未来を置き去りにしてバイトをする

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/25(水) 16:23:56.34 ID:lLMyajg8O
忠告にせよ酷い言い種だった。

中身がないのが価値だと彼女は言う。

それが正しいというなら、僕は空のリュックサックにも等しく、軽いのだけが取り柄のようだ。

はっきりと気分が落ち込む。

自分よりも明らかに上の立場、あるいは優れた人物に貶されることほど、自尊心を傷つけられることはない。

劣等感が毒となり体内を駆け廻るのを男仁が来るまでただ耐えていた。
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/29(日) 09:37:27.28 ID:2Z/zGywUO
男仁さんが戻ってきたとき、一瞬僕はどういう顔をすればいいのか判らなかった。

僕が騙されたという形にはなったが、実害があったわけではなく、気分を悪いものにしたのは主にスピーカーの向こうの相手である。

それゆえにひどく罰の悪い顔で、出迎えたわけだが彼はそれを気にしている余裕は無さそうだった。

何かに気を取られている、いやとりつかれているとさえ言える表情で彼は戻ってきた。

交渉相手とよほどのことがあったのだろうかと勘繰ったが斎場の件を考慮すると、その可能性も薄い。

男仁さんは中身を運ぶ役目を終えて軽くなったスーツケースを二つ僕に手渡して、その場を後にした。

慌てて僕はその背中を追いかけた。

いつの間にか、鉛のような曇り空が僕たちの頭上を覆っていた。雨がそろそろ降りだしそうだ。

イベント
危険の予兆の察知 PAIがいないため自動失敗

自由安価直下
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/29(日) 09:39:05.95 ID:2Z/zGywUO
帰り道にできることでお願いします
考え事、耳をすませる、等
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/29(日) 10:52:32.95 ID:d9cwb9gZo
鈴音さんについて考える
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/01(水) 13:40:34.45 ID:2YJgKdt60
鈴音さんについて

今日、会った中で最も繊細な印象を受けた子だった。

それは彼女が盲目である故に纏う雰囲気、そして取り巻く環境がそう感じさせる。

彼女の世界はあの斎場で完結している。

斎場で働く所以は、家族関係入れて貰えたのかもしれないし、

障害者支援法によって枠があり雇われたのかもしれない。

どちらにせよ彼女は居場所を見つけたのだ。

一つに障害者が働くことを国は推奨する。

同様にIOTチップを取り付けた人が働くことを推奨する。

逆は支援を受けられない、ぼんやりと否定される。

彼女はようやく日向に当てられた側の人間で、僕は日陰者。

羨ましいなんて口が裂けても言えないが

ともすればこうやって考え込んでしまうくらいに彼女のことが気になっている。

理由は彼女と僕は対比であり、ある意味では似ている。

鏡にうつった正反対の彼女を、僕は見ているのだ。
81.02 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)