平沢進「東京のヒラサワです」翠星石「まきますか?まきませんか?」平沢進「違います」

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422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/28(土) 19:37:44.48 ID:5KJFsZi6O
ツヅキハ マダ ナノカ
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/28(土) 20:38:18.79 ID:dEgKLLTn0
NO ROOM好きでよく聴いてるが歌詞の意味なんて一切考えたことなかったな
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 14:08:32.99 ID:ocVsgkA20
ゴタゴタしてて更新遅れてます
マジすんません…
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 16:24:29.06 ID:fo7686Yd0
(報告さえあれば)ええんや
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:00:34.44 ID:8wUzBgZD0
遅れてて大変申し訳ないです
ほんのちょっぴりだけ更新します
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:01:21.33 ID:8wUzBgZD0
翠星石「んー…不思議ですぅ…」

翠星石「なんで窓が再び直ってるんでしょうか?真紅があの後超高速であろるの館に侵入して直してってくれたとは思えんですし…電気屋さんが光の速さで見積もりと修理を終えたとも考えにくいですしね…」

平沢進「電気屋に30万キロメートル毎秒の即応性を求めてどうしようというのか」ヌッ

翠星石「うわぁっ!…でも、他になんか考えられることがあるですか?まさか、金糸雀が直してくれるわけはねーですし…」

平沢進「そのまさかという可能性も。「まさか」は観測が滞ることが多いだけで、その辺に意外と転がっているものなので」

翠星石「えー?だって、金糸雀が直す理由がねーですよ。それに、この館に来たっていう証拠もないですし」

平沢進「実は証拠ならばある。これ」

翠星石「はい?ハート型の髪飾り…あ!こ、これは確かに金糸雀のいつも付けてたヤツですぅ!」
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:02:04.95 ID:8wUzBgZD0
平沢進「やはり。まあ、金色の極小道具という時点でそうだろうと思っていたが」

翠星石「じゃあ、金糸雀はヒラサワが一度見つけた以降もここに来てたですか…きっと翠星石のローザミスティカを狙ってたんですね!」

平沢進「ならばなぜ窓を修繕するのか。鳥類人形が修繕を趣味とする善意の塊系人形だというなら話は別だが」

翠星石「あ…確かにですぅ。金糸雀は別に直すのが大好きってわけでもねーのに、なんで敵方の館の修理なんか…うーん…」

翠星石「翠星石とアリスゲームをする以外に、何か目的があったとか…?はっ!」

平沢進「……」

翠星石「そういえば、金糸雀は音楽に精通したヤツなんでした!きっとヒラサワの館を見て、たぶん…!」
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:02:49.82 ID:8wUzBgZD0
翠星石「たくさん転がってる謎楽器を目の当たりにして、音楽家根性に火がついて盗む算段をしてたんですぅ!そうに違いねーです!だから、窓が割れてる内に他のヤツが盗みに入らないように、直しておいた…どうです!この名探偵翠星石の推理は!」

平沢進「……」

翠星石「な、なんですかその顔は!この翠星石の推理のどこに穴があったですか!」

平沢進「月の表面並みに穴だらけ。第一、体良く侵入したところで人形がどうやってこれを運ぶというのか」

翠星石「えっ?そりゃ、こうして…ん〜!!お、重っ…」

平沢進「でしょ」

翠星石「……ふぅ。まあ名探偵にも間違いはありますからね!かの名探偵ホームズも、くんくんもコナンも、犯人を取り逃しちまった事はたまにあるです!そういう失敗を引きずらないのが翠星石のいいとこなんです!」

平沢進「出来ることなら囚人の足枷の如く引きずって教訓として貰いたいもの」
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:03:24.37 ID:8wUzBgZD0
翠星石「うるせーです!翠星石を縛るものなんて失敗だろうと後悔だろうとなんにもねーんですぅ!」

翠星石「さて…じゃあ、金糸雀をとりあえずふん縛る算段を始めますかね!その髪飾りを囮に使えば、金糸雀は餌に釣られた野鳥のごとくあれよあれよという間に飛んでくること間違いナシです!」

平沢進「ははあ。野鳥狩りならぬ人形狩りと。野外でのそれはヒラサワも初見。安全圏から死合を眺める金持ちのごとくあろるの館内より観戦させて頂く」

翠星石「ふっふーん!任せとけですぅ!金糸雀なんかちょちょいのちょいで捕まえてやるですからね!あ…」

翠星石「あと、一つだけヒラサワにも協力して貰いたいことがあるですぅ。安心してください、カンタンなことなので!」

平沢進「…まあ、手の届く半径2m以内で済むことでしたら」
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:04:36.50 ID:8wUzBgZD0
ガサガサ……ガサガサ…

金糸雀「……ぷはっ!」ポンッ

金糸雀「う〜…!ここにもないのかしら…ど、どうしよう…」

ピチカート「…」チカチカ

金糸雀「そっちにも無かったの?はぁ…これで、昨日の帰り道は全部探し終わっちゃった…」

金糸雀「他に落ちてる場所があるとしたらあの歌手さんのお宅…そこにも無ければ、もう誰かに拾われちゃったとか…?」

金糸雀「みっちゃんも髪飾りのこと凄く気にしてたし…見つからなかったらきっと一緒に探しに出てくれると思うけど…お仕事で忙しいみっちゃんに、これ以上迷惑かけるわけには…」

金糸雀「はあ…」テクテク…
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:05:30.72 ID:8wUzBgZD0
金糸雀「こんな情けないことでお父様から頂いた髪飾りを無くしちゃったら…カナは…カナは……」グスッ

ピチカート「…!」チカチカ

金糸雀「はっ!な、泣いたりしてないのかしらピチカート!カナは強い子なんだから…」ゴシゴシ

金糸雀「ふぅ。とにかく気を取り直して、お庭で飾りを探すのかしら、植物の緑に金の飾りだから、きっと目立つはず…」

金糸雀「……歌手さんがそれで気づいて拾っちゃってたら、その時はどうしよう…」

♪…♪…

金糸雀「……はっ!?」バッ

金糸雀「お、音楽が…!も〜っ、なんでカナはこう間が悪いのかしら!これを目当てに来た時には聴けなくて、探し物に来た時に限って流れてくるなんて…」

♪…♪…

金糸雀「…まあ!とりあえず聴くのかしら!音楽は人の心を外から揺さぶる魔法なのだし!どんな曲かは分からないけれど、きっとカナの集中力を高めてくれるはず…なのかしら!」

平沢進「……」カタカタ
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:07:38.01 ID:8wUzBgZD0
https://youtu.be/an2VLnLfzP0

♪狙撃手 平沢進 2003

塔の遥か上 広告の影
赤いスーツのスナイパーを見ろ
遠のくキミを飽くまで追う
ああ 逃亡の展望も砕く

ヒューと口笛吹き
路地から また路地へと
ヒューと逃げる演技
さあ軽やかに家路へと
DDT! DDT!

見渡す限り真実の墓地
さあ戦場から惨状だけ聞け
慄くキミをどこまで追う
さあ戦場から惨状だけ聞け

ヒューと嗚咽を吐き
悪夢からまた悪夢へ
ヒューと胸を鎮め
さあ弾道を読む静寂を
DDT! DDT!

安息の日も木陰で待つ
黄色いスーツのスナイパーを見ろ
行き交う人 恐怖はピーク
ああ戦場の緊張にも増し

ヒューと口笛吹き
シアターからまたシアターへ
ヒューと恐れるフリ
さあ冷ややかに観劇を
DDT! DDT!
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:09:34.51 ID:8wUzBgZD0
金糸雀「……」ポカーン

金糸雀「今度もまた…凄い曲なのかしら…どっちかというとコワイ系の…」

金糸雀「これも現実に即した曲なのかしら?狙撃手っていうと戦争とか狩りとか…?DDTっていうのは何かの略称?うーん…どきどきトルクメニスタン…とか?そんなんじゃないよね…」

ガサ……ガサ……

金糸雀「うーん……」

「赤いスーツ……」ドバアッ

金糸雀「!?えっ…うわあああああああっ!!こ、これは世界樹の…!?う、動けない…」

ピチカート「!」ピュンッ

金糸雀「あっ、ぴ、ピチカート!バイオリンを…!」

「黄色いスーツときて…」パァアア

ピチカート「…!?」ギュルッ

金糸雀「ぴ、ピチカートっ!」

「ふふふ…おめーをふん縛るのは!」

金糸雀「こ、この声と能力は…」バッ

翠星石「ふっふーん!緑の装いの翠星石ですぅ!金糸雀狩り、ものの見事に大成功ですぅ!!」
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:10:48.38 ID:8wUzBgZD0
翠星石「ヒラサワ、ヒラサワー!任務完了したですよ!翠星石の接近を隠すための音楽トラップもナイスですぅ!髪飾りを撒き餌に使うまでも無かったですね!」

ガラッ

平沢進「トラップなど仕掛けた覚えはない。勝手にトラップとして利用されただけ」

金糸雀「あっ!…(か、歌手さん…!?)」

平沢進「しかしこれが人形狩りと。現代のヘルシー志向にのっとり、減バイオレンス、増メルヘンとは気が利いている。まあ、食品添加物がいくら入っているかは不明だが」

翠星石「思いっきし天然だから気にすんなですぅ!それよりどうですか?猟友会もびっくりのこのお手並みは!ほらほら、翠星石をもって褒め称えるですよ!」

平沢進「よっ!退いてるねぇ」
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:13:12.89 ID:8wUzBgZD0
翠星石「…はぁ?何言ってやがるです?翠星石は褒めてって言ったんです!翠星石に退いてるとこなんてどこにもねーです!」

平沢進「え。これはかの潤布が現行の中了潤布帯に移行した時分に好んで用いられた称賛言葉だが。ご存知ないとは言うまい」

翠星石「え?あ、っと……も、もちろん知ってるですぅ!退いてる退いてるです!翠星石はあらゆるところが退きまくりですぅ!」

平沢進「ふーん」

翠星石「……もしかして今の真っ赤なウソですか!?ビミョーにホントっぽい小噺はやめるですよ!紛らわしーです!」

※中了潤布帯=現行のネクタイ 潤布と呼ばれる地面を這うほどの異様に長いネクタイが長さが「足りすぎている」うえに不衛生と極まりないという理由で百足らず様によって開発指揮されたことで生まれた ネクタイの長さが「退く」ことで使い勝手が良くなったため、その時分には「退く」という言葉が褒め言葉として使われた 詳しくはwebで
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:14:06.41 ID:8wUzBgZD0
平沢進「そんなことより。「そんな事じゃねーです!大問題ですぅ!」うるさい。そこの鳥類人形に用があったのでは」

金糸雀「う…」プラーン…

翠星石「はっ!そ、そうでした!まったく、ヒラサワのせいで本題を忘れるところですぅ。…じゃあ金糸雀!オメーが捕まってる理由は自分でもう分かってるですね?」

金糸雀「…カナはその、探し物に来ただけで…」

翠星石「んなことはもう知ってるですぅ、このトントンチキ!ほれ、探し物はコレですよね?」チャラ…

金糸雀「あっ!…よ、良かった…」

翠星石「良くねーですよ。まだ返すと決めたわけじゃねーんですから。この髪飾りを返して欲しかったら、あろるの館に夜毎現れる理由を説明して貰うですぅ!」

金糸雀「えっ!…な、何度も来たこともバレてたの…!?」
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:15:20.41 ID:8wUzBgZD0
翠星石「当然ですぅ!そんなピカピカしたホタルみたいな格好しといて、翠星石の目を逃れられると思ってるですか?」

平沢進「気づいてなかったくせに」

翠星石「しーですヒラサワ!…ほれほれ、とっとと答えるですよ。負い目がねーなら言えるはずですぅ!」

金糸雀「え、えっと……カナは、その……」チラッ

平沢進「……」

金糸雀(音楽を聴くために来てたなんて、翠星石の前ではとても言えないのかしら…)

金糸雀(ウソをつくわけじゃないもん!ここは最初からの目的の…)

金糸雀「……も、もちろん、アリスゲームをする為なのかしら!夜な夜な翠星石のスキを伺ってたのかしら!」
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:16:20.27 ID:8wUzBgZD0
翠星石「ホントですか?」

金糸雀「えっ!?な、な、なんで疑ってるのかしら!ほ、ホントに決まってるわよ!」

翠星石「………」 ジーッ

金糸雀(な、なんで翠星石がこんなに…!?まさか、読心術でも使えるっていうんじゃ…)

翠星石「……ま、とりあえずそういうことにしとくです」

金糸雀「……」ホッ

翠星石「…それにしても、よくも大っぴらにんなことを言えたもんですぅ。金糸雀が翠星石の寝首をかこうなんて十年、いや千年はええってもんです!」

金糸雀「む〜!翠星石のクセになんてナマイキな…カナが本気なら、アナタ達双子だって倒してみせるんだから!」
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:17:17.86 ID:8wUzBgZD0
翠星石「おーっほっほ!負け犬の遠吠えが聞こえるですね!がんじがらめのぐるぐる巻き状態で言っても見苦しーだけですよ!」

金糸雀「ぐ…く、悔しいのかしら…!」

翠星石「さてヒラサワ!金糸雀の処遇をどうしてやるです?鉢植えに金色の薔薇として活けてやるですか?それとも今夜の晩御飯のおかずの隠し味にでもしちまうですか!?」

金糸雀「ひ、ひぃーっ!!」

平沢進「……」

翠星石「……?なんですか、そのカオ…」

平沢進「…蒼の人形がかつて言ったように、鳥類と翠のが集まるとやかましいことこの上ない。私の経年劣化の進む有機受信機も不運なことにモスキート音として排除できず、そのぐらいは未だ感じ取れる模様」
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:19:03.25 ID:8wUzBgZD0
翠星石「あ…!か、金糸雀!もっと静かにするですよ!ヒラサワはうるさいのが大嫌いなんですぅ!何せこの前なんて…」

翠星石「…あ!」ニヤッ

金糸雀「……?」

翠星石「…この前なんて、ヒラサワの眼前でギャーギャー喚き散らした雛苺が、ヒラサワの目からビームを受けて見るも無惨な姿になっちまったんですぅ!思い出すだけでも涙が出るですぅ…よよよ……」

金糸雀「え……え…?」バッ

平沢進「…あのねぇ」

翠星石「ヒラサワの眼光は、草を焼き鉄を焦がすおっそろしいモンですぅ…でも、真に恐ろしいのはそこじゃねーんです。ヒラサワ・アイは特殊な電磁波で、人形が浴びるとあろうことか、サイボーグに変身してしまうんですぅ!」
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:19:48.13 ID:8wUzBgZD0
金糸雀「え…えっ!?……だ、だ、騙されないのかしら!す、翠星石、そんなウソでカナを騙そうとしても無駄なのかしら!て、て、天才軍師のカナは、そんな嘘八百に動じたりしないのかしらぁ!」

翠星石「信じる信じないは金糸雀の自由ですぅ…でも、この証拠を見たら信じずにいられねーハズですよ…」

金糸雀「え…しょ、証拠……?」

翠星石「この苺大福を見るです…一見なんの変哲もない大福に見えますが、実は……」

金糸雀「……」ゴクッ

「ワタシ ヒナイチゴナノー カナリア ヒサシブリナノー」

金糸雀「んぎゃあああああああああああああっ!!!!」
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:21:07.70 ID:8wUzBgZD0
平沢進「そこまで。あろるの館は人形向けの青空劇場ではない。しかもやかましさが倍増している。本題を置き去りに茶番を推し進めるのは箱型電脳小教会の中だけでよろしい」

翠星石「あはははははは!だ、だって面白いんだから仕方ねーですぅ!思った通りに引っかかったんですから!あはははは!!」

金糸雀「ま、まだカナは機械になりたくないのかしらぁっ!!お、お助……えっ!?だ、騙したの翠星石!」

翠星石「あははは!…こほん。さあ?どうですかねぇ?金糸雀は天才軍師で翠星石のウソには絶対騙されないらしいですし?」

金糸雀「な、な…!こ、こんな屈辱初めてなのかしら!あ、後で覚えとくのかしら、翠星石!」

翠星石「負け犬の遠吠えも二回目じゃオチがつかねーですよ?まあとにかく、これで分かったですかね!天才軍師の冠は金糸雀なんかじゃなく、この翠星石にこそふさわし…あだっ!」

平沢進「そこまでと言っていように。いくら薔薇の化身人形とは言え、バラ・エティに会話を似せる必要などあるまい」

翠星石「ん〜…まあ、このままじゃ話が進まねーですしね。金糸雀いじりはこの辺にしとくですぅ」
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 11:22:04.70 ID:8wUzBgZD0
ここまでです
ペースを戻せるよう尽力します
ご自由にご意見ご質問ご批判お願いします
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 11:27:34.90 ID:4uBMUC//O
ヒラサワかわいい
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 13:02:06.47 ID:DV/uxa4aO
ヒラサワ初心者にも優しい曲を使ってくれ
オーロラとか上空初期値とか
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 11:59:03.70 ID:DMMlAfJ70
確かにちょっと趣味に走りすぎたかもです!
これからは馬の骨を培養増殖するためにも優しい曲を…
使ったり使わなかったりします

ではたぶん今夜更新します
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:10:44.13 ID:K2vZ0huD0
翠星石「こほん…んじゃ金糸雀。アリスゲームを挑みに来てるってことは、相応の覚悟をして来たんですよね?」

金糸雀「ひっ…も、もちろんなのかしら!さあ、煮るなり焼くなり揚げるなり好きにすればいいのかしら!」

翠星石「その言葉、偽りはねーですね?じゃあ……神妙にしやがれですぅ!」バッ

金糸雀「!!」ギュッ

シュルル…

金糸雀「…え?」

翠星石「あははは!また引っかかったですね!」

平沢進「あのねぇ」
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:11:36.59 ID:K2vZ0huD0
翠星石「えー、今回は翠星石は悪くねーですぅ!だって金糸雀が好きにしろって言ったんですから!勝手にあっちが勘違いしただけですぅ、翠星石はなーんにも知らんですぅ」

金糸雀「……??えっと、なんでカナが解放されてるのかしら?だって、アリスゲームのルールに従うなら…」

翠星石「ん?まだ状況が分かってねーですか?ニブイヤローですね。だから、翠星石はそのアリスゲームをしねーってことですよ」

金糸雀「…アリスゲームをしない?」

翠星石「何度も言わせんなですぅ。とにかく、翠星石は攻撃する気はねーですから、金糸雀も大人しく…」

金糸雀「……」

翠星石「……?どうしたですか、ピーチクパーチクうるさかったのに突然黙って…」
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:13:43.12 ID:K2vZ0huD0
金糸雀「それは、これから先もずうっとしないということなのかしら」

翠星石「え?まあそうですけど」

金糸雀「…個人の感情で、それが許されるものなのかしら。だってアリスゲームは、お父様が決めたことなのよ」

翠星石「…」

金糸雀「姉妹で闘い、最後に生き残った一人が至高の乙女、アリスになる。そう義務づけられて生まれてきたのが私たちローゼンメイデン…」

金糸雀「…いえ、義務づけられたでは少し違う…正確に、使い古された言葉で言うなら…それが運命、なのかしら」

平沢進「……」

金糸雀「「アリスゲームをしない」ってカンタンな事のように言ったけど…運命に抗うということは個人が思っただけでどうにかなるものじゃないのかしら」
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:14:51.28 ID:K2vZ0huD0
翠星石「…んなこと分かってるです」

金糸雀「いいえ、分かってないのかしら。第一、アリスゲームを止めてどうするのかしら?私たちにとって、戦うことが生きること。生きることをやめて…時の流れに身をまかせるつもり?ただの人形として?」

翠星石「っ……」

金糸雀「ほら、応えられないのかしら。お茶会をする為に生まれてきたのならそれもアリかもしれないけど、私たちは薔薇乙女。薔薇乙女の本分を捨てることを、あなたに肯定できるだけの理由がある?」

翠星石「…もちろんあるです。翠星石はケンカがきらいです。姉妹で傷つけ合うなんて真っ平御免ですぅ。だから戦わないんです!」

金糸雀「それはただのワガママなのかしら、翠星石。ちゃんとした理由なんかじゃ…」
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:15:43.57 ID:K2vZ0huD0
翠星石「んなことねーです!ちゃんとした理由ですぅ!戦いたくないから戦わない、それのどこが悪いんですか!」

金糸雀「真っ平御免でもしたくなくても、すべきことというのがあるのかしら。すべきことから、嫌だという理由で目を背けることが正しいわけがないのかしら!」

翠星石「むっ…ぐ……」

平沢進「ワガママなのは確かに同意」

翠星石「っ……ヒラサワまで…」

平沢進「何故悄気る。自ら我がままの道を選んだのなら他人に文句を言われようと気にかける必要はあるまい」

金糸雀「…?」
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:16:44.33 ID:K2vZ0huD0
平沢進「この監視社会において群衆を尻目に脇道に逸れれば、「正道に戻るべし」と窘められるのは当然。その当然を前提とすれば我儘という他評を気に病む無意味さが分かるはずだが」

翠星石「!」

翠星石「…そうです。翠星石は遊びや気の迷いでアリスゲームを止めると言ってるんじゃねーんです。これは翠星石の本気のワガママなんですぅ!金糸雀がなんと言おうと、運命だろうがなんだろうが変えるつもりはねーですよ!」

金糸雀「……そう。じゃあ、話してもラチが開かないのかしら。考えが真っ向から違うんだもの」

翠星石「ふん。それはコッチのセリフですぅ。…水銀燈みたいなことを金糸雀が言うとは思わなかったです」

金糸雀「…水銀燈がアリスゲームに打ち込んでいるのは、言い換えればローゼンメイデンのすべきことに最もまっすぐに向き合っているということなのかしら。愛か憎しみかで向き合っているのかは分からないけど」
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:22:27.02 ID:K2vZ0huD0
翠星石「そんなの、ただ闘いたいから暴れてるだけですよ。あのキョーアクな顔を見れば分かるです」

金糸雀「ホントに?翠星石、アナタは水銀燈のことをほとんど知らないでしょう」

翠星石「…それは確かにそうですけど。でも、あんな好戦的な顔やセリフを聞きゃあ分かるにきまって…」

金糸雀「表情や話す言葉だけで、人は測れないものかしら。誰にだって、人には話せない秘め事があるんだから。互いに心の内に誰にも見せない何かを抱えて…その上でみんなお互いにため息をつくのよ。誰も自分をわかってくれないって」

金糸雀「…あなたも、そういう経験ないのかしら?双子の蒼星石ですら、全てのことを知ってもらっているわけでもないし、全てのことを知っているわけでもない。…そうじゃないの?」

翠星石「……」
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:23:53.59 ID:K2vZ0huD0
金糸雀「こほん。話が逸れた上に長話になったわね。じゃあ…今日はお邪魔したのかしら。今回は翠星石が攻撃してこなかったし、それなのにこっちから攻撃するのは道義にもとるからアリスゲームはやめておくのかしら」

金糸雀「でも、カナはアリスゲームを放棄したりしないのかしら。少なくとも今のカナには、どんな事情だって、アリスゲームをやめる理由になるとは思えないから」

翠星石「……」

金糸雀「じゃあ…」

平沢進「はいこれ。失せ物」

金糸雀「あ!…ありがとなのかしら。えっと…」
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:27:08.31 ID:K2vZ0huD0
平沢進「私は平沢進だ。平沢唯じゃない」

金糸雀「…自己紹介がまだだったのかしら。カナは…私は、薔薇乙女第二ドール金糸雀。…では、さよな」

平沢進「じゃ、またこんど」

金糸雀「!っと……」

翠星石「………………」

翠星石「………またです」ボソッ

金糸雀「……またこんど、なのかしら」タッタッタッ…
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:28:53.75 ID:K2vZ0huD0
翠星石「……」

平沢進「……」

翠星石「……ふぅ〜っ。金糸雀も中々強情なヤローですぅ」

平沢進「しかし鳥類人形にも理はある」

翠星石「…ま、そうですね。とりあえず、あのボーッとした金糸雀から本音が聞けただけよしとしますか。アリスゲームに賛成するドールがいるのもそりゃ当然ですし。どっちかといえばこっちがヘンなんですから」

平沢進「ワガママな三男坊ならぬ三女をもってお父様とやらも霊体の頭蓋を抱えていることだろう」

翠星石「……そうでしょうか。やっぱり翠星石のやってることって、お父様に逆らうことなんでしょうか…」
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:29:51.97 ID:K2vZ0huD0
平沢進「まあ、統計的手法に尋ねれば子は親に逆らうものらしいので。別段気にすることでもないのでは」

翠星石「ん…まあ、そうですかね…」

平沢進「……」

翠星石「……ねえ、ヒラサワ。ヒラサワは、運命ってのがホントにあると思うです?」

平沢進「さあ。運命というものは映画か歴史か小説の中にはリアルとして存在するが、現実に観測されたことは無く。観測出来ぬものについては「そんなもの無い派」と「そういうの有る派」が必ず闘争を始め、そしてそれに終わりはない」

翠星石「えっと、つまり…そういうの気にしても仕方ないってことです?」
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:30:31.60 ID:K2vZ0huD0
平沢進「世のすべての難問に対し「可」の成績を残すような回答をされてはお手上げ」

翠星石「む…ふーんだ!別に「可」で上等ですぅ!難問を無理に解こうとしてあーだこーだ路頭に迷うより、えーいって突っ走っちゃったほうが正しいこともあるんです、きっと!ウンメーだのテンメーだのでくよくよしてたら何事も始まらんです!」

平沢進「なるほど。威力的な理屈だが論理破綻を起こしているわけでもない。翠の人形にしては高度」

翠星石「……それって褒めてます?」

平沢進「現行の日本語では伝わらなかった?では…論理が中々退いておられる。これでお分かり?」

翠星石「そっちじゃもっとワカンネーですぅ!もっと素直に褒め言葉を使いやがれです!」
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:31:27.96 ID:K2vZ0huD0
平沢進「褒め言葉まで強請始めるとは。強要して手に入れることで価値の下落するものを求める様は、退き具合が足りていないと言わざるを得ない」

翠星石「はあ?退くのが足りてない…あーもう!頭がしっちゃかめっちゃかにこんがらがっちまうですぅ!ほら、頭使ってお腹減ったのでご飯にするですよ!今日は野菜でガマンしてやるですからとっとと作るです!」

平沢進「何がガマンだ。私は苦慮の末に野菜を選んでいる訳ではない。どちらかといえば粗食の範疇を超えかけている糖分過多菓子類のほうが…」

翠星石「はいはい!そんなに欲しいなら昼もスコーンかベーグルを焼いてやるです!翠星石もちょうど食べたかったとこですしね!」ヒューン

平沢進「………人形に言葉が通じないのは元よりだが、一度通じてしまうと常に通じるべきと望んでしまうのが慣れというものの恐ろしさ」

平沢進「………」

平沢進「しかし、薔薇人形が戦うために作られたのならば、何故戦いを拒む系人形と戦いを好む系人形に分かれるのだろうか。…それが作り手の趣味だと言うならそれまでだが」スタスタ
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/08(火) 20:32:55.41 ID:K2vZ0huD0
短くて恐縮です
何か五月病的風土病に罹った気がします
御意見御質問御批判御自由にお願いします
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/09(水) 13:43:23.23 ID:1QxL28jz0
5月病だわー、
おつ
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/16(水) 08:07:08.81 ID:yuGGXJSVO
待ってるから気長に書きたまえよ
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/21(月) 14:52:33.24 ID:C8AfUWCp0
のんびりでもまっておりますので。
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:38:20.45 ID:RuCWqfrR0
金糸雀「………」

ピチカート「………」

金糸雀「……あーもうっ!!カナのバカバカバカっ!」ポカポカ

ピチカート「?」チカチカ

金糸雀「あっ、驚かせてゴメンなのかしら。…はぁ」

ピチカート「…」

金糸雀「さっきはアリスゲームの話になったからつい熱くなっちゃったけど…あんなふうに辛辣に言うことなかったのに。カナだってアリスゲームを全面肯定してるわけじゃないんだから、もっと素直におしゃべり出来てれば…はぁ〜……」
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:39:11.35 ID:RuCWqfrR0
金糸雀「翠星石、絶対怒ってるのかしら。たぶん歌手さんも…どうしよう…こんなことになったら、流石に庭に隠れて音楽を聴くなんて出来ないかも…」

金糸雀「でも、カナの思ってたことを言っただけなんだし、別に後悔する必要なんて…でも、もう少し言い方があったかもだし…ん〜」

ピチカート「……」チカチカ

金糸雀「!…まあ、そうね。過ぎたことを気にしても仕方ないのかしら。ほとぼりが冷めたころを見計らってこーっそり庭に近づけば、多分大丈夫…なハズ!またこんどって一応は言ってもらえたんだし!レッツポジティブシンキングなのかしら!」

金糸雀「じゃ、とにかく一旦帰るのかしら!髪飾りが見つかったことをみっちゃんに報告して、安心させてあげないとね!さ、ピチカート、急ぐのかしら!」

ピチカート「…」チカ
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:40:31.10 ID:RuCWqfrR0
ーあろるの館ー

翠星石「…あ!そういえば、結局金糸雀がホントにアリスゲームと落し物の為だけに来たのか分からなかったです。問い詰めた時、なんか怪しいカンジだったのでやっばり他に理由がありそうな気がしたんですが…翠星石の名探偵の勘がビビッと反応したんですけどねぇ」

平沢進「勘を指標に物事を決定づけられるのは小説内の警察かその真似事に従ずる人物だけなので。証拠が無い以上状況証拠で類推せざるを得ないため、確信を持つべきではない」

翠星石「えー?でも、さっきヒラサワは金糸雀の侵入にはアリスゲーム以外の理由がありそうって言ってたじゃねーですか」

平沢進「あくまで可能性の話なので。ただしその可能性を捨て去れと強要するつもりもなく」

翠星石「ふーん、そうですか。…まあ、あんだけ真剣に語られた後だと、ホントにアリスゲームの為だけに来たってことも十分考えられる気がしますしね…取り敢えずアタマの中に、他の理由もあるかもって残しとくだけにしますか」
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:41:42.21 ID:RuCWqfrR0
翠星石「さて…金糸雀はアリスゲームに賛成ってことで、水銀燈と合わせて賛成派が二人、雛苺と真紅の反対派が二人ですか…。そこに翠星石を入れたにしても、戦力的に二つに分かれましたね…」

平沢進「蒼の人形は如何に?」

翠星石「……………そりゃあもちろん!アリスゲームに反対に決まってるですよ!本人に聞くまでもねーです!」

平沢進「長すぎる沈黙が自身の言葉を疑わしく思う胸中を雄弁に物語る。蒼の人形は翠の人形と正反対であるし、そこにも確信が持てないのでは」

翠星石「う…………まあ…でも!翠星石が話せば絶対分かってくれるハズですぅ。だから蒼星石はアリスゲームに反対で決定!これで四対二ですぅ!いくら水銀燈がキョーアクで金糸雀がそれなりに厄介だとしても、これだけ居れば…」
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:43:49.63 ID:RuCWqfrR0
平沢進「あ、そう。しかしあと一体の無名人形が公式に含まれていないようだが」

翠星石「あー、第七ドールは…その、一度も会ったことないのでどういう考えなのかさっぱり分からねーんですぅ。ま、未知数って感じですね。でも、ソイツがアリスゲームに賛成する側についたとしても、こっちがまだ数で優るです!…うんうん、今回の戦、もう勝ちが見えてきましたね!」

平沢進「捕らぬ狸の皮算方式を採用した敗北シーケンスの起動をここまで堂々と行うとは。最早呆れの範疇を越え憐れみさえ覚える」

翠星石「む…だって、こっちが有利なのは事実なんですからいーじゃねーですか!」

平沢進「歴史に学べば、兵力は一要素に過ぎぬ事を知るはずだが。ただ薄ぼんやりと数世紀を過ごしてきただけのとある人形には得がたい知恵かもしれないが」

翠星石「な、なぁっ!?薄ぼんやりなんかしてねーです!翠星石はどんな人間よりも濃厚な年月を送ってきてるです!」
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:44:41.69 ID:RuCWqfrR0
平沢進「冗談はさておき。「冗談じゃねーです!」うるさい。ヒラサワは人形と話すことで精神の安定を図る系統の人種ではない。そのため朝から庭での金切音人形芝居を観たことで残業週80時間の従業員のごとき極度の疲労に強襲を受けている」

翠星石「へ?そんな無表情で言われても説得力がねーですぅ」

平沢進「元より分からず屋人形を説得する気は無い。というわけでヒラサワは翠と人形に染色されたあろるの館より一時逃亡し、多様性の摂取に向かう」

翠星石「多様性の摂取…?あ、つまり散歩ですか」

平沢進「保育器内で語られる喃語レベルの簡易な人形語に訳すと、そう」

翠星石「なっ!翠星石は赤ん坊じゃねーです!ばぶばぶ言うのは雛苺で十分です!」

平沢進「人形の喃語は最早鳴き声とそう変わりない。理解し難い囀りを耳にしつつもヒラサワは多様性の観点からこれを排除すべきではないとの心的啓示を受け、無言でその場を後にする」
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:45:27.10 ID:RuCWqfrR0
翠星石「む〜っ!また言葉が通じないフリして…!ふーんだ、もーいいです!そっちがそのつもりなら…」

翠星石「こほん。…あれぇーおかしいですぅー翠星石も今から突然ヒラサワ語がわかんなくなったですぅー。ヒラサワ、さっきから一体何を言ってるですかぁ?翠星石には読唇術の心得が無いので一切合切サッパリ分からねーです!良くわかんねーので掃除の時そのへんのキケンブツに触っちまうかもですぅ!」

平沢進「奇っ怪な囀りを目の当たりにし、ヒラサワは一抹の危惧に駆られる。喃語人形による有機ポルターガイスト現象が起きれば、ヒラサワは不本意ながら有機お祓いを清浄屋に通告しなくてはならない。そんなことになれば、まずそこに放られたどこぞの故知らぬ骨董鞄など、真っ先に質屋に投げ込まれることになろう」

翠星石「ちょ、ちょっと!!…あー!翠星石の突発性ナンチョーがとつぜん治ったですぅ!ヒラサワ、散歩行ってらっしゃいですぅ!掃除と水遣りはやっとくですし、ヒラサワの大事なものには指一本触れねーので安心して行って来やがれです!」

平沢進「あ、そう。では」

翠星石「いってらしゃいですぅ!」
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:46:19.52 ID:RuCWqfrR0
翠星石「……はあ。何だかいっつもヒラサワには言い負かされてる気がするです。この手八丁口八丁の才色兼備の翠星石が、こうもカンタンにあしらわれるなんて…」

翠星石「まあ、翠星石が言い負かす相手はチビ苺とか金糸雀とかグレードの低いヤツばっかですからね…。練習相手が弱くちゃ、いくら勝っても強いヤツには勝てねーです。こんど真紅とか蒼星石とかを相手にやってみるですかね…」

翠星石「んじゃ、気を取り直してっと。掃除と水やりの開始ですぅ!ほら、そこのストーン、今日はヤシの木の脇に飾ってやるですよ。南国気分をしっぽり味わうがいいです!」

ストーン「…………」

翠星石「よしよし、そこで大人しくしとくですよ。さて、えーと、箒とちりとりはどこにしまったでしたっけ…」

チカチカ

翠星石「…ん?」
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:47:04.24 ID:RuCWqfrR0
翠星石「ありゃ、パソコンがつけっぱなしですぅ。まったく、この節電が叫ばれる世の中で罪なことをするもんですぅ!」

翠星石「この翠星石が代わりに切っといてやるですよ。えっと…えっと?電源ボタンはどれでしょうか…これ?」ポチ

翠星石「うわぁあっ!?画面が真っ青になったですぅ!どうしたですか、気分が悪くなったですか?ど、どうしましょう、パソコンを病気にしちまったらヒラサワは真っ赤になって怒るに決まってるですぅ!うーんと…」カタカタ

翠星石「…何も反応しないです……」

翠星石「え、ええいままよですぅ!ほらほら、直るです、直るですぅ!」カタカタカタカタ

♪…♪…

翠星石「んあ?な、何か音楽が流れ始めたです!?まさかこれが辞世の句って奴ですか!?ぱ、ぱそこん!まだ逝くには早いですぅ、三途の川から戻ってきてですぅ!」カタカタカタ
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:47:48.56 ID:RuCWqfrR0
ガタッ!

翠星石「どわぁっ!?……!!!…お、終わったです…ぱそこんの中の大切な何かが折れた音がしたです……」

翠星石「ど、どうすればいいですか…今回は部屋に水を撒いちゃったのとはワケが違うですよ…流石にヒラサワも許してくれないかも……」ドヨーン…

「……こほん」

翠星石「修正テープとか貼れば直らないですかね…バンドエイドとか消毒液もあるんですが…無理ですよね…」

「…こほん!」

翠星石「うわっ!?な、何ですか?ま、まさかヒラサワがさっき言ってたポルターガイスト!?す、翠星石を食べても美味しくないですぅ!た、食べるならそこのストーンにするです!鉄分たっぷりな上にヘルシーですからっ!」ガバッ

ストーン「………」

「…僕はポルターガイストじゃないし、そのパソコンも壊れてないと思うよ」

翠星石「え?ホントですか!?よかった…って………あれ?その声…」バッ

蒼星石「……久しぶりだね、翠星石」

♪……♪…
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:49:40.36 ID:RuCWqfrR0
https://youtu.be/d9Aet_MGUaI

♪Welcome P-MODEL(平沢進) 1995

(サバイ ディー ルー!!)
Welcome to the sphere 開けましょうか
根源の園のドアをば
Welcome to the sphere 腰掛けて
電源のそばのシートへ
遥か僻地のグルを連れて
普通の人が寝てる隙に

Welcome to the sphere 見せましょうか
現象の花の秘密を
Welcome to the sphere 落ちついて
懸賞の札をなくさず
明日は電子の船をこいで
普通の人が寝てる隙に

Welcome to Welcome to〈Welcome to the global village〉
Welcome to Welcome to〈Welcome to the global village〉
Welcome to Welcome to〈Welcome to the global village〉
Welcome to Welcome to〈Welcome to the global village〉

Welcome to the sphere 開けましょうか
根源の園のドアをば
Welcome to the sphere 腰掛けて
電源のそばのシートへ
遥か僻地のグルを連れて
普通の人が寝てる隙に

Welcome to Welcome to〈Welcome to the global village〉
Welcome to Welcome to〈Welcome to the global village〉
Welcome to Welcome to〈Welcome to the global village〉
Welcome to Welcome to〈Welcome to the global village〉
Welcome to Welcome to〈Welcome to the global village〉
Welcome to Welcome to〈Welcome to the global village〉
Welcome to Welcome to〈Welcome to the global village〉
Welcome to Welcome to〈Welcome to the global village〉
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:51:55.70 ID:RuCWqfrR0
平沢進「…………」スタスタ

平沢進「………」

平沢進「あ。あんなところに正体不明の洋風屋敷が。薔薇園が当然の顔で付属しているとはまた豪勢な」

平沢進「…薔薇とは近頃常ならぬ因縁がある。見えない糸を見えると信ずるほどにロマンチストではないが、薔薇をただ眺める程度ならしてみてもいいかもしれない」

平沢進「…………」スタスタ

平沢進「ははあ。近場で眺めるとこれまた壮観な。余程ロマンチストな金の縁者が住居としているのだろうか。これほどの物量、維持するにも手間と手間代がかかるはず」

平沢進「…………」

「………」

「…それほどそこの薔薇園が気になりますかな?」
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:53:21.47 ID:RuCWqfrR0
平沢進「はい?はあ、まあ」

お爺さん「ほほう!それは結構なことで。最近は花というものに興味関心を持つ人があまりおりませんでな。まったくけしからんことです」

平沢進「で、あなたはどちら様で」

お爺さん「おっと!これは失礼、儂は毎日この辺りを散歩道にしておる年寄りです。散歩の途中によくこの薔薇園を眺めるのですが、今日は先客のあなたが居ましたので、興味深く思って話しかけた次第です。ご迷惑でしたかな?」

平沢進「いや、別に」

お爺さん「それは良かった。では少し話しませんか。…花がお好きなのですかな?」

平沢進「好悪の感情を持っているかは生育環境により異なるので応えられませんが、多少の興味は。花は咲く場所を選ぼうとも選ばずとも、損なわれぬものを持つのが特色なので。そこが仕事に少々の関連性がある為に」
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:54:26.59 ID:RuCWqfrR0
お爺さん「ほうほう。…お仕事とは、芸術の類ですかな。たしかに花には、このように場所を誂えずとも変わらぬ美しさや健気さがあります。しかし、薔薇は他の花々とは一味違いますぞ」

平沢進「へえ。なんでしょう」

お爺さん「それはですね、「トゲ」があるということです」

平沢進「…………」

お爺さん「おやおや、そう『何を分かりきったことを』という表情をされずとも」

平沢進「いや。これは『何か興味深い事物が聞けると有難いが』という顔です」

お爺さん「おや、それは失敬。ではその期待に添えるよう、意気込んで話しましょうかな。…こほん」
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/25(金) 23:56:19.14 ID:RuCWqfrR0
お爺さん「トゲがなぜ付いているかはご存知ですかな。虫や動物から身を守る刃物…だと世間一般ではよく言われております」

平沢進「……」

お爺さん「しかし、あのトゲの大きさでは虫に相対するには大きすぎる。実際虫たちは、あのトゲを気にもせず枝の上を行き来しとります。つまり、虫を防御するために発達したものとは言い難い」

平沢進「ふむ」

お爺さん「トゲが身を守る為についている、というものは人の推測に過ぎないそうです。まあ実際、野薔薇が他の植物に比べ動物には食べられにくいのではないか、という予測は正しいだろうとされております。ただ、予測は予測です」

お爺さん「他にも推論はあります。例えばトゲが薔薇の茎の生育を促すだの、トゲで他のものに引っかかり、陽に近い場所へと動きやすくするためだの…」

お爺さん「しかし、これらは全て机上の答えに過ぎんのです。明白な理屈はまだ分かっていない。…どうです?なかなかミステリアスで面白いでしょう」
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/26(土) 00:05:05.22 ID:I8LyTokO0
平沢進「ははあ」

お爺さん「…おほん!そこまで興味深くは思っていただけなかったようですな。ただ、そのミステリアスさが、薔薇の花により味わいを齎しておるのですぞ。トゲのある女は美しい…という言葉のように、ただ痛いだけでなく、トゲに隠された謎があるからこそ、花の美しさが際立つのです」

平沢進「へえ。まあ、ただ害があるのみならば、人の手が加わった手前消滅していておかしくないもの。それが残るのには、植物の生育そのものとヒトの個人的な利益に纏わる理由があるかということになりますか」

お爺さん「…ほう。花に詳しいというのは本当のようですな。植物の生育に関わるためという推論は論じましたが…トゲを残すことで得るヒトの利益とはなんです?」

平沢進「はあ。薔薇園とは遥か以前より、金に縁のある者達により運営されてきたものでした。そして、彼らは交配という科学の行使で、あらゆる新種を生み出す力があった。トゲの消滅を目論むのに暇も金も十分にあったことでしょう」

お爺さん「ふむ」
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/26(土) 00:11:05.54 ID:I8LyTokO0
平沢進「それをスルーしたのはもちろん倫理や慈愛の為でなく。トゲは金持ちに都合が良いからでありまして。金持ちには、薔薇の花に寄る虫のごとく、切ってきれぬ仲の仕事人が居りました。現代での名を盗っ人と」

お爺さん「…ははっははは!なるほど、泥棒から家を守るのに役立つということですか!トゲとは薔薇だけでなく、財産までも守るものなのですな。そう思うとまた、薔薇を見る目が変わるというものです。ただ…」

お爺さん「人に都合のいい部分は残され、違う色を観るために交配は重ねられるとは…薔薇には気持ちなど無いでしょうが、あんまりな仕打ちですな」

お爺さん「遥か昔より人に寄り添うものとは、ただ寄り添っているままでは居られんのですな。人に都合のいいように…。動物も植物も、その影響からは逃れられないのでしょうか」

平沢進「まあ。それが人の世の常なので」
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/26(土) 00:12:41.39 ID:I8LyTokO0
更新遅れてホントすみません…
何か薔薇についてはそこまで自信が無いです…
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 10:39:17.85 ID:GJRz9FwUO
スレタイ二度見したわ
平沢とドールって分からなくもない組み合わせだけどもマジか
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 11:17:16.73 ID:DFzAoDjro
乙乙
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/30(水) 04:39:13.36 ID:gWDROoQB0
いまみた、おつ
言い負かされる翠星石かわいい
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:12:12.78 ID:yEb0tPq50
♪…♪…

蒼星石「ここを押せば止まると思うよ。あと、青い背景はこのウィンドウが開いてしまってるだけだよ」カタカタ

ピ…

翠星石「お…おぉー!流石は蒼星石ですぅ!ぱそこんをあれよという間にカタカタっターンッ!と操作しちまうなんて!ピコピコした音楽も止まって何よりですぅ。英語があんだけあると翠星石は頭痛が痛くなっちまうですよ」

蒼星石「あれもヒラサワさんの曲かな。根源の園っていうのは…ネットワークのこと?でも、現象の花の秘密っていうのはなんだろう?」

翠星石「あ、こら、蒼星石!ヒラサワの歌の歌詞なんて真面目に考えたら頭がショートしちまうですよ!せっかく遊びに来たのに、すぐプシューってなっちまったら翠星石とお話が出来ねーじゃねーですか、まったくもう!」

蒼星石「…うん。そうだね」
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:12:56.82 ID:yEb0tPq50
翠星石「ほら、ヒラサワの曲は置いといて…とにかく久しぶりですねぇ蒼星石!元気してたですか?翠星石はあの後心配で夜しかぐっすり眠れなかったんですよ?」

翠星石「今日は…あ!Nのフィールドを通って来たですね。もう、普通に玄関でピンポンを押せばいいのに。入口のアレはドアの形した装飾品とかじゃねーんですから」

蒼星石「…翠星石、話があるんだ」

翠星石「ん?何ですか?…もしかしてあの悩み事についてですか?やっと相談してくれる気になったですか!まったく、待ちくたびれたですよ!ほらほら、んじゃさっそくまるっと話して見せるです!このお姉さんの翠星石が何でもかんでもバシッと解決してやるですからね!」

蒼星石「いや、それはもういいんだ。答えは自分で出したから」

翠星石「え?…そ、そうですか!流石は蒼星石ですぅ!あんなに困ってたことを一人で解決しちまったんですね!いやー翠星石も鼻高々ですぅ。…でもでも、少しくらい翠星石に相談してくれてもよかったと思うんですけど…」
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:14:32.44 ID:yEb0tPq50
蒼星石「うん、ごめん。その代わりと言ったらなんだけど、今日はその答えについて話をしに来たんだ」

翠星石「?…あ、なるほど!悩み事の解決までの一切合切を翠星石に教えてくれるってことですね。しょうがねーですねぇ、くっきりはっきり聞いてやるです。さあ蒼星石、何でもかんでもこの翠星石に話しちまうですよ!」

蒼星石「…うん」

翠星石「ほらほら、遠慮しないで、ここ座って話すです。ヒラサワに内緒でこっそりお菓子でも出してやるですから!」

蒼星石「………僕とアリスゲームをしよう、翠星石」

翠星石「はいはい、アリスゲームですね。最近はみんなアリスゲームアリスゲームって、流行ってるですかその……」

翠星石「………」

翠星石「…………え?」
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:15:17.20 ID:yEb0tPq50
ー薔薇園前ー

お爺さん「こほん!教えるつもりが逆に教わってしまいましたなあ。やられっぱなしで帰すわけには行きません。まだお時間はよろしいですかな?」

平沢進「まあ」

お爺さん「では遠慮なく!花言葉というものはご存知ですな。薔薇は先程申された人工交配によって、現在4万種以上の品種が存在しております」

お爺さん「その一つ一つに言葉をつけていたら薔薇はこの世のあらゆるものを語る植物となれたかもしれませんが、あいにくとそうは行かない。薔薇の花言葉は、その花弁の色によって分けられております」

平沢進「……」

お爺さん「黒薔薇の…まあ、実際には暗い赤色の薔薇は「決して滅びることのない愛」。その真反対の白薔薇は「恋をするには若すぎる」」
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:15:53.73 ID:yEb0tPq50
平沢進「ははあ」

お爺さん「黄薔薇ならば愛情の薄らぎ…赤薔薇は愛情、美、情熱。薄紅薔薇ならばしとやか、上品…と言った具合です」

平沢進「なるほど。血液型占い並に当てになりそうも無い指標で。…特に薄紅がしとやかとはもってのほか」

お爺さん「はは!中々手厳しいですな。…とにかく、色に関わらず薔薇に喩えられるのは、愛や気品。言葉にし難い美しさを物言わぬものに託したわけですな。喋らぬものとは口先から美しさが漏れ出す心配が無いので、綺麗な言葉を背負わすに相応しいのでしょうかな」

平沢進「はあ。人の背負うべきものを花に肩代わりさせるとは。中々人は種族として責任転嫁の能力が高い模様で。あらゆる災害を神に背負わせ運命に罪着せ、人の作り出した罪は科学に背負わせ。それほど原罪を背負って死ぬのが怖いのでありましょうか」
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:16:52.11 ID:yEb0tPq50
お爺さん「ほう……確かに、人の生み出した言葉を花に着せるのは、無責任と言えるかもしれませんな。…ではその中でも特に有名なものについてをば。青い薔薇というものがあります」

平沢進「………」

お爺さん「少し前流行ったのでこれは誰でも知っているでしょう。人工的に生み出された新しい色…これの花言葉には「不可能」「夢が叶う」「神の祝福」など…花にも人にも背負わせるには少々重い言葉が並びます」

平沢進「責任どころか理想までもを転嫁させたと。それは青い薔薇もさぞ息苦しいことでしょう」

お爺さん「……そうかもしれませんな。ただ、こうして花言葉について話したのは、薔薇とはただ美しいものとして存在するわけではないということを伝えたかったからです」

お爺さん「移り変わる色の中に、愛の良い面以外のものも共に載せる。美しさに伴う困難や失望をも身に宿らせるものが薔薇なのですよ。…当の薔薇がそこに気がついているかは分かりませんがね」
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:17:37.67 ID:yEb0tPq50
平沢進「へえ。…薔薇を他の花種に置き換えても成立する公式でもあるような」

お爺さん「う…まあ、確かに。薔薇以外の花にもかなり共通するものだったかも知れません。…元より、ただ美しいだけの花などないのかもしれませんな」

平沢進「そのようにグロテスクな存在は、土も人も生むことは難しいかと。人は理想の中に完璧な美しさを語るものの、それは実在に適応した際ただの騙りと成り下がるもので」

平沢進「理想気体の公式に従い、美しいものを秤にかけ、不純さを洗い流し、雑多さを摘み取り、ようやく疲労困憊の美一滴を絞り出そうと、水滴として足元に落ちた時、既に無色透明でいられぬものかと。それが実在気体に囚われるモノの宿命」
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:18:09.17 ID:yEb0tPq50
お爺さん「……ほお。…それは面白い。完璧な美しさはこの世に理想としてしか存在しない。しかし、人は花あるいは何かに、その理想を見出し現実として生み出そうとする…生み出せる筈もないと頭では分かっているはずなのに」

平沢進「…」

お爺さん「…ボケ防止のタネに考える議題としては、大変意義あるものかもですな」

平沢進「それはどうも。認知機能の出力低下をステルスが食い止めるとは皮肉だが、実益が齎されたのならば結構なこと」
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:19:24.03 ID:yEb0tPq50
ーあろるの館ー

翠星石「…もう!蒼星石ったら!エイプリルフールはとっくに終わってるですよ?」

蒼星石「翠星石。…僕は冗談も嘘も好きじゃない」

翠星石「っ………」

翠星石「…それは知ってるですよ。言ってみただけです。翠星石は、蒼星石のお姉さんなんですから」

蒼星石「……そうだね」

翠星石「じゃあ……その理由を、聞こーじゃねーですか」

蒼星石「僕らはアリスになるべくして生まれたんだ。理由なんて探す必要すらないよ」
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:19:56.06 ID:yEb0tPq50
翠星石「っ…でも!翠星石と蒼星石は双子じゃねーですか!昔からずっと一緒の…」

蒼星石「双子である前に、僕達はローゼンメイデンだよ」

翠星石「そ、そんな鶏が先か卵が先かみたいな事言われても翠星石には分からんですぅ!蒼星石!ローゼンメイデンだから戦うっていうなら何で今まで戦わなかったんですか!?」

蒼星石「……」

翠星石「ホントの理由はなんなんです?翠星石に教えるですよ!まさか、蒼星石のマスターが何か良からぬことを吹き込んで…」

蒼星石「マスターの事を悪く言うのは許さないよ、翠星石。それに僕だって、誰かに簡単にアリスゲームについて言いくるめられるほど子供じゃない」
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:20:35.72 ID:yEb0tPq50
翠星石「っ…じゃあ、何で!?急にアリスゲームをする決心がついたのは一体…」

蒼星石「君にも、多少なり察しがついてるんじゃないのかい?」

翠星石「……………」

翠星石「…蒼星石の悩み事に心当たりなんてねーです。あったら翠星石だって真っ先に話してるですぅ。…だけど」

蒼星石「……」

翠星石「一つだけ、頭に引っかかってることがあったです。それは関係無いことだと思って……思いたかったですけど」

翠星石「ずっとずっと昔に…言ってましたね。翠星石と蒼星石は、二人で一人。それが、本当にいい事なのかって…」
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:21:44.87 ID:yEb0tPq50
蒼星石「…そう。僕らの能力は、二つで一つ。庭師の如雨露は心の樹を育てることが出来るし、庭師の鋏はその成長を邪魔するものを切払うことが出来る。そして互いに、夢の扉を開くことも。でも、本当の能力を使うには、片方だけじゃ足りない」

蒼星石「能力だけじゃない。僕らは、ローゼンメイデンとして目覚める時も眠る時も一緒だし、契約する人も同じだった。…今回までは、だけど」

翠星石「……し、真の能力が凄いのは、二人で協力して出来る能力だからですよ。一人より二人なら、より強くなるのは当然ですぅ。…それに、マスターが同じなのは、翠星石と蒼星石の仲が良くて、離れたくなかったから…」

蒼星石「協力といえば耳触りはいいよ。それが努力によって生まれたものならね。でも、僕らが生まれた時からこの能力はあったし、手放したり拒んだり出来るものじゃなかった。…それに、離れたくなかったというのは、ちょっと違う…」

蒼星石「僕たちは、離れられなかったんだ。能力も、精神も、あまりに互いに依存していたから」
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:23:21.00 ID:yEb0tPq50
翠星石「…………」

蒼星石「ローゼンメイデンは皆不完全だけれど、僕らはその中でも際立ってる。僕らは互いに背中合わせで、一人がいなくなったらたちまち後ろに倒れてしまう。足場が無ければ立つことも出来ない、本当の人形みたいに」

翠星石「…それが何だって言うんですか。だったら、ずっと一緒に支え合えばいいだけですぅ!な、何が不満なんですか蒼星石!翠星石は、そりゃあ出来たお姉さんじゃねーかもしれねーですけど、悪いとこがあるなら口で言ってくれればいいじゃねーですか!そしたら翠星石も頑張って直すですから!」

蒼星石「ずっと支え合う…素敵な言葉だけど、僕はそれでいいと思わない。僕らは共生じゃなくて、共依存の関係なんだ。それは、赤の他人には綺麗なものに見えるかもしれないけど、本当はそんなものじゃない」

翠星石「……」
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:24:29.82 ID:yEb0tPq50
蒼星石「今回僕らは、マスターも、住む場所も、初めて別にしたね。君にとっては些細な気まぐれだったかもしれないけど、僕は、大切なことを確かめるためにこうしたんだよ。…それが何だか分かるかい?」

翠星石「そ、そんなの、分かるわけ………」

?初めて蒼星石抜きで闘った時、分かったのよねぇ?自分は一人じゃマトモに武器も振るえない…ジャンクだってこと?

?…二人はいつも一緒だったのに、何だか不思議な感じね?

翠星石「………」

蒼星石「…僕は一度、君の「水銀燈に襲われている」というウソを聞いて、助ける為にここに来たよね。でも、本来だったらルールに則るアリスゲームに手出しは無用の筈だ。だけど、僕は無視することが出来なかった」
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/03(日) 19:26:40.90 ID:yEb0tPq50
2重かっこが環境依存文字ってマジ…?
すみませんちょっと直します
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:28:17.19 ID:yEb0tPq50
蒼星石「今回僕らは、マスターも、住む場所も、初めて別にしたね。君にとっては些細な気まぐれだったかもしれないけど、僕は、大切なことを確かめるためにこうしたんだよ。…それが何か分かるかい?」

翠星石「そ、そんなの、分かるわけ………」

『初めて蒼星石抜きで闘った時、分かったのよねぇ?自分は一人じゃマトモに武器も振るえない…ジャンクだってこと』

『…二人はいつも一緒だったのに、何だか不思議な感じね』

翠星石「………」

蒼星石「…僕は、君の「水銀燈に襲われている」というウソを聞いて、助けに行ったよね。でも、本来だったらルールに則るアリスゲームに手出しは無用の筈だ。だけど、僕は無視することが出来なかった」
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:30:47.63 ID:yEb0tPq50
蒼星石「庭師として剪定をしている時も…ずっと、違和感がつきまとうんだ。それでやっと分かった。僕らは距離は離れることができても、本当に離れることは出来ないんだ。…悪い意味でね」

翠星石「……!」

『蒼星石と翠星石は、近くに居なくたって繋がってるんですから』

翠星石「そ!それは…き、絆で繋がってるから…」

蒼星石「絆と呪縛は僕らにとって同義語だよ」

翠星石「!…」

蒼星石「これは僕の戦いでもあるし、君の戦いでもある。翠星石、僕達はいい加減に、双子人形という鎖から解き放たれるべきだ。例えどちらかが倒れることになったとしても、それがローゼンメイデンとして生まれた僕たちがすべきことだよ」
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:31:49.38 ID:yEb0tPq50
翠星石「そんな…!…す、翠星石は…翠星石は…」

蒼星石「…話はこの辺りで終わりにしよう」

蒼星石「じゃあ、明日の午後三時にNのフィールドで待ってるから。それまでに心の整理をつけてほしい。翠星石…来てくれるね」タッ

翠星石「ま、待つです!蒼星石、もっと話を…!」

蒼星石「…さっき君は言ったね。悪いところがあるなら話して直せばいいって」

翠星石「そ、そうです!話し合いで解決すれば…!」

蒼星石「話す時間なら何世紀もあった。互いにこの問題には気づいてたはずだ。だけど、僕も君も話さなかった」

翠星石「……!」
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:32:40.43 ID:yEb0tPq50
蒼星石「それは…話し合いじゃ解決出来ないって、君にも心の底で分かっていたからじゃないのかい?」

翠星石「あ……」

蒼星石「…じゃあ、またね。翠星石」
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:34:06.43 ID:yEb0tPq50
ー薔薇園前ー

平沢進「あ、そういえば」

平沢進「他人の庭に難癖をつけるのは趣味ではありませんが、一つ、気になることが」

お爺さん「おや。…何かこの庭に欠点が?」

平沢進「はい。この薔薇園、剪定ばかりが『足りすぎている』。まるで、それを専業とする庭師のみ雇っているかのようですね」

お爺さん「………!」

平沢進「いや、剪定のあまり薔薇が痩せているという訳ではなく。ただただ他に比べ際立ち過ぎているということで。手間隙がかかればかかるほど怠っている場所が顕になるものですが、優れたものが目に付くとは珍しい」

お爺さん「………」
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:38:20.94 ID:yEb0tPq50
https://youtu.be/e1WvfA-St7Y
♪課題が見出される庭園 平沢進 2000

平沢進「主人が館に居るのなら、薔薇を称賛する次いでに物陰から硝酸瓶を投げるかのごとくそれについても問い掛けてみたいもの。一体何の要素が剪定にばかり舵を切ったのか と」

お爺さん「…いやはや、中々面白い意見を聞かせて頂きました。儂は長年の散歩道として慣れ親しんだ中で、そんなことにも気付かずお恥ずかしい限りです。なるほど、「足りない」ではなく「足りすぎている」とは…」

平沢進「……」

お爺さん「はて。長話になりましたな。余り長く散歩に時を費やすと、家の者が不安がるのでこのあたりで。散歩の時間がこれほど有意義なものになって、ありがたい限りです。…あと、館の主には薔薇についての問い掛けなどせんほうが良いですよ。最近、やたら気難しくなったとの評判ですからな」

平沢進「それはお気遣いどうも。では、またこんど」

お爺さん「…ええ、また」スタスタ…

平沢進「………」

平沢進「そういえば、緑の薔薇は存在しない。従って花言葉もなく。…通りで言論に従属しない人形な訳で」スタスタ
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:39:49.12 ID:yEb0tPq50
ーあろるの館ー

平沢進「多様性の摂取量凡そ800kcal。まあ、変温動物的に保存すれば多少の月日は耐え凌げよう」

翠星石「ひ、ヒラサワ…おかえりなさい…です」

平沢進「うわ。悄気返った翠の人形がお出迎えとは。明日は磁気嵐が吹き荒れる模様。で、この度は一体何を如雨露より出る退廃の水流により錆びさせたのか」

翠星石「ち、違うですよ…翠星石は今度は何にも失敗してないですぅ…」

平沢進「あ、そう。では突如躁鬱の鬱の方が電子頭脳の前頭前野を塗り潰したとかそういうこと」

翠星石「ん、んなことねーです!翠星石はいつでも元気いっぱいべりーきゅーとです!ハイテンションになったり落ち込んだりを繰り返してるわけじゃねーです!」
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:40:21.37 ID:yEb0tPq50
平沢進「しかし現状躁鬱としか診断できぬ病状だが。悪徳医者ならばSSRIの処方に踏み切るほど」

翠星石「えすえすあーるあい…?す、翠星石は横文字にあんま強くないんですからそういう略称は使わねーでほしいです!」

平沢進「何やら躁のほうが強まり始めた模様。これは重症。しかし人形の頭脳とは獣医学か細工技師かどちらの分野なのだろうか。このままでは救急にて窓口の電話番号を聞くことすら出来ず末期の水を飲ませる羽目に」

翠星石「なんで獣医さんが選択肢に入ってるですか!翠星石は動物じゃねーですぅ!…じゃなくて、ヒラサワ。実は、その…」

平沢進「はあ」

翠星石「さっき、蒼星石が来て…その……」

翠星石「……翠星石とアリスゲームをするって」
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:41:34.65 ID:yEb0tPq50
平沢進「へえ」

翠星石「翠星石がいろいろ話し掛けて止めさせようとしたんですが…もう決心が固まってたみたいで…」

翠星石「翠星石はお姉さん失格ですぅ。甘い気持ちでいて、蒼星石の決心に気付かずいたです…いや、問題には気づいてたはずだったのに、解決しようとしなかったです…」

平沢進「ふーん」

翠星石「…それで蒼星石は、明日の午後三時にNのフィールドで待ってるって…」

翠星石「あの子は真面目さんだから、一度言ったことはよっぽどの事がない限り曲げねーですぅ。だから、時間通りにNのフィールドに行ったら、必ずその場で戦いを始めるはずです」
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:42:07.93 ID:yEb0tPq50
翠星石「翠星石は頑張って話をもう一回しなきゃいけないですが、Nのフィールドじゃ待ち伏せもできねーですし…時間前に入って探してみたところで、蒼星石が現実世界からそこに来てなかったら探しようもねーですし…」

翠星石「蒼星石が誰をマスターにして、どこで何をしてるのかすら、翠星石は知らないんです……いつもはずっと一緒で、聞く必要すら無かったから…」

翠星石「翠星石はどうすればいいんでしょうか…」

平沢進「………」

平沢進「明日は出掛ける予定があるので。NだかSだかのフィールドに外征する時間はない」
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:43:15.58 ID:yEb0tPq50
翠星石「………どこに行くですか?」

平沢進「薔薇園」

翠星石「薔薇…?」

平沢進「そう。剪定が足りすぎ、百足らず様のビジネスプランに目を付けられかけている不良物件」

翠星石「剪定が足りすぎ…?……っ!」

翠星石「そ、蒼星石は「庭師の鋏」を持ってるです…!そういえばさっき、剪定をしてるって…!もしかしてヒラサワ、そこが蒼星石の居る場所だっていうんですか?」

平沢進「さあ。私はただ、百足らず様のお通りになる手筈の道筋を観測者として辿るだけ。そこに偶然蒼い薔薇の花弁が童話の道標のように並び落ちていようと、私の気にするところではない」
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:44:01.26 ID:yEb0tPq50
翠星石「…わ、分かったです!翠星石も着いてくです!」

平沢進「あ、そう」

翠星石「そ、そうと決まったら色々と準備するです!今回ばかりは、翠星石が、自分の力で解決しなきゃ…!」

平沢進「まあ、ご自由に気張ってください。遠足前の幼児のごとく、事前疲労を溜めすぎぬ程度に」
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/06/03(日) 19:45:55.25 ID:yEb0tPq50
ここまでです
矛盾とか多い気がするので良ければご指摘お願いします
あと投稿中にミスった時は無言で修正した方がいいんでしょうか?突然訂正の文が来ると読む気が削がれるとかでしたらこれからそうします。(本当はミスしなきゃいいんですが)
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/03(日) 19:53:28.67 ID:kyIG71kgo
乙乙
訂正箇所だけ指摘して訂正文は投稿しなくてもいいんじゃないかと個人的には思ってるけど
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/05(火) 12:19:36.26 ID:venLMrnWO
その方がいい感じですね!
次からそういう風にします
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/11(月) 22:28:00.57 ID:3wqJMsYi0
面白いぜ!
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/15(金) 09:47:20.10 ID:hswrhSZLO
まいて
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/18(月) 12:34:25.13 ID:co6+M3z3O
すみませんお待たせしてます…
今週末までには投稿出来ると思います
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 01:32:50.49 ID:sq5EP1Ov0
続きを待っている人がいるからね
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 20:11:40.20 ID:t/R3Zs/JO
おうタービンを回すんだよ
あくしろよ
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 15:51:29.17 ID:G6aaUqbAo
最近金星とBIGBROTHER脳内でヘビロテしすぎてやばい
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