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北上「我々は猫である」

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196 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:39:08.61 ID:58MzKvrS0
その後ソロ写真をいくらか撮りあった。

北上「あれ食べようよ」

撮った写真を皆で見ていた時ふと前方の看板が目に止まった。

大井「あれ?」

木曾「クレープか」

多摩「いいにゃ」

球磨「クレジットも使えるみたいだ」

多摩「あのデカいの食べたいにゃ」

大井「多摩姉さんのお腹どうなってるんですか」

球磨「大井なんて食べて太ってはダイエいてててて!痛い痛いクマァ!」

大井「何か言いましたか?」

球磨「ナンデモナイクマ」

この姉いつも一言多い。
197 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:40:20.43 ID:58MzKvrS0
木曾「俺はイチゴのやつかな。でも1人で食うにはちと量が多いような」

北上「じゃ私と半分こしようよ」

球磨「球磨は多摩から少し分けてもらおう」

大井「じゃあ私も多摩姉さんから」

北上「えっ?」

大井「はい?」

北上「あ、いやなんでも」

木曾「…意外な」

大井「何がよ」

球磨「ほらさっさと買うよ」

多摩「何処で食べるにゃ」

木曾「食べ歩くか?」

大井「それはお行儀が悪いわよ」

北上「あそこテーブル空いてるよ」

木曾「俺らで席取っておくか」

球磨「頼む」
198 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:40:58.29 ID:58MzKvrS0
木曾「おい姉、大人しいな」

北上「てっきり私と食べたいって言うものかと」

木曾「最近あんまり上姉にベッタリじゃなもんな」

北上「女は男ができると変わるんだねえ」

木曾「で、結局提督とはどうなんだ?」

北上「私もよくわかんない」

木曾「聞いてないのか」

北上「流石に直接はね」

木曾「それもそうか」

北上「2人とも照れ屋さんだしねえ」

木曾「それもそうだな」

北上「なんか女子っぽい会話だね」

木曾「え?」

北上「恋バナだよ恋バナ」

木曾「友人じゃなく姉の恋事情だけどな」

北上「まあね」
199 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:42:02.29 ID:58MzKvrS0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

北上「でっか」

木曾「見てるだけで腹が膨れそうだ」

多摩「美味そうにゃ」

球磨「とりあえず1口欲しい」

多摩「ほれにゃ」

球磨「クレープ!クレープを1口!バナナ一欠片貰ってもしょうがない!」

多摩「ほらあーん」

大井「あーん、あら。意外と甘さ控えめね」

北上「木曾ー、私も私も」

木曾「ほらよ」

北上「…え、あーんは?」

木曾「やる気かよ!?いや、流石に少し恥ずかしいな」

北上「それでも木曾か!」

木曾「どういう意味だよ!?」
200 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:42:44.24 ID:58MzKvrS0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

大井「結局ほぼ1人で食べましたね…」

球磨「我が妹ながら恐ろしい」

多摩「戦士たるもの食える時に食っとくもんにゃ」

木曾「これも食べるか…?」

北上「もう食べらんないやー」

多摩「いただきにゃ〜」

木曾「今日だけで何カロリー食べてんだか」

北上「草とか食べる?」

多摩「なんで草にゃ」

大井「猫は草を食べるんですよ。本能的なものなので何でと聞かれると分かりませんが」

北上「消化を助けるためとか諸説あるみたいだよ」

私は草を食べてたっけな…?覚えてないや。

多摩「へえ…いや猫じゃないにゃ」
201 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:44:34.68 ID:58MzKvrS0
北上「よぉし次行こう次」

大井「もう移動ですか?」

北上「時間は限られてるんだしちゃっちゃといこう」

多摩「…まあそれもそうにゃ」

球磨「どこ行く?」

木曾「行きたいところバラバラだしな」

多摩「一旦分かれるかにゃ?」

大井「…そうですね」

北上「む、まあしょうがないか」

球磨「何か買いたいものがあったら球磨か木曾を呼ぶといい」

木曾「あーそっか、ならさっきと同じ分け方で行動した方がいいんじゃないか?」

多摩「多摩はとくに買いたいものはないにゃ」

北上「私も〜」

大井「2人はペットショップでしたね」

球磨「なら2人は一緒で、後は各自自由行動だ」

木曾「あいよ」

大井「北上さんのことくれぐれも頼みますよ」

多摩「任せろにゃ」

うわー信用ないな私。確かに連絡を取れる自信は無いけど。
202 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:45:05.68 ID:58MzKvrS0
球磨「じゃ球磨は下の方にいく」ノシ

北上「じゃーねー」

多摩「…どこ行くのかにゃ」

木曾「さあね。俺は、うわ結構上だな」

北上「どこ行くの〜?」

木曾「ひ、秘密だ」

眼帯、眼帯だきっと。

ん?眼帯?眼帯ってデパートにあるのか?

木曾「エレベーターかなこりゃ」

北上「私達はこの上だね」

多摩「にゃ」

大井「私はその上ですね」

北上「大井っちはどこに?」

大井「ん〜小物とか見たいですね」
203 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:45:43.08 ID:58MzKvrS0
木曾「また後で」

多摩「またにゃあ」

北上「エレベーターはー、あれか」

多摩「アレ?木曾と球磨が離れたらまずいんじゃないかにゃ」

大井「あ、確かに」

北上「そういや保護者役だったね」

大井「デパート内だったら滅多な事は起きないでしょう。多分」

北上「それに余程じゃないと私達が怪我することもないでしょ」

多摩「それくらい強いからこそ問題なんだけどにゃ…まなんとかなるにゃ」
204 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:46:11.85 ID:58MzKvrS0
北上「エスカレーターいいねえ。鎮守府にも欲しいよこれ」

大井「物凄く電気代かかりそうですね」

多摩「動く廊下とか楽そうにゃ」

大井「2人はもう少し積極的に動いてください」

北上「動くコタツとか欲しいなあ」

多摩「コタツ型艤装もいいにゃ」

大井「あら」

北上「どったの大井っち?」

大井「いえ、あの店。ちょっと良さそうだなって」

多摩「んー行ってみるかにゃ?」

北上「もう食べるのはいいかな」

大井「私もちょっと…」

多摩「にゃぁ、じゃあまた来た時にゃ」

北上「そだね、また、また来た時に」
205 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:46:51.73 ID:58MzKvrS0
【ペットショップ】

多摩「猫って、可愛いにゃ」

北上「…そだね」

自画自賛。

大井っちとも分かれて私達はペットショップの猫達をひたすら眺めていた。

生後数ヶ月程度の子猫達はそれぞれのゲージの中で遊んでいたり寝ていたり、

主にこの二択だが思い思いの行動をとっていた。

北上「生まれてからずっと商品としてここに並べられるってどんな気分なんだろ」

多摩「本人は特になんとも思ってないんじゃないかにゃ。多摩達も生まれつきのこの立場にこれと言って疑問は抱いてないにゃ」

北上「それもそっか」

多摩「あ、この子可愛いにゃ」

北上「白黒だね。ダルメシアンみたい」

多摩「ダル?多摩は牛かと思ったにゃ」

北上「猫に牛ってどうなのよ」
206 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:47:21.86 ID:58MzKvrS0
北上「ふふ、いいねぇ。鎮守府で猫とか飼えないかねぇ」

多摩「どうだろうにゃあ。犬とかなら番犬みたいな感じで役に立ちそうだけどにゃ」

北上「帰ったら提督に聞いてみよ」

多摩「そんなに猫が好きなのかにゃ?」

北上「多摩姉こそ、飼いたくならないの?」

多摩「可愛いけど、可愛いだけにゃ。きっと多摩達じゃこの可愛い生き物を幸せに出来ないと思うんだにゃ」

北上「…達」

それは、私も含まれてるのだろう。

多摩「あっ、ごめんにゃ。他意はないにゃ」

慌ててフォローする多摩姉。

でも別に私は傷ついたとかそういうわけじゃない。

ただ
207 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:47:52.80 ID:58MzKvrS0
北上「多摩姉はさ、猫に対してこう、シンパシーというか、親近感?みたいなのって感じたりしない」

多摩「猫じゃないにゃ」

北上「ふざけてるんじゃなくてさ、真面目な話」

多摩「んー?いまいち意図が読めないけれど、多分北上が言うような何かを感じた事はないと思うにゃ」

北上「そっかあ」

嘘や隠し事をしているようには見えない。

自分の前世の、白猫の事を、本当に覚えてはいないのだろうか。

いやそもそも本当に多摩がそうなのだろうか。

前に麦畑を見たことがあるような事を言っていたが、それはあの写真の事である可能性もある。
208 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:48:25.46 ID:58MzKvrS0
北上「だーもぉいいや!次行こう次!」

多摩「どうしたにゃ、急に」

北上「他にも面白そうなところ探そう。行こっ」

多摩「もう少しここでゆっくりしてもいいんじゃないかにゃ?」

北上「時間は有限なんだし色々見て回ろうよ」

多摩「…」

北上「多摩姉?」

多摩「今日の北上はなんか変だにゃ」

北上「そお?多摩姉だってテンション高いじゃん」

多摩「楽しいからにゃ」

北上「私もだよ」

多摩「北上は、楽しんでいるというより楽しんでいようとしている感じにゃ」
209 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:49:00.96 ID:58MzKvrS0
楽しんでいようと。

北上「どういうことさ」

多摩「必要以上に、無理に楽しもうとする時の顔だからにゃ」

北上「…なんでそんなこと」

多摩「多摩もその顔をよく知ってるからにゃ」

北上「多摩姉も?」

多摩「昔、鎮守府から皆がいなくなった時の事だにゃ」

北上「…」

吹雪の言っていた、前の提督、前の鎮守府か。

多摩「やっぱり知ってたんだにゃ。吹雪から?まあなんでもいいにゃ」

北上「日記、ちゃんと棚に鍵とかしといたほうがいいよ」

多摩「そうもいかないのにゃ」

北上「なんでさ」

多摩「誰かに見つけて欲しいと、そう思ったりもするからにゃ」
210 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:49:29.01 ID:58MzKvrS0
多摩「無理に笑うもんじゃないにゃ」

北上「教訓?」

多摩「にゃ」

北上「そっか」

これ以上は多分聞いても答えてくれないのだろう。

吹雪は口止めしていると言っていた。

北上「なんかさ」

多摩「にゃ?」

北上「人間みたいにさ、容姿相応に、パーっと楽しめるのかと思ってさ。人みたいに」

多摩「多摩も楽しいにゃ。でも楽しみ方はそれぞれにゃ。自分なりに楽しめばいいにゃ」

北上「そうだね」
211 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:50:45.67 ID:58MzKvrS0
多摩「北上はなんで人みたいにと思ったんだにゃ?」

北上「え?んー、なんでだろ?」

多摩「分かってないのかにゃ」

北上「なんか、あったと思うんだけどなあ。んー?思い出せないや」

多摩「ならいいにゃ」

北上「うん」

多摩「で、次はどうするにゃ?」

北上「…もう少し、ここでゆっくりしてこ」

焦る必要は無い。

私達と人とでは流れている時間が違うんだ。

決定的に。
212 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:51:23.78 ID:58MzKvrS0
北上「あり、大井っちから連絡来てる」

多摩「なんて言ってるにゃ?」

北上「本屋の近くを回りたいから一緒に行きませんか、だって」

多摩「受け渡しだにゃ」

北上「なんで私が子供みたいな扱いなのよさ」

多摩「不満ならスマホに慣れろにゃ」

北上「連絡ってそんなに大事?」

多摩「仮にも軍にゃ。緊急時は鎮守府に戻る必要があるし、事件に巻き込まれでもしたら後々が面倒なのにゃ」

北上「騒がれそうだもんね私達」

多摩「管理という点だけ見れば、こうして外に出すのだってあまりいいとは言えないだろうにゃ」

北上「提督が優しくてよかったよ」

多摩「全くだにゃ」
213 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:51:49.11 ID:58MzKvrS0
北上「はいっと」

多摩「スタンプ使えるんだにゃ」

北上「はいといいえのスタンプだけ使い方教わった」

多摩「だけ…」

北上「今何階ですか?」

多摩「ここは2階だにゃ」

北上「2と」

多摩「数字だけ…」

北上「数字は打てる」

多摩「練習しろにゃ」

北上「今から向かうので2階のエスカレーター付近で待っていてください、だって


多摩「じゃ向かうにゃ」
214 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:52:25.31 ID:58MzKvrS0
大井「北上さーん」ブンブン

多摩「手ぇ振りすぎにゃ」

北上「やほー大井っち。あれ?何も買わなかったの?」

大井「え?あー、はい。見て回ってただけですから」

北上「ふーん」

多摩「多摩は置物とか見てくるにゃ」

北上「また後でー」

多摩「にゃー」

大井「…またあの妙な猫の置物とか買ってくるんでしょうか」

北上「んーどうだろう」
215 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:52:53.06 ID:58MzKvrS0
大井「では私はこのフロアを回ってますから後でまた迎えに来ますね」

北上「はーいママー」

大井「提督と同じ扱いはやめてください」

北上「どちらかというと私の扱いが皆同じなんだけどね」

大井「北上さんはどうにも危険意識が低いからですよ」

北上「えーそうかなあ」

大井「そうです」

北上「ちぇ、大井っちは私と一緒に回らなくていいの?」

大井「北上さんと?でもあまり北上さんが見て面白そうな物はないと思いますよ」

北上「いや、ならいいんだ。またね」

大井「はい、また」
216 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:53:27.69 ID:58MzKvrS0
本屋に1人。

しかしどうにも気が乗らない。

北上「大井っちやっぱり変わったよね」

前なら絶対に私と回ったはずだ。

北上「考える事がいっぱいだなあ」

まーた頭ん中がぐちゃぐちゃになってきた。

とてもじゃないが本を落ち着いて読める状況じゃないや。

どうしよう。

北上「ゴムの事夕張にでも聞いてみるか」
217 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:54:01.27 ID:58MzKvrS0
夕張「もしもしー」

北上「あー夕張?やほー」

夕張「北上!?え北上が電話!?ホンモノ!?」

北上「失礼な。私だって教われば電話くらい出来るんだから」

本屋を一旦出て人気のない通路で初めての電話をした。

夕張「あははゴメンゴメン。えーっと、ああ街に出てるんだ。そういや買い出しとか提督が言ってたっけ」

北上「サラッとこっちの位置を特定しないでほしい」

夕張「気にしなーい気にしなーい。でなんのよう?」

北上「いやね、車に乗ってきたんだよ」

夕張「あーあれね」

北上「そこにコンドームがあってさ」

夕張「げっ!落としてたかぁ」

北上「やっぱお前かい」
218 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:54:30.11 ID:58MzKvrS0
夕張「年に二回各地の夕張が東京のとある場所に集まるのよ」

北上「それ大丈夫なの?」

夕張「ヤバイわよ。だから皆で場所被らないように担当決めて買い物してんだから」

北上「この情報化社会で中々にリスキーな」

夕張「多少変装はしてるしね。で、その集まりでちょっとした発明の発表会とかしてんのよ」

北上「あーオチが読めたわ」

夕張「言いたいから言わせて」

北上「どーぞ」

夕張「前回のテーマがコンドームだったのよ!」

北上「ひっどいテーマだ」
219 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:55:12.91 ID:58MzKvrS0
夕張「面白かったわよー。5mくらいまで伸びるやつとか発光するやつとか、ユニークなのだと段々萎んできて締め付けるのとか」

北上「拷問器具かなにかで」

夕張「個人的にお気に入りなのは使おうとしたら、北上ってゴムの使い方知ってる?」

北上「知ってても知ってなくてもここで知ってるって言ったらアウトだよね私」

夕張「そりゃそうか。袋破いて出したらね、音が鳴るやつかな。あの時はチクマーチクマーってなってた」

北上「鬼か」

軽くホラーである。

北上「夕張はどんなの作ったの?」

夕張「私?私は使うとGPSで居場所が特定出来るやつ」

北上「なんで何でもかんでも居場所特定したがるのさ」

夕張「システム使いまわせるから楽でさー。残念ながらゴムの大きさの都合上破って1時間で電池切れちゃうんだけどね。これで提督の浮気現場もばっちしよ!」

北上「もっとまともな用途は…ああゴムの時点でまともじゃないや」

夕張「ふっふっふー。RubberでLoverを見つけ出すってね!」

北上「別れはいつも唐突で」
夕張「あ、ちょ!ちょっと待って切らないで!」
220 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:55:42.10 ID:58MzKvrS0
夕張「袋は何色だった?」

北上「少し緑っぽい?ピンク」

夕張「なら大丈夫。グリーンは安全なものだから」

北上「色分けしてるんかい」

夕張「物騒なのもあるからね。なんかあったらヤバいからそこら辺の管理はしっかりしてんのよ」

北上「もっとしっかりすべき所は別にある…」

夕張「まあまあ、せっかくだし記念に持ってたら?」

北上「何故そうなる」

夕張「コンドームってなんか持ってると金運が上がるって聞いたわよ」

北上「ものっすごい嘘くさいんだけど」

夕張「ホントホント!あーただ聞いたってのは本当だけど話の中身が本当かはやっぱ分からないわ」

何処の夕張が言ったか知らないが夕張の時点で信用ならない気が…
221 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:56:14.18 ID:58MzKvrS0
北上「そもそもどこにしまえってのさ」

夕張「財布とか、スマホとか?」

北上「スマホに入れるとこある?」

夕張「ケースに、北上ケースって付けてるっけ」

北上「ないよ」

夕張「デスヨネー。今買っちゃえば?」

北上「それはアリかもね」

夕張「ゴム入れるためにケースを買うという前代未聞の購入理由ね」

北上「やっぱやめようかな」

夕張「捨てるにしてもそん時は破いて中身が何だったか教えてよ」

北上「えーここでやれと?まあいいや、じゃね」

夕張「ばははーい」
222 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:58:43.41 ID:58MzKvrS0
北上「…」

夕張「…」

北上「…」

夕張「切らないの?」

北上「どうやるの?」

夕張「oh…」


タッチひとつで電話を切れるとは。

でもこれ間違えて電話中にピッとおしてしまわないのだろうか。

北上「ケースかあ」

言われてみればみんなケースは付けている。形は多種多様だが。

さてそろそろ本屋に戻ろうか。
223 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:59:22.05 ID:58MzKvrS0
来た道を戻る。

角を曲がり、

北上「おっと」
「おっと」

曲がろうとしたら人とぶつかりそうになった。

北上「ごめんなさい」
「いやあこちらこそ」

女性だった。髪型も服装も私とは全く違う。

ただ身長が同じくらいで

北上「あれ?」
「んん?」

心做しか声も似ていて

北上「え」
「うわ」

どことなく顔も近くて

北上「マジか」
「ウソん」

というか

北上「北上?」
北上「北上?」

私がいた。
224 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 02:59:59.30 ID:58MzKvrS0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

北上「へぇ、皆でショッピングか〜。いいねえ侘び寂びだねぇ」

北上「まあね」

どうやらこの私も侘び寂びを適当に使っているようだ。

先程と同じ人気のない通路。そのベンチに2人で腰掛けた。

北上「その服ってさ、もしかして大井っちが選んだやつ?」

北上「そそ。ちょっと窮屈というか、分不相応な感じがしてムズムズするけど」

北上「あー分かるなぁそれ。だから私は髪を解いてるんだ」

北上「意味あるのそれ?」

北上「変装してる気分になるっていうかさ、違和感があることに違和感がなくなる感じかな」

北上「なんじゃそら」

北上「私も言ってて分からんくなってきた」
225 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 03:00:27.37 ID:58MzKvrS0
聞けば彼女は提督の付き添いで遠くの鎮守府からここに来たそうだ。

北上「もう一山超えたとこの鎮守府に提督が用があるらしくてさ。長い時間話すっていうからその間ここでブラブラしてたの」

北上「付き添いなのに付き添わなくていいの?」

北上「鎮守府の中なら大丈夫だよ。それにあそこまで行くと周りなんもないんだもん」

北上「昼寝とかしてたら?」

北上「そんな、猫じゃあるまいしさ」

一瞬ドキッとした。

北上「ねえ、本って好き?」

北上「本?ん〜漫画とかなら読むけど」

おお、やはり同じ北上でも色々と違いはあるのか。なんか感動。
226 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 03:01:01.19 ID:58MzKvrS0
北上「私の服も大井っちが選んでくれたんだぁ。余所行きの良い奴をって張り切ってさ」

北上「大井っち流石だねえ」

私の服と違って可愛いというよりは綺麗よりな服装だ。派手な色はないがだからこそ際立つ。

北上「そうだった。大井っちへのお土産探してたんだった」

北上「どんなのを探してたの?」

北上「服とかハンカチとか、そういうのかな。ペアルックなのがいい」

北上「ペアかあ」

北上「君はそういうのしないの?」

北上「大井っちと?」

北上「そうそう」

北上「私は、しないかな」

北上「へえ」

そう言ってまじまじと私を見つめる。

向こうも自分と違う北上に思うところがあるようだ。
227 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 03:02:34.50 ID:58MzKvrS0
北上「あれ?それって」

ふと彼女の左手に目が止まる。

北上「これ?あーこれね。昨日阿武隈に噛み付かれた跡でね」

北上「そっちじゃなくて。いやそっちも凄く気にはなるんだけど」

北上「じゃあ、こっち?」

北上「そう、それそれ」

謎の噛みつきあととは逆の手にハマっている、指輪だ。

北上「ケッコンのやつだよ」

北上「結婚!?提督と?」

北上「提督と…もしかしてケッコンってしらない?」

北上「知ってるよそりゃ、結婚でしょ?」

北上「待って、多分違う。絶対齟齬があるこれ」

北上「なんと?」

北上「君は艦歴いくつ?」

北上「半年位だけど」

北上「なら知らなくてもおかしくはない、のかなぁ。まあ説明しとくか」
228 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 03:03:04.48 ID:58MzKvrS0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

北上「へぇケッコンカッコカリか」

北上「酷いネーミングセンスだよね」

北上「確かに」

北上「こんな名前だから欲しがる娘は多くてさ。提督ラブな娘なんか特に」

北上「カッコカリとはいえケッコンだものね」

金剛さんが真っ先に思い浮かんだ。

北上「もう何人にも渡してるのにそんな特別な意味なんてないだろうにさ」

北上「いっぱいいるの?」

北上「うん。十、いや二十はいたかな。信頼関係ではあっても恋愛関係ってわけじゃないよ」

北上「その辺の違いは議論の余地がありそうだけどね」

北上「かもね。でも私は別に提督の事を好きってわけじゃないよ。極上の信頼は置いてるけどさ」

北上「極上?」

北上「極上だよ。命を預けてるわけだし」
229 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 03:03:41.88 ID:58MzKvrS0
北上「私はどうなんだろうなあ」

北上「おやおや?恋に恋する乙女的な悩みがあったり?」

北上「どっちかと言うと恋に悩めるかな」

北上「相手をどう思うとかじゃなくて、恋自体に悩んでると」

北上「流石私物分りがいい」

北上「別に無理に男女じゃなくたってさ…」

北上「なに?急にフリーズして」

北上「ちょっとこっち向いて」

北上「いいけど、一体なn!?
230 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 03:09:18.06 ID:58MzKvrS0
唇を塞がれた。

しかも唇で。

並んで座っていたというのに恐ろしく早く手慣れた手つきで私の顔を引き寄せた。

驚きで目を瞑ってしまい、暗闇にとらわれる。

えなに何やってんこいつと軽くパニクったがようく考えてみるとこれはキスというやつだ。

勿論知ってはいるが半ば空想上のモノと認識していただけにこのリアルな体験はかなりの衝撃があった。

ここが人気のないところでよかった。

うわ舌を入れてきた。世の中には魚の踊り食いなんてものがあるらしいが口の中で自分以外の何かが動くというのはこんな感じなのだろうか。

控えめに言ってもあまり気持ちの良いとは言い難い感じなのだが。

視界がゼロなせいか余計に感覚が鋭く舌の動きを脳に伝える。

実際には1分もなかったであろう時間もやたらと長く感じられた。

北上「プハッ」

北上「…」

あ終わった。

北上「恐ろしく無反応だね」

北上「拒否反応じゃなくてよかったじゃん」
231 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 03:09:53.50 ID:58MzKvrS0
北上「どう?何か感じた?」

北上「若干引いた」

北上「そうじゃなくてさ」

北上「んー艶かしい…いや生々しい。有り体にいえば気持ち悪い」

北上「えーそれだけ?」

北上「それだけ…第一何でこんなことを」

北上「私はよく大井っちとするんだ」

北上「マジで」

北上「マジでマジで」
232 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 03:10:27.07 ID:58MzKvrS0
北上「キスって好きな人とするものじゃん?」

北上「初対面の、しかも自分のドッペルゲンガーを好きだとは思わないよ私は」

北上「そうじゃなくてさ、実際にやってみたら好きとかそういうのがなんかわかるかなーって」

北上「それだけで?」

北上「それだけで」

北上「…本当、に?」

北上「…キスしてる時の自分の顔ってどんなのか気になってちゃったりしちゃったり?」テヘ

そう言ってチラリと舌を出す。

うーむこいつの前世は蛇だな間違いない。
233 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 03:11:02.09 ID:58MzKvrS0
北上「提督にはしないの?」

北上「そんなことしたら戦争が起きるよ」

北上「言わんとすることはわかるけどよく考えるととんでもない事だよね」

北上「へへ。そっちこそ提督にはしないの?」

北上「なんで私がさ」

北上「してみたら好きかどうかわかるじゃん」

北上「わかる、かなぁ?」

北上「多分ね。何の保証もしないけど」

北上「ちぇー無責任め」
234 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 03:11:31.36 ID:58MzKvrS0
北上「おっと提督から連絡だ」

北上「なんて?」

北上「そろそろお迎えに行かなきゃだ」

北上「ならお別れだ」

北上「そうだね」

北上「元気でね私」

北上「息災でね私」

北上が立ち上がる。

不思議とまた会うこともあるだろう、とは全く思えなかった。
235 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 03:12:05.21 ID:58MzKvrS0
北上「ねえ」

北上「なに?」

北上「大井っちの事どう思ってるの?」

北上「大井っち?大井っちかぁ」

少し考えた後、振り返った北上はこう教えてくれた。

北上「大好きだよ。何よりも。他の誰にも、提督にだって渡したくないくらい、ずっと独り占めしていたいくらいに」

北上が去った後も、その言葉とあのなんとも言えぬ表情がまるで蛇のように私の頭の中に絡みついて離れなかった。
236 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/21(月) 03:16:24.76 ID:58MzKvrS0
同じキャラ同士での絡みって意外と少ない増えて

すり減った資源と精神にすうっと効くミニイベント
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 19:32:40.20 ID:0TxJRoZ80
出撃回数とバケツの減りは普通に中規模イベント並み
更新乙様です、毎回の更新楽しみにしてますよ
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 21:31:24.74 ID:lWf9zi1g0
おつ クレープ食いたくなったw

カタパルト3、凄い対潜装備などなど貰えるものは下手なイベよりいいので本気モード
通常海域の編成見直しにもなって割と勉強になってる
239 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:07:13.70 ID:StvkU8fQ0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

北上「おかえりー」

大井「あら、本は買わないんですか?」

北上「どうも興が乗らなくてさ。大井っちは?」

大井「私も収穫はなしです」

北上「何探してたのさ」

大井「まあ、色々と」

北上「色々ねえ」

提督へのお土産と言ったところか。
240 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:07:49.76 ID:StvkU8fQ0
北上「大井っちキスって興味ある?」

大井「キス…キス!?どうしたんですか急に!?」

北上「本で読んでさ、なんか気になっちゃって」

大井「もしかして北上さん、キスしたい相手でもいるんですか?」

北上「えー私はいないよ」

大井「でもでも!キスに興味があるんですよね」

北上「う、うん」

なんか物凄い食いつきっぷりだ。目をキラキラさせてるし。何故に。

北上「私じゃなくて大井っちの意見が聞いてみたいんだよ」

大井「そうですねぇ。ないと言えば嘘になりますね」

嘘つけ絶対興味ありありだよ。なんなら既に…

北上「まあいっか」

大井「えーそれだけですか。もっとこう乙女チックな何かないんですか?」

北上「単に興味本意だったからさ」
241 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:08:19.46 ID:StvkU8fQ0
大井「まあいいです。次行きたいところありますか?」

北上「んー。うんにゃ、なんか疲れちゃったし休憩したいかなぁ」

大井「休憩、ですか」

北上「?」

大井「いえ。なんだかいつもの北上さんらしくって」

北上「そうかな」

大井「そうです」

おっと、大井っちにも変なテンションだと思われていたのか。

だとしたら、大井っちもやはりらしくないと言える。

言わないけど。
242 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:09:06.95 ID:StvkU8fQ0
家具売り場の木製のゆったりとした椅子に2人で腰掛ける。

北上「おーいいなあこれ。買っちゃおうかな」

大井「買っても何処に置くんですか」

北上「図書室ならいけるっしょ」

大井「そうやって何でもかんでも放り込んでいくといつの間にか収拾がつかなくなりますよ」

北上「む〜」

痛いところをつかれた。

足を突き出し思い切り伸びをしながら誤魔化してみる。

北上「こうして足を伸ばせるのは意外と貴重だね」

大井「毎日スカートというのも考えものです」

北上「ぶっちゃけ私は気にしてないけど」

大井「そこは気にしてください…」
243 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:09:39.22 ID:StvkU8fQ0
北上「私ゃなんだか眠くなってきたよ」

大井「疲れましたか?」

北上「みたいだね、思ったよりも。慣れないことすると後から来るみたいだよ」

大井「眠ってもいいですよ。私はここないますから」

北上「そりゃ悪いよ。それにせっかくのお出かけなのに昼寝に使うなんて…ふぁ…ぁ」

大井「無理してもしょうがないですよ。もう来れないわけでもないですし、北上さんがそうしたいならそうすればいいんです」

北上「むー、それに、あれだ、スマホケース買わなきゃだ」

大井「ケースですか?なぜまた急に」

北上「ちょっとね。別に今すぐ絶対欲しいってこともないんだけどね。ついでついで」

大井「でしたら、あ、いや…急ぎでないならまたの機会でもいいでしょう」

北上「…そうしますかね〜」

瞼がまるで錨のように重く垂れ下がってきた。

深く深く、意識の底まで。
244 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:10:13.02 ID:StvkU8fQ0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

パシャッ

北上「ん?」

聞きなれない音で目が覚めた。

大井「あら、ごめんなさい。起こしちゃいました?」

スマホを持った大井っちが視界に映る。また写真を撮っていたようだ。

球磨「丁度いい。そろそろ戻る時間だ」

多摩「満喫したにゃ」

木曾「上姉も、まあ満喫したみたいだな」

北上「うん…たっぷり寝た」

まだ意識が浮上しきっていない。

みんな揃ってる?今戻ると言っていたが。

大井「もう帰る時間ですよ。北上さん」

北上「マジか」

大井「マジです」

北上「寝過ごした」

大井「それはもうぐっすりと」

北上「おぅ…」
245 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:10:56.62 ID:StvkU8fQ0
でもなんだかすごくスッキリした。

色々あったけど、楽しかったというのは間違いない。

球磨「それじゃさっさと地下駐車場に戻」

球磨姉は最後までそれを言い切ることができなかった。

木曾「うわ揺れ」
北上「なにこれ」
大井「北上さん!」

多摩「全員店の外にでるにゃ!」

それは揺れだった。

海の上とは少し違う、うねる様な揺れではなく割れるような揺れだった。
246 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:11:28.78 ID:StvkU8fQ0
木曾「地震か」

北上「地震、これが」

走るのが困難というわけでもなくとりあえずは周りに何も無いふきぬけ近くまで避難した。

大井「長いですね」

周りにも開けた場所に慌てて移動する人々がいくらかいた。

北上「!」

少し先で小さな女の子が転んだ。

しかし思わず乗り出した身体は多摩姉の手に遮られた。

多摩「関わる必要はないにゃ」

北上「いや、でも」

多摩「最悪ふきぬけから飛び降りるにゃ。4階程度ならなんとかなるにゃ。そしたら」

木曾「…」

大井「収まりましたね」
247 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:12:07.48 ID:StvkU8fQ0
多摩「木曾は地震の震源と大きさを調べろにゃ。大井は津波。多摩は鎮守府と連絡取るにゃ」

木曾「おう」
大井「はい」

多摩姉がテキパキと指示を出す。流石。

ちなみに肝心の長女は、

球磨「」プルプル

丸まって震えていた。今こそ長女としての行動をすべきなのでは。

北上「…」

ちなみに私もスマホを使いこなせないのでこの場では役立たずである。
248 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:12:34.11 ID:StvkU8fQ0
木曾「震源は隣の県だな。マグニチュード4。ここの震度は3か4だろう」

大井「津波の心配もないそうです」

多摩「吹雪からも特に招集はなしだそうにゃ」

北上「結構揺れたのに何も無いんだね」

木曾「高いところにいるとよく揺れるからな。さっき食べてる途中に来てたらもっと揺れてたろうよ」

大井「そういえば北上さん地震は初めてでしたね」

北上「うん。ビックリした」

球磨「球磨もビックリした」

木曾「球磨姉はいい加減慣れろよ…」

大井「地震大国ですからねえ」

北上「やなとこだぁ」
249 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:13:24.36 ID:StvkU8fQ0
多摩「地震とかの大きな災害があると艦娘も色々と忙しいのにゃ」

北上「なんでさ」

木曾「人と同じ形で力はあるからな。救助に復興にと色々便利なんだよ」

多摩「本当にやばい時は上から指示が飛んでくるのにゃ。その場合は急いで戻らなきゃなのにゃ」

北上「人助け、か」

大井「そうなりますね」

北上「ならさっきなんで止めたの」

木曾「さっき?」

木曾と球磨姉がハテナマークを浮かべている。見ていなかったようだ。

多摩「緊急時、多摩達は国のために動く必要があるにゃ。個人のために割く余裕はないにゃ」

なるほど。理は通っている。大局的にということか。

私達はあくまで船の力を持つ人なのではなく人の形をした船という話。

少しだけ寂しい話。
250 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:13:53.46 ID:StvkU8fQ0
球磨「1度揺れたらまた揺れる可能性も大きい!さっさと戻ろう!」ドヤァ

木曾「うおビックリした」

大井「急に元気になりましたね」

多摩「まあ球磨の言う通りにゃ。さっさと戻るにゃ」ヤレヤレ

確かに何度もあの揺れを体験するのはゴメンだ。

北上「やっぱ生き物は地に足つけていなきゃねえ」

木曾「船だけどな」

球磨「津波に巻き込まれるのも中々恐怖だ」

北上「さもありなん」

大井「鎮守府って耐震工事とかしてましたっけ?」

多摩「ぶっちゃけ半分くらいしかされてないにゃ」

木曾「ええ!?マジかよ」

球磨「艦娘は丈夫だしとかいって予算ケチられてると聞いたことがある」

木曾「ひでえ話だな」
251 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:14:29.07 ID:StvkU8fQ0
北上「今日は初体験が多いや」

大井「あまりいいものじゃないですけどね」

多摩「いずれは体験するんだし早いに越したことはないにゃ」

北上「そりゃそうかもだけど」

さっきの光景思い返す。

突然の振動。揺れる家具。空気がいっぺんに不安と恐怖に染まる感覚。隙間で縮こまり震える。

可能ならば二度と遭いたくはない。

北上「縮こまる?」

思わず足を止めてしまった。

大井「北上さん?」

狭いところ。そうだ。確かあれはソファの下だ。わけのわからない現象に戸惑い、外敵から身を守るのに最も適した場所に避難したんだ。

私は。

猫は。
252 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:20:18.99 ID:StvkU8fQ0
北上「ねえ!ここ数年で海外で大きな地震とか起きてない?」

球磨「ど、どうした?いきなり海外だなんて」

北上「場所は、えっと、殆ど地震とかのない大きな国、とかでさ」

木曾「海外って言われてもなあ。でもニュースになるような地震とかって最近見た覚えはないな」

大井「ありましたよ」

北上「ホント!?」

大井「これとか」

スマホの画面を目の前にかかげる。

そこにはある地震の記事があった。

場所も心当たりがある。そして日付は、

北上「2年前…」

多摩「よくそんなもの知ってたにゃ」

大井「たまたまですよ」

球磨「…タマ」

多摩「にゃっ」キッ

球磨「い、言わないクマ!睨むなクマ!」
253 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:21:28.30 ID:StvkU8fQ0
球磨「歩きスマホは危ない」

北上「待ってもう少しだから」

木曾「どうしたよさっきから。地震がそんなに気になるのか?」

大井っちに貸してもらったスマホで記事を見る。

なんでもその地域では数十年ぶりの大揺れだったらしい。

この地震が私の記憶のモノと同じである可能性は高い。

つまり、

私が生まれ変わるまでの期間は短い。

飼い主が生きている可能性は高い。

北上「よし」

大井「もう、急にどうしたんですか?」

北上「色々とね」

色々とあった。

だが終わりよければすべてよしだ。
254 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:22:02.69 ID:StvkU8fQ0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

球磨「皆シートベルトはしめた?」

多摩「バッチリにゃ」

大井「はい」

北上「あーい」

球磨「よぉっしそれでは!」




球磨「反応がないクマ」

木曾「皆疲れてんだよ」

球磨「球磨も疲れたクマ」

木曾「頼むから事故るなよ」
255 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:22:32.30 ID:StvkU8fQ0
夜だというのに街は明かりで溢れている。

灯台いらずだ。

所々何やらイルミネーションみたいなのが飾られているが、お祭りでもあるのだろうか?

大井「北上さん。眠かったら着くまで寝ててもいいんですよ」

北上「もう十分寝たよ。それに景色が見たいから」

多摩「行きもずっと外見てたにゃ」

北上「こうして景色が変わるのってやっぱいいなあって」

木曾「確かになあ。沖に出りゃ見渡す限り海だし」

球磨「あれは確かに飽きるクマ」

多摩「語尾、はもういいかにゃ」

大井「その癖しっかり目を凝らして敵影を探さなきゃですからね」
256 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:23:29.00 ID:StvkU8fQ0
多摩「多摩はちょっと寝るにゃ」

大井「私も少し眠くなってきました」

球磨「球磨もクマー」

木曾「運転手はダメだ」

球磨「無理クマ寝るクマみんなずるいクマ」

木曾「俺が話しててやるから耐えてくれ。曲でもかけるか?」

球磨「頼むクマ」

木曾「何かリクエストは?」

球磨「太陽にほえろ」

木曾「なんでいつも選曲が古いんだよ」
257 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/05/31(木) 14:26:02.57 ID:StvkU8fQ0
イチャラブ書きたいな

休日にまとめてできない分収集の方が辛いのでは…?
報酬がカタパルトなので取り逃しが痛くないのが救い
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/31(木) 19:43:40.10 ID:9aktAEpj0
おつ
サービスタイムあるしコツコツでもいけるいける
一気に終わらせて暇になってしまった
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/01(金) 04:55:11.36 ID:kYC6lUH1o
おつおつ
260 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:16:00.82 ID:qHHMg8wg0
次第に灯りが減っていく。

街を離れ周りを建物や街頭ではなく木が囲んでゆく。

もう少しで鎮守府だ。

景色が私に教えてくれる。

目印となるものがあるというのはいいものだ。

次に何処へ行けばいいのか、何をすればいいのか。



昔、北上に乗っていたという人達も船から見える景色に退屈さを感じていたりしたのだろうか。

北上「へへ」

顔がにやける。

確証はない。が確信があった。

飼い主が生きている。

きっとまた会える。
261 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:17:02.05 ID:qHHMg8wg0
木曾「何にやけてんだ?」

北上「色々あったけど最終的にいい事があったんだ〜」

球磨「大丈夫か?さっきの地震の後からなんか変だ」

木曾「結局あの質問は何だったんだよ」

北上「内緒〜」

木曾「…どう思う球磨姉?」

球磨「落ち込んでいるならともかくその逆なら深くつっこまなくてもいいんじゃないか?」

木曾「そりゃあ、そうかもだけど」

北上「あれ?」

鎮守府が見えてきた。

見えてきたのだが、

その他に見えるはずがないものも見えてきた。
262 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:17:32.29 ID:qHHMg8wg0
木曾「どうした?」

北上「…あー、ん?」

球磨「お、鎮守府が見えてきたクマ」

北上「なんか煙出てない?」

木曾「煙!?」

球磨「煙ー?暗くてよく見えんクマ」

北上「いや絶対煙だよあれ」

木曾「あれかな、秋刀魚用のやつ試してんのかな」

北上「秋刀魚?前にも聞いたことがあるような」

球磨「七輪とか試運転してるクマ?」

北上「もう夜なのに?」

木曾「それもそうだな」

北上「後なんか黒いよあれ」

球磨「黒か。そりゃ見えんクマ」

木曾「まさか地震で火事が!?」

多摩「そんな緊急事態なら連絡がくるはずにゃ」

北上「うぉう多摩姉いつのまに」
263 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:18:15.98 ID:qHHMg8wg0
球磨「帰ればわかるクマ」

木曾「そりゃそうだが。ん?あれ提督か?」

北上「どれどれ?」

多摩「北上、あんまり身体を乗り出しちゃだめにゃ」

北上「ホントだ。わざわざお出迎え?」

球磨「一旦止めるクマ」

鎮守府の門の前。そこで車を止め窓を開ける。

提督「よお。無事おかえりみたいだな」

球磨「当たり前だクマ。球磨がいるんだからクマ」

木曾「提督はここで何やってんだ」

提督「いやぁお前らが少し心配でなー」

北上「あの煙何?」

提督「んー。それよりちょっと車乗せてくれないか?」

球磨「どっか行くクマ?」

提督「ちょっと隠れるのにな」

木曾「はあ?」
264 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:18:49.40 ID:qHHMg8wg0
多摩「今メッセージが回ってきたにゃ」

大井「どうしたんですか?」

北上「おっはー大井っち」

大井「おはようございます」

木曾「なんて?」

多摩「…提督が指名手配されてるにゃ」

木曾「は?」

球磨「何したクマ…」

提督「ちゃうねん…ちゃうねん…」

多摩「賞金は間宮だにゃ」

球磨「行くぞ木曾ぉ!」

木曾「おう!」

提督「待って!後生だから!!後生だから!!」

球磨「来世では間宮に負ける提督にならないように祈ることだクマ」

提督「おのれ間宮ぁ!」
265 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:19:24.90 ID:qHHMg8wg0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

提督「地震の少し前にね、磯風が俺の部屋に七輪持ってきたのよ。ガスの」

北上「大丈夫?オチが確定したけど大丈夫?」

先程と同じ車内。なのだが場所が変わった。

鎮守府の駐車場。そこに止めた車の中で私と大井っちは提督の話を聞いていた。

提督「秋刀魚焼く道具が足りなくてさ。お前らにもおつかいたのんだろ?」

北上「そういやあったね」

提督「それで事足りるなって思ってたら磯風が倉庫から引っ張り出してきたんだよ。すっげえ古いの」

大井「それで」

あの後提督の首を狙う球磨姉達を何とかなだめ私と大井っちはとりあえず事情を聞くことにした。

提督が車を駐車場に戻し、今は運転席に提督。後部座席に私と大井っちだ。

球磨姉達は状況確認のために鎮守府に戻った。
266 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:19:59.36 ID:qHHMg8wg0
提督「地震がさ、来たじゃん。慌てて俺は自分の机の下に隠れてさ、磯風にも早く身を隠せって叫んだのよ」

北上「正しい判断、だよね?」

大井「一応は」

提督「そしたらアイツこの七輪は!?とか聞いてきてさ。お前ら頑丈なせいか危険意識薄すぎだろ」

大井「そこは否定出来ないですね」

提督「それでさ、んなもんどっかにほおってはよ隠れろや!って言ったのよ」

北上「何その言い方」

提督「いやもっと緊迫した感じに言ったけどさ、ともかくアイツも言われた通りにしたわけよ」

北上「つまり」

提督「マジに放り投げやがった」

大井「それで」

提督「ああなった」

北上「どうしてこうなった」

提督「見事にボカンといったよ」

大井「どんな七輪よそれ」

提督「俺が知りたい」
267 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:20:31.66 ID:qHHMg8wg0
結局提督室はそこそこ焼けちゃったらしい。

大事なものとかは特に被害がなかったらしいがそれでも火事は火事。

机とかソファーとかは全滅だとか。床や天井も貼り直さなきゃならない。

大井「磯風は?」

提督「流石は艦娘だよ。地震が来たから艤装で最低限の防御はできるようにしてたみたいでな、髪の毛がギャグマンガみたいになる程度ですんだ」

北上「提督は?」

提督「机が守ってくれた。その後真っ先に磯風を風呂に突っ込んで消化活動」

大井「そして?」

提督「磯風が吹雪にこってり絞られてるすきに逃げてきた」

北上「でも提督は悪くなくない?」

提督「俺の言い方が悪かったっちゃ悪かったし、監督責任ってやつもあるしな。俺に怒るのは仕方ない」

大井「でも、怒られるのはいやなんですね」

提督「だって俺悪くないし」イジイジ

北上「どっちやねん」
268 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:21:18.81 ID:qHHMg8wg0
提督「被害は大した事ないって言ったけど、道具とか結構焼けちまってんだよな」

北上「あのホワイトボードとか?」

提督「そうそう。また買い直さなきゃなあ」

大井「もう少し早く燃えてれば私達が買ってこれたんですけどね」

提督「もしもの話をするなら家事を防ぐ方向でいきたい」

北上「なんなら明日また私らでかいにいこっか?」

提督「明日からは仕事だろお前ら」

北上「むむむ」

提督「俺はそうだなあ…ここで一晩過ごしちまおうかな。どうせ寝室も使えないし」

北上「燃えたの?」

提督「いや。でも復旧作業があるから今日明日は無理だろ」

北上「あれま」
269 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:21:46.35 ID:qHHMg8wg0
大井「…」

北上「大井っち?」

球磨「ただいまクマァ」

提督「おーどうだったよ」

多摩「吹雪はそんなに怒ってなかったにゃ」

提督「マジで!?」

木曾「不幸な事故って話だしな。ただ謎の七輪については要調査だと」

北上「そりゃそうだ」

球磨「ただ」

提督「ただ?」

球磨「机の引き出しにあったいくつかの写真について話があると言っていたクマ」

提督「」

北上「写真って?」

木曾「なにかは教えてくれなかったよ。ろくなもんじゃなさそうだが」
270 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:26:49.07 ID:qHHMg8wg0
提督「やっぱしばらくここで過ごしますはい」

北上「何隠してたのさ」

提督「黙秘権!黙秘権を行使する!」

球磨「ここに留まってると皆にバレるしさっさと戻るクマ」

木曾「だな。上姉もおい姉も戻ろうぜ」

北上「ほーい。んじゃね提督」

提督「おう」

大井「あ、私は少し残ってますね」

多摩「にゃあ?逢引ですかにゃあ?」

提督「ちげーよ!で何のようだよ?」

大井「秘密です秘密!ほら、バレたらまずいですし戻っていてください」

北上「はーい」
271 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:27:15.75 ID:qHHMg8wg0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・

【食堂】

北上「で、さっき提督と何話してたのさ」

大井「黙秘権を行使します」

木曾「やっぱここも少し騒がしいな」

多摩「火災事故だからにゃ、仕方ないにゃ」

阿武隈「北上さーん!」

北上「おーおーどったの」

阿武隈「聞きました!?見ました!?火事!」

北上「聞いた聞いた、見てはないけど」

阿武隈「もう凄かったんですから、私ちょうど外から見てたんですけど」

木曾「それ俺も聞きたい」
272 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:27:55.48 ID:qHHMg8wg0
あーなるほど。

食堂を見渡すとどうやらこの騒がしさは事件の事を話す側と聞く側で成り立っているようだ。

各テーブルで遠征や出撃で鎮守府にいなかった組が一部始終をここで聞いているようだった。

当然話題は晩御飯だけに収まるわけもなく。

【風呂】

神風「びっくりしましたよ。火事っていうからてっきり工廠で夕張さん達がやらかしたんだと」

北上「至極真っ当な推理だけどなんかヒドイよね」

神風「工廠は以前爆発事故で半壊とかしてますからね」

北上「うそん」

神風「ホントですって。原因は、確か宇宙の方のヤマト砲をどうとかこうとかって」

北上「波動砲かよ」

何してんだあの二人。
273 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:28:28.28 ID:qHHMg8wg0
北上「しかし相変わらずというかなんというか、騒がしくわあるけど緊迫感はゼロだよね」

神風「日本でいう地震と同じ感じですよ」

北上「希によくあるって感じか」

神風「そんな感じですね。結局のところみんな慣れちゃってるんでしょうね」

北上「それはそれでどうなんだろうか」

神風「言ってみれば私達歩く兵器ですからね。ちょっとした事でとんでもない事故に繋がる訳ですし」

北上「本物の船もそういう事故は多かったらしいよね」

神風「艦娘の宿命って事なんでしょうね。なまじ普段から戦火に身を晒してる分この程度の事故じゃ特に危機感は抱きませんし」

北上「神風はなんか事故に遭ったりした事ある?」

神風「私はとくになにも。あーでも旗風が電ちゃんとぶつかった事があったかしら」
274 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:29:28.19 ID:qHHMg8wg0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

【提督室前】

北上「立ち入り禁止テープってホントに貼るもんなんだ」

推理小説なんかで見る黄色いテープが入口にはられていた。

ドアは開けっ放しで中が見えるようになっている。今は暗くて見えないけど。

興味本位で来てみたが見えないんじゃしょうがない。

吹雪「気になりますか?北上さん」

北上「吹雪、どったの?」

吹雪「まだいくつか書類がここに残ってたんで回収に。せっかくだし中見ていきます?」

北上「そりゃありがたいね」
275 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:30:02.62 ID:qHHMg8wg0
吹雪「よっと」カチッ

北上「え?」

テープを潜り中に入ると吹雪がスイッチを入れた。

すると部屋の明かりがついた。

当たり前だ。当たり前、だが

北上「電気つくの!?」

吹雪「そりゃまあ」

北上「火事だったんでしょ?」

吹雪「あー、火事って言ってもホントにしょぼいもんですよ。ボヤですボヤ」

北上「ボヤって、でもソファーとか」

部屋のソファーを見る。

背もたれにいくらか焦げた後があった。しかし半分以上は特に被害がなくちょっとした修理で使えそうに見える。

北上「机とか色々と」

提督の机を見る。

爆発で飛んできたのか銃痕のようにいくつかの黒い跡が残っていた。でもそれだけだ。

北上「ダメになって、ない?」
276 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:30:44.99 ID:qHHMg8wg0
吹雪「ね?火事自体は大したもんじゃないんですよ」

北上「ならなんでこんなに大げさに」

吹雪「ソファー触ってみたらわかります」

北上「ソファー?」

なんだろうか。言われた通り手をソファーに押し込む。

北上「うえぇ」グチャ

濡れていた。それも尋常じゃない濡れ方で。

吹雪「ボヤで済んだのはこうしてスプリンクラーや消火作業で辺り一面水浸しにしたからですよ。部屋が使えなくなったのもそれです」

北上「なるほど、そっちは考えてなかったや」

吹雪「火で全部燃えることを考えたら必要な犠牲って感じですけどね。水はなんとか抜いたんで後は床の張替えですねえ」

北上「大変そうだね」

吹雪「そこら辺は夕張さん達の頑張り次第ですかね。でも明日中には終わると思いますよ?」

北上「意外と早い」
277 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:31:16.44 ID:qHHMg8wg0
吹雪「腕は確かですから。あったあった」

探し物は見つかったらしい。

何にせよ部屋の被害はたいしたことなさそうだ。

北上「ん」

扉を見つめる。

この先は確かに提督の部屋になっていたはずだ。こっちは無事なのかな?

あれ、というか今更だがこの部屋入った事ないや。

吹雪「そこは、普段から立ち入り禁止ですよ」

北上「…後に目でも付いてるの?」

吹雪「そんなもの使わなくてもだいたい分かりますよ」

北上「付いてるのは否定しないんかい」

吹雪「基本的にそこは提督の許可無しでは立ち入り禁止です。鍵もかかってますし」

北上「基本的に?」

吹雪「例外的に私が合鍵使う時もあります」
278 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:32:52.64 ID:qHHMg8wg0
吹雪「さ、行きましょう」

北上「はいはーい」

テープを潜り部屋をあとにする。

北上「てーとくどこ行ったのかね」

吹雪「知りませんよ」

少しムスッとした表情で答える吹雪。

北上「怒ってる?」

吹雪「火事の件に関しては特になにも。事故ですからね。それにまず何よりも磯風の事を優先してますし」

今度は、なんだろうか、安心というか信頼というか、言葉に表せない表情をする。

北上「そーいや写真が見つかったんだって?」

吹雪「あーアレですか。しっかり回収してやったんで安心してください。それじゃ、おやすみなさい」

北上「おやす〜」ノシ

安心して?どういう意味だ?あ、大井っちの写真だったのかな。

さもありなん。
279 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:33:35.86 ID:qHHMg8wg0
【屋上】

谷風「いやぁ大変だったよ。磯風のやつ責任取って腹を切るとか言い出す始末でね」

北上「吹雪にこってりしぼられたんだって?」

谷風「まあ事故だしね、そんなにこってりってわけじゃあないよ。ただ反応が面白いから色々といじってたら段々おかしくなってきちまってし」

北上「それ笑い事なの?」

愉快犯め。姉妹に対しても容赦がない。

谷風「そういや君は今日姉妹でデートだったんだってね。いいねぇ熱々だねぇ」

北上「まあね」

谷風「どうだった?外の世界は」

北上「楽しかったよ。相容れないなとも思ったけど」

谷風「ま、そんなもんさね。だからこそたまに行くくらいで楽しいのさ」
280 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:34:06.01 ID:qHHMg8wg0
北上「後初めてまともにスマホに触った」

谷風「そこはもう少し努力してみてもいいと思うけどねえ。この谷風さんだってこいつはそれなりに使いこなしてるんだぜい」

北上「使いこなすねぇ」

ポケットからスマホを出す。新品同様のピカピカのそれは外の世界と同じかそれ以上に相容れない気がする。

谷風「おや?メッセージが来てるみたいだね」

北上「そうなの?」

谷風「ホントに使ってないんだね…ほらこれこれ」

北上「おー凄い。これは、提督から?」

谷風「何かあったのかね?」

北上「さあ。えー、今から会ってくれって」

谷風「ほほぉう」ニヤニヤ

うわすっごい悪い顔してる。
281 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:34:33.83 ID:qHHMg8wg0
やれ逢引だの密会だの散々囃し立てる谷風を何とか振り切って駐車場に向かう。

そういうのは大井っち相手にして欲しいもんだ。

しかしそうなると一体全体私にどういった要件だというのか。

少しづつ駆け足になる。

気になるからだ。

それだけだ。
282 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/13(水) 04:35:30.54 ID:qHHMg8wg0
最後のお茶を求めて

無理だこれ
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/13(水) 05:10:01.83 ID:S8287FqX0
リランカあたりが良い
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/13(水) 08:30:16.93 ID:qOcsD8Nf0
お茶はカレーの外れマス、EOまだなら6-5がでやすい
後は2-3ボスでろ号平行、オリョール外れマスが梅干出るから其なりに美味しい
更新乙です
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/14(木) 03:27:19.97 ID:PTLyOwo4o
おつなのさー
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/14(木) 08:43:28.10 ID:GGCB3TSDO
おつおつ
287 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/16(土) 04:16:07.18 ID:HAi9OBWH0
63匹目:A cat may look at a king



私は言わばなり損ないみたいなものかもしれない。

人でも船でも猫でもない。

でも、そんな私でも、ちょっとばかし夢を見るくらいの権利はあると思う。

少しくらい、いい目にあってもいいと思う。
288 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/16(土) 04:17:21.62 ID:HAi9OBWH0
提督「…」

北上「やほー、さっきぶりだね」

提督「だな」

北上「で、何のよう?」

車内には辛うじて運転席に座る提督の顔が認識できる程度の薄い明かりだけが灯っている。

提督「あーっと、そのだなあ」

何やら歯切れの悪い提督。

提督「…ッシ、実はその、お前にお願いがあってな」

意を決したというふうにそう会話を切り出す提督。

北上「お願いって、まあ提督の頼みなら早々断ることもないけど。でなにさ?」
289 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/16(土) 04:18:06.14 ID:HAi9OBWH0
お使いかなにかだろうか。まさか自分の寝巻きを持ってこいとかか?

確かにここで一晩過ごすなら必要かもしれないがよりによってそれを私にという事もあるま「パンツを見せてくれ」

ん?

北上「え?今なんて?」

提督「パンツを見せてくれ」




はい?




提督「いや、待て、間違えた。今のはなしだ。もう一度言い直す」

北上「う、うん、だよね。もう一度聞き直すね」




提督「下着を見せてくれ」
北上「変わってねぇよ」
290 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/06/16(土) 04:19:43.26 ID:HAi9OBWH0
ロスタイムに落ちた奇跡のお茶

毎度のアドバイスに感謝の気持ちしかないのです
だから頑張って書くのです
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/16(土) 10:22:45.65 ID:/IAsxAkbo
え…えぇ…
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/16(土) 21:20:59.46 ID:NyIqIKAy0
おお、おめでとう 届いたのね
もっと早く聞いてくれw毎度心配でならぬ
293 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/05(木) 03:01:57.53 ID:HtUfy3Xf0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

北上「つまり、大井っちへのプレゼントとして下着を買いたいから手伝ってくれと」

提督「ハイ」

蚊の泣くような声で答える提督。

北上「はぁ…」

提督のあまりのぶっとんだ発言に逆に冷静になれたので一つ一つ問い詰めていくとつまりはそういうことだった。

北上「それにしてももうちっと言い方があるでしょうに…」

仮にも私達の命を預かる立場なのだ。言動に少しは気を使ってほしい…

提督「ゴメンなんかテンパった」

北上「別にパンツくらいいいんだけどね」ペラ

提督「ちょぉお!?…お?」チラ

北上「この時期は少し寒いのでスパッツを履いてみたり」

提督「くっ!」
294 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/05(木) 03:02:38.67 ID:HtUfy3Xf0
提督「いやでもほら!普段からパンツなんて見慣れてるしな!」

北上「その通りなんだけどそれはそれでどうなのよ」

艦娘なんて半数くらいがパンツ丸見えみたいな服装だしそこは仕方ない。

というか見慣れてるとか言いつつチラ見してきたじゃんか…

北上「でもなんだって今このタイミングでプレゼント?」

提督「あいつがここに来て丁度2年くらいなんだよ。それで」

北上「へぇ」

それは知らなかった。
295 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/05(木) 03:03:17.92 ID:HtUfy3Xf0
北上「まあ手伝うのはいいけど、私でいいの?というか私じゃない方がいいと思うけど」

提督「なんで?」

北上「私オシャレとかさっぱりだし」

提督「そりゃーほら、大井といつも一緒だし好みとかそういうの詳しいかなって」

北上「それなら球磨姉や多摩姉でいいじゃん。いや球磨姉は微妙か…でも私よりはマシでしょ」

提督「お前そんなにセンスないのか?」

北上「センスというか、興味が無い。そもそも大井っちと違って私ブラしてないし」

提督「へー、え!?してないの!?」

北上「そんなに大きくないしさ」

提督「へ、へぇ〜」チラ

北上「…いや、あれだよ?ブラしてないだけでスポブラみたいな、カップ付きみたいな下着はしてるからね?」

提督「アーナルホドネー」

ブラ1つでこんなに心動かされるとは男って楽しそうだな。
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