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久「あんたが三年生で良かった」京太郎「……お別れだな」

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772 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/03(木) 23:19:48.22 ID:H0yROGSH0



桃子「というわけで潜入を断行するっす」


ゆみ「いや、普通にノーだが」

睦月「ごめん、実はプロ麻雀カードのトレードが」

佳織「人の部屋に勝手に入るのはやっぱり良くないかなぁ?」

智美「わはは、簀巻きでは何もできず……」

桃子「ところで、元部長さんはなんでぐるぐる巻きに?」

ゆみ「気にするな。いつものことだ」

智美「いつも通りの鬼畜だぞ」

ゆみ「よし、少し向こうで話そうか」

智美「わはは、ゆみちんったら大胆――いたたたっ、愛が痛いぞっ」

ゆみ「いいから、少し、黙ろうか」ギリギリ

773 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/03(木) 23:22:30.12 ID:H0yROGSH0


ゆみ「それじゃあみんな、しばらく自由にしていてくれ」


桃子「……なんかある意味羨ましいっすね」

睦月「え、あれが?」

佳織「あはは、智美ちゃんこりないよね」

桃子「仕方ないっすね……じゃあ三人で行くっすよ」

睦月「朝はもう食べたよね?」

桃子「じゃあ腹ごなしということで一つ」

佳織「えっと、もしかしてさっきの潜入の件?」

桃子「そうっす」

睦月「カードのトレード会があるから」

桃子「そういえば、金髪さんがプロの方々から新レアカードをもらったとか」

睦月「――っ」ガタッ

桃子「それをチラッと拝めるかも」

睦月「行こう!」

佳織「ちょ、ちょっと待って!」

774 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/03(木) 23:26:05.80 ID:H0yROGSH0


佳織「睦月さんはカードのトレード会があるんじゃ……」

睦月「そ、そうだった」

佳織「だから桃子さんも無断で部屋に入るのはやめよう? ね?」

桃子「むむむっ、手強いっすねぇ……さすがは時々理不尽な役満大砲ことかおりん先輩」

佳織「ええっ、理不尽って……あれはたまたまだし」

桃子「もしくは、もはやビギナーズラックってレベルじゃねーぞことかおりん先輩」

佳織「誰のコメント!?」

桃子「それはもう、大会で無慈悲にも大砲をくらった方々のっすよ」

佳織「なんか申し訳ないよぉ……」


桃子(そしてそういう態度がアンテナさんたちを刺激してると)

775 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/03(木) 23:30:23.74 ID:H0yROGSH0


睦月「ねぇ、私にはそういうのないのかな?」

桃子「むっちゃん先輩っすか?」

睦月「その呼び方じゃなくてほら、役満大砲とかそういうの」

桃子「そうっすねぇ……投牌戦士ムッキー、とか?」

睦月「え、なにそれ」

桃子「なんとなくフィーリングで」

睦月「ごめん、意味がわからない」

桃子「そうっすか?」


佳織「とにかく、人の部屋に勝手に入るのはダメだからね?」

桃子「しかたないっすね……」ピッ

睦月「電話?」

桃子「無断がダメならきちんと許可を取るっすよ」


776 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/03(木) 23:32:38.25 ID:H0yROGSH0



桃子「というわけでここが金髪さんの部屋の前っすよ」

佳織「ここが須賀くんの……」ドキドキ

睦月「ここに新レアカードが……」ゴクリ

桃子「なんだかんだ言って乗り気っすね」

佳織「わ、私は桃子さんが変なことしないようにっ」

睦月「チラッと……あ、いや、一分……じゃなくて十分ぐらいカードを拝見したら」

桃子「やれやれ、素直じゃないっすねぇ――うひゃっ」

777 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/03(木) 23:35:58.28 ID:H0yROGSH0


京太郎「人の部屋の前でなに雑談してんだ」


桃子「なにするっすか!」

京太郎「なにって、ジュースを当てただけだろ。首筋にピトッて」

桃子「変な声出ちゃったじゃないっすか!」

京太郎「ははは、かわいい声だすよなぁ」

桃子「〜〜っ」

京太郎「おっと、からかいすぎたか?」

佳織「あ……お、おはようございましゅっ」

京太郎「ああ、おはよう」

睦月「すみません、こんな突然」

京太郎「どうせ暇してるからいいんだよ」

桃子「このっこのっこのっ」ダンッダンッダンッ

京太郎「立ち話もなんだし入ろうぜ」スッスッスッ

睦月「……」


睦月(ストンピングを全部見ないでかわしてる……)


桃子「あーもう、どうして当たらないっすかー!」


778 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/03(木) 23:40:39.61 ID:H0yROGSH0



京太郎「ま、好きにくつろいでくれ。後で買い物に行くからそれまでの間になるけど」

佳織「お、お邪魔します」

睦月「……」キョロキョロ

桃子「じゃあ失礼して――ぐえっ」

京太郎「お前はちょっと待て」グイッ

桃子「人の襟首掴んでなんのつもりっすか!」

京太郎「布団の上でゴロゴロするのはNGだ」

桃子「えー?」

京太郎「この前髪の毛が落ちててな、そのせいで面倒な事になった」

桃子「修羅場っすか?」

京太郎「そんな色っぽいことじゃないっての」

桃子「つまんないっすねぇ」


佳織「しゅ、修羅場……なにあったのかなぁ」

睦月「え、あ、うん……カードはどこだろうね」

佳織「睦月さん……」


佳織(プロ麻雀カードのことで頭が一杯なんだ……)

779 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/03(木) 23:43:13.35 ID:H0yROGSH0


京太郎「おっと、そういやあれあったな」

睦月「――きたっ」ガタッ

京太郎「さっき買ってきた飲み物! 部屋になんにもなくて買ってきたんだよ」

睦月「……はぁ」

京太郎「どうした?」

睦月「いえ、なんでもないです……いただきます」

桃子「じゃあこの桃のソーダをいただくっす」

佳織「い、いただきます」


佳織(目に見えてガッカリしてる……)


780 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/03(木) 23:46:03.85 ID:H0yROGSH0



睦月「充実したひと時だった……カードがこんなに」ホクホク

桃子「ホクホクっすねぇ」

佳織「す、須賀くんの部屋にお邪魔しちゃったぁ」ホワホワ

桃子「ホワホワっすねぇ」


桃子(だけど、隙を見て探してもそれっぽいものはなかった)

桃子(まさか……身につけてるとか?)

桃子(となると、アレしかないっすね)


睦月「それじゃあ私はそろそろ」

佳織「あ、カードのトレードだっけ。時間大丈夫なのかな?」

睦月「ちょっと遅れてるけど問題ないよ。収穫もあるからみんなに見せびら――じゃなくて自慢できるし」

桃子「言い直す必要なかったっすね」

睦月「ちょっと英雄になってくる……!」タタタッ

781 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/03(木) 23:50:25.69 ID:H0yROGSH0


佳織「私たちはどうしようか」

桃子「私も用事ができたっす」

佳織「そう? なら智美ちゃんの様子を見に行こうかな」

桃子「きっと今頃は埠頭に……」

佳織「さ、さすがにそこまではしないと思うけど」

桃子「武運を祈るっす」グッ

佳織「祈られるような事態はおこらないといいなぁ……」


桃子(そして私はアレっすね)

桃子(金髪さんが恒子ちゃんのサインを肌身離さず持っているなら、張り付いていればいつかは取り出すはず……)

桃子(というわけで、まずは捜索っす)


782 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/03(木) 23:53:36.60 ID:H0yROGSH0



桃子「金髪さーん、金髪さーん?」

桃子「って、呼びながら歩くの恥ずかしいっすよ……」

桃子「でも捜査の基本はこれっすからね……金髪さーん?」


エイスリン「What?」


桃子(本場の金髪さんが釣れちゃったっすねぇ)


エイスリン「What's the matter?」

桃子「えっと、あー……そーりー、のーぷろぶれむ」

エイスリン「モーマンタイ?」

桃子「なんで中国語っすか」

エイスリン「ニホンゴ、スコシワカルヨ」

桃子「しかも喋れるんすか!」

エイスリン「?」

桃子「と、とにかく人違いっす。すみませんでした」


783 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/03(木) 23:57:02.29 ID:H0yROGSH0



桃子「ふぅ……慣れない英語は緊張するっすねぇ」

桃子「さ、気を取り直して――」


和「どうして、どうしてあの人が先輩と……」ブツブツ


桃子「おっぱいさんじゃないっすか」

和「ひゃっ……と、東横さん?」

桃子「なにしてるんすか?」

和「しー、静かにしてください」

桃子「あー、もしかしてストーキング中とか」

和「違いますっ」

桃子「どれどれ……金髪さんとさっきの外人さん?」


784 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:00:32.56 ID:S+Xr+9c10



エイスリン「キョータロ♪」

京太郎「なんだ、散歩中か?」

エイスリン「ホンジツハ、オヒガラモヨク――」

京太郎「待て待て、なんの挨拶だ」


巴「こんにちは、お二人とも」


エイスリン「コンニチハ」

京太郎「今日は一人か?」

巴「買い物ですね。みんなアイスが食べたいみたいで」



桃子「メガネの巫女さんが追加っす」

和「大丈夫、あの人たちはたまたま会っただけで……」

桃子「あ、外人さんが抱きついた」

和「〜〜っ」ガタッ

桃子「ちょっ、落ち着くっすよ……!」ガシッ


785 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:04:53.25 ID:S+Xr+9c10



和「ふぅ、ふぅ……」

桃子「ふぅ……ストーキングならあれはNGっすよ」

和「ストーキングじゃありませんったら!」

桃子「はぁ、そうなんすか」

和「でも、考えてみれば外国の方ですし? あれぐらいのスキンシップならいつものことですよね」

桃子「まぁ、そういうこともあるんじゃないすか?」

和「そうです、きっと絶対!」

桃子「あ、金髪さんが移動するっすよ」

和「追いましょう、そっと」

桃子「……」


桃子(やっぱりストーキングっすね、これ)


786 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:08:11.83 ID:S+Xr+9c10



爽「私が来た!」


京太郎「さ、解散だ」

爽「待ってよー、ちょっと塩対応すぎるってば。もっとタレみたいに絡んでよ」

京太郎「俺は焼き鳥だったらタレより塩派だ」

爽「待てよ? ということは塩対応は好きの裏返し?」

京太郎「斬新な解釈来ちゃったな」

爽「このこの、ツンデレかっ」

京太郎「おし、じゃあな」

爽「だから塩対応ー!」


ネリー「じゃあネリーに構ってよ」


爽「え、まさかこの前のパウチで? まいったな、私そっちの気はないんだけど」

ネリー「あ、獅子原は別にいらない」

爽「こっちも塩対応かよー!」


787 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:11:56.68 ID:S+Xr+9c10



桃子「またまた女子との遭遇率が高いっすねぇ」

和「ま、まあ? 先輩は交友関係も広いですし?」

桃子「あ、民族衣装さんと手をつないでる」

和「〜〜っ」ガタッ

桃子「ちょっ、またっすか……!」ガシッ



和「ふぅ、ふぅ……」

桃子「ふぅ……天丼っすか?」

和「お笑いじゃありません!」

桃子「はぁ、そうっすか」

和「でも考えてみれば、あれは近所の子供への対応ですね、うん」

桃子「言われてみれば……?」

和「そうです、きっと絶対!」

桃子「それはそうと、またまた移動するみたいっすよ」

和「行きますよ、東横さん」

桃子「らじゃー」


桃子(なんか楽しくなってきたっすね)


788 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:15:57.52 ID:S+Xr+9c10



淡「あっ、キョータローだ!」


淡「こんなとこで会っちゃうなんてやっぱり運命?」

京太郎「箸が転んでも運命とか言いそうだな」

淡「今日はどうしたの? やっぱり私に会いに来ちゃった?」

京太郎「会いに来ちゃったら、そりゃ運命でもなんでもなくなるぞ」

淡「もー、わかってるよ! いつもの照れ隠しだもんね」

京太郎「おっと、言葉が通じないな。言語の壁か?」


穏乃「なになに、二人してなんの話?」


淡「シズノ!」

穏乃「暇なら一緒に走りに行こうよ! ほら、いい天気だしさ」

淡「ヤダ。これからデートだし」

京太郎「おっと、うっかり弘世の番号が……」

淡「あわっ!?」


789 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:21:44.99 ID:S+Xr+9c10



和「……」

桃子「おっぱいさんは阿知賀の大将とはお友達って聞いたっすよ」

和「大星、淡」ギリッ

桃子「……おっぱいさん?」

和「ええ、前々から彼女とは話をつけなければと思っていました……!」ガタッ

桃子「ちょっ、ダメっすよ……!」ガシッ

和「離してください!」

桃子「ここで出て行ったら、これまでのストーキングがご破産っすよ!」

和「だからストーキングじゃありませんったら!」



『だからストーキングじゃありませんったら!』


京太郎「ん?」

穏乃「どしたの?」

京太郎「いや、なに買ってやろうかなって」

穏乃「?」


790 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:26:14.34 ID:S+Xr+9c10



和「ふぅ、ふぅ……」

桃子「ふぅ……二度あることはってやつっすね」

和「三度目の正直、とも言いますけど」

桃子「それにしても、今回は特に熱くなってたっすね」

和「大星さんはちょっと勘違いをしてるみたいですから」

桃子「えっと……もしかして、全国放送された勝ったらキス発言?」

和「ええ……それより先輩は?」

桃子「ん、あー……いないっすね」

和「困りましたね……」

桃子「まあ、二人で遊びながら探すっすよ」



桃子(その後、喫茶店でお茶したりゲーセンでお金を消費したり、水着の物色をしたりと)

桃子(待てど暮らせど遊べど探せど金髪さんは現れず)

桃子(それはそれとしてちゃっかり楽しんでいたんすけど)

桃子(ともかく、目的は果たせないまま日が傾いちゃってましたと)


791 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:29:29.98 ID:S+Xr+9c10



桃子(その後、喫茶店でお茶したりゲーセンでお金を消費したり、水着の物色をしたりと)

桃子(待てど暮らせど遊べど探せど金髪さんは現れず)

桃子(それはそれとしてちゃっかり楽しんでいたんすけど)

桃子(ともかく、目的は果たせないまま日が傾いちゃってましたと)



桃子「さっきの水着も中々だったと思うんすけど」

和「ちょっと大胆すぎた気がします」

桃子「大胆な方が金髪さんの目を引けるんじゃないっすか?」

和「その、あまりいやらしいと思われたくありませんし」

桃子「はぁ」


桃子「それにしても、見つからないっすねー」

和「そうですね……」

桃子「まぁ、途中から探すのを忘れて遊んでたんすけど」

和「うっ……」

桃子「もしかしたらもう帰ってるかもしれないし、部屋の方に行くっすか?」

792 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:33:43.76 ID:S+Xr+9c10


京太郎「お、いたいた」


桃子「って、いったそばから!」

和「先輩!」

京太郎「お前ら、途中から尾行するの忘れて遊んでたろ」

桃子「え、気づいてたんすか」

京太郎「あんなに騒いでたら気づくだろ、普通」

桃子「あー、やっぱり」

和「せ、先輩……私」

京太郎「まあいいや。それより、これ」

和「えっと、私にですか?」

京太郎「個人戦頑張ってるだろ?」

和「あ、あぁ……」プルプル

桃子「おっぱいさん?」

和「私、信じていましたっ!」

桃子「えー……」


桃子(思いっきりストーキングしてたっすよね?)


793 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:37:18.97 ID:S+Xr+9c10


京太郎「あのままついてきてくれればすぐ渡せたんだけどな」

和「えへ、えへへへ……先輩からの贈り物……」

桃子「あらー、トリップしてるっすねぇ」

京太郎「こんなに喜ばれると正直嬉しいよな」

桃子「うーん……口を出すのはヤブヘビっすね」


桃子「それより、私にはなにかないんすか?」

京太郎「なんであると思うよ」

桃子「またまたぁ」

京太郎「……」

桃子「え、じゃあ恒子ちゃんのサインは……」

京太郎「あー、ちょっと待て」


京太郎(サインをもらった覚えはないけど……)

794 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:39:48.66 ID:S+Xr+9c10


恒子『この前の打ち上げで迷惑かけちゃったし? お詫びってことで』

京太郎『いや、別にお詫びとかいいんですけど……なんでハンカチ?』

恒子『今手元に渡せるものそれしかなくてさー』

京太郎『じゃあまた後日でもいいですから』

恒子『あ、そうやってまた会う約束を取り付ける作戦と見た!』

京太郎『ちょっ、わかりましたよ受け取りますよ!』

恒子『おねーさんの残り香で興奮しちゃってもいいからね?』

京太郎『するかっ』

恒子『あはは、じゃあまた一緒に飲もうねー!』


京太郎(渡されたハンカチは手元にあるんだよな……)ゴソゴソ

京太郎「もしかすると……あった」ピラッ

795 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:43:33.61 ID:S+Xr+9c10


京太郎「しょうがないな、これやるよ」

桃子「ハンカチっすか?」

京太郎「福与アナのサイン入りだ」

桃子「女物……まさか私物っすか!?」

京太郎「そうなんじゃないか?」

桃子「おぉ……か、家宝にするっす!」

京太郎「ははは、さすがに大げさだな」


796 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:46:54.25 ID:S+Xr+9c10



桃子「〜〜♪」


ゆみ「おかえり、モモ」

桃子「ただいまっす」

智美「鼻歌とは、なにかいいことあったか?」

桃子「そうっすね。元部長さんも無事でなによりっす」

智美「……死ぬかと思った」

ゆみ「人聞き悪いことを言うな。少し説教しただけじゃないか」

智美「わはは、控えめに言って地獄だぞ」

ゆみ「よし、ならもう一度地獄巡りと行こうか」

智美「冗談冗談」

ゆみ「まったく……ん? モモ、そのハンカチは?」

桃子「恒子ちゃんのサイン入りハンカチっす」

智美「おお、まさか有名人とバッタリとか」

桃子「まあ、恒子ちゃんに会えたわけじゃないんすけどね」

ゆみ「そうか……楽しかったか?」

桃子「もちろんっすよ!」



797 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 00:49:10.03 ID:S+Xr+9c10
というわけで敦賀勢でなにかということで
なんかモモの比重が多めでしたけど

んじゃ、連休特有の夜更かししてきます
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 00:51:23.66 ID:YNXCTAcr0
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 01:02:49.73 ID:3zzs9AxA0
乙です
こういう雰囲気良いわー
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 01:55:03.13 ID:BdRAXDVTO
乙です
咲SS作者あるあるですが敦賀じゃなくて鶴賀学園ですよ
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 02:14:04.33 ID:QPSxgSkgo
(あるあるじゃ)ないです
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/04(金) 13:10:06.22 ID:Aj2foyWG0
乙です!
803 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 23:40:10.80 ID:S+Xr+9c10
まぁ、後書きだし多少の誤字は許してください
本編中に散見されるものはごめんなさい

んじゃあ、秘密裏に解放されていたエンディングを投下します
804 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 23:44:45.99 ID:S+Xr+9c10


和「いいれすかぁ? らんせいは基本、この世には不要なんれす……ヒック」

咲「和ちゃん、さすがに飲みすぎだよ」

優希「またいつもの男性不要説かー」

和「ガサツで、適当で、デリカシーがなくて……」

咲「わかった、わかったよ。だからもう部屋戻ろう?」

和「うぅ……しゃきしゃぁん」ヒシッ

咲「わっ」

和「……今夜、どうれすか?」サワサワ

咲「ええっ?」

優希「お幸せにー」ヒラヒラ

咲「傍観してないでなんとかしてよっ」


805 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 23:49:14.19 ID:S+Xr+9c10



咲「ふぅ……」

優希「のどちゃんは?」

咲「ベッドに入ったらすぐ寝ちゃった」

優希「相変わらずの酒癖だじぇ」

咲「うん……正直、ちょっと複雑だよね」

優希「言い寄られてることが?」

咲「それもあるけど……ほら、原因が」

優希「まあ、いつまでも引きずってるのどちゃんものどちゃんだけど」

咲「どうしてこうなっちゃったんだろうね」

優希「それは言うまでもないんだじぇ」

咲「……だよね」


806 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 23:53:49.54 ID:S+Xr+9c10



和(初恋というものは、誰にでもあるものだと思います)

和(もちろん私にも。高校一年の、入学して間もない頃です)

和(鮮烈な記憶です。その時の高揚は、まさに空も飛べそうなほどでした)

和(……しかしながら、初恋は実らないものとも言われています)

和(それが事実かは定かではありません)

和(ですが、私の場合はまさにそれでした)

和(勝手に勘違いして浮かれて、高く高く昇った私の恋心は現実を知り、天から急降下)

和(――以降、男性を信じられなくなった女の出来上がり、というわけです)


807 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/04(金) 23:57:45.73 ID:S+Xr+9c10



和「んん……もう、朝ですか」

和「痛……昨日は少し、飲みすぎてしまいましたか」

和「いけませんね、自己管理の不行き届きです」


――プルルル


和「はい、もしもし」

『おはようございます、先生』

和「おはようございます。仕事の依頼ですか?」

『はい、今朝だけでも何件か』

和「目を通しておくので、メールで送ってください」

『ふるい落としはいつも通りでかまいませんか?』

和「ええ、男性からの依頼は丁重に断ってしまってください」

『わかりました』


和(高校を出て私が選んだ道は、父と同じ弁護士)

和(ただし、女性専門のですが)


808 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:01:00.07 ID:CLbY5vXp0



優希「昨日の乱れっぷりはすごかったんだじぇ」

和「記憶にありませんね」

優希「あれだけ酔ってればやむなしだじぇ」

和「咲さんは?」

優希「早い時間から試合があるからって、マネージャーに引きずられていったじぇ」

和「そうですか……」

優希「ま、今日のところはこの優希さまで我慢するんだじょ」

和「私も仕事があるのでそろそろ行きますけど」

優希「じぇじぇっ」

和「ゆーきは試合、ないんですか?」

優希「私の出番は午後からなんだじぇ」

和「頑張ってくださいね」

優希「おう、今日は東一局で終了だじぇ!」

和「ふふ……」


和(ゆーきは変わりませんね……)

和(それは尊くて、眩しくて、羨ましくもあり)

和(……違いますね。羨ましくはありません)

和(だって、変わってないことを羨むのなら、それは――)

809 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:06:30.54 ID:CLbY5vXp0


優希「あ、そういえば竹井先輩から連絡があったんだじぇ」

和「珍しいですね。なんと?」

優希「今度、清澄麻雀部のみんなで集まらないかーって」

和「いいですね。先輩たちとはあまり会う機会もありませんし」

優希「となると、メンバーは……」


和(ゆーきが指を折り始めてから、気づいてしまいます)

和(竹井先輩が言う、清澄麻雀部のみんな)

和(それは、きっと私が高校一年生の時の面子で)

和(そこには、きっとあの人がいるのだということを)


和「……すみません、私は辞退します」

優希「じぇ?」

和「それじゃあ、仕事がありますから……」


優希「……あー、まったく……先輩はどこまで罪作りなのか」


810 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:09:59.14 ID:CLbY5vXp0



和「……せん、ぱい」


和(思い出すのは、あの人を最後に見た時)

和(父に何度も殴られ、それでもじっと黙っている姿)

和(それが余りに痛ましくて、私は何も言い出せず……)

和(同時に、あの人は絶対に私を見てくれることはないんだと理解してしまって)

和(それから私は――)


和「……まだ、お酒が残っているんでしょうか」

和「全部、綺麗さっぱりなくなったと思ってたのに……」


和(そのはずなのに、この胸の中には渦巻く感情があって)

和(これがなんなのか、私には……)

811 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:13:43.42 ID:CLbY5vXp0


和「――っ」ギリッ


和(違うっ、わからないはずがない!)

和(これは……憎しみです)

和(何も知らなかった私自身と、あの人に向けた憎悪)

和(そうでなければいけないんです)


和「……それなら、何の問題もありません」


和(敵を知り、己を知れば、という言葉の通りです)

和(情報から未知の部分を消していけば、対策も容易に立てられる)

和(それは、法曹界に身を置いて実感したことでもあります)


和「竹井先輩に連絡しましょうか」

和「あんな人のために、せっかくの機会をふいにしたらもったいないですし」


812 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:17:32.52 ID:CLbY5vXp0



優希「それじゃあ、栄光の清澄麻雀部に――乾杯っ!」

『乾杯っ!』


京太郎「いやぁ、この面子で集まるなんていつぶりだよ」

久「さぁね。主にハブられてたのは誰かさんだけど」

京太郎「そんなことより飲んで話そうぜ、せっかく集まったんだしさ」

まこ「あんたは酒には弱いけぇのぉ。飲み過ぎんように」

久「そうね、愛しの奥さんに叱られるわよ」

京太郎「大丈夫だって、なぁ?」

まこ「説得力が欠片もない……」


和(私が立てた対策はシンプルです)

和(とにかく目を向けない、耳を傾けない、なるべく距離を置く)

和(接触しないでいないものと扱えば、何の問題もありませんから)


咲「……和ちゃん、大丈夫?」

和「なにがですか?」

咲「あ、うん……ならいいんだけど」

優希「うんうん、のどちゃんもしっかり成長してるんだじぇ」

813 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:20:56.15 ID:CLbY5vXp0


京太郎「相変わらず三人仲良しだな」


咲「あ、京ちゃん」

優希「先輩、タコス」

京太郎「バカ、ねぇよ」

優希「私たちの絆は何処へ……!」

京太郎「散々たかられる絆とか遠慮願いたいな」

和「……」


和(ここで前提としていたものが崩れ去ります)

和(こちらが接触を避けても、向こうからやってくるのなら無意味です)

和(こうなれば、渦巻くものを抑えるように、私はただ黙って――)


京太郎「……原村も、元気だったか?」

和「……はい」

京太郎「そうか、長い間連絡取れなかったからさ」

814 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:24:06.16 ID:CLbY5vXp0


和(気を使われている……それよりも、気になったのは――)


『和……これでいいか?』


和(……だからどうしたっていうんでしょうね)

和(今更どう呼ばれようと関係ありません)

和(ここは事務的な会話に徹して切り抜けましょう)

和(こうなったら、見ないのも喋らないのも不自然ですし)

和(私は高校一年の三月以来、久しぶりにその姿をちゃんと視界に収めて――)


和「――っ」


和(そして、それを見つけました)

815 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:26:25.97 ID:CLbY5vXp0


京太郎「ああ、これか?」


和(左手の、薬指に光る、指輪)


京太郎「式もやったんだけど、お前だけ呼べなくてさ」


和(言葉が頭に入ってきません)

和(父が拒絶したとか、子供が生まれたとか、そんなことを言っていた気がしますけど、朧気です)

和(自分がどんな受け答えをしているのかさえも曖昧で)


和「すみません、ちょっとお花を摘みに行ってきます」


和(逃げるように、私はその場から離れました)


816 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:31:06.91 ID:CLbY5vXp0



和「うぅ……気持ち悪い……!」


和(胸の中に渦巻く感情はいまや激流となって、私を責め立てます)

和(だけど、どうすればいいのかがまったくわかりません)

和(今は、ただただこの正体不明の感情が気持ち悪い……!)


和「……私は、あの人を憎んでいる」


和(深呼吸して、鏡の中の自分へ言葉を投げかけます)

和(それは突っかかることなく私の中へ落ちていって)

和(正しいのだと。たしかにあの人が憎いのだと)


和「私はあの人が、憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて――」


『――だけど、本当にそれだけ?』


和「――っ」


和(鏡の向こうから投げかけられた言葉は、胸に突き刺さって)

和(胸に空いた穴から、こぼれでた感情は……)


817 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:33:10.14 ID:CLbY5vXp0



和「すみません、戻りました」

久「あら、おかえり」

優希「だらしないじぇ、のどちゃん。一杯目からダウンとは」

まこ「そりゃあそこで寝てる奴に言ってやりんしゃい」

咲「あはは……京ちゃん本当に弱いよね」


京太郎「……zzz」

818 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:36:03.09 ID:CLbY5vXp0


久「まったく……しょうがないわね」

まこ「まぁ、久しぶりに見られた顔もあるけぇ、安心したんじゃろ」

和「……」

久「それもそっか……」

咲「掛けるもの持ってきます?」

優希「むしろ私自身が掛け布団ならぬ肉布団になる! とか」

久「どこの漂白剤よ。しばらく起きそうにないし、ベッドで寝かせるわよ」

和「先輩は部屋を取ってるんですか?」

久「近くのホテルにね。じゃあちょっと抜けるから」

和「いえ、それだったら私が」

久「いいけど……大丈夫なの?」

和「トイレでスッキリしてきましたし」

優希「のどちゃんが下ネタとは珍しいな!」

和「うるさいですよ、ゆーき」


久「鍵は……あった、これね」

和「それじゃあ、先輩を送ってきますね」

咲「気をつけてね、和ちゃん」

まこ「わしも一緒に行こうか?」

和「心配には及びません。すぐ近くなんですよね?」


819 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:40:57.59 ID:CLbY5vXp0



和「先輩、部屋に着きましたよ」

京太郎「……zzz」

和「全然起きない……お酒に弱いのは本当だったんですね」


和(あの頃よりも顔つきは精悍になっていて、それなのにこんな無防備な姿)

和(……きっと私たちを信頼してるんですね)

和(だからこんなところをさらけ出せる)

和(私は、そんな彼が憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて憎くて――)

和(――たまらなく愛おしい)


和「ダメですよ、先輩。そんな無防備に寝てちゃ――んっ……悪い女に、食べられちゃうんですから」


和(長年抱え続けた思いは、消えたりなんかしませんでした)

和(先輩への恋慕も、憎しみも)

和(それはグチャグチャに掻き回され、熟成されて)

和(あの日に解けた魔法は呪いとなって、この場で先輩を……私さえも飲み込もうとしています)

820 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:44:25.30 ID:CLbY5vXp0


和「ええ、あなたが指輪をしたままでも構いません。だからこそ、意味があるんです」ギシッ

和「先輩の奥さんが、私たちがこんなことをしてるって知っちゃったらどうなると思います?」

和「ふふ、破滅ですよね」

和「もし許そうとしても、私が絶対それを許しません」

和「グチャグチャに引っ掻き回して、犯して、破滅させてあげます」

和「でも、安心してください」

和「先輩が破滅したら、すぐに私も後を追いますから」

和「それはきっと最低で、素敵なことですよね?」


京太郎「んん……■■■、愛してる……」ムニャムニャ


和「あぁ……楽しみですね」

和「どんな顔、見せてくれるんでしょうか……ふふっ」

和「ね、先輩?」




『エンディング――解けた魔法と残った呪い』
821 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/05(土) 00:51:41.60 ID:CLbY5vXp0
というわけで原村さんの特殊エンドになります
もし自分の思いを清算できてなかったら、というもしもです

京太郎の相手は自由に想像してください

んじゃ、夜更かしして寝ます
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 01:54:15.19 ID:h+fEeDmko
なんか他の世界線でも違う子が拗らせてる気がしてきた
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 11:31:49.28 ID:uUSQBeLA0
乙です
単人エンドの爽やかさと複数人エンドの落差を鑑みると確かにやべー娘結構いそうだな
エイスリンルートのシロとか永水ルート絡みとか
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/05(土) 15:02:02.86 ID:5CDTmHqW0
乙!こういうのも良いね
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 15:54:12.25 ID:kn8EcqgDO
すでに破滅してるのに気づいていないのどっち…
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 13:40:46.30 ID:LzohO0EK0
ムラムラします
827 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/13(日) 00:06:53.36 ID:CX9d3/s60


・もしもの未来、恋の最大の障害とは


セーラ「須賀ー、サッカーせぇへん?」

京太郎「ああ、いいぜ。愛宕の絹さんも呼ぶか?」

セーラ「ついでに姉も呼んでや。サッカーに勝ったら、借金取り立てたるわ」

京太郎「いや、そこは普通に取り立てろよ」

セーラ「なんか負けた気するし」

京太郎「まぁいいけどよ。金の貸し借りはしっかりしとけよ? 関係崩壊の原因になるらしいし」

セーラ「ああ、絶対取り立てる……ジュース一本分!」

京太郎「みみっちいなぁ、おい! それもう奢ってやったってことでいいだろ」

セーラ「なんか負けた気がするし」

京太郎「お前あいつ相手だとそればっかじゃねえか」

828 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/13(日) 00:11:15.24 ID:CX9d3/s60


怜「……」

竜華「……」

怜「あの二人、仲ええなぁ」

竜華「せやな」

怜「むしろ仲良すぎとちゃう?」

竜華「せやな」

怜「うちら三人でくんずほぐれつした仲やん」

竜華「せやな……ってなに言うとんの!?」

怜「や、事実やし?」

竜華「そ、それは……そう、やけど」

怜「それからというものの、昼夜問わず肉欲に溺れた日々……」

竜華「ウソウソ、それウソ!」

829 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/13(日) 00:12:43.50 ID:CX9d3/s60


京太郎「それじゃ、俺たちちょっと遊びに行ってくるな」

セーラ「ちょっと借りてくなー」


竜華「須賀く……京くん! 夜は? 夜は空いとる?」

怜「せやせや。今夜もくんずほぐれつやで、京ちゃん」

京太郎「どさまぎで好き勝手に呼んでんな」

怜「ええやんええやん。ね、京ちゃん」

竜華「せやで、きょ、京くんっ」

京太郎「たしかに今更か……でも夜は約束あるから付き合えないぞ」

竜華「えっ」

京太郎「悪いな、今度また埋め合わせするから」

怜「……時に、その約束の相手とは?」

京太郎「最近こっちで知り合ったやつだよ。リュージって呼んでるけど」


830 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/13(日) 00:15:08.97 ID:CX9d3/s60



竜華「どない思う?」

怜「友情は強し、やな」

竜華「うちら、ベタベタしすぎたから嫌われたんやろか……」

怜「その可能性もなきにしも……いや、やっぱないない」

竜華「そっか……うん、せやな」

怜「かといって浮気の可能性がないわけでもなく」

竜華「えっ」

怜「まぁ、昼はセーラとで、夜は男友達とみたいやし? 心配はいらへんと思う」

竜華「もう、心臓に悪いからやめぇや」

怜「ただ、男女の間に友情が成立するのかという議論もあり、京ちゃんがホモという可能性も」

竜華「ないないないない絶対ない!」

怜「まぁ、うちらに手を出した時点でホモ疑惑は消えるとして」

竜華「問題はセーラ?」

怜「浮気云々の心配はあらへんとしても、一緒の時間減るのはなぁ」

竜華「……そういえば、愛宕の絹さんも呼ぶって」

怜「なんやて? それヤバヤバやん」

竜華「京くん、胸大きい子が好きみたいやし」タユン

怜「うーむ、胸は口ほどに物を言う」


怜「とりあえず、明日はこのはしたないおっぱいを吸わせるとこからやな」ムギュッ

竜華「んっ……」ピクッ

怜「ああ……生娘だった頃の反応が懐かしい」

竜華「とーきー!」


831 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/13(日) 00:18:12.23 ID:CX9d3/s60



セーラ「須賀ー! そっち行ったでー!」

京太郎「華麗にオーバーヘッド決めてやるよ!」

洋榎「絹ー! バッチリ気張れー!」

絹江「よっしゃー! 来ぃや!」

洋榎「その意気やでっ! 二条を盾にすることを許ーす!」

泉「なんで私までー!」

セーラ「須賀がいたらパワーバランス崩れるからやろー!」

泉「しかも盾ってー!」

セーラ「浪速の凶星の意地を見せたれやー!」

泉「だから和訳ー!」

京太郎「てか江口ー! お前キーパーなんだからゴール守れー!」



832 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/13(日) 00:25:01.55 ID:CX9d3/s60
というわけでもしもの未来の話でした
セーラに取られるというよりは友情を優先されたって感じですけど

霞さんがこじらせた結果が小蒔霞エンドです
京太郎が近くにいてしかも小蒔とくっついて、自分の思いも吐き出せなかったからああなりました
他に関しては……まあ

それじゃ、寝ます
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/13(日) 10:08:05.31 ID:TZ+FJHCA0
おっつー
雰囲気は良いのだが絹恵が絹江になっとる
これは次スレが必要やなあ
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/13(日) 15:50:58.46 ID:ft+Q1NNl0
乙!
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/13(日) 16:21:20.90 ID:J9AAURQK0
乙やでー

怜竜から気になってたんだがリュージってなんか元ネタあるん?
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/14(月) 16:28:24.47 ID:iX96PiSP0
誤字だけは勘弁してや〜
837 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/19(土) 23:53:43.34 ID:afXxgWK00


・もしもの世界、とある三人と一人の出会い


照「行ってくるね」

咲「頑張ってね、お姉ちゃん」

京太郎「ま、照ちゃんなら心配はいらないか」

照「そうでもないよ。今回も強敵ぞろいだと思う」

京太郎「そうか。なら後で差し入れ持ってってやるよ」

照「甘いものがいいな」

京太郎「わかってるよ」

咲「でも、お姉ちゃんが苦戦するとこはあんまり想像できないなぁ」

照「……」

京太郎「……自覚がないのも問題だな」

咲「あれ、どうしたの?」

京太郎「いいからお前は迷子になるなってことだよっ」ワシャワシャ

咲「や、やめてよぉ」


838 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/19(土) 23:57:01.96 ID:afXxgWK00



『宮永選手、また他家を飛ばして一位抜けです』


京太郎「照ちゃんは順調だな」

京太郎「さて……迷子を探さなきゃな」

京太郎「なんでちょっと目を離したすきに消えっかなー」

京太郎「……もういっそ館内放送にかけてみるか?」


「……大丈夫、大丈夫よ。きっと次は……」


京太郎(制服に身を包んだ女の子)

京太郎(名前は覚えていないけど、見覚えはあった)

京太郎(たしか去年、照ちゃんと対局していた子だ)

京太郎(きっと今回の個人戦にも出場しているんだろう)

京太郎(緊張とプレッシャーで余裕がなさそうに見える)

京太郎(多分、周囲も目に入ってない)

京太郎(……こんなのはどこにでもある光景だ)

京太郎(俺には関係ないし、助ける義理も――)

839 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/20(日) 00:01:15.40 ID:D+1XWy7P0


『そのかみ、お日さまにあたるとキラキラしてきれいじゃない』


京太郎(――とか、そういうのは関係ないんだよな)

京太郎(……まぁ、見た目が好みだってのもちょっとはあるけど)ピッ


――ガコッ


「次の試合は――つ、冷たっ」ビクッ


「な、なんですか?」

京太郎「悪い悪い、スポドリ嫌い?」

「あ、いえ……」

京太郎「飲みなよ。喉渇いてるだろ?」

「え、ええっと」

京太郎「いいからいいから」


840 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/20(日) 00:05:30.49 ID:D+1XWy7P0



京太郎(福路美穂子。言われてみれば、そんな名前だった気がする)

京太郎(近くで見れば思った以上に可愛くて……つい胸元に目がいってしまう)

京太郎(それよりも気になるのが、常に閉じてる片目だ)


京太郎「あれだよな、やっぱり試合の前は緊張しちゃうよな」

美穂子「はい……」

京太郎「俺もそうだよ。試合前になるとすっごく緊張する」

美穂子「あなたも麻雀を?」

京太郎「いや、俺はスポーツ。麻雀はからっきしだ」

美穂子「それなら……いえ、ごめんなさい。私、今失礼なことを言うところでした」

京太郎「まあ、知らないやつにいきなり話しかけられたんだ。しかたないよ」

美穂子「すみません、今は一人になりたいんです」

京太郎「そうか……邪魔しちゃったな。じゃあ俺はそろそろ」

841 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/20(日) 00:07:12.83 ID:D+1XWy7P0


京太郎「そういやさ、目、痛いのか?」

美穂子「これは……」

京太郎「はは、知ってる。さっき驚いた時に見えた」

美穂子「そう、ですか……」

京太郎「宝石みたいで綺麗だった。月並みだけどな」

美穂子「……ふふっ、実はさっきも同じこと言われたんです」

京太郎「二番煎じか……なんかカッコ悪いな」

美穂子「そんなことないです。おかげで気がまぎれました」

京太郎「やっと笑った顔も見れたしな」

美穂子「――っ」カァァ

京太郎「じゃ、次の試合頑張れよー」


美穂子「……なんなのかしら、あの人」

美穂子「あ、そういえば名前、教えてもらってないわ」


842 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/20(日) 00:10:49.52 ID:D+1XWy7P0



京太郎「やっぱりさっきの子、かわいかったなー」

京太郎「てかさっきのナンパっぽかったかな?」

京太郎「むしろ不審者って思われてないか? そういや名前も教えてないし」

京太郎「……やべ、咲を探すのすっかり忘れてた」


「あれ……もしかして、京太郎?」


京太郎(懐かしい声だと思った)

京太郎(記憶にあるものよりは大人びているけど、芯は変わらなくて)

京太郎(振り向くと、そこには――)


久「……というかあんた、育ちすぎ」

京太郎「成長期なんだ。仕方ないだろ」

久「なんかムカつく。前はあまり私と変わらなかったのに」

京太郎「むしろそっちが縮んだんじゃないか?」

久「ちゃんと育ってますって」

京太郎「ああ、そうだな。前よりも、なんというか……」


京太郎(きれいになった、とか)


京太郎「久しぶり、久ちゃん」

久「……うん」


843 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/20(日) 00:15:43.98 ID:D+1XWy7P0



照「京ちゃんと咲、どこ行ったのかな」

照「差し入れ、持ってくるって言ってたのに……」

照「もしかして先にお昼食べてるとか?」

照「それなら、たしか食堂があったから――」


照(……そもそもここ、どこらへんだっけ?)


照「……違う、迷ったわけじゃない。ちょっと道がわからないだけ」

照「なれない場所だし、そういうこともある」


美穂子「あの、宮永さん?」


照「福路さん」

美穂子「今年も出場してたんですね」

照「うん、当たったらその時はよろしくお願いします」ペコッ

美穂子「こちらこそ」ペコッ

照「なんだかすっきりした顔してるね」

美穂子「そうですか?」

照「なんとなくだけど」

美穂子「それは……ふふ、変な人に会ったからかもしれないです」

照「変な人? ……まさか」クンクン

美穂子「ここ、会場からは離れてますけど、宮永さんも散歩ですか?」

照「そ、そんなところ」

美穂子「私はそろそろ戻りますけど、一緒にどうですか?」

照「是非。別に迷ったとかじゃないけど」


844 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/20(日) 00:19:09.35 ID:D+1XWy7P0



久「それで、その子の応援に来たんだ……ふーん」

京太郎「ああ、照ちゃんって言うんだけどさ」

久「ふーん、照ちゃんね……ふーん」

京太郎「ちょうど久ちゃんと入れ替わりで転校してきたんだけど、これがまた――」

久「もういい、聞きたくない」

京太郎「あれ、もしかして機嫌悪い?」

久「別に? それよりも彼女の応援はいいの?」

京太郎「いや、別に彼女じゃないけど」

久「ふーん、そうなんだ」

京太郎「それよりも今は咲だよ。照ちゃんの妹なんだけど、迷子でさ」

久「一緒に探してあげようか? 昼休みだから時間あるし」

京太郎「お、心強いな」

久「その照ちゃんの顔も拝んでおきたいしね」

京太郎「有名人だからな。去年も優勝してるし」

久「じゃあ、やっぱりあの宮永照なんだ」

845 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/20(日) 00:22:43.49 ID:D+1XWy7P0


照「……京ちゃん、なにしてるの?」


京太郎「あ、照ちゃん……と福路さん?」

美穂子「どうも、さっきはありがとうございました」

照「それよりも京ちゃん、その人は?」

久「照ちゃんに京ちゃんね……」

照「……なにか?」

久「別に? ね、京太郎」

京太郎「ねって言われてもな」


美穂子「あの、上埜さんですよね?」


久「そうだけどあなたは……って、さっき対局したばかりよね」

照「上埜……あなたが」ギリッ

美穂子「次に当たるときは負けませんから」

久「勝負は時の運って言うけど、次も負ける気はないわよ」

美穂子「それで構いません」

照「……私も、あなただけには絶対負けないから」

久「お生憎様、私もよ」

846 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/20(日) 00:26:48.15 ID:D+1XWy7P0


京太郎(なにやら白熱している模様)

京太郎(特に、照ちゃんがここまで熱くなるなんてな)

京太郎(いいね、青春って感じだ!)


美穂子「それで、あの……お名前、教えていただけますか?」

京太郎「俺?」

美穂子「はい。さっきは親切にしていただいたのに、聞きそびれちゃいましたから」

京太郎「須賀京太郎。よろしくな、みほっちゃん……ってのは大分馴れ馴れしいな」

美穂子「たしかに慣れないですけど……なんかあだ名みたいで新鮮です」

京太郎「そうか?」

美穂子「はい」

照「……」

久「……」


照「とりあえず、あなたにも負けない」

久「そうね。野放しにしておくと危なそうだし」

美穂子「えっと……はい!」

京太郎「これが青春か……」ウンウン


847 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/20(日) 00:39:16.99 ID:D+1XWy7P0



京太郎(これが後に、風越女子の黄金時代を築く三人の出会いだったとさ)

京太郎(この出会いがそれとは全く別の意味合いを含んでいることに、当時の俺は全然気づいていなかったけど……)



咲「こ、ここどこぉ?」

咲「ちょ、ちょっとトイレに行こうとしただけなのにぃ……」ブルブル



京太郎(そして、咲が迷子になっていることはみんなしばらく忘れ去っていましたと)




続かない
848 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/05/20(日) 00:46:07.15 ID:D+1XWy7P0
というわけでもしもにもしもを重ねまくった中学三年のお話です
あの三人がメインで話が進むんじゃないかと

名前をミスった絹ちゃんにはごめんなさい

というわけでおやすみなさい
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/20(日) 12:57:43.75 ID:Kdfegg1DO
怜竜アフターはまだか
竜華が本当の幸せを勝ち取れたかどうかが気になる
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/20(日) 13:24:06.73 ID:9d7gFgv60
乙です!!
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 01:09:49.16 ID:6+ji1QI2O
オカルト
……判定が偶奇か
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 01:10:30.43 ID:6+ji1QI2O
誤爆すまぬ
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/22(火) 01:17:14.84 ID:0cqsSrHr0
乙です。
ヒッサのとこが離婚せずに上埜のままなら金銭的に問題なくて、照も姉妹仲良くで、
みんなで風越ってのは割とあるんだけど、超燃えるよね。
最近この設定のおもしろいSSないから残念
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/22(火) 12:40:27.65 ID:x6nF1cgA0
人間関係的な意味でも長野って魔境すぎませんかねえ
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/22(火) 19:45:05.15 ID:Pi+WE09p0
真田丸
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 13:00:00.46 ID:mWkHAeSk0
乙です!
857 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/06/16(土) 21:40:56.52 ID:XMtmsqjt0


・どこかの未来、愛妻料理(夜の下拵え)


爽「もしもーし」

京太郎「なんだお前か」

爽「なんだとはなんだよ」

京太郎「いや、今日はどんな騒動の種を持ち込んできたかと思うと」

爽「風評被害だね」

京太郎「思い出せ、二月の終わりになにがあったかを」

爽「……ユキとキスしたとか?」

京太郎「パラシュートなしのフリーダイビングをさせたことを忘れたってか!?」グリグリ

爽「いたたたたっ、記憶にございました記憶にございましたからっ!」

京太郎「ったく、お前もたいがいフリーダムだな」

爽「浪人して勉強漬けの姿を見てもそう思う?」

京太郎「おっとそうだった。チカさんに通報しないとな」

爽「後生だから勘弁してっ」

858 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/06/16(土) 21:47:52.07 ID:XMtmsqjt0


爽「ところで成香は?」

京太郎「買い物だよ。今晩は頑張りますってさ」

爽「なるほど、精がつくものをってことだね」

京太郎「頑張るってのは料理のことな」

爽「なるほど、私も召し上がれってやつだね」

京太郎「アイアンクローとグリグリとどっちがいい?」

爽「須賀くんって、私には容赦ないよね」

京太郎「まぁな」

爽「うぅ……これはもう成香に泣きつくしかないかぁ。おたくの彼氏がイジメてくるってさ」

京太郎「どうだろうな。部長になってあいつもしっかりしてきたからな」

859 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/06/16(土) 21:50:08.27 ID:XMtmsqjt0


『そんなことよりも、受験勉強は良いんですか?』


爽「ぐふっ、なんて言われるかすごい想像できる」

京太郎「まぁ、そんな落ち込むなよ」

爽「落ち込ませた張本人がなにを言うか」

京太郎「うちの花子たちの餌やりがてらで良ければ、愚痴でもなんでも聞いてやるから」

爽「すっかりここに馴染んだね」

京太郎「住み込みで働いてりゃな」

爽「巨乳の女に猛アプローチされてるらしいね」

京太郎「乳牛に懐かれてると言えよ」

爽「搾りたてミルクをご馳走してくれてもいいよ? あ、須賀くんのじゃないからね?」

京太郎「余計な注釈を入れんなっ」ギリギリ

爽「ギブギブギブ、頭割れるー!」


860 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/06/16(土) 21:54:09.97 ID:XMtmsqjt0



成香「どうしましょうか……」

揺杏「いつまで悩んでんのさ」

成香「今日は決戦なんです。妥協できませんっ」

揺杏「須賀のにーさんならなんでも喜んでくれるっしょ」

成香「お料理が上手な揺杏ちゃんに言われても……」

揺杏「じゃあ、デザートは私ってのは? 体にリボンでも巻いて」

成香「そそそそそんなっ、エッチすぎます!」メモメモ


揺杏(あ、そこはメモるのね)


成香「と、とにかくっ、おいしいって言ってもらって撫でてもらうために妥協はできないんですっ」

揺杏「あーあー、本音がだだ漏れだ」

成香「え、あ……」カァァ

揺杏「そんじゃま、これとこれとこれと……」ヒョイヒョイ

成香「ちょっ、勝手に放り込んじゃダメですよ!」

揺杏「牡蠣にレバーにニンニクに時期外れのウナギ! それに怪しげなドリンクを添えて……精力がつきそうなシリーズはどう?」

成香「せ、精力って……」

揺杏「まぁ、鍋にしとけば大体なんとかなるっしょ」

成香「そうなんですか?」

揺杏「カレーは誰が作ってもおいしいじゃん? あれも鍋の一種とみなせなくもないし?」

成香「たしかに……?」

揺杏「だから当たって砕ける精神でゴー!」

成香「は、はい!」


861 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/06/16(土) 22:02:48.37 ID:XMtmsqjt0



京太郎「よーしよし、それじゃあまたな、花子」


揺杏「あ、動物しか話し相手がいない寂しい男だ」

京太郎「なんだ、お前もか」

揺杏「お前もってなにさ」

京太郎「ちょっと前まで獅子原も来てたんだよ」

揺杏「入れ違い?」

京太郎「泣く泣く勉強しに帰ったよ。檜森から電話あってさ」

揺杏「あらら、お気の毒に」

京太郎「本当にな」

揺杏「にーさんはもう暇人?」

京太郎「片付け終わったらな。今日はもう休んでいいって」

揺杏「いいね〜、じゃあ今夜はゆっくりできるってわけじゃん」

京太郎「そういや成香は一緒じゃなかったのか?」

揺杏「今頃台所で奮闘中だね」

京太郎「もう準備にかかってるのか」

揺杏「ありゃ相当張り切ってるねぇ。にーさんも嬉しいっしょ」

京太郎「まあ、怪我の心配はあるけどな」

揺杏「愛妻弁当ならぬ、愛妻料理ってやつだもんね」ニヤニヤ

京太郎「ったく、ニヤついてんじゃねーよ」

揺杏「んじゃ、私もちょっと覗いてくから、味については安心してよ」

京太郎「ああ、頼んだぞ」

揺杏「かしこまり」


862 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/06/16(土) 22:08:58.45 ID:XMtmsqjt0



京太郎「……」ギンギン


京太郎(晩飯を食べてから体の調子がおかしい)

京太郎(具体的に言うと、ずっと勃ちっぱなしだ)

京太郎(原因として思い当たるのは……ないわけでもない)

京太郎(食材の組み合わせがおかしい鍋……それに、なんだか怪しいドリンク)

京太郎(岩舘め、変なこと吹き込んだんじゃないだろうな?)


成香「お、起きてますか?」


京太郎「起きてる。てか、全然眠気がない」

成香「それじゃあ……お、お邪魔しますね」


成香「……」モジモジ

京太郎「成香?」

成香「ひゃ、ひゃいっ」

京太郎「座らないのか?」

成香「す、座りましゅっ」ストッ


京太郎(なんで床に正座?)

京太郎(それよりも、こいつ見てたら……)ムラムラ

863 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/06/16(土) 22:12:21.51 ID:XMtmsqjt0


京太郎「……なぁ――」

成香「あのっ」

京太郎「えっと、どうした?」

成香「きょ、京太郎くんからどうぞ」

京太郎「じゃあほら、せめて座布団使え。こっちが気になるだろ」

成香「あ、そうですね」

京太郎「で、そっちの用件は?」

成香「その、食後のデザートを――」

京太郎「いただきます」グイッ

成香「え、あ……ちょ、ちょっと待ってくださいっ」

京太郎「待たない。もう限界」

成香「違うんですっ、買ってきたケーキを一緒に食べようと思って」

京太郎「じゃあ、終わったら後で一緒に食おうぜ」ペロッ

成香「ひゃっ――な、舐めちゃダメですっ」

京太郎「なに言ってんだよ。期待してたくせに」

成香「そ、それは……」


『じゃあ、デザートは私ってのは?』


成香「〜〜っ」カァァ

京太郎「よし、否定しないってことはOKってことだな」

成香「はうぅ……優しくお願いします」




続きません
864 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/06/16(土) 22:18:33.12 ID:XMtmsqjt0
というわけで成香さんとくっついたら牧場で働くことになります

リュージはまったくのオリジナルです
あれだけ出てくるのに名無しはやりにくかったという理由です

んじゃ、失礼します
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/16(土) 22:28:02.43 ID:LHcWaI9iO

田舎だから大声出してヤッても近所にバレないよね(偏見)
866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/16(土) 23:38:36.04 ID:+eOuYISDO

成香ちゃんはムッツり
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/17(日) 00:48:56.01 ID:T0f4mUyo0
なるかが積極的で萌えます。
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/17(日) 09:29:25.87 ID:IBkD3x6A0
乙です
一瞬牧場の牛にユキが混じってないか想像してしまい懺悔
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/17(日) 18:45:06.49 ID:g6P1UrqV0
乙ッ!
870 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/06/23(土) 23:46:53.94 ID:Cy5ya1Ru0


・どこかの未来、そんな彼女たちとの日々


京太郎「就活しようと思う」

霞「却下」

京太郎「なんでだよっ」

霞「する必要なんかないでしょ?」

京太郎「あるよ、ありありだよ」

霞「経済的には問題ないでしょ?」

京太郎「そういう問題じゃなくてさ、もっとこう……外との触れ合い的なさ」

霞「ふんふむ……一緒に買い物にでも行く?」

京太郎「新しい人間関係の構築とかさ!」

霞「やっぱり却下」

京太郎「だからなんでだよっ」

霞「だって、どこの女に手を出すかわからないでしょ?」

京太郎「俺をなんだと思ってる」

霞「聞きたいの?」

京太郎「あ、結構です」

霞「それに、そんなことする暇があると思うの?」

京太郎「……」

871 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2018/06/23(土) 23:50:07.48 ID:Cy5ya1Ru0


小蒔「京太郎様ー!」


霞「ほら」

京太郎「見つかっちゃったか」

小蒔「二人で内緒話ですか?」

霞「ええ、今日のご飯はどうしようかって」

小蒔「うーん……霞ちゃんが作るなら、なんでもおいしいですし」

霞「ふふ、ありがとう」

京太郎「……」ソロー

霞「ところで、旦那様に何か用なの?」

京太郎「うっ」ギクッ

小蒔「あ、そうでした」


小蒔「さ、京太郎様」ギュッ

京太郎「こ、これから学校だよな?」

小蒔「はい……ですからその前に一度、愛していただけたらと……」ポッ

京太郎「あれー? 昨日の夜もいたしたような?」

霞「小蒔ちゃん」

小蒔「なんですか?」


京太郎(お、物言いか? 信じてたぜ!)


霞「あまり時間がないから、三十分ぐらいでね」

小蒔「はい、頑張りますっ」

京太郎「……マジかー」ズルズル


霞「さて、お洗濯の準備をしなきゃね」


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