【鬼滅の刃】貴方の刃【あんこ】

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368 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/10(火) 23:08:22.81 ID:pGZ/BvzCo
>>367


奴は───おれを見くびっている。
見くびっていると言うことは、おれに『油断してくれる』ということだった。それはイヤなことかもしれない。だが、今はとても有利だ。

ありがとう。
おれを信じてくれて。
お前がおれを見下している、と確信していることを信じてくれて。

何よりも、その隙を作ってくれたのは新免さんだ。
おれが戦えないとわざわざ宣言した。そのおかげでおれは奴の警戒外にいる。


新免「は、ッ!」

ずばぁっ!と地面が焼き切れそうなほどの斬撃が生まれる。これは呼吸か?いや、風のうねりを感じなかった。まさかこの人───
いや、そんなことを考えている余裕はない。

なるべく弱者を演じろ。こいつがおれを殺せると確信させろ。

陽炎「弱い!その程度で俺を殺せるか!」

続けざま、がぉっ!と何か動物でも吠えるような声がする。見れば陽炎の腕が高速で生えたと同時に、右腕は蛇のようにうねっている。
咬まれそうになり、新免さんは再び剣を交えた。これも高速、と呼んで差し支えはないだろう。速い!
いったいどうやったら、あそこまで強くなれるのだ?この人はどうやって、いや、どうして鬼狩りになろうなんて思ったんだ?


新免「……遅い!」


遂に新免さんの切っ先が、陽炎を捉える。が、もちろんそれをやすやすとやらせる彼ではない。瞬時に体を縮めたのか、その場から離脱していた。
そしておれは見た。
こいつは新免さんの背後を取ろうとしている!


……今しかなかった。


残っている力を全てありったけ、全身に託す。肺は破れたかもしれない、骨は折れたかもしれない。それでも、それでもだ。
これは負けではない、まだおれは終わってない。まだ戦える。おれは、今この瞬間命を燃やす。


ヒュオオオオオオッ
369 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/10(火) 23:16:47.61 ID:pGZ/BvzCo
ひゅん、と大きな体になった陽炎が勝ち誇った顔をしたのと、おれがその陽炎の背後を取ったのはほぼ同時だった。


陽炎「まずはテメェから!!」

太陽「そうだな、お前からだ」

陽炎「! お前、まだ」

太陽「肆ノ型」


【一陽来復】


ざ、んっ


その刃は普段よりも重く感じた。
ただ頸を斬るだけだ。今までの鬼と何ら変わらないことだ。だが、なんだか重かった。その重みに剣を手放さぬよう、気をつけて、振り切る。



ごとんっ

重いものが落ちる音と、「ぎゃあああああ!!」と言う情けない叫び声が上がったのは、これまたほぼ同時だった。


新免「……よくぞやってくれた」

太陽「はあ、はあ はあ……!」


陽炎「くそう、くそおおおっ!なぜだあああ!俺の、なにが!なにが悪かった!どこから間違えた!」

陽炎「オレだって……こんなノハ想像シ……て……!」


体がもう動かない。ああ、なさけないなあおれ。
そう思いながらその場にへたり込む。陽炎への文句一つもう思いつかないし、体も全く動かない。
遠くからおれを呼ぶ声がした。多分海怜だ。だけど、ごめんな、おれ……今はその問いかけにも答える余裕は、ないんだ。


陽炎「なんだって俺はついてねえ!ああ、やっとここまで……きたのに……!」



壱:太陽君は長男なので気絶しない(強化フラグ)
弐:太陽君だって男の子だから気絶する(強化フラグ)
参:陽炎がなんか恨み節を言ってるのを聞く(強化フラグ)

要は強化フラグ
下弐
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/10(火) 23:37:29.94 ID:drv14cCSO
なるほど!! そうかわかった!!
俺が全力で加速する!!
二人で頑張ろう!!
下弐の安価が出ているはずなんだ 加速するから選択肢を選んでくれ!!
(くもりなきまなこ)

安価なら下
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 01:52:27.47 ID:Qem9AAP6o
末っ子だからいつも愚痴を聞かされてきたんだ
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/19(木) 23:43:17.88 ID:WrNIbicr0
すごいおもろい
373 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/24(火) 09:06:49.22 ID:URS5s3vQo
いつも低速で申し訳ないチュン。
やるか……    ・・
ありがとう、>>372さん
374 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/24(火) 09:20:07.24 ID:URS5s3vQo
>>371


おれは長男だったが、しかし妹が出来るまではよく父母の愚痴など聞かされるものだった。……妹が出来てからは、我慢のすべを学んだのか、それとも不満がなくなったのか、いずれにせよ聞く機会は減った。
夫婦仲はよかったように記憶している、それでも。最終的に行き着くのは、母が死に、父は鬼であった、と言うことだけだ。


陽炎「くそおおお……!」

陽炎「何でだ……オレは、いつも失敗する……!」





(■■、何しているの)
(ああ、かあ様。見てみて、この間の踊り子さんの真似だよ)
(そんなことをしなくても良いのよ、■■)

かあ様は病弱だった。
いつか、音に聞いた花魁が美しくて、ああ、いいなぁ。そうなってみたかったなぁ、と言っていたのを聞いた。
俺には兄弟が六名ほどいたのだが、皆とても優秀で、末の俺は本当に出来が悪かった。まったく、同じ血を引いたとは思えないほどだ。

(でもかあ様は踊り子さんを見られなかったろう?)
(いいのよ、……いいのよ)
(よくないよ!)
(私はね、■■。私より、貴方が大切なの)

いつもかあ様はそんなことを言い、日に日に弱る姿に父は苛立っていた。
夫婦仲はよかったように記憶している、それでも。最終的に行き着くのは、かあ様が死に、父が後を追う姿だ。

かあ様が寝たきりになってきっかり二年ほど。お医者様を呼ぶ金も集まらず、病床でかあ様が呻くように望み、そして父はかあ様を殺した。
かあ様の体は埋めて、丁重に弔った。だけれど、そのせいで家庭の空気も地底のように淀んでしまった。
自分から求めたとは言え───小さな子供達には、母親は大切だったのだ。


陽炎(ああ、ああ)

陽炎(こんな時に思い出す。自分が何者だったのか)

陽炎(今までひとつも思い出せなかったのに、俺は)

陽炎(かあ様、かあ様俺は、かあ様のために)
375 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/24(火) 09:30:49.19 ID:URS5s3vQo
父は、かあ様を殺したあと自らも死のうとしたらしい。ところが、手元が狂ったのか、死ねなかった。
働き者の木こりでは合ったが、その事故のせいで体が不自由になり、仕事をしなくなった。そしてあちこちふらつくようになってしまった。

陽炎(かあ様……)

俺はと言えば、ちゃんとした仕事に就くことは出来なかった。代わりに、村にあった書物をよく読むようになった。
それらは伝承……つまり、物語だ。いわゆる村の言い伝えや、勇者の話だ。そしてそれを小さい子供に向けて演じてやると、子供達はよく悦んだものだった。
俺も、嬉しかった。言い伝えにある勇者を演じている間は、俺は俺ではなくなるのだ。村の勇者が俺で、八又大蛇が俺だったし、日本武尊が俺だった。

それからしばらく。
兄弟達が何かに気付いた。……おかしいのだ。稼いだ金がごっそり減っている。いくら数えても足りない。
そう言えば、かあ様が生きていた頃からそんなことがたびたびあった。父に質問すると、役所の支払いだと言っていた。

だが、違った。


陽炎(……あ)


ある日、その日は珍しく失敗して落ち込む俺が見たのは、昼間のそば屋で日本酒を喰らい、金を羽振りよく支払う父だった。

(あの雌め、俺をたぶらかしたくせにすることだけしたらすぐに寝込みやがった)

陽炎(……)

(男を悦ばせるのが女なのではないのか?全くあいつときたら体も弱かったし)

陽炎(……)

(いつか噂に聞いた花魁のことを羨ましいだなんてあいつは言っていたが……)

陽炎(……)

(あの体じゃあ、顧客ひとり付かず死ぬだろうなあ、俺だってごめんさ)


夫婦仲は、よかったように記憶している。


??「いかんなぁ、女を虐げてはいかんぞ、男」

(ああ?お前は誰、いや、お前はいつからここに)
376 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/07/24(火) 09:40:44.41 ID:URS5s3vQo
風が吹き、気が付けば室内の人間は皆殺しだった。

ぺちゃ、すたすた。
血濡れの床を踏みしめる音がする。
ゆっくりこちらに歩いてくる気配が、全身を粟立たせる。

俺は泣いていた。自分の父が、自分の母を悪く言っていた事実が何よりも悔しく、辛いものだったからだ。

その泣き顔をふと上げると───そこにそいつはいた。派手な髪飾り、着崩した浴衣みたいな着物、見たこともないような装飾、そして。
両目には、『上弦』『陸』の文字。


??「いかんなぁ、子供は笑顔が一番だ」





陽炎(俺はいつも失敗する……)

もしかすると、鬼になることを選んだこと、そのものが失敗なのかもしれない。おれには陽炎の無念はよく分からないからだ。
体が徐々に砂のように掻き消える陽炎の両目から、溢れ出ている涙を見つめそう思っていた。しかしマズいなあ、体が動かない。
それでも何故か声が出た。

太陽「失敗を続ければ───」

陽炎(!)

太陽「いずれ、成功する。いや、失敗は成功になる」

太陽「木々が生い茂る山道を伐採すれば、そこがいずれ道になるようにな」

陽炎(……お前……)

太陽「おれも間違っているのかもしれない。だけど、きっと」

太陽「同じ選択肢が出たのなら、必ず同じ道を選ぶだろう」

陽炎「お前は……強いな……」


さらさら、と陽炎の体が完全に消滅した。
鬼を倒したのだ。

海怜「しっかりするんだ!と言ってもこの怪我じゃあ……」

海怜「『隠』が来るはずだ、医療部隊だ!いずれくるはずだ!それまで耐えろ!」

太陽「……かい、れ」


▼このあと。
壱:太陽くんの入院生活を見る(大体二ヶ月分)
弐:他の人物の視点(今までの登場人物から一人選択)
参:抜粋・ヨハン(仮)の真の名前
肆:そのほか無理のない程度の指定

下弐
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/24(火) 14:46:05.96 ID:mBEh/n5SO
>>1様におかれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます

そして……低速上等!! 今この刹那の愉悦に勝るもの無し!!

安価なら下で。
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/28(土) 23:46:01.59 ID:MsxTP7wD0
いち

そろそろ↓1にしてもいいのでは
379 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/08/26(日) 20:13:11.33 ID:H1U3Myt+O
>>378
ありがとう、そうしてみます


───隠密機動の事後処理部隊、『隠(カクシ)』。普段は鬼と戦うことはない。が。
鬼と戦う隊員を陰から支える役目があり、たとえば負傷した隊員を医療隊のところに連れて行く役割を持っている。歴史の闇に隠れた鬼殺隊の中でも、さらに隠れた存在である。
彼らは剣士を志したものの、剣の才に恵まれなかった者がほとんどであり、であるが故に鬼殺隊の為に暗躍している。
医療隊が時折隠を伴って行動していることもあるため、隠と医療隊が同一のことや、あるいは全く別なのに混ざってしまっていることがある、らしい。


と、まあ鬼殺隊の隊員達はだいたいみんなそのようなものを説明されるので知っているのだが、頭の回らない状態でそんなことが思い出せる訳がなく、
なんだか気持ちが良くなってきたなと思った瞬間にはすでに倒れてしまっていたのだった。


体が動かない中、おれは海怜は無事かな、とか、あの鬼はなんだったんだろうな、とか、新免さんはやっぱりすごいな、とか色々考えていた。
悔しいな。おれがもっと、強かったら。


アカリ「な、なにしてるんですかぁ〜!死んだらどうするんですかぁ〜!」


それから三日三晩寝込んだらしいおれが目を覚ますと、目の前にアカリがいた。
血矢アカリ……いつだかぶりだがものすごく怒っていた。


短髪「肯定する。その通り。なぜ無理をするの」

淡泊な声がさらに聞こえた。黒くてぱっつりと揃えられた短髪……こちらも女性だ……が、見たことのない人だった。誰だろうかと思ったが、つんとして

短髪「否定する。無意味な行動。名乗らない」

太陽「えぇ〜!?」

短髪「指摘する。やるべきことがあるはず」

太陽「え、えーっと……それって……」

短髪「辟易する。完全治癒及び身体機能改善が目的」

太陽「つまり……」

短髪「通告する。……機能改善訓練。まずは傷を癒せ」

ぱぁんっ!!(扉を開いて閉じる音)


太陽「」

アカリ「馬酔木(あしび)さん、やっぱりかっこいいなぁ……」

太陽「」


かっこいいか?あれ?
380 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/08/26(日) 20:24:35.21 ID:H1U3Myt+O
馬酔木(あしび)くるみ、と言う人らしい。そして名乗らない理由は自分の名字が覚えられにくいことをすごく気にしているかららしい、ともアカリは言った。


アカリ「アカリは強くないんですけど、馬酔木さんは本当に……その、強いから……アカリの代わりに馬酔木さんに戦って欲しい位でして……」

太陽「いやいやいや!だってアカリも鬼を倒してただろ!」

アカリ「あうう、あれはその、アカリの【稀血】に喜ぶ鬼をこう、ざんっと出来たからでしてえ……」

太陽「そんなに卑下するなよ!アカリは強い!」

アカリ「!!」


叫んだときに脇腹ががっつり痛んだ。ついでにこのあと馬酔木さんが部屋に入ってきてめちゃくちゃ怒られた。
「忠告する。まず傷を治して。……貴方が剣士になりたいなら。」
最後にそう言われたのと、馬酔木さんの顔がとても怖かったのでおれは言われた通りにすることにした。

アカリはおれと話した日の夜にはすでに起っていて、新しい任務に赴いたと聞いている。
鎹鴉伝に聞いたことだが、海怜も最初は手当されていたそうだが一日そこらですぐ回復したため前線に復帰。今は周囲の集落を襲っている鬼を倒しているんだとか。
前回もそんなことを言って無理をしていなかっかと思ったのだが、それはそれ。海怜にも、きっと譲れない理由がある。それならおれが止めるべきじゃない。

そして新免さんも同じく前線に行っているようだが、どうも彼の場合はさらに色々なところに渡り歩いているようで、情報収集も事欠かさないようだ。


『東雲よ』

『十二鬼月の一体が潜伏しているとの報告が入ったため、しばらくお主に会えぬと思う』

そんな手紙を、律儀に鴉に持たせてくれた。

『生きて戻れればよし、もしもなにもなければその時は、私のような不出来な剣士を嘲笑ってくれ』

笑うだなんて、するはずがないのに。





馬酔木「……」

太陽「……」

そして一月も経たない頃に、馬酔木さんはおれの部屋に入ってきて言った。

馬酔木「愚考する。……すでに回復してもいいはず。それがなぜ」

馬酔木「回復が遅い。理由が分からない」

太陽「えっと、あの……」

確かにその通りだった。
なんだか分からないけど体の骨が上手いこと接合せず、おれの深手が治りにくかった。もしかしたら敵の術のせいかもしれないが。
381 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/08/26(日) 20:33:24.17 ID:H1U3Myt+O
馬酔木「……」

ふと馬酔木さんが懐から何か取り出してぺらっとめくった。手帳?使い古された革の手帳だ。よれよれになっていたが、それでもどうして壊れる気配はない。

馬酔木「……なるほど」

ぱたん

しばらくその内容を確認して、それから何かに納得したのか頷いてから手帳をしまう。そしておれに向き直った。

馬酔木「確認する。師匠はいない。呼吸は独学。間違いないか」

太陽「へ?あ……はい、その通りです……」

馬酔木「……はぁーーーーー……」

でかいため息を付いて馬酔木さんがいらついたような顔を見せたが、すぐにいつもの無感情の表情に戻ってしまう。唇がやや紫色だ。

馬酔木「それでか、それでか、それでか。それでなのか。ああ、理解、理解する、理解する、理解する」

太陽「あ、あの馬酔木さん、おれが……」

馬酔木「提案する」

太陽「はい?」

馬酔木「呼吸の特訓をするべきだ。可及的速やかに」

太陽「……!?」

馬酔木「訂正する。訓練すべきだ。鬼殺隊剣士の誰かと。」

太陽「呼吸の……」

馬酔木「呼吸とは即ち剣士の戦闘法、戦闘流儀の集大成であり、脈々受け継がれた技法」

馬酔木「だが、落涙する。歴史がない、技術がない。新しいものが故に」

馬酔木「だからこそ提案する。歴史とは日々の積み重ね。昨日があった者に解くべき」

太陽「……???」

おれの呼吸は新しいものだから……技法として不完全、と言うことだろうか……?



壱:馬酔木さんに稽古付けて欲しい
弐:でもそんなこと出来るひとが……
参:おれは自己流で行く
肆:そのた

下壱

内部判定:柱は今何人いるかな判定は当書き込み小数点末尾で。ゼロは10扱い
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 21:29:38.11 ID:uQqx4wa20
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/27(月) 01:15:45.41 ID:8O7CmjjSO
俺が謝る!! 俺が詫びる!!
更新が来ていたの忘れててごめぇええええん!!!
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 20:30:08.99 ID:HjhKq5AZ0
どうしたのSS速報直ってるじゃない
皆のため?皆のためかな?皆のために頑張ったんだね
とても嬉しいよ作者ついに回帰かな!?(以下略)
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/20(土) 23:21:46.19 ID:lCL60t/80
速報直ってんじゃねーか!!もっと騒げやアアア!!!
386 : ◆z.6vDABEMI [sage saga]:2018/10/21(日) 21:21:46.62 ID:vp8rtxkHo
ここからは派手に行くぜ!!!
387 : ◆z.6vDABEMI [sage saga]:2018/10/21(日) 21:28:21.53 ID:vp8rtxkHo
>>382
柱は七名


太陽「誰かと……呼吸の、だけど」

おれはそこで言葉を区切る。なんせ、おれの知り合いなど手で数えるほどしかいないのだし。

太陽「そんなこと出来る人、いるのかな」

馬酔木「もしも、」

太陽「え?」

馬酔木「もしもおまえが本気ならば、東雲太陽。今出来ることを全てこなすべきだ」

一言、とてもまじめに馬酔木さんはそう言った。今までとも口調が違うし、何よりもとても澄んだ声で、耳の奥までよく届く声だ。

馬酔木「……口を、滑らせる」

太陽「な、な、なんですか馬酔木さん、突然……」

馬酔木「到着する。いずれ、ここに【柱】が」

太陽「……はしら……?」

馬酔木「鬼殺隊の上位集団、或いは我々を支える要、つまり建物を支える柱」

馬酔木「妄想する。もしも、貴方が誰かに取り入ることが出来れば、と」

太陽「……!」


なんだそれ、
なんだそれなんだそれなんだそれ!
すごく……わくわくする話だ。


馬酔木「故に現実を見せる。柱には、話すら出来んだろう」

馬酔木「だからこそ告げる。貴方がここでやるべきことを考えて」



壱:とにかく全力で怪我を直そう
弐:今すぐにでも駆け出し柱の下へ
参:馬酔木さん、もしかして?
肆:そのた

下弐
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/21(日) 22:39:44.36 ID:2D9R2PEro
遂にここも復活したか
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/22(月) 18:00:11.31 ID:r3Oa8Fbq0
復活おめ
3
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/24(水) 21:01:09.83 ID:GFBhgHySO
いつ(この板がまた)死ぬか分からないんだ俺は!!
だから更新して欲しいというわけで!!
頼むよォ――――ッ

と思っていたから>>1が復活してくれて嬉しい。

希望の光だ!! >>1さえ生きていてくれたら絶対勝てる!!
391 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/11/16(金) 23:11:52.43 ID:6V/jA9Dko
>>389


太陽「あ、馬酔木さんもしかして……」

馬酔木「言っておく、念のために。私が柱だと思っているなら、それは違う」

馬酔木「ついでに、私が柱との橋渡しをすると思うなら、それも間違い」

馬酔木「しない、なにも。助言する、あとは貴方次第」

くるり、と馬酔木さんが背を向ける。おれの動きを見なかったことにするような……あれ?もしかして、そう言うことか?

馬酔木「……行け。どうせこのまま寝ていても、何も変わらない、何も分からない」

太陽「あ……」


この機を逃せば、いつ次の機会が訪れるとも分からない。行くしか、ない……!

次の瞬間、おれは走り出していた。馬酔木さんの横顔を一瞬、ちらっと見たら少しだけ笑っていて、なんともいえない気分になった。
あんなに気の強そうなお姉さんの笑う笑顔もまあ悪くないな、というか、みんなが笑顔になれるように、おれは戦うんだったなと改めて思い直す。
廊下をぱたぱた走っていくのはそれはそれははしたない行為なのだけれど、ごめん!今のおれはちょっと時間がないんだ!
かと言って完治していない怪我が響き、結局大した速度は出なかった。


女の子?「わわっ、と!」


……成果は出たのだが。
392 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/11/16(金) 23:17:34.89 ID:6V/jA9Dko
そこにいたのは、真っ黒な髪の毛を床に着くか否かと言うほどにまで伸ばした愛らしい顔の人だった。
おれにぶつかりそうになり、思わず足を止めたらしい。短く息を吐いて、そしてなんとかそこに踏みとどまった。


女の子?「ちょっと、危ないよぉ!廊下は走っちゃダメ、っておやかた様に言われなかった?」

太陽「ああ、す、すみません!その、急いでいて!」

女の子?「急いで?どうして?」

太陽「それが……その」

女の子?「廊下を走るなんて真似をしでかすくらいなんだから、よっぽどの事態でしょう?一回話してみなさいよ!」

太陽「……会いたい、んです」

女の子?「ん?」

太陽「柱の方に、柱の……剣士様に、会いたいんです」

女の子?「ふぅん?会ってどうするの?」

太陽「その、おれ、呼吸が我流で、ちっともちゃんとしてないって分かったから……コツを教えてもらおうと思って」

女の子?「呼吸が……我流?そんな、まさか」

女の子?「呼吸は素人が適当にやって身につくようなものではないのに……君って一体」

太陽「特に大したことのない剣士です。最近、戦いを始めたばかりの剣士です」

太陽「あまつさえ敵に侮られ、さらには呼吸が未完成故に怪我が未だに治らない……そう言うものなんです」

女の子?「ふぅーん……」

すると、不思議なことにその人はくすりと小さく笑ってから、おれにこんなことを言ったのだ。


女の子?「ねえ、ぼくが柱のひとりだ、って言ったら、君はどうする?」



壱:教えてください!(食い気味に)
弐:弟子にしてください!
参:え……?ほんと……?
肆:ぼく……?
伍:そのた

下弐
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/17(土) 01:42:11.27 ID:e1W+y/LY0
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/17(土) 02:44:45.28 ID:g/kAwSrSO
とりあえず俺は選択肢 壱 を選んで下山するぜ
395 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/11/26(月) 20:36:57.16 ID:vZbLcSZno
チュン(今週から月曜日は鬼滅の日になります。宜しくお願いします)
396 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/11/26(月) 20:49:57.32 ID:vZbLcSZno
>>394


太陽「ほ、本当ですか……」わなわな

女の子?「ねえ、どうす」

相手が言い終わるよりも早く、おれは動いていた。

太陽「教えてください!!」

女の子?「す……る……」

太陽「お願いしまーーーっす!!」

女の子?「!?」ぎょっ

太陽「……おれは役に立ちませんでした。大切な人達を、このままじゃ守れない」

太陽「だから、もしも強くなる方法があるんだとしたら、なんだってやりたい。それで鬼が、殺せるなら」

女の子?「っ……」


思い出したのはあの日のこと。
おれの父が、母の胸を抉る姿。
おれの平凡が一夜にして消し去られたあの因縁の日。あいつを殺せるなら、なんだってやってやる。
しかし、おれには足りない。なにもかも足りない。馬酔木さんに言われたとおり、おれには歴史もない。絆もない。
それなら、この人が気まぐれでもいい、おれに何か教えてくれると言うんだったら、教えてもらおうじゃないか。

それでおれが鬼を殺せるなら。


女の子?(凄く……悲しい子。刀のように強いけど、脆い)

女の子?(きみは……)


太陽「あの!」

女の子?「は、はい?」

太陽「師匠!師匠のお名前を聞いていませんでした!」

女の子?(もう師匠認定なのかな!?早くない!?)
397 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/11/26(月) 20:56:12.85 ID:vZbLcSZno
太陽「お名前を聞いていいでしょうか!」

女の子?「……あら、それならまず自分が名乗るべきでしょ?ねえ」

太陽「う……それは確かに……」

こほん、と咳を一つ。

太陽「おれは東雲太陽、まだ新米ですが鬼を狩るためなら何でもやります!」

女の子?「……」

───きらきらと、ぎらぎらと。本当に太陽の光みたいな目をしている。
そんなことをあの時、師匠は思ったそうなのだけれど、そりゃ言葉にして言うはずがなかった。言ってしまったら、ついぞ余計なことまで言ってしまいそうだったらしい。
それでもその輝きを真っ向から受け止めた師匠は、はははと一つ笑いながら言った。

女の子?「ダメだよきみ、おやかた様からこうも言われなかった?無駄に死んではいけないよ、とも」

太陽「そもそもおれ、おやかた様?に直接お会いしていません!」

女の子?「はっ!そうか、きみはまだ柱でもなんでもなかったんだ!」

今度咳をしたのは師匠の方だ。

女の子?「人に名乗られたならば名乗らなければ。ぼくは【ミツキ】。【満月 ももとせ】、【月柱】と呼ばれてるの」

太陽「は、よ、よろしくおねがいします!」

ぎゅ、と手を握って。そうして、気が付いたんだ。堅い───それに、とても、強い───

太陽「もしかして師匠……」



壱:厳しくお願いしますイテテテ
弐:実は男の子なのではイテテテ
参:柱とはどんな人なのですイテテテ
肆:何を言っても古傷がイテテテ

下弐
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/26(月) 22:12:05.89 ID:nk/S+RZSO
>>395
私は夢見心地でございます。
毎週月曜日に続きを書いて頂けること。
鬼滅のSSを読めて楽しかった。
幸せでした。
鬼滅のSSを読むのが大好きなので、更新してくださってありがとう。


安価なら惨
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/01(土) 09:08:54.89 ID:mZNBM7dSO
400 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/03(月) 23:25:43.73 ID:BzYTQGLBO
>>399


太陽「は、柱とはいったいなんなのでしょう?」

満月「うむ。柱とはそれ即ち、この隊の大黒柱。みんなをまとめる大きな存在なんだ」

満月「ぼくの他に七人の柱がいて、それぞれがその流派に応じて呼ばれているんだよ」


今の柱は
【月柱】【水柱】【炎柱】【鳥柱】
【剣柱】【死柱】【血柱】


満月「そして【人柱】と呼ばれているようだ」

太陽「人柱はちょっと なんかすごくイタタタタ」

満月「まあまあ、自分からそう名乗ったんだ死仕方がないね」

太陽「たた……はあ……」

いったいどんな人達なのだろうか?

太陽「ところで師匠」

ぎぎこぎぎぎぎ

太陽「いつ手を離してくれるのですか」

満月「ん?そうだなー、きみがちゃんと部屋で安静にすると約束したらかな?」

太陽「は、はい!」

満月「よろしい。ぼくは注合会議に出てくる」

するっ

満月「その後で鴉をきみに寄越すよ。書いてあることをよく読んでね」


両の髪をだらんだらんに垂らして、むしろ引きずりながら師匠は走っていってしまった。
廊下を走っちゃだめなんじゃないのかよ!
401 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/03(月) 23:33:39.97 ID:nMsQce8vo
それからしばらくして、本当に鴉は飛んできた。
おれのところに便箋を寄越したのだ。


『拝啓、東雲くんへ
きみが独学で呼吸を覚えたと聞いて、ぼくはとっても驚いたよ!特別なわざだからね、自分だけで作るようなものじゃないんだ。
だからきみにひとつ良いことを教えよう
そこにいる馬酔木さんと言う人は、とある事情で前線を引いた元柱だ。
そのひとに、【全集中・常中】について聞いてみるといい。きっと役に立つよ
それから技だけど、また今度みる機会を作るつもり
それまでは悪いんだけど、下級鬼を退治する役目が来ると思うからそのつもりで

早くけがなおしてよ!』


うう……悪い気持ちになる……。


馬酔木「常中?……バカな、この程度のガキに教える気か、ももとせ」

太陽「うう……ん」

馬酔木「……まあ、許可する。仕方があるまい、指示だからな、柱の」

ついでに話はとんとん進んで、馬酔木さんはおれに常中と言う全集中を教えてくれることになった。
常中、つまり、いついかなる時でも全集中の呼吸を使えるようになるらしい。
全集中、って言うのは技を出す前の呼吸でしょ?つまりあれをずっと………

太陽「えーっ!?無理です!!」

馬酔木「あきらめるな。堅いはずだ、意志は」

太陽「!」

馬酔木「始めるぞ」


そうしておれの前に置かれたのはひょうたんだった。


太陽「!?」



ひょうたん割れるかな判定
下参までコンマ二桁の連続連携
合計百以上で合格
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/04(火) 00:46:53.64 ID:ZKIe2gGz0
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/04(火) 01:02:49.52 ID:60GY2AbSO
嫌われてない柱さん「水柱はいない」


柱が既存の水・炎を含めて全部気になる……
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/04(火) 14:07:57.63 ID:gx33dzhHo
一応そい
405 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/10(月) 20:51:36.79 ID:1iaSz9Q6o
今週も元気に鬼をばっさばさ!
406 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/10(月) 21:08:59.21 ID:1iaSz9Q6o
百達成でひょうたんぱーん!


曰く。


馬酔木「これを、何のためにするのか。おまえ、気になるか」

太陽「えーと……?」

馬酔木「このひょうたんは特注だ。ただ息を吹いただけでは壊れない、それをおまえが、おまえだけの力で、吹いて壊す。そのために作られたのがこのひょうたん」

ことん

馬酔木「全集中の呼吸、おまえが技を出す前に体全体に息を回すための呼吸がそれだ。それを常に、四六時中行う、それが【全集中の常中】」

馬酔木「ただの足かけでしかない。ただのひとかけらでしかない。だがこれができれば、おまえと他の差はきっと埋まるだろう、そして」


がっ、とひょうたんを馬酔木さんが掴む。そのまま、口にそれを当てて───


ぱん。


太陽「」

馬酔木「ふー……やはり、落ちたか……現役を退くとどうも気が緩んでいかんな」

太陽「」あぐあぐあぐ

馬酔木「……」

太陽「」あぐ……

馬酔木「……やるんだぞ?おまえが」

太陽「」あぐあぐあぐ


どうやら馬酔木さんは、普段の口調だと余りに喋りすぎてしまうし、それに口もとても悪くなるので、あえて今までの喋りづらそうな口調で喋っているらしい。

(馬酔木「いや、他の奴に口が悪いと怒られてな」)

(怒られるとかあるんだ……)

(馬酔木「回想する……そう、あれはまだ【人柱】が柱になったばかりの頃だったな……」)

(話長そうだな……)

(馬酔木「たでまるが私の口調を注意したのだ……」)

(人柱の名前かな……)


その後数時間その話をしていたのでおれは意識を失いそうになったのだが、途中で『これこそが全集中の呼吸の練習なのでは!』と気づいた。
馬酔木さんが無駄なことをするはずかない。つまり、この話の間は全集中をとにかく続けろ、そういう理由でずっと喋っているのではないかと思ったのだ。
結局おれが死にかけ一歩手前で話が終わり、「ぼさっとするな、始めるぞ」などと言い出したため早々に逃げ出した。


馬酔木「あいつめ……最初の練習を早速放棄か……」←鍛錬じゃなかった
407 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/10(月) 21:15:47.00 ID:1iaSz9Q6o
それから数日、数週間と時間は過ぎていく。
おれに課せられたのは『四六時中いつでも全集中の呼吸を続けること』『毎日ひょうたんを吹いて割る練習をすること』のふたつだ。
傷をいやしつつ、機能を改善しつつ、様々なことを繰り返しながらも作業ではあったし、なによりも前進が見えなくて、おれは日々焦っていた。

が───

二週間ほどだったろうか、ついに一番小さなひょうたんが割れた。水風船位の大きさだが、それでも進歩に思える。
ぱん、と小さな音を立て、おれの手の中で割れたのだ。


馬酔木「な……早い……!?」

太陽「割れた……ひい……はぁ……」

馬酔木「おまえ……遂げたのか、それを……!?」

太陽「はぁ……はぁ、はぁ……?」

これが『遅い』と思っていたのはおれだけらしい。

馬酔木「誉めてやる。まさか……こんなにも簡単に越えられると少し驚く」

馬酔木「だが、付け足す。これは終わりではない。全集中は続ければ続けるごと、限界を更新できる」

馬酔木「人間の可能性を究極に引き出す技、それこそが【全集中の常中】である、それを忘れるな」

太陽「……! はい!」


と。

ばさばさばさ!

鴉『カァー!任務!任務!至急読マレタシ!』


太陽「うわ!?」

馬酔木「到来?……鴉、何かの依頼か」

ばさ

馬酔木「受け取れ。そして読め。おまえ宛の手紙だろう」


▼新たな戦い?
壱:鳥柱と合流?
弐:死柱からの依頼
参:人柱が呼んでるってよ
肆:そのた

下弐
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 23:26:51.26 ID:RpERDrd10
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 09:29:18.77 ID:sdYrjmlSO
肆、壱+刀鍛冶からの手紙
410 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/11(火) 18:27:14.16 ID:looRzupxo
>>409


ぺらっ


             ズオオオオオオ
『お前俺の打った刀を刃こぼれさせたらしいなこの滓が塵が早く体を治して刀に相応しい剣士になれなれないならそのまま死んで鎹鴉の餌になれ朽ち果てろ刀が傷つくのはお前の腕がないせいだふじこふじこむっきーん』
   ォォ ォォォォォ

太陽「はぁ……ぅっ……!?」ぞわっ

馬酔木「鋼鐡塚め。だからお前の剣を取る剣士が減るのだ」

もらった手紙は悪意が満載に込められており、端の方などは怒りのせいかちょっと血とか付いていて恐怖の対象だった。ええ……。
それを見て引くと言うより呆れる馬酔木さん。え、これなに、日常茶飯事だったりするのかな?ちょっと勘弁していただきたい。
と言うかこの人絶対あれだ!最初の頃におれにまで襲いかかってきた人だろ!絶対そうだわ!と言うかこんな人以外にいないのか、刀が打てる鍛冶!!
(>>35らへんの話)
おれ別な鍛冶の方がいいかなぁ、この人が悪いと言うわけではないのだけれど!けれどね!


ひらひら……

太陽「ん?あれ……まだ手紙がある?」

馬酔木「……来たか」

太陽「えっと、来たかとは」

馬酔木「恒例行事。【鳥柱のお守りの依頼】だ」

太陽「!?」むむむ!?


『拝啓
突然のお手紙をお許しください。私は鳥柱の側近、飯塚と申します。
月柱様より、こちらの館に鍛錬中の剣士様がいるとお伺いし、筆を取らせていただきました。
つきましては誠に身勝手なお願いではありますが、【鳥柱の遊び相手】になっていただけませんでしょうか?』


太陽「あの……これって……どういう?」

馬酔木「これも試練。東雲、柱とはどのような人間がなるか、分かるか?」

太陽「え?ええと、強くて、鬼を倒せて、人を守れて……」

馬酔木「そして、時に人に愛される者だ」

太陽「……?」


411 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/11(火) 18:35:13.53 ID:looRzupxo



『私の鴉を付けておきました』

『どうぞ鴉に導かれるまま、鳥柱の屋敷にお越しください。そこからはそう距離はありません』

手紙の内容がよく分からないままだったが、断れる訳もなかったのでとりあえず行ってみることにした。それにしても鳥柱の……遊び相手?
帯同する任務の依頼ならばまだ分かる。おれみたいな下っ端に頼むかどうかはさておいてだけど。だが、依頼としてはちょっと分からない。
そもそも、師匠はなんでおれのことを鳥柱に紹介なんてしてくれたんだろうか……。馬酔木さんが恒例行事だとは言っていたけど……。


ぎぎい

太陽「あっ」

気付けば鳥柱の屋敷はすぐそこだった。


側近「お待ちしておりました」

ぺこりと頭を下げるのは、飯塚さんと言う人だろう。隠と同じような服を着ており、顔もしっかりと隠している。真っ黒い。暑くないのか?

太陽「あっ、はい、東雲 太陽です、よろしくお願いします……それであの」

側近「はい、鳥柱がお待ちです」


すたすた歩いていく。とてものどかな場所だなとすぐに分かった。太陽の光がまぶしく、とても柔らかく降り注いでいる。少し眠くなってくるほどだった。
……そうして招かれた先にいたのは。


だだだだだだだ


鳥柱「わぁーーーーーー!!!!!!」

太陽「あ”ぁ”ーーーーーー!!!???」


裸。
そう、裸だった。裸の。男性。成人男性。

側近「鳥柱様、服をお召しになられてください。風邪を引きます故」

鳥柱「よくわかんない!なに?」

側近「服を着てください、風邪を引きます」

鳥柱「うんー!」

もそもそもそ

鳥柱「着れないー!!」ぼはぁ

太陽「!?」
412 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/11(火) 18:44:24.56 ID:looRzupxo
側近「ああ本当に貴方と言う人は……」こそこそ

鳥柱「あはははは!あはは、くすぐったいよぉー」


太陽「……」

えーと?……なにこれ?

鳥柱「んしょっ!」

服を着終わった鳥柱がこちらを向く。すごい笑顔だった。怖いくらいの笑顔。

鳥柱「もう遊んでいい?」

側近「だめです。まず名前を言わないと」

鳥柱「えー?なんでなんでうるさいふにゃちん!」

側近「私はふにゃちんではない」ぎろ

鳥柱「うひゃひゃ怒ったー!」

太陽「……あの……あの……?」

鳥柱「あ、人だ」

ぐいん。いったいどこから伸びてきたのか、首がおれの方に伸びる。突然、口付け出来そうな位に顔の距離が縮まって、びくっと体が震えてしまう。

太陽「し、しののめ……太陽です、太陽と呼んでください……」

鳥柱「わかったー!」

太陽「……」まむまむ……

側近「貴方も名前を名乗って」

鳥柱「すずめ!」

側近「鳥柱様」

鳥柱「……【角田 雀】、だよ。いっしょに、あそぼ?」

太陽「は……」

鳥柱「ねー?あそぼー?ねー?あっちの木から柿とってこよー?」

太陽「……」まむまむ

なんだこの空間……!!??
えっと、えっと……この人が鳥柱……なんだよな?

太陽「お……おいくつで……」

すずめ「いま二十八!」

太陽「」


▼聞きたいことが山ほどあるんですが。
壱:すずめちゃん(※28歳男)と遊ぶ
弐:ちょっと側近さん、仔細を……
参:うおおお師匠!と怒りの鎹鴉
肆:そのほか

下弐
名前は後付けしたらこんなことに。とよもとはいない。なぜなの。
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 18:48:28.52 ID:mgKVifE30
1 チュンチュン
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 21:24:59.45 ID:uBUTspjk0
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 00:55:25.88 ID:4soEc0ySO
乙です。刃こぼれさせてたんかい太陽……
折るなよ?
かっとなってぶん投げるなよ?
416 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/17(月) 18:57:17.93 ID:67NnG0G7o
すずめちゃんの設定は出来た瞬間に投下しました、なんか大切にしたい子でした
417 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/17(月) 19:04:29.33 ID:67NnG0G7o
>>414

すずめ「行くよー!」

太陽「!?」

すずめ「せーの!」

なんで気が付かなかったんだ?
この人……普段の呼吸から【全集中】をしているのか!?そんな……と思った次の瞬間、疾風のように鳥柱さんは走っていってしまった。
まあさすがに飛んだりはしないんだろうなと思ったけれど、かといって常人で出せる速度ではなかった。
めちゃくちゃに早すぎる。どんだけ早いんだ。

すずめ「ヒャハハハ!」

太陽「あ、ま、待ってください!」

いたたたた。まだ傷が痛む気がしたけれど、きっと気のせいだろう。おれも息を大きく吸い込み、それから駆け出す。
鳥柱さんほどの速度は出なかったけれど、それでも普通の人からすればまあまあ早い方だろう。

だ、け、ど!

太陽(まあまあじゃあ……追いつけるわけ、ないん……だよなぁ!)

へろへろになってやっと鳥柱さんに追いついたが、すでに本人は木の上に登って柿を取っていたのだった。

すずめ「遅いー」

太陽「はあ、はあ、すいま、せ、はあ……」

すずめ「キカイはもっと遊んでくれるよ?」

太陽「はあ……はあ、は、きかい……、」

すずめ「うんー!ひとばしらー!」

太陽「」はあはあ

うーん、実力の差はこんなところでも。
柱ともなれば、このむちゃくちゃな速度にも対応できるのだろう。疲れもなく走っていけるんだろうなあ。


太陽「ひゃあ……」へと

それから数回走ったが、当然おれなんかが追いつけるはずがなかった。

すずめ「いひひひ、ちんちーん」ぺち

太陽「恥ずかしいので……その……はあ、股間を叩かないで……ひいひい……」


418 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/17(月) 19:10:05.15 ID:67NnG0G7o
その日の夜は体中が死ぬほど痛かった。
もう、なんだろうな、今までで一番痛かったまであるかもしれない。陽炎との戦いでもこんなに痛いこと無かったのになとものすごい頭を抱える。
恐らく、だが。おれも常、【全集中の常中】をしようと心掛けているが、こんなにも長い時間【全集中状態で走る】ことをしていなかったのが敗因だろう。
今ではすっかり全集中状態の呼吸が続かず、通常の呼吸に戻ってしまっている。そして、反動のように全身が痛みに遭っていると言うわけだ。


痛みに耐えかね、風呂を借りた後布団でごろごろしていたら、いつもの側近の飯塚さんが部屋にきた。鳥柱さんを寝かせてきたらしい。なにからなにまでしてもらって申し訳ない……。

側近「ご無理は禁物ですよ、若い方」

太陽「はあ」

しかしおれも、頼まれてきたからにはそれなりにやらなければならないのではないか?

側近「……鳥柱様の遊び相手を真に務められるのは柱、もしくはもう鬼でなければ難しい」

太陽「鬼!?」

側近「あの方にとっては、純粋な意味で───鬼は『壊れない玩具』なのですよ」

太陽「……」

側近「……気になりますか、鳥柱のこと」



壱:鳥柱は大人なの?子供なの?
弐:なんで鳥柱の側近やってるの?
参:キカイってだーれ?
肆:そのた

下弐
419 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/17(月) 23:36:10.74 ID:67NnG0G7o
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/18(火) 00:03:38.88 ID:BmFRjLp40
1 ロリショタってええやん?
421 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/18(火) 00:22:27.16 ID:R8deOayGo
>>420

太陽「ええと、その………聞きにくいのですが」

側近「なんですか?」

太陽「鳥柱さんは、大人なんですか?それとも子供?」

側近「………」

そして側近さんは口を開いた。最初のうちは周りからの伝聞や、お館さまから聞いた話、らしいが。

側近「鳥柱様は、生まれた時から病を患っておられます」





穏やかな村に、のちの鳥柱こと雀は生まれた。
幼い頃に酷い病熱を発生させ、その処置が残念ながら間に合わなかった為か、脳にすこしばかり病が残ったのだと誰かは言う。
おかげで十を数える頃になっても立つこともままなかった。今でこそ柱などと呼ばれているが、精神は子供のままで止まっているんだとか。
口減らしの為に、早急に埋めてしまおうと言う話しもあったのだが、本人がとても純真で皆を励ましていたこと、なによりも、
母親が「そんなことをするなら、まず私を殺しなさい」と譲らなかったことから、誰も雀には手を出さなかったんだとか。

ところが今から数年前、その村で飢饉が起きてしまった。全員食べていくのなんて無理に決まっている、そんな状態だ。
そこになってやっと、村の人達は苦渋を飲んで決断した。雀を、山に捨てるべきなのだと。
幾人かの爺婆とともに、雀は村付近の山に捨てられた。しかし本人は捨てられただなんて理解していない。ただの散歩だくらいに思っていただろう。





側近「そこに、運悪く村を襲うべく鬼達が来たそうでして」

太陽「え……」

側近「村の人間は全滅……鳥柱様も危険でした」

側近「しかし、鳥柱様はその時に、不思議なほどの能力に目覚めました」

太陽「……まさか……」

側近「鳥柱様は力の加減が元々あまり効かない方なので、ほら。鬼なら」


すずめ「すごーい!どれだけぎゅってしても、いなくならないね?動かなくならないね!」

鬼「ぎや、あ、ぐ、うぁぁああ!?」

すずめ「遊ぼ、遊ぼ?ね?何でも遊べるよね!」

周りが血だらけになろうとも。

ばきばきばきと骨の折れる音が聞こえても。

角田雀は鬼を離さなかったのです。


太陽「───」ぞわっ
422 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/18(火) 00:29:13.76 ID:R8deOayGo
側近「そのおかげで太陽が昇り、鬼は消えてなくなりました。そして、その姿をお館様はご覧になられていたそうです」

太陽「え、あ……」

側近「そしてそのまま即確保、鳥柱様はそのまま鬼殺隊の本尊に連れて行かれ、簡単な訓練をしたのちあっと言う間に柱になり……」

側近「それが大体四年ほど前の話でしょうか」

太陽「四年前から……柱の人……」

側近「彼の言葉には嘘がありません、裏がありません」

側近「だからこそ彼は周りの人を引きつけ、そして平等に愛して愛される」

側近「家族から渡されなかったであろう愛情を今、彼は得ています」

太陽「……」

側近「それが良いか、悪いかは分かりませんが」

側近「少なくとも。……私もまた、彼に救われた身です。最後まで、あの方のそばにいるつもりですよ」

太陽「飯塚さん……」

側近「鬼殺隊はあらゆる人間を求め、そしてあらゆる人間を認めます」

側近「彼を認めると言うことは、多様性を認める。非常に難しいですが、良い判断だ、と私は思いますよ」



壱:貴方はどうして助けられたの?
弐:なんで簡単に柱になったの?
参:じゃあ、すずめちゃんの家族は……
肆:そのた

>>424
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/18(火) 09:24:36.12 ID:+WMZB1mSO
天ぷら 天ぷら 加速ゥ猛進!!

安価なら肆、鳥柱の刀鍛冶について聞く
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/19(水) 18:58:00.59 ID:c0dhx3pyO
425 : ◆z.6vDABEMI [sage]:2018/12/24(月) 22:00:05.62 ID:/DBpvB3Ko
※おわび※
今日の更新は、作者カゼのためお休みです。次はなんと大晦日に更新します。悲しいかな、暇なのです……。
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/25(火) 01:49:47.50 ID:NjI2GD4SO
風邪を引いている時はやめておいたほうがいいと思います。悪化しますので。

大晦日を楽しみにしています。
427 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/31(月) 21:49:53.23 ID:s9iN3q7fO
遅くなりました。本年もありがとうございました。来年も変わらぬご愛顧をお願いいたします。
428 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/31(月) 22:03:01.57 ID:s9iN3q7fO
>>424


太陽「貴方は、どうして助けられたんですか?」

側近「……私がいた村が襲われた時に、鳥柱様に救われました」

側近「その時の彼の顔が……言葉が、どうしても忘れられないのです」


『僕も遊んでくれる人がいなかったから、分かるよ。だけど、きっと探したら……どこかにいるよ、お友達になれる人』


太陽「!」

側近「鬼の心を見透かしたような……ええ、分かっていたのかもしれません。闇に屈し、鬼になってしまった者達の弱さを」


『僕が遊んであげてもいいよー!だけど』

『もしもこの人達を食べるなら、殺す。』


側近「鳥柱様は、入隊から僅か三ヶ月で柱になられたようなお方です」

太陽「さんっ……!?」

次々に恐ろしい話を聞かされる。
途端に、彼が得体の知れない化け物なのではないかと思い始めていた。
ただの人のままでは、たどり着けない極みにいるのではないだろうか?

側近「化け物だと、」

太陽「!」

側近「思いますよね。私も、正直最初はそう思ったものです」

側近「人は、弱い。間違えるし、屈する。差し出すし、人を食う鬼に墜ちることすらある」

太陽「……」

側近「ですから」

がらららら!!

すずめ「おしっこ!!」

側近「はい、今」


すたすたすた……


太陽「……鳥柱と……側近さん……」


それにしても、僅か三ヶ月で柱に成れるほどの才能を持つ、天才とは。いったい何だったのだろう。いったいそれは、何者なのだろう。


429 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2018/12/31(月) 22:14:30.11 ID:s9iN3q7fO



───翌日。


すずめ「ごはんっ!ごはんっ!」


側近「支度は済んでいます」

すずめ「いただきまーす!!!」

太陽「い、いただきます」

菜っ葉が中心の緑みどりしい食事が並んでいる。草食なのか?鳥柱に話を聞いたところ、「はっぱ美味しいむしゃむしゃ」と言う回答しかなかった。ええ……?

すずめ「ごちそうさまでした!!!」からーん

すくっ!!

すずめ「おさんぽ行くね!!!」

側近「鳥柱様、御館様から手紙が届いています」

すずめ「だれ?おや?」

側近「産屋敷様からです」

すずめ「ふにゃ?」

側近「耀哉様からです」

すずめ「かがやさん!!」


太陽「……」もくもく

側近「ああすみません、毎日このような感じです」

太陽「いえ、楽しそうですね」

側近「え?」

側近さんと鳥柱様の会話は、とても楽しそうに聞こえた。よく聞くとお互いに笑いあっているのも分かるから、おれもつい素直にそんなことを言った。

すずめ「楽しいよ」

太陽「そうですよね!笑っていたし!」

すずめ「ふにゃちんだけどお話してくれるしー、ご飯もくれるんだ」

側近「……」ふにゃ……

すずめ「一緒に遊べないけどね」

側近「……」ふにゃ

すずめ「だからきみが遊んでくれるんでしょー?あそぼ!」

太陽「は……!」

すずめ「あっちにねー、面白いのがいるんだー。いこー?」



壱:面白いのとは
弐:側近さんはどうするの?
参:行きます!行きますよ!
肆:そのた

>>431
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 05:44:57.63 ID:pIkPLMjSO
アァアアア 年がァ!! 年が変わっている!!

安価なら肆で側近の人に鳥柱の刀鍛冶について聞く。


>>1さん&他の読者の皆様、明けましておめでとうございます)
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/05(土) 02:28:27.32 ID:ByN4L/Qm0

新年&14巻発売おめでとう
みつりちゃんのカラーリングに衝撃を受けつつ今年も応援しまっす
432 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/01/07(月) 19:40:48.07 ID:4c2BQO/Co
チュン(開)
433 :あ け お め ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/01/07(月) 19:52:45.58 ID:4c2BQO/Co
>>431
>>430

太陽「ち、ちょっとだけまっていてくださいませんか!おれはきになることがあるんです!」動揺

すずめ「………」

太陽「あの、鳥柱様……」

すずめ「うえぇ……」ぐずっ

太陽「」

すずめ「うぇぇぇぇああああ!!やだやだやだやだやだやだ遊ぶんだああああ!!」どったんばったん

側近「あーあー鳥柱様、屋敷を壊さないでください。ここを直すのは大変なんですよ」

どったんばったんうーがおー

太陽「……あ、あの……ごめんなさい……」

側近「いえ、いつものことです」

太陽「ヒィ……」





それから数分。
体力を使い果たした……訳でもないだろうが、鳥柱様は眠りについた。
今のは子供の癇癪のようなものだと飯塚さんに教わった。だから、なるだけ話を聞いてやって欲しい、とも。
おれは周りが壊れているのをよく知っていたので、「はいわかりました……」と震える声で答えるほかないのだった。

なお、それから間もなく隠が大量にやってきては、屋敷を直してくれるんだそうだ。


側近「それで、気になることとは?」

太陽「……刀鍛冶です」

側近「え?」

太陽「おれは……」

実は前回の対戦で刀を刃こぼれさせていたことを話した。刀鍛冶とは上手くやっていきたいが、今のおれでは上手く行くかどうかあまり自信もない。

側近「なるほど、それで。しかし、きっと大丈夫ですよ」

太陽「え、どうして?」

側近「その方は鋼鐡塚さん、と言う方でしてね。気難しい鍛冶ですが、自分が打ちたい刀しか打ちません」

側近「それを壊さずに使いこなせていたんだ、貴方は立派に胸を張ってもいいでしょう」

太陽「そういうもの、なのでしょうか」
434 :こ と よ ろ ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/01/07(月) 20:01:51.33 ID:4c2BQO/Co
側近「それに、柱の刀を打つのは名工ばかり、それもひとりに付き鍛冶がひとり付くような度合いです」

側近「柱の使いやすいように刀を調整しなければならない、その難しい作業を一手に引き受けております」

太陽「鳥柱様の刀鍛冶って……」

側近「ええ、若い鍛冶で、『剣村』と言う人が打っていると聞きました」

随分他人事のように話すのだな、と思った。

側近「我々はよっぽどのことがなければ刀鍛冶の里には行きませんので、未だ剣村さんにもお会いしたことが無いのです」

太陽「! そうなんですか!」


すずめ「ひっしーの話してるの?」


太陽「あ、鳥柱様」

いつの間にか起きあがった鳥柱様は、自らの刀を持ってこちらに来た。鞘はふたつ、つまり二刀流と言うことか。
すらっ、とそこから抜かれた刀は、一見すると分厚い大剣にしか思えなかった。

すずめ「ひっしーすごいんだよ、これもひっしーが作ったんだよ」

太陽「ひっしー……」

側近「『剣村 拉(ひしぎ)』さんと言うんだそうですよ。すずめちゃん……こほん、鳥柱様とは文通をしておりまして」

太陽「へぇ……!?」

すずめ「ひっしーの剣、見たいよね?じゃあ、行こうよ!」



壱:イヤな予感もするけど行こうか
弐:まだ何か側近さんに聞くことがあれば
参:そのた

下弐
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 22:00:53.38 ID:gHZP1jIx0
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/08(火) 00:25:29.70 ID:FtIA43ESO
弐、最初の頃(>>53辺り)で出会った青い目の剣士について何か知らないか聞く。
437 :チュン ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/01/14(月) 19:10:53.58 ID:XAme2DdIo
これで私もハタチです(大嘘)
438 :チュン ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/01/14(月) 19:43:07.61 ID:XAme2DdIo
>>436


そういえば。

太陽「あの、ひとつ伺いたいのですが」

側近「なんでしょう?」


(貴方は噂に聞いた、鬼斬りの剣士さまなのでしょう?)

あの時出会った剣士も、鬼殺隊には違いない。けれど今の今まで出会えていないあの人、一体何者なのだろうか?

側近「柱、ですね」

太陽「!」

すずめ「あ、青い目のひと?もしかして」

すずめ「【ギユウ】さん?」

太陽「ギユウ……」

側近「青い目、右と左で模様の違う着物、言葉数が少なく名も名乗らないとあれば、その方は【富岡 義勇】様、水柱でいらっしゃいます」

太陽「……」

水の澄んだような青の目。まるで水柱になることを宿命づけられたかのような色だったなと振り返る。

太陽「その人はどんな人で………」

すずめ「わかんなーい」

太陽「!?」

すずめ「分かんないの、あんま喋らないし」

側近「実は誰もあの方のことは良く知らないのです」

太陽「へ……?」
439 :チュン ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/01/14(月) 19:56:01.13 ID:XAme2DdIo
すずめ「話しかけてもねー」


『俺から話すことはない』
『お前と俺では見える世界が異なる』


すずめ「とかなんとかで」

太陽「何者なんだろう、その人……」

疑問は膨らむ。
柱になってから会ったのか、それとも柱になる前だったのか。
いや、あんなに強かったのだ、きっと柱になった後だろう、きっと。
しかしなんだろう、鳥柱さまも側近さんも、だことなーく視線を外しているような……。

すずめ「ぎゆーさんはこわーい……」そーん

側近「あの方は何を考えているのか……」そーんっ

太陽(ああっ!ふたりともそーんっとしている!本当に知らないんだ、義勇さんのこと!)

分かっているのは、水の呼吸を使う【水柱】だと言うことと、途轍もなく口下手な人間だと言うことだ。
太陽、諦めてはだめよ、と脳裏に母の声が聞こえた気がした。

すずめ「……なんか……調子狂う……」



壱:まだおもしろいもの見に行く?
弐:刀がみたいので外へ
参:その他

下弐
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/14(月) 21:23:24.25 ID:+Q7NVbBI0
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/14(月) 23:04:57.76 ID:ZgaH9iYSO
>>437
そうなんですね。おめでとうございます。
(くもりなきまなこ)

安価なら上
442 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/01/21(月) 21:05:23.88 ID:LQtbzjTfo
月曜日なので一回だけ上げ!
443 : ◆z.6vDABEMI [saga sage]:2019/01/21(月) 21:16:42.79 ID:LQtbzjTfo
>>441
>>440


調子の狂っている鳥柱さまをなんとかなだめて、

太陽「け、剣が見たいです!おれ、鳥柱さまの剣が!」

すずめ「!」ぱぱーっ

太陽「ひっしーの剣、見たいです!」

すずめ「僕も見せたい!」

太陽「行きましょう!」

すずめ「うんー!」

どたどたどた

側近「ああ、夕暮れまでにはお戻りください」


飯塚さんの言葉を背中に受けながら、おれ達は走り出した。
昨日よりもそこそこに鳥柱さまの動きについていけている気がする。おれも成長しているのかもしれない。


すずめ「えへへー!いっくぞー!」

と。
鳥柱さまが、少し走って(とは言え屋敷から充分に離れていたが)刀を抜いた。
大振りで、分厚い刀身が現れる。

すずめ「とりゃ!」

その刀身の中から───本当に中から飛び出すように───布のようなものが、扇の半分みたいに広がる。右の手には剣の右側に、左は左側に、だ。
布にしか見えないそれは、風をしっかりと受け止めて強くはためいていた。まさかと思うが。

すずめ「僕は飛ぶ!鳥に成る!」

太陽「!!」

一瞬の出来事。風がそよいだかと思ったらそれは鳥柱さまの呼吸だった。ええ、と驚くよりも早く、鳥柱さまは跳躍した。
高い。そして、どことなく飛んでいるようにも見える。あの布が、少しでも鳥柱さまを軽くしているのだろうか?
きっかり三秒ほど飛んだ鳥柱さまは、ゆっくりと着地した。
444 : ◆z.6vDABEMI [saga sage]:2019/01/21(月) 21:25:47.67 ID:LQtbzjTfo
すずめ「どうだすげーだろ、これが僕の【鳥の呼吸】だ!」

太陽「なんだか分からないけどすごいと言うことだけは分かります!」

興奮していた。鳥柱さまの跳躍がまるで本当に飛んでいるように見えたのだ。刀身が羽のように見えたのだ。
ふふーん、と嬉しそうにする鳥柱さまにキャーキャー言っていると、不意に鳥柱さまは鋭い顔つきに変わった。

すずめ「ん」

太陽「さっきのをもう一度!……鳥柱さま?」

すずめ「いる」

太陽「え?」

すずめ「……どこだ」

おれが動くよりも早く、鳥柱さまが動く。両の剣先を地面に向け、ととんと短く叩いて。……敵の気配を感じ取っているのか?すごい、おれにはぜんぜん分からな───

すずめ「そこか」

太陽「ッ!?」

ひゅっんっ

太陽「うわわわわ……」とて

おれの背後に鬼が出たようだった。鳥柱さまの剣は何とかかわしたものの、転んでしまう。
そしてまさしく背後では、鬼が一匹斬り伏せられているのだった。


太陽「と、鳥柱さま!」

すずめ「うーん、いっぱいいるー!うーんうーん!」

太陽「え、いっぱい……?」


か、囲まれている……?
いつのまに……?



壱:手分けして倒そう
弐:側近さんが心配だ
参:頭がいるはずだ
肆:そのた

下弐
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 00:21:30.34 ID:Lxo5T8QSO
更新来てたか。腹が減るぜ!!

安価なら弐
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 16:18:31.69 ID:vkggguYGO
弐だぜ!
447 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/01/28(月) 20:01:28.93 ID:Pi8YjbJPo
今日は鬼滅の日です。よろしくお願いします。
448 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/01/28(月) 20:10:26.36 ID:Pi8YjbJPo
>>446


太陽「側近さんは……大丈夫なんでしょうか」

家に残してきた飯塚さんが突然心配になった。
おれ達を鬼が囲んでいると言うことは、きっと屋敷の方にも鬼がでているだろう。
もしかしたら鬼の総出で鳥柱さまを倒す算段なのかもしれない。……鬼は群れないはずなのだが?

すずめ「……いこーか」

太陽「えっ?あ、はい!」

すずめ「その前に、鬼倒そっか!」

太陽「えっ?あ、ああ、はい……!」

刀を構えたのだが、

すずめ「僕は遊んでくから、君は先に帰って!」

と、鳥柱さまは鋭くそう言った。

太陽「な、なんで……」

やっぱり、おれじゃ足手まといなのか?


すずめ「……つよいの、いるから。君死ぬよ」

太陽「」ぞくっ

すずめ「だから、飯塚さんと一緒に、来て」

すずめ「僕、負けないから」

その目が、手が、震えるほどに強く感じた。
異論を挟ませないほどに強烈な視線。……おれが一瞬、なにを言うべきか考えていたその刹那、鳥柱さまは大柄な剣をひとふりする。
風が強く吹いて、自由が約束されたように思えた。

すずめ「今!早く!」

太陽「……ッ、はい!」

全集中、呼吸を最大に。視線は柱から帰りの道中の方へと反転、そしておれは足に力を込めて全速力で駆け抜ける。
なぜだろう、と言う言葉を反芻しながら。

……鬼は群れない。
その原則が、この間から次々と塗り替えられている。なぜだろうか?
街にいた鬼も徒党を組んでいたし。それに今回だってそうだ、鬼として強いとは言えない低級の鬼がわらわらと現れているようだったのだし。
449 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/01/28(月) 20:24:59.11 ID:Pi8YjbJPo
風とともに走っても、屋敷は少し離れていた。それでも何とかたどり着いた時には、棒きれで側近さんが戦っているところだった。

側近「こら、あっちいけ!ここは鳥柱様の屋敷だぞ!」

鬼ア「知るか!お前は食う価値もなさそうだな、死ね!」

鬼イ「剣士のなりそこないなのだろう、どうせ命を救われて、そして志したが才のなかった者なのだろう!」

側近「ッ」

鬼ウ「図星か?よし、死ね───」


ざしゃあああっ

勢いそのまま、殺さずに足を滑らせる。

鬼たち「「!?」」


ビュウウウウウウ


太陽(行ける、今のおれなら……完治しなくても、足手まといでも!)

太陽(人は救える、鬼は殺せる!行ける、行ける!だから!)

ずひゅっ



参ノ型

瓦解氷消


───がかいひょうしょう。氷が消えて溶けるように、物事が崩ればらばらになること。
───太陽の参ノ型は、対多数を想定した全体攻撃である
───細く軽い刃を、両の手で持ち替えながら柔らかさを生かし複数回切りつける
───力は乗らないので頸は斬れないが、複数体の鬼の体をバラバラにするくらいは訳のない技だ


しゃしゃしゃっ


鬼ウ「があああ!?」ぼたぼたっ


太陽「! 飯塚さん!」

側近「すみません!私は無事で……鳥柱様は!」

太陽「まだ奥の方にいます……ここはまず、鬼を払い、それから鳥柱さまと合流しましょう!」

側近「……はい!」


鬼イ「勝てるつもりか、人間が!」



壱:一体一体頸を丁寧に斬る
弐:全員を足止めして即鳥柱の方へ
参:もう一度参ノ型→壱ノ型
肆:そのた

下弐
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 21:34:44.61 ID:j9xPHiBp0
続行だ!参
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/29(火) 01:51:09.97 ID:uXk0QTSSO
はァ───ッ なるほどね!! 参を選びます!!
452 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/02/04(月) 23:15:11.46 ID:zWbZCIPBo
その小さな体で良く安価を取ったね!偉いよ!
453 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/02/04(月) 23:27:02.06 ID:zWbZCIPBo
>>451


びきびき、と。音を立てて体が復活しようとしているのが分かった。おれの意表を突きたいようだが、全員が全員早々簡単に復活するわけではなかった。


太陽「馬鹿め!人間を見くびるなよ!」

氷の呼吸 参ノ型

鬼ア「まずい、さっきの!させるか……」

瓦解氷消

太陽「ッ!」

ひゅしゅっ!!


おれはそんなに上背があるわけでもないし、そこまで強いわけでもない。だが、早さには自信がある。力が無くとも、早さでこいつらを細切れに出来る自信がある!
だから───参ノ型で全員をバラバラにするのもわけない。


鬼ア「う、がああっ!?」

太陽「遅いっ!」ひゅ

鬼ア「!」

氷の呼吸 壱ノ型
  寒声一叫

惨 っ

鬼イ「な、ひとりやられた!?」

鬼ウ「あの軽い刃でなぜ頸が切れる!」

太陽「黙れ」

寒声一叫

鬼イ「ぎゃ……!!」ザンッ

鬼ウ「く、早……」

太陽「終わりだあああっ!」

ざんっ!!

鬼ウ「……!」

しゅうううう……


太陽「……よし!」

この程度の鬼なら、もう相手にもならないか。あっさりと三体処理して、おれは側近さんに向き直った。

側近「お強いのですね、貴方も」

太陽「そんなこと、ないです。おれは鬼に強い恨みこそあれど、けして強くはない。もっと、強くならないと」

側近「そうなのですか?」

太陽「おれは……父親が実は鬼だったのです」

側近「え」

太陽「ずっと家族には黙っていたようで、おれも知らなくて……ある時突然、母と妹を殺して逃げてしまったのです」

太陽「確かにある日を境に太陽の日を避けるようにはなりましたが、よもや鬼になったからとは思いませんでした」

側近「……それは、おかしい」

太陽「ん?何がおかしいので……」

側近「基本的に、鬼は『ある人物』の血からでしか生まれません」

太陽「あ、知っています。【鬼舞辻 無残】という人ですよね?」

側近「ご存じでしたか。鬼舞辻は、時折戯れに鬼を人に変えることがあります。しかしそういう時は、近くにいる家族が犠牲になるのが主です」
454 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/02/04(月) 23:32:59.18 ID:zWbZCIPBo
太陽「じゃあ、人間生活に、ましてや家族を持った状態を維持するような鬼は珍しい?」

側近「ですね。私も又聞きなので正確ではないと思いますが」

そんなものなのかと、思った。では、おれの父は誰で、あの父だった何かは誰だったのだろうか?

側近「可能性としては、ですが」

太陽「な、なんですか?」

側近「人間生活に溶け込もうとする鬼も確かにいくつかいるにはいるようです。ですが、」

いいにくそうに一瞬躊躇う側近さん。

太陽「なんですか!そこまで言われたら気になりますから言ってください!」

側近「……その可能性のひとつが、『鬼舞辻自身が世の追求から目をごまかすため』と言うのがありまして」

太陽「え……?」

可能性、とあくまでもそう前置きはあったが、それでもそれは考えてもいないことだった。
つまり、おれの父親だった人は……いつからか、恐らく日に当たらなくなった時からか……父ではなく鬼舞辻と入れ替わった……?

太陽「……?」

側近「ああ、すみません。こんなことをこんな時に……鳥柱様は無事だと思いますが、早く見に行きましょう」

側近「きっと奥の手は出さずに終わりますよ。相手にもよりますが」

太陽「……」

それならおれが今から鳥柱さまの後詰めにいく必要はあるのだろうか、とほんのわずかに感じてしまった。
だが、行かないで鳥柱さまが万一危機に陥っていたら、と考えるとそわそわしてしまう。



壱:とりあえず落ち着いて鳥柱さまのところへ
弐:一旦息を整えよう
参:鳥柱を信じて待つ代わり話を続行
肆:そのた

下弐
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/04(月) 23:35:50.54 ID:cKW3wKGo0
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/04(月) 23:58:55.79 ID:ggUOagQjO
457 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/02/05(火) 00:34:01.11 ID:c1M5HOqpo
>>456


太陽「一旦落ち着いて、鳥柱さまのとこに行きましょう」

側近「そう、ですね」

ふたりで頷いて、鳥柱さまがいるであろう方向に走り出す。
全集中を意識しつつ、すぐにその姿を捉える、のだが。

太陽「あれ?」

持っている刀の形が違う。いや、アレは刀なのか?
大振りの剣は今や七枚ほどの薄い板のようになって、それらが持ち手でつなげられている。その端に、先にも見たような布が広がっている。
形はまるで扇のようだ。遠くから見れば、さながら鳥の羽根のようにも思えた。
変形する刀……まさか。

太陽「あれが、奥の手!」

側近「なぜ、鳥柱さま!?」


すずめ「……」


??「だってん。僕と君じゃ、相性悪いよん。だよねん。」


瞬間、縄のようなものが一斉に鳥柱さまに襲いかかる。しかし、さすがにそんな攻撃は喰らわないのか、鳥柱さまは跳躍して回避した。


すずめ「っ!」

扇状に形の変わった剣を振り抜く。いったいアレはどれだけの重量があるんだ?見れば鳥柱さまの両腕は、戦士か何かのように隆々と盛り上がっていた。
ぶぉん!と風を引き裂き、縄のようなものも同時に全て断ち切られる。

すずめ「うー……!!」

??「あはは。かわいい、かわいいよん。でも僕は他の鬼みたいな、馬鹿じゃないからん。」

太陽「どうかな、こうしてここに来る辺りは馬鹿と言えると思うけど!」

??「そうかなん。」


そいつは上半身裸の男だった。全身に縄のようなモノがぐるぐるに巻き付いている。先ほどから飛ばしているのは、この縄だろう。
浅黒い肌には傷一つ無く、何よりも若々しくハリがあるように見えたが、とても生者のものとは思えない。なにか、まがまがしい雰囲気がする。
ざりざりと無骨に切られた髪を豪快に(※今で言うオールバックのように)額が見えるようかきあげ、眉毛はきりりと太い。目には何か特別な模様が入っているみたいだった。

??「僕は縛也って言うよん。」

太陽「……鬼に名乗る名は、ない!」



壱:鳥柱さまの援護を
弐:なぜ相性が悪いか確認だ
参:有無を言わさず壱ノ型や
肆:そのた

下弐
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 10:02:38.36 ID:eNZ3+UhSO
何なんだ二日連続で更新して!! ヤッターッ

安価なら下
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 12:36:24.32 ID:WTvhihk7O
460 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/02/11(月) 20:27:00.13 ID:x3lTlF1eo
月曜日ダ!
461 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/02/11(月) 20:56:05.37 ID:x3lTlF1eo
>>459


数ヶ月で柱になれるほどの天才だ。それが、なぜあんな風貌の鬼に圧されている……?
状況を見極めるべく、刀を持ったまま少しだけ黙り込んだ。



縛也「つまんないのん……まあいいか、君は特に興味、ないよん!」

びょうっ、と風を切り裂くような音。
すさまじい勢いで、縄がこちらに飛んできていることが分かった。回避は、間に合……?

ザンッ

縛也「お」

すずめ「ガアアッ!」

まるで演舞のように、力任せに振り回される両の腕と扇。その速度が、縄と同じか、やや遅いくらいであることにたった今気付く。
つまり、本来速度があるはずの動きにキレがない。なぜか、とその原因はすぐに分かった。
足に縄がかかっていた。

太陽「!」

両足を制限するかのように縄は有象無象に地面に落ちている。おそらくは、鳥柱さまが切り倒したはずの縄が、足にからみついたのだろう。であれば。

太陽「アレを切れば……いや……」

むしろ、切れば切るほど増えるならまずい。
きっと鳥柱さまなら逆転の一手があるのだろうが、それを準備する時間すらないのだろう。

縛也「さて、とん」

すずめ「シィッ!」


鳥の呼吸 壱ノ型


───ヂヂヂヂヂッ!

太陽(鳥の、鳴き声?どうやってこんな音)


門前雀羅


すずめ「ッ、おおおっ!」

ぎゅばっ!

太陽(鋭い回転!?刃先が地面に当たって!)

ズババババッ
462 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/02/11(月) 20:59:34.14 ID:x3lTlF1eo
鳥柱さまが足に絡んだ縄を切ってこちらにきたのと、次の一撃がおれに飛びかかったのはほぼ同時だった。

太陽「!」

ぎいいいんっ

すずめ「じゃまっ!」

太陽「……!」

鳥柱さまの足下に再び縄が現れ、からみつく。速度重視の型に、こいつはかなりイヤな相手だ。

太陽「だけど、おれだって!」

鳥柱さまの足下にいる縄を素早く断ち切る!


すばばっ

すずめ「!」

太陽「っ……鳥柱さま!」

すずめ「うん!」


ヂヂヂヂヂッ!

縛也「させると、思うのん!?」

地面が盛り上がり、縄のようなものが現れ始める!



壱:地面を一掃する!
弐:縛也に目潰し!
参:素早く距離を詰め攻撃
肆:囮となるべく縄の付近へ行く
伍:そのた

下弐
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 22:54:59.58 ID:q25Wv2IL0
ksk
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/12(火) 00:08:53.03 ID:PeF/QwDSO
下弐まで加速してくれた>>463さんはもう安価の一部だから。>>463さんの想いは俺が安価に持っていくし。

安価は壱で。
465 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/02/18(月) 22:17:27.23 ID:s03Ipyedo
たぶん今日は1〜2レスだけになるかもごめんチュン
466 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/02/18(月) 23:27:11.50 ID:s03Ipyedo
>>464


太陽「ッ、鳥柱さま!」

すずめ「!」

地面に盛り上がっているのは、血鬼術で作られた縄!これはそのまま、野放しには出来ない!

太陽「おおっ!」

ビュオオオオ


氷の呼吸 参ノ型
瓦解氷消


ザザザザザッッ!


縛也「」!

太陽「今です!」

すずめ「……ああああっ!」


鋭い跳躍だった。鳥柱さまは、雲を突き抜けるかのごとく高く飛び上がる。
おれも、敵も、その姿に目を奪われるほどだ。


ヂヂヂヂヂヂ

太陽(またあの音!)


鳥の呼吸
玖ノ型

烏有


縛也「な……」


それは。
見たはずのおれでもよく分からない。
空中で一回転、と同時、落下と回転の力両方を乗せた双剣で、真下を押しつぶすような技だった。
……と言えば伝わるだろうか?

体のバネを最大限利用し、大きくのけぞってから出される打撃とも斬撃とも付かない攻撃。その暴力的な威力に、縛也と言う鬼はのけぞり、そして……


縛也「お、ごおお!?」


ごちゃっ。
467 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/02/18(月) 23:36:18.75 ID:s03Ipyedo
全身が砕けたような音がする。熟れて腐った果実をつぶしたような。
その悲惨な光景におれも、側近さんも声が出ないが、


すずめ「まだ!」

太陽「!」

すずめ「もらった!」

鳥の呼吸 弐ノ型
早贄

シュカッ

すずめ「……!」

太陽「鳥柱さま!」


最後の一手で首を切り落とす前に、鬼はその手から逃げ出した。
両肩を束縛するように縄が絡んでいる。行つ野間に……くそっ、今ので全身ぐちゃぐちゃだったはず!


縛也「十二鬼月最有力候補の僕が、ぼく、が、負けるわけ……」

縛也「ないんだアアアア!!」


太陽「!?」

すずめ「こいつ、遊べない……」

太陽「鳥柱さま、おれもやれます!」

すずめ「だめ。こいつ、腹立つからぼくがやる」

太陽「……え?」


血鬼術 【束縛の約束】


じゅああああっ


太陽「な、こいつ……今までの縄が、まるで……!」

人の手のように見える。
そしてそれぞれがうぞめいているではないか。

すずめ「さがっててってばぁ!」



壱:素直に下がり見守る
弐:そうは行かない、先に突撃だ
参:危険な時には助太刀しよう
肆:側近さんが心配、逃げよう
伍:そのた

鳥の呼吸は拾まである
下弐
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