【ラブライブ!】魔法少女 ほのか☆マギカ

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93 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/15(日) 03:59:32.17 ID:UJAmKxoa0
◆ ◆ ◆


 ガキンと硬質な音がした。二つの刃がぶつかり合い、凌ぎを削る。

 海未は握った日本刀を押し付けた。それを押し返すように西洋風の両刃剣を持った使い魔も力を込めるのがわかった。

 目を凝らす。使い魔が力を抜き、バランスを崩させて懐に入ろうとする動きが見えた。

 やはり魔法は人知の及ばないものだ。海未はそう強く思う。幼少から武道を学んできた彼女にはよくわかっている。ただ見るだけで相手の動きが分かってしまうなど、達人でもあり得ないことだ。

 息を詰め、力を抜き、体を逸らす。使い魔のしようとした行動を一手早く使う。剣にかけた力のまま前に飛び出す使い魔。そこに中段に構えなおした剣先を叩きつけた。

 すっと刃が敵の体を両断していく。切れた部分から霧散し、散りも残さなかった。
94 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/15(日) 04:00:54.45 ID:UJAmKxoa0
倒した。ため息を付き、日本刀を腰の鞘に戻した。血が付いていないため、拭う必要はない。

 足音が耳に入る。振り返ると同じく魔法少女になったことりがいた。その肩には白い獣ーーキュゥべぇが乗っている。

ことり「海未ちゃん、お疲れ様」

海未「ありがとうございます。ことり。魔女はどうなりましたか?」

 路地裏で偶然使い魔を見つけ、海未は戦うことを決めた。ことりとキュゥべぇは近くにあった魔女の反応を追うことになった。

 海未の目に映ることりの表情は優れない。

ことり「ごめんね。見つからなかった……」

 声を落とすことり。なんとなくではあるが、分かっていた。魔女と戦って倒して戻るには戻るのが速すぎる。そしてことりの表情がそれを確信に近づけた。
95 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/15(日) 04:02:55.00 ID:UJAmKxoa0
QB「逃げ足の速い魔女だね。早く見つけて倒さないと厄介だ」

 キュゥべぇはことりの肩から飛び降りるとアスファルトに着地した。海未とことりも変身を解く。

QB「それにしても、わざわざ使い魔を倒さなくてもいいんだよ。前にも説明したけど、こいつらはグリーフシードを落とさない。魔翌力の無駄遣いだ」

海未「ですが、魔女と使い魔が人々に危害を加えることは事実なのでしょう?でしたら可能な限りそれを排除するのはこの力を持つものの義務だと……私は思います」

QB「そうか。でも、見返りがない」

海未「構いません。もちろん定期的にグリーフシードを手に入れなければなりませんが……」

 少し不機嫌な表情になる海未。使い魔が減れば被害は減る。何が気にくわない。言葉には出さないが少しだけ恩人に不満が溜まる。
96 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/15(日) 04:04:11.29 ID:UJAmKxoa0

 そんな海未を見かねたのか、ことりが海未の右腕に手を絡めた。

ことり「大丈夫!今日みたいにことりが探せばいいんだから!」

海未「ことり……」

 初めての戦闘の際、怯えていた彼女ではない。穂乃果の元気な姿を見たら頑張れる。そう今日の討伐の前に言っていた。

海未「安心してください、キュゥべぇ。必ず魔女を倒しますから」

ことり「そうそう。それにグリーフシードが無いと私達も魔翌力が無くなっちゃうんだっけ?」
97 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/15(日) 04:05:11.92 ID:UJAmKxoa0
ソウルジェムは魔法を使うたびに穢れが溜まり、色が濁っていく。黒くなるほど魔翌力が扱えなくなり、最終的には戦えなくなる。そのような説明はすでにキュゥべぇから聞いていた。

 それを防ぐにはグリーフシードに穢れを移すしかない。魔女を倒すことでしか手に入れられないため、魔法少女としての活動を続けるには魔女と戦うことは避けられないことだ。

 なお、変身して魔法を使わなくても、時間経過で少しずつ穢れは溜まってしまうらしい。

QB「ちゃんと理解してくれているならいいんだ」

海未「いえ、ご迷惑をかけてすみません」

ことり「あっ、海未ちゃんもうこんな時間だよ!早く帰って明日の準備しないと……」

 時計を見ると、もう深夜だ。早く帰らなければ明日のにこのソロライブの準備ができなくなってしまう。二人と一匹はその場を後にした。
98 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/16(月) 01:13:49.32 ID:nTCsaFyh0
◆ ◆ ◆

 夢だと思った。普通の日のはずなのに。本当に夢が叶うなんて!

 全部、全部! あの子のおかげだ!


◆ ◆ ◆


にこ「その、ありがとね」

 ライブの後、アイドル研究部部室。普段よりも少し大人しい表情でにこは言う。その表情は喜びを照れ臭さが覆ってしまっているようだった。

穂乃果「にこちゃーん!お礼なんていいよ!にこちゃんのライブ、すごかったよ!」

 にこに駆け寄って飛びかかるように抱きつく穂乃果。それを避けられないにこ。二人は縺れるように床に投げ出された。

にこ「ちょ!何すんのよ!」

 体を起こすにこ。その背後に影が迫る。
99 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/16(月) 01:14:44.62 ID:nTCsaFyh0
希「怪我したばかりなのに元気すぎるのはちょっとお仕置きが必要やん?」

 ぐわっと両手を開き、にこのフラットな胸部を掴む。東條希必殺のわしわしMAXである。

にこ「の、希!あんたこそ辞めなさいよ!にこは事故にあったばっかなの!ていうか!なんでにこなのよ!」

 そして矢澤、完全なるとばっちりだ。

真姫「希、にこちゃんなら検査で何もなかったって分かってるから好きなだけやっちゃっていいわよ」

 呆れたような口調だが、明らかに加担する西木野総合病院院長の娘、真姫。彼女と同じ一年生の凛も便乗して騒ぎの元に駆け寄った。
100 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/16(月) 01:15:34.99 ID:nTCsaFyh0
凛「凛は穂乃果ちゃんに抱きつくにゃー!」

穂乃果「わわっ!凛ちゃん!」

 きゃっきゃと抱き合う二人。にこの周りとは大違いである。

海未「まったく……穂乃果は……」

花陽「凛ちゃん……」

 それぞれの幼馴染の呆れたようなため息と心配そうな呟き。それを聞いたのか穂乃果と凛はまた笑った。

 そんな笑顔を見たにこはくすりと笑いを零す。ようやく本当の仲間になれたんだ。ずっと願っても手に入らなかったものが、ようやく。
101 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/16(月) 01:24:10.90 ID:nTCsaFyh0
にこ「希もそろそろ離しなさいよ。そんなことしなくても、まだ安静にしてるわよ」

希「そう?にこっちは危なっかしいからなあ……」

にこ「それを言うならにこより絵里でしょ」

 不満げな表情でつぶやく。希はくすくすと笑った。

希「そうかもしれんね。えりちはたまに無理するからなぁ」

 そんなことないわよ、と呟いているが。そんなことあると希にはよくわかっている。にこですら知っていることを希が知らないわけがない。

 と、少し油断したところに穂乃果と凛が群がってきた。正直熱い。けど、悪い気はしない。もう後ろめたさもない。
102 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/16(月) 16:24:44.51 ID:nTCsaFyh0
穂乃果「にこちゃん? ライブの打ち上げはどうする?」

凛「ラーメン行くにゃー!」

にこ「ごめん、妹たちに夕飯作らないといけないから」

 ええー! と叫ぶ二人。本当に元気だ。特に穂乃果。数日前、トラックに撥ねられそうになったところを庇ってくれた恩人。ちょっと引っかかるところもあるが、元気で何よりだ。さて、あまり長居すると、妹たちがお腹をすかせてしまう。

にこ「じゃあ、私は帰るわ。打ち上げはまた今度にしましょ。九人揃えるときに」

 にこは妹たちを連れて部室を出て行った。残される八人
103 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/16(月) 16:26:05.43 ID:nTCsaFyh0
穂乃果「じゃあ、今からにこちゃんのライブの準備お疲れさま会を……」

海未「ダメです」

 がしっと穂乃果の肩をつかむ海未。とたんに穂乃果の顔は青ざめていく。

海未「もう病院に戻るはずの時間は過ぎています。帰りなさい」

真姫「そうね。病院のドクターから穂乃果がまだ戻らないって連絡が入ってるわ」

穂乃果「そんなあ!」

海未「まったく、もうすぐ退院できるのでしょう? 我慢しなさい」

 はーい、と力ない返事で出ていく穂乃果。彼女が学校を出たことを確認すると、他のメンバーはライブの片づけに取り掛かるのだった。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/16(月) 20:56:52.51 ID:3i7sG6+w0
待ってます
105 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/17(火) 00:34:16.98 ID:wJMsPx6W0

◆What is your wish?

 ステージの片付けも終わり、帰り道。真っ赤な太陽はだいぶ落ちていて、空が半分だけ紅い。そういえば、と海未は切り出した。

海未「穂乃果も明日には退院できるそうです」

凛「ほんと!?」

真姫「ええ。パパ達もようやく諦めるみたい」

 穂乃果の入院が伸びていたのは多数の検査が原因だ。心臓が止まった状態で搬送されてきた少女の奇跡的な回復。そんな奇怪な現象に西木野総合病院はなんらかの原因があるのではといくつもの検査を試したが、結果は得られるわけがなかった。

花陽「これでまたみんなでライブができるね!」

凛「楽しみだにゃー!」

ことり「穂乃果ちゃん、次のライブが楽しみでしょうがないみたい」

絵里「そうね。ファッショショーで歌うのは初めてだから、いいライブにしてファンを増やしたいところね……希?」
106 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/17(火) 00:36:37.08 ID:wJMsPx6W0

 絵里は、いつの間にか隣にいた希がいないことに気付き、辺りを見回す。すると、希はすぐに見つかった。メンバーから数歩下がって、笑みを浮かべて、六人を眺めていた。

 その笑みは慈愛に満ちていて、それでいて、どこか悲しげで――絵里は目が離せなかった。

希「ん? えりち、ウチの顔に何かついてるん?」

絵里「え? ああ、何でもないわ」

 どうしてあんな顔をするのだろう。違和感を覚えたが、聞いたところで飄々と躱してしまうに決まっている。

 それでも、あんな顔をされては気にならないわけがない。ここ数日、いつもそうだ。なぜか希はたまに寂しそうで、それでいて満たされた表情をするのだろう。まるで、何かを達観するよな――そんな表情だ。

 希がこんな表情をするようになったのは、あの日、例の事故が起きた日からだ。何かを隠しているのではと絵里は思うが、それが何かはわからない。そもそも気のせいかもしれない。だから、聞くに聞けない。

希「えりち」
107 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/17(火) 00:38:37.19 ID:wJMsPx6W0
絵里「どうしたの?」

希「みんな、楽しそうやね」

絵里「そうね。これで本当に九人が一つになれるんだから……」

 くすりと小さな笑いが聞こえた。視線を向ける。なぜだろう、夕日のせいか。目が潤んでいるように見えた。だめ、もう我慢ができない。

絵里「ねえ、のぞ――」

希「いきなりこんなこと言ってごめんね。だけど、ウチ、μ’sが好きなんよ。本当に大好き。もちろんえりちも、ね」

絵里「急にどうし――」

 言いかけた瞬間、何か流体に飲み込まれたかのような感覚がした。同時に視界が揺らぎ、眼前の光景がうねり、変わる。

真姫「何よこれ!」

 一番に声を上げたのは真姫だった。次に海未とことり。二人は卵型の宝石を取り出した。海未は深い青、ことりは白。それに気づいた瞬間、絵里を襲う寒気。そうか、これは話に聞いた魔女の結界だ。
108 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/17(火) 00:42:33.95 ID:wJMsPx6W0
1です。諸事情で数日更新ができません。(元々更新遅いですが)
あといつもコメントありがとうございます。ちょっと人を選ぶ内容も増えますが、 >>1 に書いてあることが大丈夫な方はお付き合いいただけると幸いです。
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/17(火) 18:17:50.90 ID:CdGY756b0
了解
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