このスレッドは950レスを超えています。そろそろ次スレを建てないと書き込みができなくなりますよ。

【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」如月「その2よ!」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

876 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:45:16.89 ID:dy6IoZCVo

提督「もともと大淀の休みをどうするかって話だったんじゃねえか。なんで俺の話に逸れるんだよ」

吹雪「そ、そんなつもりはないですよ!?」

提督「そうか? まあいいや……それで、大淀は本当に大丈夫なのか? 今の勤務体制のままで」

大淀「はい、もともとこの島の仕事量もそれほど多いわけではありませんので、自由になる時間もいただいてます」ニコ

大淀「提督の仰る通り、仮に一日丸ごとお休みをいただいても、それはそれで暇を持て余してしまいますから」

提督「……そもそも娯楽が限られてるからなあ。近くに気晴らしできる施設でもありゃあいいんだがな」

吹雪「司令官はどんな施設があったらいいって思ってるんですか?」

提督「うん? 俺は別に……って、だからなんで俺の話になってんだよ」

大淀「っく、ぷくく……」プルプル

吹雪「お、大淀さん、笑いすぎですよぉ!」

大淀「す、すみません……ふふふ……」

提督「やれやれ……で、今日の予定はどうなんだっけか? 命令違反の連中が来るのって何時ごろだ?」

吹雪「え? ええっと……マルキュウサンマルですね!」

提督「じゃあ、そのころまでに準備してお出迎えってか」
877 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:46:46.31 ID:dy6IoZCVo

大淀「はい、金剛型の皆さんに大和さんも協力して、お茶と菓子を用意すると言っていました」

提督「そうか。ちったあ暗い雰囲気をなんとかできるといいな」

吹雪「……」

提督「どうした?」

吹雪「艦娘が背きたくなるような命令を出す人が、多すぎますよね……」

大淀「吹雪さんも、捨て艦にされたと聞いていますが……」

吹雪「私を捨て艦にした前の提督は、それこそ苦渋の決断だったと記憶しています」

吹雪「重要な戦闘を前に私が大破したんですけど、危険を承知で進軍すると……私に、どうにか逃げて耐えてほしい、と」

吹雪「結局、私はその期待に応えられなくて……」

提督「一見美談に聞こえるが、力不足の艦娘を無理矢理強行させたわけだからな。そいつの肩は持ちたかねえ」

吹雪「……」シュン

提督「が、これから来る奴らに比べりゃあ、マシというか、まともな神経してると思うぜ」

大淀「……そうですね。あまりに更迭された理由が我儘すぎて……」
878 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:47:30.80 ID:dy6IoZCVo

 * 埠頭 *

 輸送船<ザァァァ…

提督「来たみてーだな」

吹雪「……あれ? あれってもしかして……」

 ザッ

吹雪改二「……初めまして、提督准尉。私は止提督鎮守府所属、吹雪です」ケイレイ

吹雪「……!」

提督「ご苦労さん、俺が提督だ。お前は吹雪の……改装艦か」

吹雪改二「はい。特型駆逐艦、吹雪の第二改装です」

吹雪「うわぁ……格好いい! 私もあんな風になれるんですね!」

提督「はしゃぐな。それより、命令違反した艦娘を連れてきたって聞いてるが」

吹雪改二「はい。今、連れてまいります」クルッ

879 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:48:15.92 ID:dy6IoZCVo

吹雪「司令官! 私も頑張って第二改装になりますね!」

提督「その話はあとでな。へらへらしていい時間じゃねえぞ」

吹雪「す、すみません!」ビシッ


吹雪改二「お待たせいたしました。こちらをお受け取りください、移籍手続きの書類と、手錠の鍵です」ジャラ

提督「……手錠ねえ」ス

「ってえな! 押すんじゃねえよ!」

吹雪「!」ビク

摩耶「こんなもんで拘束しておいて急かしやがって! 危ねえだろうがよ!」

霧島「摩耶。慎みなさい」

摩耶「ち……わかってますよ、霧島さん」

川内「うーん、すごいところに流されたねえ、私たち」キョロキョロ

若葉「……」

880 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:50:00.77 ID:dy6IoZCVo

吹雪改二「こちらの四名……戦艦霧島、重巡洋艦摩耶、軽巡洋艦川内、駆逐艦若葉が、貴艦隊所属になります」

提督「ふーん……」

摩耶「……ああ? 何見てんだよ、くそが!」ギロリ

提督「ああ? うっせーぞ、くそが」ジロリ

摩耶「んなっ!? て、てめえやんのか、おいっ!?」

霧島「やめなさい摩耶!」

摩耶「……っ!」

提督「……」

霧島「あなたが提督准尉ですね。ご無礼をお許しください」ペコリ

提督「気にすんな。あんな理由で連れてこられたんじゃ喧嘩も売りたくなるし、隙を窺いたくもなる」ニヤ

霧島「!?」ハッ

提督「お前の目にも、ちょっと殺気が宿ってたからな。お前も気に入らねえんだろ? いろいろとな」クックックッ

霧島「……」
881 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:51:30.89 ID:dy6IoZCVo

吹雪改二「……提督准尉、大丈夫なんですか?」

提督「何がだ?」

吹雪改二「この場を……この人たちを任せていいか、という意味です」

吹雪改二「そこにいる『私』では、頼りないと思いますが?」

吹雪「っ!」

提督「心配いらねえよ。うちの吹雪だって、そこまで心配になるタマじゃねえし……」チラッ

<提督ー!

提督「ほれ、応援も呼んでる」ユビサシ

龍驤「お待たせやー!」

神通「遅くなって申し訳ありません」

雲龍「待たせてしまったみたいね。ごめんなさい」
882 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:52:30.66 ID:dy6IoZCVo

三隈「……どうして私もなんでしょう……?」

陸奥「ずっと工廠に籠りっぱなしは不健康だからでしょ」

提督「龍驤、こいつ預かっといてくれ」ジャラッ

龍驤「うん? もしかして……手錠かけられてるん?」

提督「そういうこった」

龍驤「ほほーん……ま、ええわ。うちらに任しといてや!」ムネポーン

提督「ああ、頼むぜ」

陸奥「あなたたちがこの島に配属になった人たちね。案内するわ」ニコ

霧島「……はい」

摩耶「……霧島さん、このくらいの相手なら……」ヒソッ

龍驤「おお、なんか怖いこと考えてるん?」

摩耶「っ!」

雲龍「あなた、高雄型の摩耶ね。対空装備が充実してるって噂の」

龍驤「お出迎えが空母に航空巡洋艦やからなあ。一矢報いるつもりかもしれんねえ」
883 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:53:16.07 ID:dy6IoZCVo

龍驤「まあ、あんまり気張らんでええよ? うちらも似たようなもんやったからね!」ニパー

三隈「……まあ! 皆さん、そういうことですの?」

若葉「! もしや……その口振りだと、三隈さんもなのか」

陸奥「そうね……というか、やったことなら三隈が一番すごいんじゃないかしら」

霧島「え……?」

摩耶「……つまり、あたしたちと同じような連中のたまり場ってことか?」

龍驤「雲龍はちょっとちゃうけど、そんなとこやねぇ」

摩耶「……」

龍驤「そういえば神通はどんな理由やったんやっけ?」

神通「私も、厄介払いされたんです」ニコ

龍驤「なんや、訳ありそうな笑顔やなあ」

神通「ええ、正直に言えば、あまり語りたくはありませんね」フフッ

川内「……」
884 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:54:01.06 ID:dy6IoZCVo

 *

提督「サインはこれでいいんだな?」

吹雪改二「……はい。確かに」

提督「さて、俺たちも行くか。んじゃ……」

吹雪改二「提督准尉、少しお時間をいただけますか? いくつか、あなたに質問があります」

提督「ん?」

吹雪改二「……そちらの、秘書艦の吹雪にも」ジロリ

吹雪「……!」ビク

提督「おいおい、尋常じゃねえ目しやがって。何のつもりだ?」

吹雪改二「……提督准尉は」


吹雪改二「S提督を、御存知ですか」


提督「!」

吹雪「!!」
885 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:55:01.01 ID:dy6IoZCVo

吹雪改二「今の反応……やっぱり、そうなんですね」

吹雪「し、司令官!? S提督って……いったい何があったんですか……?」

提督「本営から回ってきた軍の新聞で見たが、S提督は退役したんだよな?」

吹雪「え……?」

提督「ったく、どうしてこう人が身構えてもいねえときに……不意を衝いてそういう話ぶっこんで来んなよな、くそが」ハァ

吹雪「あの、司令官……? S提督が退役したって……」

提督「で? その話を俺とうちの吹雪にするってことは、お前はS提督の関係者か?」

吹雪改二「……おまえの……」

吹雪「っ!」ゾク

吹雪改二「おまえのせいで、司令官は……!!」ギロッ

吹雪「わ、わたしの、せい……!?」
886 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:56:30.74 ID:dy6IoZCVo

提督「どういうことだよ。おい、説明しろ」

吹雪改二「……わかりました」ス…

吹雪改二「S提督は、お優しい方でした」

吹雪改二「そのS提督が、作戦成功のため、たった1度だけ、無理な進軍をして、沈めてしまった艦娘がいます」

提督「……吹雪のことだな?」チラッ

吹雪改二「そうです。その作戦を執って成功を収めたS提督はやがて自己嫌悪に陥り、廃人寸前にまで陥ったと聞いています」

吹雪改二「事態を重く見たそのS提督の艦娘は、何度か建造を試みて、私を建造したんです……!」

吹雪改二「私は、S提督にとても可愛がっていただきました。私も、それに応えようと、努力して艦隊の主力にまでなったんです。なのに……!!」

吹雪改二「S提督は……お辞めになったんです……! 私を……『吹雪』を沈めた罪は消えないと言って……!!」

吹雪改二「私が頑張ってる姿を見るのがつらいって! 私を見ると、沈めてしまった吹雪に申し訳が立たないって!!」

吹雪改二「司令官は……S提督は、『私』を見てなんかなかった。私の努力も、私の顔も、見てなかった……」

吹雪改二「私を通して……沈んで、過去になったはずの……お前しか見てなかったんだ……!!」ギロリ

吹雪「……っ!!」
887 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:57:30.58 ID:dy6IoZCVo

吹雪改二「どうして!? どうして、沈んだお前にしか、S提督は目を向けてくれなかったの!?」

吹雪改二「近くにいるのは私なのに! 私が吹雪なのに!! 頑張ったのは私なのに!」

吹雪改二「司令官を……S提督を好きなのは、この私なのに!! S提督が見ているのは、この私なのにっ!!」

吹雪改二「どうして……どうして私は、身代わりでしかないの……!?」ブワッ

吹雪「……」

提督「……」

吹雪改二「……今の司令官……止提督からは、ここは、いらない艦娘が集められる島だと聞いていました」

吹雪改二「けれど、よくよく調べてみれば、轟沈した艦娘が流れ着く島だって……」

吹雪改二「もしかしたら……S提督が沈めてしまった、『私』がいるかもしれないって……」

提督「それで、わざわざ出向いて探しに来た、ってか?」

吹雪改二「……まさか、こんなにあっさり、見つかるなんて、思っていませんでしたよ」ニヘラ

吹雪改二「それも、何も知らないで、幸せそうににこにこしてて……」プルプル

吹雪「そ、それは……」
888 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:58:16.86 ID:dy6IoZCVo

提督「知らないも何も、吹雪にはS提督のことなんざ何も知らせてねえんだ。知らなくて当然だろうが」

吹雪「司令官……!?」

吹雪改二「……許せない」ジロッ

提督「……!」

吹雪改二「S提督は、ずっと苦しんでいたのに……」

吹雪改二「S提督は、ずっとお前のことを気にしていたのに……」

吹雪改二「S提督の気も知らないで、のうのうと笑っていられる『私』がいるなんて」ジャキッ

吹雪「!」ジリッ

提督「吹雪、下がってろ」

吹雪改二「S提督を苦しめる、悪い吹雪は……ここで、消えてしまえばいいんだ……っ!!」

提督「言いたいことは言い終わったか?」ガシッ

吹雪改二「っ!? ……な、なにこの馬鹿力! は、放して……!」グイ

吹雪「司令官!? そんな風に真正面から連装砲を掴んじゃ危ないですよ!!」
889 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 17:59:15.23 ID:dy6IoZCVo

提督「ああ? 何言ってんだ、こうしねえとお前が撃たれるだろ」

吹雪改二「……い、いいから放して! そこをどいて! 私の邪魔をしないでっ!!」グイッ

提督「勝手なことばかりぴーぴー言いやがって……こっちも言いたいこと言わせてもらうぜ」メキッ

吹雪改二「!?」ビクッ

提督「S提督がうちの吹雪のことを考えてた? だから何だ! 考えてるだけでうちの吹雪が幸せになるわけねえだろうが!」

提督「お前が身代わりだ? それの何が悪い! S提督に可愛がってもらってたのは、うちの吹雪じゃなくて、間違いなくお前だろ!」

吹雪「……司令官……」

提督「お前こそうちの吹雪がどれだけ悲しんでどれだけ泣いたか!」

提督「知りもしねえのに自分のことばっかぎゃあぎゃあ喚きやがって! ああうざってぇ!!」

吹雪改二「う、うざ……っ!」

提督「捨てられたのはこっちの吹雪も同じなんだよ! それも、お前のように育ててもらうこともないうちにな!」

提督「第一、身代わりが不服なら、そう訴えろよ! お前が建造された時にも文句を言えただろうが!」
890 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 18:00:32.29 ID:dy6IoZCVo

提督「S提督もS提督だ! 吹雪を沈めたのも手前の決断した結果じゃねえか! 沈めるのが嫌なら撤退する決断もあっただろうがよ!」

提督「そんな女々しい奴が戦争やっていけんのか! どのみちどこかで挫折して逃げ出すのも、ある意味目に見えてたんじゃねえのかよ!」

吹雪改二「……っ!! し、司令官を悪く言うなっ!!」

提督「なんで庇うんだよ! S提督ってやつは、ここまで慕ってる艦娘を見捨てて、自分の都合で逃げ出したんじゃねえか!」

提督「沈んだ吹雪の面影を別のやつに重ねて、まともにそいつを見ようとしねえ! そのくせ成長したら見るのがつらいだ!? ふざけんな!」

提督「こっちの吹雪も! お前も! 結局はS提督の気分のいいように利用されただけじゃねえか!!」

吹雪改二「そんなことない……そんなことないっ!!」ブワッ

提督「意識していようがいまいが、結果的には同じだろうが!」

提督「一度目は、最初の吹雪を捨て艦で沈めて! 二度目はお前を見捨てて!」

提督「三度目は、お前にうちの吹雪を殺させようとした!!」

吹雪改二「そ、ん……!」

提督「S提督は、吹雪を3回も殺してるのと同じようなもんじゃねえか!」
891 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 18:01:15.96 ID:dy6IoZCVo

吹雪改二「そんなこと……そんなことない……!」フラ…ヘタッ

提督「お前は、そんな奴をまだ信じてんのかよ!!」

吹雪改二「S提督は……そんなことぉ……」グス…

吹雪「し、司令官、さすがに言いすぎですよぉ……」

提督「あ? お前までS提督のことを庇うのか?」

吹雪「い、いえ、そうじゃなくて、そっちの私にです……なにもこんなに泣かさなくてもいいじゃないですか」

吹雪改二「う、うううぅ……えぐ、えぐ」ボロボロ

提督「……ったく、しょうがねえな……」

吹雪「ええっと、私、ティッシュ持ってきます!」タッ

提督「……」

吹雪改二「ぐすっ、ぐすっ」

提督「……おい、お前」シャガミ

吹雪改二「……?」
892 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 18:02:16.35 ID:dy6IoZCVo

提督「今は止提督の下で働いてるんだったな?」

吹雪改二「……」コク

提督「やっていけてるのか?」

吹雪改二「……?」キョトン

提督「あー……あの止提督の下でこれからも働いていけるか、って訊いてんだ」

吹雪改二「……あう……」ウルッ

提督「なんだよ、いきなり気弱になるなよ……やりづれえ」

吹雪改二「……」シュン

提督「……吹雪、お前は止提督とS提督とどっちがいいんだよ」

吹雪改二「……そ、それは……」

提督「この場には俺とお前だけだからな。本音をぶちまけてみろ」

吹雪改二「わ、私は……S提督のほうが、いい、です」

提督「そのS提督には、お前の言いたいことはちゃんと言ったか?」

吹雪改二「……」フルフル
893 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 18:03:31.73 ID:dy6IoZCVo

提督「だったらちゃんと言ったほうがいいぞ。S提督がお前を見てないなら、ちゃんと見ろって言ってこい」

吹雪改二「で、でも……」

提督「やめたとしても関係ねえよ。お前はS提督にちゃんと向き合ったのか? 今までのお礼なり思いなり、ちゃんと伝えたか?」

吹雪改二「……」

提督「S提督に未練があるんだろう? 取り合ってもらえなかったと思ってるから、うちの吹雪に矛先を向けたんだろう?」

提督「うちの吹雪に当たることはできるのに、S提督に当たりには行けないのか?」

吹雪改二「……」ウツムキ

吹雪「あのう……知ってたら、ですけど、S提督は、今どこに行ったんでしょう?」ヒョコッ

提督「!」

吹雪改二「……」

吹雪「私は、轟沈しちゃったから、この鎮守府から離れられないけど……一言だけ、言っておきたいかな……」

提督「一言? 何だ?」

吹雪「もし伝えられるなら……私は元気だから、未練があるなら、早く忘れて欲しい、って伝えてほしいです」

提督「お前……いいのか?」
894 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 18:05:30.69 ID:dy6IoZCVo

吹雪「私が頑張ってるってことを認めてほしかったんだけど、それがS提督にとって嫌な思い出なら、その方がいいなって」

吹雪「それに、S提督には、こっちの吹雪がいますし!」ニコ

吹雪改二「……!」

吹雪「私より後に着任したのに、短い期間で第二改装までできたんだから、その頑張りはきっとS提督にも届いていたはずです!」

提督「なるほど……『認められた』からこその第二改装、か」

吹雪改二「……あ……う……!」ポロポロポロ

吹雪「ああ、泣かないで!」ティッシュサシダシ

提督「箱がらみ持ってきたのかよ……」

吹雪「提督が泣かせすぎるからですよ!」プンスカ!

吹雪改二「ううっ、ぐず……ぢーん!」ズビー

895 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 18:07:00.70 ID:dy6IoZCVo

 *

提督「少し休んでから戻っても良かったのにな。泣き腫らした顔で戻ったら向こうも驚くだろ」

吹雪「……きっと、早くS提督を探しに行きたいんですよ、あっちの吹雪ちゃんは」

提督「そうか。それにしてもまあ、こっちの吹雪も成長したもんだ、自分に殺意を向けた相手にあれだけ優しくできるとはな」

吹雪「……」

提督「どうした?」

吹雪「ごめんなさい司令官……私、そんないい子じゃありません」

提督「?」

吹雪「S提督が、私のことを忘れられなかったって聞いたとき……私、喜んじゃったんです」

吹雪「あっちの吹雪に、勝ったって……心の中で思っちゃったんです」ウルッ

吹雪「最低ですよね……私より努力した相手が、私のことを嫉妬してたことに、優越感を持ったっていうか……いい気になっちゃって」

吹雪「ひどいですよね、私……」グスン

提督「……まあ、思うくらいはいいんじゃねえか」ナデ

吹雪「……」
896 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 18:08:15.69 ID:dy6IoZCVo

提督「この島に着任した時だって、S提督に認めてもらうって目標作ったもんな。忘れられてなかったのを嬉しいと思うのはしょうがねえ」

提督「俺が吹雪にS提督の辞職を伝えなかったのも、それを知ったお前が自棄を起こさないか心配だったからだし……」

吹雪「司令官……!」パァ

提督「誰かに強く思われてることが嬉しいってのも、最近なんとなくわかってきた気がすんぜ……」ハァ

吹雪「! ど、どうしてそこでため息なんかつくんですか!」

提督「……深い意味はねえよ。なんか、お前とのやり取り思い出して、恥ずかしくなっただけだ」

吹雪「は、恥ずかしいって、そんなあ!」

提督「あんなお前みたいな青臭い台詞吐いて……普通なら俺が言うなってツッコミ入るよなあ」

吹雪「そんなことありません! 司令官だって苦労されてるんですから!」

提督「それに、俺はまだ最悪の事態を想定してるからな。俺がいきなり死んでも、悲しまないようにしたいんだが……」

吹雪「んなっ!? まだそんなこと言ってるんですか!!」

提督「それにしても、あれだな。吹雪は、どこの吹雪でも泣き虫だってことはわかった」

吹雪「もーおーー! 話を逸らさないでください! しれーーーかーーーん!!」プンスカ!
897 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 18:09:30.78 ID:dy6IoZCVo

朧「提督。まだそういうことを言ってるんですか」ジト

扶桑「まあ。人をあれだけ煽っておいて、ご自身がそうでは示しがつきませんね」フフッ

吹雪「ふえっ!?」ビクッ

提督「……お前ら、いつから話を聞いてた? 結構前から視線を感じてたんだが」

扶桑「気付いてらしたんですか」

朧「えーと、あっちの吹雪が不穏な空気を出したころからです」

吹雪「それ、ほぼ最初からじゃない!?」

朧「龍驤さんたちが新しく来た人を迎えに行くって騒いでたので」

扶桑「ちょっと野次馬根性が働いてしまいました」ニッコリ

提督「いい笑顔しやがって……」

朧「それで、あの吹雪はいったい何の用だったんですか?」

提督「あいつは、S提督の……吹雪を捨て艦にした提督のところにいたんだとよ」

朧「え!?」
898 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/12/14(土) 18:10:16.22 ID:dy6IoZCVo

提督「で、吹雪に一言物申す、って感じで……まあ、その話はあとだ。あの4人は食堂に案内したんだよな?」

扶桑「ええ、そのはずです」

提督「思わぬところで時間食っちまった。俺も急いで食堂に向かうが、吹雪は大丈夫か?」

吹雪「は、はい!」

 タタタ…

朧「……扶桑さん?」

扶桑「なぁに?」

朧「さっき、吹雪が提督たちに向かって連装砲を構えたとき、全砲門……」

扶桑「……ええ、撃てる状態にしてたわ」ニコ

朧「……」ウヘァ

扶桑「大人げなかったかしら」フフッ

朧「どうなるかと思いましたよ……」ハァ

扶桑「そういうあなたも、提督があの子の連装砲を掴んだ時に、目の色を変えてたみたいだけれど」

朧「提督のああいうところ、朧は嫌いなんですけど」

扶桑「放っておけないのね?」

朧「……まあ、そうですね。お世話になってますから」
899 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2019/12/14(土) 18:11:46.24 ID:dy6IoZCVo
というわけで今回はここまで。
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/14(土) 18:20:50.20 ID:RNpXk2G50
更新乙です
扶桑さんが古女房感
901 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/15(日) 05:56:46.61 ID:Hr79ZqJV0
何か色々とクリティカルに刺さる回だった
902 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/09(木) 03:21:59.82 ID:IKJBQYEN0
あけおめ&ほしゅ
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/15(水) 22:58:03.62 ID:aYMZNDfS0
あけおめ
これめっちゃ好きだわ
904 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/16(木) 10:15:06.33 ID:Cw/Grrq60
あけおめ。続き待ってますね
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/18(土) 20:51:31.93 ID:Nk9CJMFAO
乙でした。
906 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:06:30.95 ID:B4/8xNuCo
遅れ馳せながら、今年もよろしくお願い致します。

そして大変お待たせしました。続きです。
907 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:07:16.61 ID:B4/8xNuCo

 * 食堂 *

金剛「Welcome to our fleet ! キーリシマーー!!」ダキツキー

霧島「こ、金剛お姉様!?」ダキツカレー

比叡「霧島ずるい! 金剛お姉様、私にもハグプリーズです!!」バッチコイ!

榛名「比叡お姉様!?」

若葉「……随分熱烈な歓迎だな」

龍驤「金剛型は仲が良えからなあ」

那珂「川内ちゃーん!」フリフリ

川内「あぁ、那珂もいたんだ」

那珂「せっかくだから、那珂ちゃんも川内ちゃんをハグしよっか?」

川内「いいって、そういうガラじゃないし」

那珂「そーぉ?」

川内「そうそう。今回の異動の理由も誉められた話じゃないしさ」

摩耶「っつうか、異動の理由そのものも納得いかねえけどな……!」
908 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:08:01.34 ID:B4/8xNuCo

長門「その理由が4人とも命令違反と聞いていたが?」

摩耶「そっちの二人はよく知らねえけど、あたしたちはそうさ。あたしと霧島さんは、特攻しろなんて命令出されたからな」

金剛「What's !?」クワッ

比叡「はぁ!?」クワッ

榛名「どういうことですか!」クワッ

摩耶「どうって、その通りだよ。この前、空母棲姫との戦闘があったの知ってるだろ? そいつが目の敵にしてたのが、とある雪風らしくてさ」

摩耶「そいつが沈められると空母棲姫が逃げるかもしれないから、絶対に雪風を守れって指示があったんだよ」

摩耶「そのせいで……雪風を編成に入れてた艦隊は、雪風以外全員沈んじまったんだ……!」

由良「……」

摩耶「雪風が一人取り残されて、今度はあたしたちに雪風の盾になれって指示が飛んできて……」

摩耶「あたしたちは死んでもいいから、雪風だけは守れってさ。ふざけんなって話だよ」

榛名「それ……本当なの!?」

霧島「ええ、本当です。榛名お姉様」

榛名「……」
909 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:08:46.36 ID:B4/8xNuCo

霧島「私たちが所属していたC提督の艦隊は、私と摩耶、それから駆逐艦たちの4人で作戦に参加していました」

霧島「当初、私たちは敵空母艦隊の艦載機から護衛対象……雪風を守ることを作戦目標としていたんです」

霧島「しかし、相手が空母棲姫だとは誰も知らされておらず、私も、情けないことに冷静な対応ができず……!」

摩耶「それでも最初は良かったんだ。ひたすら艦載機を墜として、敵戦力を削っていくしか、あたしたちにはできなかったけどさ」

霧島「駆逐艦の子たちの練度が低かったから大変だったけど、そんな中でも、摩耶は対空砲火のレクチャーをしてくれました」

霧島「慣れない戦い方でありながら、誰も沈まず私たちが最後まで戦い抜けたのは、摩耶のおかげです」

摩耶「何言ってんだよ、霧島さんの一撃がなきゃ、あたしたちは今頃沈んでたんだぜ!?」

霧島「でも、そのせいでみんな散り散りに……」

長門「? そのせい、というのはどういう意味だ」

摩耶「命令はもう一つあって、あたしたちには空母棲姫に直接攻撃するなって指示が出てたんだよ」

長門「それは、空母棲姫に気付かれるな、という意味か?」

摩耶「最初はあたしたちもそう思ったんだけどよ……多分、うちのC提督は、中佐の艦隊に手柄を取らせようとしたんだと思う」

神通「!」
910 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:09:30.98 ID:B4/8xNuCo

長門「そのために、自分の艦隊を危険にさらしたというのか……!?」

摩耶「雪風が取り残されて、今度はあたしたちが雪風を守るってときに、あいつは空母棲姫に反撃するなって言ったんだ……!」

摩耶「確かに、あたしたちは艦載機を相手するのに手一杯だった。けど、対空装備を持たない霧島さんは別だろ?」

霧島「……摩耶は、ここは私たちに任せろ、と言ってくれたんです。空母棲姫に、一撃入れてくれ、と……」

霧島「でも、私には、わからなかった……司令が一体何を考えているのか、理解できなくて……」

霧島「駆逐艦の子の悲鳴が聞こえるまで、私は、迷ってしまっていたんです……!」

金剛「霧島……」ギュ ナデナデ

霧島「……」グス

龍驤「ちゅうことは、霧島が空母棲姫に反撃したのが命令違反、ってことになるん?」

雲龍「おかしいわ。そんな命令、そのものが間違ってる」

摩耶「そう思うよな!?」

雲龍「ええ。どうかしてるわ」

陸奥(同意はするけど、言い方に遠慮がないわね、この子)タラリ
911 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:10:19.05 ID:B4/8xNuCo

摩耶「聞いたか霧島さん! やっぱりあの命令がおかしかったんだ! 霧島さんは間違ってねえ!」

霧島「……いいえ、私の判断は間違っていたわ」

霧島「私の判断がもっと早かったなら、摩耶たちに大怪我を負わせることもなかった……」

霧島「もっと早く判断していれば、B提督の艦隊の子たちを助けることができたはず……それを、私は……私は……!」

摩耶「そんなことないって! 霧島さんは……」

 ガタン! (由良が俯いたまま勢い良く立ち上がる)

由良「……」

長門「……由良?」

由良「ここにいる人は、誰も悪くないわ」

由良「悪いのは……B提督よ」

長門「!」

由良「あの人が……あいつが、全部……!!」ギリッ

那珂「由良ちゃん……?」
912 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:11:00.82 ID:B4/8xNuCo

由良「……この場に、電ちゃんたちがいなくて良かったわ」スッ

龍驤「由良? どこ行くん!?」

由良「……」チラッ

霧島「……?」

由良「ごめんなさい」スッ

摩耶「!」

 スタスタ…

「「……」」

摩耶「なあ、なんであいつ、霧島さんに謝っていったんだ?」

霧島「さ、さあ……」

長門「それはおそらく、由良が以前、B提督の鎮守府にいたからだろう」

摩耶「なっ!? それじゃ、あいつ……!」

神通「由良さんは、大破進軍による轟沈ののち、この島の砂浜に流れ着きました」

川内「……え?」

若葉「轟沈経験艦だと言うのか?」
913 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:11:46.21 ID:B4/8xNuCo

長門「由良は着任してどのくらいになる?」

神通「私より数日早い程度ですから……半年ほどになりますね」

摩耶「じゃ、じゃあ今回の戦闘とは関わりようがねえじゃねえか!? どうしてあいつが謝るんだよ!」

雲龍「そうね。彼女は悪くないわ」

若葉「疎ましかろうとかつての身内……直接の関係はなくとも恥じ入る気持ちは、若葉もわからなくはない」

龍驤「……さよか」

 ゾロゾロ

朝潮「失礼いたします! ただいま遠征から戻ってきました!」ビシッ

如月「……あら? 司令官はいないの?」

龍驤「うん、異動の手続きする言うてたけど……ちょっち遅いなあ?」

霞「ったく、どこで油を売ってんのよ、あいつは」

五月雨「あ、あの、さっき由良さんが怖い顔をして外に行ったみたいなんですけど……!」

敷波「……なにかあったの?」

長門「ああ、ちょっとな……」

敷波「……あたし、ちょっと由良さんのところに行ってくる」クル
914 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:13:02.48 ID:B4/8xNuCo

初春「ふぅむ。やはり事情が事情だけに、簡単に和気藹々とはいかぬか」

那珂「そうしたくはなかったんだけどねー」

霞「そんなの予想できてたじゃない。そうならないよう、あいつがここにいなきゃいけないってのに、本っ当、どこにいるんだか」

山城「まさか、扶桑お姉様と二人きりで何かしてたりしてないでしょうね!?」ヌッ

比叡「うわ、びっくりした!?」ビクッ

龍驤「ちゅうか、山城はなんでそんな発想になるんよ?」

山城「この鎮守府に来てからというもの、扶桑お姉様はよく笑うようになったわ……もう、笑顔が眩しくて眩しくて直視できないくらい」

龍驤「そらええことやんか」

山城「でも、その笑顔で語る話題が提督のことばかりなのよ……!? ことあるごとに『提督に感謝しないと』なんて言ってくるのよ!?」

陸奥「ああ……」

山城「このままだと扶桑お姉様は提督の毒牙にかかって……ああああ不幸だわぁぁ!!」

龍驤「……毒はあっても牙はあるかな?」

雲龍「あっても見かけ倒しだと思うわ」

龍驤「なんでや?」

雲龍「なんとなくだけど」

龍驤「……」
915 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:14:01.21 ID:B4/8xNuCo

長門「まあ、遠からずか。あの男、困ったことに嫌われたがりだからな……自ら火炙りにされたがっていると言うか」

霞「あー……」

初春「確かに、そういうきらいはあるのう……」

山城「とにかくそんなことはどうでもよくて! 扶桑お姉様はどこへ行ったんですか!?」

那珂「扶桑さん、食堂には来てないよ?」

陸奥「山城こそさっきまでどこにいたの?」

山城「工廠よ。最上と島風が目を覚まして、明石に怪我の具合を診てもらってるんだけど、そのときに扶桑お姉様がいないことに気付いて……」

三隈「最上さんが目を覚ましたんですか!?」ガタッ!

山城「ええ、ちゃんと話もできてるし、大事ないみたいよ。朝雲と山雲とも話をしてたし」

三隈「私、工廠に行ってきます!」タッ

山城「私も扶桑お姉様を探してくるわ……!」タッ

金剛「早く戻ってきてくださいネー!」

榛名「せっかくのお茶会なのに、みんなで集まれないのは残念ですね……」シュン

若葉「……ここの山城さんは随分心配性だな」

五月雨「それは……仕方ないと思います。この島に来た直後の扶桑さんは、それこそ……」ウツムキ

若葉「……」
916 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:14:46.41 ID:B4/8xNuCo

那珂「もー、だんだん雰囲気が暗くなっちゃってるよー!? 折角の歓迎会なんだから、もっと明るくいこーよー!」

神通「……」ピク

川内「!」ピク

若葉「む……!」

朝潮「厨房から甘い匂いが……!」

金剛「比叡!」

比叡「はい! 焼きあがったみたいです! 仕上げに行ってきます!」ダッ

霧島「えっ、どうして比叡お姉様が厨房へ向かうんですか!? 早く止めないと……!」

長門「心配しなくてもいい。私も驚いたが、ここの比叡は料理上手なんだ」

霧島「そ、そうなんですか……!?」タラリ

如月「とにかく、みんなを呼んできましょ? 司令官ったら、どこにいるのかしら」タタッ

陸奥「私も工廠に行ってくるわ。三隈や山城がちゃんとみんなを呼んでくるか怪しいし」スッ
917 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:15:21.22 ID:B4/8xNuCo

龍驤「せやなあ……あとのみんなはどこにおるん?」

雲龍「はっちゃんが漁に出てるのと、畑に初雪がいるはずよ。大淀が声をかけに行くって言ってたわ」

龍驤「あー……畑なあ」

摩耶(初雪が畑……?)クビカシゲ

川内(罰ゲームかな?)クビカシゲ

金剛「それでは皆さんが戻ってくるまで、お話しまショウ!」

摩耶「はぁ……歓迎してもらうのはありがたいけどさ、いいのかよ?」

長門「いいのか、というのは、どういう意味だ?」

摩耶「あたしたちは命令違反を犯して、おまけにC提督をぶん殴ってきたんだぜ? どういう立場の艦娘か、わかってんだよな?」

摩耶「だってのに、来て早々手錠も外してもらって、こんな扱いされていいのか、ってんだよ」

大和「大丈夫だと思いますよ?」スッ

霧島「!?」

川内「大和……さん!?」

若葉「……これは驚いた」
918 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:16:16.45 ID:B4/8xNuCo

摩耶「その……大丈夫だって根拠は?」

大和「提督が問題ないと仰っていましたから!」ニコ

摩耶「……」

長門「すまんな、この大和は提督を盲信していてな……」

川内「そうなんだ……」

若葉「それはともかく、どうしてその大和さんが厨房から出てくるんだ?」

大和「それは勿論、お料理していたからですよ? 比叡さんが来ましたから、交代してきたんです」

長門「この鎮守府には間宮と伊良湖がいないんだ。だから、厨房は回り番で担当している」

霧島「……」

霞「比叡さんが来るまではみんな自分でご飯作ってたわよね」

朝潮「司令官に作っていただいたこともありました!」

五月雨「そ、それ、本当ですか!?」
919 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:17:01.37 ID:B4/8xNuCo

雲龍「この前はそばやうどんを茹でてたみたいだけど?」

長門「今は自分用に早めの朝餉を取るときくらいしか、厨房に入らないんじゃないか?」

霞「あいつが厨房の様子を見に来て、ぶつくさ言いながら手伝ってたこともあったわよ。それでも結構昔だけど」

大和「今は厨房の人数も十分ですし、安心して私たちに任せているんだと思います」

若葉「……ということは、若葉たちも厨房の手伝いをする必要があるということだな?」

長門「いや、不得手だということなら無理に手伝いはお願いしないぞ。代わりの仕事もあるしな」

龍驤「せやなあ。畑仕事は初雪がやっとるし……」

摩耶「初雪が!?」

川内「罰ゲームじゃなかったの!?」

龍驤「……なんか、利根の気持ちがわかった気がするで」
920 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:17:46.43 ID:B4/8xNuCo

 * 工廠 *

利根「ふえっきし! むう、誰ぞ吾輩の噂をしておるのか?」

朝雲「今頃食堂で、みんな来ないねって話をしてると思いますよー?」

最上「? なにかあったの?」

山雲「今日は〜、新しい人が入ってくる日なんだそうです〜」

白露「最上さんも入ったばかりでしょ? 目を覚ましたんなら、一緒に参加してもらって、歓迎されなくちゃ駄目じゃないの?」

利根「うむ、その通りじゃ。なにより三隈も心配しておろう、早く顔を出しに行くが良かろう」

島風「検査終わったよー! 早く食堂に行こう!」トテテッ

朝雲「ちょっと待ちなさいよ、明石さんは?」

明石「私は後片付けをしてから行くから、先に行っててもかまいませんよ!」

島風「だって! 御馳走を用意してるっていうし、早く行こうよー!」

白露「じゃあ、最上さんも一緒に行こっか!」

最上「う、うん」

島風「うん! それじゃ、食堂まで競争だよ!」

最上「えっ」
921 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:18:31.04 ID:B4/8xNuCo

白露「位置についてー! よぉ〜い!」

白露&島風「「どん!」」

 ドドドドドド…

最上「えっ!? ちょっと、待ってよぉー!」タタタッ

朝雲「……あの二人、最上さんが病み上がりだってわかってないわよね……」アタマカカエ

利根「島風があの元気じゃからなあ……」

明石「というかあの二人、最上さんそっちのけで競争おっ始めてない?」

全員「「……」」

山雲「そうね〜、あの二人なら、ありえるわ〜」

 コンコン

三隈「失礼します、最上さんが目を覚ましたと聞いてきたんですけれど!」チャッ

朝雲「えっ? たった今部屋を出たんだけど、すれ違わなかったんですか!?」

三隈「え、ええ……?」

山雲「それじゃ、島風ちゃんたちはどこへ行ったの〜……?」

山城「扶桑お姉様!! 扶桑お姉様はどこにいるの!?」バーン!

利根「揃いも揃って何をやっとるんじゃ……」アタマカカエ

明石「仕方ない、探しに行きますか……」ハァ
922 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:19:16.42 ID:B4/8xNuCo

 * 砂浜 *

黒潮「……」トボトボ

 ザザーン

黒潮(……うち、なにしとんのやろなぁ……)ハァ

黒潮「……?」

海を見てたそがれている電「……」

黒潮「……」

電「……」チラ

電「……」ペコリ

 (電が黒潮に軽く会釈をして、また海に向き直る)

黒潮「……」

電「……」

黒潮「……」

電「……黒潮ちゃんは、雪風ちゃんのこと、聞きましたか……?」

黒潮「!」
923 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:20:01.27 ID:B4/8xNuCo

電「……」

黒潮「……うん、まあ、一応、な。助かったっては聞いてる」

黒潮「けど、雪風を庇って沈んだ子がたくさんいる、とも聞いてる。うちのせいで……」

電「……電のせいなのです」

黒潮「!?」

電「雪風ちゃんは、B提督の艦隊に編入されました」

電「そのB提督の初期艦は、わたしなのです」

黒潮「……!!」

電「B提督に、こんなことをしちゃいけないって……説得できなかった電が悪いのです」

電「電が、説得できなかったから……ほかのみんなが、沈んでしまったのです……!」グスッ

黒潮「いや、そんなん電の責任とちゃうやろ……うちがここに来る前から、電はここにおったんちゃうん?」

黒潮「そしたら、電は関係ないやんか」

電「そんなことは……」
924 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:20:46.27 ID:B4/8xNuCo

黒潮「うちこそ、雪風を助けるつもりだったのに、逆に危険な目に遭わせてもうたん……」

黒潮「雪風が空母棲姫に狙われたのも、うちが一人で海に出たせいなんや……!」

電「でも、黒潮ちゃんがいなかったら、雪風ちゃんはもっと酷い目に遭っていたのです」

電「黒潮ちゃんの怒りは当然だと思うのです」

黒潮「そこまではそうかもしれんけど、その後のうちの身の振り方が問題やったんや」

黒潮「雪風が空母棲姫に狙われへんかったら、沈んだ子たちも沈むことがなかったんちゃうんか、て」

電「……そうかもしれません」

電「でも、B提督が変わってくれない限り、違うところで、同じことをしないとは限らないのです」

黒潮「……」

電「……」

黒潮「……」
925 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:22:00.37 ID:B4/8xNuCo

電「黒潮ちゃんは、歓迎会には行かないのですか?」

黒潮「……気分やないよ。電は?」

電「電は、ここでみんなをお迎えするのです」

黒潮「? ここに、新しい艦娘が来るん?」

電「そうじゃないのです。この浜には、轟沈した艦娘が流れ着いてくるのです」

黒潮「え……?」

電「電も大破して航行不能になって、運よくこの島に流れ着いたところを司令官さんたちに助けてもらいました」

電「空母棲姫に沈められた艦娘が流されてくるとしたら、きっとここに流されて来ると思うのです」

黒潮「沈んだ子たちを、助けられるってことなん……?」

電「司令官さんは、生きていれば奇跡だって言っていました。遺言が聞ければ良いほうだとも……」

黒潮「……」

電「だから、電はここにいて、流れ着いてきた子たちを労いたいのです」

電「流れ着いてきた子たちに、声をかけてあげて……弔ってあげるのです」

黒潮「……さよか。すごいなあ、電は。立派や」

電「そんなこと、ないのです……」

黒潮「良かったら、うちにも手伝わせてもらえへんかな……!」

電「! ……わかったのです。手伝ってもらえますか?」ニコ
926 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:22:46.65 ID:B4/8xNuCo

 * 鎮守府内 廊下 *

吹雪「急いでください、司令官!」

提督「ああ……ん? ちょっと待て」

吹雪「! 由良さん……敷波ちゃんも!」

由良「……提督さん」

敷波「司令官……!」

提督「何かあったのか」

由良「どうして……どうしてB提督には、何も罰がないんですか!」

提督「……」

由良「あんな、無茶な艦隊運営をして! どうして……!」

提督「あいつは、部下を失った可哀想な提督……って評価をして貰ってんだろうな」

由良「そんなの……!!」

提督「俺だって納得できねえよ。だが、作戦の指揮を執って成功に導いた中佐が、慈悲深いところを見せた、って言われてるらしいぜ」

由良「……!」
927 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/01/20(月) 00:23:46.65 ID:B4/8xNuCo

吹雪「そ、それじゃ、B提督は……!」

提督「一応、完全にお咎めなしって訳じゃねえが、結局は中佐の配下に加わるって予定調和が待ってるだけさ」

由良「……なんてこと……!」

提督「ついでに言うとな、B提督だけじゃなく、C提督とか言う奴も、中佐と繋がりを持ちたがってるみたいでな」

提督「作戦がうまくいったら、これからも協力させて欲しいとか言ってきたんだと」

吹雪「そ、それって本当ですか!?」

提督「本営にいる間、不知火が聞いたんだとよ。中佐が優秀な人材を集めてるらしくて、本営のお偉方に頭を下げに来たんだと」

提督「その噂のおかげで、C提督みたいな困った連中が、中佐にアピールしたがってるみたいなんだ」

敷波「そんなにしてまで、中佐に取り入られたい人がいるの……!?」

由良「……」ギリッ

 「おい……」

提督「!」

摩耶「今、C提督って言ってたな……その話、本当か?」スッ

提督「……」
928 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2020/01/20(月) 00:25:18.58 ID:B4/8xNuCo
今回はここまで。

929 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 22:58:58.21 ID:w6lTUMK8O
乙です。
930 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/02/22(土) 23:32:05.22 ID:XeT7i2ZBo
続きです。
931 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/02/22(土) 23:33:02.53 ID:XeT7i2ZBo

 * 鎮守府内 別の廊下 *

白露「いっちばーん!」ドドドド

島風「はっやーい!」ドドドド

最上「ひぃ、へぇ……ま、待ってよ〜!」

最上「あの二人おかしいよ……めちゃくちゃ速いし、息も切らせてないし……!」

最上「やばっ、あの角で見失いそう! 急がないと!」ダッ

伊8「……ん?」スッ

最上「!? きゅ、急に出てこないで! うわあああ!」

 ゴロゴロゴロズデーン

最上「あ、あたたた……」

ル級「勝手ニ走ッテキテ、勝手ニ転ンダワネ」

伊8「大丈夫?」

最上「う、うん。とにかく、衝突しなくて良かったよ」

伊8「オウ。はっちゃんを避けて転んだんですか」

最上「あはは……知らない場所を走ったら危ないよね。ごめんごめん」
932 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/02/22(土) 23:33:47.84 ID:XeT7i2ZBo

ル級「アノ二人ヲ追イカケテタノ?」

最上「うん、食堂に案内してもらうはずだったんだけど……」

伊8「あの二人を走らせたら誰も追いつけませんよ?」

ル級「案内役ニハ、ナラナイワネ」

伊8「はっちゃんたちも食堂へ行くので、一緒に行きましょう?」

最上「あ、ありがとう、助かるよ! 僕は最上! よろしくね!」

伊8「伊号潜水艦、8です」

ル級「……」

伊8「どうしたの?」

ル級「ソウイエバ、私ノ名前ッテ、ナイワネ……」クビカシゲ

伊8「あー……ル級っていうのも、私たちがつけた識別のための名称だし……」

ル級「マア、ル級デモ構ワナイワ。ソノウチ良イ名前デモ考エテミヨウカシラ」

最上「……」

ル級「? 最上? ドウカシタノ?」

最上「し、し、深海棲艦ーー!?」ヒョエーー

伊8「驚くの遅すぎない?」

ル級「コノ反応ノ遅サハ衝突ヲ招クワネ」

933 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/02/22(土) 23:34:32.61 ID:XeT7i2ZBo

 * 砂浜 *

由良「……ってことがあって」

提督「そういうことかよ……ほんっとに面倒臭えな」

如月「司令官、ここにいたのね……って、どうしたの?」

提督「ん? ああ……あれだ、あれ」ユビサシ


黒潮「だから、さっきからうちのせい言うとるやんか!」

摩耶「あたしのせいだって言ってんだろ!」

電「電のせいなのです!」


如月「……あれ、なにしてるの?」

敷波「みんな、B提督の艦娘が轟沈したのは自分のせいだって言い張ってるんだよね」

由良「そんなの、誰も悪いわけないじゃない……!」

提督「まったくだ。なんでこう、どいつもこいつも背負い込みたがるのかねえ」ハァ

如月「あらぁ? 司令官がそれを言います?」ニコー

由良「電ちゃんのああいう姿勢は、提督さんの影響じゃないんですか?」ジト

敷波(まあ、電は前から結構頑固な性格だって、あたしは知ってたけど)
934 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/02/22(土) 23:35:18.07 ID:XeT7i2ZBo

提督「俺のことはほっとけ。それよか、あいつらなんとかなんねーのか」

敷波「えー? それこそ司令官がなんとかする話なんじゃないの?」

提督「俺に一日に何人説得させる気だよ、面倒臭え」

敷波「でもさ、あたしたちが何か言って納得してくれると思う?」

提督「……」

敷波「みんな原因がそれぞれの提督たちなんだしさ。同じ立場の司令官が言いくるめてあげないと、ずっとあの調子だと思うよ?」

由良(言いくるめる、って言い方……)タラリ

提督「……そーなんのかねえ、やっぱり」ハァ

敷波「まー、司令官の言い草もわかるんだよね」

敷波「由良さんも言ってる通り、悪いのはB提督たちなのに、電は自分のせいにしちゃってさ、何やってんだろって」

敷波「でも電もさ、初期艦としてB提督を導くつもりで必死になってたんだし……」

敷波「必死だったからこそ、自分がやってたことに責任を感じすぎてるんじゃないかなー、きっと」

提督「……」

由良「そうね……作戦がうまくいかなかったとき、電ちゃんは一生懸命ほかの方法を考えてくれてたのよね」

由良「聞き入れてもらえたことは殆どなかったけれど……!」
935 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/02/22(土) 23:36:03.02 ID:XeT7i2ZBo

敷波「無駄にプライドが高いんだもん。司令官みたいに話を聞いてくれたりしないしさ!」

敷波「なんか思い出したらむかむかしてきちゃった」ムー

如月「うーん……ちょっと、食堂で待ってるみんなに遅くなりそうって伝えてくるわね」クル

由良「ええ、お願い」

提督「……」


摩耶「お前らが責任感じることはねえんだよ!」

黒潮「きっかけはうちが作ったんやんか!」

電「みんな関係ないのです! 電の力不足だったのです……!」


提督「しゃあねえな……」スタスタ

由良「提督さん?」

敷波(説得してくれるのかな……それとも……)

提督「……おい、お前ら」

電「!」
936 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/02/22(土) 23:36:48.95 ID:XeT7i2ZBo

提督「阿呆臭えからもうやめろ」

電「!?」ギョッ

摩耶「はぁ!?」ギロッ

黒潮「なんやて!?」グリッ

提督「ああ? 聞こえなかったんならもう一回言ってやる、俺は阿呆臭えって言ってやったんだよ」

由良「」マガオ

敷波「ああ……やっぱり……」ウヘェ

電「し、司令官さん!?」

提督「お前らが責任感じるのは勝手だ、好きに懺悔してろ。だがな、そんなことに大した意味はねえ」

提督「まず電。お前、この島に来て半年以上経ってるよな。その間、B提督になにか助言なり連絡なりしたのか?」

電「それはしてないのです……でも」

提督「でも、なんだ? 初期艦だろうが何だろうが、半年も話す機会がねえならお前はこの件に関係しようがねえ」

提督「お前が本営に行って首を突っ込んだって、門前払いされて終わりだろ。何もできねえよ」

提督「次、黒潮。雪風が空母棲姫に目をつけられたのは、お前が行方をくらませたのが原因っちゃあ原因だが……」

提督「それ以前に、保提督が雪風たちをクズどもに差し出したのが、ことの発端じゃねえか」

黒潮「う……」
937 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/02/22(土) 23:37:36.44 ID:XeT7i2ZBo

提督「手前の部下を、保身のために生贄に出して、黒潮の怒りを買った保提督が悪い。以上」

提督「最後に摩耶。B提督の艦隊に接触したのはいつだ? 事前に話はできたのか」

摩耶「へっ? ば、馬鹿言うなよ、事前ミーティングなんかできるかよ。海上での合流だったし、どんなメンバーかすら知らなかったんだぜ?」

提督「だったら、そんなんでB提督の艦隊まで守れるとかほざくな、非現実的だ」

摩耶「ぐ……!」

提督「ただでさえ得体のしれない敵を相手に、出会ったばかりの味方と連携なんて無理に決まってんだろ」

提督「第一、お前は自分の仲間をほったらかしていい状態だったか?」

提督「対空防御の術を知らねえ霧島に任せてたら、霧島含めてお前の仲間が沈んでたんじゃねえのか」

摩耶「……」

提督「対策でも何でも、そんなもんC提督とやらがやらなきゃ話になんねえよ。やってなかったC提督の落ち度じゃねーか」

提督「どいつもこいつも、自分にできること以上のことを自分に求めすぎだ。この業突く張りどもめ」

電「し、司令官さんも人のことは言えないのです!」

提督「ああ? 俺だって無理なもんは無理だってお手挙げしてるだろ。手が届く範囲ならその限りじゃねえってだけで」

黒潮「う、うちが無関係っちゅうことにはならんやろ……」

提督「確かに無関係じゃねえなあ。が、今更お前がしゃしゃり出たところで、事態は何か好転するか?」
938 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/02/22(土) 23:38:18.09 ID:XeT7i2ZBo

提督「保提督の不祥事も、今回の空母棲姫騒ぎで有耶無耶にされようとしてる。世間に対する艦娘のプレゼンもひと段落」

提督「そこへスキャンダルの種になりそうなお前が現れたら、この騒ぎを収束させたい奴らは全力でお前を捕まえに行くはずだ」

提督「そうなりゃあ、お前、文字通り消されるぞ」

黒潮「……っ」

提督「とにかくだ、これからどうなるかわからねえにしろ、まだ雪風は生きてんだ」

提督「雪風にこれからも生きてて欲しい、なんとか幸せになって欲しいって考えてるなら……」

提督「黒潮が生きてるっていう雪風へのグッドニュースは、用意しておきたいと思わねえか?」

摩耶「……確かに、そりゃあ……!」

電「そうなのです……!」

黒潮「……」

提督「艦娘の情報も一般人に知れ渡っちまった今なら、同情を買われて戻れる可能性もあると思いてえな……」

摩耶「だったらあたしが雪風を保護しに行って……」

提督「だからそういう勝手な真似してんじゃねえよ。たかが一兵卒がそこまで出しゃばっていいと思ってんのか。生意気だ、くそが」

摩耶「あぁ!? ふざっけんなよ、くそが! お前こそあたしを誰だと思ってんだ!」
939 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/02/22(土) 23:39:02.83 ID:XeT7i2ZBo

提督「そんなん知るか。命令違反で島流し食らったバカが偉そうな口きいてんじゃねえぞ、くそが!」

摩耶「あぁあ!? お前こそこんな辺鄙な島で干されてんじゃねーか、下っ端のくせに偉そうにすんなよな! くそが!」

提督「くそが……って、真似してんじゃねーよ! オウムかてめーは!」

摩耶「真似てんのはお前だろ! くそ野郎が!」

敷波「……あのさあ、唐突にイチャつくのやめてくんないかな」

提督&摩耶「「イチャついてねーよ!」」

由良「息ぴったりじゃない」ジトメ

提督「ったく……まあいい、とにかくこんなくっだらねえ言い争いする気はなかったんだ」

提督「お前らも少し頭を冷やせ。自分のせいだって責めてるようだが、俺にしてみりゃお前らは被害者だ」

摩耶「……あたしもそうだってのか」

提督「俺にはそうとしか思えねえな。摩耶、お前の僚艦に三日月っていたろ」

摩耶「!」

提督「本営にいた不知火にな、お前が引き連れてた駆逐艦たちと話す機会を作ってもらったんだ」

提督「その時にいろいろ聞いてもらった。今回のことの顛末、お前と霧島の様子、雪風のこと……」

提督「それから、お前が激昂してC提督の鼻っ柱を殴ったことも、な」

摩耶「っ……わ、悪いかよ!」
940 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/02/22(土) 23:39:47.85 ID:XeT7i2ZBo

提督「悪かねえよ。むしろC提督なんかぶっ殺せりゃ最高だったんだがなあ……なんで拳骨一発で済ますんだよ」

摩耶「はあ!?」

提督「黒潮の件も今更だけど、保提督もクズどももまとめて海の藻屑で良かったんじゃねえかなあ」

黒潮「ちょっ……そこまでやるん!?」

提督「やれとは言ってねーよ。こうだったら良かったなーってのを素直に口にしただけだ」ケッ

由良「そういうのは素直とは言わないと思うんだけど」

電「この手の発言にはオブラートを包む気がないのが、司令官さんのどうしようもないところなのです……」

敷波「まあ、言い方はアレだけどさ。黒潮や摩耶さんのやったこと、司令官は駄目じゃないって言ってるわけでしょ?」

提督「おうよ」

摩耶「……じゃあ、あたしたちはどうしたらいいんだよ」

提督「とりあえずだ、今は食堂に戻らねえか? せっかくうちの連中がお茶を用意して待ってんだからよ」

摩耶「それでいいのかよ……」

提督「罪の意識で自分をいじめ過ぎなんだよ、お前らは。叩いてもらうっつーか、罰をもらって気を楽にしたいんだろ」

提督「悪くもねえのにそんなことしたって意味ねえんだ。つまんねー意地の張り合いしてねえで、頭空っぽにして休め」

摩耶「……」
941 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/02/22(土) 23:40:33.19 ID:XeT7i2ZBo

敷波「だいたいさぁ。みんな、自分が悪いって言ってるけど、お前が悪いー、って話は誰もしてないよね」

敷波「お互いに、やったことを仕方ないって思ってるんなら、誰が悪いってならなくない?」

摩耶「……」

黒潮「……」

電「……」

摩耶「……なあ、行こうぜ」

電「!」

摩耶「さっき黒潮の話や電の話を聞いたけど、あたしはお前らが悪いなんて思わなかったんだよな」

摩耶「お前らはどう思う? お互いのことや、あたしのこと。悪いって思ったか?」

黒潮「……うちのほうが悪い思っとったなあ……巻き添えや思ってたわ」

電「電も、二人は悪くないと思ったのです……」

摩耶「そか。だったら、あたしたちは誰も悪くないのかもな……」

電「……なのです」

黒潮「……せやったら、ええなあ」

由良「もうっ! 由良は最初からそうだって言ってるでしょ!?」プンスカ

摩耶「わ、悪かったよ! 落ち着けって、な?」
942 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/02/22(土) 23:41:25.67 ID:XeT7i2ZBo

提督「由良が怒るのも無理ねえよ。少しは話を聞けっつうんだ」

由良「ですよねっ!? ねっ!?」

敷波(今まで見たなかで一番迫力ある「ね?」だなあ……)

提督「電、せめてお前くらいは由良の言うこと聞いてやれ。由良は轟沈した後も、お前を真っ先に心配してたんだからな」

敷波「そうそう。電が初期艦だからって気負うのは仕方ないのかもしんないけどさー?」

電「あ……その、ごめんなさい、なのです……」シュン

由良「……もう。今回だけよ?」

電「はい……敷波ちゃんも、ごめんなさい、なのです……」

敷波「あ、うん。まあ、あたしも偉そうなこと言えないんだけどさ」

提督「……黒潮」

黒潮「!」

提督「雪風の件、心配するなとは言えねえが、俺たちにできることはする」

提督「だから、諦めるのはまだ早えぞ」

黒潮「……」コクン


由良「ねえ、敷波ちゃん」ヒソッ

敷波「? なんかした?」

由良「ごめんね、なんだか妙に提督さんの言うことに素直っていうか、フォロー入れてるって思っちゃって」

敷波「あー、司令官見てると、なんかねー……言いたいことはちゃんと『正しく』言わないと、相手に伝わらないよね、ってさ」

由良「ああ……」ウナヅキ
943 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2020/02/22(土) 23:42:07.93 ID:XeT7i2ZBo
今回はここまで。
944 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/03/03(火) 22:18:13.66 ID:yPjJHEqa0
ほしゅ
945 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/03/04(水) 17:43:32.08 ID:onroDLv10
保守
946 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:09:45.65 ID:fEUe6tqmo
続きです。
947 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:10:51.63 ID:fEUe6tqmo

 * 食堂 *

若葉「……」ポカーン

川内「……」ポカーン

初雪「ねえ、みんなに説明してなかったの?」

ル級「シテナカッタミタイネエ?」

摩耶「ちょっと待て! どう見てもおかしいだろこれ!?」

由良「え? なにが?」キョトン

摩耶「なんで深海棲艦が艦娘に交じってお茶してんだよ!? 普通じゃねえよ!?」

伊8「うん、普通じゃないけど、このル級さんはこの鎮守府のお客さんだから」

川内「きゃ……客、なんだ」

ル級「マア、ソノ通リネ。ココニ所属シテルワケジャナイカラ」

摩耶「マジか……いいのかよ」

朧「朧たちも最初はびっくりしたけどね」

潮「たまに演習の相手になってくれますよ」

最上「さっき話してみたら結構いい人だったよ?」

三隈「最上さんは順応力がありすぎますわ……」
948 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:11:36.17 ID:fEUe6tqmo

若葉「敵のスパイじゃないかとか、疑われたりしなかったのか」

朝潮「ル級さんもこの島に流れ着いてきた人ですから、そういう考えには至りませんでした!」

若葉「いいのかそれで……」タラリ

ル級「コノ鎮守府デ暴レタリナンカシナイワヨ。ココノ食ベ物オイシイシ」

摩耶「飯目当てかよ!」

吹雪「いえいえ、ご飯は大事ですよ!」

摩耶「いや、そうかもしんねーけどよ……」

ル級「トコロデ、提督ハドコニ行ッタノ?」

由良「提督さんなら、食堂に入って真っ先に金剛さんに鹵獲されてたけど」キョロ

電「鹵獲……」タラリ

朧「えーっと、提督は……あ、あっちです。あそこ」ユビサシ


提督「……」

霧島「……あ、あの、金剛お姉様?」

金剛「どうしまシタ?」
949 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:12:23.30 ID:fEUe6tqmo

霧島「私が提督の正面の席というのは、その……」

金剛「Oh, これからの私たちの提督デス。Communication は大事デスヨー!」

榛名「はい、榛名もそう思います!」


如月「それと提督の両隣を金剛さんと榛名さんが陣取るのは、どういう理屈なのかしらね?」

大和「私たちが厨房のお手伝いをしている間に、金剛型で輪形陣を組むなんて……!」

比叡「ま、まあまあ、落ち着いて! 誰がどこに座るかは、順番ですよ、順番!」

利根「順番とは言うが、吾輩たちにはなかなか順番が回ってこなんだがのう?」

如月「えっ」

大和「利根さん!?」

利根「そこでなぜ驚く?」

比叡「いやあ、だって利根さん、司令の隣に座りたいって言う人だと思ってませんでしたから!」

如月「えっ」

大和「比叡さん!?」
950 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:13:52.03 ID:fEUe6tqmo

利根「おぬし……意外と人のことは見ておるんじゃな」

比叡「? どういう意味ですか!?」クビカシゲ

利根「まあともかく、たまには込み入った話も良いではないか。吾輩にも気分というものがある」

利根「そもそも、金剛の言う通りコミュニケーションは大事である。それはおぬしたちに限った話ではない」

利根「鎮守府全体の円滑な人間関係を築くためにも、新しく入ってきた者たちに機会を与えるのも必要ではないか?」

大和「そ、それはそうですが……」

利根「というわけで、最上や三隈も提督の前に座らせたほうが良いと思ってな」

三隈「そう仰いますから呼ばれてきたんですけど……」

最上「確かに僕は提督とお話しするの、初めてなんだけどね?」チラッ

如月「あの状況だと、ちょっと……ねぇ?」チラッ

利根「ぬ?」


金剛「Hey, テートクゥ、アーンしてくだサーイ!」ミギカラグイグイ

榛名「提督! 榛名が食べさせてあげますね! あーん!」ヒダリカラグイグイ

提督「……」


利根「……提督の顔が能面のようじゃの」
951 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:14:36.97 ID:fEUe6tqmo

如月「あんまり押しが強すぎると司令官には苦痛にしかならないから、ほどほどにして欲しいんですけど」フゥ

大和(大和も同じことをして叱られそう……危ないところでした)

三隈「こちらの提督は、女性が苦手なんですか?」

大和「苦手というより、色欲がないと言いますか……恋愛事を拒絶していると言ったほうが正しいですね」

最上「女性にくっつかれて仏頂面する男の人なんて初めて見たよ。みんなでれでれになると思ってたんだけど」

三隈「部提督はとくに好色家でしたから」ハァ

如月「それより、そろそろ止めたほうがいいかも。あまり調子に乗ってべたべたすると……」

 ガシッ ガシッ

大和「……あっ」

提督「……」タブルアイアンクロー

金剛「Nooooooooooooo !!!」メキメキメキ

榛名「あひぃぃぃぃぃ!!」メキメキメキ

比叡「ひえええ! し、司令! お姉様たちから手を放してくださいー!」

霧島「」シロメ

如月「やっぱり……」
952 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:15:21.18 ID:fEUe6tqmo

三隈「……私たち、近づいて大丈夫なんですか?」

利根「金剛たちが引っ付きすぎておるだけじゃ。いきなり取って食うような真似はせん、心配せんで良い」

最上「……なんだか他人の気がしないなあ」ウーン

三隈「最上さん……」


 * 席替えしました *


提督「悪いな、見苦しいもん見せた」

霧島「い、いえ……金剛お姉様たちは、いつもこのような調子なんですか?」

提督「普段はもうちょっと大人しいんだがな。お前が来てはしゃいだのかもな」

霧島「も、申し訳ありません」

提督「お前が謝るなよ。破目を外した姉が悪い」

摩耶「そーだよ霧島さん、霧島さんがこんな奴にぺこぺこする必要なんかないって」

霧島「摩耶!? こんな奴って……!」

提督「気にすんな。俺は気にしねえ、っつかいちいち相手にしねーよ」ンベー

摩耶「……!」ムカッ
953 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:16:06.16 ID:fEUe6tqmo

三隈「売り言葉に買い言葉ですわ……」ボソ

最上「いちいち相手にしてるよねー」

三隈「最上さん声が大きいですよ!?」ギョッ

提督「まあ、それはさておいてだ。ある程度のことは不知火を通して三日月から話を聞いたが……」

霧島「!」

提督「戦況報告書と三日月の言い分の両方を見る限り、お前らはできることをやった、って評価するほかねえな」

提督「お前らの艦隊があれ以上の戦果を挙げるのは難しそうだ。お前らが気に病んでもしょうがねえ」

霧島「で、ですが……」

提督「……ですが?」イラッ

最上「うわあ、露骨に嫌な顔してる」

三隈「最上さん!? 思いっきり口に出てますよ!?」

提督「別に嫌な顔してもいいだろが。もういい加減『自分が悪いんです』とか『でも……』って言うのやめろっつーんだよ、ったくよー……」

霧島「……」シュン

最上「ふぅん……なるほどー」

提督「……?」
954 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:16:51.39 ID:fEUe6tqmo

最上「ねえ三隈、この提督はそんなに悪い人じゃないみたいだよ?」

摩耶「!?」

霧島「!?」

三隈「んななな、何を言い出すんですの、もがみんは!?」ヒィィ!

三隈「も、申し訳ございません提督! 最上さんが失礼なことを……!」ペコペコ

提督「別に気にしねえから、そんなにペコペコすんな。俺もそんなに偉くねえよ」

三隈「……ご、ご容赦いただけるんですか?」

提督「容赦って、大袈裟だな」

 ツカツカツカ

山城「ちょっと」ペチーン

提督「あてっ」

大和「や、山城さん!? 提督になにをなさるんですか!」

山城「提督があまりに寝惚けたことを言うから、思わず手が出ただけよ」ハァ

大和「だからと言って提督の頭をはたくとか……!」
955 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:17:36.36 ID:fEUe6tqmo

山城「仮にも、いち鎮守府を預かる身分の人間が、自分で自分を偉くないとか言わないでくださいます?」

山城「偉くもない人の部下になってる私たちが悲しくなりますから」プイ

大和「山城さん!?」

山城「この程度のことで怒る人でもないでしょ。情けないんだか寛大なんだかわからないですけど」

大和「山城さんっ!?」ガタッ

提督「大和落ち着け、山城の偉い偉くないの言い分ももっともだ。それから扶桑もいちいち頭下げに出てこなくていいぞ、座ってろ」チラッ

扶桑「あら、お気付きでしたか」

提督「偉くはないと言ったが、これでもいち鎮守府の責任者だ。この鎮守府のために俺の力を利用しないつもりはない」

提督「やりたいことがあるんなら好きにやらせるから、言いに来い。俺ができる範囲で動いてやる」

若葉「では、提督。あなたに質問がある」スッ

提督「なんだ?」

若葉「駆逐艦、若葉だ。この鎮守府での禁止事項を教えて欲しい」

提督「禁止事項ねえ……仲間割れすんな、ってことくらいか?」

提督「あとは工廠で火遊びすんなとか、飯ん時に騒ぐなとか、ごくごく常識的なルールくらいしかねえぞ」
956 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:18:21.32 ID:fEUe6tqmo

川内「ねえねえ、夜戦は!? 夜戦はしていいの!?」バッ

提督「やせん?」

川内「そう、夜戦だよ、夜戦! 夜の戦い! やーせーん!」

提督「そんなことか、好きにしろ」

川内「ほんと!? やったああああ! 待ちに待った夜戦だあ! 夜戦ができるよーーーー!!」ウワーイ!

神通「ね、姉さん、食堂で騒いでは駄目ですよ」

那珂「川内ちゃんは相変わらずだねー」アハハ

山城「まったくもう、少しは静かにできないのかしら、あの夜戦馬鹿」ハァ

若葉「いや、無理もないんだ。前の鎮守府の止提督は、夜戦を禁じていたからな」

山城「はぁ?」

若葉「止提督は、とにかく慎重で無理を嫌う人だった……臆病と言っても差し支えない」

若葉「夜戦はしない、中破艦が一隻でも出たら撤退、弱い敵艦隊しか出てこない海域ばかりひたすら巡回……」

若葉「強くなりたかった若葉には、あまりに苦痛だった」フゥ

提督「だから命令違反した、って話か」
957 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:19:06.21 ID:fEUe6tqmo

若葉「その通りだ。ある日、敵の輸送艦隊を見つけて邀撃しようとした」

若葉「昼のうちに敵艦を残り一隻、輸送ワ級を残すのみとしたんだが、止提督からはその追撃を制止された」

若葉「敵の輸送艦をそのまま見過ごすことが彼の正義だというのなら、若葉は賛同しかねる」

若葉「旗艦だった若葉は川内さんと一緒に夜戦に突入し、ワ級を沈めて敵艦隊を撃破した報告を止提督にして……」

若葉「そして若葉と川内さんは、激高した止提督に、この鎮守府へ飛ばされた、というわけだ」

山城「ろくでもないわね……」

摩耶「そいつ、馬鹿じゃねえの?」

霧島「ま、摩耶!?」

提督「俺も馬鹿だと思うがな」

若葉「!」

提督「若葉はそん時、夜戦で確実に仕留められるって自信か確信があったんだろ?」

若葉「周囲の敵影なし、練度の高い敵でもない。若葉たちは無傷で、敵の偵察機もなかった。悪い条件はなかったと認識している」

提督「ふぅん……俺は現場のことはわかんねーから、お前らの感覚を信じるしかねえが」

提督「安全か危険かはさておいても、敵輸送艦を見逃すのは、確かに海軍としちゃあよろしくねえよな。悪い判断じゃねえ」
958 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:19:51.48 ID:fEUe6tqmo

若葉「? 提督は違うと思っているのか?」

提督「俺個人としてなら、どうでもいいかねえ」

摩耶「おい!?」

若葉「提督は、深海棲艦の邀撃を第一に考えていないのか?」

提督「それは第一じゃねえな。俺は、うちの艦娘がやりたいことを第一に考えてる」

提督「だから、もし若葉がすべての深海棲艦を倒したいんなら、それはそれでいい。ただ、うちと親交のあるル級を巻き込まない方法を考えるさ」

ル級「アラ、私ノ話?」ヒョコッ

若葉「!」ジリッ

提督「おう。でだ、俺はル級個人とは仲良くする気でいるが、ル級以外の深海の連中とは関わりがねえ」

提督「だから、ル級がこいつは巻き込むな、ってやつがいない限りは好きにしろ、って感じだな」

若葉「あくまで個人的な付き合いだと?」

提督「そうだな」

若葉「ル級……さん、も、そうなのか?」

ル級「エエ。私モ、人間相手ナラ、彼以外ト接触スル気ハナイワ」
959 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:20:36.39 ID:fEUe6tqmo

摩耶「なあ、この話、本営には話してないのか?」

提督「話してねえし、これからも話す気はねえ。話したってろくでもねえことになることは目に見えてる」

若葉「ろくでもない……?」

霧島「そうでしょうか……むしろ、彼女を通して深海の大物と交渉し、友好関係を結ぶようにしたほうが……」

提督「そこまでやってらんねえよ、面倒臭え」

摩耶「はああ!?」

霧島「めん……っ!?」

三隈「あの……ちょっと本音がひどすぎませんか?」

最上「うん、びっくり……」

若葉「……言うに事欠いて、面倒とは」クラッ

提督「面倒だろうがよ。ル級は、深海棲艦を代表してここに来てるわけじゃねえんだぞ?」

提督「俺は、ル級とはお互いに迷惑をかけない範囲で付き合う、って話をしたんだ。それ以上のこと頼む気はねえ」

霧島「し、しかし、休戦協定などが結べれば、そこから……」

提督「知らねえよ。そもそも俺は人間の平和のために働く気はねえぞ」

摩耶「おい!? そりゃ聞き捨てならねーぞ!? 人のために働かねえって……!」ガタッ
960 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:21:21.64 ID:fEUe6tqmo

提督「その人間どもの私利私欲と我儘に突き合わされて、この島に異動させられたのはどこの誰だ?」

摩耶「ぐ……!」

霧島「……」ウツムキ

若葉「なるほど。さては提督も人間に嫌われてこの島に流された口か」

提督「そういうこった。ちょっと仲良くなったル級に、いきなり人間のために働け、なんて言いたかねえな」

ル級「提督ガコウイウ立場ダカラ、私モ気楽デイラレルノヨネ」フフッ

最上「それじゃあ、提督はなんのために戦ってるのさ?」

提督「俺は、お前らも含めて艦娘が人間の手を借りずに生活できるようになればいいと思ってる。それが俺の望みだ」

全員「「……!」」

提督「お前らこそ望みはなんだよ? なんで戦ってる」

全員「「……」」

若葉「若葉は、若葉自身の復讐のためだ」

提督「!」
961 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:22:07.10 ID:fEUe6tqmo

若葉「若葉は止提督のところへ来る前に、また別の提督のところに所属していた」

若葉「そこで若葉は、ある深海棲艦に打ちのめされた」

若葉「若葉はかつての提督に、何度もその深海棲艦への攻撃を進言した。しかしその進言は認められず、止提督の鎮守府へと異動になった」

提督「なるほど、お前はそいつを倒したいってわけか」

若葉「そのために、若葉は強くなりたかった。川内さんも強くなりたいと言っていたが、止提督のもとでは望むべくもなく……」ガクッ

若葉「だから聞きたい。提督。あなたは、若葉が強くなりたいという希望を、叶えてくれるのか?」

提督「……叶えてやりたいところだが、資材不足がネックだな」

若葉「それなら、若葉が遠征でもなんでもやろう。自己研鑽のためにも、いくらでもこき使ってくれて構わない」

提督「そうか。それならまあ、適当に頑張りな」

若葉「……」コク

提督「ほかの連中はどうなんだ?」

三隈「あの、提督? 三隈は、最上さんに変な真似さえしなければ構わないのですが……」

提督「ああ、セクハラか。俺もそういうのは嫌いだから安心しろ」

三隈「ええ、先程の金剛さんたちのやりとりを見てても、女性に囲まれることが全然嬉しくなさそうでしたものね」

三隈「良くも悪くも、安心しました」
962 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:23:06.30 ID:fEUe6tqmo

最上「……えーっと、僕からは特にないかな。みんなの役に立てれば嬉しいよ」ニコ

提督「……」

最上「どうしたの?」

提督「なあ三隈、最上は前の鎮守府でセクハラ受けてたんだよな?」

三隈「え、ええ……」

提督「そういうやつって、もっと男に対して露骨に拒否してくるかと思ったんだが……」

最上「僕、スキンシップそのものは嫌いじゃないんだ。ただ、部提督は調子に乗りすぎててさ……がっつきすぎ、っていうか」

提督「嫌じゃなかったのか?」

最上「嫌だったけど、部提督にそこまで悪い感情はなかったんだ。むしろ僕が我慢したせいで気を持たせちゃったのが悪いんだって思ってるよ」

最上「僕がなあなあにしないでしっかり拒絶して、ちゃんと部提督に怒らなかったから、三隈にあんなことをさせちゃったんだ……」シュン

三隈「み、三隈は迷惑だなんて思ってません!」

最上「でも、結果的に三隈が怒って部提督に砲撃して、怪我をさせたわけだからね。僕が悪いっていうのは間違ってないと思うよ?」

最上「どっちにしても、僕は部提督から離れたほうが良かったとは思ってるし……」

最上「さっきも言ったけど、提督は悪い人じゃなさそうだし。僕はこの鎮守府に来て、良かったと思ってる」

三隈「もがみん……!」ウルッ
963 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:23:51.36 ID:fEUe6tqmo

最上「提督、改めて、僕と三隈をよろしくね!」ニコ

提督「ああ、よろし……」

三隈「もがみーーーん!!」ダキツキー!

最上「うわああ!?」ドガラシャーン

提督「……」

三隈「もう大丈夫ですわ! 最上さんに触っていいのは私だけになりましたから!」ギュウ スリスリスリ

若葉「三隈さん、三隈さん」チョイチョイ

三隈「は、はい?」

若葉「三隈さんが押し倒したせいで最上さんが気絶してるぞ」

最上「」キュウ…

三隈「くまりんこーーーーー!?」

提督「何やってんだ……」アタマカカエ

摩耶「えーっと、なんか話がぐだぐだでわかんねーけどさ、とにかくあたしたちも好きにしていいんだな?」

提督「ん? ああ、つってもできる範囲でだけどな。出撃したいんなら、書類揃えて俺に寄越せ。ハンコは押してやる」
964 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:24:36.37 ID:fEUe6tqmo

提督「ただし。言い忘れてたが、死にたい奴は見捨てるからな。手前で生きる意志のないやつは、俺の知ったこっちゃねえ」

提督「誰かを巻き込んで特攻すんのもなしだ。死にたきゃ一人で勝手に死んでくれ」

摩耶「いやまあ、そうかもしんねえけど、もうちょっと言い方ってもんがねえのかよ……」

提督「あん? お前だって似たようなもんだろうが」

摩耶「ああ!? お前なんかと一緒にすんじゃねえよ、くそが!」

 ゴォッ

摩耶「!?」ゾクッ

大和「摩耶さん……先程から聞いていれば、提督に対してその言葉遣い、どういうおつもりですか?」ゴゴゴゴゴゴ

摩耶「ちょっ……大和、さん……!?」タジッ

提督「おい、やま……」

 ズォッ

霧島「うちの摩耶が、なにか……?」ゴゴゴゴゴゴ

比叡「ヒエッ!?」
965 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:25:21.45 ID:fEUe6tqmo

大和「いいえ? 少々、躾がなっていない艦娘が見受けられたようですので」ズゴゴゴゴゴ

霧島「おや、摩耶は優秀な艦娘です。なにか勘違いをなさっておいででは?」ズゴゴゴゴゴ

敷波「ちょっ、なになに!? なにが始まんのさ!」ブルブル

初雪「に、逃げなきゃ……」ガタガタ

大和「……」ドドドド

霧島「……」ドドドド

陸奥「これ、止めに行かないと……」

長門「大丈夫だ、提督に任せておけ」

提督「はぁ……まあ、俺の出番だろうな。おい大和」ズイッ

大和「ふえっ!? て、提督!」

提督「仲間割れはすんなって、説明したばっかなんだがなあ?」ジロリ

大和「は……も、申し訳ありません!!」ペコッ

提督「この程度のことで殺気撒き散らしてんじゃねえぞ、ったく……! ちょっと大人しくしてろ」

大和「は、はいっ! 本当に、申し訳ありませんでした!」ペコペコ

霧島「……」
966 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:26:06.09 ID:fEUe6tqmo

提督「悪いな霧島、うちの大和はなんでか知らねえが俺のこととなるとムキになるんだ」

陸奥「なんでか……って、ちょっと、わかってないの?」ヒキッ

長門「まあ、あえて知らないふりをしてるのか知らないが、そういう男なんだ、提督は」

陸奥「……私が言うのもなんだけど、それはそれで大和が気の毒ね」

提督「摩耶もビビらせて悪かったな」

摩耶「び、ビビッてなんかねえし!」

霧島「私こそ出過ぎた真似を……」

提督「出過ぎてねえよ。仲間思いでいいことじゃねえか」

霧島「……」

摩耶「と、とにかく、霧島さんは悪くねえよ!」

提督「ああ、そうだな。そもそも、霧島の、何が悪くてここに寄越されたのかがわからねえ」

霧島「……?」
967 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:26:51.23 ID:fEUe6tqmo

提督「あの海域での戦闘履歴も不知火に調べてもらった」

提督「赤城が空母棲姫にとどめを刺した、艦載機の一斉爆撃の直前に、霧島の一撃が空母棲姫の艤装を直撃してる」

提督「爆撃直前に空母棲姫が大きくぐらついて、防御できなかったそうじゃねえか。こいつは霧島の手柄だろう?」

摩耶「それ、マジか!?」

提督「映像を不知火と一緒に見てた中将が分析したそうだ」

霧島「……」

提督「まあ、そうであってもなくても、お前らに空母棲姫を撃つなと命じたC提督が無能なだけで……」

提督「お前があの時命令を無視しなきゃ、もっと空母棲姫に艦娘を沈められてたかもしれねえよな?」

提督「霧島が頭を下げる必要はねえよ。背中まるめてねえで、胸を張れ。お前は間違っちゃいねえんだ」

霧島「本当……ですか……?」

摩耶「そうだぜ、霧島さん!」

提督「お前、さっきからずっとそんな調子だな。どうしてそんなに自信なさげなんだ?」

霧島「……私は……」

霧島「私はこれまで、C提督に認めてもらったことがありませんでした。いつも、作戦の邪魔をするなと……」

提督「邪魔?」
968 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:27:36.28 ID:fEUe6tqmo

摩耶「霧島さんのすごいところは、相手のバイタルパートを正確に射貫く砲撃の正確さなんだ」

摩耶「C提督はいっつもラッキーヒットって言ってたけど、あたしはそれを何度も見てるから、あれは絶対狙ってやってるってわかるんだよ」

摩耶「それで、霧島さんはいつも主要な敵艦への援護攻撃をC提督から指示されるんだけど、だいたい霧島さんの攻撃で敵艦が沈んじまうんだよな」

提督「そりゃすごいことじゃねえか」

摩耶「それが、予定とは違うとか言って、C提督は霧島さんにいっつも八つ当たりしてたんだよ!」

提督「は? 本っ当にバカじゃねえか、そいつ」

摩耶「だよなあ!」

霧島「……」

提督「損害なく速攻で片付けられるんならいいじゃねえか、別に誰が沈めようが関係ねえ。なんで褒めてやんねーんだ?」

摩耶「だよなあ!! 本っ当、そう思うぜ!」

霧島「……!」ウル

摩耶「霧島さんがあたしと一緒にこの島に送られたのも、あたしの不始末の監督責任だって、言いがかりつけてだぜ!?」

提督「それなら、霧島も一緒にC提督殴っときゃ良かったんじゃねえか?」

摩耶「いや、さすがにそれはまずくねえか!?」

提督「変なとこ控え目だな?」
969 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:29:08.90 ID:fEUe6tqmo

摩耶「あたしだけならいいって思ってたからさ。霧島さんまで殴ってたらさすがに解体されてたかもしんねーし……加減だってしたんだぜ?」

提督「……まあ、しゃあねえな」

摩耶「あたし的には、霧島さんまでこの島に送られるのも心外だったんだけどさ。まあ、あいつから離れられるなら、悪くねーかな……」

提督「ああ、それ自体は悪くねえな。駆逐艦連中も余所の鎮守府に送られるって聞いてる。少しは精神的にマシじゃねえかな」

摩耶「そっか……三日月たちの行く先の鎮守府もまともだといいんだけどな」

提督「……そうだな」

摩耶「ところでさ、おまえ、さっきあたしたちに好きにしろって言ってたよな?」

大和(おまえ!?)ピクッ

如月(ああ、大和さんも反応してるわ……)キキミミ

提督「ああ」

摩耶「じゃあさ、もしあたしたちが出撃するとき、霧島さんに一度艦隊の指揮をとらせてくれねーか?」

提督「旗艦にしろってか?」

摩耶「そうそう。あたしは霧島さんが指揮取ったらいい感じになると思ってんだけど……駄目か?」

提督「いや、全然構わねえぞ。試しに何回かやってみて、問題ねえなら任せていいだろ。後で長門に相談してみな」

摩耶「いいのか!? ……霧島さん!」
970 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:29:50.68 ID:fEUe6tqmo

霧島「ま……任せて、いただけるのですか」

提督「いいんじゃねえの。やってみな」

霧島「……は、はいっ! 艦隊の頭脳と呼ばれるよう、頑張ります!」ビシッ

提督「あんまり気張るな。適当でいいぞ」

霧島「はいっ!!」ゴォッ

大和(気合入りまくりなんですけど……)

霧島「霧島! 気合! 入れて! 行きます!!」ゴオオオ!

比叡「それ私の台詞ー!?」

提督「ただ、戦艦が増えると資材の減りも早くなっちまうんだよなあ……」

若葉「それは大丈夫だ。若葉に任せろ」キラリ

提督(あんまりやる気出さなくていいんだがな……)



金剛(それより早くほどいて欲しいデース)モガモガ ←懲罰中

榛名(榛名は提督になら縛られてても大丈夫です!)ウットリ ←懲罰中

雲龍「ねえ……なんだか嬉しそうにしてない?」ユビサシ

龍驤「しっ! 見たらあかんで!」ユビオサエ
971 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/08(日) 22:30:36.33 ID:fEUe6tqmo

 * *

摩耶「それにしてもよぉ……なんでこの鎮守府に出入りするようになったんだ?」

ル級「ソウネエ……毎日毎日、潜水艦ニ小突カレルダケデ反撃デキナイ戦闘ヲ一日数十回、三カ月クライ続ケレバ理解デキルカモネ?」ニタリ

金剛「Oh... もしかして、オリョールにいたんデスカ……」

摩耶「そりゃ最悪だな……」ウヘェ

霧島「想像したくありませんね」アオザメ

榛名「?」←わかってない
972 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2020/03/08(日) 22:31:36.53 ID:fEUe6tqmo
今回はここまで。

次回か次々回でスレも埋まりそうなので、スレ立てはそのときに行います。
973 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/09(月) 01:26:08.06 ID:QwwuMQWdo
続きキター
乙でした
974 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/03/09(月) 20:56:57.54 ID:+V2fzapEO
某動画投稿サイトから探してきました!
続きお待ちしてます!
975 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2020/03/12(木) 00:50:53.79 ID:Wdzf2wR1o

予定より残りレスが少なくなりそうなので、次スレを用意しました。

【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」不知火「その3です」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1583941702/

このスレはhtml化の申請をしてきますので、移動をお願いいたします。

767.00 KB Speed:0.4   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)