曜「会いたいよ……千歌ちゃん」

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353 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/07(日) 15:36:04.62 ID:yhyXGDgnO
千歌(寒い……あったかいのにすればよかったかな。でもそれどころじゃなかったし)

千歌(家帰ってから飲もう)




曜「……千歌ちゃん、見つけた」


千歌「あ……曜……ちゃん」


曜「隣……いいかな?」

千歌「……うん」


曜「よっと……」スッ

千歌「あの……よーちゃん」

曜「ん?」

千歌「ごめんね……突然、よーちゃんのバイト先来ちゃって……」

千歌「びっくりさせちゃったよね……迷惑、だったかな?」

曜「ううん、そんなことないよ」

曜「千歌ちゃんが来てくれて……すっごく嬉しい」


千歌(よかった……怒ってないみたい。本当、来てよかった)
354 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/07(日) 15:36:35.80 ID:yhyXGDgnO
千歌「あのね……チカ、よーちゃんに……どうしても言っておかなきゃならないことがあって」

曜「千歌ちゃん?」


千歌(――言わなきゃ)


千歌「それでねっ……チカ……チカね……!」





千歌(言ったら……嫌われるよね)





曜「千歌ちゃん!」

千歌「……っ!」ビクッ


曜「あ……その……はぁ……」

曜「あのね、千歌ちゃん」


千歌「うん……」

曜「どうしたの?今日の千歌ちゃん……なんか変だよ、まるで……」


曜「何かを怖がってるみたいな――」
355 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/07(日) 15:37:11.23 ID:yhyXGDgnO
千歌「……そう……かも。私、きっと怖いんだよ」

曜「え? 怖いって……何が?」


千歌「チカね……ホントは、よーちゃんに会う資格なんて……これっぽっちもないんだ」

千歌「チカは、よーちゃんに会っちゃいけないんだよ」

曜「なんで……? 勝手に決めつけないでよ……」

千歌「ううん、決めつけてなんかないよ。当然だよ」

千歌「だってチカは……曜ちゃんを裏切ったから」

曜「裏切った? ごめん、話が全然見えない……」

千歌「あの……ね」


千歌「……ダメだ。今日は……言えない」

曜「は? ここまで言っておいて、今更言えないって……意味わかんないよ!」

千歌「ごめん……ごめんなさい……」

曜「まっ、また――」


千歌(臆病な私で、ごめんなさい)
356 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/07(日) 15:37:46.91 ID:yhyXGDgnO
曜「……いいよ、話さなくても」

千歌「……え?」

曜「私ね、千歌ちゃんが会いに来てくれたってだけで……すっごく嬉しい」

千歌「ほん……と?」

曜「うん、ほんと。心の底から思ってるよ」

曜「だって私……ずっと、千歌ちゃんに会いたかったから」

曜「あの時から、ずっとそればっか考えてたから」

曜「自分でも呆れるくらい……千歌ちゃんのことしか、考えてなかったんだよ?」



千歌(嘘……よーちゃんが……)キュンッ



千歌「……うぅ……よーちゃん」グスッ

曜「もう……泣かないで?」



千歌「ごめんね……チカ、最低だから」

曜「……え?」


千歌(よーちゃんはこんなに優しいのに)

千歌(私はこんなにも酷くて、ズルくて、醜くて。だから――)


千歌「私は……私が嫌いです」

曜「千歌ちゃん……」
357 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/07(日) 15:38:45.88 ID:yhyXGDgnO
千歌「――今日は、もう帰るね」

曜「え……」


千歌(これ以上いても、多分話せそうにないしね)


千歌「チカもね……ほんのちょっと話せただけだけど、すっごく嬉しかったよ」

千歌「バイバイ……よーちゃん」



千歌(今度は……いつ、会えるのかな?)



曜「――千歌ちゃん!」



千歌(……え?)



曜「好き……大好きだよ!」

曜「あの頃から、ずっと……大好きだから!」
358 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/07(日) 15:40:04.50 ID:yhyXGDgnO
千歌「よーちゃん……」

千歌「うっ……うぅ……」ポロポロ

千歌「……!」ダッ


千歌(――よーちゃん!)


ギューッ


曜「え……なに……!?」



千歌(ごめんね、急に抱き着いて。びっくりしてるよね)

千歌(でも、一つだけ伝えたいことがあるんだ)

千歌(だから……これだけは言わせて?)



曜「千歌ちゃん……なの?」



千歌「……すき……だよ」


曜「……え?」


千歌「大好きだよ……曜ちゃん」


スッ


曜「え……まっ……」

曜「千歌ちゃん……待って!」



千歌「――っ」パタパタ
359 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:11:50.51 ID:vlpX5WjlO
――

――――

――――――


チュンチュン…


千歌「う……ん」

千歌「……朝?」


コトコト


千歌(いい匂い)


ダイヤ「――あら、起きたんですの」

千歌「はい……おはようございます、ダイヤさん」

ダイヤ「おはようございます」

千歌「朝食作ってるんですか」

ダイヤ「ええ。もう少し待っていてくださいね」


千歌「ダイヤさん、志満姉みたい」

ダイヤ「そんなに優しい女性に見えますか?」

千歌「うん、見えるよ」

ダイヤ「フフッ、ありがとう」
360 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:13:44.37 ID:vlpX5WjlO
〜〜〜


千歌「ねえ、ダイヤさん」

ダイヤ「はい」

千歌「私……今日、全部終わらせてこようと思う」

ダイヤ「そうですか」

千歌「……わかるの?」

ダイヤ「何が……とは、もう言いません」


ダイヤ「梨子さんから、お話は伺っておりますわ」

千歌「りこちゃんから?」


千歌(そっか……りこちゃん、よーちゃんから色々聞いてるんだ)


ダイヤ「千歌さんなりに、何かと思う事もあったでしょう」

千歌「……うん」

ダイヤ「千歌さんが、終わらせると決意したのなら。私は応援致しますわ」


千歌「ありがとう、ダイヤさん」
361 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:14:16.43 ID:vlpX5WjlO
〜〜〜



千歌「今までありがとうございました」ペコッ


ダイヤ「なんです、改まって」

千歌「ご迷惑をおかけしました」

ダイヤ「いいのです。好きでやったことですから」

千歌「本当に、お世話になりました」

ダイヤ「ええ」



千歌「さよなら、ダイヤさん」



ダイヤ「――それは違いますわ」

千歌「……え?」


ダイヤ「さよならは、私たちの挨拶としてふさわしくありません」

千歌「……そうだね。そうだった」



千歌「行ってきます」

ダイヤ「ええ、行ってらっしゃい」
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 00:14:46.29 ID:vlpX5WjlO
―――





佐原「もう来ないと思ってたよ」

千歌「私もそのつもりだった」



千歌「今日で、本当に終わり。何もかも……終わらせるから」

佐原「この部屋を引き払うのかい?」

千歌「そのために片付けるの。夕方に引っ越しの業者さんが来るよ」


佐原「……まあ当然か。あんなことをしでかした僕とは、一刻も早く縁を切りたいよね」

千歌「このアパートに住んでいていいよ。私は実家に帰る予定だから」

佐原「君、今の仕事はどうするつもりなんだ?」

千歌「有給消化したら退職するよ」

佐原「じゃあ、面倒事は粗方済ましてきたわけか」ガタッ


千歌「……どこに行くの?」

佐原「外に。僕がいたら邪魔だろう」

千歌「……」


ガチャッ
363 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:15:43.49 ID:vlpX5WjlO
―――


パチンコ店



善子「あいつ……今日も来てる」

善子(自分の手帳が盗まれたこと、気付いてないのかしら)



佐原「……」スタスタ

善子「あんた……」


佐原「一万円、両替お願いします」

善子「今日は故障してないはずだけど」

佐原「早く」

善子「……」ガチャッ


善子「アンタさ……最近何かヤバいことしてるでしょ」

佐原「ヤバいこと?」

善子「なんていうか、勘よ。そんな雰囲気纏ってる」

佐原「何言ってるんだ」

善子「フフッ、私にはわかるのよ。この邪気眼を持ってすれば……って、アンタには通じないか……」

佐原「……やっぱりそうか」ククッ
364 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:16:12.40 ID:vlpX5WjlO
グイッ


善子「――っ!」

善子(やば……なんでこいつ、ナイフなんか持ってきてんのよ……!)


善子「……なんのつもり、それ」

佐原「君なら分かるだろう。返してもらうためにきたんだ」

善子「言ってることの意味が……」

佐原「あの日、家に帰ってすぐに気づいたよ」

善子「……!」

佐原「ダメじゃないか。人の物を勝手に盗んじゃ」

善子「アンタにだけは言われたくない」

佐原「ククク……そりゃそうだ」


佐原「さあ、早く持ってくるんだ。事務室にあるなら僕も着いていくけど?」


善子「……ないわよ」

佐原「状況わかってる?」

善子「無いって言ってんでしょ。知り合いに渡したの」

佐原「……」
365 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:16:39.02 ID:vlpX5WjlO
先輩「――アンタ、なにしてんの?」

佐原「君は」

善子「矢澤先輩……」

先輩「あたしの大切な後輩に、なんてもん突きつけてくれてんのよ」

佐原「ねえ、人質って知ってる?」グイッ

善子「きゃっ……!」

先輩「警察呼ぶわよ! ナンバーは既に押してる……あとはコールするだけなんだから……!」

佐原「かけた瞬間この子は殺す」

善子「あ……ぁ……」ガクガク

先輩「くっ……」ギリッ


佐原「……大切な人を傷つけられた時の顔ってのは、どうしてこうも恐ろしいんだろうね」

先輩「私の大事な後輩に、手出しなんてさせない」

善子「いいから……逃げて」

先輩「善子は黙ってなさい」
366 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:17:28.51 ID:vlpX5WjlO
ザッ…ザッ…


佐原「僕が店から出るまで動くなよ」

善子「う……ぅ……」グスッ

先輩(なんでこんな時に限って他に客がいないのよ……!)



善子「……アンタ、どうするつもりなの?」

佐原「は?」

善子「手帳返してもらいに来たんでしょ。こんなことしたって、意味なんかない」

佐原「関係ないんだよ。警察を呼ばれたら、元も子もない」


善子「……私がもう呼んでるって言ったら?」

佐原「どういうこと?」

善子「私のケータイ、ガラケーなの。ポケットの中で操作するのは簡単よ。先輩に気を取られて、私のことはお留守になってたみたいね」

佐原「……そんなハッタリが通じると思うかい?」

善子「もうすぐ来るはずよ。交番、ここから近いでしょ」

佐原「……」
367 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:17:54.60 ID:vlpX5WjlO
スルッ


佐原「――くそっ!」ダッ


ウィーン


善子「う……ぅ……」ヘナヘナ


先輩「善子っ!」

善子「先輩……矢澤せんぱーい……!」ウルウル

先輩「バカ、私のことはにこにーって呼びなさい」

善子「そんな恥ずかしい呼び方、できるわけないですよ……」グスッ


先輩「怪我はないわね? 心配かけんじゃないわよ、ったく」
368 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:18:31.71 ID:vlpX5WjlO
―――




ガチャッ



千歌「……あれ、佐原君?」

佐原「出して」

千歌「え?」

佐原「早く出せっ!」

千歌「待って、何のこと言ってるのか……」


佐原「早くっ!!」グイッ


千歌「――!」

千歌「なにそれ……なんでナイフなんか……」

佐原「津島さんから手帳を受け取ったのは君だろう」

千歌「津島……善子ちゃんのこと? 違うよ……私、善子ちゃんのことなんて何も……」

佐原「君以外に誰がいるっ!? この辺に住む人で、津島さんとやり取りするような人間なんて……!」


千歌(ダメだ、ヒステリー起こしてる。話なんて通じない)

千歌(一体何があったの? 善子ちゃんと何の関係があるの?)

千歌(警察……ダメ、スマホは今手元にない)


千歌「誰か助けて……よーちゃん……助けて……!」
369 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:19:26.87 ID:vlpX5WjlO
―――


数時間前



曜「梨子ちゃん、明日はクリスマスイブだよ」ニコッ

梨子「そうね」

曜「久々の三連休だからさ! 今日は梨子ちゃんとゆっくりしてたいんだ」

梨子「私も、今日は曜ちゃんとくつろぎたいよ」

梨子(できることなら……ね)


曜「えへへ……梨子ちゃん」ギュー

梨子「曜ちゃん……」ナデナデ



梨子(でもそれは、もう叶わない)



梨子「あのね、曜ちゃん」

曜「ん? なに、梨子ちゃん」
370 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:20:26.22 ID:vlpX5WjlO
梨子(この先に進めば……多分もう、戻れない)

梨子(わかってる。それが正しいんだ)

梨子(なのに……なのに……)


曜「梨子ちゃん……どうして泣いてるの?」

梨子「うっ……うぅ……」ポロポロ


曜「梨子ちゃん?」


梨子「――何かあったら、いつでも連絡してほしいな」

曜「え?」

梨子「そして……辛くなったら、また私を頼ってね? これだけは、守って欲しい」

曜「ちょ……何言ってんの、梨子ちゃん。まるで、この部屋から出て行くみたいな……梨子ちゃん、飛行機の日まであと4日もあるじゃん」


梨子「私、内浦に帰ろうと思う」


曜「え……待って、いきなりすぎるよ。帰る時は一緒に帰ろうって約束したよね。しかも私、梨子ちゃんとヨーロッパに行くって……」

梨子「うん。でも曜ちゃんは……ヨーロッパには行かないの」

曜「は?」

梨子「曜ちゃんにはまだ、やることがあるでしょう」

曜「やることって……」



梨子「――千歌ちゃんに、会いに行こう」

曜「千歌……ちゃん?」
371 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:21:02.84 ID:vlpX5WjlO
―――




曜「ここが……千歌ちゃんのアパート?」

梨子「うん。驚いた?」

曜「嘘でしょ、こんなに近い所に住んでるなんて……」

梨子「私も、初めて聞いた時は驚いたわ」


曜「千歌ちゃんに……」


梨子「さあ、曜ちゃん」


曜「嫌だ……会いたくないよ」

梨子「どうして?」

曜「怖いんだ、私。裏切られるんじゃないかって、傷つくんじゃないかって」



梨子「……ねえ、曜ちゃん」

梨子「千歌ちゃんは、なんて言ってた?」

曜「え?」

梨子「確かに千歌ちゃんは、私たちに何の相談もせずに姿を消した」

梨子「でもそれって……私たちを、信じてるからじゃないかな」

曜「信じてる……?」

梨子「それくらいで、私たちは駄目になったりしないって。私たちの関係が、なかった事にはならないって」

曜「それは……」
372 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:21:29.93 ID:vlpX5WjlO
梨子「ねえ曜ちゃん。もう一度、千歌ちゃんを信じてあげて」

梨子「自分の気持ちに、素直になってあげて」

梨子「千歌ちゃんの気もちに……答えてあげて?」


曜「ふっ……ぅ……うん……」ヒグッ


梨子(だって……貴方が本当に好きなのは……心の底から愛しているのは)



曜「……」ゴシゴシ



曜「……千歌ちゃん!」



梨子(――そうでしょう?)



梨子(たった数週間……ほんの少しの間だったけど)

梨子(貴方と過ごした時間は、私にとって……あの頃に負けないくらい、キラキラとした宝物だった)


梨子「ありがとう、曜ちゃん……私、本当に幸せだったよ」ポロポロ
373 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:22:18.71 ID:vlpX5WjlO
曜「……あれ」

梨子「……ふぇ?」グスッ

梨子「どうしたの、曜ちゃん」ゴシゴシ



曜「あの人……ほら、こっちに向かってくる」

梨子「本当だ。このアパートの人かな」


曜「――っ!」グイッ

梨子「えっ……ちょ、曜ちゃん!?」


曜「ヤバい……あの人、ナイフ持ってる!」

梨子「うそっ……!?」



佐原「フーッ…フーッ…」


ガチャッ


梨子「こっちには目も留めないで…………え?」

曜「どうしたの、梨子ちゃん」

梨子「あそこ……千歌ちゃんの……!」

曜「――そんなっ!」


曜「千歌ちゃん!!」ダッ


梨子「待って曜ちゃん! 警察に任せた方がいいよ!」グイッ

曜「離してっ、千歌ちゃんが……今から警察を呼んでたんじゃ間に合わない!」

梨子「怪我じゃ済まないかもしれない……相手は刃物を持ってるのよ!?」

曜「それでもっ!!」


曜「千歌ちゃんを……助けなきゃいけないから」


梨子「あ……」スルッ


ガチャッ
374 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:23:02.87 ID:vlpX5WjlO
―――





曜(鍵は開いてる……)


「早く出せっ!」

「待って、何のこと言ってるのか……」

「早くっ!!」


曜「この声……千歌ちゃんだ!」



佐原「津島さんから手帳を受け取ったのは君だろう」

千歌「津島……善子ちゃんのこと? 違うよ……私、善子ちゃんのことなんて何も……」

佐原「君以外に誰がいるっ!? この辺に住む人で、津島さんとやり取りするような人間なんて……!」



曜(手帳? 善子ちゃん? 何の話……)


千歌「誰か助けて……よーちゃん……助けて……!」


曜「――っ!」ダッ
375 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:24:10.22 ID:vlpX5WjlO
佐原「なっ……なんだ君は!」

曜「ああああああっ!!」ガッ


佐原「くっ……」


曜(よし、押さえつけた! あとはナイフを……)


佐原「どけっ!」ドゴッ


曜「うっ……かはっ……」

曜(ヤバい、みぞ殴られた)

曜「う……ぅ……」ガクッ


千歌「――よーちゃん!! 危ないっ!!」

佐原「邪魔しやがって!」ブンッ



梨子「えいっ!」



曜「……え?」

佐原「ぐあっ……離せよ! なんなんだ、次から次へと……!」グイッ

梨子「きゃあっ!」



バタンッ
376 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:25:47.59 ID:vlpX5WjlO
曜「梨子ちゃん……!」

曜(ダメだ、まだ力が……)


千歌「りこちゃん!」パタパタ

千歌「梨子ちゃん……血が……!」

梨子「いっつ……大丈夫よ、壁に頭ぶつけたけど、かすり傷だから」


曜(梨子ちゃん……ありがとう、助けてくれて)


千歌「ひどい……ひどいよ。佐原君、暴力だけは絶対にしない人だと思ってたのに……!」キッ

曜「さは……ら……?」


『あの人なの……よーちゃんからお金を奪ったのは、佐原君なの』


曜「――っ」



佐原「なんだよ……そんな目で……」


曜「ハアッ…ハアッ…」

曜(よし、動ける……力も入る!)


佐原「そんな目で…………僕を見るなあああああああああああああああ!!!」ブンッ
377 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:28:02.58 ID:vlpX5WjlO
曜「――っ!!」


パシッ


男「ぐっ、腕離せよっ……!」グイッ…グイッ…

男「その顔……そうか、君はあの時の……」

男「クソッ……女のくせに、なんでこんなに力が……!」


曜「……私はいいよ。何をされても」

曜「昔からバカやってた分……傷つくのも、悲しいのも、笑って誤魔化せる」

曜「色々と適当だからさ……お金を取られたことも、もう一度Aqoursが……なんて騙されたことも、全部私がマヌケだったんだって自分を納得させられる」

曜「だから……君にされたことは、もう怒ってないんだ」



曜「でも……でもね」ギュウウウッ



曜「――どんな理由があろうと!! 私は千歌ちゃんを傷つける奴は許さないっっっ!!!」
378 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:29:19.94 ID:vlpX5WjlO
千歌「よーちゃん……」ポロポロ


男「いたっ……痛いっ! 離してくれ……!」


ポロッ…カランッ…


曜(ナイフを落としたっ……!)


ガッ…カラカラ…


曜「ナイフは向こうに蹴り飛ばしたよ。もう観念して」

男「くうっ……」



曜「こんなボロいアパートに、二人は住んでたんだね」


千歌「あの……違うんだよ、よーちゃん」

曜「何が違うの? だってそういうことじゃん……この男は、このアパートに合鍵を使って入った。その部屋に、こうして千歌ちゃんの私物がたくさんある」


曜「そんなの……ひとつしかないじゃん」
379 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:36:48.07 ID:vlpX5WjlO
男「……違う」

曜「は?」

男「高海さんは実質、僕と同棲なんてしてない」

曜「この期に及んで何を……!」


梨子「曜ちゃん……聞いてあげて?」

曜「梨子ちゃん……?」


男「最初の1ヵ月くらいだよ。まともに2人で暮らしていたのは」

男「そのうち高海さんの方から離れていった。それで確信したよ」

男「この人は、僕に同情していただけだったんだ……って」

男「僕は実質中卒で、そんな人間がすぐに就ける仕事と言えば、夜の土方くらいしかなかった」

男「対して高海さんは、しっかり高校を卒業している。家族と時折連絡も取っていたらしい」

男「まともな経歴さえあれば、ちゃんとした仕事にありつける。段々と顔を合わせる頻度も少なくなっていったよ」

男「僕と高海さんは、何もしていないんだ……何一つ」
380 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:56:56.48 ID:vlpX5WjlO
プルルルルル……


千歌「電話……?」


ダイヤ『もしもし、千歌さんですか?』

千歌「ダイヤさん……」

ダイヤ『千歌さん。彼は、傍にいらっしゃいますか?』

千歌「うん、いるよ」

ダイヤ『代わってください』

千歌「わかった」


千歌「はい」スッ

佐原「……誰?」


ダイヤ『失礼いたします。私、黒澤ダイヤと申しますわ』

佐原「くろさわ……まさか!」

ダイヤ『ええ。貴方の思い浮かべる黒澤家で、間違いないかと』


佐原「……フン。今更なんだっていうんだ」

佐原「黒澤家が佐原家を見限った理由は知ってる。しかも、二世代も昔の話だ。直接アンタには関係ない。それなのに……今更何の用?」

ダイヤ『貴方のご両親と連絡がつきましたの』

佐原「……は?」

ダイヤ『都合がよろしければ、内浦へ足を運んでくださいな』

佐原「いや、ちょっと待ってくれ。意味がわからない」

ダイヤ『話はそれだけですわ。では――』
381 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:58:00.56 ID:vlpX5WjlO
梨子「待ってください」

ダイヤ『あら? 梨子さんもいるのですか?』


梨子「今から内浦になんて無理よ。だって、もう警察を呼んでいるもの」

佐原「……」

梨子「私の傷と、貴方の包丁。現行犯逮捕は確定よ。それに……」スッ

佐原「それは……!」

梨子「この手帳を使って詐欺罪で起訴するつもりだしね。貴方が内浦に帰るのは当分先になりそうよ」

佐原「……そんな物が証拠になるとでも?」

梨子「確かにこの手帳は証拠能力は薄いかもしれない。でも貴方の身元が割れた以上、重要参考人として捜査してもらうことはできるわ」

曜「梨子ちゃん……?」

千歌「ねぇ……なんか梨子ちゃんが怖いんだけど」コソコソ

曜「乱暴にされたこと怒ってるのかな」ボソボソ

梨子「そこ、聞こえてるわよ?」ニコッ

ようちか「ひいっ……」


佐原「なら、僕はここから逃げるしかないね」

曜「……逃げられるとでも思ってるの」 
382 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 00:58:57.59 ID:vlpX5WjlO
千歌「あのね、佐原君」

佐原「……高海さん」


千歌「私、思い知ったんだよ」

千歌「嫌われることから逃げ続けても、何にもならない。何にも解決しない」


千歌「だから私は、一歩踏み出すことにしたんだ」


千歌「確かに私たちは間違ったことをしたよ」

千歌「私は、大切な幼馴染みを傷つけた。貴方は、決して許されないことをした」

千歌「でも……そこで立ち止ってたら、何もできない。何も始まらない」

千歌「何もしなかったら、いつまでも0のままなんだよ」


千歌「だからさ、やり直そうよ」


千歌「進む方向が間違っていたなら、最初に戻って、また1から歩き出せばいい」



千歌「こんなことはもう、終わりにしようよ」
383 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:31:48.28 ID:vlpX5WjlO
―――


新幹線車内


梨子「……」ムスッ

曜「もう、梨子ちゃーん……機嫌なおしてよぉ」アセアセ

千歌「ど……どうしたの? 梨子ちゃん」


曜「いや、その……梨子ちゃん、最初は一人で内浦に帰る予定で」

梨子「曜ちゃん? 言ったらどうなるか分かるわよね?」

曜「はっ、はい……了解であります」ケイレイ


梨子「あんな感動的なやり取りのあとに……これ?」

曜「うぅ……不可抗力だよ、許してぇ……」


千歌「結局、みんな一緒に帰ることになったね」アハハ

ダイヤ「私は、今回の件で内浦に一度帰ることになったのですが……どうして善子さんもいらっしゃるのですか」

善子「ヨハネヨ……だって、リリーが帰るって言うんだもの」

梨子「あら。リトルデーモンがいないと、ヨハネ様は寂しいのかしら?」

善子「そこ、からかってんじゃないわよ!」

ダイヤ「鞠莉さんも、今夜辺り内浦へ到着する予定とのことです」

千歌「流石にフットワーク軽いね、鞠莉ちゃん」
384 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:33:03.54 ID:vlpX5WjlO
―――




佐原父「君が渡辺さんだね」

曜「あ、はい……ってちょ……!」

佐原父「本当に申し訳なかった」

曜「やめてくだいよ、土下座なんて……顔を上げてください」


佐原父「この封筒に、35万全額入っている。君が盗まれた金額で間違いないかい?」

曜「ええ。あの、受け取っていいんですか?」

佐原父「もしも足りないというのなら、いくらだって用意する」

曜「いや……やめてください。このお金だけで、十分ですから」


佐原父「のちに裁判が始まると思う。そうなったらまた、君たちに迷惑をかけるかもしれない」

曜「いえ、そんな……」

梨子「あの、佐原さん」

佐原父「なんだい」

梨子「貴方は、その……失礼ですが、離婚されていますよね」

佐原父「ああ」

梨子「どうして彼……誠君の罪を、貴方が?」

佐原父「あんな女に育てられていても、俺の子供だからな」

梨子「そうですか……」
385 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:33:30.31 ID:vlpX5WjlO
佐原父「君たちにとって、誠は犯罪者でしかない。そして俺は、君たち被害者から憎まれるべき立場の人間だ。こうしてまともに話せているのが奇跡的なくらいに」

千歌「いえ、気にしないでください」

佐原父「一歩間違えたら、取り返しのつかないことになっていたかもしれない……改めて、本当に申し訳なかった」ペコッ


佐原父「だが……君たちは、あいつの同級生だったと聞いている」

佐原父「もしも、あの馬鹿にまだ救いようがあると思うのなら……ぜひ協力してほしい」


千歌「それは……」チラッ

曜「いいかな、千歌ちゃん、梨子ちゃん」

千歌「……うん」

梨子「ええ」



曜「元クラスメイトとして、ちゃんと罪を償ってほしいという気持ちは、私たちにもありますから」

曜「是非、協力させてください」


佐原父「――ありがとう。心から感謝します」


曜「ところで……このお金、本当にいいんですか?」

佐原父「ああ、受け取ってくれ」

曜「でも……」

佐原父「俺は、誠が出直してきて……俺に金を返しに来るのを、待つことにしたんだ」


曜「……そうですか。わかりました」
386 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:35:52.65 ID:vlpX5WjlO
―――




千歌「いい人だったね」

梨子「うん。なんか、男らしい人だった」

曜「あの人の下で暮らしていたら……佐原君、あんな風にはならなかったのかな」



果南「おーい」

千歌「あっ、果南ちゃん!」パタパタ

果南「えいっ」ハグ

千歌「わっ……もう、果南ちゃんったら」

果南「千歌、少し背が大きくなった?」

千歌「どうだろ、ヒール履いてるからじゃない?」

曜「ううん、確かにちょっと伸びてるよ」

千歌「……そっか」


善子「リリー、連れてきたわよ」

花丸「久しぶりずら〜」

ルビィ「みなさん、お久しぶりです」


梨子「ありがとう、善子ちゃん。花丸ちゃんとルビィちゃんも、久しぶりね」

曜「わああ、ルビィちゃんすっごく大人っぽくなったね!」

ルビィ「えへへ、そうかなー」

善子「中身は何も変わってないわよ」

花丸「それは善子ちゃんもずら」

善子「うるさいわよずら丸!」ニャー


ダイヤ「鞠莉さんはあと1時間ほどで到着するそうですわ。こうして皆さんが揃うのは、私たちの卒業以来初めてではありませんか?」
387 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:36:39.08 ID:vlpX5WjlO
千歌「折角みんな集まったんだからさ! 今から沼津に遊びに行こうよ!」

果南「残念だけど、私は仕事に戻らなきゃ」

千歌「えー!? そんなー!!」

果南「文句言わない。大人になったんでしょ?」

千歌「ぶー……」


ダイヤ「私も、家の者に挨拶をしませんと」

ルビィ「そうだね、お姉ちゃん」


千歌「えぇー……ダイヤさんとルビィちゃんもぉ」

花丸「まると善子ちゃんは大丈夫だよ」

善子「だから、善子じゃ……もういいわよ」

花丸「あれ、ヨハネは?」

善子「いいっつってんじゃない。しつこいわよ」

花丸「へぇー……明日は雨ずらね」

善子「ずら丸っ! からかうんじゃないっ!」


ルビィ「う……うゅ……」


ダイヤ「……ルビィ、行きたいのでしょう」

ルビィ「あ……お姉ちゃん」

ダイヤ「いいんですのよ? 私についてこなくても」

ルビィ「……ううん。私も行かないとね」

ルビィ「だって、ルビィは黒澤家の後継だから」


ダイヤ「……立派になりましたわね」
388 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:37:08.52 ID:vlpX5WjlO
花丸「じゃあ、ルビィちゃん。またあとでね!」

善子「がんばルビィよ?」


ルビィ「あ……ありがと、花丸ちゃん! 善子ちゃん!」フフッ


千歌「ふぇぇ……みんなで沼津行きたかった」

曜「仕方ないよ。また夜に会えるから……ね?」

千歌「うぅ……わかった。じゃあ夜にたくさん食べるために、昼は精一杯楽しむぞー!」オーッ

曜「ヨーソロー! 了解でありますっ!」ケイレイッ



梨子「はしゃいでるなぁ……2人とも」クスクス



果南「梨子ちゃんは行かないの?」

梨子「あ、いや……私も行くけど、ただ……」

果南「ただ?」


梨子「えっと……大したことじゃないんだけどね。ちょっと考え事してたんだ」


果南「なあに? 言ってみなよ」
389 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:38:28.32 ID:vlpX5WjlO
梨子「……正直、わからないの」

梨子「これから私は、どうすればいいのか」

梨子「どの方向に進めばいいのか」


梨子「実は私、ピアノで行き詰まってたんだ」

梨子「コーチに何を言われたわけでもないんだけど、最近なんだか……気持ちよくピアノが弾けなくて」

梨子「この間東京のコンサートで弾いた時は、ちゃんと弾けたの。曜ちゃんや千歌ちゃんがいてくれたおかげかどうかはわからないけど……でも、それで納得した」

梨子「結局、私の願いは一つだけ。誰でもいい、どんな形でもいい……ずっと傍にいてほしかった。寄り添ってほしかった」


梨子「だから、千歌ちゃんと曜ちゃんが羨ましい」

梨子「あんなことがあったのに……離れ離れになったのに……」

梨子「それでもまた、こうして巡り会えたから」

梨子「きっと、これからも……あの頃みたいに、2人一緒に歩いて行くんだろうなって思って」

梨子「でも私は、向こうに帰ったらまた一人ぼっちで」

梨子「それがなんだか、すっごく寂しいの」
390 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:39:06.07 ID:vlpX5WjlO
果南「――ずっと一緒にいたからね。あの2人」


梨子「え?」


果南「千歌と曜は、特別な幼馴染みだから」


梨子「そう……ですね」


果南「私と鞠莉、ダイヤの関係とは、またちょっと違う」

果南「友達以上……恋人以上? みたいな」


梨子「恋人以上ですか」フフッ


果南「だってそうじゃない? 多分お互い、代えられるような人は見つけられないよ」

梨子「そうかも……しれませんね」


果南「……でもね」

果南「梨子ちゃんが心配する必要はないと思うよ?」


梨子「……え?」



果南「……じゃあ私、もう行くから」

梨子「あっ、はい」

果南「元気でね、梨子ちゃん」

梨子「うん……果南さんも」
391 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:39:59.57 ID:vlpX5WjlO
梨子(違う。曜ちゃんと千歌ちゃんは、簡単に言葉で説明できるような関係じゃない)

梨子(あの2人の繋がりは、友情だとか、恋愛だとか……そんな上辺だけで語れるようなものじゃない)

梨子(何もかも垣根を超えた……お互いを理解し合って、受け入れて、分かち合って)

梨子(その先にある、他の人には見えない何か)


梨子(きっとそれは私にも見えなくて、届かない)

梨子(欲しくてたまらなくて、手に入れようと足掻いて……そして、とうとう叶わなかったもの)


梨子(羨ましいなあ)


梨子(私は、千歌ちゃんになりたかったのかな?)

梨子(それとも、曜ちゃんに憧れていたのかな?)


梨子(ううん……きっと、どちらも違う)


梨子(――私は、あの中に入りたかったんだ)
392 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:40:34.19 ID:vlpX5WjlO
千歌「――梨子ちゃん」


梨子「……千歌ちゃん?」


千歌「おいで?」

梨子「……え?」


曜「梨子ちゃん、一緒に行こう?」

梨子「あ……その……」


梨子「いいの……かな? 私が、一緒にいても……いいのかな?」


千歌「もう、何言ってるの? 梨子ちゃん」

曜「そんなの、当然だよ!」


千歌「だって私たち、約束したでしょ?」

曜「みんなでお願いしたじゃん?」




『――ずっと一緒にいられますように』
393 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:41:08.89 ID:vlpX5WjlO
梨子「あ……」




千歌「ほら、早く早く〜!」

曜「急がないと、置いて行っちゃうよ〜!」



梨子「――っ」



梨子「……フフッ」


梨子「待ってよ〜、2人とも〜!」
394 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:43:32.61 ID:vlpX5WjlO
……ねえ、梨子ちゃん、千歌ちゃん。

私ね、思うんだ。


――神様が、願いを叶えてくれたんじゃないかって。


だってさ……すっごい偶然だよね。

千歌ちゃんが駆け落ちした相手が、私を詐欺の標的にして。


梨子ちゃんが、本当にたまたまだけど、そんなタイミングで私の家を訪れて。

実は犯人は、善子ちゃんに出会ってて。

ルビィちゃんと花丸ちゃんにとっては、文芸部の先輩で。

彼のお父さんは果南ちゃんのダイビングショップに通いつめてて、仲良くなってて。

鞠莉さんは、そのお母さんと知り合いで。

ダイヤさんは、千歌ちゃんの相談相手になっていた。


本当に不思議だけど……今回、Aqoursのみんなが関わってるんだよ。


神様が叶えてくれたのかな。

あの時、みんなでしたお願いを。
395 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:44:00.41 ID:vlpX5WjlO
千歌「……」


曜「……千歌ちゃん?」



千歌「………………ように」



梨子「千歌ちゃーん、みんな待ってるよ?」



千歌「あ、うん!」パタパタ






――見つかりますように。


私たちだけの輝きが、見つかりますように。
396 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2018/01/08(月) 01:44:26.71 ID:vlpX5WjlO
END
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 10:46:52.55 ID:4uwsL27z0
おつ
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/09(火) 22:43:28.46 ID:RKQXSd4bO
寝そべり珍道中 佐世保からの来訪者

http://q2.upup.be/f/r/RwbbH0sigS.jpg

果南「また八戸に来たよ」
海未「今回はこれから岩手の龍泉洞に…」
果南「…のはずだったんだけど、家主さんがたまたま八戸港に停泊する護衛艦を見つけちゃったんだよね…」
海未「予定を変更して、お昼からの一般公開に参加します」

http://q2.upup.be/f/r/a0mvDMf6p6.jpg

海未「この艦は佐世保の護衛艦すずつき。漢字では涼月と表記します」
果南「この名前を貰った艦としては二代目なんだって」

http://q2.upup.be/f/r/NLjDN5BzTD.jpg

海未「先代の涼月は最後の戦いでの佐世保帰還、特に自分達の命と引き換えに艦を救った三人の乗員のエピソードが有名です」
果南「今は北九州市にある軍艦防波堤の一部になっているよ」

http://q2.upup.be/f/r/t4BGawxswZ.jpg

果南「艦橋です。最近の軍艦らしく出っ張りを少なくして、レーダーに写りにくいように工夫されています」
海未「横から見ると何となくモアイ像の頭に似ているね」

http://q2.upup.be/f/r/jv2AXfMdsm.jpg

果南「搭載しているヘリだよ。最大で2機積めるけど、普段積んでいるのは1機だけなんだって」
海未「ヘリの中も公開していて、私達も操縦席に座らせてもらいました」

http://q2.upup.be/f/r/19PTcv2PJE.jpg

果南「見学の後はおすすめされた八食センターで遅めの昼食だよ」
海未「馬刺とホヤの刺身を…って随分なキワモノですね…」
果南「新鮮なホヤは独特の鉄臭い味がほとんどしなくて案外食べやすいんだよ」
海未「そうなのですか…次の機会に試してみましょうか」
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/09(火) 22:43:41.25 ID:I6A7pJGFO
ダイヤ「…は?」

果南「…つまり、その場に曜を置いて、逃げ出して来たってこと?」

鞠莉「…」ダラダラ

ダイヤ「で、自分では対処できそうにないから私たちを呼び出した、と」

果南「鞠莉、なに考えてんの?」

鞠莉「…」ダラダラダラ

果南「ええー…」

ダイヤ「はぁ…」
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/14(日) 10:27:20.48 ID:aQUYeKGSO

170: ◆PChhdNeYjM[sage]
2017/12/19(火) 16:55:35.42 ID:1hpLlIxwO
>>166
同じssを繰り返し投稿するのは手間がかかりますし本当ならやりたくないんですけどね
ここで更新していると貴方のような荒らしが湧きますから
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513119160/
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 04:23:46.26 ID:JNzFfv3tO
周り全てが敵に見えてしまう
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 07:44:52.64 ID:GiI5rJRaO
速報は最早廃墟同然だな
アンチと基地外しかいねえ
354.15 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
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