まゆり「トゥットゥルー!」岡部「・・・え?」

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293 : [saga]:2018/06/23(土) 23:32:35.63 ID:iNE4LDsT0
ダル(未来)「原因の原因の究明は、率直に言えば無理だった。僕達は過去のこの時点では、完全に部外者だったから」



ダル(未来)「じゃあもう過去を諦めて、現在のオカリンを説得しようって牧瀬氏は提案したんだ。僕もそれに同意した。……でもその頃にはもう、オカリンは大きな力を持っていて、普通に会えるような相手じゃなかった」


岡部「では結局会えずじまいなのか?今まで?」



ダル(未来)「いや。……一度だけ。会ったと言っていいのか、とりあえず僕とオカリンの最後の接触は、もう10年も前になる」

ダル(未来)「雨の日だった。何度アポを取っても会えないから、直接会って話をしようと決めた」


ダル(未来)「強行手段さ」



ダル(未来)「どこぞの大物と会談をするっていう予定を押さえて、僕と牧瀬氏はそのホテルの前で待ち伏せした。屈強そうな男に囲まれて出てくるオカリンを見るなり、僕は傘を捨てて飛び出したんだ」


ダル(未来)「後ろの方でかすかに牧瀬氏の待って、って声が聞こえたけど関係なかった。もう僕はやりきれなくなってた。それでボディーガードが止めるのも構わずに、オカリン、て叫んだんだ」



岡部「っ……」



ダル(未来)「オカリンはこっちを見たよ。でもあれは」








ダル(未来)「仲間に向ける眼じゃなかった」
294 : [saga]:2018/06/23(土) 23:51:50.59 ID:iNE4LDsT0
ダル(未来)「愕然として、動けなくなったよ。オカリンは構うな、って一言呟いて車に乗って行ってしまった。びしょ濡れになって、ワケわかんなくて、泣きそうになった。けど泣けなかった」


岡部「何、故……」


ダル(未来)「………」





ダル(未来)「牧瀬氏が、泣かなかったから」


ダル(未来)「一番辛いはずの牧瀬氏が泣かなかったから、僕も泣くワケにはいかなかった。ホントは泣いても良かったんだ、あの子は。泣いて当然だった。けど、絶対に泣かなかった。代わりに一言、『タイムマシンを作りましょう』って言ったんだ」


岡部「……!」


ダル(未来)「その日から僕達のタイムマシン製作は始まった。色んな人に支援してもらって、ついに一台のタイムマシンを完成させた。オカリンはこの時間に全ての元凶があると踏んで何度もここにきたらしいけど、僕達は少し時間をずらして、最高の味方に手伝ってもらおうと考えた」




ダル(未来)「つまり君さ」
295 : [saga]:2018/06/23(土) 23:57:31.66 ID:iNE4LDsT0
岡部「そして、鈴羽をこちらによこしたという訳か」

ダル(未来)「自分が行くときかなくてね」


ダル(未来)「ただひとつ……問題が発生してしまった」


岡部「鈴羽が死ぬ、という話か?」


ダル(未来)「そう。君と鈴羽がタイムマシンを発動させた途端、世界干渉率がとんでもない数値を叩き出してね。ここはそれほど重要な世界線ってことなんだろうけど」


岡部「それはつまり、ここでの結果が他の世界線にも影響を及ぼす可能性が高いということか」


ダル(未来)「ああ。だから、鈴羽がここで死んでしまったら、たとえオカリンが世界線が変動したとしても」


ダル(未来)「そこに鈴羽はいないかもしれない。そこでオカリンにひとつ質問」


ダル(未来)「シュタインズゲートに鈴羽は必要だよな?」


岡部「当たり前だ」




ダル(未来)「……………………。」




ダル(未来)「……ならよかった。僕の選択は正しかった」


岡部「ラボメン全員が揃って初めてハッピーエンドに決まっているだろう」





ダル(未来)「……そうだね」
296 : [saga]:2018/06/24(日) 00:11:46.54 ID:CfrM6QXz0
休憩
297 : [saga]:2018/07/05(木) 22:02:38.81 ID:jgW2yuZi0
再開
298 : [saga]:2018/07/05(木) 22:11:43.89 ID:jgW2yuZi0
ダル(未来)「僕達、ホントにアホだったよなー、昔は。君にとってはつい最近のことなのかもしれないけど」


岡部「どうした、急に?」


ダル(未来)「なんだか懐かしくなってさ」


岡部「俺がバカなことを言い出したとき、お前は文句をいいながらも必ずついてきてくれる」


岡部「……感謝はしているぞ」


ダル(未来)「Fuuuuuuuuu!鏡越しからでもわかるぜ、オカリンがタコみたいに真っ赤なのが!」


岡部「な、なっとらんわ!」


ダル(未来)「フゥーハッハッハッハッ!!」


岡部「き貴様、それはマッドサイエンティストの称号を与えられた者のみに許される、」


ダル(未来)「よーし、なんとか間に合いそうだね」


岡部「聞けい!!」
299 : [saga]:2018/07/05(木) 22:12:25.55 ID:jgW2yuZi0
ダル(未来)「いやー、ホントに良かったよ。時間は待っちゃくれないからね」


ダル(未来)「僕が生きている間に、君たちを送り届けられた」










・・・・・
・・・・
・・









岡部「え?」
300 : [saga]:2018/07/05(木) 22:13:38.10 ID:jgW2yuZi0
岡部「……ダル?」


ダル(未来)「使命は全うできた」



岡部「何を言ってる?ダルおま…」















岡部「お前」













岡部「なんだその手は」
301 : [saga]:2018/07/05(木) 22:16:23.04 ID:jgW2yuZi0
ダル(未来)「……うん」



ダルの手は緑色のかたまりになり、ぼたたっと膝の上に落ちた。




ダル(未来)「時間切れみたいだね」



岡部「は……あ、わ、訳がわからん。ワケがわからない!どういうことだ!?説明しろダル!」



俺はもう、目の前で起きたことに対して頭を回転させることができず、ただ、ただすがるようにダルへ質問を投げつけた。



わからない。


何が起こった?


説明してくれ。




……ただひとつ、頭の中で点灯している予感がある、









ダル、お前、





お前…………!
302 : [saga]:2018/07/05(木) 22:20:43.38 ID:jgW2yuZi0
ダル(未来)「心残りは二つある」



岡部「待て、ちょっと待て」



ダル(未来)「ひとつはもちろん、オカリンを僕たちの手で救えなかったこと」

岡部「待て。やめろ、ちょっと待て!」

ダル(未来)「もうひとつは、」


岡部「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」



ダルはどうやってここへ来た?


決まってる。タイムマシンだ。


だがタイムマシンは俺と鈴羽が使った……


そして、目の前のダルの形状……


まさか、


そんなことが可能なのか――?







岡部「ダル、お前、」




岡部「カーブラックホールを無理やり抜けてきたのか……!?」
303 : [saga]:2018/07/05(木) 22:23:30.01 ID:jgW2yuZi0
ダル(未来)「……」


岡部「さっきお前は、タイムマシンは一台といった」



岡部「タイムマシンはもう一台作ってたんだな?」



岡部「お前はもうひとつの……つまり完成してない方のタイムマシンに乗って、ここへ来たんだな……?」




ダル(未来)「……牧瀬氏は、止めたよ」


ダル(未来)「いや、牧瀬氏だけじゃない。みんな止めた」



ダル(未来)「けど、ただ黙って娘が死んでゆく様を見ているだけなんて、できると思うかい」



ダル(未来)「なぁオカリン!!できると思うかい!!」





車は止まった。


ダルは座席を離れ、俺の胸ぐらをぐっと掴んだ。



帽子も、サングラスも、何もない。



そこには、もうほとんど緑色に変色したダルの顔があった。


そしてその眼からは、確かに緑色ではない涙が流れていた。
304 : [saga]:2018/07/05(木) 22:27:01.20 ID:jgW2yuZi0
ダル(未来)「あの子を過去に送り出すのもほんとうは辛かった!!でもあの子は笑顔で承諾してくれた。研究ばかりで家庭を蔑ろにし続けた僕のために!!幼いころ自分を可愛がってくれた君のためにぃ!!」


ダル(未来)「また皆が仲良くなれるならって……!!」



ダル(未来)「オカリン」




ダル(未来)「君ともっと、分かり合いたかった」


ダル(未来)「僕がもう少し君を分かっていれば……こんなことにはならなかった!」


ダル(未来)「すまない……すまない……ッ」



胸ぐらを掴む、ダルの手が落ちて、俺の膝の上にべたりとついた。




岡部「カ…………が」





岡部「バ、カ野郎が」



岡部「……お前は、どうなるんだよ!!?」
305 : [saga]:2018/07/05(木) 22:31:46.08 ID:jgW2yuZi0
岡部「ここは他世界干渉率が高いんだろう!? お前が死んだらどうなるんだよ。シュタインズゲートにお前がいなくなったらどうするんだよォ!!」


ダル(未来)「…………」


鈴羽を助けるため、


自分が消えるリスクを負うなんて――――



ダル(未来)「大丈夫。きっとまた逢える」


岡部「ソースは!」


ダル(未来)「そんな気がするからだ」



岡部「バカか!」


ダル(未来)「ははっ」


ダルは涙でぐしゃぐしゃの顔で、目を細めた。




ダル(未来)「鈴羽に、まだ愛していると伝えてない」


ダル(未来)「ずっとずっと……、どれだけ世界線が変わっても。君のことが大切だと、言葉にして伝えていない」





ダル(未来)「オカリン、頼めるかな?」
306 : [saga]:2018/07/05(木) 22:40:36.84 ID:jgW2yuZi0
岡部「取るなよダル……それは俺のセリフだろう」


ダル(未来)「家族に伝えてくれ、愛していると(キリッてヤツだお☆」


岡部「自分で、言え」





ダル(未来)「じゃあ……またな。オカリン」


岡部「ダル、……ダル!待て、待ってくれ!!いくな!」


岡部「いかないでくれ!!こんなに……こんなに助けてもらったのに!! 俺はまだ何も、お前に……!!」


ダル(未来)「こまけぇこたぁいいんだよ。だって僕ら、友達だろ?」


岡部「ダ、ル……」


岡部「俺は、俺は誇るぞ」


岡部「お前というスーパーハカーを右腕に持てたことを、俺は誇りに思うぞ!!」


ダル(未来)「オカリン……」




ありがとう…………。



















バシャッ
307 : [saga]:2018/07/05(木) 22:42:53.17 ID:jgW2yuZi0
休憩
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 02:15:53.19 ID:htzrpZRno
一気に読んだわ引き込まれる
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/09(月) 05:18:55.83 ID:Vq6dCqrt0
更新きてた
いいぞ〜
310 : [saga]:2018/07/09(月) 15:22:20.49 ID:OKy4FB2B0
再開
311 : [saga]:2018/07/09(月) 15:27:21.32 ID:OKy4FB2B0
まゆり「ん……」


岡部「まゆり。起きたか」


まゆり「んん……オカリン……?あっ、お、おはよう」


岡部「ああ。着いたぞ、まゆり」


まゆり「ええ?ここ、どこだろ…」

まゆり「オ、オカリン!白衣ビショビショだよ?まゆしぃのハンカチあったかな……」


岡部「いいんだ。拭かなくて」


まゆり「え?」



岡部「いいんだ」


岡部「さぁ、降りるぞまゆり。オペレーション・スクルド・リバース……最終段階だ」


まゆり「おりるぞってオカリン、ここ、道路のど真ん中だよー?」








着いたぞ。ダル。



みんなが行きたくて、行きたくて、仕方なかった場所。
312 : [saga]:2018/07/09(月) 15:35:02.86 ID:OKy4FB2B0
鈴羽「この時代のおじさんには身を隠してもらった、紅莉栖さんへはあたしが未来ガジェットで連絡を取った……これで時空が捻じ曲げられるリスクは回避!」


鈴羽「あとは過去のおじさんがうまくやってくれるのを祈るだけ」



鈴羽「ね?おじさん♪」






岡部(未来)「…………」


岡部(未来)「奴には無理だ。俺がこれまで何回跳んだと思ってる」


岡部(未来)「まゆりのもとへはラウンダー1を既に張らせてある。今頃とっくに捕まって2010年に帰っているはずだ」


鈴羽「…………」


岡部(未来)「お前も」



岡部(未来)「もう、動くな」チャキ
313 : [saga]:2018/07/09(月) 15:52:45.20 ID:OKy4FB2B0
鈴羽「やめてよ、そんなもの向けるの」


岡部(未来)「……鈴羽」


岡部(未来)「俺と共に、未来へ帰るんだ。お前の駄々にはもう十分付き合った」


鈴羽「それはできない相談だよ。オカリンおじさん」


岡部(未来)「……何故だ」


鈴羽「まだおじさんを、救ってない……!」





岡部(未来)「……もう、やめろ」


岡部(未来)「もうやめろ!」


岡部(未来)「ワケのわからないことをいうのは、もうやめてくれ!! お前も、ダルも、紅莉栖も……!」


鈴羽「ワケのわからないこと?」


岡部(未来)「そうだ。いつまでもこどものようなことを言って……本気で世界線の向こう側にいけると信じている」


岡部(未来)「俺が一度それに成功したのは!! 未来のお前が助けにきてくれたからだ!俺の力じゃないんだ!」


鈴羽「助けに来てるよ?」


岡部(未来)「!?」


鈴羽「おじさん、あたし、助けに来てるよ……!今も!」


岡部(未来)「……ッ!」
314 : [saga]:2018/07/09(月) 16:07:05.62 ID:OKy4FB2B0
岡部(未来)「フ、フフ、鈴羽よ」


岡部(未来)「期待を……最悪な形で裏切られたことはあるか?」


鈴羽「……」


岡部(未来)「それはもう……ひどい気持ちになるぞ?」


岡部(未来)「己の一生が歪んでしまうくらいには、な」


鈴羽「おじさん……」


岡部(未来)「一生をともにしたいと思っていた仲間たちが……狂っていくのをみたことがある、か?…………ッ」


鈴羽「……おじさんッ」


岡部(未来)「………辛いぞ?」


--------------------------------------------------------------------------------------------------------------――――-----------------------

「オカ……リン、たす、けて、オカ……」


「まゆり!!まゆりーーーーッ!!紅莉栖!!どう、すれば…まゆりが!」


「おか、べ……なにこ、れ、あたまが」


「なんぞこれ……なんだよ、これ、オカリィ、ン」


「紅莉栖、……ダルッ!!リーディングシュタイナーが……!誰か……誰か!!」

---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

「おかべさ……じゃなかった、きょうまさ、」


「り、んたろうさん…………? あれ、ぼく、どうしたんだろう、すみません、ぼく」


「ルカ子……」


「パパ………!パパ………!どうして、どうして………!」


「フェイリス……!」


----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------―






岡部(未来)「……………………」




岡部(未来)「つらいんだぞ…………」
315 : [saga]:2018/07/09(月) 16:10:43.54 ID:OKy4FB2B0
岡部(未来)「………………」


岡部(未来)「すべてを見た俺が、変わらないと言っているんだ」


岡部(未来)「……従え」


鈴羽「…………」






「フゥ――――――ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」







岡部(未来)「……な、」




「そんな奴の言うことに耳を傾ける必要はないぞォォ?鈴羽アアアア!!」












岡部「所詮俺だ。」
316 : [saga]:2018/07/09(月) 20:18:47.97 ID:EmPJBuLj0
鈴羽「おじさ…それにまゆ姉さんも!どうやってここにきたの?」


岡部「フン。その程度狂気のメァッドサイエンティストたるこのほーーおーーいん凶真には些末事よッ。助けに来てやったぞ感謝しろ、未来の俺よ」


岡部(未来)「バカな……!奴め、ここで、裏切ったというのか」


岡部(未来)「誰が一体…」


岡部「ダルだよ」


岡部(未来)「……?」



岡部「未来から来た橋田至が、俺をここまで連れてきてくれた」


岡部「……命を懸けてな」



岡部(未来)「…………」


岡部(未来)「え?」



岡部(未来)「え……」



岡部「見ろ。こんな姿になってまで俺を助けてくれた、そしてお前を助けようとしてくれていた親友を」


岡部「ダルは最期のひとときまで、お前を救えなかったことを悔やんでいた!!」


岡部(未来)「う、うそだ。ダル……ウソだよな?」




岡部(未来)「ダルが、死んだ……!?」
317 : [saga]:2018/07/09(月) 20:22:15.55 ID:EmPJBuLj0
岡部「ダルは死んだ。」


鈴羽「!! とう、さん……?」


岡部(未来)「あ、ぐうう、うそだ、うそだ、うそだ!!!ダルがここに来れるはずがない!!」


岡部「奴は未完成のタイムマシンに乗ってきた。カーブラックホールを無理やり抜けて、あいつの体は半ゲル化し、辛うじて人間の形を保った」


岡部「しかし長くは持たなかった。俺にすべてを託して、あいつは笑って逝った」




岡部「見ろ!!!眼を背けるのは、俺が許さない!!俺たちのために歴史から消えるリスクも厭わず、命を投げ出してくれた親友の最期を!!」



岡部「この白衣こそが、ダルの生きた証なんだ……!!」
318 : [saga]:2018/07/09(月) 20:29:12.34 ID:EmPJBuLj0
岡部(未来)「そんな、はず……あるか、ダル、」


岡部(未来)「すべて終わったら、またみんなで、いっしょに」


岡部「鈴羽よ」


鈴羽「あ……」


岡部「お前の父親の最期の言葉を伝えておこう」


岡部「ずっとずっと、どれだけ世界線が変わっても……お前のことを愛している」


岡部「そう伝えてくれと、最期に頼まれた」



鈴羽「……」



鈴羽「なに、かっこつけてんの、とうさん……」





鈴羽「そんなのいいから、……生きていてよ!!バカぁ!」



岡部「……」


岡部(伝えるべきことは、すべて伝えた。あとはもう、作戦を遂行するだけだ)



岡部(ダル。お前がしてくれたように、俺も命を懸けよう)



岡部(すべて救って……俺も救われてみせる!!)
319 : [saga]:2018/07/09(月) 20:32:13.76 ID:EmPJBuLj0
休憩
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/09(月) 21:34:53.03 ID:UuYz0ZQio
熱いぜ
321 : [saga]:2018/07/13(金) 20:07:47.01 ID:RnCv3Fi10
岡部「仕方のないことだろう?」


岡部(未来)「……?」


岡部「お前は己の理想郷を作り出すために必死でやってきた。多少の犠牲は厭わない、とでもいうように、平気な顔をしていればいいではないか」


岡部「何故そんなにも苦しむ?」


岡部(未来)「……ッ」


岡部「ダルを助けたいならば、ターニングポイントはいくらでもあったはずだ。だがお前はすべて見過ごした」


岡部「そのせいでダルは死んだ」


岡部「お前が殺したも、同然だ」




岡部(未来)「……何も知らないくせにッ偉そうなことをほざくなァ!!」



322 : [saga]:2018/07/13(金) 20:08:27.03 ID:RnCv3Fi10
再開
323 : [saga]:2018/07/13(金) 20:13:36.57 ID:RnCv3Fi10
岡部「知ることはできん。しかしもし俺がおまえだったとしても」


岡部「お前のようにはならん。軟弱者め」


岡部(未来)「!フフ、そうか」



岡部(未来)「俺の過去を、体験してもか」
324 : [saga]:2018/07/13(金) 20:24:57.18 ID:RnCv3Fi10
岡部(未来)「教えてやる。」




奴が笑ったかと思うと、それは途端にやってきた。



岡部「…………ぐ、ううぅぅッッ!!!!」


流れ込んでくる。

奴の、いや俺の、これから体験するはずだった悲しみ!苦しみが!!


だがこれは、想定内だ。俺の本当の狙いは――――



岡部「まゆり!!」


まゆり「お、かり……」


岡部「大丈夫か!!」


まゆり「まゆしぃ、あたまへんになっちゃったのかな……?」


まゆり「オカリンがね、悲しいの。オカリンはここにいるのに……」



まゆり「オカリン、あのひとはだぁれ……?」


岡部(未来)「…………」
325 : [saga]:2018/07/13(金) 20:38:44.25 ID:RnCv3Fi10
岡部(未来)「……フン。しばらくは立つこともできまい」


岡部(未来)「最後のチャンスだ。まゆりを連れて現代に帰れ。残りわずかなラボのひとときを楽しむがいい」


岡部(未来)「俺は狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真。最後の、一縷の望み……ディストピアをこれから完成させる」


岡部(未来)「………ダルのためにも!! 俺はやらねばならない!!こい、鈴羽!!未来へ…」





岡部「違うな」


岡部(未来)「……手を離せ」


岡部「知っているはずだ。鳳凰院凶真は……まゆりを救うために生まれた」





岡部「まゆりは未来で、どうしている」


岡部(未来)「!!」
326 : [saga]:2018/07/13(金) 20:48:20.55 ID:RnCv3Fi10
岡部「答えろ。俺が知りたかったのはその一点だ」


岡部「さっきのリーディングシュタイナーで……まるでフィルターでもかけられたかのように、まゆりの存在だけ感知することができなかった!!」


岡部(未来)「……だまれ……もう、だまれよ……」


岡部「……ひとつだけわかることがあるんだ、未来の俺よ」








岡部「お前はまゆりを救えていない。そして、救うことも本当は、あきらめている。」


鈴羽「おじさん……!」



岡部「……何が鳳凰院凶真。お前はただの、」






岡部「哀れな岡部倫太郎だ。」












岡部(未来)「だ、まれぇぇぇええええぇええぇえぇぇぇぇぇえええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
327 : [saga]:2018/07/13(金) 21:04:58.98 ID:RnCv3Fi10
岡部(未来)「撃てないと、思っているのか!!?さっき言ったはずだ、最後のチャンスだと!!不意にしたのはお前だ!!!!」


鈴羽「………ッ!」


岡部「鈴羽、銃を下げろ」


鈴羽「なにいってんの、おじさん!おじさんが死んだら」


岡部「いいから下げろ。オペレーション・スクルド・リバースは最終段階に入っているのだ。すべては俺の掌の上だ!フハハァ!」


岡部「計画、通り」ニヤ


鈴羽「おじさん!?頭おかしくなったの?」


岡部「覚えておけ。鳳凰院凶真は、いついかなる時でもユゥゥーモアを忘れないのだっ」


岡部「……お前の仕事は終わった。あとは俺に任せろ。鈴羽」


鈴羽「……信じるよ?」


岡部「ああ。信じろ」







ラウンダー1「鳳凰院様っっ!!!!」



岡部(未来)「!!きさま……」
328 : [saga]:2018/07/13(金) 21:14:25.03 ID:RnCv3Fi10
休憩
329 : [saga]:2018/07/17(火) 22:05:50.69 ID:zKuIraUv0
再開
330 : [saga]:2018/07/17(火) 22:06:42.81 ID:zKuIraUv0
ラウンダー1「どうか、動かないでください」


岡部(未来)「……誰に銃を向けているのか、わかっているのか?」


ラウンダー1「鳳凰院様……」



ラウンダー1「岡部倫太郎を撃つということが……どういうことかお分かりでしょう」


ラウンダー1「干渉率の高いこの世界で過去の自分を絶命させると、歴史から自分を葬り去りかねない」


ラウンダー1「それはあなたという存在が元から無かったことになるということ!……あなたが消えたら我々はどうすればいいのですか」


ラウンダー1「理想郷実現に命を尽くしてきた仲間を!! 自分勝手な感情ですべてを……! 不意にするおつもりですか!!!!」



岡部(未来)「フフ、フハハ」


岡部(未来)「前提が間違っているんだよお前らは……。いい機会だ。教えてやる」


ラウンダー1「!?」


岡部(未来)「理想郷は我らが組織のためにあるのではない。ラボメン……いや、まゆりのためにあるものだ」


ラウンダー1「!! なっ」



岡部(未来)「」ジャキッ
331 : [saga]:2018/07/17(火) 22:17:23.86 ID:zKuIraUv0
ラウンダー2「がっ」

ラウンダー3「ぐわッ」

ラウンダー4「う…」


岡部「!!仲間を撃った……だと」


ラウンダー1「な……にをォ!」


岡部(未来)「動くなァ!!!!!」


ラウンダー1「!」


岡部(未来)「本当のことを知ってしまったのだ……生かしておくわけにもいくまい」


岡部(未来)「だが安心しろ。これからも俺のそばにいるのなら、お前だけは助けてやる」


ラウンダー1「ぐ……」



岡部(未来)「お前も大事なラボメンの一人だからな……萌郁よ」



岡部「!」


鈴羽「桐生……萌郁?この人が!?」




萌郁「………」
332 : [saga]:2018/07/17(火) 22:28:32.24 ID:zKuIraUv0
岡部(未来)「萌郁……。お前は勘違いをしている……」


岡部(未来)「俺が望んだのは、まゆりと紅莉栖が無事に生きていくこと……それさえ叶うのならば」


鈴羽「!」

萌郁「……!」


岡部「……」



銃口が、



俺に向く。







岡部(未来)「岡部倫太郎は必要ない。」



まゆり「……ッオカリン!」
333 : [saga]:2018/07/17(火) 22:30:05.98 ID:zKuIraUv0
そう。



ラボが解散したあの日、










岡部倫太郎は死んだのだから――――。


























パンッ
334 : [saga]:2018/07/17(火) 22:51:47.85 ID:zKuIraUv0
萌郁「ぐっ…」


岡部「萌郁!!」


まゆり「萌郁さん!」


鈴羽「おじさん!!逃げて!!」


岡部「……」



岡部(未来)「なぁ……」












岡部(未来)「俺は、生まれてきちゃいけなかったのかな?」


岡部「……!」


まゆり「オカリッ…!」



来る。

数秒後。




奴は間違いなく、俺を撃つ。


まゆりには、庇わせない。








耐えろ、


岡部倫太郎。










死ぬまでの数瞬が、



お前の勝負だ。
335 : [saga]:2018/07/17(火) 22:57:53.53 ID:zKuIraUv0
岡部「俺は」








岡部「俺の名は岡部倫太郎。お前を助けに来た」









岡部(未来)「……………」







奴は驚いたような顔をしてから、あきれたように微笑むと、




少ししてから、俺を撃った。
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/18(水) 00:46:48.16 ID:OJ657dJyo
このSS前にも見た気がするんだがシュタゲSSだと再放送なのか別世界線の記憶なのか分からなくなる不思議
337 : [saga]:2018/07/18(水) 01:04:31.40 ID:LUM2ONJo0
休憩
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/18(水) 14:00:48.90 ID:VruCgcfgO
面白い
339 : [saga]:2018/08/06(月) 12:18:42.81 ID:ZVh+P9mv0
再開
340 : [saga]:2018/08/06(月) 12:19:29.70 ID:ZVh+P9mv0
乾いた破裂音とともに、俺の左脇腹から火が上がった。


岡部「ッっ…」


言葉も出ない。全身の力が抜け、俺は前のめりに倒れこんだ。


まゆり「オカリン!」


岡部「ま…ゆ、り」








岡部「まゆり、すまな、かった」


まゆり「え……」


岡部「守ってやれなか、った、ずっと、ずっと……ぐっ!」


口から……血が溢れる。時間がない。



まゆり「オカリン……なにいってるの、誰か、だれか、たすけて」

岡部「まゆり」








岡部「今日でお前を、人質から……解放する」
341 : [saga]:2018/08/06(月) 12:32:58.25 ID:ZVh+P9mv0
岡部(未来)「!」


まゆり「……!」


岡部「お前の、気持ちには、気づいていた……けど、怖くて、無視、してしまったんだ、」


岡部「お前があまりにも、やさしいのをいいことに……だか、ら」



岡部「もう、お前を、かい、ほう、する…」


まゆり「いやだよ、オカリン、そんなのいやだよ! ……おばあちゃんがいなくなって、オカリンまでいなくなったら、まゆし…」



岡部「ガハッ」ボタボタッ


まゆり「!!オカ、」




岡部「す、まな、かった…………」



まゆり「………!」



342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/08/08(水) 01:37:45.55 ID:40EZHSJd0
待ってた
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