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一ノ瀬晴「黒組reverse」
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34 :
◆y/UloXui6w
[saga]:2018/04/16(月) 09:10:35.56 ID:Qmf+elFI0
今回の核心となる話に踏み出した途端に、伊介は静かに春紀の至近距離に歩み寄る。
そして、いつの間に取り出したダガーナイフを春紀の首元に当て、
伊介「殺すに決まってるでしょ♥ 何、アンタの家庭事情を見せれば伊介が協力するとでも?♥」
春紀「……はは、やっぱりダメか?」
伊介「アンタが例え一ノ瀬晴を殺す側に着いたとしても、伊介はアンタの身内の面倒なんて見る気はないから♥」
寸止めてはいるものの、春紀が余計な事を口走れば本当に切り裂く事が出来るというようにナイフを持つ手に力を込める。
自然と壁際に追い詰めるような体制になり、春紀は僅かに冷や汗を浮かべ、
伊介「弱者は食われて当然。伊介はね、そんなゴミクズみたいな弱者から這い上がってきた。簡単に甘えてんじゃねぇよ?♥」
春紀「確かにそうかもしれないな。だけど、アタシにはアイツらみたいに守るべき人間が居るから"生きて"るんだ。伊介様には、そんな人は居ないのか?」
思い浮かべるのは、愛するパパとママ。両方男だけど、命と愛をくれた大切な人。
しかし、伊介は手を緩めることなく、寧ろ侮蔑するような笑みをこぼして
春紀「っ、ぐ、かはっ」
伊介「パパとママはアンタの家族とは違う。そして、伊介も。アンタに依存して、アンタに縋り続けてるような―――――」
グッと力が更に込められ、ギリギリで抑え込んでいた春紀が押されると同時に首元へとナイフが食い込み、血の筋が浮かび上がる。
ぐりぐりと膝で春紀の腹を圧迫し、無理やりに息を吐き出させて力を緩める伊介の元へ、閉め切られていた筈の扉がこじ開けられ、黒い影が飛び出してきた。
反射的に蹴り飛ばそうと足を伸ばした所で、力をとりもどした春紀がなんとか伊介を跳ねのけた。
冬香「お姉ちゃん!! 大丈夫!?」
春紀「っ、冬香、どうして」
冬香「……話、全部聞いてた。ねぇ、殺すって、どういう事? お姉ちゃんが言ってた仕事って、そんな危ないことなの!?」
春紀「それ、は」
伊介「春紀以外ならアンタが一番年上っぽいから言っとくわ♥」
受身を取って起き上がっていた伊介は、ナイフから滴る春紀の血を取り出したスカーフで拭い取りつつも、冬香へと視線を向ける。
じわじわと痛む鳩尾を抑えながらも、首元の傷も構わずに冬香の前に立つ春紀が構える。
伊介「本当に春紀の事を思っているのなら、この家から離れた方がいいわよ♥ いずれ悲惨な事になる前に」
伊介なりの忠告を残して、彼女は春紀と冬香の横を当たり前の様に通り過ぎ、そして家を後にした。
それまで身構えていた春紀は、ようやく自分の喉から零れる血が床に染みを作っている事に気付く。
……これまで守り続けて来たこの家を、手放さなければならない時が来た。
それ以上に、隠し続けていた事が冬香に全て明かされてしまった事が何より辛い。
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/16(水) 09:30:11.12 ID:cf3puTIk0
待ってるぞ
36 :
◆EtDBNAuDt.
[saga]:2018/07/20(金) 07:19:25.95 ID:nn2rqiNX0
【トリップ変わりましたが本人です。何とか落ち着いてきたので、これから更新再開していきたいと思います】
京夢紫、黒栖麗亜、零咲薫子、日月氷影、粟津志麻、天邉光、紫雷イオ、沖田京子……そして瑪瑙椿姫。
名簿上は更に三名の生徒が居る筈だったが、彼女達は学園に入学する手続きを終える前に十一年黒組に問題が発生したため、ここに表記は無かった。
此処は待機室と称された、金星寮の対面に存在する寮の休憩所。
麗亜「あっづ〜……ねぇ、志麻ァ。アタシ達いつまでここに居ればいいの」
志麻「さぁね。長いこと軟禁されてるけど、アタシにとってはここは結構過ごしやすいからな」
麗亜「なに適応しちゃってんの。色々漫画も読み漁ったけど、流石にそればっかりじゃ飽きちゃった〜」
京子「……」
薫子「……」
志麻「あそこの二人、おっかないもん取り出して涼しい顔してるけど、アレに相手してもらったらどうよ」
ヴァンパイアの血族である黒須麗亜は、ガラス張りの休憩所に差し込む陽射しに目を細め、うめき声をあげていた。
寝そべるソファの隣にはサブカルチャー仲間の粟津志麻が様々なジャンルの漫画を読み漁っており。
騒がしい麗亜達とは少し離れた場所に複数設置されているソファにはそれぞれ本物の日本刀を、本物の銃火器を前のテーブルに広げている二人の姿があった。
沖田京子は、厳しい本家本元に仕込まれた剣術の為に刀を磨き、零咲薫子は軍隊上がりの傭兵として火器の整備は欠かさない。
黙々と作業する二人は見えない殺気の様なものを放っており、
麗亜「いやァ〜、今行ったらアタシバッサリ切られて撃ち殺されそう」
志麻「にしても、凄い集中力だな。あの二人もう一時間はあの体勢だぜ」
麗亜「職業柄道具は大切だけどねぇ」
じゃ志麻の漫画見せて〜、とうっとおしく絡みつく麗亜に、志麻はもう慣れてしまった様にへいへいと漫画雑誌を大きく広げる。
一見平和そうにも見えるこの風景。一つ、異様な点と言えば。
この休憩場の中央、其処にはおびただしい量の血液が飛沫していたと思われるドス黒い染みが天井と床に出来ている事か
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/12(日) 15:12:33.12 ID:kE0HAYcJ0
もう落ちてるかと思った
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