LiPPSとアインフェリアが生存本能ヴァルキュリアの世界を生き抜いたようです

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401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:37:54.26 ID:f0o7GLxd0
――1ヶ月後、ホクドウ、軍病院(病室)


ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……


P「……」

美優「……P、さん? Pさん……!」

P「美優……」

美優「よかった……本当に、間に合って……」ギュッ……

P「ああ、すまなかった……戦闘、は……」

美優「だ、大丈夫です。クイーンは帰っていきました……いまは、私たちもホクドウに戻って……」

P「……そうか」

美優「いま、先生にコールを掛けますから、少し待っていてください。みなさんも、心配していましたよ」

P「……奈緒は」

美優「え?」

P「奈緒は……来ているのか……」

美優「……はい、Pさんを、みんなを……助けてくれました」

P「……そうか」

……
…………
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:38:30.93 ID:f0o7GLxd0
――ホクドウ、港、フレイヤ(ブリッジ)

美波「艦外装全修理、専用ステージ交換、メインエンジン交換、積層イージスも交換、捨てたハイパーブースター分の費用も上乗せ……はぁ」

夕美「緊急時だったけど、ちょっと無理し過ぎちゃったね……」

ありす「当たり前です。ノルン1隻に4機積む想定で作られた光波推進システム用のハイパーブースターを8機積んで飛んでくるなんて……積層イージスだけで艦がバラバラにならなかっただけマシです」

文香「一応、ホクドウで換装中に……耐久値や、限界稼働時間の試算をしてから、動かしましたから……」

美波「護衛についてくれたヴェールや、オート・クレールのスタッフを乗せたモリアンは置いていくしかなかったけれど……とりあえず、結果的には良かったわ」

藍子「ステージとエンジンの交換も終わって、外装修理ももうすぐ完了ですし、後は積層イージスを積んだら完了ですね」カタカタカタッ!

ありす「干渉装置が効いていた時期を挟んだとはいえ、さすがにここ最近の戦闘では一番の被害でしたからね。S-04は長距離航行プランから外れるそうです」

美波「仕方がないわね。大破したヴェールも回収はされたけれど、プランに編成されていた艦の修理は間に合わないわ」
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:38:58.71 ID:f0o7GLxd0

ピピピッ!

藍子「はい、こちらフレイヤです」ピッ!

楓『お疲れ様です。本部の会議、終わりましたよ。農業プラントから切り離した栽培ブロックをモリアンに積んで、増援のノルン艦が到着したらプラン実行になりました』

美波「そうですか……そうなるって思っていました。私たちのほうは、準備できています」

文香「あとは……ありすちゃんも含めて、動きを合わせれば終わりですので」

ありす「ですが、Pさんがまだ……」

楓『それなら、ついさっき美優さんから連絡ありましたよ。目が覚めたそうで……私も向かいますから、今のうちにお見舞いに行ったほうがいいですよ』

藍子「ホントですか!? 良かったぁ……」

夕美「今日はみんな待機してるよね? 奈緒ちゃんたちに連絡してからPさんのところ行こっか」


……
…………
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:39:27.79 ID:f0o7GLxd0
――ホクドウ、軍病院(診察室)

晶葉「これが戦闘中のお前のバイタルデータの推移だ」ピッ!

P「……ヴァルキュリアシステムを起動した際の、皆の推移とは少し違うな」

志希「そりゃそうだよ。システム起動してなかったんだから。それに、キミの体がシステム負荷に耐えれる限界間近だからって、通常飛行で問題が起きることじゃないし」

P「ではフラッシュバックか?」

晶葉「いや、それも違う。これまでの、どの症状とも一致しない」

晶葉「考えられることは1つ、お前が……システム適性を持つアインフェリアと近い状態になっていることだ」

晶葉「恐らくは、ヴァリアントやリサーヴでみんなのシステム負荷を受け持ったのが原因か……」

晶葉「ともかくクイーンや白蜂たちの声らしきものが聞こえたということならば、それしか考えられん」

P「……俺の体は、まだ持つのか?」

志希「多分大丈夫じゃない? 機体のECMフィールドには手入れるんだよね?」

晶葉「ああ。前回戦闘時のデータを見て、新型にも同様の調整を加える。これで戦闘自体は問題なくなるはずだ」

P「そうか。それならいい」
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:39:54.87 ID:f0o7GLxd0
志希「にゃははっ! ま、キミなら動けるだけで十分か♪」

晶葉「それなら話は終わりだ。後でこれまでの状況や対応内容については纏めて端末に送ってやる。少し休め」

P「いや、休むのはもういい。少し体を動かしたい」

晶葉「お前……!」

P「奈緒が戻ってきたんだろう?」

晶葉「……ああ。クイーンの空間転移で大規模な次元断層が発生して、向こうの世界と通信が出来るようになったから、私が呼んだ」

P「奈緒が自分から、こちらに来るとも言ったんだろう」

志希「バレてるバレてる」

P「いいさ。来てくれたのなら……奈緒には、その意志があるんだろう」

P「それならあいつを守ってやれるように、俺ももう少しは鍛えておかねばならん」

晶葉「……そうだな」

P「皆には、フラッシュバックの症状が出たと話しておいてくれ。志希も、上手く誤魔化しておいてくれ」

志希「りょうかーい」

晶葉「……」


……
…………
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:40:21.44 ID:f0o7GLxd0
――ホクドウ、軍病院(病室)

藍子「本当に大丈夫ですか? まだ、お休みになったほうが……」

P「さすがに1ヶ月も寝てしまうと、逆に体が痛くてな。プランの実行も間近だし、もう退院して仕事に戻ったほうがいい」

文香「ですが……また、戦闘で同じようなことになっては……」

P「それについては、志希のほうで前回の戦闘から抑制剤の投与内容を見直してくれると話をされた。次からは大丈夫らしい」

美波「もうっ、それならいいですけど」


夕美「着替えこれで全部? 他の荷物は……」

楓「あ、そこの引き出しに私が持ち込んでいたビールが……」

美優「び、病室にお酒持ち込まないでください……」
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:41:13.99 ID:f0o7GLxd0
ありす「本当に仕事のことばかり考えているんですから……」

P「そういうものだ……ありす、城ヶ崎少尉はどうした?」

ありす「……ひとまずはフレイヤUの空き部屋を営倉代わりにして入ってもらっています。アルヴィスに自動転送された戦闘の映像記録は、大佐に話して削除してもらいましたが」

P「そうか、その対応なら良かった。プロジェクトで採取されたデータは全て一度、秘匿階層に転送されてるから大丈夫だと思うが」

ありす「あなたならそうすると思いましたから。とはいえ、美嘉さんのNGFがフレデリカさんの機体を狙って射撃、奏さんが割り込んで損傷……さすがに私も見過ごしたくはありませんが」

夕美「フレデリカちゃん……」

P「ありすの部下だものな。だが、今回はダメだ。俺のほうで任せてくれ」

ありす「……構いません」

藍子「あの、Pさん……やっぱり、城ヶ崎少尉のこと……」

P「後悔をして欲しくないだけだ。少尉にも、フレデリカにも……それに……」

ピピピッ!

P「俺だ」ピッ!
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:41:41.75 ID:f0o7GLxd0
加蓮『あっ、Pさん! もう……整備長から聞いたけど、起きたなら私たちにも連絡してよ』

P「すまん。起きてすぐに検査があってな。アインフェリアの皆は来てくれたんだが……」

加蓮『こっちはありすもフレイヤに行ってて忙しいんだから……あ、奈緒、Pさん起きたって。代わる? ちょっと待ってて』



奈緒『Pさん』

P「奈緒……す――」

奈緒『大丈夫、また一緒に頑張ろう。それは聞き飽きたから……さ』

P「……そうか、分かった。俺が寝ている間に状況は把握したと思うが、それほど余裕のある状況ではない。頼むぞ」

奈緒『ああ』

加蓮『みんなでお見舞い行ったほうがいい?』

P「いや、もうそろそろで引き上げる。もう十分寝たからな」
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:42:08.57 ID:f0o7GLxd0
加蓮『そっか。それじゃ凛たちにも連絡しておくね。フレイのほうで作業してるみたいだから』

P「そうだったか……フレイのほうにも後で顔を出しておく。プランの準備作業を優先してくれ」

加蓮『はーい』

P「LiPPSはどうしている?」

加蓮『美嘉は部屋に入れたまま。フレデリカはどっか行っちゃった。奏と周子は、ナオと格納庫に行ってるけど……』

P「速水少尉には、作業が終わったら会議室で待機していてくれと伝えてくれ。フレデリカも、見つけたら俺が探していたと話しておいてくれ」

加蓮『ん、分かった。それじゃ作業戻るね』

ピッ!

P「よし、では戻るか。ありすはフレイヤでの作業が落ち着いているなら俺とフレイヤUに戻るぞ。他の皆はフレイヤでの作業に戻ってくれ」

……
…………
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:42:35.52 ID:f0o7GLxd0
――フレイヤU(ブリッジ)

パシュンッ!

P「すまん、今戻った」

ありす「こちらのほうは大丈夫ですか?」

加蓮「あっ、Pさん! ありすも、お疲れ様」

P「長いこと空けてしまったが、大体の話は楓さんと晶葉から聞いている。進捗はどうだ?」

加蓮「艦の破損個所の修理は一通り終わったかな。あとは全体整備と、修理したNGFの調整。整備長はフレイヤのほうに行ったよ」

P「大体は完了しているか。フレイヤのほうが作業は遅れているか……」

ありす「奈緒さんはどうしましたか?」

加蓮「ちょっと前に格納庫に行ったよ。ナオの様子見てくるって」

P「そうか……」

……
…………
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:43:48.30 ID:f0o7GLxd0
――フレイヤU(格納庫)

奈緒「……」

ナオ「まあ、仕方がないさ」


P「奈緒!」


奈緒「Pさん……!」

ありす「お疲れ様です。こちらにいると聞いて様子を見に来ました」

加蓮「どうしたの、2人揃って?」

奈緒「いや、うん……コイツがさ」

P「3N-SDか」

ナオ「整備長もさすがにお手上げだってさ。3N-SDは関節駆動系全部イカれて、右腕は肩から吹っ飛んだし、背面パーツも壊れたし」

ナオ「VPSPは立体機動に耐えられなくてビームウィングも壊れて、フレームも歪んで……晶葉に作り直してもらうほうが早いってさ」
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:44:14.38 ID:f0o7GLxd0
奈緒「無茶させ過ぎたか……愛梨と蘭子が来てくれなかったら正直キツかったし」

加蓮「でも、最後までみんなのこと守ってくれたから……」

奈緒「ああ。あたしがコイツに乗り始めてから2回改修して、ここまで一緒に戦ってくれた……お疲れ様、だな」

P「……機体については、晶葉から話は聞いている思うが」

奈緒「聞いたよ。それに、今までも見ていたし……そいつが出来上がるのを待つだけだよ」

ありす「この期間を使って、ニュージェネとLiPPSで実施したシステムテストのフィードバックを行っているみたいです。晶葉さんは、しばらく時間は掛かると言っていましたが」

奈緒「シミュレーターも用意するみたいだから、そっちで訓練しておかないとな」

P「……速水少尉はもう戻っているのか」

ナオ「ああ、会議室に行ってるよ」

加蓮「あ、そうだ……ゴメンPさん、フレデリカなんだけど、探したけど見つからなくて」

P「わかった。ありす、少し席を外すから後は頼む」

ありす「わかりました。そちらも、お願いします」

……
…………
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:44:42.22 ID:f0o7GLxd0
――フレイヤU(会議室)

ピピッ!

奏「……」

パシュンッ!

P「失礼する。速水少尉、待たせてしまったな」

奏「……いえ、別に。貴方、体は大丈夫なの?」

P「問題ない。一ノ瀬博士のほうでも対処してくれた。今後の戦闘は通常通り行える」

奏「そう」

P「それで話だが、次回以降のLiPPSの運用についてだが、少尉のほうで――」

奏「嫌よ」

P「……小隊運用については、これまで通り速水少尉に小隊長として運用してもらおうと思っている。これは上官命令だ」

奏「それでも嫌よ」

P「……そうか」

奏「私は、もう仲間から撃たれたくないの。だからこれまで1人でやってきたの」

奏「それが嫌だから、私はS-01からここに来た。それなのに……だからもう、ここにはいたくない。あの子たちのお守りもしたくない」

P「そうか。わかった」ピッ!

ピピピッ!

大佐『私だ。なんだね?』
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:45:11.38 ID:f0o7GLxd0

P「大佐、私です」

大佐『おお、君か。話は聞いているよ。プランの実行までに回復が間に合うかと不安だったが、目が覚めて本当によかった』

P「ご心配をお掛けしました。大佐、1つお願いがあります」

大佐『なんだね? フレイヤへのハイパーブースターの手配で色々と他からキツく言われているから、難しい話じゃなければいいんだがねぇ』

P「速水奏少尉を特殊部隊に異動させてください。異動理由は、セカンドドライバーとの共同任務の為、辺りで大丈夫ですか?」

大佐『む……ううむ……まあ、分かった。手続きはこちらで済ませておけばよいかな?』

P「ありがとうございます。では、失礼します」

ピッ!

奏「貴方……」

P「命令だ。速水少尉、フレイへ移動し黒川少佐の指示に従い任務に当たれ。艦への移動については調整して展開する。荷物は本日中にまとめておけ」

奏「……そう、それなら私も、気が楽になるわ」

P「機体についてはこちらで配備させたVS23SXと、持ち込みしている3NXを両方移動させる」

奏「VS23SXはいらないわ。移動するならデータの採取もしなくていいし、3NXだけでいいわ。ディフェンスパックは、そのまま周子に使わせてあげて」

P「ではそれで整備班には連絡しておく。必要な引継ぎは済ませておけ」

奏「ええ、了解」

……
…………
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:45:39.78 ID:f0o7GLxd0
――フレイヤU(空き部屋前)

P「……」

ピピッ!

P「城ヶ崎少尉、返事をしろ」



P「……入るぞ」

ピッ!


……
…………
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:46:16.85 ID:f0o7GLxd0
――フレイヤU(空き部屋)

美嘉「……」

P「どうだ、少しは落ち着いたか?」

美嘉「……」

P「アイドルの仕事もあるから、あまりキツイところには押し込めないからな。ありすも広報にはまだ話を通していないと言っていた」

美嘉「……」

P「……戦闘の映像記録を見た。撃とうとしたらしいな、フレデリカを」

美嘉「……ツは」

P「なんだ」

美嘉「アイツは……敵……莉嘉の、莉嘉の……!」

P「それは、お前の妹を襲ったのがフレデリカ、ということか?」

美嘉「関係ない……キラー・ビーなんて……白い奴等も、みんな、みんな敵で!!」

P「違う。それは昔の話だ。今のビーは、俺たちと共に生きている仲間だ」

美嘉「昔の話……? 今は違うからって、アイツ等を許すの!? アイツ等がいるから! 莉嘉は、ずっと起きないままで!!」

P「少尉、以前話したな。俺のこと、フレデリカのことを」
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:47:05.49 ID:f0o7GLxd0
P「俺には少尉の怒りが分かる。少尉は、以前の俺と同じだ。だから……お願いがある」

美嘉「なによ……!」

P「フレデリカのことを、信じてやってくれ」

P「俺たちが蜂から受けた痛みは事実だ。だが、フレデリカの想いも嘘ではない」

P「ビーは俺たちに、俺たちはビーに、互いに痛みを与え続けた。だが今は違う。平和な世界を願っている同じ想いを、互いに持っていると分かったからだ」

P「言葉にするだけなら、簡単なことかもしれない。何とでも言える……だが、フレデリカの想いの中に、美嘉もいるんだ」

美嘉「……」

P「アイツの想う平和な世界に、お前たち姉妹と共に生きる願いがある。それを、信じてほしい」

美嘉「……」

P「これで、話は終わりだ。ここは閉める。少尉、出るぞ」

美嘉「え? アタシ……」ピクッ

P「少尉が何故ここにいるのか、俺もありすも忘れてしまった。アルヴィスには映像記録も残っていないし、何でだったかな。とにかく、出るぞ」

……
…………
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:47:33.76 ID:f0o7GLxd0
――数時間後、夜、フレイヤ(通路)

美波「フレデリカちゃん、見つかった?」

藍子『いえ、こっちもシティまで来ているんですけど……』

志希『制服も部屋にあったから、コロニー中のビーでも集めて体の識別コードのチェックしないと見つからないかもねー』

奈緒『そんなことやってられないだろ……どっちの艦にもいなかったし、ちひろさんのところにも行ってないみたいだし』

卯月『PさんもS-02に来てこっちでも探しましたけど、見つからなかったです……』

凛『私たちのほうも、後で外に出て探してみるよ』

奈緒『悪いな凛。そっちも作業残ってるのに』

凛『いいよ。奈緒こそ、またこっちに戻って来てくれたんだから』

奈緒『ま、あたしのほうは別に……』

夕美『とりあえずもうちょっと探してみよう。もう夜だし、これ以上探して見つからなかったら警備のほうにも連絡しないと……』

美波「ええ、私も後で少し外に出るわ」

……
…………
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:48:26.99 ID:f0o7GLxd0
――ノルンS-02(通路)

P「あとはこっちで探してみる。桃華たちはフレイの作業に戻ってくれ」

桃華「ですが、フレデリカさんも心配ですわ」

P「だがフレデリカに掛かりきりというわけにもいかないだろう」

凛「修理した機体の調整、もう少しで終わるからその後にまた探してみるよ。智絵里にも作業頼んだままだし」

桃華「Pちゃまも、ご無理なさらずに……」

P「大丈夫だ。フレデリカを見つけたら連絡する」




P「さて、あと探してないのは……」

菜々「あっ……」

P「む、安部中尉」

菜々「お、お疲れ様です! P、Pさん、もう大丈夫……なんですか?」
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:48:54.56 ID:f0o7GLxd0
P「ええ、とりあえずは。心配かけてすみません」

菜々「いえ、その……よかった、です。本当に……よかった……」

P「……中尉?」

菜々「……」

P「どうしたんですか。なんか、らしくないじゃないですか」

菜々「らしくないなんて……そんなこと、ないです。ナナ……私だって……また、Pさんが起きなかったらって思うと……」

P「……すみません」

菜々「Pさんも、美優さんも……加蓮ちゃんも、ナオちゃんもって……色々、考えちゃって……だから……」

P「……大丈夫ですよ。俺も、ナオも、加蓮も、昔とは違います。美優も……だから気にしないでください。少しアホなことしている中尉のほうが、見てて安心します」

菜々「あ、アホって……」

P「ちょっと俺もまだ別件がありますから、ニュージェネの3人はよろしくお願いします。明日またこっちに来ます」

……
…………
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:49:58.60 ID:f0o7GLxd0
――ホクドウ、郊外、緑地公園

夕美「シティから離れたけど、こっち側ってナシヤマだと私たちの家がある方向だし……」

ナオ「まあ、コロニーの基礎構造って一緒なんだし、フレデリカが行きそうな場所も大体探したし」

奈緒「とはいえ、ホクドウだから家ないしなぁ……」

夕美「フレデリカちゃん……」


夕美「あっ……」



フレデリカ「……」



奈緒「いた……」

夕美「見つけた……そうだ、Pさん……!」


……
…………
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:50:30.02 ID:f0o7GLxd0
――数十分後、ホクドウ、緑地公園

P「夕美、奈緒! フレデリカ!」


奈緒「ようやく来た……」

夕美「Pさん……こっちだよ!」

フレデリカ「……」

ナオ「あたしと奈緒は、みんなに連絡してくるよ。奈緒」

奈緒「……ああ」



P「フレデリカ……探したぞ。こんな時間まで外に出て」

フレデリカ「……ん」

夕美「ね、戻ろう? みんなも心配して探してたんだから」

フレデリカ「……やだ」

P「どうした。話してみろ」

フレデリカ「……美嘉ちゃんが、アタシのこと殺そうとしたの」

P「ああ、知っている」

夕美「……怖く、なっちゃったの?」
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:51:03.69 ID:f0o7GLxd0
フレデリカ「ううん。アタシも、知ってたから。リカちゃんっていうの。美嘉ちゃんの……妹、なんだって。きっと、大切なヒトなの」

フレデリカ「アタシのね、仲間の誰かがリカちゃんに怪我させたの。ずっと寝てるんだって。志希ちゃんが教えてくれたんだ」

夕美「大丈夫だよ。莉嘉ちゃん、きっと良くなって元気になるから……」

フレデリカ「違うの」

夕美「……なあに?」

フレデリカ「アタシね、メッセンジャーがアタシたちのこと助けてくれて、人間と一緒にいることが出来て、お腹も空くことがなくなって、白いアイツらからも逃げることもなくなって」

フレデリカ「だけど、アタシたちがたくさん人間を殺したこと、みんな怒ってるのも分かってる。美嘉ちゃんも……」

フレデリカ「プロデューサーだって、美優さんのこと、怒ってるって知ってるの。だから、プロデューサーが起きたら、きっとアタシのこと……だから……」

P「何を言っている。確かに美優のことは色々あったが、俺はお前を怒るつもりはない。お前は……俺の命を救ってくれた。どうして俺がフレデリカを怒らなければならないんだ」

フレデリカ「だって、アタシたちがここに来なかったら、リカちゃんも怪我しなかったし、ありすちゃんだって……アタシたちが勝手にこっちに来たから、みんな怒って、泣いてるのに」
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:52:13.08 ID:f0o7GLxd0
フレデリカ「だから人間がアタシたちのこと許してくれるなら、みんなの為にアタシたちも頑張ろうって……だけど、ずっとずっと、どうして人間がアタシたちのことを許してくれるのか、分からなくて……」

フレデリカ「美嘉ちゃんは、アタシたちのことを怒って……だけど、プロデューサーは怒らなくて……」

フレデリカ「美嘉ちゃんが怒ってるなら、アタシは死んでもいいやって思ったけど、メッセンジャーは生きていいって、プロデューサーは怒らないで、ありがとうって言ってくれたから……どうしていいか分からなくて……」

フレデリカ「志希ちゃんは、人間のことはいつか分かるって言ってくれたけど……でも、分かんない……みんなと一緒にいて、笑って、楽しくて、みんなのこと、好きになっても……だけど……わかんない、わかんないよぉ……」

夕美「フレデリカちゃん……!」ギュッ!

フレデリカ「アタシ……うっ……うう……どうしたらいいの……? メッセンジャーのこと、l人間のこと、分かりたいのに……全然、分からなくて……」

夕美「そうだよね、分かんないよね。私だって、みんなのこと、分からないことたくさんある。ちゃんと分かってあげたくても、分からないことだらけで、泣いちゃうときだって……あるんだから……」

P「フレデリカ、よく聞け。俺も、夕美も、自分以外のヒトのことなんて分からない。ビーも、人間も関係ない。皆同じなんだ」

P「だから……互いを知り、分かりあう為に……一緒にいるんだ」

フレデリカ「!」

P「だから、どれだけ時間が掛かったとしても、分かりあう為に一緒にいる。フレデリカ……お前は、どうしたい?」

フレデリカ「アタシは……アタシ、は……美嘉ちゃんのこと、分かりたい……みんなの、ことも……」


……
…………
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:52:46.54 ID:f0o7GLxd0
――ホクドウ、郊外

ナオ「……あの時、あたしたちは選ぶことができなかった。それしか道が無かったから」

奈緒「ああ。だけど、今は違う」

奈緒「今度は、選ぶことが出来る。今度こそ……その道に行くために、みんながいるんだ」

ナオ「Pさんも、加蓮も、凛も、みんな……その願いをアインフェリアが伝えることが出来るなら……」

奈緒「そのためにあたしはここにいる。次は選ぶために……今度は、諦めたくない」

ナオ「みんなのために、フレデリカのために……」

奈緒「ああ、必ず……!」


……
…………
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:53:24.52 ID:f0o7GLxd0
――翌日、フレイヤU(会議室)

P「プランの人員について、S-02側の編成見直しに伴いフレイの人員が不足している状態となっている為、速水少尉はフレイに移動することになった。本人には前日に説明済で、今朝方移動してもらっている」

周子(このタイミングで……ね)

P「以降、プラン実行中はLiPPS小隊は塩見周子少尉を小隊長とし、この4人のメンバーで運用となる」

周子(ま、そうなるかー)

志希「おー!」

美嘉「……」

フレデリカ「……」

ありす「プラン実行中の移動はそれぞれ、M-01、S-02に分かれることになりますが、必要であれば連絡を取り合っても構いません」

周子「……りょーかい」

P「以上だ。それではこれで解散とする。1時間後、予定通りNGFのシミュレーター訓練を行う。時間までには格納庫に集合しておけ」

……
…………
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:54:41.52 ID:f0o7GLxd0
――ホクドウ、ノルンS-02、フレイ(奏の部屋)

琴歌「こちらのお部屋を準備しましたわ。何か不足している物があれば遠慮なくわたくしか、桃華ちゃんにお話しして頂ければご用意しますわ」

奏「ありがとう。でも、必要な荷物なら持ってきた物で間に合っているから、大丈夫よ」

琴歌「わかりましたわ。では、昼食の時間にはお声がけしますね。みなさんで食事にしましょう」

奏「え、ええ……わざわざ揃って食べるのね」

琴歌「はい♪ あ、搬入した3NXですが、機体コードはこちらのローカルにも登録しておきますので、千秋さんと翠さんと、3人で頑張ってください」

奏「……まあ、私は単独出撃をさせてもらうから、必要な場面だけ、ね。単独出撃は、P少佐から許可ももらっているわ」

琴歌「ええ、お話は聞いています」

奏「ゴメンなさいね。厄介者を押し付けられた気分でしょう?」

琴歌「いいえ、そうは思いませんわ。P様から、こちらで貴方を預かってほしいとお願いされましたもの。それに……」

琴歌「本当に奏さんが厄介者であるなら……P様はプランの実施前に貴方を艦から降ろしていると思いますわ」

奏「……」

琴歌「ですから、一度考えてみてください。どうしてP様が、貴方にそうしたのか……あの方が、貴方にどうあってほしいと願っているのか」

……
…………
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:55:12.71 ID:f0o7GLxd0
――ノルンS-02(格納庫)

菜々「……」

菜々「ナナは……」


菜々『Pさんも、美優さんも……加蓮ちゃんも、ナオちゃんもって……色々、考えちゃって……だから……』

P『ちょっと俺もまだ別件がありますから、ニュージェネの3人はよろしくお願いします。明日またこっちに来ます』


菜々「……」ピッ!

ピピピッ!

大佐『私だ。何かね?』

菜々「大佐……」

大佐『おお、安部中尉か。何かあったかね?』

菜々「……大佐ちゃん!」

大佐『……どうしたんだい、菜々ちゃん』

菜々「お願いがあるんです。最後に、1つだけ……」


……
…………
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 18:56:18.25 ID:f0o7GLxd0
今日はこれで終わります。
来週は多分1週間投下はないです。頑張りましょう。
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 00:07:08.47 ID:pJtgMY2Mo
おつ
ついに本当に終わるのか?
まだ続いてほしいとも思いつつ
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/21(水) 12:38:06.94 ID:O17MYVoPO
冒頭の全滅っぽい流れってここからどうなるんだろ
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 19:59:35.54 ID:ndS8yLRn0
-------------------------------------------ここから関係ない話-------------------------------------------

蘭子「闇に飲まれよ!」

奈緒「やみのま」

珠美「まさかこのメンバーでイベントに参加することになるとは思いませんでしたね……」

奈緒「色々思うところはあるけどとりあえず宣伝宣伝……ガチャ引きたいし」

蘭子「うむ、今宵の宴では守護騎士と太眉の乙女が降臨しているぞ」

珠美「イベント曲は『Frost』ですね。珠美たちが歌っています!」

奈緒「んで上位報酬はあたしと……完走報酬は珠美だから、プロデューサーのみんなは頑張って走ってくれよ」


https://i.imgur.com/psetjgl.jpg


珠美「いやしかしやはりこのメンバーとは……」

蘭子「この前の紗枝ちゃんと周子ちゃんも偶然だったけど大変だった……」

奈緒「まあな……いや、いいんだけどさ、この時期にこの曲のイベントが来るんじゃないかとは思っていたけど」

蘭子「予見の調べ……ううむ、魂を削り取られる争い……」

奈緒「ところで珠美、いつ頃来るんだ? てか来るの?」

珠美「たぶん、もうそろそろかと……」


-------------------------------------------ここまで関係ない話-------------------------------------------
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 20:31:14.36 ID:PSQphVlWo
相変わらずの……
更新も待ってるぞ
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 21:45:42.72 ID:ndS8yLRn0
今日中に投げておこうと思ったんですがちょっとピエール確保するのに休日中に頑張らないといけなくて……
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 19:11:56.11 ID:7R7/asQG0
――フレイヤU(ブリッジ)

ありす「わざわざこっちで確認してもらってすみません。別件の確認が全然終わってなくて……」

愛梨「大丈夫ですよー。いまはフレイヤも内装点検してますから」

蘭子「もぐ……我らなら……んぐっ、いまふぁら、ふぁいじょうぶ……」モグモグ

ありす「何食べてるんですか……」

蘭子「ピーナッツ」モグモグ

愛梨「こっちに来る前に、楓さんからお酒のおつまみ貰っちゃって」



周子「んー、整備完了済みのブロックのチェック終わりっ! そっちどう?」カタカタカタッ!

美嘉「こっちも終わった」

志希「これドコにデータ置けばいいの?」

フレデリカ「あのね、そこのフォルダ、そっちそっち」

周子「それじゃー全員手空いたことだし、ご飯食べにいこっか」

フレデリカ「お腹すいたー……美嘉ちゃんいこー」

美嘉「……」

志希「ほらほら行こいこ。ご飯食べないと脳みそ回んないし?」

美嘉「うん」
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:12:32.76 ID:7R7/asQG0
周子「それじゃ、ご飯食べてくるねー」

ありす「ん、はい。いってらっしゃい」

パシュンッ!


愛梨「……フレデリカちゃん、いつも通りですね」

ありす「いつも通りに、見えるだけだと思います。夕美さんから聞きました。彼女も色々悩んでいるって」

蘭子「……」ボリボリ……

愛梨「私たちは、ずっとフレデリカちゃんと一緒にいるから、何も気にしたことなかったんですけど……」

ありす「ですが、やはり私や美嘉さんのように、過去にビーたちから被害を受けた者もいます。そういう人たちにとっては、現状やりきれない気持ちはあると思います」

蘭子「……ありすちゃんは?」ゴクンッ

ありす「……私は、どうなんでしょうね。怒りとか、恨みとか……そんなことすらも、忘れてしまっていましたから」

ありす「だけど、今は……フレデリカさんのことが心配です。きっと、それがビーたちと言葉を交わすことができた、私の中の正直な気持ちなんです」

……
…………
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:14:12.05 ID:7R7/asQG0
――数日後、ホクドウ、港、ノルンM-01(メインブリッジ)

ちひろ「いやー、時間掛かりましたね。フレイヤもフレイヤUも修理三昧で、ようやく終わってウチに積み込み出来て」

楓「結構やられちゃいましたからね。私たちは、自爆したみたいなものですけど」

P「そりゃ艦がぶっ壊れる速度で飛ばすのはな……」

ちひろ「ま、とりあえずプランV3の主要メンバーが全員無事でよかったです。住居ブロックは全員分割り当てていますから」

ありす「長距離航行プラン、ビーの住む宙域まで移動する為の予定日程は91日でしたか。ずいぶんと長いですね」

ちひろ「システムがなかったら、何年掛かっていたか分かりませんよ? まあこんなに長い任務も中々ありませんね」

楓「往復を考えると半年……ちゃんと戻ってこれるといいんですけどね」

ちひろ「ま、その為に農業プラントから栽培ブロック持っていきますから。モリアンに環境作成するの大変だったみたいですよ?」

P「こちらは乗せてもらう側だからな。移動中は待機と、アインフェリアはI@LPがほとんどだし、何かあれば作業は手伝うが」

ちひろ「道中で戦闘が発生した場合の出撃は、ちょっと考えてからになりますけどね」
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:14:39.54 ID:7R7/asQG0
楓「やることありませんからね。どうしていましょうか、ねえ、Pさん?」

ちひろ「避妊はしてくださいね」

P「バカかお前ら! こんなところで何の話をしている!」

ちひろ「何って、ねえ?」

楓「時間が余っているならその分……ナシヤマで退院してから、ずっと外に出たままですし、ね?」

P「しっかりしてくれよ……」

ちひろ「ま、冗談はこれくらいにして。増援も到着したみたいですし、その艦の整備が終わればプラン開始ですね。頑張りましょうか」

楓「プランの予備編成で割り振られてたとはいえ、突然増援で呼ばれるなんて、緊急招集された艦も可哀そうですよね」

P「……そうだなぁ」

……
…………
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:16:44.73 ID:7R7/asQG0
――フレイヤU(ブリッジ)

早苗「てワケで、ヨロシク!」

フレデリカ「こちらこそまたヨロシク!」

ありす「はい。またお願いします」

瑞樹「まーた若い子ばっかり……ちょっとこの艦どうなってるの?」

志乃「まあ……面白そうじゃない……」ゴクゴク

ありす「というわけで、特殊部隊の柊志乃さんと、愉快な仲間たちです」

美嘉「愉快な……」

周子「仲間ねー。よろしく」

ありす「私はプランV3実施の為アインフェリアと合流して宙域ライブの実施、またニュージェネレーション隊も前線の出撃編成に入っています」

ありす「その為増員としてフレイヤUについては代理指揮官の志乃さんを含め、この3人に操舵をお任せすることになりました」

早苗「前にもやったことあるから、大丈夫ダイジョウブ」

志希「重要プランで再び海賊に依頼……うーん、やっぱりここって自由だねー」

P「まあ、志乃さんがいるから大佐の権限で特殊部隊の範囲で誤魔化せるしな」

志乃「程々にやるわ……よろしく」

早苗「あれ、ところでP君、美優ちゃんどうしたの?」

P「ああ、それならフレイヤのほうにいる。時間があるときは会ってやってくれ」


……
…………
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:17:49.27 ID:7R7/asQG0
――数日後、フレイヤ(ブリッジ)

楓「フレイヤ、艦制御をM-01に譲渡していることを確認しました」

美優「各班からも準備完了の報告が来ています。オート・クレールのスタッフについても……確認しました。フレイヤUは……どうですか?」カタカタカタッ!

ピピピッ!

志乃『こっちも、確認したわ……』

ありす『これで全部ですかね』



ちひろ『それではM-01、及び全ての搭載艦の乗員に連絡します。M-01搭載艦のチェックがすべて完了しましたので、これよりM-01を発進させます』

ちひろ『今回の長距離航行プランについて、全体統括をはじめとした体制は改めて展開されている資料を確認してください』

ちひろ『長距離航行プランでのM-01の主要任務は、プランV3を実施するプロジェクト・ヴァルキュリアに所属するフレイヤの護衛となります』

ちひろ『また、状況により編成配置が見直される場合、他強襲艦についてもノルン艦隊の護衛の他、前線任務に配置される場合もあります』

ちひろ『想定される編成内容についても、再度確認をお願いします』



P「プラン開始……か」

楓「ええ、これで最後に出来るといいですね」

ありす『これで最後にする為に、私たちはクイーンのところに向かうんです』

P「ああ、そうだな」


ちひろ『それでは、M-01発進です。宙域に出た後は光波推進システムを使用し、オートメーション機能による移動に切り替えます』


……
…………
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:19:27.43 ID:7R7/asQG0
――ノルンM-01、フレイヤU(艦長室)

P「91日間の移動の間、予定航路上で複数設定した全艦隊のメンテナンスポイントに到着すれば時間はあるか」

千秋『そうね。タイミング的にも、そこならゾーニング現象の解消が必要なメンバーは貴方のところに向かわせるわ』

千秋『本当はそれとは関係なしに、私たちもM-01に戻れればよかったけれど……』

P「移動中の前線部隊の編成に入ってしまっているから、こればかりはな。S-02には安部中尉もいるし、協力してあげてほしいが」

千秋『わかっているわ。私たちもお世話になっているもの。それにしても、安部中尉は頼りになるわね。防衛ラインでの戦闘でも、ニュージェネレーション隊や私たちのフォローもよくしてくれていたし』

千秋『さすが、貴方の元隊長、かしら?』

P「……そうだな、昔から頼りになるところは、頼りになる人だったよ。まあ、ふざけていたり俺に仕事押し付けて自分はサボってゲームばっかりやってたときもあったが」

千秋『そ、そう……』

P「それでも、面倒は見てくれたからな。ナオや加蓮も、世話になっているし……良い人だよ」

千秋『そうね。貴方、それでもフラれているみたいじゃない?』

P「こればかりは仕方がない。今なら俺も時間があったから話を出してみたが……やはり思うところがあったみたいだ」
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:20:12.85 ID:7R7/asQG0
千秋『対象外になってI@LPの申請を出さなくなって、随分経ったって聞いたけれど……本人がそう言うのであれば、仕方がないと思うわ』

P「千秋は、どう思う?」

千秋『私が思うことは……そうね、強いて言うなら、やっぱり貴方はお節介なのね』

P「……そうか。それでもいいんじゃないかと思ったんだがなぁ」

千秋『あの子、速水少尉のこともね』

P「そちらでの様子はどうだ?」

千秋『内勤なら問題ないわ。シミュレーターでの訓練も、所属時期の割には良い動きをするから、私たちのほうもいい訓練相手になっているわ』

P「それならいい。すまんがしばらく面倒を見てやってくれ。俺も、場合によってはメンテナンスポイント外でもそちらに直接行って様子を見る。機体ごと使って移動すればいいしな」

千秋『あら、それなら……期待してもいいのかしら?』

P「……まあ、構わん」

千秋『ふふっ、それじゃあ待っているわ』


……
…………
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:20:50.04 ID:7R7/asQG0
――数日後、フレイヤU(格納庫)

加蓮「はい終わり」

パシュンッ!

周子「はー……しんど」ハァ、ハァ……

美嘉「これだけぶっ通しだと、ちょっとね……」ハァ……

奈緒「大規模戦闘想定のマニューバ5セット分消化……新しいマニューバ、考えとくか?」ピッ、ピッ

ナオ「ドッキングしたときの運用、他にも何か良いやり方があればいいんだけどなー」

志希「ねー……あたしもこれやんなきゃダメなのー……畑違いなんだけど……」

P「緊急時に必要になる場合もある。自衛の為でもあるし、補助AIも積んではいるが、やれるだけやっておいたほうがいい」

奈緒「フレデリカはまだやれそうだな」

フレデリカ「うんっ! アタシも頑張らないとねー♪」

加蓮「ま、時間だし今日の訓練はおしまい。Pさん、シミュレーター片付けてもらっちゃっていいよね?」

P「ん、そうだな。整備班に声掛けておいてくれ」
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:21:17.53 ID:7R7/asQG0
加蓮「はーい。それじゃみんなはお風呂入ってきちゃっていいよ。片付けておくから」

ナオ「悪い、次の訓練は一緒にやろうか」

加蓮「うん。ブリッジも海賊の人たちが来てくれたから、結構手も空いたしね」

フレデリカ「お風呂オフロー♪」

美嘉「アタシは――」

P「早くしろ城ヶ崎少尉、人数が多いんだ。早く浴場に行くぞ」

奈緒「なっ!?」

美嘉「ぶふぅっ!? あ、ア、ア……アンタ……」プルプルプルプル

P「上官に向かってその口の利き方はなんだ。別にゾーニング現象の解消が必要でないならば何もせん。それに俺はこの後、アインフェリアのレッスンも見なければならないんだ」

ナオ「ああそっか。ありすもレッスンに行ってるしな」

P「そういうことだ。ほら、さっさと行くぞ」

……
…………
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:22:28.79 ID:7R7/asQG0
――フレイヤU(浴場)

奈緒「見るなよ……絶対にこっち見るなよ……!!」ザブンッ!

志希「タオルで隠してるからいいんじゃない?」

P「別に変にジロジロ見たりはせんぞ……というか、この前一緒に入っただろ」

奈緒「こっ、この前、この前は……ああああああ……」

ナオ「Pさん、その話はやめてくれ……あたしも解消が必要だったとはいえ、さすがに今思えばちょっと酷い状況だったし……」

志希「あれねー、あたしもモニターで見てたけど次元を超えたかなりの変態プレイだったね。加蓮ちゃんもテンション高かったしねー」

パシュンッ!

加蓮「ん、何? なんの話?」

美嘉「あ、加蓮も来たんだ」

加蓮「私は計測だけだったけど、時間あるからお風呂入っておきたいし」

フレデリカ「アレ、アタシにも分かったけどヒドイ状況だったよね」

加蓮「ああ、この前の? 『ふふ、どうナオ? 奈緒が見てる前でこんなに興奮しちゃって……Pさんもとっても気持ちよさそう……♪』」

ナオ「ああああああやめろ、やめてくれえええええええ!!!!」

奈緒「……ハハハ……ハハッ」
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:22:57.03 ID:7R7/asQG0
P「再現しなくていい……というか、命令権使って焚きつけたのは加蓮だろ」

加蓮「まあまあ、ナオは耐性ないから仕方ないし、ね?」

志希「艦内映像記録で残ってるから今度見る?」

ナオ「んなもん見るかっ!!」

P「はぁ……」

美嘉「ったく……こ、こんな変態トークしてるところになんて……早く体洗って上がろ……」

フレデリカ「あ、美嘉ちゃんシャワー使う? アタシ体洗ったからお風呂入るから使っていいよ」

美嘉「ん、そう」

フレデリカ「アタシが洗ってあげよっか!?」

美嘉「しなくていいから!」

フレデリカ「ザンネン」

志希「……んふー」

P「ん、どうした博士?」

……
…………
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:23:42.95 ID:7R7/asQG0
――フレイヤ(レッスン場)

ピピッ!

『モニタリング完了。評価結果出力までお待ちください』

ありす「はぁ……やっぱり、まだ合いませんね」

美波「ホクドウではあまり時間も取れなかったし、歌もダンスも合わせる時間がなかったものね。もう少し詰めておかないと」

ありす「むぅ、私だけみなさんと一緒にレッスンが出来ませんでしたから、自分でも仕方がないとは思っていますが……」

文香「そうですね……ありすちゃんとも、もっと早くに練習出来たら、よかったのですが……」

夕美「はいみんなタオル……あっ」

ピピッ!

パシュンッ!

P「どうだ、しっかりやっているか?」フワッ

藍子「Pさんっ、おつかれさまです。いま1パート通したところですよ」

P「評価待ちか。順調であればいい」
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:24:22.81 ID:7R7/asQG0
ありす「私のほうがみなさんと上手く合わせられなくて、やり直しが多くなってますね」

P「ありすは外に出ていたから仕方がないさ。モニタリングの結果、俺も見ておきたいんだが」

美波「今取り終わったの、7つ目のデータですよ。あら、Pさん……?」

P「これか。ん、どうした?」ピッ、ピッ、ピッ


美波「……誰とセックスしたんですか?」スン、スンスンスンッ

P「待て、風呂入ったばかりだぞ。何故わかる」


文香「ここの臭いは……正直ですから……」スンスンスンスンスンスンスンスンスンスン……

P「どこを触っている……ブリッジに戻るぞ」

夕美「あ、そ、それはちょっと……ほらほら、みんなもレッスンに戻ろう?」
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:24:55.94 ID:7R7/asQG0

ありす「なんなんですかこの人たちは……」

藍子「ま、まあ……ずっとこんな感じですし……」

ありす「私としては藍子さんも似たようなものだと思っていますけれど」

藍子「」ドスッ!

P「漫才してるんじゃないんだぞ……漫才したいなら上田大尉に教えてもらえ」

ありす「いえ、私たちはそっちの方面で売っているわけではないので……あ、結果出たみたいですね」ピピッ!

夕美「んー……判定、私たちも結構ズレてるなぁ……」

P「思っていたより赤になってる判定が多いな……まあ、1つずつ潰していこうか」

……
…………
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:26:02.19 ID:7R7/asQG0
――数日後、フレイヤ(格納庫)

パシュンッ!

蘭子「うう……」

愛梨「あううう……」

P「はぁ……」ガコンッ!

晶葉「どうだ、調子のほうは」

P「……悪くない。まだシミュレーターでの操作段階だが、これまでのどの機体よりも動かしやすい」

晶葉「そうか。まだニュージェネたちがやったシステムテストのフィードバックが済んでいないが、現時点の実装内容を反映させた。初期設定は整備長がやったがな」

P「整備長か。であれば、動かしやすいのも納得だ。整備長は、俺のことを分かってくれているからな」

晶葉「本人もこっちに来て熱心にやってたよ。まあ、ナシヤマにいたときは設計も少しやってもらったし、お前の機体だから思い入れもあるんだろう」

奈緒「ふぅ……ちょっとレスポンスが良すぎて反応するのがキツイな……」

ナオ「ドッキングは上手くいくんだけどなー……」

晶葉「ダブル奈緒は機体性能に慣れるのに難儀しそうか。ドッキングを一発でやるのは大したものだが」

ナオ「まあこれが出来ないと、あたしたちが乗る意味ないしな」
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:26:51.54 ID:7R7/asQG0

愛梨「……むーっ」プクーッ!

P「どうした愛梨? そんな膨れっ面して」

愛梨「せっかく私たちもPさんに追いついたかなーって思ったのに……」

蘭子「我が眷属め……」

晶葉「ああ、そういえばナシヤマでリハビリプログラムやってたときはスコア勝ってたな」

P「まあ、今度はこっちも3Nじゃなくて新型のシミュレーターだしな」

晶葉「まあフォートレスも、ベースにリサーヴがあるっていうだけで4機とも新型だからな。これだけ動かせるならお前たちも大したものだよ」

奈緒「新型なぁ……それにしても、あたしたちはドッキング機使ってるけど、他の部隊でVPGOみたいなオプション兵装って運用してないよな?」

ナオ「そりゃあ……コンペで負けたからな」

奈緒「あっ、そうなのか……」

P「ドッキング機を運用する為の人員の確保と、そもそもの開発費が4N作るより掛かりすぎて蹴られたからな。性能は評価してもらったが」

蘭子「GNブーストも実装できたから、猶更4Nでいいよねって話になったし……」
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:28:04.60 ID:7R7/asQG0
晶葉「くっ……!」ダンダンダンッ!

奈緒「んな地団駄踏まなくても……」

P「落とされたとき、相当悔しがってたからな」

晶葉「……まあ、上の連中が私の開発した機体の良さを理解できなかっただけだ。だからお前たちの機体には相当予算入れたからな」

晶葉「お前たちなら機体を問題なく動かせるようになるだろうし、あとは機体本体とシステムの完成が間に合えばいい」

愛梨「大丈夫なんですかぁ?」

晶葉「ギリギリまで作り込む。負荷軽減についても助手に使わせる指揮官用ヴァルキュリアシステムで最大限、本人の負担にならないように対応させる」

晶葉「奈緒たちのシステムについては、フォートレスに積んでいるシステムをベースにしているから早いうちに仕上がるとは思うが」

ナオ「出来たらそれも起動して訓練か……まあ、奈緒がいるならあたしの負担も無いからいいんだけどさ」

P「システムが間に合えば、か……」


……
…………
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:28:47.31 ID:7R7/asQG0
――1ヶ月後、戦闘宙域

菜々「卯月ちゃん前に出てください! 未央ちゃんも!」ボシュシュシュシュシュンッ!

未央『しまむー、ウサミンミサイル来たよ!』

凛『こっちも弾幕張るよ! 2人は合わせて前に出て!』

卯月『はい! CG形態で……!』ガションッ!

ピピピピッ!

菜々「ここは大丈夫……あとは……!」ピピッ!


G型「!!」ギュンッ!

G型「!!」ギュンッ!


菜々「まだG型が……あそこのポイントで戦闘しているの……奏ちゃん!」

ピピピッ!

奏『こっちは大丈夫よ……っ! このっ、しつこいわね……落ちなさい!』ガションッ!

ドガガガガガッ!!

G型「……」ブ、ブブ……

ドガアアアアアンッ!!

奏『私はいいから、混戦しているブリヤントノワールのほうを!』ギュンッ!
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:29:29.21 ID:7R7/asQG0
千秋『巣から追加が出て来たわね……中規模とはいえ、このG型の数は……!』

翠『ヴェールの陽電子砲の準備が完了するまではこちらで対応しませんと……』

菜々「は、はいっ! 翠ちゃん、黒川少佐、援護しますよ! ウサミーン……」ガションッ!

智絵里『こっちも、フォローに向かいます! ニュージェネレーションは前線ラインを下げないようにお願いしますっ!』ガションッ!

ドシュゥゥゥンッ!

菜々「ビーム!!」ズドドドドドドドッ!!

G型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!

G型「!?」

ドガアアアアアンッ!!

千秋『後1匹!』ガションッ!

智絵里『えええいっ!』ブォンッ!

シュパアアアアアンッ!

G型「……」ドガアアアアンッ!!

ピピッ!

卯月『あっ、陽電子砲の発射準備出来たみたいですよ! みなさん下がってください!』

翠『これで対応も終わりですね』

千秋『ありがとう智絵里さん、助かったわ』

智絵里『い、いえっ……早く下がりましょう』ガションッ!

菜々「残りの白蜂が来ないように弾幕も張っておきませんと……!」

……
…………
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:31:00.90 ID:7R7/asQG0
――数十分後、ノルンS-02(格納庫)

翠「機体は整備が終わったらフレイのほうに戻しておいてください」

「了解しました。ニュージェネレーション隊の機体についても同じようにしておきます」



菜々「ふぃー……さすがに戦闘回数も結構増えましたね」

千秋「そうね。次からの戦闘はしばらくS-03とS-04の部隊で対応することになっているから、とりあえずは休むことが出来るけれど」

翠「はい、次のメンテナンスポイント目前でしたからね。このポイントで次元振動が観測されるとは……」フワッ

千秋「どこでも白蜂が空間転移してくる可能性はあるもの。何も、私たちを狙って転移するだけでもないし」

菜々「こればっかりは運ですからねぇ」

智絵里「1ヶ月経ったけど、予定日までまだまだ先……ううう……」ハァ……

菜々「一応遅延してないんですけどね。どこかで遅れるとその分こっちがキツくなりますし」

456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:31:47.31 ID:7R7/asQG0
凛「はぁ、圏外防衛の任務やっててよかった……」

未央「そうだねぇ……連続戦闘に慣れてないと、やってられなかったかも」

奏「……」フワッ

卯月「あっ、奏ちゃん!」

奏「どうしたの?」

卯月「私たちの出撃もしばらくありませんし、ようやく休憩ですね。後で一緒にご飯食べに行きましょう!」

奏「……そうね。卯月も、良いマニューバだったわよ」

卯月「ホントですかっ? えへへ、凛ちゃん未央ちゃん、奏ちゃんに褒められちゃいました♪」

凛「もう……一応同期でしょ。奏を追い越すくらい私たちも頑張らないと」

奏「貴方たちはシステム起動すれば、私とそう変わらない動きが出来るじゃない。同じようなものよ」

未央「いやー、私たちもリスクなしで動きたいから……」

菜々「ささっ、みなさん、整備班のお邪魔になっちゃいますから、私たちも移動しますよー」

……
…………
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:32:19.99 ID:7R7/asQG0
――ノルンS-02(食堂)

桃華「フレイは出撃せずにオペレーターしかできませんでしたが、やはり千秋さんたちが出るならわたくしたちも出たほうがよろしいと思いますが……」

翠「とはいえフレイもプロジェクトの艦ですし、編成も今のところはヴェールで間に合っていますから、時子さんが出さないように考慮しているのは仕方がありません」

かな子「何かあったときに、私たちのほうですぐに対応出来ないのも困っちゃうけど……」モグモグ



卯月「今日から食堂のメニューも変わりましたよね」モグモグ

未央「長期任務でモチベーション維持する為の一環だって」

凛「ふーん……まあ、片道3ヶ月あるしね」

菜々「負傷したり、体調崩したりするのも心配なんですけどねぇ」

奏「……」

卯月「次にメニューが変わるまで順番に全部食べてみようかなぁ……」

未央「同じメニューだってあるでしょ? 定食とか」

凛「……ん、どうしたの奏?」
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:32:47.68 ID:7R7/asQG0
奏「いえ、貴方たち、相変わらず仲が良いのね」

未央「そりゃあ、同じ部隊だからね」

凛「……奏も、部隊あるでしょ?」

奏「私は……別にいいのよ」

卯月「……い、今からでもPさんにお話しして――」


琴歌「まあP様、こちらに来ていらしたのですか?」

未央「んっ!?」ビクッ!


P「ああ、戦闘があったが皆も元気そうだな」フワッ

凛「プロデューサー……と……」

菜々「おや、お疲れ様ですね」

千秋「セカンドドライバーも一緒だったのね」

奈緒「ああ」
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:33:18.88 ID:7R7/asQG0
未央「な……セカンドドライバーもどうしてこっちに?」

奈緒「特殊部隊の運用の件で、財前大佐と話があった。私も特殊部隊の所属だから、P少佐と共に来ることになった」

卯月「な……セ、セカンドドライバーも大変ですね……」

奈緒「お前たち……ふざけているのか?」

凛「いや、久しぶりだからさ……そりゃ間違えそうになるって……」

奏「……」

P「というわけだ。速水少尉、行くぞ」

奏「え……?」ピクッ

P「お前も特殊部隊に所属しているから対象だろう。食事中に済まないが、ついてきてくれ」

奏「……ええ、分かったわ」ガタッ

……
…………
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/26(月) 19:34:02.71 ID:7R7/asQG0
今日はこれで終わります
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 20:27:17.20 ID:41YTQaPao
おつ
智絵里が落ちない……
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/28(水) 02:42:14.60 ID:xKs4VYjx0
自分と同じ顔のやつが目の前でヤられてるって年頃の女の子にはキツイなあwww奈緒の記憶にバッチリ刻み付けられてそうだ
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:40:28.39 ID:R4+0a3FI0
――数十分後、ノルンS-02(通路)

P「運用についてはこんなものか。時子だから話が早く済んで助かるな」

奈緒「いつものことだろう……こちらとしても、出撃要請があった時に上手く立ち回るだけだ」

奏「……」


「P少佐、お疲れ様です」

「貴方は……セカンドドライバーですか。お久しぶりです」


P「うむ」

奈緒「そうか、久しいな……」スッ

奏「……」


P「いまの、知り合いか?」

奈緒「確か……前にS-02側であった作戦任務で、一緒に戦闘をしたことがある」

464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:40:54.71 ID:R4+0a3FI0
ピピピッ!

P「ん……はい、Pです。はい……ああ黒川重工の、お久しぶりです。であれば、少し顔を出します。格納庫ですか?」

奈緒「……?」

P「はい……では今から向かいます。少し待っていてください」ピッ!

奈緒「どうした?」

P「すまん。別件で呼ばれてしまった。大分前に離れたところだったんだが、少し話したいことがあるらしい」

奈緒「そうか。先に戻っていればいいか?」

P「いや、さすがにお前を1人で帰らせるのはな……戻るなら一緒に戻ろう。少し何処かで待っていてくれ」シュッ!



奈緒「……」

奏「……行ったわね、あの人」

奈緒「……さて、どうしてるか」

奏「……こっちの住居ブロック、来る? そのままだと、貴方も息苦しいでしょう?」


……
…………
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:41:44.44 ID:R4+0a3FI0
――数分後、ノルンS-02、住居ブロック(ブリヤントノワールの部屋)

奈緒「はぁー……久しぶりだから疲れるなぁ」パチッ、パチッ

奏「……貴方、その仮面、セカンドドライバーの時はいつも付けていたの?」

奈緒「ああ、フレイヤの外だとナオのこと知ってる人もいるし、同じ顔の人間が2人いるのは困るだろ?」

奏「そ、そうね。その仮面……」

奈緒「まあ、セカンドドライバーでいるときは顔隠さなきゃダメだし、ちょっと恰好付けすぎかなって思うけど……」

奏(いや……まあ、本人が満足しているなら、いいのかしらね)

奈緒「……ところで、こっちは慣れたか?」

奏「そうね。元々は圏外防衛の任務でS-01には行ってたし、少し違うけれど、元の場所に戻ってきたって感じね」

奈緒「そっか」

奏「……奈緒は、私に何も聞かないのね」
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:42:19.49 ID:R4+0a3FI0
奈緒「何か聞いてほしいのか?」

奏「別に、そういうわけじゃないわ」

奈緒「なら聞くなよ……まあ、思うことは人それぞれだし、あたしはあんまり気にしてないよ」

奈緒「それに奏なら、大丈夫だと思ってるし」

奏「……貴方の世界に、私はいたのかしら?」

奈緒「いたよ。だから……ってわけじゃないな。あたしがこっちに戻ってきたのもつい最近で、奏ともそこまで多く話していないし」

奏「それなら、どうして?」

奈緒「……きっと、奏は自分にとって大事なものが何なのか、本当は分かっているんじゃないかって……ただ、いまは見失っているだけで」

奈緒「上手く言えないけど、奏を見てそう思ったっていうか……あたしが、そう信じたいってだけなのかな」

奈緒「少なくとも一緒にここにいるってことは、あたしたちは仲間なんだし……それじゃあダメか?」

奏「……どうかしらね。私自身、自分のことをどう思っているのか……でも、貴方にはそう見えるのね」

奈緒「まあ……はぁー、そういえば翠たちって戻ってこないのか?」

奏「この時間まで戻ってきてないなら……多分、ニュージェネの部屋か、フレイに行ったと思うわ」

奈緒「ふうん……Pさん、いつ頃戻ってくるのかなぁ……」
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:42:45.80 ID:R4+0a3FI0
ピピピッ!

奈緒「ん? はい」ピッ!

P『……セカンドドライバー、M-01に戻る。格納庫まで来い』

奈緒「もう終わったのか?」

P『ああ』

奈緒「……どうした?」

P『何でもない。早く行くぞ』

奈緒「了解。それじゃ奏、あたしは戻るよ。たまには……LiPPSのみんなに連絡くらい入れてあげなよ」ピッ!

奏「……ええ」


……
…………
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:44:20.77 ID:R4+0a3FI0
――ノルンM-01、フレイヤU(ブリッジ)

パシュンッ!

奈緒「ただいま」

志乃「あら……? おかえりなさい」


加蓮「おかえり。あっちどうだった?」

奈緒「戦闘終わった後だけど、みんな元気そうだったよ。集まってご飯食べてたし」

加蓮「ふーん。あれ、Pさんは?」

奈緒「用があるって、戻ってくるなり急いでフレイヤのほうに行ったけど」

加蓮「そっか。こっちも特にやることないし、少し休んでれば?」

奈緒「いや、訓練行ってくるよ。ナオたちは格納庫だろ?」

早苗「熱心ねー。アンタたち、まだ出撃じゃないってのに」

奈緒「今のうちにやれることやっとかないとな。早苗さんも来るか?」

早苗「んー、どうしよ?」

瑞樹「行けばいいじゃない。こっちも暇だもの」

奈緒「まあ……いっか。気が向いたら来てくれよ」フワッ

パシュンッ!

……
…………
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:46:06.07 ID:R4+0a3FI0
――数日後、フレイヤ(格納庫)

整備長「おーい少佐! 機体の設定大丈夫ですかい!」

P「もう少し待ってくれ、晶葉が反映させたデータの確認も残ってるんだ」

整備長「こっちのフレーム調整終わったんで、出来たら俺の端末に連絡してくださいよ! ちょっとS-02行ってくるんで!」

P「ニュージェネの機体の整備か?」

整備長「メンテナンスポイントに着いたし、今のうちに俺のほうでも見とかねえと心配ですから、遅くても半日くらいで戻ってきますよ!」

晶葉「私も同行することにした。そっちはデータの確認は頼んだぞ。なんだったら他のヤツに話して、フィードバックした分も纏めてシミュレーターにも反映させておいてくれ」

P「それじゃあ、こっちが終わったら連絡入れておく。すまんがニュージェネの3人は頼んだぞ。あと、速水少尉の分も」

整備長「へい、一応3NXのほうも見ときますよ、それじゃ!」

470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:47:39.73 ID:R4+0a3FI0
美優「どこも……忙しいですね」

P「仕方がないさ。メンテナンスポイントの滞在期間も3日しかないんだ。ノルンは宙域に出て直接メンテしなければならんし、整備班もしんどいだろう」ピッ、ピッ、ピッ!

美優「機体のほうは……大丈夫、ですか?」

P「シミュレーターも回しているし、何とか間に合ってくれればいいんだがな」

P「とはいえ、今回はフレーム構造も4Nをベースにしないで新規設計した影響で、想定以上に調整の手間が掛かってるみたいで博士も苦労している」カタカタカタッ!

美優「そう、ですか……」

P「フレイヤの作業はどうなっているんだ?」

美優「一度も外に出していませんし、定期メンテだけで……一通り終わっていますので、整備班も他の場所の作業に行ってます」

P「フレイヤは楓さんに任せてしまってるからな。まあ、ちひろさんからは整備班を貸してくれって言われてたし」

P「美優も、時間があるなら休んでいていいぞ。機体のほうは俺や奈緒が自分たちでやるしかないし、志乃さんたちのところに行ってきてもいいが」

美優「いえ……もう少し、ここに……いたいです」

P「そうか」
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:48:30.04 ID:R4+0a3FI0
美優「……」

P「……」カタカタカタッ……

美優「……こうしていると」

P「ん?」

美優「2人きりだったときのことを、思い出します……楓さんや、菜々さん、麗奈さんたちが移行訓練に行って……」

美優「どこでも、2人で一緒にいることが出来て……そのときは、ずっとこの時間が続けばいいのにって、思って……」

P「……そうだな、色々と変わった。俺は、変わったことについては、嫌じゃないが」

美優「そ、それは……他の子たちが、いるから……ですか? 若い子たちが……」

P「お前が一緒にいてくれるからだよ」

美優「……もう」スッ……

P「どうした?」

美優「んっ……」

472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:49:50.52 ID:R4+0a3FI0
P「美優」

美優「はい……んっ」



奈緒「……うーん」

ナオ「機体のガワ挟んでるとはいえ、こっちでも作業してるんだけどな……」

楓「ホント、どこでもお盛んですね」ヌッ

ナオ「うわっ!? い、いつの間に……」

奈緒「あっち行かなくていいのか?」

楓「私ですか? そうですね……まあ、今回はハンカチ噛んで見ていようかなって」

奈緒「意外だな……突入しに行くと思ったんだけど」

楓「前に一応、負けちゃってますからね、私。いまはそんな気はしていませんけど」

楓「負けたことがあるのは本当ですから、たまにはこうしておこうかなって」

奈緒「……別にいいじゃん。勝ったとか負けたとか」

楓「そうですか?」

奈緒「だってPさん、楓さんのことも美優さんのことも好きだし。あたしの世界だったら男としてはどうかと思うけど」

ナオ「いやこっちの世界でもどうかと思うぞ……あたしたちが特殊なだけで」

奈緒「好きなら……一緒にいられるなら、そのほうがいいし」

楓「……なるほど、それじゃあ」フワッ

ナオ「あ」
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:52:00.19 ID:R4+0a3FI0
楓「Pさーん♪」ガシィッ!

美優「きゃっ!?」

P「うおぉっ!? な、なんですか突然!」ビクッ!

楓「ちょっといやらしい気配を感じたので……私も混ざっていいですか?」

P「いや、そんな気配なんて……」

楓「私はこのまま3Pでもいいんですけど……どうですか美優さん?」

美優「ええええっ……わ、私は……」

楓「いいじゃないですか、この人、家だと6Pとか7Pとかやってるんですよ?」




ナオ「あーあ……」

奈緒「……ま、いっか。こっちも調整終わらせないとな」ピッ、ピッ……


……
…………
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:52:48.01 ID:R4+0a3FI0
――1ヶ月後、フレイヤU(ブリッジ)

瑞樹「M-01から連携されているレーダー情報、異常無し……」

早苗「……これ、帰りも同じルート通って帰るのよね」

瑞樹「そうねぇ」

早苗「長い」

瑞樹「仕方がないでしょ」

志乃「……」スー、スー……

早苗「船長なんて寝てるし」

瑞樹「四六時中飲んでるからでしょ。起きたらまた飲むわよ?」

パシュンッ!

愛梨「お疲れ様でーす♪」フワッ

蘭子「闇に飲まれよ!」

早苗「ん? どうしたのボインちゃん、らんらんも」

愛梨「もうっ、ボインちゃんはやめてください〜っ! みなさん、ずっとブリッジにいると退屈かなって思って」ゴソッ

愛梨「食堂でアップルパイ作ったんです。どうですか?」

蘭子「うむ、甘美なる誘惑……ふぁぼっ、ふぁふぉい……」モグモグ

瑞樹「あらいいじゃない。1つ貰うわ」
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:53:33.86 ID:R4+0a3FI0
早苗「へー美味しそうね。愛梨ちゃんこういうの得意なんだ」

愛梨「えへへ♪ 本当はこういうことやるのはダメなんですけど、こっそり自分で材料持ち込んでいたから、おばちゃんに頼んで隠れて作っちゃいました」

早苗「ま、いいんじゃない? 食堂爆発させないなら誰も文句言わないでしょ」モグモグ

愛梨「志乃さん……寝ちゃってますね。1つ置いておこうかなぁ……」

蘭子「……」モグモグモグモグ

瑞樹「数日は戦闘も無いし、こっちは元から出撃することもないし、暇になって寝ちゃうわよ」

愛梨「到着予定日まで後19日……メンテナンスポイントも、あとは5日後に予定している1箇所だけですし、もう少しですね」

瑞樹「そうねえ……」

愛梨「アインフェリアもレッスンはほとんど終わりましたし、ニュージェネやLiPPSも無事ですし……」

蘭子「我が眷属、漆黒の騎士と次元を超えし勇者が、間に合えばよいのだが……」ゴクンッ

早苗「まだ掛かってんの?」

愛梨「この前の戦闘で取ったテストデータで、システムのフィードバックも全部おしまいって聞いたから、もう少しだと思うんですけど……」

蘭子「……そういえば」

早苗「ん?」
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:54:04.10 ID:R4+0a3FI0
蘭子「早苗さんたちって、どうして今回の仕事引き受けたんですか?」

早苗「どうしてって……そりゃあ、コレでしょ」

瑞樹「今回、結構良い仕事よね。うちの船長もホント良い伝手持ってるわ」

愛梨「あー……そうですよね、海賊さんですし、やっぱりお金たくさんもらえるほうがいいですもんね」

早苗「……それだけじゃないわよー? どっかの誰かさんみたいに、ぽわぽわしたような子が危ない仕事してるの見てると、何となく不安なのよねー」

愛梨「そ、そうなんですか? それは……そういう子がいるのも、ちょっと困っちゃいますね」

瑞樹「あははっ! そうねぇ」

蘭子「もう昔とは違うから……こ、こんなに、立派に……なって……」グスッ、グスッ……

早苗「まーアンタたちと仕事するのも楽しいからね。何だかんだと長い付き合いだし、声掛けてくれれば一緒に仕事するわよ」

愛梨「本当ですかっ? それじゃあ……今回のプランが終わったら、次は何のお願いしようかなぁ……」

愛梨「今度は……もっと安全なお仕事がいいですよね」

早苗「そうねえ……ま、のんびりやって稼げれば、お姉さんたちはそれでもいいけどね」

……
…………
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:55:56.14 ID:R4+0a3FI0
――フレイヤU(周子の部屋)

周子「そっか。そっちも暇してるんだ」

奏『この前の戦闘で、次の部隊に交代したもの。後は特に何もなければ、現地での出撃まで待機ね』

周子「現地ねー。フレちゃんたちの星、どんなとこなんやろ」

奏『探査ポッドの映像、見ていないのかしら?』

周子「見た見た、外から見た感じだと、地球とあんまり変わんないよね」

奏『まあ、私も地球には行ったことはないけれど……そうね。思っていたよりは、綺麗だったわ』

周子「まー白いのがうじゃうじゃいるって考えるとね」

奏『……ねえ』

周子「なに?」

奏『美嘉と、フレデリカ……どうしているのかしら?』

周子「聞いちゃうんだ?」

奏『別に……少し、気になっただけよ。何となく……』
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:56:47.47 ID:R4+0a3FI0
周子「冗談だって。あんまり喋ってないかなー……フレちゃん、色々やろうとしてるけど」

周子「プロデューサーやありすちゃんもさ、気遣ってくれるときもあるけど……うん、正直上手くいってない」

奏『そう……』

周子「事情は分かってるから、何も言えないんだけどね」

周子「美嘉ちゃんも、撃っちゃったから後ろめたいって思ってるみたいだけど、それもあってかどうなのか……」

周子「近くにいるだけなら何も言わないけど、くっ付こうとすれば突き放す感じ」

奏『……』

周子「気になるなら、戻ってきてもいいんじゃない?」

奏『お断りよ』

周子「あはは、そっかそっか。ま、そっちで上手くやってるならいいんじゃない? こっちは……ま、終わるまで何も無ければいいなーって」

奏『……そうね』
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 23:57:22.17 ID:R4+0a3FI0

周子「それじゃ、そろそろ切るね」

奏『ええ、それじゃあ』

ピッ!

周子「……」ボフッ!

周子(上手くやれたら、ね……上手く……)

周子「……」スー、スー……


周子「……うん、そっか。そっち上手くいってるんだ。こっちは……ちょっとあかんなぁって」

周子「なーんも無いのが一番なんだけどね。ほんまに」


周子「……」スー、スー……

……
…………
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:01:55.18 ID:/sFNO9CC0
――2週間後、フレイヤ(格納庫)

P「博士、整備長」フワッ

奈緒「新型、仕上がったのか!」

整備長「おう! ギリギリ間に合ったぜ……」

ナオ「ホントにギリギリだったな……間に合わないかと思ったよ」

晶葉「3人とも来たか。シミュレーターでの訓練もやっているしマニュアルも読んでいるとは思うが、一応話しておこうと思ってな」ピッ!

ガショガションッ!

奈緒「おお……これが、新型……!」


晶葉「まずはダブル奈緒の機体だ。NGF-VDPS01Fヴァルキュリアと、NGF-VDPS02Sヴァルキュリアだ。01Fがそっちのナオ、02Sがこっちの奈緒が搭乗することになる」

晶葉「これまでの3N-VPOとは違い、オプション兵装とのドッキング仕様は変更した。両機共にNGFとして単体運用が可能なヴァルキュリアとなっている」

晶葉「機動性、運動性については、どちらの機体も光波推進システムと通常エンジンのハイブリットを採用しているから従来機よりも大幅に向上している」

晶葉「個別の話に移る。01Fはドッキング時にVPSPの役割を担当する。こちらは追加の大型ブースターの標準採用により、更に高度な立体機動戦闘を行うことが出来る」

晶葉「また、試験中だった面制圧用の広域展開兵装についても一部採用している。これもあってドッキング時の武装の大部分は、01Fから選択することになるだろう」
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:02:42.44 ID:/sFNO9CC0
晶葉「次は02Sだ。3N-SDで行われていた近接戦闘、長時間戦闘を考慮し、メインフレームの新造に合わせてフレキシブルスライド装甲を再設計し、耐久性はそのままに機体可動域を増やしている」

晶葉「標準兵装については基本的に3N-SDと同等の物をバージョンアップして採用している。これについては、近接戦闘を行う奈緒の機体操作感を変えないようにしたほうがいいと判断しての対応だ」

晶葉「過去に使用されていたデュランダルWだが、今回新規にHCW-704-SDとして再設計している。追加した仕様としてHCW-211に採用したビーム発信機を増設、超硬度の装甲に対する切断力を更に向上させている」

晶葉「これについては奈緒のソードを使用しての撃破率の高さから、ビーム発信機による斬撃を並行利用することで刀身の消耗を抑えるための対応でもある。実質的にセカンドドライバーの専用装備といったところだ」

奈緒「おおおお……専用、専用装備か……」

ナオ「めっちゃ嬉しそうだな……」

晶葉「あとは……NGF同士のドッキングにより3N-VPOよりも重量は増しているが、光波推進システムと大型ブースターの採用でG型相手にも有利に立ち回ることが出来るはずだ」

晶葉「フレームの改良で高機動戦闘中でもドッキングが可能となっている。ドッキング中に二手に分かれての戦闘や、再度のドッキング等、変則的な立ち回りを求められる状況でもシームレスに行うことが出来る」

ナオ「これでドッキングするときのルート確保もある程度はしなくて済む、か……うん、これならいける」

奈緒「ああ……文句なしだ。ありがとう、晶葉」
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:03:13.25 ID:/sFNO9CC0
晶葉「構わん、これが私の仕事だ。次は助手の機体だ」

晶葉「コイツについては、助手が最初に搭乗したVILS-01から始まり、過去全ての機体運用データを元にお前が動かす前提で機体設計をした。VWPS-02PNヴァリアントだ」

P「ヴァリアント……VWPSか」

晶葉「ダブル奈緒のヴァルキュリアと同様にメインフレームの新造とフレキシブルスライド装甲を再設計したが、そこから更にお前用に調整している」

晶葉「機体の基本性能については限界まで引き上げて、お前の操縦に追従できるよう耐久性、運動性のバランスを取った。現時点では、お前の操縦に対応できる機体でこれ以上の物は作れん」

晶葉「また、光波推進システムによる高機動戦闘やドッグファイトについて考慮した結果、新規兵装としてフロートシールドユニットを搭載している」

晶葉「この機体については通常稼働時にも機体表面に微量の粒子膜を展開し、疑似的にHMMに近い状態を維持して飛行する。その粒子を利用し、機体周辺に粒子保護領域を展開する」

晶葉「これと併せて機体センサーが白蜂の針、粒子砲に反応して機体周辺に一時的な粒子シールドを生成して対象の攻撃を防御する。これにより直接的な回避行動を取らなくとも、ある程度立体機動を維持することが出来るはずだ」

晶葉「ヴァリアントについては、標準兵装以上に基本性能の底上げを徹底的に行っている。これでお前が機体を壊してくるなら、こちらはもうお手上げだ」

P「了解した。操作性についてはシミュレーターでもう十分把握している」
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:03:45.71 ID:/sFNO9CC0
整備長「まーこれで、少佐の機体を毎回オーバーホールしなくて済むようになれば、俺たちも助かるんだけどなぁ」

晶葉「出撃の度に機体をオーバーホールさせるのなんて普通有り得んからな。どれだけぶっ壊す気で乗り回しているんだとぶん殴りたくなるが」

P「まあ……それはすまん。俺の操縦が荒いだけだ。整備長にも、いつも手間を掛けさせてしまっているが」

整備長「ま、俺はいいんですけどよ。とっくに慣れちまってるし」

晶葉「後は指揮官用ヴァルキュリアシステムだ。こちらについては現行の改良型から更にシステムテストを行った試作分も含めて、負荷分散、軽減の面において全てテスト結果をフィードバックしている」

晶葉「現時点でもパイロット1人あたりの負荷がある程度軽減されていることもあり、現行稼働しているシステム搭載機全ての負荷を受け持ったとしても、1時間以上の戦闘が可能になっている」

晶葉「お前自身の負荷も、これで相当減っているはずだ。後は、アインフェリアの分をどれだけ受けることが出来るか……」

P「……」

晶葉「今回の機体については3機共、リミッターを掛けている部分も含めてシステムや機体性能に大分余裕を持たせている」

晶葉「マニューバについても今回はHMMとIMMを同時使用できるよう対応しているから、存分に使うことができるはずだ。後はお前たち次第だ……頼んだぞ」

P「……いけるか、2人とも」

ナオ「ああ、大丈夫だ」

奈緒「これで最後にする……コイツと一緒に、今度こそ……!」

……
…………
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:05:05.02 ID:/sFNO9CC0
――数日後、圏外宙域、フレイヤ(格納庫)

晶葉「……」

整備長「博士! M-01から借りてたコンテナ返してくるけど、もう使わねえよな?」

晶葉「ん、ああ……後はこっちが持ち込んでいる分で足りる。返しておいてくれ」

整備長「へい了解」



晶葉「……」

志希「どーしたの?」フワッ

晶葉「志希か……フレイヤUはどうした」ピクッ

志希「だって暇なんだもん。フレちゃんもさ、どんよりしちゃってるし」

晶葉「仕方がないだろう。事情が事情だ、何かしてやればいいだろう」

志希「最初はさー、そう思ったんだけどねー」

志希「だけど……」


……
…………
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:07:25.57 ID:/sFNO9CC0
――フレイヤU(艦長室)

フレデリカ「……ねえ、プロデューサー」

P「どうした?」カタカタカタッ!

フレデリカ「……怒らないの?」

P「怒られるようなことやったのか?」

フレデリカ「……」

P「なら、怒る必要はないだろう。何もしていないヤツを、俺は怒らんよ」カタッ……

フレデリカ「……だって、何もできてないんだもん。美嘉ちゃんのこと」

フレデリカ「プロデューサー、アタシに言ってくれたよね。美嘉ちゃんのこと、どうしたいかって」

フレデリカ「アタシが、メッセンジャーとお話ししたときみたいに……美嘉ちゃんのことも、分かりたいって」

P「……もう1つ、俺は話したよな」ピピッ!

P「分かり合う為に一緒にいると……だが、もしかしたらそれは、一生分からないかもしれないことなんだ」

フレデリカ「それじゃあ、アタシが美嘉ちゃんと一緒にいてどうなるの? どうにもならないの?」

フレデリカ「美嘉ちゃんと一緒にゴハン食べたくても、お風呂入りたくても、おんなじところに行こうとしても、美嘉ちゃんはどっか行っちゃって……アタシ、アタシ……」

フレデリカ「リカちゃんのことも、どうしてあげたらいいのかって……やっぱり……分かんない……」
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:07:56.49 ID:/sFNO9CC0

P「そうだな。お前たち2人が、どうなればいいのか……俺にも分からん。だがなフレデリカ、あと1つだけ教えてやる」

P「お前のその悩みと、涙も……1つの答えだ」

フレデリカ「え……?」

P「城ヶ崎少尉……美嘉のことを、理解できなかったとして、お前はその後どうしたい?」

フレデリカ「……どう、しよ」

P「離れて別の場所に行きたいか?」

フレデリカ「……ううん」

P「それでも美嘉の近くにいたいか?」

フレデリカ「……う、ん」

P「お前の悩みと涙は、美嘉を思ってのものだ。誰かの為に悩み、涙を流すことが出来るのは……その人のことを好きでいるからだ」

P「最後にはフレデリカの望んだ結果で終わらないかもしれない。だがどんな結果になろうとも、お前はそれを受け入れるしかない」

ガタッ!


P「フレデリカ、こっちに来い」
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:08:44.35 ID:/sFNO9CC0
フレデリカ「……ん」スッ……

P「昔、俺にこうしてくれた人がいたんだ。俺が悩んでいるとき、自分がどうしたいか分からずにいたとき……こうして膝を貸してくれた」

フレデリカ「……」

P「その人の膝の上で、また悩んで、色々考えもした。だが……それも忘れるほど、穏やかな気持ちになれた」

フレデリカ「……うん、プロデューサー……あったかい……膝、硬いけど」

P「もし、辛くて、苦しくて、結果を受け止められないのであれば、俺がお前を受け止めてやる」

P「だから最後まで悩んで、悩み抜いて、お前自身が答えを出して、美嘉と向き合ってやれ」

フレデリカ「うん……もうちょっとだけ……頑張って、みる……アタシ……美嘉ちゃんの、こと……」

フレデリカ「……」スー、スー……


P「……頑張れ。お前はもう、俺たちと同じなんだ。だから……頑張れ」


……
…………
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:09:56.29 ID:/sFNO9CC0
――フレイヤ(格納庫)

志希「多分フレちゃんって、もうあたしたちと同じ人間なんだよ。だから、悩んじゃって、諦めることや、妥協することが受け入れられないんだよね」

志希「本人は理解してないんだと思う。だけど本質的なところはきっとそう。ビーって元々はお互いで意思疎通し合ってるから、そういう感情は初めてなんだよ」

晶葉「だから、何もしてやらんのか?」

志希「うん。その心はフレちゃんが自分で育てていかなきゃダメだから。あたしだと、全部話しちゃうもん。それじゃ成長にならないし……だから……」

志希「だからカレも、あたしと同じようにフレちゃん自身に任せたんだと思う。けど、ありすちゃんの時みたいに、あたしと違ってカレは加減出来るから、フレちゃんの背中を押してあげることも出来る」

志希「アインフェリアをここまで育てたカレだから、とりあえずはあたしも気にしないんだけどねー」

晶葉「……」

志希「最初の対話でみんな壊れたときは、やっぱりダメだったかーって思ったけど、何とかなるもんだね、ホント」

晶葉「……違うな」

志希「ん?」

晶葉「本来ならば、そんな事態になってしまわないように……その為に、私たちがいるはずなんだ」
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:11:02.28 ID:/sFNO9CC0
晶葉「アイツから事象を聞き、観測も出来た。志希のほうでも初期理論の構築は出来た」

晶葉「だが……私はそれを、完全に実現させることは出来なかった」

晶葉「何が科学だ。私たち科学者は、人の未来の為に科学者として存在しているのに」

晶葉「助手を、アインフェリアを……あいつらを不幸にしてはいけなかった」



『P……さ……たすけ、て……』

『身体が、熱い……みんなが、私に話しかけてくる……たくさんの声が、怖い……』

『皆の……恐れ、恐怖……俺の、中で……俺は……おれ、は……』



志希「そーだね、あたしも同罪。だからここにいる」

志希「だけど、みんながここまで辿り着く為に必要な力は、晶葉ちゃんが与えたモノだから……それは、胸張って良いんじゃない?」

志希「せめてそこだけは胸張っておかないと、みんな不安になっちゃうし……ね?」

晶葉「……ああ。グレイプニールも、NGFも……私の成果だ。何も問題はない……それだけは、信じてやらないとな」

志希「そうそう、信じようよ。自分のことも……みんなのことも」

……
…………
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:12:00.07 ID:/sFNO9CC0
――フレイヤU(ナオの部屋)

ナオ「この戦いが終わったらさ」

奈緒「いやいやちょっと待て、その発言はフラグとしか……」

ナオ「んなわけあるかっ! いや、ほら、ニュージェネが跳躍テストとかやってたんだけどさ」

奈緒「あー……そういやそんなことやってるのも見たな」

ナオ「いまはまだテストしてる最中だけどさ、いつかはそれが完成して、クイーンの力が無くても、安全に奈緒の世界と繋がるようになったら……」

奈緒「そうだなぁ……遊びに行ったり、来れるようになったりするのかな。次元崩壊しないように慎重になってるみたいだけど」

ナオ「これ以上クイーンが穴開けまくったらどうなるか分からないからな……」

奈緒「ま、あたしがこっちの世界にまた来れたのも、その穴見つけて飛び込んだからっていうのもあるし……ていうか、次帰れるのかな……」

ナオ「そんなこといきなり言うなよ……前も帰れたし、次も帰れるんじゃないか……多分」

奈緒「今回は、やること全部やって……それでしっかり終わらせてから帰らないとな。加蓮が……待ってくれているから」


……
…………
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:13:16.20 ID:/sFNO9CC0
――フレイヤU(美嘉の部屋)


美嘉「……」


『それでね、アタシ絶対ぜーったいアイドルになるんだから、お姉ちゃんみたいに!』

『だからアタシもお願いして、ナシヤマのオーディション受けにいくから! そっちに行くときは、お姉ちゃんのトコに泊まっていーい?』

『あとね、この間チョーイケてる新しいお店が出来たんだけど、おかーさんお小遣いくれなくてさー、まだ行けてないんだよねー』

『それでね、この前お姉ちゃんが話してくれた雑誌、おかーさんが買ってきてくれたんだけどさ。お姉ちゃんメッチャキマッてたもんね!』



美嘉「……」


P『フレデリカのことを、信じてやってくれ』

奏『仲良くしてあげて。あの子も、貴方と仲良くしたいって思っているから』


美嘉「莉嘉……」


……
…………
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:14:28.04 ID:/sFNO9CC0
――数日後、圏外宙域、ノルンM-01(メインブリッジ)

「S-01から待機通知が届きました。探査ポッドの再射出を実施するとのことです」

ちひろ「ま……待機通知っていっても」

ピピッ!

「対象惑星、スクリーンに出ます」

「生き残っているポッドからの映像、順次切り替えていきます」

ちひろ「前回ばら撒いてここまで辿り着いたポッドが捉えた映像と同じ……当たりですね」

P『撒いたポットが物凄い勢いで食われていくな。さすがに白蜂もこちらの位置を捉えたか……』

ちひろ「そうですね……クイーンは宙域にはいない、となれば……」ピッピッピッ!

楓『あの緑の星……そこにいるのかしら』

愛梨『綺麗ですねー。どんな星なんでしょうか?』

ちひろ「綺麗って……観光に来るだけならよかったんですけどね」

ピピッ!

「S-01から全体通知です。惑星周辺の白蜂、及び蜂の巣が移動を開始したのことです。移動先は……」

ちひろ「光学レーダーの映像をスクリーンに回してください」

フォンッ……

ちひろ「……こちらにまっすぐ向かってきていますね。ま、そりゃそうですか」

……
…………
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:16:07.82 ID:/sFNO9CC0
――フレイヤU(ブリッジ)

P「フレデリカ、白蜂から何か感じ取ることは出来るか?」

フレデリカ「……わかんない。いつもみたいに、怒ってるだけ」

周子「……めちゃくちゃな数やね」

志乃「GS型、G型……数えるのも面倒……」

早苗「前に相手したの、どれくらいの数だったっけ?」

P「大規模級との戦闘の話であれば、恐らくそれよりも遥かに多い。現時点でレーダーで捕捉している数で140……全て白蜂だ。巣は3つ、大規模級程はありそうか……巣の中にもまだまだいるな」

美嘉「これ、全部……これだけじゃなくて……」

瑞樹「あの星にもいるかもしれないってことね、分かるわ」

フレデリカ「みんな……もう、いなくなっちゃったのかな。みんな、アイツらに……」

加蓮「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。クイーン、ここにいないなら……」

ピピッ!

ピピピピピッ! ピピピピピッ!

ナオ「これは……加蓮!」

加蓮「フィールドジェネレーターに反応……次元振動!?」

奈緒「ってことは、空間転移か……!」

……
…………
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:18:13.93 ID:/sFNO9CC0
――ノルンS-02(メインブリッジ)

「空間転移を確認! 一部の探査ポッドがクイーンを捕捉しました!」

時子「スクリーンに出しなさい」

フォンッ……

千秋『これは……あの星のすぐ近くに……財前大佐!』

時子「こちらを迎える気があるのかどうか……まあ、少なくても」

「宙域の白蜂、蜂の巣は進行を続けています! 減速は確認できません!」

菜々『白蜂たちにとっては、いつもと変わらない……ですね』

翠『ではやはり戦闘に……』

「S-01から全体通知、待機状態を解除、コンディションレッドに移行しました!」

時子「チッ……ここからだと、あの馬鹿達の歌も意味はない……戦闘準備をしなさい」

琴歌『わかりましたわ。わたくしたちの為すべきことをしましょう』

時子「M-01とフレイヤ、フレイヤUに個別回線を繋ぎなさい」
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:18:40.76 ID:/sFNO9CC0
ピピピッ!

ちひろ『はい、はい……戦闘準備ですね』

P『フレイヤUは予定通り出撃させる。フレイヤは……』

時子「恐らく、こちらの戦力は分断させることになる……前線部隊の消耗を少しでも抑える為に、アインフェリアは出しなさい」

美波『了解しました。アインフェリア隊、宙域ライブを行います』

時子「退避判断は楓が出しなさい。そのタイミングになる可能性はあるわ」

楓『そうですね。宙域から場所を移して星で後半戦をするかもしれませんし、どこかで切り上げないといけませんね』

P『では俺は出撃準備をする。高垣中佐、フレイヤをお願いします』

楓『はい、いってらっしゃい』


……
…………
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:20:11.36 ID:/sFNO9CC0
――フレイヤU(ブリッジ)

パシュンッ!

志乃「彼も行ったわね……さて、戦闘準備よ。出撃、頑張りましょうか」

ナオ「今回の戦闘は、アインフェリアの歌をクイーンに届けることだ。通常の攻略戦とは違う、消耗戦になる前に誰かがクイーンのところまでいかなきゃならない」

ピピッ!

加蓮「ありす大尉がいないからこっちで説明するけど、今回は後方支援担当のノルンS-06以外のノルンS-01、02、03、05、09、M-01、それの搭載艦はすべて前線になるから」カタカタカタッ!

加蓮「それ以外の補給部隊やモリアン艦は護衛のヴェールと一緒に宙域から離脱。基本的な立ち回りはプランV2と同じ」

加蓮「前線ノルン艦隊の脇にフレイヤを配置して、アインフェリアの宙域ライブを実施……ナオが言った通り、誰かがクイーンのところに行くまで、アインフェリアは歌い続ける」

奈緒「前線部隊もそうだけど、アインフェリアのことも考えたら、どうあれ長期戦は出来ない。時間との勝負でもある」

周子「だからあたしたち全員、フレイヤとフレイヤUは温存だったからねー」

ナオ「プランV3のメインでもあるからな……艦隊の進行ルートの確保はニュージェネ側の仕事だ。それは向こうに任せよう」

ピピピッ!

ありす『すみません、こちらの準備もあってブリッジに行けない状態で』

フレデリカ「メッセンジャー! ううん、大丈夫だよー」

ありす『こちらもフレイヤの専用ステージの展開準備に入っています。フレイヤUはM-01から出撃し前線の強襲艦隊に加わってください』

志乃「ええ……そっちも、よろしく」

ありす『最善を尽くします。P少佐は?』

ナオ「志希と一緒に医務室に行ったよ。すぐフレイヤのほうに行くはずだ。あたしは先に済ませたから大丈夫」

ありす『わかりました。では……お願いします』

ピッ!

奈緒「……よし、あたしたちも出撃だ」

……
…………
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:20:54.74 ID:/sFNO9CC0
――フレイヤU(医務室)

プシュッ!

志希「はい、おしまい♪」

P「……」グッ!

志希「キミはアインフェリアと、戦いに集中して。キミ自身が、やらなきゃならないことを見失わないで」

P「ああ、分かっている。手間を掛けさせてすまんな」

志希「まあまあこれくらいはねー。降下する事態になったら、早めに環境情報は取るようにするから心配しないでね」

P「俺や蘭子なら大丈夫だ。それに、恐らくは奈緒も」

志希「ま、それもそっか♪ 他のメンバーは苦労しそうだねぇ」

P「その為の訓練は行っている。後は本人たち次第だ」

パシュンッ!

P「では行ってくる。博士、後は頼んだぞ」

志希「あたしじゃなくて海賊たちが頑張るんだけどねー。にゃはは、そっちも頑張って♪」

P「当然だ」

……
…………
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:22:58.24 ID:/sFNO9CC0
――フレイヤ(通路)

P「いた……皆」フワッ

美波「Pさん……!」

文香「準備のほうは……よろしいのですか?」

P「ああ。ここから格納庫に向かってカタパルトに移動する。皆は、大丈夫か?」

藍子「はいっ、準備はしてきましたから」

夕美「今度こそちゃんと想いを届けようって、みんなで決めたもんね」

ありす「はい。だからPさん……私たちのことを信じてください。そして、戻ってきてください」

P「必ず戻ってくる。皆の歌が俺の中に響く限り、俺は死なん」

美波「簡単に言うんですから……でも、それなら私たちも、安心してステージに立つことができます」


P「……アインフェリア隊、これよりフレイヤは長距離航行プランの主目的、プランV3の実行に移る」

P「宙域に出た後、専用ステージ上で宙域ライブを実施、クイーンとの相互理解を図り、戦闘を終了させることが今回の任務になる」

P「皆の負担が大きいことは分かっているが……頼んだぞ」


「「「「「はい!」」」」」


……
…………
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:25:47.41 ID:/sFNO9CC0
――フレイヤU、カタパルト(機体内)

瑞樹『フレイヤU、ノルンM-01から出撃して宙域に出たわ。ハッチ開放、出撃していいわよ』

ナオ『加蓮、ウィングバインダーとアサルトパックは大丈夫か?』

加蓮『うん、シミュレーターも回してるし大丈夫、ちゃんとやれるよ』

奈緒「頼りにしてる。あたしとナオの後ろは任せた」

加蓮『心配しないで。私より、LiPPSのほうが心配でしょ?』

奈緒「……ま、何だかんだで上手くやってくれる、そう思っていいんだよな?」

周子『そうするしかないでしょ? まあまあ、ゆるーく頑張るからさ。いいよね、フレちゃん、美嘉ちゃん』

フレデリカ『オー! 美嘉ちゃん、友情パワーで頑張ろー! 待ってろクイーン!』

美嘉『とにかく、ここまで来て四の五の言ってられないでしょ。やることはしっかりやるから』

ナオ『……ああ、その勢いで頼んだぞ』
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 00:26:18.06 ID:/sFNO9CC0
ピピピッ!

整備長『お前ら、しっかり頼むぞ!』

志希『頑張ってねー♪』

おばちゃん『気を付けて行っといで。終わったら何でもご飯作ってあげるから』

奈緒「そっか。よし、それじゃあ行くか……!」

周子『りょーかい。LiPPS、出撃するよ!』

美嘉『行くよ!』

フレデリカ『はっしーん!』


加蓮『それじゃ、私たちも行こっか』

ナオ『ああ……NGF-VDPS01Fヴァルキュリア、出るぞ!』ガションッ!

奈緒「あたしがここに戻ってきた理由……今度こそ、選ぶ為に……」

奈緒「……神谷奈緒、NGF-VDPS02Sヴァルキュリア、出撃する!」

……
…………
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