杏奈「百合子さんに嘘をついてみる」

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5 : ◆bncJ1ovdPY [saga]:2018/04/01(日) 23:55:28.50 ID:ZQSaMPV50
「戻りましたー……」

ガチャリと扉が開き、酷く疲れた様子の百合子さんが入ってくる。
レッスン、ハードだったのかな……。

「あ、杏奈ちゃ〜ん……」

まるで飢えたようにこちらに近付いてくる百合子さん。
時間を潰すためにプレイしていたゲームを中断して画面を消すと、百合子さんの方に向き直す。

「ゆ、百合子さん……おつかれさま……」
「ありがと……って聞いてよ杏奈ちゃん!皆エイプリルフールがどうとかで煩くて……」

どうやら百合子さんは、皆からの嘘トークを聞かされ続けて疲れてる様子……。そりゃ一年に一度だし、盛り上がるよね……。

でも、ごめんなさい……杏奈も、盛り上がっちゃってます……。

百合子さんは軽く愚痴を零すと、「そう言えばさっきまで読んでた本が……」と持ってきていた本の感想を語り出す。
それを杏奈は少し不安そうな表情を作りつつ聞いていた。

「そう言えば杏奈ちゃんは何してたの?午前中はレッスン無かったよね」

五分くらい本の感想を語った百合子さんは満足したのか、杏奈に話題を振ってくる。
ーー仕掛けるなら今、だね……
6 : ◆bncJ1ovdPY [saga]:2018/04/01(日) 23:55:56.44 ID:ZQSaMPV50
「そ、その……ね……」
「ん、どうかしたの?」
「鞄の中の……見ちゃった、の……」
「え、何を……」

杏奈があまりに普通じゃない顔をしているからか、分かりやすく狼狽える百合子さん。
そう、杏奈の考えた悪戯はーー

「……ちょっと……えっちな……やつ……」
「……あ、あー……え……?」

本が大好きな百合子さんなら、「そういう本」の一冊や二冊持っていてもおかしくない。
勿論事務所に持ってきてるとは思わないけど、「中を覗いたら入ってた」ということにすれば間違って持ってきたと思い込むはず……。

「そ、その……杏奈……驚いただけ、だから……。百合子さんも、そういう本……読むんだな、って……」
「ち、違うの杏奈ちゃん!あれは……そ、そう!来る途中で押し付けられて……」
「百合子さん……嘘吐くの、下手……」
「う……」

弁解しようとする百合子さんの顔が、絶望に染まっていく。
それを見ているのが楽しくて、ネタばらしはもう少しだけ遅らせることにした。

これが杏奈の考えた嘘。入っていた本を覗き見てしまったことにして、間違って持ってきたと思わせる。
そもそも「そういう本」を持っていないと成り立たないけど……案の定、百合子さんは既に持っていたみたい。

「あ、そういうの持ってるのが……おかしいとかじゃ、なくて……」
「うぅ……嫌いになったよね……あんな本、読んでるなんて……」
「え、えっと……嫌いになんて、ならないよ……?」

当然百合子さんの読んでいる「そういう本」の中身なんて知らなくて、どんな内容なんだろうって気になってしまうけど……。
会話が終わってしまうと意味がないし、そろそろネタばらしかな……。

「ごめんね……気持ち悪いよね……私、あっち行ってるね……」
「あ……百合子、さん……」

ーー杏奈を避けるように、離れていってしまった。
ネタばらしをするタイミングを失ってしまって、「ちょっとやりすぎたかな……」とちょっとだけ後悔。

百合子さんが事務所の扉を開けて出ていったのを確認して立ち上がり、追いかけるように事務所を出た。
7 : ◆bncJ1ovdPY [saga]:2018/04/01(日) 23:56:24.68 ID:ZQSaMPV50
「百合子さん、いた……」

落ち込んだ百合子さんは屋上に行くことが多い。
今回も例外ではなくて、屋上で項垂れている百合子さんを見つけた。

「はぁ……」
「ーー百合子さん……」
「え……あ、杏奈ちゃん!?」

突然現れた杏奈に驚いて、狼狽する百合子さん。
そんな百合子さんを差し置いて、手っ取り早くネタばらしを始める。

「あのね……今日、何の日か知ってる……?」
「何の日って、今日は四月一日で……え?でも……」
「ごめんなさい……さっきの、全部嘘……」

きっと今頃百合子さんは「杏奈ちゃんがこんなことするなんて」と思っているに違いない。
でも見られた事実が無くて安心したのか、疑惑はすぐに晴れたみたい。

「……よ、良かったぁ〜見られてなくて……私ドキドキしちゃったよ……」

そう言って杏奈の方を向く百合子さん。
そう、杏奈の悪戯はこれでーー
8 : ◆bncJ1ovdPY [saga]:2018/04/01(日) 23:56:52.67 ID:ZQSaMPV50
「……でも、百合子さんも……そういう本、持ってたんだね……」
「ーーえ」

ーー終わりにするつもりなんか全く無かった。
寧ろこっちが本題で、ようやくそれに気付いたのか百合子さんは顔を真っ赤にしてあたふたし始める。

「見られてなくて良かったって……どんな本……なのかな……」
「あ……い、いや!さっきのは言葉の綾で……!」
「……ふふっ♪」

そうして百合子さんの持っている「そういう本」について聞き出し、百合子さんの趣味らしい道具を持って悪戯を仕掛けるのはまた別の話……。
9 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2018/04/01(日) 23:57:58.83 ID:ZQSaMPV50
投下終了。短いですがこれで終わりです
あんゆりの尊さがもっと広まりますように……
10 : ◆NdBxVzEDf6 [sage]:2018/04/02(月) 00:45:54.19 ID:vwj+Nsyu0
>>2
望月杏奈()
>>4
七尾百合子(15)
伊吹翼(14)
11 : ◆NdBxVzEDf6 [sage]:2018/04/02(月) 00:57:26.68 ID:vwj+Nsyu0
道具ありか、別の話も読みたい
乙です

>>2
望月杏奈(14) Vo/An
http://i.imgur.com/m6Y8Lf2.jpg
http://i.imgur.com/j9wrdvN.png

>>4
七尾百合子(15) Vi/Pr
http://i.imgur.com/8W3mmWM.png
http://i.imgur.com/oNaYKxk.jpg

伊吹翼(14)Vi/An
http://i.imgur.com/Xy0LTkA.png
http://i.imgur.com/nqysf3c.png
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 02:49:24.69 ID:3Kmmx4T5o
乙乙
その別の話を早く書くんだ!
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 12:12:53.19 ID:vY9ICGDXo
なんで百合子さんはちょっとえっちな本持ってきたんですかねぇ…
14 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2018/04/02(月) 12:21:48.09 ID:P9gfXYgC0
>>13
一応補足しておきますと、百合子さんは「そういう本」を持ってきていたわけではないです
杏奈ちゃんが見つけてしまったように振る舞うことで「紛れているのに気付かずに持ってきてしまった」と思い込まされているだけで、これこそが杏奈ちゃんの作戦だったり
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/03(火) 02:51:53.61 ID:aHSdwuR5o
てっきり百合物のエッチな本を持ってるのかと思った
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