夢野「強くてニューゲーム……ってウチなのか?」ch.4『ダンガンロンパV3』

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1 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 21:50:38.68 ID:m8RmtXLy0
注意点
・このSSはダンガンロンパV3の二次創作です。ネタバレを含みます。
・原作に対して独自に解釈・未判明部分に対して独自に設定した部分などを含みます。
・シリーズ更新です。チャプターごとにまとめた投下をしていく予定です。

・続き物になります。チャプター1・2・3を読んでいない方はこちらを先にどうぞ。


・チャプター1
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491659924/

・チャプター2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495890004/

・チャプター3
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1503323228/


・pixivでも同時更新して行きます。今までの分も投下済みです。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8333329


・時間が開いたので、チャプター1、2、3のあらすじをまとめてからチャプター4を開始します。1、2、3を読んでない方はネタバレに注意を。
















SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1515761438
2 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 21:52:46.70 ID:m8RmtXLy0



チャプター1 あらすじ



コロシアイを生き残り学園を脱出した夢野は、次の瞬間コロシアイの最初に戻されていることに気づく。



同様の現象は生き残りの最原、春川にも起こっており、三人はコロシアイを生き残った記憶を使ってコロシアイを止めることを誓う。



しかし第一の動機モノクマのタイムリミットを撤回出来ず、コロシアイの阻止は難航。



そんな中記憶にないRを名乗る謎の人物からの手紙が発見される。



天海の才能が生存者ではなく冒険家になっていることから、記憶と違う行動を取るRではないかと疑うが否定。



誰がRなのか分からないままタイムリミット直前を迎え、コロシアイ促進BGMが鳴る中、前周回の首謀者白銀の死体が発見される。



死体発見現場で一緒に倒れていた最原は怪しまれて、クロではないかと疑われる。



その後の裁判で最原は一度クロではないと判断されるも、嘘がバレてクロだと判明。全会一致で投票される。



だが、それも最原の予定通り。



最原の狙いはクロと指摘され、そのおしおきにモノクマを巻き込んで破壊すること。首謀者が死んだ今、新たなモノクマを生み出せないことから、コロシアイを終わらせる狙いだった。



しかしこの周回での首謀者は白銀ではなかった。新たな首謀者の手によってモノクマは無慈悲に復活を遂げる。



そして夢野たちがコロシアイを生き残った生存者だという事実が告げられる。



全部モノクマの手のひらで転がされていたことに気づき絶望しかけるが、夢野は最原の思いに応えるために奮起。コロシアイを止めることを宣言する。



こうして新たなコロシアイ生活は幕を開けた。



3 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 21:53:16.91 ID:m8RmtXLy0



チャプター2 あらすじ



才囚学園の新たなフロアの開放。



それに伴い、春川の超高校級の暗殺者の研究教室も開放される。前周回では自分の才能を隠していた春川だが今回はそれを皆に打ち明け、受け入れられる。



そんな中モノクマに提示された新たな動機。『動機ビデオ』



夢野と春川はどうにか対処しようと画策するが、今周回では生き残った赤松がバラバラに配られたビデオをみんなで見ようと提案する。



そして始まった動機ビデオ鑑賞会。



東条と星の動機ビデオで問題が起きるも、みんなで解決。このまま無事に終わるかと思った矢先に、前周回では不発だった真宮寺の動機ビデオ『姉の友達を作るために女性を殺している』という内容が暴露される。



しかし真宮寺が思い出しライトで今思い出したという嘘を付いたのと、赤松が許したことでどうにかその場は収まった。



その後夢野がアンジーの信者にならなかったため、代わりにキーボのロボットショーが開かれる。



ショーの最中に超高校級の昆虫学者、獄原ゴン太の死体が発見。



捜査・裁判を経て、超高校級の発明家、入間美兎が夜時間にプールの水に触れてはいけないという校則を用いて殺されたことが判明。言いがかりをつけるもおしおきされる。



夢野はその言いがかりの中の不可解な言葉から、入間に今回の殺害計画を渡した『提案者』がいることを突き止める。



提案者の存在、最原の蘇りを夢想してしまう赤松。



コロシアイ学園生活はさらに混迷を極めていく。



4 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 21:54:02.74 ID:m8RmtXLy0



チャプター3 あらすじ



第三の動機、これまでに死んだ生徒から一人を蘇らせて転校生として迎えるというもの。



夢野と春川はこれによる争いを阻止するために、そして蘇り方法からこの世界の秘密に迫るために屍者の書の使用を決意。



その結果、最原が前周回の記憶を持ったまま蘇る。



再び今周回のコロシアイを止めるために動き出す三人。



生徒たちをおびやかす脅威は大きく分けて二つ。



一つは入間にゴン太を殺す計画を教えた『提案者』。夢野はその候補である前周回と外れた行動を取り始めた王馬に探りを入れるが煙に巻かれる。



そして二つ目、モノクマの関わらない動機を持った真宮寺を警戒していたが、それも空しく彼は最原と東条の死体が転がる美術室で自分が二人を殺したと主張する。



捜査時間を経て始まった学級裁判。



残った証拠から、東条が『提案者』であり、最原を殺そうとしていたことが判明する。東条は自身から疑いを逸らすために、入間にゴン太を殺させ、新たな動機を発表させる狙いだったのだ。



しかし東条も最原を殺していないこと分かり、二転三転した裁判の結果、最原を殺したクロは赤松だと分かった。



赤松は復活した最原の様子が生前と微妙に違うことに気づいており、そこから自分が絆を結んだ最原と別人であとを突き止め拒絶してしまう。



それを受けた最原の暴走から逃げるために、無我夢中で殺してしまったというわけだった。



赤松がおしおきを受けた裁判後、夢野と春川は蘇りが思い出しライトと白銀のコスプレイヤーの才能によって成り立っていたことを見破る。



何もかも自分でさえも嘘であるかもしれない状況に、しかし夢野と春川はそれも現実と割り切り、これ以上大切な仲間を失わせないことを誓う。



今回の事件を裏で操っていた真宮寺、咳込む百田、最原に提案者の提案者でありコロシアイを止めるため裏で画策していると言われた王馬。



全てを孕んでコロシアイは進む。

5 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 21:54:30.68 ID:m8RmtXLy0






それではチャプター4の開始です。






6 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 21:55:49.55 ID:m8RmtXLy0



××××××は生きるために必死だった。

発表されたモノクマの追加動機。



一つだけ何でも望みを叶える。



生き残っている生徒は十人。

対して叶えられる望みは一つ。



つまり残りの九人は望みを諦めなければならない。






××××××はどうしても望みを叶えなければならなかった。

だが、ここまで生き残ってきたのは個の強い生徒たち。

それぞれが胸の内に野望を秘めている。

事情を話したところで引いてくれるとは思えない。








だから××××××は。

他の生徒を押し退けてでも望みを叶えるために――――――





………を………み、…………を…………だ。





7 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 21:56:17.78 ID:m8RmtXLy0



C H A P T E R 4



生 か せ 望 み の み か 神 の み ぞ の 世 界



(非) 日 常 編



8 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 21:56:57.43 ID:m8RmtXLy0
夢野(復活した最原、東条、そしてクロの赤松)

夢野(三人の仲間を失った二周目、第三の事件――その翌日朝)



モノタロウ「それじゃあこの『弘法の筆』と『飛行石』を渡すね!」

モノファニー「うーん、何に使うんだろー?」

モノスケ「まあ使ってみてのお楽しみちゅうやつやな」



夢野(いつも通りのアイテムの配布)

夢野(だが――)



モノタロウ「……って、誰か取りに来てよー」



夢野(この二周目、毎回アイテムを受け取ってきた赤松は……もういない)
9 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 21:57:27.04 ID:m8RmtXLy0

王馬「あ、そうか。赤松ちゃん死んじゃったもんねー」

夢野「王馬……お主は」

王馬「だって本当のことじゃん! ほら、モノタロウが困っているし、さっさと誰が代わりに受け取るか決めないと!」

夢野(悪気が無さそうなフリをしておるが……全部分かっていて嘘を付いているのか、本当に本心からの行動なのか……)

夢野(どうせ前者であろう。あやつがみんなを引っかき回す姿は見慣れておる)



夢野「みんな、ウチが受け取ってもいいか?」

茶柱「はい!(即答)」

星「脊髄反射過ぎないか。俺も賛成だが」

アンジー「神様も秘密子なら大丈夫って言ってるよー」

キーボ「ならボクも賛成です!」

天海「異論は無いっす」

百田「ああ、いいんじゃないか」

真宮寺「僕もいいと思うヨ」

王馬「えー、何なの? みんな夢野ちゃんに同意して。俺だってアイテムを使ってみたいのに!!」

春川「ほら王馬のことなんて無視して、さっさと受け取って夢野」

王馬「酷くない?」

10 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 21:57:55.89 ID:m8RmtXLy0

モノタロウ「じゃあなくさないでね」

夢野(モノタロウから学園開放のためのアイテムをウチはもらう)

夢野(いつもならここで話は終わりだが……今回だけは続きがある)



モノクマ「うぷぷっ、そうそう。今回はもう一つ渡すものがあるんだ」

モノクマ「それがこの……今回の動機」

モノクマ「謎のカードキーだよ!!」



夢野(第四の動機……謎のカードキー)

夢野(一周目ではついぞどこで使うのか、詳細の分からなかったアイテム)

夢野(動機である以上厄介な代物ではあるが……既にハルマキと対策は話し合っている)

11 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 21:58:23.71 ID:m8RmtXLy0

天海「動機……危険っすね」

星「そうだな、これは誰が……」

王馬「へっへーん、今度こそ俺がもらっちゃ――あれ?」

夢野(王馬が抜け駆けでモノクマの手からカードキーを奪おうとした刹那、それよりも速い動きで取った者がいた)



春川「こんなもの……私たちにはいらない!」 パキッ!



モノクマ「ええっ!? カードキーが!?」

王馬「うわっ!? 真っ二つに!?」

夢野(ハルマキは奪ったカードキーの両端を持ち弓なりにすると力を入れて割った)

12 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 21:58:50.68 ID:m8RmtXLy0

茶柱「ず、随分と思い切った行動をしましたね……」

星「正直何に使うのかは気になるが……」

天海「モノクマが動機として渡したものっす。コロシアイの種になるようなら、いっそ壊すのもありっすね」

真宮寺「まあ野蛮なのは否めないけどネ」



モノクマ「もう酷いなあ! せっかく用意した動機なのに壊すなんて!!」



春川「それで? 壊したからって罰するなんて校則は無いよね?」

モノクマ「うーん……それはそうだけど……」

春川「これ以上用件がないなら出て行ってよ」

モノクマ「……まあいいよ、こんな小細工潰されてもコロシアイは避けられないんだからね!」 ヒュン!

夢野(捨てセリフを残すとモノクマはその場から姿を消す)



モノタロウ「あ、待ってよお父ちゃん!」

「「「「「ばーいくまー!!」」」」」

夢野(モノクマーズたちも姿を消した)

13 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 21:59:34.50 ID:m8RmtXLy0

夢野(残された生徒たち。自然とハルマキに視線が集まる)

夢野(注目されたハルマキはというと、みんなに対して頭を下げた)



春川「ごめん。独断専行して」

春川「でも……もうコロシアイが起きて欲しく無くて……仲間を失うのはもう嫌だから」



百田「分かってるって。ハルマキがちゃんとみんなのことを思って行動してることは」

アンジー「そうだよー神様も許してるって!」

キーボ「ただでさえ一つ問題を抱えていたところですから、コロシアイの芽を摘むのはいいことです」

王馬「問題? ……あー、なるほどね」

真宮寺「どうかしたかい? 僕の顔に何か付いているかナ?」



夢野「……とりあえずアイテムをもらったんじゃ。学園の探索に行くぞ」

夢野(ウチの言葉に、その場は解散となった)

14 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 22:00:23.21 ID:m8RmtXLy0

<キーボの研究教室>

夢野(入間の研究教室の近くにあった台座に『飛行石』をはめ込むと、キーボの研究教室がどこからか飛んできた)



キーボ「……これは誰の研究教室でしょうか?」

夢野「いや、こんなロボロボしている研究教室お主しかおらんじゃろう」

キーボ「えー、ボクの趣味はもっと和風です!!」

夢野「それはそれでどうなんじゃ……?」



王馬「何かいろいろパーツっぽいのが転がっているけど……入間ちゃんがいないのに、キーボ一人で改造とか出来るの?」

キーボ「馬鹿にしないでください!」

キーボ「例えばこの腕のパーツに付け替えてみましょう!」

夢野(キーボは先端にドリルが付いた腕を取ってみせる)



キーボ「まずはこうやって自分の腕のパーツを外します!」 ゴトッ

夢野(キーボの腕が外れて床に落ちる……ずいぶんダイナミックじゃな)

キーボ「そしてこの代えのパーツを取って付けるだけで改造は完了………………って」



キーボ「あれ、これではパーツが取れません!!」



夢野「アホじゃな」

15 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 22:01:26.50 ID:m8RmtXLy0

王馬「というか手がドリルになったら生活しにくいでしょ」

キーボ「そ、そうですね……。すいません、では元のパーツを取ってもらえますか」

夢野「全く手間のかかるやつじゃな。ほれ、これを――」

王馬「俺がもらっちゃうもんねー!!」

キーボ「あっ!?」

王馬「ほら、欲しかったら取ってみなよー!」

キーボ「ま、待ってください…………いてっ!?」

夢野(逃げる王馬を追いかけようとしたキーボが転ぶ。腕がなくなってバランスが取りにくいのじゃろう)

キーボ「すいません、夢野さん。起こしてもらってもいいですか!?」

夢野「……そりゃ腕がなければ起きれんわい。キーボ、お主一人で改造するのは禁止じゃ。このようなミスをする姿が容易に想像できる」

キーボ「…………悔しいですが、そのようですね」



夢野(その後どうにか王馬を捕まえて腕のパーツを取り返し、キーボの腕は復活した)

16 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 22:02:01.11 ID:m8RmtXLy0

<校舎五階>

夢野(その後四階の階段をアイテム『弘法の筆』で突破し、ウチは五階にやってきていた)



星「教会みたいなフロアだな」

天海「全部モノクマがモチーフで悪趣味っすけどね」

モノクマ「全く酷いこと言うなあ……」 ヒョイ

百田「モノクマか。どうしたんだ、出てきて」

モノクマ「あ、ちょっとね。この五階について注意があるんだ」

アンジー「注意?」

モノクマ「うん。この五階にはみんなの研究教室が三つあるんだけど……その中にはもう死んじゃった生徒のための教室もあるんだよね」

茶柱「死んでしまった……そういえば今までそのようなことは無かったですね。どうなるんですか?」

モノクマ「悪いけど、その教室は閉め切りだよ。解放されないからそのつもりでね」 ヒュン



夢野(モノクマはそこまで言うと姿を消した)

17 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 22:02:52.85 ID:m8RmtXLy0

夢野「死んだ生徒の研究教室は解放されない……か」

夢野(一周目でもあったルールじゃが……クロと被害者の変わった今周回でも、意外と今まで適用されることは無かったな)

夢野(一周目では天海の研究教室だけが閉ざされたままじゃったが……)

夢野(今周回では逆にこの五階は超高校級のコスプレイヤーの教室と探偵の教室が閉まって、天海の研究教室だけが開いておるのだろう)



夢野「天海の研究教室……か」

夢野(一周目では超高校級の生存者だった彼。その研究教室の中には、重要な情報が隠されておったが……)

夢野(今周回では超高校級の冒険家という才能になっておる)

夢野(その変更により中がどうなっておるか……)

夢野「確かめてみるか」

18 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 22:03:19.00 ID:m8RmtXLy0

<超高校級の冒険家の教室>

夢野「これは……」

夢野(超高校級の冒険家の教室というからにはどのような秘境が広がっているのだろうかと警戒していたウチじゃったが)

夢野(実際はリュックやザイル、ピッケルにロープと……冒険家の道具が揃っている教室となっていた)



王馬「えー道具があるだけ? つまんないの」

夢野(ウチと同じような想像をしていたのじゃろう。王馬がボヤく)



天海「こ、これは…………」

星「ん、天海どうしたんだ?」



天海「素晴らしいっす!!」

19 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 22:03:53.70 ID:m8RmtXLy0

王馬「そんなにすごいの? このリュックとか普通じゃない?」

天海「それは有名ブランドの最新型っす! 容量を前モデルよりも大幅に上げながらも、筋力工学を参考にした作りで負担を分散しているため楽々と荷物を運べると絶賛されていて……!!」

王馬「じゃああれは?」

天海「あれは軽い力で使いやすいピッケルっすね。確か施されてた工夫は……」



夢野「……すごいテンションじゃのう」

星「ああ、あんな天海は初めて見たな」



王馬「じゃああれは?」

夢野(王馬も高いテンションの天海が面白いのか、次々と質問している)

天海「あれは最新式の麻酔薬っすね。どんな猛獣も一瞬で眠らせられる上、人間に対しても睡眠薬として使える成分になってたはずっす」

王馬「猛獣に効くのに、睡眠薬としても使えるの?」

天海「もちろん猛獣に対して使う場合と、人間に対して使う場合では分量を変えないといけないっすね。どうやら説明書も付いているみたいなので、もし眠れなくて使う場合はそれを参考にして欲しいっす」

王馬「了解、了解」



夢野「ふむ……」

20 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 22:04:19.36 ID:m8RmtXLy0

<食堂>

夢野(探索を終えたウチらは食堂に集まっておった)

夢野(各自報告をして、見つかった思い出しライトを使用する)

夢野(今回分かったことは謎の隕石群、人類は地獄に堕ちるべしのビラ、そしてゴフェル計画)

夢野(判明した情報に騒然となる一同だったが……ウチとハルマキにとっては、全て薄っぺらい情報にしか思えなかった)



<夜時間>

<図書室>

夢野(報告会が終わった後、ウチとハルマキは図書室までやって来ていた)

夢野「さて、今回もコロシアイを防ぐために話し合おうということじゃが」

春川「後のこともあるし、状況の確認をさっさと終わらせておこうか」

21 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 22:04:50.57 ID:m8RmtXLy0

春川「まずは一周目の振り返りから」

春川「四回目の事件は入間が発端となった。コロシアイの無い世界に行こうと誘い、モノクマが外の世界の秘密を隠したことも手伝って、みんなプログラム世界に入る」

春川「そのプログラム世界で惨劇は起きた」

春川「入間は自分の殺害計画を見抜かれて、王馬に逆用されて殺される」

春川「実行犯はゴン太。外の世界の秘密を知ったゴン太が、みんな死んだ方がマシだと思っての犯行だったね……」

夢野「手違いから事件の記憶を失ってたこともあり……辛い事件だったわい」



春川「だけど今周回では、その被害者である入間とクロであるゴン太どちらとも既に死んでいる。同じ事件が起こることは無いね」

夢野「二人とも二番目の事件でじゃな。……って、思い返してみると、今周回は逆にゴン太が被害者でクロが入間だったのか」

22 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 22:05:19.68 ID:m8RmtXLy0

春川「次にコロシアイ対策についてもまとめておこうか」

春川「主に対応しないといけなかったのは二つ」

春川「一つ目は四回目の動機、謎のカードキー」

春川「一周目ではこれで外の世界の秘密を知った王馬によって、いろいろ引っかき回されたけど……」

夢野「今回はハルマキが破壊したから大丈夫じゃな」

春川「外の世界の情報も、二周目の私たちにとっては意味がないって分かってるしね」



春川「残るコロシアイの脅威は一つ。だからこれさえ抑えることが出来ればコロシアイは発生しないはず」

夢野「それが真宮寺というわけか」

23 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 22:05:46.90 ID:m8RmtXLy0

夢野「やつは前回の裁判中に公言しておる。赤松、東条、ウチ、転子、アンジーの五人全員ともに姉さんの友達にしたい……つまり殺したいということを」

夢野「殺意を持った生徒の存在がコロシアイを加速させるのは自明の理じゃな」

春川「モノクマが動機を破壊されても焦らないで、どうせコロシアイを避けられないって言ったのもこれを指してのことだろうね」

夢野「どうにかせんといけないが……」



春川「どれだけ私たちが理解できなくても、あいつには一つの通った信念がある」

春川「だから説得にも聞く耳を持たないし、対策を取ろうにも本性を現していない真宮寺相手に派手な動きをすれば周りから反感を買う」

春川「だから蘇った最原が警戒するくらいしか出来ずに、三回目の事件の時は真宮寺に動かれてしまった」

春川「この四回目もその繰り返しになってもおかしくは無かったけど……」



夢野「一つ失敗を上げるとすれば、やつは目立ちすぎたということじゃな」

夢野「そのおかげで――みんな団結することが出来た」



ガチャ!

そのときちょうど図書室の扉が開いた。

24 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 22:06:15.00 ID:m8RmtXLy0

星「二人とも早かったんだな」

百田「……つうかどうして食堂にしなかったんだ?」

天海「夜時間は食堂が閉まっているからっすね」

キーボ「あ、そうでしたね」

アンジー「んー、でもここまでする必要があるのかなー?」

茶柱「夢野さんも含めて、私たちはターゲットなんですから、警戒するに越したことはないでしょう」

王馬「しかし、よくこう集まったもんだねー。共通の敵がいると団結が深まるっていうから、そのおかげかな」

春川「みんな集まってくれてありがとう」



夢野(図書室に真宮寺以外の生き残っている生徒全員が集まる。その前でウチは宣言した)

25 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 22:06:42.50 ID:m8RmtXLy0






夢野「それではこれから――真宮寺対策会議を行う!!」





26 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/12(金) 22:08:20.35 ID:m8RmtXLy0
今日はここまで。
夢野ニューゲームシリーズ、チャプター4が始まりました。
今回もpixivと同時更新で行きます。あちらのURLはこちらです。
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9114336

twitterで投下状況の報告なども行っています。
http://twitter.com/raida_hokohira

シリーズ更新ということで、しばらくは毎日更新で進めていこうと思います。
というわけでまた明日。
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 22:16:23.28 ID:BUVzXs4R0
乙!! 期待
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 22:24:24.55 ID:cqTeg7EYo

待ってた!
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/12(金) 22:25:18.16 ID:Gp6G5ghO0
乙!
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/12(金) 22:39:28.92 ID:d+USvB/A0
乙ー、続き楽しみ
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/12(金) 23:07:02.71 ID:1Nq7go8N0
待ってた甲斐があったよー
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/13(土) 01:40:50.68 ID:9DtmZ+PEO
ついに来た! 楽しみに待ってます
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/13(土) 02:00:15.40 ID:FFVxmu/80
待ってましたー!(モノクマ)
34 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:34:31.63 ID:LGD4Jfir0
4ヶ月ぶりの投下ですが、多くの反応がもらえて励みになります。
期待に応えられるように頑張りたいです。

それでは投下ー。
35 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:35:13.84 ID:LGD4Jfir0
星「真宮寺対策会議か。仰々しいが……しょうがないか。あいつはヤバいからな」

茶柱「死んだ姉の友達を作るために殺すって……サイコ過ぎますよ」

アンジー「斬美を殺したのは許せないのだー。部屋の掃除を手伝ってくれたのに」

キーボ「本当、殺人を犯したのにおしおきを食らっていないって不思議ですよね」

王馬「上手くルールの穴を突かれたからね」

天海「あと三人殺すと言ってるのも怖いっすね。警戒されるのもお構いなしってことっすか」

百田「……ああ、そうだな」



夢野(真宮寺対策会議)

夢野(これを開けたのも、真宮寺が三回目の事件で目立ちすぎたからじゃった)

夢野(東条を殺したという実績があり、五人全員殺すという殺人予告もある)

夢野(現実的な脅威としてみんなが共通の危機感を持ったことが、このように集まって対策を考える土壌を作った)
36 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:35:44.63 ID:LGD4Jfir0

夢野「改めて現状の確認じゃ」

夢野「超高校級の民俗学者、真宮寺是清」

夢野「あやつの目的は自分の目に適った五人、ウチ、転子、アンジー、東条、赤松を姉さんの友達にするために殺害すること」

夢野「実際にこの前の事件に乗じて東条を殺害。赤松がおしおきを受けたことで二人死んでおる」

夢野「自身は最原の死体を先に発見させることでおしおきから免れており、今は残りの三人の殺害をもくろんでいると思われる」

夢野「こんなところか」



星「他人を殺すことが、死んだ姉の友達を作ることに繋がる……か」

キーボ「……改めて聞いてもやっぱり意味が分からないですね」

王馬「それはキー坊がロボットだから……って言いたいところだけど、正直俺も意味不明だよ」
37 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:36:11.76 ID:LGD4Jfir0

夢野「今日はそのウチを含む残り三人を殺させない対策を考えるために集まってもらったのじゃが……こうして真宮寺以外の全員が集まってもらえるとは、正直ウチも驚いた」

茶柱「夢野さんを守るためなら当然です! 一応、転子もターゲットみたいですし……まあ、正面から殺しに来ても返り討ちにする自信はありますが」

星「仲間のためだ。当然だろう」

天海「意外に熱いこと言うんすね。集まっている時点で俺も人のことは言えないっすけど」

アンジー「アンジーもまだ死にたくないからねー」

キーボ「アンジーさんを守るためなら当然です!」

百田「……俺もそんな感じだが、おまえが来ているのは意外だったな、王馬」

王馬「えー、酷いでしょ? 俺ほど仲間思いの生徒なんていないよ!」

春川「はいはい」

夢野(ハルマキが心ない頷きで流すが……確かにどうして王馬はこの会議に参加してくれたんじゃろうな?)
38 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:36:40.27 ID:LGD4Jfir0

夢野「では早速具体的な話に移るぞ」

夢野「まずはウチの考えから話すが――」



夢野「前提として現時点で真宮寺が直接ウチら三人を殺しに来ることは無いじゃろう」



キーボ「えっ、そうなんですか!?」

茶柱「……? これだけ真宮寺さんを警戒しているのに、殺しに来ないんですか?」

夢野「ああ。というのも、あやつはやたらと五人全員を姉さんの友達にすることにこだわっておった」

夢野「じゃから一人だけ殺して満足するということはない。必ずウチと転子、アンジーの三人とも殺そうとするはず」

夢野「となると……あるルールに抵触するんじゃ」



星「校則の一つ『一度の裁判が開かれるまでに殺せるのは二人までです。これは同一でないクロも含みます』
のことか」



茶柱「二人まで……あ、それで三人殺せないんですね!」

夢野「そういうことじゃ」

夢野(一周目にはなかった王馬の質問によって新たに追加されたルールはまだ有効である)
39 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:37:13.51 ID:LGD4Jfir0

アンジー「なるほどー。三人殺せないなら是清も動けないし、これで安全なのだー」

夢野「だったらこのように集まっておらん。今の話はあくまで直接的にはということじゃ」

夢野「前回の東条のようにおしおきされないように三人の内誰かを殺す可能性がある」

夢野「そうして裁判を乗り切れば残りは二人で圏内」

夢野「真宮寺の狙いはおそらくこれじゃ。そういうわけで今警戒しないといけないのは、ウチらの中の誰かが殺人を犯さないこと」

夢野「死体があればそれを利用しておしおきを逃れることが出来る」

夢野「じゃが逆に言うと、ウチらが誰もコロシアイをしなければ真宮寺も動くことは出来ないというわけじゃ!!」

夢野「どうじゃ、この考え! 完璧じゃろう!!」



茶柱「流石です、夢野さん!!」

星「もう条件反射で叫んでるだろ」

アンジー「んーでもよく分かったよ。コロシアイをしなければいいってことだね」

キーボ「なるほどです!」

夢野「うむうむ、そういうことじゃ」



夢野(ウチが頭を振り絞って考えたことが、みんなにも受け入れられたと思った――そのとき)
40 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:37:49.73 ID:LGD4Jfir0



王馬「全く甘々だね、夢野ちゃんは」



夢野(雰囲気をぶち壊すものが現れた)



夢野「どういうことじゃ王馬。ウチの意見が間違っているというのか?」

王馬「その通り。同じ意見の人だって他にもいるしね」

天海「……まあ、そうっすね」

春川「こればかりは王馬に賛成かな」

夢野(王馬、天海、ハルマキ……裁判でいつもみんなを引っ張ってくれるメンバーがどうやらウチの言葉に反対しておる)

夢野「……まあ今のはウチが一人で考えたことじゃ。見落としがあってもおかしくはない」

夢野「それで訂正したいところはどこなんじゃ?」

王馬「もう何もかもだよ。代表して俺が指摘させてもらうけどさ」





王馬「真宮寺ちゃんは現時点で夢野ちゃんたち三人を直接殺しに来る可能性があるよ」





41 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:38:18.27 ID:LGD4Jfir0

夢野「……え?」

キーボ「ですが、それは校則違反では」

星「……っ。そうか、俺としたことがそんな見通しを……」



王馬「夢野ちゃんが校則違反って点に注目したのは成長だと思うよ」

王馬「でも、そこで問題なんだけど……二人までしか殺せない校則が働いているこの現状で、真宮寺ちゃんは一度に何人まで殺せると思う?」

夢野「そんなの二人に決まって……」

王馬「ぶっぶー。正解は三人でした」

夢野「んあっ!? それはおかしいではないか!? 三人殺したら校則違反で処刑されて――」



王馬「処刑されるけど、三人殺すことは成し遂げられるよね?」



夢野「……あ」
42 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:38:48.41 ID:LGD4Jfir0

茶柱「で、ですがそんな方法取れるわけが……」

王馬「いや、真宮寺ちゃんは三回目の裁判で間違った結論に誘導してクロ以外の全滅を狙っていた辺り、五人さえ殺せれば自分の命が無くなっても構わないと思っている」

王馬「十分に考えられる可能性だよ」

夢野「…………悔しいが、王馬の言う通りじゃな」

夢野(真宮寺の狂気をウチは想定できていなかった)

夢野(あやつは目的のためなら命さえも厭わない……それがここまで厄介だとは)



キーボ「なら直接殺しに来る可能性も含めて検討を……」

王馬「あ、それは大丈夫。その方法は防ぐから」

茶柱「……? どういうことですか?」

王馬「まあまあ後で話すから、今は次の話に移らせて」
43 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:39:15.59 ID:LGD4Jfir0

王馬「次は俺らが死体を作らないことで、真宮寺ちゃんにおしおき逃れの殺しをさせないって話だったね」

夢野「これについてはその通りじゃろ?」

王馬「そうだけど……まだ警戒が足りないと言わざるを得ないね」

夢野「何じゃと?」

王馬「だって、夢野ちゃんは分かってないでしょ――」



王馬「どうして赤松ちゃんがクロとしておしおきされたのか?」



夢野「赤松が……?」
44 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:39:46.39 ID:LGD4Jfir0

アンジー「どうしてここで楓の名前が出てくるのー?」

茶柱「そうですよ、赤松さんは蘇った最原さんが自分の思い出とは違う存在だから拒絶してしまい、そのときはずみで殺してしまっただけで……」

王馬「それにはどうやって気づいたと思っているの?」

夢野「えっと、帽子のサイズが合わなかったことで……」

王馬「帽子を使うように思い至ったきっかけは何だと思う?」

夢野「それは――」



赤松『そんなときにあれを見て……だから確かめてみたけど……うん、最原君は最原君だよ』



夢野「あれを見てと言っておったな。つまり誰かが赤松に何かを教えた……?」

王馬「そういうこと」
45 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:40:15.75 ID:LGD4Jfir0

王馬「で、ここからが問題なんだけど、誰がそれを教えたんだと思う?」

春川「モノクマではおそらく無いと思うよ。だったとしたら、性格からしてネタバラシしているはずだから」

天海「ここに集まった生徒たちでも無いっすよね? わざわざそんなことする必要がないし、そもそもほとんど最原君が違うって気づいてなかったっすから」

夢野「じゃあ……つまり――」



王馬「残る可能性は真宮寺ちゃんだね」

王馬「赤松ちゃんが最原ちゃんを殺した間接的な原因は真宮寺ちゃんってこと」

王馬「ようするに……赤松ちゃんをクロにすることで殺害したんだよ」



茶柱「クロにしてですかっ!?」

夢野「……っ!? そんなことあるわけが……」

王馬「おそらく証拠はあるよ。ねえ、キー坊」

キーボ「え、ボクですか?」
46 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:40:43.00 ID:LGD4Jfir0

王馬「だってキー坊だけは、最原ちゃんがよく似た偽物だって気づいてたでしょ?」

王馬「もしかしてそのことを真宮寺ちゃんに教えたことがあるんじゃない?」

キーボ「ええ、相談したことがありますから。そのときにそんなことみんな知っているから、わざわざ言わなくていいとも………………」

キーボ「もしかしてこれは真宮寺クンの嘘だったということですか!?」

王馬「そうだね。キー坊には口止めして、赤松ちゃんには密告することで、事件の状況を作った」

春川「それで目論見通り赤松が最原を殺したから、自分も東条を殺して死体発見の順番をコントロールすることでおしおきを逃れた」

天海「首尾良く東条さんを殺している辺り、想定内の動きだったのは間違いないはずっす」
47 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:41:12.43 ID:LGD4Jfir0

王馬「というわけで真宮寺ちゃんが他人の行動を操って殺しをさせる可能性だって考えないといけないんだよ」

茶柱「つまり転子や夢野さん、アンジーさんをクロにしておしおきさせたり……」

キーボ「ボクたちを操って、その三人を殺させる可能性もあるってことですか」

夢野「そんなの分かっていれば防げるに……」



王馬「なら、みんなで一緒にこの学園を脱出しようって言った赤松ちゃんは、コロシアイをしてはいけないと分かってなかったっていうわけ?」



夢野「…………」

王馬「違うよね。一番コロシアイを憎んでいた赤松ちゃんでさえも、ウィークポイントを巧みに突かれて行動を操られた」

王馬「警戒していれば防げるなんてものじゃない。いや、そうやって強迫観念を持っているものこそ、行動を操りやすいんだよ」

春川「怪しい宗教にハマる人なんかもそうだね。絶対にハマらないって考えが固い人ほど、ころっと考えをひっくり返されやすいし」
48 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:41:51.32 ID:LGD4Jfir0

夢野「………………」

夢野(自身の命も省みない強攻策も取れるし、間接的に殺す搦め手も得意)

夢野(ようやくウチは認識する)

夢野(真宮寺是清はこの学園生活を脅かす強大な脅威だと)



夢野「……じゃあどうすれば真宮寺を防げるんじゃ?」

夢野「ウチにはもう方法が……」



王馬「大丈夫だよ。ここに真宮寺ちゃん以外が目的を一緒に集まった」

王馬「これだけの人数がいれば……どんな手段だって取れる」

王馬「少々荒っぽいけど、これで真宮寺ちゃんを完封するよ」
49 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:42:18.11 ID:LGD4Jfir0

夢野「何か考えがあるんじゃな?」

王馬「うん、それを説明するからちょっと聞いてもらえるかな」

夢野(王馬の呼びかけに応じて、話を聞く体勢に入ったウチらじゃが……)



王馬「……って、百田ちゃん聞いてるの?」

百田「…………ん、ああ、すまん。何の話だったか?」

天海「真宮寺君の対策について話すから、耳を貸して欲しいってことっす」

茶柱「男死含めた全員の協力が必要みたいですから、ちゃんと話を聞いてください」



星「いや、待て。……百田、おまえ顔色が悪くないか?」

アンジー「そういえば会議が始まってからずっと発言してなかったねー」

キーボ「体調でも悪いんですか」

百田「……いや、何でもねえ。すまん、話はちゃんと聞く」

春川「百田……」

夢野(ハルマキが心配そうな表情をしている。これもどうにかせんといけんが……今は真宮寺からじゃ)
50 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:43:14.11 ID:LGD4Jfir0

夢野(その後、王馬が話した真宮寺対策について、かなり荒れたものの最後はみんな賛成した)

夢野(そして細かなことについても話し合って)



王馬「じゃあ明日の朝、宣戦布告と行こうか」

夢野「了解じゃ!」



夢野(その場は解散した)
51 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/13(土) 18:43:40.26 ID:LGD4Jfir0
今日はここまで。また明日。
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/13(土) 19:01:51.35 ID:c/fx/s/I0

もはや災害みたいな扱いで塩
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/13(土) 19:04:32.26 ID:t+00XB1KO
乙です
塩害だな。このss内においてはラスボス並の風格があるわ
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/13(土) 19:36:20.58 ID:5Xdi2xqsO
本編でも生きてたら相当厄介だっただろうしなあいつ
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/13(土) 20:48:31.26 ID:j19fIJCG0
乙です!もう狛枝みたいに監禁するしかないような
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 02:03:51.63 ID:xzE2qAft0
ハルマキ死なないで
57 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 21:58:33.45 ID:mCJYMCN90
投下ー。
58 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 21:59:00.14 ID:mCJYMCN90
<翌日朝>

真宮寺「さて、今朝も朝食会……」

真宮寺「みんなとの交流も深めて……算段を付けていかないとネ」

食堂に入った真宮寺は。



夢野「遅かったな、真宮寺」

真宮寺「……おやおや、これはみんなお揃いでどうしたのかナ?」

自分以外の全員が先に食堂に揃って待ちかまえていたことに気づく。
59 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 21:59:30.76 ID:mCJYMCN90
真宮寺「様子からして、僕を待っていたみたいだネ」

真宮寺「昨夜こそこそ動いていたことと関係するのかナ?」

夢野「ずいぶん目聡いんじゃな。その通りじゃ」

真宮寺「……くくっ、これはどうやら予想より悪い状況みたいだネ」



王馬「まあ、前置きはそれくらいにして」

王馬「――モノクマ、出てきてよ。聞いておきたいことがあるからさ!」

モノクマ「……はいはい。全くクマ使いが荒いなあ」

モノクマ「何か話があるの? さっさと済ませてよね」
60 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 22:00:00.12 ID:mCJYMCN90
王馬「一つ校則について提案があるんだ」

モノクマ「校則?」

王馬「うん。『一度の裁判が開かれるまでに殺せるのは二人までです。これは同一でないクロも含みます』
のことだよ」

王馬「これって一度死体が発見されたらおしおきされないことを生かして、残り二人になるまで殺せる無法地帯を制限するために決められたんだよね?」

モノクマ「そうだね」

王馬「でも、今ここに校則違反を厭わず、三人を殺して処刑されても構わないって生徒がいる」

真宮寺「……くくっ、誰のことやら」

夢野「お主じゃ、お主。とぼけるでない」



王馬「そうなったら裁判も開けずに、一度に四人の生徒が死んで、残り六人って状況になってしまうけど……これってモノクマ的に大丈夫なの?」



モノクマ「……なるほどね。確かにそうなると盛り上がりどころも無く一気に人数が減るし……あまり良い状況では無いね」

王馬「そう。だから……校則でそれを制限してくれない?」



夢野(これが王馬の提案した強攻策への対策)

夢野(モノクマによりルールを決めさせることで、真宮寺の行動を制限する)
61 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 22:00:26.75 ID:mCJYMCN90

真宮寺「ずいぶんと大人げない行動に出たネ。生徒同士の争いに、先生を巻き込むなんて」

王馬「使えるものは何でも使わないとね」

キーボ「それでどうなんですか?」

モノクマ「うーん……生徒の思い通りに動かされるのも癪なんだけど……」

モノクマ「でも、実際そうなったら面倒だし……」

モノクマ「あまりシステマチックにして悪用されるのも嫌だから………うん、よしっ」

モノクマ「ここに新たな校則を追加を宣言するよ!」



モノクマ「それは――『死体が発見された場合学園長の都合により、裁判が終わるまでそれ以上の殺人行為を禁止することがあります。その際学園側が直接介入することもあります』だよ!!」



62 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 22:01:19.24 ID:mCJYMCN90

王馬「何かいつもとは違う感じの校則だね」

モノクマ「そりゃあね。校則違反も厭わない生徒がいるなら、ちょっと変えないといけないでしょ」

夢野「それで結局どういう校則なんじゃ、これは?」

モノクマ「えっとね、死体が発見されてこれ以上殺人が起きたら面白くないってボクが判断したときに、殺人行為の禁止を宣言する」

モノクマ「そうしたら裁判が終わるまでの殺人行為は禁止……って、言っても破る人間がいるからさっきの話になったんでしょ?」



モノクマ「だから学園側が介入してでも禁止を実行する……要するにエグイサルを出動させて、物理的に殺人行為を阻止するってことだよ」



王馬「校則違反を覚悟した特攻も許さないってことだね。なるほど、いいんじゃない」

天海「そうっすね、真宮寺君による三人殺害は防げそうっす」

モノクマ「良かった、良かった。じゃあ電子生徒手帳にも追加しておくね」





校則『死体が発見された場合学園長の都合により、裁判が終わるまでそれ以上の殺人行為を禁止することがあります。その際学園側が直接介入することもあります』が追加されました。

63 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 22:01:58.25 ID:mCJYMCN90

王馬「さて、これで三人を殺す方法は防がれた。今の気持ちはどう、真宮寺ちゃん?」

真宮寺「随分と警戒されたみたいだネ。これはもうお手上げだヨ」

夢野「……そんな嘘には騙されんからな」

夢野(そうじゃ。直接的な行為を防げても、あやつにはまだ間接的に人を殺させる方法が残っておる)

夢野(それを防ぐために王馬が提案したのが……少々荒っぽいが――)



夢野「真宮寺――これよりお主を拘束する」



夢野(物理的に真宮寺の行動を制限するということじゃった)

64 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 22:02:24.86 ID:mCJYMCN90

真宮寺「僕を……拘束?」

王馬「縄ででも縛って自分の部屋に入れて、部屋の外に24時間態勢で監視を置く」

王馬「ここまですれば、もう何も行動は出来ないでしょ」

真宮寺「24時間の監視……ネ。簡単に言うけど、実際には結構な手間だヨ。そんなこと出来るとは……」

夢野「ああ、一人なら出来んじゃろうな。じゃが真宮寺。お主以外の全員が協力すれば何とかなると思えんか?」

真宮寺「………………」

夢野(この場にいる真宮寺以外の生徒九名が敵意を向けていることに気づいたようじゃな)



真宮寺「……流石にやり過ぎじゃないかナ? 良心が痛まないの?」

春川「先にやりすぎたのはあんただよ、真宮寺」

キーボ「そうです、東条さんを殺した自業自得です」

アンジー「モノクマがおしおきしないなら、アンジーたちがおしおきするのだー」

茶柱「夢野さんの命を守るための備えです! これでもまだ足りないくらいですよ!」

星「モノクマ、あんたも止めないよな? このコロシアイ学園生活、暴力行為は推奨だろう?」

モノクマ「そうだけど……いやあ、そこまでするとはね」

65 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 22:03:14.84 ID:mCJYMCN90

百田「大丈夫だ、命までは奪わない。ちゃんと食事は取らせるし、その他生命の維持には努める」

百田「餓死だとしても死んだらコロシアイの範疇だ。おまえなんかのために、これ以上大切な仲間の命を失うわけにはいかないからな」

真宮寺「くくっ……仲間思いの百田君にさえ、仲間外れにされたか」

天海「そういうことっす。君はこのコロシアイ学園生活で全員を敵に回してしまった。その行為の意味を十分に噛みしめるっす」

夢野「ちなみに抵抗は無駄じゃ。こちらには暗殺者のハルマキに、合気道家の転子までおる。そうでなくとも9対1じゃ。勝てるとは思わんことじゃな」





真宮寺「………………」

真宮寺「………………」

真宮寺「そうだネ……分かったヨ。甘んじて受け入れようじゃないか」





66 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 22:03:42.82 ID:mCJYMCN90

<真宮寺の自室前>

夢野「どうじゃ、状況は」

王馬「真宮寺ちゃんの手足を縛ってベッドに放置、そして俺がこうやって扉の外で監視を始めたってところ」

王馬「特に目立った抵抗もしなかったし、楽な仕事だったよ」

夢野「そうか……しかし、本当にウチは監視業務に入らなくていいのか?」

王馬「うん、夢野ちゃん、茶柱ちゃん、アンジーちゃんは真宮寺ちゃんのターゲットだからね」

王馬「拘束しているとはいえあまり近づいても良くないし、監視は残りの六人で回すよ」

夢野「そうか……迷惑をかけるな」

王馬「いいって、これくらい」



夢野「にしてもコロシアイを防ぐためとはいえ……そこまですることになるとは」

夢野(生徒一人の人権を完全に無視しておる。やつがしたのはそこまでのこととはいえ……正直ウチの良心は痛んでおった)

王馬「夢野ちゃんは優しいんだね」



王馬「でも狂気に対抗するには狂気だよ。やるなら徹底的に……本当はもっと踏み込んでもいいくらいだって」



夢野「……一度決めたことじゃ、ウチも反対はせん」

夢野(東条と間接的とはいえ赤松と最原の命を奪った相手。同情心など沸くはずもないが…………)

67 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 22:04:18.98 ID:mCJYMCN90

夢野「しかし……王馬、お主がここまで協力的だとはな」

王馬「俺?」

夢野「そうじゃ、真宮寺対策会議に集まってくれたのも正直意外だったし、こうして真宮寺を封じるための策も一杯考えてくれた」

夢野「どういう風の吹き回しなんじゃ」

王馬「……何だ、そんなことか」



王馬「そんなの決まってるでしょ?」



夢野「……え?」

68 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 22:04:46.57 ID:mCJYMCN90

王馬「真宮寺ちゃんは姉さんの友達作りのために三人殺すつもりだった」

王馬「その中には夢野ちゃん、君も含まれている」

夢野「そうじゃが……それが……?」

王馬「分からないの? そんなの許せるはずがないってこと!」

王馬「俺がこうやって真宮寺ちゃんを封じるのに協力したのも全て――」





王馬「夢野ちゃん――君を守るためだよ」





夢野「王馬……」

69 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 22:05:14.82 ID:mCJYMCN90



夢野「――ずいぶんと下手な嘘を付くんじゃな」



王馬「あ、バレた?」

王馬「おっかしいなー、もうちょっと焦った反応が見れると思ったのに」

夢野「ウチだって成長するんじゃ。その程度の嘘に騙されてたウチは過去じゃ」

王馬「手強いなあ……」



王馬「でも、だったら……本当はどうして協力したんだと思うの?」



夢野「……え?」

王馬「こうやって茶化したフリしてるけど……結構本気だったんだよ、俺」

夢野「いや、それは……」

夢野(まさか……本当にそうなのか。ウチを守るために王馬は――)

70 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 22:06:05.48 ID:mCJYMCN90



王馬「あ、信じた」



夢野「え?」

王馬「ぷぷっ、騙されないとか言った側からこれって……!」



夢野「……」

夢野「……」

夢野「……!!」 ブチッ!!

夢野「二段構えじゃと!? 卑怯じゃぞ、王馬!!」



王馬「卑怯は悪の総統にとって誉め言葉だよ、夢野ちゃん」

王馬「本当の理由は面白そうだから協力したに決まってるじゃん!」

夢野「ああもう、お主はそういうやつじゃったな!! 全く、今日という今日はお主の性根を叩き直してやるわい!!」

王馬「はいはい、頑張ってねー」



夢野(その後怒り心頭のウチは説教を続けるが、軽く受け流す王馬じゃった)

71 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/14(日) 22:06:58.36 ID:mCJYMCN90
今日はここまで。また明日。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/14(日) 22:17:34.77 ID:Bqk+nga70

ひみちゃんチョロかわ
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 22:17:37.82 ID:YvMYJyv70
うおーchapter4きてたの今気が付いた!
乙です!相変わらず面白かった。
塩害対策どうなるか…
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/14(日) 22:29:58.94 ID:REjOp3YB0
乙!
夢野ちゃん可愛すぎ
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 22:43:49.78 ID:Cld8wG7U0

どうなるのか楽しみ
76 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:43:37.67 ID:kb8mE5aV0
投下ー。
77 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:44:04.07 ID:kb8mE5aV0
<翌日朝>

<食堂>

夢野(真宮寺の行動を封じたその翌日)



春川「おはよう…………ん……」

夢野「随分眠そうじゃな、ハルマキ」

春川「今まで真宮寺を監視してたから」

夢野「なるほど、深夜のお勤めご苦労さんじゃ」

春川「ありがと。……あ、そういえば真宮寺の朝ご飯って用意してある?」

夢野「ああ、それならあっちじゃ」

春川「ん、じゃあ行ってくる」



夢野「……ちょうど食べ終わったし、ウチも付いていっても良いか?」

78 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:44:31.15 ID:kb8mE5aV0

<真宮寺の部屋自室前>

百田「ゴホッ、ゴホッ……」

夢野(真宮寺の部屋の扉脇に座り込み、咳込んでいる百田)



百田「……ハルマキか。すまん、迷惑かけて。シフト交代の時に俺が朝ご飯持ってこないといけなかったのに」

春川「いいって、これくらい」

春川「それより大丈夫なの、その状態で監視なんて。私が変わった方が……」

百田「これくらい大丈夫だ。大体今までハルマキが監視してたんだろ。ちゃんと寝ないとお肌に悪いぞ」

春川「暗殺者の任務で三日三晩寝ずに張り込んだこともあるし、それくらい大丈夫だって」

百田「……とにかく俺の仕事だ。男としてみんなとした約束を破るわけには行かねえ」

春川「じゃあせめて朝食は私が渡すから。そこで座っていて」

百田「……ああ、頼んだ」

79 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:45:08.01 ID:kb8mE5aV0

夢野(覇気が無い様子の百田)

夢野(原因は分かっておる……しかし、どうやって対処すればいいのか……)



春川「………………」

春川「それで私は朝食渡しに行くけど……夢野、あんたはどうするの?」

夢野「んあ、ウチか。そうじゃな……ちょっと真宮寺の様子を見ておきたいし、一緒に入っても良いか?」

春川「いいと思うよ。あいつも縛っているし、私も付いているから」

春川「それでも相手はあんたを殺そうと思っている。警戒だけは解かないでね」

夢野「分かった」



夢野(ウチとハルマキは真宮寺の自室に踏み込んだ)

80 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:45:50.65 ID:kb8mE5aV0

<真宮寺の個室>

夢野(ハルマキが鍵を使って扉を開ける。真宮寺の部屋の鍵は監視している者が交代して持つようにしているようじゃ)

夢野(中に入ったウチは部屋を見渡すと……)



真宮寺「朝ご飯かい? 待ちくたびれたヨ」

夢野(真宮寺は手足を縛られてベッドに転がっている)

夢野(真宮寺の扱いについては一昨日の真宮寺対策会議で話し合ったのじゃが、そのときかなり荒れた)

夢野(というのもどこまで行動を制限するか意見が別れたからである)



夢野(拘束しなくとも部屋から出さなければそれでいいのではないかという穏便な意見もあれば)

夢野(手足を縛り、話術を封じるために口枷も付け、監視も部屋の中で行い、一挙手一投足見逃すべきでない、という過激な意見まであった)

夢野(ウチは中立派であったが穏健派の転子やキーボ、過激派の王馬やハルマキを筆頭にかなり言い争った)

夢野(最終的に真宮寺のプライバシーや殺人のリスク、監視の手間などを考えて折衷案――現状の手足は縛り部屋に閉じ込め、監視は部屋の外で行うということに決まった)
81 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:48:27.06 ID:kb8mE5aV0

真宮寺「しかし夢野さんまでここに来るとは……ターゲットは近づけさせないようにすると思ったんだけどネ」

春川「ほら朝食」

夢野(真宮寺の言葉を無視してハルマキがベッドの上にパンを放る)

真宮寺「もうちょっと丁寧にしてくれてもいいと思うけど……まあ僕が言えた義理ではないか」

夢野(真宮寺は這ってパンの元までたどりつき、首から上だけしか思うように動かせない中どうにか食べ始めた)



夢野「……ご飯のときも拘束は外さないんじゃな」

春川「当然でしょ。一々外してなんて、反撃されるリスクが高いことする必要もない」

夢野「じゃが……」

春川「そんなの酷いんじゃないかって? 本当に酷いのは人殺しのあいつでしょ?」

夢野「…………」

夢野(ハルマキの言い分も分かる)

夢野(しかし、ウチはそこまで割り切ることが出来ない)

夢野(例え殺人犯とはいえ、自分と同じ『ヒト』の尊厳を踏みにじられている姿を見て平気でいられない)

夢野(……王馬の言葉の通りか)



王馬『でも狂気に対抗するには狂気だよ。やるなら徹底的に……本当はもっと踏み込んでもいいくらいだって』



夢野(ウチはそこまで狂気に落ちれん)

82 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:48:54.17 ID:kb8mE5aV0

春川「じゃあ帰るよ」

夢野(役目を終えてさっさと部屋を後にしようとするハルマキ)

夢野(ウチもその後を付いていこうとするその前に)



真宮寺「………………」



夢野「………………」

夢野(もう一度真宮寺を振り返って)



春川「どうしたの?」

夢野「……何でもない、すぐ行く」

夢野(そして部屋を出た)

83 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:49:24.37 ID:kb8mE5aV0

<真宮寺の自室前>

春川「じゃあ、後はよろしくね」

百田「ゴホッ……ああ、任せろ」

夢野(監視の引き継ぎ作業を終えると、ハルマキは百田の様子が気になりながらもその場を離れる)

夢野(ウチもその隣に付いていく)



春川「………………」

夢野「……しかし真宮寺も特に反抗的な様子は無かったな」

夢野「案外ここまで行動を制限されて、ウチらを殺すのを諦めたんじゃないか?」

春川「そうだね、前の監視から引き継いだときに報告を受けたけど、あいつは丸一日ずっと大人しくしていたみたい」

春川「出来ればずっとそのままだと助かるね」



夢野「………………」

夢野(ハルマキは肯定するが……ウチは自分で言っていて不安に思っていた)

夢野(最後の振り返って見た真宮寺の目。あれは……諦めた者の目ではない)

夢野(それも当然じゃ。自分の命を失ってでも目的を達成しようとする執念があるのに、行動を縛られたくらいで投げ出すはずがない)

夢野(いつものハルマキならそれくらい気づいてもおかしく無さそうじゃが……)



春川「そんなことよりコロシアイ対策も完了したってことの方が重要だよ」

春川「これでようやく百田の病気について動けるね」



夢野「………………」

夢野(拘束された真宮寺を平気で見ていたことから分かっておったが……)

夢野(今のハルマキは、いつものハルマキではない)
84 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:49:56.97 ID:kb8mE5aV0

<図書室>

夢野(図書室に付くと早速ハルマキが口を開いた)



春川「コロシアイ対策は完了。不安の芽は全て摘みきった」

春川「でも、まだ命の危険に晒されている者がいる」

夢野「言うまでもなく百田じゃな」

春川「うん。原因は病気……一周目で白銀が言った設定では隕石のウィルスにかかったとかだったかな」

夢野「あの口振りじゃと自由に病気に出来るようじゃが……記憶を操ることに比べればまだ理解できる話じゃな」

夢野(病原菌を予め打ち込んだとかそのようなところじゃろう)

春川「とにかく、このままではあいつの病状は悪化する一方。その兆候も出始めている」

夢野「あれほど咳込んでおったしな」

春川「だとしても――絶対に救ってみせる」
85 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:50:23.80 ID:kb8mE5aV0

夢野「じゃが一体どうするんじゃ? 病気をどうにかするなんて……今までと比べものにならない難易度じゃぞ?」

夢野(医者がいないこの閉鎖空間。学園といえば保健室や養護教諭、保険委員などがいるべきだが、それもいない)

夢野(医療環境という点ではこの学園は最低レベルじゃ)



春川「それでも……やるしかないでしょ」

夢野「いや、そうではあるのじゃが……」

春川「幸い人の壊し方には詳しいから。反転させれば人の活かし方になる」

夢野「水は差したくないんじゃが……そのように簡単な話では……」



春川「分かっている。あくまで視点の話。あっちにちゃんと現実的な用意もしてある」

夢野(ハルマキが指したのは図書室に積まれてあった本。数にして……百は下らないじゃろう)

夢野「それは……?」

春川「医学書みたい。事前にこの図書室中からかき集めておいた。蔵書数はかなりあるからね」

春川「これで勉強して……百田の治療法を見つけてみせる」
86 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:50:57.48 ID:kb8mE5aV0

夢野「………………」

夢野(現実的……なのじゃろうか?)

夢野(素人のハルマキが、今から医学を勉強して、百田の病状が悪化する前に、未知の病気の治し方を見つけて、その処置を行う)

夢野(とても上手く行くとは思えない)

夢野(じゃが……まともな手段に絞れば、それ以外に方法も思いつかない)

夢野(何もしないよりは助けられる確率は上がる。それが万が一……いや、億が一ほどの可能性だったとしても、それに縋るしか選択肢はない)



夢野「……ウチは何を手伝えばいい?」

春川「勉強は私一人でするから大丈夫。何か手伝って欲しいときは言うから」

夢野「そうか。その、ハルマキ……無茶はせんようにな。昨日だって真宮寺の監視で寝てないんじゃろう?」

春川「分かってるって」

夢野「ああ、すまん。いらぬ心配を――」

87 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:51:23.72 ID:kb8mE5aV0



春川「だって私がやろうとしているのは無茶じゃなくて……無謀だからね」



夢野「っ……じゃ、じゃがお主の体が壊れては元も子も……!!」



春川「私の体が壊れるくらいで、百田が救えるなら本望だよ」



夢野「……!?」



春川「大体百田が死んだら、私は生きていく自信がない。それくらい大事な存在になっている」



88 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:51:51.54 ID:kb8mE5aV0

春川「一周目で最原に聞いたんだ」

春川「赤松との関係がどんなだったかを聞いて『好きだったかもしれない』って」

春川「私が『こんなところで会ったばかりの人を好きになるなんて変だ』って言うと」

春川「あいつは『じゃあどんなときに人を好きになれば変じゃないの?』って答えた」



春川「最原の言う通りだよ。だって私はこんなとこで会った百田を好きなっているし、それを変だとは思っていない」

春川「一周目で私の中で一番大切な人だって自覚したのに失ってしまって……でも、こうやってやり直しのチャンスを得た」



春川「百田は……今度こそ絶対に死なせない」



夢野「ハルマキ……」
89 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:52:17.40 ID:kb8mE5aV0

春川「……そういうことだから」

春川「しばらく私は真宮寺の監視の時以外この図書室に籠もる」

春川「何かあったら声をかけるから、夢野の方も……」

夢野「……いや、ウチは問題が起きてもなるべく一人で解決する」

夢野「ハルマキの邪魔はしたくない」

春川「……そう」

春川「でも、本当にどうしようもなくなったら言ってよね」

夢野「分かっておる」



夢野(話を終えて、ハルマキは早速一冊目の医学書を開く)

春川「…………」

夢野(勉強に集中するハルマキの邪魔にならないよう、ウチはこっそりと図書室を出た)

90 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/15(月) 16:52:43.53 ID:kb8mE5aV0
今日はここまで。また明日。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/15(月) 17:16:22.30 ID:asEYfiICO

塩の明日やいかに
92 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:20:51.75 ID:ZnrsGnJd0
投下ー。
93 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:21:55.01 ID:ZnrsGnJd0
<翌日朝>

<食堂>

夢野(ハルマキの決意を聞いた翌日の朝食会)



夢野「参加しておるのは七人か」

夢野(現在生き残っている生徒は十名。欠席しているのは縛られている真宮寺と現在の監視役のキーボに勉強中のハルマキ……か)



王馬「最初の半分以下の人数だね。いやあ随分減ったもんだ!」

夢野「そうじゃな」

王馬「あれ、怒らないの?」

夢野「怒られると思うようなら発言するでない」

王馬「まあそうだけど……ああもう、つまんないの」
94 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:22:23.22 ID:ZnrsGnJd0

王馬「最近さ、百田ちゃんは季節外れの風邪でダウンしてるし、キー坊はアンジーちゃんにベッタリだし、真宮寺ちゃんも思ったより大人しくしてるし、本当つまんないよ」

夢野「じゃからといってウチに絡んでくるんじゃない」

王馬「だって一番反応してくれるんだもの」

茶柱「ああもう、そこの男死! 夢野さんから離れてください!」

茶柱「夢野さんを困らせていいのは転子だけですよ!!」

夢野「いや、お主にも許可した覚えはないぞ」

茶柱「……!?」

夢野「なぜ驚いているんじゃ」
95 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:22:51.22 ID:ZnrsGnJd0

百田「ゴホン、ゴホンッ……」

星「しかし、百田の風邪も長引いているな」

百田「……ああ、すまん。心配かけているな」

夢野(グタッとしている様子じゃが、それでも食欲はあるようで朝食会に足を運んでおる百田)



天海「夏風邪は長引きやすいっすからね」

星「夏……そもそもこの学園に季節はあるのか?」

茶柱「転子にも分かりませんが……まああの格好で過ごせるくらいには温暖な気候だと思いますよ」

アンジー「ん?」 ←普段からビキニな人。

夢野「そうじゃな」



夢野(みんなはどうやら百田の症状を風邪だと思っている)

夢野(百田自身が不調を誤魔化すために嘘を付いているからじゃろう。その嘘がみんなにも信じられている)

夢野(本当のことは……言わなくてもいいか。みんなに過剰な心配をさせても仕方ないしな)

96 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:23:20.33 ID:ZnrsGnJd0

星「となると……テニスはまた今度になりそうだな」

百田「流石に運動は無理だろうな……くっ、宇宙に轟く百田ともあろう俺が風邪でダウンなんて……」

星「あんまり焦るな」

夢野(そういえば三回目の事件が起こる前日、二人はテニスをしたんじゃったか)



キーボ「テニスですか……」

百田「ああ、あのときは白熱したな」

百田「朝から晩までテニスをして……部屋に帰ったら疲労でシャワーを浴びたまま寝たくらいだ」

星「俺も同じようなものだ。……って、まあさすがにちゃんとベッドで寝たが」



王馬「テニスね。どっちが勝ったの? って、星ちゃんの圧勝に決まってるか」

星「いや圧勝とまでは行かなかったな。結構百田が粘って点を取る場面もあった」

王馬「ええっ、本当に? 手を抜いたとかじゃなくて?」

星「俺もブランクがあったからな。もうずっとラケットにも触ってなければどうしても技術は落ちる」

星「またテニスをやろうと思ったのは……あのときからだからな」



夢野(二周目では行われた動機ビデオ発表会か。赤松のおかげで生きる動機を得た星は、一周目よりも雰囲気が明るくなっておるな)

97 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:23:47.66 ID:ZnrsGnJd0

<図書室>

夢野(朝食会の後、ウチはハルマキの分の朝食を持って図書室に降りた)



夢野「失礼するぞー」

春川「………………」

夢野「集中しておるな……」

夢野(脇目も振らずに本に向かっておるハルマキ。おそらくウチが図書室に入ってきたことにも気づいてないであろう)

夢野(朝食だけ置いて帰ろうと近づいたそのとき)

春川「――誰?」

夢野「んあっ……!?」

夢野(ハルマキに殺気を向けられる)

98 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:24:34.70 ID:ZnrsGnJd0

春川「って、夢野か。……どうしたの?」

夢野「ど、どうしたも何もウチは朝食を持ってきただけで……い、命だけはお助けを……!!」

春川「ごめん。ちょっと徹夜で集中していたから気が立っていて」

夢野「そ、そうか……全く驚かすでない」

春川「それで……朝食か。もうそんな時間なんだね、ありがとう。いただいてもいい?」

夢野「もちろんじゃ」

夢野(ウチの持ってきた朝食に手を付けるハルマキ。さすがに食べている間は勉強は中断している)

夢野(しかし徹夜とは……もう二晩連続ではないか? 大丈夫………………なはずがない)



春川『私の体が壊れるくらいで、百田が救えるなら本望だよ』



夢野(あの言葉は意気込みなんかでは無く、本気でやるつもりということか)

99 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:25:14.95 ID:ZnrsGnJd0
夢野「ところで百田の状況について分かったことはあったか?」

春川「……現状の百田の症状は風邪に似ている」

春川「でも、ここから一周目を見るに吐血までするってなると………………他にも不可解な点が…………病原菌の潜伏期間も…………それに…………しかし…………」

夢野「………………」



夢野(苦悶の表情で食べながらぶつぶつと言っているハルマキ)

夢野(ウチは安易に質問したことを悔いていた)

夢野(初めから大変なことだと分かっておったではないか。一日かそこらで状況が進展するはずがない)

夢野(なのにウチは聞いて……せめて食事の時くらいはリラックスさせるべきじゃったのに……)



春川「ごちそうさま」

夢野「片づけはこっちでしておくぞ」

春川「ありがと。その言葉に甘えるね」

夢野(ハルマキは食器をウチに渡すとまた本を開いた)
100 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:25:41.67 ID:ZnrsGnJd0

<真宮寺の部屋前>

夢野(図書室を出たウチは寄宿舎に戻ると、ふと真宮寺の部屋前に行ってみた)



キーボ「あ、どうしましたか、夢野さん。」

夢野「今朝の監視はキーボか。どうじゃ、真宮寺の様子は?」

キーボ「変わりないですよ」

夢野「そうか……って、何じゃこの音は?」

夢野(扉の前に来たウチじゃが……真宮寺の部屋の中から何か音が聞こえる)



キーボ「あ、えっと……それは……」

夢野(気づかれたことに動揺しているキーボ)
101 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:26:07.77 ID:ZnrsGnJd0

夢野「心当たりがあるんじゃな? どういうことじゃ?」

キーボ「えっと……みんなには、特に王馬君には内緒にしてもらえますか?」

夢野「内容次第じゃ。とっとと話せい」

キーボ「……その真宮寺君に朝食を届けたときのことなんですが」

キーボ「いつもより元気がない様子で……思わずどうしたのか聞いたんです」

キーボ「そうしたら……」



真宮寺『動けない、部屋から出れない、本も読めない、で退屈なんだヨ』



キーボ「という答えが返ってきまして」

夢野「……もう二日は拘束されているし、それも当然じゃな」

キーボ「はい。ですから、何か出来ないかと考えて……校舎地下のAVルームからプロジェクターとスクリーン、スピーカーを持ってきて設置したんです。映像なら拘束されたままでも見られますから」

夢野「なるほど……つまり、この音はそれが原因か」
102 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:26:45.18 ID:ZnrsGnJd0
キーボ「……正直最初から真宮寺君を拘束まですることには反対だったんです」

キーボ「いくら殺人犯だったとして、そこまでしていいのか……と」

キーボ「このまま野放しにするわけにも行かないので最終的には折れましたが……」

夢野「いい、お主の気持ちはよく分かる」

夢野(ウチと同じでキーボも狂気には落ちれなかったというわけか)



キーボ「なのでせめてでも、真宮寺君のタメになることをしようと……」

夢野「ウチはいいと思うぞ。しかし、どうしてみんなには内緒にしないといけないんじゃ? 特に王馬にはバレたくないと言っておったが……」

キーボ「王馬君が監視組を集めた際に言ったんです。監視対象になるべく余計なことをするな、心を鬼にして当たれって」

キーボ「ボクがやっているのはそれと真逆ですから」

夢野「ふむ……」

夢野(狂気には狂気の言葉通りか)



キーボ「ボクが悪いのでしょうか?」

夢野「……いや。真宮寺も拘束したままじゃし、これくらいでは何も影響はないじゃろう」

夢野「みんなには内緒にしておく」

キーボ「ありがとうございます」
103 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:27:46.10 ID:ZnrsGnJd0

<空き教室>

王馬「あ、夢野ちゃん。どうしたの?」

夢野「少し話がある。いいか?」

夢野(真宮寺の部屋前で話を聞いたウチは、その足で王馬を探していた)



王馬「いいよ、俺からもちょっと聞きたいことがあるし。あ、先は譲るよ」

夢野「真宮寺の拘束についてじゃ。あれはさすがにやりすぎではないか? もう少し緩めてもいいのではないかと思うが……」

王馬「……何だ、またその話か」

夢野「また?」

王馬「茶柱ちゃんからもさっきその話をされてね」

夢野「転子も……」
104 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:28:13.57 ID:ZnrsGnJd0

王馬「結論から言うけど、その答えはNOだよ」

夢野「んあっ……どうしてそこまで……」

王馬「本当は夢野ちゃんだって分かってるはずだよ。真宮寺ちゃんの拘束を緩めるわけには行かないって。彼が殺人を諦めてないことに気づいているんでしょ?」

夢野「それは…………その通りであるが……」

王馬「理屈では納得が行っても、感情が邪魔をするというわけね」

王馬「……うーん真宮寺ちゃんが大人しくしているのもそこ辺りが狙いなのかな……やっぱり一人でやった方が……でも、流石にそれも…………」 ボソボソ



夢野「王馬?」

王馬「……ああ、こっちの話。まあコロシアイを防ぐためだと思って割り切って」

夢野「……分かった」
105 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:29:11.43 ID:ZnrsGnJd0


夢野(ウチはあっさり引き下がる)

夢野(そうじゃ、王馬の言うとおり真宮寺が何か狙っている以上、拘束を緩めるのは良くない)

夢野(そんなことは分かっておる……それなのに抗議したのは)

夢野(何もしないと罪悪感に駆られるから)

夢野(キーボがプロジェクターを持って行ったのと同じじゃ。真宮寺のためではなく、自分の心のための行動)



王馬「それにしてもやけにあっさり引き下がったね」

夢野「んあっ、そ、そうじゃな」

王馬「ふうん……」

夢野(含みを持った言動。やっぱり王馬にも見透かされておるんじゃろうな)



夢野「わ、悪かったのか?」

王馬「いや、いいと思うよ。というより逆に真宮寺ちゃんの拘束を弛めるように固執された方が問題だし」

夢野「そ、そうか」

王馬「うん、だってそのときは――」
106 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:29:38.52 ID:ZnrsGnJd0



王馬「夢野ちゃんたちがコロシアイを引き起こそうとする運営側の人間――首謀者だと疑わざるを得なかったからね」



夢野「首謀者……」

王馬「おそらく存在には気づいてるんでしょ、夢野ちゃんも」

夢野「……ああ」



夢野(首謀者……白銀だった一周目とは違い、二周目では未だ謎となっておる存在)

夢野(モノクマの言葉からして、今周回も存在しておるのは間違いないはずじゃが……)

夢野(それはともかく、首謀者については二周目では最原が言い出していないせいで、みんなにその存在は知られていない)

夢野(じゃがやはり王馬は自力でその存在に気づいているか)
107 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:30:04.34 ID:ZnrsGnJd0

王馬「符丁なのかコロシアイ開始時の最原ちゃんの妙な質問」

王馬「記憶喪失なのに何故か最初から結託していて、みんなには内緒に図書室で頻繁に会っている夢野ちゃん、最原ちゃん、春川ちゃんの三人」

王馬「コロシアイのスターターとしか思えない、一回目の最原ちゃんの動機が謎の殺人」

王馬「三人が首謀者だと思える条件は揃っている」

夢野「っ……!」



夢野(王馬が語ったのは最原も懸念していたこと。その想像はまさに当たっていたようじゃ)

夢野(ウチはどうするべきじゃ……?)

夢野(ウチらはもちろん首謀者ではない。諸々の不自然は二周目が故に起きてしまった問題)

夢野(じゃが、二周目だと話しても信じられるとは思えないし……)

夢野(このまま敵だと見なされては……面倒なことに……)
108 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:30:32.70 ID:ZnrsGnJd0



王馬「――って、ちょっと前までは思ってたんだけどね」



夢野「……んあ?」

王馬「復活した最原ちゃんがまた死んだり、四個目の動機を春川ちゃんが速攻破壊したり……ちょっと分かんなくなってきたよ」

王馬「運営側の人間とは思えないけど、ただの一般生徒とは思えない」

王馬「夢野ちゃん……君たちは一体何者なのかな?」



夢野「そ、それは…………」

夢野(突然の事態に動揺したウチの心の中に、ある誘惑が首をもたげた)



夢野(言ってしまおうか、ウチらがコロシアイ二周目だと)



夢野(普通なら到底信じられるとは思えない言葉も……)

夢野(今なら……)

夢野(王馬ならば――)
109 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:30:58.42 ID:ZnrsGnJd0



キーボ「あ、王馬君ここにいたんですか!!」



夢野・王馬「え?」

キーボ「え、じゃないですよ! 午後からの監視は王馬君のシフトでしょう!?」

王馬「午後……ああ、もうそんな時間なんだ」

王馬「ごめんごめん、忘れてたよ」

キーボ「全く……今、ちょうど通りがかった星君に臨時で監視を頼んでいますからさっさと来てください」

王馬「はいはーい。……ってわけでまたね、夢野ちゃん」

夢野(ウチを置いて二人空き教室を去る)





夢野「…………」

夢野「あ、危なかった……」

夢野(全く何が、王馬なら……じゃ)

夢野(いくら王馬といえど、ウチらが二周目だと言っても信じられるわけがない)

夢野「ふう、ナイスタイミングでキーボが来てくれて助かったぞ」

夢野(ウチは安堵の息を付くと部屋を出た)
110 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/16(火) 22:31:24.10 ID:ZnrsGnJd0
今日はここまで。また明日。
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 22:44:07.76 ID:iaYOS2jgo
乙!
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/16(火) 23:00:37.55 ID:nIZ5kzGT0
乙だヨ
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 23:35:31.73 ID:+kzWsugA0
乙です!
>>96 キーボお前監視はどうした
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 23:55:20.48 ID:0s4UEVJ70
乙。フラグ立ってるのは塩と百田かな?
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/17(水) 04:02:56.19 ID:s9AS40v80
ホントだキーボ監視してなくてワロタ
116 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:49:08.48 ID:RHvvNReA0
>>113
ミスでした、天海あたりの発言ってことで脳内変換してください。(訂正が雑)

では、投下。
117 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:49:43.60 ID:RHvvNReA0
<翌日>

<食堂>

夢野(翌日の朝食会。随分と減った参加メンバーは、昨日からさらに一人減っていた)



王馬「百田ちゃんが寝込んでいて来れない……か。ついに六人になっちゃったね」

夢野(生き残り十人から、真宮寺、監視の天海、ハルマキに百田がこの場にいないので、王馬の言葉通り六人しかこの食堂にいない)

星「風邪が悪化したみたいだな。ったく、大人しくしとけって言ったのに」

夢野「風邪薬……はこの学園には無かったな」

アンジー「病院も保健室も無いからねー」

茶柱「風邪なんてちゃんと栄養を取って寝ていれば治ります! というよりネオ合気道をしていれば風邪にかかりません!」

夢野「どんな武術なんじゃそれは」
118 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:50:13.82 ID:RHvvNReA0
星「まあでも茶柱の言う通り。風邪は安静にしてれば治るもんだ」

星「後で朝食は俺が運んでおく。百田は今日一日ベッドの上だな」

夢野「………………」

夢野(ただの風邪ならそうじゃろう。じゃが百田の症状は未知の病気なんじゃ)

夢野(それくらいで治るようでは、運営側の仕掛けにならん)



キーボ「他三人はともかく、春川さんはどうしたんですか?」

キーボ「一昨日から図書室に籠もっているようですけど」

王馬「何か鬼気迫る感じだったよね。読み漁ってたのは医学書に見えたけど……もしかして愛しの百田ちゃんの風邪を治すために!?」

星「たかが風邪にどんな労力を割いてるんだ、それ」



夢野(いや、王馬の言葉も当たらずとも遠からずなんじゃがな)

夢野(やはりハルマキも不自然には思われているか。長く続くと良くないかもしれん)

夢野(しかしハルマキも根を詰めすぎな気がするぞ…………一応備えておくか)
119 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:50:48.72 ID:RHvvNReA0

<図書室>

夢野(ハルマキの分の朝食を届けにウチは図書室まで来ていた)



夢野「ハル……マキ……」

夢野(声をかけようとしてためらう)

夢野(というのも最後に見たハルマキの姿と現在の状況が一致していたから)

夢野(つまり……これは昨日も徹夜したというのか?)

夢野(もう三日目じゃ。さすがに体力も集中力も持つはずがない)

夢野(それなのに……)



春川「………………」



夢野(一心不乱に医学書を読んでいるハルマキ)
120 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:51:16.86 ID:RHvvNReA0

夢野「ハルマキ……朝食を持ってきたんじゃが……」

夢野(ウチが声をかけると緩慢な動作で振り返って……)





春川「………………」

春川「………………」

春川「…………あ、夢野か……」

春川「………………」

春川「……それ、朝ご飯?」

春川「ありがと……」

春川「…………」
121 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:51:48.04 ID:RHvvNReA0



夢野「もう止めるんじゃ、ハルマキ!!」



夢野(思わず声を荒げてしまう)

春川「止める…………って、何?」

夢野「根を詰め過ぎじゃ!! このままではハルマキの体が壊れてしまう!!」

春川「……だから、何?」

春川「最初に言ったでしょ…………百田の体を治すためなら、私の体が壊れたっていいって」





夢野「なら、ウチも言っておく!! そんなことをしても百田の病気は治らん!!」





122 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:52:21.38 ID:RHvvNReA0



春川「……………………………………………………は?」



夢野「医学書を読んで知識を付けたところで素人のハルマキが、病院も保健室もないこの学園で、未知の病気を治すなんて出来るわけがないと言っておるんじゃ!!」



春川「……………………何、言ってるの?」



夢野「大事な人を救うために万が一、億が一の可能性に縋るしかないハルマキの気持ちはよく分かる!」

夢野「そうでもしないと精神が壊れるとスルーしておったが……このままでは先に肉体の方が壊れる!!」



春川「………………」



夢野「お主の努力は無駄なんじゃ!! じゃから今はさっさと休んで――」

123 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:52:47.36 ID:RHvvNReA0



春川「だったら……百田に死ねっていうの?」



夢野「……っ!? そ、そんなことは……!!」



春川「……邪魔だから何も出来ないあんたは出て行って。私は百田を救うのに必死なんだから」



124 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:53:16.18 ID:RHvvNReA0

夢野(言うとハルマキは緩慢な動作で勉強に戻る)

夢野(ウチが持ってきた朝食にも手を付ける様子はない)



夢野「…………」

夢野(そのハルマキの背中を見ていて……先ほどまでの怒りは引いていた)

夢野(ついハルマキを心配して怒ってしまったが……そうじゃ、言ったとおり気持ちは痛いほど分かるんじゃ)

夢野(ウチだって大事な人……転子を救うためならどんな無茶だってしただろうから)

125 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:54:10.14 ID:RHvvNReA0



夢野「だから……分かれとは言わん」



夢野(ウチは歩を進める)



夢野「後で怒られることも覚悟じゃ」



夢野(ハルマキの背後まで来たが……全くこちらを警戒しておらん。いつもならそんなこと無いはずなのに)



夢野「ハルマキ、さっきウチに対して何も出来ないと言っておったな」



夢野(そして何も持っていない手をハルマキの首筋まで伸ばしてヒラリと振った)





夢野「じゃがウチは――魔法使いなんじゃ」





夢野(すると次の瞬間、ウチの手に注射器が現れる)



126 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:54:38.68 ID:RHvvNReA0



春川「っ……!?」



夢野(暗殺者としての本能か、勉強に集中していたはずのハルマキが危機に反応する)

夢野(が、もう遅い)



夢野「おやすみじゃ、ハルマキ」



夢野(注射器を押し込み、中の薬剤を流し込んだ)



春川「夢……野…………」



春川「zzz……」



127 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:56:54.11 ID:RHvvNReA0

夢野「催眠系魔法『スリープ』じゃ」

夢野(その肝は天海の研究教室から持ち出した睡眠薬。念のために食堂からここに向かう最中に寄って取っておいた)

夢野(元は猛獣にも使える麻酔なタメ、使うなら用法・容量をちゃんと守れと言われたが……1mgでもこれだけの効き目があるとは)



夢野「さて、ハルマキは自室に運ぶとして……一日すれば目も覚ますじゃろう」

夢野「起きたら……まず怒られるじゃろうな……。ハルマキを休ませるためとはいえ、やりすぎじゃったか」

夢野「しかし、こうでもしなければ休まなかったじゃろうし……うむ、しょうがない」



夢野(百田の容態も悪化してきているこの状況で一日無駄にするなんて、とハルマキは思うに違いない)

夢野「じゃが、ハルマキの方法では無理なんじゃ」



春川『だったら……百田に死ねっていうの?』



夢野(先ほどのハルマキの言葉が思い起こされる)

夢野「そんなことはない。ウチだって百田には生きていてほしい」

128 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:57:31.36 ID:RHvvNReA0

夢野(だったらウチはどうするか)

夢野(ハルマキの方法を否定して、どうやって百田を救うのか)

夢野「………………」

夢野(何てことはない。最初から一つ考えがあった)

夢野(ウチは自分の思考を思い出す)





夢野『じゃが……まともな手段に絞れば、それ以外に方法も思いつかない』





夢野(まともな手段に絞れば……)

夢野(そう、まともでない手段なら最初から思いついていた)

夢野(おそらくハルマキだって思いついてはおったじゃろうが……ハルマキの方法が万が一、いや億が一でしか成功しないなら、こっちは兆が一でも成功しないであろう)

夢野(だから確率の高い方法を選んでいただけ)



夢野「成功しないってハルマキを否定したのに……ウチもおかしいもんじゃな」

夢野(それでも何もしないという選択肢は……あのハルマキの姿を見ていて思いつくわけがなかった)

129 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:58:06.83 ID:RHvvNReA0

<コンピュータールーム>

夢野(眠ったハルマキを部屋に運んだ後、ウチは場所を移す)

夢野(そしてまともではない手段に取りかかった)



夢野「――ここにおったのか、モノクマ」



モノクマ「はーい。何の用? 忙しいから手短にね」





夢野「頼みは一つじゃ――百田の病気を治してくれんか」





夢野(ウチは勝ちの見えない賭けに挑む)

130 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/17(水) 18:58:41.11 ID:RHvvNReA0
今日はここまで。また明日。
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/17(水) 19:24:34.53 ID:j/jIX/qt0
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/18(木) 13:54:16.28 ID:8505BEoHO

マジシャンの才能を発揮する秘密子とか久しぶりに見た
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/18(木) 17:25:20.20 ID:I1D1Bd7pO
ちなみに4章の結末って既に考えてあるんですか?
134 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:48:09.51 ID:xZekrtJN0
投下ー。
135 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:48:36.24 ID:xZekrtJN0
<コンピュータールーム>



モノクマ「百田クンの病気を治してほしい?」

夢野「そうじゃ!!」



夢野(百田を救うもう一つの方法)

夢野(それが……モノクマに治すように頼むことであった)

夢野(治し方の分からない未知の病気ではあるが、それはウチらにとっての話)

夢野(仕掛けた側であるモノクマならば、治す方法も分かっているはずじゃし、それを実行することも可能であろう)

夢野(つまりモノクマの首を縦に振らせることが出来たなら、百田は救われる)



夢野「………………」

夢野(もちろんそれが一番難しいのじゃが)
136 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:49:35.81 ID:xZekrtJN0

モノクマ「そんなこと言われてもねえ、こっちはそんな些事にかまっていられないのですよ」

モノクマ「すうじが足りないんだよ、すうじが!」

夢野「数字?」



モノクマ「まあそうじゃなくても、学園長として一生徒をえこひいきするわけにもいかないしね」

夢野「無理は承知じゃ。それでも……どうか頼む!!」

夢野(ウチは頭を下げるが)



モノクマ「だから駄目なものは駄目なの!」

夢野(にべもなく断られる)
137 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:50:08.46 ID:xZekrtJN0

夢野「…………」

夢野(まあいい、この反応は予想通りじゃ)

夢野(ウチの頼みをほいほい聞くとは思っていない)

夢野(なので用意していた次の手段に移る)



夢野「そうじゃな、これはウチのわがままじゃ」

夢野「お主が聞く道理はない。じゃから……交換条件として」



夢野「百田の病気を治してくれれば、ウチもお主の頼みを一つ聞く。これでどうじゃ?」



夢野(交渉の基本はギブアンドテイクじゃ)

夢野(こちらだけ利益をいただくなんて虫のいい話はない)

夢野(じゃからこちらからも条件を出して――)
138 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:50:36.51 ID:xZekrtJN0



モノクマ「なら、夢野さんが誰かを殺してよ」



夢野「んあっ!?」

モノクマ「そしたら百田クンを治してもいいけど……どうせ出来ないでしょ?」

夢野「そ、それは……」

モノクマ「交渉の基本はギブアンドテイクだよ。望みの大きさにあった報いを受ける覚悟はあるの?」

夢野「…………」



夢野(誰かを殺せ……か)

夢野(想定していなかったわけではないが……やはり要求されるか)

夢野(それは今までのウチの行為を否定する行い)

夢野(それだけは受けるわけにはいかん)



夢野「……殺すのだけは駄目じゃ。それ以外で何か――」

モノクマ「それ以外なんて無いって」

モノクマ「話はこれで終わり? なら、帰った帰った!」
139 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:52:20.46 ID:xZekrtJN0

夢野「………………」

夢野(追い返す素振りを見せるモノクマ)

夢野(さすがに厳しい頼みだとは思っていたが、ここまでとは)

夢野(どうすればウチの頼みを聞いてもらえるのか。百田を治してもらえるのか)



夢野「…………」

夢野(しかし……モノクマの態度に違和感がある)

夢野(一周目では王馬の頼みを聞いて、ゲーム世界にこの世界の秘密を隠すことを了承したモノクマじゃ)

夢野(生徒の頼みを聞くことだってあるはずなのに……そもそもウチの言葉を話半分でしか聞いておらず、さっさと終わらせようとしているフシがある)

夢野(これは……もしかして)



モノクマ『はーい。何の用? 忙しいから手短にね』



夢野(モノクマの軽口じゃと流していたが……忙しいからなのか?)
140 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:52:56.04 ID:xZekrtJN0

夢野「モノクマ、お主何が忙しいんじゃ?」

モノクマ「何、まだ話があるの?」

夢野「いや、気になっただけじゃ。見たところ鬱憤が貯まっておるんじゃろう? 時間を無駄にさせたし、愚痴ぐらいは聞くぞ」

モノクマ「ふーん……まあいいけど」

モノクマ「ボクが忙しい理由なんて一つしかないでしょ」

モノクマ「コロシアイの運営が上手く行ってないんだよ」

夢野「コロシアイが……?」



モノクマ「ほら、もう前回の裁判から五日も経つっていうのに、真宮寺クンを拘束してから特に動きがないじゃん!」

モノクマ「今までハイペースで進んできたのに、この停滞はマズいんだよ! 視聴率(すうじ)が落ちっぱなしなんだよ!」

夢野(モノクマがエセディレクター風にぼやく)
141 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:53:22.93 ID:xZekrtJN0

夢野「ハイペース……か」

夢野(言われてみると一周目から通してこうもコロシアイが降着したのは珍しいか)

夢野(事件が起きなくとも、何かしら動きを見せる生徒はいたというのにそれも無い。強いて言うなら百田が体調を崩していたり、ハルマキが勉強していたりはするがそれくらいじゃ)

夢野(動きがない理由は分かっておる)

夢野(第四の動機をハルマキが破壊して、その代わりになると思われた真宮寺も封じ込まれているからじゃな)

夢野(コロシアイの種となるものが無いのであれば、芽が出るわけがない)

夢野(ウチらにとってはありがたいことじゃが、モノクマにとってすれば不満なのじゃろう)
142 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:53:59.51 ID:xZekrtJN0

モノクマ「だからどうにか打開策を考えているっていうのに……わがままを言う生徒たち……」

モノクマ「ああもう、うんざりだよっ!!」

夢野「そ、それはすまんかったな」

夢野(迫力に押されて謝ってしまう)



モノクマ「本当にだよっ!!」

モノクマ「全く、今のボクにそんな生徒たちの望みを叶えている余裕は――――」

モノクマ「望み……………………」

モノクマ「…………………」

モノクマ「…………」

モノクマ「……」

夢野「………………?」



モノクマ「うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ……っ!!」



夢野「な、何じゃ!? エラーか!? ついに壊れたのか!?」

夢野(突然笑い出したモノクマに驚いていると――)
143 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:54:26.30 ID:xZekrtJN0







モノクマ「いいこと思いついちゃった♪」







144 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:55:09.65 ID:xZekrtJN0

夢野「……え?」

モノクマ「うぷぷっ、流石ボクだね!」

モノクマ「これで……どっちの要望も満たせるはず。いやあ、ボクって生徒想い!」

モノクマ「細かいところは……うん。パクリでいっか」

モノクマ「よし、ならさっさと作業を始めないと……」

夢野「ま、待つんじゃ! ウチの話はまだ終わってないぞ!」

夢野「どうか百田の病気を治して……」



モノクマ「ああ、それね。うんいいよ」



夢野「いや否定するのも分かるがそこをなんとか……………………って、え?」



モノクマ「だから夢野さんの望みは分かったって」



夢野「……ほ、本当なのか?」

モノクマ「もう、ボクが嘘を付いたことがあると思うの?」

夢野「それは……」

夢野(モノクマはゲームマスターとして嘘は付けない立場じゃ。そのモノクマが首を縦に振ったということは…………)
145 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:55:44.38 ID:xZekrtJN0



夢野「本当に百田の病気を治してもらえるのか!?」



モノクマ「もちろん。その権利を勝ち取れた場合はね」



夢野「権利……?」



モノクマ「全部明日の朝になれば分かるよ」



146 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:56:12.14 ID:xZekrtJN0

モノクマ「というわけで――いでよ、我が子たち!!」

夢野(話を打ち切ると、モノクマはパンパンと手を鳴らす)



モノタロウ「うーん……なーに、お父ちゃん?」

モノファニー「おやつの時間だったのよー」

モノキッド「ミーもだぜっ!」

モノスケ「えらい急な呼び出しやな」

モノダム「何ノ用……?」



モノクマ「遅い、遅い、遅ーーいっ!!」

モノクマ「就業時間の十分前には着席でしょ!!」



モノタロウ「え、オイラ働いてたの?」

モノクマ「口答えするなっ! いいか、今からオマエラには明日の納期に向けて地獄の仕事があるからなっ!」

モノファニー「わ、訳分からないけど……分かったわ!!」

モノキッド「右に同じだぜっ!」

モノスケ「いやあ、ブラックの臭いがプンプンするでー。あまり近づきたくないけど……まあ、お父ちゃんの頼みやしな」

モノダム「ガン……バル」
147 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:57:07.36 ID:xZekrtJN0

夢野「………………」

夢野(どういうことになっておるのか……ウチにも分からんが、話が出来る雰囲気ではないな)

夢野(ウチの望みについて了解されたし、明日の朝になれば分かると言っていたんじゃ。待つしか無い)



夢野「………………」

夢野(百田の病気を治すための賭け)

夢野(モノクマに頼むという方法は何の奇跡か通った……とはまだ言い切れない)

夢野「権利……勝ち取る……か」

夢野(一周目には無い展開になるのは間違いないじゃろう)

夢野(百田が本当に治るとすれば吉報なのじゃが……)

夢野(気になるのはモノクマのあの喜びようじゃな)

夢野(やつの喜びは、ウチらにとって苦しみなのじゃから)



夢野「心してかかる必要がありそうじゃな」

148 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 22:57:35.67 ID:xZekrtJN0

<翌日朝>

<コンピュータールーム>

夢野(夜が明けて、翌日朝)



モノクマ『連絡、連絡です。生徒の皆さんは四階のコンピュータールームまでお集まりください』



夢野(朝食会の後にそんな連絡が入り、生き残っている生徒は全員コンピュータールームに集まっていた)

夢野(昨日モノクマと交渉したこの場所に再度出向いたウチらは――)
149 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 23:00:53.78 ID:xZekrtJN0








モノクマ「つ・か・も・う・ぜ!! モノクマボール!!」








夢野「」

夢野(『熊』と書かれた胴着を来て、手にはボール状の物を持ったモノクマの姿を見つけた)

夢野(有名なアニメのコスプレか?)

夢野(呆れるウチじゃが――)

150 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 23:01:20.48 ID:xZekrtJN0







モノクマ「うぷぷっ、というわけで追加の動機発表ーー!!」

モノクマ「このモノクマボールを七つ集めた生徒の望みを一つ、何だって叶えるよ!!」







夢野「なっ……!?」

夢野(続く言葉に一瞬で身が引き締まった)

151 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/18(木) 23:01:54.20 ID:xZekrtJN0
今日はここまで。また明日。
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/18(木) 23:19:49.28 ID:0yKj6APG0
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:42:42.09 ID:xUEZeZ3E0

ハルマキが心配だな…
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 01:01:56.69 ID:5PD+W5hT0
誰かが掴んで、全員で脱出を願えばいい話
百田は外の病院でなら何とかなるし
155 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:22:29.14 ID:iMqSxwa70
投下ー。
156 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:23:03.58 ID:iMqSxwa70
<コンピュータールーム>

茶柱「モノクマボール……ですか?」

星「望みを何だって叶えるとは……大きく出たな」

天海「でもコロシアイの動機っすよね」

キーボ「そうですね、正直怪しさしか感じませんが……」

アンジー「もう、どうして蘭太郎もキーボも落ち着いてるのー!」

王馬「そうだよ、こんな事態ワクワクしかないじゃん!」

百田「宇宙に行けるなら歓迎だな……ゴホッ、ゴホッ……」

春川「………………」

真宮寺「へえ……」
157 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:23:32.16 ID:iMqSxwa70
夢野(モノクマの追加動機発表に反応する生徒たち)

夢野(全員集合の放送があったので病気の百田もいるし、真宮寺も拘束したままではあるがここまで連れてこられている)

夢野(そしてハルマキは……昨日強制的に眠らせた後初めて顔を合わすが……)



春川「…………」 ジー



夢野(やはりウチの方に視線を向けているな)

夢野(ううっ……やはり後で怒られるのじゃろうか)
158 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:23:59.44 ID:iMqSxwa70

天海「とりあえず一から話を聞かせて欲しいっすね。俺たちをここに集めた理由は何なんすか? 動機を発表するだけなら食堂でも良かったはずっすよね?」

星「馬鹿でかい機械があるが……関係あるのか?」

モノクマ「うぷぷっ、その通り」

モノクマ「オマエラの目の前にあるのは超高性能なコンピューターでね、入間さんあたりがいたら目を輝かせていたんだろうけど……」

王馬「それってキー坊よりも高性能なの?」

キーボ「馬鹿にしないでください! 自分で言うのも難ですが、こうやって自分で考えて話して動けるロボットなんてそうはいないですよ!!」

夢野「本当に自分で言うことじゃないな」
159 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:24:50.88 ID:iMqSxwa70
モノクマ「でも、このコンピューターも負けず劣らず高性能だと思うよ」

モノクマ「だってこの中には……異世界があるんだからね!!」

アンジー「異世界?」

王馬「ワクワクする響きだね!!」



モノクマ「名付けて……『コロシアイシミュレーター』!!」



茶柱「……一気に入りたく無くなりました」

キーボ「ですね」

天海「右に同じっすが……だから餌を用意したということっすか」

夢野「餌?」
160 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:26:06.27 ID:iMqSxwa70

モノクマ「中々鋭いね、天海クンは」

モノクマ「その通り、ここでさっき言ったモノクマボールが関わってくるんだよ」

夢野「まさか……ウチらが集めるのは……」



モノクマ「そう。今ボクが持っているモノクマボールはレプリカ」

モノクマ「本当のモノクマボールはこのゲーム世界の中でだけ存在するから、そこで集めるってこと」

モノクマ「望みを叶えるためのゲーム……面白いと思わない?」



王馬「最高だよっ!! 面白そうだね!!」

夢野「……まあお主はそう言うじゃろうな」

夢野(何でも望みが叶うという餌でコロシアイシミュレーターに誘う。一周目ではこの世界の秘密を餌にしていたのから派生した展開というわけか)
161 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:26:47.03 ID:iMqSxwa70
モノタロウ「その調整でオイラたちは徹夜したんだよ」

モノファニー「ふわぁっ…………zzz……」

モノスケ「あらま、立ったまま寝たな」

モノキッド「流石にミーも騒ぐ気にはなれねえぜ……」

モノダム「……。……。…………zzz」



モノクマ「じゃあ、詳しい説明は中でするからね。とりあえず最初はみんなゲーム世界に入ってもらうよ」

夢野(眠そうにしているモノクマーズを後目に、モノクマは説明を進める)

夢野(ウチらは装置を囲んだ席に一人ずつ座った)

モノクマ「二本のコードは赤が意識、青が記憶となってるから、赤を右、青を左に差し込んでね」

夢野「………………」



夢野(ウチはその言葉に黙々と作業を行う)

夢野(思えば一周目ではウチがここでおはしを持つ手などと言ったせいでゴン太がミスったのじゃ)

夢野(ゴン太もいないし、間違う人もいないじゃろうが……それでも黙っておいた方がいいじゃろう)



モノクマ「よし、全員接続できたみたいだね」

夢野(10人全員の接続を確認したモノクマ。拘束された真宮寺は他人の手によって装置を被されている)



モノクマ「それじゃめくるめくコロシアイシミュレーターの世界へ……ご案内〜〜!!」



162 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:27:15.68 ID:iMqSxwa70

………………。

…………。

……。



<ゲーム世界・館・サロン>

星「ん……ここはどこだ?」

キーボ「少なくとも先ほどまでいたコンピュータールームではありませんね」

アンジー「すごーい」



夢野「っ……ここは……」

夢野(ウチにとっては見覚えのある場所。一周目でもゲーム世界に入って最初にやってきた、館のサロンじゃった)

夢野(目の前には電話があって、ここで名前を言えばログアウト出来るということじゃろう)



モノクマ「ここは館のサロンだよ。そこの電話に自分の名前を言うことが、この世界からのログアウトする唯一の方法だからねー」



夢野(モノクマも同じような説明をするが……唯一?)

夢野(ということは一周目で入間は携帯電話で百田をログアウトさせておったが……それは出来ないということか?)

夢野(まああれは入間が他の人を出し抜くためじゃった。今回この世界はモノクマが調整しておるはずじゃし、違う部分も出てくるのじゃろう)
163 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:27:45.23 ID:iMqSxwa70
夢野「違う部分……そういえば……」

夢野(そうじゃ、違和感がないことが違和感じゃった)

夢野(一周目でのゲーム世界ではウチらはアバター、二から三等身くらいのキャラクターになっておったのに)

夢野(今回、ウチらは現実世界と同じ姿形をしておる)



王馬「ていうかここってあんまり実感沸かないけど、ゲーム世界なんでしょ? じゃあこの姿も仮初めのはずだよね?」

モノクマ「そうだね、ボクはアバターって呼んでるけど」

王馬「アバターね。せっかくだし身長190cm越えとかにしてくれれば良かったのに」

キーボ「ボクもレーザービームが出るようにして欲しいです」

茶柱「まだ言ってるんですか?」

モノクマ「うぷぷっ、期待していたところごめんね。アバターの容姿、筋力、才能、その他諸々は現実のみんなと同じになるように設定されているから」

モノクマ「同じようにこの世界では現実世界の物理法則を超越したものは存在しないよ。ゲーム世界だからってテレポートだったり、口から火を吐いたり、生身で空を飛ぶなんて出来ないからね」

王馬「えー……がっかり」



夢野(ちょうどモノクマが疑問に思っていたところを説明した)

夢野(ここも一周目とは違う点か。容姿が同じなのは分かっておったが……才能まで現実と同じとは)

夢野(確か一周目ではアバターの力は平均化されていたという話じゃったからな)

夢野(今回は現実と変わらず……例えば転子は合気道家の才能を使えるし、ハルマキだって暗殺者の才能を使える。各々が自分の才能を使えるというわけか)

夢野(現実の物理法則を越えたものが存在しないとも明言されたし……正直ゲーム世界といいながら、限りなく現実世界に近いな)
164 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:28:11.74 ID:iMqSxwa70
モノクマ「それじゃ外に出るよ」

夢野(モノクマの誘導に従って、館の外に出る。すると館の隣には――)



天海「教会っすか」

アンジー「すごいねー」

夢野「………………」

夢野(そうか、今回は入間がいないからループ世界を使ったトリックも仕込まれていない)

夢野(じゃからモノ属性しか通れない壁も無く、こうやって館の隣に教会が見えるのじゃろう)
165 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:28:45.49 ID:iMqSxwa70

王馬「しかし……広大な世界だねー。ここでモノクマボールを探さないといけないんでしょ?」

夢野(ゲーム世界にある建物は一周目通り館と教会のみ)

夢野(後は森や川など自然があるばかりじゃが……ウチらの等身が上がったのに合わせて、世界も広くなっておるようじゃな)

夢野(王馬の言う通り、ここからモノクマボールを探すのは大変そうじゃが……)





夢野「それでもみんなで協力すればすぐじゃな。頑張るぞ!!」





夢野(ウチは同意を求めて、みんなを見回すが……)

「「「………………」」」

夢野(返事は無かった)
166 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:29:15.94 ID:iMqSxwa70
夢野「……え? ど、どういうことじゃ?」

王馬「はあ……。あのね、のうてんきな夢野ちゃんに言っておくけどさ……モノクマはモノクマボールを集めた人の望み『一つ』を叶えるって言ったんだよ?」

夢野「………………あ」

王馬「ここにいる生き残った超高校級の生徒たちはみんな我が強い人だ。おそらく望みも十人十色だろうね」

王馬「それで一人の望みを叶えるために、残り九人がその自分の望みを諦めると思う?」

夢野「…………」

夢野(ウチは答えられない)



王馬「まあでも一応聞いておこうかな――モノクマ!」

モノクマ「ん、何かな?」
167 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:29:59.56 ID:iMqSxwa70

王馬「モノクマボールを集めた人の望みを一つ叶えるって話だけど――それって例えば『何回でも望みを叶えてくれ』って望みはありなの?」

モノクマ「もちろん無しだよ。よく言われるけど、ほんと無粋な望みだよね」

王馬「それには同意かな」

モノクマ「同じように『○○と○○と○○をしてくれ!』みたいな望みも駄目だからね」

モノクマ「あくまで望みは一つだけ。判断はボクがするからとんちを利かせてどうにかとか考えないように」



王馬「うん、じゃあ次の質問。もし『このコロシアイを終わらせてくれ』って望んだら本当に叶えてくれるの?」

モノクマ「……あーそれね。言われると思ったけど……もちろん何でも望みを叶えるっていった手前があるし叶えるよ」



夢野「本当か!?」

夢野(ウチは思わず叫ぶ)

夢野「聞いたかみんなっ! これでコロシアイを終わらせられるんじゃ! これはみんな共通の望みじゃろう! 協力してモノクマボールを集めて……」

夢野(そのままみんなに呼びかけるが……)



「「「………………」」」



夢野「っ……!」

夢野(またも反応は無かった)
168 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:30:25.13 ID:iMqSxwa70

モノクマ「もちろん――そう望むことが出来るならだよ」

モノクマ「何でも望みが叶えられるチャンスがあるのに……コロシアイの終了なんかに消費しちゃうの?」

モノクマ「何だかんだここまで生き残ることが出来たのに……万が一この先コロシアイが起こるとしても自分が殺されるとは思えないのに……」

モノクマ「本当にそれでいいの?」



夢野「っ……!」

夢野(モノクマの指摘はその通りじゃった)

夢野(ウチだってコロシアイを防ぐために頑張っておるが……その過程で自分が殺されるかもしれないと深く考えたことはなかった)

夢野(このコロシアイの場において安全地帯など無いのに、何故か自分だけは殺されることは無いじゃろうと思っていた)

夢野(ウチでさえそうなのじゃ……他の人だってそうじゃろう)

夢野(コロシアイとは他人が殺される場であり……自分には関係無い)

夢野(となれば……何でも叶えられる望みを他者の不幸を救うために使うか、それとも自分の幸せを追求するために使うか……)

夢野(そんなの分かりきっておる)
169 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:30:57.87 ID:iMqSxwa70

王馬「夢野ちゃんも現状が分かったところで……最後の質問いいかな、モノクマ?」

モノクマ「何かな、王馬クン?」

王馬「そんな身構えなくていいって。本当にシンプルな疑問だから――」



王馬「本当にモノクマボールを集めたらちゃんと望みを叶えるんだよね?」



モノクマ「……疑り深いなあ」

モノクマ「もちろんクマに二言はないよ」
170 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:31:34.25 ID:iMqSxwa70

モノクマ「既に望みを叶えるためのアイテムはこの世界に設置している」

モノクマ「モノクマボールを七つ集めた人はどんな望みでも叶えるよ」

モノクマ「例えば――」



モノクマ「宇宙に行きたいって望みでも」

百田「………………」


モノクマ「いなくなった人物の居場所を突き止めてくれって望みでも」

天海「………………」


モノクマ「ロボット差別をしないようにしてほしいって望みでも」

キーボ「………………」


モノクマ「自分の信じるものをみんなにも信じて欲しいって望みでも」

アンジー「………………」


モノクマ「誰かを好きにしたいって望みでも」

茶柱「………………」


モノクマ「過去に戻って自分の過ちをやり直したいって望みでも」

星「………………」


モノクマ「どんな形であれ姉に友達を作ってあげたいって望みでも」

真宮寺「………………」


モノクマ「誰かの病気を治して欲しいって望みでも」

春川「………………」




モノクマ「そして……コロシアイを止めて欲しいって望みでも、本当に望むことが出来るなら叶えてみせるよ」

夢野「っ…………」




モノクマ「そうやって各々の望みのために争う姿は……面白そうだよね!」

王馬「わくわくするよ!!」





モノクマ「うぷぷぷぷぷぷっ……!!」
171 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/19(金) 22:32:02.69 ID:iMqSxwa70
今日はここまで。また明日。
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 23:54:12.40 ID:s/Myv4Ve0
乙、ゲーム内で死んだら現実にフィードバックするとかの説明なかったけど、するんだろうなぁ
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 17:30:34.27 ID:WA2cB+heo
コロシアイを終わらすって言っても皆殺しにしてはい終了!の可能性も否定できない
番組終わるからしないだろうけど
174 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:16:56.57 ID:8nXZsOSa0
投下ー。
175 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:17:22.32 ID:8nXZsOSa0
夢野(モノクマボール……七つ集めた者はどんな望みでも叶えてもらえる)

夢野(ゲーム世界にてそれを巡った争いが始まろうとしていた)



星「モノクマボール……か。しかし、この人数に対して七つは多くないか? みんな一つずつ所持して、状況が動かないってなると思うが」

天海「何かボールを集めるための特別なルールとか無いっすか?」

モノクマ「そんなの無いよ」

キーボ「ならどうすれば……?」



モノクマ「そんなの決まっているでしょ。人の物が欲しくなったらどうするべきか、小学校で習わなかったの?」

王馬「分かった。盗めばいいんだね!」



茶柱「そんな物騒な教育受けてませんよ……」

モノクマ「うぷぷっ、でも王馬君の言う通りだよ」
176 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:17:51.28 ID:8nXZsOSa0
夢野「モノクマボールを盗むって……望みを叶えるための重要なアイテムじゃぞ? そんな簡単に盗ませるやつがおるのか?」

王馬「そんなときには無理矢理だよ! 殺してでも奪い取ってやれっ!!」

夢野「なっ……!?」

モノクマ「素晴らしい! 王馬クンはよくこのゲームの趣旨を分かっているね」 パチパチ

夢野(ウチは王馬の言葉に絶句するが、モノクマは拍手して讃えた)



王馬「まあね。だってコロシアイゲームの中のゲームであり動機なんだよ。それくらい野蛮じゃないとね」

モノクマ「コロシアイシミュレーターの名の通りこの世界にも武器は用意してあるよ。心配な人は武装してね」

夢野「……そうやってコロシアイを誘発させるのがお主の魂胆か」



夢野(忘れてはいけない。動機はコロシアイを煽るために存在する)

夢野(今回の追加動機の本質は、望みを叶えるという甘美な誘惑で、殺人を起こさせるというわけか)

夢野(武器の存在は一周目では入間が自分が使うハンマー以外を取り除いていたが、モノクマは当然残したままにしているということじゃな)
177 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:18:18.49 ID:8nXZsOSa0

真宮寺「一応聞いておくけどサ、この世界で人を殺しても意味があるの?」

真宮寺「アバターが殺されるだけで現実世界では無事とか、ゲーム世界だから復活アイテムがあるとかじゃないんだよネ?」

モノクマ「もちろん違うよ」

モノクマ「みんなのアバターが現実世界の姿を反映しているように、アバターに起きたことも現実世界の身体に反映するからね」

モノクマ「というわけでアバターを殺された場合は、そのフィードバックで現実世界でも死んじゃうってわけ」

キーボ「フィードバック……ですか」

モノクマ「そうそう」



真宮寺「なるほどネ……くくっ、ゲーム世界といいながらますます現実世界に近づいてきたじゃないか」

178 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:18:44.40 ID:8nXZsOSa0

夢野「ん? 現実世界の身体とゲーム世界のアバターが連動している?」

夢野「だったらウチらがこうしてゲーム世界で歩いたら、現実世界でも体が歩き出して壁にぶつかったりとかしないのか?」

モノクマ「うーん……難しい話だからざっくり言うけど」

モノクマ「脳からの信号を装置が受け取って遮断することでアバターを動かしているから、現実世界の身体も一緒に歩き出したりはしないの」

モノクマ「でもアバターが怪我だったり、死んだりするような大ダメージを受けると遮断しきれなくて現実世界の身体にもフィードバックする……って思ってくれればいいよ」

夢野「分かるような、分からないような話じゃな……」

179 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:19:10.15 ID:8nXZsOSa0

モノクマ「で、話を戻すけど、もちろん死体が発見された場合は捜査の後に裁判だよ」

モノクマ「ゲームだから殺しても大丈夫なんてことはないからね。クロを指摘されたらきっちりとおしおきだから」



夢野「何か……生々しいゲームになってきたな……」

茶柱「モノクマボールをルール無用で奪い合うわけですしね」

夢野「……ここまで物騒なゲームじゃと、殺されるのを恐れて参加しないって人も出て来そうじゃな」



モノクマ「その点は心配なく」

モノクマ「物騒なばかりだとゲームに参加しないって生徒も出てくると思って」

モノクマ「争わなくても盗むことが出来る状況は作っておいたよ」



夢野「……? どういうことじゃ?」

モノクマ「うぷぷっ、ヒントはここまで」

モノクマ「攻略本にばかり頼るゲーマーは良くないからね。ここから先は自分の目で確かめてくれ!!」

夢野(モノクマはそんないいかげんなことを言うと姿を消した)
180 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:19:37.59 ID:8nXZsOSa0

夢野(残されたウチら生徒十人)



星「始まったみたいだな」

アンジー「とにかくボールを集めればいいんだよねー!」

天海「負けないっすよ」



夢野(ウチが言ったとおり物騒なゲームじゃというのに躊躇する者はいなそうじゃ)

夢野(すぐにでもモノクマボールを巡る争いが始まりそうな気配に先んじてウチは声を上げた)



夢野「待つんじゃ! ゲームを開始する前に、真宮寺をどうするか決めるぞ!!」

王馬「真宮寺ちゃん? ……そう言えば、この世界でも縛られたままなんだね」

真宮寺「くくっ、そうだヨ。本当動きにくいネ」

夢野(黙って付いてきていたため気づかなかったが真宮寺の手足は縛られたままじゃ)

キーボ「アバターは現実世界のボクたちの状況を反映しているってやつですね」

百田「ゴホン……っ、だから俺のアバターもこんなに身体がダルいのか」

茶柱「無駄に高性能ですね、このゲーム……」
181 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:20:10.06 ID:8nXZsOSa0

夢野「今朝の監視シフトは誰じゃ? 真宮寺とその者はログアウトして監視を続けて欲しいんじゃが……」

王馬「あーそれなら俺だけど………………」



王馬「うん、嫌だよ」

夢野「え……?」



王馬「だってこういうゲームはスタートダッシュが重要なんだよ!! 最初にモノクマボールをゲット出来ないと、ゲームに絡めないじゃん!!」

夢野「そうは言ってもじゃな……!!」

王馬「というわけで俺は早速探しに行くからね! 真宮寺ちゃんの監視がしたいなら誰かよろしく。じゃあね!」

夢野(言うと王馬は森の方に向かって行った)
182 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:20:38.58 ID:8nXZsOSa0

星「……さて、俺も遅れるわけには行かねえな」

天海「そうっすね」

アンジー「よし、行くよキーボ!! 付いて来てー!!」

キーボ「ア、アンジーさん……!?」

夢野「ま、待つんじゃみんな!!」

夢野(制止するが、王馬がすでにゲームを開始した今、遅れまいとその場を離れて行ってしまった)

夢野(ということでその場に残ったのは)



真宮寺「くくっ、僕を弾劾したときはあんなに団結していたのに、今やその欠片も無いネ」

百田「ゴホン……全くみんな勝手だぞ」

茶柱「ど、どうしましょうか……」

春川「………………」

夢野(ウチを含めて五人だけじゃった)
183 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:21:06.60 ID:8nXZsOSa0

夢野「………………」

夢野(どうするべきかウチが悩んでいると声がかけられた)



百田「ところで夢野。おまえの望みは『コロシアイを終わらせる』ことでいいんだよな?」

夢野「え……そうじゃな。モノクマは本当にそれを望むことが出来るのかとか言っておったが………………」

夢野「うむ、やっぱりウチの望みは『コロシアイを終わらせる』ことじゃな」

夢野(自分の気持ちを確かめて答えると、百田はさらに聞いてくる)



百田「本当にそれでいいのか? よく考えてみろ。何でも望みを叶えられるんだぞ?」

百田「自分の魔法をちゃんと世間に認めてもらうとか、そんなことを思ったりしないのか?」



夢野「………………」

夢野(百田の提案は……正直心を動かされた)

夢野(ウチの魔法をマジックじゃといって認めない者たち。そんな者たちがちゃんとウチの力を認めるとしたら………………)





夢野「……いや、それでもウチの望みは『コロシアイを終わらせる』ことじゃ」

夢野(誘惑を断ち切る。ここまで繰り返された悲劇。それを終わらせるチャンスがあって、自分の望みを優先している場合ではない)

184 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:21:35.42 ID:8nXZsOSa0

百田「そうか――なら夢野、おまえも行ってくれ」

夢野「百田……?」

百田「俺はご覧の通りの体調だ。このゲームにも付いていけないだろうし降りる」

百田「ついでと言っては何だが、真宮寺の監視も引き受けてやる」

夢野「しかし、その体調では……」

百田「大丈夫だ。意外とこいつも拘束されてから大人しいしな。俺一人で事足りるだろーよ」

真宮寺「………………」



夢野「じゃが、百田……お主には望みが……」

百田「……ああ。確かに宇宙に行きてーよ」

夢野「違う、そうではなくて……」

百田「どんな形であろうと宇宙に行きたい。俺の夢だからな」

百田「でも、それが他のみんなの命に優先するかっていうと……そんなはずねーんだよ」



百田「つまり……俺はおまえの望み『コロシアイを終わらせる』に賛同する!!」



夢野「っ……」

百田「だから、俺の代わりに……頼んだぞ!!」



夢野(百田はウチに思いを託すと、真宮寺を連れて館に向かった。ログアウトして現実世界に戻るのじゃろう)

185 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:22:08.48 ID:8nXZsOSa0

茶柱「……託されましたね」

夢野「じゃな。……ちなみに転子の望みは何なんじゃ?」



茶柱「それはもちろん『夢野さんを好き勝手する』こと」

夢野「…………」



茶柱「――でしたが、今のやりとりを聞いて変わりました」

茶柱「転子の望みも『コロシアイを終わらせる』ことです!!」

夢野「そうか……ありがとうな」

茶柱「いえいえ、夢野さんにお礼を言われることではありませんよ!!」



夢野「……コロシアイが終わって平和になったら、ウチでいいなら転子の望みを聞くぞ」

茶柱「本当ですか!? そんなこと言われたら、色々要求するかもしれませんが……」

夢野「遠慮せんでいいわい」

茶柱「……ぐふふっ、思わぬファインプレーでしたね!! 俄然やる気が沸いてきましたっ!!」

186 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:23:01.96 ID:8nXZsOSa0

茶柱「春川さん!! 春川さんも同じ望みですよね!?」

夢野(転子が残っていた最後の生徒、春川に声をかける)

夢野(転子としては自然な言葉じゃったのだろう。春川がコロシアイを反対する立場であることはみんなも分かっておる)

夢野(じゃが……)



春川「私は………………」

茶柱「あ、あれ……?」



夢野「……転子、先にモノクマボールを探しておいてくれんか?」

夢野「ちょっと春川と二人で話したいことがあるんじゃ」

茶柱「……そうですね。もう結構出遅れていますから分かりました。あちらの方で探しているので、話が終わったら合流してください!!」

夢野(察してくれた転子がその場を離れるのを見送って、ウチはハルマキと向き合った)

187 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:24:16.60 ID:8nXZsOSa0

春川「気を使わせちゃったね。でも……これでようやく二人きりだよ」

夢野「……そうじゃな」

夢野(二人きり。つまり一周目のことを話せる状況になった)





春川「まあでもその前に……」

夢野「その前に?」



春川「昨日はよくも私の隙を突いて睡眠薬を打ってくれたね?」



夢野「………………あ」

夢野(色んなことが立て込んで、すっかり忘れていた)

188 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:24:49.59 ID:8nXZsOSa0

夢野「あ、あれはじゃな! ああでもしないとお主が休んでくれないと思って……!!」

春川「そう? じゃあ夢野、あんたも疲れているだろうし寝かせてあげようか。私の手で」

夢野「わ、悪かったのじゃーーっ!!!」

夢野(殺気が漏れ出したハルマキにあわててウチは土下座する)

夢野(どのような審判が降りるのかビクビクとしながら待っていると)



春川「……ごめん、ごめん。顔を上げて」

夢野「……え?」

春川「私は怒ってないって。あわてる夢野が面白くて、つい悪乗りした」

夢野「そ、そうなのか?」

春川「うん。大体素人の夢野なんかに睡眠薬を打たれるのを防げないくらい自己管理が出来ていなかったのが悪いんだしね。本当暗殺者失格だよ」

夢野「若干棘が残っておるんじゃが……」

189 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:25:19.19 ID:8nXZsOSa0

春川「それで……この事態は、一周目と変わった展開になっているのは、あんたが干渉した結果なんだよね?」

夢野(すっかり真面目な雰囲気に戻ってハルマキが聞く)

夢野(モノクマボールは一周目には無かった出来事。一周目と同じが基本の二周目じゃから、何らかのイレギュラーが起きないとこの事態にはならん)

夢野(それを一周目の記憶を持つウチが干渉した結果じゃとハルマキは推測したのじゃろう)



夢野「……半分は正しいな。ウチも確かに交渉には行ったが、元々モノクマはもうずっとコロシアイの展開が動かなくて焦っているようじゃった。ウチが何もしなくてもこのような事態になった可能性はある」

春川「そう……まあいいや。動いてしまった以上は取り消せないしね」

夢野(ハルマキはそう言って、転子が向かった方向とは逆に足を向ける)



夢野「行くのか? ウチらと一緒には来れんのか?」

春川「……ごめん」

夢野「いや、責めているわけでは無い。元々そのためにこんな事態になっておるんじゃしな」

夢野(そうじゃ、ウチらの望みは『コロシアイを終わらせる』こと)

夢野(対してハルマキは……)



春川「私には私の望みが――『百田の病気を治す』ことがある。夢野たちとは一緒に行けない」



190 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:25:45.08 ID:8nXZsOSa0

夢野「……すまんな、ハルマキを手伝えなくて」

春川「いいって、夢野の望みも分かるから」

春川「私だってコロシアイは終わって欲しい」

春川「でも、叶えられる望みは一つだけ。同時に百田の病気を治すことは出来ない」

春川「この学園を脱出して病院に行って治すってことも考えられるけど、外の世界がどうなっているか分からない以上百田が治るって保証もない」

春川「だから私は確実に百田の病気を治すために……夢野たちとは一緒に行けない」

191 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:26:17.46 ID:8nXZsOSa0

春川「夢野の言うとおりだった」

春川「あのまま医学書で勉強していたところで、百田の病気は治せなかった」

春川「私だって心の奥底では分かっていたはずなのに……どうしてもその現実を直視することが出来なかった」

春川「だから……こうやって百田の病気を治すチャンスを作ってくれたことには感謝している」

春川「おそらく最初で最後の機会――絶対に逃すわけには行かない」



夢野「………………」

夢野(聞きながら……少しだけ不安を覚えた)

夢野(ハルマキの言葉に感情がこもりすぎている)

夢野(ようやく訪れた百田の病気を治すチャンスに張り切る気持ちは分かるが……)

夢野(まるで……そのためなら何でもすると言わんばかりの……)
192 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:26:46.80 ID:8nXZsOSa0

夢野「一つだけ約束してくれんか?」

春川「何?」

夢野「コロシアイだけは絶対やらない、と」

春川「……分かってるって」



夢野(その言葉からはハルマキの感情を読みとれなかった)

夢野(既に振り返ったハルマキの表情も見えない)

夢野(一抹の不安を覚えるウチに……)



春川「じゃあね。望みが違う以上、ゲームが終わるまでは敵同士だから」



夢野(後ろ手を振ってハルマキは去っていった)

193 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/20(土) 21:27:13.84 ID:8nXZsOSa0
今日はここまで。また明日。
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 23:31:30.74 ID:6iF7h7QS0
乙、百田と塩の今回の生存フラグが立った気がする。
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 01:26:30.77 ID:vOC1501HO
これ絶対ハルマキクロか死ぬかのどっちかじゃねぇか
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 18:13:18.18 ID:zEMURfXx0
どうやったらハルマキ殺せるのか想像できない
197 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 20:50:55.31 ID:crpUNPrx0
投下ー。
198 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 20:51:20.50 ID:crpUNPrx0
<ゲーム世界・森>

夢野(ハルマキと別れたウチは、転子の元に向かった)



茶柱「あ、夢野さん」

夢野「ここにおったか。探索はどんな感じじゃ?」

茶柱「とりあえずまだ見つかっていません」

茶柱「そもそもモノクマボールがどこに隠されているか分からないのが難しいですね」

茶柱「手がかりも無いってことはしらみ潰しに探すしか無いってことですから」

夢野「ふむ、転子の言う通りじゃな」

夢野「となると最初はみんなモノクマボール探索に必死になって……奪い合う段階になるのはもっと後になりそうじゃな」
199 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 20:52:13.46 ID:crpUNPrx0

茶柱「そうなったら転子の出番ですね」

茶柱「超高校級の合気道家ですから……現在生き残っている生徒を考えると、春川さんと星さん以外なら一方的にモノクマボールを奪えると思います」

茶柱「あっ、でも王馬さんもいつもふざけているようで実力は未知数ですからね。油断は出来ません」

夢野(王馬か……一周目でも百田相手にカウンターを決めておる。実はやりおるのかもしれんな)

夢野「もちろん暴力はよくないが……コロシアイを終わらせるためと非情になるしかないな」

夢野(しかしこうやって物騒な思考に寄っている時点で、モノクマの動機は成立しているのじゃろう。相変わらず嫌らしい手を思いつくやつじゃ)



茶柱「ところで……春川さんはどうしたんですか? もし二人で組めれば向かうところ敵無しなんですが」

夢野「ハルマキは……コロシアイを止めることよりも叶えたい望みがあるということで行ってしまった」

茶柱「……そうですか」

茶柱「まあ……そういうこともありますよね」

夢野「じゃからハルマキにも負けんよう、モノクマボール探しを進めるぞ!!」

茶柱「分かりました!!」
200 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 20:52:47.81 ID:crpUNPrx0

夢野(そうしてモノクマボールの探索を開始したウチら)

夢野(しかし――)



<探索一時間経過>

夢野「ん、何じゃこの宝箱?」 パカッ

茶柱「気を付けてください、夢野さん! 罠が仕掛けられている可能性も――って、開けたんですかっ!?」

夢野「まあ罠もなかったし結果オーライじゃろう。中には……ボール状の物。これが――」





茶柱「……『スカ』って書いてありますね」

夢野「モノクマァァァァッ!!」

201 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 20:53:15.59 ID:crpUNPrx0

<探索二時間経過>

茶柱「ちょっと待ってください、夢野さん!!」

夢野「どうしたんじゃ!?」

茶柱「見てください、ここの地面だけ草が無くなっています。おそらく掘って何かを埋めた跡です」

夢野「何かを……って、まさか!?」

茶柱「掘り返してみましょう!!」





<探索三時間経過>

夢野「ふぅ、道具がないから掘るのに時間がかかったな。じゃが、ようやく見つかったぞ」

茶柱「これがモノクマボ…………『スカ』って書いてあります」

夢野「モノクマァァァァッ!!」
202 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 20:54:44.65 ID:crpUNPrx0

<探索四時間経過>

茶柱「……何か森の中に迷路みたいなのがありますね」

夢野「こんなものまで用意したのか、モノクマは」

茶柱「ここにモノクマボールあるでしょうか?」

夢野「……また『スカ』かもしれんぞ」

茶柱「……ですが、やらないわけには行きませんよね?」

夢野「……そうじゃな」



<探索五時間経過>

夢野「右左真ん中右右真ん中左は駄目……次は一個戻ったところを逆の方向に行って……それも駄目だったらまた戻って………………」

夢野「……なあ、転子? この迷路の壁ぶち壊せんか?」

茶柱「さ、さすがに無理です……」

茶柱「地道に頑張りましょう、夢野さん」

夢野「おー…………」
203 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 20:58:43.07 ID:crpUNPrx0
<探索六時間経過>

夢野「ん、今までとは違った広場に出たな」

茶柱「……っ、これは!!?」

夢野「どうかしたか、転子!!」

茶柱「ありました、モノクマボールです!!」

夢野「本物なのか!?」

茶柱「はいっ、今度の今度こそ本物です!!」

夢野「おおっ、ようやく見つけたか!!」

夢野(歓喜の声を上げるウチら)



茶柱「大きさは野球ボールくらいですか……中にはモノクマの顔が四つプリントされていますね……」

夢野「言うなれば四熊球か」

茶柱「モノクマの顔が七個プリントされた球もあるんでしょうね……想像しただけで絵面が……」

夢野「しかし、一個手に入れるのにかなり時間がかかったな……性格悪すぎじゃぞ、モノクマにモノクマーズめ」

204 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 20:59:15.41 ID:crpUNPrx0

夢野(来た道を戻って迷路を脱出する)

夢野(辺りは暗くなってきておる、ゲーム世界に入ったのは朝じゃというのにもう夕方のようじゃった)



茶柱「それでこれからどうしますか?」

夢野「一個見つけるだけでこれだけ苦労したんじゃ。二個目もそう簡単には手に入らんじゃろう。辺りも暗くなってきて難航しそうじゃしな」

夢野「ということで今日はもう休みたいわい。お腹も減ったしな」

茶柱「そうですね、転子も朝から動いているためそろそろご飯を食べたいですね」

夢野「おーウチもたらふく食べたいぞ。この世界には食べ物も無いからな」

茶柱「あったとしてもゲーム世界で食べたものが、現実世界で反映されるとは思えませんが」

205 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 20:59:43.45 ID:crpUNPrx0

夢野(取り留めの無い話をしながら歩くと、ウチらは館の前に着いた)

夢野(そそくさと館の内部、サロンに入る)



<ゲーム世界・館・サロン>



夢野「この電話に自分の名前を言えばログアウト出来るんじゃな」

夢野「よーし早速……」

夢野(と、受話器を取ったウチに)



茶柱「あっ……ちょっと待ってください、夢野さん」



夢野(転子が制止をかける)

206 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:00:13.13 ID:crpUNPrx0

夢野「ん、どうしたんじゃ転子?」

茶柱「いえ、その……ちょっと先に転子がログアウトして、またログインするので待っていてくれませんか?」

夢野「ログアウトして……ログイン? どうしてじゃ、もう今日は休むんじゃろ?」

茶柱「ちょっと気になることがありまして……説明は戻ってからします」

夢野(と、申し訳なさそうに転子は言うと、受話器をウチの手から奪って)



茶柱「茶柱転子」



夢野(自分の名前を言った。すると転子の足下から光の柱が延びて姿が消える)

夢野(そこまでは一周目でも見たログアウトの光景じゃったが…………直後、ゴトッと何かが落ちる音がした)





夢野「ん、転子の居たところに何か……って、これはモノクマボール?」

夢野「………………」

夢野(ボールを拾い上げたウチはそれが意味することについて考えて――)

夢野「まさか……!?」

夢野(愕然とする)

207 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:00:52.44 ID:crpUNPrx0
茶柱「戻りました……と、やはりそうでしたか」

夢野(すぐに転子が言葉通りログインして戻ってきた。ウチの手にあるモノクマボールを見て納得している)

夢野「ど、どういうことじゃ転子!? これは……」

茶柱「ひとまず場所を移しましょう。ここでは他の生徒がログアウトのために訪れるかもしれません」

夢野「そ、そうじゃな……」

夢野(転子の言葉に頷くとウチらは外に出て館から少し離れた場所に移動する)



<ゲーム世界・外>

茶柱「一応教えてもらえますか、転子がログアウトした瞬間のことを」

夢野「ああ、それなら転子の姿が消えたと思ったら、モノクマボールがその場に落ちたんじゃ」

夢野「中には四つのモノクマの顔。これはウチらが見つけて、転子が持っておったモノクマボールじゃよな」

茶柱「そうですね」

夢野「ということはつまり――モノクマボールはログアウトで持ち越すことが出来ないってことか?」
208 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:01:18.71 ID:crpUNPrx0

茶柱「そういうことでしょうね。モノクマも言っていました」



モノクマ『本当のモノクマボールはこのゲーム世界の中でだけ存在するから、そこで集めるってこと』



茶柱「モノクマボールはこのゲーム世界でのみ存在するアイテム。アバターと一緒にログアウトすることは出来ないということでしょう」



夢野「モノクマボールの所持を続けるためにはこの世界にずっといないといけない」

茶柱「となると、このゲーム世界の仕様が足を引っ張るんでしょうね」

夢野「ゲーム世界の仕様?」

茶柱「はい。先ほども言いましたよね、この世界に食べ物が存在しないということは」

夢野「あっ、そうか……ではご飯を食べようと思ったらログアウトをしないといけないのか」

茶柱「食事することが出来ないのに、この世界のアバターも現実世界を反映して律儀に空腹感を覚えますからね」

209 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:01:49.25 ID:crpUNPrx0

茶柱「他にも……トイレも問題でしょうか」

夢野「トイレ……うっ、言われるとしたくなってきおったな。探索の間はずっとしていないし」

夢野「でも……あれ、もしかして、この世界でトイレをしたら……」

茶柱「夢でトイレに行ってスッキリしたと思ったら、翌朝ベッドが濡れていて……という状況と同じになるんでしょうね」

夢野「んあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 ガタガタ

夢野(転子の言葉に記憶が蘇り、ウチはガタガタと震える)





茶柱「……ん、もしかして夢野さんのその反応」

夢野「な、何じゃ転子!? ウチはおもらしなぞしたこと無いぞ!!」

夢野「トラウマ……ではないぞ、断じて。ウチはそんな状況になったことなど絶対に無いからな。想像してみて恐怖したんじゃ!!」

茶柱「……だ、だだ大丈夫ですよ、夢野さん!! ど、どんな夢野さんでも転子は嫌いになりませんから!!」

夢野「言葉が引き付っておるぞ!!」

210 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:02:16.05 ID:crpUNPrx0

夢野「全く……状況をまとめてみるぞ」

夢野「モノクマボールはこのゲーム世界から持ち出せないので、ログアウトしても所持し続けることは不可能」

夢野「じゃからといってずっとこのゲーム世界にいるのも食事、トイレなどの理由で不可能」

茶柱「ですから取れる方法としては二つ考えられそうですね」

夢野「そうじゃな、一つ目はこのゲーム世界のどこかにモノクマボールを隠してからログアウトするとかか」

茶柱「この広いゲーム世界ですからね、おそらく他の人に見つかる可能性は低いでしょう」

夢野「じゃが、低いとはいえ見つかる可能性はあるし、そもそも隠す現場を見られていたりしたらアウトじゃな」

211 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:02:42.14 ID:crpUNPrx0

茶柱「これがモノクマの言っていたモノクマボールを盗みやすい状況というのでしょう」

茶柱「どうしてもモノクマボールを手放さないといけない時間が出て来ますから」

夢野「なるほどこれなら暴力に頼らなくても盗める可能性もあるが……でもウチら二人ならノーリスクではないか?」

茶柱「そうですね二つ目の方法として結果的に転子たちがそうなったように、ログアウトする際に誰かにモノクマボールを託しておけばいいですから」

夢野「二人で組んでおれば、一人がログアウトしている間、もう一人がゲーム世界に居続けることでモノクマボールの所持を続けることが可能というわけか」

茶柱「ですが、もちろんその間もう一人は食事トイレが出来ない状況で待っていないといけないですし、そもそも一人でモノクマボールを集めている場合はこの方法を取ることは出来ません」

夢野「と考えると二人で組んでいることはかなりメリットじゃな。これならウチらのモノクマボールが盗まれることはないんじゃないか?」

茶柱「いえ、一つだけ問題があります。それは転子がモノクマボールを持っていない時間が出て来るということです」

夢野「っ……そうか、転子ならどんな相手が来てもそうそう遅れは取らないが……ウチなら御しやすいというわけか……」

212 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:03:13.67 ID:crpUNPrx0

茶柱「それでも二人いることはメリットです」

茶柱「とりあえず転子たちは交代で休むことにしましょう。まずは転子がログアウトして、食事など必要なことを済ませてから戻ってきます」

茶柱「そしてモノクマボールを受け取ったら今度は夢野さんがログアウト。そのまま休んでいいですから、また明日の朝になったらログインして交代してください」

夢野「……いいのか? 転子も日中の探索で疲れておるじゃろうに」

茶柱「それでもどちらかがログインしていないといけないですから」

夢野「ありがとうな、その言葉に甘えるぞ」

213 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:03:44.81 ID:crpUNPrx0

夢野(というわけでモノクマボールを受け取り、最初の休憩に向かう転子を見送る)

夢野(戻ってくるまで待機じゃな)



夢野「うーん……大体このゲームの趣旨が理解出来てきたぞ」

夢野(モノクマボールを持ち続けるためには、食事やトイレなどが出来ないこのゲーム世界に籠もり続けないといけない)

夢野(寝ることは出来るじゃろうが、それでもいつ誰に襲われるか分からないこの状況で安らぐのは難しいじゃろう)

夢野(そんな極限の状況でボールを奪い合う……まさにサバイバルというわけか)



夢野(望みが叶うという甘い誘惑、人から奪うという物騒な手段の常態化、そして極限状態で判断能力が鈍った結果、ついコロシアイを起こしてしまう)

夢野(モノクマの狙いの全貌はこんなところか)

夢野(もちろんその思惑通りにはさせない。絶対にウチらがモノクマボールを集めて、コロシアイを終わらせてみせる)

214 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:04:17.47 ID:crpUNPrx0

夢野「じゃが……」

夢野(ふと疑問が沸く)

夢野(モノクマボールを本当に七つ集める者は出てくるのじゃろうか?)

夢野(六時間ほども探索していて、他の生徒とは誰も合わなかった)

夢野(一周目とは様変わりしてあんな迷路もあるくらい広大な世界で、しかも七つと集めないといけない物は多い)

夢野(ウチらがようやく一個見つけたぐらいじゃ。今の段階で一人が三つ四つも所持しているという可能性は正直低いじゃろう)

夢野(だからモノクマボールを七つ集めるためには、他の人から盗みまくるしかない)



夢野(そのために作られた盗みやすい状況じゃが、ログアウトにかけられたリスクも正直どうなのか)

夢野(モノクマボールを一時的に手放すのは確かに危険じゃが、それでも隠すときは誰だって警戒するはずで簡単に見られるとは思えない)

夢野(そして隠し場所を見られていなければ、当てずっぽうで捜索したところでこの広大な世界で簡単に見つかるとは思えない)

夢野(つまり簡単には盗むことが出来ずに……今のままではみんなが最初の探索で見つけた一つか二つのモノクマボールを持ってゲームが停滞するとなりそうじゃが……)

215 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:04:44.60 ID:crpUNPrx0

夢野「…………」

夢野(モノクマとしてその状況はどうなのじゃろうか?)

夢野(どうしたってモノクマボールを集めきれないゲーム)

夢野(望みを叶えさせないという意味ではいいのじゃろうが、それでは動機として成り立たない)

夢野(クソゲーは飽きられるだけじゃ。そうしてゲーム世界に来なければ動機としての効力を失っていくことになる)

夢野(それを想定していないのか……もしくは……)



夢野「ウチらが気づいていない要素が……このゲームにはまだ隠されているのか?」



216 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:05:22.53 ID:crpUNPrx0

夢野「………………」

茶柱「お待たせしました、夢野さん!!」

夢野「おっ、転子か。早かったが、大丈夫か」

茶柱「はいっ、大丈夫です!! ですから夢野さんも今日はもうゆっくり休んでください」

夢野「そうか……ではお言葉に甘えて………………」

茶柱「……? 夢野さん?」



夢野「転子……絶対にこのゲームに勝って、コロシアイを終わらせるぞ」



茶柱「……はいっ、もちろんです!!」

夢野「よし、では頼んだ。明日の朝またこの場所でな」



夢野(モノクマの意図は掴みきれんが……モノクマボールさえ集めれば、望みが叶うとはやつが生徒全員の前で言ったこと)

夢野(実はモノクマボールが六個しか無かったとか、モノクマボールを集めたけど望みは叶えませーんとか、そういうコスい手を使ってゲームマスターとしての地位を落とせばコロシアイが成り立たなくなる)

夢野(つまり望みを叶えるつもりがあるのは絶対じゃ)

夢野(なら、それを利用してコロシアイを終わらせてみせる……!!)

217 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:05:49.88 ID:crpUNPrx0



気になることはありながらも、前向きに考える夢野。



望みを叶えるゲームの攻略は順調。















――だからこそ気づけなかった。



現在巻き込まれているもう一つのゲーム。



コロシアイ学園生活に……問題が生じていることを。



218 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:06:21.18 ID:crpUNPrx0


<深夜>


<真宮寺の部屋>


真宮寺「さて、ここまで待ったかいがあったネ」


あらかじめ緩めておいた手と足の拘束を外した真宮寺が立ち上がる。


真宮寺「監視の方は……うんうん、病人はちゃんと夜は寝ないとネ」


ドアを開けて部屋の外に出ると、百田は毛布にくるまって寝ていた。


真宮寺「ちゃんと監視の意志があるのは偉いけど……それを遂行できる体力があるかは別だよネ」


真宮寺「まあ日中はちゃんとしていただけすごい方か」


真宮寺は百田を起こさないように寄宿舎を出る。


真宮寺「他のみんなも未だゲーム世界にいるか、疲れて寝ているかだろうネ」




つまり――真宮寺の行く手を阻む者はいない。




真宮寺「くくっ……ちゃんとお望み通りの状況を作ってくれて、モノクマには感謝しないと」




219 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:07:04.98 ID:crpUNPrx0

<回想>

モノクマ「なるほどね……ボクなら扉の前に監視がいようと部屋の中に現れることが出来る」

モノクマ「話し声はキーボクンに言ってもらって用意したスピーカーの音で誤魔化せる」

モノクマ「そこまでしてボクを呼んだ理由は何なのかな?」



真宮寺「くくっ、僕の望みは一つだヨ」

真宮寺「予想していたより警戒が堅くてネ。時間をかければどうにだって出来るけど本意じゃないでしょ?」

真宮寺「だから僕が動きやすい状況を、みんなの目を逸らす何かを用意してほしいんだ」

真宮寺「そうすればコロシアイを見せてあげるから……それが君の望みでもあるよネ?」



モノクマ「わがまま言うなあ……」

モノクマ「うぷぷっ、でもコロシアイの場が停滞するのはボクも危惧していたところだからね」

モノクマ「うん、どうにか方法を考えてみるよ」

220 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:07:33.33 ID:crpUNPrx0








真宮寺「さて……欲望にとらわれたみんなの足下をすくうために……頑張ろうかナ」








221 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/21(日) 21:07:59.29 ID:crpUNPrx0
今日はここまで。また明日。
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/21(日) 21:54:26.20 ID:UhOtSlqX0

みんな塩は持ったな!行くぞォ!!
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 21:59:19.68 ID:RsXqdv1pO
塩が狛枝っぽくなってきた
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 22:22:04.07 ID:fXOSbzwY0
塩殺されるどころか生き残りそう
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 22:56:08.71 ID:bptX1JgD0

今昔仕置絵巻いくぞ!!!
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 23:14:36.48 ID:KOWjQYVV0
乙、これ夢野守るために転子が塩[ピーーー]可能性も出てきたか
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 23:49:46.21 ID:KURgSA5pO
動機単体でも普通のデスゲーム1本作れるレベルの良い感じにコロシアイを誘う内容だけど、この動機そのものがブラフでもあるとは恐れ入った
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 16:36:58.24 ID:ESy9aAvb0
あー面白い!本編見てるみたい
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 21:06:25.46 ID:3ocvsqXS0
クマに二言は無いしガチのマジで願い叶えてくれるんだろうけど
実は塩動かすためでしたーで終わるのかそれとも実際に願い叶えちゃう奴がでてきたりするのか?
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 21:06:58.54 ID:3ocvsqXS0
クマに二言は無いしガチのマジで願い叶えてくれるんだろうけど
実は塩動かすためでしたーで終わるのかそれとも実際に願い叶えちゃう奴がでてきたりするのか?
231 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:12:21.44 ID:jFhkvM530
投下ー。
232 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:12:52.88 ID:jFhkvM530
<翌日朝>

<ゲーム世界・外>



夢野(望みを叶えるゲームの開始から一日が経った)

夢野(ウチは転子からモノクマボールを受け取るために約束の場所に向かう)



茶柱「あ、夢野さん」

夢野「転子、調子はどうじゃ?」

茶柱「モノクマボールはこの通り無事です。が、新たに発見することも、他の人から奪うことも出来ませんでした」

夢野「状況は動かずということじゃな」

233 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:13:24.76 ID:jFhkvM530

茶柱「昨夜は他の人の動向を窺おうと歩き回ったのですが……姿がどうにも見つからなくて収穫無しです」

夢野「そうか……」

夢野(ゲーム世界が広すぎるせいだと思うが……やはりこれではモノクマボールを七つ集めるなんて難しいのではないか?)



茶柱「ではモノクマボールをお願いします、夢野さん」

夢野「うむ、しっかり受け取ったぞ」

茶柱「それでですが、転子は今から寝て昼くらいに来ますのでそこで一回交代。今日の夜はまた交代して夢野さんにお願いします」

夢野「今夜はウチか……分かった」

234 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:13:52.62 ID:jFhkvM530

夢野(転子が去って、ウチは一人になる)



夢野「さて、これからどうするか……」

夢野(転子も見つけられなかったという他の生徒の動向も気になるが)

夢野(仮にウチが見つけたところで腕っぷしに自信はない。モノクマボールを奪えるとは思えん)

夢野(なら今日は……モノクマボールがどこかに隠されていないか探してみることにするか)

夢野(まだ七つ全てが見つかっていないかもしれんしな)

235 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:14:45.40 ID:jFhkvM530

<数時間後>

茶柱「夢野さん、お待たせしましたっ!!」

茶柱「ぐっすり寝て、体調万全です!!」

茶柱「頑張りますよ!!」



夢野「……おお、そうか」

茶柱「あれ、疲れていますね」

夢野「昨日とは別の場所にモノクマボールが隠されていないか探していてな」

夢野「じゃがスカはたくさんあるし、やっと本命らしいのを見つけても先に手に入れられたのか中が空じゃったり……」

夢野「そういうわけで無駄骨を折って疲れたというわけじゃ」

茶柱「なるほど」



夢野「モノクマボール頼んだぞ、ウチは休む。また夜にな」

茶柱「はい、お疲れさまでした!!」

236 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:15:19.66 ID:jFhkvM530

<コンピュータールーム>

夢野(館でログアウトして、現実世界に戻ってきた)



夢野「こうして安心できる場所に戻ると眠気が襲ってくるな」

夢野「今夜はウチの番じゃ。少しお昼寝しておくか……」

夢野(ウチは自分の部屋に向かおうとして、ふとコンピュータールーム内を見回す)



夢野「イスに座っている、ゲーム世界にいるのはハルマキ、転子、天海、星、キーボか」

夢野(あの広大な世界に五人か……見つからないのも当然じゃな)

夢野(それで今ゲーム世界にいないのは……ウチと王馬とアンジーと真宮寺と百田か)

夢野(真宮寺と百田は当然として……王馬とアンジーはウチと同じように休憩中なのじゃろう)



夢野「……さて、帰るか」

237 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:15:52.12 ID:jFhkvM530

<四階階段>

夢野「うー……眠い……」

夢野(眠気でふらつきながらも、足を動かすウチ)

夢野(その足が階段に差し掛かったときにそれは起きた)



夢野「んあっ……!?」 ツルッ!!



夢野(しっかり注意をしていたはずなのに足を滑らせる)

夢野(身体が宙に浮いた瞬間、時間がスローモーションのように感じられた)

夢野(一つ下の踊り場まで約3m……とはいえ体勢が……このままでは顔面から……打ち所が悪ければ大怪我……)

夢野(状況を認識するも反応が追いつかない。恐怖するしかない瞬間が過ぎて……衝撃がやってきた)

238 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:16:18.96 ID:jFhkvM530



ゴツン!!



「「いてっ……!!」」



夢野「っ……流石にこれは痛く…………ない?」

「ああもう……何? 何が起きたの!?」

夢野(ウチは転んだはずなのに堅い床ではない何かに受け止められたようで視線を落とすと)



夢野&王馬「「え……?」」



夢野(そこには王馬がおった)

239 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:16:44.67 ID:jFhkvM530

夢野「王馬……どうしてそこにおるんじゃ?」

王馬「それはこっちのセリフだよ、夢野ちゃん。俺はゲームに戻るためコンピュータールームに向かってただけで、そっちから落ちてきたんでしょ?」

夢野「ふむ……」

夢野(とどのつまりただの偶然、巻き込まれただけと。まあウチも怪我しなかったので助かったわけじゃが)



王馬「ていうか、いつまで乗っているの? 重いんだけど」

夢野「んあっ!! レディに重いは禁句じゃぞ!!」

王馬「レディ……? ……え、どこにいるの?」

夢野「ウチじゃ、ウチ!! 立派なレディじゃろうが!!」

240 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:17:11.85 ID:jFhkvM530

王馬「……偶然とはいえ助けたはずなのに、どうして平手打ちを食らっているんだろうね?」

夢野「それはお主がデリカシーがないからじゃろ?」

王馬「宅配ピザっておいしいよね」

夢野「それはデリバリーじゃ」



夢野(ウチと王馬は立ち上がって体勢を整える)

夢野(そして元々の目的方向、ウチは下に、王馬は上に歩きだそうとして)



夢野「……まあ一応礼は言っておく。ありがとな」

王馬「素直じゃないね」

夢野「お主だけには言われたくなかったぞ」

王馬「また転ばないようにちゃんと注意するんだよー」

夢野「分かっとるわい。ったく、ウチは子供か」

夢野(王馬のありがた迷惑な助言を流すが――)

241 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:18:01.91 ID:jFhkvM530



夢野(言われんでもちゃんと注意していたはずなのに……どうして転んだんじゃ?)

夢野「………………」

夢野(少しだけ気になったが……注意が足りなかったのだろうと思い直し、一層の注意を払って自分の部屋に戻るのだった)



242 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:18:30.64 ID:jFhkvM530



一方、王馬は夢野を見送ると、少し階段を上がって夢野が転んだと思われる段に立つ。

そしてその床を手でなぞり――。



王馬「やっぱり……何か変に反射していると思ったらここだけ滑りやすくなっている」

王馬「自然にこんな風になるとは思えないし…………人為的な罠?」

王馬「………………」

王馬「ふーん……なるほどねー……」



243 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:18:56.79 ID:jFhkvM530

<夜>

夢野(階段で転んだ後、ウチは自分の部屋でお昼寝をした)

夢野(ぐっすり寝て元気も回復したウチは、ゲーム世界にログインする前に夕食を取るため食堂に向かう)





<食堂>

天海「はぁ……あれが超高校級の暗殺者の本気っすか」

王馬「そっちは面白そうな体験しているね。こっちなんて地味に盗まれただけだよ」

アンジー「よーし、お料理に挑戦するぞー!!」

夢野「……意外と人がおるな」

夢野(それに今の会話は……ウチが寝ている間にゲームの状況が動いたのか?)

244 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:19:23.96 ID:jFhkvM530

天海「あ、夢野さんっすね」

王馬「ほんとだ、夢野ちゃーん。こっち、こっち!!」

夢野「珍しい組み合わせじゃな」

夢野(裁判ではよく議論を引っ張ってくれる二人じゃが、日常で会話している場面を見るのはあまり無い)



天海「やっぱり気になるっすよね。あれっす、望みを叶えるゲームの敗者組っす」

王馬「そうそう。あ、でもまだ一発逆転のチャンスは狙っているからね!!」

夢野「ふむ、少し会話は聞こえてきたが……詳しく聞いてもいいか?」

245 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:20:18.78 ID:jFhkvM530

天海「じゃ俺からっすかね。単純な話なので」

夢野「超高校級の暗殺者と言っておったな。ハルマキと何かあったのか?」

天海「そうっす。ゲーム世界で探索をしていたところ、偶然春川さんの姿を見かけたと思った次の瞬間には地面に組み伏せられていて……」

天海「『大人しくモノクマボールを渡せ』……と、その言葉に逆らう隙も無く、持っていたモノクマボールを一個奪われたと……そういう次第っす」

夢野「そうか」

夢野(元々暴力で奪うように出来ているゲームじゃが……ハルマキも容赦が無いのう)

246 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:20:44.83 ID:jFhkvM530

王馬「しっかし、ハルマキちゃんも良くやるよね」

夢野「そうじゃな、天海も冒険家だし動ける方じゃろ?」

天海「いえいえ、武術の方はからっきしっす」

王馬「いや、そっちじゃなくて……オレ自身もゲーム世界に潜っているから完璧ではないけど、他の生徒の動向は窺っていて」

王馬「だからたぶんなんだけど、春川ちゃんまだ一度もゲーム世界からログアウトしてないんだよ」

夢野「ログアウトを?」

王馬「そう。ゲームが始まったのは昨日の朝からだから、もう一日半は飲まず食わずでゲーム世界に潜り続けているってことだね」

天海「それは……壮絶っすね。サバイバルでもそこまでするのは稀っすよ」

夢野「………………」

夢野(医学書を読んでいたときも似たような無理はしておったが……睡眠薬で眠った一日で体力が回復したのか、また無理をしているというわけか)

247 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:21:13.25 ID:jFhkvM530

夢野「ログアウトをしないのは、ハルマキは一人で行動しているからどこかにモノクマボールを隠してログアウトをしては盗まれる可能性があるから……ってことじゃよな」

夢野「じゃが、あんな広大なゲーム世界で隠し場所を当てられるなんてことあるのか?」

王馬「そう、そこで俺の話なんだよ。ていうのも、実際にモノクマボールを盗まれたんだよね」

夢野「んあっ!?」



王馬「いや、俺もゲーム世界の仕様には気づいていたから、昨日は徹夜で頑張ったんだけど、流石に朝になってふらふらになってね」

王馬「これは無理だとゲットしていたモノクマボール一個をとある場所に隠して、ちょっと仕掛けも施してからログアウトをして寝たの」

王馬「で、今日の昼転んだ夢野ちゃんに押しつぶされた後、ログインして隠し場所に戻ると……何とモノクマボールが無くなってたってわけ」

夢野「押しつぶしてはないわい……つまり隠し場所を見抜かれて、盗まれたというわけか」

王馬「そうなんだけどね……やっぱりおかしいんだよ」

夢野(含みを持たせる王馬。何かあるのか)

248 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:21:45.63 ID:jFhkvM530

夢野「何がおかしいんじゃ。どうせ尾行でもされていて、隠す瞬間を見られたんじゃろう」

王馬「そうだろうね、あの広いゲーム世界で隠し場所を見破るにはそれが一番考えられる方法だよ」

王馬「でも、それなら仕掛けに引っかかってないのが説明が付かない」

夢野「仕掛け?」

王馬「俺はモノクマボールを埋めて隠したんだけどさ、その付近に探索で見つけたモノクマボールのスカも一緒に隠しておいたんだよね」

夢野「スカ?」

王馬「うん、あれって遠目にはモノクマボールにしか見えないでしょ? だから尾行している人間が遠くから見ても、どこにモノクマボールの本物を隠したのかは分からないはずだった」

夢野「だった……ということは、つまり?」

王馬「ドンピシャでモノクマボールの本物を隠した場所だけ掘り返されて、盗まれていたってこと」

249 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:22:19.63 ID:jFhkvM530

夢野「それは……運良く本物を一発で当てたということではないのか?」

王馬「……ずっと気になっていたんだよね」

王馬「どうして今回モノクマが望みを叶えるためのアイテムをモノクマボールにしたのか」

夢野(王馬はウチの言葉を無視してそんなことを話し出す)



夢野「……? どういうことじゃ」

王馬「望みを叶えるアイテムって色々あるんだよ」

王馬「有名なところで聖なる杯、書き込んだものが現実になるノート、貯金箱に一定量の金貨を集めるとかね」

王馬「それなのにその中からモノクマボールにした理由」

夢野「そんなのモノクマの気まぐれではないのか?」



王馬「そういえば夢野ちゃんってモノクマボールでパクった原作って見たことがある?」

夢野「マンガはあまり読まんが、流石にウチだってあれほど有名な作品なら知っているぞ」

王馬「そう。なら、主人公はどうやって望みを叶えるためのアイテムを集めたか知っているよね?」

250 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:22:47.10 ID:jFhkvM530







夢野「それは……レーダーで居場所を探知して集めて………………」



夢野「え?」






251 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:23:34.20 ID:jFhkvM530

夢野「まさか……今ウチらが巻き込まれているゲームもそういうことなのか?」

天海「ずっと気になっていたっす」





モノクマ『既に望みを叶えるためのアイテムはこの世界に設置している』





天海「モノクマはゲーム世界に『望みを叶えるためのアイテム』を設置したと言ったっす」

天海「モノクマボールを設置したではなくそう言ったのは……他にも何か補助的なアイテムがあるってことじゃないっすか?」

王馬「そういうこと。言うなればモノクマレーダーなる物があって、それをゲットした人が今ゲームを有利に進めているんだろうね」

王馬「オレが仕掛けたスカにひっからなかったのもそれが理由なんだと思う。ていうか大体尾行を許すほどオレも甘くないしね」



夢野「モノクマレーダー……」

夢野(そうか……広すぎるゲーム世界、どうしてもモノクマボールを集められないクソゲーにさせないための対策)

夢野(それがこれというわけか)

夢野(レーダーをゲットした人が有利すぎるバランス破壊アイテムじゃが……そうやってパワーバランスが崩れている方が争いは起きやすい。モノクマの狙いには合っておる)

252 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:24:06.87 ID:jFhkvM530

王馬「と、考えるとゲームの決着もそう遠くないだろうね」

天海「レーダー持ちが順当に七つ集めるか、それを途中で奪う者が現れるかは分からないっすけど、モノクマボールが集まってきているっすからね」

王馬「順当には行かせないよ。横からかっさらう気満々だからね!」

天海「俺もっす。行方不明になった妹を見つけるため……モノクマボールは必ず……!!」

夢野「………………」

夢野(天海の望みはやはり妹の捜索か。心配しているのは聞いたことがあるしな)

夢野(とはいえウチだってコロシアイを終わらせるためじゃ。譲るつもりはない)

夢野(そして……そういえばじゃが)



王馬「……? どうしたの、夢野ちゃん? 俺の顔に何か付いている?」



夢野(王馬の望みは何なんじゃ?)

夢野(イベント事が好きな王馬がゲームに参加するのは違和感が無くて考えてもみなかったが……)

夢野(もしゲームに勝ち残ったら……王馬は何の望みを叶えるつもりなんじゃろうか?)

夢野(もしかしたら――)

253 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:24:32.13 ID:jFhkvM530



アンジー「出来たよー!!」



天海「おや、アンジーさんっすか」

王馬「あ、そういえば料理作ってたんだっけ?」

夢野「……そうか」

夢野(ウチは思考を中断して、その声の方を見ると――)



アンジー「にゃははーちょっと失敗したけど、味に変わりはないのだー!!」

夢野(右手から血をポタポタと垂らしているアンジーがいて――)



夢野「んあああああああっっっっ!?」

254 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:25:38.45 ID:jFhkvM530

夢野「大事件ではないか!! 早く止血をせんと!!」

アンジー「大丈夫だって、神を信じていればこれくらい」

夢野「そういう問題では無かろう!?」

天海「倉庫に救急セットくらいはあったはずっす。取ってくるっすね」

夢野「頼んだ、天海!!」



アンジー「もう大げさだなー」

夢野「大ごとじゃからな。大体、そこまでなるとは料理が下手すぎじゃろう」

アンジー「むー。そんなことないって!!」

夢野「いや、そこまで血を流して何を言っておるんじゃ」

アンジー「でもでもー、これは――」





アンジー「包丁の柄から刃が急に取れたからなんだって!!」



255 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:26:05.98 ID:jFhkvM530

夢野「……言い訳をするでない!! そんなにボロい道具は無かったはずじゃぞ!?」

夢野「お主の扱いが悪かっただけじゃ!!」

アンジー「もうどうして秘密子は信じてくれないの!?」

天海「お待たせしたっす……あれ、二人とも何の話をしてたんすか?」

夢野「天海、早くアンジーを止血するんじゃ!!」

アンジー「ねえ、小吉ならアンジーのこと信じてくれるよね!?」



王馬「………………」



夢野「ん、王馬?」

王馬「え、ああ……そうだと思うよ」

アンジー「ほらね、アンジーの言う通りっ!!」

夢野「いや、今のは明らかに分かっていない発言だったぞ!?」

夢野(ウチは心ここにあらずな王馬をもう一度見ると)



王馬「またか……」

夢野(そう、ポツリとつぶやくのだった)

256 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/22(月) 22:26:54.55 ID:jFhkvM530
今日はここまで。また明日。
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/22(月) 22:47:04.32 ID:b8iRkICf0

いつ事件が起きるかとハラハラしてる
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 00:15:56.14 ID:UTnATwiu0

緊張感あるなー面白かった
259 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:50:49.07 ID:fS7L/yUj0
投下ー。
260 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:52:28.46 ID:fS7L/yUj0
夢野(アンジーが怪我をしながらも作ってくれた夕食は意外なことにおいしかった)

夢野(ということで気力体力ともに回復出来たウチはコンピュータールームでゲーム世界にログインする)

夢野(夜ということですっかり暗くなった中を歩き、転子との待ち合わせ場所に向かう)



<ゲーム世界>

茶柱「夢野さん!!」

夢野「遅くなったな。何か変わったことはあったか?」

茶柱「そうですね……一度遠くからこっちを窺っていたキーボさんを見かけました」

夢野「キーボを?」
261 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:53:19.41 ID:fS7L/yUj0
茶柱「はい。それでモノクマボールを持っているなら奪うチャンスだと思い追いかけたのですが、相手もこっちの姿を見つけるや否や逃げ出して……」

夢野「そりゃそうじゃ。キーボでは合気道家の転子には敵わんしな」

茶柱「最初見つけたときに距離があったのと、森の中障害物の多さを活かされて逃げ切られてしまいました」

夢野「そうか……」



夢野「しかし珍しいのう。転子も本気じゃったんだろう? それなのにキーボに逃げられるなんて」

茶柱「あ、それで気になることがあったんですが、どうにもキーボさんは転子の居場所が分かっているみたいに動いて……」

茶柱「先回りしてもその直前で引き返したり、隠れて襲撃しようにも回り道されたりと」

茶柱「ロボットですからレーダーでも付いてるんでしょうか?」

夢野「そんな話は聞いたことがないが……もしかすると……」
262 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:53:46.19 ID:fS7L/yUj0
茶柱「何か気づいたことがあるんですか?」

夢野「これは王馬と天海が言っていた話しなんじゃが……」

夢野(ウチはモノクマレーダーの存在可能性について話す)



茶柱「モノクマボールの居場所が分かる……」

茶柱「転子は自分のモノクマボールを持ちながらキーボさんを追いかけていました」

茶柱「だからキーボさんに居場所がバレていたということですか!?」

夢野「その可能性は考えられるじゃろう」

夢野「つまり……現在キーボがレーダーを持っているのではないか?」

263 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:54:20.27 ID:fS7L/yUj0

茶柱「なるほど……」

夢野「もしキーボからレーダーと持っているモノクマボールを奪えれば一気にチャンスが回ってくる」

夢野「どうにかしたいが……」



茶柱「……なら、こういうのはどうでしょうか?」

茶柱「モノクマボールをどこかに隠して遠くから見張るんです」

夢野「隠す?」

茶柱「はい。おそらくキーボさんは昼間の件から警戒しています」

茶柱「レーダーでモノクマボールの位置を確認して、それを遠くから観察する。それで無防備な状態なら奪うと」

夢野「そうか……モノクマボールの居場所が分かっていても、それがどんな状態かは分からない」

夢野「実際転子が持っていると分からなかったから、返り討ちに合いそうになったわけじゃしな」

茶柱「はい、モノクマボールを隠して無防備に見せるのはそのためです」

夢野「なるほど。それでキーボが奪おうとした瞬間、逆にこっちが襲いかかってボールとレーダーを奪うというわけか」

264 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:54:48.22 ID:fS7L/yUj0

夢野「よし、善は急げじゃ。早速その方法を試してみる。転子はログアウトして休息を取って……」

茶柱「いえ、転子も付き合います」

夢野「んあっ!? じゃが昨日から合わせて、もうかなりの時間ゲーム世界にいるじゃろう!?」

夢野「あまり無理をしては体が……」

茶柱「心配ありがとうございます、夢野さん」

茶柱「ですが、モノクマレーダーの存在でゲームはもうすでにかなり終盤に来ていると思われます」

茶柱「コロシアイを終わらせるため、あと一踏ん張りなんです! 少しくらい無茶はしますよ!!」

夢野「ううむ……」

茶柱「それに夢野さんだけでは罠にかかったキーボさんを追いつめることが出来ないでしょう? 転子の力が必要です」

夢野「それもそうじゃが……ああもう分かった。なら、頼むぞ転子!!」

茶柱「はいっ!!」

265 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:55:15.86 ID:fS7L/yUj0

夢野(それからウチらは策を開始した)

夢野(モノクマボールを埋めて隠し、それを距離を取って見張れる場所に陣取る)

夢野(かなり離れて肉眼では確認できないくらいじゃが、転子が持ってきた双眼鏡を使って隠したポイントを見張り始めた)



夢野「それにしてもここまで離れる必要があったのか?」

茶柱「さっきも言った通り、キーボさんだって罠には警戒しているはずです。モノクマボールの周囲に誰か隠れていないかはおそらく確認してから行くでしょう」

茶柱「ですからこれだけ距離を取ったんです」

夢野「ふむ、そうか……まあ転子が用意してくれた双眼鏡のおかげで見張れるからいいがな」

夢野「しかし、こんな双眼鏡どこにあったんじゃ?」

茶柱「教会です。モノクマがこのコロシアイシミュレーターには武器も用意してあるって言ってましたよね」

茶柱「その武器が用意されているのが教会で、その中に双眼鏡もあったってわけです」

夢野「そうか……教会には一度も入っていないから知らんかったぞ」

266 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:55:46.71 ID:fS7L/yUj0

夢野「………………」

茶柱「………………」



夢野(ウチらは見張りを続けるが……正直暇じゃな)

夢野(キーボがいつ来るか分からないし、それまでかなり待つ必要がありそうじゃ)

夢野(あまり忍耐強い方ではないウチは、双眼鏡を覗きながら口を開く)



夢野「転子、ちょっと状況確認をしてもいいか?」

茶柱「状況確認ですか?」

夢野「うむ、この望みを叶えるゲームが今どうなっているのか、ウチが意見を言ってみるから、そっちも意見を返して欲しい」

茶柱「そうですね……まあこの距離ですし、キーボさんに会話が聞かれることもないでしょう。分かりました」

267 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:56:15.46 ID:fS7L/yUj0

夢野「望みを叶えるゲームに参加しているのは八人じゃ」

夢野「ウチ、転子、ハルマキ、王馬、天海、星、アンジー、キーボじゃな。百田は体調不良で、真宮寺は監視されているから参加しておらん」

夢野「肝心のアイテム、モノクマボールの行方じゃが現在ウチと転子が罠に使っておるが一個持っておる」

夢野「そしてさっき食堂で聞いたんじゃが、天海と王馬はそれぞれ一つモノクマボールを持っていたが奪われたようじゃ」

茶柱「そうでしたか……誰が奪ったか情報はありますか?」

夢野「天海はハルマキに、王馬はレーダー持ち、つまりキーボに奪われたと言っておった」

茶柱「そうですか」

茶柱「まとめると転子と夢野さんで一個、春川さんが一個以上、キーボさんが一個以上、王馬さんと天海さんが新たにゲットしていないなら0個、星さんアンジーさんが不明……とこんなところですね」

夢野「ああ。そしてキーボがレーダーを持ってボールの位置が分かるということは、まだ誰にもゲットされていないモノクマボールは存在しないじゃろう」

夢野「七つとも誰かしらの手にあるはずじゃ」

茶柱「もう奪い合うしかない段階に来ているということですね」

268 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:56:42.19 ID:fS7L/yUj0

夢野「奪うしかない以上、力のある生徒が有利じゃ」

夢野「生き残っている中では暗殺者のハルマキ、テニス選手の星、合気道家の転子が群を抜いているのではないか?」

茶柱「そうですね、王馬さんも未知数でしたが、モノクマボールを奪われているのが厳しいでしょうね」

茶柱「その三人が有力……とはいえそこにレーダーを持っているキーボさんの存在も絡んできますので一筋縄では行かないでしょう」

夢野「このゲーム世界は食事トイレなどの点からずっとログインしていられない仕様じゃ」

夢野「耐えられなくなって、モノクマボールを隠してログアウトすれば、レーダーでそれを察知したキーボにボールを盗まれる」

夢野「ウチら以外に組んでいる生徒はおらんじゃろうし、ここからは他の生徒はログアウト出来ずにサバイバルとなりそうじゃな」

茶柱「二人組んでいるのがここまで利点になるとは思いませんでしたね」

夢野「つまりウチら、ハルマキ、星、キーボが有利で天海、王馬、アンジーは不利ということに………………」





夢野「アンジー……?」

茶柱「どうかしましたか?」

269 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:57:30.45 ID:fS7L/yUj0

夢野「監視の方じゃ。仕掛けのポイント付近にアンジーがおる」

茶柱「え、どこですか?」

夢野「少し右の方じゃ」

茶柱「右……あ、いましたっ!」



アンジー「………………」



夢野(双眼鏡に映るアンジーの姿)

夢野(これは……)



茶柱「偶然ですかね? まあ、転子たちの目標はキーボさんなのでスルーしましょう」

茶柱「一番厄介なのはモノクマレーダーです」

夢野「…………」



夢野(何かを見落としている……)

夢野(そうじゃ、そもそもキーボは夜となった今も動いているのか?)

夢野(昼間転子に追い回されて疲れているはずじゃ)

夢野(ログアウトのリスクも、レーダーを持っている側のキーボならほぼノーリスク)

夢野(どこかにモノクマボールとレーダーを隠してログアウトしているかもしれん)

夢野(いや、もしくは――)

270 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:58:08.17 ID:fS7L/yUj0





夢野「ウチらのように、組んでいる誰かにレーダーとボールを渡して……役目を変わっている?」

茶柱「……え?」

夢野「……っ、しまった!! そうじゃ、この広いゲーム世界でそう偶然など起こるわけが無い!!」

茶柱「ど、どうしたんですか夢野さん!?」



夢野「失念しておった!! キーボとアンジーは組んでおる!! 現在レーダーを持っているのはアンジーじゃ!!」





271 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:58:41.82 ID:fS7L/yUj0

夢野(ウチの疑念を証明するように、双眼鏡に映るアンジーは真っ直ぐにモノクマボールを埋めておいた地点に辿り着いてその地面を掘り返す)

夢野(そして――)



アンジー「モノクマボールゲットー!! 神ってるー!!」



夢野「っ、待つんじゃ、アンジー!」

茶柱「夢野さんの言う通りでしたか……!!」

アンジー「あれま、秘密子に転子? んー……もしかして、これって罠?」

アンジー「にゃははー、でも目的は果たしたのだー!! ばいならー!!」

夢野(アンジーはウチらの姿に気づくとすぐに逃げ出す)

夢野(距離を取っていたのが災いして、その場で捕まえることはあたわなかったが……)

茶柱「追いかけましょう!! ボールを取られたのは痛いですが、逆に言えばアンジーさんがレーダーを使ってもこっちの位置が分かりません!!」

茶柱「それにこちらは二人います!!」

夢野「そうじゃな……行くぞっ!!」

272 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:59:13.08 ID:fS7L/yUj0

茶柱「挟み撃ちにしましょう! 夢野さんは右から、転子は左から行きます!」

夢野「分かった!!」

夢野(森の中に入り姿を隠したアンジーを、ウチらは二手に分かれて追う)

夢野(ウチはともかく、こちらには転子がおる。スタミナ、そして走る速度ともにこっちが上じゃろう)

夢野(じゃからすぐに捕まえられると踏んでおったが……)



夢野「っ、転子か! どうじゃ、そっちは!」

茶柱「こちらには来ませんでした! 夢野さんの方は?」

夢野「こっちにも来ておらんぞ」

茶柱「……そうですか。つまり……」

夢野「見失ったか……」

夢野(有利なはずなのに逃してしまう)

273 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 18:59:39.05 ID:fS7L/yUj0

夢野「じゃが、まだこの付近におるはずじゃ。探してみるぞ」

茶柱「そうですね。範囲を広げるために二手に別れましょう」

夢野「じゃな。何かあったらいつもの待ち合わせ場所に集合じゃ」

茶柱「分かりました!!」



夢野(そこから夜を徹した捜索が始まった)

夢野(しかし、一度姿を見失ったのは痛く、それらしい痕跡を見つけて追ってもアンジーを見つけることが叶わない)

夢野(結局歩き回ってヘトヘトになるばかりで数時間が経過)

夢野(朝を迎えてしまった)

274 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 19:00:14.28 ID:fS7L/yUj0

<朝>

夢野「ううっ……朝日が眩しい……」

夢野「これ以上探しても厳しいか……仕方がない、切り上げて待ち合わせ場所に向かうか」

夢野(フラフラになりながら、待ち合わせ場所に向かう)

夢野(そこで待っておると転子もやってきた)



夢野「おお、転子か……どうじゃ成果は?」

茶柱「夢野さん……察してください。その様子ですと夢野さんも……」

夢野「ああ、そういうことじゃ」

夢野(どうやらどちらもアンジーを捕まえることは叶わなかったようだ)

夢野(罠に使ったモノクマボールという餌だけを取られて逃げられる……最悪の展開じゃ)

275 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 19:01:00.58 ID:fS7L/yUj0

茶柱「……とりあえず、ログアウトして寝ましょうか」

茶柱「不幸中の幸いというか、モノクマボールもないので、二人ともログアウトして大丈夫ですし」

夢野「そうじゃな……寝た後でこれからのことを考えるか」

夢野(疲労で思考が働かないのは転子も一緒のようじゃ)

夢野(ウチらはログアウトのために館に向かって……)



<ゲーム世界・館前>

夢野「……そういえば双眼鏡もこの世界のアイテムじゃから、ログアウトで持ち越せないのではないか?」

茶柱「たぶんそうでしょうね。まあいいんじゃないですか。ボールと違って盗まれてもいいですし、館のどこかに置いておけば」

夢野「うーん……いや、ちゃんと元あった場所に戻さないとな」

夢野「双眼鏡があったのは教会じゃったな。ちょっと行ってくる」

茶柱「そうですか……では、転子の分もお願いできますか?」

夢野「分かった」

夢野(転子から受け取った双眼鏡二つを持ってウチは教会に向かった)

276 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 19:01:37.00 ID:fS7L/yUj0

<ゲーム世界・教会>

夢野(ウチは教会の前に立って扉を開ける)



パシュッ!!



夢野「教会……か。……ん、何か今変な音が……?」

夢野「…………気のせいか」

夢野(ウチは気を取り直して教会の内部を見回す)

夢野(一周目ではごちゃごちゃに散れていて、その中にモノクマが隠した世界の秘密が無いかウチらは探した)

夢野(この二周目でも散れておるが、それが色んな武器であることが大きな違いであろう)



夢野「ん、ここか」

夢野(その中から双眼鏡がまとめてあるところを見つけて返す)

夢野(そして用を終えたウチは、ふと教会正面を見上げて――)

277 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 19:02:04.09 ID:fS7L/yUj0




















超高校級の美術部、夜長アンジー。



彼女が血塗れで磔にされている姿を見つけた。






夢野「……………………………………………………………………………………んあ?」



278 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 19:02:32.13 ID:fS7L/yUj0



夢野「…………」

夢野「…………」

夢野「…………」



夢野(目の前の光景が受け入れられない)

夢野(一体、何が起きているというのか?)

夢野(自分が狂ってしまったかのような感覚)

夢野(じゃが、どれだけ自分の頭を疑っても目の前の現実は変わらない――)



夢野(昨夜ウチらの手から逃れてモノクマボールを奪っていったアンジーが、物言わぬ躯に成り果てている現実は変わらない)



夢野「………………」

夢野(呆然とアンジーの死体を見上げていて気づく)

夢野(そのポケットや服にモノクマボールを隠していそうな痕跡が無いことを)

夢野(つまりモノクマボールを奪うために殺されたのか?)

夢野(それともモノクマボールを集めて望みを叶えたのに殺されたのか?)

夢野(分からないが……ウチには直感するものがあった)

279 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 19:03:00.90 ID:fS7L/yUj0







夢野(望みを叶えるためのゲームは終わり――コロシアイゲームの幕が再度開いたということを)







280 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 19:03:28.04 ID:fS7L/yUj0



C H A P T E R 4



生 か せ 望 み の み か 神 の み ぞ の 世 界



非 日 常 編



281 : ◆YySYGxxFkU [saga]:2018/01/23(火) 19:04:17.45 ID:fS7L/yUj0
今日はここまで。
いいところですが書き溜めがヤバいため続きはちょっと間が空きます。
ご了承ください。
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/23(火) 19:45:59.31 ID:eC0zmNzE0
乙。
赤松と最原というみんなのまとめ役がいなくなったせいでみんなバラバラだなぁ……
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/23(火) 20:16:57.71 ID:Qeg2pQmF0
乙 めちゃくちゃドキドキしながら読んだゾ
楽しみにまってる
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 20:33:53.19 ID:scSo6SZ0o
乙!
いいところで切りやがって…
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 21:07:53.59 ID:Ph4canqiO
ここでアンジーが脱落するのか・・・
真宮寺の件を考えると残当と言えば残当だけど、彼はプログラム世界には来ていないはず・・・来ていたらログアウトした誰かが気付くはずだし
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 22:49:49.12 ID:UTnATwiu0
アンジー……残念だ
まだ絞れる要素全然ないし続き気になってしょうがない!執筆頑張ってください!
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