられてしまう。


「痛っ!? あの、爪が! 爪が突き立てられて!」
「んー! んー!」


 今の私に出来る、マジカルでも、プリティーでもない、全力の拘束。
 と言うか、普通、今のタイミングで逃げようとします!?


「……」


 専務は、そんな暴れる私達の様子を冷静に見つめていた。
 その目尻にうっすら涙が浮かんでいるのは、見なかったことにしよう。
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 23:39:12.41 ID:MlvXbWbko
  ・  ・  ・

「……兎に角、今日は何も無かった。良いですね?」


 絞り出すような声。


「「……はい」」


 疲れきった声。
 暴れたせいで私の髪は乱れ、プロデューサーさんはシャツのボタンが二つ程飛んだ。
 痛み分けというには、痛みが大きすぎた。


「……」


 私は、魔法少女マジカルチッヒという事が知られ、変身中の全裸も見られた。


「……」


 専務は、魔法少女プティーミッシーの姿を見られただけで、大ダメージだ。


「……」


 プロデューサーさんは、大きな秘密を二つ抱える事となった。
 魔法少女二人の正体を知るのは、どんな気持ちなのだろう。
 気にはなるが、それを聞く勇気は私にはない。


「それでは……私は、これで失礼します」


 今度は、誰もプロデューサーさんを止めない。
 そして、私もそれに続こうと、ソファーから立ち上がり――


「待ちたまえ。チッヒ、キミにはまだ話がある」
「……!?」


 ――かけた時、専務……いや、ミッシーがそれを止めた。
 多分、いや、絶対……プリティーで笑ったことを根に持ってるんだわ。
 ああ……今日中に帰れるかしら、私。
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 23:40:49.85 ID:eJUEav+NO
もっちー辺りがやらかしてもおかしくないネタだなぁ
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 23:41:00.53 ID:MlvXbWbko
誤)> 専務は、魔法少女プティーミッシーの姿を見られただけで、大ダメージだ。

正)> 専務は、魔法少女プリティーミッシーの姿を見られただけで、大ダメージだ。
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 23:52:26.53 ID:MlvXbWbko
  ・  ・  ・

「……」


 私は、二人の魔法……少女、はい、魔法少女の正体を知ってしまった。
 それは、不幸な事故であり、タイミングが悪かったとしか言いようがない。
 今後は、迂闊に路地裏に入るのは避けるべきだろう。


「……」


 上着のボタンをプチリプチリと外し、上着を翻した。
 シャツのボタンが二つ外れているので、風が服と少し寒い。


「……」


 彼女達は、平和を守るために戦っているのだ。
 ……そう、


「――笑顔のために」


 右のポケットからスマートフォンを取り出す。
 そして、ホームボタンを素早く三回押し、画面を起動。
 流れるように、暗証番号を画面を見ずに打ち込んでいく。


 ――3――4――6!



『LIVE――』



 スマートフォンから、二人分の女性の声が聴こえる。
 そして、スマートフォンを銀色のベルトにかざし、



「変身ッ!」



 私も、私の戦いに身を投じるため、変身した。



『――START!』



おわり
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 23:53:38.15 ID:MlvXbWbko
誤)> シャツのボタンが二つ外れているので、風が服と少し寒い。

正)> シャツのボタンが二つ外れているので、風が吹くと少し寒い。
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 23:54:05.62 ID:MlvXbWbko
眠気で誤字が多すぎるので寝ます
おやすみなさい
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 23:59:41.18 ID:kbiRm7C30
同じ世界線だったかw
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 23:59:45.51 ID:MXJz/+4to
繋がった
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 09:11:12.76 ID:e0umj01pO
子供向け映画の抱きあわせみたいだ
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/17(水) 19:44:24.58 ID:aVG4NtSco
>>410
戦隊のメンバーが決まったらやる予定です


申し訳ない
昔、自分の書いたものを読んだら止まらなくなりました
結構な長編なので、今日は書くかわからないです
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 20:44:00.45 ID:oXuN4q+dO
上様期待
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 17:02:11.36 ID:vsTCaTOpo
甘いの書きます
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 17:09:18.75 ID:vsTCaTOpo

「……」


 シンデレラプロジェクトの、プロジェクトルーム。
 彼は、自分のデスクに座りながら眠っている。
 きっと、ちひろさんがかけてくれたのよね、あの毛布。


「……」


 起こさないように、そっとドアを閉める。
 だって、この人が居眠りをするだなんて、本当に珍しいんですもの。
 ドアの開け閉めの音で起こしちゃうだなんて、勿体無いわよね。


「……うふふっ」


 どうやって驚かせちゃおうかしら。
 無難に、大きな声でワッと?
 それとも、毛布をバサッと取って?
 ああ、ダメ……考えただけで、ワクワクしちゃうわ!


「……」


 すぅすぅと寝息を立てる彼に、忍び足で近寄る。
 ぐるりと回り込んで、すぐ、手を触れられる所までたどり着いた。


「……」


 彼は、まだ起きない。
 
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 17:17:41.27 ID:vsTCaTOpo

「……」


 本当に、よく眠ってるわね。
 もしかして、アナタの目付きが良くないのって、
そうやって寝ててちゃんとベッドで寝てないから?
 だとしたら、ちゃんと寝たらどんな顔になるのかしら。
 目が、キラキラしちゃったりするの?


「……」


 つい、と顔を近づけて、彼の寝顔を間近で観察する。
 いつもの、眉間により気味な皺は無く、まるで子供みたいな寝顔。
 それがとっても可愛らしくて、母性本能をくすぐられてしまう。
 あっ、くすぐって起こすのも面白そう!


「……」


 くすぐったら、どういう顔で笑うのかしら。
 アナタの大笑いする姿なんて、見たことがないもの。
 穏やかな笑みか、噛み殺すような笑みだけ。
 大口を開けて笑ったら……低い声も相まって、悪役みたいになっちゃうかしら?


「……」


 彼が、自分では気付いてないだろう頭頂部の寝癖。
 それを、人差し指でピコピコと揺らしてみる。
 それでも、彼は起きない。


「……」


 いつもだったら、この段階で起きるんですけど、ね。
 これはもう、もっとイタズラする他に無いと思うんです。
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 17:26:24.10 ID:vsTCaTOpo

「……」


 デスクの横にしゃがみこんで、寝ている彼を目線を合わせる。
 と言っても、目を開けてるのは私だけ。
 一方的に、私がこの人を観察している。


「……」


 じい、と睨みつけてみる。
 ぷん、と怒った顔をしてみる。
 しゅん、と悲しい顔をしてみる。


「……」


 だけど、彼は目を開けない。
 それは当然よね、だって、寝てるんですもの。
 だから、ふにゃっ、と変な顔をしてみる。


「……」


 ――が、すぐにやめた。
 寝たふりをしているんじゃないかと思ったけど、そうじゃないみたい。
 私のあんな顔を見たら、この人は絶対に反応を示す。
 すぐにやめたのは……もし、あの顔をしている時に目を覚まされたら、
それこそどんな顔をしていいかわからなくなっちゃうから。


「……」


 高垣楓の、貴重な変顔を見逃しちゃいましたね。
 ちょっとアレな、レアな顔でしたよ。
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 17:37:02.92 ID:vsTCaTOpo

「……」


 どうしたら、この人は驚くかしら。
 せっかくだから、この状況じゃないと出来ない驚かせ方をしたいわ。
 ワッと驚かせるのは、いつだって出来るものね。
 ……やった事は、無いけれど。


「……」


 そっと、彼の肩にかかっている毛布をはいでいく。
 思いもよらず、その毛布の手触りが良くて、ホゥ、となった。
 大柄な彼のためか、毛布は大きく、かなりの余裕があった。


「……」


 お邪魔しま〜す。
 と、私は言葉に出さずに彼に断りを入れた。
 口の動きはちゃんと「お邪魔します」としてたんだし、見てないこの人が悪い。
 アイドルを見るのがプロデューサーの仕事でしょう?
 居眠りしてないで、仕事してください!


「……」


 座る彼の隣にしゃがみ、同じ毛布にくるまっている。
 だけど、離れていてはせっかくの毛布が台無しだ。
 だって、私と貴方の距離が空いてたら、冷たい空気が入り込んじゃうから。


「……」


 そうならない様、彼に体を密着させる。
 スーツ越しに感じる、体温。
 近づく事で、より鮮明に聞こえるようになった彼の寝息。


「……」


 まだ、彼は目を覚まさない。
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 17:50:38.80 ID:vsTCaTOpo

「……」


 こんなに無防備で、この人は大丈夫なのかしら。
 もしも私が悪い人だったら、大変な事になってましたよ。
 わかってますか?


「……」


 間近で睨みつけても、彼の反応は無い。
 その事が、ちょっぴり寂しい。
 だって、この人は私が何かしたら、必ず反応してくれるから。
 心からの賞賛や、諦めたようなため息。
 そして、極々稀にだけど……お説教も。


「……」


 つん、と人差し指で彼の鼻をつついてみる。
 だけど、本当によく眠っているのか、反応は無い。
 つんつん、と二回つつく。
 それでも、彼は眠ったまま。


「……」


 鼻をつまむのは……それは、ちょっと可哀想よね。
 絶対驚くとは思うんだけど、まだ、もうちょっと彼を眺めていよう。
 不器用で、真っすぐで、とっても可愛らしい寝顔の彼を。


「……」


 カチリ、コチリと時計の針が時間が進んでいるのを告げている。
 それなのに、何故かこの穏やかな時間は、止まっているように思える。
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:05:11.52 ID:vsTCaTOpo

「……」


 だけど、そろそろ彼を起こしてあげなくっちゃ。
 こんな体勢で寝てたら体が痛くなっちゃうし、風邪を引いちゃうもの。
 それに、イタズラをして起こすと決めてたし、ね。


「うふふっ」


 思わず零れた笑い声。
 それが、零れ落ちないように口を両手で塞いだ。
 あっ、良い事を思いついちゃった。


「……」


 そっと、彼の横顔に顔を近づけていく。
 普通は立場が逆だけど、私はしゃがんで、座ってるから逆でも良いですよね。
 ……ん? なんだかおかしいような、そうでもないような?


「……」


 居眠りをしちゃうような王子様には、お仕置きです。
 そう思う私は、今、どんな顔をしているのだろうか。
 わからないけれど、彼が起きた時に言う言葉はもう、決めてある。


「……」


 ゆっくりと、彼の頬に唇を近づけていく。


「……起きてくださ〜い」


 こうすると目覚めるのが、掟、でしょう?



おわり
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:21:11.36 ID:vsTCaTOpo
お察しの方もいらっしゃいましたが、あの絵師さんの絵が大好きなのです



武内P「台風、ですね」
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:23:42.26 ID:vsTCaTOpo
楓「はい、とても風が強くて……」

武内P「タクシーを呼ばれては?」

楓「貴方はどうするんですか?」

武内P「いえ、私は電車で……」

楓「だったら、私も負けていられません」

武内P「……あの、何故張り合う必要が?」
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:25:49.66 ID:vsTCaTOpo
楓「私は、共に歩んでいこうと思います」

武内P「あの、駅は逆方向では」

楓「……」

バシバシ!

武内P「……すみません」

楓「私は、共に歩んでいこうと思います」

武内P「……」

楓「ファンの方達と、笑顔で!」

武内P「通行人の方は、ほとんど居ませんが……」
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:28:51.77 ID:vsTCaTOpo
武内P「しかし……風邪を引いてしまいます」

楓「大丈夫です。傘が、私を守ってくれます」

武内P「あの、物凄い横殴りの雨なのですが」

楓「……」

バシバシ!

武内P「……すみません」

楓「此処は、ライトが暗すぎるわね」

武内P「……台風、ですから」
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:31:04.10 ID:vsTCaTOpo
武内P「! すみません、携帯が……」

楓「はい、どうぞ」

武内P「……部長が、車で送ってくださると」

楓「!?」

武内P「……」

楓「!!?」

武内P「……お断り、しておきます」

楓「まあ、せっかくでしたのに……」

武内P「……」
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:34:13.31 ID:vsTCaTOpo
武内P「……それでは、行きましょうか」

楓「ええ」

武内P・楓「……」


ズバンッ!


武内P「……一瞬、でしたね」

楓「……傘、壊れちゃいまいたね」

武内P・楓「……」
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:36:50.47 ID:vsTCaTOpo
武内P「……やはり、タクシーを呼びましょう」

楓「それしか、無さそうですね」

武内P「料金は、私が出しますので……」

楓「まあ、送ってくださるんですか?」

武内P「いえ、あの、逆方向なので……」

楓「まあ、送ってくださるんですか?」

武内P「……」
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:39:37.78 ID:vsTCaTOpo
武内P「それに、私の利用する駅は近いですし……」

楓「駅? え、聞こえません」

武内P「……」

楓「料金は、私がおもちします」

武内P「私は、駅まで歩いてすぐなので……」

楓「駅? え、聞こえません」

武内P「……」

楓「風が強くて、よく聞こえません」
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:42:37.33 ID:vsTCaTOpo
  ・  ・  ・

武内P「タクシーを呼びました。すぐ、来るかと」

楓「お手数をおかけしました」

武内P「……」

楓「……?」


武内P「っ……!」

ダッ!


楓「!? 待ってください!」

ダッ!


武内P「何故、追ってくるんですか!?」

楓「逃げるからです!」
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:46:45.09 ID:vsTCaTOpo
  ・  ・  ・

楓「……ふぅ……ふぅ……!」

武内P「……高垣さん、タオルを」

楓「ありがとう……ふぅ……ございます」

武内P「あの、私は電車で帰りますから」

楓「……ああ、誰かさんのせいで濡れてしまったわ」

武内P「私のせい、ですか!?」

楓「それに、急に走って疲れちゃいました」

武内P「……!?」
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:51:04.12 ID:vsTCaTOpo
楓「……」ジッ

武内P「……わかりました。タクシーが来るまで、此処に」

楓「?」

武内P「私は電車で帰りますからね?」

楓「タクシーが来るのに、ですか?」

武内P「はい」

楓「もう、ワガママを言って私を困らせて、楽しいですか?」

武内P「!? 待ってください! その発想はおかしいです!」
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:54:32.35 ID:vsTCaTOpo
楓「雨に濡れて、一人で帰れだなんて……」

武内P「いえ、それは――」

楓「くしゃみ!」

武内P「? あの、今のは?」

楓「あっ、間違えちゃった」

武内P「?」

楓「はっくしょん!」

武内P「高垣さん、酔ってるんですか!?」
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 18:58:28.75 ID:vsTCaTOpo
武内P「……わかりました。私も、タクシーで帰ります」

楓「うふふっ、最初から素直になれば良いんです」

武内P「……最初から、素直だったつもりです」

楓「あっ、タクシーが来ましたよ」

武内P「……」

楓「これで、やっと帰れますね」

武内P「……そう、ですね」
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 19:01:09.86 ID:vsTCaTOpo
楓「それじゃあ、先に乗ってください」

武内P「……」

楓「私が乗りこんだ瞬間、走りだすつもりでしたよね」

武内P「……」

楓「……」

武内P「いえ、そんな事はありません」

楓「はい、先に乗ってください」

武内P「……」
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 19:04:40.42 ID:vsTCaTOpo
武内P「……」

楓「反対側のドアから降りても、無駄ですよ」

武内P「……何故、でしょうか」

楓「私、一度やってみたかったんです」

武内P「……何をですか」

楓「前の男を追ってください、って」

武内P「……!」

楓「うふふっ♪」
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 19:07:25.08 ID:vsTCaTOpo
ガチャッ

楓「はい、乗ってください」

武内P「……」

楓「……!」

ぐいぐい!

武内P「乗ります。乗りますから、押し込まないでください!」

楓「よろしい」

武内P「……」

バタンッ
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 19:13:22.16 ID:vsTCaTOpo
武内P「……では、先に高垣さんの自宅に向かいましょう」

楓「あっ、少し寄る所が」

武内P「構いませんよ。まだ、時間も早いですし」

楓「ありがとうございます」


楓「運転手さん、この住所にお願いします」


武内P「スマートフォンに表示しておくとは、準備が良いですね」

楓「はい。台風ですし、せっかくの機会ですから」

武内P「? どこに行くつもりで――」


武内P「――近くの居酒屋の住所じゃないですか!」


楓「タイ風、ですよ」



おわり
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 20:55:28.75 ID:vsTCaTOpo
忘れてたので書きます
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 21:06:19.18 ID:vsTCaTOpo

「っ……!?」


 ガン、ガンとバスの車体にまた衝撃が加えられた。
 その衝撃を与えてくる影の正体は――怪人。
 頭部がウサギ、と言えば可愛らしいが、
その顔は醜く、残忍な性格を隠すことなくこれでもかと表している。


「……」


 プロデューサーさんが、ゆっくりと立ち上がった。
 揺れる車内を悠然と歩く姿に、私達は息を飲んだ。


「新田さん」


 唐突にかけられた、声。
 その声はいつものように低く、落ち着いている。
 私達が何かした時の方が、焦ってるんじゃないかしら。


「は、はいっ!」


 思考して、返事をするのが遅れてしまった。
 きっと、プロデューサーさんは大事な事を言う。
 プロジェクトのリーダーとして、聞き逃す訳にはいかない事を。


「私は、此処を離れます」
「離れるって……何を言ってるんですか?」


 今も、バスは高速で走り続けている。
 止まったら、ウサギの怪人によって私達は終わりだ。
 だから、離れるなんて、出来ないはずなのに……。


「皆さんをお願いします」


 そう言うと、プロデューサーさんは上着のボタンをプチリプチリと外し、上着を翻した。
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 21:12:38.84 ID:vsTCaTOpo

「……」


 プロデューサーさんの腰元では、大きな銀色のベルトが、輝きを放っていた。
 

「私が、奴を倒します」


 右のポケットからスマートフォンを取り出した。
 ホームボタンを素早く三回押し、画面を起動。
 流れるように、暗証番号を画面を見ずに打ち込んでいく。


 ――3――4――6!



『LIVE――』



 スマートフォンから、どこかで聞いたことのある女性の声が聞こえた。
 あの声は、確か……。
 プロデューサーさんは、スマートフォンを銀色のベルトにかざし、



「変身ッ!」



 言った。



『――START!』



 プロデューサーさんの体を光が包み込んでいく。
 光の粒子はやがて形を成していき、鎧を纏わせた。


 鎧は黒を基調としたもので、所々白い箇所もあり、まるでスーツのよう。
 すっぽりと全身を覆うその鎧の胸元では、
ピンクと、ブルーと、イエローの宝石のような物が輝きを放っている。
 プロデューサーさんが今、どんな顔をしているのかは、
目付きの悪いぴにゃこら太のようなフルフェイスに覆われ、見ることは出来ない。


「……」


 だけど私は、確かにその向こう側に希望を見た。
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 21:24:28.59 ID:vsTCaTOpo

「だ、だけど……相手は物凄い速さで走ってるんですよ!?」


 今のプロデューサーさんは、とても強そうに見える。
 けれど、あのウサギの怪人よりも早く走れるというのか。
 あんな、高速で動く相手をどうやって……。


「はい。ですが――」


 カツン、カツンと歩く音が車内に響く。
 私達は、息を飲んで続くプロデューサーさんの言葉を待った。


「――私一人では、ありませんので」


 プシュウ、と音を立ててバス前方の出入り口が開いた。
 ウサギの怪人から逃げるため、景色が物凄い速さで流れていく。
 プロデューサーさんは、



「ピニャコラッター!」



 そう言うと、バスの車外へ躍り出た。
 いくら鎧を着ているとは言え、この速さで車外に出たらただでは済まない。
 そう思った私達の耳に届いた、低い、低い音声。



『ぴにゃぴっぴ』



 大きな、黒い影。
 その、巨大な黒い影はプロデューサーさんと地面の間に潜り込むと、
プロデューサーさんの体を乗せ、疾風のように走り出した。



『Unit debut!!』
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 21:41:02.49 ID:vsTCaTOpo
  ・  ・  ・

「……」


 吹き付ける風も、スーツのおかげでほとんど影響は無い。
 ピニャコラッターも、今か今かと暴れる時を待っている。
 エンジンのあげる唸り声が、今はとても頼もしい。


「さあ、行きましょう」
『ぴにゃー』


 私が声をかけると、ピニャコラッターが返事をした。
 このマシンは、ただの大型のバイクではない。
 人工知能を搭載した、正に、相棒とも呼ぶべき存在だ。


「……!」
『ぴ〜――……』


 速度を落として左足を地面に付き、少々強引にUターン。
 スーツを纏った私の脚は、彼の重量を支えきる。
 それに、こんな所で倒れる訳にはいかない。


「ふっ!」
『――にゃ〜!』


 彼も、私も。
 ターン終了と同時に、急加速。
 地面についていた左足が、アスファルトに擦れ火花を上げた。
 高速道路を逆走し、すぐに目標を捉えた。



「UUUUKYUUUUUUU!!」



 私達は、バスに体当たりをせんとしていたウサギの怪人に、



「善処します!」
『ぴにゃっぴ!』



 速度を緩めること無く、全力で突撃した。
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 21:56:10.08 ID:vsTCaTOpo

「おおおおっ!」
『ぴにゃ〜っ!』


 高速で走る二つの物体の、正面衝突。
 勝ったのは、



「GYUUUUUUUU!?」



 私達だ。
 当然の結果です。
 何故なら、私達は一人ではないのだから。


「……!」
『ぴにゃっぴ!』
「GYUUUU!? GYUUUUUOO!?」


 ピニャコラッターは、ウサギの怪人をその前方に乗せ、バスから引き離していく。
 ウサギの怪人が暴れて脱出しようともがくが、それは叶わない。


「少し、お時間を頂けますか」
「GYUUUUU!? GYUUAAAA!?」


 私の両手が、ウサギの怪人を捕らえて離さないからだ。


『ぴにゃっ!』


 運転をピニャコラッターに任せ、距離を稼ぐ。
 ここまで来れば、もう心配は無いだろうか。



「ピニャコラッター!」
『ぴにゃぴっぴ』



 私の声を聞いたピニャコラッターは、壁を駆け登る。
 私達は一塊となり、高速道路の外へと飛び出した。
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 22:17:46.09 ID:vsTCaTOpo

 一塊だった私達の影が、空中で二つに分かれる。
 それは当然、私達と、ウサギの怪人にだ。


「……」


 ピニャコラッターの上に立ち、彼を足場にして跳び、


「――企画!」
「GYUUUAAA!?」


『CooL!!』


 ブルーの光を纏った右の脚をウサギ怪人の頭部に見舞う。
 やはり、不安定な体勢で放った一撃では、あまり効果は望めない。


「――検討中です!」
「UUUKYUUAAA!?」


『Cute!!』


 しかし、それでも私は追撃の手を緩める事はない。
 ピンクの光を纏った拳をウサギ怪人の腹部に突き刺しつつ、地面に叩きつける。
 落下の衝撃が合わさったそれでも、仕留めるには至らなかった。


「KYUUUUUUUUU!!」
「ぐおっ!?」


 私の下で、ウサギ怪人が力を振り絞り、暴れた。
 あの速度が出せるだけの脚だ。
 その脚力は相当なもので、蹴り上げられた拍子に距離を空けられてしまう。


「――待ってください!」


 しかし、ここで逃がすわけにはいかない。
 ここで逃したら、いつ、またアイドル達にその牙を向けるかわからないのだから。


『Passion!!』


 私に背を向けて逃走を図ろうとしたウサギ怪人の脚を
銃の形にしていた私の左手から放たれたイエローの光が撃ち抜いた。
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 22:33:40.21 ID:vsTCaTOpo

「KYUUU……KYUUUUU!!」


 それでも、奴は諦めなかった。
 最初の時の速さは見る影もないが、それでも、走り出す。
 一瞬、このまま逃してやろうと、そんな思いに駆られた。


「……」


 だが、それは出来ない。
 彼は怪人で、アイドルから笑顔を……その生命を奪おうとする者。
 そして私は、そんな彼女達を守る……プロデューサーなのだから。


「ピニャコラッター!」
『ぴにゃぴっぴ』


 呼ぶのが遅い、と言わんばかりに、ピニャコラッターが横に走り寄る。
 その背に跨り、私達は一つとなる。
 怪人を――倒すために。


『Tricoloooooor!!』


 ピンク、ブルー、イエローの3つの光を纏った‘私’は、ウサギの怪人に突撃した。
 3つの光の尾を引きながら、私はウサギの怪人を粒子にした感触を味わっていた。


『ぴにゃ〜……』


 そんな私に、ピニャコラッターが声をかけてくる。
 彼のボディーを労るように撫でると、彼の鳴き声は止んだ。


 なくのはやめろ、ピニャコラッター。


 私達は、笑顔を守ったのだから。
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 22:49:02.06 ID:vsTCaTOpo
  ・  ・  ・

「新田さん、ありがとうございました」


 合流したプロデューサーさんが、頭を下げてきた。
 それは、いつものとても丁寧なお辞儀。
 だけど、その表情はなんだか……。


「いっ、いえ……」
「……」


 プロデューサーさんがこんな表情をする理由が、私にはわからない。
 それなのに、今は、この人を放っておいては駄目な気がする。


「こちらこそ、ありがとうございました!」


 でも、こんな時にどんな顔をしたらいいかわからない。
 アイドルとして、リーダーとして、一人の人間として。
 こんな顔をしている人に、どんな表情を向ければ良いの?


「……」


 顔を上げて、プロデューサーさんを見る。
 私のそんな思いを察したのか、プロデューサーさんは右手を首筋にやって、困った顔をした。


「……新田さん」
「……」


 教えてください、プロデューサーさん。


「笑顔です」
「っ!?」


 思っていた事をズバリ言い当てられ、ビックリしちゃった。


「皆さんの笑顔のため、私はプロデューサーになったのです」


 だから、笑っていてください。
 そう言って笑ったプロデューサーさんの笑顔は、とても下手で、泣いている様に見えた。



おわり 
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:03:33.00 ID:R6GwTZcNo

猫っぽいフルフェイススーツとなるとこんなんだろうか

https://i.imgur.com/79MzDuy.jpg
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 23:08:35.54 ID:vsTCaTOpo
ライダー意識なので、目がこれのでっかい感じかなー、と!
ってかこの画像クッソカッコイイすなw
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:39:43.14 ID:r8H1Yizto
https://i.imgur.com/SwKssIa.jpg
https://i.imgur.com/kXw6wEd.jpg
フルフェイススーツっていいよね
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 10:08:37.36 ID:eN3LW4IuO
あの魔法少女たちを千佳が見たらどうなるんだろうね
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:16:39.58 ID:TGYGUXBbo
書きます


武内P「そろそろ、寂しさが限界です」
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:18:39.88 ID:TGYGUXBbo
美嘉「は? アンタ、何言ってんの?」

凛「寂しさが限界って、意味わからないんだけど」

ちひろ「あの……どういう事でしょうか?」

武内P「千川さん、お願いがあるのですが」

ちひろ「? はい、何ですか?」

武内P「こう、頭を抱きしめていただけませんか」

ちひろ「!?」


美嘉・凛「!?」
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:20:27.72 ID:TGYGUXBbo
ちひろ「なっ、何言ってるんですか!?」

武内P「30分程度で、大丈夫だと思いますので……」

ちひろ「あの、一体どうしちゃったんですか……?」

武内P「寂しさが限界に――」


武内P「――ああ……うあああ……!」ブルブル


ちひろ「!!?」


美嘉・凛「!!?」
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:22:50.27 ID:TGYGUXBbo
武内P「さ、寂しい……寂しくて、たまらない……!」ブルブル

ちひろ「ぷっ、プロデューサーさん!? 凄く震えてますよ!?」

武内P「お願いします……! お願いします、千川さん……!」ブルブル

ちひろ「そっ、そんな事言われても……」

武内P「ひぅ……うぅっ……! 寂しくてたまらない……!」ブルブル

ちひろ「あ……ううっ……!?」


美嘉・凛「……」
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:25:00.73 ID:TGYGUXBbo
武内P「ああ……! もう……!」ブルブル

ちひろ「……っ! もう!」

ぎゅっ

ちひろ「こっ、これで良いんですか!?///」

武内P「……ありがとうございます……あぁ、寂しさが消えていく……」

ちひろ「そ、そうですか……///」


美嘉・凛「……」
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:27:20.48 ID:TGYGUXBbo
武内P「……ありがとうございます、千川さん」

ちひろ「っ、はい! もう終わりです!」

パッ!

武内P「!?」

ちひろ「プロデューサーさん、寂しさが限界って――」


武内P「あっあっあっあっ!」オブオブ


ちひろ「――まっ、まだだったんですか!?」


美嘉・凛「……」
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:29:51.56 ID:TGYGUXBbo
武内P「あっあっあっあっ」オブオブ

ちひろ「す、すみません! 急に離れて!」

ぎゅっ

武内P「……いえ」

ぎゅううっ!

ちひろ「……」

ちひろ「……」キュウンッ!


美嘉「アタシ、今のちひろさんの気持ちがわかった」

凛「うん。明らかに母性本能を刺激されたよね」
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:32:18.91 ID:TGYGUXBbo
武内P「……申し訳、ありません」

ぎゅううっ!

ちひろ「だ、大丈夫ですよ。もう、急に離れませんから!」

武内P「……はい」

ぎゅっ

ちひろ「……」キュウンッ!

ぎゅうっ!


美嘉「ちひろさんの抱きしめる力、強くなった」

凛「あんなに不安そうな顔されたら、仕方ないかな」
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:35:45.61 ID:TGYGUXBbo
武内P「皆さんに、不甲斐ない所をお見せしてしまいました……」

ちひろ「……良いんですよ、プロデューサーさん」

武内P「……千川さん?」

ちひろ「プロデューサーさん、いつも頑張ってますから」

なでなで…

武内P「……そう、でしょうか」

ちひろ「だから、たまには誰かに甘えても良いんです」

なでなで…


美嘉「頭! 頭を撫でだした! ねえ、凛!?」

凛「見ればわかるから! 落ち着いて美嘉んあああああ!」

美嘉「凛!? 落ち着いて、凛!?」
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:40:26.52 ID:TGYGUXBbo
武内P「情けない話ですが……とても、落ち着きます」

ちひろ「うふふっ、そうですか?」

なでなで…

武内P「はい、とても」

ちひろ「……」キュウンッ!

なでなで…


凛「知ってる? 朝顔の種って、食べちゃいけないんだよ」

美嘉「初めて聞いたケド……なんで、急にその話を?」

凛「食べたら幻覚を見ると言う朝顔の種が、ここに」

美嘉「ヤバーイ★」
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:44:44.14 ID:TGYGUXBbo
凛「ちひろさん、喉、渇いてない?」


ちひろ「いつも頑張ってて偉いですよー」

なでなで…

武内P「……心が、洗われるようです」ホッコリ

ちひろ「私が、ついてますからねー」

なでなで…

武内P「……私は、此処に居ても良いのですね」ホッコリ


美嘉「聞いちゃいないね」

凛「……引き剥がすのは無理、かな」
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:49:08.71 ID:TGYGUXBbo
美嘉「こうなったら、アタシ達も――」

凛「――行くよ。蒼い風が、駆け抜けるように」


ぎゅっ!


武内P「!?」

ちひろ「凛ちゃん、美嘉ちゃん!?」

美嘉「べっ、別に? いつもお世話になってるお礼っていうか?」

凛「うん。ちひろさんだけに面倒をかけるのは、良くないかなって」


武内P「うわあああああっ!?」ブルブル!


ちひろ・凛・美嘉「!?」
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:53:01.98 ID:TGYGUXBbo
ちひろ「プロデューサーさん!? どうしたんですか!?」

美嘉「えっ、なんでアタシ達が抱きしめたら!?」

凛「ちょっと、どういう事!? 説明して!」


武内P「ああああ! うわあああ!」ブルブル!


ちひろ「っ! ウチの子に触らないで!」

ぐいっ!


美嘉・凛「!?」


ちひろ「もう大丈夫ですよー、怖いお姉ちゃん達は居ないですよ―」

なでなで…

武内P「はい……ありがとう、ございます」

ちひろ「……」キュウウンッ


美嘉・凛「……」
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 21:57:10.25 ID:TGYGUXBbo
美嘉「……ねえ、なんでアタシ達じゃ駄目なの?」

凛「美嘉が抱きしめたら、急に騒ぎ出した……?」

美嘉「は?」

凛「そういう怖い所が駄目だったんじゃない?」

美嘉「……怖かったのは凛の方じゃない?」

凛「あ?」


ちひろ「私がついてますから、安心してくださいねー」ニッコリ

なでなで…

武内P「……良い、笑顔です」ホッコリ

ちひろ「……」キュキュウンッ!


美嘉・凛「……」
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 22:00:01.44 ID:TGYGUXBbo
ちひろ「良い子良い子〜」

なでなで…

武内P「あの……先程の、ウチの子、というのは……」

ちひろ「あっ……もしかして、嫌でしたか?」

なでなで…

武内P「いえ……悪くないものだと、そう、思いました」

ちひろ「……」キュキュキュウウンッ!


美嘉・凛「……」
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 22:03:12.23 ID:TGYGUXBbo
武内P「――ありがとうございます。寂しさが、落ち着きました」

ちひろ「……」

なでなで…

武内P「あの、千川さん? もう、大丈夫ですので……」

ちひろ「そう、ですか? 本当に?」

なでなで…

武内P「はい。ご迷惑をおかけしました」

ちひろ「……」


美嘉・凛「……」
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 22:06:19.39 ID:TGYGUXBbo
ちひろ「……」

なでなで…

武内P「……」

ぐいっ!

ちひろ「あっ……」ションボリ

武内P「……申し訳ありません、これ以上は」

ちひろ「そう……ですよね」ションボリ

武内P「ですが……また、お願いするかもしれません」

ちひろ「! も、もうっ! プロデューサーさんはしょうがないですね!」パアッ


美嘉・凛「……」
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 22:10:27.22 ID:TGYGUXBbo
武内P「申し訳ありません、お二人にも――」

美嘉・凛「ねえ」

武内P「? はい、何でしょうか?」

美嘉「アタシ達の――」

凛「――どっちが怖かったの?」

武内P「……すみません、寂しさが限界だったので、よく覚えていなくて」

美嘉・凛「……」

武内P「ですが、次の機会があっても、お気持ちだけ受け取っておきます」

美嘉・凛「……」
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 22:13:31.52 ID:TGYGUXBbo
美嘉「じゃあさ、今、抱きしめて確かめてみない?★」

武内P「いえ、アイドルの方がそのような事は……」

凛「アンタ、私のプロデューサーでしょ?」

武内P「渋谷さん。だからこそ、です」

美嘉・凛「……」

武内P「絶対に、いけませんよ」

美嘉・凛「……」
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 22:16:56.45 ID:TGYGUXBbo
  ・  ・  ・

美嘉「……うん、チョー安心する★」

凛「……私も。美嘉って、やっぱりお姉ちゃんなんだね」

美嘉「そうだよー★ 年上だし、ね!」

凛「でも、お姉ちゃんも甘えたい時、あるよね」

美嘉「……うん。だから、甘える」

凛「……私も、今は甘えさせて」

ぎゅっ!


未央「……何? アレ」


武内P「寂しさが、限界だったようです」



おわり
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/19(金) 22:17:22.40 ID:TGYGUXBbo
ゲームしてきます
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 23:07:43.60 ID:3kKWgu57o
やち天
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 00:55:51.69 ID:o0+VvCZ2o

「はぁ……んっ……はぁっ……!」


 千川さんの、美しい桃色の唇から艶めかしい吐息が漏れる。
 本来ならば聞くことはない、普段とは全く違う彼女の声。
 悶える姿から発せられる色気は、まるで極上の娼婦のよう。


「千川さん……!」


 千川さんに、声をかける。


「プロデューサー……さぁん……!」


 彼女も、息を切らしながらそれに応える。


「っ……!」


 私はプロデューサーであり、彼女は事務員だ。
 アイドル達よりも、近い関係。


「もう……! もう、私……!」


 彼女の、限界が近い。
 爪を立ててもがく千川さんが、苦しげな声を出している。
 私は、そんな彼女にかける言葉は一つしか思いつかない。


「……頑張ってください!」


 此処は、346プロダクションの社用車内。
 運転するのは私で、


「ぐっ……こ、こきゃっ、こ……!」


 千川さんは、助手席で腹痛に悶えていた。
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 01:08:52.91 ID:o0+VvCZ2o

「っ……!」


 千川さんは、今日は午後からの出勤だった。
 プロジェクトメンバーを仕事先に送る、帰り道。
 その道程で、千川さんの自宅が近い事を知ってしまっていた。


「あっあっ……!」


 故に、事務所に戻る途中で千川さんを拾って帰る。
 そんな結論に至ったのは、至極当然の事だろう。
 仕事上の付き合いとは言え、人間関係は円滑にすべきだ。


「ひぃーっ! はっ、ほひぃーっ!」


 千川さんは、最初はその申し出を固辞していた。
 その事に彼女との距離を感じたものの、そのまま引き下がった。
 あくまでも、彼女の意思を尊重するべきだ、と。
 しかし、プロジェクトメンバー達が「せっかくだから」と強引に彼女を説得したのだ。


「……ふぅ……ふぅ……!」


 私達だけ、いつもプロデューサーさんに送迎をしてもらったりしている。
 だから、せっかくだからちひろさんもお願いしちゃいなよ、と。
 その時のプロジェクトメンバー達の、輝く笑顔が今は懐かしい。


「あっ……また波が……!」


 そんなメンバー達に説得された時の千川さんは、少し困った顔をしていた。
 しかし、上目遣いで茶目っ気を出しながら、はにかんだ千川さんの笑顔。
 ほんの少しの間だけど、ドライブデートですね……と、冗談交じりで。
 ああ、その台詞を聞いたメンバー達は、盛り上がっていましたね。


「ぐっ……おおお……!」


 千川さんは、今、何を思っているのだろう。
 出来ることならば、メンバー達を恨むような事は、しないで欲しい。
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 01:20:03.72 ID:o0+VvCZ2o

「うん……うん……うっ……!?」


 波をやりすごそうとして、失敗したのだろう。
 チラリと横目で見た千川さんの顔は、普段の彼女とは似つかない。
 腹筋に力が入らないよう、顔の筋肉を全て弛緩。
 口はパカリと開き、視線は定まることなく宙を彷徨っている。


「はぁー……ほぉー……」


 最早、人の発する言葉ではない。
 壊れる寸前の蓄音機が奏でる、断末魔の音色。
 それを断続的に響かせる千川さんは、一体、何なのだろう。


「千川さん、もう着きます!」


 そんな事は、決まっている。
 プロデューサーの私を支えてくれる、大事な仲間だ。


「あっあっあっあっ!」


 千川さんが、一際大きな声をあげた。
 虚ろな目に飛び込んだ、城。
 私達が共に働く、346プロダクションの事務所だ。


「間に、合いましたね!」


 チラリと、横目で千川さんの様子を確認する。
 私の口元には、笑みが浮かんでいた。


「いいえ」


 だが、その笑みは続くこと無く、一瞬で掻き消えた。
 いつも、朗らかな笑みを浮かべる千川さん。
 彼女が一切の表情をなくしているというのに、どうして私が笑顔でいられようか。
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 01:33:28.14 ID:o0+VvCZ2o

「プロデューサーさん」


 先程までとは違う、とても落ち着いた声。
 まるで、いつもの、優しい笑みを浮かべている時の彼女の声のようだ。
 しかし、


「私ね、今日はちょっと楽しみだったんです」


 無。
 今の彼女からは、何も感じない。
 そこに確かに存在するのに、その存在が虚空に飲み込まれているようだ。
 それは、彼女が消えて無くなりたいと、そう願っているからだろうか。


「お待たせしちゃいけないな、って準備もバッチリして」


 彼女の声を聞きながら、私は事務所の前に停車した。
 運転の片手間に聞くような、そんな話ではない。
 千川さんは今、とても大事な話をしているのだから。


「でも、こんな事になっちゃいました」


 彼女が目尻に涙を浮かべているのは、己の不甲斐なさからか。
 それとも、打ち寄せる後悔からか。


「……すみません、千川さん」


 私も、右手を首筋にやり、左手で自らの目元を軽く拭う。


「プロデューサーさんが、泣く必要は無いですよ」


 そう言って、千川さんは女神のような笑顔を私に向けた。


「……申し訳、ありません」


 違うんです、千川さん。
 あまりの臭さで、目がシパシパしてきただけなのです。
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 01:48:47.71 ID:o0+VvCZ2o

「プロデューサーさんは、悪くありません」


 窓を開けても、良いだろうか。
 このままの状態が続くのは、非常にまずい。
 しかし、此処は事務所の前だ。
 いつ、誰が通って、窓から流れ出る悪臭を浴びるともわからない。


「全部、私が悪いんです」


 嗚呼、何故、私はこんな所に車を停めてしまったのだろう。
 前進し、社用車専用の駐車場に車を停め、脱出。
 後退し、どこか適当な所に車を停め、脱出。
 進むことも戻ることも、今となっては出来そうにない。


「……全部、私が」


 そう、全ては千川さんの許可を取ってからだ。
 この場に留まっていても、何も解決はしない。


「千川さん」


 可能な限り、優しく千川さんに話しかける。
 今の彼女は、とても傷ついている。
 自らを責め、全てを背負い込もうとしている。
 仲間として……断じて、見過ごすわけにはいかない。


「はい……何ですか?」


 気丈にも、彼女は涙を流していなかった。
 その強さは、私も見習いたいと、そう、考えます。
 しかし、私はこうも思うのです。
 その強さをお腹にも、少しだけ分けてあげて欲しい、と。


「……すみません。少し、待ってください」


 彼女が首を傾げた時に香った、シャンプーの香り。
 それが合わさった異臭が私の鼻を直撃し、意識が飛びそうになった。
 手を口元にやり、考え事をするフリをする。
 そうすれば、自然と鼻の穴を手で塞げるから。
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 02:05:48.45 ID:o0+VvCZ2o

「……」


 千川さんが、私の言葉を待っている。
 次に発する言葉が、彼女のこれからに大きく関わってくるのは明白だ。
 出来ることならば、最善を。
 私と、千川さんのためになる、最も良い選択をしなければならない。


「……千川さん」
「……はい」


 だが、私はどの選択肢も選ばなかった。


「兎に角、この場を移動しましょう」


 選ばないという選択を選んだのだ。
 問題の先送りでしかない提案だが、今は、それで良い。
 私は今、一刻も早く窓を開けて新鮮な空気を肺に送り込みたい。
 申し訳ありません、千川さん。
 このままこの状態が続けば、私は地上で溺れてしまいそうなのです。


「そう、ですね」


 千川さんは、薄々だが私の様子を見て察していたのだろう。
 自分の生み出してしまったものが、とんでもない代物だという事に。
 自分だとわからないけれど、他人は鮮明に感じるという、アレです。


「では発車します」


 千川さんの同意を得た私は、すぐさま行動に移った。
 普段よりも口調が早くなってしまったのは気付いていたが、それは許して欲しい。
 この場を離れられるという事は、遂に、窓を開けられるのだから――!


「……!」


 しかし、焦った私は発車する前に窓を開けてしまった。



「あっ、ちひろさんにプロデュー……うえっ!? げほっ、ごほっ!」



 それが、さらなる悲劇を産んだ。
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 02:28:41.46 ID:o0+VvCZ2o

「は、鼻が……!? それに、目が……!?」


 窓から解き放たれた悪臭の直撃。
 不意を付かれる形のそれは、彼女から嗅覚だけでなく、視覚まで奪ったようだ。
 突然の事に驚き、その両手は何かを探すように前に突き出されている。


「っ……!」


 彼女には申し訳ないが、時間とともに回復して貰うしか無い。
 今は、一刻も早く臭いの原因を取り除かなければならない。
 しかし、本当に申し訳ありません。
 外の世界を知ってしまった今、また、窓を閉めるのはとても難しいのです。


「どこ……!? どこ……!?」


 だが、このままでは発車出来ないのも事実。
 彼女の両の手が、車体に触れてしまう可能性がある。
 それだけは、なんとしても避けなければ。
 だから――



「Let’s go〜♪ あのヒ〜カリっ目指して〜♪」



 ――私は、歌った。
 闇の中を彷徨う彼女を導くように、高々と、大声で。


「!」


 私の声は、彼女に届いた。
 その結果、彼女は『Star!!』の振り付けの通り、人差し指を天に向けていく。
 はい、これで安全に発車出来ますね。


「では、発車します」


 私は、感情を殺してつぶやいた。
 千川さんも涙と鼻水によって、視覚と嗅覚を奪われていた。
 だが、きっと私の声は届いただろう。
 その証拠に、千川さんの泣き声が一際大きくなったのだから。


おわり
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 02:31:44.24 ID:o0+VvCZ2o
寝ます
おやすみなさい
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 12:37:29.87 ID:huqZQbYto
予告なくウンコ
だがそれがいい
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 19:02:00.34 ID:o0+VvCZ2o
このスレはキワモノ多めでやろうと思っていました

キョン「ッ……仕方がない、変身ッ!」
http://punpunpun.blog107.fc2.com/blog-entry-760.html

8年前に書いた二次創作とのクロスオーバー三次創作を書きます
諸々やるので遅くからになります
面倒な人は飛ばしちゃってください
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 19:58:40.55 ID:oMJbKjGIO
このスレは?このスレもの間違いだろ…
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 21:40:19.89 ID:o0+VvCZ2o

 宇宙人、未来人、異世界人、超能力者。
 そんなもん居るわけねぇ! なんて思ってたのは、もう随分と昔のような気がするな。
 今の俺を取り囲む日常とやらは、そんな非日常的な人間達に囲まれるものになっている。
 
 宇宙人――長門有希。
 未来人――朝比奈みくる。
 超能力者――古泉一樹。
 そして、我らがSOS団の団長――涼宮ハルヒ。

 異世界人は残念ながら所属してないが、その代わりに神様が団長をやっている。
 そう考えると、お釣りが来る所かそれだけで大金持ちだ。
 そうは思わないか?


『異世界人と神の価値の違いとは』


 そんなもん知るわけねぇ!
 そもそも、異世界人とやらには会ったことすら無いんだぞ。
 もしかしたら、とんでもなく不細工な奴だったら、見た目が良い分ハルヒの方がマシだ。


『そう』
「そうだとも」


 なんて、他愛の無いやり取りをするのはいつもの事だ。
 俺がくだらない事を言って、律儀に長門がそれに答える。
 まあ、大抵は今みたいにグダグダになって終わっちまうんだけどな。
 それもまた、‘らしく’て良い。


『目標まで、あと20メートル』


 ああ、そうかい。
 この路地を曲がった先に――怪人が居るって訳だな。
 やれやれ、嫌になるぜ、本当。


「……変身」


 そう、俺は人知れずつぶやいた。
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 21:52:59.17 ID:o0+VvCZ2o

 体中の細胞の一つ一つが、別のものに置き換わっていく。
 俺自身は、至って平凡な男子高校生だ。
 けど、変身をした後の俺は、違う。


「っ……!」


 腕が、脚が、体が、頭が、人間のそれとはかけ離れていく。


 ――化物!


 なんて、言われた事もあったっけな。
 ……そう、強がってみても、今でもハッキリと思い出せる。
 俺の今のこの姿を見た、ハルヒの怯えた表情を。


「…………」


 ああ、いかんいかん!
 アイツのあんな顔を思い出したら、余計に滅入っちまう。
 今はただ、いつもの、俺が愛する日常を守る事だけ考えよう。
 平凡で、たまに平凡とはかけ離れた刺激のある、あの日常を。


 ズシャリ、ズシャリ。


 地面を踏みしめる音が、ハッキリと聞こえる。
 強化された今の俺の聴覚は、ほんのささいな音すらも拾い上げる。
 普通だったら、まともじゃいられないんだろうな。


 だが、今の俺は普通ではないし、まともでもない。


 異形の――化物だ。


 そんな俺の耳に、いつもとは違う、電子音混じりの二人分の女の声が響いた。


『LIVE SUCCESS!!』


 ……やれやれ、一体何だってんだ?
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 22:08:38.50 ID:o0+VvCZ2o

 あんな奇っ怪な音を聞かされて、はーいこんにちはー、
なんてヒョッコリと顔を出す程俺は間抜けじゃない。
 今はこんな見た目をしちゃいるが、本当は平和を愛する凡人だからな。
 ……なんて言っちゃみたが、どっちの姿が本当なんだろうな。
 わからんし、わかった所でやる事は変わらないが。


「…………」


 路地裏の突き当り、行き止まりの所に、男は居た。
 大柄で、無表情な男。
 黒いスーツの上下を着ちゃいるが、その顔つきはどう見ても一般人じゃない。
 現に、その男の足元からは、虹色の粒子が立ち上っている。
 ……仲間割れでもしたのか?
 だとしたら、アイツは‘どっち側’なんだ?


「――新手、ですか」


 低い声が、路地裏に響く。
 地の底から聞こえてくるようなそれは、隠れていても無駄だと、そう言っているようだ。
 やれやれ。
 どうやら、やるしかないみたいだな。


「…………」


 男は、姿を見せた俺の姿を見て、一瞬目を見開いた。
 おいおい、何を驚く必要があるんだ?
 アンタも、俺と似たようなもんだと思ったんだが。


「言葉を話す相手は、初めてだったものですから」


 顔に似合わず、随分と丁寧な口調だな。
 だけどな、油断させようと思ってしているなら、そいつは無駄だぞ。


「話し合いで終わるとは、思ってないだろ?」
「はい。そして、それは貴方も、でしょう?」
「違いない」


 男は、バサリと上着を翻し、銀色に光るベルトを露出させた。
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 22:19:49.20 ID:o0+VvCZ2o

「…………」


 男は、右のポケットからスマートフォンを取り出した。
 見たことの無い機種だな。
 ホームボタンを三回押し、画面を起動。
 流れるように、暗証番号を画面を見ずに……って、器用だなオイ。


 ――3――4――6!


『LIVE――』


 スマートフォンから、さっきと同じ二人分の声が聞こえる。
 そして、男はスマートフォンを銀色のベルトにかざし、


「変身ッ!」


 言った。


『――START!』


 光に包み込まれた男の体に、黒い鎧が纏われていく。
 その胸元には、ピンク、ブルー、イエローの宝石のような物が輝きを放っている。
 目付きの悪い……なんだったっけか、あのキャラ。
 なあ、アンタのそのフルフェイス、どっかで見たことがあるんだ。
 こういうのって、すぐに思い出さないとボケるって言うだろ?
 戦う前に、教えてくれないか。


「……ぴにゃこら太、です」


 ああ、そうかい。


「不細工で、殴りやすそうな顔で助かったぜ!」


 可愛い顔だったら、殴ると心が痛むからな。
 今のアンタの顔なら、そんな心配はしなくて済む。
 変身前の顔だったら……おっかなくて、逃げ出してたかもな。
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 22:33:49.99 ID:o0+VvCZ2o

「おおっ――」


 地を蹴り、一瞬で相手との間合いを詰める。
 その拍子にアスファルトがボゴリと凹んだが、後で長門に言わきゃならん。
 でないと、あの穴に躓く人が出ちまう。
 ……なんて、そんな考え事をしながらのパンチは、


「――らあっ!」
「善処します!」


 黒い不細工面の放った拳で、容易く迎撃された。


「っ……!?」


 速い。
 コイツ、直線で放った俺のパンチを‘横から’撃ち落としやがった!
 想定外の出来事に、あっけなく体勢を崩す。
 間違いない。
 コイツは、今まで戦ってきたどの怪人よりも、強い!


「くっ――!」


 慌てて後ろに飛び退こうとするが、奴の左手が銃を模した握りになっているのが見えた。
 ……おいおい、マジか。


「――企画!」
「う、おおおっ!?」


 夜の闇を照らすような、イエローの光が俺の体を貫いた。


『Passion!!』


 うるせえ!
 パッションだかファッションだか知らないが、飛び道具なんて聞いてねえぞ!


「――検討中です!」


『Cute!!』


 そんな俺の抗議の声は、輝くピンクの拳が腹に打ち込まれた事で中断させられた。
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 22:50:11.15 ID:o0+VvCZ2o

「ぐ、あっ……!」


 強い。
 イエローの光が打ち込まれてから、全身が痺れる。
 ピンクのパンチをもらった腹は、まるで爆発したみたいだ。
 相手を舐めていた。
 そう、言わざるを得ない。


「…………」


 ズシャリ、ズシャリと、重量を感じさせる足音。
 それが近づいてくる事に、俺は恐怖を――……覚えない。
 例えコイツが何だろうと、俺は負けるわけにはいかない。
 負けは、俺の愛すべき日常が壊れる事と、同じなのだから。
 それに比べれば、どんな敵だろうと恐れる必要は無い。


「なあ……アンタの戦う理由は、何だ?」


 呼吸を整え、腰を落とした状態で、男に問いかける。
 悪いな、この技はちょいとばかし溜めが必要なんだ。
 卑怯だと思うかい? 必死なんだよ、俺だって。


「……笑顔です」


 その笑顔ってのは、アイツを殺して、って事か。
 だったら、こっちも全力でいかせて貰う。
 さっきと同じと思ったら、大間違いだぜ。


「アイツを殺して? あの、仰っている意味が、よく――」


 初めて見せた、大きな隙。
 それを見逃してやる程、俺はお人好しじゃあない。
 最も、今の俺が人と言えるかは微妙な所だけどな。


「ライダー――」


 両足に溜めた力を――


「――キック!」


 ――爆発させた。
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 23:09:51.70 ID:o0+VvCZ2o

「っ!?」


『Cooooo――』


 ブルーの光を纏った右足で迎撃しようとしたようだが――遅い。
 悪いな、これは俺の必殺技なんだ。
 相手を必ず殺す技――ライダーキック。


「ぐおおおおっ!?」


 俺の脚が、男の体の中心を捉えた。
 すさまじく硬いが、確かな手応え。
 激突時に発生した衝撃波が、ビリビリと空気を揺らす。


「あ――ぐ、あっ!」


 吹き飛んだ男は背後の壁に叩きつけられ、磔になった。
 凄いな、壁にめり込む程硬いのか、アンタ。


『LIVE Failed……』


 響く二人の女の声と共に、変身が解けていく。
 だが、その姿はズタボロで、体中は傷だらけ。
 シャツには血が滲んでいるし、口からは血を流している。
 悪いな、上着の袖、取れちまいそうだ。


「貴方は……」


 男は、そんな姿になりながらも、倒れる事は無かった。
 歯を食いしばり、手で膝を掴み、必死の形相でこちらを見ている。
 良いぜ、最期の言葉くらい聞いてやるさ。


「アイドル達を狙う怪人、では……無いのですか?」


 ……は?


「……アイドル?」
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 23:27:08.85 ID:o0+VvCZ2o
  ・  ・  ・

「…………」


 不幸な事故や、争いごとが無くならないのには、理由がある。
 その時は最善だと思った行動や、自分が正しいと信じて取った行動。
 そいつが、何の因果かおかしな形で噛み合って起こっちまう。
 神様の気まぐれだってんなら、俺はハルヒの頭にチョップをくらわさにゃいかん。

prrrr!prrrr!

 携帯が音を立てる。
 着信音の変更はしてなかったが、この機会だから着歌とやらを
ダウンロードしてみるのも悪くないかもしれないな。


「――はい、もしもし」


 通話ボタンを押して、日本人が電話に出たらよく言う台詞を口にする。
 電話の向こう側で、ハァハァと疲れたような息遣いがした。


『あの……すみません。道に……迷ってしまって……!』


 いや、説明しましたよね?
 さっき、イチゴとティラミスのクレープを買ってきたって聞いたばかりなんですが。
 あの、迎えに行った方が良いですか?


『! 申し訳ありません。少々お待ちを』


 電話口の向こうで、息を飲む声がした。
 やれやれ。
 年上だってのに、こんな高校生相手にも真面目なんですね、アンタって人は。


『すみません。アイドルに、興味はありませんか?』


 通話はそのままに、胸のポケットにスマートフォンを入れているのだろう。
 スカウトしようと、誰かに声をかけている様子が伝わってくる。


『あたし、アイドルには興味無いの。不思議探索の邪魔しないで』


 おい、今の声は……!?


『待ってください! せめて、名刺だけでも――!』



おわり
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 23:28:16.71 ID:o0+VvCZ2o
OPっぽいの書いてスッキリしました
休憩
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 00:04:52.01 ID:X7AH4ZiSO
男を口説くのが早いキョン
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/21(日) 00:52:49.47 ID:28BBW8a8o
申し訳ない、何故か下ネタ銀英しか浮かばないので寝ます
おやすみなさい
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 02:26:49.85 ID:RB/Uvxvv0
朝倉さん消えたままなのかしら……?
おつ
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