バットマン「グランド……オーダー?」

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207 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2017/11/26(日) 19:11:28.84 ID:HrKXx+5N0
 風が一陣、抜けて行った。


 沈んで行く夕陽、きらめく十字架。抱えた聖女は動かない。黒い騎士は高速で思考を回転させる……目の前のサーヴァントの、真名は何だ。

「動かないの?」

 聖女が問う。バットマンは答えない。下手に意識を逸らせば、致命的な一撃が来る。自分が再起不能になれば、人類は滅ぶ。その重責。マシュを連れて来なかったという甘さ。今更になって、前回の所長の叱責が重くのしかかる。

「……動かないなら、こっちから行くけど」

 聖女は十字架を動かした。一瞬の閃光……バットマンは素早く跳び退く。一瞬前まで彼が居た場所で光球が弾け飛ぶ。

 あれを食らえば危なかった。バットマンは警戒し、意識を前方へ向ける……聖女は居ない。


 頭上。黒い残像を錯覚する速度で、バットマンは転がった。またしても光球が降り注ぎ、空中で弾けた。

「シッ!」

 バットラング投擲。聖女は片手で全て摘み取り、投げ返す。バットマンはグラップネルガン射出、上方へと回避。

 聖女は十字架をかかげ、何かを唱えた。これまでとは比にならない大きさの光球が飛び出し、バットマンの背後へ迫る。だが彼は空中でグラップネルガンを手放し、これを躱しながらマントを広げ、グラインド飛行へ移る。

「へえ、猫かと思ってたらコウモリなんだ!」

 楽しそうに笑い、聖女は更に十字架を振り上げる。光球が連射され、光の火線が飛行するバットマンを追う。だが騎士はマントをたたみ、急降下して聖女へ向かって行く!

 彼は聖女の眼前に着地し、拳を引き絞った。聖女の瞳に暴力的な輝きが宿る。バットマンはパンチを放った。聖女は同じく拳を繰り出しそうになり……一瞬でみずからを抑え、十字架でこれを防御した。

 森の中、隅々まで、甲高い音が鳴り響いた。
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