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久「あんたが三年生で良かった」京太郎「……お別れだな」

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345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 00:18:10.93 ID:SvQi/1J4o
おつー
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 00:18:44.07 ID:/k5FqNFKO
おつおつ
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 00:55:26.57 ID:qzbe8MQA0
乙!
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/27(土) 11:30:05.45 ID:NaMv9bPr0
乙です!
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/28(日) 16:04:05.61 ID:8nZNgabr0
https://i.imgur.com/VuvjIWU.jpg

テルー
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/28(日) 17:12:24.47 ID:dRD6Al5o0
https://www65.atwiki.jp/sajest/pages/96.html
https://www65.atwiki.jp/sajest/pages/95.html
https://www65.atwiki.jp/sajest/pages/74.html
https://www65.atwiki.jp/sajest/pages/39.html
https://www65.atwiki.jp/sajest/pages/47.html
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/30(火) 22:45:05.93 ID:mJWw12iq0
待ってるわよ!
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/01(木) 16:05:58.93 ID:5XJoe9sP0
マダー?
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 23:21:58.54 ID:poHHle0S0
今日は京ちゃんの誕生日だね
おめでとうございます
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 17:19:36.41 ID:Fj/jsvwE0
すばら!
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/10(土) 09:32:37.85 ID:Xb1F/1fS0
カンだおらぁぁぁ!
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/14(水) 23:52:12.54 ID:Y2+AllzAO
バレンタインが終わる
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 21:00:55.44 ID:VFOrBApU0
どうした?大丈夫か?心配だぞ
358 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/22(木) 23:55:01.96 ID:HSvAM31N0
前回が長すぎたからこんなに間が……

嘘です。単純に暇がなかっただけです

そんなわけで、もうちょっとしたら始めます
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/23(金) 00:10:12.34 ID:jWhsdZsmO
お、生きてた
360 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/23(金) 00:27:06.95 ID:7XTS033P0
んじゃ、始めます
361 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/23(金) 00:35:48.06 ID:7XTS033P0


京太郎「……あのさぁ」

久「なに?」

美穂子「なんですか?」

京太郎「動けない」

久「あんたが悪い」

美穂子「そうですね」

京太郎「……」


京太郎(八月の中旬、大学一年の夏休みが始まって間もなく)

京太郎(俺は明確にピンチを迎えていた)

京太郎(場所は自宅……賃貸のマンション)

京太郎(状況は挟み撃ち……腕を両サイドからガッチリホールドされてる)

京太郎(原因は……自業自得としか言い様がない)


久「――ちょっと」グイッ

美穂子「――こっち向いてください」グイッ

京太郎「いでででででっ! 人間の首は左右同時には向けないんだよ!」


京太郎(つまり俺は、一方と関係を持ちながら)


久「いい加減はっきりさせなさいよね」


京太郎(また別の女性に手を出した、とんだクズ野郎ということだ)


美穂子「私もはっきりと聞きたいです」


京太郎(……絶賛、修羅場中)


「「どっち(ですか)!?」」


362 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/23(金) 00:41:49.34 ID:7XTS033P0



京太郎「いやぁ、爆釣爆釣」

一太「何だよ、そのチラシの山」

京太郎「新入生歓迎の煽り」

一太「勧誘の嵐に自分から飛び込んでいったのか……」

京太郎「でもなんでもかんでも面白そうに見えてさ、ほら」

一太「ヒゲ部、万事屋銀ちゃん、スケット団、ヒーロー協会、ゲーム制作部(仮)……わけがわからないのばかりじゃないか」

京太郎「面白そうだろ?」

一太「面白いをヤバイに置き換えたら賛成するよ」

京太郎「お前なぁ、せっかくの大学生活なのにつまんないこと言うなよ」

一太「君が変なのばかり持ってくるからだろ」

京太郎「だから面白そうなんだろ。てか、そっちはなんか目ぇつけたとこあんのかよ」

一太「そうだなぁ……バスケ、作曲、将棋……とか?」

京太郎「また予想外な……お前、そんな趣味あったっけ?」

一太「全く新しいことに挑戦してみるのもいいんじゃないかってね」

京太郎「一理あるな」

一太「それに、思いがけない出会いもあるかもしれないだろ?」


一太「バスケをやってたら、ひょんなことから小学校の女子バスケ部のコーチを任されたり」

一太「ネットで公開した曲が女子小学生バンドの耳にとまって、プロデュースをお願いされたり」

一太「将棋で頭角を現して上り詰めれば、才能あふれる女子小学生が弟子入りしてきたり!」


一太「とまぁ、こんな感じで色々あるかもしれないじゃないか」

京太郎「ねーよ」


363 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/23(金) 00:51:20.65 ID:7XTS033P0



一太「くそっ、くそぉ……」ダンッ


久「お待たせーって、内木くんどうしたわけ?」

京太郎「ああ、ちょっと現実の非情さを教えてやってた」

久「生暖かく見守ってあげてればいいのに」

京太郎「いや、つい……」


ゆみ「というか、君たちのテーブルにものすごく近寄りがたいんだが」

美穂子「あの、良かったらお水飲みます?」

一太「あ、ありがとう」

京太郎「一杯百円な」

一太「そんなバカなっ!」

京太郎「なんたってみほっちゃんの水だからな」

一太「そ、そうか……お金を出して買った水か」

美穂子「そこのウォーダーサーバーでタダでもらえますよ?」

京太郎「一杯百二十円な」

一太「なんで値上がりしてるんだ!? 今タダって言ってたじゃないか!」


ゆみ「……入学早々、騒がしいな」

久「春だもん、しかたないんじゃない?」

ゆみ「春か……それで、決着は?」

久「……延長戦」


364 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/23(金) 01:00:19.60 ID:7XTS033P0



京太郎「ふぃー、ただいまぁ」

京太郎「……」シーン

京太郎「ってだれもいないわな、一人暮らしだし」

京太郎「早いとこ慣れなきゃなぁ」グゥ

京太郎「……よし、まずは晩飯だ」ガラッ


京太郎(うーわ、冷蔵庫の中なんもない)

京太郎(しゃあないな、買いに行くか)


――ピンポーン


京太郎「……」


京太郎(この時間の来客に覚えは……あった)

京太郎(この場合はどっちか、もしくはどっちもか)

京太郎(いっそのこと食事は外で済ませてこれば良かったかもしれない)


『いないのかしら?』

『うーん……あれ、鍵は開いてるわね』ガチャ


久「京太郎ー? 起きて――るわね」

美穂子「晩御飯、一緒にどうですか?」


京太郎(俺の右隣の部屋に久ちゃん、左隣の部屋にみほっちゃん)

京太郎(つまり、俺に逃げ場はないということになる)


365 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/23(金) 01:07:38.92 ID:7XTS033P0



京太郎「……」


京太郎(高校を出て、大学に行くことを選択して……だけど俺は誰かを選ぶことができなかった)

京太郎(結局、誰にも答えを出さないままここに至るというわけだ)

京太郎(今思えば、進学を決めたのも猶予が欲しかったからかもしれない)

京太郎(大学に通うのならば、少なくとも夏休みまではまとまった暇がない)

京太郎(それまでにバイトをして、旅費を稼いで……それで、どうする?)

京太郎(一度、答えを出すことから逃げた俺に、決めることができるのか?)

京太郎(こんな……優柔不断野郎に)

366 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/23(金) 01:20:49.73 ID:7XTS033P0


美穂子「おいしくないですか?」

京太郎「ん、ああ、おいしい。さすがだよ」

久「上の空って感じ。珍しく考え事?」

京太郎「昼間すっごい勧誘受けてさ」

久「それなら私たちも」

美穂子「先輩たちからも誘われちゃいました」

京太郎「風越からの入学者も結構いんの?」

美穂子「私が知ってる人はそんなにいないんですけど、高校一年の時の先輩が声をかけてくれて」

京太郎「そういうのもあるのか」

久「上下のつながりはあんまりなかったのよね、私たち」

京太郎「麻雀部の先輩と呼べるのは、それこそ一人だけだったしな」

久「部長、元気かな?」

京太郎「外国に高飛びしたんだっけ」

美穂子「えっ、高飛びって……」

久「はいはい、留学の間違いだから」

美穂子「あ……またからかわれちゃいましたね」

京太郎「悪い悪い、みほっちゃんが――」

367 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/23(金) 01:33:22.45 ID:7XTS033P0


京太郎(その先の言葉は、出てこなかった)

京太郎(いつも通りのはずだ。でも、それがすごく難しい)


久「京太郎?」

京太郎「ごちそうさん。ちょっと散歩いってくる」

美穂子「あ、ちょっと待ってください」クイッ

京太郎「――っ」

美穂子「はい、これでご飯粒取れました」

京太郎「あ、ああ……」


美穂子「いってらっしゃい」

久「……はぁ」


368 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/23(金) 01:41:56.12 ID:7XTS033P0
眠い……沈みます
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/23(金) 01:46:17.05 ID:EOiR30k10
おやすや
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/23(金) 09:24:12.21 ID:yEUsAmh00
来てた!乙です!
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/23(金) 12:50:57.18 ID:FgyCi4Hao
俺達が見たかった修羅場(ラブコメ)
372 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/25(日) 23:54:19.81 ID:B/X/YV0o0
こんばんはー

もうちょっとしたらやろうかと
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 23:57:29.44 ID:wqxyPLw9o
了解
ラリホー
374 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 00:26:07.82 ID:fa2yTv0O0
んじゃ、はじめます
375 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 00:33:59.77 ID:fa2yTv0O0



京太郎「まずい、この状況はまずい」

京太郎「なんか半同棲みたいになってるし……」

京太郎「なにより一番まずいのは……俺の態度だよな」

京太郎「いつも通りにすりゃいいのによ……」


京太郎(現状維持を選んだはずなのになぁ)

京太郎(これじゃ全然維持できてないな)


京太郎「ホント、いやになるな」

京太郎「あーあ、帰りづらいわ」


「あれあれ、もしかして須賀くんじゃね?」


「こんなとこでなにしてんのよ?」

京太郎「散歩だって、散歩」

「あらら、もしかしてひとり寂しく系?」

京太郎「そんな感じ」

376 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 00:45:19.63 ID:fa2yTv0O0


京太郎(てか、こいつだれだっけ?)

京太郎(……たしか、同じ組だったか?)


「それマジやばいっしょ。春先からそれじゃぼっち確定っしょ」

京太郎「や、やめろって……ぼっちとかじゃないからっ」

「んじゃ、いっちょ行ってみちゃう?」

京太郎「行ってみちゃわない」

「まぁまぁ、ゆーてもうちら新入生だし? まずは同クラで親睦的な?」

京太郎「なるほどなぁ、結構楽しそうだ」

「でっしょー? とりま参加でFAっしょ」

京太郎「んー……」


京太郎(たしかに、このまま二人に辛気臭い顔見せてもな……)


京太郎「よし、いっちょ行ってみちゃいますか!」

「はいはーい、お一人様ごあんな〜い」

京太郎「って、お前キャッチかよ」

「それな。高校時代の経験みたいな?」


377 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 00:52:05.32 ID:fa2yTv0O0



久「おっそいわねぇ」

美穂子「なにかあったのかしら?」

久「無きにしも非ずだけど……」


久(やっぱり、帰りづらいのかしらね)


『ごめん……やっぱりまだ、答えられない』


久(あの時、許したのがいけなかったのかな……)

久(許さないで突き放してたら……)


久「……はぁ」

美穂子「またため息」

久「わかる?」

美穂子「久も悩み事?」

久「も、というと?」

美穂子「……私たち、やっぱり迷惑になっているのかしら」

久「さぁ……でも、こっちがいつも通りじゃなかったら、それはそれで気にすると思うのよ」

美穂子「久、あなたは……」


美穂子(彼に、なんて言われたの……?)

美穂子(私は何も言ってもらえなかった……)


久「なに? ……あ、メール」

美穂子「もしかして、京太郎さん?」

久「キャッチに捕まって遅くなるってさ」


378 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 00:58:38.70 ID:fa2yTv0O0



京太郎「んなのよー、選べるわけないじゃんかよー」

「はいはいはいはい、そーなのね」

京太郎「んでよー、どいっつもこいつもかわいいくていいやつだしよー」

「はいはいはいはい、そりゃ困っちゃうねー」

京太郎「ちゃんと聞いてんのかよー、こらー!」

「俺が連れてきたんだけどさぁ、須賀ちゃん酒弱すぎね?」

京太郎「だから酔ってねーっての!」

「はいはいはいはい、酔っぱらいはみんなそー言うのね」


「そんでさぁ、何人といたしちゃったわけ?」

京太郎「はぁ?」

「いやいや、そんだけ数いるんだから、何人かは食っちゃったんでしょ?」

京太郎「……」

「……あれ? 須賀ちゃんもしかして――」

京太郎「どどどど童貞ちゃうわ!」

「うーわー……」

379 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 01:04:39.04 ID:fa2yTv0O0


「ま、まぁ? 麻雀女子って男できないってジンクスあるみたいだし? そんなのに囲まれてちゃね?」

京太郎「……そうだよ、俺が変な意地張ってたせいだよ」

「そんじゃ、まずはその意地もろとも捨てちゃうしかないっしょ」

京太郎「……素人童貞はまだ嫌だ」

「いやいや、風俗じゃなくてさ。ほら、向こうの端に座ってる子……超かわいくね?」

京太郎「んー、たしかに」

「ちょっと声かけてきちゃおうZE☆」

京太郎「いやいやいやいや」

「須賀ちゃん見てくれいいし、ワンチャンあるっしょ」

京太郎「だからさ、今の俺の状況でそれは――んぐっ」

「まぁ飲もうぜ。難しいこと考えんのやめてさ、フィーリングでいっちゃえよ」

京太郎「こ、このやろ……」

「はい、いってらっしゃーい」ドン

京太郎「うわっ」


京太郎(……そこから先の記憶はない)


380 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 01:13:15.30 ID:fa2yTv0O0



――ブー、ブー


京太郎「うっ……るせぇな……」ピッ

京太郎「……zzz」


「んんっ」モゾッ


京太郎「……ん?」モニュ

「もー、触んないでってばぁ」

京太郎「……あれ?」


京太郎(目覚めてみれば見知らぬ部屋)

京太郎(だけど、ここがどんな場所かは知っていた……ラブホだ)

京太郎(そして俺は全裸で、隣で寝ている子も多分……)

京太郎(いいや、まだ状況証拠だけだ。とりあえず話を聞いてみないと……!)


京太郎「なぁ……おーい、もしもーし」ユサユサ

「んんぅ……昨日あんだけしたじゃん……須賀くんってばさかりすぎ……」

京太郎「え……」


381 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 01:19:04.52 ID:fa2yTv0O0



京太郎「ほんっとごめん!」

「え、なにが?」

京太郎「なにって……軽はずみにこんなことしちゃったしさ」

「いいよ、別に。うちも須賀くんのことちょっといいかもって思ったし」

京太郎「そう、か」

「あ、でも付き合うとかそういうのはいいから」

京太郎「へ?」

「だってそういうのめんどくさいじゃん」

京太郎「だけど、責任ってかさ」

「ちゃんとゴムしてたし問題なくない?」

京太郎「いや、でもさ――」

「それに、うちこういうの慣れてるしさ」


「それじゃ、シャワー浴びてくるねー」


京太郎(言われてみれば当たり前のことだった)

京太郎(俺にとっての特別が、他の誰かにとっての特別とは限らない)

京太郎(……でも、相手のそっけない態度に、俺もそんなものかと思ってしまう)

京太郎(俺の中の特別が、特別じゃなくなった瞬間だった)


382 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 01:26:15.71 ID:fa2yTv0O0



京太郎「頭いてぇ……これが二日酔い」ズキズキ

京太郎「た、ただいまぁ……」


美穂子「あ、おかえりなさい」

久「遅くなるって、まさか朝帰りとはね」


京太郎「……どうしてここに」

久「あんたが鍵持ったまま出てくから、帰るに帰れなかったの」

美穂子「朝ご飯食べます? 勝手に台所借りちゃいましたけど」

京太郎「あ、ああ……うぷっ」

久「ちょっ、酒臭っ」

美穂子「よ、酔い止めは……」アタフタ

京太郎「と、トイレ行かせてくれ……」


383 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 01:35:55.30 ID:fa2yTv0O0



京太郎「うぁ……」グッタリ


久「見事にダウンしてるわね」

美穂子「今日が休みで良かった……」

久「まったくね……酔い止めとか買ってくるから、ちょっと看てて」

美穂子「わかったわ」


384 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 01:39:38.85 ID:fa2yTv0O0



美穂子「……京太郎さん」


美穂子(あなたは、私のことをどう思っているの?)

美穂子(久に見せる姿と私に見せる姿は、多分全然違う)

美穂子(それに、最近私を見るとき、とても辛そうな顔をする)

美穂子(傍にいられるだけでいい……そう思っていたのに)


京太郎「う……みほっちゃん?」

美穂子「吐き気、どうですか?」

京太郎「――なんで、泣いてんだよ」

美穂子「あ、れ……?」

京太郎「俺、またなんかやらかしたっけ?」

美穂子「朝帰り、しました」

京太郎「はは、そうだったな」

美穂子「本当に心配したんですよ?」

京太郎「だよな……悪かった」

美穂子「……迷惑、ですか?」

京太郎「そんなことないって」

美穂子「でもあなたは、本音を私に聞かせてくれません」

京太郎「……」

美穂子「傍にいられるだけでいいと思ってました……でも、あなたは辛そうな顔をする」

京太郎「それは……」

美穂子「それなら私は――」

385 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 01:48:03.26 ID:fa2yTv0O0


京太郎(これ以上涙混じりの声は聞きたくなくて、これ以上泣き顔は見たくなくて)

京太郎(こうなった原因が誰にあるのかも蹴飛ばして……腕を引いて、強く抱きしめる)


『難しいこと考えんのやめてさ、フィーリングでいっちゃえよ』


京太郎(まだ少し頭がぼんやりしていたのもあるかもしれない)

京太郎(難しく考えるのをやめて、俺は感情に従った)


京太郎「みほっちゃん……」

美穂子「京太郎、さん……」



久「はぁ……するんならせめて鍵かけなさいよ」

久「……バーカ」


386 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 01:54:37.94 ID:fa2yTv0O0



京太郎「……」

美穂子「……」


京太郎(き、気まずい……)

京太郎(なにも考えずに……とまではいかないけど、ほぼ衝動的にやっちまった)


美穂子「嬉しかったです、私をあんな風に求めてくれて」

京太郎「……ごめん、はっきりしたことも言ってないのに」

美穂子「いいんです。……私だけこんな形で答えをもらったら不公平ですから」

京太郎「そう、か」


京太郎(……なに安心してんだよ、俺は)


京太郎「そういや、久ちゃんは自分の部屋戻ったのか?」

美穂子「酔い止めを買ってくるって。だいぶ時間がかかってるみたいですけど……」

京太郎「どっかのだれかみたいに迷子になったわけじゃあるまいし」

387 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 02:00:53.07 ID:fa2yTv0O0


『ただいまー』


京太郎「噂をすればってか」

久「ちょっと、いるんなら返事くらいしてよ」

京太郎「それよりただいまってなんだよ。ここ俺の部屋な」

久「もうとっくに溜まり場になってるじゃない。はい、酔い止め」

京太郎「サンキュ」

美穂子「久、遅かったみたいだけれど……」

久「ちょっと寄り道。おかげで飲み物ぬるくなっちゃった」

京太郎「お、スポドリはありがたいな……ぬるっ」

久「文句言うな」

京太郎「はいはい、どーもありがとさん」

久「けっこう具合良さそうだけど、そんな美穂子の看病が良かったわけ?」

美穂子「あ、えっと……」

京太郎「そりゃあな、みほっちゃんに看病されて元気にならない男はいないんじゃないか?」

久「一家に一人ほしいわね。家事に関しては完敗だし」

京太郎「むしろお嫁さんにほしいよな」

美穂子「もう、二人してからかわないでください」

京太郎「はは、悪いな」

久「……」

388 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 02:09:19.21 ID:fa2yTv0O0


久「京太郎、適当に外ぶらついてきて」

京太郎「え、なんで?」

久「酔い止めと飲み物のお代ってことでお願いね」

京太郎「それを言われたら……わかったよ。でも部屋の中漁るなよ?」

久「見られて困るものでもあるわけ?」

京太郎「ない」


京太郎(……とは言えない)


久「なら平気でしょ。はい、ゴー!」

京太郎「はいはい、じゃあ一時間ぐらい時間潰してきますよ」


389 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 02:18:10.52 ID:fa2yTv0O0



久「それで、どう思う?」

美穂子「えっと、何の話?」

久「見られて困るものの隠し場所」

美穂子「そうね……そういえば、机の方に視線を動かしていたわ」

久「なるほどね。さすがによく見てるじゃない」

美穂子「でも、こういうのは良くないと思うわ」

久「あいつがどんな趣味か気にならない?」

美穂子「それは……気になるけれど」

久「それじゃ早速」ガラッ

美穂子「あ、久!」

久「んー……グラビア写真集発見」

美穂子「これが京太郎さんの……」

久「ま、フェイクってところね」

美穂子「フェイク?」

久「多少上にものは置いてあったけど、場所がわかりやすすぎるのよ。それに――」カタッ

美穂子「あら、二重底になっていたのね」

久「これが本命……って瑞原プロのサイン入り写真集じゃない」

美穂子「燃やしちゃいましょうか」

久「……え?」

美穂子「なにかおかしなこと言ったかしら?」

久「さ、さすがにそこまでしたら、京太郎もしばらく立ち直れなさそうだから……」

美穂子「そう……」

390 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 02:26:29.78 ID:fa2yTv0O0


久(美穂子ってもしかして、瑞原プロのこと嫌いだったりするの?)

久(……あまり触れない方が良さそうね)


久「これは机の上に置いといて……美穂子。なんで京太郎を追い出したか、わかるでしょ?」

美穂子「……やっぱり。寄り道なんて不自然だもの」

久「認めるのね」

美穂子「ええ、京太郎さんに抱かれました」

久「……そっか」

美穂子「でも、それだけなの」

久「それだけ? それで十分すぎるじゃない」

美穂子「私は答えを求めていないし、京太郎さんも答えてはいないの」

久「……」

美穂子「だってあんな迫り方……卑怯だわ」

久「美穂子、あいつを甘やかし過ぎじゃない?」

美穂子「辛そうな人に辛く当たるなんて、私にはできません」

久「そうされて当然のことをあいつはしてるの。普通なら問い詰められて、追い詰められて当然なの」

美穂子「なら、どうしてあなたはそうしないの?」

久「……」

391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 13:50:55.73 ID:yv/HGGqb0
おお、来ていたか
続きは?
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 21:53:53.12 ID:qj/rVKOc0
また寝落ちか?
393 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/26(月) 23:58:59.64 ID:fa2yTv0O0
ご明察、寝落ちです
最近朝が早くて……

というわけでもう少ししたら始めます
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 00:15:37.32 ID:i5c4TICvO
ザメハ
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 00:17:25.35 ID:ErK5U240o
スリプル
396 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 00:28:27.77 ID:M5VlnXaW0
んじゃ、スタートします
397 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 00:33:31.69 ID:M5VlnXaW0


久(たしかに、あの時に許した私が言えることじゃないかもね)


久「わかったわよ……とりあえず様子見ね」

美穂子「ありがとう、久」

久「お礼を言われる相手が間違ってる気がするけど」


久(こんなの、いつまでも続けられるわけないのよね……)

久(私が……美穂子だって、いつ我慢できなくなることやら)

久(見事に先越されたし……)ギリッ


久「ところで、美穂子?」

美穂子「なに?」

久「……どうだった?」

美穂子「ど、どうだったって……」

久「痛かったとか気持ちよかったとか」

美穂子「えぇっと……言わなくちゃ、ダメ?」

久「ダメに決まってるでしょ」


398 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 00:41:37.93 ID:M5VlnXaW0



京太郎「時間潰せってな……加治木か一太のとこ行くか?」

京太郎「……」


『……私だけこんな形で答えをもらったら不公平ですから』


京太郎「もしかして、気を遣われたのかもな」

京太郎「まったく……情けないにも程があるよな」

京太郎「って、それは今更か」


「あれあれ、須賀ちゃんじゃん」


「どーよ、どうだったよ、ヤっちゃった?」

京太郎「昨日の今日でよく会うな」

「ゆーて俺ん家近いし」

京太郎「ご近所さんかよ」

「てかさー、あの後どうなったのか超気になってるんだけど」


京太郎(……この際こいつでもいいか)


「なぁなぁ、教えてちょ」

京太郎「ならちょっと暇つぶしに付き合えよ」

「おっけ」


399 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 00:47:33.50 ID:M5VlnXaW0



「はーはー、お遊びのワンナイトラブねぇ」

京太郎「付き合うとかそういうのは別にいいって言われてさ」

「ま、そーゆーのもあるっしょ」

京太郎「そういうもんかぁ」

「そもそも、なんとなーくで始まるのが多いんじゃねっていうね」

京太郎「告白からのお付き合いってパターンは逆に珍しいってか」

「だから、須賀ちゃんは難しく考えすぎだって」


「無理に答えようとするからダメなんだって」

「もうちょっと肩の力を抜いて気楽にいこーぜ」

「ほら、何を選んでも後悔するなら、今が楽な方を選べって言うっしょ」


京太郎「お前、さてはダメ人間だろ」

「相談乗ってやったのにそれかよぉ!」


400 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 00:57:44.61 ID:M5VlnXaW0



京太郎(無理に答えようとするから、か)

京太郎(たしかに、無駄に肩に力入ってたのかもしれない)

京太郎(……あんな風に泣かれるのはごめんだよな)


京太郎「ただいまー」ガチャ


久「ちょっと、おとなしくしてよ……!」

美穂子「そんなとこ触っちゃ……んんっ」


京太郎(帰ってきたら、俺の部屋は百合の園になっていた)


久「はぁ、はぁ……あれ、京太郎」

京太郎「……ごめん、あと一時間ぐらい彷徨ってくるから」

久「こらっ、誤解するな!」


401 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 01:04:44.04 ID:M5VlnXaW0



京太郎「それで、話は終わったのか?」

久「大体はね」

京太郎「なら朝飯もらってもいいか? 食う暇なかったし」

美穂子「今用意しますね」

京太郎「ああ、頼むわ」


久「……」ジトッ

京太郎「なんだよ」

久「別に」

京太郎「別にって顔じゃないよな……まさか!」


京太郎「な、なんでしまっておいたのが出てんだよっ」

久「さぁ?」

京太郎「漁るなって言ってなかったかなぁ!?」


402 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 01:11:12.98 ID:M5VlnXaW0



京太郎(こうしてようやく、俺たちの間にいつも通りが戻ってきた)

京太郎(様々な問題を先送りにしたとは言え、大学生活は楽しい)


一太「やっぱり小学生は最高だな!」

京太郎「おまわりさんこいつです」

「ちょっと向こうで話を聞かせてもらおうか」

一太「ちょっ、ぼくはやましいことなんて――」


京太郎(一太が贔屓にしてるJSバスケチームの応援に行ったり)

403 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 01:16:55.23 ID:M5VlnXaW0


京太郎「だからよー……って聞いてんのかよこらぁ」

「須賀ちゃんあいっかわらず酒弱いよなぁ」

京太郎「うっせー、酔ってねーから!」

「はいはい、酔ってるやつは以下略」


京太郎(同じクラスのやつと飲みに行ったり)


京太郎「か、カジえもーん!」

ゆみ「帰れ」

京太郎「中間がヤバイんだよ!」

ゆみ「やれやれ……」


京太郎(テスト勉強で加治木に泣きついたり)

404 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 01:26:39.60 ID:M5VlnXaW0


京太郎「ごちそうさん」

美穂子「お粗末さまです」

京太郎「久ちゃん遅いんだっけ?」

美穂子「だから晩御飯は済ませてくるって――んんっ」

京太郎「悪い……また、いいか?」

美穂子「……」コクッ


京太郎(……みほっちゃんの優しさに甘えてしまったり)

京太郎(それでも、水面下ではどうなっているかには気づかず)

京太郎(いや、目をそらしていたってのが正しい)

京太郎(そうだ。こんなのが長続きするはずないというのは、俺が一番わかってたんだ)


405 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 01:32:33.20 ID:M5VlnXaW0



久「ゆみ、今帰り?」

ゆみ「ああ、二人は?」

久「学祭の準備だって」

ゆみ「もうそんな時期か」

久「やる気あるとこはスタートが早いってところね」

ゆみ「私のところは、まだ何をするかも決まっていないな」

久「いっそのこと自分で仕切ればいいのに」

ゆみ「よしてくれ、そんな器じゃない」

久「というより面倒なんでしょ」

ゆみ「それもある」


ゆみ「……久」

久「なに?」

ゆみ「いや、なんでもない」

久「そこで止められると気になるんですけど」

ゆみ「よく考えたら大したことじゃなくてな」

久「……まぁ、私に対して言いよどむ話題といえば、限られてくるんだけど」

406 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 01:39:59.84 ID:M5VlnXaW0


久「あの二人、最近距離が近いと思わない?」

ゆみ「気づいていたのか」

久「気づかないわけないでしょ」

ゆみ「……すまない、こんな時にはどういう言葉をかければいいんだろうな」

久「ちょっと、勝手に人を敗者扱いしないでよ」

ゆみ「勝負が決してもか……往生際が悪いのも君の強さだったな」

久「だから、あの二人はまだ付き合ってないの! ……だからこそ問題なんだけど」

ゆみ「どういう意味なんだ?」

久「さぁ?」

ゆみ「……さっきの仕返しか」

久「そういうこと。それじゃ」


407 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 01:49:51.72 ID:M5VlnXaW0



久(京太郎も美穂子も……気づかれてないとでも思ってるわけ?)

久(そんなの、ちょっとゴミ箱覗いたらわかるのにね)


「もしかして竹井さん?」


久「はい?」

「やっぱり。けっこう須賀くんと一緒にいるよね」

久「京太郎が、どうかしたんですか?」

「あ、うち同じクラスなんだ」

久「……学祭の準備って聞いてるけど」

「ちょっとダルいから休ませてもらったんだよねー」

久「ああ、周囲のやる気についていけないみたいな?」

「それそれ。男連中がテンション高くてさ」

久「わかる。あいつも一緒になって騒いでたでしょ」

「へぇ、良く知ってるんだ」

久「昔からの腐れ縁だし」

「付き合ってるわけじゃないんだ。じゃあ彼女とかもいないのかな?」

久「まあ」

408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 13:12:06.90 ID:T8CicD+U0
乙です!待ってます!
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 13:15:40.19 ID:Dv1dY2vIO
乙。スリプったかな
気になったのが大学で中間は違和感ががが
レポートや前期(後期)試験の方が自然に見えるかね
410 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 23:27:59.11 ID:M5VlnXaW0
あれ、中間じみたものはあったと思ったんですけど……
でもまぁ、そういうことならそこはレポートに差し替えということで

もうちょっとしたら始めます
今日で終わらせたい所存
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 23:48:57.21 ID:G5n7UEU8O
甘い息
412 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/27(火) 23:59:42.33 ID:M5VlnXaW0
んじゃ、始めます
413 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 00:06:14.04 ID:3OCtzZti0


久(もしかして、この人もあいつに気があったりするわけ?)

久(……ちょっと釘刺しておいたほうがいいかな?)


「良かったー。この前寝ちゃったし、彼女いたらめんどいことになるもんね」

久「……え?」

「まぁ、一ヶ月以上前の話だし? 正直もう時効かなーとは思うんだけど」

久「……」

「イケメンだし面白いけど、ちょっと重そうっていうかさ」

久「……ざけないで」

「一回寝たぐらいで責任取るとか言われるのはちょっとねー」


久「――ふざけないでっ!」


久「そんな、そんな軽い気持ちであいつと……!」グイッ

「ちょっ、はなしてよ……!」

久「あんたみたいなのに……!」

「はなせってば!」バッ


「――わけわかんないし……うざっ」

久「……」


久(京太郎……)

久(私、もう無理そう)


414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/28(水) 00:09:08.92 ID:PMgImLz+0
まだ折り返し前くらいじゃないか?今日で終わるなんて><
415 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 00:14:12.95 ID:3OCtzZti0



京太郎「……久ちゃん?」

久「……おかえり」

京太郎「どうしたんだよ、部屋の前で」

久「あんたを待ってたの」

京太郎「俺を?」

久「私の部屋来て」

京太郎「あぁ、荷物置いたら――」

久「いいから!」グイッ

京太郎「わかった、わかったから引っ張るなよ」


美穂子「あら、帰ってたんですか、二人とも」


京太郎「ああ、おかえり」

美穂子「京太郎さん、また久に怒られるようなことしたんですね」

京太郎「え、俺のせいなの確定?」

久「美穂子、今度は私の番だから」

美穂子「……」

久「いいでしょ?」

美穂子「……ええ。そうじゃないと不公平さもの」

京太郎「いや、俺は話が見えないんだけど」

久「いいからあんたはこっち来なさいよ」

京太郎「あーもう、わかったよ!」


416 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 00:19:25.10 ID:3OCtzZti0



久「……私になにか言うことない?」

京太郎「そんなのいきなり言われてもなぁ……思いつかないわ」

久「じゃあ、あの日はどこでなにしてたわけ?」

京太郎「あの日?」

久「あんたが朝帰りした日」

京太郎「普通に朝まで飲んでただけだよ」

久「同じクラスの女と一緒にいたそうじゃない」

京太郎「……だれに聞いたんだよ」

久「本人」

京太郎「マジかよ……本当になんとも思ってないんだな」

久「あんたと寝たって聞かされて、私がどんな気分だったかわかる?」

京太郎「いい気分……なわけないよな」

久「最悪よ……あの女を思わず殴りそうになったぐらいね」

京太郎「久ちゃん、ごめん……」

久「もちろんあんたも許せないし……でも、一番後悔したのは――」ギシッ

417 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 00:25:05.36 ID:3OCtzZti0


久「どうして、もっと早くあんたと済ませておかなかったんだろうって」


久「おかげで美穂子にも先越されちゃった」

京太郎「知って、たのか」

久「気づかないわけないでしょ……最初から知ってた」

京太郎「……」

久「あんたが美穂子を選んだなら、もう私は口を出さない。でも、そうじゃないなら……私を抱いてよ」

京太郎「久ちゃん……それ卑怯だよ」

久「あんたに言われたくない」

京太郎「俺が断れないの知ってるだろ」

久「うん、だからこうしてる」


418 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 00:30:29.89 ID:3OCtzZti0



美穂子「京太郎さん……」


美穂子(これでいい……私は久に対して不義理を重ねていたんだから)

美穂子(だけど、胸の奥がこんなにも痛い)

美穂子(今、あの人と抱きあっているのが私じゃないと思うだけで……)ギュッ


美穂子「……きっと、久もこんな気持ちだったのね」


419 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 00:35:35.42 ID:3OCtzZti0



京太郎「……」ゲッソリ

一太「……生きてるか?」

京太郎「死にそう……」

一太「巻き込まれたくないから聞きたくないけど……どうした?」

京太郎「二人のアプローチが、激しくなってきた」

一太「なんだ、いつものことじゃないか」

京太郎「バカ野郎! おかげでまともに家に帰れないんだぞ!?」

一太「まぁ、帰ったら逃げ場がなくなるしね」

京太郎「うっかり帰ろうものなら最後……逃げ場はないし、他に誰もいないから絶対なりふり構わなくなるよな」

一太「前まではもうちょっと穏やかだった気がするけど……なにかしたのか?」

京太郎「……」

一太「したんだな、したんだろ」

京太郎「ああしたよしたとも! 二人に手を出しました!」

一太「とうとうやったか……」

京太郎「なんだその、いつかやると思ってた、みたいな言い方」

一太「実際時間の問題だと思ってたしね」

京太郎「畜生っ、わかったようなこと言いやがって」

一太「しかしこうなると、刺されるのも現実味を帯びてきたんじゃないか?」

京太郎「そんなことはない……はず」

420 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 00:43:12.44 ID:3OCtzZti0


久「お昼、一緒にいい?」

美穂子「隣、失礼しますね」


京太郎「わ、わざわざ二人して俺の隣に陣取る必要はないんじゃないか?」

久「だってさ美穂子。どいたら?」

美穂子「久はトレイで場所を取るから、対面に座ったほうがいいと思うわ」

京太郎「あわわわわわ」


一太(あ、ダメそうだねこれ)


京太郎「きゅ、急用思い出した! それじゃっ」ガタッ


久「もう、また逃げた」

美穂子「ちょっと強引すぎたかしら?」

久「次は泣き落としで行ってみる?」

美穂子「騙しているみたいでそれはちょっと……」

久「涙は女の武器って言うんだけどね」

421 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 00:51:51.78 ID:3OCtzZti0


一太「君たち、なんというか……仲いいね」

久「なによあらたまって。別に喧嘩してるわけじゃないし」

一太「対立しているようには見えたけどね」

美穂子「それは本当ですから」

一太「うーん?」

久「へたな遠慮はやめたってこと」

美穂子「今までお互いに引け目を感じるところがあって、それで躊躇してたんだと思います」

久「あいつ自身も引き気味だったしね」

一太「……正々堂々戦おうってことでいいのかな?」

久「そんな潔いものじゃないけどね」

美穂子「でも、気持ちは同じですから」


「「京太郎(さん)は渡したくないって」」


一太「うん、二人の事情はわかったよ」

久「そう?」

一太「どうしてぼくにそこまで話すのかはわからないけど……あれ、嫌な予感がしてきたぞ」

久「さぁ、ここまで聞いたからには協力してもらうわよ!」

一太「やっぱりか!」

422 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 00:57:51.72 ID:3OCtzZti0


一太「待て待て待て! いくらなんでも強引すぎやしないか!?」

久「タダ聞きして帰るつもり?」

一太「後払いなんて聞いてないんだけどなっ」

美穂子「お願いします、他に頼れる人がいなくて……」

一太「うぐっ」


一太(たしかに、福路さんのお願いには断りづらいものがある……)


一太「わかった、わかったよ」

美穂子「ありがとうございますっ」

一太「でも、一回だけにしてくれ。それでいいだろ?」

久「ええ、十分すぎるわ」


423 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 01:03:06.71 ID:3OCtzZti0



「須賀ちゃんさぁ、ここ最近けっこう遊んでるよな」

京太郎「そっかぁ?」

「ヤリ捨てした女から逃げてるとか言われてるけど、そのへんどーなん?」

京太郎「うわ、人聞き悪いどころじゃねぇな」


京太郎(とはいえ、完全には否定しきれない……)


「はぁ、この前まで童貞だった須賀ちゃんがもうヤリチンに……」シミジミ

京太郎「そこまで節操なくないからな!」

「おっけ、今夜はその武勇伝を披露な!」

京太郎「いやいや、しないしない」

「かーらーのー?」

京太郎「ありません」

「うわっ、ノリ悪」

京太郎「お前なぁ……」

「ま、もう夏休みだしどっか遊びにいこーぜ。武勇伝はその時に聞かせてちょ」


――ブー、ブー


「わり、俺だわ――もしもし?」


京太郎(結局、急にシフトが入ったとかでこの場は解散)

京太郎(俺は程なく連絡してきた一太に付き合うことにした)


424 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 01:09:59.33 ID:3OCtzZti0



一太「悪いね、手伝ってもらっちゃって」

京太郎「まったくだ。バイト代請求していいか?」

一太「ラーメン一杯」

京太郎「ま、妥当だな」

一太「その前に、この前貸したアレ、返してもらいたいんだけど」

京太郎「ああ、ロリ巨乳のグラビアな」

一太「しー! 大声で言うなよっ」

京太郎「でも、アレを取りに行くなら部屋戻んなきゃいけないんだよな……」

一太「貸したぼくが言うのもなんだけど、その手の本があの二人に見つかったらまた面倒なことにならないか?」

京太郎「別に何も言ってこないだろ」

一太「そうなのか」

京太郎「お前から借りたやつを隠れ蓑にして、もっと奥に隠してたはずのはやりんの写真集がなぜか机の上に置かれてたけどな!」

一太「それ精神的に一番キツイやつじゃないか!」

京太郎「くそっ、くそぉ……!」

一太「飲みに行こうか、今日は僕がおごるから」

京太郎「ああ……!」


京太郎(考えてみれば、この時点で怪しむべきだったんだ)

京太郎(真面目くさった一太が、飲みに行こうなんて言い出すこと自体がおかしかったんだから)


425 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 01:17:15.44 ID:3OCtzZti0



京太郎「いちたぁ、このロリペドやろう」

一太「酔ってるとはいえとんでもない暴言だな!」

京太郎「おまえものめよぉ!」

一太「はいはい飲んでるよ。……ウーロン茶だけど」ボソッ

京太郎「おねーさん、この火がつくウーロン茶ってのおねがい」

「はーい、かしこまりました」


京太郎「らいたいよぉ、初めてってもっとすごいもんだって思うじゃん」

一太「いきなり何の話なんだよ」

京太郎「酔ってたおかげでじぇんぶまっしろ! 気づけばラブホではだかだよ!」

一太「うわぁ……下世話な話だけど、初めてはどっちだったのかな?」

京太郎「……ほぼ初対面の子」

一太「あの二人がいるのに別の子に手を出したのか!?」

京太郎「らから酔ってたっていってんだろぉ!」

一太「本当に君はどうしようもないな……」

京太郎「そのあとはもうあれらよ……いろいろゆるくなったせいか、みほっちゃんにも久ちゃんにも手ぇだしちゃうしよぉ」

一太「ろくでなし街道一直線じゃないか」

「お待たせしました、火がつくウーロン茶でーす」

426 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 01:24:56.95 ID:3OCtzZti0


京太郎「いちたぁ、ライターもってねぇの?」

一太「持ってるわけないだろ……」

京太郎「しょうがねえな……ぶほっ、なんらこれ!?」

一太「そりゃまあ、火が作ってことはそれだけ度数が高いってことだからね」

京太郎「……やる」

一太「飲めるか!」

京太郎「じゃああれら、じゃんけんで負けたほうがいっきのみな」

一太「なんでそうなる!?」

京太郎「ほら、じゃーんけーん……!」

一太「強引かっ!」


京太郎「……」グー

一太「……僕の勝ちだぞ」パー

京太郎「うるへぇ! だれが一回勝負なんれ言ったよ! 三回だ三回!」

一太「これ、そのうち十回勝負とか言い出すパターンじゃないか?」

京太郎「いくぞ! じゃーんけーん――」

427 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 01:31:19.50 ID:3OCtzZti0


京太郎「ほいっ」パー

一太「……」チョキ


京太郎「ほいっ!」チョキ

一太「……」グー


京太郎「……」

一太「まだやるのかい?」

京太郎「くそぉっ!」グビッ

一太「本当に一気にいったか……!」

京太郎「――ぐふっ」パタッ

一太「京太郎? 大丈夫か?」

京太郎「……zzz」

一太「寝てるだけか」


一太「……さて、連絡するか」


428 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 01:38:46.47 ID:3OCtzZti0



久「悪いわね、内木くん」

一太「次はしないからな」

久「この一回で何とかしてみせるから」

美穂子「……久、話が違うわ」

久「そう?」

美穂子「内木さんに説得してもらうんじゃなかったの?」

久「説得途中で京太郎は寝てしまって、私たちはそれを引き取りに来ただけよ」


一太(よく言うよ……最初から酔い潰せって言ってきたくせに)


久「よいしょ……美穂子、そっち持って」

美穂子「ええ……んっ」

久「それじゃ、お代はここ置いておくから」

一太「いや、いいよ。僕は友達と飲みに来ただけだからね」

久「じゃあ、うちの男が迷惑かけましたってことで」

美穂子「本当に、ありがとうございました」

一太「……うん、そういうことなら受け取っておくよ」


429 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 01:44:54.32 ID:3OCtzZti0



久「……酒臭いわね」

美穂子「相当飲んでいたのね……」

久「大学に入るまでは全然手を付けなかったのに……なにやってんだか」

美穂子「きっと、それほど逃げ出したいことがあるんじゃないかしら」

久「……耳が痛い」

美穂子「……やっぱり、私たちが負担になっているのね」

久「自業自得と言ってしまえばそれまでだけどね」

美穂子「久、私は……」

久「諦める?」

美穂子「……もし、京太郎さんが私を嫌いになったのなら」

久「じゃあ、それを手っ取り早く確かめちゃいましょうか」

美穂子「なにをするの?」

久「今夜は三人で寝るってこと。もちろん性的な意味でね」

美穂子「そう……ええっ!?」


430 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 01:53:10.15 ID:3OCtzZti0



『ひ、久……本当にするの?』

『だからさっき説明した通りだってば』

『でも……京太郎さんが目を覚ましてないのに』


京太郎(ん……なんか頭がふわふわする)

京太郎(俺、なにしてたんだっけ……?)


『あ、起きたみたいね』

『京太郎さん、いきなりこんな……ごめんなさい』


京太郎(なんで二人が……)


『それじゃお先――んっ』

『久っ! ……私も――んっ』


京太郎(キス、された?)

京太郎(それも二人共になんて……)


『あ、大きくなってきた』

『失礼します……』カチャカチャ


京太郎(あ、そうか。これは夢だ)

京太郎(そうじゃなきゃ、こんな状況ありえないよな)

京太郎(なら――)


『きゃっ』

『やっとやる気になったってわけ』


京太郎(いただきます……)


431 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 02:00:28.52 ID:3OCtzZti0



京太郎「……zzz」


久「……美穂子、起きてる?」

美穂子「……ええ」

久「すごかったわね……美穂子があんなに乱れて」

美穂子「もう、久こそあんなに声出していたじゃない」

久「……お互い様ってことで」

美穂子「……そうね」

久「動ける?」

美穂子「なんとか」

久「それじゃ、早速確かめましょうか」

美穂子「でも、どうするの? 人数が足りないわ」

久「二人でもできることはあるでしょ。覚えてない?」

美穂子「二人で……もしかして」

久「多分それで正解」

美穂子「私の部屋から麻雀牌、持ってくるわね」

久「じゃあ私はマットね」


432 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 02:07:37.79 ID:3OCtzZti0



久「ルールはいい?」

美穂子「ええ……親はなしで最初にサイコロ振って先に牌を引く方を決める。先攻後攻は交代で連荘はなし」

久「自風はなしで全部役牌扱い」

美穂子「副露ありで、聴牌したらそれを宣言。その時点で宣言した方は牌を引けなくなる」

久「追っかけで聴牌宣言をしたら、どっちも上がるまでツモ切りしかできなくなる」

美穂子「聴牌してるしていないに関わらず、どちらかの捨て牌が18に達したら流局。ノーテン罰符は3000」

久「持ち点は30000点で、それがなくなるまでの殴り合い」


久「……懐かしくない?」

美穂子「もう三年も前になるのね……」

久「大分状況は変わっちゃったけどね」

美穂子「あの時、私はあなたの幻想を追うのをやめて」

久「あの時、私はあんたを敵として認識した」

美穂子「……私は京太郎さんが好き」

久「私も京太郎が好き……だから、確かめなきゃね」

美穂子「そうね」

433 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 02:19:39.92 ID:3OCtzZti0


久『京太郎はね、両想いの相手から運気とかを吸い取っちゃうの』

美穂子『……京太郎さんもそういう手合いだったのね』

久『男子には少ないらしいけどね。ちなみに、吸われた心当たりある?』

美穂子『……何回か』

久『ま、そうよね。あれホント麻雀勝てなくなるから』

美穂子『でも、今はなんともないわ』

久『あいつ、普段は抑えてるみたいだからね』

美穂子『それをどうやって……まさか』

久『我慢できなくすればいいのよ。そしたらわかるでしょ?』

美穂子『京太郎さんが、私たちをどう思っているのか……』


美穂子「負けたいけど、負けたくない……なんだか不思議だわ」

久「ホントね」

美穂子「何回勝負にするの?」

久「納得がいくまでじゃない?」

美穂子「ふふ……そうね」


434 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 02:27:50.44 ID:3OCtzZti0



久「……ノーテン」

美穂子「……ノーテン」


久「これ、何回目だっけ?」

美穂子「三十回……から先は数えていないわ」

久「まさか聴牌すらできないとはね……」

美穂子「まだするの?」

久「もうさすがにね……これ以上打っても同じ結果になりそうだし」

美穂子「そうね……あ、もう昼前なのね」

久「あいつはまだ寝てるし……」

美穂子「お腹空かない?」

久「そういえば」クゥ

美穂子「待ってて、今作るから」

久「テーブルの上、片付けとくね」

美穂子「おねがい」


435 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 02:34:00.03 ID:3OCtzZti0



京太郎「んん……」


京太郎(頭いてぇ……また飲みすぎたか?)

京太郎(しかし昨日は……なにしてたんだっけ?)

京太郎(一太と飲んでたことは覚えてるんだけど)

京太郎(なんだかすごい夢を見たような……)

京太郎(久ちゃんとみほっちゃんとまさかの3Pとかいう)

京太郎(ははっ、あるわけないよな)


京太郎「ふわぁ……もう昼前か」

久「あ、おはよ」

京太郎「……んん?」

美穂子「ご飯、できてますよ?」

京太郎「……んんん?」


京太郎(あれ……夢だよな?)


京太郎「ふ、二人とも……こんな昼早くからどうしたんだよ」

久「昼って時点で早くないけどね」

美穂子「覚えてないんですか?」

久「相当酔ってたしね」

京太郎「あー……」


京太郎(俺、またやらかしたのか?)


久「とりあえずご飯食べちゃいなさいよ」

美穂子「酔い止めとかも用意してありますから」


京太郎(この優しさがたまらなく恐ろしい……!)


436 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 02:42:56.24 ID:3OCtzZti0



京太郎(そして……)


京太郎「……あのさぁ」

久「なに?」

美穂子「なんですか?」

京太郎「動けない」

久「あんたが悪い」

美穂子「そうですね」

京太郎「……」

久「――ちょっと」グイッ

美穂子「――こっち向いてください」グイッ

京太郎「いでででででっ! 人間の首は左右同時には向けないんだよ!」


久「いい加減はっきりさせなさいよね」

美穂子「私もはっきりと聞きたいです」


「「どっち(ですか)!?」」


京太郎(……この状況に至ります、と)


437 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 02:53:59.11 ID:3OCtzZti0



久「ふふっ、見た? 昨日のあいつの困った顔」

美穂子「ちょっと気の毒だったけれど……」

久「スッキリしたでしょ?」

美穂子「そう、ね」

久「でも、これでわかったじゃない」

美穂子「京太郎さんは、どちらかを選べないほど私たちが好きなのね」

久「……自分で言って恥ずかしくない?」

美穂子「――っ、意地悪なこと言わないで」カァァ


久「しょうがないから、もうちょっとだけ待ってあげましょうか」

美穂子「それで、また答えが出なかったら?」

久「また今回みたいにたしかめる」

美穂子「結果が同じだったら?」

久「そしたらまた猶予期間ね」

美穂子「……ずっと決着がつかなかったら?」

久「その時は……三人一緒っていうのも悪くないかもね」


ゆみ「なんだ、また悪だくみか?」

久「人聞き悪いわねぇ。私たちは被害者の会よ」

ゆみ「被害者? ……ああ、そういうことか」

美穂子「加治木さんはこれからお昼ですか?」

ゆみ「この前先輩からおすすめの店を教えてもらったんだ」

久「あ、一緒に行ってもいい?」

ゆみ「かまわない。ちょうど一緒に行く相手を探していたところだ」


438 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 02:59:35.06 ID:3OCtzZti0



京太郎「……」グッタリ

一太「……今日はいつにも増して生気がないな」

京太郎「うるせぇ、このロリペド裏切り者野郎が」

一太「わ、悪かったって言ってるだろ」

京太郎「悪かったって思ってるなら昼飯おごれ」

一太「それぐらいでいいならね……はぁ」


「あれあれ、須賀ちゃんじゃん」


「おハロー……ってどうしたよ?」

京太郎「ちょっと修羅場ってな……」

「うはっ、ついに修羅場っちゃった?」

京太郎「喜んでんじゃねえっての」

一太「京太郎、こちらは?」

京太郎「同じクラスのやつだよ」

「どもー」

一太「どうも」

「須賀ちゃんから聞いてるよ。ロリでペドなやつだって」

一太「君は一体なにを吹き込んだっ!」ギリギリ

京太郎「首絞めんのはやめろっ!」


「まぁまぁ、とりあえずお近づきの印に飲みにいこーぜ。いい店知ってっからさ」

一太「あ、いや僕は……」

京太郎「もちろん来るよなぁ? この前俺を嵌めたんだから」

一太「ぐっ……行くよ、行けばいいんだろ」

京太郎「覚悟しとけ。今度はお前を潰してやるからよ……!」


439 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 03:06:33.34 ID:3OCtzZti0



京太郎「うぐぁ……」グッタリ


「あはは、須賀ちゃんの方が先に潰れちゃいそーじゃん」

一太「……君、本当に弱いんだな」

京太郎「う、うるへー」


「にしてもさぁ、いい加減どっちかに決めないとniceboatじゃね?」

一太「ありえないとも言い切れないのが恐ろしいね」

「ん? でもそーいやさ、須賀ちゃんって、手を出した二人以外にも告られてるんだっけ?」

京太郎「……」

一太「まさか……まだ誰にも返事してないとか?」

「うーわ、こりゃ鮮血の結末まっしぐらっしょ」

一太「本当に最低だな……」

京太郎「て、てめぇら好き勝手言いやがって……!」バンッ

440 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 03:13:11.63 ID:3OCtzZti0


京太郎「決めた! 俺は総理大臣になる!」


「そのこころは?」

京太郎「ハーレム王に、俺はなる!」

「重婚できるように法律変えるみたいな?」

一太「というかね、恥ずかしいから大声で騒がないでくれよ……」

京太郎「あははははっ、もう明るい未来しか見えねーな!」


久「へぇ、明るい未来がなんだって?」


京太郎「あは、あはは……ひ、久ちゃん?」


美穂子「京太郎さん……」ジトッ


京太郎「み、みほっちゃん?」

441 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 03:21:06.92 ID:3OCtzZti0


久「こんな昼間から飲んじゃってさ」

美穂子「もっと体を大事にしてください!」

京太郎「ああ、これはその……」

久「詳しい話は後で聞くから」グイッ

京太郎「ちょっ」

美穂子「ええ、帰りましょうか」

久「内木くん、これお代ね」

一太「あ、うん」


「い、今のが例の?」

一太「……今日こそダメかもしれないな」

ゆみ「まったくだな」

一太「あれ、加治木さん。もしかして、あの二人と昼ご飯に?」

ゆみ「来て早々これだよ」

一太「ご愁傷様」

「んじゃさ、ご一緒にどう?」

ゆみ「せっかくここまで来たからな……迷惑じゃなければ」

442 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 03:22:43.59 ID:3OCtzZti0


「それじゃあ、乾杯いっちゃう?」

ゆみ「なにに乾杯するんだ?」

「そりゃあ……須賀ちゃんの生還にとか?」

ゆみ「まだ帰ってきていないな」

「なら祈ってってことで」

一太「よし、それでいこう」

「じゃあ、須賀ちゃんの生還を祈って――」


「「「――乾杯っ」」」




『エンディング――Never-ending triangle』
443 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/02/28(水) 03:25:34.50 ID:3OCtzZti0
というわけで終了

今回は誰も選べず、答えも出せなかったらというエンディングです
大学に進んで一番身近になるのはあの二人だと思うので

そんじゃま、安価は後日で寝ます
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/28(水) 07:41:28.73 ID:kZe4evbFO
おつ
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