先輩「飲みに行くぞー!」後輩「はいはい……」

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85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:06:17.64 ID:H3uZVijb0

後輩「……」

後輩「……本当に」

後輩「何ででしょうねぇ」

後輩「……」


後輩(……辛かったんですか)

後輩(……楽になったんですか)

後輩(ビルから、地面に……)

後輩(真っ暗なアスファルトに――……)


後輩「……」

後輩「……ふぅ」

後輩「ま、ここ二階だしなぁ」フッ

後輩「……ここからじゃ、せいぜい怪我――


ピンポーン


後輩「っ」ビクッ

86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:06:48.82 ID:H3uZVijb0

後輩「……」


シーン…


後輩「……」

後輩「……」


ピンポーン


後輩「っ!」ビクゥ

後輩「……」

後輩「……」ドキドキ


後輩(……死んだ者の)

後輩(……浮かばれない魂が――)


後輩「……」ブルッ

87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:07:19.12 ID:H3uZVijb0





後輩「……」オソルオソル


後輩「……ど」


ピンポーン


後輩「どっ、どちらさまで……!?」


ギィ


後輩「っっ!?」


先輩「……お、開いてた」

後輩「せんぱ……」

先輩「うぇっへへ、よう」

後輩「先輩……」

先輩「お邪魔ー――……どうしたん?」

後輩「え……?」

先輩「幽霊でも見たみてーな顔して」

後輩「……いえ」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:07:48.91 ID:H3uZVijb0

先輩「つーか、鍵かけなさいって」

後輩「すみません……」

先輩「ん」

後輩「何ですか?」

先輩「窓」

後輩「あ……」

先輩「開いてるけど」

後輩「これは……、その……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「暑かった、から……」

89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:08:15.96 ID:H3uZVijb0
先輩「ふーん」

後輩「……」

先輩「虫はいるぞ」

後輩「……そうですね」カラカラ パタン

先輩「閉めるんだ」

後輩「涼しくなったから……」

先輩「そう」

後輩「……」

先輩「お、何飲んでんの?」

後輩「繁桝の……」

先輩「ちょっとちょーうだい」トプトプ

後輩「……」

先輩「んーっ! おいしい!」グビッ

後輩「……はぁ」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:08:41.17 ID:H3uZVijb0
後輩「……」


後輩(なんか……、具合悪くなってきた……)


後輩「……」

先輩「疲れた顔してんねぇ」

後輩「まぁ、ちょっと……。飲み疲れで」

先輩「そりゃね。昨夜もあれだけ飲めばね」

後輩「覚えてないからセーフです」

先輩「クズじゃん」

後輩「あはは……」

先輩「ちょっと、横になりなさいよ」

後輩「はぁ……、すみません……」ヘタリ
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:09:15.96 ID:H3uZVijb0
先輩「大丈夫かよ」

後輩「まぁ……、ちょっと休めば」

先輩「じゃなくて」

後輩「え……?」

先輩「顔色、悪いぞ。最近ずっと」

後輩「……」

先輩「酒の量、増えただろ。ガッと」

後輩「……別に」

先輩「嘘つけ」

後輩「……」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:09:41.86 ID:H3uZVijb0
先輩「あの人のことだろ。銀髪さんの」

後輩「違いますよ……」

先輩「嘘が下手だな、後輩ちゃんよう」

後輩「……」

先輩「なぁ」

後輩「……」

先輩「何かあったんだろ、ホントは」

後輩「……本当に」

先輩「……」

後輩「本当に、何もないです……」

先輩「あ、そ」

後輩「……銀髪さんとは」

先輩「……」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:10:12.32 ID:H3uZVijb0
先輩「……」

後輩「……恋人だったわけじゃないですし」

先輩「……」

後輩「恋愛とか、好きとか、そういう感情もなかったですし」

先輩「……」

後輩「優しいし、年上だけど、大事な友人って感じでしたし……」

先輩「うん」

後輩「でも……」

先輩「……」

後輩「気付かなかったんですよねぇ、私……」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:10:46.04 ID:H3uZVijb0
先輩「……」

後輩「あの人、死にたいくらい……」

先輩「……」

後輩「本当に死んじゃうくらいの、何かを抱えてたのに……」

先輩「ああ」

後輩「……何も、特に何も」

先輩「……」

後輩「本当に、特に何も、気付いてあげられなかったんです……」

先輩「うん」

後輩「そう思うと、何か」

先輩「……」

後輩「何か――……、何だかなぁ、って」

先輩「何だかって?」

後輩「私って、何なんだろうなぁ、って……」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:11:15.02 ID:H3uZVijb0
先輩「誰だって、そんなもんだろ」

後輩「分かってます。分かってるけど、でも……」

先輩「……」

後輩「あの日、あの晩だって……。いつも通りダラダラして、普通にお話しして……」

先輩「……」

後輩「……なのに」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「銀髪さん、死んだ日さぁ」

後輩「え?」

先輩「お前、何話したの? あの人と」

後輩「え、それは……」

先輩「それが、あの人の最後の言葉だったりするわけじゃん? どんなこと言い遺したのかなって、銀髪さんが」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……後輩?」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:11:54.37 ID:H3uZVijb0
後輩「……言えない、です」

先輩「ん?」

後輩「それは……、話せません……」

先輩「うぇっへっへ、そんなこと言わずにさぁ」

後輩「すみません」

先輩「んふ、冗談だよ。謝るなよ」

後輩「……」

先輩「眠い?」

後輩「眠くないです……」

先輩「口閉じたら、眠くなるよ」

後輩「うん……、はい……」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:12:29.84 ID:H3uZVijb0
先輩「……ちょっと、休め、後輩」

後輩「うん……」

先輩「ベッドのとこ行けよ」

後輩「……先輩」

先輩「おう」

後輩「一緒に寝よう?」

先輩「いいけど」

後輩「……」

先輩「また、布団借りるぜー」

後輩「……どうぞ」

先輩「勝手に敷くぞー」

後輩「……」ウツラウツラ




98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:12:55.96 ID:H3uZVijb0
今日はここまでです
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 23:46:08.85 ID:WLRwNs57o
おつ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 04:28:53.81 ID:xikM6dUdo
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:07:55.38 ID:10OKULB60





後輩『……いよいよ、ですね』

先輩『……そうだな』

後輩『先輩の、現役最後の試合……』

先輩『……』

後輩『先輩の、最後の試合の相手に、私がなれるなんて』

先輩『……』

後輩『……』

先輩『……』

後輩『いい試合にしましょう!』

先輩『……』

後輩『先輩……?』

102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:08:28.42 ID:10OKULB60
先輩『……うん?』

後輩『聞いてます?』

先輩『……ん、あぁ……、うん』

後輩『……どうか、したんですか?』

先輩『なんでもねー』

後輩『……?』

先輩『……』

後輩『……せんぱ』

先輩『試合が始まれば』

後輩『……』

先輩『敵同士だし……』

後輩『……』
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:08:57.19 ID:10OKULB60

先輩『今からベタベタするもんじゃねーだろ』

後輩『……あ、そ、そっか……。そう、ですよね……』

先輩『分かったら、ほら、向こう行ってろ』

後輩『は、はい』

先輩『……』

後輩『……あの』

先輩『何でもねーったら』

後輩『……』

先輩『……手、抜くなよ』

後輩『……っ!』

先輩『本気でやるから、私』

後輩『……も、もちろんですっ!』




104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:09:25.29 ID:10OKULB60





〜寝室〜


先輩「……」

後輩「……」

先輩「……後輩ー」

後輩「……」スゥスゥ

先輩「……寝た?」

後輩「……」スゥ

先輩「はぁ……」

後輩「……」


先輩(大切なことって言うのは)

先輩(大切にしすぎて……)

先輩(伝えられないものなんだよなぁ……)


先輩「……なんてな」

105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:09:54.27 ID:10OKULB60

先輩(大切だから、伝えなきゃいけないことなのに……)

先輩(……気が付いたら、タイミングを失っていて……)

先輩(きっと……、みんなそうで)

先輩(誰だってそうで……)


先輩「……」ムク

後輩「……」スゥスゥ

先輩「……後輩」

後輩「……」

先輩「……」ナデ

後輩「……ん、んぅ」モゾモゾ

先輩「……髪伸びたな、お前な」


先輩(だとしたら……)

先輩(反対に)

先輩(伝えられないことっていうのは、それだけ、大切なことだったりするんだろうか……)

106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:10:25.23 ID:10OKULB60

――言えない、です――

――それは……、話せません――



先輩「……」

先輩「……言わなくていいんだけどさ」

後輩「ムニャ……」ゴロン

先輩「……寝相わりー」

後輩「……」スヤ

先輩「風邪ひくぞ」ファサ

後輩「……」

先輩「……おやすみ」





107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:10:57.13 ID:10OKULB60





銀髪『それで、君は』

後輩『え?』

銀髪『どう思ってるの、先輩ちゃんのことは?』

後輩『え、うぇ、えぇぇ!?』

銀髪『ふふ……』

後輩『ど、どういう、意味ですか……』

銀髪『そのままの意味さ』

後輩『……』

銀髪『君が、先輩ちゃんに”してしまったこと”は分かった』

後輩『……』

銀髪『けれど、そのことと今の君がどう思っているかは、別の話だろ?』

後輩『それは……』

銀髪『何のつもりもなく、いつも二人きりで四六時中、一緒にいるわけじゃないだろう』

後輩『……』

銀髪『特に君みたいな、不器用な子はさ』

後輩『私は……』
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:11:28.00 ID:10OKULB60

銀髪『……』

後輩『私は、先輩のことを……』

銀髪『……』

後輩『どう思ってるかなんて、言える立場じゃ、ないですから』

銀髪『……』

後輩『こんな、私が』

銀髪『……なるほどね』

後輩『……』

銀髪『そういう風に、先輩ちゃんを未来永劫、束縛し続けるわけか』

後輩『束縛って……』

銀髪『だって、そうだろう? どう思ってるかも、はっきりさせない。どうするつもりもない』

後輩『……』

109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:12:21.18 ID:10OKULB60

銀髪『ただひたすらに、隣に置いておくだけ』

後輩『……』

銀髪『宙ぶらりんなまま、引き寄せもせず、突き放しもせずにね』

後輩『あなたに……』

銀髪『……』

後輩『何が分かるって言うんですか』

銀髪『……』

後輩『私と先輩の』

銀髪『ふふ。さぁ……ね?』

後輩『……』

銀髪『ただ、君もそろそろ、先輩離れしてみた方が良いんじゃないか? って、思っただけさ』

後輩『何ですか、それ』

銀髪『たとえば……、そう……私とかと』

110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:12:55.48 ID:10OKULB60

後輩『何言ってるんですか』

銀髪『本気さ。君が望むのなら、君のものになってもいい』チュ

後輩『気障女』

銀髪『うっふふ……』

後輩『金髪さん、怒りますよ?』

銀髪『もし君が、その気なら――……』

後輩『……』

銀髪『彼女と別れたってかまわない』

後輩『……ふふ』

銀髪『何だい?』

後輩『誰にでも言ってるんですよね、それ』フフフ

銀髪『そ、そんなことないさ』

後輩『すぐ目が泳ぐ……』

銀髪『……』

後輩『呆れた人ですねぇ』

111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:17:34.21 ID:10OKULB60

銀髪『ただね、今の君と先輩ちゃんとの関係は……』

後輩『……』

銀髪『良くないのは確かさ。お互いにとってね。彼女も君のことを――……』

後輩『……』ムクリ モゾ

銀髪『……』

後輩『……』モゾモゾ パサッ

銀髪『お、おいおい。もう服着ちゃうのかい』

後輩『今日はもうしません』

銀髪『……今日は、ね』

後輩『……』ジトッ

銀髪『怒った顔も可愛いよ』

後輩『馬鹿じゃないですか……』プイッ

銀髪『あらら』

112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:18:30.79 ID:10OKULB60
後輩『銀髪さん……』

銀髪『うん?』

後輩『もし仮に――……仮に、私が先輩のこと、大好きで』

銀髪『……』

後輩『あ、あい、愛してる、としても……』

銀髪『……』

後輩『……私に、それを言う資格なんて、ないんですよ』

銀髪『そうかい? そういう自分に、酔っているだけじゃなくて?』

後輩『銀髪さん嫌い!』

銀髪『うふふ、傷つく』

後輩『帰りたくなったら、勝手に帰ってください。私ソファで寝てますから』

銀髪『うぅん……、本気で機嫌を損ねてしまったみたいだな』

後輩『……』

銀髪『やれやれ――……』




113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:18:59.11 ID:10OKULB60





〜オフィス〜


後輩「……」ボケー


後輩(『言い遺したこと』――……)

後輩(銀髪さんの、最後の言葉――……)


後輩「……」


後輩(『やれやれ』でよかったんですか、銀髪さん……)

後輩(ハルキか)


後輩「……」ボー

新人「後輩さんっ!」

後輩「あっ、はい! そこ置いといてください!」

新人「じゃなくて!」

後輩「え……」

新人「終業時間ですよ、もう」

後輩「あ……」

新人「……」ニコニコ

後輩「あぁ」

新人「ふふっ」ニコニコ
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:19:37.26 ID:10OKULB60
後輩「もうこんな時間か……」

新人「ね、後輩さん」

後輩「うん?」

新人「今日、金曜日ですよ」

後輩「あぁ……、うん。そうだね……」

新人「……」ニコニコ

後輩「……それで?」

新人「飲み行きましょう!」

後輩「あー…………パス」

新人「えぇぇぇ〜〜……」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:20:06.30 ID:10OKULB60
新人「金曜に飲み行くって、約束したじゃないですかぁ〜……」

後輩「したっけ?」

新人「しましたぁ!」

後輩「……ごめん、覚えてない」

新人「ひどい!」

後輩「ごめんね。私今日、残業」

新人「Do残業デーですか」

後輩「Do残業デーって何だ……」

新人「残業終わってからでも……」

後輩「また今度ね」

新人「はぁ〜……、残念……」

後輩「ごめんて」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:20:35.42 ID:10OKULB60

新人「っていうか、後輩さん」

後輩「はい?」

新人「大丈夫ですか?」

後輩「え……」

新人「何かここのところ、心ここにあらずっていうか」

後輩「……」

新人「タスク抱えすぎてません?」

後輩「……適度にサボってるよ」

117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:21:06.89 ID:10OKULB60
新人「さっきも」

後輩「……」

新人「ずっと、ボーっとしてましたし……」

後輩「……」

新人「何か、悩みごとですか?」

後輩「…………」

新人「後輩さん?」

後輩「別に、何でもないよ」

新人「……そうですか」

後輩「また今度、飲み行こう」

新人「楽しみにしてますからねっ、センパイ!」ニコニコ

後輩「あ、ごめんその呼び方やめてマジで。本気で。リアルで。ガチで」






118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:21:43.37 ID:10OKULB60
今日はここまでです
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 23:35:45.65 ID:sEJlu0dMo
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/07(水) 04:27:59.56 ID:G+ziA+3To
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 21:59:59.36 ID:fC3Bx6ne0





〜ビールバー〜


先輩「……」

後輩「……ぅ」

先輩「……はぁ」

後輩「……ぅぅぅ」

先輩「……こうはーい」

後輩「話しかけないでください」

先輩「……」

後輩「今真剣に悩んでるところなんですから……!」

先輩「あー、そう……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……ぅぅ」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:00:41.14 ID:fC3Bx6ne0
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……早くしろよ!」

後輩「……ちょっ、ちょっと! ちょっと待ってくださいって!」

先輩「そんな悩むほどのことでもねぇだろ」

後輩「悩みます! 今月で一番悩んでますから!」

先輩「……」

後輩「こっちの、箕面のスタウトか……」

先輩「……」

後輩「それともこっちの志賀高原か……っ」

先輩「……」

後輩「……ぅぅぅぅっ!」

先輩「おーい」

マスター「ゆ、ゆっくり選んで、いいからね、ねっ?」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:01:09.83 ID:fC3Bx6ne0
先輩「両方頼めよ」

後輩「……値段的に、ちょっと……」

マスター「ご、ごめんね……、お手頃価格で出せなくてごめんね……」

後輩「……ハーフグラスとか」

マスター「ごめんね……、ら、来週から始める予定なの、ごめん……」

先輩「……お前、マスターいじめんなよ」

後輩「やっ、ちが……っ、すみません……っ」

マスター「だ、大丈夫だから、ごめんね、気にしないでね……」

先輩「……」

後輩「……えぇ〜、うぅ〜ん……」

先輩「……半分こする?」

後輩「え……」

先輩「私、こっち頼むから。お前こっちにしろよ」

後輩「……い、いいんですか?」

先輩「私もこれ、飲んでみたい」

後輩「先輩……、スキ……」キュン

先輩「やっすい女だな、お前……」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:01:38.59 ID:fC3Bx6ne0
マスター「イギリスから――……」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「遠路はるばるアフリカ大陸」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「そこから遥かなインド洋、大海原を越えてインドに至るわけです」

先輩「……はぁ」

後輩「……」

マスター「ですから」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「インドまで行くと、インディア・ペール・エール」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「インドまではいかない、その途中くらい、っていう意味で、アフリカ・ペール・エール」

先輩「へぇ〜」

後輩「へぇ〜」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:02:19.88 ID:fC3Bx6ne0
マスター「し、洒落がきいてますよね……ふふ、ふふふ……」

先輩「あっ、おいしい……」グビグビ

後輩「本当だ……。IPAより飲みやすくて――」

先輩「次こーっち」

後輩「どーうぞ」

先輩「……」グビ

後輩「……」グビグビ

先輩「……ぷはぁ」

後輩「……ぷはぁ」

先輩「あ〜……」

後輩「一軒目で、出来上がっちゃいそうですね」

マスター「こ、このあとも……、またどこか行くの……?」

先輩「うん、まぁ。金曜だし」

後輩「飲めるだけ飲みましょう」グビグビ

先輩「おい、自分ばっか飲むなよ!」

後輩「……あぁ〜、もう一杯頼んじゃおっかなぁ……」

マスター「ふ、ふふ……、ご、ごゆっくり……」





126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:02:48.88 ID:fC3Bx6ne0





〜二軒目〜


先輩「あっはっは! あーっははははっ!」バンバン

後輩「あはははっ、最高、さいこ……あっははは!」

先輩「うっはは、ほーんと馬鹿! あははは! はっはっは!」グビグビ

後輩「あははははh……げほっ、ごほっ!」グビグビグビ





127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:03:22.74 ID:fC3Bx6ne0





〜三軒目〜


後輩「……うぅっ」グスグス

先輩「うんうん……、分かる分かる。お前は頑張ってるよ」

後輩「……だげどぉ、わらひたちのころはぁ、もっとアレだったじゃないですがぁ……。年上への接し方っでぇ……」グスグス

先輩「そうだな、そうだな」

後輩「……年下が怖い……」

先輩「うんうん」

後輩「正確には自分より有能な年下が怖い……」エグエグ

先輩「分かるよ」グビグビ

後輩「……」グビグビ





128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:03:53.68 ID:fC3Bx6ne0





〜四軒目〜


先輩「……」

後輩「……」


金髪「いらっしゃ〜い♪」


先輩「……」

後輩「……」

先輩「な、開いてたろ」

後輩「……えぇ」





129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:04:27.33 ID:fC3Bx6ne0





金髪「はいっ、キンミヤハイボール二つ」

先輩「どうもー」

後輩「どうも……」

金髪「ごめんなさいねぇ、つまめるもの、チーズくらいしか残ってなくて……」

先輩「いいよ全然。な?」

後輩「え、えぇ……」

金髪「もう、冷蔵庫の中も空っぽ。うふふ……」

先輩「そっかぁ」

後輩「……」

金髪「お酒は、余ってるんだけどね〜」

先輩「じゃあ私らで片付けていくか」グビ

後輩「……」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:05:22.74 ID:fC3Bx6ne0
先輩「今日で最後かぁ、『ナイトフード』も」

金髪「そうなの〜。それで、貴方たちが多分、最後のお客さん」

先輩「寂しくなるねぇ」

後輩「……」

金髪「って言っても、引っ越すわけでもないし。この辺り、よく飲みに来るから、すぐ会えるわ〜」

先輩「へぇ、どの辺で飲むの?」

金髪「『信楽』とか『そば好』とか……」

先輩「『そば好』、昼だけじゃなかったっけ? また夜もやるようになったの?」

金髪「去年の冬くらいからかしらねぇ」

後輩「……」

先輩「知らんかったなぁー」グビグビ

後輩「……」グビグビ

金髪「……後輩ちゃん」

後輩「ふぇ!? えっ、はい!?」

金髪「この間は、ごめんね」

後輩「い、いえ……。そんな……」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:06:36.60 ID:fC3Bx6ne0
先輩「えー、なになに? この間って何?」

金髪「うっふふ、内緒〜」

先輩「えぇ〜……、おい、後輩〜」

後輩「……何でもありません」グビ

先輩「何だよぉ、隠すなよう」ワシャワシャ

後輩「……か、髪触らないでください。鬱陶しい……」ベシッ

先輩「……なーに大人しくなっちゃってんだよ。借りてきた猫かよ」

後輩「猫じゃありません……」

金髪「後輩にゃん♪」

後輩「猫違います!」

金髪「あら? あらあら、猫じゃないの? 意外……」

後輩「あ、え、いや、猫は猫ですけど……」

金髪「ふぅん、猫なんだぁ〜」

後輩「……」グビグビグビグビ

先輩「えぇ、何それ。禅問答?」





132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:07:21.84 ID:fC3Bx6ne0





先輩「結構飲んだなー」

後輩「……」ベロンベロン

先輩「な、後輩ー」

後輩「……」

先輩「……後輩」

後輩「……」クテン

先輩「あ……」

後輩「……スゥスゥ」パタン

先輩「あーあー」

後輩「……ムニャ」

先輩「駄目ねぇ後輩ちゃん、最近さぁ」

後輩「……」スヤ

金髪「あら、寝ちゃった?」

先輩「うん、まぁ」

金髪「大丈夫かしら……」

先輩「寝てるうちは、たぶん大丈夫」

後輩「……」スヤスヤ
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:08:00.38 ID:fC3Bx6ne0
金髪「先輩ちゃんも、おかわりはよしておく……?」

先輩「んー……、いや、もう一杯だけ」

金髪「はいは〜い」

先輩「金髪さん」

金髪「うん?」

先輩「大丈夫?」

金髪「……」

先輩「あんなことあった、ばっかりだしさ」

金髪「えぇ……」

先輩「辛かったら、あんまり無理しないで――……」

金髪「うふふふ……、優しいのね、先輩ちゃん」

先輩「いや、そんな、別に大層なアレじゃなくて」

金髪「ううん、ありがとう。……先輩ちゃんはとっても優しい子」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:08:48.84 ID:fC3Bx6ne0
先輩「子って柄じゃなぁ……」

金髪「だけど、後輩ちゃんには、もっと、ずっと、優しいんでしょ?」

先輩「え……、何で後輩?」

金髪「いつも一緒にいてあげて、隣で飲んであげて……」

先輩「……」

金髪「眠っている間も、見守ってあげて……」

先輩「いやぁ、それはただ、こいつが馬鹿だから」

金髪「うっふふ、いいえ。それも先輩ちゃんの優しさよ」

先輩「うぅん……」

金髪「でも……」

先輩「?」

金髪「本当に、優しさだけ?」

先輩「え?」

金髪「優しいから、優しくしてる……。それだけなのかなぁ、って」

先輩「……」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:09:29.98 ID:fC3Bx6ne0
金髪「優しい先輩が、手のかかる後輩を気に掛ける……、それだけなのかしら」

先輩「言ってること、よく分かんねーですよ」

金髪「ふふ……」

先輩「私は……、別に、何も考えてないし…………」

金髪「後輩ちゃんは」

先輩「……」

金髪「そう思ってるわよぉ?」

先輩「……」

金髪「先輩ちゃんが一緒にいてくれるのは、先輩ちゃんが優しい人だからだ、って」

先輩「……」

金髪「後輩ちゃんが”負い目”を感じないように、気を遣っていてくれてるんだ、って」

先輩「いや、マジで……、何聞いたんですか、こいつから」

金髪「内緒〜」

先輩「口軽ぃんだよ、お前っ」ベシッ

後輩「フギャ…………ゥーン」ムニャムニャ
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:10:02.32 ID:fC3Bx6ne0
金髪「うふふ、今のは全部、私の想像」

先輩「え、後輩叩かれ損」

金髪「叩いたのは先輩ちゃんだもん〜」

先輩「えぇ〜……」

金髪「……でも、そんなに外れてないと、思うわぁ」

先輩「……」

金髪「うすうす、そんな気はしてるでしょ、先輩ちゃんも〜?」

先輩「それは……」

金髪「先輩が、相手をしてくれるのは、優しいから……”それだけ”」

先輩「……」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:10:55.17 ID:fC3Bx6ne0
金髪「だから」

先輩「……」

金髪「そう思っているから、後輩ちゃんは先輩ちゃんに、優しさ以上を求めようとはしない」

先輩「……」

金髪「だから、今のままを望んで。……けど」

先輩「……」

金髪「それでいいのかしらね〜」

先輩「……」

金髪「先輩ちゃんも、後輩ちゃんも……」

先輩「……あの」

金髪「ん?」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:11:57.66 ID:fC3Bx6ne0
先輩「何の話?」

金髪「んっふっふ……、さぁ?」

先輩「……」

金髪「ただ、そういえば、そんな話したなぁ、って」

先輩「え」

金髪「銀髪と」

先輩「……」

金髪「あの子……、貴方たちのこと、大好きだったから」

先輩「貴方”たち”……」

金髪「本当よ?」

先輩「……」

金髪「……」

先輩「そっかぁ……」

金髪「私はそうでもないけど」

先輩「……」

金髪「冗談よ?」

先輩「う、うっす……」

金髪「うふふ、うっふっふ……」

先輩「……」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:12:24.97 ID:fC3Bx6ne0
金髪「それで……」

先輩「……」

金髪「どうするの?」

先輩「どうって……」

金髪「……」

先輩「……どうしよっかなぁ」

金髪「困った子ねぇ」

先輩「あ゛〜……」

金髪「……」

後輩「ンヘヘェ……」スヤァ

先輩「幸せそうに寝てんじゃねーよ、馬鹿!」ベシッ

後輩「フギュ」

金髪「あらあら」





140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:13:08.92 ID:fC3Bx6ne0





〜翌日〜


〜後輩宅〜


後輩「……うーん」

後輩「胃が痙攣しているぞ」ヨロヨロ



ピンポーン



後輩「……」



ピンポーン



後輩(先輩め……)

後輩(昨日の今日で、飲みに行くつもりですか……)



ピンポーン


後輩「……今日は帰らせよう」スタスタ

後輩「血が丸ごと酒になってるんだ、こっちは」スタスタ
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:14:07.47 ID:fC3Bx6ne0


ピンポーン


後輩「しつこい……」ハァ

後輩「鍵かけて追い払ってやる……」

後輩「……」スタスタ


ガチャ


後輩「チェンジ!」



「は?」



後輩「え?」



「……」



後輩「えっ、あっ、いや……! しし失礼、しましたぁ!」


「……いえ」


後輩「あの、ええと……」

女刑事「……警察のものです」

後輩「は」

女刑事「銀髪さんのことで、少し」

後輩「…………」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/08(木) 22:14:35.05 ID:fC3Bx6ne0
今日はここまでです
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/08(木) 22:29:59.14 ID:BIHRdiKJo
チェンジワロタ

144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 04:58:08.68 ID:9C2BPO4ro
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:30:09.57 ID:5qE2k+020





後輩「今、お茶いれますんで……」トタタ

女刑事「お構いなく」

146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:31:03.24 ID:5qE2k+020





ガチョ


後輩「……」

後輩「………………」


後輩(1.発泡酒)

後輩(2.日本酒)

後輩(3.スポドリ)


後輩「……」


後輩(……思ったより、終わってるなぁ)


後輩「……」


後輩(1くらいだったら、ジョークで済ませてもらえるかも……)


後輩「……」

後輩「……」





147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:31:47.28 ID:5qE2k+020





後輩「すみません、お茶、切らしちゃってて……。今買ってきますんで――……」

女刑事「……本当に、結構ですから。どうぞお構いなく」

後輩「は、はぁ……。でしたら……」

女刑事「……」

後輩「ええと……、銀髪さんの件、でしたっけ……?」

女刑事「ええ」

後輩「ど、どういったお話で?」

女刑事「二、三、お尋ねしたい点がありまして」

後輩「……その、じ……自殺、だったんですよね」

女刑事「あ、ご心配なさらず」

後輩「……」

女刑事「これは捜査というわけではありませんから」

後輩「はぁ……」

148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:32:45.19 ID:5qE2k+020
女刑事「報告書の作成に必要な点を、確認させていただきたいだけです。いわゆる、事後処理のようなものでして」

後輩「そうなんですか……」


後輩(なるほど……)

後輩(それで、刑事さんひとりだけなのか)

後輩(聞き込みだと、二人組でやってるもんなぁ)

後輩(ドラマで見ただけだけど……)


女刑事「ご協力、いただけますか」

後輩「え、えぇ、まぁ……」



後輩(しかし、まぁ……)

後輩(なんか、圧を感じる人だ)

後輩(怖ぇ……)
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:33:18.69 ID:5qE2k+020

女刑事「……――それで、当日のことなのですが」

後輩「はい……」

女刑事「少し、お聞かせ願えますか」

後輩「少し……」

女刑事「銀髪さんが、何時にこちらに来て、何時に帰った、とか」

後輩「……ええと」

女刑事「……」

後輩「来たのは、確か5時――いや、4時でした。それで4時……あ、朝の4時に帰って」

女刑事「その後、連絡は?」

後輩「取っていません……」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:34:05.54 ID:5qE2k+020

女刑事「何故、明け方のそんな時間に帰られたんですか。電車もまだ、動いていないでしょう」

後輩「ギリギリ、歩いて帰れる距離でしたし。朝は色々、立て込んでるらしくて……、いつもそのくらいの時間でした」

女刑事「……こちらには、良く来られていたんですか」

後輩「えぇ、まぁ……」

女刑事「そうですか……」

後輩「……」

女刑事「……」



後輩(間が怖ぇ……)

後輩(『私何も知りません』って言いてぇ……)



女刑事「それで、彼女はどういった用事で、こちらに?」

後輩「え」

女刑事「……夕方にやってきて、明け方に帰っていく必要がある用件というと、今一つ思い当たりませんが」

後輩「そ、それは……」

151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:34:42.59 ID:5qE2k+020

女刑事「少し不自然――……、失礼、言い方が悪いですね」

後輩「……」

女刑事「違和感があります」

後輩「……」

女刑事「銀髪さんは、貴方の家まで、何をしに来られていたのですか?」

後輩「そ、それは……」

女刑事「当日、銀髪さんは何の用事で?」

後輩「あ、ぇ、いや、えと――……」

女刑事「……」

152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:35:23.69 ID:5qE2k+020

女刑事「何か、言えない事情があるんですか?」

後輩「そそそういうわけではなくぅ……」

女刑事「でしたら」

後輩「…………した……」ボソボソ

女刑事「はい?」

後輩「……ッ――……て、……た……」ボソボソ

女刑事「何とおっしゃったんですか?」イラ

後輩「……」

女刑事「あのですねぇ……、ちゃんと聞かせてもらわないと……」イライラ

後輩「せ……セックスしてましたぁぁぁっ!!」

女刑事「せ――……はっ、へぁ!? へぇぇぇっ!?」

153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:36:17.19 ID:5qE2k+020

後輩「うっ、うぅぅぅ……っ」カァァ

女刑事「なっ、……女どっ――……、あっ、あぁ。って、えっ? えぇ……?」ワタワタ

後輩「……」カァァ

女刑事「えっ、あ……、んっ、コホンっ」

後輩「……」

女刑事「ま、まぁ、そ、そういうのは、お、お話しされなくて、だ、大丈夫、ですから」

後輩「……」

女刑事「コホ……、お聞きしたいのはセ――……それ以外で……」

後輩「ずっとセックスしてましたぁ……」

女刑事「ずずずずずっと!?」

後輩「うぅぅぅっ」カァァァッ

女刑事「4時から4時まで!?」

後輩「あ……いえ、途中で寝たので……」

女刑事「そ、そっか……。そりゃまぁ……」

後輩「1時くらいまででした」

女刑事「4時から1時!?!?」ワタワタ
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:36:53.58 ID:5qE2k+020

女刑事「4時から……」

後輩「う、うぅぅ……」カァァ

女刑事「……9時間?」マジマジ


後輩(めっちゃ見られてる……)


後輩「……」

女刑事「はぁぁ……」マジマジ

後輩「……あ、あのぉ」

女刑事「……!」ハッ

後輩「……」

女刑事「……コホッ、コホン!」

後輩「……」

女刑事「失礼、取り乱しました」

後輩「……いえ」

女刑事「それで……」

155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:37:35.01 ID:5qE2k+020

後輩「……」

女刑事「1時には、眠られたんですね」

後輩「え、えぇ。大体それくらい……」

女刑事「それで、4時に起きて、銀髪さんを見送られたんですか?」

後輩「いえ……、まだ私、ソファにいて……。起きる前に、銀髪さん出て行って」

女刑事「……何故ですか?」

後輩「え?」

女刑事「何故、銀髪さんが帰った時刻が、4時だと断言できたのですか? 寝ていたのに」

後輩「あ……、そういえば」

女刑事「……」

後輩「確かに……」

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:38:03.18 ID:5qE2k+020

後輩(……何でだっけ?)

後輩(ええと……)


後輩「……、……あぁ」


後輩(そうだ)

後輩(あの時……確か、銀髪さんが帰ろうとしていて――……)

後輩(それで、行く前に私の所に……)





157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:38:32.82 ID:5qE2k+020





後輩『……んぅ』ウトウト


トタ トタ

トタ


後輩(……銀髪さんの、足音……)

後輩(……帰るのかな……?)

後輩(時計――……)


後輩『……』チラ


後輩(まだ4時じゃん……)


後輩『……ん、ん』ウトウト

後輩『……』スヤ


ト トッ トッ

158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:39:15.37 ID:5qE2k+020

後輩(近づいてきてる……)

後輩(でも夢かも……)


銀髪『……後輩ちゃん』


後輩『……』


後輩(……銀髪さん?)


銀髪『――、――――』


後輩『……』

後輩(銀髪さん……)

後輩(何か言い……ました……か――……?)

後輩(銀髪、さ……)


後輩『……ムニャ』スヤスヤ

159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:40:06.05 ID:5qE2k+020

後輩「……一瞬、起きて……」

女刑事「……」

後輩「時計を見て……」

女刑事「なるほど」



後輩(あの時……)



後輩(あの時、銀髪さんは何を……)


後輩「……」

女刑事「……」

後輩「……」

女刑事「……?」

後輩「……」

女刑事「どうかされましt――……?」


ガチャガチャ!!

バターン!!


先輩「おぉぉーーっす!!」


後輩「!?」ビクーッ

女刑事「!?」ビクーッ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:40:47.66 ID:5qE2k+020

先輩「おぉーい後輩ー! いるかーっ! すげぇぞ、下の駐車場!」

後輩「せ……」

先輩「すっげぇヤクザ停めしてるレガシーいた! 超バカみてーなの! 見てみれ!」

後輩「せんぱ……」

先輩「写真撮ったからインスタで晒そ――……、あ……」

後輩「……」

女刑事「……」

先輩「あ、お取込み中?」

女刑事「……、……私の車ですね」

先輩「う、うぇ?」

女刑事「失礼、停め直してきます」

後輩「……先輩、この人、警察の方で……」

先輩「うぇぇぇぇぇ!?」




161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:41:21.35 ID:5qE2k+020





先輩「だーかーらー! ねぇって言ってんじゃん!」

女刑事「身分証明できるものですよ? 本当に何も?」

先輩「あぁん? 何度も言わなきゃ分かりませんかねぇ〜!?」

女刑事「……では、ご職業は?」

先輩「自営」

女刑事「具体的に」

先輩「詩人」

女刑事「…………はぁ」

先輩「あぁぁ!? 何だその『はぁ』は!? 職業差別か公務員がこの野郎ォ〜〜〜ッ!?」

後輩「先輩、ほんと……本当、やめましょうって、ねっ」

女刑事「……」

後輩「すみません……、この人こんなですけど、嘘はついてないんで……」

女刑事「そう……」

先輩「……」ガルル
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:42:04.02 ID:5qE2k+020






先輩「発泡酒もらうぞ〜」ガタガタガチャ



後輩「どうも、すみませんでした……」

女刑事「いえ、お気になさらず」

後輩「……」

女刑事「……では、私はこれで。ご協力、感謝します」

後輩「……あ、あの」

女刑事「はい?」

後輩「実はその……、銀髪さんが、ええと……亡くなったビルの場所、教えてほしいんですけど」

女刑事「……」

後輩「あ、これ聞いたら駄目なやつでしたか? シュヒ義務? 的な……」

女刑事「いえ、構いませんが」

後輩「ありがとうございます……」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:42:36.17 ID:5qE2k+020

女刑事「口頭でいいですか?」

後輩「えーと……、できたらメモを」

女刑事「お待ちを」ゴソ

後輩「すみません……」

女刑事「……」カキカキ

後輩「……」

女刑事「……変わったご友人を、お持ちですね」

後輩「いえ……。お恥ずかしい限りです……」

女刑事「貴方自身も」

後輩「へ?」

女刑事「少し、変わっていますしね」フフッ

後輩「あ……」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:43:06.44 ID:5qE2k+020

女刑事「失礼。……どうぞ」スッ

後輩「あ、ど、どうも」

女刑事「それでは」


ガチャ キィ

バタン


後輩「……」


後輩(笑うと……)

後輩(雰囲気変わるなぁ……)


先輩「後輩ー、『獺祭』見つけたんだけど開けていいー? 後輩ちゃーん?」





165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/03/09(金) 22:45:55.91 ID:5qE2k+020
今日はここまでです
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 06:12:26.84 ID:G74LAk4Xo

先輩の後輩宅にいつも飲みにこれる職業って
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:04:44.61 ID:FfyBE4yg0






〜夕方〜


〜郊外・ビル街〜



後輩「んーと……」キョロキョロ

先輩「……」

後輩「おっかしいな……」キョロキョロ

先輩「なー」

後輩「何ですー? ……あ、こっちか」

先輩「もういいじゃんー。飲みに行こうぜー」

後輩「先輩についてきて、なんて言ってないじゃないですか」

先輩「冷てぇの」プシュッ

後輩「うーん、間違いなくこの辺りのはずなんだけど……」

先輩「……」ゴクゴク

後輩「うぅん……、刑事さん、この住所あってるんですか……」

先輩「……ぷはぁ」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:05:27.66 ID:FfyBE4yg0
後輩「……美味しそうなの、飲んでますね」

先輩「美味いよ」グビリ

後輩「はぁ……」

先輩「こうはーい」

後輩「何ですか……」

先輩「そっちじゃない」

後輩「え?」

先輩「こっち」スタスタ

後輩「え……ちょ、先輩……?」

先輩「〜〜♪」スタスタ

後輩「ちょっと……、せんぱ……っ、先輩!」




169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:06:26.21 ID:FfyBE4yg0





後輩「……」

先輩「ここだろ?」

後輩「……xxxxビル……、合ってる……」

先輩「……」カシュッ

後輩「先輩……、この場所、知ってたんですか……」

先輩「プハ……、人から聞いてな。あの界隈の連中なら、みんな知ってる」

後輩「……」

先輩「お前以外はなー」ケラケラ

後輩「……」ガチャ

先輩「鍵かかってる?」

後輩「えぇ……まぁ、当たり前ですけど」

先輩「ふぅん……」スタスタ

後輩「あ……っ、また……」

先輩「おっ」

後輩「何です?」

先輩「うぇっへっへ、非常階段〜」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:06:56.30 ID:FfyBE4yg0
後輩「……キケン、立ち入り禁止、って」

先輩「大丈夫だろ」ヒョイ

後輩「ちょっと、先輩」

先輩「行かねぇの?」

後輩「……」

先輩「行くんだろ?」

後輩「……」ヒョイ

先輩「んふ、いけないんだー……」

後輩「もう……、アホ言ってないで」

先輩「はいはい」




171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:07:37.06 ID:FfyBE4yg0





後輩「……」カンカンカン

先輩「……」ゼェゼェ

後輩「……先輩」

先輩「……お゛ぅ」ゼェゼェ

後輩「大丈夫?」

先輩「おう……」

後輩「……」

先輩「やっぱ休憩……」ゼヒー

後輩「はい」

先輩「……うぁぁ」

後輩「……」

先輩「日頃の不摂生がなぁ」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:08:10.69 ID:FfyBE4yg0
後輩「先輩」

先輩「おう」

後輩「……脚、痛むの?」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「ちょっと」

後輩「……」

先輩「気圧が低いと、たまにな。今日とか」

後輩「……先輩」

先輩「謝んなよ」

後輩「……はい」

先輩「……よし、行くか」

後輩「はい……」

先輩「今何階?」

後輩「6階、多分」

先輩「うげぇ……」





173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:08:40.73 ID:FfyBE4yg0





後輩『……』

先輩『おーっす、後輩ー、いるかぁー』

後輩『せんぱ……っ?』

先輩『なんだ、起きてるんじゃねぇか』

後輩『どうして……』

先輩『お見舞い。ほれ、おみやげ』

後輩『……』

先輩『元気そうじゃん』

後輩『……』

先輩『いい加減、学校来いよなー。ずっと休んでるんだって?』

後輩『……』

先輩『アホだなー』

後輩『ほっといてください……』

先輩『うっへへ、強がっちゃってぇ』
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:09:21.05 ID:FfyBE4yg0

後輩『先輩……』

先輩『うん?』

後輩『どうして、そんな……、平気そうなんですか……』

先輩『どうしてって?』

後輩『最後のあの試合……、私のせいで……』

先輩『……』

後輩『私のせいで、脚……駄目になったのに』

先輩『……』

後輩『私のせいで、もうテニス出来なくなっちゃったのにっ!』

先輩『お前のせいじゃねぇよ』

後輩『……だけどっ!』

先輩『本当は、ずっと良くなかったんだ』

後輩『……』

先輩『最後くらい、耐えられると思ってた』

後輩『……』

175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:11:24.84 ID:FfyBE4yg0
先輩『平気だと思ってた私が、馬鹿だったんだよ』

後輩『そんな……』

先輩『それに、お前は知らなかったんだ』

後輩『……』

先輩『何も言わなかったもんなぁ、私さぁ』

後輩『……』

先輩『ごめんなぁ……』

後輩『違う……』

先輩『……』

後輩『私は……私はぁ……』グスッ

先輩『……』

後輩『気付いてたんだっ! 試合中……っ! 先輩がぁ……!』

先輩『……』

後輩『動きがっ、いつもと……っ、右のショートクロス、対応できないって……っ!』

先輩『……』

後輩『おかしいなってっ、ゥグ……ッ、分かってて……グスッ』ポロポロ

先輩『後輩……』
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:12:16.87 ID:FfyBE4yg0
後輩『なのにぃ……ヒッグ、うぅ、勝ちたくて! 先輩に勝ちたくてぇ……、わたし……わたしぃ……っ!』ポロポロ

先輩『泣くなよ、なぁ……』

後輩『……ヒック、みんなの……、みんなの言う通りなんですぅ……っ』

先輩『……みんな』

後輩『私がっ! 私が先輩を……っ!』グスグス

先輩『落ち着け、な?』

後輩『ヒック……ふ、ぐ、ぅぅぅ……ごめんなざい゛ぃ゛……』

先輩『お前は、本当に……』ナデナデ

後輩『う゛ぅ゛……』

先輩『気にしすぎなんだよ。死ぬわけじゃないし、歩けなくなるわけでも、ないんだから……』

後輩『だって……、先輩、もうテニス……』

先輩『だからさ、死にゃしないんだって。テニスなんて、できなくたって』

後輩『……』

先輩『本気だぞ』
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:12:46.66 ID:FfyBE4yg0
後輩『……だけど』

先輩『……』

後輩『先輩は……あんなに、がんばって……。あんなに練習して……』

先輩『……』

後輩『あんなにテニスが大好きで、あんなに……うぅぅっ』グスッ

先輩『また泣く』

後輩『……うっ、うぅ……』

先輩『はぁ……、しょうがないヤツだなー』

後輩『……』

先輩『心配すんなって』

後輩『……グス』

先輩『きっといつか、笑って話せるようになるさ』
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:13:22.96 ID:FfyBE4yg0
後輩『……』

先輩『逆に、あの時テニス、見切りつけられてラッキーだったなぁ、みたいにさぁ』

後輩『……』

先輩『酒なんか、飲みながら』

後輩『……』

先輩『お前と私でさ』

後輩『……酒飲みは』

先輩『……うん?』

後輩『嫌いです。臭いから……』

先輩『あっはっは、そっかそっか』

後輩『……』

先輩『……ま、何でもいいよ』
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:14:13.87 ID:FfyBE4yg0
後輩『……』

先輩『私は大丈夫だから』

後輩『……』

先輩『お前も大丈夫になれ』

後輩『……でも』

先輩『もし辛いんだったら』

後輩『……』

先輩『私が、いてやるから』

後輩『先輩……』

先輩『お前が大丈夫になるまで、お前の隣に』

後輩『……本当に?』

先輩『おう』

後輩『……大学行っても?』

先輩『もちろん』
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:15:02.16 ID:FfyBE4yg0
後輩『お、大人になっても? 先輩が――……』

先輩『だから、言ってんだろー』

後輩『……』

先輩『いつか一緒に、酒でも飲んで、笑うんだって』

後輩『……先輩』

先輩『な』

後輩『……酔っぱらい、嫌いです』

先輩『あっはは、そういうなって』

後輩『はぁ……。先輩って人は……、本当に……』

先輩『いいだろ! 大人になったら一緒に――……』

後輩『一緒に?』

先輩『飲みに行くぞー!』

後輩『はいはい……』





181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:15:44.88 ID:FfyBE4yg0





〜屋上〜



後輩「……」

先輩「……」

後輩「……落ち着きましたか、先輩?」

先輩「……」

後輩「先輩?」

先輩「……ん? ……あぁ。……もう大丈夫」

後輩「どうかしました?」

先輩「……んー、ちょっと。考え事」

後輩「……はぁ」

先輩「昔のこととか」

後輩「……」

先輩「……飲むか?」

後輩「ください」

先輩「ほら」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:16:19.86 ID:FfyBE4yg0

後輩「……」カシュッ

先輩「10階って、結構高いな」

後輩「ですね……」ゴク

先輩「普通にフェンスあるんだけどなー……」

後輩「あ、ここ……」

先輩「ん」


ギシギシ

キィ


後輩「壊れてる」

先輩「銀髪さんが壊したんかな?」

後輩「どうですかね……」

先輩「……ふーん」キィ

後輩「飲みます?」

先輩「ちょうだい」

後輩「どうぞ」

先輩「……」グビ

183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:17:00.95 ID:FfyBE4yg0

後輩「……高」

先輩「……」

後輩「うわぁ……」

先輩「……」グビ

後輩「真っ暗だぁ……」

先輩「後輩ちゃんさー」

後輩「はい?」

先輩「どうしたん? 急に」

後輩「……」

先輩「銀髪さんがトんだ場所が見たい、なんて」

後輩「いえ、別に……」

先輩「……」

後輩「特に意味は、ないんですけど」

先輩「ふぅん」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:17:45.50 ID:FfyBE4yg0
後輩「ただ……、なんて言うか……」

先輩「……」

後輩「思い出したんですよ」

先輩「何を?」

後輩「……銀髪さんに、最後に……、私の家、出ていくときに、何か、言われて」

先輩「何言われたん」

後輩「や、何か言われたんですけど……」

先輩「うん」

後輩「何言われたか、思い出せなせないんですよね」

先輩「何だそりゃ」
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