【ラブライブ!】魔法少女 ほのか☆マギカ

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60 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/02(月) 01:51:17.48 ID:rTx5yD1F0
ことり「えいっ!」

 海未の時と同様、光が飛び出すとことりを包み込んだ。

 光が晴れると、天使のようにふりふりとしたフリルのついたエプロンをつけたメイドーーことりがいた。エプロンだけでなく、内側のワンピースの素材もやわらかそうだ。目を引くのは髪飾りだ。普段のリボンではなく、銀色のアクセサリーのついた小洒落たものに変わっている。

 腰には矢筒があり、ことりの手にはクロスボウがあった。ことりの武器のようだ。

 灰色の光は旋回し、エプロンの左肩のところで羽根の形の宝石となった。

 ことりの変身を見届けると、海未は魔女に視線を戻した。

海未「ことり……行きますよ」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/02(月) 01:58:42.68 ID:ZDhQuD4SO
もうなにもこわくない
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/02(月) 21:46:56.17 ID:SdzO5EZ30
ええぞ!
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/05(木) 22:38:01.15 ID:/GdNqjs00
待ってるぞ
64 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/05(木) 22:54:13.06 ID:RcghR3FE0

ことり「うんっ!」

 返事を聞くとともに、海未は魔女に向けて走り出す。伸びてくる刃。両手で持った刀に力を込め、振るう。

海未「はあっ!」

 ぼとり、ぼとり、海未の通った道を刃が示す。だが、戦いだ。思うようにはいかない。五本の刃がタイミングをずらして海未に襲いかかる。

 まずい。海未の体が止まった時、ふと、何かが頭に浮かんだ。

 目を閉じて、意識を集中する。もう一度、目を開いたとき、自分に向かう刃の動きが全て瞳に焼きついていた。視える。それに合わせて、刀を閃かせた。全ての攻撃を撃ち落とす。さらに、次の動きも視える。斜め後ろを走ることりに向かう刃。

海未「ことり!止まってください」

 止まることり。眼を見開いて自分に向けて動き出したものを見つめる。間に合ってください。海未は大きく足を踏み出し、跳ぶ。刃に向けて武器を振り下ろした。
65 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/05(木) 22:59:28.00 ID:RcghR3FE0
立ち止まり、痛みに備えて目をぎゅっと瞑ったことりが恐る恐る目を開く。

ことり「海未ちゃん、どうして?」

海未「おそらく魔法でしょう。魔女の動きが手に取るようにわかります……」

 動きを読む。これが海未に備わった魔法のようだ。厳密には視覚の強化だけでなく、感覚器全般の強化なのだが、海未はまだ知らない。

 ことりに付いてくるように促し、海未は道を切り開く。敵の動きを見切り、全て一刀で斬り伏せる。ことりを守らなければ。音ノ木坂の平和よりも、幼馴染のことが頭を占めていた。

ことり「海未ちゃん!この距離なら狙えそう!」

海未「わかりました。落ち着いて狙ってください。私が守ります」
66 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/05(木) 23:01:26.95 ID:RcghR3FE0

 ことりは不慣れな手つきでクロスボウに矢を装填した。ゆっくりと照準を魔女に合わせ、引き金を引く。

ことり「ラブアロー……シュート!」

海未「なっ!? ことり!?」

 突然のことりの言葉に海未の声が荒くなる。矢は魔女のめがけて飛び、本体に突き刺さった。そこから灰色の光がことりに向けて流れていく。それに伴い、魔女は手足が震え、わずか数秒で手足を投げだした。本体だけでなく、背中の蛇も頭を下げる。

 ことりの魔法は敵の力を吸い取ることらしい。走った際に少し息が上がっていたようだが、今は全く乱れていない。

 海未は駆け寄り、刀を魔女の頭に振り下ろした。



 ――瞬間。魔女は霧散し、世界は揺れ、あの路地裏に戻ってきた。
67 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/05(木) 23:04:53.67 ID:RcghR3FE0
QB「うん、初めてにしては上手いじゃないか」

 終わった。初めての討伐が終わった。ことりはゆっくりと地面に座る。服が汚れるとは言っていられないほど疲れているようだ。それもそのはず。どのタイミングで殺されてもおかしくはなかった。そんな緊張を初めて味わったのだ。誰だって糸は切れるだろう。

海未「これは……体というよりも心に来ますね」

ことり「怖かったぁ……」

QB「大丈夫だよ。これだけ戦えたんだ。討伐を繰り返していけばきっといい魔法少女になる」

 キュゥべえの言葉は本当だろうか。少しだけ先に不安を感じつつ、海未はことりの隣に座った。

ことり「今日は大変だったね」

海未「先ほども言ったはずですよ。ことり。私が貴女を守りますから」

ことり「うん、じゃあ、ことりも海未ちゃんを守るよ」

 変身を解くと。ソウルジェムがその手にあった。
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/06(金) 16:46:08.81 ID:b7jUoVIB0
がんばれ
69 : ◆jXMHii2Ab6 :2018/07/08(日) 21:33:11.53 ID:L+BRz7jCO
◆ ◆ ◆

海未「……以上が昨日の魔女討伐の報告です」

 翌日、練習後。検査入院中の穂乃果と、今日退院したばかりのにこ以外の七人が部室に残っていた。海未とことりの魔女討伐の報告の後、静寂に包まれてしまった空気を、絵里の言葉が破った。

絵里「想像以上に危険なのね……」

 全員が絵里の言葉に近い感情を持ったはずだ。凛や花陽の表情は明らかに強張っている。だから、どんな事情があれど、こちら側には来ない方がいい。

海未「はい。ですから、皆さんは絶対に魔法少女にならないよう努めてください」

 海未はそう話を締めくくった。一番に口を開いたのは真姫だった。
70 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:35:07.08 ID:pn2y4P2j0
酉間違えたっぽいですが1です
71 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:37:59.86 ID:L+BRz7jCO
真姫「そうね……魔法少女、そう簡単になるもんじゃないのかもね」

 赤い癖のある髪を。指先でくるくると弄びながら、呟くように。

花陽「で、でも……」

 花陽は何か言いたげに、口ごもる。

凛「凛、二人だけ危険な目に遭うなんて嫌だな……」

 聞き分けのよかった真姫と対照的な反応の一年生二人組の言葉に、ことりは笑みを浮かべた。

ことり「ありがとう、かよちゃん、凛ちゃん。でも気持ちだけで十分嬉しいなぁ」

海未「はい。私達は穂乃果のために契約し、戦うことを選んだんです。そこに何の後悔もありません。それどころか、キュウべぇに感謝すらしています」

ことり「ことりも一緒。昨日はすごく怖かったけど……穂乃果ちゃんを救って手に入れた力だから……うーんと、嫌いじゃないかな?」

 ね、と海未に同意を求めることり。海未も目を合わせ、頷いた。

海未「私も魔法少女になったことを誇りに思っています。それに、街の人々のためにも力を振るえます。ですから、全て私とことりに任せてください」
72 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:39:58.34 ID:L+BRz7jCO
 また、静かになってしまった部室。はあ、とため息が一つ。絵里だ。

絵里「わかったわ。二人が忙しくなる分、私達もできることは手伝うわ。海未、作詞に詰まったらいつでも声をかけてくれて構わないわ」

 それに触発されたように、花陽も口を開いた。続いて真姫も。

花陽「こ、ことりちゃん、私も衣装作りを勉強したいから、たくさんお手伝いするね!」

真姫「私も……いい曲を作るわ。歌詞も衣装もすぐにイメージできる曲を作るんだから!」

 魔法少女になる以外にも、二人を助ける道はある。絵里の言葉でそれを理解したメンバーは、それぞれのやるべきことを探していった。だが、花陽や真姫の様子を見ながら、凛は狼狽えた。

凛「凛は……えっと」

 できることが思いつかなかったらしい。「笑顔でいてくれるだけで十分ですよ」と海未は言ったのだが、納得がいかないようで、頭を捻り始める。それを見かねたのか、ずっと静観していた希が口を開いた。
73 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:41:11.77 ID:L+BRz7jCO
 希の提案に、凛はぱっと顔を輝かせる。指針を示してくれただけでなく、さらっと褒められてもいることに嬉しくなったのか、席を立って座ったままの希の背後に回り込むと抱き着いた。

凛「うん! わかったにゃー!」

 もう一度、賑わいを取り戻していく部室。花陽は次のライブの衣装づくりを行う日をことりに聞き、真姫は曲のコンセプトを考え始めた。凛は希の首に腕を回したまま、今から考えると言い出し、窘められている。

 そんな、日常に近づいてきたメンバーを眺め、絵里は海未に視線を向けた。

絵里「みんなの意思よ。形は違えど、二人をサポートするわ」

海未「ありがとうございます……」

 もう一度、昨夜のように琥珀色とアイスブルーが交錯する。海未は笑顔を作ると、お礼の言葉を口にした。
74 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:43:01.75 ID:L+BRz7jCO
QB「いいチームワークじゃないか。話がまとまったばかりで悪いんだけど、魔女討伐に向かって貰えるかい?」

 突如部屋に現れたキュゥべえにメンバーの動きが止まった。少しだけ椅子の音を立てて、海未とことりが立ち上がる。

凛「えー! 昨日戦ったばかりなのに!」

 凛が抗議の声を上げたが、海未は首を振る。

海未「今音ノ木坂を守れるのは、私達だけですから」

 行きましょう、と荷物を持ってことりとキュゥべえを連れて部屋を出る。穂乃果を救う、街の人々や、共に戦うことりを守る。常に命の危険にさらされることを帳消しにできるほど、海未にとって魔法少女の力は、有り難いものだった。

だから、園田海未は後悔などしていない。



第一話 終
第二話へ続く
75 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:46:16.55 ID:L+BRz7jCO
次は二話を進めていきます。
まとめてになりますが、コメントありがとうございます。
76 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:53:20.85 ID:L+BRz7jCO
第1話現在の状況

園田海未
衣装:白の道着と青の袴。金の模様がある黒い防具。
SG:青色。変身後は側頭部の髪留めの飾りとなる。
武器:日本刀(大小二本)
魔法:超感覚(固有)
願い:穂乃果の脳機能の正常化

南ことり
衣装:メイド服。フリル五割増しのエプロン。銀色の髪飾り。
SG:灰色。変身後は羽の形の宝石になり肩に装着する。
武器:クロスボウ
魔法:エネルギードレイン(固有)
願い:穂乃果を生き返らせる

東條希
衣装:?
SG:紫色。一部が欠けている。
武器:?
魔法:?
願い:?
77 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:54:18.79 ID:L+BRz7jCO
第1話現在の状況

園田海未
衣装:白の道着と青の袴。金の模様が入ってある黒い防具。
SG:青色。変身後は側頭部の髪留めの飾りとなる。
武器:日本刀(大小二本)
魔法:超感覚(固有)
願い:穂乃果の脳機能の正常化

南ことり
衣装:メイド服。フリル五割増しのエプロン。銀色の髪飾り。
SG:灰色。変身後は羽の形の宝石になり肩に装着する。
武器:クロスボウ
魔法:エネルギードレイン(固有)
願い:穂乃果を生き返らせる

東條希
衣装:?
SG:紫色。一部が欠けている。
武器:?
魔法:?
願い:?
78 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/08(日) 21:55:57.00 ID:L+BRz7jCO
>>76 >>77

二回書き込んでしまいましたすいません
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/09(月) 16:14:47.59 ID:w5LxvgZxO
>>73の前に何か抜けてないかな?
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/09(月) 18:54:03.26 ID:Qyvl5YZr0
>>79
俺はわざとな気がするが…作者が来ないとわからんな
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 20:48:46.28 ID:mhAp1L92O
設定借りてきて元作品に何の経緯もない二次創作やる奴は筆を追ってどうぞ
そこまでやるならオリジナルでやれよカス作者が
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/11(水) 23:38:56.97 ID:U6+X/R1Z0
気にせずやれよ
ワイは好きやで
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/12(木) 00:08:04.56 ID:+6e6hZrOO
俺は気にするし不快
84 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/12(木) 07:06:50.74 ID:5oZo9EYW0
>>79 >>80

>>73の最初一行目の希のセリフが抜けてました。正しくは以下です。ありがとうございます。


希「凛ちゃんはウチと一緒に振り付け考えよか?凛ちゃん運動神経いいから適役やん?」

 希の提案に、凛はぱっと顔を輝かせる。指針を示してくれただけでなく、さらっと褒められてもいることに嬉しくなったのか、席を立って座ったままの希の背後に回り込むと抱き着いた。

凛「うん! わかったにゃー!」

 もう一度、賑わいを取り戻していく部室。花陽は次のライブの衣装づくりを行う日をことりに聞き、真姫は曲のコンセプトを考え始めた。凛は希の首に腕を回したまま、今から考えると言い出し、窘められている。

 そんな、日常に近づいてきたメンバーを眺め、絵里は海未に視線を向けた。

絵里「みんなの意思よ。形は違えど、二人をサポートするわ」

海未「ありがとうございます……」

 もう一度、昨夜のように琥珀色とアイスブルーが交錯する。海未は笑顔を作ると、お礼の言葉を口にした。
85 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/12(木) 07:10:35.39 ID:5oZo9EYW0
二話投下します。
86 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/12(木) 07:11:27.38 ID:5oZo9EYW0
前回の魔法少女ほのか☆マギカ\デンッ!/

海未「UTXで地区大会予選を終えた私たちμ's。ライブの帰りに穂乃果とにこが事故にあってしまいました。意識もなく、心肺停止に陥った穂乃果を救うため、私とことりは突如現れた白い獣キュゥべえと契約しました。そして、穂乃果のお見舞いの後、初めての魔女討伐に出かけました。さて、これからどうなることやら……」
87 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/12(木) 07:16:15.49 ID:5oZo9EYW0
◆First and last live.


 やっと、μ'sの一員になれた気がした。

 見栄を張って、長く続いた嘘が本当になったことも、もう一人じゃないことも伝えられなかった。

 それでも夢のような奇跡が起きて、晴れて自分はμ'sとして宇宙No.1アイドルを目指すことを伝えることができた。

 夢のような奇跡、とにこは思うが、それは誰かによって作られたきっかけだった。リーダーである穂乃果の思いつきだったらしい。

 そして誓うことになる。宇宙No.1アイドルとして、ファンだけでなく、メンバーも笑顔にしようと。
88 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/12(木) 07:17:56.81 ID:5oZo9EYW0

◆ ◆ ◆


 入院中の穂乃果は濃いめのピンク色のゴムを咥えると思いっきり息を吹き込んだ。それに合わせて膨らんでいく。口を離すと綺麗な丸い風船が出来上がった。

穂乃果「よーしっ!やっと十個目。ファイトだよ!」

 一人で使う病室にはすでに膨らんだ風船がいくつも転がっている。明日のステージではたくさん使うため、まだまだ先は長い。

 明日はーー矢沢にこのゲリラソロライブだ。



 今日はラブライブ地区予選の結果発表日だった。

 穂乃果は病室を抜け出し、音ノ木坂学院アイドル研究部部室へ潜入した。海未には怒られたが、メンバーはみんなが結果を見るのは九人揃って、と考えていたのか、結局は花陽が操作するパソコンの画面を一緒に見つめたのだった。

花陽「ミュー…………ズ」

 その様子が夢と同じだったせいで不安だらけだったが、花陽の呟きで喜びが爆発した。
89 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/12(木) 07:20:40.14 ID:5oZo9EYW0
 事故のせいか全くライブの事は覚えていないのが少し寂しいけど。次に進めたことがとてもうれしい!

 学院全体で喜びを分かち合った後で、いつの間にか一人消えていることに気づいた。

 例の事故に穂乃果と共に巻き込まれたが軽傷、検査も問題なく、昨日退院済みの矢沢にこである。

 消えたにこを捜索するうち、最終的にはにこの家にたどり着いた。

 そして、無邪気に姉を信じる妹達と、μ'sとしてスクールアイドルの活動を始めたことを言い出せないスーパーアイドルのことを知り、帰り道で八人で頭を悩ませていた。

 にこが自分から言い出さない限りどうしようもないと思われていたが、ふと穂乃果の頭に名案が浮かんだ。

穂乃果「そうだ!にこちゃんのソロライブをしよう!こころちゃんと、ここあちゃんと、こたろう君を呼んで、その姿を見てもらおうよ!」
90 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/12(木) 07:27:33.59 ID:5oZo9EYW0
 話が決まると穂乃果は海未に病院に連れ戻され、他のメンバーは学校に戻りって準備を始めた。

 準備に加わりたいと言った穂乃果は帰り際に海未とことりが買ってきた風船を膨らませることになった。明日の昼に二人が取りに来るらしい。

 一年生達はセットを準備し、絵里と希は秋葉原で衣装を探しているようだ。海未とことりも各自でセットに使う小道具を作るとのこと。

 自分も頑張らないと!穂乃果は決意も新たに紫色の風船を取り出し、膨らませた。

 明日は上手く行くかな。穂乃果もライブしたいよ。早く退院したいな。大した怪我もしてないのに検査続きなんてひどい。来週の修学旅行は行けるのかな。なんて取り留めもなく考えていると突然破裂音がした。

穂乃果「うわぁっ!?」
91 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/12(木) 07:28:57.00 ID:5oZo9EYW0
 音とゴムが飛散した時の痛みに驚いて声が上がった。これじゃあ捨てるしかないや。ため息をついて破片を拾い、ベッドの脇のゴミ箱に捨てようと体を伸ばす。ふと気がつくと、既に膨らませてあった水色の風船と薄ピンク色の風船が萎んでいた。縛った口が緩んでいたようだ。

穂乃果「はあ……これ、明日までに終わるのかな……」

 萎んだ二つのうちの薄ピンク色を拾い上げるともう一度息を吹き込んだ。

 今度はきっちりと口を縛る。難しい。本当に間に合うのだろうか。

穂乃果「海未ちゃん!ことりちゃーん!」

 幼馴染に助けを求めても、誰もいるはずもなく。
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/12(木) 22:51:00.65 ID:EqMfzWOF0
矢澤…
93 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/15(日) 03:59:32.17 ID:UJAmKxoa0
◆ ◆ ◆


 ガキンと硬質な音がした。二つの刃がぶつかり合い、凌ぎを削る。

 海未は握った日本刀を押し付けた。それを押し返すように西洋風の両刃剣を持った使い魔も力を込めるのがわかった。

 目を凝らす。使い魔が力を抜き、バランスを崩させて懐に入ろうとする動きが見えた。

 やはり魔法は人知の及ばないものだ。海未はそう強く思う。幼少から武道を学んできた彼女にはよくわかっている。ただ見るだけで相手の動きが分かってしまうなど、達人でもあり得ないことだ。

 息を詰め、力を抜き、体を逸らす。使い魔のしようとした行動を一手早く使う。剣にかけた力のまま前に飛び出す使い魔。そこに中段に構えなおした剣先を叩きつけた。

 すっと刃が敵の体を両断していく。切れた部分から霧散し、散りも残さなかった。
94 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/15(日) 04:00:54.45 ID:UJAmKxoa0
倒した。ため息を付き、日本刀を腰の鞘に戻した。血が付いていないため、拭う必要はない。

 足音が耳に入る。振り返ると同じく魔法少女になったことりがいた。その肩には白い獣ーーキュゥべぇが乗っている。

ことり「海未ちゃん、お疲れ様」

海未「ありがとうございます。ことり。魔女はどうなりましたか?」

 路地裏で偶然使い魔を見つけ、海未は戦うことを決めた。ことりとキュゥべぇは近くにあった魔女の反応を追うことになった。

 海未の目に映ることりの表情は優れない。

ことり「ごめんね。見つからなかった……」

 声を落とすことり。なんとなくではあるが、分かっていた。魔女と戦って倒して戻るには戻るのが速すぎる。そしてことりの表情がそれを確信に近づけた。
95 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/15(日) 04:02:55.00 ID:UJAmKxoa0
QB「逃げ足の速い魔女だね。早く見つけて倒さないと厄介だ」

 キュゥべぇはことりの肩から飛び降りるとアスファルトに着地した。海未とことりも変身を解く。

QB「それにしても、わざわざ使い魔を倒さなくてもいいんだよ。前にも説明したけど、こいつらはグリーフシードを落とさない。魔翌力の無駄遣いだ」

海未「ですが、魔女と使い魔が人々に危害を加えることは事実なのでしょう?でしたら可能な限りそれを排除するのはこの力を持つものの義務だと……私は思います」

QB「そうか。でも、見返りがない」

海未「構いません。もちろん定期的にグリーフシードを手に入れなければなりませんが……」

 少し不機嫌な表情になる海未。使い魔が減れば被害は減る。何が気にくわない。言葉には出さないが少しだけ恩人に不満が溜まる。
96 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/15(日) 04:04:11.29 ID:UJAmKxoa0

 そんな海未を見かねたのか、ことりが海未の右腕に手を絡めた。

ことり「大丈夫!今日みたいにことりが探せばいいんだから!」

海未「ことり……」

 初めての戦闘の際、怯えていた彼女ではない。穂乃果の元気な姿を見たら頑張れる。そう今日の討伐の前に言っていた。

海未「安心してください、キュゥべぇ。必ず魔女を倒しますから」

ことり「そうそう。それにグリーフシードが無いと私達も魔翌力が無くなっちゃうんだっけ?」
97 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/15(日) 04:05:11.92 ID:UJAmKxoa0
ソウルジェムは魔法を使うたびに穢れが溜まり、色が濁っていく。黒くなるほど魔翌力が扱えなくなり、最終的には戦えなくなる。そのような説明はすでにキュゥべぇから聞いていた。

 それを防ぐにはグリーフシードに穢れを移すしかない。魔女を倒すことでしか手に入れられないため、魔法少女としての活動を続けるには魔女と戦うことは避けられないことだ。

 なお、変身して魔法を使わなくても、時間経過で少しずつ穢れは溜まってしまうらしい。

QB「ちゃんと理解してくれているならいいんだ」

海未「いえ、ご迷惑をかけてすみません」

ことり「あっ、海未ちゃんもうこんな時間だよ!早く帰って明日の準備しないと……」

 時計を見ると、もう深夜だ。早く帰らなければ明日のにこのソロライブの準備ができなくなってしまう。二人と一匹はその場を後にした。
98 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/16(月) 01:13:49.32 ID:nTCsaFyh0
◆ ◆ ◆

 夢だと思った。普通の日のはずなのに。本当に夢が叶うなんて!

 全部、全部! あの子のおかげだ!


◆ ◆ ◆


にこ「その、ありがとね」

 ライブの後、アイドル研究部部室。普段よりも少し大人しい表情でにこは言う。その表情は喜びを照れ臭さが覆ってしまっているようだった。

穂乃果「にこちゃーん!お礼なんていいよ!にこちゃんのライブ、すごかったよ!」

 にこに駆け寄って飛びかかるように抱きつく穂乃果。それを避けられないにこ。二人は縺れるように床に投げ出された。

にこ「ちょ!何すんのよ!」

 体を起こすにこ。その背後に影が迫る。
99 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/16(月) 01:14:44.62 ID:nTCsaFyh0
希「怪我したばかりなのに元気すぎるのはちょっとお仕置きが必要やん?」

 ぐわっと両手を開き、にこのフラットな胸部を掴む。東條希必殺のわしわしMAXである。

にこ「の、希!あんたこそ辞めなさいよ!にこは事故にあったばっかなの!ていうか!なんでにこなのよ!」

 そして矢澤、完全なるとばっちりだ。

真姫「希、にこちゃんなら検査で何もなかったって分かってるから好きなだけやっちゃっていいわよ」

 呆れたような口調だが、明らかに加担する西木野総合病院院長の娘、真姫。彼女と同じ一年生の凛も便乗して騒ぎの元に駆け寄った。
100 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/16(月) 01:15:34.99 ID:nTCsaFyh0
凛「凛は穂乃果ちゃんに抱きつくにゃー!」

穂乃果「わわっ!凛ちゃん!」

 きゃっきゃと抱き合う二人。にこの周りとは大違いである。

海未「まったく……穂乃果は……」

花陽「凛ちゃん……」

 それぞれの幼馴染の呆れたようなため息と心配そうな呟き。それを聞いたのか穂乃果と凛はまた笑った。

 そんな笑顔を見たにこはくすりと笑いを零す。ようやく本当の仲間になれたんだ。ずっと願っても手に入らなかったものが、ようやく。
101 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/16(月) 01:24:10.90 ID:nTCsaFyh0
にこ「希もそろそろ離しなさいよ。そんなことしなくても、まだ安静にしてるわよ」

希「そう?にこっちは危なっかしいからなあ……」

にこ「それを言うならにこより絵里でしょ」

 不満げな表情でつぶやく。希はくすくすと笑った。

希「そうかもしれんね。えりちはたまに無理するからなぁ」

 そんなことないわよ、と呟いているが。そんなことあると希にはよくわかっている。にこですら知っていることを希が知らないわけがない。

 と、少し油断したところに穂乃果と凛が群がってきた。正直熱い。けど、悪い気はしない。もう後ろめたさもない。
102 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/16(月) 16:24:44.51 ID:nTCsaFyh0
穂乃果「にこちゃん? ライブの打ち上げはどうする?」

凛「ラーメン行くにゃー!」

にこ「ごめん、妹たちに夕飯作らないといけないから」

 ええー! と叫ぶ二人。本当に元気だ。特に穂乃果。数日前、トラックに撥ねられそうになったところを庇ってくれた恩人。ちょっと引っかかるところもあるが、元気で何よりだ。さて、あまり長居すると、妹たちがお腹をすかせてしまう。

にこ「じゃあ、私は帰るわ。打ち上げはまた今度にしましょ。九人揃えるときに」

 にこは妹たちを連れて部室を出て行った。残される八人
103 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/16(月) 16:26:05.43 ID:nTCsaFyh0
穂乃果「じゃあ、今からにこちゃんのライブの準備お疲れさま会を……」

海未「ダメです」

 がしっと穂乃果の肩をつかむ海未。とたんに穂乃果の顔は青ざめていく。

海未「もう病院に戻るはずの時間は過ぎています。帰りなさい」

真姫「そうね。病院のドクターから穂乃果がまだ戻らないって連絡が入ってるわ」

穂乃果「そんなあ!」

海未「まったく、もうすぐ退院できるのでしょう? 我慢しなさい」

 はーい、と力ない返事で出ていく穂乃果。彼女が学校を出たことを確認すると、他のメンバーはライブの片づけに取り掛かるのだった。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/16(月) 20:56:52.51 ID:3i7sG6+w0
待ってます
105 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/17(火) 00:34:16.98 ID:wJMsPx6W0

◆What is your wish?

 ステージの片付けも終わり、帰り道。真っ赤な太陽はだいぶ落ちていて、空が半分だけ紅い。そういえば、と海未は切り出した。

海未「穂乃果も明日には退院できるそうです」

凛「ほんと!?」

真姫「ええ。パパ達もようやく諦めるみたい」

 穂乃果の入院が伸びていたのは多数の検査が原因だ。心臓が止まった状態で搬送されてきた少女の奇跡的な回復。そんな奇怪な現象に西木野総合病院はなんらかの原因があるのではといくつもの検査を試したが、結果は得られるわけがなかった。

花陽「これでまたみんなでライブができるね!」

凛「楽しみだにゃー!」

ことり「穂乃果ちゃん、次のライブが楽しみでしょうがないみたい」

絵里「そうね。ファッショショーで歌うのは初めてだから、いいライブにしてファンを増やしたいところね……希?」
106 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/17(火) 00:36:37.08 ID:wJMsPx6W0

 絵里は、いつの間にか隣にいた希がいないことに気付き、辺りを見回す。すると、希はすぐに見つかった。メンバーから数歩下がって、笑みを浮かべて、六人を眺めていた。

 その笑みは慈愛に満ちていて、それでいて、どこか悲しげで――絵里は目が離せなかった。

希「ん? えりち、ウチの顔に何かついてるん?」

絵里「え? ああ、何でもないわ」

 どうしてあんな顔をするのだろう。違和感を覚えたが、聞いたところで飄々と躱してしまうに決まっている。

 それでも、あんな顔をされては気にならないわけがない。ここ数日、いつもそうだ。なぜか希はたまに寂しそうで、それでいて満たされた表情をするのだろう。まるで、何かを達観するよな――そんな表情だ。

 希がこんな表情をするようになったのは、あの日、例の事故が起きた日からだ。何かを隠しているのではと絵里は思うが、それが何かはわからない。そもそも気のせいかもしれない。だから、聞くに聞けない。

希「えりち」
107 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/17(火) 00:38:37.19 ID:wJMsPx6W0
絵里「どうしたの?」

希「みんな、楽しそうやね」

絵里「そうね。これで本当に九人が一つになれるんだから……」

 くすりと小さな笑いが聞こえた。視線を向ける。なぜだろう、夕日のせいか。目が潤んでいるように見えた。だめ、もう我慢ができない。

絵里「ねえ、のぞ――」

希「いきなりこんなこと言ってごめんね。だけど、ウチ、μ’sが好きなんよ。本当に大好き。もちろんえりちも、ね」

絵里「急にどうし――」

 言いかけた瞬間、何か流体に飲み込まれたかのような感覚がした。同時に視界が揺らぎ、眼前の光景がうねり、変わる。

真姫「何よこれ!」

 一番に声を上げたのは真姫だった。次に海未とことり。二人は卵型の宝石を取り出した。海未は深い青、ことりは白。それに気づいた瞬間、絵里を襲う寒気。そうか、これは話に聞いた魔女の結界だ。
108 : ◆PqgbKM/Cuk :2018/07/17(火) 00:42:33.95 ID:wJMsPx6W0
1です。諸事情で数日更新ができません。(元々更新遅いですが)
あといつもコメントありがとうございます。ちょっと人を選ぶ内容も増えますが、 >>1 に書いてあることが大丈夫な方はお付き合いいただけると幸いです。
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/17(火) 18:17:50.90 ID:CdGY756b0
了解
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