幼馴染「ずっと前は好きだったよ」 男「えっ」

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161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 11:10:59.24 ID:PP5jm+Lm0
むむっ
162 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/05/21(月) 22:21:03.65 ID:ItSFrGZa0
生意気娘「男ってのはお前か?」

男「そうですけど……」

元気っ子「ああ、よかった。人違いだったらどうしようかと思ったよー」

男「……俺に何か?」

生意気娘「西高女子バスケ部の部長は知ってるな?」

男「……ああ、幼のこと?」

生意気娘「よ、呼び捨て!?」

元気っ子「これはかなり進んでいますなぁ……」

真面目っ子「は、ハレンチです!」

男「君たち、うぶすぎないか……?」
163 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/05/21(月) 22:22:17.57 ID:ItSFrGZa0
男「もしかして、幼の後輩?」

生意気娘「ああ、西高バスケ部の2年生だ」

男「そうか。君たちが……幼からよく話は聞いてるよ」

生意気娘「部長が、わたしたちのことを……?」

元気っ子「なんか、嬉しいね」

真面目っ子「ちなみに部長は私たちのことをなんて?」

男「……まるで戦隊ヒーローみたいだって」

アホレンジャー「えっ」
164 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/05/21(月) 22:23:57.70 ID:ItSFrGZa0
生意気娘「今度の日曜日に部長とデートするそうだな」

男「いや、買い物するだけで、デートってわけじゃ……」

生意気娘「あ?」ギロッ

男「……何でもありません」

真面目っ子「私たちがデートのサポートをさせていただきます」

男「サポート……?」

生意気娘「童貞のお前じゃ、部長を満足させられないだろ? わたしたちが協力してやるよ」

元気っ子「こらっ。いくらなんでも失礼だよ」

生意気娘「あ、ごめん……」

真面目っ子「処女は黙っててください」

無口っ子「……その体で処女とか……ウケる」

生意気娘「お、お前らだって処女だろ!?」

元気っ子「アタシも処女だよー」

男「あ、あの、話は……?」
165 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/05/21(月) 22:25:15.29 ID:ItSFrGZa0
真面目っ子「すみません。話が脱線してしまいました。とりあえず、デートプランを教えていただけますか?」

男「駅前のショッピングモールで買い物するくらいです」

生意気娘「何を買うんだ?」

真面目っ子「これだから時代遅れのヤンキーは」

生意気娘「ああ!? じゃあ、お前にはわかんのかよ!」

真面目っ子「二人は高校三年生ですよ? 購入するものなんて決まっているじゃないですか」

真面目っ子「参考書を買いに行くのですよ」

男「違います」
166 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/05/21(月) 22:27:00.31 ID:ItSFrGZa0
真面目っ子「なっ……!?」

生意気娘「デートで参考書を買いに行くとか……。時代遅れのがり勉は困るわ」

真面目っ子「……なら、一体、何を買いに行くのですか?」

元気っ子「部長のことだし、バスケ用品じゃないかな」

男「!」

生意気娘「でも、部長はバックやらウエアやら買ったばっかりだぜ?」

真面目っ子「ええ。ナイキで揃えた、と自慢していましたよね」

元気っ子「アレは買ってないじゃん」

元気っ子「プロテイン」

男「なんでそうなる!?」
167 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/05/21(月) 22:28:12.91 ID:ItSFrGZa0
元気っ子「あれ? 違うの?」

生意気娘「いくら、水よりもプロテインを飲んでいそうな部長でもそれはねえだろ」

真面目っ子「確かに。プロテイン味の血が流れていそうな部長でもあり得ませんね」

男「君たちは幼のことをなんだと思ってるんだ……」

元気っ子「じゃあ、何を買うの?」

無口っ子「……指輪」

真面目っ子「!」

元気っ子「!!」

生意気娘「!!!」

男「!?」
168 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/05/21(月) 22:28:39.10 ID:ItSFrGZa0
生意気娘「ゆ、指輪!?」

無口っ子「……デートの最後に二人の思い出の場所で指輪を渡して告白するの」

元気っ子「わー……かっこいい……」

無口っ子「感激して泣いてしまった部長をそっと抱き寄せて……」

真面目っ子「……」カァァァ

無口っ子「熱いキスを……」

男「違うわ!!」
169 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/05/21(月) 22:29:15.41 ID:ItSFrGZa0
男「なんで、そうなる!」

無口っ子「部長のこと好きなんでしょ?」

男「い、いや、俺は別に……」

無口っ子「そういうのいらない」

男「……」

無口っ子「好きなんだから、告白するのは当然のこと」

男「そ、そうかもしれないけど、このタイミングじゃないんだって」

無口っ子「なんで?」

男「……今だと断られると思う」

無口っ子「……」

男「だから、もう少し距離を縮めてから……」

無口っ子「唐変木」

男「!?」
170 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/05/21(月) 22:30:05.31 ID:ItSFrGZa0
元気っ子「ま、まぁ、告白は早すぎるんじゃないかな」

生意気娘「そうだそうだ! この男にそんな度胸はない!」

真面目っ子「というか、唐突すぎて部長も困惑するでしょうし」

無口っ子「……ちっ。これだからヘタレンジャーは」

ヘタレンジャー「!?」
171 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/05/21(月) 22:30:36.42 ID:ItSFrGZa0
無口っ子「計画忘れたの?」

???「どんな計画だったっけ?」

無口っ子「奥手な部長じゃ、どうせなにもできないだろうから、相手の方を煽って関係を発展させようって決めたでしょ」

???「……そういうのなんて言うのか知ってる?」

無口っ子「……あっ」

幼馴染「小さな親切、大きなお世話って言うのよ!」
172 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/05/21(月) 22:31:33.69 ID:ItSFrGZa0
真面目っ子「ど、どうして部長がここに……」

幼馴染「朝練が終わったからよ」

生意気娘「ちっ……。副部長のやつ、足止めできてねえじゃねえか」

幼馴染「副部長は頑張ったけどね。いつもはすぐベンチで休むくせに、今日は率先してステップワークを何本もこなしたんだから」

元気っ子「体力トレをサボる副部長が……?」

幼馴染「まったく。こういう時に頑張るんじゃなくて、練習のときにやってほしいわ」

真面目っ子「その副部長はどこに?」

幼馴染「そこで這いつくばってるじゃない」

副部長「 」

アホレンジャー「副部長————!」
173 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/05/21(月) 22:32:07.89 ID:ItSFrGZa0
生意気娘「あ、あんたは鬼だ! こんなになるまで追い込むなんて!」

幼馴染「誰が鬼よ。副部長自らステップワークをやるって言い出したんだから」

真面目っ子「大丈夫ですか!?」

副部長「う、うぅ……」

元気っ子「良かった。息はあるみたいだね」

幼馴染「ステップワーク40本やったくらいで死ぬわけないでしょ」

副部長「み、みんな……」

無口っ子「……なに?」

副部長「最後に会えてよかった……」ガクッ

アホレンジャー「副部長————!」

幼馴染「いいから、こっち来いよ」

副部長「あ、はい」
174 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/05/21(月) 22:32:39.57 ID:ItSFrGZa0
今日はここまで。
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/22(火) 02:30:19.57 ID:nh+TVacU0
久しぶりやな
待ってたぞ
176 : ◆TMTTBwd/ok [sage]:2018/05/22(火) 22:03:54.69 ID:Llnve3I70
>>175
ただいま! 待っててくれてありがとう!
無事、帰還しました!
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/23(水) 10:25:32.56 ID:g7MXLrpP0
アホレンジャー好きだわー
…しかしこの会話内容、コンビニに人だかりが出来かねない
178 : ◆TMTTBwd/ok [sage]:2018/05/24(木) 20:17:49.98 ID:vvQtSh1H0
>>177
コメントありがとう!
私もアホレンジャー好き! 書いてて楽しい! 
……あまりにも楽しすぎて舞台設定を忘れてしまったことは秘密。
179 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/11(月) 23:20:39.12 ID:5Zm25xVn0
幼馴染「さて、アホレンジャー諸君。どんな罰を与えて欲しい?」

真面目っ子「お、横暴ですよ! 私たちは男さんと話をしていただけです! 処罰されるいわれはありません!」

幼馴染「男と話を……」

生意気娘「そうだ! こいつだって、女子高生4人に囲まれて悪い気はしなかっただろうし、わたしたちは無罪だ!」

幼馴染「……ステップワーク100本」

アホレンジャー「!!?」

男「ま、まぁ、俺は大丈夫だから……」

幼馴染「何言ってんの? 男もステップワーク100本だから」

男「!!!???」
180 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/11(月) 23:24:34.75 ID:5Zm25xVn0
生意気娘「む、無茶苦茶だ!」

真面目っ子「私たちを殺す気ですか!?」

男「つーか、なんで、俺まで!?」

幼馴染「うるさい。とにかく100本だから。歯食いしばってやりきれ」

元気っ子「いくらなんでも厳しすぎますよー。そこまでする理由がわかりませんって」

無口っ子「……嫉妬」

幼馴染「!」ビクッ

元気っ子「えっ?」

無口っ子「……部長がいないところで、私たちが男さんと話してたことに嫉妬してるんだよ」

元気っ子「まっさかー。アタシたち、少し喋っただけだよ? それくらいのことでヤキモチ妬くかないでしょ」

幼馴染「あ、その……」カァァァ

元気っ子「えっ」
181 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/11(月) 23:28:00.97 ID:5Zm25xVn0
元気っ子「マジ……?」

幼馴染「ち、違う!」

生意気娘「いや、この反応は……」

幼馴染「違うもん!!」

真面目っ子「部長って、意外と独占欲が強いんですね……」

幼馴染「だから、違うんだってば!」

無口っ子「……部長」

幼馴染「な、なによ!」

無口っ子「女の嫉妬ほど醜いものはない」ボソッ

幼馴染「!!?」
182 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/11(月) 23:33:28.71 ID:5Zm25xVn0
無口っ子「……そんなに傍にいたいなら、さっさとこく」

幼馴染「わあああああ! やめてやめて!」

無口っ子「……なぜ?」

幼馴染「だ、だって……」チラッ

男「ん?」

幼馴染「こ、こっち見んな!」ベシッ

男「な、なんだよ!?」

生意気娘「部長が乙女乙女してる……」

元気っ子「恋は女を変える、って言うけど、まさかこんなに変わるなんて……」

副部長「まだまだ。こんなの序の口だよ。昨日なんて凄かったんだから」

真面目っ子「こ、これ以上にですか……?」

副部長「そうだよー。男さんの膝の上にのって……」

幼馴染「やめろおおおおおおお!」バチン
183 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/12(火) 00:03:42.01 ID:w9jbExko0
幼馴染「いい加減にしてよ! 茶化すなんて酷いよ!」

真面目っ子「茶化すなんて……」

幼馴染「してるじゃない! 私を弄って面白がってるんでしょ!」

生意気娘「ち、違いますって! わたしたちはただ……」

幼馴染「知らない! もう何も聞きたくない!」

元気っ子「部長……」

無口っ子「……」シュン

男「落ち着けよ、幼」ナデナデ

幼馴染「男……」

生意気娘&真面目っ子&元気っ子&無口っ子「!!!?」

副部長「遂に始まったか……!」
184 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/12(火) 00:05:22.63 ID:w9jbExko0
男「この子たちは幼が心配なんだよ」

幼馴染「でも……」

男「幼の為にわざわざ俺のところに話をしに来るなんて、そうそう出来ることじゃないよ。この子たちは幼のことがよっぽど好きなんだろうな」

幼馴染「……だからって、男に迷惑かけていいわけじゃないもん」

男「迷惑なんてとんでもない。むしろ、感謝したいくらいだよ。俺の知らない幼を教えてくれたし」

幼馴染「な、なによ、それ!」

男「とにかくさ、許してあげなよ」ナデナデ

幼馴染「……本当に狡いなあ」ギュウ

男「お、おい!」

幼馴染「なによー……少しくらい抱きついたっていいでしょ」

副部長「はい! あたしたちのことは気にせず、思う存分、男さんを堪能してください!」

幼馴染「えっ?」

生意気娘&真面目っ子&元気っ子&無口っ子「 」

幼馴染「———————!」カァァァ
185 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/12(火) 00:05:54.63 ID:w9jbExko0
生意気娘「な、なんだこれは……」

幼馴染「ち、ちょっと、離れてよ!」バッ

真面目っ子「いや、自分から抱きついてましたよね……?」

元気っ子「なんなら、離れようとする男さんを逃がさないように甘えていたような……」

無口っ子「……」カァァァ

幼馴染「そ、そんなことしてない!」

副部長「いいじゃないですか。部長は寂しがり屋の甘えん坊なんですから」

幼馴染「ち、ちが……」

副部長「あたしたちはこんなことで幻滅なんてしませんよ?」

幼馴染「……っ」

副部長「だからもう、強がらなくていいんです。男さんに会いたいのなら会いに行けばいいし、甘えたいのなら甘えればいい。何も気にせず、部長のしたいようにしてください」

副部長「部長の幸せがあたしたちの幸せなんですよ」
186 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/12(火) 00:07:36.73 ID:w9jbExko0
副部長「みんなもそう思うでしょ?」

生意気娘「お、おう……」

真面目っ子「……当然です」

元気っ子「もちろんだよー!」

無口っ子「……」コクリ

幼馴染「みんな……」

副部長「と、いうことで……」ギロッ

男「……?」

副部長「部長を泣かせたら、あたしたちが必ず報復しますからね!」

男「……それは怖いな」
187 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/12(火) 00:08:11.37 ID:w9jbExko0
副部長「よーし! うまくまとまったことですし! 今日の練習もがんばろー!」

真面目っ子「ですね! 明日は総体予選の準決勝ですし!」

元気っ子「気合入れていこー!」

男「よし。じゃあ、景気づけに、みんなにプリンを奢るよ」

生意気娘「おお! 気が利くじゃねえか!」

無口っ子「……ゼリーがいい」

幼馴染「ちょっと、待ちなさいよ」

男「どうした?」

副部長「まさかぶっちょー、男さんにもっと甘えたいんですかー?」

幼馴染「ステップワークは?」

男「……はっ?」

幼馴染「だから、ステップワーク100本をやってから練習だってば。さっき言ったでしょ」
188 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/12(火) 00:09:01.16 ID:w9jbExko0
副部長「じ、冗談きついっすよ……」

幼馴染「いや、マジだけど?」

アホレンジャー「……」

男「い、いや、お前、それはなしになったはずじゃ……」

幼馴染「いいから、男も公園に行くよ。早くしないと練習に遅刻しちゃう」

副部長「にっげろー!」ダッ

幼馴染「あ、こら! 待ちなさい!」

真面目っ子「さっきのしおらしさはどこに行ったのですか!」

生意気娘「やっぱり、部長は鬼だ! 悪魔だ!」

元気っ子「ステップワーク100本とか死んじゃうよねー」

無口っ子「……男さんだけ犠牲になればいい」

副部長「つーか、あたしは男さんと話してないから関係ないのに……」

生意気娘&真面目っ子&元気っ子&無口っ子「お前が主犯だろうが!」

副部長「てへ☆」

幼馴染「止まれー!」

男(……本当に仲良いなあいつら)
189 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/12(火) 00:09:28.50 ID:w9jbExko0
今日はここまで
190 : ◆TMTTBwd/ok [sage]:2018/06/12(火) 00:12:43.68 ID:w9jbExko0
これで、>>95から続いた第2部が終了。
次はデート編にようやく突入です。
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/12(火) 02:10:24.23 ID:aZDV3JTF0


遂に始まったか で不覚にも
192 : ◆TMTTBwd/ok [sage]:2018/06/14(木) 01:43:14.67 ID:fY7CijXx0
>>191
コメントありがとう!

不覚にも……? 
笑ってもらえたのなら嬉しいけど……
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/25(月) 01:32:32.91 ID:jpEL9rIWO
SS速報にこんなのあったんだ
期待もあるし前スレ見とくわ
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/25(月) 04:54:14.88 ID:1oLmLJZ50
「疲労時の糖分補給に」 って宣伝できそう

またいい具合に糖度上がってきてるもん
195 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/26(火) 21:49:57.28 ID:K1rYag1Q0
コメントありがとう!

>>193
前スレはかなり長いけど読んでいただけると嬉しいです!

>>194
前スレもそうだったけど、糖分控え目にしようとすると筆が進まないんだよね。
糖分過多が作風の駄作家でいいか、と吹っ切れたし、こっからどんどん甘くなってくよ。
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/28(木) 03:57:33.70 ID:DloDgi8Oo
前に俺ガイルのSS書いてた人だよね
オリジナルもいいけど俺ガイルも書いてくれ
ラストにいろはが告白するやつめっちゃ好きだったわ
197 : ◆TMTTBwd/ok [sage]:2018/06/29(金) 20:55:00.24 ID:51ArnnPW0
日曜日 昼 体育館
男「……」キョロキョロ

「メインアリーナなら向こうだよ」

男「ありがとうござい……って、なんでお前がここにいるんだよ!」

女「試合しに来たに決まってるでしょ」

男「……それもそうか」

女「で、君は何の用があるのかなー?」

男「別になんだっていいだろ!」

女「ふーん。そういう態度取るんだ……」

男「じゃあな。道教えてくれてありがとな」

女「警備員さん、あの人、盗撮魔です」

男「やめろー!」
198 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 20:56:40.03 ID:51ArnnPW0
男「あやうく、警察呼ばれるところだったじゃねえか……」

女「西高の応援に来たって素直に言わないのがいけないんでしょ」

男「わかってるなら、聞く必要ねえだろ!」

女「言わせたほうが面白いじゃん」

男「この性悪女め……」

女「褒めてくれてありがとー!」
199 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:00:20.41 ID:51ArnnPW0
女「本当に君は一途だねえ……。好きな女の為にわざわざこんなところに応援にくるなんてさ」

男「うるせー」

女「今日の試合なんて始まる前から結果が決まってるようなもんだよ? 見る価値なんてないと思うけど」

男「実力差あるのか?」

女「うん。西高が20点差で圧勝するってとこかな」

男「県大会の準決勝で20点差かよ……」

女「私たちならダブルスコアだけどねー」

男「さいですか……」
200 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:04:14.22 ID:51ArnnPW0
女「でもまあ、西高も実力を上げてきてるよ。先週、準々決勝を見たけど、関東大会の頃と比べて格段に上手くなってたもの。特に部長さんなんか別人かと思うくらいにね」

男「お前と違って、幼は努力してるからな」

女「そうだよねー。部長さんは男くんと朝練してるんだもんねー」

男「な、なんで知ってんだよ!?」

女「彼女がドヤ顔で教えてくれたのよ」

男「何を言ってるんだ、あいつは……」

女「それだけ、君が大切なんでしょうよ」

男「はあ……?」
201 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:09:31.25 ID:51ArnnPW0
女「ずっと聞きたかったんだけど、どっちから告白したの?」

男「いや、してないけど……」

女「はっ?」

男「俺たち、付き合ってねえよ」

女「……なんで? 意味わかんないんだけど」

男「俺の片想いだからだよ!」

女「……」

男「幼は俺を放っておけないから、仲良くしてくれてるんだよ。……ただ、それだけなんだ」
202 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:14:38.98 ID:51ArnnPW0
女「なるほど。部長さんは優しそうな顔してるけど、ただの偽善者だったんだね」

男「なんでだよ!」

女「だってそうじゃない。君の話だと、彼女は孤立しがちな君に優しくして周囲からの評価を高めようとしてるんでしょ? 偽善者以外の何者でもないじゃない」

男「ち、違う! あいつは純粋に優しくしてくれてるだけで……」

女「そうやって都合のいい解釈をして、彼女に告白をしないことを正当化したいだけでしょ」

男「……っ」

女「まっ、そうやって逃げ続けているほうが、臆病者の君らしくていいけどね」クスッ
203 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:18:21.08 ID:51ArnnPW0
男「俺は……」

女「暗い顔しないでよ。私が怒られちゃうじゃん」

男「……誰にだよ?」

女「西高のぶっちょーさんに」

男「えっ?」

幼馴染「……」

男「お、幼!?」

女「言っとくけど、私はドMの男くんのために言葉責めしただけだからね」

幼馴染「!?」

男「なに言ってんだよ!」

幼馴染「こ、この豚があ!」

男「お前もなに言ってんの!?」
204 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:28:22.83 ID:51ArnnPW0
女「いやー、君たちって本当に面白いわー」

男「楽しんでんじゃねえよ!」

女「いいじゃない。さっきまでさんざん愉しませてあげたんだから」

男「いい加減にしろ!」

幼馴染「おーとーこー?」

男「い、いや、俺はなにもしてないんだってば!」

女「さて、私はそろそろ行くね」

男「どうすんだよ、この状況!」

幼馴染「……」キュッ

男「幼……?」

幼馴染「……私のことも構ってよ」

男「あ、うん……」

女(これで男くんの片想いっていうのは無理あるよなあ……)
205 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:39:58.64 ID:51ArnnPW0
控え室
生意気娘「……あれ? 部長はどこに行ったんだ?」

真面目っ子「そういえば、さっきから姿が見えませんね」

元気っ子「どうしたんだろうね?」

無口っ子「……」キョロキョロ

一年生女子「ぶっちょーなら、監督のところに行くって言ってましたよー」

真面目っ子「アップの内容でも聞きに行ったのでしょうか」

生意気娘「……」
206 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:40:32.43 ID:51ArnnPW0
生意気娘「お、おい! いくらなんでも遅くねえか!?」

副部長「キョン吉、落ち着きなよ。まだ3分も経ってないよ」

生意気娘「キョン吉言うな!」

真面目っ子「まったく。キョン吉さんは騒がしいですね」

生意気娘「うるせえぞ、カミナリ!」

真面目っ子「そ、その呼び名はやめてください!」

生意気娘「もういい! わたしが探しに行く!」

副部長「はい、ストップ」

生意気娘「なんでだよ! 何かあったらどうすんだ!」

副部長「大丈夫。色んな意味で何も起きないから」
207 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:41:42.96 ID:51ArnnPW0
10分後
幼馴染「ご、ごめん! トイレが混んでて……」

副部長「あ、部長。おかえりなさいー」

幼馴染「……みんなは?」

副部長「あたしの判断で先に行かせておきました」

幼馴染「ごめん……」

副部長「大丈夫ですよー。気にしないでください」

幼馴染「……怒んないの?」

副部長「大切な人からパワーをもらってたんでしょ? 何も問題ないですよ」

幼馴染「……私が男に会いに行ったの気付いてたの?」

副部長「ええ。控え室を出て行くときの部長、緩みきった顔してましたからね」
208 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:53:08.93 ID:51ArnnPW0
幼馴染「みんなになんて説明しよう……」

副部長「大丈夫ですよ。あたしがうまく誤魔化しておきましたから。部長は堂々としててください」

幼馴染「でも、大事な試合の前に部長の私がこんなことしてたら……」

副部長「なんですか?」

幼馴染「……試合に勝てない」

副部長「……」バシン

幼馴染「な、なにするのよ!」

副部長「部長一人のコート外の行動一つで負けが決まるほど、西高は弱くないですよ」

幼馴染「……っ」

副部長「さあ、行きましょう。今日はみんなが待ってます!」

幼馴染「うん!」
209 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:54:55.55 ID:51ArnnPW0
生意気娘「部長、遅いな……」ソワソワ

無口っ子「……動くな。お前の駄乳が揺れて気が散る」

生意気娘「んだと!?」

幼馴染「喧嘩、するなっての」ポカッ

生意気娘「ぶ、ぶっちょーー!」

幼馴染「みんな、遅くなってごめんね」

真面目っ子「大丈夫ですよ」

元気っ子「そうそう。気にしないで」

生意気娘「無事に帰ってくれたのならいいけど……」

無口っ子「……」コクリ

副部長「ほら、大丈夫でしょ?」

幼馴染「みんな……」

一年生女子「彼氏に会いに行ったくらいで怒りませんよー」

幼馴染「!?」
210 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:55:30.62 ID:51ArnnPW0
幼馴染「な、なんの話……?」

一年生女子「もう。隠さないでくださいよー。彼氏と試合前に一発ヤリにいったんですよね?」

幼馴染「 」

副部長「馬鹿! 二人ともヘタレだから、そういうことはしないって言ったでしょ!」

生意気娘「そ、そうだ! 部長に限ってそんなことするはずない!」

一年生女子「えー? でも、男と女が二人っきりになってすることといったら、それしかないじゃないですかー」

元気っ子「どういう価値観なの?」

真面目っ子「は、ハレンチです!」

一年生女子「先輩たちはうぶだなー。だから、処女なんですよ」

生意気娘「わたしたちは関係ねえだろ!?」

副部長「ていうか、あたしは処女じゃない! なんなら、お前より経験豊富なんだからな!」
211 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:55:58.32 ID:51ArnnPW0
幼馴染「な、なんなのよ、これ……」

無口っ子「……」ツンツン

幼馴染「……?」

無口っ子「ちゃんと避妊した?」

幼馴染「はあ!?」

一年生女子「するわけないじゃないですかー。生のほうが気持ちいいですもんね、部長」

生意気娘「こ、このあばずれ女! 黙りやがれ!」

真面目っ子「へ、変態です!」

元気っ子「ちょっと、カミナリ! 鼻血出てるよ!」

副部長「生はあたしも経験してない……気持ちいいんですか?」

幼馴染「知らねえよ! 処女の私が知るわけねえだろ!!!!!」

西高顧問「なにしとるんじゃ、お前ら……」
212 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/06/29(金) 21:56:34.22 ID:51ArnnPW0
今日はここまで
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/29(金) 22:09:37.83 ID:/gpjyS+/0
214 : ◆TMTTBwd/ok [sage]:2018/06/29(金) 23:42:44.71 ID:51ArnnPW0
コメントありがとう!

>>196
そうです。以前は書いてました。
いつかは書きたいけど、今はこれで手一杯。完結したら考えます。

>>213
ありがとう! 今後ともよろしく!
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 05:43:59.81 ID:HR7Yy0vW0
乙です
この会話に割り込める西高顧問は勇者……

と思ったけど、酷い扱いする奴だったな、確か
216 : ◆TMTTBwd/ok [sage]:2018/07/02(月) 16:58:55.92 ID:d85BFGP00
>>215
コメントありがとう!
スパルタ教師でさえも戸惑ってしまう女子トーク。最強だわ……
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 23:07:40.39 ID:ZSDHIHLwo
乙。
前作から楽しんで読んでます。
218 : ◆TMTTBwd/ok [sage]:2018/07/09(月) 01:17:52.77 ID:ADK9lUyy0
>>217
コメントありがとう!
あの前作から読んでくださっているなんて感激です! 
これからも宜しくお願い致します!
219 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/07/18(水) 02:36:13.72 ID:EzIm7hbw0
試合終了後 移動中
男「やっぱ、西高って強いんだな」

幼馴染「たいしたことないってば」

男「でも、準決勝でダブルスコアだぜ?」

幼馴染「副部長が絶好調でシュートを落とさなかったから、ああいう展開になっただけ。そこまでの実力差はないよ」

男「確かにあの子も良かったけど、幼のほうが目立ってたし、チームに貢献してたと思うけどなあ」

幼馴染「ありがと! 今日は気合入ってたから、いつもよりいいプレーできたかな!」

男「準決勝だもんな。気合入るよな」

幼馴染「鈍いなー」

男「えっ?」

幼馴染「男が応援に来てくれたからだよ」

男「……動機が不純すぎる」

幼馴染「その割には嬉しそうですねー」ニヤニヤ
220 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/07/18(水) 02:37:17.96 ID:EzIm7hbw0
幼馴染「男は本当に素直じゃないなー」

男「あー、はいはい。ちょっと急ごうぜ。バスに乗り遅れる」

幼馴染「バス?」

男「なんだよ。買い物に行くんだろ?」

幼馴染「バスに乗るの? 歩いて帰れるのに?」

男「えっ?」

幼馴染「えっ?」
221 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/07/18(水) 02:39:14.67 ID:EzIm7hbw0
男「ショッピングモールに直接行くんだろ?」

幼馴染「は、はあ!? 一旦、家に帰るに決まってるじゃん!」

男「なんで?」

幼馴染「私はバスケの試合してきたんだよ!?」

男「見てたから知ってるけど……」

幼馴染「なら、わかるでしょ!」

男「……?」

幼馴染「汗かいてるじゃん!」

男「ああ、そういうこと。別に気にならないけど?」

幼馴染「変態! 変態!! 変態——————!!!」バチン

男「素直に言えばこれだもんな……」
222 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/07/18(水) 02:40:06.06 ID:EzIm7hbw0
幼馴染「もう! 女心がわかってないんだから!」

男「そこまで怒ることでもないような……」

幼馴染「うるさい! とにかく、私は家に帰ってシャワー浴びてくるから!」

男「……」

幼馴染「何よ! 文句あるの!?」

男「制服はどうする?」

幼馴染「着替えるに決まってるでしょ」

男「……そうか。じゃあ、俺も着替えてくるかな」

幼馴染「そういえば、どうして制服着て来たの? 男は応援に来たんだし、私服でもよかったのに」

男「……したかったんだよ」

幼馴染「へっ?」

男「制服デートしたかったんだよ!」

幼馴染「なんで? 服装なんてなんでもいいじゃん」

男「男心がわかんないかなあ……」
223 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/07/18(水) 02:40:32.48 ID:EzIm7hbw0
一時間後 公園
幼馴染「ほら、これでいい?」

男「お、おう……」

幼馴染「まったく。シャワー浴びたのに、なんでまた、制服着ないといけないの」

男「嫌なら無理しなくてもよかったのに……」

幼馴染「よく言うわよ。この世の全てが終わったような顔してたくせに」
224 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/07/18(水) 02:41:00.55 ID:EzIm7hbw0
移動中
幼馴染「休日に制服デートとかあんまりないよね」

男「そうか? 俺の友達はしたらしいけどな。といっても、そいつは私服で、彼女だけ制服だったらしいけど」

幼馴染「あー。それならあるかもね」

男「……いや、ないだろ」

幼馴染「片方が制服なのはよく見かけるよ?」

男「制服は制服でも中学校の制服だぞ」

幼馴染「なにそれ……その友達はロリコンなの?」

男「変態なのは間違いねえだろうな……」
225 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/07/18(水) 02:41:43.65 ID:EzIm7hbw0
幼馴染「ていうか、彼女さんもすごいね。私なら、いくらお願いされても絶対拒否するな」

男「むしろ、ノリノリだったらしいぜ」

幼馴染「……こういったらなんだけど、変態カップルじゃん」

男「そうかもな。教室で抱き合ったりしてるし」

幼馴染「人前でそんなことよくできるね」

男「だよなー」

幼馴染「……」

男「……」

幼馴染「いや、私も公園で抱きついてるし……なんなら、後輩たちの前でだって……」

男「俺も受け入れちゃってるしな……」

幼馴染「……人のこと言えないね」

男「まったくだ……」
226 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/07/18(水) 02:42:36.66 ID:EzIm7hbw0



???
男友「?」

???「どうしたのですか?」

男友「誰かに馬鹿にされたような……」

???「誰にです?」

男友「わからないけど……」

???「誰かもわからないような人間の思念を感じるより、貴方の傍にいる女性の感情に気を配るべきだと思いますよ」ギュウ
227 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/07/18(水) 02:43:03.99 ID:EzIm7hbw0
今日はここまで。
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/19(木) 07:30:55.11 ID:oeS2uAgn0
待ってるで
229 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/07/19(木) 21:06:05.03 ID:pBa/DESO0
>>228
ありがとう! 頑張ります!
230 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 04:27:23.89 ID:gaL2rtCT0
ショッピングモール クレープ屋
幼馴染「黒蜜抹茶あずき!? なにこれ、気になるんですけど!」

男「ああ、そう……」

幼馴染「でも、オーソドックスにチョコバナナにしようかな……男はどれがいいと思う?」

男「なんでもいいよ……」

幼馴染「なによ、その投げやりな答えは! 真剣に考えてよ!」

男「じゃあ、これでいいんじゃねえの」

幼馴染「キャラメル生クリーム! それも美味しそう! ……って、おい! 食べたいものが増えちゃったじゃないか!」

男「知らねえよ……」
231 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 04:28:30.92 ID:gaL2rtCT0
幼馴染「どうしよう。本当悩む……」

男「クレープ一つに選ぶのにそこまで悩むものかね」

幼馴染「だって、どれも美味しそうなんだもん」

男「いっそ全部食えば?」

幼馴染「そんなことできるわけ……いや、まてよ。副部長も据え膳食わぬは女の恥って言ってたし……」

男「俺が悪かった。頼むからクレープ全種類制覇なんて不健康なことはやめてくれ」
232 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 04:40:00.85 ID:gaL2rtCT0
幼馴染「ここはバナナチョコにする……」

男「やっと決まったか」

幼馴染「男はどれにするの?」

男「俺はいいや。腹減ってないし」

幼馴染「えっ……」

男「じゃあ、頼んでくるわ」

幼馴染「ま、待って! 黒蜜抹茶あずきってね、大人の味なんだって……」

男「それにするのか?」

幼馴染「そうじゃなくて、その……」

男「……わかったよ。ちょっと待ってろ」
233 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 04:47:06.42 ID:gaL2rtCT0
幼馴染「おいしー! チョコバナナ最高―!」

男「それは良かったな」

幼馴染「ねえねえ、黒蜜抹茶あずきはどう?」

男「美味しいよ」

幼馴染「一口貰ってもいい?」

男「もとよりそのつもりだったくせに」

幼馴染「えへへ。じゃあ、いただきまーす」ハムッ

男「!!?」

幼馴染「うん! 美味しい! 今度はこれにしよう!」

男「お、おま……」カァァ

幼馴染「どうしたの? 顔真っ赤だよ?」
234 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 04:52:53.63 ID:gaL2rtCT0
男「す、スプーンで食えよ!」

幼馴染「クレープだよ? スプーンなんて使わないでしょ」

男「それにしたって、人の食いかけを躊躇もなく頬張るか!?」

幼馴染「そりゃ、知らない人のやつは無理だよ。でも、男だし。気にならないよ」

男「……」

幼馴染「なんでニヤニヤしてるの?」
235 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 04:56:34.92 ID:gaL2rtCT0
幼馴染「嫌だった?」

男「そ、そんなことねえよ! ただ、その……ちょっと照れくさかっただけで」

幼馴染「照れるようなことかな」

男「じゃあ、やってやろうか?」

幼馴染「いいよ」スッ

男「……」

幼馴染「ほら、一口どうぞ」

男「や、やっぱり無理です……」カァァァ

幼馴染(なにこれ。超可愛いんですけど)
236 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 04:59:42.84 ID:gaL2rtCT0
幼馴染「ねえねえ」

男「な、なんだよ」

幼馴染「頬にクリームついてるよ」スッ

男「!?!?」

幼馴染「……」パクッ

男「!!!!!?????????」カァァァァァァァ

幼馴染(やばい。男が可愛すぎて辛い)
237 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 05:01:50.08 ID:gaL2rtCT0
幼馴染「ごめんってば」

男「ピュアな男子高校生を弄びやがって……」

幼馴染「だって、男の反応が可愛すぎるんだもーん」

男「あーそうかよ……」

幼馴染「こんなことで反応するとは思わないし」

男「こ、こんなことですと!?」

幼馴染「うん。私、抱きついたりしてるんだよ?」

男「……確かに」
238 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 05:13:00.61 ID:gaL2rtCT0
幼馴染「よくよく考えてみたら、私に抱きつかれて何も感じないっておかしくない?」

男「さすがに慣れたっていうかさ」

幼馴染「な、慣れたですと!?」

男「だって小さい頃から事あるごとに抱きつかれてるんだぜ?」

幼馴染「何言ってんの? 昔は男が私に抱きついてたんじゃん。『幼ちゃん、助けてー』って。私からするようになったのはつい最近だから」

男「お、覚えてねえな」

幼馴染「そっか。じゃあ、男が泣きながら私にしがみついてる写真をお母さんに送ってもらうから待ってて」

男「がっつり覚えてます! すみませんでした!」
239 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 05:13:47.40 ID:gaL2rtCT0
幼馴染「あの頃の男は可愛かったなー。『幼ちゃん、幼ちゃん』って、いつもくっついてきてさ」

男「あーもう、やめてくれ」

幼馴染「たまにはいいじゃん。ねっ、あの頃みたいに幼ちゃんって呼んでみてよ」

男「……いいけど。後悔すんなよ」

幼馴染「するわけないじゃん」

男「幼ちゃん」

幼馴染「……っ」

男「幼ちゃん、バッシュ買いに行こうよ」

幼馴染「む、無理無理無理! マジ無理だって!!!」バシッ

男「こうなると思った……」
240 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 05:23:02.85 ID:gaL2rtCT0
幼馴染「もう! なんで表情まで作るの!」

男「昔みたいに、ってリクエストしたのは幼だろ」

幼馴染「そうだけどさあ……」

男「ほら、もうスポーツ用品店だ。気持ち切り替えろよ」

幼馴染「……ねえ、ちょっと寄り道しようよ」

男「早くしねえと帰りが遅くなるし、また今度でいいだろ」

幼馴染「……」

男「な、なんだよ……」

幼馴染「男と一緒に行きたいの……」ウルウル

男「……っ」

幼馴染「おねがい……」

男「し、仕方ねえな! 今日だけだぞ!」

幼馴染「ちょろい!」

男「!!!!?」
241 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 05:24:18.12 ID:gaL2rtCT0
男「卑怯だぞ! 表情まで作りやがって!」

幼馴染「男だってやったでしょ」

男「くっ……」

幼馴染「さあ、寄り道しようー!」

男「クレープ屋みたいに長居しねえぞ」

幼馴染「大丈夫。男が協力してくれれば早く終わるから」

男「協力? なにさせようってんだ」

幼馴染「なんでしょう?」

男「……まあ、幼が楽しいのならできるだけのことはしてやるよ」
242 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 05:25:49.22 ID:gaL2rtCT0
???
男「無理」

幼馴染「なんでよ?」

男「俺がこういうの苦手なのわかるだろ!」

幼馴染「いやいや。表情作れる男さんにはぴったりじゃないっすかー」

男「それとこれとは別だろ!?」

幼馴染「あーあ。私が楽しいならなんでもするって、さっきは言ってくれたのになあ」

男「なんでもとは言ってねえよ!」

幼馴染「言いました」

男「お前の脳は都合のいいように記憶を改竄するんだな……」

幼馴染「さあ! 張り切ってプリクラ撮りましょう!」

男「……どうしてこうなった」
243 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 05:26:24.36 ID:gaL2rtCT0
幼馴染「ありがと! 付き合ってくれて!」

男「楽しかったのならなによりです……」

幼馴染「じゃん! 手鏡に貼ってみました!」

男「そんなものよく貼れるな」

幼馴染「そんなものとはなによ」

男「幼の隣の奴、酷い顔してるぞ」

幼馴染「そうかなあ?」

男「プリクラって仏頂面で撮るもんじゃねえだろ」

幼馴染「男が笑顔で写ってるほうが貼れないかな」

男「え、なにそれ。笑ってるほうが気持ち悪いってこと?」

幼馴染「違うよ。そうじゃなくってさ。男って滅多に笑わないじゃない? たぶん、男が笑ってるところを見たことあるのって、家族以外だと私くらいだと思うんだよね」

男「まあそうだろうな」

幼馴染「だから、貼りません。私しか知らない男の表情を他人に見せたくないもん」

男「……独占するほどの価値はねえよ」

幼馴染「私にとっては国宝級の価値があるんだよ?」
244 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/08/02(木) 05:27:04.08 ID:gaL2rtCT0
今日はここまで!
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/02(木) 08:08:03.38 ID:zajCr6QiO

なんだか渋いお茶が欲しくなってきたな
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/03(金) 01:01:25.46 ID:C9yZX4gE0

青春してるねぇ
247 : ◆TMTTBwd/ok [sage]:2018/08/03(金) 03:45:43.93 ID:ztXGfdSA0
コメントありがとう!

>>245
そんなこと言わないで、ミルクティー飲んで糖分倍プッシュしようよ!

>>246
おお! 青春っぽさを狙って書いたから、そう感じてもらえて嬉しい!

これからもよろしく!
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/03(金) 17:58:42.16 ID:CoowFCXM0
乙です

渋いお茶飲むと、甘いお菓子が更にすすむんですよねー
渋い日本茶とお団子なんて、無限ループになる悪魔の組み合わせ
249 : ◆TMTTBwd/ok [sage]:2018/08/03(金) 21:49:54.84 ID:ztXGfdSA0
コメントありがとう!

>>248
た、確かに……。その組み合わせは止まらないね!
……ん? これってSSにも言えて、甘い青春を引き立たせるには苦い展開が必要なんじゃ……
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/17(金) 04:13:30.43 ID:sE9lneCQ0
酸味も塩味も辛味も渋味も苦味も、それぞれみんな甘味と相性いいけど、バランス間違えると大惨事
どこかに旨味がないと安定しないのも、料理と物語の両方にいえることだとおもう

…などと供述しており…
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/17(金) 09:42:29.78 ID:/ke4ETC30
>>250
まあ、この作品は敗戦の苦味と上手くマッチしてるし…
252 : ◆TMTTBwd/ok [sage]:2018/08/19(日) 06:54:29.59 ID:wGw0OuRz0
コメントありがとう!

>>250
結局、バランスなんだよね。甘味だけじゃ飽きちゃうし、かといって辛味や苦味が強すぎると物語の印象を変えてしまう。
でも、そのバランスをとるのが一番難しいという……

などと供述しており……


>>251
女はバスケで苦しむからバランスがとれてるかもね。
問題は男。作品も終盤なのに、一度も苦い体験をしていない。ただただ女と甘い時間を過ごしているだけ。好きなキャラだからって甘やかしすぎたかも……

今後ともよろしく!

PS
さがら総先生の最新作『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか』はオススメだよ! ヒロインの星花がめっちゃ可愛い! 読んだら必ずペロペロしたくなるはず!
253 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/10/15(月) 17:13:14.11 ID:QGXMB1xt0
スポーツ用品店
幼馴染「とうちゃーく!」

男「やっと着いた……」

幼馴染「もう。今日のメインディッシュなのにテンション低すぎるよ」

男「……前菜の量が多すぎてな」

幼馴染「いやいや。むしろ少ないくらいだから」
254 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/10/15(月) 17:14:25.98 ID:QGXMB1xt0
男「で、どれにするんだ?」

幼馴染「へっ? 男が選んでくれるんじゃないの?」

男「俺が選んだって仕方ないだろ。幼が履くんだから」

幼馴染「わかってないなあ。私が履くんだから、男が選ぶべきでしょ」

男「いやいや、バッシュの良し悪しなんて俺にはわかんねえし……」

幼馴染「……ちっ」

男「な、なんだよ?」

幼馴染「男が選んだバッシュがいいの! 最後に履くバッシュは男に選んで欲しいの!」

男「……」

幼馴染「この鈍感!」
255 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/10/15(月) 17:15:13.70 ID:QGXMB1xt0
男「これとかどうかな……」

幼馴染「履いてみるね」

男「……」

幼馴染「サイズはちょうどいいかな」

男「デザインとか……大丈夫?」

幼馴染「それはむしろ、私が訊きたいかな。どう似合ってる?」

男「……うん。よく似合ってるよ」

幼馴染「じゃあ、決定だね!」

男「本当にいいのか……?」

幼馴染「男が選んでくれた物ならなんでもいいの」

男「でも……」

幼馴染「ありがとう、男。大切にするね」ニコッ

男「……だから、その笑顔は反則なんだって」
256 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/10/15(月) 17:41:21.71 ID:QGXMB1xt0
幼馴染「そういえば、いくらするの?」

男「幼の希望通り、三万だよ」

幼馴染「さ、三万!? 馬鹿じゃないの!!」

男「……えっ」

幼馴染「こんなの買ってもらえないってば!」

男「えっ」
257 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/10/15(月) 17:56:21.55 ID:QGXMB1xt0
幼馴染「男の金銭感覚はどうなってるの!?」

男「だって、幼は三万円以上のバッシュしか履かないんだろ? 高ければ高いほどいいって言ってたじゃないか」

幼馴染「そんなこと……言って……ま……すね……」

男「だろ? 遠慮するなよ」

幼馴染「え、えっと……」

???「やはりそうだったのですね」

男「……ど、どうして君がここに!?」

幼馴染「……?」

後輩「お久しぶりです。男先輩」
258 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/10/15(月) 18:38:20.63 ID:QGXMB1xt0
幼馴染(誰だろ、この子。……どこかで見たことあるような気がする)

後輩「私の思った通りです。男先輩は大切な人にプレゼントを贈るためにバイトを始めたのですね」

男「!!!?」

後輩「先輩は美人局に騙されているなんて捻くれた推理をしていましたが、私の想像通りだったということですね」

男「友の野郎……!」
259 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/10/15(月) 18:44:30.50 ID:QGXMB1xt0
幼馴染「……男の知り合い?」

男「そうそう。北高の一年生」

後輩「私の彼氏と男先輩が友人関係でして」

幼馴染「ああ! 男がさっき言ってた変態……」

後輩「そうなのです。先輩は変態さんなのです」

幼馴染「いや、君も充分……」

後輩「なにか?」

幼馴染「な、なんでもない! なんでもないよ!」
260 : ◆TMTTBwd/ok [saga]:2018/10/15(月) 18:46:04.77 ID:QGXMB1xt0
後輩「ところで、どこかでお会いしたことありませんか?」

幼馴染「あ、やっぱり? 私もそう思ってたんだ」

男「バスケじゃない?」

後輩「バスケ……ま、まさか、貴女は西高女子バスケ部の部長さんでは!?」

幼馴染「そうだけど……。私を知ってるってことは、君は北高バスケ部とか?」

男「違うよ。この子は……」

後輩「ずっと前からファンでした!」

幼馴染&男「……へっ?」
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