幼女幽霊「呪いが勝つのか、幽霊が勝つのか実験だよ実験!!」DQN幽霊「!?」

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169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/17(火) 05:05:27.67 ID:4VhEk+mH0

久しぶりだったから前のも見てやっと追いついた
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/18(水) 02:25:28.78 ID:6zGhU87Y0
今日の更新はなしか、
171 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:38:55.91 ID:CDb9nI8Qo
テケテケ「うまっ!うまっ!」モグモグ

口裂け女「コラ、野菜もちゃんと食べときなさいよ。栄養偏るわよ」

テケテケ「えー別にいいじゃん。わたし人間じゃないし、し」

口裂け女「んなこと言ってるからいつまで経っても身体が大きくならないのよ。アンタ、今年でその姿のまま何年経ったのよ」

テケテケ「んー……20年くらいかな?かな?」

口裂け女「ほら見てみなさい。このままだとずっと幼児体型のままよ」

テケテケ「むー!その気になればわたしも大人になれるもん!もん!」グッ

口裂け女「こんなところで下半身出そうとしない。帰りに誰が運ぶと思ってんのっと」ヒョイッ



グッ



口裂け女「ん?」グイッ



ひきこ「……」グイッ
172 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:40:25.99 ID:CDb9nI8Qo
口裂け女「……ちょっと、箸を離してくれない?その肉は私が先に取ったんだけど」


ひきこ「……嘘。私の方が速かった」


口裂け女「」イラッ

口裂け女「た、確かに。アンタの方が一瞬速かったわ。そこは認めてあげる……でも、年功序列って言葉知ってる?ここは目上の私に譲る場面よ」グイッ


ひきこ「それは人間社会の話。死者の世界は完全実力主義。だからこの肉は私のモノ」グイッ


口裂け女「あ、あのねぇ……肉なら他にもあるでしょ。どうしてそんな意地を張るわけ?さっき花子さんに注意されたこともう忘れたの?」


ひきこ「それとこれは話が別。他の肉なんて関係ない。今、この肉は私が食べる権利がある」

ひきこ「ここで譲るのは納得出来ない。正当性があるのは私の方」


口裂け女「……あぁん?いいから寄越しなさいよ。ここまで来たら私も引かないわよ」グッ


ひきこ「そう、なら勝手に食べれば?私からこの肉を奪えたらの話だけど」グイッ


口裂け女「!?」ブンッ

口裂け女(こ、こいつ……強引に肉を!単純な力勝負だとこいつにはまず勝てない!このままだと肉が……!)
173 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:41:26.55 ID:CDb9nI8Qo
口裂け女「こ、こいつ……!!」グイッ


ひきこ「……ッ!!」グッ




メリー「いいのですか?あのお二方、また争いをしているように見えますわ」

花子「もう儂は知らん。それより今は肉じゃ」パクッ

花子「あんだけ釘を刺したんじゃ。小競り合いはあっても声を荒げるような真似はもうないじゃろ。多分な」モグモグ

メリー「そ、そうですわね」チラッ




口裂け女「ぐおおっ……!!」グイッ


ひきこ「ぬぐぐ……っ!!」グイッ




尻尾『』モグモグ


DQN幽霊「……」

DQN幽霊(誰も突っ込まないけど、こっくりさんはどうやって食ってるんだよ)
174 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:42:27.63 ID:CDb9nI8Qo
長髪白装束娘「あ、花子さん。一杯どうぞ」スッ


花子「む?おぉ、悪いな。酒まで用意しておったのか」


長髪白装束娘「一応、飲む人もいるかと思って用意しときました。私はあんまり詳しくないですけど、この銘柄花子さんが好きだって前言ってましたし」


花子「んっ……ぷはぁ。やっぱり美味じゃね。肉とよく合うわ」

花子「幼女、主は飲まないのか?」


長髪白装束娘「私まだギリギリ未成年ですよ。飲めませんって」

長髪白装束娘「それに、前に一度飲んだことあったんですけど……まだ口に合いませんでした」


花子「ふふ、まだまだ子供じゃのう幼女も……この味が分からんとは」ゴクッ


長髪白装束娘(……見た目的には花子さんが一番子供ですけどね)
175 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:43:21.78 ID:CDb9nI8Qo
長髪白装束娘「あ、そうだ。花子さん、知ってますか?あの去年あったカルトの集団自殺」


花子「あぁ……あったな。そんなことも。あれがどうかしたのか?」


長髪白装束娘「いや、個人的に何か気になっている事件なんですよね。だって、一気にあれだけの人数が自殺するなんて……尋常じゃないですよ」

長髪白装束娘「事情通の花子さんなら、もしかして世間では出てない情報も知ってたりするのかな、とか思ったんですけど」


花子「……」

花子「……確かに、あの事件は尋常ではないな。儂も長いこと幽霊をやっているが、あんな気配を感じたのは初めてじゃ」


長髪白装束娘「え……?ど、どういうことですか?」


花子「一応、儂も何か気にかかってな。事件が起きた後、すぐに現場に行ったんじゃ」

花子「直接、あの空気を体感した身から言わせれば……確実に、あの宗教団体は何かを企んでいたことは間違いない。霊的な、それすらも超越したモノを呼び出そうとしていた」


長髪白装束娘「え!?マ、マジですか!?」
176 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:44:48.03 ID:CDb9nI8Qo
花子「あぁ……主も、ニュースや記事で知っておるはずじゃ。地下に妊婦が監禁されていたと」

花子「そこで、何かが起きたのは確かじゃ。あの残り香……今までに感じたことのない気を感じた。邪悪というには余りに純粋、殺意というには余りに鋭い、そんな気がな」


花子「……もしかしたら、奴等はそれを呼び出すことに成功したのかもしれん。その証拠に、現場の近くではソレに誰かが応戦したと思わしい跡がいくつかあった」


長髪白装束娘「応戦って……誰がですか?」


花子「誰、という問いには答えられないが……恐らく、その場に居合わせた力を持つ人間じゃなろうな。それもかなり強力な」

花子「勝敗も、恐らくその人間が勝ったと思われる。近くの井戸に、封印式が張ってあった。状況から見れば、呼び出されたモノを封印することに成功したのじゃろうな」

花子「……まあ、その封印式も外部から破られていたがな。結果的に言えば、その宗教団体が呼び出したモノは現在も、どこかでのうのうと自由を満喫しているということになる」


長髪白装束娘「そ、それって……」
177 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:45:33.62 ID:CDb9nI8Qo
花子「ま、結局は全て状況証拠からの推測でしかない。真実は当事者たちにしか分からんということじゃな」

花子「さ、こんな辛気臭い話は終わりじゃ。女子会を楽しむとするかの」


長髪白装束娘「あ、はい……」


長髪白装束娘(や、やっぱり噂は本当だったんだ。あの事件はただのイカれたカルトの集団自殺じゃない。とてつもない闇の裏がある)

長髪白装束娘(あー……めっちゃ興味あるなぁ。私も野次馬に行きたい。でも私の行動範囲は広まった今でもこの町いっぱいくらいしかないし……)

長髪白装束娘(いっそのこと向こうから来てくれないかなぁ)
178 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:46:34.15 ID:CDb9nI8Qo
……………………………………………………………
…………………………………………



ポーン ポーン



メリー「あら?もうこんな時間ですわね」

メリー「申し訳ございません。皆様方、わたくしはここでお暇させてもらいますわ」


長髪白装束娘「え?もうリリー帰っちゃうの?」


メリー「はい、実はこの後、少し用事があるので……すみません。このような日に」

メリー「今日はとても楽しい日でしたわ。また機会があったら声をかけてください。すぐに飛んできますから」ペコリ


DQN幽霊「お、お疲れ様っス!」

口裂け女「ん、お疲れ」

テケテケ「バイバイー!バイ!」

花子「またの」


メリー「では、皆様方の明日に幸運があるように祈っていますわ。さようなら」



シュンッ
179 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:47:37.52 ID:CDb9nI8Qo
テケテケ「あーリリー行っちゃたねぇ。寂しいなぁなぁ」


DQN幽霊(ほっ……よ、よかった。メアの方は結局出てこなくて)

DQN幽霊(多分、安堵してるのは俺だけじゃないはずだ。みんな心のどこかで……先輩みたいに、メアを恐れていたんだろうな。空気が変わった気がする)

DQN幽霊(ほんと、リリーの方はこの中で一番の淑女なのになぁ……)



ひきこ「Zzz……Zzz……」

長髪白装束娘「ひきこさんちゃん、ちょっと起きてよ。ここで寝ないで」


口裂け女「そいつ、そんな酒飲めないくせに結構行ってたわね。もう潰れて今日は動けないんじゃないの」


長髪白装束娘「えっ!?ちょ、お、起きてよ!ひきこさんちゃん!!」

長髪白装束娘(じょ、冗談じゃない!ひきこさんちゃんをこの病院に泊めたら……寝返りを打つだけであちこち壊されかねない!!)
180 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:48:50.53 ID:CDb9nI8Qo
口裂け女「もう瞬間移動で適当な場所に飛ばしたら?」


長髪白装束娘「え、い、いいんですかね。そんなことして」


口裂け女「だって起きないんじゃ仕方ないでしょ。後でアンタから謝罪メールでも送っておけば、そんな怒らないわよ」


長髪白装束娘「そ、そうですね……うん、よし」グッ

長髪白装束娘「ひきこさんちゃんごめん!じゃあバイバイ!」


ひきこ「Zzz……Zzz……」シュンッ


長髪白装束娘「ふう……後でvsひきこさんシリーズの映画見るから許してね。ごめん」

尻尾『』ツンツン

長髪白装束娘「ん?どしたのこっくりさん」
181 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:50:30.82 ID:CDb9nI8Qo
尻尾『』フリフリ

長髪白装束娘「え?こっくりさんも帰るの?」

尻尾『』コクッ

長髪白装束娘「分かった。じゃあこれ、お土産のお稲荷さん。帰ったら食べて」

尻尾『』スリスリ

長髪白装束娘「わっ、そんなに嬉しいの?くすぐったいって」



シュンッ



口裂け女「もう半分帰ったわね。どうする?もう私達も帰る?」

花子「そうじゃな。ここら辺でお開きにするか」

テケテケ「えー?もう帰っちゃうの?もっと遊びたいーいー」

口裂け女「仕方ないでしょ。ほら、準備した」
182 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:51:46.33 ID:CDb9nI8Qo
DQN幽霊(や、やっと終わったのか……ふう。長い一日だった)

DQN幽霊(あー……何とか乗り切った。一時はどうなることかと思ったが)


口裂け女「じゃ、今日は場所借りて悪かったわね」


長髪白装束娘「いえ!私も久しぶりにみんなと会えて楽しかったですし、またやりましょう!女子会!」


花子「うむ、身体には気を付けるんじゃぞ。幼女――色々とな」

テケテケ「バイバイー!幼女ちゃん!どきゅん!」


DQN幽霊「ウ、ウス。お気をつけてお帰り下さいっス」

長髪白装束娘「またねー!テケテケちゃん!」フリフリ


口裂け女「あ、DQN、ちょっと」クイクイ


DQN幽霊「え?お、俺っスか?何か?」
183 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:52:43.09 ID:CDb9nI8Qo
口裂け女「いいから早く来なさいよ。何も取って食おうとはしないわよ」

DQN幽霊「な、なんスか?俺、何かやりました?」

口裂け女「そんなんじゃないって。耳貸して」

DQN幽霊「え、え?」スッ


口裂け女「もし、次に幼女に何かあったらアンタが止めなさいよ。あの子のことは任せたわ」ボソッ


DQN幽霊「?」

DQN幽霊「え?そ、それってどういう意味っスか?」


口裂け女「時が来たら分かるわよ。じゃあね」フリフリ


幼女幽霊「お達者でー!」フリフリ

DQN幽霊「……」


DQN幽霊(先輩に何かあったらって……どういうことだ)
184 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:53:51.92 ID:CDb9nI8Qo
テケテケ「あー!楽しかったなぁ!また女子会やろうね!ね!」

口裂け女「ま、そのうちね」

花子「最初はもっと早く集まる予定じゃったしな。次に皆の衆が揃うのはいつになるやら」


テケテケ「あ、そうだ。わたしずっと気になってたんだけどさ」






テケテケ「あれって本当に幼女ちゃんなの?前に会った時と全然気配が違ったけど」






口裂け女「……」

花子「……」
185 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:55:37.96 ID:CDb9nI8Qo
テケテケ「さすがに幼女ちゃん本人には聞けなかったから何も言えなかったけどさー何か違ったよね。ね」


口裂け女「アンタ、そんな気遣い出来るタイプだったのね。もっと無神経だと思ってたわ」

花子「全員気付いておったじゃろうな。分からなかったのは本人である幼女と下級霊のDQNくらいじゃろう。あえて言わなかったが」


テケテケ「む!わたしそんな無神経じゃないもん!もん!」

テケテケ「で、幼女ちゃんに何があったの?の?」


口裂け女「まあ……話を聞く限り、一年前に来た霊能力者ってやつが原因でしょうね。そいつとの戦闘で“突然変異”したんじゃないの」

花子「じゃな。ジバクからフユウ霊に変わったのがいい証拠じゃ」


テケテケ「とつぜんへんい????」


口裂け女「怪物にはない、幽霊だけが持っている特性。自らの概念すらも捻じ曲がらせて適応するのよ。肉体を持たない幽霊だからこそ可能な荒業ってやつ」


テケテケ「???」
186 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:57:24.46 ID:CDb9nI8Qo
口裂け女「はぁ、アンタに分かるように説明するのは難しいわね。花子さん、任せたわ」

花子「うむ、まあようは身の危険を感じ、生き伸びる為に性質を変えて変化した、と言った方が分かりやすいな」


テケテケ「うーん、何となく分かるような、分からないような、な」


花子「そう難しく考える必要はない。幽霊というのは魂で出来た精神体じゃ。つまり、どんな形質にも変化することが可能ということなのじゃ」

花子「どのような環境にも、それに合わせて適応することが出来る。まあ滅多にない現象じゃがな。突然変異をした幽霊なぞ、足付きよりもっと数が少ない」


テケテケ「んー、でもそれって怪物にも出来るんじゃないのかな?かな?」


花子「怪物が出来るのはあくまで自己の肉体の変化、改造のみ、それも常識の範囲内でな。いくら頑丈と言っても、根本的には人間と変わらん」

花子「しかし、幽霊は肉体という器がない。つまり、器を自ら作ることが出来るんじゃ。これが幽霊の突然変異。ただの霊体ではなく、何かを取り込み一体と化した姿になる」
187 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 15:58:54.62 ID:CDb9nI8Qo
テケテケ「へー……例えばどんなのになるの?」


口裂け女「私が聞いた話だと、水や炎と一体化したって話は聞いたことあるわ。あと、細菌に適応して、呪いを感染させたりね」

花子「他にも、電子世界と融合し二次元の存在になったり、天災そのものに成り果てた奴もおるな」


テケテケ「うげぇ、何かゲームの話みたいだね。じゃあ幼女ちゃんはどんな突然変異になったのかな?かな?」


口裂け女「……さあね。目に見えた変化はなかったし、本人も気付いてないみたいだし」

花子「しかし、幼女も運がいいのか悪いのか……話を聞く限り、病院に来た霊能力者は二人組ではなく一人だったとはな」

口裂け女「あいつらって基本的にはコンビで襲ってくるしねぇ。一人でやって来たってことはよっぽどの馬鹿か、それともそれだけ腕に自信があるのか」


テケテケ「え?そうなの?なの?」
188 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 16:00:03.97 ID:CDb9nI8Qo
口裂け女「覚えてないの?アンタを襲った狩人も二人組じゃないの?」


テケテケ「あっ、言われてみれば確かにそうだった気がする。する」


口裂け女「はぁ、しっかりしなさいよ」

口裂け女「そういえば私も単独でやってるやつは相手にしたことはないわね。花子さんは?」

花子「……あるぞ。半世紀ほど前に、一度だけな」

口裂け女「へぇ、強かったの?」

花子「まあな、儂の経験でもあれほど苦戦したのはあれが最初で最後じゃった。眼帯を付けた、見た目は儂と変わらん童女……」

花子「結局は勝負がつかず、両者痛み分けで終わったがな」


口裂け女「ふーん……なら、幼女もそれに近い状況に陥った可能性が高いわよね。それが突然変異のきっかけか」

口裂け女「やっぱ、追及するべきだったかしら。あの病院の嫌な雰囲気も気になってたし」


テケテケ「ねぇ、何か蒸し暑いというか、居心地悪かったよ」
189 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 16:00:45.18 ID:CDb9nI8Qo
花子「……いや、病院だけではない。僅かだが、この町全体に、病院と同じような気配がするぞ」

花子「もしかしたら、何かが起きようとしているのかもしれん。この町で、何かが」


口裂け女「どういうこと?」


花子「いや、儂にも分からん。ただ……生者でも死者でもない、何かの気配がするような……」

花子「…………」

花子「いや、辞めておこう。儂らはこの町とは無関係じゃ。余計な詮索はしない方がいいの」

花子「……ところで口裂け女、気付いておるか?」


口裂け女「……えぇ、とっくにね。さっきからこっちにビンビンに飛ばしてきてるし」
190 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 16:01:52.01 ID:CDb9nI8Qo
花子「……どうするのじゃ。儂も手を貸してやってもいいが」

口裂け女「いいわ。向こうは私に用があるみたいだし。花子さんはもう帰っていいわよ」

花子「……そうか。気を付けるんじゃぞ」


テケテケ「んー?何の話―?しー?」


花子「いや、では儂はここで失礼する。達者でな。テケテケ、口裂け女」シュンッ


テケテケ「あー……花子さん行っちゃったね。急にどうしたんだろ?だろ?」

口裂け女「テケテケ、ここの坂を下ったところに自販機があったでしょ。私、今すごく喉が渇いてるからお茶買って来て。500円あげるから、残りはアンタの好きなジュース買っていいわ」ピンッ

テケテケ「えっ!?500円もくれるの!?るの!?」

テケテケ「分かった!買ってくる!!くる!!」ビューン
191 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 16:03:14.72 ID:CDb9nI8Qo
口裂け女「……さて」

口裂け女「これで邪魔者はいなくなったわよ。さぁ、姿を現しなさいよ」




口裂け女「――メア」







「あっはぁ♪さっすがァ……完全に気配消してたのに」スッ




メリー「やっぱり、私の眼に狂いはなったねェ……口裂けのおねーさん、アナタがあの中で一番強いんだねェ♪」






口裂け女「……」
192 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 16:03:50.03 ID:CDb9nI8Qo
口裂け女(気配を消してた?どこが、こっちを睨み殺すくらいの殺気を放ってたくせに)

口裂け女「それで、何の用?今日はアンタは来ないってリリーから聞いてたんだけど」



メリー「別にィ?ただ挨拶に来ただけだよ。あなた達には手を出すなって、リリーから言われてるし」

メリー「ただ、あなたが私達とヤりたいって言うなら……話は別だけどォ」クスッ



口裂け女(つまり、ただの挑発に来たってことね。あーもう……面倒臭い)

口裂け女「お生憎様、こっちはアンタに全然興味ないわ。いいからさっさと消えなさい」



メリー「……そう、つまんないの」
193 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 16:05:03.50 ID:CDb9nI8Qo
シュンッ








口裂け女「!?」クルッ

メリー「動かないで♪首、切れるよ?」スッ



口裂け女(こいつ!瞬間移動で後ろに……)

口裂け女(やっぱり、この能力は驚異的だわ。どうしても判断が一瞬遅れる……もし、本気で殺しに来てたら、さっきの一瞬で殺されてた)



メリー「……やっぱり、口裂けのおねーさんでもこの程度か。これじゃあ私達の飢えは満たされないなァ……」

口裂け女「は?じゃあ試してみる?」ピキッ

メリー「強がってもダメだよォ?冷や汗、かいてるよ?」

メリー「ってなると……もう“影の王子様”しかいないよねェ。今、どこにいるんだか」
194 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 16:06:33.65 ID:CDb9nI8Qo
口裂け女「……影の王子様?」

口裂け女「――!アンタ、それってまさか……」


メリー「そう、私達と対極の存在であるあの人。聞いただけでワクワクするよねェ……伝説の狩人なんて」

メリー「その殺し方も全て背後からの一撃、まさに私と同じ、これは運命感じちゃうよねェ?」

メリー「でも、いつまで待っても来てくれない……焦らされるのも悪くないけど、そろそろ渇き過ぎて干からびちゃうよォ」


口裂け女「……」


メリー「はァ、話してるだけで我慢出来なくなっちゃた。じゃあ、もうイクね?」

メリー「バイバイ♪口裂けのおねーさん♪」シュンッ



口裂け女「……っ」フゥ

口裂け女「はぁ……はぁ……クソ、もう最悪」グッ
195 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 16:07:47.49 ID:CDb9nI8Qo
口裂け女(ちょっと後ろに回られただけで、こんなに汗が……やっぱりあの子達は別格だわ)

口裂け女(……影の王子様、か。確かに『禁忌』を倒すには同じ『禁忌』のアイツにしか出来ない。性質上、いつかは巡り合う運命か)

口裂け女(出来れば共倒れしてくれるのが私達怪物にとってはベストなんだけど……)



テケテケ「おーい!おーい!」フリフリ


口裂け女「……」


テケテケ「ん?どうしたの?何かあった?あった?」

口裂け女「いえ、何もないわ」

テケテケ「でも化粧落ちてるよ?よ?」


口裂け女「……!!」スッ

口裂け女「……今日は暑いわね。こんなにメイクが乱れるなんて、早く直さないと」
196 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 16:09:35.90 ID:CDb9nI8Qo
口裂け女「ん?お茶はどうしたの?」


テケテケ「あー……それがねーねー」

テケテケ「わたしの身長だと、ボタン押せなかったんだ。えへへ、へへ」


口裂け女「……馬鹿ね。ジャンプすれば届くでしょ」


テケテケ「あっ!そ、そうだ!しまった!った!」

口裂け女「はぁ。ほら、行くわよ。私が買ってあげるわ」

テケテケ「うん!うん!」


口裂け女(化け物は化け物同士で潰し合えばいい。私達は平穏に過ごさせてもらうわ)

口裂け女(――いつか来る、最後の時まで)
197 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 16:13:20.49 ID:CDb9nI8Qo
……………………………………………………………
……………………………………………



「一年振りか。ここに来るのは」




「……蒸し暑いな。これはただの気象現象じゃない。やっぱり、この町にいるのは間違いないか」




「さて、行くか……まずはあの病院に」
198 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/21(土) 16:13:57.53 ID:CDb9nI8Qo
今日はここまで
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/21(土) 18:27:38.58 ID:XaCdxoK/0
おお、今覗いたら更新されてた、霊能少女も来てついに地獄の連戦が幕を開ける感じですね、楽しみ
最初に霊能少女と戦う幽霊は誰になるんだろ? 次回も楽しみにしていますね 
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/21(土) 18:54:39.32 ID:y1fLLVuWO
おつ
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/23(月) 00:18:03.63 ID:tYeshYsFo
やはりおもしろい
おつ
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 06:33:55.59 ID:Tgel2eSVo
乙です!
203 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/24(火) 04:02:07.41 ID:r5ZhfcREo
幼女幽霊「うーん……」


DQN幽霊「どうしたんスか先輩」


幼女幽霊「いやさ、さっきひきこさんちゃんが出てる映画見たんだけどさぁ……凄い映画だったんだよ」

幼女幽霊「その感想を率直に送るかどうか悩んでる」


DQN幽霊「え?いい映画ならそのまま普通に言えばいいじゃないっスか」


幼女幽霊「誰がいい映画なんてなんて言ったんだよ。凄い糞だよ糞。有象無象のサメ映画とゾンビ映画に真っ向からタイマン張れるくらいのな」


DQN幽霊「え、えぇ……どんなタイトルの映画なんスか」


幼女幽霊「ひきこさんvs貞子って映画」


DQN幽霊「……タイトルの時点で突っ込みどころ満載っスね」
204 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/24(火) 04:04:49.14 ID:r5ZhfcREo
幼女幽霊「いやマジでこれは酷いと思ったよ。私も色々糞映画は見たけどさ、本当に訴えられるくらい酷いと思うよ、これ」

幼女幽霊「まずタイトル詐欺とかそういうレベルじゃないからね。貞子に謝るべきだよ。いくら今の貞子が原作とかけ離れたエンターテイメント化した存在になったと言ってもさ、限度があるからね」

幼女幽霊「内容に関してはまあ正直、こんなタイトルを借りた私も悪いと思うよ。見えてる地雷を踏んでるようなもんだし」

幼女幽霊「ただ、それを差し引いても酷いとしか言いようがない」


DQN幽霊「ど、どんな映画なんスか?」




幼女幽霊「まずタイトルに貞子って付いてるけどさ、貞子は出てこないよ」




DQN幽霊「は?」


幼女幽霊「いや本当に出てこないよ。少なくともお前が思ってる貞子は」
205 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/24(火) 04:07:01.63 ID:r5ZhfcREo
幼女幽霊「この監督はさぁ……ひきこさんを自分が考えた最強の怪物にでもしたいのかな?って思うんだよ。とんだメアリースーだよね。もうひきこさんちゃん本人を哀れむレベル」

幼女幽霊「てか、このひきこさんvsシリーズって何本か出てるんだけどさぁ、いじめ描写がクソ多いんだよね。もうひきこさんvsいじめ、パートW、X、Yでいいよ」


DQN幽霊「え、他にも出てるんスか?」


幼女幽霊「あるよ、ひきこさんvs口裂け女、ひきこさんvsこっくりさんとか」

幼女幽霊「まあこれらはvs貞子に比べたらかなりマシだけどね。割と見られる部類だよ」


DQN幽霊「それ先輩の感覚が麻痺してるだけじゃないんスか?」
206 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/24(火) 04:08:14.45 ID:r5ZhfcREo
幼女幽霊「うーん、どうしよう。割と本人はこの映画褒めてたんだよなぁ。どう見てもあの人、本編の面白さよりいじめっ子がどれだけ凄惨に死ぬかどうかで評価してる節があるんだよね」

幼女幽霊「昨日あんなことしちゃったし、やんわり過激な言葉は控えて送るか。えーっと……サメ映画と同じくらい笑えましたっと」


DQN幽霊「……嘘は言ってないっスね」


幼女幽霊「よし、じゃあお前も見ろよ。ひきこさんvs貞子」


DQN幽霊「はぁっ!?な、なんで俺も見るんスか!?」


幼女幽霊「うるせぇ!私も見たんだからお前も見ろや!!!!この理不尽を私だけが味わうなんて不公平だ!!!!」

幼女幽霊「嫌なら強制的に椅子に縛り付けてやるからな!!!!観念しろ!!!!!」ガシッ


DQN幽霊「ちょ、やっ……は、離せエエエエエエエエエエエ!!!!!」
207 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/24(火) 04:09:24.99 ID:r5ZhfcREo
ピーーーー



DQN幽霊「せ、先輩!客っスよ!ほら!」

幼女幽霊「あ?チッ……運が良かったな。今日は見逃してやる」

幼女幽霊「さて、誰が来たのかな――」





幼女幽霊「!?!?!?!?!?!?!!?!?!?!?!???」ビクッ





幼女幽霊「あ、あわわ……わわわわわ……」ブルブル

DQN幽霊「せ、先輩?どうしたんスか?」

幼女幽霊「あ、あいつ……ま、また来やがった……あっ……あっ……」ブルブル

DQN幽霊「あいつ?」チラッ
208 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/24(火) 04:10:24.93 ID:r5ZhfcREo








霊能少女『……』








DQN幽霊「!?」ビクッ

DQN幽霊「マ、マジかよ……こいつ……せ、先輩!どうするんスか!?」


幼女幽霊「ど、どうするも何も……い、いや、急に来られても心の準備が」

幼女幽霊「い、一応次に攻めて来ても対策が出来るように、色々仕掛けは作ってあるけど……」


DQN幽霊「い、今こそ!それの出番っスよ!!早く!早く!」


幼女幽霊「お、おう!じゃあ早速準備を……」
209 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/24(火) 04:12:14.31 ID:r5ZhfcREo








霊能少女『……もしもし?聞こえてる?』








幼女幽霊「!?」ビクッ

DQN幽霊「!?」ビクッ








霊能少女『……反応はないか。音声は拾ってない?』








幼女幽霊「な、なんだこいつ……どうやってカメラの位置を特定したんだ」

DQN幽霊「い、いやそれよりも……こっちに話しかけてるっスよ」
210 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/24(火) 04:13:04.57 ID:r5ZhfcREo








霊能少女『……ならこれで』カキカキ








幼女幽霊「か、紙に何か書いてるな」

DQN幽霊「こ、これって……こっちにコンタクトを取ろうとしてるんじゃないっスか?前はこんなことしてこなかったですし」

幼女幽霊「い、意味分からん……何がしたいんだこいつは」

DQN幽霊「あ、書き終わったみたいっスよ」
211 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/24(火) 04:14:37.72 ID:r5ZhfcREo










『今日は話をしに来た』

『アナタに協力してもらいたいことがある』










幼女幽霊「え……?」

DQN幽霊「……は?」
212 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/07/24(火) 04:19:30.88 ID:r5ZhfcREo
今日はここまで
実はひきこさん自体はなぜかは知りませんが無駄に映像作品多いです(ほぼ同じ監督ですが)
とても笑えるのでオススメです…お前も同じ沼に落ちろ!
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/24(火) 07:10:09.94 ID:NONM80Zio
乙です!
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/24(火) 07:41:13.71 ID:h89iwd7ao
乙です
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/24(火) 10:55:36.08 ID:tJnKg3x50
今回は幼女幽霊と共闘戦線する流れか、乙
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/24(火) 16:09:28.49 ID:Y7iXMugyO
リベンジャーズは笑えた
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/25(水) 22:37:44.63 ID:6VDB/TaPo
くっそ熱い展開だな!
おつおつ
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/26(木) 22:56:07.39 ID:3bbcG8bp0
更新のペースは3日に1回と考えて良いのなら次の更新は今夜かな?
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/27(金) 01:29:38.85 ID:tK/ZZM2h0
なんのためにそれここに書き込むの?
自分だけで勝手に予想してればいいじゃん
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/28(土) 11:54:32.12 ID:z0rdup/qo
おまいう
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/28(土) 11:58:19.57 ID:g8l2jyu80
毎回ageてるの末尾oみたいだけど同じ人?
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/28(土) 12:11:33.85 ID:pSnKVnuvO
なぜsageなければいけないのか
理由は何となくわかるが専ブラなら関係なさそうだし
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/28(土) 12:25:30.38 ID:g8l2jyu80
ローカルルールで余計な争いを避けるためにsageが推奨されてるからだよ
ルールも読めない守らないなら書き込むなよクソガキちゃん
ルール守らない俺カッコいー!とか思っちゃってるの?
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/28(土) 13:12:56.58 ID:z0rdup/qo
>>221
たぶん俺だわすまん
>>223
こういう怖いお兄さんがいるからsage無いといけないね
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/28(土) 13:44:19.35 ID:2sxzxQaoO
指摘する側も血の気が多いのか言葉がキツいから荒れていくんだよなぁ
夏休みもあるかもだけど
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/29(日) 10:12:43.95 ID:4grZIIxm0
sageろって散々言われてるのにsageない奴は人の話聞かない奴だからほっとけ
指摘しても荒れるだけだから「>>222 sageろ」ぐらいでいいと思うぞ
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/29(日) 15:40:52.93 ID:5Q97JVmco
ageとコピペ荒らしの巡回が重なって住み着かれるとか0ではないからな
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 20:10:16.94 ID:/tg/Cddc0
更新まだかな?、今日で7月終わりなのに
229 : ◆gqUZq6saY8cj [sage]:2018/07/31(火) 20:41:49.49 ID:dYV72k2Bo
すみません…今までコツコツ書き溜めてたのがパーになってしまって現在手動で復旧作業中です…
まだちょっと時間かかりそうです
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 20:46:24.00 ID:hoCLHwd9o
待ってる
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 22:08:02.95 ID:f5y2/lA1o
書いていただけるだけでありがたい
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 16:57:06.30 ID:21j613Nv0
生存報告してくれただけでも安心する
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 16:57:06.18 ID:21j613Nv0
生存報告してくれただけでも安心する
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/02(木) 22:51:32.59 ID:hotxxMeWo
待ち遠しいな
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/05(日) 16:42:47.70 ID:XEywfFOe0
まだかな、そろそろ再開して欲しいね
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/07(火) 09:42:27.61 ID:YnXAIZ//0
>>235
更新は止まんねぇからよ、お前らが止まんねぇかぎり、その先に作者はいるぞ!
だからよ、焦るんじゃねぇぞ...
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/08(水) 23:43:03.97 ID:o8hG09HZo
呪い殺されるやつじゃん
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/09(木) 01:12:24.05 ID:XvWpFvMk0
今日も来なかったか、夏休みが終わるまでには更新して欲しいものだが
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/12(日) 10:30:45.57 ID:FjsGOkIJo
>>238
お前は何様だ
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/15(水) 01:31:38.35 ID:BD6aRXb4o
きたい
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/17(金) 18:07:32.30 ID:PJCvotIz0
来ないね〜
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/17(金) 18:56:58.40 ID:D2q9GL1v0
まぁずいぶんひどい読者様が多いからね
来たくなくなっても仕方ないでしょ
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 22:35:20.96 ID:Nj/hDQjm0
うーん、8月中は来ないのかな?
やっぱり来るとしたら9月の初め当たりかな、
244 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:51:19.70 ID:WpyJgThYo
DQN幽霊「な、何言ってんだこいつ、話がある?協力してほしい?」

DQN幽霊「ど、どうするんスか先輩?こんなこと言ってますけど」


幼女幽霊「……どうするもこうするも、こんなの無視だ無視。なんで私を殺しかけたやつと話なんかしなくちゃいけないんだ」

幼女幽霊「まあこいつが何しに来たかは興味がないこともないけどな。それでもわざわざ危ない橋を渡るつもりはないよ」


DQN幽霊「そ、そうっスよね」


幼女幽霊「しかし、なんでまたここに来たんだあのメスガキ……私を始末出来なかったのが分かっていたなら、もっと早く来たはずなんだけど」


DQN幽霊「何か……ワケ有りっぽいっスよね。協力したいって言葉が気になるっス」


幼女幽霊「……」
245 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:51:50.94 ID:WpyJgThYo
霊能少女「……返答なしか。あの幽霊達がカメラをこの病院中に仕掛けていることは確かだし、このメッセージも見てるはず」




霊能少女「もう既に根城を変えたとは考えられない。この付近に他の建築物はないし、確かに気配がする」




霊能少女「……つまり、居留守。ワタシには会いたくないと」




霊能少女「仕方ない。ならこっちにも考えがある」スタスタ
246 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:53:18.57 ID:WpyJgThYo
DQN幽霊「!?」ビクッ

DQN幽霊「せ、先輩!見てくださいっス!!あの女が消えたっ!」


幼女幽霊「えっ!?うそっ!?」バッ


DQN幽霊「ちょ、ちょっと目を離した隙に……ま、まさか!前みたいにもうこの部屋に!?」キョロキョロ


幼女幽霊「い、いやそれはないと思う。あの時は私が瞬間移動してきた道をあいつも通ってこっちに来たから」

幼女幽霊「幽霊と違って、人間は自分で道を作ることが出来るやつはかなり少ないって聞くし……多分、普通に移動したんだと思う」


DQN幽霊「クソ、一体どこに行きやがった……ん?」ピクッ

DQN幽霊「せ、先輩、17番カメラと18番カメラの映像にノイズが……」



ザザァー……ザザァー……


幼女幽霊「……!」ゴクリ
247 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:55:14.18 ID:WpyJgThYo
幼女幽霊「こ、この道順は……、ま、間違いなく、ここの部屋を目指してるな」


DQN幽霊「どうするんスか先輩……また戦り合うんスか」


幼女幽霊「馬鹿言え。さっきも言っただろ、戦うつもりはないって」


DQN幽霊「え?で、でもここに向かっているのは確定なんスよ?鉢合わせるのは不可避じゃないっスか」


幼女幽霊「前回は瞬間移動でこっちの部屋に入られたけど、正面からやってくるなら話が別だよ。こういう時の為に、地下の扉には電子キーを付けておいたんだからな」

幼女幽霊「ククク……16桁の暗証番号を入れないと、この扉は決して開くことはない。常人離れした怪力を持っている怪物や、霊体化できる幽霊と違って、あいつ本人はただの人間のガキだからな」


幼女幽霊「単純だけど、この方法が一番効く。いくらあいつが私達相手に強くても、金属の扉相手だと何も出来ないってことよ」


DQN幽霊「い、いつの間にそんなものを……でも、理には適ってるっスね。確かに物理的な手段はあの女の最大の弱点とも言える」




DQN幽霊「さすが先輩っス!!!!よっ、日本一!!!!」

幼女幽霊「ははははははは!!!!!もっと褒めろ!」
248 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:56:42.15 ID:WpyJgThYo
コンコン





幼女幽霊「」ビクッ

DQN幽霊「」ビクッ






『もしもし?ここにいるのは分かってるんだけど』






DQN幽霊(き、来やがった…...)

幼女幽霊(シーッ、黙ってやり過ごすぞ。あいつはどう頑張ってもここに入ってくることはないんだから)

DQN幽霊(ウ、ウス。了解っス)
249 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:58:08.50 ID:WpyJgThYo
『…………』ピッピッ

『…………』ブッブー






幼女幽霊(あははははは!!あいつ適当に番号押してやがる!当たるわけねえだろ!16桁だぞ!)

幼女幽霊(ぶっちゃけ私でもパスワードが書いてあるメモを見ないと覚えてないくらいだし。アホかコイツ)


DQN幽霊(どうでもいいけど、16桁って無駄に多いな。普通に4桁でよくないか)






『……ここにいることは分かっている。今すぐこの扉を開けてほしい』

『さもないと、こちらも強硬手段を取ることになる』






幼女幽霊(あぁん?強硬手段だぁ?出来るもんならやってみろ!この鉄の扉を生身でどうやって突破する気だぁ?)

幼女幽霊(ムリムリカタツムリ〜それこそ、爆弾で吹っ飛ばすとかタリバンみたいなことしないと――)
250 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 16:59:03.57 ID:WpyJgThYo






ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!






幼女幽霊「へ?」

DQN幽霊「は?」






パラパラッ……


パラパラッ……





251 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 17:00:33.33 ID:WpyJgThYo
DQN幽霊「え……せ、先輩。何か扉が吹っ飛んだんスけど、自爆機能でも付けました?」

幼女幽霊「い、いや……さすがの私でも付けてないよ」

DQN幽霊「え、じゃあなんで爆発したんスか」

幼女幽霊「な、なぜって……そりゃあ使ったんじゃないの。あいつが爆弾を」




DQN幽霊「…………」


幼女幽霊「…………」




DQN幽霊「ちょっとぉ!?先輩どうするんスか!!いとも簡単に突破されてるじゃないっスか!!」

DQN幽霊「そもそも、幽霊が電子キーとかデジタルに頼らないでくださいよ!!!もっと結界とか封印とかオカルトチックな方法なかったんスか!!」

幼女幽霊「う、うるせぇ!仕方ないだろ!その手の術式はあいつの水ぶっかけられたら全部機能停止するんだから!!じゃあ何かお前案があるのかよ!!!!」






スタスタ……スタスタ……
252 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 17:01:58.48 ID:WpyJgThYo






霊能少女「…………」フッ






幼女幽霊「ぐっ!?」ゾクッ

DQN幽霊「うおっ!?」ゾクッ




幼女幽霊(ぐっ……く、くそぉ。一年振りだ。この背筋が凍る感覚も)

DQN幽霊(ま、まさかこんなに早くまたこいつの顔を見るなんて……)






霊能少女「……どうしても顔を合わせる気がなかったから、爆弾で壊させてもらった。だから警告したのに」

霊能少女「ひとつ、誤解をしてそうなので訂正しておく」

霊能少女「ワタシは今日、アナタ達と戦う気はない。さっきのメッセージで伝えたように、協力を要請に来た」






幼女幽霊「は、はぁ……?協力ゥ?何言ってんだよお前」
253 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 17:04:18.65 ID:WpyJgThYo
幼女幽霊「死者を祓う人間がその死者の力を借りるって……本末転倒の支離滅裂だろ。そもそも私が協力すると思ってんのか」




霊能少女「……そう、ワタシも本来ならば馬鹿げたことはしない。でも、状況が変わってしまった。敵の敵は味方、というやつ」

霊能少女「助けてほしい。このままだと、何千、何万の命に関わる」

霊能少女「……いや、もはや手遅れに近い。犠牲者は既に何年も前から」




幼女幽霊「ちょ、ちょっと、ど、どういう意味だよそれ」




霊能少女「今こうしている間にも……事態は最悪の方向に向かっている」

霊能少女「アナタは……恐らく、ワタシが知る中で奴に唯一対抗出来る存在に近い。だから取引をしに来た。アナタの望むものと引き換えに、力を貸してほしい」
254 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 17:06:24.92 ID:WpyJgThYo
DQN幽霊「先輩、な、何かヤバい方向に話が進んでませんか?」ボソッ

幼女幽霊「……うん、私も嫌な予感を感じてる」


幼女幽霊「お、おい……勝手に話進めてるけど、お前はこれから誰とやり合うつもりなんだよ」

幼女幽霊「ま、まさか……私に同族と戦えって言うんじゃないだろうな」




霊能少女「ただの怪物や幽霊なら、アナタの手を借りる必要はない。ワタシ一人で全て対処出来る」

霊能少女「奴はそんな生易しいモノじゃない。文字通りに次元が異なる存在と言ってもいい」




幼女幽霊「は?怪物でも幽霊でもないって……何と戦わせる気?まさか人間?」




霊能少女「そのどれらでもない……呼称は文献によっていくつもある。『神ノ鎌』『勾神之禍魔』など」

霊能少女「ただ、一番使われているのは……」
255 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 17:07:24.56 ID:WpyJgThYo






霊能少女「“かみかま”」

霊能少女「奴はそう呼ばれている」






幼女幽霊「かみ……?」

DQN幽霊「……かま?」





256 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/26(日) 17:08:31.61 ID:WpyJgThYo
今日はここまで
ってことで後半スタートです長い夏休みでごめんなさい
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 17:34:58.20 ID:qT+Qm6TW0
おつ!
また来てくれてよかった
完結までがんばってください
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 18:14:22.98 ID:VjW0YWhP0
おお、やっと来てくれた
これで毎日の楽しみが一っ増えました
続きを楽しみに待ってますね。
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/08/28(火) 03:13:31.01 ID:i82TJZyhO
かにかま美味しいよね
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/28(火) 07:38:11.34 ID:wNKG2CnX0
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/28(火) 17:57:34.18 ID:sqkhN8KmO
……あ、あーあれね美味しいよね
262 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:09:42.24 ID:gW+D6pHio
幼女幽霊「な、なんだよそのカニカマって」


霊能少女「カニカマじゃない。“かにかま”」

霊能少女「このような字で書く」カクカク



『神彁混』



DQN幽霊「な、何かおどろおどろしい雰囲気っスね。『彁』の部分が見覚えがない字っスけど」

幼女幽霊「……私もそれ思った。どういう意味なんだそれ、常用漢字じゃないよな?」


霊能少女「知らないのも無理はない。これはいわゆる幽霊文字と呼ばれているモノ」

霊能少女「意味はない。というより、その歴史が失わてしまったという方が正しいか。だから誰にもこれがどんな意味なのかは名付け親以外は分からない」


DQN幽霊「ゆ、幽霊文字……初めて聞いたっス」

幼女幽霊「……んで、そのかにかまとやらは一体何なんだよ」


霊能少女「その件に関しては話が長くなる。最初から話すとかなり長くなるけど構わない?」


幼女幽霊「勿体ぶってねぇで早く言えや」


霊能少女「分かった。では話そう」

霊能少女「ワタシが体験した……あの忌まわしい事件の顛末を」
263 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:11:46.30 ID:gW+D6pHio
………………………………………………………………
……………………………………………………



霊能少女「これがあの事件の真相の全て」

霊能少女「“天国の扉”というカルトが成したかった本当の目的は“かみかま”と呼ばれる彼等が神と崇める化物をこの世界に降臨させる儀式を完遂すること」

霊能少女「そして、その儀式は成功してしまった。今、“かみかま”は自由の身となり、この世界を彷徨い続けている」

霊能少女「奴はワタシやアナタ達のような生から産まれた者ではない。死の渦から産まれた正真正銘の異形」

霊能少女「生物が誰に命令されることなく、本能で命を残し続けるように、奴は呼吸をするように死を振り撒く」

霊能少女「……この一年でどれだけの命が奴に奪われたのか、想像も出来ない。それだけ危険な存在。即急に封印しなくては」


DQN幽霊「マ、マジかよ……それって」

幼女幽霊「……!」


幼女幽霊(ま、まさか……あの事件にこいつが関わっていたなんて)

幼女幽霊(そ、それにカルトの本当の目的が化物を降臨させることって……ど、どういうこと?そんなまるで映画みたいな話が現実に……)


霊能少女「どう?分かってくれた?」

霊能少女「はっきり言う。もはや事態は深刻な状況に陥っている」
264 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:14:49.76 ID:gW+D6pHio
霊能少女「この儀式を世界で同時に、それも複数で行ったら……被害は更に拡大する」

霊能少女「今、分かっているだけでも日本の行方不明者、変死者はどれぐらいか知っている?」


幼女幽霊「し、知らない」


霊能少女「行方不明者は8万人、変死者は15万人とされている」

霊能少女「この数字を聞いて、少しでも不審に思うことはない?いくら何でも……ここまで数が大きいなんて、どう考えてもおかしい」

霊能少女「日本だけでもこれだけの数の人間が消えたり、謎の死を遂げている。世界的に見れば、この数は何十倍と膨れ上がるだろう」

霊能少女「もしも、この数の1%でも……“かみかま”が関わっていたら、誰にも気付かれていないだけで、これだけの死に関係していたら、どう?」


DQN幽霊「……!」ゴクリ



幼女幽霊(……なんだろう)

幼女幽霊(話は大体分かったけど、腑に落ちない)

幼女幽霊(この違和感が何か分からないけど……おかしい、何かが引っ掛かる。嘘はついてないないみたいだけど)

幼女幽霊(……もしかして、こいつまだ何か隠している?協力を仰ごうとしているけど、私には教えられないもう一つの事実があるような)
265 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:16:40.00 ID:gW+D6pHio
幼女幽霊「……ふたつ、質問させて」


霊能少女「何?」


幼女幽霊「まずひとつ、なんで私の力を借りようと思ったの?幽霊の私に力を借りなくても、お前みたいに霊能力者は日本中に、世界中にまだいるんでしょ?」

幼女幽霊「そいつらと手を組んで、徒党を組んだ方が確実じゃん。それがなんで私にのところに来たわけ?」



霊能少女「……もう既に、彼らにもこの事実は伝わっている。そして、“かみかま”に対抗する術も研究されている」

霊能少女「しかし、それではあまりに遅い。幽霊のアナタには分からないと思うけど、人間の集団というのはとても慎重になりやすい」

霊能少女「命を尊重するあまりに、確実に“かみかま”を葬る計画を完成させないと、彼らは動かない。例えこの一分一秒に人が殺されていても、上は仕方のない犠牲と割り切るだろう」

霊能少女「それでは遅すぎる。ワタシは……一刻も早く、奴をまた封印するべきだと思う。それが例え自分の身を危険に晒すような真似でも」

霊能少女「……それに、元々はワタシがもっと慎重に、用心深く考え行動していれば……奴を逃がすことはなかった。これはワタシの責任」

霊能少女「だから、ワタシは直接その手で奴に終止符を打ちたい。これが理由」



幼女幽霊「……」

幼女幽霊「……そっちにも、ワケがあることは分かった。でもなんで私なの?」
266 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:18:07.24 ID:gW+D6pHio
幼女幽霊「話を聞くと、その化物は正真正銘の不死なんでしょ?お前でも通用しなかったのに、幽霊の私の力が通じるとは思えないんだけど」


霊能少女「……理由はいくつかある。まずひとつはアナタがもう死んでいるということ」

霊能少女「これなら万が一に失敗したとしても、犠牲は私だけで済む。こちらもあまり死者を出したくない」



DQN幽霊「……つまり先輩ならいくらでも囮にでも何でも使えるってことかよ」



霊能少女「言葉は悪いけど、そう思ってもらって構わない」

霊能少女「でも、これはあくまで建前に過ぎない。真の目的がある」


幼女幽霊「真の目的?」


霊能少女「そう、アナタの力なら……奴を弱らせるほどのダメージを与えられるかもしれない。私の力と異なる、死を司るアナタの力なら」


幼女幽霊「ど、どういう意味だよそれ」


霊能少女「先程も話したように、“かみかま”を呼び出す儀式は多くの死を引き起こし、その空間で出産という命を産み出す行為を行うことで成功する」

霊能少女「つまり、生と死、決して交わることのない二つの事象が関わっている。私の力が通じなかったのは……生の力だけだったから」
267 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:19:35.72 ID:gW+D6pHio
霊能少女「私と同程度の死を操るアナタとなら、奴の脅威に成り得る。二人なら、“かみかま”に対抗することが出来る」


幼女幽霊「……その説に何か根拠でもあるの?」


霊能少女「ない。全て私の勘に近い」


幼女幽霊「……」

DQN幽霊「……」


霊能少女「それで、もう一つの質問は?」


幼女幽霊「……お前さっきからまるでその“かみかま”の居場所が分かっているような口振りだけど、どこにいるか分かってんの?」

幼女幽霊「言っとくけど、私は地縛霊だから遠出なんて出来ないからな。精々この町いっぱいだ」


霊能少女「そのことなら心配ない。これを使って“かみかま”がどこにいるか導き出した」スッ



『』グルグル



幼女幽霊「……なんだこの箱」

DQN幽霊「な、何か封印してる感が凄いっスね」
268 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:20:52.51 ID:gW+D6pHio
霊能少女「これは“かみかま”の肉片、奴を一時的に封印していた井戸の奥底から発見した」

霊能少女「今から見せるけど……用心して。多分、アナタ達幽霊でもこれは衝撃的なものだと思うから」ガサゴソ





スッ


パカッ







『』






幼女幽霊「!?」ビクッ

DQN幽霊「!?」ビクッ





269 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:22:45.47 ID:gW+D6pHio
幼女幽霊(な、んだ?これ……さ、さっきこいつの目を直接見た時にも感じた寒気とはまた違うものが。一言で言うと……『キモチワルイ』)

DQN幽霊(んぐッ……い、今までに味わったことがない感覚だ。異物感、って言うんだろうか。とにかく、こいつはここに存在してはいけないような気がする。絶対に)



霊能少女「……ワタシも、これを見るのだけは慣れない。“かみかま”を直接目撃した者として言わせてもらうけど、本物はこれと比較にならないほどの気を保っている」

霊能少女「で、なぜこれで“かみかま”の居場所が分かったかと言うと……」




『』ググッ




幼女幽霊「!?」ビクッ

DQN幽霊「う、動いたっ!?」



霊能少女「そう、こいつは今でも本体の元に帰ろうとしている」

霊能少女「その反応で、どこまで“かみかま”本体が近くにいるか判別することが出来る」
270 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:24:30.78 ID:gW+D6pHio
幼女幽霊「ト、トカゲの尻尾みたいだな……」



霊能少女「これを使い、全国をしらみつぶしに渡り歩き、“かみかま”が現在どこを宿にしているかを特定した」

霊能少女「……それを突き止めるのにずいぶん時間がかかってしまったが、これは大きな情報だった」



幼女幽霊「え、え……?そいつってどこか決まった場所にいるの?話を聞くと、スイクンみたいに徘徊しているのかと思ったんだけど」



霊能少女「……その例は分からないけど、確かに、少し前まで“かみかま”は毎日違う場所へと移動していた。まるで渡り鳥のように、どこかで殺人を繰り返していたんだろう」

霊能少女「でも、一ヶ月ほど前から、奴はある場所から動かなくなった。その証拠に、この肉片が同じ方向しか示さなくなった」



幼女幽霊「……その特定の場所って、まさか」



霊能少女「察しが早くて助かる」

霊能少女「“かみかま”は……この町にいる」
271 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/08/28(火) 23:28:27.15 ID:gW+D6pHio
今日はここまで
ごめんなさい今気付いたんですけど最初の方でかみかまをかにかまと間違えてる部分が一箇所あります
ややこしいですね
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 00:06:39.48 ID:61zz1hF7o
おつ
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 16:55:11.17 ID:Gpsytu26O
>霊能少女「カニカマじゃない。“かにかま”」

つられちゃってて可愛いw
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 22:13:41.36 ID:UDVn6I9So
熱くなってきたな!
おつ
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/15(月) 08:37:18.49 ID:X1uAxpU1o
速報復活!!更新待ってます!!
276 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:33:05.11 ID:9K6xzDxeo
QN幽霊「マ、マジかよ……」

幼女幽霊「……ずいぶん詳細な位置まで特定してるんだな。一体どうやってそこまで絞り込んだんだよ」



霊能少女「難しいことはしていない。特定の場所に留まっているということはそこに何かあるということ」

霊能少女「考えられる候補として一番有力なのは……神彁混を呼び出した天国の扉と関連するもの。それを辿ってみたら大当たり」

霊能少女「この町の南西の山奥にはある無人の古びた神社がある。今は宮司もおらず、荒廃していて人々に忘れられているけど」

霊能少女「……でも、最近その境内で、怪しげな集団がたむろしているという噂があった。調べてみたら、その集団は天国の扉に所属していたメンバーであることが判明した」

霊能少女「あの事件が起きてから、奴等も公には活動出来なくなったみたい。名前も場所も変えて、細々と活動している」


霊能少女「……そして、私の予想ではその神社に神彁混はいる。必ず、絶対に」



幼女幽霊「……」
277 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:34:36.68 ID:9K6xzDxeo
DQN幽霊「す、すごい偶然だな……今、このタイミングでそいつがこの町にいるなんて」



霊能少女「……偶然か。ワタシはそうは思えない」

霊能少女「全ての運命は……仕組まれているとさえ感じる。ワタシがアナタと闘い、そして両者が生き残り、今この場で手を組むことも……全ては決められていたような、そんな感じがする」



幼女幽霊「……どういう意味だよそれ」



霊能少女「気にしないでいい。深い意味はない」

霊能少女「これが、アナタに協力を要請に来た理由。納得してくれた?」



幼女幽霊「……まあ一応はな」



霊能少女「こちらも、ただで仕事をしてほしいとは言わない。それ相応の報酬を用意している」



DQN幽霊「な、なんだよ。報酬って」
278 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:35:57.25 ID:9K6xzDxeo
霊能少女「これ」スッ



幼女幽霊「これは……」

DQN幽霊「こ、小切手?」



霊能少女「そう、三千万円分の小切手。ワタシがこの仕事でこれまでに稼いできたお金」

霊能少女「もし、協力してくれるならこれを差し上げる」



幼女幽霊「さっ……!?」

DQN幽霊「三千万っっ!?」



霊能少女「幽霊であるアナタに金銭で交渉するのも変な話だけど、悪い話ではないはず」

霊能少女「これまで、窃盗を繰り返してきたアナタ達には……それなりに後ろめたい罪悪感があったはず。仕方ないとは分かっていても、盗むたびに罪の意識が芽生えている」
279 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:37:10.73 ID:9K6xzDxeo
幼女幽霊(……まあ、ないと言えば嘘になるけど)

DQN幽霊(普通に犯罪だしな……)



霊能少女「この金があれば、その意識から解放される。何にも縛られず、自由に好きなだけ買い物をすることが出来る」

霊能少女「どう?」



幼女幽霊「さ、さんぜんまん……」ゴクリ

幼女幽霊(た、確かに…...こいつに協力するだけで、これだけの金が手に入るのは悪くない)

幼女幽霊(病院のカメラも、ドッキリの仕掛けも……全部店から持ってきた盗品だし。正直なところだいぶ悪いことをしているという自覚がある)

幼女幽霊(で、でも……)


幼女幽霊「……お前に見せたい物がある」ガサゴソ

幼女幽霊「これが何か知ってる?」スッ
280 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:38:28.59 ID:9K6xzDxeo
『』



DQN幽霊「せ、先輩、それって一昨日来たやつが置いて行った……」



霊能少女「!?」

霊能少女「……どこで、それを?」



幼女幽霊「その反応……やっぱり、さっきの話に出てきた呪術の道具なんだな」

幼女幽霊「私のところにも来たんだよ……そのカルトに所属している人間が」

幼女幽霊「そして、この箱を置いてった」



霊能少女「……」



幼女幽霊「その箱からはお前が言ってた通りに、影の姿をした呪いが溢れ出てきた。これは一体どういうことだ?」



霊能少女「……恐らく、奴等はこの病院を新たな拠点にしようと企んでいたんだと思う」
281 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:40:47.66 ID:9K6xzDxeo
霊能少女「人影がなく古い建物というものは多かれ少なかれ、大抵は人為らざる者が住み着いている。玉響が多いけど、中にはアナタ達のような幽霊も」

霊能少女「きっと、それが邪魔だったんだろう。だから呪いの影で全てを喰わせようとしたんだと思う」



幼女幽霊「……そうか。あの影は天国の扉と繋がっていたのか」

幼女幽霊「……よし、決めた!」


DQN幽霊「せ、先輩?」


幼女幽霊「おいメスガキ。私は――」













幼女幽霊「ぜっっっっっっったいに行かんからな!!!!!!!失せろボケ!!!!!!!!!」



霊能少女「…………は?」
282 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:47:11.46 ID:9K6xzDxeo
霊能少女「……なぜ、この流れでなぜそうなる?」

霊能少女「奴等はアナタ達にも危害を加えようとした。仕返しをしなくていいの?」


幼女幽霊「確かに、その件に関しては正直イラつく。今すぐお礼参りに行ってやりたいが……」

幼女幽霊「……相手が悪過ぎる。あの影は間違いなく、私達幽霊でも取り込まれたらただでは済まない代物。リスクが高過ぎるんだよ。いくら金を積まれてもな」

幼女幽霊「そもそも、この件はお前達人間がどうにかすべき問題だろ。私みたいな一般人の幽霊を巻き込むのは道理に反している。違うか」


霊能少女「……」


幼女幽霊「悪いけど、そういうことで帰れ。私は一切関与しない」プイッ


DQN幽霊(……正直意外だな。先輩のことだから野次馬根性で喜んで参加すると思った。ずっと気になってたあの集団自殺の事件に関わることだし)

DQN幽霊(裏を返せば、先輩ほどの力を持っていても身の危機を感じるのか。好奇心より警戒心が勝るほどの)

DQN幽霊(……確かに、一昨日のあの呪いはヤバかった。毒ガエルを見て一瞬で有害であることを悟るように、視覚的に、直感的に、力がない俺でも一瞬でその脅威を理解するほどに)

DQN幽霊(いくら金積まれてもあれは無理だわ……命あっての物種って言うしな。まあもうその命すらないんだが)
283 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:48:56.77 ID:9K6xzDxeo
霊能少女「……よく考えてほしい」

霊能少女「確かに、リスクはある。いくら幽霊でも、アナタが無事にいられるかは保障できない」

霊能少女「でも、大勢の命に、世界の安定に関わる問題ということを認知してほしい。この力にワタシ一人だけでは抗えない」



幼女幽霊「……お前みたいにみんながみんな、人の為に命を賭けられるわけじゃないんだよ。私は自分の命が一番大事なんだ。他を当たれ」



霊能少女「それは絶対嘘。アナタは優しい人間、自分より他者の命を優先するほどの」



幼女幽霊「は、はぁっ!?お前に私の何が分かるんだよ!!!!!」



霊能少女「ではなぜあの時、ワタシの攻撃に自分の身を呈してまで、そこにいるもう一人の霊を助けた?」



幼女幽霊「……っ!!」

DQN幽霊(…………あれか)
284 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:50:45.61 ID:9K6xzDxeo
霊能少女「常人ならば、あの一瞬の判断を迫られる場面で、アナタがしたような行動は起こせない」

霊能少女「選択肢として脳裏を過るのは事実。でも体が動かない。なぜなら待ち受けるのは確実な“死”だから」

霊能少女「それでも、アナタは動いた。思考より先に“心”が動いたはず」

霊能少女「……そんなアナタだからこそ、私はパートナーに選んだのだから」



幼女幽霊「…………」



幼女幽霊(気に入らない)

幼女幽霊(こいつの熱意は本物だ。その時になれば喜んで自分の命より他者の命を救うほどの……信念を持っている。ほんと、漫画の主人公かよ。あーもう)

幼女幽霊(……それでも、気に入らない。ここまでの信念を持っているやつが――何かを隠しているということが)
285 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:51:41.13 ID:9K6xzDxeo
幼女幽霊「何度言われても、私は参加する気ないからな」

幼女幽霊「お前が全てを喋らない限りは……私はお前を信用しない」



霊能少女「……そうか。そこまで見透かされていたのか。とても敵わないな」

霊能少女「ならば……こちらもまた、強硬手段を取らせてもらう」スッ

霊能少女「これ、何か分かる?」



幼女幽霊「な、なんだよそれ」




霊能少女「爆弾、さっき使った物とは違う。爆薬の代わりにあの水が大量に詰め込まれている」




幼女幽霊「はぁっ!?」ビクッ

DQN幽霊「ば、爆弾っ!?」
286 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:53:14.32 ID:9K6xzDxeo
霊能少女「これの恐ろしさはアナタ達が一番分かっているはず。この距離で当たれば、無事では済まない……確実に消滅する」

霊能少女「協力してもらえないのなら、今すぐ起爆する。3秒以内に選んで」スッ



カチッ……



幼女幽霊(さ、3秒!?)

幼女幽霊(ま、まずいっ……どうする。退避か、先手必勝で攻撃するか)

幼女幽霊(いや、攻撃はまずい。その姿勢を見せただけで間違いなくこいつは何の躊躇いもなく、爆発させる。こいつの性格なら絶対そうする)

幼女幽霊(……恐らく逃げようとしても結果は同じか。いや、瞬間移動を使えば……)チラッ



DQN幽霊「え、え?」オロオロ



幼女幽霊(……そうか。私一人ならこの場を離れるのは容易。でも、こいつを連れてとなると……時間が圧倒的に足りない。こいつ、こうなることが分かってて――)
287 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:54:15.45 ID:9K6xzDxeo
幼女幽霊「……っ。分かった。協力してやる」



霊能少女「良かった。アナタならそうすると思っていた」スッ



DQN幽霊「せ、先輩……」

幼女幽霊「ただし、条件がある。お前が何を隠しているか、それだけ教えろ」



霊能少女「……」

霊能少女「ごめんなさい。それだけは出来ない」

霊能少女「これは……ワタシの、ワタシ達の問題だから、アナタには教えられない。残念だけど。それに、今回の件とは関係のないこと」



幼女幽霊「……つまり、自分の都合の悪いことは教えないっつーことかよ。脅迫紛いのことしといて」



霊能少女「どうとでも思ってもらって構わない。ワタシは否定も肯定もしない」
288 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:55:51.66 ID:9K6xzDxeo
幼女幽霊「……あっそ。ならいいわもう」

幼女幽霊「ってことでDQN、ちょっと行ってくるわ。留守番頼んだぞ」


DQN幽霊「せ、先輩……」


幼女幽霊「安心しろよ。すぐ帰ってくるから」


DQN幽霊「あ、ウス……」


幼女幽霊「ほら、行くんだろ。さっさと案内しろよ」

霊能少女「……協力、感謝する」

幼女幽霊「あんな汚い手使っておいてよう言うわ」



バタン



DQN幽霊「……」

DQN幽霊「……」



『もし、次に幼女に何かあったらアンタが止めなさいよ。あの子のことは任せたわ』



DQN幽霊「……んなこと言われてもな。俺には……先輩をどうこう出来る力はねえよ。ただの下級霊以外の何者でもないんだし」
289 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:57:59.16 ID:9K6xzDxeo
DQN幽霊「これまでも……俺は先輩の足を引っ張ってばっかだ。俺がヘマした時も、あいつが襲ってきた来た時も……いつも先輩に頼ってばっかで」

DQN幽霊「自分でも情けねえな。結局俺は……先輩の何なんだろ」



幼女幽霊「おいDQN!!!!」バッ



DQN幽霊「」ビクッ

DQN幽霊「えっ、せ、先輩?どうしたんスか?」


幼女幽霊「ひとつ言い忘れてた!私が留守の間に客が来たら、今度こそお前一人で何とかしろよ!」

幼女幽霊「お前なら出来るって信じてるからな!!テンパるなよ!!!」


DQN幽霊「りょ、了解っス」


幼女幽霊「んじゃ!明日には戻るから!」



バタン



DQN幽霊「……」

DQN幽霊(あぁ……そうか。俺は何もする必要はないのかもな)

DQN幽霊(ただ、先輩の居場所であるこの病院を守ればいい。先輩の帰ってくる場所に居れば……それが俺の役目か)

DQN幽霊(先輩……無事に戻ってきてくださいっス)
290 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/16(火) 03:59:01.29 ID:9K6xzDxeo
今日はここまで
ってことで再開です
落ちてる間にもう書き終わってしまったのでノンストップで行けると思います
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/16(火) 07:18:28.35 ID:T82lHYtno

やった
292 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:41:04.22 ID:q0Hnviedo
………………………………………………………
…………………………………………


幼女幽霊「んで、いつ攻め込むんだよ」

霊能少女「今日は何もしない。私が泊まっているホテルに行って、作戦会議」

幼女幽霊「作戦会議って、ずいぶん余裕あるな」

霊能少女「余裕なんてない。むしろその逆、今この瞬間にも……神彁混が巣を飛び出して、またどこかに放浪するかもしれない」

霊能少女「でも、だからこそ、慎重になる必要がある。時間に追われて迂闊な行動をとってしまったら……それが命取りになる」

幼女幽霊「……あっそ」



ガヤガヤ ガヤガヤ



霊能少女「通りに出ても平気?あまり生気を吸い過ぎるのは良くないと思うけど」

幼女幽霊「舐めるなよ。私は足付きだぞ。その程度で成仏するほど軟じゃないっつーの」

霊能少女「それならいい」

幼女幽霊「……そんなことよりも、どうにかならんの」


霊能少女「何が?」
293 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:42:21.34 ID:q0Hnviedo
ジロジロ ジロジロ



幼女幽霊「その眼帯だよ!!何か落ち着かないんだよ!!!私が見られてるみたいで!」

幼女幽霊「今の時代にそんな目立つもん付けてたら注目されるのは当たり前だろ!!外せよ!!!!」


霊能少女「……これはワタシの力を隠す役割を持っている。ワタシの両目を視たら、例え力を持たない一般人でも、何かを感じ取る」

霊能少女「どのみち見られるなら、まだこの眼帯に注意が行ってくれた方が助かる」


幼女幽霊「むっ、なら他の物で隠せよ。眼鏡とか、それこそコンタクトレンズでもいいだろ」


霊能少女「それもそうだけど……ワタシにも、これを付ける理由がある」


幼女幽霊「どんな理由だよそれ」


霊能少女「これはある人から譲り受けたモノ。その人はとても強力な力を持っていて、ワタシ達の世界では伝説とも呼べる人物だった」

霊能少女「この眼帯は……彼女が老衰で亡くなる寸前に貰った私物。だから大切に扱っている」


幼女幽霊「……ふーん」
294 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:43:43.55 ID:q0Hnviedo
霊能少女「人間の死は終わりではない。アナタのように魂だけ残るような姿もあれば、異形の者に形を変える者もいる」

霊能少女「でも、それだけじゃない。想いを紡いでいくことも出来る。例え自分がこの世を去っても、その想いが誰か別の人に託し、残すことが出来れば……力になれると信じている」


幼女幽霊「……」











幼女幽霊「お前って普通にそういうくさいセリフ言えるけど恥ずかしくないの?」



霊能少女「……」

霊能少女「……まあ多少は」プイッ
295 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:44:52.07 ID:q0Hnviedo
ガチャ


霊能少女「ここが泊まっているホテル」


幼女幽霊「結構いい部屋とってんなおい」ゴロン

幼女幽霊「んで、作戦会議って何するの」


霊能少女「まず、これを読んでほしい」スッ


幼女幽霊「なにこれ?」


霊能少女「神彁混と『天国の扉』に関する私がまとめたレポート。病院では省略した部分も事細かに書いてある」

霊能少女「奴と戦う上で最低限の知識は身に付くと思う。だから目を通しておいて」


幼女幽霊「……分かった。見ておく」


霊能少女「それと、少し手伝って欲しいことがある」ガサゴソ

霊能少女「これに、アナタの力を与えることが出来る?一年前にワタシが使った、あのバットのような」スッ


幼女幽霊「え?出来るっちゃ出来ると思うけど……なんだよそれ」

幼女幽霊「ん?この形ってまさか……銃弾じゃないよな?」


霊能少女「そうだけど」
296 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:46:06.59 ID:q0Hnviedo
幼女幽霊「!?」

幼女幽霊「えっ!?てことはお前!今実銃持ってんの!?」


霊能少女「持っているけど」スッ



『』ギラッ



幼女幽霊「!?!?」

幼女幽霊「なっ……よく平然と外出歩けたな!!!!職質されたら一発で逮捕じゃんお前!!」

幼女幽霊「そもそもなんでお前が持ってんの!?爆弾に銃って……本物のテロリストじゃねえか!!!!」


霊能少女「人聞きの悪いことを言うのはやめてほしい。これは『天国の扉』の祭司と呼ばれていた人物が自殺に使った拳銃。現場に放置されていたから、何かの役に立つかと思って拝借しただけ」


幼女幽霊「つまり泥棒じゃん。銃刀法違反と窃盗罪のダブルパンチじゃん」


霊能少女「……そんなことはどうでもいい。早く力を込めてもらえたいんだけど」


幼女幽霊「何するつもりなんだお前。銃があの化け物には効かないなんてとっくに分かってんだろ?」
297 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:46:46.45 ID:q0Hnviedo
霊能少女「……確かに、並みの重火器では歯が立たない。でも、それはあくまで通常兵器での話」

霊能少女「詳しい話は後で話す。とにかく、やってほしい」


幼女幽霊「分かったよ。ほら」グッ



シュンッ



霊能少女「礼を言う」


幼女幽霊「ありがとうもカッコつけないと言えんのかお前は」
298 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:49:04.03 ID:q0Hnviedo
……………………………………………………
……………………………………



幼女幽霊「……」ペラッ

幼女幽霊「……読み終わった」

幼女幽霊(これが……あの事件の全貌か。ずっと知りたかった真実……)

幼女幽霊(文として見ると、まるで私自身があの日を追体験しているよう。こんな化け物と明日は戦わないといけないのか)

幼女幽霊(……うわぁ、抜け出してぇ。今からコソッと抜け出したらバレんかな)チラッ


霊能少女「」ジー


幼女幽霊(……めっちゃこっち見てる)


霊能少女「どうだった?それを読んでみて」


幼女幽霊「……まあ、大まかの事情は把握した。確かに、これは人間の手におえる代物じゃないな。もちろん、幽霊や怪物でも対処出来ないだろうけど」

幼女幽霊「でも、分からない点がひとつある。これ、現場から回収されたメモのところなんだけど」スッ


『https://i.imgur.com/DotvkKw.jpg』


幼女幽霊「これ、お前は何だと思う?」


霊能少女「……分からない」
299 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:51:25.02 ID:q0Hnviedo
幼女幽霊(……この反応。こいつ嘘ついてるな。ってことは……このメモの内容が一番重要ってことなのか)

幼女幽霊(ちょっと揺さぶってみるか)


幼女幽霊「そう、私個人としては羅列された4桁の数字、これは年表の類いだと思う」

幼女幽霊「何かのパスワードとか暗号って線もあるけど、数字がどれも近いのが気になるんだよね」


霊能少女「……」


幼女幽霊「となると、気になるのは○が付けられている『1978』のところ。これが西暦を表しているとしたら、他の×が付いている年にはない、何かが起こった年だと思うんだけど」

幼女幽霊「お前はどう思う?」


霊能少女「……私も、その可能性が一番高いと思う」


幼女幽霊「じゃあ問題は1978年に何が起こったかってことだ。今からざっと40年前、私やお前が生まれるとっくの前の出来事。いくら何でもこれだけだと情報が少な過ぎる」

幼女幽霊「……なら、類似点を探すしかない。1978年に、今回と似たような事件がないかな」ポチポチ

幼女幽霊「『1978年 宗教 自殺』っと。検索ワードはこんなところか。さて、何が出てくる」
300 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:54:08.97 ID:q0Hnviedo
幼女幽霊「……」




霊能少女「……」




幼女幽霊「……あった。この年に……900人近くの人間が死んでいる事件がある。それも、カルトの集団自殺として、世界的に有名な……あの事件か」

幼女幽霊「……ちょっと待てよ。ってなると……ここに書かれている他の年も、同じような出来事が起きているんじゃないの」ポチポチ




幼女幽霊「……ビンゴか。正直当たってほしくなかったんだけど、間違いない」

幼女幽霊「このメモに書かれている数字は全て、カルトの集団自殺が起きた年と重なっている。ここまで来ると偶然なんて言葉ではとても片付けられない」

幼女幽霊「ど、どうなってんだよこれ。いくら何でもおかしいだろ……だって、集団自殺を起こしているのはどれも宗派が違う団体だ。国も、人種、信仰も何もかもがバラバラ、共通点がない。このメモは一体……」

幼女幽霊「で、でも……もし、もしもだぞ。こいつらが裏で繋がっていたとしたら、奴等が真に所属していたのは天国の扉で、神彁混の復活が目的だとしたら……」
301 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:55:18.92 ID:q0Hnviedo
霊能少女「……......」



幼女幽霊「……いい加減に、黙ってないで何か言えよ。知ってるんだろ、お前」

幼女幽霊「私がちょっと調べただけでもこれだけ出てきたんだ。この○と×の意味も、そして横に付いてる文字みたいな記号の正体も……話せよ。ここまで来て隠し事はなしだぞ」



霊能少女「…………」



霊能少女「……そう。アナタの推理は間違っていない」

霊能少女「ここに書かれている数字はカルトが集団自殺を引き起こした年。私の調べではこれらの組織はいずれも天国の扉と関わりがあったことが分かっている」

霊能少女「でも。教えられるのはここまで。これ以上はアナタが踏み込んでいい領域じゃない。深淵の奥の更なる真実には」
302 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:56:15.18 ID:q0Hnviedo
幼女幽霊「……は?人を勝手に巻き込んでおいてどの口がそんなこと言えるの?」

幼女幽霊「もう八割方、お前が隠そうとしていた事実はバレたんだぞ。この先に一体何があるんだよ」



霊能少女「……確かに、アナタはワタシのせいで、一連の事件に巻き込んでしまった」

霊能少女「でも、ただそれだけとも言える。もし、この事実をアナタが知ってしまったら、引き返せない可能性がある……ワタシのように」

霊能少女「今のアナタを突き動かしているのはただの好奇心。それだけの覚悟では足りない」



幼女幽霊「……じゃあ、お前を動かしているのは何なんだよ」
303 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:57:09.82 ID:q0Hnviedo
霊能少女「――復讐心、かな」




幼女幽霊「…………」


幼女幽霊「……あっそ」プイッ




幼女幽霊(……復讐って、こいつ……奴等との間に何があったんだ)

幼女幽霊(んなこと言われたら……こっちも黙るしかないじゃん。ズルい)




霊能少女「……」
304 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/17(水) 02:58:18.79 ID:q0Hnviedo
今日はここまで
約一年越しの伏線回収になりました
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/17(水) 18:23:11.30 ID:ouT6oYum0
おほー板も復活したし気になってたのも続いてて嬉しい
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/17(水) 20:12:56.68 ID:4wYwjKE40
いつまでも応援してやるかんな!
覚悟しろよ!
307 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 00:58:59.28 ID:lESPIf5mo
▢▢▢▢ 翌日 ▢▢▢▢



霊能少女「これが、私が考えた作戦。何か質問はある?」


幼女幽霊「……質問はある?とか言われても」

幼女幽霊「ほぼ邪魔する奴は全員ぶっ倒すってだけの脳筋作戦じゃねーか。作戦ですらないわ」


霊能少女「それが何か?」


幼女幽霊「何か?って言われても……だから、もっと具体的な案はないの?対神彁混の対策とか」


霊能少女「ワタシが相手をしたのはこの世界にまだ馴染んでいない状態だった。ようは産まれたての赤子のようなもの。今ではあれと全く違う状態になっていると仮定してもおかしくない」

霊能少女「それを考慮せずに、下手に対抗策を組んだら、かえって逆効果というもの。その時に合わせて臨機応変に対応するしかない」


幼女幽霊「つ、つまり……何も考えてないのか?」


霊能少女「だから、戦力を仮定するには情報が足りなさ過ぎるという話。ワタシ達が戦うのは見えない敵ではない。直接目で確認して、その時に合わせて行動しなくてはいけない。信じられるのは自分の力だけ、分かる?」
308 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:00:18.79 ID:lESPIf5mo
幼女幽霊「お、お前……よくそんなのでこれまで生きてきたな」

幼女幽霊(い、いや……それだけこいつの技術とセンスが確かってことなのか?頼れるのか、頼れんのか分からんな……)


霊能少女「……そろそろ時間、出発しよう」スッ



『21:00』



幼女幽霊「……!もうこんな時間か」

幼女幽霊(なんだかんだで……こいつともう丸一日以上は一緒にいるのか)

幼女幽霊(と言っても、こいつちょっと前までずっと半日近く寝てたけど。しかも起きた後はアホみたいに飯をコンビニで買ってきて食うし)

幼女幽霊(どんだけ食うんだよってくらい食ってたな。悟空かこいつは)


霊能少女「さて」ゴソッ


幼女幽霊「……」

幼女幽霊(……にしても、あいつが持っている鞄、やばいぞありゃ。幽霊の私のセンサーがビンビン反応してる。なんつうもん持ち歩いてんだよ)

幼女幽霊(あれだけの道具なら……何とかなるかもしれんな。とてもじゃないけど、私は相手にしたくないわ)
309 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:00:48.79 ID:lESPIf5mo
霊能少女「……そうだ。昨日から気になっていたことがあった」

霊能少女「アナタ、一年前と何か変わった?気配が少し違うような気がする」


幼女幽霊「え?どういう意味だよそれ」


霊能少女「……いや、心当たりがないならいい。勘違いかもしれないから」


幼女幽霊(なんだこいつ)
310 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:02:13.84 ID:lESPIf5mo
スタスタ スタスタ



幼女幽霊「結構歩くんだな。幽霊の私は疲れないから別にいいけど」

霊能少女「神社はだいぶ人里から離れたところにある。だから管理する人も自然と居なくなって、無人に成り果てたんだろう」

幼女幽霊「何か私が住んでる病院みたいな話だな」

霊能少女「なぜかは分からないけどこの町はそんな建築物が多い。大抵は高度経済成長期に建てられていて、今は取り壊されているか廃墟になっているけど」

霊能少女「恐らく、それが原因でこの町は怪異が多くなってしまったんだと思う。幽霊にとっては絶好の住処がいくつもある楽園に近い状態だから」

霊能少女「そのおかげで、町全体の気がおかしくなっている。力を持つ者なら違和感を抱くほどに」

幼女幽霊「……へー」


霊能少女「……!ちょっと止まって」ピタッ


幼女幽霊「え?なんだよ」


霊能少女「……あれを見てほしい」スッ


幼女幽霊「……?何かあんの?」チラッ
311 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:03:11.09 ID:lESPIf5mo
死骸『』ブラー



幼女幽霊「!?」ビクッ

幼女幽霊「えっ……な、なにあれ。動物?の死体が……吊るされてる」


霊能少女「……」スタスタ

霊能少女「……」ジー


幼女幽霊「なんだよこれ……プレデターでもいるのかよここに」


霊能少女「……恐らく、これはまじない。それも呪術に関連する」


幼女幽霊「じゅ、呪術!?」


霊能少女「私もその手の専門家じゃないから、詳しいことまでは分からないけど、恐らくあの集団自殺をした時の状況のように……この地を“死”に近くしているんだと思う」

霊能少女「……もしかしたら、また繰り返そうとしているのかもしれない。新たな神彁混を……呼び出そうとしているのかも」


幼女幽霊「マ、マジかよ……どうすんの」


霊能少女「……計画は変わらない。先に進もう」スタスタ


幼女幽霊「行きたくねぇ……」
312 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:04:16.94 ID:lESPIf5mo
スタスタ スタスタ



幼女幽霊「な、なぁ……なんで夜に攻め込むんだ?別に昼でも良かったんじゃないか」

幼女幽霊「街頭もないからだいぶ暗いし、夜道で迷いそうなんだが」

霊能少女「道は完全に私の頭に入っているから問題ない。夜に来たのはあまり信者の相手をしたくないから」

霊能少女「奴等が目撃されたのはいずれも昼の時間帯だった。なら、集会が行われていない夜に攻めるのが一番効率がいい」

幼女幽霊「でも、絶対にいないって保証はどこにもないよな?」

霊能少女「それならそれで、夜襲を仕掛けられるこっちが有利」

幼女幽霊「……ほんと適当だな。どんだけ行き当たりばったりなんだよ」
313 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:05:30.46 ID:lESPIf5mo
スタスタ スタスタ



霊能少女「……ん?あれは……」

幼女幽霊「なに?また死骸でもあった?」

霊能少女「……あれを見て。注連縄のようなものが張られている」



『』



幼女幽霊「あぁ……あれって神社とかによくあるやつなんじゃないの?」

霊能少女「……そう、役割としては結界のようなものだと思っていい。つまり、ここから先は……奴等の領域」


幼女幽霊「……」ゴクリ


霊能少女「警戒を怠らないで。この縄の向こうはもはやこことは別世界だと思っていい。何が起こるか分からない」

霊能少女「覚悟ってやつを決めた方がいい」


幼女幽霊「……いいから行くぞ。こっちは早く終わらせたいんだから」


霊能少女「……分かった。行こう」スッ
314 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:07:22.49 ID:lESPIf5mo
ザワッッッッッッッッッ!!!!!!!!!



霊能少女「!?」ビクッ

幼女幽霊「!?」ビクッ



霊能少女「っ……!これは……」



幼女幽霊「な、なんだ……今の。空気が……変わった?」

幼女幽霊「ま、まるで……他人の腹の中にいるような……縄の向こう側とまったく違う……」キョロキョロ


霊能少女「……こちらが違和感を覚えたように、向こうもワタシ達の存在に勘付いたはず」

霊能少女「急ごう。あまり長居をするのは危険」


幼女幽霊「あ、あぁ……そうだな。確かに、ここにいると頭がおかしくなりそうになる」




スタスタ スタスタ




幼女幽霊「神社の本殿まであとどれくらいなんだ?」

霊能少女「もうそう遠くない。ここからあと100メートルもない。そろそろ見えてくる」

幼女幽霊「と、とうとうご対面ってわけか」
315 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:08:40.32 ID:lESPIf5mo
スタスタ スタスタ





霊能少女「……灯りが見えてきた。あそこが……そう」

幼女幽霊「……!!」




ズズズズズズ……




幼女幽霊(な、なんつうところだよ……まさに悪魔の巣、絶対に近付くなって私の中の防衛本能が全力で警報鳴らしてるぞ)

幼女幽霊(もはや根本から、神を祀る場所という概念を塗り替えしている。いや、あいつらにしたらあの化け物も神なのか……)


霊能少女「……!出てくるッッ!!」


幼女幽霊「!?」ビクッ






ズズズズズズッ…………


ズズッ…………
316 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:10:25.01 ID:lESPIf5mo
ザッ






神彁混「…………」スッ






霊能少女「……っ!」ゴクリ


幼女幽霊「こ、こいつが……神彁混。死から産み出された化け物……」



幼女幽霊(体長は3メートル前後、体色は真っ黒で羊の骸骨のような頭部に翼、手足はかなりのリーチがあり、地面に引きずるほどの長さのある尻尾を持つ)

幼女幽霊(レ、レポートに書いてあった通りだな……想像していた通り、外見は悪魔そのもの。こんなのが本当に現代社会に潜んでいたなんて……ファンタジー小説にでも出てきそうな見た目だ)

幼女幽霊(い、いや……一番ヤバいのは……あいつが纏っているオーラ、気だ)

幼女幽霊(こ、こんな気配を持つやつなんて見たことがない。私が知る中で一番本能的に危ないと思ったのはメリーさんだけど、それとは正に次元が違う。あいつは……この世界の者じゃない。まったく別のところからの来訪者だ)
317 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:11:43.97 ID:lESPIf5mo
幼女幽霊(見ているだけで気圧される。全身に鋭い刃物を押し付けられているように、体中がチクチクする。これは悪意でも敵意でもない、そんなのを遥かに通り越した、ただ純粋な殺意そのもの。それもこの世界全てに向けられた――)

幼女幽霊(……あ、あれ?なんだろ、これ。デジャヴっていうか、既視感っていうか……病院で感じた時と同じような感覚がする……?)



霊能少女「大丈夫?」


幼女幽霊「だ、大丈夫なわけねえだろ……絶賛後悔中だわ。もう今すぐ帰りたい」

幼女幽霊「ど、どうすんだよ……正直なところ、お前の話を聞いても、あの影のように多少は私の力が通じると、この瞬間までは思っていたけど……あれは無理だぞ。そんなレベルじゃない」

幼女幽霊「この世界の全ての武力はあいつには無力だ。いかなる力も……通用しない。そんな感じがする」


霊能少女「……正確に言うと、ちょっと違うかな。ダメージは与えられる。ただ殺せないだけ」

霊能少女「それに、以前ワタシが成功したように、封印は出来るはず」


幼女幽霊「ふ、封印って……そ、そういえばまだ聞いてなかったけど、どうやって封印する気なんだ?」
318 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:13:09.29 ID:lESPIf5mo
幼女幽霊「前回は井戸を媒体にして封印したって言ってたけど、今この場にそんな物はないぞ……」

霊能少女「……大丈夫、ちゃんと策は考えてある」

霊能少女「ただ、これはまだ試験的なモノで、回数が限られている。費用と下準備もかかって、三回分しか用意出来なかった」

幼女幽霊「さ、三回っ!?本当に大丈夫なのか!?」

霊能少女「当たりさえすれば、一発で成功する。心配する必要はない」






神彁混「…………」ザッ






幼女幽霊「!?」ビクッ

幼女幽霊「な、なんだあいつ……さっきから、お前をずっと見てるけど……襲ってこないの?」
319 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:14:40.58 ID:lESPIf5mo
霊能少女「……恐らく、奴はワタシが本物かどうか確認している。向こうからしたら、ワタシは唯一生き残った相手だと思うから」

幼女幽霊「つ、つまり宿敵同士ってわけか。ラブラブじゃん、私はいなくてもいいよね、帰っていい?」

霊能少女「……冗談を言ってる場合じゃない。いつ攻撃を仕掛けてくるか分からない。集中して」






神彁混「……......」ザッザッ

神禍混「」シュンッ






幼女幽霊「ッッ!?」ビクッ

幼女幽霊「き、消えた!?どこにっ!?」キョロキョロ
320 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:15:40.92 ID:lESPIf5mo
霊能少女「違うッ!!!!上に飛んだ!!!!来るッ!!!!」








神彁混「…………」シュンッ








霊能少女「避けてッッ!!!!!!」サッ

幼女幽霊「う、うわあああああああああああ!?」バッ








ズシーーーーーーーーン!!!!!!!!
321 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/18(木) 01:16:42.08 ID:lESPIf5mo
今日はここまで
明日で一気に最後まで行けると思います
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/18(木) 07:49:51.10 ID:QzNC+KJTo
これはいいものだ
323 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:02:23.46 ID:1HoW9zBeo
幼女幽霊(危ねえ!?私でもどうやって上に移動したか見えなかった!!まさかメリーさんと同じ道を通らない瞬間移動!?)

幼女幽霊(それにあいつの攻撃!!!!余波だけで理解った……間違いなく霊体でも喰らったら無事では済まない!!)






神彁混「…………」ザッ






霊能少女「!?」ビクッ

霊能少女(ワタシに狙いを付けているのか。それともあの幽霊が見えていない?いや、さすがにそれはないか)

霊能少女(それとも、生者を優先して狙う習性でもあるのか?まあいい、逆に好都合だ)スッ




神彁混「…………」ブンッ




霊能少女「ッッ!!」サッ

霊能少女(以前より動きのキレが増している。ワタシの身体能力だと、いくら水でブーストしても正面からだと厳しいか)
324 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:03:59.33 ID:1HoW9zBeo
神彁混「…………」ザッ



シュンッ!!!!!!



霊能少女「!!」サッ

霊能少女(死角からの尻尾での攻撃、これは警戒していれば軌道は読める)


霊能少女「ハァッ!!!!!」ピシャッ



神彁混「…………」ビチャッ



霊能少女(対神彁混用の特別製の水。どうだ、効果はあるか?)



神彁混「…………」ピクッ

神彁混「…………」ブンッ



霊能少女(っ!一瞬動きが止まったけど、それだけか。やはり気休め程度にしかならないか)

霊能少女「……ッッ!?」ビクッ
325 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:05:04.18 ID:1HoW9zBeo
ズズズズズズッ……


神彁混「…………」スッ




霊能少女(こ、これは……あの天国の扉が使っていた影のような呪詛ッ!こいつも使えるのか!?)

霊能少女(いや……順序が逆なのかも。元々、この影は神彁混の力だった?あの呪詛から感じられた意思の正体は……)

霊能少女(……マズいな。この距離だと本体と影、両方相手にするのは――)




神彁混「…………」シュンッ

影『…………』ズズズズズ




霊能少女「……っ!!」







幼女幽霊「ハァッッッ!!!!!!!!」グッ






神彁混「…………」ドンッ
326 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:06:44.34 ID:1HoW9zBeo
幼女幽霊「おい!大丈夫かよ!?お前今さっき死にかけただろ!!」

霊能少女「……出来れば、もっと早く助太刀が欲しかった。何の為にアナタを呼んだんだか」

幼女幽霊「し、仕方ないだろ!あいつ、私を無視してお前に突っ込んで行ったんだぞ!タイミングってもんがあったんだよ!」

幼女幽霊「そんなことより、何だよあれ……神彁混が呪詛の力を使えるなんて聞いてないぞ」




神彁混「…………」

影『』




霊能少女「……だから言ったでしょ。想定して戦うなって。実戦では常に不測の事態が起こり得る」

幼女幽霊「そういう問題じゃねえだろ……ここは一時退避した方がよくないか?い、いくら何でも想定外過ぎる。私達二人でも、あの神彁混と影、両方を相手するのは無理だ」
327 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:08:05.27 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「……いいや、作戦に変更はない。あの影は神彁混と違い、私とアナタなら撃退するのにそこまで苦労はしない」

霊能少女「それとも、今更怖気づいた?」

幼女幽霊「あぁ!?喧嘩売ってんのかお前!!!!」

霊能少女「フッ……それでいい。アナタはそっちの方が似合ってる。それに……」

霊能少女「向こうが大人しくこちらを逃がしてくれるなんて、期待する方が間違い」






神彁混「…………」バッ






幼女幽霊「うわっ!?また来た!!!!」

霊能少女「念力で神彁混の動きを止めることは出来る?」

幼女幽霊「え?た、多分無理だ。さっきあいつをぶっ飛ばした時も、押し潰すつもりで最大級の力だったはずなのに、全然ダメージは食らってなかったし」

霊能少女「……そう、ならアナタはサポートをお願い。影の対処と、隙があったら神彁混に攻撃して」ダッ

幼女幽霊「えっ!?お前生身で突っ込むの!?」
328 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:09:41.55 ID:1HoW9zBeo
霊能少女(接近戦だとこちらが不利。でも、奴を封印するにはこちらが近付くしかない)

霊能少女(大丈夫、道具を惜しみなく全て解放すれば……一瞬だけど、怯ませるくらいは出来る。あとはそこに全てを賭ければ……)


霊能少女「フッ!!」ブンッ




神彁混「…………」




ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!




霊能少女(前に使ったのと同じ、爆薬と清めの塩を混ぜた爆弾。こいつがそれなりに効くのはもう実践済み)

霊能少女(そして、次はこれっ――)




神彁混「…………」シュゥゥ




パラパラッ……
329 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:11:01.48 ID:1HoW9zBeo
神彁混「…………」

神彁混「…………」グッ




ズンズンッ!!!!!!!!!




霊能少女(縛ることだけに特化した封印の札。多分、これだけでは完全に封印するまでには足りない。でも、補助としては申し分ない)






神彁混「…………」ググッ






幼女幽霊「!!」

幼女幽霊「か、かみかまの動きが止まった!!これはチャンスか!?」

幼女幽霊「よ、よし!私も……!!」グッ






ズズーン!!!!!!!!!



神彁混「…………」ググッ






霊能少女(……空間の捻じ曲げるほどの念力、合図も出さずによくこのタイミングで出してくれた。流れはこれで完璧)

霊能少女(さて、一発目。これで成功してくれたらっ!)チャキッ
330 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:12:37.54 ID:1HoW9zBeo
バンッ!!!!!!!




幼女幽霊「!?」

幼女幽霊(あ、あれって……私が力を与えてやった銃か!?封印ってあれのことだったのか)






霊能少女(当たれッ……!!)






神彁混「…………」

影『』ヌルッ



ドンッ!!!!!!!!!!!



影『』シュゥゥゥゥ

神彁混「…………」






霊能少女「くっ……影に防がれたか」

霊能少女(でも威力は十分。受け止めたあの影が跡形もなく消滅した)

霊能少女(咄嗟にとったあの防衛行動。あれも自分に当たればただでは済まないと神彁混自身が本能的に悟り、動いたに違いない。つまり、この“死魂弾”は奴の脅威に成り得る)
331 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:13:49.54 ID:1HoW9zBeo
シュンッ



幼女幽霊「お、おい。さっきお前が撃ったのって私が力を込めた銃弾だよな?封印ってあれのことなのか」

霊能少女「……言ってなかった?そう、あれは死のマイナスの力と生のプラスのパワー、二つを組み合わせた銃弾。ワタシは死魂弾と名付けた。アナタの手を借りるまでは試験的なモノしか作れなかったけど、これで完成した」

霊能少女「死の力は奴を相殺することが出来る。そして、生のパワーは神彁混を抑制する」

霊能少女「つまり、この二つの現象を同時に起こせば……何の媒体も使用することなく、奴の力を相殺して、無に還すことが出来る」

幼女幽霊「何となく原理は分かったけど……なんだ、そのネーミングセンス」


霊能少女「……?何か?」


幼女幽霊「いや……何でもないわ」
332 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:15:19.10 ID:1HoW9zBeo
神彁混「…………」グッ




霊能少女「!!」

幼女幽霊「!!」


幼女幽霊「な、なんだ?奴さん、ずいぶんと怒っているように見えるけど」

霊能少女「……そりゃ、初めての経験だろうしね。あの銃弾が向けられた時、奴は初めて恐怖という感覚を覚えたはず」

霊能少女「自分の身を脅かす存在は即効で排除の対象になる。もっとも、あの化け物に感情ってモノがあればの話だけど」

幼女幽霊「つ、つまり……余計に怒らせた、ってことなのか?」

霊能少女「そう、だから初弾で決めたかった。余計な警戒をされたくなかったのに」

幼女幽霊「や、やばくないか……それって。事態が悪化したってことじゃん」

幼女幽霊「それに、いくらあいつに銃弾を撃っても、さっきみたいにあの影で防がれたら本体に届かないぞ……」
333 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:17:02.58 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「問題ない。あの影に防御されるより前に叩き込めば……超至近距離から撃てばいいだけの話」

幼女幽霊「はんっ……よくそんな無理ゲーを涼しい顔で言えるもんだわ」

霊能少女「……ん?」






霊能少女(……おかしい)

霊能少女(なぜ、この瞬間を、神彁混は襲ってこない?)






霊能少女(さっきも少し気になっていたけど、これは明らかにおかしい……ワタシとこの霊が喋っている今……どう見ても隙が出来ているはず。それでも、あの神彁混は襲ってこない。一度だけではない。今、この時も)

霊能少女(まるで漫画じゃあるまいし……どうなっている?)




霊能少女「…………」




幼女幽霊「お、おいどうしたんだよ」
334 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:19:11.27 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「……不自然だと思わない?なぜか、アナタと会話している間だけ、神彁混が襲ってこない」

幼女幽霊「……?」


幼女幽霊「い、言われてみればそうだけど……それがどうしたんだ?警戒でもしてるんじゃないの?」


霊能少女(……それはない。前に手合わせしたことがあるワタシだからこそ分かる。この神彁混は……前回と比べて、何かおかしい)






神彁混「…………」






霊能少女(もう一分は経った。それでも奴は襲ってこない)

霊能少女(相手が自分に危害を加える存在というのは認識しているはず。なら、なぜ攻撃してこない?)

霊能少女(……神彁混の行動を辿れば、何かヒントがあるはず。まず、最初は上空からの攻撃、先に向こうから仕掛けてきた。そして次はワタシとの攻防、これも変化はなかった)

霊能少女(一度、戦闘は中断……問題はここからだ。少しの間、奴は攻撃してこなかった)

霊能少女(そこまで気にすることはないかもしれない間……でも、殺し合いの最中にある間としては、明らかに不自然だ。わざわざ目の前で敵同士が作戦会議をするのを見過ごすやつがどこにいる)


霊能少女(……ん?敵同士……)
335 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:20:14.22 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「……ちょっと作戦がある。協力してくれる?」

幼女幽霊「作戦?何をする気なんだ?」

霊能少女「次はアナタが突っ込んで。私が援護するから」

幼女幽霊「は、はぁっ!?や、やだよ!!!!あんな化け物に特攻しろって!?」


霊能少女「……大丈夫、ワタシの思惑が正しければ……」


幼女幽霊「な、なんだよ。それって……もし外れてたらどうすんだよ」

霊能少女「その時はアナタ自身で対処して、これでも足付きの幽霊でしょ」

幼女幽霊「て、てめえ!!!!人のことを何だと思ってやがる!!!!!」

霊能少女「もうアナタは人じゃなくて幽霊、漫才をしている暇はない」

霊能少女「大丈夫、これでもアナタを信用している。アナタの実力はワタシが身を以って体験しているから」

霊能少女「お願い」


幼女幽霊「っ……」

幼女幽霊「……ほ、ほんとに大丈夫なんだろうな?」
336 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:23:06.59 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「ワタシを信用して」


幼女幽霊「……お前以上に信用出来ない相手も中々いないけど、いいよ。乗ってやる」グッ


ボンッ


長髪白装束娘「」ボドッ

スッ

長髪白装束娘「勘違いするなよ。別にお前に頼まれたからやるんじゃない」

長髪白装束娘「こっちも……ちょっと気になってることがあるしな。それを確かめたいだけだ」


長髪白装束娘(……この違和感の正体が知りたい。この神彁混に感じる……既視感の正体を)

長髪白装束娘(もしかしたら私は……こいつと……どこかで――!!)


ダッ


長髪白装束娘「ていやああああああああああああああああああああ!!!!!!」ブンッ






神彁混「…………」スッ
337 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:24:07.53 ID:1HoW9zBeo
ゴツンッ



神彁混「…………」



長髪白装束娘「!?」

長髪白装束娘(えっ!?うそっ!?当たった!?絶対に避けると思ったのに!!)

長髪白装束娘(な、舐めてるのかこいつ……じゃあこれならどうだ!!念力で最大まで強化したサイキックキック!!!!)ブンッ



ドゴォ!!!!!!



神彁混「…………」



長髪白装束娘(チッ……効いてないか)

長髪白装束娘(……ん?なんでこいつ、反撃してこないんだ?それに、防御も回避もしない)

長髪白装束娘(ど、どうなってる?まるで私が見えていないみたいな……でも攻撃をする一瞬、こっちを見た気がしたし……)



神彁混「…………」
338 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:25:30.07 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「ッッ!!!!」チャキッ




バンッ!!!!!!!




神彁混「…………」スッ

影『』ズズズッ




ドンッ!!!!!




影『』シュゥゥ





霊能少女「……やはり、ワタシの攻撃にだけ反応するか」


霊能少女(確信した。こいつは……なぜか、あの霊に一切の抵抗をしない)

霊能少女(決して、見えていないわけではない。その証拠に、奴は明らかにあの霊に関与している時間だけ、行動が消極的になっている)

霊能少女(ワタシがあの幽霊と話していた時、そして横から念力で飛ばされても、あの幽霊の方に奴は殺意を向けていなかった)

霊能少女(そして今の一方的な攻撃……これは……間違いない)


霊能少女(一体……何がどうなっている?なぜあの霊との時間だけ……それとも、幽霊に危害を加えるわけではないのか?)
339 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:27:11.93 ID:1HoW9zBeo
霊能少女(敵はあくまで生きている人間だけ……いや、それだけでは説明出来ない。例え幽霊であっても、神彁混の前ではこの世界の住民。つまり生者と同じく殺戮の対象のはず)

霊能少女(ワタシと同じように、あの幽霊も神彁混に対して恐怖を感じていたし、影はあの病院を浸食しようとしていた)

霊能少女(となると……あの霊が特別なのか?……ダメだ、判断材料が少な過ぎる。もう考えるのはよそう)

霊能少女(でも、理由はともあれ……これは使える)




長髪白装束娘「」スッ

幼女幽霊「……どういうことだ、これ」


霊能少女「……理由は分からない。でも、確かなことは……神彁混は、アナタには危害を加えないということ」

霊能少女「今、こうやって言葉を交わせるのもアナタと一緒だから。最初の攻撃も、ワタシを狙っていた。奴はずっと……ワタシだけを見ていた」


幼女幽霊「あいつ、幽霊が見えないんじゃないのか?それとも、私がもう死んでいるから興味を持っていないとか」
340 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:28:16.15 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「そのどれらでもないと思う。ただ一つ言えるのは……ワタシよりも、アナタの方が真実に近付いてると思う。何か心当たりはない?」




幼女幽霊「…………」

幼女幽霊「知らないよ。そんなの」




霊能少女「……そう。ならいい」

霊能少女「とにかく、これは好機。これで確かな勝機が出てきた」

霊能少女「……これをアナタに渡しておく」スッ


拳銃『』


幼女幽霊「!?」

幼女幽霊「なっ……!わ、私に撃てって言うのか!?」
341 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:29:44.72 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「それが一番成功率が高い。神彁混はもうワタシに最大の警戒を向けている。そんな針の糸を潜るような危険を冒すより、アナタが撃った方が成功率は高いはず」

幼女幽霊「で、でも!実銃なんて撃ったことないぞ私!」

霊能少女「ゲームは得意でしょ?それと同じ。真っすぐ銃身を向ければ、そこに銃弾は当たる。そう難しいことじゃない」

幼女幽霊「簡単に言ってくれんなオイ……」



霊能少女「……じゃあ一応、確認しておく」

霊能少女「アナタは撃てる覚悟がある?」



幼女幽霊「覚悟って……どういうことだよ」



霊能少女「そのままの意味。一年前のあの日、アナタは自分を消滅させようとした相手でも情けをかけた」

霊能少女「神彁混に……その甘さを捨てることが出来る?」
342 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:30:58.68 ID:1HoW9zBeo
幼女幽霊「……」

幼女幽霊「……んなことでイチイチ確認取るなら、自分で撃てよ。私はやりたくないぞ」


霊能少女「……それもそうか。分かった。死魂弾はワタシが撃つ。無理を言って申し訳なかった」

霊能少女「もう一発しか残ってない。これで決めないと」チャキッ


幼女幽霊「んで作戦はどうすんの」


霊能少女「以前、ワタシと戦った時に出した、あの分裂と増殖を繰り返す技。今でも出来る?」


幼女幽霊「それなら問題ないけど」


霊能少女「良かった。じゃあアナタはアレを使って神彁混を攪乱して」

霊能少女「それに紛れて、ワタシが至近距離で死魂弾を撃つ」


幼女幽霊「大丈夫なのか?それ。いくら数が多いって言っても、本命がお前って分かってたら意味ないだろ。その銃だけ警戒すればいいんだから」
343 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:32:10.66 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「それでいい。ワタシだけに集中すれば、その分アナタの攻撃で隙を作り易くなる」

霊能少女「アナタは全力を出して、神彁混の動きを一瞬止めてほしい」

霊能少女「そこでケリをつける」


幼女幽霊「……いいのかそれで。渾身の念力でもちょっと吹っ飛ばすので精一杯だったんだぞ。いくら向こうが攻撃してこないって言っても、力の差は歴然……」


霊能少女「なに?自信ないの?」


幼女幽霊「このっ……!!そういうことじゃないだろうが!私なんか頼りにしていいのかって言ってんだよ!信じられるのは自分の力だけってお前も言ってただろ!」


霊能少女「さっきも言ったけど、ワタシはアナタを信用している。アナタなら……きっと成し遂げると確信している」

霊能少女「これが理由だけど、納得した?」


幼女幽霊「ぐっ……」

幼女幽霊「だ、だから……お前は何でそういう恥ずかしいこと真顔で言えるんだよ……こっちまで恥ずかしいじゃん」クルッ




スッ
344 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:33:07.49 ID:1HoW9zBeo
長髪白装束娘「……私も、全力でやる。だからお前も決めろよ。任せたからな」

霊能少女「……ありがとう。こちらも任せた」

長髪白装束娘「……ふん」シュンッ








神彁混「…………」

神彁混「…………」クルッ




長髪白装束娘「そりゃあああああああああああ!!!!!!」グッ




神彁混「…………」ドンッ




長髪白装束娘(くっそ!やっぱこの肉体の攻撃は効かないか!よし次!)
345 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:34:47.27 ID:1HoW9zBeo
長髪白装束娘「」ヌルッ

長髪白装束娘「」ズルッ

長髪白装束娘「」ズサッ



長髪白装束娘(物量で押し潰す!!!!!!)






ギチギチ……ギチギチ……


神彁混「…………」グググッ


ギチギチ……ギチギチ……






霊能少女「なるほど、神彁混を丸ごと増殖体で覆ったのか。これならワタシも動きやすくて助かる」

長髪白装束娘「へっ、どうよ。いい作戦だろ」ヌルッ

霊能少女「……ところで、今出てきたアナタはオリジナル?それとも分裂した個体?」

長髪白装束娘「あ?本体なんてないよ。私達は意識を共有してるから、みんな本物。お前も知ってんだろ」

長髪白装束娘「まあ多少は性格に差異が出来るけどな。魂を分割してるから、感情が偏る個体も出てくるし」

長髪白装束娘「私は基本的に普段に近い性格だけど」
346 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:35:49.22 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「そう。で、これからどうするの?」

長髪白装束娘「ん、神彁混にどれぐらい近付けばいいんだ?」

霊能少女「影の防御は即座には出せないはず。一瞬、意識を向ける必要がある。そうなると、弾速から計算して……」

霊能少女「……半径1メートル以内。これなら影は反応出来ない」

長髪白装束娘「あっそ。ならそこまで近付けるように圧縮するか」グッ






長髪白装束娘「「「「「 」」」」」ギュー

神彁混「…………」





347 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:37:24.19 ID:1HoW9zBeo
長髪白装束娘「どうだ、150人分のおしくらまんじゅうは。いくらあいつでも簡単には動けまい」

霊能少女「……凄い光景。あと何人分は出せる?」

長髪白装束娘「まあ最大でこの倍は余裕だな。以前と比べて、私の能力もパワーアップしてるし」

霊能少女「……今のアナタを敵に回さなくて良かった」

長髪白装束娘「そりゃこっちのセリフだっての」






神彁混「…………」ギュー

神彁混「…………」ピクッ






長髪白装束娘「さ、これぐらいでいいだろ。合図をしたらあそこの一点にだけ絡みついてる私達を消す」スッ

長髪白装束娘「お前は近付いて、そこを撃て。一応念のために三体分の私を護衛に付かせといてやるから」ピッ


長髪白装束娘「」ヌルッ

長髪白装束娘「」ズサッ

長髪白装束娘「」バタッ


霊能少女「……何かこれだけの数がいると気持ち悪」


長髪白装束娘「おい、次そんなこと言ったらお前にそいつら絡まして――」
348 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:38:30.62 ID:1HoW9zBeo
グシャアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!








幼女幽霊「!?」クルッ

霊能少女「!?」バッ








神彁混「…………」グググッ

長髪白装束娘「「「「「 」」」」」ググッ








長髪白装束娘「なっ……あいつ動き始めたぞ!抵抗しないんじゃなかったのか!?」

長髪白装束娘「んっ!!!!し、しかもなんつう怪力だ……!!このままだと抑えきれんぞ……!!」ググッ
349 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:40:10.98 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「くっ、もう行くしかないか」チャキッ

霊能少女「増殖体でワタシの援護をして。一気に決める」ダッ


長髪白装束娘「分かった……!!!!」グッ




霊能少女(やはり限度があるのか?危害は加えないというだけで、敵に協力するようなら最低限の反抗はするのか)

霊能少女(それとも……あの技は魂を分割して肉体を分裂、増殖させる。つまり一体一体の身体は魂が薄くなっているということ。それが引っ掛かったのか)

霊能少女(どちらにしても絶対の信頼はおけない。やはり保険程度に考えないと)






神彁混「…………」グググッ






長髪白装束娘「!!!!!!」

長髪白装束娘「おい!!!!気を付けろ!!!!あいつ何かしてくるぞ!!!!!」
350 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:41:59.04 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「!?」








神彁混「…………」パッ








シュババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!








霊能少女(ッッ!?)

霊能少女(影を針のように周囲に伸ばしてきた!?)

霊能少女(避け――)






バッ

グサッ!!!!!!
351 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:44:11.10 ID:1HoW9zBeo
長髪白装束娘「「「ゴハッ!?」」」シュゥゥ


霊能少女「……!!」

霊能少女(た、盾になって庇ってくれたの……?)






神彁混「…………」






長髪白装束娘「……クソが。い、今の攻撃で神彁混の周囲にいた私達が全滅した。とんでもない技を出してきやがったな」

長髪白装束娘「幸い、あのメスガキを守ることには成功したけど……ヤバいな。またあの攻撃が来たら」

長髪白装束娘「……よし」






(おい、聞こえるか)


霊能少女(これは……念波?)
352 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:46:10.08 ID:1HoW9zBeo
(あぁ、そうだ。いいか、次にあの攻撃をされたらさすがの私でもヤバい。だからその前に速攻で終わらせる)

(作戦に変更はない。お前はただ射程距離内で撃て。私が全力でサポートする)


霊能少女(……了解)ダッ






長髪白装束娘「さて……やるか」グッ






神彁混「…………」スッ






霊能少女(くっ、こっちに気付かれたか。どうする)






神彁混「………...」グググッ


シュンッ

ガシッ


神彁混「…………」チラッ


長髪白装束娘「「「ぐおおおおおお……」」」ガチガチ
353 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:47:36.02 ID:1HoW9zBeo
長髪白装束娘「髪で四肢を拘束……!!」




神彁混「…………」ブンッ

長髪白装束娘「うわっ!?」バッ




ヒュンヒュン


ドンッ!!!!!!!!!




長髪白装束娘「う、うわぁ……やっぱダメか。ヨーヨーみたいに振り回されて地面に叩きつけられた……あぁはなりたくないな。すまん私」

長髪白装束娘「くっ、じゃあこれで!!!!」グッ




長髪白装束娘「」ガシッ

長髪白装束娘「」ガシッ


神彁混「…………」ググッ



影『』シュンッ



長髪白装束娘「」グサッ
354 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:48:44.14 ID:1HoW9zBeo
長髪白装束娘「チッ!やっぱり問題はあの影だ!あいつが纏っている影を何とかしないと囲むことさえ出来ない!!!!」

長髪白装束娘「ん?待てよ。あの影は病院で現れたモノと同じ。つまり、対処法も変わらないはずだ」

長髪白装束娘「……なら、前と同じ手を使うか。出し惜しみはなしだ。全力全開、増殖体を全て使い切る!!!!」グッ






ズズズズズズッ……






神彁混「…………」キョロッ


長髪白装束娘「「「「「 」」」」」ズサササササ


神彁混「…………」グッ






長髪白装束娘「今だぁ!!!!!!!!!!」ググッ
355 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:50:36.27 ID:1HoW9zBeo






ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!






長髪白装束娘「よ、よし……成功だ。あぁ、もうストックが0になったなこれ。私が最後の残機だ」スゥ

幼女幽霊「でも、手ごたえは感じた……間違いなく、今の攻撃は通じた」






パラッ……パラッ…






神彁混「…………」グラッ

神彁混「…………」グタッ







幼女幽霊「!!!!」

幼女幽霊「あ、あの神彁混が膝を付いてる!やった!!これなら……!」






霊能少女(捉えた)

霊能少女「これで……終わり!」チャキッ





バンッ!!!!!!!!!!!!
356 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:51:50.10 ID:1HoW9zBeo
神彁混「…………」グッ






幼女幽霊(影の防御も間に合わない!!!!やった!!勝った!!!!!)






ドンッ




神彁混「…………」バサッ






霊能少女「!?」

幼女幽霊「!?」




霊能少女(なっ……翼を使って飛んだ!?あの一瞬で――)

霊能少女(まずい、弾はもうない。どうする――)グッ
357 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:54:00.09 ID:1HoW9zBeo
幼女幽霊(最後の一発が外れた!?こ、これじゃあ……)

幼女幽霊(ど、どうする……このままだと待っているのは確実な死。あいつを無力化出来ないとなると、もう逃げるしか選択肢はない)

幼女幽霊(これまでの道を、光もまともにない暗闇の山道の中を逃げ切るなんて……無理だ。絶対に)

幼女幽霊(……いや、私だけだったら出来るかも。なぜか私はあの神彁混に襲われないし。でも、あのメスガキは……)


幼女幽霊(かっ……考えろ!!まだ何か……思考がフル回転してる今のうちに、打開策を考えないと……!!)


幼女幽霊(……!!!!)


幼女幽霊(そ、そうだ。あの弾丸は私の力を与えたもの。半分はあいつのが混じってるけど、もしかしたら操れるかもしれない)

幼女幽霊(弾はまだ宙にある。間に合え――!)グッ
358 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:56:06.94 ID:1HoW9zBeo
ギュインッ




霊能少女「!?」

霊能少女(た、弾が戻って――)






キュウウウン!!!!!!!!






神彁混「…………」






幼女幽霊「いっけええええええええええええええ!!!!!!!!!」






神彁混「…………」チラッ






幼女幽霊「ッ!?」

幼女幽霊(な、なんだ。今、一瞬こっちを――)






ズドンッ!!!!!!
359 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:58:32.27 ID:1HoW9zBeo
神彁混「…………」グラッ






霊能少女「当たっ……」

幼女幽霊「た……?」






神彁混「…………」フラッ

神彁混「…………」フラッフラッ

神彁混「…………ァ」






『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』






幼女幽霊(っ!?な、なんつう声だ!?さっきまでずっと無言だったのに!!!!)

霊能少女(ぐっ!?これは……断末魔、か。もう幾度も聞いたのと同じ……最後の足掻きか)
360 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 02:59:32.79 ID:1HoW9zBeo
神彁混「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」キュイイン

神彁混「アアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!!!!!!!」グググッ

神彁混「アアッ!!!!!!!!!!!!」シュンッ






幼女幽霊「……」ゴクリ

幼女幽霊「き、消えた……終わったのか」




霊能少女「……」フラッ




幼女幽霊「お、おい!!!!大丈夫か!!!!」バッ




霊能少女「ハァッ……ハァッ……」

霊能少女(な、何とかなった。これで……あの神彁混は消滅した)

霊能少女(一歩前進……ってところか)
361 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:02:15.81 ID:1HoW9zBeo
幼女幽霊「ど、どうした!急に倒れて!?」

霊能少女「んっ……何でもない。あの雄叫びを間近で聞いたから、三半規管がちょっと麻痺しただけ。すぐ治る」

幼女幽霊「そ、そうか……終わったんだな、これで」

幼女幽霊「あの神彁混はどうなったんだ?封印って聞いてたけど、どこかに吸い込まれたように消えたけど」


霊能少女「……死に還った、ってやつかな。あいつは生と死の狭間の存在。だから死ぬこともないし、生きているわけでもない」

霊能少女「そのバランスを崩すには0に戻すしかない。だからアナタの力が必要だった」

霊能少女「封印式を刻印した銃弾に、この二つの力。ワタシでもどこに消えたのかは分からない。試験的に試作品を神彁混の肉片の一部に撃った時も、先程と同じような現象が起きて消えた」

霊能少女「正確に言うと封印ではないのかもしれない。ただ、それを観測する術はワタシ達にはない」


幼女幽霊「そ、そうか……」
362 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:03:50.49 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「……よし、行こう。ここに長居をする理由はない。撤収する」スタッ

幼女幽霊「もう動けるのかよ。お前も大概人間離れしてんな」























『…………』ジー
363 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:04:58.66 ID:1HoW9zBeo
………………………………………………………………
………………………………............



霊能少女「ここまで来たらいいか。追手はもう来ない」

霊能少女「……ありがと。今回は本当に助かった。アナタの協力なしでは成し遂げられなかった」


幼女幽霊「あぁ……まったく、こっちとしては本当にいい迷惑だった。もう二度とやりたくねぇ」

幼女幽霊「これで手に入るのが金だけとか本当に納得いかんわ……」


霊能少女「約束の小切手だけど……アナタって銀行に行けるの?これを換金しなくては現金は手に入らない」


幼女幽霊「はぁっ!?無理だぞ!私はあの貞子みたいな肉体しか出せないんだから!あんな格好でハロウィンの日以外でうろついたら職質されるわ!」


霊能少女「そう、じゃあこちらから手を回して、後日届くようにしておく。安心して、もうワタシはアナタ達には関わらないから」

霊能少女「じゃあ、ここで。アナタとはもう二度と会うことはないと思う」
364 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:07:37.58 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「アナタのことは二度と忘れない。今までワタシが祓ってきた幽霊とは違う、アナタほどの力なら、その魂が闇に染まることもないだろう」

霊能少女「こんなことに巻き込んで本当に申し訳なかった。謝罪する」



幼女幽霊「……」

幼女幽霊「……なぁ、お前ってまだこんなこと続けるの?」

幼女幽霊「今回だって何度も死にかけたじゃん。最後は私があの銃弾の軌道を修正しなかったら終わりだったし、私と戦った時さえも、一歩間違えば危なかったはず」

幼女幽霊「……別に、お前がどうなろうと私はどうでもいいけど、そんなことを続けてたら本当に死ぬぞ」



霊能少女「……どうでもいい。そんなことは」



幼女幽霊「どうでもいい?」
365 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:09:32.18 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「そう。例え、自分の命を投げ捨てるようなことになっても、その過程で一人でも多くの命を救えるのなら、ワタシは喜んでその命を捧げる」

霊能少女「この眼帯を受け継いだ時のように、ワタシが死んでもその信念は死なない。ワタシ達はそうやって怪異と戦い続けてきた。先人達の骸を乗り越えて、今、私はこうやって生きている」

霊能少女「だから……何も恐れるモノはない。例えそれが、死であろうとも」


幼女幽霊「……じゃあ、お前以外の人はどうなんだ。家族や友達とか……お前が死んで困る人がいるんじゃないの」


霊能少女「……家族、か。もう両親は既に他界している。私の唯一の血縁者は……妹だけ」

霊能少女「あの子なら……きっと、ワタシが死んでもそんなに悲しまないと思う。友と呼べる存在も……一人だけ、そう呼べるかもしれない人はいるけど、歩みを止めるつもりはない」

霊能少女「それに、まだやり残したことがある」


幼女幽霊「……復讐ってやつか」


霊能少女「うん、これだけは譲れない。この心臓が動いているうちは……辞めるつもりはない」
366 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:12:09.96 ID:1HoW9zBeo
幼女幽霊「……最後にひとつ、聞いておきたい。お前って誰の為に戦ってるんだ」


霊能少女「……?質問の意図がよく分からないんだけど」


幼女幽霊「だから、お前が戦い続ける理由だよ。お前の場合、その復讐ってもんは結局、後付けされた理由に過ぎないように聞こえた。その根本にある物じゃない」

幼女幽霊「なんでお前は……幽霊や怪物と戦ってるんだ?一体誰の為に?それを私は知りたい」


霊能少女「…………」

霊能少女「……答えを挙げるとするなら……全て人間の為。突然、大きな力で惨めに踏みにじられる命があるという事実を知ってしまったら……黙ってジッとしていられない。ワタシにそれを祓うことが出来る力があるとしたら猶更」

霊能少女「これが、ワタシが戦う理由」


幼女幽霊「……嘘だろ。それ」
367 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:13:58.03 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「……なぜ?ウソだと言えるの?」


幼女幽霊「さあ、私にもよく分からん。でも、それはお前の本心じゃないなって、直感で感じただけ」

幼女幽霊「もういいよ、勝手にやってろ。私は警告したからな」

幼女幽霊「……じゃあな」フワッ


霊能少女「……そう、警告は感謝する。ありがとう。そして、さようなら」




シュンッ




霊能少女「…………」

霊能少女「……何の為に、戦っている、か」
368 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:16:25.86 ID:1HoW9zBeo
霊能少女(あぁ、そうか……)



霊能少女(どうして、あの幽霊をあそこまで信用することが出来たのか、やっと分かった)



霊能少女(似ていたんだ……あの子と。生意気な口調や、性格が)



霊能少女(……もう後戻りは出来ない。そう、“本番”はここから)



369 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:17:48.08 ID:1HoW9zBeo
…………………………………………………………
…………………………………………



DQN幽霊「せんぱああああああああい!!!!!!よく戻ってきてくれたっスううううううううう!!!!!」ダキッ

幼女幽霊「あーもう!抱き着くなうざい!!離れろ!!」グイッ

DQN幽霊「それで、何があったんスか?カニカマは封印出来たんスか?」

幼女幽霊「あぁ、それがだな……」






幼女幽霊「ってことになった。まあ結果的に言えば成功だな。後日報酬が届くみたいだし」

DQN幽霊「そんなことが……でも、色々謎が残る結末っスね」

幼女幽霊「まあ……確かにな」

DQN幽霊「どうしてカニカマは先輩だけを襲わなかったんスかねぇ……やっぱり幽霊は死んでるからどうでもよかったみたいな?」

幼女幽霊「その線はないと思う。お前も、あの肉片を見た時に感じただろ。生死は関係ない。恐らく、この世界の住人ってだけで、神彁混の殺戮対象なんだと思う。でも、なぜか私だけは例外だった……」

DQN幽霊「謎っスねぇ……」



幼女幽霊「…………」
370 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:19:05.63 ID:1HoW9zBeo
幼女幽霊「……ひとつだけ、心当たりがあるんだけどな。あんまり考えたくないけど」


DQN幽霊「え?マジっスか?」


幼女幽霊「あぁ……私だけが特別な理由。ってなると……あの一年前の出来事が原因かもしれない」


DQN幽霊「一年前っつーと……もしかして、先輩がオーブと合体したあれっスか」


幼女幽霊「うん……よく考えてみたらさ、オーブちゃんって諸説はあるけど、魂的なものってのは確かじゃん」

幼女幽霊「つまり、“死”そのものなんだよね。それが……私の命を繋いだ。つまり、死と生が混じり合ってしまった……」

幼女幽霊「……あんまり考えたくないけど、もしかしたら私って……神彁混に近い存在になっちゃってるのかもしれないな」



DQN幽霊「……!?」

DQN幽霊「ち、違うっスよ!!!!先輩は……そんな化け物じゃないっス!!」
371 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:20:15.62 ID:1HoW9zBeo
DQN幽霊「ちょっと馬鹿っスけど……俺をいつも守ってくれて、頼りになる優しい先輩っスよ!!!!」

幼女幽霊「……恥ずかしいこと言ってんじゃねえよ。あと馬鹿ってなんだコラ」ブンッ


DQN幽霊「いてっ!?」ボコッ


幼女幽霊「……まあ、あくまでも可能性の話だからな。それにもう……私とは関係ない話だ」

幼女幽霊「…………」


DQN幽霊「ど、どうしたんスか先輩?深刻な顔して」




幼女幽霊「いや……もしかしたらさ、私って……神彁混に殺されたんじゃないかなって」




DQN幽霊「!?」

DQN幽霊「えっ!?ど、どういうことっスか!?いきなりっ!?」
372 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:21:58.47 ID:1HoW9zBeo
幼女幽霊「病院で初めてあの影と対峙した時……どこか見覚えがあったんだ。これと似たような気配を感じたことがあるって」

幼女幽霊「神彁混を直接視た時も、同じような既視感を感じた」

幼女幽霊「でも、私が幽霊になってからじゃない。小さい頃はずっと病院でお爺ちゃんと一緒だったし、そんなやつは一度も来なかった」

幼女幽霊「ってなると……生前になる。もう十年以上も前だから、覚えていなくても無理はない」

幼女幽霊「そして、神彁混と出会ったタイミングってなると……死の瞬間しかない。あまりに突然で、奴の姿を覚える暇もなく死んじゃったのかもしれない」


DQN幽霊「で、でも……先輩って、家族と一緒に交通事故で死んじゃったんスよね?」


幼女幽霊「……そう。でも、あの事故には……気になる点が一つあった」
373 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:24:46.22 ID:1HoW9zBeo
幼女幽霊「私達はお父さんの運転する車に乗っていて、その車が横転して崖に落ちたと記事には書いてあった」

幼女幽霊「……でも、不思議なことに、車体の上に、謎の傷があったんだよね。まるで爪でこじ開けたような……巨大な傷が」


DQN幽霊「……!!」


幼女幽霊「あの時はそんな気にすることでもなかった。原因は不明だったけど、事故の衝撃で出来た傷だって記事にも書いてあったし」

幼女幽霊「……もし、あの巨大な傷の正体が、この既視感の正体が全て繋がっていたとしたら…………」



DQN幽霊「……ん?」



幼女幽霊「……まあ、もしそうだとしても、別に嫌なことでもないけどね」

幼女幽霊「お父さんとお母さん、そして私自身の敵討ちをしたことになるんだから。まあちょっとは気が晴れるってもんだよ。あんま実感ないけど」

幼女幽霊「私が何の躊躇いもなく、あの銃弾を神彁混に当てられたのも……そのせいかもね」


DQN幽霊「……ちょっと待ってください。それっておかしくないっスか?」
374 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:27:29.20 ID:1HoW9zBeo
DQN幽霊「だ、だって……あの化け物が産まれたのは一年前の集団自殺のはずっスよね。先輩が死んだあの事故が起きたのは十年前……計算がおかしいっスよ」


幼女幽霊「そう、問題はここだ。多分これがあいつが語らなかった真実の正体」


幼女幽霊(あいつが言っていた行方不明者と不審死の数。確かに異常な数だけど、急増したというわけじゃない。そりゃそうだ。そんな突然に人が死んだら、いくら何でも騒ぎになるのは確実)

幼女幽霊(……この世界は何十年も前から、人が消えている。その数に疑問を持たないほどに)

幼女幽霊(そして、あのメモ。40年前の『1978年』に起こった集団自殺に付けられていた○、他の年には付いてなかったのに、この年にだけ……あの年にだけ、何かが起きた)

幼女幽霊(……あいつの言った通り、関わらなくて正解かもな。これは……)








幼女幽霊「つまり、神彁混は――」








おわり……?
375 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:28:09.03 ID:1HoW9zBeo








…………………………………………………………………
…………………………………………







376 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:30:04.42 ID:1HoW9zBeo
霊能少女「……」ピッ




プルルルルルルルル……

プルルルルルルルル……


ガチャッ




霊能少女「久しぶり、元気にしている?」


『…………』


霊能少女「待って、切らないでほしい。今日は重要な要件がある」


『……何の用だ』


霊能少女「父と母を殺した犯人の正体が分かった。そして、その死の真相も」


『……は?』









つづく
377 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/10/19(金) 03:36:51.39 ID:1HoW9zBeo
終わりです
これにて幼女幽霊編は完結になります
話の筋としては霊能少女がメイン、幼女幽霊がサイドストーリー、屍男が裏ルートみたいな感じになると思います
次は一年ぶりに屍男の話になるんですけど…また長期間書けない状況になると色々困るので、書き溜めを進めてスレを立てようと思ういます
ただそうなると結構時間がかかるかもしれないです…ごめんなさい
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/19(金) 05:30:37.78 ID:+0dVEA9co
私まつわ
おつおつ
妹がでるかと思ったがそんなことはなかったぜ
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/19(金) 18:46:32.55 ID:QI7FhviJ0

よかった
また気長に待ってるわ
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/19(金) 19:58:49.84 ID:o6ddXIwJ0

影の王子とメリーさんの対決も楽しみ
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/24(水) 20:01:08.68 ID:nQY+hw7vO
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/10/31(水) 23:15:07.30 ID:wQX7qM6H0
素晴らしい作品をありがとう!!久しぶりにワクワクした。
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/11(日) 11:35:02.13 ID:VPAedUom0
いつまでもまってるぜぇ
でも幼女幽霊が無くなっちゃうのは悲しいなぁ
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